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Perl/ライブラリ・モジュールとオブジェクト指向
Perl4までは、全ての変数は動的で単一のグローバルな名前空間に存在していました。 これは丁度 BASIC と同じ状況で、識別子の衝突の回避がプログラミングの大きなテーマでした。 この問題を解決するためにPerl5では が導入されました。 グローバル変数は、名前空間の一部とみなされ、「完全修飾形式」( fully qualified form )でアクセスできます。 逆に、レキシカルスコープ変数は、そのレキシカルスコープの一部とみなされ、「完全修飾形式」を持ちません。 Perl の名前空間は「パッケージ」と呼ばれ、package 宣言は変数や非限定動的名の前にどの名前空間を付けるかを決めます。 package 宣言のスコープは宣言に伴うブロック、ブロックを伴わない場合は次のpackage 宣言までです。 ourで宣言された変数は、パッケージ変数です。パッケージ変数はグローバル変数ですが、パッケージに属しています。 our宣言の場所のスコープでしか単純な名前での参照はできませんが、::をつかった完全修飾形式であれば、ourのスコープの外からも参照できます。 Perlも、AWK の BEGIN, END のように特定のタイミングで実行されるコードブロックを定義できます。 特殊コードブロックは、サブルーチンと外観は似ていますが、同じパッケージに2つ以上定義することもできます。まや、直接呼出すことはできません。 5つのどのコードブロックで実行されているかは、${^GLOBAL_PHASE} で参照できます。 BEGINコードブロックは、パースした端から実行されます。 AWKのBEGINと同様です。 UNITCHECKブロックは、それを定義したユニットがコンパイルされた直後に実行されます。 メインプログラムファイルとそれがロードする各モジュールはコンパイル単位であり、文字列評価、正規表現内の (?{ }) 構成を使用してコンパイルされたランタイムコード、do FILE、require FILEの呼び出し、コマンドライン上の-eスイッチの後のコードも同様です。 CHECK コードブロックは、最初の Perl コンパイルフェーズ終了直後、 実行時が開始する直前に、LIFO 順で実行されます。 CHECK コードブロックは Perl コンパイラスイートがプログラムのコンパイル 状態を保存するために使われます。 INIT ブロックは Perl ランタイムが実行を開始する直前に、「先入れ先出し」 (FIFO) 順で実行されます。 ENDコードブロックはできるだけ遅く、perlがプログラムを実行し終わった後、インタープリターが終了する直前に実行されます。 AWKのENDと同様です。 プラグマは、Perl のコンパイル時や実行時の動作に影響を与えるモジュールです。 strict や warnings のように、Perl のコンパイル時や実行時の動作に影響を与えるモジュールです。 Perl 5.10 からは、ユーザーもプラグマを定義できるようになりました。 strictプラグマを有効にすると、宣言済みでないグローバル変数やシンボリックリファレンスなど危険なものの使用を禁止します。それらが出現した時点で例外を発生させ、プログラムを終了します。 use v5.12 以降は strict がディフォルトで有効です。 use モジュール名;とすると、モジュールを使用することができます。対義語はno モジュール名;で、モジュールを不使用にします。 strictプラグマはレキシカルスコープを持つので、このようにブロック内でのみ無効にするということができます。 で、警告の機能を追加できます。 これはperlの -w スイッチと同じで、無意味な演算や未定義の変数の使用、一度も使用されていない変数などに対する警告を有効にします。 use v5.36 以降は、warnings がディフォルトで有効です 警告するだけで、プログラムは続行されます。 ワンライナーや書き捨てのスクリプトを作成する時以外は、strictプラグマと共に常に有効にすることが推奨されます。 perlに標準で同梱されているモジュールのことを標準モジュールといいます。標準モジュール以外のライブラリは、CPANなどから入手します。 CPAN (Comprehensive Perl Archive Network) とは、Perlのライブラリ、モジュール、その他のスクリプトなどを集めた世界的なアーカイブネットワークです。標準モジュールのCPAN.pmでは、シェルからcpanコマンドを使ってCPANのモジュールをインストールするインタフェースを提供しています。 コンストラクターはオブジェクトを返すサブルーチンです。他の多くの言語と同じく名前には new を使います。 他の名前でも、データー構造をクラスに bless し返すサブルーチンは全てコンストラクターです。 組込み関数blessは、コンストラクターの中核で、第一引数(典型的には $self という名前のハッシュ)と、第二引数の(典型的には $class と言う名前のパッケージ)を結びつけたインスタンス(クラスを実体化したオブジェクト)を戻値とします。bless の戻値を使ってメソッドやメンバーを参照します。 オブジェクトの内部構造 $self は、典型的にはハッシュが使われますが、これはハッシュはキー(名前)によって値を取り出すことができるためメンバーを表現するのに適しているためです。 ほかのデーター構造、配列・スカラー・ファイルハンドルなどを内部構造にすることもあります。 クラスの宣言はpackage宣言によって行います。これはライブラリ・モジュールがパッケージを宣言するのと文法的には全く同じです。 メソッドの定義は関数定義と同じsubによって行われます。メソッドは第一引数にオブジェクト(慣習として $self の名前が使われます)が渡されるサブルーチンです。 bless でパッケージと結ぶ付けられたデーター構造にハッシュを使った場合、キーを名前とするメンバー変数として振舞います。 のようにリファレンスで参照します。 Perlでは、パッケージ変数がクラス変数に相当します。 のように、パッケージ内でour宣言された変数(パッケージ変数)はクラス変数として振舞います。 オブジェクトへの最後の参照がなくなると、そのオブジェクトは破棄されます。 このオブジェクトが「破棄」されるサブルーチンがデストラクターです。 デストラクターは、DESTROY と言う名前です(new と異なり名前は DESTROY 固定です)。 DESTROY メソッドはいつでも呼び出すことができるので、 DESTROY メソッドで行う何かによって設定されるかもしれないグローバルなステータス変数をローカル化しなければいけません。 このため、DESTROYのプロローグは下のようなものになります。 オブジェクト指向プログラミングでは、既存のクラスから性質の部分的に異なるクラスを派生させることを継承といいます。 としたとき、Perlは$pt属するクラス(=パッケージ)にabsという名前のメソッドを探しにいきます。 もし見つからなかった場合は、@ISAという特殊な配列に格納されているクラスにabsという名前のメソッドを探しにいきます。 @ISAに基底クラスの名前を入れておくことで、継承を実現することができます。 @ISA の要素数が1の継承は単一継承です。 @ISAに複数のクラス名を列挙する継承が多重継承です。 基底クラス同士が共通のクラスから派生されている継承関係をダイアモンド継承と呼びます。 Perlの多重継承では、2つ以上のコンストラクターを呼出すスマートな方法がないので、片方はコンストラクターを用意せず、メソッドセットとして実装することとなり、実質的に Mix-in になります。 このように、メソッドセットを合成するクラス間の関係を、Mix-inといいます。 SUPER擬似クラス( SUPER pseudo-class )は、常に基底クラスを指しています。基底クラスのメソッドを派生クラス内で呼び出す場合に使用します。 [TODO:多事継承の場合のSUPERの振舞い] base プラグマを使うと、基底クラスの定義に必要なuseや@ISAの代入から基底クラス内の変数や関数のインポートまでをすべて自動で行うことができます。 このモジュールは、baseからフォークして、溜まっていたゴミを取り除いたものです。 この他にも、Class::Structの様にコンストラクターの自動生成などを行うモジュールなど、クラス定義を補助するユーティリティは幾つかありますが、手早くクラスとクラス階層の有効性を評価するのには便利ですが、クラス設計が完了した時点で、@ISAを直接操作する素朴なコードに書き換えたほうが保守性は向上します。 JavaScript/クラス#包含と継承を、Rubyに移植したコードを、OOPerl に移植しました。
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{{Nav}} <noinclude> :<small>[[プログラミング]] > [[Perl]] > '''ライブラリ・モジュールとオブジェクト指向'''</small> </noinclude> <includeonly> = モジュールとオブジェクト指向 = {{先頭に戻る}} </includeonly> == パッケージ == Perl4までは、全ての変数は動的で単一のグローバルな名前空間に存在していました。 これは丁度 [[BASIC]] と同じ状況で、識別子の衝突の回避がプログラミングの大きなテーマでした。 この問題を解決するためにPerl5では # vars プラグマや our キーワードを使って公開される名前空間付きグローバル変数 # my や state で宣言されたレキシカルスコープ変数 が導入されました。 === 完全修飾形式 === グローバル変数は、名前空間の一部とみなされ、「完全修飾形式」( ''fully qualified form'' )でアクセスできます。 逆に、レキシカルスコープ変数は、そのレキシカルスコープの一部とみなされ、「完全修飾形式」を持ちません。 ;完全修飾形式:<code>名前空間::識別子</code> === package === Perl の名前空間は「パッケージ」と呼ばれ、package 宣言は変数や非限定動的名の前にどの名前空間を付けるかを決めます。 package 宣言のスコープは宣言に伴うブロック、ブロックを伴わない場合は次のpackage 宣言までです。 ;package 宣言を含むコード:<syntaxhighlight lang=perl> use v5.20.0; say "default package name is @{[ __PACKAGE__ ]}"; package PKG0 { sub f { say "I'm @{[ __PACKAGE__ ]}" } } say "In @{[ __PACKAGE__ ]}"; package PKG1; sub f { say "I'm @{[ __PACKAGE__ ]}" } say "In @{[ __PACKAGE__ ]}"; package main; sub f { say "I'm @{[ __PACKAGE__ ]}" } &PKG0::f; &PKG1::f; &main::f; &::f; &f; </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> default package name is main default package name is main In main In PKG1 I'm PKG0 I'm PKG1 I'm main I'm main I'm main </syntaxhighlight> : __PACKAGE__ で、その位置のパッケージ名を参照できます。 : トップレベルのパッケージ名は、main です。 : package PKG0 は、をブロックを伴って宣言されているので、ブロックを抜けると main パッケージに戻ります。 : package PKG1 は、をブロックを伴わず宣言されているので、次の package 宣言までが PKG0 パッケージです。 : <code>&PKG0::f</code>で、PKG0パッケージのfが、 <code>&PKG1::f</code>で、PKG1パッケージのfが。 : <code>&main::f</code>、<code>&::f</code>あるいは<code>&f</code>で、mainパッケージのfが参照されます。 === our === <code>our</code>で宣言された変数は、パッケージ変数です。パッケージ変数はグローバル変数ですが、パッケージに属しています。 <code>our</code>宣言の場所のスコープでしか単純な名前での参照はできませんが、::をつかった完全修飾形式であれば、<code>our</code>のスコープの外からも参照できます。 ;our 宣言を含むコード:<syntaxhighlight lang=perl> use v5.20.0; our $x = "default package name is @{[ __PACKAGE__ ]}"; package PKG0 { our $x = "I'm @{[ __PACKAGE__ ]}" } package PKG1; our $x = "I'm @{[ __PACKAGE__ ]}"; package main; print <<EOS; $\PKG0::x --> $PKG0::x $\PKG1::x --> $PKG1::x $\main::x --> $main::x $\::x --> $::x $\x --> $x EOS </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> PKG0::x --> I'm PKG0 PKG1::x --> I'm PKG1 main::x --> default package name is main ::x --> default package name is main x --> I'm PKG1 </syntaxhighlight> : 最後だけ意外ですが、PKG1 の our $x のレキシカルスコープは尽きていないので、main::x を押し置けて PKG1::x が参照されます。 == 特殊コードブロック == Perlも、[[AWK]] の BEGIN, END のように特定のタイミングで実行されるコードブロックを定義できます。 特殊コードブロックは、サブルーチンと外観は似ていますが、同じパッケージに2つ以上定義することもできます。まや、直接呼出すことはできません。 5つのどのコードブロックで実行されているかは、${^GLOBAL_PHASE} で参照できます。 {{See also|[https://perldoc.jp/docs/perl/5.36.0/perlmod.pod#BEGIN44-32UNITCHECK44-32CHECK44-32INIT32and32END perlmod -- BEGIN, UNITCHECK, CHECK, INIT, END]}} === BEGIN === BEGINコードブロックは、パースした端から実行されます。 [[AWK]]の[[AWK##BEGINとEND|BEGIN]]と同様です。 <!-- require と BEGINコードブロックの組合わせ --> === UNITCHECK === UNITCHECKブロックは、それを定義したユニットがコンパイルされた直後に実行されます。 メインプログラムファイルとそれがロードする各モジュールはコンパイル単位であり、文字列評価、正規表現内の (?{ }) 構成を使用してコンパイルされたランタイムコード、do FILE、require FILEの呼び出し、コマンドライン上の-eスイッチの後のコードも同様です。 === CHECK === CHECK コードブロックは、'''最初'''の Perl コンパイルフェーズ終了直後、 実行時が開始する直前に、LIFO 順で実行されます。 CHECK コードブロックは Perl コンパイラスイートがプログラムのコンパイル 状態を保存するために使われます。 === INIT === INIT ブロックは Perl ランタイムが実行を開始する直前に、「先入れ先出し」 (FIFO) 順で実行されます。 === END === ENDコードブロックはできるだけ遅く、perlがプログラムを実行し終わった後、インタープリターが終了する直前に実行されます。 :たとえ、die関数の結果として終了する場合でも同様です。 :しかし、execによって他のプログラムに遷移した場合は実行されません。 :さらに、ハンドリングされていないシグナルによるアボートの場合も実行されません。 ::(可能であれば)自分でトラップしなければなりません。 : 1つのファイルに複数のENDブロックがあっても、それらは定義の逆順で実行されます。 : つまり、LIFO(Last In, First Out)です。 : ENDブロックは、perlを-cスイッチ付きで実行したときや、コンパイルに失敗したときには実行されません。 [[AWK]]の[[AWK##BEGINとEND|END]]と同様です。 <!-- require と BEGINコードブロックの組合わせ --> == モジュール == ;構文:<syntaxhighlight lang=perl> use モジュール名 [ 識別子 ]; </syntaxhighlight> === プラグマ === プラグマは、Perl のコンパイル時や実行時の動作に影響を与えるモジュールです。 strict や warnings のように、Perl のコンパイル時や実行時の動作に影響を与えるモジュールです。 Perl 5.10 からは、ユーザーもプラグマを定義できるようになりました。 ==== strict ==== strictプラグマを有効にすると、宣言済みでないグローバル変数やシンボリックリファレンスなど危険なものの使用を禁止します。それらが出現した時点で例外を発生させ、プログラムを終了します。 use v5.12 以降は strict が<ref>[https://perldoc.jp/docs/perl/5.12.1/perl5120delta.pod#Unicode32improvements 暗黙のstrict]</ref>ディフォルトで有効です。 :<syntaxhighlight lang=perl> use strict; </syntaxhighlight> use モジュール名;とすると、モジュールを使用することができます。対義語はno モジュール名;で、モジュールを不使用にします。 :<syntaxhighlight lang=perl> use strict; { no strict 'refs'; # このブロックの中ではシンボリックリファレンスを使用可能にする } </syntaxhighlight> strictプラグマはレキシカルスコープを持つので、このようにブロック内でのみ無効にするということができます。 {{コラム|$a と $b|2=$a と $b は、sort() を使うときの特別なパッケージ変数です。 この特殊性のため、$a と $b は "strict 'vars'" プラグマを使用しても、"use vars" や "our()" を使って宣言する必要はありません。 sort() 比較ブロックや関数で使用したい場合は、「my $a」や「my $b」でレキシカルスコープにしないようにしましょう。 Perlのプログラミングの教本で、変数の例に $a や $b を使っている場合、筆者は特別なパッケージ変数であることに思い至っていないことになります。 }} ==== warnings ==== :<syntaxhighlight lang=perl> use warnings; </syntaxhighlight> で、警告の機能を追加できます。 これはperlの -w スイッチと同じで、無意味な演算や未定義の変数の使用、一度も使用されていない変数などに対する警告を有効にします。 use v5.36 以降は、warnings がディフォルトで有効です<ref>[https://perldoc.jp/docs/perl/5.36.0/perl5360delta.pod#use32v5.36 use v5.36]</ref> 警告するだけで、プログラムは続行されます。 ワンライナーや書き捨てのスクリプトを作成する時以外は、strictプラグマと共に常に有効にすることが推奨されます。 === 標準モジュール === perlに標準で同梱されているモジュールのことを標準モジュールといいます。標準モジュール以外のライブラリは、CPANなどから入手します。 ;標準モジュールの一覧とサポートバージョンの一覧を表示するコード:<syntaxhighlight lang=perl> use v5.30.0; use warnings; use Module::CoreList; my $version = '5.030000'; my $modules = $Module::CoreList::version{$version}; print <<EOS; Modules in perl $version: @{[ join "\n", (sort keys %$modules) ]} version in Module::CoreList::version: @{[ join "\n", (sort keys %Module::CoreList::version) ]} EOS</syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text style="height:12rem;overflow: scroll;"> Modules in perl 5.030000: Amiga::ARexx Amiga::Exec AnyDBM_File App::Cpan App::Prove App::Prove::State App::Prove::State::Result App::Prove::State::Result::Test Archive::Tar Archive::Tar::Constant Archive::Tar::File Attribute::Handlers AutoLoader AutoSplit B B::Concise B::Deparse B::Op_private B::Showlex B::Terse B::Xref Benchmark CPAN CPAN::Author CPAN::Bundle CPAN::CacheMgr CPAN::Complete CPAN::Debug CPAN::DeferredCode CPAN::Distribution CPAN::Distroprefs CPAN::Distrostatus CPAN::Exception::RecursiveDependency CPAN::Exception::blocked_urllist CPAN::Exception::yaml_not_installed CPAN::Exception::yaml_process_error CPAN::FTP CPAN::FTP::netrc CPAN::FirstTime CPAN::HTTP::Client CPAN::HTTP::Credentials CPAN::HandleConfig CPAN::Index CPAN::InfoObj CPAN::Kwalify CPAN::LWP::UserAgent CPAN::Meta CPAN::Meta::Converter CPAN::Meta::Feature CPAN::Meta::History CPAN::Meta::Merge CPAN::Meta::Prereqs CPAN::Meta::Requirements CPAN::Meta::Spec CPAN::Meta::Validator CPAN::Meta::YAML CPAN::Mirrors CPAN::Module CPAN::Nox CPAN::Plugin CPAN::Plugin::Specfile CPAN::Prompt CPAN::Queue CPAN::Shell CPAN::Tarzip CPAN::URL CPAN::Version Carp Carp::Heavy Class::Struct Compress::Raw::Bzip2 Compress::Raw::Zlib Compress::Zlib Config Config::Extensions Config::Perl::V Cwd DB DBM_Filter DBM_Filter::compress DBM_Filter::encode DBM_Filter::int32 DBM_Filter::null DBM_Filter::utf8 DB_File Data::Dumper Devel::PPPort Devel::Peek Devel::SelfStubber Digest Digest::MD5 Digest::SHA Digest::base Digest::file DirHandle Dumpvalue DynaLoader Encode Encode::Alias Encode::Byte Encode::CJKConstants Encode::CN Encode::CN::HZ Encode::Config Encode::EBCDIC Encode::Encoder Encode::Encoding Encode::GSM0338 Encode::Guess Encode::JP Encode::JP::H2Z Encode::JP::JIS7 Encode::KR Encode::KR::2022_KR Encode::MIME::Header Encode::MIME::Header::ISO_2022_JP Encode::MIME::Name Encode::Symbol Encode::TW Encode::Unicode Encode::Unicode::UTF7 English Env Errno Exporter Exporter::Heavy ExtUtils::CBuilder ExtUtils::CBuilder::Base ExtUtils::CBuilder::Platform::Unix ExtUtils::CBuilder::Platform::VMS ExtUtils::CBuilder::Platform::Windows ExtUtils::CBuilder::Platform::Windows::BCC ExtUtils::CBuilder::Platform::Windows::GCC ExtUtils::CBuilder::Platform::Windows::MSVC ExtUtils::CBuilder::Platform::aix ExtUtils::CBuilder::Platform::android ExtUtils::CBuilder::Platform::cygwin ExtUtils::CBuilder::Platform::darwin ExtUtils::CBuilder::Platform::dec_osf ExtUtils::CBuilder::Platform::os2 ExtUtils::Command ExtUtils::Command::MM ExtUtils::Constant ExtUtils::Constant::Base ExtUtils::Constant::ProxySubs ExtUtils::Constant::Utils ExtUtils::Constant::XS ExtUtils::Embed ExtUtils::Install ExtUtils::Installed ExtUtils::Liblist ExtUtils::Liblist::Kid ExtUtils::MM ExtUtils::MM_AIX ExtUtils::MM_Any ExtUtils::MM_BeOS ExtUtils::MM_Cygwin ExtUtils::MM_DOS ExtUtils::MM_Darwin ExtUtils::MM_MacOS ExtUtils::MM_NW5 ExtUtils::MM_OS2 ExtUtils::MM_QNX ExtUtils::MM_UWIN ExtUtils::MM_Unix ExtUtils::MM_VMS ExtUtils::MM_VOS ExtUtils::MM_Win32 ExtUtils::MM_Win95 ExtUtils::MY ExtUtils::MakeMaker ExtUtils::MakeMaker::Config ExtUtils::MakeMaker::Locale ExtUtils::MakeMaker::version ExtUtils::MakeMaker::version::regex ExtUtils::Manifest ExtUtils::Miniperl ExtUtils::Mkbootstrap ExtUtils::Mksymlists ExtUtils::Packlist ExtUtils::ParseXS ExtUtils::ParseXS::Constants ExtUtils::ParseXS::CountLines ExtUtils::ParseXS::Eval ExtUtils::ParseXS::Utilities ExtUtils::Typemaps ExtUtils::Typemaps::Cmd ExtUtils::Typemaps::InputMap ExtUtils::Typemaps::OutputMap ExtUtils::Typemaps::Type ExtUtils::XSSymSet ExtUtils::testlib Fatal Fcntl File::Basename File::Compare File::Copy File::DosGlob File::Fetch File::Find File::Glob File::GlobMapper File::Path File::Spec File::Spec::AmigaOS File::Spec::Cygwin File::Spec::Epoc File::Spec::Functions File::Spec::Mac File::Spec::OS2 File::Spec::Unix File::Spec::VMS File::Spec::Win32 File::Temp File::stat FileCache FileHandle Filter::Simple Filter::Util::Call FindBin GDBM_File Getopt::Long Getopt::Std HTTP::Tiny Hash::Util Hash::Util::FieldHash I18N::Collate I18N::LangTags I18N::LangTags::Detect I18N::LangTags::List I18N::Langinfo IO IO::Compress::Adapter::Bzip2 IO::Compress::Adapter::Deflate IO::Compress::Adapter::Identity IO::Compress::Base IO::Compress::Base::Common IO::Compress::Bzip2 IO::Compress::Deflate IO::Compress::Gzip IO::Compress::Gzip::Constants IO::Compress::RawDeflate IO::Compress::Zip IO::Compress::Zip::Constants IO::Compress::Zlib::Constants IO::Compress::Zlib::Extra IO::Dir IO::File IO::Handle IO::Pipe IO::Poll IO::Seekable IO::Select IO::Socket IO::Socket::INET IO::Socket::IP IO::Socket::UNIX IO::Uncompress::Adapter::Bunzip2 IO::Uncompress::Adapter::Identity IO::Uncompress::Adapter::Inflate IO::Uncompress::AnyInflate IO::Uncompress::AnyUncompress IO::Uncompress::Base IO::Uncompress::Bunzip2 IO::Uncompress::Gunzip IO::Uncompress::Inflate IO::Uncompress::RawInflate IO::Uncompress::Unzip IO::Zlib IPC::Cmd IPC::Msg IPC::Open2 IPC::Open3 IPC::Semaphore IPC::SharedMem IPC::SysV JSON::PP JSON::PP::Boolean List::Util List::Util::XS Locale::Maketext Locale::Maketext::Guts Locale::Maketext::GutsLoader Locale::Maketext::Simple MIME::Base64 MIME::QuotedPrint Math::BigFloat Math::BigFloat::Trace Math::BigInt Math::BigInt::Calc Math::BigInt::FastCalc Math::BigInt::Lib Math::BigInt::Trace Math::BigRat Math::Complex Math::Trig Memoize Memoize::AnyDBM_File Memoize::Expire Memoize::ExpireFile Memoize::ExpireTest Memoize::NDBM_File Memoize::SDBM_File Memoize::Storable Module::CoreList Module::CoreList::Utils Module::Load Module::Load::Conditional Module::Loaded Module::Metadata Moped::Msg NDBM_File NEXT Net::Cmd Net::Config Net::Domain Net::FTP Net::FTP::A Net::FTP::E Net::FTP::I Net::FTP::L Net::FTP::dataconn Net::NNTP Net::Netrc Net::POP3 Net::Ping Net::SMTP Net::Time Net::hostent Net::netent Net::protoent Net::servent O ODBM_File OS2::DLL OS2::ExtAttr OS2::PrfDB OS2::Process OS2::REXX Opcode POSIX Params::Check Parse::CPAN::Meta Perl::OSType PerlIO PerlIO::encoding PerlIO::mmap PerlIO::scalar PerlIO::via PerlIO::via::QuotedPrint Pod::Checker Pod::Escapes Pod::Find Pod::Functions Pod::Functions::Functions Pod::Html Pod::InputObjects Pod::Man Pod::ParseLink Pod::ParseUtils Pod::Parser Pod::Perldoc Pod::Perldoc::BaseTo Pod::Perldoc::GetOptsOO Pod::Perldoc::ToANSI Pod::Perldoc::ToChecker Pod::Perldoc::ToMan Pod::Perldoc::ToNroff Pod::Perldoc::ToPod Pod::Perldoc::ToRtf Pod::Perldoc::ToTerm Pod::Perldoc::ToText Pod::Perldoc::ToTk Pod::Perldoc::ToXml Pod::PlainText Pod::Select Pod::Simple Pod::Simple::BlackBox Pod::Simple::Checker Pod::Simple::Debug Pod::Simple::DumpAsText Pod::Simple::DumpAsXML Pod::Simple::HTML Pod::Simple::HTMLBatch Pod::Simple::HTMLLegacy Pod::Simple::LinkSection Pod::Simple::Methody Pod::Simple::Progress Pod::Simple::PullParser Pod::Simple::PullParserEndToken Pod::Simple::PullParserStartToken Pod::Simple::PullParserTextToken Pod::Simple::PullParserToken Pod::Simple::RTF Pod::Simple::Search Pod::Simple::SimpleTree Pod::Simple::Text Pod::Simple::TextContent Pod::Simple::TiedOutFH Pod::Simple::Transcode Pod::Simple::TranscodeDumb Pod::Simple::TranscodeSmart Pod::Simple::XHTML Pod::Simple::XMLOutStream Pod::Text Pod::Text::Color Pod::Text::Overstrike Pod::Text::Termcap Pod::Usage SDBM_File Safe Scalar::Util Search::Dict SelectSaver SelfLoader Socket Storable Sub::Util Symbol Sys::Hostname Sys::Syslog Sys::Syslog::Win32 TAP::Base TAP::Formatter::Base TAP::Formatter::Color TAP::Formatter::Console TAP::Formatter::Console::ParallelSession TAP::Formatter::Console::Session TAP::Formatter::File TAP::Formatter::File::Session TAP::Formatter::Session TAP::Harness TAP::Harness::Env TAP::Object TAP::Parser TAP::Parser::Aggregator TAP::Parser::Grammar TAP::Parser::Iterator TAP::Parser::Iterator::Array TAP::Parser::Iterator::Process TAP::Parser::Iterator::Stream TAP::Parser::IteratorFactory TAP::Parser::Multiplexer TAP::Parser::Result TAP::Parser::Result::Bailout TAP::Parser::Result::Comment TAP::Parser::Result::Plan TAP::Parser::Result::Pragma TAP::Parser::Result::Test TAP::Parser::Result::Unknown TAP::Parser::Result::Version TAP::Parser::Result::YAML TAP::Parser::ResultFactory TAP::Parser::Scheduler TAP::Parser::Scheduler::Job TAP::Parser::Scheduler::Spinner TAP::Parser::Source TAP::Parser::SourceHandler TAP::Parser::SourceHandler::Executable TAP::Parser::SourceHandler::File TAP::Parser::SourceHandler::Handle TAP::Parser::SourceHandler::Perl TAP::Parser::SourceHandler::RawTAP TAP::Parser::YAMLish::Reader TAP::Parser::YAMLish::Writer Term::ANSIColor Term::Cap Term::Complete Term::ReadLine Test Test2 Test2::API Test2::API::Breakage Test2::API::Context Test2::API::Instance Test2::API::Stack Test2::Event Test2::Event::Bail Test2::Event::Diag Test2::Event::Encoding Test2::Event::Exception Test2::Event::Fail Test2::Event::Generic Test2::Event::Note Test2::Event::Ok Test2::Event::Pass Test2::Event::Plan Test2::Event::Skip Test2::Event::Subtest Test2::Event::TAP::Version Test2::Event::V2 Test2::Event::Waiting Test2::EventFacet Test2::EventFacet::About Test2::EventFacet::Amnesty Test2::EventFacet::Assert Test2::EventFacet::Control Test2::EventFacet::Error Test2::EventFacet::Hub Test2::EventFacet::Info Test2::EventFacet::Info::Table Test2::EventFacet::Meta Test2::EventFacet::Parent Test2::EventFacet::Plan Test2::EventFacet::Render Test2::EventFacet::Trace Test2::Formatter Test2::Formatter::TAP Test2::Hub Test2::Hub::Interceptor Test2::Hub::Interceptor::Terminator Test2::Hub::Subtest Test2::IPC Test2::IPC::Driver Test2::IPC::Driver::Files Test2::Tools::Tiny Test2::Util Test2::Util::ExternalMeta Test2::Util::Facets2Legacy Test2::Util::HashBase Test2::Util::Trace Test::Builder Test::Builder::Formatter Test::Builder::IO::Scalar Test::Builder::Module Test::Builder::Tester Test::Builder::Tester::Color Test::Builder::TodoDiag Test::Harness Test::More Test::Simple Test::Tester Test::Tester::Capture Test::Tester::CaptureRunner Test::Tester::Delegate Test::use::ok Text::Abbrev Text::Balanced Text::ParseWords Text::Tabs Text::Wrap Thread Thread::Queue Thread::Semaphore Tie::Array Tie::File Tie::Handle Tie::Hash Tie::Hash::NamedCapture Tie::Memoize Tie::RefHash Tie::Scalar Tie::StdHandle Tie::SubstrHash Time::HiRes Time::Local Time::Piece Time::Seconds Time::gmtime Time::localtime Time::tm UNIVERSAL Unicode Unicode::Collate Unicode::Collate::CJK::Big5 Unicode::Collate::CJK::GB2312 Unicode::Collate::CJK::JISX0208 Unicode::Collate::CJK::Korean Unicode::Collate::CJK::Pinyin Unicode::Collate::CJK::Stroke Unicode::Collate::CJK::Zhuyin Unicode::Collate::Locale Unicode::Normalize Unicode::UCD User::grent User::pwent VMS::DCLsym VMS::Filespec VMS::Stdio Win32 Win32API::File Win32API::File::inc::ExtUtils::Myconst2perl Win32CORE XS::APItest XS::Typemap XSLoader _charnames attributes autodie autodie::Scope::Guard autodie::Scope::GuardStack autodie::Util autodie::exception autodie::exception::system autodie::hints autodie::skip autouse base bigint bignum bigrat blib bytes charnames constant deprecate diagnostics encoding encoding::warnings experimental feature fields filetest if integer less lib locale meta_notation mro ok open ops overload overload::numbers overloading parent perlfaq re sigtrap sort strict subs threads threads::shared unicore::Name utf8 vars version version::regex vmsish warnings warnings::register version in Module::CoreList::version: 5 5.000 5.001 5.002 5.00307 5.004 5.00405 5.005 5.00503 5.00504 5.006 5.006000 5.006001 5.006002 5.007003 5.008 5.008000 5.008001 5.008002 5.008003 5.008004 5.008005 5.008006 5.008007 5.008008 5.008009 5.009 5.009000 5.009001 5.009002 5.009003 5.009004 5.009005 5.01 5.010000 5.010001 5.011 5.011000 5.011001 5.011002 5.011003 5.011004 5.011005 5.012 5.012000 5.012001 5.012002 5.012003 5.012004 5.012005 5.013 5.013000 5.013001 5.013002 5.013003 5.013004 5.013005 5.013006 5.013007 5.013008 5.013009 5.01301 5.013010 5.013011 5.014 5.014000 5.014001 5.014002 5.014003 5.014004 5.015 5.015000 5.015001 5.015002 5.015003 5.015004 5.015005 5.015006 5.015007 5.015008 5.015009 5.016 5.016000 5.016001 5.016002 5.016003 5.017 5.017000 5.017001 5.017002 5.017003 5.017004 5.017005 5.017006 5.017007 5.017008 5.017009 5.01701 5.017010 5.017011 5.018 5.018000 5.018001 5.018002 5.018003 5.018004 5.019 5.019000 5.019001 5.019002 5.019003 5.019004 5.019005 5.019006 5.019007 5.019008 5.019009 5.01901 5.019010 5.019011 5.02 5.020000 5.020001 5.020002 5.020003 5.021 5.021000 5.021001 5.021002 5.021003 5.021004 5.021005 5.021006 5.021007 5.021008 5.021009 5.02101 5.021010 5.021011 5.022 5.022000 5.022001 5.022002 5.022003 5.022004 5.023 5.023000 5.023001 5.023002 5.023003 5.023004 5.023005 5.023006 5.023007 5.023008 5.023009 5.024 5.024000 5.024001 5.024002 5.024003 5.024004 5.025 5.025000 5.025001 5.025002 5.025003 5.025004 5.025005 5.025006 5.025007 5.025008 5.025009 5.02501 5.025010 5.025011 5.025012 5.026 5.026000 5.026001 5.026002 5.026003 5.027 5.027000 5.027001 5.027002 5.027003 5.027004 5.027005 5.027006 5.027007 5.027008 5.027009 5.02701 5.027010 5.027011 5.028 5.028000 5.028001 5.028002 5.029 5.029000 5.029001 5.029002 5.029003 5.029004 5.029005 5.029006 5.029007 5.029008 5.029009 5.02901 5.029010 5.03 5.030000 </syntaxhighlight> === CPAN === '''CPAN''' (Comprehensive Perl Archive Network) とは、Perlのライブラリ、モジュール、その他のスクリプトなどを集めた世界的なアーカイブネットワークです。標準モジュールのCPAN.pmでは、シェルからcpanコマンドを使ってCPANのモジュールをインストールするインタフェースを提供しています。 === モジュールの作成 === {{See also|[https://perldoc.perl.org/perlmod#Perl-Modules Perl Modules(en)]|[https://perldoc.jp/docs/perl/5.20.1/perlmod.pod#Perl32Modules Perl Modules(ja)]}} ==== 非オブジェクト指向版 ==== ;[https://paiza.io/projects/bPlXiz8VwrxUm1rsCrTy-g?language=perl lib/Category/Example.pm]:<syntaxhighlight lang=perl> package Category::Example { use v5.30.0; BEGIN { require Exporter; # バージョンチェックのためのバージョン our $VERSION = 1.00; # Exporterを継承して関数と変数をエクスポートする our @ISA = qw(Exporter); # デフォルトでエクスポートされる関数と変数 our @EXPORT = qw(func1 func2); # オプションでエクスポート可能な関数と変数 our @EXPORT_OK = qw($Var1 %Hashit func3); } # エクスポートされるパッケージのグローバル識別子 our $Var1 = ''; our %Hashit = (); # エクスポートされないパッケージのグローバル識別子 # (これらは、$Category::Example::stuffとしてまだアクセス可能です) our @more = (); our $stuff = 'stuff'; # ファイルプライベートレキシカルは、それらを使用する関数の前に、ここに置かれます。 my $priv_var = ''; my %secret_hash = (); # ここでは、ファイル・プライベート関数をクロージャとして、 # $priv_func->() として呼び出しています。 my $priv_func = sub { ... }; # エクスポートされている関数の実装。 sub func1 { return "func1" } sub func2 { return "func2" } # これはエクスポートされませんが、 # Some::Module::func3() として直接呼び出すことができます。 sub func3 { return "func3" } END { } # モジュールのクリーンアップコード(グローバルデストラクター)。 } 1; # true を返すことを忘れないでください。 </syntaxhighlight> ;[https://paiza.io/projects/bPlXiz8VwrxUm1rsCrTy-g?language=perl Main.pl]:<syntaxhighlight lang=perl> use v5.30.0; use lib './lib'; use Category::Example; say func1; say func2; say Category::Example::func3; </syntaxhighlight> : オブジェクト指向でないモジュール実装の例です。 : モジュールの拡張子は .pm (Perl Modules)で、モジュール階層の区切り :: をファイルシステムのディレクトセパレーターに置き換えたものがパスになります。: モジュールは package として実装します。 : コンパイル単位を超えて識別子をエキスポートするには Exporter モジュールを使います。 ==== オブジェクト指向版 ==== {{See also|[[#具体的な実装例]]}} ;[https://paiza.io/projects/WXHHrK0-SPuCAUShpitAmQ?language=perl lib/Point.pm]:<syntaxhighlight lang=perl> package Point { use v5.30.0; use feature 'signatures'; no warnings "experimental::signatures"; use POSIX qw[hypot]; BEGIN { our @VERSION = "1.2.0"; } sub new ( $class, $x = 0.0, $y = 0.0 ) { bless { x => $x, y => $y, }, $class; } use overload '""' => sub ( $self, $p, $q ) {"Point($self->{x}, $self->{y})"}, 'abs' => sub ( $self, $p, $q ) { POSIX::hypot( $self->{x}, $self->{y} ) }; sub abs ($self) { POSIX::hypot( $self->{x}, $self->{y} ) } sub angle ($self) { atan2( $self->{x}, $self->{y} ) } } if ( $0 eq __FILE__ ) { my $pt = Point->new( 6.0, 8.0 ); print <<EOS; \@Point::VERSION: @{[ @Point::VERSION ]} \$pt: $pt \$pt->abs(): @{[ $pt->abs() ]} \$pt->angle(): @{[ $pt->angle() ]} EOS } 1; </syntaxhighlight> ;[https://paiza.io/projects/WXHHrK0-SPuCAUShpitAmQ?language=perl Main.pl]:<syntaxhighlight lang=perl> use v5.30.0; use lib q(./lib); use Point; my $pt = Point->new( 3.0, 4.0 ); print <<EOS; \@Point::VERSION: @{[ @Point::VERSION ]} \$pt: $pt abs \$pt: @{[ abs $pt ]} \$pt->abs: @{[ $pt->abs ]} \$pt->angle(): @{[ $pt->angle() ]} EOS </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> @Point::VERSION: 1.2.0 $pt: Point(3, 4) abs $pt: 5 $pt->abs: 5 $pt->angle(): 0.643501108793284 </syntaxhighlight> : オブジェクト指向のモジュール実装の例です。 : abs は、単項演算子でもあるのでメソッド版と演算子版の2つを用意しました。 : package をクラスとして使っているので、Exporter の出番はなく、[[#完全修飾形式|完全修飾形式]]が基本になります。 :: 呼出し元のパッケージ(典型的には main::)の名前空間を汚染しないのがよいです。 : <code>use overload '""' => sub($self, $p, $q) { "Point($self->{x}, $self->{y})" };</code>は、文字列化演算子を[[#演算子オーバーロード|演算子オーバーロード]]しています。 == Perlとオブジェクト指向 == === Perl のオブジェクト指向の特徴 === # クラスベースのオブジェクト指向 # クラスは、package 構文の拡張 # コンストラクターの中核は [[#bless|bless]] 関数 # [[#@ISA|@ISA]] による継承機構 ## 単純継承だけでなく多重継承をサポート # overload モジュールを使うことで演算子オーバーロードが可能 === 具体的な実装例 === ;[https://paiza.io/projects/RdUMmvpiW1lZFkZgeczcrA?language=perl 直交座標系の1点を表すクラス] Point:<syntaxhighlight lang=perl line> use v5.30.0; use feature 'signatures'; no warnings "experimental::signatures"; use POSIX (); package Point { BEGIN { our @VERSION = '1.2.0'; } sub new : prototype($$$) ( $class, $x = 0.0, $y = 0.0 ) { bless { x => $x, y => $y, }, $class; } use overload '""' => sub ( $self, $p, $q ) {"Point($self->{x}, $self->{y})"}, 'abs' => sub ( $self, $p, $q ) { POSIX::hypot @$self{qw(x y)} }; sub abs : prototype($) ($self) { POSIX::hypot @$self{qw(x y)} } sub angle ($self) { atan2 $self->{x}, $self->{y} } } package main { my $pt = Point->new( 3.0, 4.0 ); print <<EOS; \@Point::VERSION: @Point::VERSION \$pt: $pt abs \$pt: @{[ abs $pt ]} \$pt->abs(): @{[ $pt->abs() ]} \$pt->angle(): @{[ $pt->angle() ]} \$pt->{x}: @{[ $pt->{x} ]} \$pt->{y}: @{[ $pt->{y} ]} \@\$pt{qw(x y)}: @{[ @$pt{qw(x y)} ]} EOS } </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> @Point::VERSION: 1.2.0 $pt: Point(3, 4) abs $pt: 5 $pt->abs(): 5 $pt->angle(): 0.643501108793284 $pt->{x}: 3 $pt->{y}: 4 @$pt{qw(x y)}: 3 4 </syntaxhighlight> === コンストラクター === コンストラクターはオブジェクトを返すサブルーチンです。他の多くの言語と同じく名前には new を使います。 他の名前でも、データ構造をクラスに bless し返すサブルーチンは全てコンストラクターです。 ;コンストラクターの定義:<syntaxhighlight lang=perl line start=12> sub new : prototype($$$) ( $class, $x = 0.0, $y = 0.0 ) { bless { x => $x, y => $y, }, $class; } </syntaxhighlight> : <code>use feature 'signatures';</code>しているのでモダンでスタイリッシュですが ;非シグネチャーでコンストラクターの定義:<syntaxhighlight lang=perl line start=7> sub new { my $class = shift; bless { x => shift // 0.0, y => shift // 0.0, }, $class; } </syntaxhighlight> :とも書けます。 ;コンストラクターの呼出し:<syntaxhighlight lang=perl Line start=24> my $pt = Point->new(3.0, 4.0); </syntaxhighlight> : Point が隠れた第一引数として渡されます。 ;間接オブジェクト文法:<syntaxhighlight lang=perl Line start=24> my $pt = new Point(3.0, 4.0); </syntaxhighlight> :これは、間接オブジェクト文法( indirect object notation )という構文ですが、'''v5.36で廃止されました'''。 ==== bless ==== 組込み関数<code>bless</code>は、コンストラクターの中核で、第一引数(典型的には $self という名前のハッシュ)と、第二引数の(典型的には $class と言う名前のパッケージ)を結びつけたインスタンス(クラスを実体化したオブジェクト)を戻値とします。bless の戻値を使って[[#メソッド|メソッド]]や[[#メンバー|メンバー]]を参照します。 オブジェクトの内部構造 $self は、典型的にはハッシュが使われますが、これはハッシュはキー(名前)によって値を取り出すことができるためメンバーを表現するのに適しているためです。 ほかのデータ構造、配列・スカラー・ファイルハンドルなどを内部構造にすることもあります。 === クラス === クラスの宣言は<code>package</code>宣言によって行います。これはライブラリ・モジュールがパッケージを宣言するのと文法的には全く同じです。 === メソッド === メソッドの定義は関数定義と同じ<code>sub</code>によって行われます。メソッドは第一引数にオブジェクト(慣習として $self の名前が使われます)が渡されるサブルーチンです。 :<syntaxhighlight lang=perl> $pt->abs() </syntaxhighlight> : のようにしてアクセスされるメソッドは、 ;シグネチャー版:<syntaxhighlight lang=perl> sub abs($self) { POSIX::hypot($self->{x}, $self->{y}) } </syntaxhighlight> :のように定義されます。 ;非シグネチャー版:<syntaxhighlight lang=perl> sub abs { my $self = shift; POSIX::hypot($self->{x}, $self->{y}) } </syntaxhighlight> === メンバー === bless でパッケージと結ぶ付けられたデータ構造にハッシュを使った場合、キーを名前とするメンバー変数として振舞います。 $pt->{x} $pt->{y} のようにリファレンスで参照します。 === クラス変数 === Perlでは、パッケージ変数がクラス変数に相当します。 $Point::VERSION のように、パッケージ内でour宣言された変数(パッケージ変数)はクラス変数として振舞います。 === デストラクター === オブジェクトへの最後の参照がなくなると、そのオブジェクトは破棄されます。 * レキシカルスカラー変数(1つだけ)にオブジェクトへの参照が束縛されている場合、その変数がスコープを出たときにオブジェクトが破棄されます。 * パッケージグローバル変数にオブジェクトへの参照が束縛されている場合、(その変数に別の値が入りでもしな限り)プログラム終了までオブジェクトは破棄されません。 このオブジェクトが「破棄」されるサブルーチンがデストラクターです。 ==== DESTROY ==== デストラクターは、DESTROY と言う名前です(new と異なり名前は DESTROY 固定です)。 DESTROY メソッドはいつでも呼び出すことができるので、 DESTROY メソッドで行う何かによって設定されるかもしれないグローバルなステータス変数をローカル化しなければいけません。 このため、DESTROYのプロローグは下のようなものになります。 :<syntaxhighlight lang=perl> sub DESTROY($self) { local($., $@, $!, $^E, $?); ...; } </syntaxhighlight> === 継承 === オブジェクト指向プログラミングでは、既存のクラスから性質の部分的に異なるクラスを派生させることを継承といいます。 ;基底クラス ;ベースクラス :派生元のクラス ;派生クラス ;デライブドクラス :派生先のクラス :<syntaxhighlight lang=perl> $pt->abs(); </syntaxhighlight> としたとき、Perlは$pt属するクラス(=パッケージ)にabsという名前のメソッドを探しにいきます。 もし見つからなかった場合は、@ISAという特殊な配列に格納されているクラスにabsという名前のメソッドを探しにいきます。 ==== @ISA ==== @ISAに基底クラスの名前を入れておくことで、継承を実現することができます。 ===== 単一継承 ===== @ISA の要素数が1の継承は単一継承です。 ;[https://paiza.io/projects/4TRjuC9BbWgTD_Yh7Q_LmA?language=perl 単一継承]:<syntaxhighlight lang=perl line> use v5.30.0; use warnings; package BaseClass { sub new { bless {}, shift } sub hello { say "hello I'm @{[ __PACKAGE__ ]}" } sub goodbye { say "goodbye I'm @{[ __PACKAGE__ ]}" } } package MyClass { BEGIN { our @ISA = qw(BaseClass); } sub new { my $class = shift; my $self = $class->SUPER::new(@_); $self; } sub goodbye { say "goodbye I'm @{[ __PACKAGE__ ]}" } } my $mc = MyClass->new(); say qq(@{[ $mc->isa("MyClass") ? "t" : "()"]}); say qq(@{[ $mc->isa("BaseClass") ? "t" : "()" ]}); say qq(@{[ $mc->isa("OtherClass") ? "t" : "()" ]}); $mc->hello(); $mc->goodbye(); </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> t t () hello I'm BaseClass goodbye I'm MyClass </syntaxhighlight> ===== 多重継承 ===== @ISAに複数のクラス名を列挙する継承が多重継承です。 ;[https://paiza.io/projects/RKZ-HULKwcba7KdH-uRckg?language=perl 多重継承]:<syntaxhighlight lang=perl line highlight=20> use v5.30.0; use warnings; package BaseClass1 { sub new { bless {}, shift } sub hello { say "hello I'm @{[ __PACKAGE__ ]}" } sub goodbye { say "goodbye I'm @{[ __PACKAGE__ ]}" } } package BaseClass2 { sub new { bless {}, shift } sub hello { say "hello I'm @{[ __PACKAGE__ ]}" } sub goodbye { say "goodbye I'm @{[ __PACKAGE__ ]}" } } package MyClass { BEGIN { our @ISA = qw(BaseClass1 BaseClass2); } sub new { my $class = shift; my $self = $class->SUPER::new(@_); $self; } } my $mc = MyClass->new(); say qq(@{[ $mc->isa("MyClass") ? "t" : "()"]}); say qq(@{[ $mc->isa("BaseClass1") ? "t" : "()" ]}); say qq(@{[ $mc->isa("BaseClass2") ? "t" : "()" ]}); say qq(@{[ $mc->isa("OtherClass") ? "t" : "()" ]}); $mc->hello(); $mc->goodbye(); </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> t t t () hello I'm BaseClass1 goodbye I'm BaseClass1 </syntaxhighlight> :ここで問題なのは、<code>my $self = $class->SUPER::new(@_);</code>での SUPER は BaseClass1 でもう1つの基底クラス BaseClass2 はコンストラクターが呼ばれていない点です。 :このコードでは、各基底クラスのプロパティは参照されていませんが、もしプロパティを参照するとBaseClass2のメソッドが未初期化プロパティの参照を引き起こします。 :幾つかの対策が考えられますが ::基底クラスごとにインスタンスをプロパティの1つとして保持する ⇒ それは継承でなく包含 ::最初の基底クラスのnewの戻値を次の基底クラスのnewにわたすのを繰返す ⇒ blessされたオブジェクトの再blessになる ::基底クラスの1つしかプロパティを持たせず、ほかはメソッドのみ ⇒ それは Mix-in : と多重継承にはメソッドの呼出の優先順以上に超えなければいけない問題があります。 ===== ダイアモンド継承 ===== 基底クラス同士が共通のクラスから派生されている継承関係をダイアモンド継承と呼びます。 ;[https://paiza.io/projects/qwGU966-n_MFjasf_7_Dyg?language=perl ダイアモンド継承]:<syntaxhighlight lang=perl line> use v5.30.0; use warnings; package BaseClass { } package BaseClass1 { BEGIN { our @ISA = qw(BaseClass); } } package BaseClass2 { BEGIN { our @ISA = qw(BaseClass); } } package MyClass { BEGIN { our @ISA = qw(BaseClass1 BaseClass2); } sub new { bless {}, shift } } my $mc = MyClass->new(); say qq(@{[ $mc->isa("MyClass") ? "t" : "()"]}); say qq(@{[ $mc->isa("BaseClass1") ? "t" : "()" ]}); say qq(@{[ $mc->isa("BaseClass2") ? "t" : "()" ]}); say qq(@{[ $mc->isa("BaseClass") ? "t" : "()" ]}); say qq(@{[ $mc->isa("OtherClass") ? "t" : "()" ]}); </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> t t t t () </syntaxhighlight> ===== Mix-in ===== Perlの多重継承では、2つ以上のコンストラクターを呼出すスマートな方法がないので、片方はコンストラクターを用意せず、メソッドセットとして実装することとなり、実質的に Mix-in になります。 ;[https://paiza.io/projects/khCtr_4j0A9gAzNSXMY05Q?language=perl Mix-in]:<syntaxhighlight lang=perl line> use v5.30.0; use feature 'signatures'; no warnings "experimental::signatures"; package Eachable { BEGIN { our @VERSION = '1.0.0'; } sub reduce ( $self, $cbr, $init = undef ) { my $clone = "@{[ref $self]}"->new( $self->values() ); while ( my @pair = $clone->each() ) { local $_ = $pair[1]; $init = $cbr->( $init, $_ ); } return $init; } sub foreach ( $self, $cbr ) { my $clone = "@{[ref $self]}"->new( $self->values() ); while ( my @pair = $clone->each() ) { local $_ = $pair[1]; $cbr->(@pair); } undef; } sub map ( $self, $cbr ) { my @result = (); my $clone = "@{[ref $self]}"->new( $self->values() ); while ( my @pair = $clone->each() ) { local $_ = $pair[1]; push @result, $cbr->(@pair); } return Array->new(@result); } sub filter ( $self, $cbr ) { my @result = (); my $clone = "@{[ref $self]}"->new( $self->values() ); while ( my @pair = $clone->each() ) { local $_ = $pair[1]; push @result, $_ if $cbr->(@pair); } return Array->new(@result); } sub sum ( $self, $cbr = undef ) { my $sum = 0; my $c = 0; my $clone = "@{[ref $self]}"->new( $self->values() ); while ( my @pair = $clone->each() ) { local $_ = $pair[0]; my @deltas = defined $cbr ? $cbr->(@pair) : @pair[ 1 .. 1 ]; foreach my $delta (@deltas) { my $y = $delta - $c; my $t = $sum + $y; $c = ( $t - $sum ) - $y; $sum = $t; } } return $sum; } sub every ( $self, $cbr ) { my $clone = "@{[ref $self]}"->new( $self->values() ); while ( my @pair = $clone->each() ) { local $_ = $pair[1]; $cbr->($_) ? 0 : return 0 != 0; } return 0 == 0; } sub some ( $self, $cbr ) { my $clone = "@{[ref $self]}"->new( $self->values() ); while ( my @pair = $clone->each() ) { local $_ = $pair[1]; $cbr->($_) ? return 0 == 0 : 0; } return 0 != 0; } } package Array { BEGIN { our @VERSION = '1.0.0'; our @ISA = qw(Eachable); } sub new ( $class, @ary ) { bless \@ary, $class; } use overload '""' => sub ( $self, $p, $q ) {"(@{[join ',', @$self ]})"}; sub push ( $self, @other ) { push @$self, @other; $self } sub unshift ( $self, @other ) { unshift @$self, @other; $self } sub pop ($self) { pop @$self; $self } sub shift ($self) { shift @$self; $self } sub keys ($self) { keys @$self; } sub values ($self) { values @$self; } sub each ($self) { each @$self; } # sub splice; XXX } package Hash { BEGIN { our @VERSION = '1.0.0'; our @ISA = qw(Eachable); } sub new ( $class, $hash ) { #my %self = %$hash; #map { $self{$_} = $hash->{$_} } keys %$hash; bless \%$hash, $class; } use overload '""' => sub ( $self, $p, $q ) {qq!(@{[join ',', map { "$_=>$self->{$_}" } sort keys %$self ]})!}; # XXX sub delete ( $self, $key ) { delete %$self{$key} } sub exists ( $self, $key ) { exists $$self{$key} } sub keys ($self) { keys %$self } sub values ($self) { my %clone = %$self; \%clone } sub each ($self) { each %$self } } if ( $0 eq __FILE__ ) { use Test::More tests => 35; say "for Array:"; my $ary = Array->new( 1 .. 3 ); say 'my $ary = Array->new( 1 .. 3 );'; ok( Array->new( 1 .. 10 )->reduce( sub { my ( $x, $y ) = @_; $x + $y } ) == 55, "Array::reduce(1)" ); ok( Array->new( 1 .. 10 )->reduce( sub { my ( $x, $y ) = @_; $x + $y }, 10 ) == 65, "Array::reduce(2)" ); ok( do { my $i; $ary->foreach( sub { $i += $_ } ); $i == 6; }, "Array::foreach" ); ok( "" . $ary->map( sub { $_ * 2 } ) eq "(2,4,6)", "Array::map @{[ $ary->map(sub{$_*2}) ]}" ); ok( "" . $ary->filter( sub { $_ % 2 == 0 } ) eq "(2)", "Array::filter @{[ $ary->filter( sub { $_ % 2 == 0 } ) ]}" ); ok( "" . $ary->sum == 6, "Array::sum @{[ $ary->sum ]}" ); ok( $ary->every( sub { $_ < 10 } ), 'Array::every $ary->every( sub { $_ < 10 } )' ); ok( !$ary->every( sub { $_ < 3 } ), 'Array::every $ary->every( sub { $_ < 3 } )' ); ok( !$ary->every( sub { $_ == 1 } ), 'Array::every $ary->every( sub { $_ == 1 } )' ); ok( !$ary->every( sub { $_ == 100 } ), 'Array::every $ary->every( sub { $_ == 100 } )' ); ok( $ary->some( sub { $_ < 10 } ), 'Array::every $ary->some( sub { $_ < 10 } )' ); ok( $ary->some( sub { $_ < 3 } ), 'Array::every $ary->some( sub { $_ < 3 } )' ); ok( $ary->some( sub { $_ == 1 } ), 'Array::every $ary->some( sub { $_ == 1 } )' ); ok( !$ary->some( sub { $_ == 100 } ), 'Array::every $ary->some( sub { $_ == 100 } )' ); ok( "" . $ary eq "(1,2,3)", qq(Array::Operator "" --> $ary) ); ok( "" . $ary->push(10) eq "(1,2,3,10)", "Array::push --> $ary" ); ok( "" . $ary->push( 10, 11, 12 ) eq "(1,2,3,10,10,11,12)", "Array::push --> $ary" ); ok( "" . $ary->pop() eq "(1,2,3,10,10,11)", "Array::pop --> $ary" ); ok( "" . $ary->unshift(10) eq "(10,1,2,3,10,10,11)", "Array::unshift --> $ary" ); ok( "" . $ary->unshift( 10, 11, 12 ) eq "(10,11,12,10,1,2,3,10,10,11)", "Array::unshift --> $ary" ); ok( "" . $ary->shift() eq "(11,12,10,1,2,3,10,10,11)", "Array::shift --> $ary" ); ok( "@{[$ary->keys()]}" eq "0 1 2 3 4 5 6 7 8", "Array::keys @{[$ary->keys()]}" ); ok( "@{[$ary->values()]}" eq "11 12 10 1 2 3 10 10 11", "Array::values @{[$ary->values()]}" ); say 'for Hash:'; my $hash = Hash->new( { a => 2, b => 3, c => 5, d => 7 } ); ok( "@{[sort($hash->map(sub{$_*2})->values)]}" eq "10 14 4 6", "Hash::map @{[ sort($hash->map(sub{$_*2})->values) ]}" ); ok( "@{[ sort $hash->filter( sub { $_ % 2 != 0 } )->values ]}" eq "3 5 7", "Hash::filter @{[ sort $hash->filter( sub { $_ % 2 != 0 } )->values ]}" ); ok( "" . $hash->sum == 17, "Hash::sum @{[ $hash->sum ]}" ); ok( $hash->every( sub { $_ < 10 } ), 'Hash::every $hash->every( sub { $_ < 10 } )' ); ok( !$hash->every( sub { $_ < 3 } ), 'Hash::every $hash->every( sub { $_ < 3 } )' ); ok( !$hash->every( sub { $_ == 1 } ), 'Hash::every $hash->every( sub { $_ == 1 } )' ); ok( !$hash->every( sub { $_ == 100 } ), 'Hash::every $hash->every( sub { $_ == 100 } )' ); ok( $hash->some( sub { $_ < 10 } ), 'Hash::every $hash->some( sub { $_ < 10 } )' ); ok( $hash->some( sub { $_ < 3 } ), 'Hash::every $hash->some( sub { $_ < 3 } )' ); ok( $hash->some( sub { $_ == 2 } ), 'Hash::every $hash->some( sub { $_ == 2 } )' ); ok( !$hash->some( sub { $_ == 100 } ), 'Hash::every $hash->some( sub { $_ == 100 } )' ); ok( "" . $hash eq "(a=>2,b=>3,c=>5,d=>7)", qq(Hash::Operator "" --> $hash) ); } </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> 1..35 for Array: my $ary = Array->new( 1 .. 3 ); ok 1 - Array::reduce(1) ok 2 - Array::reduce(2) ok 3 - Array::foreach ok 4 - Array::map (2,4,6) ok 5 - Array::filter (2) ok 6 - Array::sum 6 ok 7 - Array::every $ary->every( sub { $_ < 10 } ) ok 8 - Array::every $ary->every( sub { $_ < 3 } ) ok 9 - Array::every $ary->every( sub { $_ == 1 } ) ok 10 - Array::every $ary->every( sub { $_ == 100 } ) ok 11 - Array::every $ary->some( sub { $_ < 10 } ) ok 12 - Array::every $ary->some( sub { $_ < 3 } ) ok 13 - Array::every $ary->some( sub { $_ == 1 } ) ok 14 - Array::every $ary->some( sub { $_ == 100 } ) ok 15 - Array::Operator "" --> (1,2,3) ok 16 - Array::push --> (1,2,3,10) ok 17 - Array::push --> (1,2,3,10,10,11,12) ok 18 - Array::pop --> (1,2,3,10,10,11) ok 19 - Array::unshift --> (10,1,2,3,10,10,11) ok 20 - Array::unshift --> (10,11,12,10,1,2,3,10,10,11) ok 21 - Array::shift --> (11,12,10,1,2,3,10,10,11) ok 22 - Array::keys 0 1 2 3 4 5 6 7 8 ok 23 - Array::values 11 12 10 1 2 3 10 10 11 for Hash: ok 24 - Hash::map 10 14 4 6 ok 25 - Hash::filter 3 5 7 ok 26 - Hash::sum 17 ok 27 - Hash::every $hash->every( sub { $_ < 10 } ) ok 28 - Hash::every $hash->every( sub { $_ < 3 } ) ok 29 - Hash::every $hash->every( sub { $_ == 1 } ) ok 30 - Hash::every $hash->every( sub { $_ == 100 } ) ok 31 - Hash::every $hash->some( sub { $_ < 10 } ) ok 32 - Hash::every $hash->some( sub { $_ < 3 } ) ok 33 - Hash::every $hash->some( sub { $_ == 2 } ) ok 34 - Hash::every $hash->some( sub { $_ == 100 } ) ok 35 - Hash::Operator "" --> (a=>2,b=>3,c=>5,d=>7) </syntaxhighlight> : Array と Hash は、iterator メソッドだけ実装して、each,mapやsumメソッドは、共通祖先の Eachable で実装しています。 : Eachable は、コンストラクターを持たないクラスで、インスタンス化することはなく繰返しを行うメソッドだけを提供しています。 : sumは、カハンの加算アルゴリズムを実装しておりアルゴリズムは、Eachableの中に閉じています。 : <code>Test::More</code>モジュールによる回帰テストを用意しました。 このように、メソッドセットを合成するクラス間の関係を、Mix-inといいます。 ==== SUPER ==== {{Anchor|SUPER擬似クラス}}( ''SUPER pseudo-class'' )は、常に基底クラスを指しています。基底クラスのメソッドを派生クラス内で呼び出す場合に使用します。 :<syntaxhighlight lang=perl> package MyClass { sub new { my $class = shift; my $self = $class->SUPER::new(@_); return $self; } } </syntaxhighlight> [TODO:多事継承の場合のSUPERの振舞い] ==== base プラグマ ==== ; base プラグマは2022年11月現在、非推奨とされ parent プラグマの使用が推奨されています。少なくとも base は多重継承に対応していません。 base プラグマを使うと、基底クラスの定義に必要なuseや@ISAの代入から基底クラス内の変数や関数のインポートまでをすべて自動で行うことができます。 :<syntaxhighlight lang=perl> package BaseClass; package MyClass; use base qw(BaseClass); </syntaxhighlight> ==== parent プラグマ ==== このモジュールは、baseからフォークして、溜まっていたゴミを取り除いたものです。 :<syntaxhighlight lang=perl> package BaseClass; package MyClass; use base qw(BaseClass1 BaseClass2); </syntaxhighlight> :の様に使用しますが、これは実質的に :<syntaxhighlight lang=perl> package BaseClass; package MyClass; BEGIN { require BaseClass1; require BaseClass2; push @ISA, qw(BaseClass1 BaseClass2) } </syntaxhighlight> :と同じです(自分自身を継承しようとしているバグの検出は追加されています)。 この他にも、Class::Structの様にコンストラクターの自動生成などを行うモジュールなど、クラス定義を補助するユーティリティは幾つかありますが、手早くクラスとクラス階層の有効性を評価するのには便利ですが、クラス設計が完了した時点で、@ISAを直接操作する素朴なコードに書き換えたほうが保守性は向上します。 === 移植例 === ==== 包含と継承 ==== [[JavaScript/クラス#包含と継承]]を、[[Ruby#包含と継承|Rubyに移植したコード]]を、OOPerl に移植しました。 ;[https://paiza.io/projects/rjSXt7Z0TNX-JLpPDia8Mw?language=perl 包含と継承]:<syntaxhighlight lang=ruby line> use v5.20.0; use feature 'signatures'; no warnings "experimental::signatures"; package Point { sub new($class, $x = 0, $y = 0) { bless { x => $x, y => $y }, $class } use overload '""' => sub ($self, $p, $q) { "x:$self->{x}, y:$self->{y}" }; sub move($self, $dx = 0, $dy = 0) { $self->{x} += $dx; $self->{y} += $dy; $self } } package Shape { sub new($class, $x = 0, $y = 0) { bless { location => Point->new($x, $y) }, $class } use overload '""' => sub ($self, $p, $q) { "" . $self->{location} }; sub to_string($self) { "" . $self->{location} } sub move($self, $x, $y) { $self->{location}->move($x, $y) } sub area($self) { "!!! Unimplemented !!!" } } package Rectangle { our @ISA = qw(Shape); sub new($class, $x = 0, $y = 0, $width = 0, $height = 0) { my $self = $class->SUPER::new($x, $y); $self->{width} = $width; $self->{height} = $height; $self } use overload '""' => sub ($self, $p, $q) { "@{[ $self->SUPER::to_string() ]}, width:$self->{width}, height:$self->{height}" }; # sub area($self) { $self->{width} * $self->{height} } } my $rct = Rectangle->new(12, 32, 100, 50); print <<EOS; \$rct --> $rct \$rct->isa("Rectangle") --> @{[ $rct->isa("Rectangle") ? "true" : "false" ]} \$rct->isa("Shape") --> @{[ $rct->isa("Shape") ? "true" : "false" ]} \$rct->isa("Point") --> @{[ $rct->isa("Point") ? "true" : "false" ]} EOS $rct->move(11, 21); say "\$rct --> $rct"; say "\$rct->area --> @{[ $rct->area ]}" </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> $rct --> x:12, y:32, width:100, height:50 $rct->isa("Rectangle") --> true $rct->isa("Shape") --> true $rct->isa("Point") --> false $rct --> x:23, y:53, width:100, height:50 $rct->area --> !!! Unimplemented !!! </syntaxhighlight> :継承というと、メソッドをオーバーライドするのがまず頭に浮かびますが、派生クラスのメソッド中で基底クラスのメソッドを <code>$self->SUPER::method(...)</code> のように呼び出すことができます。 : オブジェクト $rct は Rectangleクラスのインスタンスなので、$rct->isa("Rectangle") --> true : RectangleクラスはShapeクラスの派生クラスなので、$rct->isa("Shape") --> true : ShapeクラスはPointクラスを包含していますが、継承はしていないので $rct->isa("Point") --> false : $rct->area --> !!! Unimplemented !!! は、面積を返すメソッド area を Rectangle で実装していないので Shape の実装漏れチェックにランタイムで捕捉された様子。 :: Perlでは抽象クラスや抽象メソッドは直接はサポートされていないので、ユニットテストとクラス中のアサーションで対応することになります。 : スーパークラスで実装されているオーバーロードされた演算子の呼出方法がわからなかったので to_string メソッドを定義しています。 :: シンボルテーブルを直接操作すればできそうですが、もう少しシンプルな方法がありそうな気がします。 <noinclude> == 脚註 == <references /> {{Nav}} {{DEFAULTSORT:Perl らいふらりもしゆうるとおふしえくとしこう}} [[Category:Perl|らいふらりもしゆうるとおふしえくとしこう]] {{stub}} </noinclude>
2005-06-11T14:42:33Z
2024-03-03T11:15:08Z
[ "テンプレート:Nav", "テンプレート:See also", "テンプレート:コラム", "テンプレート:Anchor", "テンプレート:Stub" ]
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2,122
特殊相対論 歴史的導入
特殊相対論 > 歴史的導入 19世紀中頃にMaxwellによって電磁気学の法則が見通しのよい形で 定式化された。 その結果によると電磁気学の現象は、 の4つの方程式によって書かれることが知られた。 (詳しくは電磁気学で扱われる。これらの式の詳細はこの後の議論にはでてこない ので、よくわからなくてもそれほど問題は無い。) 一方、物体の動きを表わすニュートン方程式は 既に18世紀にはよく知られており、 となっていた。 当事の科学者は、これらが互いに異なった速度で動いている観測者から見た場合、 異なる振舞を示すことを知っていた。 ニュートン方程式は もしくは、 で与えられるガリレイ変換で不変であることを知っていた。 実際この式から、 物体の速度の微分は観測者の速度が定数であるとするなら 運動方程式から消え去ることが知られるので、 ニュートン方程式がガリレイ変換で不変であることが分かる。 一方、電磁気学の方程式はガリレイ変換で不変にならないことが知られていた。 それよりもむしろ で与えられる変換の方で電磁気学の方程式が良い性質を 持つことが知られていた。cは光の速さであり、 値は 2.99 ∗ 10 8 {\displaystyle 2.99*10^{8}} m/secである。 この変換をローレンツ変換と呼ぶ。 光速が物体の速度よりもはるかに大きいとき、両者が一致することにも 注意。 特に、電磁気学では などの式が電磁気の伝搬を表わしていることが知られている。 Δ {\displaystyle \Delta } はラプラシアンである。 この式の演算子 は、ダランベリアンと呼ばれているが、 この演算子がローレンツ変換について 不変であることが示される。 この名前はダランベールにちなんで付けられた。 当事の科学者はどちらの変換がより正しいかで紛糾したが 多くはガリレイ変換をより支持した。これは電磁気学の法則が 当事は新参であり、既に実績のあるニュートン方程式よりも 間違いがひそんでいる可能性が高かったことによる。 実際には、結論から言えば、正しかったのは電磁気学の法則、 Maxwell方程式の変換性であり、ニュートン方程式は より一般的な の形に書き換えられることになった。 ここで、pとfはそれぞれ運動量と力を表わすが、これは4元ベクトルといい 今までの3つの要素を持ったベクトルから、4つの要素を持ったベクトルへと 拡張されている。sは固有時間といい、物体が運動する様子を取り入れた上での 時間のようなものである。 これらの量はそれぞれローレンツ変換に対して非常に簡明な変換性を持っている。 pとfはローレンツベクトルと呼ばれ、その変換性は、単にベクトルに対して 行列のかけ算を行なうことによって表わされる。一方、sはローレンツ スカラーと呼ばれ、ローレンツ変換によって全く不変に保たれる ことが知られている。 以降の章ではこれらの計算手法などが扱われる。 ここからは、c=1とおく単位系を用いる。c=1とおくとき、時間の変化は[m]で測ることが できる。これは奇妙に思えるかも知れないがある時間の変化がその間に光が 伝搬する距離で測ることに対応している。先ほど述べた通り、ローレンツ変換とは で与えられる変換である。ここで、c=1とおくと、この式は と書かれ、xとtについて対称的になる。このことは何らかの意味で物体の位置と 物体の時刻を対応するものとして扱うことが出来ることを示している。 この様な変換は、cが物体の速度Vと比べてきわめて大きいとき ガリレイ変換に戻ることが示される。実際、上の式の右辺を によって展開すると、Vについて2次までの範囲で が得られるが、この表式はVの1次まででは となり、確かにガリレイ変換になることが分かる。 上の表式を V / c {\displaystyle V/c} についてテイラー展開することで確かにガリレイ変換が得られることを 確かめよ。 また、ローレンツ変換には次の重要な性質がある。ある点を時刻と座標を定めることで 定める。この様な時刻方向までいれて定められる点を世界点と呼ぶことがある。 このとき、ある世界点とその世界点とごく近い世界点との距離を と定義する。ただし、ここでは世界点のうちで空間座標を表わす量は ただ1方向だけが用いられるとした。この量 d s {\displaystyle ds} を世界点間の固有距離と呼ばれる ことがある。ローレンツ変換の重要な性質としてこの量のローレンツ変換が この量を不変に保つということがあげられる。 に対して、 を代入することで を確かめよ。ただし、 とする。 に t ′ {\displaystyle t'} , x ′ {\displaystyle x'} の表式を代入すると が得られる。ただし、c=1の単位系を用いた。よって、ローレンツ変換は固有距離を 不変に保つことが分かる。 この性質は後にローレンツ変換に伴って起こる現象を説明するのに用いられる。 ただし、数学的には別のより整理された量から始めてこの量を定理として導く方が より自然である。しかし、いずれにしてもこの量の不変性は歴史的に重要であり このことを直接導出することも変換の性質を見る上で便利であるので ここでは導入した。 この様な変換はガリレイ変換とは異なった性質を持つことが分かる。 例えば、ガリレイ変換を用いたときにはある物体が v 1 {\displaystyle v_{1}} で動いているとき その物体から見て v 2 {\displaystyle v_{2}} で動いている物体の速度は v 1 + v 2 {\displaystyle v_{1}+v_{2}} で与えられた。 このような簡明な結果は、ガリレイ変換の中ではどの観測者から見たときにも 時間の進み方が変化しないことによって得られる。実際ガリレイ変換の表式 では、時間は異なった速度を持つ観測者から見ても等しい進み方をするのである。 一方、ローレンツ変換を受ける系では、時間の進み方自体が観測者の速度によって 変化するため、様々な場合において非直感的な事柄が起こる。ここでは、 時間の遅れや物体のローレンツ収縮などを扱う。
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特殊相対論 > 歴史的導入
<small> [[特殊相対論]] > 歴史的導入</small> ---- ==歴史的導入== 19世紀中頃にMaxwellによって電磁気学の法則が見通しのよい形で 定式化された。 その結果によると電磁気学の現象は、 :<math> \begin{matrix} \textrm{div} \vec E &=& 4\pi \rho \\ \textrm{div} \vec B &=& 0 \\ \textrm{rot} \vec E &=& - \frac{\partial{{}}}{\partial{{ct}}} \vec B \\ \textrm{rot} \vec B &=& 4\pi \vec j + \frac{\partial{{}}}{\partial{{c t}}} \vec E \end{matrix} </math> の4つの方程式によって書かれることが知られた。 (詳しくは電磁気学で扱われる。これらの式の詳細はこの後の議論にはでてこない ので、よくわからなくてもそれほど問題は無い。) 一方、物体の動きを表わすニュートン方程式は 既に18世紀にはよく知られており、 :<math> m \frac{\partial{{}}}{\partial{t}} \vec v = \vec f </math> となっていた。 当事の科学者は、これらが互いに異なった速度で動いている観測者から見た場合、 異なる振舞を示すことを知っていた。 ニュートン方程式は :<math> \vec v' = \vec v + \vec V, t' = t </math> もしくは、 :<math> \vec x' = \vec x + \vec V t , t' = t </math> で与えられるガリレイ変換で不変であることを知っていた。 実際この式から、 <!-- �egin{align} --> <!-- \frac{\partial{{}}}{\partial{{t'}}} &= \frac{\partial{{t}}}{\partial{{t'}}} \frac{\partial{{}}}{\partial{{t}}} + \frac{\partial{{x}}}{\partial{{t'}}} \frac{\partial{{}}}{\partial{{x}}} \ --> <!-- &= \frac{\partial{{}}}{\partial{{t}}} -V \frac{\partial{{}}}{\partial{{x}}} \ --> <!-- \end{align} --> <!-- (?) --> 物体の速度の微分は観測者の速度が定数であるとするなら 運動方程式から消え去ることが知られるので、 ニュートン方程式がガリレイ変換で不変であることが分かる。 一方、電磁気学の方程式はガリレイ変換で不変にならないことが知られていた。 それよりもむしろ :<math> \begin{matrix} x' &= \frac 1 {\sqrt{1 - v^2/c^2 } } ( x + \frac V c ct ) \\ c t' &= \frac 1 {\sqrt{1 - v^2/c^2 } } ( ct + \frac V c x ) \end{matrix} </math> で与えられる変換の方で電磁気学の方程式が良い性質を 持つことが知られていた。cは光の速さであり、 値は<math> 2.99*10^8 </math>m/secである。 この変換をローレンツ変換と呼ぶ。 光速が物体の速度よりもはるかに大きいとき、両者が一致することにも 注意。 特に、電磁気学では :<math> (\frac{\partial^2{{}}}{\partial{t}^2} - \Delta ) \vec E = 0 </math> などの式が電磁気の伝搬を表わしていることが知られている。 <math>\Delta</math>はラプラシアンである。 この式の演算子 :<math> \frac{\partial^2{{}}}{\partial{t}^2} - \Delta </math> は、ダランベリアンと呼ばれているが、 この演算子がローレンツ変換について 不変であることが示される。 :(導出?) この名前はダランベールにちなんで付けられた。 当事の科学者はどちらの変換がより正しいかで紛糾したが 多くはガリレイ変換をより支持した。これは電磁気学の法則が 当事は新参であり、既に実績のあるニュートン方程式よりも 間違いがひそんでいる可能性が高かったことによる。 実際には、結論から言えば、正しかったのは電磁気学の法則、 Maxwell方程式の変換性であり、ニュートン方程式は より一般的な :<math> \frac{\partial{{}}}{\partial{s}} p^\mu = f^\mu </math> の形に書き換えられることになった。 ここで、pとfはそれぞれ運動量と力を表わすが、これは4元ベクトルといい 今までの3つの要素を持ったベクトルから、4つの要素を持ったベクトルへと 拡張されている。sは固有時間といい、物体が運動する様子を取り入れた上での 時間のようなものである。 これらの量はそれぞれローレンツ変換に対して非常に簡明な変換性を持っている。 pとfはローレンツベクトルと呼ばれ、その変換性は、単にベクトルに対して 行列のかけ算を行なうことによって表わされる。一方、sはローレンツ スカラーと呼ばれ、ローレンツ変換によって全く不変に保たれる ことが知られている。 以降の章ではこれらの計算手法などが扱われる。 ===初等的に定義されたローレンツ変換=== ここからは、c=1とおく単位系を用いる。c=1とおくとき、時間の変化は[m]で測ることが できる。これは奇妙に思えるかも知れないがある時間の変化がその間に光が 伝搬する距離で測ることに対応している。先ほど述べた通り、ローレンツ変換とは :<math> x' = \frac 1 {\sqrt{1 - V^2/c^2 } } ( x + \frac V c ct ) </math> :<math> c t' = \frac 1 {\sqrt{1 - V^2/c^2 } } ( ct + \frac V c x ) </math> で与えられる変換である。ここで、c=1とおくと、この式は :<math> x' = \frac 1 {\sqrt{1 - V^2 } } ( x + V t ) </math> :<math> t' = \frac 1 {\sqrt{1 - V^2 } } ( t + V x ) </math> と書かれ、xとtについて対称的になる。このことは何らかの意味で物体の位置と 物体の時刻を対応するものとして扱うことが出来ることを示している。 この様な変換は、cが物体の速度Vと比べてきわめて大きいとき ガリレイ変換に戻ることが示される。実際、上の式の右辺を :<math> \frac V c </math> によって展開すると、Vについて2次までの範囲で :<math> x' = (1 + \frac 1 2 V^2/c^2) ( x + V t ) </math> :<math> t' = (1 + \frac 1 2 V^2/c^2) ( t + V x/c^2 ) </math> が得られるが、この表式はVの1次まででは :<math> x' = x + V t </math> :<math> t' = t </math> となり、確かにガリレイ変換になることが分かる。 *問題例 **問題 上の表式を<math>V/c</math>についてテイラー展開することで確かにガリレイ変換が得られることを 確かめよ。 **解答 また、ローレンツ変換には次の重要な性質がある。ある点を時刻と座標を定めることで 定める。この様な時刻方向までいれて定められる点を世界点と呼ぶことがある。 このとき、ある世界点とその世界点とごく近い世界点との距離を :<math> ds ^2 = c^2 dt ^2 - dx ^2 </math> と定義する。ただし、ここでは世界点のうちで空間座標を表わす量は ただ1方向だけが用いられるとした。この量<math>ds</math>を世界点間の固有距離と呼ばれる ことがある。ローレンツ変換の重要な性質としてこの量のローレンツ変換が この量を不変に保つということがあげられる。 *問題例 **問題 :<math> ds ^2 = c^2 dt ^2 - dx ^2, ds ^{'2 }= c^2 dt ^{'2} - dx ^{'2} </math> に対して、 :<math> t ' = \gamma(t + V x) , x ' = \gamma (x + V t) </math> を代入することで :<math> ds = ds' </math> を確かめよ。ただし、 :<math> \gamma = \frac 1 {\sqrt{1-v^2}} </math> とする。 **解答 :<math> ds ' </math> に<math>t'</math>,<math>x'</math>の表式を代入すると :<math> ds ^{'2 }= dt ^{'2} - dx ^{'2} </math> :<math> = \gamma ^2 (dt + Vdx )^{2} -\gamma^2 (dx + vdt ) ^{2} </math> :<math> = \gamma ^2 \{ (1-V^2) dt^2 + (V^2 - 1) dx^2 \} </math> :<math> = dt^2 - dx ^2 = ds^2 </math> が得られる。ただし、c=1の単位系を用いた。よって、ローレンツ変換は固有距離を 不変に保つことが分かる。 この性質は後にローレンツ変換に伴って起こる現象を説明するのに用いられる。 ただし、数学的には別のより整理された量から始めてこの量を定理として導く方が より自然である。しかし、いずれにしてもこの量の不変性は歴史的に重要であり このことを直接導出することも変換の性質を見る上で便利であるので ここでは導入した。 この様な変換はガリレイ変換とは異なった性質を持つことが分かる。 例えば、ガリレイ変換を用いたときにはある物体が<math>v _1</math>で動いているとき その物体から見て<math>v _2</math>で動いている物体の速度は<math>v _1 +v _2</math>で与えられた。 このような簡明な結果は、ガリレイ変換の中ではどの観測者から見たときにも 時間の進み方が変化しないことによって得られる。実際ガリレイ変換の表式 :<math> x' = x + V t </math> :<math> t ' = t </math> では、時間は異なった速度を持つ観測者から見ても等しい進み方をするのである。 一方、ローレンツ変換を受ける系では、時間の進み方自体が観測者の速度によって 変化するため、様々な場合において非直感的な事柄が起こる。ここでは、 時間の遅れや物体のローレンツ収縮などを扱う。 [[Category:特殊相対論|れきしてきとうにゆう]]
2005-06-12T06:20:33Z
2024-03-16T03:15:30Z
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https://ja.wikibooks.org/wiki/%E7%89%B9%E6%AE%8A%E7%9B%B8%E5%AF%BE%E8%AB%96_%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E7%9A%84%E5%B0%8E%E5%85%A5
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高等学校生物/生物I/遺伝情報とDNA
高等学校生物 > 生物I > 遺伝 DNA(デオキシリボ核酸、英: deoxyribonucleic acid)の構造は、ヌクレオチド (nucleotide) と呼ばれる構成単位をもち、ヌクレオチドはリン酸と糖と塩基の化合物である。ヌクレオチドの糖はデオキシリボース(deoxyribose) である。DNAでは、ヌクレオチドがいくつも結合して、二重らせん構造をつくっている。 塩基には4種類あり、アデニン(adenine)、チミン(thymine)、シトシン(cytosine)、グアニン(guanine)という4種類の塩基である。ヌクレオチド一個に、4種の塩基のうち、どれか一個が、ふくまれる。 生殖細胞では、減数分裂で染色体が半分になることから、遺伝子の正体とは、どうやら染色体に含まれている物質であろう、という事がモーガンなどの1913年ごろのショウジョウバエの遺伝の研究によって、突き止められていた。 遺伝子に含まれる物質にはタンパク質や核酸(かくさん)など、さまざまな物質がある。どの物質こそが遺伝子の正体なのかを突き止める必要があった。核酸の発見は、1869年ごろ、スイスの生化学者ミーシャーによって、膿(うみ)から取り出した細胞の核に、リン酸をふくんだ物質があることが発見され、この物質はタンパク質とは異なることが調べられた。ミーシャ-の発見したのが核酸である。この当時では、まだ核酸が遺伝子の正体だとは気づかれていなかった。なお、膿は、白血球を多くふくむ。 1949年、オーストリアのエルヴィン・シャルガフは、 いろいろな生物の持つDNAを抽出して調べ、どの生物でもアデニン(A)とチミン(T)とは量が等しく1:1であり、グアニン(G)とシトシン(C)とは量が等しく1:1であることを発見した。 このことから、シャルガフは、アデニンはチミンと結合する性質があり、グアニンはシトシンと結合する性質があると考えた。 DNAの、このような、アデニン(A)とチミン(T)とが等量で結合する性質があること、グアニンとシトシンも等量で結合する性質があることを、まとめて、相補性(そうほせい)という。 1953年、アメリカのジェームズ・ワトソンとイギリスのフランシス・クリックは、 シャルガフの塩基組成の研究や、イギリスのモーリス・ウィルキンスのX線回折の研究をもとにして、研究を行った。そしてワトソンとクリックは、DNAが二重らせん構造であることを発見した。 これによると、2本のヌクレオチド鎖が、アデニンとチミン、グアニンとシトシンで対合し、柱状になり、それがらせん状にねじれている。 二重らせん上のアデニンAとチミンTなど、らせんで対になった塩基どうしの結合は、水素結合(すいそ けつごう)という、水素を仲立ちとした弱い結合をしている。塩基上の水素原子が、向かいあった塩基の窒素原子や酸素原子などと、弱く結合するのが、DNAの場合での水素結合である。 なお水素結合が見られるのは生物だけに限らず、一般の化学物質などでも多く見られる。たとえば水分子の安定性でも、水素結合が関わっている。 DNAの場合の水素結合では、アデニンはチミンの塩基対では、塩基上の2箇所で水素結合をする。シトシンとグアニンの塩基対では、塩基上の3箇所で水素結合をする。 二重らせんの幅は2.0nmで、らせん1回転(1ピッチ)の長さは3.4nm、らせん1回転中に10対のヌクレオチド対がある。 DNAの働きには、主にタンパク質の設計図となることと、遺伝情報を子孫に伝えることがある。 DNAの遺伝子の働きかたを決める要因は、塩基の並び方で決定される。この塩基の並び方で、細胞で合成されるタンパク質が異なるため、DNAはタンパク質の設計図となっている。このため、DNAの塩基の並び方が異なると、遺伝情報も異なる。病気などの例外をのぞけば、ある生体で合成されたタンパク質、たとえば皮膚のタンパク質のコラーゲンや、骨のタンパク質や、筋肉のタンパク質のミオシンなど、どのタンパク質も、その生体のDNAの情報をもとに合成されたタンパク質である。 DNAは、細胞核の中で、RNA(アールエヌエー)というタンパク質合成用の塩基配列の物質をつくる。RNAの情報は、DNAの情報を元にしている。RNAは、核の外に出ていきリボソームと結合し、消化器官で食品のタンパク質から分解・吸収したアミノ酸を材料にして、 RNAの塩基配列に従ってアミノ酸をつなぎかえることで、タンパク質を作っている。 タンパク質の構造は、アミノ酸がいくつも結合した構造である。したがって、タンパク質を構成するアミノ酸の順序などの配列や、アミノ酸の数などによって、タンパク質の性質が異なる。なお、アミノ酸どうしの化学結合をペプチド結合という。 DNAは、受精卵の時から、細胞分裂の際は、必ず複製されている。 DNAは配偶子形成の際半分になり、配偶子が受精すると合わさって元に戻る。 こうしてDNAは遺伝情報を子孫に伝えている。 配偶子形成の際のDNA量の変化は、原細胞のときを2と置くと、一次母細胞のときは4であり、二次母細胞のときは2となり、卵細胞・精細胞のときは1になり、受精卵のときに2にもどる。 体細胞分裂の際のDNA量の変化は、母細胞のときを2と置くと、前期~終期のときが4であり、娘細胞の時に2にもどる。 DNAを設計図としタンパク質を作る仕組みは全ての生物で共通している。 しかし、塩基配列が少しずつ変化(ATCGが入れ替わったり、増えたり)して、 生物の多様性が生まれた。 ゲノム(genome)とはある生物の遺伝子の全体のことである。 2003年にヒトゲノムの解読が完了した。 これにより、ヒトの遺伝子の全体が明らかとなった。 現在では、ゲノム研究は、食品や医療などに応用されている。 1869年、スイスのフリードリッヒ・ミーシェルは、 細胞核内の物質を発見しヌクレイン(nuclein)と呼んだ。 当時は、遺伝子の本体はタンパク質であると考えられていたが、 今日では、ヌクレインはDNAと呼ばれ、遺伝子の本体であることが明らかになっている。 1928年イギリスのフレデリック・グリフィスは、 肺炎レンサ球菌とネズミを用いて実験を行った。 肺炎レンサ球菌には、被膜を持っていて病原性のあるS(smooth)型菌と、被膜が無く病原性のないR(rough)型菌の2種類がある。 被膜の有無と病原性の有無の、どちらも遺伝形質である。 通常の菌の分裂増殖では、S型とR型との違いという遺伝形質は変わらない。 グリフィスの実験結果は次の通り。 これはR型菌の形質が、加熱殺菌したS型菌に含まれる物質によって、S型菌の形質へ変化したためであり、 これを形質転換(transformation: nuclein)と呼ぶ。 1943年ころ、カナダのオズワルド・アベリーは、グリフィスの実験での形質転換を起こした物質が何かを特定するため、タンパク質分解酵素とDNA分解酵素を用いて、S型菌・R型菌の実験を行った。 実験結果 これによって、R型菌の形質転換を起こしたのはDNAであることがわかった。 細菌に規制するウイルスのことをバクテリオファージまたは単にファージという。 1952年、アメリカのアルフレッド・ハーシーとマーサ・チェイスは、 T2ファージというファージの一種のウイルスを用いて実験を行った。 T2ファージは細菌に寄生して増殖するウイルスであるバクテリオファージの一種であり、 ほぼタンパク質とDNAからできている。T2ファージの頭部の中にDNAが含まれる。それ以外の外殻(がいかく)はタンパク質で、できている。 彼らは、放射性同位体のS(硫黄の放射性同位体)およびP(リンの放射性同位体)を目印として用い、硫黄をふくむタンパク質にはSで目印をつけ、PでDNAに目印をつけた。DNAは P(リン)をふくむがS(硫黄)をふくまない。彼らの実際の実験では、タンパク質に目印をつけた実験と、DNAに目印をつけた実験とは、それぞれ別に行った。 実験では、それらの放射性同位体をもつT2ファージを大腸菌に感染させ、さらにミキサーで撹拌し、遠心分離器で大腸菌の沈殿と、上澄みに分けた。 大腸菌からは、Pが多く検出され、あまりSは検出されなかった。このことからT2ファージのDNAが大腸菌に進入したと結論付けた。また、上澄みからはT2ファージのタンパク質が確認された。つまり上澄みはT2ファージの外殻をふくんでいる。 さらに、この大腸菌からは、20~30分後、子ファージが出てきた。子ファージにはSは検出されなかった。 これによって、DNAが遺伝物質であることが証明された。 ヒトの体細胞には46個の染色体があり、つまりヒトには23対の染色体がある。(2n=46) そのうち22対は、男女に共通して存在する染色体であり、これを常染色体(じょうせんしょくたい、Autosome)と呼ぶ。 いっぽう残りの2本の染色体によって、ヒトの性別が決定されるので、これを性染色体と呼ぶ。 ヒトの場合、男女に共通して存在する染色体のことをX染色体という。いっぽう、ヒトでは男性にのみ存在する染色体のことをY染色体という。 ヒト以外の動物も含めると、性の決定には、XY型、XO型、ZW型、ZO型の4つがある。 XY型は、雌が同形のXX、雄が異形のXYの性染色体をもち、 ショウジョウバエや、ヒトなどの哺乳類が行う。 XO型は、雌が同形のXX、雄がXの1つだけの性染色体をもち、 トンボやバッタなどが行う。 ZW型は、雌が異形のZW、雄が同形のZZの染色体をもち、 ニワトリ、ヘビ、カイコガなどが行う。 ZO型は、雌がZの1つだけ、雄が同形のZZの染色体をもち、 スグリエダシャクなどが行う。 遺伝(heredity)とは、生物の形や性質が、遺伝子によって、親から子へ伝わることである。 また、生物の形や性質のことを形質(けいしつ、trait)と呼ぶ。 形質には親から子へ遺伝する遺伝形質(genetic trait)と、 環境の影響によって獲得した遺伝しない獲得形質(Acquired trait)がある。 このページでは、形質とは遺伝形質を指す。 生殖の際に、親から生殖細胞を経て、子に伝えられている遺伝の因子を遺伝子(いでんし)といい、こんにちでは遺伝子の正体は、細胞にふくまれるDNA(ディーエヌエー)という物質であることが知られている。 メンデルは、異なる形質をもつエンドウの品種を用意し、2年間にわたり育て、 同一個体の配偶子間で行われる自家受精(autogamy)で 全く同じで変化しない子孫を生じる純系(pure line)の品種を選んだ。 その際、明確に決定的に発現する、互いに異なる対立形質を7つ採用し、 1856年から62年にかけて交配実験を行った。 実験1 1.種子の形について、 丸としわの純系を用意して両親P(Parents)としたところ、 その子雑種第一代F1(Filius)は、全て丸であった。 このようにF1では、対立形質の片方のみが表れる。 現れる形質を優性形質(dominant trait)と呼び、現れない形質を劣性形質(recessive trait)と呼ぶ。 ここでの優性・劣性は、単に形質が現れやすい・現れにくいを意味し、形質が優秀である・劣等であるを意味しない。 実験2 F1を自家受精したところ、 雑種第二代F2では丸としわが5474個と1850個で、およそ3:1の出現比であった。 このようにF2では、 優性形質と劣性形質がおよそ3:1の比で出現する。 実験3 F2を自家受精したところ、 F2でしわだったものは、F3で全てしわの純系となり、 F2で丸だったものは、565株のF3の内、 193株は丸の純系となり、 372株は丸としわを3:1の比で生じた。 このようにF3では、F2で劣性形質を示すものは、劣性形質の純系となり、 F2で優性形質を示すものは、このうち、3分の2は優性形質と劣性形質を3:1の比で生ずる子孫を作り、 3分の1は優性形質の純系となる。 実験4 1.種子の形と2.胚乳の色について、 種子の形が丸で胚乳の色が黄の純系と種子の形がしわで胚乳の色が緑の純系を用意して両親Pとしたところ、 その子F1はすべて丸で黄であった。 実験5 F1を自家受精したところ、 F2では丸・黄、丸・緑、しわ・黄、しわ・緑が315個、108個、101個、32個で、 およそ9:3:3:1の出現比であった。 個体の遺伝子の構成を記号で表したものを遺伝子型(genotype)と呼ぶ。 遺伝子型はふつう優性形質をアルファベットの大文字で表し、 劣性形質をアルファベットの小文字で表す。 ある形質を決定する遺伝子は、 ペアの染色体の同じ位置に1つずつ、 あわせて2つあるため、 アルファベット2文字で表す。(例:AA,Aa,aa) また、AAやaaのように同じ遺伝子がペアになっているものをホモ接合体(homozygous, 同型接合体)と呼び、 Aaのように異なる遺伝子がペアになっているものをヘテロ接合体(heterozygous, 異型接合体)と呼ぶ。 遺伝子型によって現れる形質を表現型(phenotype)と呼ぶ。 遺伝子型の記号を[]で囲んで表すこともある。(例:[A],[a]) 遺伝子型の判別のために、その個体と劣性形質の個体とを交雑することを検定交雑(test cross)と呼ぶ。 また、F1とPとを交雑することを戻し交雑(backcross)と呼ぶ。 下の表は、検定交雑で遺伝子型を判別する方法を示している。 配偶子?2と?4の遺伝子構成は、F1の表現型とその分離比から予想できる。 つまり、?2はAのみ、?4はAとaである。 両親?1と?3の遺伝子型は、配偶子?2と?4の遺伝子構成から予想できる。 つまり、?1はAA、?4はAaである。 実験1では、 種子の形が丸をA,しわをaと表すとすると、 遺伝子型は、丸の純系はAA、しわの純系はaaと表せる。 この両親Pの配偶子はそれぞれA、aとなり、 その子F1の遺伝子型はAaとなり、表現型は[A]となる。 このように、優性形質の純系と劣性形質の純系とを交雑すると、 その子は優性形質のみを表し、 これを優性の法則(law of dominance)と呼ぶ。 なお、今日では、エンドウの種子の形を決める遺伝子は、 実際には酵素を作る遺伝子であり、その酵素がデンプンを作って種子の形を丸にしていることがわかっている。デンプンの量は、AaはAAとaaの中間であるが、種子の形を丸にするには十分な量であるため、Aaの種子の形は丸となっている。 実験2では、 F1の遺伝子型はAaと表され、 配偶子が作られるとき分離し、 それぞれの配偶子はA,aとなる。 このように配偶子形成の際ペアの遺伝子が分離し、 それぞれ配偶子に受け継がれることを分離の法則(law of segregation)と呼ぶ。 F1の自家受精では、 その配偶子がそれぞれ受精するため、 F2ではAA:Aa:aa=1:2:1となり、 結果[A]:[a]=3:1となる。 実験3では、 F2で[a]だったものは、aaであるから、 その配偶子はaであり、自家受精でaaつまり[a]となる。 F2で[A]だったものは、AA:Aa=1:2であるから、 3分の1のAAの配偶子はAであり、自家受精でAAつまり[A]となり、 3分の2のAaの配偶子はA,aとなり、自家受精でAA:Aa:aa=1:2:1つまり[A]:[a]=3:1となる。 実験4では、 種子の形が丸をA,しわをa、胚乳の色が黄をB,緑をbと表すとすると、 遺伝子型は、丸で黄の純系はAABB、しわで緑の純系はaabbと表せる。 この両親Pの配偶子はそれぞれAB,abとなり、 その子F1の遺伝子型はAaBbとなり、表現型は[AB]となる。 実験5では、 F1の遺伝子型はAaBbとあらわされ、 配偶子が作られるとき分離し、 それぞれの配偶子は、AB,Ab,aB,abとなる。 F1の自家受精では、 その配偶子がそれぞれ受精するため、 F2でAABB:AABb:AaBB:AaBb:AAbb:Aabb:aaBB:aaBb:aabb=1:2:2:4:1:2:1:2:1となり、 結果[AB]:[Ab]:[aB]:[ab]=9:3:3:1となる。 実験4・5では、 種子の形だけあるいは胚乳の色だけに注目すると、 それぞれ優性の法則と分離の法則に従い独立して遺伝している。 つまり、種子の形に関しては[A]:[a]=3:1であり、胚乳の色に関しては[B]:[b]=3:1である。 このように、2つの遺伝子が異なる染色体に存在するとき、 その遺伝子が互いに影響しないことを独立の法則(law of independence)と呼ぶ。 優性と劣性の関係が不完全な遺伝の仕方を不完全優性(incomplete dominance)と呼ぶ。 不完全優性では優性の法則は当てはまらない。 不完全優性は、マルバアサガオなどが行う。 マルバアサガオには、花の色が赤Rと白rのものがある。 花の色が赤の純系RRと白の純系rrを両親Pとすると、 その子F1はRrで花の色が中間の桃色となる。 さらにその子F2は、RR:Rr:rr=1:2:1で、赤色:桃色:白色=1:2:1となる。 成体になるまでに致死作用がある遺伝子を致死遺伝子(lethal gene)と呼ぶ。 致死遺伝子は、多くの生物に存在する。 例えば、ハツカネズミは致死遺伝子を持っており、 毛の色が黄色Yと灰色yのものがある。 黄色Yyを両親Pとすると、 その子F1はYy:yy=2:1で、[Y]:[y]=2:1となる。 YYの個体は発生の段階で死んでしまう。 これはYが劣性の致死遺伝子だからである。 同一の遺伝子座にある、同一形質を決める、複数の遺伝子を複対立遺伝子(multiallelic gene)と呼ぶ。 複対立遺伝子には、ヒトのABO式血液型などがある。 ヒトのABO式血液型には、A型、B型、AB型、O型の4種類があり、 AとBとは不完全優性で、A,BはOに対して完全優性である。 例えば下の表のように、AO(A型)とBO(B型)を両親とすると、 その子はAB,AO,BO,OOとなり、それぞれAB型,A型,B型,O型となる。 対立しない2つ以上の遺伝子が、その働きを互いに補足しあって1つの形質を決めるとき、その遺伝子を補足遺伝子()と呼ぶ。 補足遺伝子には、スイートピーの花の色などがある。 色素原を作る遺伝子をC、色素原から色素を作る遺伝子をPとし、 白色花CCppと白色花ccPPを両親Pとすると、 その子F1はCcPpで有色花となる。 さらにその子F2は、C-P-:C-pp:ccP-:ccpp=9:3:3:1で、有色花:白色花:白色花:白色花=9:3:3:1つまり有色花:白色花=9:7となる。 これはCとPの両方をもっていないと色素が作られないためである。 他の遺伝子の働きを抑制する遺伝子を抑制遺伝子(suppressor gene)と呼ぶ。 抑制遺伝子には、カイコガのまゆの色などがある。 黄色遺伝子をY、Yの働きを抑制する遺伝子をIとし、 白まゆIIyyと黄まゆiiYYを両親Pとすると、 その子F1はIiYyで白まゆとなる。 さらにその子F2は、I-Y-:I-yy:iiY-:iiyy=9:3:3:1で、白まゆ:白まゆ:黄まゆ:白まゆ=9:3:3:1つまり白まゆ:黄まゆ=13:3となる。 これはIがYの働きを抑制するためである。 性染色体の中にあるが、性の決定以外の働きをもった遺伝子の遺伝現象のことを伴性遺伝(sex-linked inheritance)という。 伴性遺伝は形質の発現が性別によって異なり、 ヒトの赤緑色覚異常や血友病などに見られる。 ヒトの赤緑色覚異常の遺伝子は、X染色体上にある劣性遺伝子である。 記号的に書けば、優性遺伝子と劣性遺伝子をそれぞれA,aと表すと、 X、Xのように表す。この場合、Xが色覚異常の遺伝子である。 このように、伴性遺伝は性別によって遺伝の仕方が異なる。 このようなメンデル遺伝的な理由もあって男性のほうが統計的には遺伝性の色覚異常は多いが、しかし女性でも遺伝性の色覚異常者はいる。 同じ染色体にある遺伝子が、配偶子形成の際に行動をともにすることを、遺伝子の連鎖(linkage)という。 1905年、イギリスのウィリアム・ベーツソンは、 スイートピーの交雑実験から、 連鎖の現象を発見した。 生殖細胞の減数分裂のとき、相同染色体の一部が交換する現象を乗換え(crossover)という。 そのときに遺伝子の配列が変わることを組換え(Recombination)という。 遺伝子の組換えが起こる割合を組換え価()といい、パーセントで表される。 組み換え価を l {\displaystyle l} %、組み換えの起こった配偶子数を m {\displaystyle m} 、全ての配偶子数を n {\displaystyle n} と置くと、組み換え価は次のように求める。 l {\displaystyle l} = {\displaystyle =} m n {\displaystyle {\frac {m}{n}}} × 100 {\displaystyle \times 100} 1926年、アメリカのトーマス・ハント・モーガンは、 異なる3つの形質に対し、組み換え価を求め、その組み換え価から遺伝子距離を求める三点交雑(three-point cross)により、 キイロショウジョウバエの遺伝子の配列を図示し、これを染色体地図(chromosome map)と呼ぶ。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "高等学校生物 > 生物I > 遺伝", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "", "title": "" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "DNA(デオキシリボ核酸、英: deoxyribonucleic acid)の構造は、ヌクレオチド (nucleotide) と呼ばれる構成単位をもち、ヌクレオチドはリン酸と糖と塩基の化合物である。ヌクレオチドの糖はデオキシリボース(deoxyribose) である。DNAでは、ヌクレオチドがいくつも結合して、二重らせん構造をつくっている。", "title": "" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "塩基には4種類あり、アデニン(adenine)、チミン(thymine)、シトシン(cytosine)、グアニン(guanine)という4種類の塩基である。ヌクレオチド一個に、4種の塩基のうち、どれか一個が、ふくまれる。", "title": "" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "生殖細胞では、減数分裂で染色体が半分になることから、遺伝子の正体とは、どうやら染色体に含まれている物質であろう、という事がモーガンなどの1913年ごろのショウジョウバエの遺伝の研究によって、突き止められていた。", "title": "" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "遺伝子に含まれる物質にはタンパク質や核酸(かくさん)など、さまざまな物質がある。どの物質こそが遺伝子の正体なのかを突き止める必要があった。核酸の発見は、1869年ごろ、スイスの生化学者ミーシャーによって、膿(うみ)から取り出した細胞の核に、リン酸をふくんだ物質があることが発見され、この物質はタンパク質とは異なることが調べられた。ミーシャ-の発見したのが核酸である。この当時では、まだ核酸が遺伝子の正体だとは気づかれていなかった。なお、膿は、白血球を多くふくむ。", "title": "" }, { "paragraph_id": 6, "tag": "p", "text": "1949年、オーストリアのエルヴィン・シャルガフは、 いろいろな生物の持つDNAを抽出して調べ、どの生物でもアデニン(A)とチミン(T)とは量が等しく1:1であり、グアニン(G)とシトシン(C)とは量が等しく1:1であることを発見した。", "title": "" }, { "paragraph_id": 7, "tag": "p", "text": "このことから、シャルガフは、アデニンはチミンと結合する性質があり、グアニンはシトシンと結合する性質があると考えた。 DNAの、このような、アデニン(A)とチミン(T)とが等量で結合する性質があること、グアニンとシトシンも等量で結合する性質があることを、まとめて、相補性(そうほせい)という。", "title": "" }, { "paragraph_id": 8, "tag": "p", "text": "1953年、アメリカのジェームズ・ワトソンとイギリスのフランシス・クリックは、 シャルガフの塩基組成の研究や、イギリスのモーリス・ウィルキンスのX線回折の研究をもとにして、研究を行った。そしてワトソンとクリックは、DNAが二重らせん構造であることを発見した。 これによると、2本のヌクレオチド鎖が、アデニンとチミン、グアニンとシトシンで対合し、柱状になり、それがらせん状にねじれている。", "title": "" }, { "paragraph_id": 9, "tag": "p", "text": "", "title": "" }, { "paragraph_id": 10, "tag": "p", "text": "二重らせん上のアデニンAとチミンTなど、らせんで対になった塩基どうしの結合は、水素結合(すいそ けつごう)という、水素を仲立ちとした弱い結合をしている。塩基上の水素原子が、向かいあった塩基の窒素原子や酸素原子などと、弱く結合するのが、DNAの場合での水素結合である。", "title": "" }, { "paragraph_id": 11, "tag": "p", "text": "なお水素結合が見られるのは生物だけに限らず、一般の化学物質などでも多く見られる。たとえば水分子の安定性でも、水素結合が関わっている。", 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"タンパク質の構造は、アミノ酸がいくつも結合した構造である。したがって、タンパク質を構成するアミノ酸の順序などの配列や、アミノ酸の数などによって、タンパク質の性質が異なる。なお、アミノ酸どうしの化学結合をペプチド結合という。", "title": "" }, { "paragraph_id": 18, "tag": "p", "text": "DNAは、受精卵の時から、細胞分裂の際は、必ず複製されている。 DNAは配偶子形成の際半分になり、配偶子が受精すると合わさって元に戻る。 こうしてDNAは遺伝情報を子孫に伝えている。", "title": "" }, { "paragraph_id": 19, "tag": "p", "text": "配偶子形成の際のDNA量の変化は、原細胞のときを2と置くと、一次母細胞のときは4であり、二次母細胞のときは2となり、卵細胞・精細胞のときは1になり、受精卵のときに2にもどる。 体細胞分裂の際のDNA量の変化は、母細胞のときを2と置くと、前期~終期のときが4であり、娘細胞の時に2にもどる。", "title": "" }, { "paragraph_id": 20, "tag": "p", "text": "DNAを設計図としタンパク質を作る仕組みは全ての生物で共通している。 しかし、塩基配列が少しずつ変化(ATCGが入れ替わったり、増えたり)して、 生物の多様性が生まれた。", "title": "" }, { "paragraph_id": 21, "tag": "p", "text": "ゲノム(genome)とはある生物の遺伝子の全体のことである。 2003年にヒトゲノムの解読が完了した。 これにより、ヒトの遺伝子の全体が明らかとなった。 現在では、ゲノム研究は、食品や医療などに応用されている。", "title": "" }, { "paragraph_id": 22, "tag": "p", "text": "", "title": "" }, { "paragraph_id": 23, "tag": "p", "text": "1869年、スイスのフリードリッヒ・ミーシェルは、 細胞核内の物質を発見しヌクレイン(nuclein)と呼んだ。 当時は、遺伝子の本体はタンパク質であると考えられていたが、 今日では、ヌクレインはDNAと呼ばれ、遺伝子の本体であることが明らかになっている。", "title": "" }, { "paragraph_id": 24, "tag": "p", "text": "1928年イギリスのフレデリック・グリフィスは、 肺炎レンサ球菌とネズミを用いて実験を行った。 肺炎レンサ球菌には、被膜を持っていて病原性のあるS(smooth)型菌と、被膜が無く病原性のないR(rough)型菌の2種類がある。 被膜の有無と病原性の有無の、どちらも遺伝形質である。 通常の菌の分裂増殖では、S型とR型との違いという遺伝形質は変わらない。", "title": "" }, { "paragraph_id": 25, "tag": "p", "text": "グリフィスの実験結果は次の通り。", "title": "" }, { "paragraph_id": 26, "tag": "p", "text": "これはR型菌の形質が、加熱殺菌したS型菌に含まれる物質によって、S型菌の形質へ変化したためであり、 これを形質転換(transformation: nuclein)と呼ぶ。", "title": "" }, { "paragraph_id": 27, "tag": "p", "text": "1943年ころ、カナダのオズワルド・アベリーは、グリフィスの実験での形質転換を起こした物質が何かを特定するため、タンパク質分解酵素とDNA分解酵素を用いて、S型菌・R型菌の実験を行った。", "title": "" }, { "paragraph_id": 28, "tag": "p", "text": "実験結果", "title": "" }, { "paragraph_id": 29, "tag": "p", "text": "これによって、R型菌の形質転換を起こしたのはDNAであることがわかった。", "title": "" }, { "paragraph_id": 30, "tag": "p", "text": "細菌に規制するウイルスのことをバクテリオファージまたは単にファージという。", "title": "" }, { "paragraph_id": 31, "tag": "p", "text": "1952年、アメリカのアルフレッド・ハーシーとマーサ・チェイスは、 T2ファージというファージの一種のウイルスを用いて実験を行った。 T2ファージは細菌に寄生して増殖するウイルスであるバクテリオファージの一種であり、 ほぼタンパク質とDNAからできている。T2ファージの頭部の中にDNAが含まれる。それ以外の外殻(がいかく)はタンパク質で、できている。", "title": "" }, { "paragraph_id": 32, "tag": "p", "text": "彼らは、放射性同位体のS(硫黄の放射性同位体)およびP(リンの放射性同位体)を目印として用い、硫黄をふくむタンパク質にはSで目印をつけ、PでDNAに目印をつけた。DNAは P(リン)をふくむがS(硫黄)をふくまない。彼らの実際の実験では、タンパク質に目印をつけた実験と、DNAに目印をつけた実験とは、それぞれ別に行った。", "title": "" }, { "paragraph_id": 33, "tag": "p", "text": "実験では、それらの放射性同位体をもつT2ファージを大腸菌に感染させ、さらにミキサーで撹拌し、遠心分離器で大腸菌の沈殿と、上澄みに分けた。 大腸菌からは、Pが多く検出され、あまりSは検出されなかった。このことからT2ファージのDNAが大腸菌に進入したと結論付けた。また、上澄みからはT2ファージのタンパク質が確認された。つまり上澄みはT2ファージの外殻をふくんでいる。", "title": "" }, { "paragraph_id": 34, "tag": "p", "text": "さらに、この大腸菌からは、20~30分後、子ファージが出てきた。子ファージにはSは検出されなかった。", "title": "" }, { "paragraph_id": 35, "tag": "p", "text": "これによって、DNAが遺伝物質であることが証明された。", "title": "" }, { "paragraph_id": 36, "tag": "p", "text": "", "title": "" }, { "paragraph_id": 37, "tag": "p", "text": "ヒトの体細胞には46個の染色体があり、つまりヒトには23対の染色体がある。(2n=46)", "title": "遺伝子と染色体" }, { "paragraph_id": 38, "tag": "p", "text": "そのうち22対は、男女に共通して存在する染色体であり、これを常染色体(じょうせんしょくたい、Autosome)と呼ぶ。", "title": "遺伝子と染色体" }, { "paragraph_id": 39, "tag": "p", "text": "いっぽう残りの2本の染色体によって、ヒトの性別が決定されるので、これを性染色体と呼ぶ。", "title": "遺伝子と染色体" }, { "paragraph_id": 40, "tag": "p", "text": "ヒトの場合、男女に共通して存在する染色体のことをX染色体という。いっぽう、ヒトでは男性にのみ存在する染色体のことをY染色体という。", "title": "遺伝子と染色体" }, { "paragraph_id": 41, "tag": "p", "text": "", "title": "遺伝子と染色体" }, { "paragraph_id": 42, "tag": "p", "text": "ヒト以外の動物も含めると、性の決定には、XY型、XO型、ZW型、ZO型の4つがある。 XY型は、雌が同形のXX、雄が異形のXYの性染色体をもち、 ショウジョウバエや、ヒトなどの哺乳類が行う。 XO型は、雌が同形のXX、雄がXの1つだけの性染色体をもち、 トンボやバッタなどが行う。 ZW型は、雌が異形のZW、雄が同形のZZの染色体をもち、 ニワトリ、ヘビ、カイコガなどが行う。 ZO型は、雌がZの1つだけ、雄が同形のZZの染色体をもち、 スグリエダシャクなどが行う。", "title": "遺伝子と染色体" }, { "paragraph_id": 43, "tag": "p", "text": "", "title": "遺伝子と染色体" }, { "paragraph_id": 44, "tag": "p", "text": "遺伝(heredity)とは、生物の形や性質が、遺伝子によって、親から子へ伝わることである。", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 45, "tag": "p", "text": "また、生物の形や性質のことを形質(けいしつ、trait)と呼ぶ。 形質には親から子へ遺伝する遺伝形質(genetic trait)と、 環境の影響によって獲得した遺伝しない獲得形質(Acquired trait)がある。 このページでは、形質とは遺伝形質を指す。", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 46, "tag": "p", "text": "生殖の際に、親から生殖細胞を経て、子に伝えられている遺伝の因子を遺伝子(いでんし)といい、こんにちでは遺伝子の正体は、細胞にふくまれるDNA(ディーエヌエー)という物質であることが知られている。", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 47, "tag": "p", "text": "", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 48, "tag": "p", "text": "", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 49, "tag": "p", "text": "メンデルは、異なる形質をもつエンドウの品種を用意し、2年間にわたり育て、 同一個体の配偶子間で行われる自家受精(autogamy)で 全く同じで変化しない子孫を生じる純系(pure line)の品種を選んだ。 その際、明確に決定的に発現する、互いに異なる対立形質を7つ採用し、 1856年から62年にかけて交配実験を行った。", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 50, "tag": "p", "text": "実験1 1.種子の形について、 丸としわの純系を用意して両親P(Parents)としたところ、 その子雑種第一代F1(Filius)は、全て丸であった。 このようにF1では、対立形質の片方のみが表れる。 現れる形質を優性形質(dominant trait)と呼び、現れない形質を劣性形質(recessive trait)と呼ぶ。 ここでの優性・劣性は、単に形質が現れやすい・現れにくいを意味し、形質が優秀である・劣等であるを意味しない。", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 51, "tag": "p", "text": "実験2 F1を自家受精したところ、 雑種第二代F2では丸としわが5474個と1850個で、およそ3:1の出現比であった。 このようにF2では、 優性形質と劣性形質がおよそ3:1の比で出現する。", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 52, "tag": "p", "text": "実験3 F2を自家受精したところ、 F2でしわだったものは、F3で全てしわの純系となり、 F2で丸だったものは、565株のF3の内、 193株は丸の純系となり、 372株は丸としわを3:1の比で生じた。 このようにF3では、F2で劣性形質を示すものは、劣性形質の純系となり、 F2で優性形質を示すものは、このうち、3分の2は優性形質と劣性形質を3:1の比で生ずる子孫を作り、 3分の1は優性形質の純系となる。", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 53, "tag": "p", "text": "実験4 1.種子の形と2.胚乳の色について、 種子の形が丸で胚乳の色が黄の純系と種子の形がしわで胚乳の色が緑の純系を用意して両親Pとしたところ、 その子F1はすべて丸で黄であった。", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 54, "tag": "p", "text": "実験5 F1を自家受精したところ、 F2では丸・黄、丸・緑、しわ・黄、しわ・緑が315個、108個、101個、32個で、 およそ9:3:3:1の出現比であった。", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 55, "tag": "p", "text": "個体の遺伝子の構成を記号で表したものを遺伝子型(genotype)と呼ぶ。 遺伝子型はふつう優性形質をアルファベットの大文字で表し、 劣性形質をアルファベットの小文字で表す。 ある形質を決定する遺伝子は、 ペアの染色体の同じ位置に1つずつ、 あわせて2つあるため、 アルファベット2文字で表す。(例:AA,Aa,aa)", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 56, "tag": "p", "text": "また、AAやaaのように同じ遺伝子がペアになっているものをホモ接合体(homozygous, 同型接合体)と呼び、 Aaのように異なる遺伝子がペアになっているものをヘテロ接合体(heterozygous, 異型接合体)と呼ぶ。", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 57, "tag": "p", "text": "遺伝子型によって現れる形質を表現型(phenotype)と呼ぶ。 遺伝子型の記号を[]で囲んで表すこともある。(例:[A],[a])", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 58, "tag": "p", "text": "遺伝子型の判別のために、その個体と劣性形質の個体とを交雑することを検定交雑(test cross)と呼ぶ。 また、F1とPとを交雑することを戻し交雑(backcross)と呼ぶ。 下の表は、検定交雑で遺伝子型を判別する方法を示している。 配偶子?2と?4の遺伝子構成は、F1の表現型とその分離比から予想できる。 つまり、?2はAのみ、?4はAとaである。 両親?1と?3の遺伝子型は、配偶子?2と?4の遺伝子構成から予想できる。 つまり、?1はAA、?4はAaである。", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 59, "tag": "p", "text": "実験1では、 種子の形が丸をA,しわをaと表すとすると、 遺伝子型は、丸の純系はAA、しわの純系はaaと表せる。 この両親Pの配偶子はそれぞれA、aとなり、 その子F1の遺伝子型はAaとなり、表現型は[A]となる。 このように、優性形質の純系と劣性形質の純系とを交雑すると、 その子は優性形質のみを表し、 これを優性の法則(law of dominance)と呼ぶ。 なお、今日では、エンドウの種子の形を決める遺伝子は、 実際には酵素を作る遺伝子であり、その酵素がデンプンを作って種子の形を丸にしていることがわかっている。デンプンの量は、AaはAAとaaの中間であるが、種子の形を丸にするには十分な量であるため、Aaの種子の形は丸となっている。", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 60, "tag": "p", "text": "実験2では、 F1の遺伝子型はAaと表され、 配偶子が作られるとき分離し、 それぞれの配偶子はA,aとなる。 このように配偶子形成の際ペアの遺伝子が分離し、 それぞれ配偶子に受け継がれることを分離の法則(law of segregation)と呼ぶ。 F1の自家受精では、 その配偶子がそれぞれ受精するため、 F2ではAA:Aa:aa=1:2:1となり、 結果[A]:[a]=3:1となる。", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 61, "tag": "p", "text": "実験3では、 F2で[a]だったものは、aaであるから、 その配偶子はaであり、自家受精でaaつまり[a]となる。 F2で[A]だったものは、AA:Aa=1:2であるから、 3分の1のAAの配偶子はAであり、自家受精でAAつまり[A]となり、 3分の2のAaの配偶子はA,aとなり、自家受精でAA:Aa:aa=1:2:1つまり[A]:[a]=3:1となる。", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 62, "tag": "p", "text": "実験4では、 種子の形が丸をA,しわをa、胚乳の色が黄をB,緑をbと表すとすると、 遺伝子型は、丸で黄の純系はAABB、しわで緑の純系はaabbと表せる。 この両親Pの配偶子はそれぞれAB,abとなり、 その子F1の遺伝子型はAaBbとなり、表現型は[AB]となる。", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 63, "tag": "p", "text": "実験5では、 F1の遺伝子型はAaBbとあらわされ、 配偶子が作られるとき分離し、 それぞれの配偶子は、AB,Ab,aB,abとなる。 F1の自家受精では、 その配偶子がそれぞれ受精するため、 F2でAABB:AABb:AaBB:AaBb:AAbb:Aabb:aaBB:aaBb:aabb=1:2:2:4:1:2:1:2:1となり、 結果[AB]:[Ab]:[aB]:[ab]=9:3:3:1となる。", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 64, "tag": "p", "text": "実験4・5では、 種子の形だけあるいは胚乳の色だけに注目すると、 それぞれ優性の法則と分離の法則に従い独立して遺伝している。 つまり、種子の形に関しては[A]:[a]=3:1であり、胚乳の色に関しては[B]:[b]=3:1である。 このように、2つの遺伝子が異なる染色体に存在するとき、 その遺伝子が互いに影響しないことを独立の法則(law of independence)と呼ぶ。", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 65, "tag": "p", "text": "", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 66, "tag": "p", "text": "優性と劣性の関係が不完全な遺伝の仕方を不完全優性(incomplete dominance)と呼ぶ。 不完全優性では優性の法則は当てはまらない。", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 67, "tag": "p", "text": "不完全優性は、マルバアサガオなどが行う。 マルバアサガオには、花の色が赤Rと白rのものがある。 花の色が赤の純系RRと白の純系rrを両親Pとすると、 その子F1はRrで花の色が中間の桃色となる。 さらにその子F2は、RR:Rr:rr=1:2:1で、赤色:桃色:白色=1:2:1となる。", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 68, "tag": "p", "text": "", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 69, "tag": "p", "text": "成体になるまでに致死作用がある遺伝子を致死遺伝子(lethal gene)と呼ぶ。", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 70, "tag": "p", "text": "致死遺伝子は、多くの生物に存在する。 例えば、ハツカネズミは致死遺伝子を持っており、 毛の色が黄色Yと灰色yのものがある。 黄色Yyを両親Pとすると、 その子F1はYy:yy=2:1で、[Y]:[y]=2:1となる。 YYの個体は発生の段階で死んでしまう。 これはYが劣性の致死遺伝子だからである。", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 71, "tag": "p", "text": "同一の遺伝子座にある、同一形質を決める、複数の遺伝子を複対立遺伝子(multiallelic gene)と呼ぶ。", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 72, "tag": "p", "text": "複対立遺伝子には、ヒトのABO式血液型などがある。 ヒトのABO式血液型には、A型、B型、AB型、O型の4種類があり、 AとBとは不完全優性で、A,BはOに対して完全優性である。 例えば下の表のように、AO(A型)とBO(B型)を両親とすると、 その子はAB,AO,BO,OOとなり、それぞれAB型,A型,B型,O型となる。", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 73, "tag": "p", "text": "対立しない2つ以上の遺伝子が、その働きを互いに補足しあって1つの形質を決めるとき、その遺伝子を補足遺伝子()と呼ぶ。", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 74, "tag": "p", "text": "補足遺伝子には、スイートピーの花の色などがある。 色素原を作る遺伝子をC、色素原から色素を作る遺伝子をPとし、 白色花CCppと白色花ccPPを両親Pとすると、 その子F1はCcPpで有色花となる。 さらにその子F2は、C-P-:C-pp:ccP-:ccpp=9:3:3:1で、有色花:白色花:白色花:白色花=9:3:3:1つまり有色花:白色花=9:7となる。 これはCとPの両方をもっていないと色素が作られないためである。", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 75, "tag": "p", "text": "他の遺伝子の働きを抑制する遺伝子を抑制遺伝子(suppressor gene)と呼ぶ。", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 76, "tag": "p", "text": "抑制遺伝子には、カイコガのまゆの色などがある。 黄色遺伝子をY、Yの働きを抑制する遺伝子をIとし、 白まゆIIyyと黄まゆiiYYを両親Pとすると、 その子F1はIiYyで白まゆとなる。 さらにその子F2は、I-Y-:I-yy:iiY-:iiyy=9:3:3:1で、白まゆ:白まゆ:黄まゆ:白まゆ=9:3:3:1つまり白まゆ:黄まゆ=13:3となる。 これはIがYの働きを抑制するためである。", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 77, "tag": "p", "text": "性染色体の中にあるが、性の決定以外の働きをもった遺伝子の遺伝現象のことを伴性遺伝(sex-linked inheritance)という。 伴性遺伝は形質の発現が性別によって異なり、 ヒトの赤緑色覚異常や血友病などに見られる。", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 78, "tag": "p", "text": "ヒトの赤緑色覚異常の遺伝子は、X染色体上にある劣性遺伝子である。", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 79, "tag": "p", "text": "記号的に書けば、優性遺伝子と劣性遺伝子をそれぞれA,aと表すと、 X、Xのように表す。この場合、Xが色覚異常の遺伝子である。", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 80, "tag": "p", "text": "このように、伴性遺伝は性別によって遺伝の仕方が異なる。", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 81, "tag": "p", "text": "このようなメンデル遺伝的な理由もあって男性のほうが統計的には遺伝性の色覚異常は多いが、しかし女性でも遺伝性の色覚異常者はいる。", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 82, "tag": "p", "text": "同じ染色体にある遺伝子が、配偶子形成の際に行動をともにすることを、遺伝子の連鎖(linkage)という。 1905年、イギリスのウィリアム・ベーツソンは、 スイートピーの交雑実験から、 連鎖の現象を発見した。", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 83, "tag": "p", "text": "生殖細胞の減数分裂のとき、相同染色体の一部が交換する現象を乗換え(crossover)という。 そのときに遺伝子の配列が変わることを組換え(Recombination)という。 遺伝子の組換えが起こる割合を組換え価()といい、パーセントで表される。", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 84, "tag": "p", "text": "組み換え価を l {\\displaystyle l} %、組み換えの起こった配偶子数を m {\\displaystyle m} 、全ての配偶子数を n {\\displaystyle n} と置くと、組み換え価は次のように求める。 l {\\displaystyle l} = {\\displaystyle =} m n {\\displaystyle {\\frac {m}{n}}} × 100 {\\displaystyle \\times 100}", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 85, "tag": "p", "text": "1926年、アメリカのトーマス・ハント・モーガンは、 異なる3つの形質に対し、組み換え価を求め、その組み換え価から遺伝子距離を求める三点交雑(three-point cross)により、 キイロショウジョウバエの遺伝子の配列を図示し、これを染色体地図(chromosome map)と呼ぶ。", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 86, "tag": "p", "text": "", "title": "遺伝の法則" }, { "paragraph_id": 87, "tag": "p", "text": "", "title": "遺伝の法則" } ]
高等学校生物 > 生物I > 遺伝
<small> [[高等学校生物]] > 生物I > 遺伝 </small> === DNAの構造 === [[File:DNAのヌクレオチド構造.svg|thumb|300px|DNAのヌクレオチド構造]] [[File:DNAの並び方.png|thumb|DNAの並び方の説明図。アデニン(A)はチミン(T)と結びつく。グアニン(G)はシトシン(C)と結びつく。]] [[画像:DNA animation.gif|thumb|right|DNAの立体構造]] '''DNA'''(デオキシリボ核酸、英: deoxyribonucleic acid)の構造は、'''ヌクレオチド''' (nucleotide) と呼ばれる構成単位をもち、ヌクレオチドは'''リン酸'''と'''糖'''と'''塩基'''の化合物である。ヌクレオチドの糖は'''デオキシリボース'''(deoxyribose) である。DNAでは、ヌクレオチドがいくつも結合して、二重らせん構造をつくっている。 塩基には4種類あり、'''アデニン'''(adenine)、'''チミン'''(thymine)、'''シトシン'''(cytosine)、'''グアニン'''(guanine)という4種類の塩基である。ヌクレオチド一個に、4種の塩基のうち、どれか一個が、ふくまれる。 生殖細胞では、減数分裂で染色体が半分になることから、遺伝子の正体とは、どうやら染色体に含まれている物質であろう、という事がモーガンなどの1913年ごろのショウジョウバエの遺伝の研究によって、突き止められていた。 遺伝子に含まれる物質にはタンパク質や核酸(かくさん)など、さまざまな物質がある。どの物質こそが遺伝子の正体なのかを突き止める必要があった。核酸の発見は、1869年ごろ、スイスの生化学者ミーシャーによって、膿(うみ)から取り出した細胞の核に、リン酸をふくんだ物質があることが発見され、この物質はタンパク質とは異なることが調べられた。ミーシャ-の発見したのが核酸である。この当時では、まだ核酸が遺伝子の正体だとは気づかれていなかった。なお、膿は、白血球を多くふくむ。 1949年、オーストリアの[[w:エルヴィン・シャルガフ|エルヴィン・シャルガフ]]は、 いろいろな生物の持つDNAを抽出して調べ、どの生物でもアデニン(A)とチミン(T)とは量が等しく1:1であり、グアニン(G)とシトシン(C)とは量が等しく1:1であることを発見した。 :A:T = 1:1  、 G:C = 1:1 このことから、シャルガフは、アデニンはチミンと結合する性質があり、グアニンはシトシンと結合する性質があると考えた。 DNAの、このような、アデニン(A)とチミン(T)とが等量で結合する性質があること、グアニンとシトシンも等量で結合する性質があることを、まとめて、相補性(そうほせい)という。 1953年、アメリカの[[w:ジェームズ・ワトソン|ジェームズ・ワトソン]]とイギリスの[[w:フランシス・クリック|フランシス・クリック]]は、 シャルガフの塩基組成の研究や、イギリスの[[w:モーリス・ウィルキンス|モーリス・ウィルキンス]]のX線回折の研究をもとにして、研究を行った。そしてワトソンとクリックは、DNAが'''二重らせん構造'''であることを発見した。 これによると、2本のヌクレオチド鎖が、アデニンとチミン、グアニンとシトシンで対合し、柱状になり、それがらせん状にねじれている。 <gallery widths=200px heights=200px> File:Adenin.png|アデニン(A) File:Timina.svg|チミン(T) File:Guanine chemical structure 2.png|グアニン(G) File:Citosina-es.svg|シトシン(C) </gallery> {{-}} [[File:DNA chemical structure.svg|thumb|400px|DNAにおける水素結合の例。]] [[ファイル:Base pair GC.svg|thumb|left|水素結合。 DNAにおける2つの塩基対の内の1つであるグアニンとシトシン間の水素結合。]] 二重らせん上のアデニンAとチミンTなど、らせんで対になった塩基どうしの結合は、'''水素結合'''(すいそ けつごう)という、水素を仲立ちとした弱い結合をしている。塩基上の水素原子が、向かいあった塩基の窒素原子や酸素原子などと、弱く結合するのが、DNAの場合での水素結合である。 なお水素結合が見られるのは生物だけに限らず、一般の化学物質などでも多く見られる。たとえば水分子の安定性でも、水素結合が関わっている。 DNAの場合の水素結合では、アデニンはチミンの塩基対では、塩基上の2箇所で水素結合をする。シトシンとグアニンの塩基対では、塩基上の3箇所で水素結合をする。 二重らせんの幅は2.0nmで、らせん1回転(1ピッチ)の長さは3.4nm、らせん1回転中に10対のヌクレオチド対がある。 === DNAの働き === [[File:Amino acid strucuture for highscool education.svg|thumb|300px|アミノ酸の一般的な構造。図中のRは、アミノ酸の種類によって、ことなる。]] [[Image:aspartame2.png|thumb|400px|ペプチド結合の例。いっぽうのアミノ酸のカルボキシル基COOHと、もういっぽうのアミノ酸のアミノ基NH<sub>2</sub>が結合する。ペプチド結合のとき、COOHからOHが取り除かれ、NH<sub>2</sub>のHが取り除かれ、1分子の水 H<sub>2</sub>O ができる。]] DNAの働きには、主にタンパク質の設計図となることと、遺伝情報を子孫に伝えることがある。 DNAの遺伝子の働きかたを決める要因は、塩基の並び方で決定される。この塩基の並び方で、細胞で合成されるタンパク質が異なるため、DNAはタンパク質の設計図となっている。このため、DNAの塩基の並び方が異なると、遺伝情報も異なる。病気などの例外をのぞけば、ある生体で合成されたタンパク質、たとえば皮膚のタンパク質のコラーゲンや、骨のタンパク質や、筋肉のタンパク質のミオシンなど、どのタンパク質も、その生体のDNAの情報をもとに合成されたタンパク質である。 DNAは、細胞核の中で、RNA(アールエヌエー)というタンパク質合成用の塩基配列の物質をつくる。RNAの情報は、DNAの情報を元にしている。RNAは、核の外に出ていきリボソームと結合し、消化器官で食品のタンパク質から分解・吸収したアミノ酸を材料にして、 RNAの塩基配列に従ってアミノ酸をつなぎかえることで、タンパク質を作っている。 タンパク質の構造は、アミノ酸がいくつも結合した構造である。したがって、タンパク質を構成するアミノ酸の順序などの配列や、アミノ酸の数などによって、タンパク質の性質が異なる。なお、アミノ酸どうしの化学結合をペプチド結合という。 :(※ タンパク質の合成の仕組みについて、くわしくは、単元『[[高等学校理科 生物基礎/遺伝情報とタンパク質の合成]]』などの章で説明する。) DNAは、受精卵の時から、細胞分裂の際は、必ず複製されている。 DNAは配偶子形成の際半分になり、配偶子が受精すると合わさって元に戻る。 こうしてDNAは遺伝情報を子孫に伝えている。 :(※ 生殖細胞とDNAの分配の仕組みについて、くわしくは、『[[高等学校理科 生物基礎/遺伝情報の分配]]』などの章で説明する。) === DNA量の変化 === 配偶子形成の際のDNA量の変化は、原細胞のときを2と置くと、一次母細胞のときは4であり、二次母細胞のときは2となり、卵細胞・精細胞のときは1になり、受精卵のときに2にもどる。 体細胞分裂の際のDNA量の変化は、母細胞のときを2と置くと、前期~終期のときが4であり、娘細胞の時に2にもどる。 === DNAと生物の共通性・多様性 === DNAを設計図としタンパク質を作る仕組みは全ての生物で共通している。 しかし、塩基配列が少しずつ変化(ATCGが入れ替わったり、増えたり)して、 生物の多様性が生まれた。 === ゲノム === ゲノム(genome)とはある生物の遺伝子の全体のことである。 2003年にヒトゲノムの解読が完了した。 これにより、ヒトの遺伝子の全体が明らかとなった。 現在では、ゲノム研究は、食品や医療などに応用されている。 === (※ ほぼ範囲外:) 遺伝子の本体の研究 === :※ 2010年代の生物基礎・生物の教科書では、形質転換やファージなどの話題が、あまり見当たらない。 :※ 数研出版や第一学習社など、いくつかの教科書にあるが、コラム送りになっている。 1869年、スイスの[[w:フリードリッヒ・ミーシェル|フリードリッヒ・ミーシェル]]は、 細胞核内の物質を発見しヌクレイン(nuclein)と呼んだ。 当時は、遺伝子の本体はタンパク質であると考えられていたが、 今日では、ヌクレインはDNAと呼ばれ、遺伝子の本体であることが明らかになっている。 * グリフィスの実験 [[Image:Griffith_experiment_ja.svg|thumb|400px|right|[[w:グリフィスの実験|グリフィスの実験]]]] 1928年イギリスの[[w:フレデリック・グリフィス|フレデリック・グリフィス]]は、 肺炎レンサ球菌とネズミを用いて[[w:グリフィスの実験|実験]]を行った。 肺炎レンサ球菌には、被膜を持っていて病原性のあるS(smooth)型菌と、被膜が無く病原性のないR(rough)型菌の2種類がある。 被膜の有無と病原性の有無の、どちらも遺伝形質である。 通常の菌の分裂増殖では、S型とR型との違いという遺伝形質は変わらない。 グリフィスの実験結果は次の通り。 :生きたS型菌をネズミに注射すると、ネズミは肺炎を起こして死ぬ。 :生きたR型菌をネズミに注射すると、ネズミは肺炎を起こさない。 :加熱殺菌したS型菌をネズミに注射すると、ネズミは肺炎を起こさない。 :加熱殺菌したS型菌に生きたR型菌を混ぜてネズミに注射すると、ネズミは肺炎を起こして死ぬ。死んだネズミの血液を調べるとS型菌が繁殖していた。 これはR型菌の形質が、加熱殺菌したS型菌に含まれる物質によって、S型菌の形質へ変化したためであり、 これを'''形質転換'''(transformation: nuclein)と呼ぶ。 {{-}} * アベリーの実験 1943年ころ、カナダの[[w:オズワルド・アベリー|オズワルド・アベリー]]は、グリフィスの実験での形質転換を起こした物質が何かを特定するため、タンパク質分解酵素とDNA分解酵素を用いて、S型菌・R型菌の実験を行った。 実験結果 :S型菌のタンパク質を分解した抽出液にR型菌を混ぜると、S型菌へ形質転換した。 :次にS型菌のDNAを分解した抽出液にR型菌を混ぜても、S型菌へ形質転換はしなかった。 これによって、R型菌の形質転換を起こしたのはDNAであることがわかった。 * バクテリオファージの増殖実験 [[Image:Tevenphage.svg|thumb|left|T2ファージの構造]] 細菌に規制するウイルスのことをバクテリオファージまたは単にファージという。 1952年、アメリカの[[w:アルフレッド・ハーシー|アルフレッド・ハーシー]]と[[w:マーサ・チェイス|マーサ・チェイス]]は、 T2ファージというファージの一種のウイルスを用いて[[w:ハーシーとチェイスの実験|実験]]を行った。 T2ファージは細菌に寄生して増殖するウイルスであるバクテリオファージの一種であり、 ほぼタンパク質とDNAからできている。T2ファージの頭部の中にDNAが含まれる。それ以外の外殻(がいかく)はタンパク質で、できている。 彼らは、放射性同位体の<sup>35</sup>S(硫黄の放射性同位体)および<sup>32</sup>P(リンの放射性同位体)を目印として用い、硫黄をふくむタンパク質には<sup>35</sup>Sで目印をつけ、<sup>32</sup>PでDNAに目印をつけた。DNAは P(リン)をふくむがS(硫黄)をふくまない。彼らの実際の実験では、タンパク質に目印をつけた実験と、DNAに目印をつけた実験とは、それぞれ別に行った。 {{-}} [[File:ハーシーとチェイスの実験.svg|thumb|800px|ハーシーとチェイスの実験]] 実験では、それらの放射性同位体をもつT2ファージを大腸菌に感染させ、さらにミキサーで撹拌し、遠心分離器で大腸菌の沈殿と、上澄みに分けた。 大腸菌からは、<sup>32</sup>Pが多く検出され、あまり<sup>35</sup>Sは検出されなかった。このことからT2ファージのDNAが大腸菌に進入したと結論付けた。また、上澄みからはT2ファージのタンパク質が確認された。つまり上澄みはT2ファージの外殻をふくんでいる。 さらに、この大腸菌からは、20~30分後、子ファージが出てきた。子ファージには<sup>35</sup>Sは検出されなかった。 これによって、DNAが遺伝物質であることが証明された。 {{-}} == 遺伝子と染色体 == === 性染色体 === ==== 入門的な知識 ==== :(※ 編集者への注意: ) 2010年代の現代の中学校(高校ではなく)の理科や保健体育では、性染色体を教えてないかもしれません。この節を書く場合、読者が人生で始めて性染色体について習うかもしれない事を念頭に、平易に記述することをお願いします。 : なお、2010年代の現代の中学理科で習うこととして、メンデルの遺伝の法則と、中学生むけに簡略化した減数分裂の理論を習います。 ヒトの体細胞には46個の染色体があり、つまりヒトには23対の染色体がある。(2n=46) そのうち22対は、男女に共通して存在する染色体であり、これを'''常染色体'''(じょうせんしょくたい、Autosome)と呼ぶ。 いっぽう残りの2本の染色体によって、ヒトの性別が決定されるので、これを'''性染色体'''と呼ぶ。 ヒトの場合、男女に共通して存在する染色体のことを'''X染色体'''という。いっぽう、ヒトでは男性にのみ存在する染色体のことを'''Y染色体'''という。 {{コラム|※ 範囲外: クラインフェルター症候群やターナー症候群など| :ヒトなどの場合、X染色体があると女性ぽくなり、Yふがあると男性ぽくなるのが、なぜそうだと言い切れるのか、注意ぶかい学生には、気になるかもしれない。なぜなら、YYの組み合わせについては、教科書では何も言及してないからだ。 :つまり、教科書で習った範囲では、まだ「XXやYYだと女性」というYYについての可能性もありうるからだ。 :答えは実は、通常は性染色体YYの産まれてこないが、まれに産婦から分娩(ぶんべん)される子が性染色体YYの場合があり、子が性染色体YYだと死産になる、という医学的事実がある。(ただし、これは大学の専門課程のレベルの話題であるので、暗記しなくていい。) :このことから、まずYYの組み合わせについては、高校生は、もう考えなくてよくなる。 :では、次に「X染色体が女、Y染色体が男」ということの分かった理由も学ぼう。答えは、まれに染色体が2対ではなく3対の子が産まれる場合があり、さらに、まれに性染色体が3対でありXXYやXXXやXYYの子が産まれてくる事例がある。XYYのようにY染色体が多いと男性的な特徴がある子が産まれてくることが医学的に分かっている(XYY症候群)。 :いっぽう、XXYの場合の子は、XYと比べると女性的な傾向が比較的に強い(なおこのXXYの人をクラインフェルター症候群という)。 :このほか、XXXの場合、女性的な傾向がある(トリプルエックス症候群。「超女性」ともいう)。XOだと(Oは染色体が無い場合)、女性的である(ターナー症候群)。 :説明ではいきなり「XXY」とか「XYY」とか、2文字でなく3文字で染色体を表したが、こういうふうに、主に人間において、染色体が2対でなく3対の場合のことをトリソミーという。「トリ」とは、「トリオ」(三人衆)の「トリ」と同様の意味であり、数字の 3 のことである。普通の減数分裂では、トリソミーが起きないが、しかし、まれにトリソミーが起きる場合がある。(※ 生物学では同様の染色体が2対ではなく3対の事例を「三倍体」ともいうが、しかし、どちらかと言うと農作物とかの食料資源で「三倍体」と言う言い回しを使うので、wikibooksでは患者の尊厳に配慮して「トリソミー」という用語を使用した。) なお、トリソミーや三倍体は、性染色体だけでなく常染色体でも起きる場合がある。 :いっぽう、XOのような、ある染色体が1本だけで対にならないの場合、モノソミーという。音響機器などの「モノラル」のモノと同じような意味で、「モノ」は「1個」とかの意味である。 :このように、一般的にヒトの場合、どの性染色体異常でもX染色体の数が多ければ、そのぶん女性的な特徴をもつ。同様に、Yが多ければ、そのぶん男性的な特徴を持つ。ヒトの場合、Y染色体を一つでも性染色体に持つと、男になり、男性器および精巣をもつのが一般的である。(※ これらの話題は大学レベルであり、医療系学部のレベルなので、高校の時点では暗記は不要である。) :なお、これらは、あくまでヒトの場合であり、ほかの動物の場合は、後述するように、かならずしも、同じような結果になるとは限らない。 }} ==== 参考 ==== :※ 教科書には「参考」(数研出版の教科書)としてコラム的にページ下部に書かれている。啓林館の教科書では、本文中に書かれている。 ヒト以外の動物も含めると、性の決定には、XY型、XO型、ZW型、ZO型の4つがある。 XY型は、雌が同形のXX、雄が異形のXYの性染色体をもち、 [[w:ショウジョウバエ|ショウジョウバエ]]や、[[w:ヒト|ヒト]]などの[[w:哺乳類|哺乳類]]が行う。 XO型は、雌が同形のXX、雄がXの1つだけの性染色体をもち、 [[w:トンボ|トンボ]]や[[w:バッタ|バッタ]]などが行う。 ZW型は、雌が異形のZW、雄が同形のZZの染色体をもち、 [[w:ニワトリ|ニワトリ]]、[[w:ヘビ|ヘビ]]、[[w:カイコガ|カイコガ]]などが行う。 ZO型は、雌がZの1つだけ、雄が同形のZZの染色体をもち、 [[w:スグリエダシャク|スグリエダシャク]]などが行う。 :※ 範囲外: (※ 検定教科書(生物基礎・生物)に記述なし) :ただし、性の決定を性染色体以外で行う生物も多くいる。 :例えば、[[w:アカウミガメ|アカウミガメ]]は、卵が孵化する際の温度で雌雄が決まる。 :また、[[w:カタツムリ|カタツムリ]]は、雌雄同体で、一つの個体が精巣と卵巣を持つ。 == 遺伝の法則 == === 遺伝と形質 === '''遺伝'''(heredity)とは、生物の形や性質が、遺伝子によって、親から子へ伝わることである。 また、生物の形や性質のことを'''形質'''(けいしつ、trait)と呼ぶ。 形質には親から子へ遺伝する遺伝形質(genetic trait)と、 環境の影響によって獲得した遺伝しない獲得形質(Acquired trait)がある。 このページでは、形質とは遺伝形質を指す。 生殖の際に、親から生殖細胞を経て、子に伝えられている遺伝の因子を遺伝子(いでんし)といい、こんにちでは遺伝子の正体は、細胞にふくまれる'''DNA'''(ディーエヌエー)という物質であることが知られている。 === メンデルの法則 === :※ 2010年代の現代の中学(高校ではなく)で、「メンデルの法則」「優性」「劣性」という用語を習ってある。これ以外の用語は、中学の遺伝の単元では習わないようだ。 :また、2010年代の高校カリキュラムでは、下記の内容は高校3年の専門『生物』(かつての『生物II』に相当)に移動している。 ==== メンデルの実験 ==== <ref>岩槻邦夫、須原準平訳『メンデル 雑種植物の研究』岩波書店、1999年発行</ref> メンデルは、異なる形質をもつエンドウの品種を用意し、2年間にわたり育て、 同一個体の配偶子間で行われる'''自家受精'''(autogamy)で 全く同じで変化しない子孫を生じる'''純系'''(pure line)の品種を選んだ。 その際、明確に決定的に発現する、互いに異なる対立形質を7つ採用し、 1856年から62年にかけて交配実験を行った。 #熟した種子の形の違い(丸・しわ) #種子の胚乳の色の違い(黄・緑) #種皮の色の違い(有色・無色) #熟したさやの形の違い(ふくれ・くびれ) #未熟なさやの色の違い(緑・黄) #花の位置の違い(腋生(えきせい)・頂生(ちょうせい)) #茎の長さの違い(高い・低い) '''実験1''' 1.種子の形について、 丸としわの純系を用意して両親P(Parents)としたところ、 その子雑種第一代<ref>メンデルは「雑種第一代」を単に「雑種」と呼び、「雑種第二代」を「雑種第一代」と呼んでいた。</ref>F1(Filius)は、全て丸であった。 このようにF1では、対立形質の片方のみが表れる。 現れる形質を優性形質(dominant trait)と呼び、現れない形質を劣性形質(recessive trait)と呼ぶ。 ここでの優性・劣性は、単に形質が現れやすい・現れにくいを意味し、形質が優秀である・劣等であるを意味しない。 '''実験2''' F1を自家受精したところ、 雑種第二代F2では丸としわが5474個と1850個で、およそ3:1の出現比であった。 このようにF2では、 優性形質と劣性形質がおよそ3:1の比で出現する。 '''実験3''' F2を自家受精したところ、 F2でしわだったものは、F3で全てしわの純系となり、 F2で丸だったものは、565株のF3の内、 193株は丸の純系となり、 372株は丸としわを3:1の比で生じた。 このようにF3では、F2で劣性形質を示すものは、劣性形質の純系となり、 F2で優性形質を示すものは、このうち、3分の2は優性形質と劣性形質を3:1の比で生ずる子孫を作り、 3分の1は優性形質の純系となる。 '''実験4''' 1.種子の形と2.胚乳の色について、 種子の形が丸で胚乳の色が黄の純系と種子の形がしわで胚乳の色が緑の純系を用意して両親Pとしたところ、 その子F1はすべて丸で黄であった。 '''実験5''' F1を自家受精したところ、 F2では丸・黄、丸・緑、しわ・黄、しわ・緑が315個、108個、101個、32個で、 およそ9:3:3:1の出現比であった。 ==== 遺伝子型と表現型 ==== 個体の遺伝子の構成を記号で表したものを'''遺伝子型'''(genotype)と呼ぶ。 遺伝子型はふつう優性形質をアルファベットの大文字で表し、 劣性形質をアルファベットの小文字で表す。 ある形質を決定する遺伝子は、 ペアの染色体の同じ位置に1つずつ、 あわせて2つあるため、 アルファベット2文字で表す。(例:AA,Aa,aa) また、AAやaaのように同じ遺伝子がペアになっているものを'''ホモ接合体(homozygous, 同型接合体)'''と呼び、 Aaのように異なる遺伝子がペアになっているものを'''ヘテロ接合体'''(heterozygous, 異型接合体)と呼ぶ。 遺伝子型によって現れる形質を'''表現型'''(phenotype)と呼ぶ。 遺伝子型の記号を[]で囲んで表すこともある。(例:[A],[a]) ==== 検定交雑と戻し交雑 ==== 遺伝子型の判別のために、その個体と劣性形質の個体とを交雑することを'''検定交雑'''(test cross)と呼ぶ。 また、F1とPとを交雑することを'''戻し交雑'''(backcross)と呼ぶ。 下の表は、検定交雑で遺伝子型を判別する方法を示している。 配偶子?2と?4の遺伝子構成は、F1の表現型とその分離比から予想できる。 つまり、?2はAのみ、?4はAとaである。 両親?1と?3の遺伝子型は、配偶子?2と?4の遺伝子構成から予想できる。 つまり、?1はAA、?4はAaである。 {|class="wikitable" style="text-align:center" |- |P||優性形質<br>?1|| ||劣性形質<br>aa |- | ||↓|| ||↓ |- |配偶子||?2||丅||a |- | || ||↓|| |- |F1|| ||全て優性形質<br>Aa|| |- |} {|class="wikitable" style="text-align:center" |- |P||優性形質<br>?3|| ||劣性形質<br>aa |- | ||↓|| ||↓ |- |配偶子||?4||丅||a |- | || ||↓|| |- |F1|| ||優性形質:劣性形質<br>Aa:aa<br>1:1|| |- |} ==== 優性の法則 ==== {|class="wikitable" |- !!!!!Pの配偶子 |- !!!!!A |- !Pの配偶子!!a |align="middle"|Aa<br>[A] |- |} 実験1では、 種子の形が丸をA,しわをaと表すとすると、 遺伝子型は、丸の純系はAA、しわの純系はaaと表せる。 この両親Pの配偶子はそれぞれA、aとなり、 その子F1の遺伝子型はAaとなり、表現型は[A]となる。 このように、優性形質の純系と劣性形質の純系とを交雑すると、 その子は優性形質のみを表し、 これを'''優性の法則'''(law of dominance)と呼ぶ。 なお、今日では、エンドウの種子の形を決める遺伝子は、 実際には酵素を作る遺伝子であり、その酵素がデンプンを作って種子の形を丸にしていることがわかっている。デンプンの量は、AaはAAとaaの中間であるが、種子の形を丸にするには十分な量であるため、Aaの種子の形は丸となっている。 ==== 分離の法則 ==== {|class="wikitable" |- |||||colspan="2"|F1の配偶子<!--||--> |- |||||A||a |- |rowspan="2"|F1の配偶子||A||align="middle"|AA<br>[A]||align="middle"|Aa<br>[A] |- <!--||-->|a||align="middle"|Aa<br>[A]||align="middle"|aa<br>[a] |- |} 実験2では、 F1の遺伝子型はAaと表され、 配偶子が作られるとき分離し、 それぞれの配偶子はA,aとなる。 このように配偶子形成の際ペアの遺伝子が分離し、 それぞれ配偶子に受け継がれることを'''分離の法則'''(law of segregation)と呼ぶ。 F1の自家受精では、 その配偶子がそれぞれ受精するため、 F2ではAA:Aa:aa=1:2:1となり、 結果[A]:[a]=3:1となる。 実験3では、 F2で[a]だったものは、aaであるから、 その配偶子はaであり、自家受精でaaつまり[a]となる。 F2で[A]だったものは、AA:Aa=1:2であるから、 3分の1のAAの配偶子はAであり、自家受精でAAつまり[A]となり、 3分の2のAaの配偶子はA,aとなり、自家受精でAA:Aa:aa=1:2:1つまり[A]:[a]=3:1となる。 ==== 独立の法則 ==== {|class="wikitable" |- !!!!!Pの配偶子 |- !!!!!AB |- !Pの配偶子!!ab |align="middle"|AaBb<br>[AB] |- |} 実験4では、 種子の形が丸をA,しわをa、胚乳の色が黄をB,緑をbと表すとすると、 遺伝子型は、丸で黄の純系はAABB、しわで緑の純系はaabbと表せる。 この両親Pの配偶子はそれぞれAB,abとなり、 その子F1の遺伝子型はAaBbとなり、表現型は[AB]となる。 {|class="wikitable" |- |||||colspan="4"|F1の配偶子<!--||--><!--||--><!--||--> |- |||||AB||Ab||aB||ab |- |rowspan="4"|F1の配偶子||AB||align="middle"|AABB<br>[AB]||align="middle"|AABb<br>[AB]||align="middle"|AaBB<br>[AB]||align="middle"|AaBb<br>[AB] |- <!--||-->|Ab||align="middle"|AABb<br>[AB]||align="middle"|AAbb<br>[Ab]||align="middle"|AaBb<br>[AB]||align="middle"|Aabb<br>[Ab] |- <!--||-->|aB||align="middle"|AaBB<br>[AB]||align="middle"|AaBb<br>[AB]||align="middle"|aaBB<br>[aB]||align="middle"|aaBb<br>[aB] |- <!--||-->|ab||align="middle"|AaBb<br>[AB]||align="middle"|Aabb<br>[Ab]||align="middle"|aaBb<br>[aB]||align="middle"|aabb<br>[ab] |- |} 実験5では、 F1の遺伝子型はAaBbとあらわされ、 配偶子が作られるとき分離し、 それぞれの配偶子は、AB,Ab,aB,abとなる。 F1の自家受精では、 その配偶子がそれぞれ受精するため、 F2でAABB:AABb:AaBB:AaBb:AAbb:Aabb:aaBB:aaBb:aabb=1:2:2:4:1:2:1:2:1となり、 結果[AB]:[Ab]:[aB]:[ab]=9:3:3:1となる。 実験4・5では、 種子の形だけあるいは胚乳の色だけに注目すると、 それぞれ優性の法則と分離の法則に従い独立して遺伝している。 つまり、種子の形に関しては[A]:[a]=3:1であり、胚乳の色に関しては[B]:[b]=3:1である。 このように、2つの遺伝子が異なる染色体に存在するとき、 その遺伝子が互いに影響しないことを'''独立の法則'''(law of independence)と呼ぶ。 === 参考: さまざまな遺伝 === :※ この節の話題は、かつ2000年代ごろまで、下記の不完全優性~抑制遺伝子、伴性遺伝などの話題は、むかしは高校生物の教科書や参考書に良くある話題だったが、しかし現代の高校教育では重要度が低いと考えられるように教育状況が変化しており(『もういちど読む』シリーズの高校生物にその事情が書いてある)、検定教科書では「参考」などのコラムに送られている。 ==== 不完全優性 ==== 優性と劣性の関係が不完全な遺伝の仕方を'''不完全優性'''(incomplete dominance)と呼ぶ。 不完全優性では優性の法則は当てはまらない。 不完全優性は、[[w:マルバアサガオ|マルバアサガオ]]などが行う。 マルバアサガオには、花の色が赤Rと白rのものがある。 花の色が赤の純系RRと白の純系rrを両親Pとすると、 その子F1はRrで花の色が中間の桃色となる。 さらにその子F2は、RR:Rr:rr=1:2:1で、赤色:桃色:白色=1:2:1となる。 {|class="wikitable" style="text-align:center" |- |P||RR<br>赤色||×||rr<br>白色 |- | || ||↓|| |- |F1|| ||Rr<br>桃色|| |- | || ||↓|| |- |F2 |colspan="3"|RR:Rr:Rr:rr<br>赤色:桃色:桃色:白色 |- |} ==== 致死遺伝子 ==== 成体になるまでに致死作用がある遺伝子を'''致死遺伝子'''(lethal gene)と呼ぶ。 致死遺伝子は、多くの生物に存在する。 例えば、[[w:ハツカネズミ|ハツカネズミ]]は致死遺伝子を持っており、 毛の色が黄色Yと灰色yのものがある。 黄色Yyを両親Pとすると、 その子F1はYy:yy=2:1で、[Y]:[y]=2:1となる。 YYの個体は発生の段階で死んでしまう。 これはYが劣性の致死遺伝子だからである。 {|class="wikitable" style="text-align:center" |- |P||Yy<br>黄色||×||Yy<br>黄色 |- | || ||↓|| |- |F1 |colspan="3"|YY:Yy:Yy:yy<br>死:黄色:黄色:灰色 |- |} ==== 複対立遺伝子 ==== 同一の遺伝子座にある、同一形質を決める、複数の遺伝子を'''複対立遺伝子'''(multiallelic gene)と呼ぶ。 複対立遺伝子には、ヒトのABO式血液型などがある。 ヒトのABO式血液型には、A型、B型、AB型、O型の4種類があり、 AとBとは不完全優性で、A,BはOに対して完全優性である。 例えば下の表のように、AO(A型)とBO(B型)を両親とすると、 その子はAB,AO,BO,OOとなり、それぞれAB型,A型,B型,O型となる。 {|class="wikitable" |- !表現型 |A型||B型||AB型||O型 |- !遺伝子型 |AA<br>AO||BB<br>BO||AB||OO |- |} {|class="wikitable" style="text-align:center" |- |P||AO<br>A型||×||BO<br>B型 |- | || ||↓|| |- |F1 |colspan="3"|AB:AO:BO:OO<br>AB型:A型:B型:O型 |- |} ==== 補足遺伝子 ==== 対立しない2つ以上の遺伝子が、その働きを互いに補足しあって1つの形質を決めるとき、その遺伝子を'''補足遺伝子'''()と呼ぶ。 補足遺伝子には、[[w:スイートピー|スイートピー]]の花の色などがある。 色素原を作る遺伝子をC、色素原から色素を作る遺伝子をPとし、 白色花CCppと白色花ccPPを両親Pとすると、 その子F1はCcPpで有色花となる。 さらにその子F2は、C-P-:C-pp:ccP-:ccpp=9:3:3:1で、有色花:白色花:白色花:白色花=9:3:3:1つまり有色花:白色花=9:7となる。 これはCとPの両方をもっていないと色素が作られないためである。 {|class="wikitable" style="text-align:center" |- |P||CCpp<br>白色花||×||ccPP<br>白色花 |- | || ||↓|| |- |F1|| ||CcPp<br>有色花|| |- | || ||↓|| |- |F2 |colspan="3"|9C-P-:3C-pp:3ccP-:1ccpp<br>9有色花:3白色花:3白色花:1白色花 |- |} ==== 抑制遺伝子 ==== 他の遺伝子の働きを抑制する遺伝子を'''抑制遺伝子'''(suppressor gene)と呼ぶ。 抑制遺伝子には、[[w:カイコガ|カイコガ]]のまゆの色などがある。 黄色遺伝子をY、Yの働きを抑制する遺伝子をIとし、 白まゆIIyyと黄まゆiiYYを両親Pとすると、 その子F1はIiYyで白まゆとなる。 さらにその子F2は、I-Y-:I-yy:iiY-:iiyy=9:3:3:1で、白まゆ:白まゆ:黄まゆ:白まゆ=9:3:3:1つまり白まゆ:黄まゆ=13:3となる。 これはIがYの働きを抑制するためである。 {|class="wikitable" style="text-align:center" |- |P||IIyy<br>白まゆ||×||iiYY<br>黄まゆ |- | || ||↓|| |- |F1|| ||IiYy<br>白まゆ|| |- | || ||↓|| |- |F2 |colspan="3"|9I-Y-:3I-yy:3iiY-:1iiyy<br>9白まゆ:3白まゆ:3黄まゆ:1白まゆ |- |} ==== 伴性遺伝 ==== 性染色体の中にあるが、性の決定以外の働きをもった遺伝子の遺伝現象のことを'''伴性遺伝'''(sex-linked inheritance)という。 伴性遺伝は形質の発現が性別によって異なり、 ヒトの赤緑色覚異常や血友病などに見られる。 ヒトの[[w:赤緑色覚異常|赤緑色覚異常]]の遺伝子は、X染色体上にある劣性遺伝子である。 :男性はそもそもX染色体を一つしかもたないので、そのX染色体に色覚異常遺伝子があれば、発症する。 :いっぽう女性は、X染色体を2つもつので、両方のX染色体に色覚異常遺伝子がある場合にだけ発症する。女性において線染色体の片方だけに色覚異常の遺伝子がある場合、発症はしない。(※ 範囲外: しかし保因者(ほいんしゃ)である。) 記号的に書けば、優性遺伝子と劣性遺伝子をそれぞれA,aと表すと、 X<sup>A</sup>、X<sup>a</sup>のように表す。この場合、X<sup>a</sup>が色覚異常の遺伝子である。 :男性では、X<sup>A</sup>Y、X<sup>a</sup>Yの2種類の遺伝子型があり、X<sup>a</sup>Yの場合のみ色覚異常となる。 :女性では、X<sup>A</sup>X<sup>A</sup>、X<sup>A</sup>X<sup>a</sup>、X<sup>a</sup>X<sup>a</sup>の3種類の遺伝子型があり、X<sup>a</sup>X<sup>a</sup>の場合のみ色覚異常となる。 このように、伴性遺伝は性別によって遺伝の仕方が異なる。 このようなメンデル遺伝的な理由もあって男性のほうが統計的には遺伝性の色覚異常は多いが、しかし女性でも遺伝性の色覚異常者はいる<ref>KIM E. BARRETT ほか原著改訂、岡田泰伸 監訳『ギャノング生理学 原著23版 』丸善株式会社、平成23年1月31日 発行、P233、節『クリニカルボックス 12-6 色覚異常』</ref>。 :※ しばしば、「色覚異常は男性だけ」のような誤解の書かれている医療入門書もあるが、そのような入門書の記述は間違いである。 === 連鎖と組み換え === 同じ染色体にある遺伝子が、配偶子形成の際に行動をともにすることを、遺伝子の連鎖(linkage)という。 1905年、イギリスの[[w:ウィリアム・ベーツソン|ウィリアム・ベーツソン]]は、 [[w:スイートピー|スイートピー]]の交雑実験から、 連鎖の現象を発見した。 生殖細胞の減数分裂のとき、相同染色体の一部が交換する現象を'''乗換え'''(crossover)という。 そのときに遺伝子の配列が変わることを'''組換え'''(Recombination)という。 遺伝子の組換えが起こる割合を'''組換え価'''()といい、パーセントで表される。 組み換え価を<math>l</math> %、組み換えの起こった配偶子数を<math>m</math>、全ての配偶子数を<math>n</math>と置くと、組み換え価は次のように求める。 <math>l</math> <math>=</math> <math>\frac{m}{n}</math> <math>\times 100</math> 1926年、アメリカの[[w:トーマス・ハント・モーガン|トーマス・ハント・モーガン]]は、 異なる3つの形質に対し、組み換え価を求め、その組み換え価から遺伝子距離を求める'''三点交雑'''(three-point cross)により、 [[w:キイロショウジョウバエ|キイロショウジョウバエ]]の遺伝子の配列を図示し、これを'''染色体地図'''(chromosome map)と呼ぶ。 {{-}} == 脚注 == <references/> == 参考文献 == * 田中隆荘ほか『高等学校生物I』第一学習社、2004年2月10日発行、pp.110-154 * [https://web.archive.org/web/20141016171612/http://www.nhk.or.jp/kokokoza/library/2013/tv/seibutsu/ 『NHK高校講座 生物』第16-21回] * [http://www.weblio.jp/cat/academic/sbtgy 生物学用語辞典 - Weblio 学問] [[Category:高等学校教育|生1いてん]] [[Category:生物学|高1いてん]]
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2022-08-22T08:19:31Z
[ "テンプレート:-", "テンプレート:コラム" ]
https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E7%94%9F%E7%89%A9/%E7%94%9F%E7%89%A9I/%E9%81%BA%E4%BC%9D%E6%83%85%E5%A0%B1%E3%81%A8DNA
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HTML/ハイパーリンク
ハイパーリンクとは、部分テキストや要素に他のページなどへの参照関係をもたせること。 参照とは、対象をクリック(またはタップあるいキーボードによりアクティブ化するなど)でリンク先へ閲覧対象を遷移する機能。 この参照関係をハイパーリンクあるいは単にリンクと呼ぶ。ハイパーリンクで参照関係を作ることをリンクを張るという。 Microsoft Edge や Google Chrome など主要なウェブブラウザではリンクを張ったテキストは青い文字にアンダーラインをつけて表示される。 この表現は、スタイルシートで変更できる。 リンクを張るにはhref属性を伴ったA要素(Anchorの略)使う。 A要素で囲まれたテキストを選択すると指定されたリンク先へ移動できる。テキストはリンク先の内容が何であるかを示す内容であるのが望ましく「ここ」や「これ」などの指示代名詞を使うことは避けたほうがよい。 なお、リンク先のURLに国際化ドメイン名やパーセントエンコーディングが必要な文字種を含めた場合、対応していないウェブブラウザでは製作者の意図したリンク先へと飛べない。 代替テキストは画像が表示できない環境下で画像の代わりにテキストとして表示されるものであるため、リンク先が何であるかを示す内容にすることが望ましい。画像にリンクを張った場合ウェブブラウザによっては画像の周りに枠が表示されるがスタイルシートで消すことも出来る(border属性は非推奨)。 ウェブブラウザが直接処理できないスキーム名やファイルタイプをリンク先に指定すると通常のリンクとは違う処理が行われ、ファイルの処理方法を確認する画面が出たり別のアプリケーションが自動的にファイルを受け取ってリンク先を開いたりする形での対処が行われる。 例:メールアドレス(mailtoスキーム)へのリンク mailto:メールアドレスと指定するとメールアドレスへリンクを貼ることが出来、リンクをクリックするとウェブブラウザ側で指定されたメールクライアントでそのアドレスへ宛てたメールを作成する画面が立ち上がる。 subject=でメールの件名をbody=でメールの本文を指定できるが、対応していないクライアントの存在も考慮しよう。 target属性を指定することでリンク先の開き方を設定できる。ただし強制的に新しいウィンドウを開くやり方はリンク先を同じウィンドウで開きたいユーザーにとって迷惑であり、全画面表示や音声ウェブブラウザの利用者を困惑させることもあるため積極的な利用は避けるべきである(これはPCがクライアントの主流であった時代の認識で、モバイルクライアントにおいては「別タブで開く」には長押しなど煩雑な操作が必要なので「現在のタブに開く」か「別タブで開く」方が好ましいかをコンテンツ製作者は熟慮する必要がある)。 A要素にname属性を指定するとそのページ内のその場所にラベルを指定することができる。ラベルを指定しておくとそのテキストや画像がある位置までジャンプできるようになる。これにより途中の内容を省略できるだけでなく、任意の場所にすばやく移動できるためページの内容が長い場合などに便利である(HTML5ではA要素のname属性は Obsolate とされている)。 ページ内でラベルを貼った位置に移動したい場合はA要素のhref属性に#ラベル名という属性値を指定する。また、他のページ内にあるラベルへ移動したい場合はリンク先#ラベル名のように指定する。なお、ラベル名にパーセントエンコーディングが必要な文字列を指定するとウェブブラウザによっては正しく機能しなくなるケースがあるので、必ずパーセントエンコーディングが必要ない文字列で記述するようにしよう(この項目のURL自体がパーセントエンコーディングが必要ない文字列になっていることから判るように、これは相当過去の認識)。 ラベルはid属性を使って指定することも出来る。id属性を使う場合必ずしもA要素に対して記述する必要は無くA要素以外の要素へ指定した場合でもラベルとして機能する。 むしろA要素をリンク先のラベルとして使う用法は例外的で、リンクを意味するA要素と紛らわしいのでid属性を使ったアンカーを使うことが望ましい。 id属性は古いウェブブラウザが解釈できないため、A要素にnameとidの両方を指定する方法もある。この場合name属性とid属性には同じ値を指定する。 絶対パスとは目的とするアドレスをルートディレクトリを基準として表す方法であり、相対パスとは現在表示しているページのアドレスなど特定のディレクトリを基準としてリンク先ファイルまでの相対的な位置関係を示す。絶対URLとはhttps://~から記述して表す方法である。外部のサーバーに対するリンクでは絶対URLを使用しなければならない。同じサーバー内のリンクに対しては相対パスと絶対パス、絶対URLのどれでも使用することが可能である。 例えば同じディレクトリ内にあるファイルを絶対パスや絶対URLでリンクさせた場合ディレクトリを移動したりディレクトリ名を変更するとリンクが機能しなくなるが、ここで相対パスを使用していた場合ファイルの位置関係が変わっていなければディレクトリに変更が加わってもリンクはそのまま機能し続ける。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "ハイパーリンクとは、部分テキストや要素に他のページなどへの参照関係をもたせること。 参照とは、対象をクリック(またはタップあるいキーボードによりアクティブ化するなど)でリンク先へ閲覧対象を遷移する機能。 この参照関係をハイパーリンクあるいは単にリンクと呼ぶ。ハイパーリンクで参照関係を作ることをリンクを張るという。 Microsoft Edge や Google Chrome など主要なウェブブラウザではリンクを張ったテキストは青い文字にアンダーラインをつけて表示される。 この表現は、スタイルシートで変更できる。 リンクを張るにはhref属性を伴ったA要素(Anchorの略)使う。", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "A要素で囲まれたテキストを選択すると指定されたリンク先へ移動できる。テキストはリンク先の内容が何であるかを示す内容であるのが望ましく「ここ」や「これ」などの指示代名詞を使うことは避けたほうがよい。 なお、リンク先のURLに国際化ドメイン名やパーセントエンコーディングが必要な文字種を含めた場合、対応していないウェブブラウザでは製作者の意図したリンク先へと飛べない。", "title": "基本形" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "代替テキストは画像が表示できない環境下で画像の代わりにテキストとして表示されるものであるため、リンク先が何であるかを示す内容にすることが望ましい。画像にリンクを張った場合ウェブブラウザによっては画像の周りに枠が表示されるがスタイルシートで消すことも出来る(border属性は非推奨)。", "title": "基本形" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "ウェブブラウザが直接処理できないスキーム名やファイルタイプをリンク先に指定すると通常のリンクとは違う処理が行われ、ファイルの処理方法を確認する画面が出たり別のアプリケーションが自動的にファイルを受け取ってリンク先を開いたりする形での対処が行われる。", "title": "基本形" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "例:メールアドレス(mailtoスキーム)へのリンク", "title": "基本形" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "mailto:メールアドレスと指定するとメールアドレスへリンクを貼ることが出来、リンクをクリックするとウェブブラウザ側で指定されたメールクライアントでそのアドレスへ宛てたメールを作成する画面が立ち上がる。", "title": "基本形" }, { "paragraph_id": 6, "tag": "p", "text": "subject=でメールの件名をbody=でメールの本文を指定できるが、対応していないクライアントの存在も考慮しよう。", "title": "基本形" }, { "paragraph_id": 7, "tag": "p", "text": "target属性を指定することでリンク先の開き方を設定できる。ただし強制的に新しいウィンドウを開くやり方はリンク先を同じウィンドウで開きたいユーザーにとって迷惑であり、全画面表示や音声ウェブブラウザの利用者を困惑させることもあるため積極的な利用は避けるべきである(これはPCがクライアントの主流であった時代の認識で、モバイルクライアントにおいては「別タブで開く」には長押しなど煩雑な操作が必要なので「現在のタブに開く」か「別タブで開く」方が好ましいかをコンテンツ製作者は熟慮する必要がある)。", "title": "基本形" }, { "paragraph_id": 8, "tag": "p", "text": "A要素にname属性を指定するとそのページ内のその場所にラベルを指定することができる。ラベルを指定しておくとそのテキストや画像がある位置までジャンプできるようになる。これにより途中の内容を省略できるだけでなく、任意の場所にすばやく移動できるためページの内容が長い場合などに便利である(HTML5ではA要素のname属性は Obsolate とされている)。", "title": "ラベル" }, { "paragraph_id": 9, "tag": "p", "text": "ページ内でラベルを貼った位置に移動したい場合はA要素のhref属性に#ラベル名という属性値を指定する。また、他のページ内にあるラベルへ移動したい場合はリンク先#ラベル名のように指定する。なお、ラベル名にパーセントエンコーディングが必要な文字列を指定するとウェブブラウザによっては正しく機能しなくなるケースがあるので、必ずパーセントエンコーディングが必要ない文字列で記述するようにしよう(この項目のURL自体がパーセントエンコーディングが必要ない文字列になっていることから判るように、これは相当過去の認識)。", "title": "ラベル" }, { "paragraph_id": 10, "tag": "p", "text": "ラベルはid属性を使って指定することも出来る。id属性を使う場合必ずしもA要素に対して記述する必要は無くA要素以外の要素へ指定した場合でもラベルとして機能する。 むしろA要素をリンク先のラベルとして使う用法は例外的で、リンクを意味するA要素と紛らわしいのでid属性を使ったアンカーを使うことが望ましい。", "title": "ラベル" }, { "paragraph_id": 11, "tag": "p", "text": "id属性は古いウェブブラウザが解釈できないため、A要素にnameとidの両方を指定する方法もある。この場合name属性とid属性には同じ値を指定する。", "title": "ラベル" }, { "paragraph_id": 12, "tag": "p", "text": "絶対パスとは目的とするアドレスをルートディレクトリを基準として表す方法であり、相対パスとは現在表示しているページのアドレスなど特定のディレクトリを基準としてリンク先ファイルまでの相対的な位置関係を示す。絶対URLとはhttps://~から記述して表す方法である。外部のサーバーに対するリンクでは絶対URLを使用しなければならない。同じサーバー内のリンクに対しては相対パスと絶対パス、絶対URLのどれでも使用することが可能である。", "title": "絶対パスと相対パスと絶対URL" }, { "paragraph_id": 13, "tag": "p", "text": "例えば同じディレクトリ内にあるファイルを絶対パスや絶対URLでリンクさせた場合ディレクトリを移動したりディレクトリ名を変更するとリンクが機能しなくなるが、ここで相対パスを使用していた場合ファイルの位置関係が変わっていなければディレクトリに変更が加わってもリンクはそのまま機能し続ける。", "title": "絶対パスと相対パスと絶対URL" } ]
ハイパーリンクとは、部分テキストや要素に他のページなどへの参照関係をもたせること。 参照とは、対象をクリック(またはタップあるいキーボードによりアクティブ化するなど)でリンク先へ閲覧対象を遷移する機能。 この参照関係をハイパーリンクあるいは単にリンクと呼ぶ。ハイパーリンクで参照関係を作ることをリンクを張るという。 Microsoft Edge や Google Chrome など主要なウェブブラウザではリンクを張ったテキストは青い文字にアンダーラインをつけて表示される。 この表現は、スタイルシートで変更できる。 リンクを張るにはhref属性を伴ったA要素(Anchorの略)使う。
{{Pathnav|HTML|frame=1|small=1}} '''ハイパーリンク'''とは、部分テキストや要素に他のページなどへの参照関係をもたせること。 参照とは、対象をクリック(またはタップあるいキーボードによりアクティブ化するなど)でリンク先へ閲覧対象を遷移する機能。 この参照関係を'''ハイパーリンク'''あるいは単に''リンク''と呼ぶ。ハイパーリンクで参照関係を作ることを''リンクを張る''という。 [[w:Microsoft Edge|Microsoft Edge]] や [[w:Google Chrome|Google Chrome]] など主要な[[w:ウェブブラウザ|ウェブブラウザ]]ではリンクを張ったテキストは青い文字にアンダーラインをつけて表示される。 この表現は、スタイルシートで変更できる。 リンクを張るにはhref属性を伴ったA要素('''A'''nchorの略)使う。 == 基本形 == <syntaxhighlight lang="html5"> <a href="リンク先のURL">表示させたいURLまたはテキスト</a> </syntaxhighlight> A要素で囲まれたテキストを選択すると指定されたリンク先へ移動できる。テキストはリンク先の内容が何であるかを示す内容であるのが望ましく「ここ」や「これ」などの指示代名詞を使うことは避けたほうがよい。 なお、リンク先のURLに[[w:国際化ドメイン名|国際化ドメイン名]]や[[w:パーセントエンコーディング|パーセントエンコーディング]]が必要な文字種を含めた場合、対応していないウェブブラウザでは製作者の意図したリンク先へと飛べない。 === 画像での例 === <syntaxhighlight lang="html5"> <a href="リンク先のURL"><img src="表示させたい画像のURL" alt="代替テキスト"></a> </syntaxhighlight> 代替テキストは画像が表示できない環境下で画像の代わりにテキストとして表示されるものであるため、リンク先が何であるかを示す内容にすることが望ましい。画像にリンクを張った場合ウェブブラウザによっては画像の周りに枠が表示されるがスタイルシートで消すことも出来る(border属性は非推奨)。 === ウェブページ以外へのリンク === ウェブブラウザが直接処理できない[[w:スキーム名|スキーム名]]や[[w:ファイルタイプ|ファイルタイプ]]をリンク先に指定すると通常のリンクとは違う処理が行われ、ファイルの処理方法を確認する画面が出たり別のアプリケーションが自動的にファイルを受け取ってリンク先を開いたりする形での対処が行われる。 '''例:メールアドレス([[w:mailto|mailtoスキーム]])へのリンク''' <syntaxhighlight lang="html5"> <a href="mailto:メールアドレス">表示させたいテキスト</a> <a href="mailto:メールアドレス?subject=件名&amp;body=本文">表示させたいテキスト</a> </syntaxhighlight> <nowiki>mailto:</nowiki>メールアドレスと指定するとメールアドレスへリンクを貼ることが出来、リンクをクリックするとウェブブラウザ側で指定された[[w:メールクライアント|メールクライアント]]でそのアドレスへ宛てたメールを作成する画面が立ち上がる。 subject=でメールの件名をbody=でメールの本文を指定できるが、対応していないクライアントの存在も考慮しよう。 === ターゲット指定 === <syntaxhighlight lang="html5"> <a href="リンク先のURL" target="ターゲット">表示させたいURLまたはテキスト</a> </syntaxhighlight> target属性を指定することでリンク先の開き方を設定できる。ただし強制的に新しいウィンドウを開くやり方はリンク先を同じウィンドウで開きたいユーザーにとって迷惑であり、全画面表示や音声ウェブブラウザの利用者を困惑させることもあるため積極的な利用は避けるべきである(これはPCがクライアントの主流であった時代の認識で、モバイルクライアントにおいては「別タブで開く」には長押しなど煩雑な操作が必要なので「現在のタブに開く」か「別タブで開く」方が好ましいかをコンテンツ製作者は熟慮する必要がある)。 {| class="wikitable" |+ A要素のtarget属性の値と働き |- !style="width:6em;"|ターゲット名!!概要 |- |_blank||新しいウィンドウまたはタブでページを開く |- |_top||フレーム内のページからリンクしたとき、フレームをすべて解除してページをウィンドウ全体に開く |- |_self||フレーム内のページからリンクしたとき、リンク先ページをリンク元と同じフレームに開く |- |_parent||フレーム内のページからリンクしたとき、リンク先ページをフレームを一段階解除してリンク元のフレームに開く |- |任意名||1回目は新しいウィンドウまたはタブで開かれるが、そのページを開いたまま同じターゲットのページを開くとすでに同じ名前で開かれたウィンドウまたはタブが上書きされる。フレームの場合、指定されたtargetと同じname属性を付与されたフレームがあればそのフレームを上書きしてリンク先を開く。 |} == ラベル == <syntaxhighlight lang="html5"> <a name="任意のラベル名">ラベルを貼るテキスト</a> </syntaxhighlight> A要素にname属性を指定するとそのページ内のその場所にラベルを指定することができる。ラベルを指定しておくとそのテキストや画像がある位置までジャンプできるようになる。これにより途中の内容を省略できるだけでなく、任意の場所にすばやく移動できるためページの内容が長い場合などに便利である(HTML5ではA要素のname属性は Obsolate とされている)。 <syntaxhighlight lang="html5"> <a href="#ラベル名">リンクを貼るテキスト</a> <a href="リンク先#ラベル名">リンクを貼るテキスト</a> </syntaxhighlight> ページ内でラベルを貼った位置に移動したい場合はA要素のhref属性に#ラベル名という属性値を指定する。また、他のページ内にあるラベルへ移動したい場合はリンク先#ラベル名のように指定する。なお、ラベル名にパーセントエンコーディングが必要な文字列を指定するとウェブブラウザによっては正しく機能しなくなるケースがあるので、必ずパーセントエンコーディングが必要ない文字列で記述するようにしよう(この項目のURL自体がパーセントエンコーディングが必要ない文字列になっていることから判るように、これは相当過去の認識)。 === id属性を使ったラベルの指定 === <syntaxhighlight lang="html5"> <span id="任意の名前">ラベルを貼るテキスト</span> </syntaxhighlight> ラベルはid属性を使って指定することも出来る。id属性を使う場合必ずしもA要素に対して記述する必要は無くA要素以外の要素へ指定した場合でもラベルとして機能する。 むしろA要素をリンク先のラベルとして使う用法は例外的で、リンクを意味するA要素と紛らわしいのでid属性を使ったアンカーを使うことが望ましい。 <syntaxhighlight lang="html5"> <a name="任意の名前" id="任意の名前">ラベルを貼るテキスト</a> </syntaxhighlight> id属性は古いウェブブラウザが解釈できないため、A要素にnameとidの両方を指定する方法もある。この場合name属性とid属性には同じ値を指定する。 == 絶対パスと相対パスと絶対URL == 絶対パスとは目的とするアドレスをルートディレクトリを基準として表す方法であり、相対パスとは現在表示しているページのアドレスなど特定のディレクトリを基準としてリンク先ファイルまでの相対的な位置関係を示す。絶対URLとは<nowiki>https://~</nowiki>から記述して表す方法である。外部のサーバーに対するリンクでは絶対URLを使用しなければならない<ref>ただし、 [//ja.wikibooks.org/wiki/メインページ //ja.wikibooks.org/wiki/メインページ] の様に scheme を欠いたアドレスも有効で、http と https の過渡期の頃によく使われました。</ref>。同じサーバー内のリンクに対しては相対パスと絶対パス、絶対URLのどれでも使用することが可能である。 例えば同じディレクトリ内にあるファイルを絶対パスや絶対URLでリンクさせた場合ディレクトリを移動したりディレクトリ名を変更するとリンクが機能しなくなるが、ここで相対パスを使用していた場合ファイルの位置関係が変わっていなければディレクトリに変更が加わってもリンクはそのまま機能し続ける。 <syntaxhighlight lang="html5"> <a href="メインページ">相対パス</a> <a href="/wiki/メインページ">絶対パス</a> <a href="https://ja.wikibooks.org/wiki/メインページ">絶対URL</a> </syntaxhighlight> {{Wikipedia|ハイパーリンク|ハイパーリンク}} [[Category:HTML|HTML はいはーりんく]]
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2022-10-20T01:38:57Z
[ "テンプレート:Wikipedia", "テンプレート:Pathnav" ]
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統計力学I
物理学 > 統計力学I 本項は物理学 統計力学I の解説です。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "物理学 > 統計力学I", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "本項は物理学 統計力学I の解説です。", "title": "" } ]
物理学 > 統計力学I 本項は物理学 統計力学I の解説です。 はじめに マクスウェル分布 ミクロカノニカル集合 ミクロカノニカル集合の定義 エントロピーの統計力学的な定義 等重率の仮定 ミクロカノニカル集合による温度の計算 カノニカル集合 カノニカル集合を用いた計算例 理想気体
<small> [[物理学]] > 統計力学I </small> ---- {{wikiversity|Topic:統計力学|統計力学}} 本項は物理学 統計力学I の解説です。 * [[統計力学I はじめに|はじめに]] * [[統計力学I/マクスウェル分布|マクスウェル分布]] * [[統計力学I ミクロカノニカル集合|ミクロカノニカル集合]] ** [[統計力学I ミクロカノニカル集合#ミクロカノニカル集合の定義|ミクロカノニカル集合の定義]] ** [[統計力学I ミクロカノニカル集合#エントロピーの統計力学的な定義|エントロピーの統計力学的な定義]] ** [[統計力学I ミクロカノニカル集合#等重率の仮定|等重率の仮定]] ** [[統計力学I ミクロカノニカル集合#ミクロカノニカル集合による温度の計算|ミクロカノニカル集合による温度の計算]] * [[統計力学I カノニカル集合|カノニカル集合]] * [[統計力学I カノニカル集合を用いた計算例|カノニカル集合を用いた計算例]] ** [[統計力学I カノニカル集合を用いた計算例#理想気体|理想気体]] {{DEFAULTSORT:とうけいりきかく1}} [[カテゴリ:統計力学]] {{NDC|421.4}}
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2024-03-17T10:37:10Z
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統計力学I はじめに
統計力学I > はじめに きわめて多くの物体が関わる現象では既存の力学などは表わすことが出来ない 現象が見えて来ることがある。 統計力学ではこのような多くの物体が関わる現象を扱う。 ただし、流体のように動きのある物体は扱わず、 主に定常状態、ある状態が実現されてから十分に時間が経ったとしても 依然として系がその状態にとどまっている、という状態で 物体系がどのような状態になろうとするかを扱う。 例えば、ある速度で動きまわっている気体g1と、別の速度で動いている気体 g2を取りだして、それらを互いに混ぜ合わせたとする。これらは混ぜ合わせてから 十分に時間が経ったとき、(外界との相互作用を無視すれば)ある一定のg1とg2が 最初に持っていた速度の中間あたりの何らかの速度を持っている状態に なると考えられる。この最後の状態を定常状態と呼び、 その状態にいたるまでに通過する状態のことを非定常状態と呼ぶ。 本項では、特にこのような定常状態 で実現される状態について扱う。
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統計力学I > はじめに
<small> [[統計力学I]] > はじめに</small> ---- ==はじめに== きわめて多くの物体が関わる現象では既存の力学などは表わすことが出来ない 現象が見えて来ることがある。 [[w:統計力学|統計力学]]ではこのような多くの物体が関わる現象を扱う。 ただし、'''流体'''のように動きのある物体は扱わず、 主に'''定常状態'''、ある状態が実現されてから十分に時間が経ったとしても 依然として系がその状態にとどまっている、という状態で 物体系がどのような状態になろうとするかを扱う。 <small> 例えば、ある速度で動きまわっている気体g1と、別の速度で動いている気体 g2を取りだして、それらを互いに混ぜ合わせたとする。これらは混ぜ合わせてから 十分に時間が経ったとき、(外界との相互作用を無視すれば)ある一定のg1とg2が 最初に持っていた速度の中間あたりの何らかの速度を持っている状態に なると考えられる。この最後の状態を'''定常状態'''と呼び、 その状態にいたるまでに通過する状態のことを'''非定常状態'''と呼ぶ。 </small> 本項では、特にこのような定常状態 で実現される状態について扱う。 [[カテゴリ:統計力学|とうけいりきかく1 はしめに]]
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2022-12-01T04:30:25Z
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統計力学I ミクロカノニカル集合
統計力学I > ミクロカノニカル集合 ある物体系を取りだして、その物体全体としてある一定のエネルギー Eを取る状態だけを取りだしたとき、その状態の集まりをその物体系の ミクロカノニカル集合という。 例えば、N個の理想気体が集まったとき、そのうちの1つだけが となるようなvを満たし、他の物体が静止しているとき、この物体系は エネルギーEのミクロカノニカル集合に含まれる。 ミクロカノニカル集合は結局のところ物体系の内でエネルギーの合計値が 一定になる部分だけを取りだした部分である。 熱力学ではエントロピーをある系に対してdQだけの熱が 流れ込んだとき、その系は だけのエントロピーを受け取ったものと定義した。 このとき、エントロピーは系の乱雑さの指標となる。 つまり、物体系を放置して外界との接触を断ったとき、 系の中の状態の変化は、系内の乱雑さをより増やす方向に 進むのである。 例えば、コーヒーとミルクを混ぜたとき、2種の飲み物が混ざるのは、 お互いがより多くの場所を占めようとして動きまわった結果と取ることが出来る。 実際にはどちらの液体も何らかの分子からなっており、それらは熱を持っている以上 常に微小な運動を行なっており、最初にかたまっていたものは(ここでは コーヒーに注ぎこまれたミルク)は速やかにコーヒー全体にいきわたってしまい、 再び同じ位置に戻って来ることは出来なくなるのである。 (粒子の分子が行なう微細な運動を歴史的な事情からブラウン運動と呼ぶ。) このことは、熱力学の第2法則の説明と見ることが出来る。 つまり、ある物体系がある他の物体系と相互作用するとき、 それらを合わせた全系では、それらが取りうる状態が最も多くなるように 運動が行なわれるである。先ほどのコーヒーとミルクの例では、 ミルクの分子にしてみれば、 コーヒーの分子とミルクの分子の相互作用は、それらの距離が互いに分子半径 程度になるまでは無視できるほど弱いので、(このことは、コーヒーとミルクの分子が 互いに電気的に中正であることによる。(多分です。化学科の人がいたらコメントを お願いします。) )それらの運動は互いに無視することができ、結局 ミルクの運動は真空(?)に保たれた箱の中に 理想気体が放たれたときと同じ情况であると 考えることが出来る。このとき 理想気体は速やかに箱全体に広がるが、このことは理想気体全体が 取りうる状態の数を増やしている。つまり、理想気体内の ここの粒子に取って自分が占めうる場所が放たれる前と 比べて増えているわけであり、これは自分が取りうる状態が 増えたものと解釈できる。 つまり、運動は結局物体が取りうる状態数が増える方向に進むのであり、 これはエントロピーの定義と一致している。 つまり、エントロピー ∼ {\displaystyle \sim } 状態数 のように考えることが出来る。 しかし、これらの状態数の数は非常に多くのものになりうる。 このことは、ある1molの理想気体を取りだしたとき、その中には 10 23 {\displaystyle 10^{23}} 個もの粒子が含まれていることから明白である。 これらの状態数を簡便に扱うために、エントロピーSは状態数wを用いて、 と定義することが一般的である。 ここで、 k B {\displaystyle k_{B}} はボルツマン定数といい、次元は [J/K]である。 としたとき、次元が整合的になっていることに注意。 ある物体系を取ったとき、それらの内でエネルギーが 等しいものは全て等しい確率で実現されるという仮定を 等重率の仮定と呼ぶ。これらはつまり、あるミクロカノニカル集合 を取ったとき、それらの全ての状態が等しい確率で 実現されるということを要求している。 これらは非常に数多くの物体系が互いに頻繁にお互いのエネルギーを 交換しているとき、うまく実現されうると考えられる。 ただし、ある1つの物体を除いて全ての物体が静止しているという極端な 情况もおこり得ることを予測してしまうように思える。 実際そのとおりなのだがこれらは等重率の仮定をおいてもやはり非常に 起こりづらくなっている。 例えば、ある100個の物体がそれぞれ100個のエネルギーが異なる 状態を占め得るとし、それぞれの物体が取り得る状態のもつエネルギーは 互いに同じであるものとし、エネルギーごとの間隔も同じであるものとする。 このとき、エネルギーを100単位これらの間で分けるとき、 ある1つが全てのエネルギーを受け取る場合の数は 100個の物体についてそれらが起こり得るので100通りであるが、 100個の物体が1個ずつ分けあう場合の数は、 最初の1単位を受け取る仕方が100通り、次が99通り、次が98通りというように 数えて行くと、100!だけあることが分かる。 つまり、等重率の仮定をおくと1つの粒子が全てのエネルギーを 1つの粒子が持って行くような極端な場合が排除されるので 合理的な仮定と呼ぶことが出来る。 また、エネルギーだけによって物体系の取り得る状態が決まるという 非常にわかりやすい描像が得られる。 熱力学的な関係から、 温度は によって定められる。 ミクロカノニカル集合を用いて計算を行なう場合、 ある物体系を取ってその物体系の状態からあるエネルギーEに対応する ミクロカノニカル集合を取りだしたとき、 その状態数を数えることで物体のエントロピーが得られる。 つまり、あるEに対するエントロピーTが決まるので、それを用いて 温度を計算することが出来、ある物理系の状態を定めたときの エネルギーの値を計算することが出来るのである。 これらの計算ではしばしばスターリングの公式が用いられる。 この式は、 で与えられる。 この式はガンマ関数に複素関数の最急降下法を適用することで 得ることができるが、数値的には簡単に確認することが出来る。 確認するためのコードの例はこのようになる。 この例はpythonを用いた。 (他の言語で書いた例もあるとおもしろいかも。) 結果としては、 特にnが大きくなるにつれてお互いの値が近づいて行く様子に 注目して欲しい。特にnが 10 23 {\displaystyle 10^{23}} 程度なら この近似はきわめて良いと考えられる。 特に、ある粒子が2つの状態しか持たない例を考える。 これは古典的には粒子の状態はx,pのそれぞれについて連続的に なっているので起こり得ない状態だが、 量子系では、粒子の状態は離散的になっているのでいろいろな 情况で実現される。 例えば、水素原子のまわりに束縛された粒子は 1つの量子数で代表されるエネルギー準位を持っているが、 温度が十分低いときには、そのエネルギー準位のうちで一番 低い準位と2番目に低い準位だけに電子が入る可能性があり、 他の準位は無視できることがある。(それらは エネルギーが高すぎて到底外界からの熱エネルギーでは 励起されることが出来ない。) この場合にはほとんど2準位だけが重要となっているのである。 このとき、 エネルギーが低い方の状態のエネルギーを0,エネルギーが高い方の 状態のエネルギーを μ {\displaystyle \mu } とおく。 N個の粒子がこのような状態のどちらかだけを取り、 これらが互いにおおよそ独立であり、しかし、熱平衡にいたる程度には 相互作用しあうという情况があったなら、 これらの系のエントロピーはエネルギー に対して、(M個の粒子だけが高いエネルギー状態にいることに対応。) で与えられる。 これらをスターリングの公式を用いて変形すると、 が得られる。 よって、 が得られるが、この式から、 が得られる。これをEについて解くと、 よって、 が得られる。 これによって、ある温度Tが与えられたときのエネルギーが求められた。 この式ではTがきわめて大きいとき、 が得られる。この式は、温度が高いときには 全ての粒子がエネルギーが高い状態にたたき上げられているように 見えるという物理的意味を持っている。 (?) ( ここは間違い。後にカノニカル集合を用いて計算すると 全ての状態のうちで半分だけが叩き上げられるように見えることが分かる。 Tが大きくなる近似は とする近似なので、この結果は当然である。 ) また、Tが0に近いときには、(Tは[K]で測っているので 0より小さくはなれないことに注意。) が得られるが、これは全ての状態がエネルギーの低い方の状態 (ここではエネルギー0としている。)に存在していることを 示している。 このことは、低温では外部から流れ込むエネルギーが 準位間の遷移を可能にするほど大きくないという解釈が出来る。 ( ) (未記述)
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統計力学I > ミクロカノニカル集合
<small> [[統計力学I]] > ミクロカノニカル集合</small> ---- ==ミクロカノニカル集合== ===ミクロカノニカル集合の定義=== ある物体系を取りだして、その物体全体としてある一定のエネルギー Eを取る状態だけを取りだしたとき、その状態の集まりをその物体系の ミクロカノニカル集合という。 例えば、N個の理想気体が集まったとき、そのうちの1つだけが :<math> E= \frac 1 2 m v^2 </math> となるようなvを満たし、他の物体が静止しているとき、この物体系は エネルギーEのミクロカノニカル集合に含まれる。 ミクロカノニカル集合は結局のところ物体系の内でエネルギーの合計値が 一定になる部分だけを取りだした部分である。 ===エントロピーの統計力学的な定義=== 熱力学ではエントロピーをある系に対してdQだけの熱が 流れ込んだとき、その系は :<math> dS = \frac {dQ} T </math> だけのエントロピーを受け取ったものと定義した。 このとき、エントロピーは系の乱雑さの指標となる。 つまり、物体系を放置して外界との接触を断ったとき、 系の中の状態の変化は、系内の乱雑さをより増やす方向に 進むのである。 例えば、コーヒーとミルクを混ぜたとき、2種の飲み物が混ざるのは、 お互いがより多くの場所を占めようとして動きまわった結果と取ることが出来る。 実際にはどちらの液体も何らかの分子からなっており、それらは熱を持っている以上 常に微小な運動を行なっており、最初にかたまっていたものは(ここでは コーヒーに注ぎこまれたミルク)は速やかにコーヒー全体にいきわたってしまい、 再び同じ位置に戻って来ることは出来なくなるのである。 (粒子の分子が行なう微細な運動を歴史的な事情からブラウン運動と呼ぶ。) このことは、熱力学の第2法則の説明と見ることが出来る。 つまり、ある物体系がある他の物体系と相互作用するとき、 それらを合わせた全系では、それらが取りうる状態が最も多くなるように 運動が行なわれるである。先ほどのコーヒーとミルクの例では、 ミルクの分子にしてみれば、 コーヒーの分子とミルクの分子の相互作用は、それらの距離が互いに分子半径 程度になるまでは無視できるほど弱いので、(このことは、コーヒーとミルクの分子が 互いに電気的に中正であることによる。(多分です。化学科の人がいたらコメントを お願いします。) )それらの運動は互いに無視することができ、結局 ミルクの運動は真空(?)に保たれた箱の中に 理想気体が放たれたときと同じ情况であると 考えることが出来る。このとき 理想気体は速やかに箱全体に広がるが、このことは理想気体全体が 取りうる状態の数を増やしている。つまり、理想気体内の ここの粒子に取って自分が占めうる場所が放たれる前と 比べて増えているわけであり、これは自分が取りうる状態が 増えたものと解釈できる。 つまり、運動は結局物体が取りうる状態数が増える方向に進むのであり、 これはエントロピーの定義と一致している。 つまり、エントロピー <math>\sim</math> 状態数 のように考えることが出来る。 しかし、これらの状態数の数は非常に多くのものになりうる。 このことは、ある1molの理想気体を取りだしたとき、その中には <math>10 ^{23}</math>個もの粒子が含まれていることから明白である。 これらの状態数を簡便に扱うために、エントロピーSは状態数wを用いて、 :<math> s = k _B \ln w </math> と定義することが一般的である。 ここで、<math>k _B</math>はボルツマン定数といい、次元は [J/K]である。 :<math> S = dQ /T </math> としたとき、次元が整合的になっていることに注意。 ===等重率の仮定=== ある物体系を取ったとき、それらの内でエネルギーが 等しいものは全て等しい確率で実現されるという仮定を 等重率の仮定と呼ぶ。これらはつまり、あるミクロカノニカル集合 を取ったとき、それらの全ての状態が等しい確率で 実現されるということを要求している。 これらは非常に数多くの物体系が互いに頻繁にお互いのエネルギーを 交換しているとき、うまく実現されうると考えられる。 ただし、ある1つの物体を除いて全ての物体が静止しているという極端な 情况もおこり得ることを予測してしまうように思える。 実際そのとおりなのだがこれらは等重率の仮定をおいてもやはり非常に 起こりづらくなっている。 例えば、ある100個の物体がそれぞれ100個のエネルギーが異なる 状態を占め得るとし、それぞれの物体が取り得る状態のもつエネルギーは 互いに同じであるものとし、エネルギーごとの間隔も同じであるものとする。 このとき、エネルギーを100単位これらの間で分けるとき、 ある1つが全てのエネルギーを受け取る場合の数は 100個の物体についてそれらが起こり得るので100通りであるが、 100個の物体が1個ずつ分けあう場合の数は、 最初の1単位を受け取る仕方が100通り、次が99通り、次が98通りというように 数えて行くと、100!だけあることが分かる。 つまり、等重率の仮定をおくと1つの粒子が全てのエネルギーを 1つの粒子が持って行くような極端な場合が排除されるので 合理的な仮定と呼ぶことが出来る。 また、エネルギーだけによって物体系の取り得る状態が決まるという 非常にわかりやすい描像が得られる。 ===ミクロカノニカル集合による温度の計算=== ====計算の準備==== 熱力学的な関係から、 温度は :<math> T = \frac{\partial{E}}{\partial{S}} </math> によって定められる。 ミクロカノニカル集合を用いて計算を行なう場合、 ある物体系を取ってその物体系の状態からあるエネルギーEに対応する ミクロカノニカル集合を取りだしたとき、 その状態数を数えることで物体のエントロピーが得られる。 つまり、あるEに対するエントロピーTが決まるので、それを用いて 温度を計算することが出来、ある物理系の状態を定めたときの エネルギーの値を計算することが出来るのである。 これらの計算ではしばしばスターリングの公式が用いられる。 この式は、 :<math> \ln n! = n\ln n - n </math> で与えられる。 この式はガンマ関数に複素関数の最急降下法を適用することで 得ることができるが、数値的には簡単に確認することが出来る。 確認するためのコードの例はこのようになる。 この例はpythonを用いた。 #stirling fomula number _of _ns =5 from math import log class stirling: def _ _init _ _(self): pass #will give n ln n - n. def n _ln _n _minus _n(self,n): return n *log(n) - n #will give ln n!. def ln _factorial(self,n): factorial=1 for i in range (1,n+1): factorial*= i return log(factorial) #Then try to print out the result. def output(self): for i in range(number _of _ns): n = 10**i print "%s for n" % n print "%s for nln-n" % self.n _ln _n _minus _n(n) print "%s for ln n!" % self.ln _factorial(n) #If not used by ''unittest'' module or PyUnit, please #try to use that. if _ _name _ _ == " _ _main _ _": stirling = stirling() stirling.output() (他の言語で書いた例もあるとおもしろいかも。) 結果としては、 10 for n 13.0258509299 for nln-n 15.1044125731 for ln n! 100 for n 360.517018599 for nln-n 363.739375556 for ln n! 1000 for n 5907.75527898 for nln-n 5912.12817849 for ln n! 10000 for n 82103.4037198 for nln-n 82108.9278368 for ln n! 特にnが大きくなるにつれてお互いの値が近づいて行く様子に 注目して欲しい。特にnが<math>10^{23}</math>程度なら この近似はきわめて良いと考えられる。 ====2準位系を用いた例==== 特に、ある粒子が2つの状態しか持たない例を考える。 これは古典的には粒子の状態はx,pのそれぞれについて連続的に なっているので起こり得ない状態だが、 量子系では、粒子の状態は離散的になっているのでいろいろな 情况で実現される。 例えば、水素原子のまわりに束縛された粒子は 1つの量子数で代表されるエネルギー準位を持っているが、 温度が十分低いときには、そのエネルギー準位のうちで一番 低い準位と2番目に低い準位だけに電子が入る可能性があり、 他の準位は無視できることがある。(それらは エネルギーが高すぎて到底外界からの熱エネルギーでは 励起されることが出来ない。) *(TODO 選択則はどうなる?) この場合にはほとんど2準位だけが重要となっているのである。 このとき、 エネルギーが低い方の状態のエネルギーを0,エネルギーが高い方の 状態のエネルギーを<math>\mu</math>とおく。 N個の粒子がこのような状態のどちらかだけを取り、 これらが互いにおおよそ独立であり、しかし、熱平衡にいたる程度には 相互作用しあうという情况があったなら、 これらの系のエントロピーはエネルギー :<math> E = \mu M </math> に対して、(M個の粒子だけが高いエネルギー状態にいることに対応。) :<math> S = k _B \ln \frac {N!} {M! (N-M)!} </math> で与えられる。 これらをスターリングの公式を用いて変形すると、 :<math> \begin{align} S &=k _B \{ N \ln N - N - (M \ln M - M ) - ((N-M) \ln (N-M) - (N-M) ) \\ &\sim k _B \{ N \ln N - N - (M \ln M - M ) - ((N-M) \ln (N-M) - (N-M) ) \\ &\sim k _B \{ N \ln N - (M \ln M - M ) - ((N-M) \ln (N-M) - (-M) ) \\ &\sim k _B \{ N \ln N - (M \ln M - M ) - ((N-M) (\ln N + M /N ) - (-M) ) \\ &\sim k _B \{ - (M \ln M - M ) - (-M \ln N + (N-M) ( + M /N ) - (-M) ) \\ &\sim k _B \{ - (M \ln M - M ) +M \ln N \} \end{align} </math> が得られる。 よって、 :<math> \begin{matrix} S &= k _B M (\ln N - \ln M +1 )\\ &= k _B \frac E \mu (\ln N - \ln \frac E \mu +1 )\\ \end{matrix} </math> が得られるが、この式から、 :<math> \begin{align} \frac 1 T &= \frac{\partial{{ S }}}{\partial{{ E}}} \\ &= k _B (\frac 1 \mu ) \{ \ln \frac {N \mu } {E} + 1) + \frac E \mu (- \frac 1 E ) \}\\ &= k _B (\frac 1 \mu ) \{ \ln \frac {N \mu } {E} ) \}\\ \end{align} </math> が得られる。これをEについて解くと、 :<math> \begin{align} \frac \mu {k _B T} &= \ln \frac {N \mu } {E} \\ e^{\frac \mu {k _B T}} &= \frac {N \mu } {E} \end{align} </math> よって、 :<math> E = N \mu e^{-\frac \mu {k _B T}} </math> が得られる。 これによって、ある温度Tが与えられたときのエネルギーが求められた。 この式ではTがきわめて大きいとき、 :<math> E = N \mu </math> が得られる。この式は、温度が高いときには 全ての粒子がエネルギーが高い状態にたたき上げられているように 見えるという物理的意味を持っている。 (?) ( *FIXME ここは間違い。後にカノニカル集合を用いて計算すると 全ての状態のうちで半分だけが叩き上げられるように見えることが分かる。 Tが大きくなる近似は :<math> \sim e^{-\beta E} \sim 1 </math> とする近似なので、この結果は当然である。 ) また、Tが0に近いときには、(Tは[K]で測っているので 0より小さくはなれないことに注意。) :<math> E = 0 </math> が得られるが、これは全ての状態がエネルギーの低い方の状態 (ここではエネルギー0としている。)に存在していることを 示している。 このことは、低温では外部から流れ込むエネルギーが 準位間の遷移を可能にするほど大きくないという解釈が出来る。 ( *こちらはok ) == ラグランジュの未定乗数法 == (未記述) [[カテゴリ:統計力学|とうけいりきかく1 みくろかのにかるしゆうこう]]
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統計力学I カノニカル集合
統計力学I > カノニカル集合 ミクロカノニカル集合の章で、 2準位系について計算を行ない、 エネルギーとして、 を得た。 ここでこの式は、ある1つの粒子についてエネルギーが低い方の状態が持つ エネルギーを E 0 {\displaystyle E_{0}} 、エネルギーが高い方の状態が持つ エネルギーを E 1 {\displaystyle E_{1}} とすると、 と解釈できる。 この式をただ1つの粒子についてのエネルギーの式と解釈するなら、 と読むことも出来る。 これはつまり、ある1つの粒子を取ったとき その粒子は自分が取り得るそれぞれの状態を取るのだが、 その状態の起こり得る確率はその状態が持つエネルギーが Eであったなら、温度Tでは、 e − E / K B T {\displaystyle e^{-E/K_{B}T}} に比例するということを 述べている。 このことは、もちろんただ1つの粒子については熱平衡状態ということが 起こり得ない。もともと熱平衡状態ということは多くの物体が 集まったときそれらの相互作用を通じて達成されるものであったので これは不可能である。しかし、 各々の粒子が持つ各々の状態が何か非常に多くの状態を持つ 個別の物体系と他の粒子と関係すること無く相互作用を しているのなら、その状態は丁度上で多くの粒子との 相互作用を通じて熱平衡状態に到ったときに実現される 確率と同じ確率でその状態にいるように見えることが期待される。 よって、上の熱平衡の結果を通じて得た式をただ1つの粒子の状態についての 起こり得る確率についての式として扱うという解釈は、 正しいことが期待される。 ここで述べた、最初に考えていた粒子系のもつ状態の全体とそれぞれの状態を 熱平衡に追いやるための非常に多くの状態群を合わせたものを カノニカル集合と呼ぶ。 また、カノニカル集合の中で、最初からあった 粒子系の持つ状態の全体に含まれない状態群を熱浴と呼ぶ。 カノニカル集合の計算法を用いると、上の2準位系の エネルギーは非常に簡単に求めることが出来る。 つまり物体系の全ての状態を考えて、 それぞれの状態にその状態が持つエネルギーがEであったなら、 e − E / k B T {\displaystyle e^{-E/k_{B}T}} だけの重みをつけて状態をたし合わせればよい。 このことを模式的に、 と書くことがある。 このときtrは、全ての状態について かっこ内のオペレータの期待値を取って足し合わせることを意味している。 分母は規格化のためにつけた。 例えば、分子のオペレーターが1であるとき、左辺は1の期待値なので 1とならなければならない。よって分母の値が規格化として定まる。 特に分母の値は分配関数と呼ばれ通常Zで書かれる。 この量は物体系の熱力学的性質の情報の全てを保持しており、 重要な物理量であり、後の章で詳しく扱われる。 上の例では、 となり分母を除けばミクロカノニカル集合の場合の計算結果と一致する。 ただし、計算の途中で とおいた。また、計算の中では 温度でZの微分を行なうなどややテクニカルなことをやっているが 後にこれらの計算法を体系的に扱う。 (いつになるかは分からないが...。) きちんとカノニカル集合の計算と ミクロカノニカル集合の計算を一致させること。 (パッチが欲しい...。)) ミクロカノニカル集合の計算と比べてカノニカル集合の 計算はより簡単であるので 通常はこちらが用いられる。
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統計力学I > カノニカル集合
<small> [[統計力学I]] > カノニカル集合</small> ---- ==カノニカル集合== ミクロカノニカル集合の章で、 2準位系について計算を行ない、 エネルギーとして、 :<math> E = N \mu e^{-\frac \mu {k _B T}} </math> を得た。 ここでこの式は、ある1つの粒子についてエネルギーが低い方の状態が持つ エネルギーを<math>E _0</math>、エネルギーが高い方の状態が持つ エネルギーを<math>E _1</math>とすると、 :<math> E = N \{(E _0 - E _0)e^{-\frac {E _0-E _0} {k _B T}} +(E _1 - E _0)e^{-\frac {E _1-E _0} {k _B T}} \} </math> と解釈できる。 この式をただ1つの粒子についてのエネルギーの式と解釈するなら、 :<math> E/ N= \{(E _0 - E _0)e^{-\frac {E _0-E _0} {k _B T}} +(E _1 - E _0)e^{-\frac {E _1-E _0} {k _B T}} \} </math> と読むことも出来る。 これはつまり、ある1つの粒子を取ったとき その粒子は自分が取り得るそれぞれの状態を取るのだが、 その状態の起こり得る確率はその状態が持つエネルギーが Eであったなら、温度Tでは、<math>e^{-E/K _B T}</math>に比例するということを 述べている。 このことは、もちろんただ1つの粒子については熱平衡状態ということが 起こり得ない。もともと熱平衡状態ということは多くの物体が 集まったときそれらの相互作用を通じて達成されるものであったので これは不可能である。しかし、 各々の粒子が持つ各々の状態が何か非常に多くの状態を持つ 個別の物体系と他の粒子と関係すること無く相互作用を しているのなら、その状態は丁度上で多くの粒子との 相互作用を通じて熱平衡状態に到ったときに実現される 確率と同じ確率でその状態にいるように見えることが期待される。 よって、上の熱平衡の結果を通じて得た式をただ1つの粒子の状態についての 起こり得る確率についての式として扱うという解釈は、 正しいことが期待される。 ここで述べた、最初に考えていた粒子系のもつ状態の全体とそれぞれの状態を 熱平衡に追いやるための非常に多くの状態群を合わせたものを カノニカル集合と呼ぶ。 <!-- (この定義がまちがっていたら破門だな...。) --> また、カノニカル集合の中で、最初からあった 粒子系の持つ状態の全体に含まれない状態群を熱浴と呼ぶ。 カノニカル集合の計算法を用いると、上の2準位系の エネルギーは非常に簡単に求めることが出来る。 つまり物体系の全ての状態を考えて、 それぞれの状態にその状態が持つエネルギーがEであったなら、 <math>e^{-E/k _B T}</math>だけの重みをつけて状態をたし合わせればよい。 このことを模式的に、 :<math> \langle E\rangle = \frac 1 {\textrm{tr}\{ e^{-\hat H /k _B T} \} } \textrm{tr}\{ \hat H e^{-\hat H /k _B T} \} </math> と書くことがある。 このときtrは、全ての状態について かっこ内のオペレータの期待値を取って足し合わせることを意味している。 分母は規格化のためにつけた。 例えば、分子のオペレーターが1であるとき、左辺は1の期待値なので 1とならなければならない。よって分母の値が規格化として定まる。 特に分母の値は分配関数と呼ばれ通常Zで書かれる。 この量は物体系の熱力学的性質の情報の全てを保持しており、 重要な物理量であり、後の章で詳しく扱われる。 :<math> Z = \textrm{tr}\{ e^{-\hat H /k _B T} \} </math> 上の例では、 :<math> \begin{matrix} \langle E\rangle &= \frac 1 Z \sum _1 \sum _2 \cdots \sum _N (E _1 +E _2 + \cdots +E _N) e^{ -(E _1 +E _2 + \cdots +E _N) /k _B T}\\ &= \frac 1 Z (-1)\frac{\partial{{}}}{\partial{\beta}} \{ \sum _1 \sum _2 \cdots \sum _N e^{ -\beta (E _1 +E _2 + \cdots +E _N) } \} \\ &= \frac 1 Z (-1)\frac{\partial{{}}}{\partial{\beta}} \{ \sum _1 e^{ -\beta E _1 } \}^N \\ &= \frac 1 Z (-1)\frac{\partial{{}}}{\partial{\beta}} \{ 1 + e^{- \beta \mu } \}^N \\ &= \frac 1 Z (-1)N \{ 1 + e^{- \beta \mu } \}^{(N-1)} (- \mu) e^{-\beta \mu }\\ &= \mu N ( 1 + e^{- \beta \mu } )^{(-1)} e^{-\beta \mu } \end{matrix} </math> となり分母を除けばミクロカノニカル集合の場合の計算結果と一致する。 ただし、計算の途中で :<math> k _B T = \frac 1 \beta </math> とおいた。また、計算の中では 温度でZの微分を行なうなどややテクニカルなことをやっているが 後にこれらの計算法を体系的に扱う。 (いつになるかは分からないが...。) *(TODO きちんとカノニカル集合の計算と ミクロカノニカル集合の計算を一致させること。 (パッチが欲しい...。)) ミクロカノニカル集合の計算と比べてカノニカル集合の 計算はより簡単であるので 通常はこちらが用いられる。 [[カテゴリ:統計力学|とうけいりきかく1 かのにかるしゆうこう]]
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高等学校世界史A
高等学校世界史Aとは、世界史学習によって、現代世界の成り立ちを探る科目である。そのため、近代・現代史に自然と比重が置かれるわけだが、教科書そのものには近代以前の世界史も簡略に記述されていて、大学入試センター試験においても、前近代史も出題されている。 ※ ドイツの近代化については、 を参照してください。 18世紀の後半にイギリスで始まった。農業革命がおき、労働者が都市に流出し、工業都市が出現した。それと同時に蒸気機関が改良された。労働問題や社会問題が噴出するようになり、労働組合運動が起こり社会主義思想が芽生えた。1830年代にはフランス、19世紀中ごろにはドイツやアメリカで、1890年代にはロシアや日本にも波及した。 13の植民地が建てられた。植民地民は、植民地議会を中心としたボストン茶会事件が起こると、イギリスとの対立が鮮明になった。トマス・ジェファーソンが独立宣言を起草し、1783年にパリ条約でアメリカ合衆国の独立は承認された。合衆国憲法が制定され、ジョージ・ワシントンが初代大統領に選ばれた。 度かさなる戦争や宮廷の贅沢な暮らしでフランスの財政は困窮していた。当時のフランスは中世の封建的な身分制度を依然として引きずっていて、アンシャン=レジーム(旧制度)と呼ばれていた。第一身分(聖職者)と第二身分(貴族)は免税特権や領事裁判権などの様々な特権が認められていた。1789年、ルイ16世は財源確保のためにこれらの特権階級への課税を提案した。これに反発した貴族は三部会を開くよう要求した。三部会は典型的な身分制議会で、第一身分、第二身分、第三身分(平民)の代表がそれぞれ召集されていたもので、ルイ13世の治世に停止されて以来、長い間開かれてなかった。この三部会で特権身分と第三身分の間で対立がおき、第三身分と第三身分寄りの特権身分の議員が、国民議会を組織し憲法制定まで解散しないことを誓い合った(テニスコートの誓い)。国民議会を国王も表向きは認めていたが、裏で武力弾圧しようという動きがあるのではないかという憶測が民衆の中で生まれ、特権階級への課税を主張していた財務統監のネッケルが罷免されたことをきっかけに、パリ民衆が7月14日にバスティーユ監獄を襲った。この事件は全国的な農民の暴動へつながり、これを終息しようとした国民議会が封建的特権の無償廃止、人権宣言を発表した。その後、国民議会で諸改革が進められていく中、国王一家がオーストリアへの亡命を図ろうとしたが失敗した。(ヴァレンヌ逃亡事件)91年9月、国民議会は当初の目的である憲法制定を達成したので解散し、新たに憲法に従い、立法議会が召集された。議会では立憲王政を目指すフイヤン派と共和政を目指すジロンド派が対立したが、オーストリアやプロイセンなどの反革命勢力に対する危機感が高まるにつれ、ジロンド派が優勢になり、92年春に政権を握り、オーストリアに宣戦した。国民公会になった。ジャコバン派のロベスピエールが恐怖政治を敷いた。イギリスの宰相小ピットを中心に第1回対仏大同盟がされた。公安委員会が経済統制をおこなうと反乱がおき、テルミドールのクーデタでロベスピエールは処刑され総裁政府になった。ナポレオン・ボナパルトはブリュメール18日のクーデタで統領政府を樹立させた。その後第一帝政を敷きナポレオン法典を発布した。さらにライン同盟の保護者となった。大陸封鎖令を出した後は、諸国民戦争や ワーテルローの戦い がおこなわれた。 モンロー宣言は新旧大陸間の相互不干渉をうたうとともにパン=アメリカ主義を匂わせるものであった。クリオーリョのシモン・ボリバルなどの指導で独立が達成されていった。 ウィーン会議が開かれ、正統主義のもとウィーン体制が敷かれた。ドイツではブルシェンシャフト(全ドイツ学生組合)が結成されたが、オーストリアの外相メッテルニヒによって解散させられた。イタリアではマッツィーニも参加した秘密結社カルボナリ(炭焼き党)がブルボン家に抵抗した。スペインではスペイン立憲革命が起こった。オスマン帝国からはギリシャが英仏露の支援を受けて独立した。ロシアでは青年将校によるデカブリストの乱が起こったが鎮圧された。そんな中、ウィーン体制によってブルボン朝が復活していたフランスでは七月革命が起き、自由主義者のルイ・フィリップが王位につき、七月王政が成立した。イギリスではこの影響を受け第一次選挙法改正がおこなわれた。選挙権を得られなかった労働者はチャーチスト運動を起こした。ドイツではドイツ関税同盟が締結された。ムハンマド・アリーはエジプト事件を起こして東方問題となった。1848年の春は諸国民の春といわれている。フランスでは二月革命がおき、ルイ・ナポレオンが皇帝ナポレオン3世となり第二帝政となった。ベルリンやウィーンでも三月革命が起き、メッテルニヒは追放された。グラッドストンとディズレーリは相次いで自由主義的改革をおこなった。ロシアは英仏とクリミア戦争をおこなった。そこではナイティンゲールが活躍している。クリミア戦争に敗れたロシアではアレクサンドル2世が農奴解放令を出し、知識人の中からは農民を教化するナロードニキが現れた。サルディーニャではヴィットリオ・エマヌエーレ2世のもと宰相カブールがイタリア統一戦争を起こした。両シチリア王国を開放したガリバルディはサルディーニャ国王に領土を献上し、イタリア王国になった。ユンカー出身のビスマルクは北ドイツ連邦を作ると、普仏戦争を仕掛け圧勝しドイツ帝国を築いた。普仏戦争で占領されたフランスでは、一時パリ・コミューンが形成されて、第三共和制となった。ドイツ帝国は南独のカトリック勢力と対立して文化闘争になり、社会主義者鎮圧法を制定した。そのころ露土戦争がおき、ベルリン会議がビスマルクのもとで開かれた。 イギリスは原綿、羊毛、穀類、肉類、茶、コーヒーなどを輸入し、世界の工場となって鉄製品や綿製品などを輸出した。こうしてイギリスを中心とする世界の一体化が急速に進んだ。 オスマン帝国ではタンジマートがなされた。ムハンマド・アリーがエジプト太守になった。その後スエズ運河が開通し、アラービー・パシャが支配した。スーダンはムハンマド・アフマトが支配した。イランではカージャール朝が興ったが、ロシアとイギリスに南北を2分された。ムガル帝国はイギリスによってインド統治法が施行されると、インド独立戦争が起こった。セポイが活躍したが、イギリスの植民地であるインド帝国になった。イギリスはさらにイギリス・ビルマ戦争を仕掛け、シンガポールを海峡植民地にした。フランスは清の支配下であったベトナムを支援し阮朝を建てた。清仏戦争に勝つとフランス領インドシナ連邦となって拡大した。インドネシアはオランダ領東インド植民地となった。清は林則徐(りん そくじょ)がアヘン没収をおこなうとイギリスがアヘン戦争を起こし南京条約(ナンキンじょうやく)を締結させられた。洪秀全(こう しゅうぜん、ホンシウチュワン)が太平天国(たいへいてんごく)を起こした混乱に乗じ第2次アヘン戦争がおこった。英仏と郷勇は太平天国を鎮めた。清は同治の中興をもたらしたが、義和団(ぎわだん)が山東省で蜂起した。 インド国民会議が開かれると急進派のティラクが台頭した。スワデーシー、スワラージ、民族教育が掲げられた。オスマン帝国ではミドハト・パシャが憲法を作ったが露土戦争によってその効力が停止させられた。しかし青年トルコ人運動によって復活した。イランでは不買運動が起こり、立憲体制が成立したが、英露によって崩壊させられた。孫文(そんぶん)は三民主義(さんみんしゅぎ)を唱え中国同盟会を結成した。清でも立憲君主制や責任内閣制などの新政がおこなわれたが、財源を確保するために民間鉄道が国有化されると辛亥革命(しんがいかくめい)が起こった。孫文(そんぶん)を臨時大総統(りんじ だいそうとう)とする中華民国(ちゅうかみんこく)が成立すると、清の首相になった袁世凱(えんせいがい)は宣統帝を退位させ自ら中華民国の臨時大総統の地位についた。袁は国民党を弾圧した。袁がなくなると各地で軍閥が割拠した。 イスラーム教の思想家であるアフガーニーが西欧化に反対し大きな影響を与えた。インドの詩人ダゴールはインドとヨーロッパの融合を試みた。中国では、中体西用論にもとづき西洋式の軍備を求める洋務運動(ようむ うんどう)がおこなわれ同治の中興をもたらしたが、軍閥のもとにもなった。立憲君主制を求める変法運動もおこなわれたが西太后を中心とする保守派のクーデターに遭い、改革は頓挫した。文学界からも新文化運動、白話運動が展開された。朝鮮ではハングルが考案され朝鮮実学が生まれた。また、キリスト教の西学(せいがく)に対する東学(とうがく)が完成した。 日本は日米和親条約(にちべい わしんじょうやく)で開国し、不平等条約の日米修好通商条約(にちべい しゅうこう つうしょう じょうやく)を受け入れた。明治維新後、殖産興業や富国強兵、四民平等、地租改正、徴兵令をおこない天皇制国家を確立していった。日朝間の不平等条約である日朝修好条規(にっちょうしゅうこうじょうき)が締結されると民衆は甲午農民戦争(こうご のうみんせんそう)を起こした。日本は日清戦争(にっしんせんそう)を起こし、勝利したが三国干渉(さんごくかんしょう)を受けた。日本は日英同盟(にちえいどうめい)を成立させると日露戦争(にちろせんそう)に踏み切った。その後、ポーツマス条約が締結された。 飛行機、自動車などの交通手段の変革がおこった。 ラジオ、テレビなどが普及した。 侵略した国々の企業では独占の傾向が強まった。侵略された国々ではプランテーションが増え、モノカルチャー経済になった。 映画や舞台演劇が盛んになった。音楽はジャズやロックが誕生した。 ヴィクトリア女王下のイギリスでは教育法が成立し国民教育がおこなわれた。 列強の対立はアフリカ大陸、太平洋諸島、中国大陸に及んだ。合衆国はパン=アメリカ会議を開いてラテンアメリカへの影響力を強めた。米西戦争を起こし、中国に対して門戸開放宣言をおこなった。英仏はファショダ事件やブール戦争を引き起こした。ビスマルクが失脚した後のドイツでは、ヴィルヘルム2世が親政を敷き、世界政策に乗り出した。これにより国際的緊張が急速に高まった。オスマン帝国で起こった青年トルコ革命に乗じ、ゲルマン系のオーストリアはスラブ系のボスニアとヘルツェゴビナを併合した。スラブ系のセルビアはこれをよく思わなかった。二度にわたるバルカン戦争がおき、バルカン半島は「ヨーロッパの火薬庫」といわれた。サライェヴォ事件が起こるとオーストリアがセルビアに先制し第一次世界大戦が勃発した。ロシアでは膨張政策に反対し第一次ロシア革命が起こった。大戦中に三月革命が起きてロマノフ朝は倒れ、ケレンスキーが首相になった。その後ボリシェヴィキの指導者レーニンが十月革命を起こしソヴィエト政権が樹立された。トロツキーが外相になった。チェカを設け、戦時共産主義となった。そしてソヴィエト社会主義共和国連邦となり新経済政策をおこなった。戦争が終結すると国際協調と民族自決を原則とするベルサイユ体制が敷かれた。これに対して東アジア、太平洋の協調体制のことをワシントン体制という。ワイマール憲法が制定され、欧州の安全保障を定めるロカルノ条約が制定され、パリ不戦条約が制定された。朝鮮では三・一運動がおこなわれた。中国では二十一か条要求が承認され、五・四運動に発展した。また、ロシア革命の影響を受けて、中国共産党が成立した。国民党では孫文に代わった蒋介石(しょうかいせき)が北伐をおこなった。オスマン帝国に代わりムスタファ・ケマル・パシャがトルコ共和国を樹立した。イランではカージャール朝に代わりレザー・ハーンがパフレビー朝を建てた。アラビア半島ではイブン・サウードがサウジアラビア王国を建国した。国民会議派ではマハトマ・ガンディーは非暴力抵抗運動をおこない、議長に選出されたネルーはインド統治法を制定させた。ムッソリーニはファシスタ党を率いた。 繁栄の時代を築き上げたアメリカでは世界恐慌(せかいきょうこう)が起こった。アメリカはニューディール(新規まき直し)を採用した。(植民地を)「持てる国」である英仏はブロック経済をおこない、「持たざる国」の日独伊を締め出した。しかし英仏でさえもファシズム運動は起こっている。ドイツでは共産党の躍進を恐れた中産階級がヒトラー率いるナチスを支持した。スターリンは五か年計画をおこない、スターリン憲法を制定した。日本は満州事変を仕掛け満州国を成立させた。中国共産党は長征をおこなった。フランスでは人民政府が倒された。スペインではフランコが反乱を起こしスペイン内戦となった。ミュンヘン会談でチェコスロバキアのスデーデン地方の割譲が認められるとヒトラーは勢いに乗った。一時的に独ソ不可侵条約が締結され世界を驚かせた。ヒトラーの目的は東方の広大な領土を支配することであり、スターリンとは犬猿の仲である。イギリスの首相になったチャーチルは果敢な決断をした。ド・ゴールは自由フランス政府をロンドンに立てた。日独伊三国同盟が締結された。ソビエトは日ソ中立条約を締結しドイツとの戦いに備えた。大西洋憲章が制定された。日本は太平洋戦争(たいへいようせんそう)を仕掛けた。第二戦線が構築された。ドイツではベルリンが陥落し、日本には原子爆弾が投下されポツダム宣言を受諾した。大戦後には国際連合(こくさいれんごう)が成立した。 スカルノはインドネシアを独立させた。ホー・チ・ミンはベトナム民主共和国を成立させた。植民地維持を目指すフランスはインドシナ戦争を仕掛けた。 南アジアはヒンドゥー教徒のインド連邦とイスラーム教徒のパキスタンに分裂した。 合衆国はトルーマン・ドクトリン、マーシャル・プランを発表し、ヨーロッパ経済復興会議を開いた。 ソ連はそれに対してコメコンを開いた。また、北大西洋条約機構に対して、ワルシャワ条約機構を結成した。さらにコミンフォルムを作って世界革命を画策した。 ラテンアメリカは米州機構に加盟した。 パレスティナでは国連決議に基き、ユダヤ教徒によるイスラエル共和国が成立した。 朝鮮は朝鮮民主主義人民共和国と大韓民国に分裂した。 中国大陸では対日抗戦に国民党・共産党が勝利した後、国共内戦が再燃し、農村地帯を支配した共産党が勝利し、毛沢東(もうたくとう)によって中華人民共和国が成立した。ここに100年にわたる中国革命が終了した。 ドイツは、西のドイツ連邦共和国と東のドイツ民主共和国に分裂した。 朝鮮戦争が起きた。38度線を境に休戦状態である。 日本は日米安全保障条約とサンフランシスコ平和条約を同時に承認した。 合衆国の巻き返し政策に対してコロンボで平和五原則が結ばれた。翌年ではバンドンで平和十原則となってバンドン精神と呼ばれている。チャーチルがジュネーブ巨頭会談を開いたり、フルシチョフがスターリン批判の演説をおこなったり、緩和の動きも見られる。 共和制になったエジプトのナセル首相は運河を国有化すると、英仏イスラエルと対立した。スエズ動乱または第二次中東戦争と呼ばれる。ガーナは最初の黒人共和国となった。エンクルマ大統領はアフリカ独立の父と呼ばれている。1960年は17ものアフリカ諸国が独立したのでアフリカの年といわれる。 カストロは社会主義を目指すキューバ革命を指導し、ソ連がミサイルの支援をしていることが分かるとキューバ危機になった。 アフリカ統一機構が結成された。アラブではパレスティナ解放機構が結成された。 アメリカはベトナム戦争に介入し、北爆をおこなった。 チェコスロバキアの民主化を求めるプラハの春が起こったがWTO軍によって鎮圧され、チェコ事件となった。西ドイツのブラントは東方外交を展開し、緊張緩和に努めた。 そして東西ドイツ基本条約が結ばれた。東パキスタンはバングラデシュとなった。アルゼンチン、メキシコ、ブラジル、ギリシャ、ポルトガル、ユーゴスラビア、シンガポール、台湾、韓国、香港などをNIESという。アラブ石油輸出国機構が結成され、第四次中東戦争の際に、石油危機を引き起こした。ベトナム戦争に敗れたアメリカでは科学技術に対する疑問がおこり、消費者問題、環境問題、人種問題、女性の権利の問題などが噴出した。シーア派のホメイニが指導するイラン・イスラーム革命が起き親米王政が倒された。日米間では貿易摩擦が深刻化した。韓国では民主化を求める光州事件がおきた。ポーランドでは連帯が結成された。ゴルバチョフがグラスノスチとペレストロイカをおこなうと、ソ連の実態が大衆の批判にさらされるようになった。 中国では民主化を求める天安門事件が起こった。マルタ会談で冷戦の終結が確認された。東西ドイツは統一され、ソ連は崩壊し独立国家共同体になった。イラクがクウェート侵攻をおこなうと、アメリカが反撃し湾岸戦争(わんがんせんそう)となった。国連暫定カンボジア行政機構が結成されると、日本は国連平和維持活動に参加した。ヨーロッパ共同体が欧州連合となった。 アインシュタインは相対性理論を提唱し、ハイゼンベルクは量子力学を確立し、ラザフォードなどが活躍した。トランジスタや半導体が発明され、情報工学や情報科学が発達した。人工衛星が作られ宇宙科学が発達した。化石燃料から代替エネルギーに変わろうとしているがうまくいってはいない。 風土はステップ地帯、畑作地帯、穀倉地帯である。 政治の中心地はほとんどが黄河(こうが)流域であった。 民族は漢民族(かんみんぞく)が大多数だが、モンゴル、ウイグル、東南アジア系の人口も多い。殷(いん)の甲骨文字(こうこつもじ)から漢字が発展した。 漢字の特等は表意文字(ひょういもじ)が特徴である。 思想は孔子(こうし)の儒家(じゅか)思想が漢の武帝の時代に儒教(じゅきょう)となり、支配者層で信奉された。これは徳治主義や中華思想(ちゅうかしそう)となって、冊封体制(さくほうたいせい)の土台となった。 冊封体制(さくほうたいせい)とは、周辺国の朝貢貿易(ちょうこうぼうえき)をする朝貢国に代わりに官爵を与える制度のことである。儒教は宋(そう)の科挙(かきょ)や、南宋(なんそう)の朱子学(しゅしがく)を生み出し日本にも影響を与えた。 北部のインダス川やガンジス川の流域で、統一王朝が築かれることが多かった。 民族はアーリア人とドラヴィダ人が多い。中央アジアで遊牧を営んでいたアーリア人は前2000年ごろから移動を開始し、ヴェーダを作った。鉄器が発明され、生産があがるとヴァルナ制度が取り入れられた。 それに疑問を持ったガウタマ・シッダールタは仏教(ぶっきょう)を開いた。ヒンドゥー教はヴェーダと民間信仰が結びついたもので、ヴァルナ制度にジャーティが加わったカースト制に深く関係している。 インドでイスラーム教が盛んになったのは、16世紀のイスラーム神秘主義教団以降である。 風土は地中海気候および乾燥気候である。 民族はアラブ系、トルコ系、ベルベル系、モンゴル系などである。ナイル川、ティグリス川、ユーフラテス川の流域では灌漑農耕が起こった。 宗教や文字が多く生まれたところでもある。ムハンマドはイスラーム教を成立した。 ムハンマドが630年に死去すると、彼の築いたウンマ(信徒の共同体)を誰が継承するのかが問題となった。預言者ムハンマドには男児がいなかった。ゆえに初期イスラーム共同体の継承者はムスリムの中から合議で選ばれた。こうして選ばれた彼の後継者のことをカリフ(ハリーファ)といった。最初のカリフはムハンマドの旧来の友人のアブー・バクルで、彼は早くも分裂の危機にさらされた共同体の維持のための戦いを余儀なくされた。彼の後はウマル、ウスマーン、アリーと、信徒の合議により選出されたカリフ(正統カリフ)が続いた。この時代にイスラーム共同体はジハード(聖戦)を通じ、ビザンツ帝国やササン朝ペルシャの領域に対外進出をしていった。4代目カリフアリーが暗殺されるなどのイスラーム教徒の内紛を鎮めたムアーウィアはウマイヤ朝を開きカリフを世襲化した。ウマイヤ朝の最大領域は、東は中央アジアやパキスタンから西はモロッコ、イベリア半島にまで及んだ。 ウラル山脈以西をヨーロッパという。 アルプス以南の地中海世界、以北の西ヨーロッパ世界、カルパチア山脈周辺以東の東ヨーロッパ世界の3つに分けることができる。 西ヨーロッパには最初ケルト系民族が住んでいたが、紀元前後にラテン系、4世紀頃にゲルマン系民族が侵入した。キリスト教はイエスが成立し、使徒のペテロやパウロによって広められた。 4世紀のローマ帝国によって公認され、国教となった。 ギリシアではアテネやスパルタなどの都市国家が栄えた。 ローマは前2世紀にギリシアを攻め、前1世紀に地中海世界を統一した。 アラブ系のムスリム商人は、ダウと呼ばれる木造帆船で紅海、アラビア海、インド洋を交易した。中国からは、絹、陶磁器、銀、茶など、東南アジアからは、香辛料、象牙、珊瑚等が輸入されている。中国商人は、ジャンクという木造帆船で東シナ海を交易した。広州、泉州、明州などの都市には市舶司が置かれた。 13世紀はタタールの平和(パックス=モンゴリカ)と呼ばれている。騎馬遊牧民による農耕地域の確保のため、チンギス・ハーンは千戸制を敷き、西夏とホラズムを滅ぼした。その子孫であるオゴタイ・ハーンは金を討ち、バトゥはロシアに遠征し、フラグはアッバース朝を滅ぼし、イル・ハン国を建て、フビライは元朝を開き南宋を滅ぼした。 十字軍(じゅうじぐん)の輸送により、ジェノヴァやヴェネツィアを拠点とするイタリア商人の東方貿易(レヴァント貿易)が盛んになった。黒海にはキプチャク・ハン国とイル・ハン国との航路を開いた。エジプト商人との交易では、ユーラシアから香料、染料、宝石、絹織物を輸入し、アフリカからは金が輸入されるようになった。 元(げん)の時代に、首都の大都、黄海、杭州が大運河で結ばれた。マルコ・ポーロもこの航路を利用していた。日本は日宋貿易、日元貿易の後、倭寇(わこう)が氾濫したが、室町時代の勘合貿易(かんごうぼうえき)によって鎮められた。琉球王国は15世紀の初めに中山王(ちゅうざんおう)によって統一され、明(みん)に朝貢した。また、日本、朝鮮、東南アジアとの中継貿易も行われていた。 16世紀の象徴的な出来事は、スペインのマゼランとその部下による世界周航である。そもそもレコンキスタ(国土回復運動)の過程で国内的統一を成し遂げたポルトガルとスペインはキリスト教的宗教熱によって、他のヨーロッパ諸国に先駆けて対外進出を進めた。コロンブスがレコンキスタの終結した1492年に西インド諸島に到達したことがそれをよく示している。コロンブスは西回り航路によりインド到達を目指したが、これはトスカネリの地球球体説が理論的な根拠となっている。このように当時の科学の進展もヨーロッパの進出の追い風となったことも見逃してはならない。コロンブスが到達した地域を「新大陸」だとしたのは皮肉なことにコロンブスではなくアメリゴ・ヴェスプッチである。そして彼の名をとってアメリカ大陸となったことは多くの人が知っていよう。スペインはこうして新大陸を中心に勢力を伸ばしていく。一方ポルトガルはアフリカ大陸南端喜望峰を迂回する東回り航路によってインド進出を果たし(ヴァスコ・ダ・ガマ)、アジア地域を勢力の中心とした。船は陸上輸送よりコスト的に遥かに優位なので貿易が拡大した。アメリカに毛織物を輸出したスペインは、中南米から銀を大量輸入し銀本位体制を揺るがした。その銀は東インドに輸出され、香料と交換された。アメリカ大陸からもたらされたトマト、ジャガイモ、サツマイモ、とうもろこし、タバコは、ヨーロッパ、アジア、そしてアフリカの生活に重大な変化を起こした。 西アジアではオスマン帝国、南アジアではムガル帝国が栄えたが、17世紀末以降、オスマン帝国はオーストリア、ロシアの南下、そしてムガル帝国はイギリス、フランスの植民地化にあい衰退した。しかし東アジアの清(しん)帝国はヨーロッパとの貿易を制限し続け、康熙帝(こうきてい)、雍正帝(ようせいてい)、乾隆帝(けんりゅうてい)の3代130年間に渡り、中国史上空前の大繁栄を築き上げた。 16世紀から17世紀のヨーロッパでは、常備軍、官僚制、重商主義を採用した絶対主義国家が成立した。これらは王権神授説(おうけん しんじゅせつ)で正統化された。スペインのフェリペ2世、イギリスではエリザベス1世時代に全盛期をむかえた。フランスではルイ14世に全盛期を迎えた。三十年戦争後の18世紀の啓蒙制君主としてはプロイセンのフリードリッヒ2世、オーストリアのマリア・テレジア、ロシアのピョートル1世、エカチェリーナ2世が有名である。 17世紀はスペイン、ポルトガルに代わってオランダ、イギリス、フランスが台頭した。オランダはバタビアを拠点にした。女王は東インド会社を作った。17世紀後半にはオランダが後退し、イギリスとフランスが覇権を争うようになった。18世紀中ごろの七年戦争にフランスが敗れると、イギリスが資本主義の中核をなすようになった。またこのころ奴隷貿易を中心にヨーロッパ、アフリカ、アメリカ大陸を結ぶ大西洋三角貿易が確立された。
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"度かさなる戦争や宮廷の贅沢な暮らしでフランスの財政は困窮していた。当時のフランスは中世の封建的な身分制度を依然として引きずっていて、アンシャン=レジーム(旧制度)と呼ばれていた。第一身分(聖職者)と第二身分(貴族)は免税特権や領事裁判権などの様々な特権が認められていた。1789年、ルイ16世は財源確保のためにこれらの特権階級への課税を提案した。これに反発した貴族は三部会を開くよう要求した。三部会は典型的な身分制議会で、第一身分、第二身分、第三身分(平民)の代表がそれぞれ召集されていたもので、ルイ13世の治世に停止されて以来、長い間開かれてなかった。この三部会で特権身分と第三身分の間で対立がおき、第三身分と第三身分寄りの特権身分の議員が、国民議会を組織し憲法制定まで解散しないことを誓い合った(テニスコートの誓い)。国民議会を国王も表向きは認めていたが、裏で武力弾圧しようという動きがあるのではないかという憶測が民衆の中で生まれ、特権階級への課税を主張していた財務統監のネッケルが罷免されたことをきっかけに、パリ民衆が7月14日にバスティーユ監獄を襲った。この事件は全国的な農民の暴動へつながり、これを終息しようとした国民議会が封建的特権の無償廃止、人権宣言を発表した。その後、国民議会で諸改革が進められていく中、国王一家がオーストリアへの亡命を図ろうとしたが失敗した。(ヴァレンヌ逃亡事件)91年9月、国民議会は当初の目的である憲法制定を達成したので解散し、新たに憲法に従い、立法議会が召集された。議会では立憲王政を目指すフイヤン派と共和政を目指すジロンド派が対立したが、オーストリアやプロイセンなどの反革命勢力に対する危機感が高まるにつれ、ジロンド派が優勢になり、92年春に政権を握り、オーストリアに宣戦した。国民公会になった。ジャコバン派のロベスピエールが恐怖政治を敷いた。イギリスの宰相小ピットを中心に第1回対仏大同盟がされた。公安委員会が経済統制をおこなうと反乱がおき、テルミドールのクーデタでロベスピエールは処刑され総裁政府になった。ナポレオン・ボナパルトはブリュメール18日のクーデタで統領政府を樹立させた。その後第一帝政を敷きナポレオン法典を発布した。さらにライン同盟の保護者となった。大陸封鎖令を出した後は、諸国民戦争や ワーテルローの戦い がおこなわれた。", 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"ウィーン会議が開かれ、正統主義のもとウィーン体制が敷かれた。ドイツではブルシェンシャフト(全ドイツ学生組合)が結成されたが、オーストリアの外相メッテルニヒによって解散させられた。イタリアではマッツィーニも参加した秘密結社カルボナリ(炭焼き党)がブルボン家に抵抗した。スペインではスペイン立憲革命が起こった。オスマン帝国からはギリシャが英仏露の支援を受けて独立した。ロシアでは青年将校によるデカブリストの乱が起こったが鎮圧された。そんな中、ウィーン体制によってブルボン朝が復活していたフランスでは七月革命が起き、自由主義者のルイ・フィリップが王位につき、七月王政が成立した。イギリスではこの影響を受け第一次選挙法改正がおこなわれた。選挙権を得られなかった労働者はチャーチスト運動を起こした。ドイツではドイツ関税同盟が締結された。ムハンマド・アリーはエジプト事件を起こして東方問題となった。1848年の春は諸国民の春といわれている。フランスでは二月革命がおき、ルイ・ナポレオンが皇帝ナポレオン3世となり第二帝政となった。ベルリンやウィーンでも三月革命が起き、メッテルニヒは追放された。グラッドストンとディズレーリは相次いで自由主義的改革をおこなった。ロシアは英仏とクリミア戦争をおこなった。そこではナイティンゲールが活躍している。クリミア戦争に敗れたロシアではアレクサンドル2世が農奴解放令を出し、知識人の中からは農民を教化するナロードニキが現れた。サルディーニャではヴィットリオ・エマヌエーレ2世のもと宰相カブールがイタリア統一戦争を起こした。両シチリア王国を開放したガリバルディはサルディーニャ国王に領土を献上し、イタリア王国になった。ユンカー出身のビスマルクは北ドイツ連邦を作ると、普仏戦争を仕掛け圧勝しドイツ帝国を築いた。普仏戦争で占領されたフランスでは、一時パリ・コミューンが形成されて、第三共和制となった。ドイツ帝国は南独のカトリック勢力と対立して文化闘争になり、社会主義者鎮圧法を制定した。そのころ露土戦争がおき、ベルリン会議がビスマルクのもとで開かれた。", "title": "近代・現代" }, { "paragraph_id": 8, "tag": "p", "text": "イギリスは原綿、羊毛、穀類、肉類、茶、コーヒーなどを輸入し、世界の工場となって鉄製品や綿製品などを輸出した。こうしてイギリスを中心とする世界の一体化が急速に進んだ。", "title": "近代・現代" }, { "paragraph_id": 9, "tag": "p", "text": "オスマン帝国ではタンジマートがなされた。ムハンマド・アリーがエジプト太守になった。その後スエズ運河が開通し、アラービー・パシャが支配した。スーダンはムハンマド・アフマトが支配した。イランではカージャール朝が興ったが、ロシアとイギリスに南北を2分された。ムガル帝国はイギリスによってインド統治法が施行されると、インド独立戦争が起こった。セポイが活躍したが、イギリスの植民地であるインド帝国になった。イギリスはさらにイギリス・ビルマ戦争を仕掛け、シンガポールを海峡植民地にした。フランスは清の支配下であったベトナムを支援し阮朝を建てた。清仏戦争に勝つとフランス領インドシナ連邦となって拡大した。インドネシアはオランダ領東インド植民地となった。清は林則徐(りん そくじょ)がアヘン没収をおこなうとイギリスがアヘン戦争を起こし南京条約(ナンキンじょうやく)を締結させられた。洪秀全(こう しゅうぜん、ホンシウチュワン)が太平天国(たいへいてんごく)を起こした混乱に乗じ第2次アヘン戦争がおこった。英仏と郷勇は太平天国を鎮めた。清は同治の中興をもたらしたが、義和団(ぎわだん)が山東省で蜂起した。", "title": "近代・現代" }, { "paragraph_id": 10, "tag": "p", "text": "インド国民会議が開かれると急進派のティラクが台頭した。スワデーシー、スワラージ、民族教育が掲げられた。オスマン帝国ではミドハト・パシャが憲法を作ったが露土戦争によってその効力が停止させられた。しかし青年トルコ人運動によって復活した。イランでは不買運動が起こり、立憲体制が成立したが、英露によって崩壊させられた。孫文(そんぶん)は三民主義(さんみんしゅぎ)を唱え中国同盟会を結成した。清でも立憲君主制や責任内閣制などの新政がおこなわれたが、財源を確保するために民間鉄道が国有化されると辛亥革命(しんがいかくめい)が起こった。孫文(そんぶん)を臨時大総統(りんじ だいそうとう)とする中華民国(ちゅうかみんこく)が成立すると、清の首相になった袁世凱(えんせいがい)は宣統帝を退位させ自ら中華民国の臨時大総統の地位についた。袁は国民党を弾圧した。袁がなくなると各地で軍閥が割拠した。", "title": "近代・現代" }, { "paragraph_id": 11, "tag": "p", "text": "イスラーム教の思想家であるアフガーニーが西欧化に反対し大きな影響を与えた。インドの詩人ダゴールはインドとヨーロッパの融合を試みた。中国では、中体西用論にもとづき西洋式の軍備を求める洋務運動(ようむ うんどう)がおこなわれ同治の中興をもたらしたが、軍閥のもとにもなった。立憲君主制を求める変法運動もおこなわれたが西太后を中心とする保守派のクーデターに遭い、改革は頓挫した。文学界からも新文化運動、白話運動が展開された。朝鮮ではハングルが考案され朝鮮実学が生まれた。また、キリスト教の西学(せいがく)に対する東学(とうがく)が完成した。", "title": "近代・現代" }, { "paragraph_id": 12, "tag": "p", "text": "日本は日米和親条約(にちべい わしんじょうやく)で開国し、不平等条約の日米修好通商条約(にちべい しゅうこう つうしょう じょうやく)を受け入れた。明治維新後、殖産興業や富国強兵、四民平等、地租改正、徴兵令をおこない天皇制国家を確立していった。日朝間の不平等条約である日朝修好条規(にっちょうしゅうこうじょうき)が締結されると民衆は甲午農民戦争(こうご のうみんせんそう)を起こした。日本は日清戦争(にっしんせんそう)を起こし、勝利したが三国干渉(さんごくかんしょう)を受けた。日本は日英同盟(にちえいどうめい)を成立させると日露戦争(にちろせんそう)に踏み切った。その後、ポーツマス条約が締結された。", "title": "近代・現代" }, { "paragraph_id": 13, "tag": "p", "text": "飛行機、自動車などの交通手段の変革がおこった。", "title": "現代の世界と日本" }, { "paragraph_id": 14, "tag": "p", "text": "ラジオ、テレビなどが普及した。", "title": "現代の世界と日本" }, { "paragraph_id": 15, "tag": "p", "text": "侵略した国々の企業では独占の傾向が強まった。侵略された国々ではプランテーションが増え、モノカルチャー経済になった。", "title": "現代の世界と日本" }, { "paragraph_id": 16, "tag": "p", "text": "映画や舞台演劇が盛んになった。音楽はジャズやロックが誕生した。", "title": "現代の世界と日本" }, { "paragraph_id": 17, "tag": "p", "text": "ヴィクトリア女王下のイギリスでは教育法が成立し国民教育がおこなわれた。", "title": "現代の世界と日本" }, { "paragraph_id": 18, "tag": "p", "text": "列強の対立はアフリカ大陸、太平洋諸島、中国大陸に及んだ。合衆国はパン=アメリカ会議を開いてラテンアメリカへの影響力を強めた。米西戦争を起こし、中国に対して門戸開放宣言をおこなった。英仏はファショダ事件やブール戦争を引き起こした。ビスマルクが失脚した後のドイツでは、ヴィルヘルム2世が親政を敷き、世界政策に乗り出した。これにより国際的緊張が急速に高まった。オスマン帝国で起こった青年トルコ革命に乗じ、ゲルマン系のオーストリアはスラブ系のボスニアとヘルツェゴビナを併合した。スラブ系のセルビアはこれをよく思わなかった。二度にわたるバルカン戦争がおき、バルカン半島は「ヨーロッパの火薬庫」といわれた。サライェヴォ事件が起こるとオーストリアがセルビアに先制し第一次世界大戦が勃発した。ロシアでは膨張政策に反対し第一次ロシア革命が起こった。大戦中に三月革命が起きてロマノフ朝は倒れ、ケレンスキーが首相になった。その後ボリシェヴィキの指導者レーニンが十月革命を起こしソヴィエト政権が樹立された。トロツキーが外相になった。チェカを設け、戦時共産主義となった。そしてソヴィエト社会主義共和国連邦となり新経済政策をおこなった。戦争が終結すると国際協調と民族自決を原則とするベルサイユ体制が敷かれた。これに対して東アジア、太平洋の協調体制のことをワシントン体制という。ワイマール憲法が制定され、欧州の安全保障を定めるロカルノ条約が制定され、パリ不戦条約が制定された。朝鮮では三・一運動がおこなわれた。中国では二十一か条要求が承認され、五・四運動に発展した。また、ロシア革命の影響を受けて、中国共産党が成立した。国民党では孫文に代わった蒋介石(しょうかいせき)が北伐をおこなった。オスマン帝国に代わりムスタファ・ケマル・パシャがトルコ共和国を樹立した。イランではカージャール朝に代わりレザー・ハーンがパフレビー朝を建てた。アラビア半島ではイブン・サウードがサウジアラビア王国を建国した。国民会議派ではマハトマ・ガンディーは非暴力抵抗運動をおこない、議長に選出されたネルーはインド統治法を制定させた。ムッソリーニはファシスタ党を率いた。", "title": "現代の世界と日本" }, { "paragraph_id": 19, "tag": "p", "text": "繁栄の時代を築き上げたアメリカでは世界恐慌(せかいきょうこう)が起こった。アメリカはニューディール(新規まき直し)を採用した。(植民地を)「持てる国」である英仏はブロック経済をおこない、「持たざる国」の日独伊を締め出した。しかし英仏でさえもファシズム運動は起こっている。ドイツでは共産党の躍進を恐れた中産階級がヒトラー率いるナチスを支持した。スターリンは五か年計画をおこない、スターリン憲法を制定した。日本は満州事変を仕掛け満州国を成立させた。中国共産党は長征をおこなった。フランスでは人民政府が倒された。スペインではフランコが反乱を起こしスペイン内戦となった。ミュンヘン会談でチェコスロバキアのスデーデン地方の割譲が認められるとヒトラーは勢いに乗った。一時的に独ソ不可侵条約が締結され世界を驚かせた。ヒトラーの目的は東方の広大な領土を支配することであり、スターリンとは犬猿の仲である。イギリスの首相になったチャーチルは果敢な決断をした。ド・ゴールは自由フランス政府をロンドンに立てた。日独伊三国同盟が締結された。ソビエトは日ソ中立条約を締結しドイツとの戦いに備えた。大西洋憲章が制定された。日本は太平洋戦争(たいへいようせんそう)を仕掛けた。第二戦線が構築された。ドイツではベルリンが陥落し、日本には原子爆弾が投下されポツダム宣言を受諾した。大戦後には国際連合(こくさいれんごう)が成立した。", "title": "現代の世界と日本" }, { "paragraph_id": 20, "tag": "p", "text": "スカルノはインドネシアを独立させた。ホー・チ・ミンはベトナム民主共和国を成立させた。植民地維持を目指すフランスはインドシナ戦争を仕掛けた。", "title": "現代の世界と日本" }, { "paragraph_id": 21, "tag": "p", "text": "南アジアはヒンドゥー教徒のインド連邦とイスラーム教徒のパキスタンに分裂した。", "title": "現代の世界と日本" }, { "paragraph_id": 22, "tag": "p", "text": "合衆国はトルーマン・ドクトリン、マーシャル・プランを発表し、ヨーロッパ経済復興会議を開いた。 ソ連はそれに対してコメコンを開いた。また、北大西洋条約機構に対して、ワルシャワ条約機構を結成した。さらにコミンフォルムを作って世界革命を画策した。", "title": "現代の世界と日本" }, { "paragraph_id": 23, "tag": "p", "text": "ラテンアメリカは米州機構に加盟した。", "title": "現代の世界と日本" }, { "paragraph_id": 24, "tag": "p", "text": "パレスティナでは国連決議に基き、ユダヤ教徒によるイスラエル共和国が成立した。", "title": "現代の世界と日本" }, { "paragraph_id": 25, "tag": "p", "text": "朝鮮は朝鮮民主主義人民共和国と大韓民国に分裂した。", "title": "現代の世界と日本" }, { "paragraph_id": 26, "tag": "p", "text": "中国大陸では対日抗戦に国民党・共産党が勝利した後、国共内戦が再燃し、農村地帯を支配した共産党が勝利し、毛沢東(もうたくとう)によって中華人民共和国が成立した。ここに100年にわたる中国革命が終了した。", "title": "現代の世界と日本" }, { "paragraph_id": 27, "tag": "p", "text": "ドイツは、西のドイツ連邦共和国と東のドイツ民主共和国に分裂した。", "title": "現代の世界と日本" }, { "paragraph_id": 28, "tag": "p", "text": "朝鮮戦争が起きた。38度線を境に休戦状態である。", "title": "現代の世界と日本" }, { "paragraph_id": 29, "tag": "p", "text": "日本は日米安全保障条約とサンフランシスコ平和条約を同時に承認した。", "title": "現代の世界と日本" }, { "paragraph_id": 30, "tag": "p", "text": "合衆国の巻き返し政策に対してコロンボで平和五原則が結ばれた。翌年ではバンドンで平和十原則となってバンドン精神と呼ばれている。チャーチルがジュネーブ巨頭会談を開いたり、フルシチョフがスターリン批判の演説をおこなったり、緩和の動きも見られる。", "title": "現代の世界と日本" }, { "paragraph_id": 31, "tag": "p", "text": "共和制になったエジプトのナセル首相は運河を国有化すると、英仏イスラエルと対立した。スエズ動乱または第二次中東戦争と呼ばれる。ガーナは最初の黒人共和国となった。エンクルマ大統領はアフリカ独立の父と呼ばれている。1960年は17ものアフリカ諸国が独立したのでアフリカの年といわれる。", "title": "現代の世界と日本" }, { "paragraph_id": 32, "tag": "p", "text": "カストロは社会主義を目指すキューバ革命を指導し、ソ連がミサイルの支援をしていることが分かるとキューバ危機になった。", "title": "現代の世界と日本" }, { "paragraph_id": 33, "tag": "p", "text": "アフリカ統一機構が結成された。アラブではパレスティナ解放機構が結成された。", "title": "現代の世界と日本" }, { "paragraph_id": 34, "tag": "p", "text": "アメリカはベトナム戦争に介入し、北爆をおこなった。", "title": "現代の世界と日本" }, { "paragraph_id": 35, "tag": "p", "text": "チェコスロバキアの民主化を求めるプラハの春が起こったがWTO軍によって鎮圧され、チェコ事件となった。西ドイツのブラントは東方外交を展開し、緊張緩和に努めた。", "title": "現代の世界と日本" }, { "paragraph_id": 36, "tag": "p", "text": "そして東西ドイツ基本条約が結ばれた。東パキスタンはバングラデシュとなった。アルゼンチン、メキシコ、ブラジル、ギリシャ、ポルトガル、ユーゴスラビア、シンガポール、台湾、韓国、香港などをNIESという。アラブ石油輸出国機構が結成され、第四次中東戦争の際に、石油危機を引き起こした。ベトナム戦争に敗れたアメリカでは科学技術に対する疑問がおこり、消費者問題、環境問題、人種問題、女性の権利の問題などが噴出した。シーア派のホメイニが指導するイラン・イスラーム革命が起き親米王政が倒された。日米間では貿易摩擦が深刻化した。韓国では民主化を求める光州事件がおきた。ポーランドでは連帯が結成された。ゴルバチョフがグラスノスチとペレストロイカをおこなうと、ソ連の実態が大衆の批判にさらされるようになった。", "title": "現代の世界と日本" }, { "paragraph_id": 37, "tag": "p", "text": "中国では民主化を求める天安門事件が起こった。マルタ会談で冷戦の終結が確認された。東西ドイツは統一され、ソ連は崩壊し独立国家共同体になった。イラクがクウェート侵攻をおこなうと、アメリカが反撃し湾岸戦争(わんがんせんそう)となった。国連暫定カンボジア行政機構が結成されると、日本は国連平和維持活動に参加した。ヨーロッパ共同体が欧州連合となった。", "title": "現代の世界と日本" }, { "paragraph_id": 38, "tag": "p", "text": "アインシュタインは相対性理論を提唱し、ハイゼンベルクは量子力学を確立し、ラザフォードなどが活躍した。トランジスタや半導体が発明され、情報工学や情報科学が発達した。人工衛星が作られ宇宙科学が発達した。化石燃料から代替エネルギーに変わろうとしているがうまくいってはいない。", "title": "現代の世界と日本" }, { "paragraph_id": 39, "tag": "p", "text": "風土はステップ地帯、畑作地帯、穀倉地帯である。 政治の中心地はほとんどが黄河(こうが)流域であった。 民族は漢民族(かんみんぞく)が大多数だが、モンゴル、ウイグル、東南アジア系の人口も多い。殷(いん)の甲骨文字(こうこつもじ)から漢字が発展した。 漢字の特等は表意文字(ひょういもじ)が特徴である。 思想は孔子(こうし)の儒家(じゅか)思想が漢の武帝の時代に儒教(じゅきょう)となり、支配者層で信奉された。これは徳治主義や中華思想(ちゅうかしそう)となって、冊封体制(さくほうたいせい)の土台となった。 冊封体制(さくほうたいせい)とは、周辺国の朝貢貿易(ちょうこうぼうえき)をする朝貢国に代わりに官爵を与える制度のことである。儒教は宋(そう)の科挙(かきょ)や、南宋(なんそう)の朱子学(しゅしがく)を生み出し日本にも影響を与えた。", "title": "近代以前" }, { "paragraph_id": 40, "tag": "p", "text": "北部のインダス川やガンジス川の流域で、統一王朝が築かれることが多かった。 民族はアーリア人とドラヴィダ人が多い。中央アジアで遊牧を営んでいたアーリア人は前2000年ごろから移動を開始し、ヴェーダを作った。鉄器が発明され、生産があがるとヴァルナ制度が取り入れられた。 それに疑問を持ったガウタマ・シッダールタは仏教(ぶっきょう)を開いた。ヒンドゥー教はヴェーダと民間信仰が結びついたもので、ヴァルナ制度にジャーティが加わったカースト制に深く関係している。 インドでイスラーム教が盛んになったのは、16世紀のイスラーム神秘主義教団以降である。", "title": "近代以前" }, { "paragraph_id": 41, "tag": "p", "text": "風土は地中海気候および乾燥気候である。 民族はアラブ系、トルコ系、ベルベル系、モンゴル系などである。ナイル川、ティグリス川、ユーフラテス川の流域では灌漑農耕が起こった。 宗教や文字が多く生まれたところでもある。ムハンマドはイスラーム教を成立した。 ムハンマドが630年に死去すると、彼の築いたウンマ(信徒の共同体)を誰が継承するのかが問題となった。預言者ムハンマドには男児がいなかった。ゆえに初期イスラーム共同体の継承者はムスリムの中から合議で選ばれた。こうして選ばれた彼の後継者のことをカリフ(ハリーファ)といった。最初のカリフはムハンマドの旧来の友人のアブー・バクルで、彼は早くも分裂の危機にさらされた共同体の維持のための戦いを余儀なくされた。彼の後はウマル、ウスマーン、アリーと、信徒の合議により選出されたカリフ(正統カリフ)が続いた。この時代にイスラーム共同体はジハード(聖戦)を通じ、ビザンツ帝国やササン朝ペルシャの領域に対外進出をしていった。4代目カリフアリーが暗殺されるなどのイスラーム教徒の内紛を鎮めたムアーウィアはウマイヤ朝を開きカリフを世襲化した。ウマイヤ朝の最大領域は、東は中央アジアやパキスタンから西はモロッコ、イベリア半島にまで及んだ。", "title": "近代以前" }, { "paragraph_id": 42, "tag": "p", "text": "ウラル山脈以西をヨーロッパという。 アルプス以南の地中海世界、以北の西ヨーロッパ世界、カルパチア山脈周辺以東の東ヨーロッパ世界の3つに分けることができる。 西ヨーロッパには最初ケルト系民族が住んでいたが、紀元前後にラテン系、4世紀頃にゲルマン系民族が侵入した。キリスト教はイエスが成立し、使徒のペテロやパウロによって広められた。 4世紀のローマ帝国によって公認され、国教となった。 ギリシアではアテネやスパルタなどの都市国家が栄えた。 ローマは前2世紀にギリシアを攻め、前1世紀に地中海世界を統一した。", "title": "近代以前" }, { "paragraph_id": 43, "tag": "p", "text": "アラブ系のムスリム商人は、ダウと呼ばれる木造帆船で紅海、アラビア海、インド洋を交易した。中国からは、絹、陶磁器、銀、茶など、東南アジアからは、香辛料、象牙、珊瑚等が輸入されている。中国商人は、ジャンクという木造帆船で東シナ海を交易した。広州、泉州、明州などの都市には市舶司が置かれた。", "title": "近代以前" }, { "paragraph_id": 44, "tag": "p", "text": "13世紀はタタールの平和(パックス=モンゴリカ)と呼ばれている。騎馬遊牧民による農耕地域の確保のため、チンギス・ハーンは千戸制を敷き、西夏とホラズムを滅ぼした。その子孫であるオゴタイ・ハーンは金を討ち、バトゥはロシアに遠征し、フラグはアッバース朝を滅ぼし、イル・ハン国を建て、フビライは元朝を開き南宋を滅ぼした。", "title": "近代以前" }, { "paragraph_id": 45, "tag": "p", "text": "十字軍(じゅうじぐん)の輸送により、ジェノヴァやヴェネツィアを拠点とするイタリア商人の東方貿易(レヴァント貿易)が盛んになった。黒海にはキプチャク・ハン国とイル・ハン国との航路を開いた。エジプト商人との交易では、ユーラシアから香料、染料、宝石、絹織物を輸入し、アフリカからは金が輸入されるようになった。", "title": "近代以前" }, { "paragraph_id": 46, "tag": "p", "text": "元(げん)の時代に、首都の大都、黄海、杭州が大運河で結ばれた。マルコ・ポーロもこの航路を利用していた。日本は日宋貿易、日元貿易の後、倭寇(わこう)が氾濫したが、室町時代の勘合貿易(かんごうぼうえき)によって鎮められた。琉球王国は15世紀の初めに中山王(ちゅうざんおう)によって統一され、明(みん)に朝貢した。また、日本、朝鮮、東南アジアとの中継貿易も行われていた。", "title": "近代以前" }, { "paragraph_id": 47, "tag": "p", "text": "", "title": "近代以前" }, { "paragraph_id": 48, "tag": "p", "text": "16世紀の象徴的な出来事は、スペインのマゼランとその部下による世界周航である。そもそもレコンキスタ(国土回復運動)の過程で国内的統一を成し遂げたポルトガルとスペインはキリスト教的宗教熱によって、他のヨーロッパ諸国に先駆けて対外進出を進めた。コロンブスがレコンキスタの終結した1492年に西インド諸島に到達したことがそれをよく示している。コロンブスは西回り航路によりインド到達を目指したが、これはトスカネリの地球球体説が理論的な根拠となっている。このように当時の科学の進展もヨーロッパの進出の追い風となったことも見逃してはならない。コロンブスが到達した地域を「新大陸」だとしたのは皮肉なことにコロンブスではなくアメリゴ・ヴェスプッチである。そして彼の名をとってアメリカ大陸となったことは多くの人が知っていよう。スペインはこうして新大陸を中心に勢力を伸ばしていく。一方ポルトガルはアフリカ大陸南端喜望峰を迂回する東回り航路によってインド進出を果たし(ヴァスコ・ダ・ガマ)、アジア地域を勢力の中心とした。船は陸上輸送よりコスト的に遥かに優位なので貿易が拡大した。アメリカに毛織物を輸出したスペインは、中南米から銀を大量輸入し銀本位体制を揺るがした。その銀は東インドに輸出され、香料と交換された。アメリカ大陸からもたらされたトマト、ジャガイモ、サツマイモ、とうもろこし、タバコは、ヨーロッパ、アジア、そしてアフリカの生活に重大な変化を起こした。", "title": "近代以前" }, { "paragraph_id": 49, "tag": "p", "text": "西アジアではオスマン帝国、南アジアではムガル帝国が栄えたが、17世紀末以降、オスマン帝国はオーストリア、ロシアの南下、そしてムガル帝国はイギリス、フランスの植民地化にあい衰退した。しかし東アジアの清(しん)帝国はヨーロッパとの貿易を制限し続け、康熙帝(こうきてい)、雍正帝(ようせいてい)、乾隆帝(けんりゅうてい)の3代130年間に渡り、中国史上空前の大繁栄を築き上げた。", "title": "近代以前" }, { "paragraph_id": 50, "tag": "p", "text": "16世紀から17世紀のヨーロッパでは、常備軍、官僚制、重商主義を採用した絶対主義国家が成立した。これらは王権神授説(おうけん しんじゅせつ)で正統化された。スペインのフェリペ2世、イギリスではエリザベス1世時代に全盛期をむかえた。フランスではルイ14世に全盛期を迎えた。三十年戦争後の18世紀の啓蒙制君主としてはプロイセンのフリードリッヒ2世、オーストリアのマリア・テレジア、ロシアのピョートル1世、エカチェリーナ2世が有名である。", "title": "近代以前" }, { "paragraph_id": 51, "tag": "p", "text": "17世紀はスペイン、ポルトガルに代わってオランダ、イギリス、フランスが台頭した。オランダはバタビアを拠点にした。女王は東インド会社を作った。17世紀後半にはオランダが後退し、イギリスとフランスが覇権を争うようになった。18世紀中ごろの七年戦争にフランスが敗れると、イギリスが資本主義の中核をなすようになった。またこのころ奴隷貿易を中心にヨーロッパ、アフリカ、アメリカ大陸を結ぶ大西洋三角貿易が確立された。", "title": "近代以前" } ]
高等学校世界史Aとは、世界史学習によって、現代世界の成り立ちを探る科目である。そのため、近代・現代史に自然と比重が置かれるわけだが、教科書そのものには近代以前の世界史も簡略に記述されていて、大学入試センター試験においても、前近代史も出題されている。
'''高等学校世界史A'''とは、世界史学習によって、現代世界の成り立ちを探る科目である。そのため、近代・現代史に自然と比重が置かれるわけだが、教科書そのものには近代以前の世界史も簡略に記述されていて、大学入試センター試験においても、前近代史も出題されている。 == 近代・現代 == === ヨーロッパ・アメリカの諸革命 === ※ ドイツの近代化については、 :[[高等学校世界史B/ドイツの統一とビスマルク外交]] を参照してください。 ** 産業革命 :[[高等学校世界史B/産業革命]] 18世紀の後半にイギリスで始まった。農業革命がおき、労働者が都市に流出し、工業都市が出現した。それと同時に蒸気機関が改良された。労働問題や社会問題が噴出するようになり、労働組合運動が起こり社会主義思想が芽生えた。1830年代にはフランス、19世紀中ごろにはドイツやアメリカで、1890年代にはロシアや日本にも波及した。 ** アメリカ独立革命 :[[高等学校世界史B/アメリカ合衆国の独立]] 13の植民地が建てられた。植民地民は、植民地議会を中心としたボストン茶会事件が起こると、イギリスとの対立が鮮明になった。トマス・ジェファーソンが独立宣言を起草し、1783年にパリ条約でアメリカ合衆国の独立は承認された。合衆国憲法が制定され、<big>ジョージ・ワシントン</big>が初代大統領に選ばれた。 ** フランス革命 :[[高等学校世界史B/フランス革命とナポレオン]] :[[高等学校世界史B/ウィーン体制と1848年の革命]] 度かさなる戦争や宮廷の贅沢な暮らしでフランスの財政は困窮していた。当時のフランスは中世の封建的な身分制度を依然として引きずっていて、'''アンシャン=レジーム'''(旧制度)と呼ばれていた。第一身分(聖職者)と第二身分(貴族)は免税特権や領事裁判権などの様々な特権が認められていた。1789年、ルイ16世は財源確保のためにこれらの特権階級への課税を提案した。これに反発した貴族は三部会を開くよう要求した。三部会は典型的な身分制議会で、第一身分、第二身分、第三身分(平民)の代表がそれぞれ召集されていたもので、ルイ13世の治世に停止されて以来、長い間開かれてなかった。この三部会で特権身分と第三身分の間で対立がおき、第三身分と第三身分寄りの特権身分の議員が、国民議会を組織し憲法制定まで解散しないことを誓い合った(テニスコートの誓い)。国民議会を国王も表向きは認めていたが、裏で武力弾圧しようという動きがあるのではないかという憶測が民衆の中で生まれ、特権階級への課税を主張していた財務統監のネッケルが罷免されたことをきっかけに、パリ民衆が7月14日に<big>バスティーユ監獄</big>を襲った。この事件は全国的な農民の暴動へつながり、これを終息しようとした国民議会が封建的特権の無償廃止、人権宣言を発表した。その後、国民議会で諸改革が進められていく中、国王一家がオーストリアへの亡命を図ろうとしたが失敗した。(ヴァレンヌ逃亡事件)91年9月、国民議会は当初の目的である憲法制定を達成したので解散し、新たに憲法に従い、立法議会が召集された。議会では立憲王政を目指すフイヤン派と共和政を目指すジロンド派が対立したが、オーストリアやプロイセンなどの反革命勢力に対する危機感が高まるにつれ、ジロンド派が優勢になり、92年春に政権を握り、オーストリアに宣戦した。国民公会になった。ジャコバン派のロベスピエールが恐怖政治を敷いた。イギリスの宰相小ピットを中心に第1回対仏大同盟がされた。公安委員会が経済統制をおこなうと反乱がおき、テルミドールのクーデタでロベスピエールは処刑され総裁政府になった。<big>ナポレオン・ボナパルト</big>はブリュメール18日のクーデタで統領政府を樹立させた。その後第一帝政を敷きナポレオン法典を発布した。さらにライン同盟の保護者となった。大陸封鎖令を出した後は、諸国民戦争や ワーテルローの戦い がおこなわれた。 ** ラテンアメリカの独立 モンロー宣言は新旧大陸間の相互不干渉をうたうとともにパン=アメリカ主義を匂わせるものであった。クリオーリョのシモン・ボリバルなどの指導で独立が達成されていった。 * 自由主義と国民主義の進展 ウィーン会議が開かれ、正統主義のもとウィーン体制が敷かれた。ドイツではブルシェンシャフト(全ドイツ学生組合)が結成されたが、オーストリアの外相メッテルニヒによって解散させられた。イタリアではマッツィーニも参加した秘密結社カルボナリ(炭焼き党)がブルボン家に抵抗した。スペインではスペイン立憲革命が起こった。オスマン帝国からはギリシャが英仏露の支援を受けて独立した。ロシアでは青年将校によるデカブリストの乱が起こったが鎮圧された。そんな中、ウィーン体制によってブルボン朝が復活していたフランスでは七月革命が起き、自由主義者のルイ・フィリップが王位につき、七月王政が成立した。イギリスではこの影響を受け第一次選挙法改正がおこなわれた。選挙権を得られなかった労働者はチャーチスト運動を起こした。ドイツではドイツ関税同盟が締結された。ムハンマド・アリーはエジプト事件を起こして東方問題となった。1848年の春は諸国民の春といわれている。フランスでは二月革命がおき、ルイ・ナポレオンが皇帝ナポレオン3世となり第二帝政となった。ベルリンやウィーンでも三月革命が起き、メッテルニヒは追放された。グラッドストンとディズレーリは相次いで自由主義的改革をおこなった。ロシアは英仏とクリミア戦争をおこなった。そこではナイティンゲールが活躍している。クリミア戦争に敗れたロシアではアレクサンドル2世が農奴解放令を出し、知識人の中からは農民を教化するナロードニキが現れた。サルディーニャではヴィットリオ・エマヌエーレ2世のもと宰相カブールがイタリア統一戦争を起こした。両シチリア王国を開放したガリバルディはサルディーニャ国王に領土を献上し、イタリア王国になった。ユンカー出身のビスマルクは北ドイツ連邦を作ると、普仏戦争を仕掛け圧勝しドイツ帝国を築いた。普仏戦争で占領されたフランスでは、一時パリ・コミューンが形成されて、第三共和制となった。ドイツ帝国は南独のカトリック勢力と対立して文化闘争になり、社会主義者鎮圧法を制定した。そのころ露土戦争がおき、ベルリン会議がビスマルクのもとで開かれた。 * 拡大する貿易活動 イギリスは原綿、羊毛、穀類、肉類、茶、コーヒーなどを輸入し、世界の工場となって鉄製品や綿製品などを輸出した。こうしてイギリスを中心とする世界の一体化が急速に進んだ。 === アジア諸国の変貌と日本 === * ヨーロッパの進出期におけるアジア諸国の状況 オスマン帝国ではタンジマートがなされた。ムハンマド・アリーがエジプト太守になった。その後スエズ運河が開通し、アラービー・パシャが支配した。スーダンはムハンマド・アフマトが支配した。イランではカージャール朝が興ったが、ロシアとイギリスに南北を2分された。ムガル帝国はイギリスによってインド統治法が施行されると、インド独立戦争が起こった。セポイが活躍したが、イギリスの植民地であるインド帝国になった。イギリスはさらにイギリス・ビルマ戦争を仕掛け、シンガポールを海峡植民地にした。フランスは清の支配下であったベトナムを支援し阮朝を建てた。清仏戦争に勝つとフランス領インドシナ連邦となって拡大した。インドネシアはオランダ領東インド植民地となった。清は林則徐(りん そくじょ)がアヘン没収をおこなうとイギリスがアヘン戦争を起こし南京条約(ナンキンじょうやく)を締結させられた。洪秀全(こう しゅうぜん、ホンシウチュワン)が太平天国(たいへいてんごく)を起こした混乱に乗じ第2次アヘン戦争がおこった。英仏と郷勇は太平天国を鎮めた。清は同治の中興をもたらしたが、<big>義和団</big>(ぎわだん)が山東省で蜂起した。 * 植民地化や従属化の過程での抵抗と挫折 インド国民会議が開かれると急進派のティラクが台頭した。スワデーシー、スワラージ、民族教育が掲げられた。オスマン帝国ではミドハト・パシャが憲法を作ったが露土戦争によってその効力が停止させられた。しかし青年トルコ人運動によって復活した。イランでは不買運動が起こり、立憲体制が成立したが、英露によって崩壊させられた。孫文(そんぶん)は三民主義(さんみんしゅぎ)を唱え中国同盟会を結成した。清でも立憲君主制や責任内閣制などの新政がおこなわれたが、財源を確保するために民間鉄道が国有化されると辛亥革命(しんがいかくめい)が起こった。孫文(そんぶん)を臨時大総統(りんじ だいそうとう)とする中華民国(ちゅうかみんこく)が成立すると、清の首相になった袁世凱(えんせいがい)は宣統帝を退位させ自ら中華民国の臨時大総統の地位についた。袁は国民党を弾圧した。袁がなくなると各地で軍閥が割拠した。 * 伝統文化の変容 イスラーム教の思想家であるアフガーニーが西欧化に反対し大きな影響を与えた。インドの詩人ダゴールはインドとヨーロッパの融合を試みた。中国では、中体西用論にもとづき西洋式の軍備を求める洋務運動(ようむ うんどう)がおこなわれ同治の中興をもたらしたが、軍閥のもとにもなった。立憲君主制を求める変法運動もおこなわれたが西太后を中心とする保守派のクーデターに遭い、改革は頓挫した。文学界からも新文化運動、白話運動が展開された。朝鮮ではハングルが考案され朝鮮実学が生まれた。また、キリスト教の西学(せいがく)に対する東学(とうがく)が完成した。 * 日本の対応 日本は日米和親条約(にちべい わしんじょうやく)で開国し、不平等条約の日米修好通商条約(にちべい しゅうこう つうしょう じょうやく)を受け入れた。明治維新後、殖産興業や富国強兵、四民平等、地租改正、徴兵令をおこない天皇制国家を確立していった。日朝間の不平等条約である日朝修好条規(にっちょうしゅうこうじょうき)が締結されると民衆は甲午農民戦争(こうご のうみんせんそう)を起こした。日本は<big>日清戦争</big>(にっしんせんそう)を起こし、勝利したが<big>三国干渉</big>(さんごくかんしょう)を受けた。日本は<big>日英同盟</big>(にちえいどうめい)を成立させると<big>日露戦争</big>(にちろせんそう)に踏み切った。その後、<big>ポーツマス条約</big>が締結された。 == 現代の世界と日本 == === 急変する人類社会 === * 輸送革命 飛行機、自動車などの交通手段の変革がおこった。 * マスメディアの発達 ラジオ、テレビなどが普及した。 * 企業や国家の巨大化 侵略した国々の企業では独占の傾向が強まった。侵略された国々ではプランテーションが増え、モノカルチャー経済になった。 * 社会の大衆化と政治や文化の変容 映画や舞台演劇が盛んになった。音楽はジャズやロックが誕生した。 * 公教育の普及と国民統合 ヴィクトリア女王下のイギリスでは教育法が成立し国民教育がおこなわれた。 === 二つの世界戦争と平和 === * 第一次世界大戦 :[[高等学校世界史B/第一次世界大戦]] :[[高等学校世界史B/ロシア革命と国際秩序の再編]] :[[高等学校世界史B/ヴェルサイユ体制とワシントン体制]] :[[高等学校世界史B/アジア・アフリカのナショナリズム]] 列強の対立はアフリカ大陸、太平洋諸島、中国大陸に及んだ。合衆国はパン=アメリカ会議を開いてラテンアメリカへの影響力を強めた。米西戦争を起こし、中国に対して門戸開放宣言をおこなった。英仏はファショダ事件やブール戦争を引き起こした。ビスマルクが失脚した後のドイツでは、ヴィルヘルム2世が親政を敷き、世界政策に乗り出した。これにより国際的緊張が急速に高まった。オスマン帝国で起こった青年トルコ革命に乗じ、ゲルマン系のオーストリアはスラブ系のボスニアとヘルツェゴビナを併合した。スラブ系のセルビアはこれをよく思わなかった。二度にわたるバルカン戦争がおき、バルカン半島は<big>「ヨーロッパの火薬庫」</big>といわれた。<big>サライェヴォ事件</big>が起こるとオーストリアがセルビアに先制し<big>第一次世界大戦</big>が勃発した。ロシアでは膨張政策に反対し第一次<big>ロシア革命</big>が起こった。大戦中に三月革命が起きてロマノフ朝は倒れ、ケレンスキーが首相になった。その後ボリシェヴィキの指導者<big>レーニン</big>が十月革命を起こし<big>ソヴィエト</big>政権が樹立された。トロツキーが外相になった。チェカを設け、戦時共産主義となった。そしてソヴィエト社会主義共和国連邦となり新経済政策をおこなった。戦争が終結すると国際協調と民族自決を原則とする<big>ベルサイユ体制</big>が敷かれた。これに対して東アジア、太平洋の協調体制のことを<big>ワシントン体制</big>という。ワイマール憲法が制定され、欧州の安全保障を定めるロカルノ条約が制定され、パリ不戦条約が制定された。朝鮮では三・一運動がおこなわれた。中国では二十一か条要求が承認され、五・四運動に発展した。また、ロシア革命の影響を受けて、中国共産党が成立した。国民党では孫文に代わった<big>蒋介石</big>(しょうかいせき)が北伐をおこなった。オスマン帝国に代わりムスタファ・ケマル・パシャがトルコ共和国を樹立した。イランではカージャール朝に代わりレザー・ハーンがパフレビー朝を建てた。アラビア半島ではイブン・サウードがサウジアラビア王国を建国した。国民会議派ではマハトマ・ガンディーは非暴力抵抗運動をおこない、議長に選出されたネルーはインド統治法を制定させた。<big>ムッソリーニ</big>はファシスタ党を率いた。 * 第二次世界大戦 :[[高等学校世界史B/世界恐慌とファシズム]] :[[高等学校世界史B/第二次世界大戦]] 繁栄の時代を築き上げたアメリカでは世界恐慌(せかいきょうこう)が起こった。アメリカは<big>ニューディール</big>(新規まき直し)を採用した。(植民地を)「持てる国」である英仏は<big>ブロック経済</big>をおこない、「持たざる国」の日独伊を締め出した。しかし英仏でさえもファシズム運動は起こっている。ドイツでは共産党の躍進を恐れた中産階級がヒトラー率いるナチスを支持した。スターリンは五か年計画をおこない、スターリン憲法を制定した。日本は満州事変を仕掛け満州国を成立させた。中国共産党は長征をおこなった。フランスでは人民政府が倒された。スペインではフランコが反乱を起こしスペイン内戦となった。ミュンヘン会談でチェコスロバキアのスデーデン地方の割譲が認められるとヒトラーは勢いに乗った。一時的に独ソ不可侵条約が締結され世界を驚かせた。ヒトラーの目的は東方の広大な領土を支配することであり、スターリンとは犬猿の仲である。イギリスの首相になったチャーチルは果敢な決断をした。ド・ゴールは自由フランス政府をロンドンに立てた。<big>日独伊三国同盟</big>が締結された。ソビエトは日ソ中立条約を締結しドイツとの戦いに備えた。大西洋憲章が制定された。日本は<big>太平洋戦争</big>(たいへいようせんそう)を仕掛けた。第二戦線が構築された。ドイツではベルリンが陥落し、日本には原子爆弾が投下され<big>ポツダム宣言</big>を受諾した。大戦後には<big>国際連合</big>(こくさいれんごう)が成立した。 === 米ソ冷戦とアジア・アフリカ諸国 === '''スカルノ'''はインドネシアを独立させた。'''ホー・チ・ミン'''はベトナム民主共和国を成立させた。植民地維持を目指すフランスは'''インドシナ戦争'''を仕掛けた。 南アジアはヒンドゥー教徒のインド連邦とイスラーム教徒のパキスタンに分裂した。 合衆国は'''トルーマン・ドクトリン'''、'''マーシャル・プラン'''を発表し、ヨーロッパ経済復興会議を開いた。 ソ連はそれに対して'''コメコン'''を開いた。また、北大西洋条約機構に対して、ワルシャワ条約機構を結成した。さらに'''コミンフォルム'''を作って世界革命を画策した。 ラテンアメリカは米州機構に加盟した。 パレスティナでは国連決議に基き、ユダヤ教徒によるイスラエル共和国が成立した。 朝鮮は朝鮮民主主義人民共和国と大韓民国に分裂した。 中国大陸では対日抗戦に国民党・共産党が勝利した後、国共内戦が再燃し、農村地帯を支配した共産党が勝利し、毛沢東(もうたくとう)によって中華人民共和国が成立した。ここに100年にわたる中国革命が終了した。 ドイツは、西のドイツ連邦共和国と東のドイツ民主共和国に分裂した。 朝鮮戦争が起きた。38度線を境に休戦状態である。 日本は日米安全保障条約とサンフランシスコ平和条約を同時に承認した。 合衆国の巻き返し政策に対してコロンボで平和五原則が結ばれた。翌年ではバンドンで平和十原則となってバンドン精神と呼ばれている。チャーチルがジュネーブ巨頭会談を開いたり、フルシチョフがスターリン批判の演説をおこなったり、緩和の動きも見られる。 共和制になったエジプトのナセル首相は運河を国有化すると、英仏イスラエルと対立した。スエズ動乱または第二次中東戦争と呼ばれる。ガーナは最初の黒人共和国となった。エンクルマ大統領はアフリカ独立の父と呼ばれている。1960年は17ものアフリカ諸国が独立したのでアフリカの年といわれる。 カストロは社会主義を目指すキューバ革命を指導し、ソ連がミサイルの支援をしていることが分かるとキューバ危機になった。 アフリカ統一機構が結成された。アラブではパレスティナ解放機構が結成された。 アメリカはベトナム戦争に介入し、北爆をおこなった。 チェコスロバキアの民主化を求めるプラハの春が起こったがWTO軍によって鎮圧され、チェコ事件となった。西ドイツのブラントは東方外交を展開し、緊張緩和に努めた。 === 地球社会への歩みと日本 === そして東西ドイツ基本条約が結ばれた。東パキスタンはバングラデシュとなった。アルゼンチン、メキシコ、ブラジル、ギリシャ、ポルトガル、ユーゴスラビア、シンガポール、台湾、韓国、香港などをNIESという。アラブ石油輸出国機構が結成され、第四次中東戦争の際に、石油危機を引き起こした。ベトナム戦争に敗れたアメリカでは科学技術に対する疑問がおこり、消費者問題、環境問題、人種問題、女性の権利の問題などが噴出した。シーア派のホメイニが指導するイラン・イスラーム革命が起き親米王政が倒された。日米間では貿易摩擦が深刻化した。韓国では民主化を求める光州事件がおきた。ポーランドでは連帯が結成された。ゴルバチョフがグラスノスチとペレストロイカをおこなうと、ソ連の実態が大衆の批判にさらされるようになった。 === 地域紛争と国際社会 === 中国では民主化を求める天安門事件が起こった。マルタ会談で冷戦の終結が確認された。東西ドイツは統一され、ソ連は崩壊し独立国家共同体になった。イラクがクウェート侵攻をおこなうと、アメリカが反撃し湾岸戦争(わんがんせんそう)となった。国連暫定カンボジア行政機構が結成されると、日本は国連平和維持活動に参加した。ヨーロッパ共同体が欧州連合となった。 === 科学技術と現代文明 === アインシュタインは相対性理論を提唱し、ハイゼンベルクは量子力学を確立し、ラザフォードなどが活躍した。トランジスタや半導体が発明され、情報工学や情報科学が発達した。人工衛星が作られ宇宙科学が発達した。化石燃料から代替エネルギーに変わろうとしているがうまくいってはいない。 == 近代以前 == === 諸地域世界と交流圏 === ==== 東アジア世界 ==== 風土はステップ地帯、畑作地帯、穀倉地帯である。 政治の中心地はほとんどが黄河(こうが)流域であった。 民族は漢民族(かんみんぞく)が大多数だが、モンゴル、ウイグル、東南アジア系の人口も多い。殷(いん)の<big>甲骨文字</big>(こうこつもじ)から<big>漢字</big>が発展した。 漢字の特等は表意文字(ひょういもじ)が特徴である。 思想は<big>孔子</big>(こうし)の儒家(じゅか)思想が漢の武帝の時代に<big>儒教</big>(じゅきょう)となり、支配者層で信奉された。これは徳治主義や中華思想(ちゅうかしそう)となって、<big>冊封体制</big>(さくほうたいせい)の土台となった。 冊封体制(さくほうたいせい)とは、周辺国の朝貢貿易(ちょうこうぼうえき)をする朝貢国に代わりに官爵を与える制度のことである。儒教は宋(そう)の<big>科挙</big>(かきょ)や、南宋(なんそう)の<big>朱子学</big>(しゅしがく)を生み出し日本にも影響を与えた。 ==== 南アジア世界 ==== 北部のインダス川やガンジス川の流域で、統一王朝が築かれることが多かった。 民族はアーリア人とドラヴィダ人が多い。中央アジアで遊牧を営んでいたアーリア人は前2000年ごろから移動を開始し、ヴェーダを作った。鉄器が発明され、生産があがるとヴァルナ制度が取り入れられた。 それに疑問を持った<big>ガウタマ・シッダールタ</big>は<big>仏教</big>(ぶっきょう)を開いた。ヒンドゥー教はヴェーダと民間信仰が結びついたもので、ヴァルナ制度にジャーティが加わったカースト制に深く関係している。 インドでイスラーム教が盛んになったのは、16世紀のイスラーム神秘主義教団以降である。 ==== イスラーム世界 ==== 風土は地中海気候および乾燥気候である。 民族はアラブ系、トルコ系、ベルベル系、モンゴル系などである。ナイル川、ティグリス川、ユーフラテス川の流域では灌漑農耕が起こった。 宗教や文字が多く生まれたところでもある。<big>ムハンマド</big>は<big>イスラーム教</big>を成立した。 ムハンマドが630年に死去すると、彼の築いたウンマ(信徒の共同体)を誰が継承するのかが問題となった。預言者ムハンマドには男児がいなかった。ゆえに初期イスラーム共同体の継承者はムスリムの中から合議で選ばれた。こうして選ばれた彼の後継者のことをカリフ(ハリーファ)といった。最初のカリフはムハンマドの旧来の友人のアブー・バクルで、彼は早くも分裂の危機にさらされた共同体の維持のための戦いを余儀なくされた。彼の後はウマル、ウスマーン、アリーと、信徒の合議により選出されたカリフ(正統カリフ)が続いた。この時代にイスラーム共同体はジハード(聖戦)を通じ、ビザンツ帝国やササン朝ペルシャの領域に対外進出をしていった。4代目カリフアリーが暗殺されるなどのイスラーム教徒の内紛を鎮めたムアーウィアはウマイヤ朝を開きカリフを世襲化した。ウマイヤ朝の最大領域は、東は中央アジアやパキスタンから西はモロッコ、イベリア半島にまで及んだ。 ==== ヨーロッパ世界 ==== ウラル山脈以西をヨーロッパという。 アルプス以南の地中海世界、以北の西ヨーロッパ世界、カルパチア山脈周辺以東の東ヨーロッパ世界の3つに分けることができる。 西ヨーロッパには最初ケルト系民族が住んでいたが、紀元前後にラテン系、4世紀頃にゲルマン系民族が侵入した。キリスト教はイエスが成立し、使徒のペテロやパウロによって広められた。 4世紀のローマ帝国によって公認され、国教となった。 ギリシアではアテネやスパルタなどの都市国家が栄えた。 ローマは前2世紀にギリシアを攻め、前1世紀に地中海世界を統一した。 ==== ユーラシアの交流圏 ==== ===== 海域世界の成長とユーラシア ===== アラブ系のムスリム商人は、ダウと呼ばれる木造帆船で紅海、アラビア海、インド洋を交易した。中国からは、絹、陶磁器、銀、茶など、東南アジアからは、香辛料、象牙、珊瑚等が輸入されている。中国商人は、ジャンクという木造帆船で東シナ海を交易した。広州、泉州、明州などの都市には市舶司が置かれた。 ===== 遊牧社会の膨張とユーラシア ===== 13世紀はタタールの平和(パックス=モンゴリカ)と呼ばれている。騎馬遊牧民による農耕地域の確保のため、チンギス・ハーンは千戸制を敷き、西夏とホラズムを滅ぼした。その子孫であるオゴタイ・ハーンは金を討ち、バトゥはロシアに遠征し、フラグはアッバース朝を滅ぼし、イル・ハン国を建て、フビライは元朝を開き南宋を滅ぼした。 ===== 地中海海域とユーラシア ===== 十字軍(じゅうじぐん)の輸送により、ジェノヴァやヴェネツィアを拠点とするイタリア商人の東方貿易(レヴァント貿易)が盛んになった。黒海にはキプチャク・ハン国とイル・ハン国との航路を開いた。エジプト商人との交易では、ユーラシアから香料、染料、宝石、絹織物を輸入し、アフリカからは金が輸入されるようになった。 ===== 東アジア海域とユーラシア ===== 元(げん)の時代に、首都の大都、黄海、杭州が大運河で結ばれた。マルコ・ポーロもこの航路を利用していた。日本は日宋貿易、日元貿易の後、倭寇(わこう)が氾濫したが、室町時代の勘合貿易(かんごうぼうえき)によって鎮められた。琉球王国は15世紀の初めに中山王(ちゅうざんおう)によって統一され、明(みん)に朝貢した。また、日本、朝鮮、東南アジアとの中継貿易も行われていた。 === 一体化する世界 === ==== 大航海時代の世界 ==== 16世紀の象徴的な出来事は、スペインのマゼランとその部下による世界周航である。そもそもレコンキスタ(国土回復運動)の過程で国内的統一を成し遂げたポルトガルとスペインはキリスト教的宗教熱によって、他のヨーロッパ諸国に先駆けて対外進出を進めた。コロンブスがレコンキスタの終結した1492年に西インド諸島に到達したことがそれをよく示している。コロンブスは西回り航路によりインド到達を目指したが、これはトスカネリの地球球体説が理論的な根拠となっている。このように当時の科学の進展もヨーロッパの進出の追い風となったことも見逃してはならない。コロンブスが到達した地域を「新大陸」だとしたのは皮肉なことにコロンブスではなくアメリゴ・ヴェスプッチである。そして彼の名をとってアメリカ大陸となったことは多くの人が知っていよう。スペインはこうして新大陸を中心に勢力を伸ばしていく。一方ポルトガルはアフリカ大陸南端喜望峰を迂回する東回り航路によってインド進出を果たし(ヴァスコ・ダ・ガマ)、アジア地域を勢力の中心とした。船は陸上輸送よりコスト的に遥かに優位なので貿易が拡大した。アメリカに毛織物を輸出したスペインは、中南米から銀を大量輸入し銀本位体制を揺るがした。その銀は東インドに輸出され、香料と交換された。アメリカ大陸からもたらされたトマト、ジャガイモ、サツマイモ、とうもろこし、タバコは、ヨーロッパ、アジア、そしてアフリカの生活に重大な変化を起こした。 ==== アジアの諸帝国とヨーロッパの主権国家体制 ==== * アジア諸帝国の政治と社会 西アジアではオスマン帝国、南アジアではムガル帝国が栄えたが、17世紀末以降、オスマン帝国はオーストリア、ロシアの南下、そしてムガル帝国はイギリス、フランスの植民地化にあい衰退した。しかし東アジアの清(しん)帝国はヨーロッパとの貿易を制限し続け、康熙帝(こうきてい)、雍正帝(ようせいてい)、乾隆帝(けんりゅうてい)の3代130年間に渡り、中国史上空前の大繁栄を築き上げた。 * ヨーロッパの主権国家体制の成立 16世紀から17世紀のヨーロッパでは、常備軍、官僚制、重商主義を採用した絶対主義国家が成立した。これらは王権神授説(おうけん しんじゅせつ)で正統化された。スペインのフェリペ2世、イギリスではエリザベス1世時代に全盛期をむかえた。フランスではルイ14世に全盛期を迎えた。三十年戦争後の18世紀の啓蒙制君主としてはプロイセンのフリードリッヒ2世、オーストリアのマリア・テレジア、ロシアのピョートル1世、エカチェリーナ2世が有名である。 * 大西洋貿易の展開 17世紀はスペイン、ポルトガルに代わってオランダ、イギリス、フランスが台頭した。オランダはバタビアを拠点にした。女王は東インド会社を作った。17世紀後半にはオランダが後退し、イギリスとフランスが覇権を争うようになった。18世紀中ごろの七年戦争にフランスが敗れると、イギリスが資本主義の中核をなすようになった。またこのころ奴隷貿易を中心にヨーロッパ、アフリカ、アメリカ大陸を結ぶ大西洋三角貿易が確立された。 [[Category:歴史|高せかいしえ]] [[Category:高等学校教育|せかいしえ]]
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2022-11-29T11:45:48Z
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メインページ > 工学 > 情報技術 > プログラミング > CSS 大学の教科書 自然科学: 数学 - 物理学; 古典力学 量子力学 - 化学; 無機化学 有機化学 - 生物学; 植物学 研究技術 - 地球科学 - 医学; 解剖学 語学: 日本語 英語 エスペラント 朝鮮語 デンマーク語 ドイツ語 フランス語 ラテン語 ルーマニア語 人文科学: 歴史学; 日本史 中国史 世界史 歴史観 - 心理学 - 哲学 - 芸術; 音楽 美術 - 文学; 古典文学 漢詩 社会科学: 法学 - 経済学 - 地理学 - 教育学; 学校教育 教育史 情報技術: 情報工学; MS-DOS/PC DOS UNIX/Linux TeX/LaTeX CGI - プログラミング; BASIC C言語 C++ D言語 HTML Java JavaScript Lisp Mizar Perl PHP Python Ruby Scheme SVG 小・中・高校の教科書 小学: 国語 社会 算数 理科 英語 中学: 国語 社会 数学 理科 英語 高校: 国語 - 地歴 - 公民 - 数学; 公式集 - 理科; 物理 化学 地学 生物 - 外国語 - 情報 解説書・実用書・参考書 趣味: 料理本 - スポーツ - ゲーム 試験: 資格試験 - 入学試験 その他の本: 防災 - 生活と進路 - ウィキペディアの書き方 - ジョーク集 CSS( Cascading Style Sheets )は、Webページのレイアウトやスタイルを設定するための言語です。HTMLとともにWebページのデザインを制御するために使われます。CSSはHTMLとは別に記述され、HTML文書内に直接記述することもできますが、外部のCSSファイルとして読み込ませることが一般的です。 以下に、CSSの主な特徴や機能について説明します。 以上が、CSSの主な特徴や機能についての説明です。CSSはWebページのデザインやレイアウトを制御するために欠かせない言語であり、Web開発において重要な役割を担っています。 CSS(Cascading Style Sheets)は、HTMLに対して、文書のレイアウトや文字色などのさまざまなスタイルを指定するために作られました。 CSSはW3C( World Wide Web Consortium )によって標準化された規格です。W3CはWeb技術の発展に貢献することを目的としており、Web標準化の推進や、Web技術の改善を行っています。 しかし、実際にWebブラウザでCSSを利用する際には、ブラウザごとに独自の実装があります。これは、W3Cの規格に対して、ブラウザベンダーが独自の機能を追加したり、実装方法を変更したりするためです。そのため、同じCSSコードでも、異なるブラウザでは表示が異なることがあります。 また、最近では、ベンダープレフィックスと呼ばれる接頭辞を付けたCSSプロパティが使用されることがあります。これは、ブラウザベンダーが実験的な機能を提供するために用意したものであり、プレフィックスが付いたプロパティは、異なるブラウザに対して異なる値を指定する必要があります。 また、ブラウザは異なるレンダリングエンジンを使用しています。例えば、Google ChromeはBlinkと呼ばれるレンダリングエンジンを使用しており、FirefoxはGecko、SafariはWebKitを使用しています。これらのエンジンはそれぞれ異なる方法でCSSを解釈し、表示される結果が異なる場合があります。 さらに、フォントのレンダリングにもブラウザごとの差異があります。フォントの種類やフォントサイズ、行間などの設定によって、異なるブラウザで表示が異なる場合があります。 したがって、Web開発者は、W3Cの規格に従いつつ、ブラウザごとの独自実装やプレフィックス、レンダリングエンジンの違いに対応する必要があります。それによって、異なるブラウザでも正確に同じ表示ができるWebページを作ることができます。 Web開発において、特定の機能がブラウザごとにどの程度実装されているか確認することは非常に重要です。 そのために、 https://caniuse.com/ というWebサイトを活用することができます。 たとえば、flexboxの実装状況を知りたい場合は、「flexbox」と検索します。すると、https://caniuse.com/?search=flexbox が返されます。 この結果から、現在廃止されたIEは最後のバージョンまでflexboxをサポートしていなかったこと、その他のモダンなブラウザはすべてサポートしていることがわかります。 この検索機能は、CSSだけでなく、HTML、JavaScript、そしてWeb APIのfetchなど、さまざまな技術に対応しています。 CSS3は、レイアウトを操作する機能を提供していますが、現実のインターネットには、HTMLのTABLE要素を使用してレイアウトするなど、CSSによらず本来の文章構造と一致しないマークアップをレイアウトのために使用するコンテンツがまだまだ見られます(2023年4月現在)。 このようなマークアップを行うと、視覚障害者の方が使う読み上げブラウザが文章構造を理解できず、適切な読み上げができなくなってしまいます。また、TABLE要素を使用してレイアウトすると、レスポンシブデザインができないため、モバイルデバイスでは、「巨大な表の一部を虫眼鏡で覗く」ようなユーザ体験になってしまいます。 HTML4では、色やサイズのHTML要素により指定する機能(FONT要素が象徴的)は、非推奨でしたが、W3Cの規定するHTML標準の一部でした。しかし、非推奨であるため、標準化の度合いが相対的に低く、HTMLレンダリングエンジンごとの差異をさらに大きくする悪循環に陥っていました。 HTML5では、規格制定主体がW3CからWHATWGに変更され、大幅な仕様改訂が行われました。物理修飾を行う要素であるFONT要素は廃止され、一部は物理修飾を離れた意味に再定義されました。また、FRAMESET要素も廃止されました。DOCTYPEからDTDがなくなり、SGMLに基づいたマークアップ言語でもなくなりました。このため、FONT要素はHTML5の要素ではなくなりました。 [TODO:次に示している例は、floatを使ったり根拠のないマージン見込みを使った悪いコードで、gridやflexboxを使った良質のコードに置換えるべきです] たとえばCSSを使って、ページを左右2段組にしたい場合、下記コードのようにすればいい。 典型的な例である。 floatの指定がないと、片方のブロックの下の行から、もう片方のブロックの描画を開始してしまう。なので、もし floatが無いと、左右のブロックが斜め気味に配置されてしまい、目的の配置にならない。 とにかく、左右に段組をしたい配置の場合、まず float を検討するのが良いだろう(なお、他にも方法はある)。 CSS 指定の中の word-break: break-all; 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<small>{{Pathnav|メインページ|工学|情報技術|プログラミング}}</small> <!-- __NOTOC__ --> == 目次 == {{進捗状況}} {{蔵書一覧}} <div style="border: #99f 1px solid; padding: 1ex; margin: 0 230px 0 0; background: #eef;"> * [[#はじめに|はじめに]] * [[/記述|記述]]{{進捗|25%|2008-06-29}}:CSSの記述方法 * [[HTML/フレーム]] flexbox や CSS grid について解説あり * [[/フォント|フォント]]{{進捗|25%|2006-12-18}} * [[/背景|背景]]{{進捗|25%|2005-09-03}}:背景色・背景画像等の指定方法 * [[/カーソル|カーソル]]{{進捗|25%|2009-11-08}}:カーソルの指定方法 * [[/ブラウザ|ブラウザ]]{{進捗|00%|2005-07-12}}:特定のブラウザでのみ有効な指定 * [[/継承|継承]]:表示効果の継承と既定値 * [[/ボックス|ボックス]]:ボックスの概念と指定方法 * [[/テキスト|テキスト]] * [[/配置|配置]] * [[/リスト|リスト]] * [[/テーブル|テーブル]] * [[/プリント|プリント]] * [[/音声|音声]] </div> == はじめに == {{Wikipedia|Cascading Style Sheets}} CSS( ''Cascading Style Sheets'' )は、Webページのレイアウトやスタイルを設定するための言語です。[[HTML]]とともにWebページのデザインを制御するために使われます。CSSはHTMLとは別に記述され、HTML文書内に直接記述することもできますが、外部のCSSファイルとして読み込ませることが一般的です。 以下に、CSSの主な特徴や機能について説明します。 * レイアウトの指定: CSSを使うことで、Webページのレイアウトを細かく指定することができます。例えば、ヘッダーやフッターの位置や幅、ページ内の要素の配置などを自由に設定することができます。 * 色やフォントの指定: CSSを使うことで、Webページの色やフォント、サイズなどを自由に指定することができます。これにより、Webページのデザインを統一的に設定することができます。 * 疑似クラスや疑似要素の指定: CSSを使うことで、特定の状態や位置に応じてスタイルを変更することができます。例えば、リンクをクリックしたときの色変化や、要素の先頭や末尾に装飾を追加することができます。 * セレクタの使用: CSSを使うことで、HTMLの要素を指定するセレクタを使って、要素ごとにスタイルを変更することができます。例えば、特定のクラスやIDを持つ要素だけにスタイルを適用することができます。 * カスケードの仕組み: CSSは、複数のスタイル指定がある場合に、優先度の高いものが適用されるようにカスケードの仕組みがあります。このため、Webページのスタイルを効率的に管理することができます。 以上が、CSSの主な特徴や機能についての説明です。CSSはWebページのデザインやレイアウトを制御するために欠かせない言語であり、Web開発において重要な役割を担っています。 CSS(Cascading Style Sheets)は、[[HTML]]に対して、文書のレイアウトや文字色などのさまざまなスタイルを指定するために作られました。 === CSSの標準規格とブラウザごとの独自実装 === CSSはW3C( World Wide Web Consortium )によって[https://www.w3.org/TR/CSS/#css 標準化された規格]です。W3CはWeb技術の発展に貢献することを目的としており、Web標準化の推進や、Web技術の改善を行っています。 しかし、実際にWebブラウザでCSSを利用する際には、ブラウザごとに独自の実装があります。これは、W3Cの規格に対して、ブラウザベンダーが独自の機能を追加したり、実装方法を変更したりするためです。そのため、同じCSSコードでも、異なるブラウザでは表示が異なることがあります。 また、最近では、ベンダープレフィックスと呼ばれる接頭辞を付けたCSSプロパティが使用されることがあります。これは、ブラウザベンダーが実験的な機能を提供するために用意したものであり、プレフィックスが付いたプロパティは、異なるブラウザに対して異なる値を指定する必要があります。 また、ブラウザは異なるレンダリングエンジンを使用しています。例えば、Google ChromeはBlinkと呼ばれるレンダリングエンジンを使用しており、FirefoxはGecko、SafariはWebKitを使用しています。これらのエンジンはそれぞれ異なる方法でCSSを解釈し、表示される結果が異なる場合があります。 さらに、フォントのレンダリングにもブラウザごとの差異があります。フォントの種類やフォントサイズ、行間などの設定によって、異なるブラウザで表示が異なる場合があります。 したがって、Web開発者は、W3Cの規格に従いつつ、ブラウザごとの独自実装やプレフィックス、レンダリングエンジンの違いに対応する必要があります。それによって、異なるブラウザでも正確に同じ表示ができるWebページを作ることができます。 === CanIUse.COM: ブラウザ対応情報を確認する方法 === Web開発において、特定の機能がブラウザごとにどの程度実装されているか確認することは非常に重要です。 そのために、 https://caniuse.com/ というWebサイトを活用することができます。 たとえば、flexboxの実装状況を知りたい場合は、「flexbox」と検索します。すると、https://caniuse.com/?search=flexbox が返されます。 この結果から、現在廃止されたIEは最後のバージョンまでflexboxをサポートしていなかったこと、その他のモダンなブラウザはすべてサポートしていることがわかります。 この検索機能は、CSSだけでなく、HTML、JavaScript、そしてWeb APIの[https://caniuse.com/?search=fetch fetch]など、さまざまな技術に対応しています。 == CSS以外のレイアウト == CSS3は、レイアウトを操作する機能を提供していますが、現実のインターネットには、HTMLのTABLE要素を使用してレイアウトするなど、CSSによらず本来の文章構造と一致しないマークアップをレイアウトのために使用するコンテンツがまだまだ見られます(2023年4月現在)。 このようなマークアップを行うと、視覚障害者の方が使う読み上げブラウザが文章構造を理解できず、適切な読み上げができなくなってしまいます。また、TABLE要素を使用してレイアウトすると、レスポンシブデザインができないため、モバイルデバイスでは、「巨大な表の一部を虫眼鏡で覗く」ようなユーザ体験になってしまいます。 HTML4では、色やサイズのHTML要素により指定する機能(FONT要素が象徴的)は、非推奨でしたが、[[w:W3C|W3C]]の規定するHTML標準の一部でした。しかし、非推奨であるため、標準化の度合いが相対的に低く、HTMLレンダリングエンジンごとの差異をさらに大きくする悪循環に陥っていました。 HTML5では、規格制定主体がW3CからWHATWGに変更され、大幅な仕様改訂が行われました。物理修飾を行う要素であるFONT要素は廃止され、一部は物理修飾を離れた意味に再定義されました。また、FRAMESET要素も廃止されました。[[w:DOCTYPE|DOCTYPE]]から[[w:DTD|DTD]]がなくなり、[[w:SGML|SGML]]に基づいたマークアップ言語でもなくなりました。このため、FONT要素はHTML5の要素ではなくなりました<ref>https://developer.mozilla.org/en-US/docs/Web/HTML/Element/font</ref><ref>https://html.spec.whatwg.org/multipage/#toc-semantics には FONT Element はなく Obsolate との言及すらない。</ref>。 {{See also|[[w:ウェブ標準|ウェブ標準]]}} == ※ 未分類 == :※ どこのサブページに入れたらいいか不明な内容を、ここに記述する。 :ある程度、記述が確立したら、サブページ化してください。 [TODO:次に示している例は、floatを使ったり根拠のないマージン見込みを使った悪いコードで、gridやflexboxを使った良質のコードに置換えるべきです] たとえばCSSを使って、ページを左右2段組にしたい場合、下記コードのようにすればいい。 典型的な例である。 ;コード例 <syntaxhighlight lang="html5"> <!DOCTYPE html> <html lang="ja"> <head> <title>CSSによるページ左右分割のコード例</title> <style type="text/css"> .left { width: 60%; float: left; background-color: #ccccff } .right { width: 30%; float: right; background-color: #ffaaaa; } .kaigyo1 { word-break: break-all; overflow-wrap: anywhere; } .kaigyo2 { word-break: break-all; overflow-wrap: anywhere; } </style> </head> <body> <div class="left"> <div class="kaigyo1"> aaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa </div> </div> <div class="right"> <div class="kaigyo2"> bbbbbbb bbbbbbbbbbbbbb bbbbbbbbbbbbbbbbb bbbbbbbbbbbb </div> </div> </body> </html> </syntaxhighlight> ;解説 floatの指定がないと、片方のブロックの下の行から、もう片方のブロックの描画を開始してしまう。なので、もし floatが無いと、左右のブロックが斜め気味に配置されてしまい、目的の配置にならない。 とにかく、左右に段組をしたい配置の場合、まず float を検討するのが良いだろう(なお、他にも方法はある)。 CSS 指定の中の word-break: break-all; overflow-wrap: anywhere; は、改行を指定するのに、実用上は、普通は必要になる。 コレが無いと、長い文章などが突き出てしまう。(特に日本語の場合、突き出やすい。) なお、<code> word-break: break-all; </code> も <code> overflow-wrap: anywhere; </code> も効果はほぼ同じだが、ブラウザ種類ごとの互換性のため、上記コードでは両方とも記載してある。 width 幅とは横幅のこと。なお 縦幅なら height (ハイト)である。 width や height を指定する際、この場合は % (パーセント)単位でも指定が出来る。(CSS や html で入り組んだ複雑なレイアウトをしたりすると、場合によっては % 指定を受け付けないブラウザもあるが、しかしこのコード例の程度のレイアウトなら、どのブラウザでも(2020年5月4日に Firefox75 および Google Chrome84 で確認)、%表示できる。) 他にもピクセル単位(px)でwidthなどの幅を指定する方法もある。 余談だが、一般にCSSのコードは head タグの中に入れるのが普通である(入れなくても動作する)。 なお、この左右2段組のレイアウトのことを「2カラム」と言います。「カラム」とは柱のことです。 いっぽう、もし 左・中央・右 で3段構成になっていれば「3カラム」と言います。 通常のなんの左右分割もしてない状態なら、「シングルカラム」と言います。 あなたが今読んでいる「なお、この左右2段組のレイアウトのことを「2カラム」と言います。」という文章から「通常のなんの左右分割もしてない状態なら、「シングルカラム」と言います。」の文章までは、パソコン画面では、シングルカラムで表示されているだろうと思います。 == CSS関数 == CSS値関数とは、特別なデータ処理や計算を呼び出し、CSSプロパティの値を返す文です。 CSS値関数には複数の引数を取るものもあり、返り値を計算するために必要です。 例えば、変換関数や色関数、フィルタ関数などがあります。 また、数学関数や比較関数、ステップ値関数、三角関数、指数関数、符号関連関数などもあります。 CSS値関数は、CSSの機能をより高度に拡張することができます。 CSS関数の一覧を以下に示します。 # calc() - 算術演算を行い、サイズ、長さ、角度、時間などの値を計算します。 # var() - カスタムプロパティから値を取得します。 # min() - 与えられた引数の最小値を返します。 # max() - 与えられた引数の最大値を返します。 # clamp() - 与えられた引数に基づいて、最小値と最大値の範囲内で値を制限します。 # attr() - HTML要素の属性値を取得します。 # url() - 画像や他のリソースへのURLを指定します。 # linear-gradient() - 線形グラデーションを定義します。 # radial-gradient() - 放射状グラデーションを定義します。 # repeat() - 背景画像の繰り返しパターンを指定します。 # cubic-bezier() - カスタムキューブベジエ曲線を定義します。 # steps() - ステップ関数を定義します。 # hsl() - HSLカラーモデルを使用して色を指定します。 # rgb() - RGBカラーモデルを使用して色を指定します。 # rgba() - RGBAカラーモデルを使用して色を指定します。 # hsla() - HSLAカラーモデルを使用して色を指定します。 # rotate() - オブジェクトを回転させます。 # translate() - オブジェクトを移動させます。 # scale() - オブジェクトのサイズを拡大または縮小します。 # skew() - オブジェクトを傾けます。 # perspective() - 3D視点を指定します。 # matrix() - 2D変換行列を定義します。 # matrix3d() - 3D変換行列を定義します。 # cross-fade() - 2つの画像の間をフェードイン・アウトさせます。 # grayscale() - オブジェクトのグレースケール値を指定します。 # blur() - オブジェクトのぼかしを指定します。 # brightness() - オブジェクトの明るさを指定します。 # contrast() - オブジェクトのコントラストを指定します。 # drop-shadow() - オブジェクトのドロップシャドウを指定します。 # opacity() - オブジェクトの透明度を指定します。 === calc()関数 === CSSのcalc関数は、算術演算子を使用して値を計算するために使用されます。以下は、使用例の一例です。 ==== 幅を計算する ==== 例えば、次のような要素があるとします。 :<syntaxhighlight lang=html5> <div class="container"></div> </syntaxhighlight> この要素の幅を計算するには、次のようにします。 :<syntaxhighlight lang=css> .container { width: calc(100% - 20px); } </syntaxhighlight> このコードは、コンテナ要素の幅をページ全体の幅から20pxを引いた幅に設定します。 ==== 高さを計算する ==== 同様に、高さを計算する場合は、次のようにします。 :<syntaxhighlight lang=css> .container { height: calc(100vh - 50px); } </syntaxhighlight> このコードは、コンテナ要素の高さをページの高さから50pxを引いた高さに設定します。 ==== マージンを計算する ==== 次の例では、マージンを計算しています。 :<syntaxhighlight lang=css> .container { margin: calc(10% - 5px) calc(20% - 10px); } </syntaxhighlight> このコードは、コンテナ要素の上下のマージンを高さの10%から5pxを引いた値に設定し、左右のマージンを幅の20%から10pxを引いた値に設定します。 ==== フォントサイズを計算する ==== フォントサイズを計算する例は次のようになります。 :<syntaxhighlight lang=css> .container { font-size: calc(16px + 0.5vw); } </syntaxhighlight> このコードは、コンテナ要素内のテキストのフォントサイズを、16pxに0.5vwを加えた値に設定します。これにより、ページの幅が広くなるにつれてフォントサイズが自動的に調整されます。 これらの例を参考にして、calc関数を使って独自のスタイルを作成することができます。 == カスタムプロパティ == CSSのカスタムプロパティは、ユーザー定義の変数を作成するための機能であり、変数を使用してスタイルを定義することができます。これは、Web開発者にとって非常に便利な機能であり、ページの外観や動作を調整するために使用できます。 :各ユーザーエージェントの対応状況については、[https://caniuse.com/?search=Custom%20Properties Custom Properties in caniuse.com] を参照してください。 カスタムプロパティは、--のプレフィックスで始まる名前を持ち、CSSルールの任意の場所に定義できます。たとえば、以下のようなカスタムプロパティを定義することができます。 :<syntaxhighlight lang=css> :root { --primary-color: #FF5733; } </syntaxhighlight> この場合、--primary-colorという名前のカスタムプロパティを定義しています。このプロパティには、#FF5733という値が割り当てられています。 このプロパティを使用するには、var()関数を使用します。たとえば、次のようなCSSルールを定義することができます。 :<syntaxhighlight lang=css> body { background-color: var(--primary-color); } </syntaxhighlight> このルールは、--primary-colorカスタムプロパティを使用して、背景色を定義しています。var()関数は、定義されたカスタムプロパティの値を取得し、その値を使用してスタイルを適用します。 カスタムプロパティは、動的な値にも使用できます。たとえば、以下のように:hover疑似クラスを使用して、マウスが要素の上にあるときに、カスタムプロパティの値を変更することができます。 :<syntaxhighlight lang=css> :root { --primary-color: #FF5733; --primary-color-hover: #F00; } button { background-color: var(--primary-color); } button:hover { --primary-color: var(--primary-color-hover); } </syntaxhighlight> この場合、ボタンの背景色は、--primary-colorカスタムプロパティの値に基づいて定義されます。しかし、ボタンにマウスが乗っているときに、--primary-colorカスタムプロパティの値が--primary-color-hoverに変更されます。したがって、ボタンの背景色も変更されます。 カスタムプロパティは、CSSの機能として非常に強力であり、Web開発者にとって重要なツールの1つです。それらを使用することにより、スタイルの変更が簡単になり、柔軟性が向上します。 == コメント == CSSコメントは主な用途として、ブラウザに表示・解釈させないで、ソースファイルを読んだプログラマーなどに情報提供するために用いられます。 本来、歴史的にはプログラミング業界では同様の技術を「コメントアウト」などと読んでいましたが、現代では単に「コメント」だけで通用します。 CSSコメントは、コードの説明的なノートを追加したり、スタイルシートの特定の部分をブラウザが解釈しないようにするために使用されます。コメントは、ドキュメントのレイアウトに影響を与えません。 コメントは、スタイルシート内で許容される空白が許される場所に配置できます。単一行または複数行にまたがることができます。 以下は、コメントの例です。 :<syntaxhighlight lang=css> /* 1行コメント */ /* 複数行に渡る コメント */ /* 以下のコメントは、 特定のスタイルを無効にするために使用されます ''/ /'' span { color: blue; font-size: 1.5em; } */ </syntaxhighlight> コメントの構文は、単一行および複数行の両方に使用されます。 外部スタイルシートでコメントを指定する他の方法はありません。 ただし、STYLE要素を使用する場合は、古いブラウザからCSSを非表示にするために<code><!-- --></code>を使用できますが、これは推奨されません。 <code>/* */</code>コメント構文を使用するほとんどのプログラミング言語と同様に、コメントは入れ子にすることはできません。 CSSに<code>//</code>形式のコメント構文は'''ありません'''。 == CSSカウンター == CSSカウンターは、CSSのプロパティの1つで、HTMLの要素に自動的に番号を割り当てることができます。 CSSカウンターを使用すると、ヘッダー、フッター、注釈、章、節などのセクションを自動的に番号付けできます。 CSSカウンターは、以下のように使用されます。 ;カウンターを定義する:<syntaxhighlight lang="css"> counter-reset: <counter-name> <initial-value>; </syntaxhighlight> ;カウンターをインクリメントする:<syntaxhighlight lang="css"> counter-increment: <counter-name> <increment-value>; </syntaxhighlight> ;カウンターを表示する:<syntaxhighlight lang="css"> content: counter(<counter-name>); </syntaxhighlight> 例えば、以下のように使用することができます。 ;HTML:<syntaxhighlight lang=html5> <body> <h1>見出し1</h1> <p>これは最初の段落です。</p> <h2>見出し2</h2> <p>これは2番目の段落です。</p> <h3>見出し3</h3> <p>これは3番目の段落です。</p> </body> </syntaxhighlight> ;CSS:<syntaxhighlight lang=css> body { counter-reset: section; } h1 { counter-reset: subsection; counter-increment: section; content: counter(section) ". "; } h2 { counter-reset: subsubsection; counter-increment: subsection; content: counter(section) "." counter(subsection) " "; } h3 { counter-increment: subsubsection; content: counter(section) "." counter(subsection) "." counter(subsubsection) " "; } </syntaxhighlight> :この例では、最初にbody要素でsectionカウンターをリセットしています。 :次に、h1要素では、subsectionカウンターをリセットして、sectionカウンターをインクリメントし、セクション番号を表示しています。 :同様に、h2要素では、subsubsectionカウンターをリセットし、subsectionカウンターをインクリメントして、セクション番号とサブセクション番号を表示しています。 :最後に、h3要素では、subsubsectionカウンターをインクリメントして、セクション番号、サブセクション番号、サブサブセクション番号を表示しています。 {{-}} {{Stub}} {{NDC|007.64}} [[Category:CSS|*]] [[Category:スタイルシート言語]] [[Category:World_Wide_Web]]
2005-06-17T14:45:24Z
2023-07-25T12:08:33Z
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https://ja.wikibooks.org/wiki/CSS
2,137
世界の大思想・哲学
まだ西洋未完、気長に削除せず編集を!
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{{Pathnav|哲学・思想|frame=1|}} ==東洋哲学・思想== ===中国思想・哲学=== ====儒家==== *[[孔子]]{{進捗|00%|2008-09-06}} *[[孟子]]{{進捗|00%|2008-09-06}} *[[荀子]]{{進捗|00%|2008-09-06}} *[[朱子]]{{進捗|00%|2008-09-06}} *[[王陽明]] ====道家==== *[[老子]] *[[荘子]] *[[列子]] ====墨家==== *[[墨子]] ====兵家==== *[[孫子]] *[[呉子]] *[[呂尚]] *[[司馬穣苴]] *[[尉繚子]] *[[李靖]] *[[曹操]] ====法家==== *[[商君]] *[[韓非子]] ====中世・近世==== *[[朱熹]] *[[王陽明]] ===インド思想・哲学=== *[[ニガンタ・ナータブッタ]] *[[ゴータマ・シッダッタ]]{{進捗|00%|2008-09-06}} *[[ナーガルジュナ]] *[[マハトマ・ガンディー]] ===日本思想・哲学=== *[[室鳩巣]] *[[新井白石]] *[[荻生徂徠]] *[[中江藤樹]] *[[伊藤仁斎]] *[[貝原益軒]] *[[二宮尊徳]] *[[本居宣長]] *[[懐徳堂]] *[[中井竹山]] *[[中井履軒]] *[[横井小楠]] *[[吉田松陰]] *[[九鬼周造]] *[[西田幾多郎]] *[[鈴木大拙]] *[[丸山眞男]] ==西洋思想・哲学== ===古代ギリシア哲学=== *[[ソクラテス]]{{進捗|00%|2008-09-06}} *[[プラトン]] *[[アリストテレス]] *[[ソフィスト]] *[[エピクロス派]] *[[ストア派]] ===中世スコラ哲学=== *[[トマス・アクィナス]] ===近代哲学=== ====大陸合理主義==== *[[ルネ・デカルト]] *[[バールーフ・デ・スピノザ]] *[[ゴットフリート・ライプニッツ]] ====イギリス経験主義==== *[[フランシス・ベーコン]] *[[トマス・ホッブズ]] *[[ジョン・ロック]] *[[デイヴィッド・ヒューム]] *[[ジェレミー・ベンサム]] ====ドイツ観念論==== *[[イマヌエル・カント]] *[[ヘーゲル]] *[[アルトゥール・ショーペンハウアー]] *[[フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ]] ===現代思想=== ====社会主義==== *[[空想的社会主義]] *[[カール・マルクス]] *[[フリードリヒ・エンゲルス]] *[[ウラディミール・レーニン]] *[[ヨシフ・スターリン]] *[[レフ・トロツキー]] *[[毛沢東]] *[[主体思想]] ====[[実存主義]]==== *[[ジャン・ポール・サルトル]] *[[モーリス・メルロー=ポンティ]] *[[ハンナ・アレント]] ====[[構造主義]]==== ====[[ポスト構造主義]]==== *[[ミシェル・フーコー]] *[[ジャック・デリダ]] *[[ジャック・ラカン]] *[[加速主義]] ====[[分析哲学]]==== *[[ジョン・ロールズ]] *[[ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン]] ====[[フランクフルト学派]]==== *[[ユルゲン・ハーバーマス]] まだ西洋未完、気長に削除せず編集を! [[Category:世界の大思想・哲学|*]]
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2021-10-31T14:22:01Z
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2,138
孔子
孔子は、紀元前6世紀ごろ中国の魯という国に生まれた人。 学問によって民衆に広め、それによって国を平和に治めるという儒学思想を説いた。 彼や彼の弟子の言動を孔子の死後、弟子がまとめたものを「論語」という。
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孔子は、紀元前6世紀ごろ中国の魯という国に生まれた人。 主君と家来、親と子、兄と弟など目上と目下の関係を強固にするために礼儀を重んじる「礼」と 他人を思いやり愛する心「仁」を 学問によって民衆に広め、それによって国を平和に治めるという儒学思想を説いた。 彼や彼の弟子の言動を孔子の死後、弟子がまとめたものを「論語」という。
'''孔子'''は、紀元前6世紀ごろ中国の[[魯]]という国に生まれた人。 * 主君と家来、親と子、兄と弟など目上と目下の関係を強固にするために礼儀を重んじる「礼」と * 他人を思いやり愛する心「仁」を 学問によって民衆に広め、それによって国を平和に治めるという儒学思想を説いた。 彼や彼の弟子の言動を孔子の死後、弟子がまとめたものを「論語」という。 {{wikipedia|孔子}} [[Category:儒家|こうし]]
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2018-07-22T19:55:48Z
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2,141
孟子
孟子(もうし)は、孔子の後継者でその思想は、 性善説の理由として彼は、
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孟子(もうし)は、孔子の後継者でその思想は、 孔子とおなじく「仁」「礼」と、人としてまもるべき道徳的な道「義」をおもんじ、 人の本来の性質はよいものだ(性善説)とといた。 性善説の理由として彼は、 「どんな悪人でも小さな子供が井戸に落ちようとしていると、それを救おうとする。どんな人でも憐れみの心は持っている」といっている。
'''孟子'''(もうし)は、[[孔子]]の後継者でその思想は、 * 孔子とおなじく「仁」「礼」と、人としてまもるべき道徳的な道「義」をおもんじ、 * 人の本来の性質はよいものだ(性善説)とといた。 性善説の理由として彼は、 *「どんな悪人でも小さな子供が井戸に落ちようとしていると、それを救おうとする。どんな人でも憐れみの心は持っている」といっている。 {{wikipedia|孟子}} [[category:儒家|もうし]]
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2,142
荀子
荀子(じゅんし)は、孔子や孟子の思想をうけつぎながらも、孟子と正反対の
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荀子(じゅんし)は、孔子や孟子の思想をうけつぎながらも、孟子と正反対の 人間の性質は悪なので学問に努力し、法律でしめつけないとよく平和におさめられない(性悪説)という主張をうちだした。
'''荀子'''(じゅんし)は、[[孔子]]や[[孟子]]の思想をうけつぎながらも、孟子と正反対の * 人間の性質は悪なので学問に努力し、法律でしめつけないとよく平和におさめられない(性悪説)という主張をうちだした。 {{wikipedia|荀子}} [[category:儒家|しゆんし]]
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[ "テンプレート:Wikipedia" ]
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2,143
量子力学II
物理学 > 量子力学II この項は物理学 量子力学IIの解説です。
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物理学 > 量子力学II この項は物理学 量子力学IIの解説です。 角運動量の合成 時間に依存しない摂動論
<small>[[物理学]] > 量子力学II </small> ---- この項は物理学 量子力学IIの解説です。 *[[量子力学/角運動量の合成|角運動量の合成]] *[[量子力学/時間に依存しない摂動論|時間に依存しない摂動論]] {{stub}} [[Category:量子力学|*2]]
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2,149
CSS/背景
たとえばweb広告などで、スクロールしても画面のサイドバーなどの同じ位置に広告画像が表示されるサイトなどがあるが、そのような機能を実現したい場合、fixed を指定するだけで簡単に可能である。 上記のコードをHTML5対応のwebブラウザで実行すると、スクロールしても「この文字は固定.」はブラウザ画面上の同じ位置に表示され続ける。 余談だが、サイドバーを描画する場合、HTML5で追加された <aside>タグを使うと、なお一層、意味が明確になる。(※ aside などのHTML5タグについて詳しくは wikibooks『HTML/HTML5』を参照せよ。) Microsoft Internet Explorerには、水平方向の位置・垂直方向の位置のみを指定する方法がある。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "", "title": "背景画像" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "たとえばweb広告などで、スクロールしても画面のサイドバーなどの同じ位置に広告画像が表示されるサイトなどがあるが、そのような機能を実現したい場合、fixed を指定するだけで簡単に可能である。", "title": "背景画像" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "上記のコードをHTML5対応のwebブラウザで実行すると、スクロールしても「この文字は固定.」はブラウザ画面上の同じ位置に表示され続ける。", "title": "背景画像" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "余談だが、サイドバーを描画する場合、HTML5で追加された <aside>タグを使うと、なお一層、意味が明確になる。(※ aside などのHTML5タグについて詳しくは wikibooks『HTML/HTML5』を参照せよ。)", "title": "背景画像" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "Microsoft Internet Explorerには、水平方向の位置・垂直方向の位置のみを指定する方法がある。", "title": "背景画像" } ]
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== 背景色 == * 属性 ** background-color * 値 ** 数値(rgb(R,G,B) あるいは #RRGGBB) ** 色名(black や white など) ** '''transparent''' :透過 {| style="margin:0.25em auto;padding:0;width:90%;border:solid #003 1px;clear:both" |-style="margin:0;padding:0" !style="margin:0;width:50%;border:solid #669 1px;background:#ccf;"|記述例(ソースコード) !style="margin:0;width:50%;border:solid #669 1px;background:#ccf;"|表示例 |-style="margin:0;padding:0;vertical-align:top" |style="margin:0;width:50%;border:solid #669 1px;"|<pre> p { color: yellow; background-color: #000000; }</pre> |style="margin:0;width:50%;border:solid #669 1px;"|<p style="color: yellow; background-color: #000000;">ヨーグルトに牛乳を加える。</p> |} == 背景画像 == === 背景画像を指定 === * 属性 ** background-image * 値 ** url(<画像のURL>) ** '''none''' :なし === 背景画像を固定 === * 属性 ** background-attachment * 値 ** '''scroll''' :背景画像もスクロール ** fixed :背景画像がスクロールしない ;<code>position: fixed;</code> のように positionプロパティをfixed にする事について たとえばweb広告などで、スクロールしても画面のサイドバーなどの同じ位置に広告画像が表示されるサイトなどがあるが、そのような機能を実現したい場合、fixed を指定するだけで簡単に可能である。 ;コード例 :※ 長いですが、目的上、スクロールする程度の長さが必要ですので、ご容赦ください。 <syntaxhighlight lang="html5"> <!DOCTYPE html> <html lang="ja"> <head> <title>CSSによる片側ブロック固定表示のコード例</title> </head> <style type="text/css"> .left { width: 50%; float: left; position: fixed; background: #ccccff; } .right { width: 25%; float: right; background: #ffaaaa; } .kaigyo1 { word-break: break-all; overflow-wrap: anywhere; } .kaigyo2 { word-break: break-all; overflow-wrap: anywhere; } </style> <body> <div class="left"> <div class="kaigyo1"> この文字は固定. </div> </div> <div class="right"> <div class="kaigyo2"> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> c<br> </div> </div> </body> </html> </syntaxhighlight> 上記のコードをHTML5対応のwebブラウザで実行すると、スクロールしても「この文字は固定.」はブラウザ画面上の同じ位置に表示され続ける。 余談だが、サイドバーを描画する場合、HTML5で追加された <nowiki><aside></nowiki>タグを使うと、なお一層、意味が明確になる。(※ aside などのHTML5タグについて詳しくは wikibooks『[[HTML/HTML5]]』を参照せよ。) === 背景画像の並び方 === * 属性 ** background-repeat * 値 ** '''repeat''' :縦横に敷き詰める ** repeat-x :横方向に敷き詰める ** repeat-y :縦方向に敷き詰める ** no-repeat :1つだけ === 背景画像の表示位置 === * 属性 ** background-position * 値 ** 数値(左から 上から) ** パーセント(左から 上から) ** left・center・right(水平方向) top・center・bottom(垂直方向) Microsoft Internet Explorerには、[[CSS/ブラウザ|水平方向の位置・垂直方向の位置のみを指定する方法]]がある。 == 背景の設定をまとめて指定 == * 属性 ** background * 値 ** <background-colorの値> <background-imageの値> <background-attachmentの値> <background-repeatの値> <background-positionの値> == 関連資料 == * [http://www.w3.org/TR/2004/CR-CSS21-20040225/colors.html#q2 『W3C CSS2.1』14.2 The background](W3C) {{stub}} [[Category:CSS|はいけい]]
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2020-05-04T09:20:01Z
[ "テンプレート:Stub" ]
https://ja.wikibooks.org/wiki/CSS/%E8%83%8C%E6%99%AF
2,151
イギリス帝国の時代 (世界史テキスト)
ヨーロッパのアジア進出は、スペインとポルトガルを中心に始まった。その交易は進出先地域のルールに従い行われた。その後、先進二国に続いたオランダとイギリスは、交易先地域を支配する方法をとり、イギリスはインド地域を統一するに至った。(世界史テキスト)
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "ヨーロッパのアジア進出は、スペインとポルトガルを中心に始まった。その交易は進出先地域のルールに従い行われた。その後、先進二国に続いたオランダとイギリスは、交易先地域を支配する方法をとり、イギリスはインド地域を統一するに至った。(世界史テキスト)", "title": "" } ]
歴史 > ヨーロッパ史 > イギリス帝国の時代 世界史 > イギリス帝国の時代 ヨーロッパのアジア進出は、スペインとポルトガルを中心に始まった。その交易は進出先地域のルールに従い行われた。その後、先進二国に続いたオランダとイギリスは、交易先地域を支配する方法をとり、イギリスはインド地域を統一するに至った。(世界史テキスト)
*[[歴史]] > ヨーロッパ史 > イギリス帝国の時代 *[[世界史]] > イギリス帝国の時代 ヨーロッパのアジア進出は、スペインとポルトガルを中心に始まった。その交易は進出先地域のルールに従い行われた。その後、先進二国に続いたオランダとイギリスは、交易先地域を支配する方法をとり、イギリスはインド地域を統一するに至った。([[世界史テキスト]]) ==目次 : イギリス帝国の時代== *[[清帝国_(世界史テキスト)|清帝国]] *[[イギリス帝国_(世界史テキスト)|イギリス帝国]] *[[アヘン戦争_(世界史テキスト)|アヘン戦争]] [[Category:歴史|いきりすていこくのしたい]]
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2006-12-02T15:20:43Z
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https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%B9%E5%B8%9D%E5%9B%BD%E3%81%AE%E6%99%82%E4%BB%A3_(%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%8F%B2%E3%83%86%E3%82%AD%E3%82%B9%E3%83%88)
2,152
清帝国 (世界史テキスト)
清帝国は満州族の王朝であった。前明朝の対外統治を受け継ぎ、国内諸民族と国外周縁地域を統治した。ロシアとは条約関係を保った。(イギリス帝国の時代、世界史テキスト) 朝貢とは、清朝から王権を認められた諸外国が清国に使節を派遣することで、その王権を認められた国を朝貢国という。 朝貢体制によって朝貢国の安全は清により保証され、清の統治域内で起こる紛争は武力によらず清の介入で解決された。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "清帝国は満州族の王朝であった。前明朝の対外統治を受け継ぎ、国内諸民族と国外周縁地域を統治した。ロシアとは条約関係を保った。(イギリス帝国の時代、世界史テキスト)", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "朝貢とは、清朝から王権を認められた諸外国が清国に使節を派遣することで、その王権を認められた国を朝貢国という。 朝貢体制によって朝貢国の安全は清により保証され、清の統治域内で起こる紛争は武力によらず清の介入で解決された。", "title": "朝貢体制" } ]
世界史 > 清帝国 中国史 > 清帝国 清帝国は満州族の王朝であった。前明朝の対外統治を受け継ぎ、国内諸民族と国外周縁地域を統治した。ロシアとは条約関係を保った。(イギリス帝国の時代、世界史テキスト)
*[[世界史]] > 清帝国 *[[中国史]] > 清帝国 清帝国は満州族の王朝であった。前明朝の対外統治を受け継ぎ、国内諸民族と国外周縁地域を統治した。ロシアとは条約関係を保った。([[イギリス帝国の時代_(世界史テキスト)|イギリス帝国の時代]]、[[世界史テキスト]]) ==清朝の統治方法== *漢族に対しては、中央と省で統制する。 *西南の諸民族に対しては、部族の首長を清朝の官吏に任命して統制する。 *モンゴルとチベットに対しては、理藩院の監督下において統制する。 *東アジアと東南アジアの諸国に対しては、朝貢・冊封体制で統制する。 ==朝貢体制== 朝貢とは、清朝から王権を認められた諸外国が清国に使節を派遣することで、その王権を認められた国を朝貢国という。 朝貢体制によって朝貢国の安全は清により保証され、清の統治域内で起こる紛争は武力によらず清の介入で解決された。 [[カテゴリ:清朝|しんていこく]]
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2022-12-04T17:04:35Z
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https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B8%85%E5%B8%9D%E5%9B%BD_(%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%8F%B2%E3%83%86%E3%82%AD%E3%82%B9%E3%83%88)
2,158
小学校算数/6学年
b a × c = b × c a {\displaystyle {\frac {b}{a}}\times {c}={\frac {b\times c}{a}}} となります。 b a ÷ c = b c × a {\displaystyle {\frac {b}{a}}\div {c}={\frac {b}{c\times a}}} となります。 分数のかけ算は、それぞれ真分数または仮分数の場合は分数の分子と分母を個別にかけ算すればできます。 例えば、 1 5 × 2 3 = 1 × 2 5 × 3 = 2 15 {\displaystyle {\frac {1}{5}}\times {\frac {2}{3}}={\frac {1\times 2}{5\times 3}}={\frac {2}{15}}} となります。 ただし帯分数がふくまれている場合は仮分数に直してからでなければいけません。これは分数の割り算も同じです。 2 2 3 × 1 2 5 = 8 3 × 7 5 = 8 × 7 3 × 5 = 56 15 ... ( = 3 11 15 ) {\displaystyle 2{\frac {2}{3}}\times 1{\frac {2}{5}}={\frac {8}{3}}\times {\frac {7}{5}}={\frac {8\times 7}{3\times 5}}={\frac {56}{15}}\dots (=3{\frac {11}{15}})} 逆数は分数の分子と分母を入れ替えた物になります。つまり、 b a {\displaystyle {\frac {b}{a}}} の逆数は a b {\displaystyle {\frac {a}{b}}} です。 分数のわり算では、わられる数にわる数の逆数をかけると答えが得られます。 この説明は、なんでこうすれば答えが出るのかと気になった人に向けて書いているので、読まなくていいです。また、ひとつ下で勉強する文字と式や中学校の勉強で出てくるものを使います。もし分からなくても一度読むのをやめて次の勉強をしてみてください。この教科書を読み終わった後にもう一回読めば、わかるようになっているかもしれません。 それでは、 a b ÷ c d {\displaystyle {\frac {a}{b}}\div {\frac {c}{d}}} を例にして解説していきます。ここでまだわかっていない答えをとりあえず x {\displaystyle x} と書いておきます。 左の式と右の式はまったく同じ数字になっています。なので、両方の式に c d {\displaystyle {\frac {c}{d}}} をかけても同じ数字同士になると思います。ちなみに、これは等式の性質といって中学1年生の知識です。 そうすると ÷ c d × c d {\displaystyle \div {\frac {c}{d}}\times {\frac {c}{d}}} というものが現れると思います。わり算はひとり分はいくつになるか、かけ算はひとり分のものを人数分にするといくつになるかというものを求める計算で、つまりかけ算とわり算は真逆の計算をしているだけということがわかると思います。つまり、この ÷ c d × c d {\displaystyle \div {\frac {c}{d}}\times {\frac {c}{d}}} は打ち消し合ってなにも計算しないのと同じになります。 左右両方の式に d c {\displaystyle {\frac {d}{c}}} をかけます。 ここに現れた c d × d c {\displaystyle {\frac {c}{d}}\times {\frac {d}{c}}} を計算してみると つまり下のような式になります。 というわけで、一番上の式と見比べると 同じ値段のえん筆を6本買います。 えん筆1本の値段を50円としたとき、式は 50 × 6 = 300 {\displaystyle 50\times 6=300} となります。 えん筆1本の値段を ◻ {\displaystyle \Box } 円、6本の代金を △ {\displaystyle \triangle } 円として、 ◻ {\displaystyle \Box } と △ {\displaystyle \triangle } の関係を式に表すと、 ◻ × 6 = △ {\displaystyle \Box \times 6=\triangle } となります。 これからは、 ◻ {\displaystyle \Box } や △ {\displaystyle \triangle } などの記号の代わりに、 x {\displaystyle x} や y {\displaystyle y} などの文字を使うことがあります。 えん筆1本の値段を x {\displaystyle x} 円、6本の代金を y {\displaystyle y} 円として、 x {\displaystyle x} と y {\displaystyle y} の関係を式に表すと、 x × 6 = y {\displaystyle x\times 6=y} となります。 x = 60 {\displaystyle x=60} のときは、 x × 6 = y {\displaystyle x\times 6=y} の x {\displaystyle x} に60をあてはめて計算すると、 60 × 6 = 360 {\displaystyle 60\times 6=360} となります。 小学校算数/5学年までにw:平行四辺形やw:三角形等の図形の面積の求め方を学びました。しかし、実際に見られる図形は必ずしも完全な三角形ではなくでこぼこな図形などもあります。このような時にでもだいたいの面積を調べることができます。 例えば方眼紙に適当に書いた図形の面積を求めてみましょう。今までのやり方だとその図形の面積を求めることはできません。しかしだいたいの大きさなら調べることはできます。 方眼紙に書いた図形はたくさんのマスで区切られています。マスが完全にその図形にふまれている場合、マスの上を図形の線が通っています。そのマスの数を調べることによっておおよその面積を調べることができます。 この図形の面積は、マス100個の面積よりも大きいことはすぐにわかります。そして、20個のマスは図形の線が通っていて、図形に完全にふくまれてはいないのですから、マス120個の面積よりは小さいことがわかります。だから、この場合はその図形の面積は 100 c m 2 {\displaystyle 100cm^{2}} と 120 c m 2 {\displaystyle 120cm^{2}} の間であることがわかります。これではまだ少しおおざっぱですが、方眼紙のマスをより細かくする(例えば5mmや1mm四方のマスにとりかえることによってよりくわしく面積を知ることができます。 ある直線を軸として図形を折り重ねたとき、元の図形とぴったり重なる図形は 線対称であるといいます。 また、その折り重ねたときの軸となった直線を 対称の軸 といいます。 対応する2つの点を結ぶ直線は、対称の軸と垂直に交わります。また、その交点と対応する点のきょりは、それぞれ等しくなります。 ある図形をある点を中心に180°回転させたとき、もとの図形と重なる図形は 点対称である といいます。また、その回転の中心の点を 対称の中心 といいます。 対応する2つの点を結ぶ直線は、対称の中心を通ります。また、対称の中心と、対応する2つの点を結ぶと、そのきょりは、それぞれ等しくなります。 正多角形は必ず線対称で、対称の軸の本数はその正多角形の辺の数に等しくなっています。また、辺の数が奇数の正多角形は点対称ではなく、偶数の正多角形は点対称となります。 円の面積の求め方を考えてみましょう。 図のように、円をおうぎの形に等分し、並べかえます。 このとき、並びかえた図形は長方形(平行四辺形)とみることができます。 その縦の長さは、 半径 で、横の長さは 円周の長さの半分 と等しくなります。 円周÷2=直径×円周率÷2=(直径÷2)×円周÷2=半径×円周率 となるので、円周の半分の長さは半径×円周率と等しくなります。 この長方形の面積(縦×横)=円周÷2×半径=半径×円周率×半径となりますから、 円の面積は、 半径×半径×円周率 という式で求められることになります。ここでは円周率を3.14とします。 この図形は、正方形の中に、円の一部を書いたものです。色のついた部分の面積の求め方を考えましょう。 ある図形を、形をかえないで大きくすることを、その図形を 拡大するといいます。 たとえば右の図では、ある点を中心に上の青い図形を拡大して、下の黒い図形に重ねました。 拡大された図を 拡大図 といいます。右の絵では、上の青い「L」の形をを基準に考えた場合は、下の黒い図のほうが拡大図です。 ある図形を、形をかえないで小さくすることを、その図形を 縮小する といいます。 たとえば右の図では、下の黒い「L」の形を縮小して、上の青い図形にしています。 縮小された図を 縮図といいます。「縮小図」ではないので注意してください。右の図では、下の黒い「L」の形を基準に考えた場合は、上の青い形のほうが縮図です。 地図の縮尺も、縮図のような考え方です。例えば縮尺が25000分の1となっているなら、実際の25000分の1の大きさで、全く同じ形に書いてあります。 また、本などを縮小コピーしたり、拡大コピーしてみましょう(コピー機には「縮小コピー」「拡大コピー」の機能があることが多いです)。やはり、原稿と同じように印刷されますが、大きさは変わっているはずです。 では、もっと簡単な図形である三角形はどうでしょうか。全く同じ形でも大きさが異なる三角形では、どのような共通の性質を持っているでしょうか。 この2つの三角形は、全く同じ形をしていますが、大きさが違います。この2つの三角形を比べると、次のことがいえます。 (「AB」は、「辺ABの長さ」をさします) 三角形ABCを基準に考えてみれば、三角形DEFは、三角形ABCを拡大したものです。 つまり、三角形DEFは、三角形ABCの拡大図です。 三角形DEFを基準に考えてみれば、三角形ABCは、三角形DEFを縮小したものです。 つまり、三角形ABCは、三角形DEFの縮図です。 角柱や円柱で、底面の面積を 底面積 といいます。 ここでは、数量の間の関係について学んでいきましょう。 ウスターソースとケチャップを混ぜて、ハンバーグソースを作ろうと思います。 比 a : b {\displaystyle a:b} において、 a {\displaystyle a} が b {\displaystyle b} の何倍かを表す値を 比の値 といいます。 2つの比 3:4 と 9:12 について考えてみましょう。 比 3:4 の「3」と「4」に、3をかけると 「9」「12」になるので 9:12に等しくなります。 また、3:4 と 9:12の比の値を調べると ともに 3 4 {\displaystyle {\frac {3}{4}}} で、等しくなっています。 このように、2つの比の比の値が等しいとき、 2つの比は等しい といいます。 2つの比 a : b {\displaystyle a:b} と c : d {\displaystyle c:d} が等しいとき、 a : b = c : d {\displaystyle a:b=c:d} とかきます。なお、このような式を 比例式 といいます。 比 a : b {\displaystyle a:b} に、同じ数をかけたり割ったりしてもその比は等しくなります。 比を、同じ比の値で、できるだけ小さい整数の比に直すことを「比を簡単にする」 といいます。 15:3を簡単にしましょう。 15と3の最大公約数は、3です。なので、3で15と3をわります。 15:3=5:1 5と1には最大公約数がないので、これ以上簡単になりません。 では、 1 3 : 3 4 {\displaystyle {\frac {1}{3}}:{\frac {3}{4}}} を簡単にしてみましょう。 問題 次のxにあてはまる数を求めましょう。 3:x=6:4 (1)ウスターソースとケチャップを3:2の比で混ぜてハンバーグソースを作ります。ウスターソースを60mL使うとき、ケチャップは何mL必要ですか。 比の値を使って考えてみましょう。 (2)AさんとBさんで、15枚のクッキーを、Aさんの枚数とBさんの枚数の比が 2 : 3 {\displaystyle 2:3} になるように分けようと思います。AさんとBさんはそれぞれ何枚とればよいですか。 比の値を使って考えてみましょう。 このような問題は、中学校で習う「方程式」を用いて計算されることがあります。 詳しくは中学校数学 1年生-数量を参照。 さまざまなものの変わり方を調べてみましょう。 一方の数量が2倍、3倍、...になると、もう一方の数量が2倍、3倍、...になるとき、2つの数量は比例するといいます。 (注意)参考書などでは、「正比例」と書かれている場合があります。 比例の関係を見るために、比例関係にある2数を用いて、表とグラフを 作ってみよう。ここでは、「 y = 2 × x {\displaystyle y=2\times x} 」の 比例の表、グラフを作る。 このとき、この比例の表は 一方比例のグラフは ファイル:Proportion.svg となる。 グラフを見ると分かる通り、比例のグラフは両方が0になる点を通る直線になる。 表は下のようになる。 また、グラフは ファイル:A Proportion.svg となる。 面積が12cmの長方形において、縦 の長さを変えたとき、横の長さはどうなるか調べてみましょう。 このように、一方の数量が 2倍、3倍、...になると、もう一方の数量が 1 2 {\displaystyle {\frac {1}{2}}} 倍、 1 3 {\displaystyle {\frac {1}{3}}} 倍...になるとき、2つの数量は反比例しているといいます。 反比例のグラフは、直線ではなく、右の図のようななめらかな曲線になります。 小学生は、右上部分以外は、気にしなくて構いません。中学校で、左上部分、左下部分、右下部分について習います。 この節は書きかけです。この節を編集してくれる方を心からお待ちしています。 A,B,C,D,Eの5つのチームが、ほかのチームと1回ずつ試合をします。 この時のすべての試合数を求めるとき、どうすればよいでしょうか。 このように、ほかのチームと何回か試合をするとき、(A対B)と(B対A)は同じものとして数えます。 この節は書きかけです。この節を編集してくれる方を心からお待ちしています。 下は、ウィキ小学校の6年1組の30人のソフトボール投げの結果です。 図のような、「10m以上20m未満」のような区間のことを階級と言います。また、このような階級が集まった表のことを度数分布表と言い、それぞれの階級の資料の個数を度数と言います。 全ての値を足してそれを結果の数でわったものを平均値と言います。 全ての値を大きさの順で並べて奇数の場合は真ん中、偶数の場合は真ん中の2つの数の平均をそれぞれ中央値といいます。 上の例の場合、大きい順に並べて13番目から18番目を見てみると 記録の数は30で偶数なので、中央値は ( 27 + 27 ) ÷ 2 = 27 {\displaystyle (27+27)\div 2=27} になります。 全ての値の中でもっともよく出てくる数を最頻値といいます。 上の例では27が3回と一番多く出てるので、27が最頻値です。 (平均値、中央値、最頻値のことをまとめて代表値と呼びます。) 資料を数直線上に並べ、同じ値のデータの個数だけドットを積み上げてあらわしたものを、ドットプロットと言います。 統計で度数分布を示すグラフ. 横軸上に階級、縦軸上に度数を目盛り、おのおのの階級の上に、度数を高さとする長方形を立てたもの. ヒストグラムともよばれる 下の「6年生のための算数ドリル」の文字を押すと、見ているページが、算数ドリルのぺージに、変わります。
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( = 3 11 15 ) {\\displaystyle 2{\\frac {2}{3}}\\times 1{\\frac {2}{5}}={\\frac {8}{3}}\\times {\\frac {7}{5}}={\\frac {8\\times 7}{3\\times 5}}={\\frac {56}{15}}\\dots (=3{\\frac {11}{15}})}", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 8, "tag": "p", "text": "逆数は分数の分子と分母を入れ替えた物になります。つまり、 b a {\\displaystyle {\\frac {b}{a}}} の逆数は a b {\\displaystyle {\\frac {a}{b}}} です。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 9, "tag": "p", "text": "分数のわり算では、わられる数にわる数の逆数をかけると答えが得られます。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 10, "tag": "p", "text": "この説明は、なんでこうすれば答えが出るのかと気になった人に向けて書いているので、読まなくていいです。また、ひとつ下で勉強する文字と式や中学校の勉強で出てくるものを使います。もし分からなくても一度読むのをやめて次の勉強をしてみてください。この教科書を読み終わった後にもう一回読めば、わかるようになっているかもしれません。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 11, "tag": "p", "text": "それでは、 a b ÷ c d {\\displaystyle {\\frac {a}{b}}\\div {\\frac {c}{d}}} を例にして解説していきます。ここでまだわかっていない答えをとりあえず x {\\displaystyle x} と書いておきます。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 12, "tag": "p", "text": "左の式と右の式はまったく同じ数字になっています。なので、両方の式に c d {\\displaystyle {\\frac {c}{d}}} をかけても同じ数字同士になると思います。ちなみに、これは等式の性質といって中学1年生の知識です。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 13, "tag": "p", "text": "そうすると ÷ c d × c d {\\displaystyle \\div {\\frac {c}{d}}\\times {\\frac {c}{d}}} というものが現れると思います。わり算はひとり分はいくつになるか、かけ算はひとり分のものを人数分にするといくつになるかというものを求める計算で、つまりかけ算とわり算は真逆の計算をしているだけということがわかると思います。つまり、この ÷ c d × c d {\\displaystyle \\div {\\frac {c}{d}}\\times {\\frac {c}{d}}} は打ち消し合ってなにも計算しないのと同じになります。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 14, "tag": "p", "text": "左右両方の式に d c {\\displaystyle {\\frac {d}{c}}} をかけます。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 15, "tag": "p", "text": "ここに現れた c d × d c {\\displaystyle {\\frac {c}{d}}\\times {\\frac {d}{c}}} を計算してみると", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 16, "tag": "p", "text": "つまり下のような式になります。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 17, "tag": "p", "text": "というわけで、一番上の式と見比べると", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 18, "tag": "p", "text": "同じ値段のえん筆を6本買います。", "title": "文字と式" }, { "paragraph_id": 19, "tag": "p", "text": "えん筆1本の値段を50円としたとき、式は 50 × 6 = 300 {\\displaystyle 50\\times 6=300} となります。", "title": "文字と式" }, { "paragraph_id": 20, "tag": "p", "text": "えん筆1本の値段を ◻ {\\displaystyle \\Box } 円、6本の代金を △ {\\displaystyle \\triangle } 円として、 ◻ {\\displaystyle \\Box } と △ {\\displaystyle \\triangle } の関係を式に表すと、 ◻ × 6 = △ {\\displaystyle \\Box \\times 6=\\triangle } となります。", "title": "文字と式" }, { "paragraph_id": 21, "tag": "p", "text": "これからは、 ◻ {\\displaystyle \\Box } や △ {\\displaystyle \\triangle } などの記号の代わりに、 x {\\displaystyle x} や y {\\displaystyle y} などの文字を使うことがあります。", "title": "文字と式" }, { "paragraph_id": 22, "tag": "p", "text": "えん筆1本の値段を x {\\displaystyle x} 円、6本の代金を y {\\displaystyle y} 円として、 x {\\displaystyle x} と y {\\displaystyle y} の関係を式に表すと、 x × 6 = y {\\displaystyle x\\times 6=y} となります。", "title": "文字と式" }, { "paragraph_id": 23, "tag": "p", "text": "x = 60 {\\displaystyle x=60} のときは、 x × 6 = y {\\displaystyle x\\times 6=y} の x {\\displaystyle x} に60をあてはめて計算すると、 60 × 6 = 360 {\\displaystyle 60\\times 6=360} となります。", "title": "文字と式" }, { "paragraph_id": 24, "tag": "p", "text": "小学校算数/5学年までにw:平行四辺形やw:三角形等の図形の面積の求め方を学びました。しかし、実際に見られる図形は必ずしも完全な三角形ではなくでこぼこな図形などもあります。このような時にでもだいたいの面積を調べることができます。", "title": "量と測定" }, { "paragraph_id": 25, "tag": "p", "text": "例えば方眼紙に適当に書いた図形の面積を求めてみましょう。今までのやり方だとその図形の面積を求めることはできません。しかしだいたいの大きさなら調べることはできます。", "title": "量と測定" }, { "paragraph_id": 26, "tag": "p", "text": "方眼紙に書いた図形はたくさんのマスで区切られています。マスが完全にその図形にふまれている場合、マスの上を図形の線が通っています。そのマスの数を調べることによっておおよその面積を調べることができます。", "title": "量と測定" }, { "paragraph_id": 27, "tag": "p", "text": "この図形の面積は、マス100個の面積よりも大きいことはすぐにわかります。そして、20個のマスは図形の線が通っていて、図形に完全にふくまれてはいないのですから、マス120個の面積よりは小さいことがわかります。だから、この場合はその図形の面積は 100 c m 2 {\\displaystyle 100cm^{2}} と 120 c m 2 {\\displaystyle 120cm^{2}} の間であることがわかります。これではまだ少しおおざっぱですが、方眼紙のマスをより細かくする(例えば5mmや1mm四方のマスにとりかえることによってよりくわしく面積を知ることができます。", "title": "量と測定" }, { "paragraph_id": 28, "tag": "p", "text": "ある直線を軸として図形を折り重ねたとき、元の図形とぴったり重なる図形は 線対称であるといいます。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 29, "tag": "p", "text": "また、その折り重ねたときの軸となった直線を 対称の軸 といいます。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 30, "tag": "p", "text": "対応する2つの点を結ぶ直線は、対称の軸と垂直に交わります。また、その交点と対応する点のきょりは、それぞれ等しくなります。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 31, "tag": "p", "text": "ある図形をある点を中心に180°回転させたとき、もとの図形と重なる図形は 点対称である といいます。また、その回転の中心の点を 対称の中心 といいます。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 32, "tag": "p", "text": "対応する2つの点を結ぶ直線は、対称の中心を通ります。また、対称の中心と、対応する2つの点を結ぶと、そのきょりは、それぞれ等しくなります。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 33, "tag": "p", "text": "正多角形は必ず線対称で、対称の軸の本数はその正多角形の辺の数に等しくなっています。また、辺の数が奇数の正多角形は点対称ではなく、偶数の正多角形は点対称となります。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 34, "tag": "p", "text": "円の面積の求め方を考えてみましょう。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 35, "tag": "p", "text": "図のように、円をおうぎの形に等分し、並べかえます。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 36, "tag": "p", "text": "このとき、並びかえた図形は長方形(平行四辺形)とみることができます。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 37, "tag": "p", "text": "その縦の長さは、 半径 で、横の長さは 円周の長さの半分 と等しくなります。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 38, "tag": "p", "text": "円周÷2=直径×円周率÷2=(直径÷2)×円周÷2=半径×円周率 となるので、円周の半分の長さは半径×円周率と等しくなります。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 39, "tag": "p", "text": "この長方形の面積(縦×横)=円周÷2×半径=半径×円周率×半径となりますから、", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 40, "tag": "p", "text": "円の面積は、 半径×半径×円周率 という式で求められることになります。ここでは円周率を3.14とします。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 41, "tag": "p", "text": "この図形は、正方形の中に、円の一部を書いたものです。色のついた部分の面積の求め方を考えましょう。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 42, "tag": "p", "text": "ある図形を、形をかえないで大きくすることを、その図形を 拡大するといいます。 たとえば右の図では、ある点を中心に上の青い図形を拡大して、下の黒い図形に重ねました。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 43, "tag": "p", "text": "拡大された図を 拡大図 といいます。右の絵では、上の青い「L」の形をを基準に考えた場合は、下の黒い図のほうが拡大図です。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 44, "tag": "p", "text": "ある図形を、形をかえないで小さくすることを、その図形を 縮小する といいます。 たとえば右の図では、下の黒い「L」の形を縮小して、上の青い図形にしています。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 45, "tag": "p", "text": "縮小された図を 縮図といいます。「縮小図」ではないので注意してください。右の図では、下の黒い「L」の形を基準に考えた場合は、上の青い形のほうが縮図です。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 46, "tag": "p", "text": "", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 47, "tag": "p", "text": "地図の縮尺も、縮図のような考え方です。例えば縮尺が25000分の1となっているなら、実際の25000分の1の大きさで、全く同じ形に書いてあります。 また、本などを縮小コピーしたり、拡大コピーしてみましょう(コピー機には「縮小コピー」「拡大コピー」の機能があることが多いです)。やはり、原稿と同じように印刷されますが、大きさは変わっているはずです。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 48, "tag": "p", "text": "では、もっと簡単な図形である三角形はどうでしょうか。全く同じ形でも大きさが異なる三角形では、どのような共通の性質を持っているでしょうか。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 49, "tag": "p", "text": "", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 50, "tag": "p", "text": "この2つの三角形は、全く同じ形をしていますが、大きさが違います。この2つの三角形を比べると、次のことがいえます。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 51, "tag": "p", "text": "(「AB」は、「辺ABの長さ」をさします)", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 52, "tag": "p", "text": "三角形ABCを基準に考えてみれば、三角形DEFは、三角形ABCを拡大したものです。 つまり、三角形DEFは、三角形ABCの拡大図です。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 53, "tag": "p", "text": "三角形DEFを基準に考えてみれば、三角形ABCは、三角形DEFを縮小したものです。 つまり、三角形ABCは、三角形DEFの縮図です。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 54, "tag": "p", "text": "角柱や円柱で、底面の面積を 底面積 といいます。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 55, "tag": "p", "text": "ここでは、数量の間の関係について学んでいきましょう。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 56, "tag": "p", "text": "ウスターソースとケチャップを混ぜて、ハンバーグソースを作ろうと思います。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 57, "tag": "p", "text": "比 a : b {\\displaystyle a:b} において、 a {\\displaystyle a} が b {\\displaystyle b} の何倍かを表す値を 比の値 といいます。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 58, "tag": "p", "text": "2つの比 3:4 と 9:12 について考えてみましょう。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 59, "tag": "p", "text": "比 3:4 の「3」と「4」に、3をかけると 「9」「12」になるので 9:12に等しくなります。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 60, "tag": "p", "text": "また、3:4 と 9:12の比の値を調べると ともに 3 4 {\\displaystyle {\\frac {3}{4}}} で、等しくなっています。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 61, "tag": "p", "text": "このように、2つの比の比の値が等しいとき、 2つの比は等しい といいます。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 62, "tag": "p", "text": "2つの比 a : b {\\displaystyle a:b} と c : d {\\displaystyle c:d} が等しいとき、 a : b = c : d {\\displaystyle a:b=c:d} とかきます。なお、このような式を 比例式 といいます。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 63, "tag": "p", "text": "比 a : b {\\displaystyle a:b} に、同じ数をかけたり割ったりしてもその比は等しくなります。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 64, "tag": "p", "text": "比を、同じ比の値で、できるだけ小さい整数の比に直すことを「比を簡単にする」 といいます。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 65, "tag": "p", "text": "15:3を簡単にしましょう。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 66, "tag": "p", "text": "15と3の最大公約数は、3です。なので、3で15と3をわります。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 67, "tag": "p", "text": "15:3=5:1", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 68, "tag": "p", "text": "5と1には最大公約数がないので、これ以上簡単になりません。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 69, "tag": "p", "text": "では、 1 3 : 3 4 {\\displaystyle {\\frac {1}{3}}:{\\frac {3}{4}}} を簡単にしてみましょう。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 70, "tag": "p", "text": "問題 次のxにあてはまる数を求めましょう。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 71, "tag": "p", "text": "3:x=6:4", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 72, "tag": "p", "text": "(1)ウスターソースとケチャップを3:2の比で混ぜてハンバーグソースを作ります。ウスターソースを60mL使うとき、ケチャップは何mL必要ですか。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 73, "tag": "p", "text": "比の値を使って考えてみましょう。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 74, "tag": "p", "text": "(2)AさんとBさんで、15枚のクッキーを、Aさんの枚数とBさんの枚数の比が 2 : 3 {\\displaystyle 2:3} になるように分けようと思います。AさんとBさんはそれぞれ何枚とればよいですか。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 75, "tag": "p", "text": "比の値を使って考えてみましょう。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 76, "tag": "p", "text": "このような問題は、中学校で習う「方程式」を用いて計算されることがあります。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 77, "tag": "p", "text": "詳しくは中学校数学 1年生-数量を参照。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 78, "tag": "p", "text": "", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 79, "tag": "p", "text": "さまざまなものの変わり方を調べてみましょう。", "title": "比例と反比例" }, { "paragraph_id": 80, "tag": "p", "text": "", "title": "比例と反比例" }, { "paragraph_id": 81, "tag": "p", "text": "一方の数量が2倍、3倍、...になると、もう一方の数量が2倍、3倍、...になるとき、2つの数量は比例するといいます。 (注意)参考書などでは、「正比例」と書かれている場合があります。", "title": "比例と反比例" }, { "paragraph_id": 82, "tag": "p", "text": "比例の関係を見るために、比例関係にある2数を用いて、表とグラフを 作ってみよう。ここでは、「 y = 2 × x {\\displaystyle y=2\\times x} 」の 比例の表、グラフを作る。", "title": "比例と反比例" }, { "paragraph_id": 83, "tag": "p", "text": "このとき、この比例の表は", "title": "比例と反比例" }, { "paragraph_id": 84, "tag": "p", "text": "一方比例のグラフは ファイル:Proportion.svg となる。", "title": "比例と反比例" }, { "paragraph_id": 85, "tag": "p", "text": "グラフを見ると分かる通り、比例のグラフは両方が0になる点を通る直線になる。", "title": "比例と反比例" }, { "paragraph_id": 86, "tag": "p", "text": "表は下のようになる。", "title": "比例と反比例" }, { "paragraph_id": 87, "tag": "p", "text": "また、グラフは ファイル:A Proportion.svg となる。", "title": "比例と反比例" }, { "paragraph_id": 88, "tag": "p", "text": "面積が12cmの長方形において、縦 の長さを変えたとき、横の長さはどうなるか調べてみましょう。", "title": "比例と反比例" }, { "paragraph_id": 89, "tag": "p", "text": "このように、一方の数量が 2倍、3倍、...になると、もう一方の数量が 1 2 {\\displaystyle {\\frac {1}{2}}} 倍、 1 3 {\\displaystyle {\\frac {1}{3}}} 倍...になるとき、2つの数量は反比例しているといいます。", "title": "比例と反比例" }, { "paragraph_id": 90, "tag": "p", "text": "反比例のグラフは、直線ではなく、右の図のようななめらかな曲線になります。", "title": "比例と反比例" }, { "paragraph_id": 91, "tag": "p", "text": "小学生は、右上部分以外は、気にしなくて構いません。中学校で、左上部分、左下部分、右下部分について習います。", "title": "比例と反比例" }, { "paragraph_id": 92, "tag": "p", "text": "この節は書きかけです。この節を編集してくれる方を心からお待ちしています。", "title": "場合の調べ方" }, { "paragraph_id": 93, "tag": "p", "text": "A,B,C,D,Eの5つのチームが、ほかのチームと1回ずつ試合をします。", "title": "場合の調べ方" }, { "paragraph_id": 94, "tag": "p", "text": "この時のすべての試合数を求めるとき、どうすればよいでしょうか。", "title": "場合の調べ方" }, { "paragraph_id": 95, "tag": "p", "text": "このように、ほかのチームと何回か試合をするとき、(A対B)と(B対A)は同じものとして数えます。", "title": "場合の調べ方" }, { "paragraph_id": 96, "tag": "p", "text": "この節は書きかけです。この節を編集してくれる方を心からお待ちしています。", "title": "データの調べ方" }, { "paragraph_id": 97, "tag": "p", "text": "下は、ウィキ小学校の6年1組の30人のソフトボール投げの結果です。", "title": "データの調べ方" }, { "paragraph_id": 98, "tag": "p", "text": "図のような、「10m以上20m未満」のような区間のことを階級と言います。また、このような階級が集まった表のことを度数分布表と言い、それぞれの階級の資料の個数を度数と言います。", "title": "データの調べ方" }, { "paragraph_id": 99, "tag": "p", "text": "全ての値を足してそれを結果の数でわったものを平均値と言います。", "title": "データの調べ方" }, { "paragraph_id": 100, "tag": "p", "text": "全ての値を大きさの順で並べて奇数の場合は真ん中、偶数の場合は真ん中の2つの数の平均をそれぞれ中央値といいます。", "title": "データの調べ方" }, { "paragraph_id": 101, "tag": "p", "text": "上の例の場合、大きい順に並べて13番目から18番目を見てみると", "title": "データの調べ方" }, { "paragraph_id": 102, "tag": "p", "text": "記録の数は30で偶数なので、中央値は ( 27 + 27 ) ÷ 2 = 27 {\\displaystyle (27+27)\\div 2=27} になります。", "title": "データの調べ方" }, { "paragraph_id": 103, "tag": "p", "text": "全ての値の中でもっともよく出てくる数を最頻値といいます。", "title": "データの調べ方" }, { "paragraph_id": 104, "tag": "p", "text": "上の例では27が3回と一番多く出てるので、27が最頻値です。", "title": "データの調べ方" }, { "paragraph_id": 105, "tag": "p", "text": "(平均値、中央値、最頻値のことをまとめて代表値と呼びます。)", "title": "データの調べ方" }, { "paragraph_id": 106, "tag": "p", "text": "資料を数直線上に並べ、同じ値のデータの個数だけドットを積み上げてあらわしたものを、ドットプロットと言います。", "title": "データの調べ方" }, { "paragraph_id": 107, "tag": "p", "text": "統計で度数分布を示すグラフ. 横軸上に階級、縦軸上に度数を目盛り、おのおのの階級の上に、度数を高さとする長方形を立てたもの. ヒストグラムともよばれる", "title": "データの調べ方" }, { "paragraph_id": 108, "tag": "p", "text": "下の「6年生のための算数ドリル」の文字を押すと、見ているページが、算数ドリルのぺージに、変わります。", "title": "算数ドリル" } ]
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== 式と計算 == === 分数×整数 === <math>\frac{b}{a} \times {c} = \frac{b \times c}{a}</math> となります。 === 分数÷整数 === <math>\frac{b}{a} \div {c} = \frac{b}{c \times a}</math> となります。 === 分数×分数 === 分数のかけ算は、それぞれ[[小学校算数/4学年#分数の種類|真分数]]または[[小学校算数/4学年#分数の種類|仮分数]]の場合<ref>帯分数でない、左に数字がついていない分数のことです</ref>は分数の分子と分母を個別にかけ算すればできます。 :つまり <math>\frac{b}{a} \times \frac {d}{c} = \frac{b \times d}{a \times c}</math> となります。 例えば、 <math>\frac 1 5\times\frac 2 3 = \frac {1 \times 2} { 5 \times 3} = \frac 2 {15}</math> となります。 ただし[[小学校算数/4学年#分数の種類|帯分数]]がふくまれている場合は仮分数に直してからでなければいけません。これは分数の割り算も同じです。 <math>2{\frac 2 3} \times 1{\frac 2 5} = \frac 8 3 \times \frac 7 5 = \frac {8 \times 7} {3 \times 5} = \frac {56} {15} \dots ( = 3{\frac {11} {15}})</math> === 分数÷分数 === ==== 逆数 ==== <!-- 2つの数の積が1になるとき、一方の数を他方の数の'''逆数'''といいます。 --> 逆数は分数の分子と分母を入れ替えた物になります。つまり、<math>\frac{b}{a}</math>の逆数は<math>\frac{a}{b}</math>です。 ==== 分数のわり算 ==== 分数のわり算では、わられる数にわる数の逆数をかけると答えが得られます。 :<math>\frac{b}{a} \div \frac {d}{c} = \frac{b}{a} \times \frac {c}{d}</math> となります。 ===== おまけ: なんでわり算では逆数をかけるの? ===== この説明は、なんでこうすれば答えが出るのかと気になった人に向けて書いているので、'''読まなくていいです。'''また、ひとつ下で勉強する[[小学校算数/6学年#文字と式|文字と式]]や中学校の勉強で出てくるものを使います。もし分からなくても一度読むのをやめて次の勉強をしてみてください。この教科書を読み終わった後にもう一回読めば、わかるようになっているかもしれません。 {{Hidden|説明を開く| それでは、<math>\frac{a}{b} \div \frac {c}{d}</math>を例にして解説していきます。ここでまだわかっていない答えをとりあえず<math>x</math>と書いておきます。 : <math>\frac{a}{b} \div \frac {c}{d} = x</math> 左の式と右の式はまったく同じ数字になっています。なので、'''両方の式に<math>\frac{c}{d}</math>をかけても同じ数字同士になる'''と思います。ちなみに、これは[[中学数学1年_方程式|等式の性質]]といって中学1年生の知識です。 : <math>\frac{a}{b} \div \frac {c}{d} \times \frac {c}{d} = x \times \frac {c}{d}</math> そうすると<math>\div \frac {c}{d} \times \frac {c}{d}</math>というものが現れると思います。わり算はひとり分はいくつになるか、かけ算はひとり分のものを人数分にするといくつになるかというものを求める計算で、つまり'''かけ算とわり算は真逆の計算をしているだけ'''ということがわかると思います。つまり、'''この<math>\div \frac {c}{d} \times \frac {c}{d}</math>は打ち消し合ってなにも計算しないのと同じ'''になります。 : <math>\frac{a}{b} = x \times \frac {c}{d}</math> 左右両方の式に<math>\frac {d}{c}</math>をかけます。 : <math>\frac{a}{b} \times \frac {d}{c} = x \times \frac {c}{d} \times \frac {d}{c}</math> ここに現れた<math>\frac {c}{d} \times \frac {d}{c}</math>を計算してみると : <math>\frac{c \times d}{d \times c} = 1</math> つまり下のような式になります。 : <math>\frac{a}{b} \times \frac {d}{c} = x</math> というわけで、一番上の式と見比べると :<math>\frac{b}{a} \div \frac {d}{c} = \frac{b}{a} \times \frac {c}{d}</math> となるわけです。 }} == 文字と式 == 同じ{{ruby|値段|ねだん}}のえん筆を6本買います。 えん筆1本の値段を50円としたとき、式は<math>50 \times 6 = 300</math>となります。 えん筆1本の値段を<math>\Box</math>円、6本の代金を<math>\triangle</math>円として、<math>\Box</math>と<math>\triangle</math>の関係を式に表すと、<math>\Box \times 6 = \triangle</math>となります。 これからは、<math>\Box</math>や<math>\triangle</math>などの記号の代わりに、{{ruby|<math>x</math>|エックス}}や{{ruby|<math>y</math>|ワイ}}などの文字を使うことがあります。 えん筆1本の値段を{{ruby|<math>x</math>|エックス}}円、6本の代金を{{ruby|<math>y</math>|ワイ}}円として、<math>x</math>と<math>y</math>の関係を式に表すと、<math>x \times 6 = y</math>となります。 <math>x=60</math>のときは、<math>x \times 6 = y</math>の<math>x</math>に60をあてはめて計算すると、<math>60 \times 6 = 360</math>となります。 == 量と測定 == === 身近にある図形の面積 === [[小学校算数/5学年]]までに[[w:平行四辺形]]や[[w:三角形]]等の図形の面積の求め方を学びました。しかし、実際に見られる図形は必ずしも完全な三角形ではなくでこぼこな図形などもあります。このような時にでもだいたいの面積を調べることができます。 例えば方眼紙に適当に書いた図形の面積を求めてみましょう。今までのやり方だとその図形の面積を求めることはできません。しかしだいたいの大きさなら調べることはできます。 方眼紙に書いた図形はたくさんのマスで区切られています。マスが完全にその図形にふまれている場合、マスの上を図形の線が通っています。そのマスの数を調べることによっておおよその面積を調べることができます。 * 1辺の長さが1cmの方眼で、図形が完全にふくまれているマスが100個、図形の線が通っているマスが20個ありました。その面積はいくらになりますか? この図形の面積は、マス100個の面積よりも大きいことはすぐにわかります。そして、20個のマスは図形の線が通っていて、図形に完全にふくまれてはいないのですから、マス120個の面積よりは小さいことがわかります。だから、この場合はその図形の面積は<math> 100cm^2</math>と<math>120cm^2</math> の間であることがわかります。これではまだ少しおおざっぱですが、方眼紙のマスをより細かくする(例えば5mmや1mm四方のマスにとりかえることによってよりくわしく面積を知ることができます。 :ここで、「図形の線が通っているマス」の、図形がふくまれている部分の面積はわかりませんでしたが、すべてふくまれている面積が<math>0.5cm^2</math>とすると、この図形の面積は<math>110cm^2</math>となります。 :あるいは、三角形や長方形など、面積を求められる図形に形を変えておよその面積を求めることもできます。 == 図形 == === {{ruby|対称|たいしょう}}な図形 === * {{ruby|線対称|せんたいしょう}} [[File:Esfericon corte triangular.png|thumb|100px|正三角形と、その対称の軸のうちの一本]] ある直線を{{ruby|軸|じく}}として図形を折り重ねたとき、元の図形とぴったり重なる図形は '''{{ruby|線対称|せんたいしょう}}である'''といいます。 また、その折り重ねたときの軸となった直線を '''対称の軸''' といいます。 対応する2つの点を結ぶ直線は、対称の軸と{{ruby|垂直|すいちょく}}に交わります。また、その交点と対応する点のきょりは、それぞれ等しくなります。 {{clear}} * {{ruby|点対称|てんたいしょう}} [[Image:Point symmetry.jpg|thumb|300px|点対称な図形の例を4つ。赤い点が、それぞれの図形の、対称の中心。]] ある図形をある点を中心に180°回転させたとき、もとの図形と重なる図形は '''{{ruby|点対称|てんたいしょう}}である''' といいます。また、その回転の中心の点を '''対称の中心''' といいます。 対応する2つの点を結ぶ直線は、対称の中心を通ります。また、対称の中心と、対応する2つの点を結ぶと、そのきょりは、それぞれ等しくなります。 === 多角形と対称 === ;三角形と対称 :二等辺三角形は、線{{ruby|対称|たいしょう}}な図形で, 対称の{{ruby|軸|じく}}は1本あります。また、点対称な図形ではありません。また、正三角形も線対称な図形で, 対称の軸は3本あります。点対称な図形ではありません。 ;四角形と対称 :平行四辺形は、線対称ではありませんが、点対称です。長方形は線対称な図形で、対称の軸は4本あります。ひし形は線対称な図形で、対称の軸は2本あります。正方形は線対称な図形で、対称の軸は4本あります。 ;正多角形と対称 :正多角形において、線対称かどうか、対称の軸の本数、点対称かどうかについて調べると以下のようになります。 {| class="wikitable" |- ! 図形/内容 !! 線対称かどうか !! 対称の軸の本数 !! 点対称かどうか |- | 正三角形 || 〇 || 3 || × |- | 正四角形(正方形) || 〇 || 4 || 〇 |- | 正五角形 || 〇 || 5 || × |- | 正六角形 || 〇 || 6 || 〇 |} 正多角形は必ず線対称で、対称の軸の本数はその正多角形の辺の数に等しくなっています。また、辺の数が{{ruby|奇|き}}数の正多角形は点対称ではなく、{{Ruby|偶|ぐう}}数の正多角形は点対称となります。 ;円と対称 :円は線対称な図形で、対称の軸は直径となります。直径は無数にあるので、対称の軸も無数にあります。また、円は点対称な図形で、その対称の中心は円の中心となります。 === 円の面積 === <div style="float:right; margin:0 0 0 10px;text-align:center;">[[画像:円の面積.png|300px]]</div> 円の面積の求め方を考えてみましょう。 図のように、円をおうぎの形に等分し、{{Ruby|並|なら}}べかえます。 このとき、並びかえた図形は長方形(平行四辺形)とみることができます。 その{{Ruby|縦|たて}}の長さは、 '''半径''' で、横の長さは '''円周の長さの半分''' と等しくなります。 '''円周=直径×円周率''' で、 円周÷2=直径×円周率÷2=(直径÷2)×円周÷2=半径×円周率 となるので、円周の半分の長さは'''半径×円周率'''と等しくなります。 この長方形の面積(縦×横)='''円周÷2'''×'''半径'''='''半径×円周率'''×'''半径'''となりますから、 円の面積は、 '''半径×半径×円周率''' という式で求められることになります。ここでは円周率を3.14とします。 {{-}} ==== いろいろな図形の面積 ==== この図形は、正方形の中に、円の一部を書いたものです。色のついた部分の面積の求め方を考えましょう。 [[File:レンズ形.png|thumb|拡大と縮小]] === 図形の拡大と縮小 === [[File:SimilitudeHomothetieL.svg|thumb|拡大と縮小]] ある図形を、形をかえないで大きくすることを、その図形を '''{{ruby|拡大|かくだい}}する'''といいます。 たとえば右の図では、ある点を中心に上の青い図形を拡大して、下の黒い図形に重ねました。 拡大された図を '''拡大図''' といいます。右の絵では、上の青い「L」の形をを基準に考えた場合は、下の黒い図のほうが拡大図です。 ある図形を、形をかえないで小さくすることを、その図形を '''{{ruby|縮小|しゅくしょう}}する''' といいます。 たとえば右の図では、下の黒い「L」の形を縮小して、上の青い図形にしています。 縮小された図を '''{{ruby|縮図|しゅくず}}'''といいます。'''「縮小図」ではないので注意してください。'''右の図では、下の黒い「L」の形を基準に考えた場合は、上の青い形のほうが縮図です。 [[Image:Japan_sea_map.png|250px|left]][[Image:Japan satellite.jpg|250px|right]] 地図の{{ruby|縮尺|しゅくしゃく}}も、縮図のような考え方です。例えば縮尺が25000分の1となっているなら、実際の25000分の1の大きさで、全く同じ形に書いてあります。 また、本などを縮小コピーしたり、拡大コピーしてみましょう(コピー機には「縮小コピー」「拡大コピー」の機能があることが多いです)。やはり、{{ruby|原稿|げんこう}}と同じように印刷されますが、大きさは変わっているはずです。 {{clear}} では、もっと簡単な図形である三角形はどうでしょうか。全く同じ形でも大きさが{{ruby|異|こと}}なる三角形では、どのような共通の性質を持っているでしょうか。 [[Image:SimilarTriangles.jpg]] この2つの三角形は、全く同じ形をしていますが、大きさが違います。この2つの三角形を比べると、次のことがいえます。 * 角A = 角D であり、 角B = 角E であり、 角C = 角F である。 * AB:DE = BC:EF = CA:FD <small>(「AB」は、「辺ABの長さ」をさします)</small><br> 三角形ABCを基準に考えてみれば、三角形DEFは、三角形ABCを拡大したものです。 つまり、三角形DEFは、三角形ABCの拡大図です。 三角形DEFを基準に考えてみれば、三角形ABCは、三角形DEFを縮小したものです。 つまり、三角形ABCは、三角形DEFの縮図です。 === 角柱と円柱の体積 === 角柱や円柱で、底面の面積を '''底面積''' といいます。 :角柱は、多角形が底面に{{ruby|垂直|すいちょく}}に動いたものと考えれば、その体積は「底面積×高さ」という式で求められます。 :円柱も、角柱と同じようにその体積は「底面積×高さ」で求められます。 == 数量関係 == ここでは、数量の間の関係について学んでいきましょう。 === 比 === ウスターソースとケチャップを混ぜて、ハンバーグソースを作ろうと思います。 :そこで、ウスターソースとケチャップを混ぜてハンバーグソースを作ってみました。 :では、このウスターソースの量とケチャップの量の{{ruby|割合|わりあい}}はどのように表せばよいでしょうか。 :まず、ウスターソースの量はケチャップの何倍か考えてみましょう。 :<math>120 \div 80=1.5</math>(倍)となりますね。(もしくは <math>\frac{3}{2}</math>倍) :このウスターソースとケチャップの割合を 120:80 と表すことがあります。 :このような割合の表し方を '''{{ruby|比|ひ}}''' といい、比の記号「:」は「{{ruby|対|たい}}」と読みます。 * 比の値 比 <math>a:b</math>において、<math>a</math>が<math>b</math>の何倍かを表す{{ruby|値|あたい}}を '''比の{{ruby|値|あたい}}''' といいます。 :<math>a:b</math> の比の値は<math>\frac{a}{b}</math>となります。 * 等しい比 2つの比 3:4 と 9:12 について考えてみましょう。 比 3:4 の「3」と「4」に、3をかけると 「9」「12」になるので 9:12に等しくなります。 また、3:4 と 9:12の比の{{ruby|値|あたい}}を調べると ともに <math>\frac{3}{4}</math> で、等しくなっています。 このように、2つの比の比の値が等しいとき、 '''2つの比は等しい''' といいます。 2つの比 <math>a:b</math> と <math>c:d</math> が等しいとき、<math>a:b=c:d</math> とかきます。なお、このような式を '''比例式''' といいます。 '''比 <math>a:b</math>に、同じ数をかけたり割ったりしてもその比は等しくなります。''' === 比を簡単にする === 比を、同じ比の値で、できるだけ小さい整数の比に直すことを'''「比を{{ruby|簡単|かんたん}}にする」''' といいます。 :問題 15:3を簡単にしましょう。 15と3の最大公約数は、3です。なので、3で15と3をわります。 15:3=5:1 5と1には最大公約数がないので、これ以上簡単になりません。 では、<math>\frac{1}{3}:\frac{3}{4}</math>を簡単にしてみましょう。 :通分して、<math>\frac{1}{3}:\frac{3}{4}=\frac{4}{12}:\frac{9}{12}=4:9</math> :とすることができます。 :また、<math>\frac{1}{3}:\frac{3}{4}</math>の比の値は <math>\frac{1}{3} \div \frac{3}{4}= \frac {4}{9}</math> です。 :これを使って 4:9 とすることもできます。 === 比を求める === 問題 次のxにあてはまる数を求めましょう。 3:x=6:4 :「3」と「6」に注目しましょう。3は6に2をかけた数なので、xはxに2をかけると4になる数だとわかります。だからxは4÷2=2 となります。 * 比を使った問題 (1)ウスターソースとケチャップを3:2の比で混ぜてハンバーグソースを作ります。ウスターソースを60mL使うとき、ケチャップは何mL必要ですか。 * 解答 :[2]は、[1]の2倍、[3]は[1]の3倍を表す記号とします。 :ウスターソースを[3]、ケチャップを[2]ずつ使うとすれば、 :ウスターソースは60mL使うので、[3]は60mLだとわかります。 :そのため、[2]にあたるケチャップは、60÷2×3=40(mL)必要です。これが答えです。 比の値を使って考えてみましょう。 :ケチャップとウスターソースの比は 2:3 となります。ですから、比の値は<math>\frac{2}{3}</math>となります。ですから、ケチャップは <math>60 \times \frac{2}{3} =40</math>(mL)とればよいことになります。 (2)AさんとBさんで、15{{ruby|枚|まい}}のクッキーを、Aさんの枚数とBさんの枚数の比が<math>2:3</math>になるように分けようと思います。AさんとBさんはそれぞれ何枚とればよいですか。 * 解答 :[2]は、[1]の2倍、[3]は[1]の3倍を表す記号とします。 :AさんとBさんがそれぞれ[2]、[3]ずつとるとすれば、 :AさんとBさんは合わせて[5]をとることになります。 :クッキーは15枚あるので、[1]はクッキー3枚分だとわかります。 :そのため、Aさんは6枚、Bさんは9枚のクッキーをとることになります。これが答えです。 比の値を使って考えてみましょう。 :Aさんの枚数と全体の枚数の比は 2:5 となります。ですから、比の値は<math>\frac{2}{5}</math>となります。ですから、Aさんは<math>15 \times \frac{2}{5} =6</math>(枚)とればよいことになります。 :また、Bさんの枚数と全体の枚数の比は 3:5 となります。ですから、比の値は<math>\frac{3}{5}</math>となります。ですから、Bさんは<math>15 \times \frac{3}{5} =9</math>(枚)とればよいことになります。なお、15-6=9 と求めてもかまいません。 * メモ このような問題は、中学校で習う「方程式」を用いて計算されることがあります。 詳しくは[[中学校数学 1年生-数量]]を参照。 {{コラム|黄金比と白銀比| [[w:黄金比]]とは、人が最も調和的で美しいと感じる長方形の{{ruby|縦|たて}}と横の長さの比のことです。およそ5:8で、新書判の本、トランプ、パスポート、古代ギリシアの建造物「パルテノン{{ruby|神殿|しんでん}}」などにみられます。 [[w:白銀比]]とは、古代の日本で「調和的で美しい」とされた長方形の縦と横の長さの比のことです。およそ5:7で、コピー用紙や、文庫本のサイズ、建築物では、{{ruby|法隆寺|ほうりゅうじ}}や{{ruby|五重塔|ごじゅうのとう}}などにみられます。 }} == 比例と反比例 == さまざまなものの変わり方を調べてみましょう。 ==== 比例 ==== 一方の数量が2倍、3倍、…になると、もう一方の数量が2倍、3倍、…になるとき、2つの数量は'''{{ruby|比例|ひれい}}する'''といいます。<br> (注意)参考書などでは、「正比例」と書かれている場合があります。 <!-- これは関数の知識が必要では?参考書、教科書参照してどうなっているか要確認 --> 比例の関係を見るために、比例関係にある2数を用いて、表とグラフを 作ってみよう。ここでは、「<math>y=2 \times x</math>」の 比例の表、グラフを作る。 このとき、この比例の表は <table> <caption>比例の表</caption> <tr> <th>x </th> <td>1</td><td>2</td><td>3</td><td>4</td><td>5</td></tr> <tr> <th>y </th> <td>2</td><td>4</td><td>6</td><td>8</td><td>10</td></tr> </table> 一方比例のグラフは [[File:Proportion.svg]] となる。 グラフを見ると分かる通り、比例のグラフは両方が0になる点を通る直線になる。 ; 問題 : <math>y=5 \times x</math>であるような比例の表とグラフを作りましょう。 ; 解答 表は下のようになる。 <table> <caption>比例の表</caption> <tr> <td>0</td><td>1</td><td>2</td><td>3</td><td>4</td><td>5</td> <td>6</td><td>7</td><td>8</td><td>9</td><td>10</td> </tr> <tr> <td>0</td><td>5</td><td>10</td><td>15</td><td>20</td><td>25</td> <td>30</td><td>35</td><td>40</td><td>45</td><td>50</td> </tr> </table> また、グラフは [[File:A_Proportion.svg]] となる。 === 反比例 === 面積が12cm<sup>2</sup>の長方形において、{{ruby|縦|たて}} の長さを変えたとき、横の長さはどうなるか調べてみましょう。 {| class="wikitable" style="text-align:right" |+style="white-space:nowrap"| 面積が12cm<sup>2</sup>の長方形の縦の長さと横の長さ ! 縦の長さ(cm) !! 0 !! 1 !! 2 !! 3 !! 4 !! 5 !! 6 |- ! 横の長さ(cm) | (なし) || 12 || 6 || 4 || 3 || 2.4 || 2 |} このように、一方の数量が 2倍、3倍、…になると、もう一方の数量が <math>\frac{1}{2}</math>倍、<math>\frac{1}{3}</math>倍…になるとき、2つの数量は'''反比例している'''といいます。 ==== 反比例のグラフ ==== 反比例のグラフは、直線ではなく、右の図のようななめらかな曲線になります。 [[File:Rectangular hyperbola.svg]] 小学生は、右上部分以外は、気にしなくて構いません。中学校で、左上部分、左下部分、右下部分について習います。 == 場合の調べ方 == {{節stub}} A,B,C,D,Eの5つのチームが、ほかのチームと1回ずつ試合をします。 この時のすべての試合数を求めるとき、どうすればよいでしょうか。 このように、ほかのチームと何回か試合をするとき、(A対B)と(B対A)は'''同じものとして数えます'''。 == データの調べ方 == {{節stub}} 下は、ウィキ小学校の6年1組の30人のソフトボール投げの結果です。 :{| class="wikitable" style="text-align:right" |+ ソフトボール投げの結果 (m) |- |28 || 15 || 22 || 34 || 27 || 9 || 42 || 31 || 11 || 37 |- | 10 || 27 || 20 || 38 || 21 || 43 || 34 || 7 || 25 || 36 |- | 17 || 24 || 35 || 14 || 27 || 19 || 32 || 9 || 40 || 29 |} === {{ruby|階級|かいきゅう}} === {| class="wikitable" |+ |記録 |人数 |- |0m以上10m未満 |3人 |- |10m以上20m未満 |6人 |- |20m以上30m未満 |10人 |- |30m以上40m未満 |8人 |- |40m以上50m未満 |3人 |- |合計 |30人 |} 図のような、「10m以上20m未満」のような区間のことを'''階級'''と言います。また、このような階級が集まった表のことを'''度数分布表'''と言い、それぞれの階級の資料の個数を'''度数'''と言います。 === {{ruby|平均値|へいきんち}} === 全ての値を足してそれを結果の数でわったものを{{ruby|'''平均値'''|へいきんち}}と言います。 : <math>(28+15+22+ \cdots +9+40+29) \div 30=24.2</math> === {{ruby|中央値|ちゅうおうち}} === 全ての値を大きさの順で並べて{{ruby|奇数|きすう}}の場合は真ん中、{{ruby|偶数|ぐうすう}}の場合は真ん中の2つの数の平均をそれぞれ{{ruby|'''中央値'''|ちゅうおうち}}といいます。 上の例の場合、大きい順に並べて13番目から18番目を見てみると : <math>\cdots 24, 25, 27, 27, 27, 28 \cdots</math> 記録の数は30で偶数なので、中央値は<math>(27+27) \div 2 = 27</math>になります。 === {{ruby|最頻値|さいひんち}} === 全ての値の中でもっともよく出てくる数を{{ruby|'''最頻値'''|さいひんち}}といいます。 上の例では27が3回と一番多く出てるので、27が最頻値です。 (平均値、中央値、最頻値のことをまとめて代表値と呼びます。) === データを図にする === ==== ドットプロット ==== 資料を数直線上に並べ、同じ値のデータの個数だけドットを積み上げてあらわしたものを、'''ドットプロット'''と言います。 ====柱状グラフ==== 統計で度数分布を示すグラフ. 横軸上に階級、縦軸上に度数を目盛り、おのおのの階級の上に、度数を高さとする長方形を立てたもの. ヒストグラムともよばれる == 算数ドリル == 下の「6年生のための算数ドリル」の文字を{{ruby|押|お}}すと、見ているページが、算数ドリルのぺージに、変わります。 * [[算数演習 小学校6年生|6年生のための算数ドリル]] [[Category:小学校算数|6かくねん]]
2005-06-24T10:24:41Z
2023-09-27T13:09:58Z
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物理数学I 線形代数
物理数学I > 線形代数 数値を何らかの仕方で組み合わせたものを行列と呼ぶ。 ただし、縦の長さと横の長さを、各行と列でそろえなくてはならない。 例えば、 は行列である。 高校までの範囲では、行列は3*3までしか扱わなかった。 しかし、実際には行列はm*n行列が存在し、(m.nは正の整数。) 全てにおいて和、積などの演算を行なうことが出来る。 行列の和は各要素ごとに和を取ることによって定義される。 このことは、行列の和が可換であり、結合則を満たすことを保証する。 実数倍は、各要素に実数を書けることによって 定義する。この演算は行列に単位行列の定数倍ををかける演算と 等しいことに注意。n*n行列の単位行列はすぐ後に定義する。 これらの操作が可能なことを、行列の線形性と呼ぶ。 行列の積は、 で与えられる。これらは2*2,3*3などの行列の演算の 拡張となっている。 この演算は短く と書かれることがある。 重要な事は、行列の積は n*m行列とm*l行列のように(n,m,lは正の整数。)前の行列の列の数と後の行列の行の数が 一致していないと計算できないことが挙げられる。 このことからもわかるように、行列の積は一般に非可換である。 このことを式で書くと、 となる。 n*nのように行と列の数が等しい行列のことを正方行列と呼ぶ。 正方行列について、行と列の番号が等しい成分のことを対角成分と呼ぶ。 対角成分でない成分を非対角成分と呼ぶ。 n*n正方行列において、対角成分が全て1であり、非対角成分が 全て0である行列を、n*n単位行列と呼ぶ。 この行列は直接計算を行なうことで、 を満たすことが分かる。(Aは任意の行列。) このことは、短く と書かれることがある。 ここで、 は、ijが等しい値を持つとき1を返し、ijが等しくない値を持つとき0を返す行列であり ちょうど単位行列に対応するものになっている。 この のことを歴史的理由によりクロネッカーのデルタと呼ぶ。 ここまで、行列の要素がどのような数で与えられているかを指定していなかった。 実用的には多くの場合、行列の中身は実数か複素数のどちらかが与えられる。 とくに行列の複素共役を行列のうちで全ての要素の複素行列を取ったもので 与え、これを行列 A {\displaystyle A} に対して A ∗ {\displaystyle A^{*}} と書く。(これらの記号は本によって違いがあるので 注意が必要である。場合によっては、 A † {\displaystyle A^{\dagger }} 、 A ̄ {\displaystyle {\bar {A}}} と書かれることが ある。) また、Aが実数だけで与えられる行列であるなら、その複素共役は Aと一致する。 転置行列とは、ある行列Aを で与えるとき、 で与えられる。つまり、行列の行と列を入れ換えることで定義される 行列である。この記号も本によって異なるので、それぞれの本をよく読み比べることが 必要となる。 随伴行列はある行列Aに対して、 で与えられる。つまり、複素共役を取ってしかも転置した行列を 随伴行列と呼ぶのである。 ここでは、 † {\displaystyle \dagger } を用いたが、 この記号は前のものと同様、本によって統一されていないので注意が 必要となる。 エルミート行列とは、その行列の随伴行列がその行列自身と一致する行列である。 エルミート行列は行列が実数で与えられているとき、転置が等しい行列に 帰着するが、この行列を対称行列と呼ぶ。 例えば、単位行列はエルミート行列である。 ユニタリ行列(Uで表わされることが多い。)とは、その行列の随伴行列が元の行列の 逆行列となっている行列のことである。 ユニタリ行列はもとの行列が実数で与えられているとき、 その行列の転置が、元の行列の逆行列に等しくなっている行列に 帰着するが、この行列を直交行列と呼ぶ。 ( TODO ノルムを導入した場合の結論? ) 一次方程式は、 で表わされる方程式である。( a i {\displaystyle a_{i}} , b i {\displaystyle b_{i}} は、定数。) これらの一般解を求める。 上の連立方程式は、行列記法では と書ける。仮に、Aが逆行列を持つなら、 この式の一般解は、 となる。 よって、1次方程式を解くのは、行列の逆行列を 求めることに等しい。 ここでは、逆行列を具体的に計算する方法を考察し、 その結果を用いて1次方程式を解く方法を考える。 そのために、いくらかの用語を導入する必要がある。 行列式は、 行列 に対して、 で与えられる数である。 これだけでは何を言っているか分からないかもしれないが、 順に説明を追っていって欲しい。 ここで、 は、1からnまでの整数の置換のうちのどれかを表わしている。 ここで整数の置換とは、ある整数の集合を取ったとき、それらが 互いに重複しないように ある値をある値に対応させたものである。 例えば、整数の組1,2,3をとったとき は1つの置換である。 1,2,3がそれぞれ1,2,3のうちの別の数に移っていることに 注目して欲しい。 置換の数はn個の整数の組を用いたときn!個ある。 例えば、 3個の整数の組では、 の(6=3!)組となる。 上で挙げた6つの置換の中で 1番上の、全ての整数が変化しない 置換を、単位置換と呼ぶ。単位置換から偶数回だけの 変更を行なって得られる置換を隅置換、奇数回だけの 変更を行なって得られる置換を奇置換と呼ぶ。 ここで言う変更とは、置換の後にある整数が移る数を、別の整数が移る数と 互いに入れ換えることを言う。これが1度だけ起これば奇置換であり、 2回だけ起これば隅置換である。厳密には例えば、1と2という結果を何度も移し変えて 、単位置換自身が 2 n {\displaystyle 2^{n}} (nは正の整数。)回置換に対応するということもできる。 しかし、この場合でも単位置換が隅置換である、という主張は変化していない ことがわかる。(ただし0回は偶数なので0置換は隅置換であるとした。) 実はこの結果はより一般的なものであり、 ある置換について様々な入れ換えを行なっても、その置換が 隅置換か奇置換かということには影響しないことが知られている。 導出? つまり、結局のところある置換が隅置換か奇置換かどうかを決めたいときには、 最も簡単な仕方で1つ結果を得れば、全てのやり方で同じ結果が得られる ことがわかる。 例として上に挙げた6つの置換について、それらが隅置換か奇置換かを判別する。 上でいう2,3,6番目の置換は、それぞれ 単位置換から1度だけ対応する値を交換して得られるので 奇置換である。(それぞれ2と3、1と2、3と1)を交換して 得られる。 単位置換は0階の交換で得られるので隅置換であり 残った2つはそれぞれ2組の数値の入れ換えをすることで 得られるので、隅置換である。 行列式の定義の式 で、 は、 が隅置換であるとき、+1、奇置換であるとき-1となる。 つまり、単位置換をして得られる、 の様な項に対しては、1をかけ算し、 ある奇置換 については-1をかけ、 そのような値を全て足し合わせるということがこの計算の主旨となっている。 実際には、置換の数はn!の速さで増えるので、これらの項数は急激に増える。 そのため、n=2,3,4ぐらいのときを除いて、計算機を使わないで 値を得ることは困難になる。 例えば、2次行列について計算する。このときは置換の数は 2つであるので、計算は簡単である。 2*2行列Aを で与える。行列式の定義にしたがって計算すると、 となる。この値は高校では Δ {\displaystyle \Delta } と呼ばれていた量であるが この量は行列の行列式であったわけである。 3次の行列式では、 となる。 これは、斜めに数を掛け合わせていったものに等しいことに注意。 例えば、第1項aeiは、1行1列のaから、3行3列のiまでを右下に向かって 順に書けていったものに等しい。また、次のbfgは、1行2列のbから始めて、 右下に向かってかけ算していったものに等しい。2行3列のfのあとは 端を突き抜けて、3行1列のgにいたることに注意。 4から6番目の項は、右下に向かってではなく左下に向かって 書けていった値となり同時にかけ算した値に(-1)をかける必要がある。 このような計算法を サラスの公式と呼ぶことがある。 一方、4 * 4 以降の行列ではこのような簡単な計算法は 得られないので定義に従ってじょじょに計算していくことが求められる。 行列式は重要な性質として、 という性質を持っている。 (:導出?) ここでは、いきなり定義を与える。 に対して、 m行とr列を除いて得られる(n-1)*(n-1)行列の行列式を、 行列Aのm行r列に関する小行列式と呼ぶ。 つまり、ある列と行を1本ずつ除いて、出来た行列の行列式を取ると それが小行列式となっているわけである。 行列式の計算を簡単に行なうため、 式の展開を導入する。この方法を用いると、 多くの行と列を持つ行列の行列式が比較的簡単に計算できる。 ただし、実際にはこの方法は基本行列による変形と組み合わせて使われることが 多いので、これだけを見てもそれほど便利とは感じないかも知れない。 基本行列の導入 行列式の展開とは、 に対して、 が成り立つ。 ここで、 は、 m行k列に関する行列Aの小行列式である。 この式はn*nの行列の行列式を n個の(n-1)*(n-1)行列の行列式の和によって表わしている。 このことから、この操作を行列式の展開と呼ぶのである。 例えば、n*nの行列式において mk項を含む値は、 他に、m行または、k列に含まれる項を含んでいてはならない。 (これは、行列式に含まれる値がそれぞれn個の整数の置換であり、 その中でm行またはk列を表わす数は、1度しか含まれていないことによる。) またそれ以外の項は、全体の置換が隅置換であったら前の符合が1になるように、 奇置換であったら前の符合が-1になるように計算されるが、 これはまさしく、m行とk列を除いた(n-1)*(n-1)行列の行列式、 すなわちm行k列に関する行列Aの小行列式 に 他ならない。 同様の考察を行列中の他の項についても繰りかえすと、 行列式の展開の式を得る。 例えば、3行3列の行列式の計算を行なうとき、 行列式の展開を使うと、 となり、2次の行列の行列式の計算に帰着する。 それぞれの小行列式の前につく符合がi行j列であったら ( − 1 ) i + j {\displaystyle (-1)^{i+j}} に比例することに注意。 実際にはこのままだとあまり計算量が減っている感じがせず、 実際そうなのだが、特にある行または列にただ1つだけ0でない数が 入っており、残りは全て0という行や列が存在したとき、この行列式の 展開によってn*n行列はただ1つの(n-1)*(n-1)行列に帰着し、非常に 計算が楽になる。 ここでも無味乾燥な定義が続くが、がんばってもらいたい。 実はこの量は線形代数が終わるとほとんど出て来なくなるので 定義などしなくてもよさそうなものなのだが、とはいえこの量を 置かないと、次の逆行列の記述が非常に大変になるので、 ここでは導入するのである。 ある行列n*n行列Aに対して、 で定義される行列Cを行列Aの余因子行列と呼ぶ。 ここで b j i {\displaystyle b_{ji}} は、 行列Aの行j列iに関する小行列式である。 例えば、2*2行列でこの値を計算してみる。 実際には3*3行列以降では、これを得るために n*n個の行列式の計算をせねばならなくなるので、 計算はかなり大変になる。そのため、ここでは2*2行列を 扱うのである。 2*2行列では余因子行列も2*2なので、4つの小行列式を計算すればよい。 実際には2*2の行列式の小行列式は1*1の行列の行列式、というか 1*1の行列はただの数であるので 余因子行列は簡単に求められる。 として実際に計算すると、 が得られる。よってAの余因子行列Cは、 となる。この形は実は2*2行列の逆行列の形と同じ形をしている。 つまり、この行列はAの逆行列に比例しているのである。 実はこれは一般的な結果で、ある行列の逆行列は その行列の余因子行列を元の行列の行列式で割ったものになる。 ただし、Aの行列式が0に等しいときは例外であり、このとき行列A は逆行列を持たない。 次のセクションではそのことの一般的な証明を 与える。 まずは、先ほどの結果をまとめる。 ある行列Aの逆行列は、 で書かれる。 ここでCは、Aの余因子行列である。 ただし、det A が0に等しいとき、行列Aは逆行列を持たない。 ここでは具体的に行列ACを計算し、 その結果が に等しいことを示す。(Eは単位行列。) 一般的に、第l行について考える。(l = 1 , ... , nとする。) このとき、ACのll要素を考えると、 ( b l m {\displaystyle b_{lm}} は、行列Aの行l、列mに関する小行列式。) (式の展開の逆) となり、ここでは確かに と一致した結果になる。 次に、l行で、i列(i = 1, ... , n : l 以外) について ACを考える。ここでは0になってくれるとよい。 これは、行列Aで、i行目をl行目で置き換えた行列の行列式に等しい。 行列式で行列のうちのある行か、ある列が他の行か他の列と一致する場合、 その2つの行または列からの寄与は必ず打ち消しあう。 よってi列からの寄与は0に等しい。 よって求める行列 ACは、 となり、 は、(CはAの余因子行列) Aの逆行列に等しいことが分る。 これによって、ある正方行列が与えられたとき、その行列の 逆行列を求める一般的な方法が得られたわけである。 しかし、実際にはこの計算は多くの計算量を必要とするので 実用的な計算には用いられない。 実用的な計算にはガウスの消去法が 用いられることが多い。 ガウスの消去法は計算機科学か数学の線形代数で扱われる。 ある一次方程式 が与えられたとき、 Aの行列式が0でないとき、その解は で与えられる。 となる。 このとき、 A − 1 {\displaystyle A^{-1}} について 一般的な表式を用いると、 ここで、 B i j {\displaystyle B_{ij}} はAのi行j列に関する小行列式であり、 A replaced {\displaystyle A_{\textrm {replaced}}} は、上で示した i {\displaystyle i} 番目の要素については行列 A {\displaystyle A} の i {\displaystyle i} 列目を列ベクトル b → {\displaystyle {\vec {b}}} で置き換えたものである。 これを用いて一般的に1次方程式の解が得られることが分る。 つまり、どんな1次方程式が現われても瞬時に答が得られるということである。 実際には計算が大変な事も多いので、この公式に頼らない方法も計算機科学の分野を中心に多く知られている。 一般的な方法としては基本行列を使った方法が良く知られているがいつその方法が書かれるかは今の時点では分からない。 determinant が0であるとき、その行列には 逆行列が存在しない。 例えば、2次の行列A では、det A = ad - bc= 0 のとき、その行列には 逆行列が存在しない。 これは実際には、a/b = c/d に対応し、2つの直線が 平行である場合に対応する。 ここではベクトルを幾何的なベクトルとして取ってみる。 つまり、 としてみる。このとき一般的な2*2行列は、あるベクトルを 別のベクトルに移す働きをするということが出来る。 例えば、 行列 は、 の変更をする。 一般に多くの行列は、行列はもっともよい基底をとった場合、 対角化されてみえる。対角化とはどういうことかというと、 の形で書かれる行列のことである。 ただし、ここでiの和を取ってはいけない。 ここで δ i j {\displaystyle \delta _{ij}} はクロネッカのデルタであるので、 この式は、対角化された行列は対角要素だけを持つ行列であることが わかる。つまり、ある行列はある基底をとることで 対角化されて見えるのである。 例えば のときを考えてみる。 この行列は ベクトル(1 1)を2倍の長さにし、 (1 -1)を長さ0のベクトルにする。 全てのベクトルはこれら2つのベクトルを用いて張ることが出来るので 全てのベクトルに対するAの動作が判ったことになる。 例えば、 (2 0) = (1 1) + (1 -1) を用いれば、 A(2 0) = A((1 1) + (1 -1)) = 2(1 1) + 0 (1 -1) = (2 2) となる。 また、 A n {\displaystyle A^{n}} (2 0) = 2 n {\displaystyle 2^{n}} (1 1) = ( 2 n {\displaystyle 2^{n}} 2 n {\displaystyle 2^{n}} ) となる。 つまり、 e 1 {\displaystyle e_{1}} , e 2 {\displaystyle e_{2}} という行列を取ったときには その行列を互いに混ぜ合わせたり長さを変えたり更には向きを変えたりと 複雑なマッピングをしていたようにみえた行列が、非常に扱い易くなっている のである。このように行列が最も扱い易くなる ベクトルを探すことが、このセクションの主題である。 行列Aについてあるベクトルxに対して が成り立つときこれを固有ベクトルと呼ぶ。 また λ {\displaystyle \lambda } を固有値と呼ぶ。 これは先ほどでいうと、行列の動作をただの定数倍にしてしまうベクトルのことである。 このようなベクトルを見つけられると非常に都合が良い。 この方程式は実際に解くことが出来る。 値は、 となる。 ここで、 となることを用いた。 (Eは単位行列。) これは一見奇異に思えるかも知れないが、元々1次方程式が要素ごとの 連立方程式だったことをふまえて、要素ごとの記述に戻って 計算しても、同じ値が得られる。 さて、この方程式は常にx=0という解を持っている。 しかし、今必要なのはx = 0という解ではなく、0でないxである。 ここで、仮に A − λ E {\displaystyle A-\lambda E} が、 を満たすとすると、この行列はただ1つの解を持ち、 その解はx=0である。 これはこのときには A − λ E {\displaystyle A-\lambda E} が逆行列を持つことからすぐにわかる。 よって、仮に行列Aがある0でない固有ベクトルを持つとすれば、 すくなくとも det ( A − λ E ) = 0 {\displaystyle \det(A-\lambda E)=0} とならなければならない。 いいかえれば、そのことの必要条件は det ( A − λ E ) = 0 {\displaystyle \det(A-\lambda E)=0} となる。 この方程式を固有方程式と呼ぶ。この方程式は λ {\displaystyle \lambda } に関するn次の代数方程式であり、 nが大きいときには一般にとじた形で解けるとは限らない。 ただし、この式は必ず複素数の範囲でn個の解を持つことが 知られている。 固有方程式には様々な場合がある。 例として、全ての解が単根であるときや、いくつかの重根があるときが ある。 一般に全ての解が単根であるときには、それぞれの固有値に対応する 固有ベクトルがただ1つずつ存在し、元の行列は完全に対角化 されることが知られている。このとき対角成分に 現われる数は、その固有ベクトルに対応する固有値である。 また、一般に を満たす行列は対角化されることが知られている。 重要な例としてユニタリ行列、エルミート行列、直交行列、対称行列などは 対角化可能である。実際物理などででてくるのは多くがこの場合であり、 特にエルミート行列の対角化は、量子力学の定式化において 重要な位置を占める。 いくつかの重根があるときには、行列は必ずしも対角化されるとは限らない。 例えば、 は対角化可能である、というより既に対角化されている。 しかし、 のような行列を対角化することは出来ない。 このような場合には一般にジョルダン標準型と呼ばれる 最も簡単な形に帰着させることが慣習的になっている。 ジョルダン標準型についてはおそらく数学の線形代数で 扱われるが、後にも少し扱う。 上の対角化できない行列は実際には既にジョルダン標準型の形になっている。 ここでは典型的な場合をいくつか解析してみる。 例えば、 では、 固有方程式は となる。 ここでこの固有方程式は全ての根が単根であるので、 これらの固有値にはそれぞれ1つずつの固有ベクトルが対応し、 それらによって行列が対角化されることが期待される。 実際、固有ベクトルが2本あるなら、その方向に関しては その行列が良い振舞いをするという方向が2本分かっていることになり、 そして、ここでは2次元のベクトルを考えているので、 これらの2本だけで作り得る全てのベクトルを作ることが出来るので、 元の行列が全てのベクトルについて良い振舞いをすることはある意味で 当然であると思われる。 さて、得られた固有値を もともとの式 または、 に代入することで固有ベクトルを求められる。 この操作は少しトリッキーに思えるかも知れないが、 こういうものだと思ってもらいたい。 ここでは、 λ = 0 {\displaystyle \lambda =0} に対して、上の方程式は となる。2つの方程式が同じ方程式になることに注意。 これは、この λ {\displaystyle \lambda } に対して A − λ E {\displaystyle A-\lambda E} の行列式が0になることからの帰結と見ることが 出来る。 この条件を満たすベクトルは全てこの固有値に関する固有ベクトルとなる。 ベクトルの長さは自由に選んで良い。 例えば、おそらく最も簡明なのは であり、これは λ = 0 {\displaystyle \lambda =0} に関する 固有ベクトルとなる。 実際には、ベクトルの長さを1にするために規格化を行ない、 としたものもよく用いられる。 λ = 2 {\displaystyle \lambda =2} に対しては、例えば が得られる。 これでこの行列は全てのベクトルに対して良い振舞いを することが出来ることが分かった。 先ほども述べた通り、 対角化は全ての行列について出来るとは限らない。 例えば、 は対角化可能であるが、 は対角化不可能である。 問題は、 固有値 λ {\displaystyle \lambda } が重解を持ったとき 固有ベクトルの張るベクトルの次元が 充分な自由度を持たないことがありうるということにある。 この問題では、固有ベクトルをきめる 方程式は、 x 2 = 0 {\displaystyle x_{2}=0} に帰着するが、これを満たすベクトルは (a 0) (aは任意の定数)であり、1次元でしか無い。 そのため、固有ベクトルが充分な数だけとれないということになっている。 このような場合は対角化は原理的に不可能なのである。 このときには、代わりにジョルダン標準型という形式が使われることが 多い。 ここでは行列の対角化の応用として、2次形式の計算を扱う。 実際の計算では2次式の計算を扱うことが良くある。 例えば、2次元の放物線型ポテンシャルを考えるとき、ある方向を取ることで 放物線が非常に簡単に見えることがある。そのようなことのために 行列の対角化の計算が使われるのである。 一般にn*n個の文字 x 1 , ⋯ x n {\displaystyle x_{1},\cdots x_{n}} を用いて書かれる2次式は、 の形で書ける。ただし、A,xともに実数しか取り得ないものとする。 ここで、便宜上Aは対称な行列とする。 例えば、 x 2 + x y + y 2 {\displaystyle x^{2}+xy+y^{2}} に対しては、 と選べばよい。このように、うまく数値を選ぶことで、2次形式の 行列は必ず対称に選べる。 対称行列の対角化を用いると、 ある直交行列Oを用いて、 と書ける。ここでBは対角行列である。 Ox = y と定義することで、 が得られる。 右辺の形を2次形式の標準型と呼ぶ。 例えば、 2つの2次形式 x 2 − y 2 {\displaystyle x^{2}-y^{2}} と、 2 x y {\displaystyle 2xy} は、同一の標準型をもつ。 直交行列Oは、 また、 x 2 − y 2 = 1 {\displaystyle x^{2}-y^{2}=1} のグラフは、 2xy = 1 のグラフを π / 4 {\displaystyle \pi /4} 回転させてみたものに 等しいこともこれに対応する。 結局 2 x y {\displaystyle 2xy} を見るときにはグラフを傾けてみるのが分かりやすく解析する のに良い方法であり、そのよい方法は、実は行列の対角化と対応していた ということである。
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これらの一般解を求める。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 35, "tag": "p", "text": "上の連立方程式は、行列記法では", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 36, "tag": "p", "text": "と書ける。仮に、Aが逆行列を持つなら、 この式の一般解は、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 37, "tag": "p", "text": "となる。 よって、1次方程式を解くのは、行列の逆行列を 求めることに等しい。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 38, "tag": "p", "text": "ここでは、逆行列を具体的に計算する方法を考察し、 その結果を用いて1次方程式を解く方法を考える。 そのために、いくらかの用語を導入する必要がある。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 39, "tag": "p", "text": "行列式は、 行列", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 40, "tag": "p", "text": "に対して、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 41, "tag": "p", "text": "で与えられる数である。 これだけでは何を言っているか分からないかもしれないが、 順に説明を追っていって欲しい。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 42, "tag": "p", "text": "ここで、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 43, "tag": "p", "text": "は、1からnまでの整数の置換のうちのどれかを表わしている。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 44, "tag": "p", "text": "ここで整数の置換とは、ある整数の集合を取ったとき、それらが 互いに重複しないように ある値をある値に対応させたものである。 例えば、整数の組1,2,3をとったとき", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 45, "tag": "p", "text": "は1つの置換である。 1,2,3がそれぞれ1,2,3のうちの別の数に移っていることに 注目して欲しい。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 46, "tag": "p", "text": "置換の数はn個の整数の組を用いたときn!個ある。 例えば、 3個の整数の組では、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 47, "tag": "p", "text": "の(6=3!)組となる。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 48, "tag": "p", "text": "上で挙げた6つの置換の中で 1番上の、全ての整数が変化しない 置換を、単位置換と呼ぶ。単位置換から偶数回だけの 変更を行なって得られる置換を隅置換、奇数回だけの 変更を行なって得られる置換を奇置換と呼ぶ。 ここで言う変更とは、置換の後にある整数が移る数を、別の整数が移る数と 互いに入れ換えることを言う。これが1度だけ起これば奇置換であり、 2回だけ起これば隅置換である。厳密には例えば、1と2という結果を何度も移し変えて 、単位置換自身が 2 n {\\displaystyle 2^{n}} (nは正の整数。)回置換に対応するということもできる。 しかし、この場合でも単位置換が隅置換である、という主張は変化していない ことがわかる。(ただし0回は偶数なので0置換は隅置換であるとした。) 実はこの結果はより一般的なものであり、 ある置換について様々な入れ換えを行なっても、その置換が 隅置換か奇置換かということには影響しないことが知られている。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 49, "tag": "p", "text": "導出?", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 50, "tag": "p", "text": "つまり、結局のところある置換が隅置換か奇置換かどうかを決めたいときには、 最も簡単な仕方で1つ結果を得れば、全てのやり方で同じ結果が得られる ことがわかる。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 51, "tag": "p", "text": "例として上に挙げた6つの置換について、それらが隅置換か奇置換かを判別する。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 52, "tag": "p", "text": "上でいう2,3,6番目の置換は、それぞれ 単位置換から1度だけ対応する値を交換して得られるので 奇置換である。(それぞれ2と3、1と2、3と1)を交換して 得られる。 単位置換は0階の交換で得られるので隅置換であり 残った2つはそれぞれ2組の数値の入れ換えをすることで 得られるので、隅置換である。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 53, "tag": "p", "text": "行列式の定義の式", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 54, "tag": "p", "text": "で、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 55, "tag": "p", "text": "は、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 56, "tag": "p", "text": "が隅置換であるとき、+1、奇置換であるとき-1となる。 つまり、単位置換をして得られる、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 57, "tag": "p", "text": "の様な項に対しては、1をかけ算し、 ある奇置換", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 58, "tag": "p", "text": "については-1をかけ、 そのような値を全て足し合わせるということがこの計算の主旨となっている。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 59, "tag": "p", "text": "実際には、置換の数はn!の速さで増えるので、これらの項数は急激に増える。 そのため、n=2,3,4ぐらいのときを除いて、計算機を使わないで 値を得ることは困難になる。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 60, "tag": "p", "text": "", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 61, "tag": "p", "text": "例えば、2次行列について計算する。このときは置換の数は 2つであるので、計算は簡単である。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 62, "tag": "p", "text": "2*2行列Aを", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 63, "tag": "p", "text": "で与える。行列式の定義にしたがって計算すると、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 64, "tag": "p", "text": "となる。この値は高校では Δ {\\displaystyle \\Delta } と呼ばれていた量であるが この量は行列の行列式であったわけである。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 65, "tag": "p", "text": "3次の行列式では、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 66, "tag": "p", "text": "となる。 これは、斜めに数を掛け合わせていったものに等しいことに注意。 例えば、第1項aeiは、1行1列のaから、3行3列のiまでを右下に向かって 順に書けていったものに等しい。また、次のbfgは、1行2列のbから始めて、 右下に向かってかけ算していったものに等しい。2行3列のfのあとは 端を突き抜けて、3行1列のgにいたることに注意。 4から6番目の項は、右下に向かってではなく左下に向かって 書けていった値となり同時にかけ算した値に(-1)をかける必要がある。 このような計算法を サラスの公式と呼ぶことがある。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 67, "tag": "p", "text": "一方、4 * 4 以降の行列ではこのような簡単な計算法は 得られないので定義に従ってじょじょに計算していくことが求められる。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 68, "tag": "p", "text": "行列式は重要な性質として、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 69, "tag": "p", "text": "という性質を持っている。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 70, "tag": "p", "text": "(:導出?)", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 71, "tag": "p", "text": "ここでは、いきなり定義を与える。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 72, "tag": "p", "text": "に対して、 m行とr列を除いて得られる(n-1)*(n-1)行列の行列式を、 行列Aのm行r列に関する小行列式と呼ぶ。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 73, "tag": "p", "text": "つまり、ある列と行を1本ずつ除いて、出来た行列の行列式を取ると それが小行列式となっているわけである。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 74, "tag": "p", "text": "行列式の計算を簡単に行なうため、 式の展開を導入する。この方法を用いると、 多くの行と列を持つ行列の行列式が比較的簡単に計算できる。 ただし、実際にはこの方法は基本行列による変形と組み合わせて使われることが 多いので、これだけを見てもそれほど便利とは感じないかも知れない。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 75, "tag": "p", "text": "基本行列の導入", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 76, "tag": "p", "text": "行列式の展開とは、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 77, "tag": "p", "text": "に対して、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 78, "tag": "p", "text": "が成り立つ。 ここで、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 79, "tag": "p", "text": "は、 m行k列に関する行列Aの小行列式である。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 80, "tag": "p", "text": "この式はn*nの行列の行列式を n個の(n-1)*(n-1)行列の行列式の和によって表わしている。 このことから、この操作を行列式の展開と呼ぶのである。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 81, "tag": "p", "text": "", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 82, "tag": "p", "text": "例えば、n*nの行列式において mk項を含む値は、 他に、m行または、k列に含まれる項を含んでいてはならない。 (これは、行列式に含まれる値がそれぞれn個の整数の置換であり、 その中でm行またはk列を表わす数は、1度しか含まれていないことによる。) またそれ以外の項は、全体の置換が隅置換であったら前の符合が1になるように、 奇置換であったら前の符合が-1になるように計算されるが、 これはまさしく、m行とk列を除いた(n-1)*(n-1)行列の行列式、 すなわちm行k列に関する行列Aの小行列式 に 他ならない。 同様の考察を行列中の他の項についても繰りかえすと、 行列式の展開の式を得る。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 83, "tag": "p", "text": "例えば、3行3列の行列式の計算を行なうとき、 行列式の展開を使うと、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 84, "tag": "p", "text": "となり、2次の行列の行列式の計算に帰着する。 それぞれの小行列式の前につく符合がi行j列であったら ( − 1 ) i + j {\\displaystyle (-1)^{i+j}} に比例することに注意。 実際にはこのままだとあまり計算量が減っている感じがせず、 実際そうなのだが、特にある行または列にただ1つだけ0でない数が 入っており、残りは全て0という行や列が存在したとき、この行列式の 展開によってn*n行列はただ1つの(n-1)*(n-1)行列に帰着し、非常に 計算が楽になる。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 85, "tag": "p", "text": "ここでも無味乾燥な定義が続くが、がんばってもらいたい。 実はこの量は線形代数が終わるとほとんど出て来なくなるので 定義などしなくてもよさそうなものなのだが、とはいえこの量を 置かないと、次の逆行列の記述が非常に大変になるので、 ここでは導入するのである。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 86, "tag": "p", "text": "ある行列n*n行列Aに対して、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 87, "tag": "p", "text": "で定義される行列Cを行列Aの余因子行列と呼ぶ。 ここで b j i {\\displaystyle b_{ji}} は、 行列Aの行j列iに関する小行列式である。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 88, "tag": "p", "text": "例えば、2*2行列でこの値を計算してみる。 実際には3*3行列以降では、これを得るために n*n個の行列式の計算をせねばならなくなるので、 計算はかなり大変になる。そのため、ここでは2*2行列を 扱うのである。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 89, "tag": "p", "text": "2*2行列では余因子行列も2*2なので、4つの小行列式を計算すればよい。 実際には2*2の行列式の小行列式は1*1の行列の行列式、というか 1*1の行列はただの数であるので 余因子行列は簡単に求められる。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 90, "tag": "p", "text": "として実際に計算すると、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 91, "tag": "p", "text": "が得られる。よってAの余因子行列Cは、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 92, "tag": "p", "text": "となる。この形は実は2*2行列の逆行列の形と同じ形をしている。 つまり、この行列はAの逆行列に比例しているのである。 実はこれは一般的な結果で、ある行列の逆行列は その行列の余因子行列を元の行列の行列式で割ったものになる。 ただし、Aの行列式が0に等しいときは例外であり、このとき行列A は逆行列を持たない。 次のセクションではそのことの一般的な証明を 与える。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 93, "tag": "p", "text": "まずは、先ほどの結果をまとめる。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 94, "tag": "p", "text": "ある行列Aの逆行列は、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 95, "tag": "p", "text": "で書かれる。 ここでCは、Aの余因子行列である。 ただし、det A が0に等しいとき、行列Aは逆行列を持たない。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 96, "tag": "p", "text": "ここでは具体的に行列ACを計算し、 その結果が", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 97, "tag": "p", "text": "に等しいことを示す。(Eは単位行列。) 一般的に、第l行について考える。(l = 1 , ... , nとする。) このとき、ACのll要素を考えると、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 98, "tag": "p", "text": "( b l m {\\displaystyle b_{lm}} は、行列Aの行l、列mに関する小行列式。)", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 99, "tag": "p", "text": "(式の展開の逆) となり、ここでは確かに", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 100, "tag": "p", "text": "と一致した結果になる。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 101, "tag": "p", "text": "次に、l行で、i列(i = 1, ... , n : l 以外) について ACを考える。ここでは0になってくれるとよい。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 102, "tag": "p", "text": "これは、行列Aで、i行目をl行目で置き換えた行列の行列式に等しい。 行列式で行列のうちのある行か、ある列が他の行か他の列と一致する場合、 その2つの行または列からの寄与は必ず打ち消しあう。 よってi列からの寄与は0に等しい。 よって求める行列 ACは、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 103, "tag": "p", "text": "となり、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 104, "tag": "p", "text": "は、(CはAの余因子行列) Aの逆行列に等しいことが分る。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 105, "tag": "p", "text": "これによって、ある正方行列が与えられたとき、その行列の 逆行列を求める一般的な方法が得られたわけである。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 106, "tag": "p", "text": "しかし、実際にはこの計算は多くの計算量を必要とするので 実用的な計算には用いられない。 実用的な計算にはガウスの消去法が 用いられることが多い。 ガウスの消去法は計算機科学か数学の線形代数で扱われる。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 107, "tag": "p", "text": "ある一次方程式", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 108, "tag": "p", "text": "が与えられたとき、 Aの行列式が0でないとき、その解は", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 109, "tag": "p", "text": "で与えられる。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 110, "tag": "p", "text": "となる。 このとき、 A − 1 {\\displaystyle A^{-1}} について 一般的な表式を用いると、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 111, "tag": "p", "text": "ここで、 B i j {\\displaystyle B_{ij}} はAのi行j列に関する小行列式であり、 A replaced {\\displaystyle A_{\\textrm {replaced}}} は、上で示した i {\\displaystyle i} 番目の要素については行列 A {\\displaystyle A} の i {\\displaystyle i} 列目を列ベクトル b → {\\displaystyle {\\vec {b}}} で置き換えたものである。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 112, "tag": "p", "text": "これを用いて一般的に1次方程式の解が得られることが分る。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 113, "tag": "p", "text": "つまり、どんな1次方程式が現われても瞬時に答が得られるということである。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 114, "tag": "p", "text": "実際には計算が大変な事も多いので、この公式に頼らない方法も計算機科学の分野を中心に多く知られている。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 115, "tag": "p", "text": "一般的な方法としては基本行列を使った方法が良く知られているがいつその方法が書かれるかは今の時点では分からない。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 116, "tag": "p", "text": "determinant が0であるとき、その行列には 逆行列が存在しない。 例えば、2次の行列A では、det A = ad - bc= 0 のとき、その行列には 逆行列が存在しない。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 117, "tag": "p", "text": "これは実際には、a/b = c/d に対応し、2つの直線が 平行である場合に対応する。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 118, "tag": "p", "text": "", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 119, "tag": "p", "text": "ここではベクトルを幾何的なベクトルとして取ってみる。 つまり、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 120, "tag": "p", "text": "としてみる。このとき一般的な2*2行列は、あるベクトルを 別のベクトルに移す働きをするということが出来る。 例えば、 行列", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 121, "tag": "p", "text": "は、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 122, "tag": "p", "text": "の変更をする。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 123, "tag": "p", "text": "一般に多くの行列は、行列はもっともよい基底をとった場合、 対角化されてみえる。対角化とはどういうことかというと、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 124, "tag": "p", "text": "の形で書かれる行列のことである。 ただし、ここでiの和を取ってはいけない。 ここで δ i j {\\displaystyle \\delta _{ij}} はクロネッカのデルタであるので、 この式は、対角化された行列は対角要素だけを持つ行列であることが わかる。つまり、ある行列はある基底をとることで 対角化されて見えるのである。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 125, "tag": "p", "text": "例えば", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 126, "tag": "p", "text": "のときを考えてみる。 この行列は ベクトル(1 1)を2倍の長さにし、 (1 -1)を長さ0のベクトルにする。 全てのベクトルはこれら2つのベクトルを用いて張ることが出来るので 全てのベクトルに対するAの動作が判ったことになる。 例えば、 (2 0) = (1 1) + (1 -1) を用いれば、 A(2 0) = A((1 1) + (1 -1)) = 2(1 1) + 0 (1 -1) = (2 2) となる。 また、 A n {\\displaystyle A^{n}} (2 0) = 2 n {\\displaystyle 2^{n}} (1 1) = ( 2 n {\\displaystyle 2^{n}} 2 n {\\displaystyle 2^{n}} ) となる。 つまり、 e 1 {\\displaystyle e_{1}} , e 2 {\\displaystyle e_{2}} という行列を取ったときには その行列を互いに混ぜ合わせたり長さを変えたり更には向きを変えたりと 複雑なマッピングをしていたようにみえた行列が、非常に扱い易くなっている のである。このように行列が最も扱い易くなる ベクトルを探すことが、このセクションの主題である。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 127, "tag": "p", "text": "行列Aについてあるベクトルxに対して", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 128, "tag": "p", "text": "が成り立つときこれを固有ベクトルと呼ぶ。 また λ {\\displaystyle \\lambda } を固有値と呼ぶ。 これは先ほどでいうと、行列の動作をただの定数倍にしてしまうベクトルのことである。 このようなベクトルを見つけられると非常に都合が良い。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 129, "tag": "p", "text": "この方程式は実際に解くことが出来る。 値は、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 130, "tag": "p", "text": "となる。 ここで、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 131, "tag": "p", "text": "となることを用いた。 (Eは単位行列。) これは一見奇異に思えるかも知れないが、元々1次方程式が要素ごとの 連立方程式だったことをふまえて、要素ごとの記述に戻って 計算しても、同じ値が得られる。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 132, "tag": "p", "text": "さて、この方程式は常にx=0という解を持っている。 しかし、今必要なのはx = 0という解ではなく、0でないxである。 ここで、仮に A − λ E {\\displaystyle A-\\lambda E} が、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 133, "tag": "p", "text": "を満たすとすると、この行列はただ1つの解を持ち、 その解はx=0である。 これはこのときには A − λ E {\\displaystyle A-\\lambda E} が逆行列を持つことからすぐにわかる。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 134, "tag": "p", "text": "よって、仮に行列Aがある0でない固有ベクトルを持つとすれば、 すくなくとも det ( A − λ E ) = 0 {\\displaystyle \\det(A-\\lambda E)=0} とならなければならない。 いいかえれば、そのことの必要条件は det ( A − λ E ) = 0 {\\displaystyle \\det(A-\\lambda E)=0} となる。 この方程式を固有方程式と呼ぶ。この方程式は λ {\\displaystyle \\lambda } に関するn次の代数方程式であり、 nが大きいときには一般にとじた形で解けるとは限らない。 ただし、この式は必ず複素数の範囲でn個の解を持つことが 知られている。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 135, "tag": "p", "text": "固有方程式には様々な場合がある。 例として、全ての解が単根であるときや、いくつかの重根があるときが ある。 一般に全ての解が単根であるときには、それぞれの固有値に対応する 固有ベクトルがただ1つずつ存在し、元の行列は完全に対角化 されることが知られている。このとき対角成分に 現われる数は、その固有ベクトルに対応する固有値である。 また、一般に", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 136, "tag": "p", "text": "を満たす行列は対角化されることが知られている。 重要な例としてユニタリ行列、エルミート行列、直交行列、対称行列などは 対角化可能である。実際物理などででてくるのは多くがこの場合であり、 特にエルミート行列の対角化は、量子力学の定式化において 重要な位置を占める。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 137, "tag": "p", "text": "いくつかの重根があるときには、行列は必ずしも対角化されるとは限らない。 例えば、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 138, "tag": "p", "text": "は対角化可能である、というより既に対角化されている。 しかし、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 139, "tag": "p", "text": "のような行列を対角化することは出来ない。 このような場合には一般にジョルダン標準型と呼ばれる 最も簡単な形に帰着させることが慣習的になっている。 ジョルダン標準型についてはおそらく数学の線形代数で 扱われるが、後にも少し扱う。 上の対角化できない行列は実際には既にジョルダン標準型の形になっている。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 140, "tag": "p", "text": "ここでは典型的な場合をいくつか解析してみる。 例えば、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 141, "tag": "p", "text": "では、 固有方程式は", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 142, "tag": "p", "text": "となる。 ここでこの固有方程式は全ての根が単根であるので、 これらの固有値にはそれぞれ1つずつの固有ベクトルが対応し、 それらによって行列が対角化されることが期待される。 実際、固有ベクトルが2本あるなら、その方向に関しては その行列が良い振舞いをするという方向が2本分かっていることになり、 そして、ここでは2次元のベクトルを考えているので、 これらの2本だけで作り得る全てのベクトルを作ることが出来るので、 元の行列が全てのベクトルについて良い振舞いをすることはある意味で 当然であると思われる。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 143, "tag": "p", "text": "さて、得られた固有値を もともとの式", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 144, "tag": "p", "text": "または、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 145, "tag": "p", "text": "に代入することで固有ベクトルを求められる。 この操作は少しトリッキーに思えるかも知れないが、 こういうものだと思ってもらいたい。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 146, "tag": "p", "text": "ここでは、 λ = 0 {\\displaystyle \\lambda =0} に対して、上の方程式は", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 147, "tag": "p", "text": "となる。2つの方程式が同じ方程式になることに注意。 これは、この λ {\\displaystyle \\lambda } に対して A − λ E {\\displaystyle A-\\lambda E} の行列式が0になることからの帰結と見ることが 出来る。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 148, "tag": "p", "text": "この条件を満たすベクトルは全てこの固有値に関する固有ベクトルとなる。 ベクトルの長さは自由に選んで良い。 例えば、おそらく最も簡明なのは", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 149, "tag": "p", "text": "であり、これは λ = 0 {\\displaystyle \\lambda =0} に関する 固有ベクトルとなる。 実際には、ベクトルの長さを1にするために規格化を行ない、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 150, "tag": "p", "text": "としたものもよく用いられる。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 151, "tag": "p", "text": "λ = 2 {\\displaystyle \\lambda =2} に対しては、例えば", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 152, "tag": "p", "text": "が得られる。 これでこの行列は全てのベクトルに対して良い振舞いを することが出来ることが分かった。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 153, "tag": "p", "text": "", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 154, "tag": "p", "text": "先ほども述べた通り、 対角化は全ての行列について出来るとは限らない。 例えば、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 155, "tag": "p", "text": "は対角化可能であるが、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 156, "tag": "p", "text": "は対角化不可能である。 問題は、 固有値 λ {\\displaystyle \\lambda } が重解を持ったとき 固有ベクトルの張るベクトルの次元が 充分な自由度を持たないことがありうるということにある。 この問題では、固有ベクトルをきめる 方程式は、 x 2 = 0 {\\displaystyle x_{2}=0} に帰着するが、これを満たすベクトルは (a 0) (aは任意の定数)であり、1次元でしか無い。 そのため、固有ベクトルが充分な数だけとれないということになっている。 このような場合は対角化は原理的に不可能なのである。 このときには、代わりにジョルダン標準型という形式が使われることが 多い。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 157, "tag": "p", "text": "ここでは行列の対角化の応用として、2次形式の計算を扱う。 実際の計算では2次式の計算を扱うことが良くある。 例えば、2次元の放物線型ポテンシャルを考えるとき、ある方向を取ることで 放物線が非常に簡単に見えることがある。そのようなことのために 行列の対角化の計算が使われるのである。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 158, "tag": "p", "text": "一般にn*n個の文字 x 1 , ⋯ x n {\\displaystyle x_{1},\\cdots x_{n}} を用いて書かれる2次式は、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 159, "tag": "p", "text": "の形で書ける。ただし、A,xともに実数しか取り得ないものとする。 ここで、便宜上Aは対称な行列とする。 例えば、 x 2 + x y + y 2 {\\displaystyle x^{2}+xy+y^{2}} に対しては、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 160, "tag": "p", "text": "と選べばよい。このように、うまく数値を選ぶことで、2次形式の 行列は必ず対称に選べる。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 161, "tag": "p", "text": "対称行列の対角化を用いると、 ある直交行列Oを用いて、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 162, "tag": "p", "text": "と書ける。ここでBは対角行列である。 Ox = y と定義することで、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 163, "tag": "p", "text": "が得られる。 右辺の形を2次形式の標準型と呼ぶ。", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 164, "tag": "p", "text": "例えば、 2つの2次形式 x 2 − y 2 {\\displaystyle x^{2}-y^{2}} と、 2 x y {\\displaystyle 2xy} は、同一の標準型をもつ。 直交行列Oは、", "title": "線形代数" }, { "paragraph_id": 165, "tag": "p", "text": "また、 x 2 − y 2 = 1 {\\displaystyle x^{2}-y^{2}=1} のグラフは、 2xy = 1 のグラフを π / 4 {\\displaystyle \\pi /4} 回転させてみたものに 等しいこともこれに対応する。 結局 2 x y {\\displaystyle 2xy} を見るときにはグラフを傾けてみるのが分かりやすく解析する のに良い方法であり、そのよい方法は、実は行列の対角化と対応していた ということである。", "title": "線形代数" } ]
物理数学I > 線形代数
<small> [[物理数学I]] > 線形代数</small> ---- ==線形代数== ===行列の定義と特別な行列=== ====行列の定義==== 数値を何らかの仕方で組み合わせたものを行列と呼ぶ。 ただし、縦の長さと横の長さを、各行と列でそろえなくてはならない。 例えば、 :<math> \begin{pmatrix} a _{11}&a _{12}\\ a _{21}&a _{22}\\ \end{pmatrix} </math> は行列である。 高校までの範囲では、行列は3*3までしか扱わなかった。 しかし、実際には行列はm*n行列が存在し、(m.nは正の整数。) 全てにおいて和、積などの演算を行なうことが出来る。 ====行列の和,積==== 行列の和は各要素ごとに和を取ることによって定義される。 このことは、行列の和が可換であり、結合則を満たすことを保証する。 実数倍は、各要素に実数を書けることによって 定義する。この演算は行列に単位行列の定数倍ををかける演算と 等しいことに注意。n*n行列の単位行列はすぐ後に定義する。 これらの操作が可能なことを、行列の線形性と呼ぶ。 行列の積は、 :<math> \begin{pmatrix} a _{11}& \cdots & a _{1n} \\ &\cdots &\\ a _{n1}& \cdots & a _{nn} \end{pmatrix} \times \begin{pmatrix} b _{11}& \cdots & b _{1n} \\ &\cdots &\\ b _{n1}& \cdots & b _{nn} \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} \sum _i a _{1i} b _{i1} & \cdots & \sum _i a _{1i} b _{in}\\ &\cdots &\\ \sum _i a _{ni} b _{i1} & \cdots & \sum _i a _{ni} b _{in}\\ \end{pmatrix} </math> で与えられる。これらは2*2,3*3などの行列の演算の 拡張となっている。 この演算は短く :<math> (a b ) _{ij} = \Sigma _k (a _{ik} b _{kj} ) </math> と書かれることがある。 重要な事は、行列の積は n*m行列とm*l行列のように(n,m,lは正の整数。)前の行列の列の数と後の行列の行の数が 一致していないと計算できないことが挙げられる。 このことからもわかるように、行列の積は一般に非可換である。 このことを式で書くと、 :<math> AB \ne BA </math> となる。 ====単位行列==== n*nのように行と列の数が等しい行列のことを正方行列と呼ぶ。 正方行列について、行と列の番号が等しい成分のことを対角成分と呼ぶ。 対角成分でない成分を非対角成分と呼ぶ。 n*n正方行列において、対角成分が全て1であり、非対角成分が 全て0である行列を、n*n単位行列と呼ぶ。 この行列は直接計算を行なうことで、 :<math> EA = AE = A </math> を満たすことが分かる。(Aは任意の行列。) このことは、短く :<math> \Sigma _k \delta _{ik} a _{kj} = a _{ij} </math> と書かれることがある。 ここで、 :<math> \delta _{ij} </math> は、ijが等しい値を持つとき1を返し、ijが等しくない値を持つとき0を返す行列であり ちょうど単位行列に対応するものになっている。 この :<math> \delta </math> のことを歴史的理由によりクロネッカーのデルタと呼ぶ。 ====複素共役行列==== ここまで、行列の要素がどのような数で与えられているかを指定していなかった。 実用的には多くの場合、行列の中身は実数か複素数のどちらかが与えられる。 とくに行列の複素共役を行列のうちで全ての要素の複素行列を取ったもので 与え、これを行列<math>A</math>に対して<math>A^*</math>と書く。(これらの記号は本によって違いがあるので 注意が必要である。場合によっては、<math>A^\dagger</math>、<math>\bar A</math>と書かれることが ある。) :<math> (A^*) _{ij} = a _{ij}^* </math> また、Aが実数だけで与えられる行列であるなら、その複素共役は Aと一致する。 ====転置行列==== 転置行列とは、ある行列Aを :<math> A = a _{ij} </math> で与えるとき、 :<math> A^t=a _{ji} </math> で与えられる。つまり、行列の行と列を入れ換えることで定義される 行列である。この記号も本によって異なるので、それぞれの本をよく読み比べることが 必要となる。 ====随伴行列==== 随伴行列はある行列Aに対して、 :<math> A^\dagger = (A^t)^*=(A^*)^t </math> で与えられる。つまり、複素共役を取ってしかも転置した行列を 随伴行列と呼ぶのである。 ここでは、<math>\dagger</math>を用いたが、 この記号は前のものと同様、本によって統一されていないので注意が 必要となる。 ====エルミート行列==== エルミート行列とは、その行列の随伴行列がその行列自身と一致する行列である。 エルミート行列は行列が実数で与えられているとき、転置が等しい行列に 帰着するが、この行列を対称行列と呼ぶ。 例えば、単位行列はエルミート行列である。 ====ユニタリ行列==== ユニタリ行列(Uで表わされることが多い。)とは、その行列の随伴行列が元の行列の 逆行列となっている行列のことである。 :<math> U U^{\dagger} = E </math> ユニタリ行列はもとの行列が実数で与えられているとき、 その行列の転置が、元の行列の逆行列に等しくなっている行列に 帰着するが、この行列を直交行列と呼ぶ。 ( TODO ノルムを導入した場合の結論? ) ===逆行列の一般形=== ====逆行列と一次方程式==== 一次方程式は、 :<math> a _{11}x _1 + \cdots a _{1n}x _n = b _1 </math> :<math> a _{n1}x _1 + \cdots a _{nn}x _n = b _n </math> で表わされる方程式である。(<math>a _i</math>, <math>b _i</math>は、定数。) これらの一般解を求める。 上の連立方程式は、行列記法では :<math> Ax = b </math> と書ける。仮に、Aが逆行列を持つなら、 この式の一般解は、 :<math> x = A^{-1} b </math> となる。 よって、1次方程式を解くのは、行列の逆行列を 求めることに等しい。 ここでは、逆行列を具体的に計算する方法を考察し、 その結果を用いて1次方程式を解く方法を考える。 そのために、いくらかの用語を導入する必要がある。 ====行列式==== 行列式は、 行列 :<math> A = \begin{pmatrix} a _{11} & \cdots & a _{1n} \\ \cdots & \cdots &\cdots\\ a _{n1} & \cdots & a _{nn} \end{pmatrix} </math> に対して、 :<math> \sum _{\sigma} \textrm{sgn} \sigma a _{1\sigma _1} \cdot \cdot a _{n\sigma _n} </math> で与えられる数である。 これだけでは何を言っているか分からないかもしれないが、 順に説明を追っていって欲しい。 ここで、 :<math> \sigma </math> は、1からnまでの整数の置換のうちのどれかを表わしている。 ここで整数の置換とは、ある整数の集合を取ったとき、それらが 互いに重複しないように ある値をある値に対応させたものである。 例えば、整数の組1,2,3をとったとき :<math> 1 \rightarrow 3, 2 \rightarrow 1, 3 \rightarrow 2 </math> は1つの置換である。 1,2,3がそれぞれ1,2,3のうちの別の数に移っていることに 注目して欲しい。 置換の数はn個の整数の組を用いたときn!個ある。 例えば、 3個の整数の組では、 :<math> 1\rightarrow 1 , 2 \rightarrow 2 ,3\rightarrow 3 </math>, :<math> 1\rightarrow 1 , 2 \rightarrow 3 ,3\rightarrow 2 </math>, :<math> 1\rightarrow 2 , 2 \rightarrow 1 ,3\rightarrow 3 </math>, :<math> 1\rightarrow 2 , 2 \rightarrow 3 ,3\rightarrow 1 </math>, :<math> 1\rightarrow 3 , 2 \rightarrow 1 ,3\rightarrow 2 </math>, :<math> 1\rightarrow 3 , 2 \rightarrow 2 ,3\rightarrow 1 </math> の(6=3!)組となる。 上で挙げた6つの置換の中で 1番上の、全ての整数が変化しない 置換を、単位置換と呼ぶ。単位置換から偶数回だけの 変更を行なって得られる置換を隅置換、奇数回だけの 変更を行なって得られる置換を奇置換と呼ぶ。 ここで言う変更とは、置換の後にある整数が移る数を、別の整数が移る数と 互いに入れ換えることを言う。これが1度だけ起これば奇置換であり、 2回だけ起これば隅置換である。厳密には例えば、1と2という結果を何度も移し変えて 、単位置換自身が<math>2^n</math>(nは正の整数。)回置換に対応するということもできる。 しかし、この場合でも単位置換が隅置換である、という主張は変化していない ことがわかる。(ただし0回は偶数なので0置換は隅置換であるとした。) 実はこの結果はより一般的なものであり、 ある置換について様々な入れ換えを行なっても、その置換が 隅置換か奇置換かということには影響しないことが知られている。 *TODO 導出? つまり、結局のところある置換が隅置換か奇置換かどうかを決めたいときには、 最も簡単な仕方で1つ結果を得れば、全てのやり方で同じ結果が得られる ことがわかる。 例として上に挙げた6つの置換について、それらが隅置換か奇置換かを判別する。 上でいう2,3,6番目の置換は、それぞれ 単位置換から1度だけ対応する値を交換して得られるので 奇置換である。(それぞれ2と3、1と2、3と1)を交換して 得られる。 単位置換は0階の交換で得られるので隅置換であり 残った2つはそれぞれ2組の数値の入れ換えをすることで 得られるので、隅置換である。 行列式の定義の式 :<math> \sum _{\sigma} \textrm{sgn} \sigma a _{1\sigma _1} \cdot \cdot a _{n\sigma _n} </math> で、 :<math> \textrm{sgn} \sigma </math> は、 :<math> \sigma </math> が隅置換であるとき、+1、奇置換であるとき-1となる。 つまり、単位置換をして得られる、 :<math> a _{11} \cdot \cdot a _{nn} </math> の様な項に対しては、1をかけ算し、 ある奇置換 :<math> a _{12}a _{21}a _{33}a _{44} \cdots \alpha _{nn} </math> については-1をかけ、 そのような値を全て足し合わせるということがこの計算の主旨となっている。 実際には、置換の数はn!の速さで増えるので、これらの項数は急激に増える。 そのため、n=2,3,4ぐらいのときを除いて、計算機を使わないで 値を得ることは困難になる。 *計算例 例えば、2次行列について計算する。このときは置換の数は 2つであるので、計算は簡単である。 2*2行列Aを :<math> A = \begin{pmatrix} a&b\\ c&d \end{pmatrix} </math> で与える。行列式の定義にしたがって計算すると、 :<math> \begin{matrix} \textrm{det} A \\ =& a _{11}a _{22} - a _{12}a _{21}\\ =& a\times d - c \times b\\ =& ad -bc \end{matrix} </math> となる。この値は高校では<math>\Delta</math>と呼ばれていた量であるが この量は行列の行列式であったわけである。 3次の行列式では、 :<math> \begin{matrix} A = \begin{pmatrix} a&b&c\\ d&e&f\\ g&h&i\\ \end{pmatrix} \\ =a _{11}a _{22}a _{33}+ a _{12}a _{23}a _{31}+ a _{13}a _{21}a _{32}- a _{11}a _{23}a _{32}- a _{13}a _{22}a _{31}- a _{12}a _{21}a _{33} \\ =aei + bfg + cdh - afh - bdi -ceg \end{matrix} </math> となる。 これは、斜めに数を掛け合わせていったものに等しいことに注意。 例えば、第1項aeiは、1行1列のaから、3行3列のiまでを右下に向かって 順に書けていったものに等しい。また、次のbfgは、1行2列のbから始めて、 右下に向かってかけ算していったものに等しい。2行3列のfのあとは 端を突き抜けて、3行1列のgにいたることに注意。 4から6番目の項は、右下に向かってではなく左下に向かって 書けていった値となり同時にかけ算した値に(-1)をかける必要がある。 このような計算法を サラスの公式と呼ぶことがある。 一方、4 * 4 以降の行列ではこのような簡単な計算法は 得られないので定義に従ってじょじょに計算していくことが求められる。 行列式は重要な性質として、 :<math> \det AB = \det A \det B </math> という性質を持っている。 *TODO (:導出?) ====小行列式==== ここでは、いきなり定義を与える。 :<math> A = \begin{pmatrix} a _{11} & \cdots & a _{1n} \\ \cdots & \cdots &\cdots \\ a _{n1} & \cdots & a _{nn} \end{pmatrix} </math> に対して、 m行とr列を除いて得られる(n-1)*(n-1)行列の行列式を、 行列Aのm行r列に関する小行列式と呼ぶ。 つまり、ある列と行を1本ずつ除いて、出来た行列の行列式を取ると それが小行列式となっているわけである。 ====行列式の展開==== 行列式の計算を簡単に行なうため、 式の展開を導入する。この方法を用いると、 多くの行と列を持つ行列の行列式が比較的簡単に計算できる。 ただし、実際にはこの方法は基本行列による変形と組み合わせて使われることが 多いので、これだけを見てもそれほど便利とは感じないかも知れない。 *TODO 基本行列の導入 :永年行列式の計算のためにも... 行列式の展開とは、 :<math> A = \begin{pmatrix} a_{11} & \cdots & a_{1n} \\ \cdots & \cdots & \cdots \\ a_{n1} & \cdots & a_{nn} \end{pmatrix} </math> に対して、 :<math> \det A = \sum _{k = 1} ^n (-1) ^{m+k} a _{mk} b _{mk} </math>,または :<math> \det A = \sum _{k = 1} ^n (-1) ^{r+k} a _{kr} b _{kr} </math> が成り立つ。 ここで、 :<math> b _{mk} </math> は、 m行k列に関する行列Aの小行列式である。 この式はn*nの行列の行列式を n個の(n-1)*(n-1)行列の行列式の和によって表わしている。 このことから、この操作を行列式の展開と呼ぶのである。 *導出 例えば、n*nの行列式において mk項を含む値は、 他に、m行または、k列に含まれる項を含んでいてはならない。 (これは、行列式に含まれる値がそれぞれn個の整数の置換であり、 その中でm行またはk列を表わす数は、1度しか含まれていないことによる。) またそれ以外の項は、全体の置換が隅置換であったら前の符合が1になるように、 奇置換であったら前の符合が-1になるように計算されるが、 これはまさしく、m行とk列を除いた(n-1)*(n-1)行列の行列式、 すなわちm行k列に関する行列Aの小行列式 に 他ならない。 同様の考察を行列中の他の項についても繰りかえすと、 行列式の展開の式を得る。 例えば、3行3列の行列式の計算を行なうとき、 行列式の展開を使うと、 :<math> \det \begin{pmatrix} a&b&c\\ d&e&f\\ k&j&i \end{pmatrix} = a \det \begin{pmatrix} e&f\\ j&i \end{pmatrix} - b \det \begin{pmatrix} d&f\\ k&i \end{pmatrix} +c \det \begin{pmatrix} d&e\\ k&j \end{pmatrix} </math> となり、2次の行列の行列式の計算に帰着する。 それぞれの小行列式の前につく符合がi行j列であったら <math>(-1)^{i+j}</math>に比例することに注意。 実際にはこのままだとあまり計算量が減っている感じがせず、 実際そうなのだが、特にある行または列にただ1つだけ0でない数が 入っており、残りは全て0という行や列が存在したとき、この行列式の 展開によってn*n行列はただ1つの(n-1)*(n-1)行列に帰着し、非常に 計算が楽になる。 ====余因子行列==== ここでも無味乾燥な定義が続くが、がんばってもらいたい。 実はこの量は線形代数が終わるとほとんど出て来なくなるので 定義などしなくてもよさそうなものなのだが、とはいえこの量を 置かないと、次の逆行列の記述が非常に大変になるので、 ここでは導入するのである。 ある行列n*n行列Aに対して、 :<math> c _{ij} = (-1)^{i+j} b _{ji} </math> で定義される行列Cを行列Aの余因子行列と呼ぶ。 ここで<math>b _{ji} </math>は、 行列Aの行j列iに関する小行列式である。 例えば、2*2行列でこの値を計算してみる。 実際には3*3行列以降では、これを得るために n*n個の行列式の計算をせねばならなくなるので、 計算はかなり大変になる。そのため、ここでは2*2行列を 扱うのである。 2*2行列では余因子行列も2*2なので、4つの小行列式を計算すればよい。 実際には2*2の行列式の小行列式は1*1の行列の行列式、というか 1*1の行列はただの数であるので 余因子行列は簡単に求められる。 :<math> A = \begin{pmatrix} a&b\\ c&d \end{pmatrix} </math> として実際に計算すると、 :<math> c _{11} = b _{11}=a _{22} = d </math> :<math> c _{12} = -b _{21}= -a _{12} = -b </math> :<math> c _{21} = -b _{12}= -a _{21} = -c </math> :<math> c _{22} = b _{22}= a _{11} = a </math> が得られる。よってAの余因子行列Cは、 :<math> C = \begin{pmatrix} d & -b\\ -c & a \end{pmatrix} </math> となる。この形は実は2*2行列の逆行列の形と同じ形をしている。 つまり、この行列はAの逆行列に比例しているのである。 実はこれは一般的な結果で、ある行列の逆行列は その行列の余因子行列を元の行列の行列式で割ったものになる。 ただし、Aの行列式が0に等しいときは例外であり、このとき行列A は逆行列を持たない。 次のセクションではそのことの一般的な証明を 与える。 ====逆行列の一般型==== まずは、先ほどの結果をまとめる。 ある行列Aの逆行列は、 :<math> A^{-1} = \frac 1 {\det A} C </math> で書かれる。 ここでCは、Aの余因子行列である。 ただし、det A が0に等しいとき、行列Aは逆行列を持たない。 *導出 ここでは具体的に行列ACを計算し、 その結果が :<math> (\det A) E </math> に等しいことを示す。(Eは単位行列。) 一般的に、第l行について考える。(l = 1 , ... , nとする。) このとき、ACのll要素を考えると、 :<math> \sum _{m=1} ^ n a _{lm} c _{ml} </math> :<math> =\sum _{m=1} ^ n a _{lm} (-1)^{m+ l} b _{lm} </math>, (<math>b _{lm}</math>は、行列Aの行l、列mに関する小行列式。) :<math> =\det A </math> (式の展開の逆) となり、ここでは確かに :<math> (\det A) E </math> と一致した結果になる。 次に、l行で、i列(i = 1, ... , n : l 以外) について ACを考える。ここでは0になってくれるとよい。 :<math> \sum _{m=1} ^ n a _{lm} c _{mi} </math> :<math> \sum _{m=1} ^ n a _{lm} (-1)^{m+ i} b _{im} </math> これは、行列Aで、i行目をl行目で置き換えた行列の行列式に等しい。 行列式で行列のうちのある行か、ある列が他の行か他の列と一致する場合、 その2つの行または列からの寄与は必ず打ち消しあう。 よってi列からの寄与は0に等しい。 よって求める行列 ACは、 :<math> (\det A ) E </math> となり、 :<math> \frac 1 {\det A} C </math> は、(CはAの余因子行列) Aの逆行列に等しいことが分る。 これによって、ある正方行列が与えられたとき、その行列の 逆行列を求める一般的な方法が得られたわけである。 しかし、実際にはこの計算は多くの計算量を必要とするので 実用的な計算には用いられない。 実用的な計算にはガウスの消去法が 用いられることが多い。 ガウスの消去法は計算機科学か数学の線形代数で扱われる。 ====クラメルの公式==== {{main|クラメルの公式}} ある一次方程式 :<math> A \vec x = \vec b </math> が与えられたとき、 Aの行列式が0でないとき、その解は :<math> b _i = \frac 1 {\det A} \begin{vmatrix} a _{11} & \cdots & a _{1,i-1}&b _1 & a _{1,i+1}&\cdots &a _{1n}\\ &&&\cdots&&&\\ a _{n1} & \cdots & a _{n,i-1}&b _n & a _{n,i+1}&\cdots &a _{nn} \end{vmatrix} </math> で与えられる。 *導出 :<math> \vec x = A^{-1} \vec b </math> となる。 このとき、<math>A^{-1}</math>について 一般的な表式を用いると、 :<math> \begin{matrix} \textrm{rhs} =& \frac 1 {\det A} C \vec b\\ =& \frac 1 {\det A}\sum _ {j} C _{ij} b _j\\ =& \frac 1 {\det A}\sum _ {j} (-1)^{i+j} B _{ji} b _j\\ =& \frac 1 {\det A} |A _{\textrm{replaced} } | _i (?) \end{matrix} </math> ここで、 <math>B _{ij}</math>はAのi行j列に関する小行列式であり、<math>A _{\textrm{replaced} }</math>は、上で示した<math>i</math>番目の要素については行列<math>A</math>の<math>i</math>列目を列ベクトル<math> \vec b</math>で置き換えたものである。 これを用いて一般的に1次方程式の解が得られることが分る。 つまり、どんな1次方程式が現われても瞬時に答が得られるということである。 実際には計算が大変な事も多いので、この公式に頼らない方法も計算機科学の分野を中心に多く知られている。 一般的な方法としては基本行列を使った方法が良く知られているがいつその方法が書かれるかは今の時点では分からない。 ==== determinant = 0 の幾何学的意味 ==== determinant が0であるとき、その行列には 逆行列が存在しない。 例えば、2次の行列A では、det A = ad - bc= 0 のとき、その行列には 逆行列が存在しない。 これは実際には、a/b = c/d に対応し、2つの直線が 平行である場合に対応する。 ===行列の対角化=== ====対角化の具体例==== ここではベクトルを幾何的なベクトルとして取ってみる。 つまり、 :<math> \vec e _1 = \vec e _x= \begin{pmatrix} 1\\ 0 \end{pmatrix} </math> :<math> \vec e _2 = \vec e _y= \begin{pmatrix} 0\\ 1 \end{pmatrix} </math> としてみる。このとき一般的な2*2行列は、あるベクトルを 別のベクトルに移す働きをするということが出来る。 例えば、 行列 :<math> \begin{pmatrix} a&b\\ c&d \end{pmatrix} </math> は、 :<math> e _1 = (a,c) </math> :<math> e _2= (b,d) </math> の変更をする。 一般に多くの行列は、行列はもっともよい基底をとった場合、 対角化されてみえる。対角化とはどういうことかというと、 :<math> A = \alpha _i \delta _{ij} </math> の形で書かれる行列のことである。 ただし、ここでiの和を取ってはいけない。 ここで<math>\delta _{ij}</math>はクロネッカのデルタであるので、 この式は、対角化された行列は対角要素だけを持つ行列であることが わかる。つまり、ある行列はある基底をとることで 対角化されて見えるのである。 例えば :<math> A= \begin{pmatrix} 1&1\\ 1&1 \end{pmatrix} </math> のときを考えてみる。 この行列は ベクトル(1 1)を2倍の長さにし、 (1 -1)を長さ0のベクトルにする。 全てのベクトルはこれら2つのベクトルを用いて張ることが出来るので 全てのベクトルに対するAの動作が判ったことになる。 例えば、 (2 0) = (1 1) + (1 -1) を用いれば、 A(2 0) = A((1 1) + (1 -1)) = 2(1 1) + 0 (1 -1) = (2 2) となる。 また、 <math>A^n</math> (2 0) = <math>2^n</math> (1 1) = (<math>2^n</math> <math>2^n</math>) となる。 つまり、<math>e _1</math>,<math>e _2</math>という行列を取ったときには その行列を互いに混ぜ合わせたり長さを変えたり更には向きを変えたりと 複雑なマッピングをしていたようにみえた行列が、非常に扱い易くなっている のである。このように行列が最も扱い易くなる ベクトルを探すことが、このセクションの主題である。 ====対角化の方法==== ====固有値と固有ベクトル==== 行列Aについてあるベクトルxに対して :<math> Ax = \lambda x </math> が成り立つときこれを固有ベクトルと呼ぶ。 また<math>\lambda</math>を固有値と呼ぶ。 これは先ほどでいうと、行列の動作をただの定数倍にしてしまうベクトルのことである。 このようなベクトルを見つけられると非常に都合が良い。 この方程式は実際に解くことが出来る。 値は、 :<math> (A - \lambda E) x=0 </math> となる。 ここで、 :<math> \lambda x = \lambda E x </math> となることを用いた。 (Eは単位行列。) これは一見奇異に思えるかも知れないが、元々1次方程式が要素ごとの 連立方程式だったことをふまえて、要素ごとの記述に戻って 計算しても、同じ値が得られる。 さて、この方程式は常にx=0という解を持っている。 しかし、今必要なのはx = 0という解ではなく、0でないxである。 ここで、仮に <math>A - \lambda E</math> が、 :<math> \det (A - \lambda E) \ne 0 </math> を満たすとすると、この行列はただ1つの解を持ち、 その解はx=0である。 これはこのときには <math>A - \lambda E</math>が逆行列を持つことからすぐにわかる。 よって、仮に行列Aがある0でない固有ベクトルを持つとすれば、 すくなくとも<math>\det (A- \lambda E) = 0</math> とならなければならない。 いいかえれば、そのことの必要条件は <math>\det (A- \lambda E) = 0</math> となる。 この方程式を固有方程式と呼ぶ。この方程式は <math>\lambda</math>に関するn次の代数方程式であり、 nが大きいときには一般にとじた形で解けるとは限らない。 ただし、この式は必ず複素数の範囲でn個の解を持つことが 知られている。 ==== 固有方程式の計算例 ==== 固有方程式には様々な場合がある。 例として、全ての解が単根であるときや、いくつかの重根があるときが ある。 一般に全ての解が単根であるときには、それぞれの固有値に対応する 固有ベクトルがただ1つずつ存在し、元の行列は完全に対角化 されることが知られている。このとき対角成分に 現われる数は、その固有ベクトルに対応する固有値である。 また、一般に :<math> A^\dagger A = A A^\dagger </math> を満たす行列は対角化されることが知られている。 重要な例としてユニタリ行列、エルミート行列、直交行列、対称行列などは 対角化可能である。実際物理などででてくるのは多くがこの場合であり、 特にエルミート行列の対角化は、量子力学の定式化において 重要な位置を占める。 いくつかの重根があるときには、行列は必ずしも対角化されるとは限らない。 例えば、 :<math> \begin{pmatrix} 1&0\\ 0&1 \end{pmatrix} </math> は対角化可能である、というより既に対角化されている。 しかし、 :<math> \begin{pmatrix} 1&1\\ 0&1 \end{pmatrix} </math> のような行列を対角化することは出来ない。 このような場合には一般にジョルダン標準型と呼ばれる 最も簡単な形に帰着させることが慣習的になっている。 ジョルダン標準型についてはおそらく数学の線形代数で 扱われるが、後にも少し扱う。 上の対角化できない行列は実際には既にジョルダン標準型の形になっている。 ここでは典型的な場合をいくつか解析してみる。 例えば、 :<math> A = \begin{pmatrix} 1&1\\ 1&1 \end{pmatrix} </math> では、 固有方程式は :<math> (\lambda-1)^2 -1 = 0 </math> :<math> \lambda = 0,2 </math> となる。 ここでこの固有方程式は全ての根が単根であるので、 これらの固有値にはそれぞれ1つずつの固有ベクトルが対応し、 それらによって行列が対角化されることが期待される。 実際、固有ベクトルが2本あるなら、その方向に関しては その行列が良い振舞いをするという方向が2本分かっていることになり、 そして、ここでは2次元のベクトルを考えているので、 これらの2本だけで作り得る全てのベクトルを作ることが出来るので、 元の行列が全てのベクトルについて良い振舞いをすることはある意味で 当然であると思われる。 さて、得られた固有値を もともとの式 :<math> (A -\lambda E )x = 0 </math> または、 :<math> A x = \lambda x </math> に代入することで固有ベクトルを求められる。 この操作は少しトリッキーに思えるかも知れないが、 こういうものだと思ってもらいたい。 ここでは、 <math>\lambda = 0</math>に対して、上の方程式は :<math> x _1 + x _2 = 0 </math> となる。2つの方程式が同じ方程式になることに注意。 これは、この<math>\lambda</math>に対して <math>A -\lambda E</math>の行列式が0になることからの帰結と見ることが 出来る。 この条件を満たすベクトルは全てこの固有値に関する固有ベクトルとなる。 ベクトルの長さは自由に選んで良い。 例えば、おそらく最も簡明なのは :<math> \begin{pmatrix} 1\\ -1 \end{pmatrix} </math> であり、これは<math>\lambda=0</math>に関する 固有ベクトルとなる。 実際には、ベクトルの長さを1にするために規格化を行ない、 :<math> \frac 1 {\sqrt{2}} \begin{pmatrix} 1\\ -1 \end{pmatrix} </math> としたものもよく用いられる。 <math>\lambda = 2</math> に対しては、例えば :<math> \begin{pmatrix} 1\\ 1 \end{pmatrix} </math> が得られる。 これでこの行列は全てのベクトルに対して良い振舞いを することが出来ることが分かった。 ==== 対角化が出来ない場合 ==== 先ほども述べた通り、 対角化は全ての行列について出来るとは限らない。 例えば、 :<math> \begin{pmatrix} 1&0\\ 0&1 \end{pmatrix} </math> は対角化可能であるが、 :<math> \begin{pmatrix} 1&1\\ 0&1 \end{pmatrix} </math> は対角化不可能である。 問題は、 固有値<math>\lambda</math>が重解を持ったとき 固有ベクトルの張るベクトルの次元が 充分な自由度を持たないことがありうるということにある。 この問題では、固有ベクトルをきめる 方程式は、<math>x_2 = 0 </math>に帰着するが、これを満たすベクトルは (a 0) (aは任意の定数)であり、1次元でしか無い。 そのため、固有ベクトルが充分な数だけとれないということになっている。 このような場合は対角化は原理的に不可能なのである。 このときには、代わりにジョルダン標準型という形式が使われることが 多い。 ===2次形式=== ここでは行列の対角化の応用として、2次形式の計算を扱う。 実際の計算では2次式の計算を扱うことが良くある。 例えば、2次元の放物線型ポテンシャルを考えるとき、ある方向を取ることで 放物線が非常に簡単に見えることがある。そのようなことのために 行列の対角化の計算が使われるのである。 一般にn*n個の文字<math>x _1, \cdots x _n</math>を用いて書かれる2次式は、 :<math> {}^{t}{x} A x </math> の形で書ける。ただし、A,xともに実数しか取り得ないものとする。 ここで、便宜上Aは対称な行列とする。 例えば、 <math>x^2 + xy + y^2</math> に対しては、 :<math> A = \begin{pmatrix} 1&1/2\\ 1/2&1 \end{pmatrix} </math> と選べばよい。このように、うまく数値を選ぶことで、2次形式の 行列は必ず対称に選べる。 対称行列の対角化を用いると、 ある直交行列Oを用いて、 :<math> {}^t{x} A x = ^t {x} O^t B O x </math> と書ける。ここでBは対角行列である。 Ox = y と定義することで、 :<math> {}^t{x} A x = \sum _{i=1}^n \lambda _i y _i^2 </math> が得られる。 右辺の形を2次形式の標準型と呼ぶ。 例えば、 2つの2次形式 <math>x^2 - y^2</math> と、<math>2xy</math>は、同一の標準型をもつ。 直交行列Oは、 :<math> \begin{pmatrix} \cos \pi/4&-\sin \pi/4\\ \sin \pi/4&\cos \pi/4 \end{pmatrix} </math> また、 <math>x^2 - y^2 = 1</math> のグラフは、 2xy = 1 のグラフを <math>\pi/4</math>回転させてみたものに 等しいこともこれに対応する。 結局<math>2xy</math>を見るときにはグラフを傾けてみるのが分かりやすく解析する のに良い方法であり、そのよい方法は、実は行列の対角化と対応していた ということである。 {{DEFAULTSORT:せんけいだいすう}} [[カテゴリ:線形代数学]]
2005-06-24T10:35:36Z
2024-03-15T18:10:34Z
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ドイツ語 Deutscher Text 1
Frank ist ein Münchner. Heute fährt er Rad, denn Radfahren macht ihm Spaß. Frank fährt nach Augsburg. In Fürstenfeldbruck trifft Frank eine Frau. Die Frau fährt auch Rad. "Wie heißen Sie?" fragt Frank. "Ich heiße Maria" sagt die Frau. "Fahren Sie auch nach Augsburg?" fragt Frank. "Nein, ich fahre zum Tennisplatz. Ich spiele Tennis." "Ohh, Tennis ist schwer!" "Aber nein! Tennis spielen macht Spaß. Tennis ist einfach!" Frank fährt weiter. "Auf Wiedersehen" ruft er. "Auf Wiedersehen" sagt die Frau. Frank fährt nach Mering. In Mering bekommt Frank Hunger. Frank isst ein Brot mit Käse und ein Brot mit Wurst. Das Brot ist alt und hart. Aber der Käse ist weich und die Wurst ist frisch. Die Brote sind lecker! Frank hat auch Durst. Er trinkt ein Bier und isst Obst. Das Obst ist sauer. Frank fährt weiter. In Augsburg besucht er seine Freundin Martina. Martina wohnt in Augsburg. Sie ist Studentin. Martina studiert Japanisch. Sie sagt zu Frank: "Konban wa!" Frank freut sich.
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[[画像:Deutschertext1.ogg|レコード (正常な速度)]] [[画像:Deutschertext1l.ogg|レコード (遅い速度)]] ==Frank fährt nach Augsburg== [[Image:Munich_skyline.jpg|thumb|left|250px|München]] Frank ist ein Münchner. Heute fährt er Rad, denn Radfahren macht ihm Spaß. Frank fährt nach Augsburg. [[Image:Daniela_Hantuchova.jpg|right|thumb|120px|Maria spielt Tennis.]] In Fürstenfeldbruck trifft Frank eine Frau. Die Frau fährt auch Rad. "Wie heißen Sie?" fragt Frank. "Ich heiße Maria" sagt die Frau. "Fahren Sie auch nach Augsburg?" fragt Frank. "Nein, ich fahre zum Tennisplatz. Ich spiele Tennis." "Ohh, Tennis ist schwer!" "Aber nein! Tennis spielen macht Spaß. Tennis ist einfach!" Frank fährt weiter. "Auf Wiedersehen" ruft er. "Auf Wiedersehen" sagt die Frau. Frank fährt nach Mering. In Mering bekommt Frank Hunger. Frank isst ein Brot mit Käse und ein Brot mit Wurst. Das Brot ist alt und hart. Aber der Käse ist weich und die Wurst ist frisch. Die Brote sind lecker! [[Image:Beer_wuerzburger_hofbraue_v.jpg|thumb|left|100px|Das Bier ist lecker!]] [[Image:Orange-fruit-2.jpg|thumb|right|80px|Eine Orange (Obst)]] Frank hat auch Durst. Er trinkt ein Bier und isst Obst. Das Obst ist sauer. Frank fährt weiter. In Augsburg besucht er seine Freundin Martina. Martina wohnt in Augsburg. Sie ist Studentin. Martina studiert Japanisch. Sie sagt zu Frank: "Konban wa!" Frank freut sich. [[Image:0504-augsburg-stulrichstafra.jpg|thumb|right|250px|Augsburg]] [[Category:ドイツ語 初級|T 1]]
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2006-12-03T16:13:17Z
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ドイツ語 Deutscher Text 2
Melanie hat Geburtstag und Manfred möchte ihr ein Geschenk kaufen. Manfred geht in einen Laden. Im Laden ist ein Mann. Manfred grüßt den Mann und der Mann grüßt Manfred. Im Laden ist ein Regal. In diesem Regal ist ein Pullover und ein lederner Hut. Der Pullover ist gelb. Manfred gefällt der Pullover nicht. Der lederne Hut ist grau und blau. Melanie mag lederne Hüte. In jenem Regal ist eine Sonnenbrille. Die Sonnenbrille gefällt Manfred. Manfred überlegt. Die Aufgabe ist schwer. Der Hut oder die Sonnenbrille? Der Mann gibt Manfred ein altes Foto. Auf dem Foto ist ein kleines Kind und ein großer Kuchen. Das Kind isst den Kuchen und trägt einen ledernen Hut und eine Sonnenbrille. Manfred gefällt das Foto sehr. Er kauft das Foto für Melanie.
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==Manfred kauft ein Geschenk== [[Image:Bredevoort_008.jpg|thumb|right|150px|Ein Laden]] Melanie hat Geburtstag und Manfred möchte ihr ein Geschenk kaufen. Manfred geht in einen Laden. Im Laden ist ein Mann. Manfred grüßt den Mann und der Mann grüßt Manfred. Im Laden ist ein Regal. In diesem Regal ist ein Pullover und ein lederner Hut. Der Pullover ist gelb. Manfred gefällt der Pullover nicht. Der lederne Hut ist grau und blau. Melanie mag lederne Hüte. [[Image:Sunglasses.jpg|thumb|left|100px|eine Sonnenbrille]] In jenem Regal ist eine Sonnenbrille. Die Sonnenbrille gefällt Manfred. Manfred überlegt. Die Aufgabe ist schwer. Der Hut oder die Sonnenbrille? Der Mann gibt Manfred ein altes Foto. Auf dem Foto ist ein kleines Kind und ein großer Kuchen. Das Kind isst den Kuchen und trägt einen ledernen Hut und eine Sonnenbrille. Manfred gefällt das Foto sehr. Er kauft das Foto für Melanie. [[Category:ドイツ語 初級|T 2]]
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ドイツ語 Deutscher Text 3
Frau Huber geht zum Einkaufen auf den Markt. Frau Huber möchte Gemüse und Obst einkaufen. Der Markt ist direkt neben der Bibliothek. Der Verkäufer lacht. Frau Huber gibt dem Verkäufer zehn Euro und der Verkäufer gibt Frau Huber zwei Euro zurück.
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "Frau Huber geht zum Einkaufen auf den Markt. Frau Huber möchte Gemüse und Obst einkaufen. Der Markt ist direkt neben der Bibliothek.", "title": "Wie viel kostet das?" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "Der Verkäufer lacht.", "title": "Wie viel kostet das?" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "Frau Huber gibt dem Verkäufer zehn Euro und der Verkäufer gibt Frau Huber zwei Euro zurück.", "title": "Wie viel kostet das?" } ]
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==Wie viel kostet das?== [[Image:Market in Cambodia.jpg|thumb|right|150px|ein Markt]] Frau Huber geht zum Einkaufen auf den Markt. Frau Huber möchte Gemüse und Obst einkaufen. Der Markt ist direkt neben der Bibliothek. :Der Verkäufer: "Einen schönen guten Morgen! Was möchten Sie kaufen?" :Frau Huber: "Guten Morgen! Bitte geben Sie mir zwei Kilo Kartoffeln und ein Kilo Zwiebeln." :Der Verkäufer: "Welche Zwiebeln wollen Sie? Ich habe große und kleine Zwiebeln." :Frau Huber: "Hmm. Geben Sie mir ein halbes Kilo große Zwiebeln und ein halbes Kilo kleine Zwiebeln." :Der Verkäufer: "Gerne! Ein halb und ein halb macht nicht immer ein Ganzes." [[Image:KildLaughing.jpg|thumb|left|120px|Das Kind lacht.]] Der Verkäufer lacht. :Frau Huber: "Da haben Sie recht! Wo sind denn die Bohnen?" :Der Verkäufer: "Die Bohnen sind dort drüben. Möchten Sie lieber grüne Bohnen oder gelbe?" [[Image:Carotte.JPG|thumb|right|80px|eine Karotte]] [[Image:Tomaten im Supermarktregal.jpg|thumb|right|80px|Tomaten]] :Frau Huber: "Geben Sie mir ein Kilo grüne Bohnen. Und dann möchte ich noch fünf Karotten und sechs Tomaten." [[Image:PearPhoto.jpg|thumb|left|100px|eine Birne]] :Der Verkäufer: "Hier, probieren Sie mal unsere Birnen." :Frau Huber: "Oh, sind die lecker. Geben Sie mir zweieinhalb (=2 1/2) Kilo. Wieviel kostet das?" :Der Verkäufer: "Zwei Kilo Kartoffeln, ein Kilo Zwiebeln halb und halb, ein Kilo grüne Bohnen, fünf Karotten, sechs Tomaten und zweieinhalb Kilo Birnen. Das macht acht Euro." Frau Huber gibt dem Verkäufer zehn Euro und der Verkäufer gibt Frau Huber zwei Euro zurück. :Der Verkäufer: "Vielen Dank." :Frau Huber: "Auf Wiedersehen." [[Category:ドイツ語 初級|T 3]]
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2006-12-03T16:03:52Z
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日本史/索引
このページ (日本史/索引) は、索引です。が、まだ完成していないため、小学校社会/6学年/歴史編/人物事典などを参照。編集も大歓迎です。 ここまで日本史の教科書を読んでいて、分からない、もしくは知らない単語に出くわしたことはありませんか。このページでは、そんな疑問を解決できるよう、出自を明確にして語彙の解説を行います。 すべて読み順に並んでいますので、行ごとの節を以下から選択してください。 以下の節から、目的の語彙がありそうなカテゴリーを選択してください。 その単語を見つけたページを、以下から選択してください。 羽柴秀吉に仕え、秀吉死後の豊臣家の重臣として関ヶ原の戦いで西軍の事実上の大将となる。 日中戦争期の日本の首相。日本軍の強さを過大評価し、戦争に協力的だった。 日中戦争の開戦当時の名前。「戦争」と名付けた場合、他国から貿易などを制限されることがあるため。 日中戦争において、拡大方針から、精霊線を超える行軍を指示し、南京大虐殺を実行させた。
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2020-08-01T15:42:58Z
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物理数学I ベクトル解析
物理数学I > ベクトル解析 ここでは、ベクトル解析について解説を行なう。 ベクトル解析は、主に多変数関数の微積分と関連しているが、 特にそれらのうちには計算自体に明確な物理的意味を 持つものがいくつか見られる。歴史的にもこの分野は 数学と物理の間のフィードバックを通して発展して来た。 そのため、計算においては物理的な意味を強調していきたい。 また、特にいくつかの定理は数学的に厳密な証明をすることが 難しい。その様なときには常識的に古典的な物理学の範囲で 起こる現象で適用できる程度に、一般的に 書くことにしたいと思う。 また、現代的にはこの分野は微分形式を用いて書かれることが多いが、 ここではまず最初に古典的な計算法を扱う。 これは、特に物理を専攻としない学習者に配慮するためである。 例えば、電気技術者や機械技術者もベクトル解析は依然として学ばねば ならず、彼らに取っては微分形式の理論はそれほど有用とはいえないものと 思われる。 ベクトル解析の理論は特に電磁気学と関連が深いが、これらの結果は 流体力学や量子力学など、様々な分野で登場する物理の根幹を成す計算法であり、 学習者は十分これらの手法に習熟することが求められる。 例えば3次元ベクトルで とするとき、ある変数tについて x,y,z が、 で表わされるとき、 を、ベクトルの関数と呼ぶ。 これは、tを時間と見なすときにはある3次元空間中を 物体が動いて行く軌跡の値と見なすことが出来る。 例えば、 という軌跡を与えたとき、この値は 物体がxの方向に速度1で等速直線運動しているものとみなすことが できる。 ただし、この定義自体は3次元にとどまらず容易にn次元に拡張することが 出来る。 例えば、 のようにn次元のベクトルを取ったときに、そのうちの各要素が ある独立変数tだけに依存すると考えることが出来るとき これは、n次元空間の中の物体の軌跡と考えることが出来る。 ここでは、ベクトルの微分を定義する。 例えば、1次元においては、物体の速度は で与えられた。この値はある時間における物体の 位置の変化率という直接的な物理的意味を持っている。 これらの自然な拡張として一般的な次元において、 によって、ベクトルの微分を定義する。 例えば、1次元空間に限ったときにはこの結果は上の式と一致することが分かる。 このことによって、例えば という2次元ベクトルを取ったとき、 物体の速度のx方向成分は によって与えられ、物体の位置のx方向成分のみによることが示唆される。 同様に 物体の速度のy方向成分は 物体の位置のy方向成分のみによっている。 このことは一見当然のように思えるが、実際にはそうではなく 我々が用いている座標系によっている。 例えば、2次元の極座標を用いてみると、 と書けるが、 この式を正しく微分すると、 が得られ、速度の θ {\displaystyle \theta } 成分は、物体のr成分にも依存している。 このことは、直接的には e → r {\displaystyle {\vec {e}}_{r}} 自身が時間依存性を持っている。 我々が通常用いる(x,y,z)という座標系は 通常直交座標系と呼ばれるが、(デカルト座標系と呼ばれることも多い。) これらの座標軸の方向は時間的に変わることが無いので、 微分の性質が非常に簡単になっている。 しかし、実際にある物体の動きを記述するとき、直交座標系を用いるより、 その動きに特徴的な量をパラメーターとして用いた方が記述が簡明に なることがある。例えば、太陽のまわりを円運動する惑星の 動きを記述するには、極座標を用いると、物体の運動がもっとも簡潔に記述される。 この様に、運動の種類によって用いるべき座標系が変わって来るため、 それぞれの間の緒量の変化、つまり微分や積分の性質を調べることが重要に なる。 ここまでで一般的な微分の方法を見た。 ここでは、特に物理的に重要なベクトルの作り方を 見る。 ある関数f(x,y,z) があるものとする。 このとき、 をfの勾配と呼ぶ。 また、同様にしてn次元では によって定義される。 ここで、勾配はこの式の意味によって付けられた名前である。 例えば、 に限ってこの式を書いてみる。 このとき、 となるが、これはこの関数fのx方向の傾きに等しい。 つまり、この式は傾きを求める式の複数の方向を用いた場合への一般化と なっている。 より一般的な例として2次元の場合の 例を考えてみる。ここでは とおく。 このときこの式の勾配は簡単に計算でき、 となる。例えば、この式を (aはある定数。) について考えてみる。 このとき、勾配の値は となるが、これはxが正のとき正であり、負のときには負となっている。 つまり、この式はこの関数のx座標軸上で見たときに、 x=0を極少としたすり鉢形のグラフとなっており、更に 原点から離れれば離れるほど、グラフの傾きが増すことを示唆している。 実際この式を数値的にプロットすると、この主張が確かめられる。 プロットを作製。 次に、この式を (bはある定数。) について考えてみる。 このときにも全く同じ主張が出来、y方向に見ても このグラフはすり鉢状になっている。 また、この式を について考えてみる。このときには が得られ、この点では勾配はx軸から π / 4 {\displaystyle \pi /4} の方向を向いていることが分かる。 一般に勾配は、関数fが、最も大きな傾きで増加する方向を 向いており、その絶対値はその点でそちらへの微分を取った値に等しい。 また、ある点でのある方向への微分を求めたいときには、 求めたい方向の単位ベクトルを としたとき、 を計算することで、求めることが出来る。 勾配の計算では、全ての独立変数に対する微分を求めており、 これらの微分を組み合わせることであらゆる方向への微分を 作ることが出来ることが期待される。 微分の最も低いオーダーでは、それぞれの方向への微分は それぞれの方向の単位ベクトルにそちらの方向への微分の大きさを かけたものに等しいので、ある方向に対する微分を 計算するにはそれらを適切な方向への重みをつけて足し合わせることが 求められる。このとき、ある方向に対する単位ベクトルと ある軸の方向に対する単位ベクトルは、2つの方向の重みを表わしていると 考えられるので、確かにこの値は、そちらの方向への微分となっている。 例えば、 でのy方向の傾きは、 となるが、 これは、この関数の等高線が円形になっていることを考えると 確かにこの点ではy方向の傾きは0になっていなくてはいけない。 次には逆にあるベクトルを取ったとき、 あるスカラー量を作りだす計算を導入する。 後に示される通り、この量はある点から流れ出す 粒子や場の束の和という物理的意味を持っており、 電磁気学や流体力学で頻繁に用いられる。 実際前者では磁束や電束についての計算に用いられ、 後者では流体中のわきだしや吸い込みなどのまわりで 流体の性質を表わすベクトルがnon-zeroになることが 知られている。 あるベクトルの関数 があるとき、 を、 a → {\displaystyle {\vec {a}}} の発散と呼ぶ。 また、この量もn次元で定義することが出来、そのときの定義は、 で与えられる。 ただし a i {\displaystyle a_{i}} はベクトル a → {\displaystyle {\vec {a}}} の第i成分である。 この式の物理的意味は上で述べた通りだが、そのことの導出は ガウスの定理の導出によって与えられるため、ここでは扱わない。 ここでもう1つ、物理的に重要な演算を導入する。 この量も電磁気学や流体力学で使われており、 ある経路に沿って積分した値がその経路の中の ある量の積分によって与えられるという定理である。 実際には電磁気学では古典的にある回路を突き抜ける磁束の時間変化が 、その回路内に電流を引き起こすことがレンツの法則として知られている。 この法則は、このようなベクトルの演算によってうまく記述される現象の 例である。 流体力学では、この量は流体中に巻き起こる渦に対応している。 つまり、渦が流れるルートに沿って、流体の速度を積分していけば 0でない値が得られることが期待される。一方、そうでない場合 この値は全ての寄与が打ち消し合い、0になると思われる。 つまり、この量を用いることで、流体中の渦を記述する方法が得られるわけである。 ただし、実際には流体の運動を考えるときには渦が一切発生しないと した方が計算が簡単になることも多い。このような流れは渦無しの流れと 呼ばれ、その性質はよく知られている。 ここからはベクトルの回転の定義を述べる。 あるベクトルの関数 があるとき、 を の回転と呼ぶ。 ここでは、ベクトル解析の公式を証明する。これらの公式はベクトルを成分表示して単純に計算することでも証明できるが、この方法ではあまりにも煩雑になってしまうためレヴィ・チヴィタ記号を導入して証明する。 クロネッカーのデルタ δ i j {\displaystyle \delta _{ij}} を で定義する。 レヴィ・チヴィタ記号 ε i j k {\displaystyle \varepsilon _{ijk}} を と定義する。すなわち、置換 σ = ( 1 2 3 i j k ) {\displaystyle \sigma ={\begin{pmatrix}1&2&3\\i&j&k\end{pmatrix}}} (ただし i , j , k {\displaystyle i,j,k} は互いに異なる)が偶置換のとき、 ε i j k = 1 {\displaystyle \varepsilon _{ijk}=1} 、奇置換のとき ε i j k = − 1 {\displaystyle \varepsilon _{ijk}=-1} である。また、レヴィ・チヴィタ記号 ε i j k {\displaystyle \varepsilon _{ijk}} は ε 123 = 1 {\displaystyle \varepsilon _{123}=1} であり、2つの添字を入れ替えると -1 倍される(反対称)もの (e.g. ε 213 = − ε 123 = − 1 , ε 231 = − ε 213 = 1 {\displaystyle \varepsilon _{213}=-\varepsilon _{123}=-1,\,\varepsilon _{231}=-\varepsilon _{213}=1} )と理解できる。添字に同じ数字があるときはレヴィ・チヴィタ記号は 0 である(e.g. ε 111 = 0 , ε 322 = 0 {\displaystyle \varepsilon _{111}=0,\,\varepsilon _{322}=0} )。 基本ベクトル e i {\displaystyle {\boldsymbol {e}}_{i}} を e i = ( δ 1 i δ 2 i δ 3 i ) {\displaystyle {\boldsymbol {e}}_{i}={\begin{pmatrix}\delta _{1i}\\\delta _{2i}\\\delta _{3i}\end{pmatrix}}} とする。すなわち、 e 1 = ( 1 0 0 ) , e 2 = ( 0 1 0 ) , e 3 = ( 0 0 1 ) {\displaystyle {\boldsymbol {e}}_{1}={\begin{pmatrix}1\\0\\0\end{pmatrix}},{\boldsymbol {e}}_{2}={\begin{pmatrix}0\\1\\0\end{pmatrix}},{\boldsymbol {e}}_{3}={\begin{pmatrix}0\\0\\1\end{pmatrix}}} である。 ∇ = ( ∂ ∂ x ∂ ∂ y ∂ ∂ z ) {\displaystyle \nabla ={\begin{pmatrix}{\frac {\partial }{\partial x}}\\{\frac {\partial }{\partial y}}\\{\frac {\partial }{\partial z}}\end{pmatrix}}} をナブラという。 ナブラを通常のベクトル演算と同じように扱うと、grad,div,rotは簡単に と書くことが出来る。 ベクトルの成分に微分演算子が入っていることにびっくりするかもしれないが、形式的なものだと思っても良い。 Δ := ∇ ⋅ ∇ = ∂ 2 ∂ x 2 + ∂ 2 ∂ y 2 + ∂ 2 ∂ z 2 {\displaystyle \Delta :=\nabla \cdot \nabla ={\frac {\partial ^{2}}{\partial x^{2}}}+{\frac {\partial ^{2}}{\partial y^{2}}}+{\frac {\partial ^{2}}{\partial z^{2}}}} をラプラシアンという。スカラー関数 f {\displaystyle f} について Δ f = ∂ 2 f ∂ x 2 + ∂ 2 f ∂ y 2 + ∂ 2 f ∂ z 2 {\displaystyle \Delta f={\frac {\partial ^{2}f}{\partial x^{2}}}+{\frac {\partial ^{2}f}{\partial y^{2}}}+{\frac {\partial ^{2}f}{\partial z^{2}}}} であり、ベクトル関数 A {\displaystyle {\boldsymbol {A}}} について Δ A = ( ∂ 2 A x ∂ x 2 + ∂ 2 A x ∂ y 2 + ∂ 2 A x ∂ z 2 ∂ 2 A y ∂ x 2 + ∂ 2 A y ∂ y 2 + ∂ 2 A y ∂ z 2 ∂ 2 A z ∂ x 2 + ∂ 2 A z ∂ y 2 + ∂ 2 A z ∂ z 2 ) {\displaystyle \Delta {\boldsymbol {A}}={\begin{pmatrix}{\frac {\partial ^{2}A_{x}}{\partial x^{2}}}+{\frac {\partial ^{2}A_{x}}{\partial y^{2}}}+{\frac {\partial ^{2}A_{x}}{\partial z^{2}}}\\{\frac {\partial ^{2}A_{y}}{\partial x^{2}}}+{\frac {\partial ^{2}A_{y}}{\partial y^{2}}}+{\frac {\partial ^{2}A_{y}}{\partial z^{2}}}\\{\frac {\partial ^{2}A_{z}}{\partial x^{2}}}+{\frac {\partial ^{2}A_{z}}{\partial y^{2}}}+{\frac {\partial ^{2}A_{z}}{\partial z^{2}}}\end{pmatrix}}} である。 以下では、簡単のためにベクトル A {\displaystyle {\boldsymbol {A}}} の x {\displaystyle x} 成分 A x {\displaystyle A_{x}} を A 1 {\displaystyle A_{1}} 、 y {\displaystyle y} 成分 A y {\displaystyle A_{y}} を A 2 {\displaystyle A_{2}} 、 z {\displaystyle z} 成分 A z {\displaystyle A_{z}} を A 3 {\displaystyle A_{3}} と書く。偏微分についても ∂ ∂ x = ∂ x = ∂ 1 {\displaystyle {\frac {\partial }{\partial x}}=\partial _{x}=\partial _{1}} などとする。ベクトル A {\displaystyle {\boldsymbol {A}}} の 第i成分 A i {\displaystyle A_{i}} を [ A ] i {\displaystyle [{\boldsymbol {A}}]_{i}} と書く。 ベクトルの外積 A × B {\displaystyle {\boldsymbol {A}}\times {\boldsymbol {B}}} の第i成分 [ A × B ] i {\displaystyle [{\boldsymbol {A}}\times {\boldsymbol {B}}]_{i}} は [ A × B ] i = ∑ j , k ε i j k A j B k {\displaystyle [{\boldsymbol {A}}\times {\boldsymbol {B}}]_{i}=\sum _{j,k}\varepsilon _{ijk}A_{j}B_{k}} と書ける。ここで Σ {\displaystyle \Sigma } の添字はそれぞれ1から3までの整数値を動くものとする。この規約は以下の文章にも適用する。 実際に、展開して確認すると、 ∑ j , k ε 1 j k A j B k = ε 123 A 2 B 3 + ε 132 A 3 B 2 = A 2 B 3 − A 3 B 2 = [ A × B ] 1 {\displaystyle {\begin{aligned}\sum _{j,k}\varepsilon _{1jk}A_{j}B_{k}&=\varepsilon _{123}A_{2}B_{3}+\varepsilon _{132}A_{3}B_{2}\\&=A_{2}B_{3}-A_{3}B_{2}\\&=[{\boldsymbol {A}}\times {\boldsymbol {B}}]_{1}\end{aligned}}} ∑ j , k ε 2 j k A j B k = ε 213 A 1 B 3 + ε 231 A 3 B 1 = A 3 B 1 − A 1 B 3 = [ A × B ] 2 {\displaystyle {\begin{aligned}\sum _{j,k}\varepsilon _{2jk}A_{j}B_{k}&=\varepsilon _{213}A_{1}B_{3}+\varepsilon _{231}A_{3}B_{1}\\&=A_{3}B_{1}-A_{1}B_{3}\\&=[{\boldsymbol {A}}\times {\boldsymbol {B}}]_{2}\end{aligned}}} ∑ j , k ε 3 j k A j B k = ε 312 A 1 B 2 + ε 321 A 2 B 1 = A 1 B 2 − A 2 B 1 = [ A × B ] 3 {\displaystyle {\begin{aligned}\sum _{j,k}\varepsilon _{3jk}A_{j}B_{k}&=\varepsilon _{312}A_{1}B_{2}+\varepsilon _{321}A_{2}B_{1}\\&=A_{1}B_{2}-A_{2}B_{1}\\&=[{\boldsymbol {A}}\times {\boldsymbol {B}}]_{3}\end{aligned}}} となる。上の式において、 ∑ j , k ε 1 j k A j B k {\displaystyle \sum _{j,k}\varepsilon _{1jk}A_{j}B_{k}} を展開すると9つの項が出てくるが、その内の7つの ε 1 j k {\displaystyle \varepsilon _{1jk}} が0となるため、2つの項だけが残る。すなわち、 j = 2 , j = 3 {\displaystyle j=2,j=3} に対応する項(対応する k {\displaystyle k} は { 1 , 2 , 3 } {\displaystyle \{1,2,3\}} のうち1でも j {\displaystyle j} でもないもの)、 ε 123 , ε 132 {\displaystyle \varepsilon _{123},\varepsilon _{132}} の項のみが残る。 ε 2 j k , ε 3 j k {\displaystyle \varepsilon _{2jk},\varepsilon _{3jk}} についても同様である。 定理 ε i j k = | e i e j e k | = e i ⋅ ( e j × e k ) = | δ 1 i δ 1 j δ 1 k δ 2 i δ 2 j δ 2 k δ 3 i δ 3 j δ 3 k | {\displaystyle \varepsilon _{ijk}=|{\boldsymbol {e}}_{i}\,{\boldsymbol {e}}_{j}\,{\boldsymbol {e}}_{k}|={\boldsymbol {e}}_{i}\cdot ({\boldsymbol {e}}_{j}\times {\boldsymbol {e}}_{k})={\begin{vmatrix}\delta _{1i}&\delta _{1j}&\delta _{1k}\\\delta _{2i}&\delta _{2j}&\delta _{2k}\\\delta _{3i}&\delta _{3j}&\delta _{3k}\end{vmatrix}}} が成り立つ。 証明 | e 1 e 2 e 3 | = | 1 0 0 0 1 0 0 0 1 | = 1 = ε 123 {\displaystyle |{\boldsymbol {e}}_{1}\,{\boldsymbol {e}}_{2}\,{\boldsymbol {e}}_{3}|={\begin{vmatrix}1&0&0\\0&1&0\\0&0&1\end{vmatrix}}=1=\varepsilon _{123}} である。 これと、行列式の性質より、 | e i e j e k | {\displaystyle |{\boldsymbol {e}}_{i}\,{\boldsymbol {e}}_{j}\,{\boldsymbol {e}}_{k}|} は反対称であることから、 ε i j k = | e i e j e k | {\displaystyle \varepsilon _{ijk}=|{\boldsymbol {e}}_{i}\,{\boldsymbol {e}}_{j}\,{\boldsymbol {e}}_{k}|} を得る。 | e i e j e k | = e i ⋅ ( e j × e k ) {\displaystyle |{\boldsymbol {e}}_{i}\,{\boldsymbol {e}}_{j}\,{\boldsymbol {e}}_{k}|={\boldsymbol {e}}_{i}\cdot ({\boldsymbol {e}}_{j}\times {\boldsymbol {e}}_{k})} については直接計算すればよい。 基本ベクトルの定義 e i = ( δ 1 i δ 2 i δ 3 i ) {\displaystyle {\boldsymbol {e}}_{i}={\begin{pmatrix}\delta _{1i}\\\delta _{2i}\\\delta _{3i}\end{pmatrix}}} を代入して、 | e i e j e k | = | δ 1 i δ 1 j δ 1 k δ 2 i δ 2 j δ 2 k δ 3 i δ 3 j δ 3 k | {\displaystyle |{\boldsymbol {e}}_{i}\,{\boldsymbol {e}}_{j}\,{\boldsymbol {e}}_{k}|={\begin{vmatrix}\delta _{1i}&\delta _{1j}&\delta _{1k}\\\delta _{2i}&\delta _{2j}&\delta _{2k}\\\delta _{3i}&\delta _{3j}&\delta _{3k}\end{vmatrix}}} を得る。 定理 ε i j k ε l m n = | δ i l δ i m δ i n δ j l δ j m δ j n δ k l δ k m δ k n | = δ i l ( δ j m δ k n − δ j n δ k m ) + δ i m ( δ j n δ k l − δ j l δ k n ) + δ i n ( δ j l δ k m − δ j m δ k l ) {\displaystyle \varepsilon _{ijk}\varepsilon _{lmn}={\begin{vmatrix}\delta _{il}&\delta _{im}&\delta _{in}\\\delta _{jl}&\delta _{jm}&\delta _{jn}\\\delta _{kl}&\delta _{km}&\delta _{kn}\end{vmatrix}}=\delta _{il}\left(\delta _{jm}\delta _{kn}-\delta _{jn}\delta _{km}\right)+\delta _{im}\left(\delta _{jn}\delta _{kl}-\delta _{jl}\delta _{kn}\right)+\delta _{in}\left(\delta _{jl}\delta _{km}-\delta _{jm}\delta _{kl}\right)} である。 証明 ε i j k = | e i e j e k | , ε l m n = | e l e m e n | {\displaystyle \varepsilon _{ijk}=|{\boldsymbol {e}}_{i}\,{\boldsymbol {e}}_{j}\,{\boldsymbol {e}}_{k}|,\,\varepsilon _{lmn}=|{\boldsymbol {e}}_{l}\,{\boldsymbol {e}}_{m}\,{\boldsymbol {e}}_{n}|} より ε i j k ε l m n = | e i e j e k | | e l e m e n | = | e i T e j T e k T | | e l e m e n | = | e i T e l e i T e m e i T e n e j T e l e j T e m e j T e n e k T e l e k T e m e k T e n | = | δ i l δ i m δ i n δ j l δ j m δ j n δ k l δ k m δ k n | . {\displaystyle \varepsilon _{ijk}\varepsilon _{lmn}=|{\boldsymbol {e}}_{i}\,{\boldsymbol {e}}_{j}\,{\boldsymbol {e}}_{k}||{\boldsymbol {e}}_{l}\,{\boldsymbol {e}}_{m}\,{\boldsymbol {e}}_{n}|={\begin{vmatrix}{\boldsymbol {e}}_{i}^{T}\\{\boldsymbol {e}}_{j}^{T}\\{\boldsymbol {e}}_{k}^{T}\end{vmatrix}}|{\boldsymbol {e}}_{l}\,{\boldsymbol {e}}_{m}\,{\boldsymbol {e}}_{n}|={\begin{vmatrix}{\boldsymbol {e}}_{i}^{T}{\boldsymbol {e}}_{l}&{\boldsymbol {e}}_{i}^{T}{\boldsymbol {e}}_{m}&{\boldsymbol {e}}_{i}^{T}{\boldsymbol {e}}_{n}\\{\boldsymbol {e}}_{j}^{T}{\boldsymbol {e}}_{l}&{\boldsymbol {e}}_{j}^{T}{\boldsymbol {e}}_{m}&{\boldsymbol {e}}_{j}^{T}{\boldsymbol {e}}_{n}\\{\boldsymbol {e}}_{k}^{T}{\boldsymbol {e}}_{l}&{\boldsymbol {e}}_{k}^{T}{\boldsymbol {e}}_{m}&{\boldsymbol {e}}_{k}^{T}{\boldsymbol {e}}_{n}\end{vmatrix}}={\begin{vmatrix}\delta _{il}&\delta _{im}&\delta _{in}\\\delta _{jl}&\delta _{jm}&\delta _{jn}\\\delta _{kl}&\delta _{km}&\delta _{kn}\end{vmatrix}}.} また、 余因子展開をして、 | δ i l δ i m δ i n δ j l δ j m δ j n δ k l δ k m δ k n | = δ i l ( δ j m δ k n − δ j n δ k m ) + δ i m ( δ j n δ k l − δ j l δ k n ) + δ i n ( δ j l δ k m − δ j m δ k l ) {\displaystyle {\begin{vmatrix}\delta _{il}&\delta _{im}&\delta _{in}\\\delta _{jl}&\delta _{jm}&\delta _{jn}\\\delta _{kl}&\delta _{km}&\delta _{kn}\end{vmatrix}}=\delta _{il}\left(\delta _{jm}\delta _{kn}-\delta _{jn}\delta _{km}\right)+\delta _{im}\left(\delta _{jn}\delta _{kl}-\delta _{jl}\delta _{kn}\right)+\delta _{in}\left(\delta _{jl}\delta _{km}-\delta _{jm}\delta _{kl}\right)} を得る。 定理 が成り立つ。ここでも ∑ {\displaystyle \sum } のそれぞれの添字は1,2,3を歩くという規約を採用している。 証明 ε i j k ε i l m = | 1 δ i l δ i m δ j i δ j l δ j m δ k i δ k l δ k m | = ( δ j l δ k m − δ j m δ k l ) − δ i l ( δ j i δ k m − δ j m δ k i ) + δ i m ( δ j i δ k l − δ j l δ k i ) {\displaystyle \varepsilon _{ijk}\varepsilon _{ilm}={\begin{vmatrix}1&\delta _{il}&\delta _{im}\\\delta _{ji}&\delta _{jl}&\delta _{jm}\\\delta _{ki}&\delta _{kl}&\delta _{km}\end{vmatrix}}=(\delta _{jl}\delta _{km}-\delta _{jm}\delta _{kl})-\delta _{il}(\delta _{ji}\delta _{km}-\delta _{jm}\delta _{ki})+\delta _{im}(\delta _{ji}\delta _{kl}-\delta _{jl}\delta _{ki})} より ∑ i ε i j k ε i l m = ∑ i [ ( δ j l δ k m − δ j m δ k l ) − δ i l ( δ j i δ k m − δ j m δ k i ) + δ i m ( δ j i δ k l − δ j l δ k i ) ] = 3 ( δ j l δ k m − δ j m δ k l ) − ( δ j l δ k m − δ j m δ k l ) + ( δ j m δ k l − δ j l δ k m ) = δ j l δ k m − δ j m δ k l {\displaystyle {\begin{aligned}\sum _{i}\varepsilon _{ijk}\varepsilon _{ilm}&=\sum _{i}[(\delta _{jl}\delta _{km}-\delta _{jm}\delta _{kl})-\delta _{il}(\delta _{ji}\delta _{km}-\delta _{jm}\delta _{ki})+\delta _{im}(\delta _{ji}\delta _{kl}-\delta _{jl}\delta _{ki})]\\&=3(\delta _{jl}\delta _{km}-\delta _{jm}\delta _{kl})-(\delta _{jl}\delta _{km}-\delta _{jm}\delta _{kl})+(\delta _{jm}\delta _{kl}-\delta _{jl}\delta _{km})\\&=\delta _{jl}\delta _{km}-\delta _{jm}\delta _{kl}\end{aligned}}} ∑ i , j ε i j k ε i j l = ∑ j ∑ i ε i j k ε i j l = ∑ j ( δ j j δ k l − δ j l δ k j ) = 3 δ k l − δ k l = 2 δ k l {\displaystyle \sum _{i,j}\varepsilon _{ijk}\varepsilon _{ijl}=\sum _{j}\sum _{i}\varepsilon _{ijk}\varepsilon _{ijl}=\sum _{j}(\delta _{jj}\delta _{kl}-\delta _{jl}\delta _{kj})=3\delta _{kl}-\delta _{kl}=2\delta _{kl}} ∑ i , j , k ε i j k ε i j k = ∑ k ∑ i , j ε i j k ε i j k = ∑ k 2 δ k k = 6 {\displaystyle \sum _{i,j,k}\varepsilon _{ijk}\varepsilon _{ijk}=\sum _{k}\sum _{i,j}\varepsilon _{ijk}\varepsilon _{ijk}=\sum _{k}2\delta _{kk}=6} 定理 次の式が成り立つ。 証明 スカラー三重積の証明 A ⋅ ( B × C ) = ∑ i A i [ B × C ] i = ∑ i , j , k ε i j k A i B j C k . B ⋅ ( C × A ) = ∑ j B j [ C × A ] j = ∑ i , j , k B j ε j k i C k A i = ∑ i , j , k ε i j k A i B j C k . C ⋅ ( A × B ) = ∑ k C k [ A × B ] k = ∑ i , j , k C k ε k i j A i B j = ∑ i , j , k ε i j k A i B j C k . {\displaystyle {\begin{aligned}{\boldsymbol {A}}\cdot ({\boldsymbol {B}}\times {\boldsymbol {C}})&=\sum _{i}A_{i}[{\boldsymbol {B}}\times {\boldsymbol {C}}]_{i}\\&=\sum _{i,j,k}\varepsilon _{ijk}A_{i}B_{j}C_{k}.\\{\boldsymbol {B}}\cdot ({\boldsymbol {C}}\times {\boldsymbol {A}})&=\sum _{j}B_{j}[{\boldsymbol {C}}\times {\boldsymbol {A}}]_{j}\\&=\sum _{i,j,k}B_{j}\varepsilon _{jki}C_{k}A_{i}\\&=\sum _{i,j,k}\varepsilon _{ijk}A_{i}B_{j}C_{k}.\\{\boldsymbol {C}}\cdot ({\boldsymbol {A}}\times {\boldsymbol {B}})&=\sum _{k}C_{k}[{\boldsymbol {A}}\times {\boldsymbol {B}}]_{k}\\&=\sum _{i,j,k}C_{k}\varepsilon _{kij}A_{i}B_{j}\\&=\sum _{i,j,k}\varepsilon _{ijk}A_{i}B_{j}C_{k}.\end{aligned}}} ベクトル三重積の証明 [ A × ( B × C ) ] i = ∑ j , k ε i j k A j [ B × C ] k = ∑ j , k , l , m ε i j k A j ε k l m B l C m = − ∑ j , k , l , m ε k j i ε k l m A j B l C m = − ∑ j , l , m ( δ j l δ i m − δ j m δ i l ) A j B l C m = ∑ j , l , m δ j m δ i l A j B l C m − ∑ j , l , m δ j l δ i m A j B l C m = ∑ j A j B i C j − ∑ j A j B j C i = ( A ⋅ C ) B i − ( A ⋅ B ) C i {\displaystyle {\begin{aligned}{[}{\boldsymbol {A}}\times ({\boldsymbol {B}}\times {\boldsymbol {C}})]_{i}&=\sum _{j,k}\varepsilon _{ijk}A_{j}[{\boldsymbol {B}}\times {\boldsymbol {C}}]_{k}\\&=\sum _{j,k,l,m}\varepsilon _{ijk}A_{j}\varepsilon _{klm}B_{l}C_{m}\\&=-\sum _{j,k,l,m}\varepsilon _{kji}\varepsilon _{klm}A_{j}B_{l}C_{m}\\&=-\sum _{j,l,m}(\delta _{jl}\delta _{im}-\delta _{jm}\delta _{il})A_{j}B_{l}C_{m}\\&=\sum _{j,l,m}\delta _{jm}\delta _{il}A_{j}B_{l}C_{m}-\sum _{j,l,m}\delta _{jl}\delta _{im}A_{j}B_{l}C_{m}\\&=\sum _{j}A_{j}B_{i}C_{j}-\sum _{j}A_{j}B_{j}C_{i}\\&=({\boldsymbol {A}}\cdot {\boldsymbol {C}})B_{i}-({\boldsymbol {A}}\cdot {\boldsymbol {B}})C_{i}\end{aligned}}} スカラー四重積の証明 スカラー三重積及びベクトル三重積を使うと ( A × B ) ⋅ ( C × D ) = C ⋅ [ D × ( A × B ) ] = C ⋅ [ ( D ⋅ B ) A − ( D ⋅ A ) B ] = ( A ⋅ C ) B − ( A ⋅ B ) C . {\displaystyle ({\boldsymbol {A}}\times {\boldsymbol {B}})\cdot ({\boldsymbol {C}}\times {\boldsymbol {D}})={\boldsymbol {C}}\cdot [{\boldsymbol {D}}\times ({\boldsymbol {A}}\times {\boldsymbol {B}})]={\boldsymbol {C}}\cdot [({\boldsymbol {D}}\cdot {\boldsymbol {B}}){\boldsymbol {A}}-({\boldsymbol {D}}\cdot {\boldsymbol {A}}){\boldsymbol {B}}]=({\boldsymbol {A}}\cdot {\boldsymbol {C}}){\boldsymbol {B}}-({\boldsymbol {A}}\cdot {\boldsymbol {B}}){\boldsymbol {C}}.} ベクトル四重積の証明 ベクトル三重積よりほとんど自明である。 ヤコビ恒等式の証明 ベクトル三重積の公式を代入して計算するだけである。 上の表式を用いると、複雑な微分の計算を簡便に行なうことが出来る。 定理 ∇ × ( ∇ f ) = 0 {\displaystyle \nabla \times (\nabla f)=0} ∇ ⋅ ( ∇ × A ) = 0 {\displaystyle \nabla \cdot (\nabla \times {\boldsymbol {A}})=0} が成り立つ。 証明 [ ∇ × ( ∇ f ) ] i = ∑ j , k ε i j k ∂ j [ ∇ f ] k = ∑ j , k ε i j k ∂ j ∂ k f {\displaystyle {\begin{aligned}{[\nabla \times (\nabla f)]}_{i}&=\sum _{j,k}\varepsilon _{ijk}\partial _{j}[\nabla f]_{k}\\&=\sum _{j,k}\varepsilon _{ijk}\partial _{j}\partial _{k}f\end{aligned}}} ここで、 ε i j k ∂ i ∂ j f {\displaystyle \varepsilon _{ijk}\partial _{i}\partial _{j}f} について、 i > j {\displaystyle i>j} の項は、 ε j i k ∂ j ∂ i f = − ε i j k ∂ i ∂ j f {\displaystyle \varepsilon _{jik}\partial _{j}\partial _{i}f=-\varepsilon _{ijk}\partial _{i}\partial _{j}f} と打ち消し合う( ε i j k ∂ i ∂ j f + ε j i k ∂ j ∂ i f = 0 {\displaystyle \varepsilon _{ijk}\partial _{i}\partial _{j}f+\varepsilon _{jik}\partial _{j}\partial _{i}f=0} )。 i = j {\displaystyle i=j} の項は ε i j k ∂ i ∂ j f = ε i i k ∂ i ∂ i f = 0 {\displaystyle \varepsilon _{ijk}\partial _{i}\partial _{j}f=\varepsilon _{iik}\partial _{i}\partial _{i}f=0} となるので、結局最後の式は 0 である。 すなわち、 ∇ × ( ∇ f ) = 0 {\displaystyle \nabla \times (\nabla f)=0} を得る。 ∇ ⋅ ( ∇ × A ) = ∑ i ∂ i [ ∇ × A ] i = ∑ i , j , k ∂ i ε i j k ∂ j A k = ∑ i , j , k ε i j k ∂ i ∂ j A k {\displaystyle {\begin{aligned}\nabla \cdot (\nabla \times {\boldsymbol {A}})&=\sum _{i}\partial _{i}[\nabla \times {\boldsymbol {A}}]_{i}\\&=\sum _{i,j,k}\partial _{i}\varepsilon _{ijk}\partial _{j}A_{k}\\&=\sum _{i,j,k}\varepsilon _{ijk}\partial _{i}\partial _{j}A_{k}\\\end{aligned}}} ここで、 ε i j k ∂ i ∂ j A k {\displaystyle \varepsilon _{ijk}\partial _{i}\partial _{j}A_{k}} について、 i > j {\displaystyle i>j} の項は、 ε j i k ∂ j ∂ i A k = − ε i j k ∂ i ∂ j A k {\displaystyle \varepsilon _{jik}\partial _{j}\partial _{i}A_{k}=-\varepsilon _{ijk}\partial _{i}\partial _{j}A_{k}} と打ち消し合う( ε i j k ∂ i ∂ j A k + ε j i k ∂ j ∂ i A k = 0 {\displaystyle \varepsilon _{ijk}\partial _{i}\partial _{j}A_{k}+\varepsilon _{jik}\partial _{j}\partial _{i}A_{k}=0} )。 i = j {\displaystyle i=j} の項は ε i j k ∂ i ∂ j A k = ε i i k ∂ i ∂ i A k = 0 {\displaystyle \varepsilon _{ijk}\partial _{i}\partial _{j}A_{k}=\varepsilon _{iik}\partial _{i}\partial _{i}A_{k}=0} となるので、結局最後の式は 0 である。 すなわち、 ∇ ⋅ ( ∇ × A ) = 0 {\displaystyle \nabla \cdot (\nabla \times {\boldsymbol {A}})=0} を得る。 定理 ∇ ⋅ ( A × B ) = ( ∇ × A ) ⋅ B − A ⋅ ( ∇ × B ) {\displaystyle \nabla \cdot ({\boldsymbol {A}}\times {\boldsymbol {B}})=(\nabla \times {\boldsymbol {A}})\cdot {\boldsymbol {B}}-{\boldsymbol {A}}\cdot (\nabla \times {\boldsymbol {B}})} ∇ × ( A × B ) = ( B ⋅ ∇ ) A − ( A ⋅ ∇ ) B + A ( ∇ ⋅ B ) − B ( ∇ ⋅ A ) {\displaystyle \nabla \times ({\boldsymbol {A}}\times {\boldsymbol {B}})=({\boldsymbol {B}}\cdot \nabla ){\boldsymbol {A}}-({\boldsymbol {A}}\cdot \nabla ){\boldsymbol {B}}+{\boldsymbol {A}}(\nabla \cdot {\boldsymbol {B}})-{\boldsymbol {B}}(\nabla \cdot {\boldsymbol {A}})} ∇ ( A ⋅ B ) = A × ( ∇ × B ) + B × ( ∇ × A ) + ( A ⋅ ∇ ) B + ( B ⋅ ∇ ) A {\displaystyle \nabla ({\boldsymbol {A}}\cdot {\boldsymbol {B}})={\boldsymbol {A}}\times (\nabla \times B)+{\boldsymbol {B}}\times (\nabla \times {\boldsymbol {A}})+({\boldsymbol {A}}\cdot \nabla ){\boldsymbol {B}}+({\boldsymbol {B}}\cdot \nabla ){\boldsymbol {A}}} が成り立つ。 証明 ∇ ⋅ ( A × B ) = ∑ i , j , k ∂ i ( ε i j k A j B k ) = ∑ i , j , k ε i j k ( ∂ i A j ) B k + ∑ i , j , k ε i j k A j ( ∂ i B k ) = ( ∇ × A ) ⋅ B − A ⋅ ( ∇ × B ) . {\displaystyle {\begin{aligned}\nabla \cdot ({\boldsymbol {A}}\times {\boldsymbol {B}})&=\sum _{i,j,k}\partial _{i}(\varepsilon _{ijk}A_{j}B_{k})\\&=\sum _{i,j,k}\varepsilon _{ijk}(\partial _{i}A_{j})B_{k}+\sum _{i,j,k}\varepsilon _{ijk}A_{j}(\partial _{i}B_{k})\\&=(\nabla \times {\boldsymbol {A}})\cdot {\boldsymbol {B}}-{\boldsymbol {A}}\cdot (\nabla \times {\boldsymbol {B}}).\end{aligned}}} [ ∇ × ( A × B ) ] i = ∑ j , k ε i j k ∂ j [ A × B ] k = ∑ j , k , l , m ε i j k ε k l m ∂ j ( A l B m ) = − ∑ j , k , l , m ε k j i ε k l m ∂ j ( A l B m ) = − ∑ j , l , m ( δ j l δ i m − δ j m δ i l ) ∂ j ( A l B m ) = ∑ j , l , m δ j m δ i l ∂ j ( A l B m ) − ∑ j , l , m δ j l δ i m ∂ j ( A l B m ) = ∑ j ∂ j ( A i B j ) − ∑ j ∂ j ( A j B i ) = ∑ j B j ∂ j A i + ∑ j A i ∂ j B j − ∑ j B i ∂ j A j − ∑ j A j ∂ j B i = ( B ⋅ ∇ ) A i + A i ( ∇ ⋅ B ) − ( A ⋅ ∇ ) B i − B i ( ∇ ⋅ A ) {\displaystyle {\begin{aligned}{[\nabla \times ({\boldsymbol {A}}\times {\boldsymbol {B}})}]_{i}&=\sum _{j,k}\varepsilon _{ijk}\partial _{j}[{\boldsymbol {A}}\times {\boldsymbol {B}}]_{k}\\&=\sum _{j,k,l,m}\varepsilon _{ijk}\varepsilon _{klm}\partial _{j}(A_{l}B_{m})\\&=-\sum _{j,k,l,m}\varepsilon _{kji}\varepsilon _{klm}\partial _{j}(A_{l}B_{m})\\&=-\sum _{j,l,m}(\delta _{jl}\delta _{im}-\delta _{jm}\delta _{il})\partial _{j}(A_{l}B_{m})\\&=\sum _{j,l,m}\delta _{jm}\delta _{il}\partial _{j}(A_{l}B_{m})-\sum _{j,l,m}\delta _{jl}\delta _{im}\partial _{j}(A_{l}B_{m})\\&=\sum _{j}\partial _{j}(A_{i}B_{j})-\sum _{j}\partial _{j}(A_{j}B_{i})\\&=\sum _{j}B_{j}\partial _{j}A_{i}+\sum _{j}A_{i}\partial _{j}B_{j}-\sum _{j}B_{i}\partial _{j}A_{j}-\sum _{j}A_{j}\partial _{j}B_{i}\\&=({\boldsymbol {B}}\cdot \nabla )A_{i}+A_{i}(\nabla \cdot {\boldsymbol {B}})-({\boldsymbol {A}}\cdot \nabla )B_{i}-B_{i}(\nabla \cdot {\boldsymbol {A}})\end{aligned}}} より、 ∇ × ( A × B ) = ( B ⋅ ∇ ) A − ( A ⋅ ∇ ) B + A ( ∇ ⋅ B ) − B ( ∇ ⋅ A ) {\displaystyle \nabla \times ({\boldsymbol {A}}\times {\boldsymbol {B}})=({\boldsymbol {B}}\cdot \nabla ){\boldsymbol {A}}-({\boldsymbol {A}}\cdot \nabla ){\boldsymbol {B}}+{\boldsymbol {A}}(\nabla \cdot {\boldsymbol {B}})-{\boldsymbol {B}}(\nabla \cdot {\boldsymbol {A}})} が成り立つ。 [ ∇ ( A ⋅ B ) ] i = ∑ j ∂ i ( A j B j ) = ∑ j B j ∂ i A j + ∑ j A j ∂ i B j . {\displaystyle {\begin{aligned}{[\nabla ({\boldsymbol {A}}\cdot {\boldsymbol {B}})]}_{i}&=\sum _{j}\partial _{i}(A_{j}B_{j})\\&=\sum _{j}B_{j}\partial _{i}A_{j}+\sum _{j}A_{j}\partial _{i}B_{j}.\\\end{aligned}}} ここで、 [ A × ( ∇ × B ) ] i = ∑ j A j ∂ i B j − ( A ⋅ ∇ ) B i {\displaystyle [{\boldsymbol {A}}\times (\nabla \times {\boldsymbol {B}})]_{i}=\sum _{j}A_{j}\partial _{i}B_{j}-({\boldsymbol {A}}\cdot \nabla ){\boldsymbol {B}}_{i}} が成り立つので、これを第二項に代入する。第一項についても同様の式が成り立つため、これを代入すると結局、 ∇ ( A ⋅ B ) = A × ( ∇ × B ) + B × ( ∇ × A ) + ( A ⋅ ∇ ) B + ( B ⋅ ∇ ) A {\displaystyle \nabla ({\boldsymbol {A}}\cdot {\boldsymbol {B}})={\boldsymbol {A}}\times (\nabla \times B)+{\boldsymbol {B}}\times (\nabla \times {\boldsymbol {A}})+({\boldsymbol {A}}\cdot \nabla ){\boldsymbol {B}}+({\boldsymbol {B}}\cdot \nabla ){\boldsymbol {A}}} が得られる。 定理 ∇ ⋅ ( f A ) = ∇ f ⋅ A + f ∇ ⋅ A {\displaystyle \nabla \cdot (f{\boldsymbol {A}})=\nabla f\cdot {\boldsymbol {A}}+f\nabla \cdot {\boldsymbol {A}}} ∇ × ( f A ) = ∇ f × A + f ∇ × A {\displaystyle \nabla \times (f{\boldsymbol {A}})=\nabla f\times {\boldsymbol {A}}+f\nabla \times {\boldsymbol {A}}} が成り立つ。 証明 ∇ ⋅ ( f A ) = ∑ i ∂ i ( f A i ) = ∑ i ( ∂ i f ) A i + ∑ i f ( ∂ i A i ) = ∇ f ⋅ A + f ∇ ⋅ A {\displaystyle {\begin{aligned}\nabla \cdot (f{\boldsymbol {A}})&=\sum _{i}\partial _{i}(fA_{i})\\&=\sum _{i}(\partial _{i}f)A_{i}+\sum _{i}f(\partial _{i}A_{i})\\&=\nabla f\cdot {\boldsymbol {A}}+f\nabla \cdot {\boldsymbol {A}}\end{aligned}}} [ ∇ × f A ] i = ∑ j , k ε i j k ∂ j ( f A k ) = ∑ j , k ε i j k ∂ j f A k + ∑ j , k ε i j k f ∂ j A k = [ ∇ f × A ] i + [ f ∇ × A ] i {\displaystyle {\begin{aligned}{[\nabla \times f{\boldsymbol {A}}]}_{i}&=\sum _{j,k}\varepsilon _{ijk}\partial _{j}(fA_{k})\\&=\sum _{j,k}\varepsilon _{ijk}\partial _{j}f\,A_{k}+\sum _{j,k}\varepsilon _{ijk}f\partial _{j}\,A_{k}\\&={[\nabla f\times {\boldsymbol {A}}]}_{i}+{[f\nabla \times {\boldsymbol {A}}]}_{i}\end{aligned}}} 定理 ∇ × ( ∇ × A ) = ∇ ( ∇ ⋅ A ) − Δ A {\displaystyle \nabla \times (\nabla \times {\boldsymbol {A}})=\nabla (\nabla \cdot {\boldsymbol {A}})-\Delta {\boldsymbol {A}}} が成り立つ。 証明 [ ∇ × ( ∇ × A ) ] i = ∑ j , k ε i j k ∂ j [ ∇ × A ] k = ∑ j , k , l , m ε i j k ∂ j ε k l m ∂ l A m = ∑ j , k , l , m ε k i j ε k l m ∂ j ∂ l A m = ∑ j , l , m ( δ i l δ j m − δ i m δ j l ) ∂ j ∂ l A m = ∑ j , l , m δ i l δ j m ∂ j ∂ l A m − ∑ j , l , m δ i m δ j l ∂ j ∂ l A m = ∑ j ∂ i ∂ j A j − ∑ j ∂ j ∂ j A i {\displaystyle {\begin{aligned}{[}\nabla \times (\nabla \times {\boldsymbol {A}}){]}_{i}&=\sum _{j,k}\varepsilon _{ijk}\partial _{j}[\nabla \times {\boldsymbol {A}}]_{k}\\&=\sum _{j,k,l,m}\varepsilon _{ijk}\partial _{j}\varepsilon _{klm}\partial _{l}{A}_{m}\\&=\sum _{j,k,l,m}\varepsilon _{kij}\varepsilon _{klm}\partial _{j}\partial _{l}A_{m}\\&=\sum _{j,l,m}(\delta _{il}\delta _{jm}-\delta _{im}\delta _{jl})\partial _{j}\partial _{l}A_{m}\\&=\sum _{j,l,m}\delta _{il}\delta _{jm}\partial _{j}\partial _{l}A_{m}-\sum _{j,l,m}\delta _{im}\delta _{jl}\partial _{j}\partial _{l}A_{m}\\&=\sum _{j}\partial _{i}\partial _{j}A_{j}-\sum _{j}\partial _{j}\partial _{j}A_{i}\end{aligned}}} それぞれの成分について展開すると [ ∇ × ( ∇ × A ) ] 1 = ∂ 1 ( ∂ 1 A 1 + ∂ 2 A 2 + ∂ 3 A 3 ) − ( ∂ 1 2 + ∂ 2 2 + ∂ 3 2 ) A 1 {\displaystyle {[}\nabla \times (\nabla \times {\boldsymbol {A}}){]}_{1}=\partial _{1}(\partial _{1}A_{1}+\partial _{2}A_{2}+\partial _{3}A_{3})-(\partial _{1}^{2}+\partial _{2}^{2}+\partial _{3}^{2})A_{1}} [ ∇ × ( ∇ × A ) ] 2 = ∂ 2 ( ∂ 1 A 1 + ∂ 2 A 2 + ∂ 3 A 3 ) − ( ∂ 1 2 + ∂ 2 2 + ∂ 3 2 ) A 2 {\displaystyle {[}\nabla \times (\nabla \times {\boldsymbol {A}}){]}_{2}=\partial _{2}(\partial _{1}A_{1}+\partial _{2}A_{2}+\partial _{3}A_{3})-(\partial _{1}^{2}+\partial _{2}^{2}+\partial _{3}^{2})A_{2}} [ ∇ × ( ∇ × A ) ] 3 = ∂ 3 ( ∂ 1 A 1 + ∂ 2 A 2 + ∂ 3 A 3 ) − ( ∂ 1 2 + ∂ 2 2 + ∂ 3 2 ) A 3 {\displaystyle {[}\nabla \times (\nabla \times {\boldsymbol {A}}){]}_{3}=\partial _{3}(\partial _{1}A_{1}+\partial _{2}A_{2}+\partial _{3}A_{3})-(\partial _{1}^{2}+\partial _{2}^{2}+\partial _{3}^{2})A_{3}} である。これは ∇ × ( ∇ × A ) = ∇ ( ∇ ⋅ A ) − Δ A {\displaystyle \nabla \times (\nabla \times {\boldsymbol {A}})=\nabla (\nabla \cdot {\boldsymbol {A}})-\Delta {\boldsymbol {A}}} であることを意味する。 これらの計算は、電磁気学等で頻繁に用いられるので、よく練習しておかねばならない。 定理 位置ベクトル r {\displaystyle {\boldsymbol {r}}} について r = | r | = x 2 + y 2 + z 2 {\displaystyle r=|{\boldsymbol {r}}|={\sqrt {x^{2}+y^{2}+z^{2}}}} とすると、 ∇ r n = n r n − 2 r {\displaystyle \nabla r^{n}=nr^{n-2}{\boldsymbol {r}}} である。 証明 ∂ ∂ x r n = n r n − 1 ∂ ∂ x x 2 + y 2 + z 2 = n r n − 1 x r = n r n − 2 x {\displaystyle {\frac {\partial }{\partial x}}r^{n}=nr^{n-1}{\frac {\partial }{\partial x}}{\sqrt {x^{2}+y^{2}+z^{2}}}=nr^{n-1}{\frac {x}{r}}=nr^{n-2}x} y , z {\displaystyle y,z} についても同様である。 すなわち、 ∇ r n = ( n r n − 2 x n r n − 2 y n r n − 2 z ) = n r n − 2 r . {\displaystyle \nabla r^{n}={\begin{pmatrix}nr^{n-2}x\\nr^{n-2}y\\nr^{n-2}z\end{pmatrix}}=nr^{n-2}{\boldsymbol {r}}.} ここでは、極座標での勾配、発散、ラプラシアンを求める。 極座標では、位置ベクトルは r = ( x y z ) = ( r sin θ cos φ r sin θ sin φ r cos θ ) {\displaystyle {\boldsymbol {r}}={\begin{pmatrix}x\\y\\z\end{pmatrix}}={\begin{pmatrix}r\sin \theta \cos \varphi \\r\sin \theta \sin \varphi \\r\cos \theta \end{pmatrix}}} となる。正規直交基底は e r := ∂ r ∂ r | ∂ r ∂ r | = ( sin θ cos φ sin θ sin φ cos θ ) {\displaystyle {\boldsymbol {e}}_{r}:={\frac {\frac {\partial {\boldsymbol {r}}}{\partial r}}{\left|{\frac {\partial {\boldsymbol {r}}}{\partial r}}\right|}}={\begin{pmatrix}\sin \theta \cos \varphi \\\sin \theta \sin \varphi \\\cos \theta \end{pmatrix}}} , e θ := ∂ r ∂ θ | ∂ r ∂ θ | = 1 r ( r cos θ cos φ r cos θ sin φ − r sin θ ) = ( cos θ cos φ cos θ sin φ − sin θ ) {\displaystyle {\boldsymbol {e}}_{\theta }:={\frac {\frac {\partial {\boldsymbol {r}}}{\partial \theta }}{\left|{\frac {\partial {\boldsymbol {r}}}{\partial \theta }}\right|}}={\frac {1}{r}}{\begin{pmatrix}r\cos \theta \cos \varphi \\r\cos \theta \sin \varphi \\-r\sin \theta \end{pmatrix}}={\begin{pmatrix}\cos \theta \cos \varphi \\\cos \theta \sin \varphi \\-\sin \theta \end{pmatrix}}} , e φ := ∂ r ∂ φ | ∂ r ∂ φ | = 1 r sin θ ( − r sin θ sin φ r sin θ cos φ 0 ) = ( − sin φ cos φ 0 ) {\displaystyle {\boldsymbol {e}}_{\varphi }:={\frac {\frac {\partial {\boldsymbol {r}}}{\partial \varphi }}{\left|{\frac {\partial {\boldsymbol {r}}}{\partial \varphi }}\right|}}={\frac {1}{r\sin \theta }}{\begin{pmatrix}-r\sin \theta \sin \varphi \\r\sin \theta \cos \varphi \\0\end{pmatrix}}={\begin{pmatrix}-\sin \varphi \\\cos \varphi \\0\end{pmatrix}}} である。 微小変位ベクトル d r = d x e x + d y e y + d z e z {\displaystyle d{\boldsymbol {r}}=dx{\boldsymbol {e}}_{x}+dy{\boldsymbol {e}}_{y}+dz{\boldsymbol {e}}_{z}} は極座標では、 d r = ∂ r ∂ r d r + ∂ r ∂ θ d θ + ∂ r ∂ φ d φ = | ∂ r ∂ r | e r d r + | ∂ r ∂ θ | e θ d θ + | ∂ r ∂ φ | e φ d φ = e r d r + r e θ d θ + r sin θ e φ d φ {\displaystyle {\begin{aligned}d{\boldsymbol {r}}&={\frac {\partial {\boldsymbol {r}}}{\partial r}}dr+{\frac {\partial {\boldsymbol {r}}}{\partial \theta }}d\theta +{\frac {\partial {\boldsymbol {r}}}{\partial \varphi }}d\varphi \\&=\left|{\frac {\partial {\boldsymbol {r}}}{\partial r}}\right|{\boldsymbol {e}}_{r}dr+\left|{\frac {\partial {\boldsymbol {r}}}{\partial \theta }}\right|{\boldsymbol {e}}_{\theta }d\theta +\left|{\frac {\partial {\boldsymbol {r}}}{\partial \varphi }}\right|{\boldsymbol {e}}_{\varphi }d\varphi \\&={\boldsymbol {e}}_{r}dr+r{\boldsymbol {e}}_{\theta }d\theta +r\sin \theta {\boldsymbol {e}}_{\varphi }d\varphi \end{aligned}}} と書ける。 関数 f {\displaystyle f} の全微分 d f {\displaystyle df} は d f = d f d x d x + d f d y d y + d f d z d z = ∇ f ⋅ d r {\displaystyle df={\frac {df}{dx}}dx+{\frac {df}{dy}}dy+{\frac {df}{dz}}dz=\nabla f\cdot d{\boldsymbol {r}}} となる。 極座標での発散を ∇ f = ∇ r f e r + ∇ θ f e θ + ∇ φ f e φ {\displaystyle \nabla f=\nabla _{r}f\,{\boldsymbol {e}}_{r}+\nabla _{\theta }f\,{\boldsymbol {e}}_{\theta }+\nabla _{\varphi }f\,{\boldsymbol {e}}_{\varphi }} とすると、 d f = ∇ f ⋅ d r = ( ∇ r f e r + ∇ θ f e θ + ∇ φ f e φ ) ⋅ ( e r d r + r e θ d θ + r sin θ e φ d φ ) = ∇ r f d r + r ∇ θ f d θ + r sin θ ∇ φ f d φ {\displaystyle {\begin{aligned}df&=\nabla f\cdot d{\boldsymbol {r}}\\&=(\nabla _{r}f\,{\boldsymbol {e}}_{r}+\nabla _{\theta }f\,{\boldsymbol {e}}_{\theta }+\nabla _{\varphi }f\,{\boldsymbol {e}}_{\varphi })\cdot ({\boldsymbol {e}}_{r}dr+r{\boldsymbol {e}}_{\theta }d\theta +r\sin \theta {\boldsymbol {e}}_{\varphi }d\varphi )\\&=\nabla _{r}f\,dr+r\nabla _{\theta }f\,d\theta +r\sin \theta \nabla _{\varphi }f\,d\varphi \end{aligned}}} である。これと極座標での全微分 d f = ∂ f ∂ r d r + ∂ f ∂ θ d θ + ∂ f ∂ φ d φ {\displaystyle df={\frac {\partial f}{\partial r}}dr+{\frac {\partial f}{\partial \theta }}d\theta +{\frac {\partial f}{\partial \varphi }}d\varphi } と比較すると、 ∇ r f = ∂ f ∂ r , ∇ θ f = 1 r ∂ f ∂ θ , ∇ φ f = 1 r sin θ ∂ f ∂ φ {\displaystyle \nabla _{r}f={\frac {\partial f}{\partial r}},\nabla _{\theta }f={\frac {1}{r}}{\frac {\partial f}{\partial \theta }},\nabla _{\varphi }f={\frac {1}{r\sin \theta }}{\frac {\partial f}{\partial \varphi }}{}} を得る。 すなわち、極座標での発散は ∇ f = ∂ f ∂ r + 1 r ∂ f ∂ θ + 1 r sin θ ∂ f ∂ φ {\displaystyle \nabla f={\frac {\partial f}{\partial r}}+{\frac {1}{r}}{\frac {\partial f}{\partial \theta }}+{\frac {1}{r\sin \theta }}{\frac {\partial f}{\partial \varphi }}{}} である。 基底ベクトルの微分は、 ∂ e r ∂ r = 0 , ∂ e r ∂ θ = e θ , ∂ e r ∂ φ = sin θ e φ {\displaystyle {\frac {\partial {\boldsymbol {e}}_{r}}{\partial r}}=0,{\frac {\partial {\boldsymbol {e}}_{r}}{\partial \theta }}={\boldsymbol {e}}_{\theta },{\frac {\partial {\boldsymbol {e}}_{r}}{\partial \varphi }}=\sin \theta {\boldsymbol {e}}_{\varphi }} ∂ e θ ∂ r = 0 , ∂ e θ ∂ θ = − e r , ∂ e θ ∂ φ = cos θ e φ {\displaystyle {\frac {\partial {\boldsymbol {e}}_{\theta }}{\partial r}}=0,{\frac {\partial {\boldsymbol {e}}_{\theta }}{\partial \theta }}=-{\boldsymbol {e}}_{r},{\frac {\partial {\boldsymbol {e}}_{\theta }}{\partial \varphi }}=\cos \theta {\boldsymbol {e}}_{\varphi }} ∂ e φ ∂ r = 0 , ∂ e φ ∂ θ = 0 , ∂ e φ ∂ φ = − cos θ e r − sin θ e θ {\displaystyle {\frac {\partial {\boldsymbol {e}}_{\varphi }}{\partial r}}=0,{\frac {\partial {\boldsymbol {e}}_{\varphi }}{\partial \theta }}=0,{\frac {\partial {\boldsymbol {e}}_{\varphi }}{\partial \varphi }}=-\cos \theta {\boldsymbol {e}}_{r}-\sin \theta {\boldsymbol {e}}_{\theta }} であることを使って極座標でのベクトル A {\displaystyle {\boldsymbol {A}}} の発散を計算すると、 ∇ ⋅ A = ( e r ∂ f ∂ r + e θ 1 r ∂ ∂ θ + e φ 1 r sin θ ∂ f ∂ φ ) ⋅ ( A r e r + A θ e θ + A φ e φ ) = e r ⋅ ( ∂ A r ∂ r e r ) + 1 r e θ ⋅ ( ∂ A θ ∂ θ e θ + A r e θ ) + 1 r sin θ e φ ⋅ ( ∂ A φ ∂ φ e φ + A r sin θ e φ + A θ cos θ e φ ) = 1 r 2 ∂ ( r 2 A r ) ∂ r + 1 r sin θ ∂ ( sin θ A θ ) ∂ θ + 1 r sin θ ∂ A φ ∂ φ {\displaystyle {\begin{aligned}\nabla \cdot A&=\left({\boldsymbol {e}}_{r}{\frac {\partial f}{\partial r}}+{\boldsymbol {e}}_{\theta }{\frac {1}{r}}{\frac {\partial }{\partial \theta }}+{\boldsymbol {e}}_{\varphi }{\frac {1}{r\sin \theta }}{\frac {\partial f}{\partial \varphi }}\right)\cdot (A_{r}{\boldsymbol {e}}_{r}+A_{\theta }{\boldsymbol {e}}_{\theta }+A_{\varphi }{\boldsymbol {e}}_{\varphi })\\&={\boldsymbol {e}}_{r}\cdot \left({\frac {\partial A_{r}}{\partial r}}{\boldsymbol {e}}_{r}\right)+{\frac {1}{r}}{\boldsymbol {e}}_{\theta }\cdot \left({\frac {\partial A_{\theta }}{\partial \theta }}{\boldsymbol {e}}_{\theta }+A_{r}{\boldsymbol {e}}_{\theta }\right)+{\frac {1}{r\sin \theta }}{\boldsymbol {e}}_{\varphi }\cdot \left({\frac {\partial A_{\varphi }}{\partial \varphi }}{\boldsymbol {e}}_{\varphi }+A_{r}\sin \theta {\boldsymbol {e}}_{\varphi }+A_{\theta }\cos \theta {\boldsymbol {e}}_{\varphi }\right)\\&={\frac {1}{r^{2}}}{\frac {\partial (r^{2}A_{r})}{\partial r}}+{\frac {1}{r\sin \theta }}{\frac {\partial (\sin \theta A_{\theta })}{\partial \theta }}+{\frac {1}{r\sin \theta }}{\frac {\partial A_{\varphi }}{\partial \varphi }}\end{aligned}}} となる。 また、ラプラシアンに極座標での勾配と発散を代入すると、 Δ f = ∇ ⋅ ∇ f = 1 r 2 ∂ ∂ r ( r 2 ∂ f ∂ r ) + 1 r 2 sin θ ∂ ∂ θ ( sin θ ∂ f ∂ θ ) + 1 r 2 sin 2 θ ∂ 2 f ∂ φ 2 {\displaystyle \Delta f=\nabla \cdot \nabla f={\frac {1}{r^{2}}}{\frac {\partial }{\partial r}}\left(r^{2}{\frac {\partial f}{\partial r}}\right)+{\frac {1}{r^{2}\sin \theta }}{\frac {\partial }{\partial \theta }}\left(\sin \theta {\frac {\partial f}{\partial \theta }}\right)+{\frac {1}{r^{2}\sin ^{2}\theta }}{\frac {\partial ^{2}f}{\partial \varphi ^{2}}}} となり、ラプラシアンの極座標表示が得られた。 物理の計算においては、テンソルと呼ばれる量が 頻繁に用いられる。これは3次元における電磁気学の計算や、 古典力学における慣性モーメントなどで用いられるが、 特殊相対論、一般相対論においても用いられる。 ただし、特に一般相対論においては、計量テンソルと呼ばれる 特殊なテンソルが導入されるため、計算が非常に複雑になる。 ここでは、主に3次元のテンソル計算を扱うが、 特殊相対論における計算も少し扱う。 まずは、テンソルを定義する。 あるn次元のベクトルを考える。 このベクトルに対して、一般にあるベクトルからそれと同じ 次元のベクトルに変換するような線形変換を考えることが出来る。 この変換は、そのベクトルを同じ次元のベクトルに変換することから、 n*nの行列で書けることが分かる。 さて、次にこれらのベクトルのいくつかの(m個とする。)直積を取って、 mn個の要素を含む列ベクトルを作ることを考える。 直積の取り方については、物理数学Iを参照。 この操作によってできたmnベクトルは、上の行列によって表わされる n行のベクトルから出来たm次のテンソルの一種となっている。 ただし、一般のテンソルはもう少し複雑で、 既に上で得たベクトルとのつながりを忘れてしまったmn次元のベクトルが 上と同じ様な変換性を持つとき、これを上のベクトルに対する m次のテンソルと呼ぶ。 ここでは、さらにこれらのテンソルが従う変換の行列を 構成することを考える。 ここで、先ほど定めたmn行のベクトルの成分のうち、直積を取られる前は別の ベクトルだった部分のそれぞれが、直積を取られる前と同じように変換するような mn*mn次の変換行列を作りたい。 このためには、先ほど定めたn*nの行列による変換のm回の直積を取って、 mn*mnの行列を作ればよい。 このとき行列の直積の性質 から、 この行列が先ほどの性質を満たすことが分かる。 ここで、これらの行列やベクトルは添字をうまくつけることによって 書き表すことが出来る。 先ほど述べたうち、元々のベクトルを と書く。 次に、元々のベクトルを変換する行列を と書くと、この行列により変換された後のベクトルは、 で表わされる。 ここで、行列を添字を用いて計算する方法を使った。 ただし、物理の計算においては、 "同じ式の中に同じ添字が2回出て来たとき、この2つの添字を 足し合わせる"という規約を用いることが多い。 これをEinsteinの規約と呼び、一般相対論でEinsteinが用いてから よく使われるようになった。 この規約を用いると、上の式は簡単に、 と書かれる。以下の計算では、常にこの規約を用い、 この規約が適用されないところでは、注意書きを行なうこととする。 さらに、元々のベクトルの直積は、 となる。 ただし、ここでは、簡単にするためm=2と定めた。 これらを変換するmn*mn行列は となる。 また、これらの行列によって変換されたベクトルは、 で表わされる。 これらの変換則から一般的なテンソルを構成することが出来る。 例えば、ここでもm =2と定める。上の議論からこの量は 2つの添字を用いて、 と書くことが出来、この量が従う変換則は、 となることがわかる。この量をある変換 Λ {\displaystyle \Lambda } に対する、 2次のテンソルと呼ぶ。 ここでは、テンソルの代数を定義した。このことを用いて、 ここからはより複雑な微分を見て行く。 多変数関数の積分は1変数の場合の拡張によって定義される。 特に、いくつかの計算は物理的な意味が明確であるので 物理数学においても扱われることが多い。 ここで直交座標系を用いた場合について、 ある定理を導出する。 この定理は、ベクトルの発散という量の物理的意味を 与えてくれる点で重要である。 が成り立つ。 ここで、左辺の体積積分はある領域について行なわれ、 右辺の表面積分は、その領域を囲む面積全体に対して 行なわれる。 この定理をガウスの定理と呼ぶ。 ガウスは19世紀の非常に有名な数学者の名前である。 導出に移る前に、この定理の意味を述べる。 まずは右辺に注目する。右辺の被積分関数 は、ある点での面積要素に垂直な の値を表わしている。これは例えば、 が、流体力学でいう流体の流れる速度を表わすベクトルだったとするなら、 その流れのうちで今定めた面積要素から流れだす流量を表わしている。 この量を領域Vを囲む表面全体で足し合わせることから、この量は 領域Vから流れ出す流体の流量の和に等しいことが分かる。 ここで、領域Vの中に流体がわきだして来るような場所が合ったとすると、このとき 領域Vから流れ出す流量は、有限になると考えられる。 このためには、左辺で が流体のわきだしの回りで有限になっていなければならない。 これらのことからベクトルの発散は、 の意味は、ベクトルAのわきだしに対応していることが分かる。 発散という名前は、ベクトルAがどこからか現われて、回りに広がって行く 様子から来ている。 ここからは、この定理の導出に移る。ただし、ここでの導出は直観的なものであり、 局限移行等については数学的に厳密なものではないことを注意しておく。 まず、ある領域Vを非常に小さい立方体の領域 v i {\displaystyle v_{i}} に分割する。 領域Vがどんな形であっても、このことは常に可能だと期待される。 ここで、ある互いに接し合う2つの小さい領域 v 1 {\displaystyle v_{1}} と v 2 {\displaystyle v_{2}} について この定理が示されたとする。 このとき、領域 v 1 {\displaystyle v_{1}} と領域が v 2 {\displaystyle v_{2}} 接している面を考える。 それぞれの領域からの寄与は、その点でのベクトルの大きさと その面積要素の大きさが同じであることから同じであると考えられ、 また、それらは互いに接しているので、面積分の性質から見て、 それらの寄与は互いに異なった符合を持っている。 ここで、今考えている領域2つを張りつけて新しい領域 v 3 {\displaystyle v_{3}} を作り、この領域について元の式の左辺を計算すると、 その量は、 となる。ここで、右辺についても互いに重なった部分の寄与が打ち消し合うことから、 のように v 3 {\displaystyle v_{3}} の回りについて元の式の表式が成り立っている。 ここで v 3 {\displaystyle v_{3}} の囲む領域の表面として という表式を導入した。実際にはこの表式は数学の本から来ており、 物理の本でも割合よく用いられる。 結局、小さい立方体についてこの定理が示されれば、元の領域についても この定理が正しいことが分かった。 次にこのことが実際小さい立方体について正しいことを見る。 立方体の辺の長さを ε {\displaystyle \epsilon } とする。 このとき、元の式について となる。 更に、右辺については のような表式が得られる。この式は、それぞれの面に対する面積分をあからさまに 積分したものである。ここで、特にそれぞれの面の中心を通るように 積分の点を選んでいる。これは、局限移行をうまく行なうためだが、 もう少し違った点を選んでも結果を得ることは出来る。 次に、上の表式を ε {\displaystyle \epsilon } についてテイラー展開する。このとき、 が得られる。 これをまとめると、 が得られるが、これはちょうど左辺からの式と一致している。 よって、小さい立方体についてはこの定理は正しい。 次にベクトルの回転の物理的意味を特徴づける定理を扱う。 まずは定理を述べる。 が成り立つ。 ここで、この式の左辺はある面積Sについて積分し、 この式の右辺は、その面積の外周についての線積分を行なう。 ここでも、ある面積Sの外周のことを、 と書くことがある。 この定理をストークスの定理と呼ぶ。 例えば、 を流体の速度ベクトルとしてみる。このとき、速度ベクトルをある面積の 外周について積分したとき、その値はその面積内の速度の回転の積分に 等しい。このことは、速度ベクトルの回転が、これらの流体の渦のような ものに対応していることを示している。 実際、流体力学では のことを渦度と呼び、流体中の渦の様子を示す重要な量となっている。 この様に、ベクトルの回転はそのベクトルについてある閉じた経路について 積分したものに対応している。 が全ての点で成り立つ場合、全ての閉経路に対する線積分は0に等しくなる。 これは、流体でいうと渦無しの流れに対応している。 また、この結果は複素解析の線積分の定理の1つに対応しており、その面からも 重要である。複素解析については、物理数学IIで扱う予定である。 まず、ある面積Sを辺の長さが ε {\displaystyle \epsilon } に等しい小さな正方形に分ける。 正方形の大きさが十分小さいとき、このことは常に可能であると期待できる。 ここで、互いに接している小さい正方形についてそれぞれの辺からの線積分の寄与は、 大きさが等しく、符合が反対であることが分かる。このことは、線積分の 経路を反時計回りに取るというきまりを守っていると、その辺で接するためには 積分の向きが逆になっていなくてはいけないということによる。 ここで、今挙げた小さな2つの正方形を張り付けた長方形について 同じ計算を行なう。このとき、互いに張りついた1つの辺からの寄与は打ち消し あうので、同じ計算が張りつけた後の長方形についても成り立つ。 このことを繰りかえせば、小さな正方形についてこの定理が成り立ったとき、 元々の領域についてもこの定理が成り立つと期待できる。 さて、ここで、辺の長さが ε {\displaystyle \epsilon } に等しい正方形についてこの定理が 成り立っていることを示す。 これらの正方形の各辺に平行になるように、x,y軸を取って の左辺を計算すると、 が成り立つ。 次に右辺について、 が得られるが、これは右辺の表式と等しい。 よって、小さい正方形についてこの定理は示された。 また、以前の議論からこのとき元の領域についてもこの定理は正しいことが 分かっている。よって、全ての領域について、この定理は正しいことが 示された。 直交座標系でないときにも grad,div,rotを計算することが出来る。 ここではまず、座標系の定義を行なうことから始める。 また、上の議論からこのことは全ての領域Vに対してもこの定理が正しいことを 示している。 この定理は電磁気学で頻繁に用いられる重要な定理である。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "物理数学I > ベクトル解析", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "ここでは、ベクトル解析について解説を行なう。 ベクトル解析は、主に多変数関数の微積分と関連しているが、 特にそれらのうちには計算自体に明確な物理的意味を 持つものがいくつか見られる。歴史的にもこの分野は 数学と物理の間のフィードバックを通して発展して来た。", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "そのため、計算においては物理的な意味を強調していきたい。 また、特にいくつかの定理は数学的に厳密な証明をすることが 難しい。その様なときには常識的に古典的な物理学の範囲で 起こる現象で適用できる程度に、一般的に 書くことにしたいと思う。", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "また、現代的にはこの分野は微分形式を用いて書かれることが多いが、 ここではまず最初に古典的な計算法を扱う。 これは、特に物理を専攻としない学習者に配慮するためである。", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "例えば、電気技術者や機械技術者もベクトル解析は依然として学ばねば ならず、彼らに取っては微分形式の理論はそれほど有用とはいえないものと 思われる。", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "ベクトル解析の理論は特に電磁気学と関連が深いが、これらの結果は 流体力学や量子力学など、様々な分野で登場する物理の根幹を成す計算法であり、 学習者は十分これらの手法に習熟することが求められる。", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 6, "tag": "p", "text": "例えば3次元ベクトルで", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 7, "tag": "p", "text": "とするとき、ある変数tについて x,y,z が、", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 8, "tag": "p", "text": "で表わされるとき、", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 9, "tag": "p", "text": "を、ベクトルの関数と呼ぶ。 これは、tを時間と見なすときにはある3次元空間中を 物体が動いて行く軌跡の値と見なすことが出来る。", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 10, "tag": "p", "text": "例えば、", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 11, "tag": "p", "text": "という軌跡を与えたとき、この値は 物体がxの方向に速度1で等速直線運動しているものとみなすことが できる。", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 12, "tag": "p", "text": "ただし、この定義自体は3次元にとどまらず容易にn次元に拡張することが 出来る。 例えば、", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 13, "tag": "p", "text": "のようにn次元のベクトルを取ったときに、そのうちの各要素が ある独立変数tだけに依存すると考えることが出来るとき これは、n次元空間の中の物体の軌跡と考えることが出来る。", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 14, "tag": "p", "text": "ここでは、ベクトルの微分を定義する。 例えば、1次元においては、物体の速度は", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 15, "tag": "p", "text": "で与えられた。この値はある時間における物体の 位置の変化率という直接的な物理的意味を持っている。", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 16, "tag": "p", "text": "これらの自然な拡張として一般的な次元において、", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 17, "tag": "p", "text": "によって、ベクトルの微分を定義する。 例えば、1次元空間に限ったときにはこの結果は上の式と一致することが分かる。 このことによって、例えば", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 18, "tag": "p", "text": "という2次元ベクトルを取ったとき、 物体の速度のx方向成分は", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 19, "tag": "p", "text": "によって与えられ、物体の位置のx方向成分のみによることが示唆される。 同様に 物体の速度のy方向成分は 物体の位置のy方向成分のみによっている。", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 20, "tag": "p", "text": "このことは一見当然のように思えるが、実際にはそうではなく 我々が用いている座標系によっている。 例えば、2次元の極座標を用いてみると、", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 21, "tag": "p", "text": "と書けるが、 この式を正しく微分すると、", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 22, "tag": "p", "text": "が得られ、速度の θ {\\displaystyle \\theta } 成分は、物体のr成分にも依存している。", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 23, "tag": "p", "text": "このことは、直接的には e → r {\\displaystyle {\\vec {e}}_{r}} 自身が時間依存性を持っている。 我々が通常用いる(x,y,z)という座標系は 通常直交座標系と呼ばれるが、(デカルト座標系と呼ばれることも多い。) これらの座標軸の方向は時間的に変わることが無いので、 微分の性質が非常に簡単になっている。", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 24, "tag": "p", "text": "しかし、実際にある物体の動きを記述するとき、直交座標系を用いるより、 その動きに特徴的な量をパラメーターとして用いた方が記述が簡明に なることがある。例えば、太陽のまわりを円運動する惑星の 動きを記述するには、極座標を用いると、物体の運動がもっとも簡潔に記述される。 この様に、運動の種類によって用いるべき座標系が変わって来るため、 それぞれの間の緒量の変化、つまり微分や積分の性質を調べることが重要に なる。", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 25, "tag": "p", "text": "ここまでで一般的な微分の方法を見た。 ここでは、特に物理的に重要なベクトルの作り方を 見る。", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 26, "tag": "p", "text": "ある関数f(x,y,z) があるものとする。 このとき、", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 27, "tag": "p", "text": "をfの勾配と呼ぶ。 また、同様にしてn次元では", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 28, "tag": "p", "text": "によって定義される。", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 29, "tag": "p", "text": "ここで、勾配はこの式の意味によって付けられた名前である。 例えば、", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 30, "tag": "p", "text": "に限ってこの式を書いてみる。 このとき、", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 31, "tag": "p", "text": "となるが、これはこの関数fのx方向の傾きに等しい。 つまり、この式は傾きを求める式の複数の方向を用いた場合への一般化と なっている。", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 32, "tag": "p", "text": "より一般的な例として2次元の場合の 例を考えてみる。ここでは", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 33, "tag": "p", "text": "とおく。 このときこの式の勾配は簡単に計算でき、", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 34, "tag": "p", "text": "となる。例えば、この式を", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 35, "tag": "p", "text": "(aはある定数。) について考えてみる。 このとき、勾配の値は", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 36, "tag": "p", "text": "となるが、これはxが正のとき正であり、負のときには負となっている。 つまり、この式はこの関数のx座標軸上で見たときに、 x=0を極少としたすり鉢形のグラフとなっており、更に 原点から離れれば離れるほど、グラフの傾きが増すことを示唆している。 実際この式を数値的にプロットすると、この主張が確かめられる。", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 37, "tag": "p", "text": "プロットを作製。", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 38, "tag": "p", "text": "次に、この式を", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 39, "tag": "p", "text": "(bはある定数。) について考えてみる。 このときにも全く同じ主張が出来、y方向に見ても このグラフはすり鉢状になっている。", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 40, "tag": "p", "text": "また、この式を", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 41, "tag": "p", "text": "について考えてみる。このときには", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 42, "tag": "p", "text": "が得られ、この点では勾配はx軸から π / 4 {\\displaystyle \\pi /4} の方向を向いていることが分かる。", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 43, "tag": "p", "text": "一般に勾配は、関数fが、最も大きな傾きで増加する方向を 向いており、その絶対値はその点でそちらへの微分を取った値に等しい。", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 44, "tag": "p", "text": "また、ある点でのある方向への微分を求めたいときには、 求めたい方向の単位ベクトルを", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 45, "tag": "p", "text": "としたとき、", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 46, "tag": "p", "text": "を計算することで、求めることが出来る。", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 47, "tag": "p", "text": "勾配の計算では、全ての独立変数に対する微分を求めており、 これらの微分を組み合わせることであらゆる方向への微分を 作ることが出来ることが期待される。 微分の最も低いオーダーでは、それぞれの方向への微分は それぞれの方向の単位ベクトルにそちらの方向への微分の大きさを かけたものに等しいので、ある方向に対する微分を 計算するにはそれらを適切な方向への重みをつけて足し合わせることが 求められる。このとき、ある方向に対する単位ベクトルと ある軸の方向に対する単位ベクトルは、2つの方向の重みを表わしていると 考えられるので、確かにこの値は、そちらの方向への微分となっている。", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 48, "tag": "p", "text": "例えば、", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 49, "tag": "p", "text": "でのy方向の傾きは、", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 50, "tag": "p", "text": "となるが、 これは、この関数の等高線が円形になっていることを考えると 確かにこの点ではy方向の傾きは0になっていなくてはいけない。", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 51, "tag": "p", "text": "次には逆にあるベクトルを取ったとき、 あるスカラー量を作りだす計算を導入する。 後に示される通り、この量はある点から流れ出す 粒子や場の束の和という物理的意味を持っており、 電磁気学や流体力学で頻繁に用いられる。 実際前者では磁束や電束についての計算に用いられ、 後者では流体中のわきだしや吸い込みなどのまわりで 流体の性質を表わすベクトルがnon-zeroになることが 知られている。", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 52, "tag": "p", "text": "あるベクトルの関数", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 53, "tag": "p", "text": "があるとき、", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 54, "tag": "p", "text": "を、 a → {\\displaystyle {\\vec {a}}} の発散と呼ぶ。 また、この量もn次元で定義することが出来、そのときの定義は、", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 55, "tag": "p", "text": "で与えられる。 ただし a i {\\displaystyle a_{i}} はベクトル a → {\\displaystyle {\\vec {a}}} の第i成分である。", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 56, "tag": "p", "text": "この式の物理的意味は上で述べた通りだが、そのことの導出は ガウスの定理の導出によって与えられるため、ここでは扱わない。", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 57, "tag": "p", "text": "ここでもう1つ、物理的に重要な演算を導入する。 この量も電磁気学や流体力学で使われており、 ある経路に沿って積分した値がその経路の中の ある量の積分によって与えられるという定理である。", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 58, "tag": "p", "text": "実際には電磁気学では古典的にある回路を突き抜ける磁束の時間変化が 、その回路内に電流を引き起こすことがレンツの法則として知られている。 この法則は、このようなベクトルの演算によってうまく記述される現象の 例である。", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 59, "tag": "p", "text": "流体力学では、この量は流体中に巻き起こる渦に対応している。 つまり、渦が流れるルートに沿って、流体の速度を積分していけば 0でない値が得られることが期待される。一方、そうでない場合 この値は全ての寄与が打ち消し合い、0になると思われる。 つまり、この量を用いることで、流体中の渦を記述する方法が得られるわけである。", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 60, "tag": "p", "text": "ただし、実際には流体の運動を考えるときには渦が一切発生しないと した方が計算が簡単になることも多い。このような流れは渦無しの流れと 呼ばれ、その性質はよく知られている。", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 61, "tag": "p", "text": "ここからはベクトルの回転の定義を述べる。 あるベクトルの関数", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 62, "tag": "p", "text": "があるとき、", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 63, "tag": "p", "text": "を", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 64, "tag": "p", "text": "の回転と呼ぶ。", "title": "ベクトル解析" }, { "paragraph_id": 65, "tag": "p", "text": "ここでは、ベクトル解析の公式を証明する。これらの公式はベクトルを成分表示して単純に計算することでも証明できるが、この方法ではあまりにも煩雑になってしまうためレヴィ・チヴィタ記号を導入して証明する。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 66, "tag": "p", "text": "クロネッカーのデルタ δ i j {\\displaystyle \\delta _{ij}} を", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 67, "tag": "p", "text": "で定義する。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 68, "tag": "p", "text": "レヴィ・チヴィタ記号 ε i j k {\\displaystyle \\varepsilon _{ijk}} を", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 69, "tag": "p", "text": "と定義する。すなわち、置換 σ = ( 1 2 3 i j k ) {\\displaystyle \\sigma ={\\begin{pmatrix}1&2&3\\\\i&j&k\\end{pmatrix}}} (ただし i , j , k {\\displaystyle i,j,k} は互いに異なる)が偶置換のとき、 ε i j k = 1 {\\displaystyle \\varepsilon _{ijk}=1} 、奇置換のとき ε i j k = − 1 {\\displaystyle \\varepsilon _{ijk}=-1} である。また、レヴィ・チヴィタ記号 ε i j k {\\displaystyle \\varepsilon _{ijk}} は ε 123 = 1 {\\displaystyle \\varepsilon _{123}=1} であり、2つの添字を入れ替えると -1 倍される(反対称)もの (e.g. ε 213 = − ε 123 = − 1 , ε 231 = − ε 213 = 1 {\\displaystyle \\varepsilon _{213}=-\\varepsilon _{123}=-1,\\,\\varepsilon _{231}=-\\varepsilon _{213}=1} )と理解できる。添字に同じ数字があるときはレヴィ・チヴィタ記号は 0 である(e.g. ε 111 = 0 , ε 322 = 0 {\\displaystyle \\varepsilon _{111}=0,\\,\\varepsilon _{322}=0} )。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 70, "tag": "p", "text": "基本ベクトル e i {\\displaystyle {\\boldsymbol {e}}_{i}} を e i = ( δ 1 i δ 2 i δ 3 i ) {\\displaystyle {\\boldsymbol {e}}_{i}={\\begin{pmatrix}\\delta _{1i}\\\\\\delta _{2i}\\\\\\delta _{3i}\\end{pmatrix}}} とする。すなわち、 e 1 = ( 1 0 0 ) , e 2 = ( 0 1 0 ) , e 3 = ( 0 0 1 ) {\\displaystyle {\\boldsymbol {e}}_{1}={\\begin{pmatrix}1\\\\0\\\\0\\end{pmatrix}},{\\boldsymbol {e}}_{2}={\\begin{pmatrix}0\\\\1\\\\0\\end{pmatrix}},{\\boldsymbol {e}}_{3}={\\begin{pmatrix}0\\\\0\\\\1\\end{pmatrix}}} である。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 71, "tag": "p", "text": "∇ = ( ∂ ∂ x ∂ ∂ y ∂ ∂ z ) {\\displaystyle \\nabla ={\\begin{pmatrix}{\\frac {\\partial }{\\partial x}}\\\\{\\frac {\\partial }{\\partial y}}\\\\{\\frac {\\partial }{\\partial z}}\\end{pmatrix}}} をナブラという。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 72, "tag": "p", "text": "ナブラを通常のベクトル演算と同じように扱うと、grad,div,rotは簡単に", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 73, "tag": "p", "text": "と書くことが出来る。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 74, "tag": "p", "text": "ベクトルの成分に微分演算子が入っていることにびっくりするかもしれないが、形式的なものだと思っても良い。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 75, "tag": "p", "text": "Δ := ∇ ⋅ ∇ = ∂ 2 ∂ x 2 + ∂ 2 ∂ y 2 + ∂ 2 ∂ z 2 {\\displaystyle \\Delta :=\\nabla \\cdot \\nabla ={\\frac {\\partial ^{2}}{\\partial x^{2}}}+{\\frac {\\partial ^{2}}{\\partial y^{2}}}+{\\frac {\\partial ^{2}}{\\partial z^{2}}}} をラプラシアンという。スカラー関数 f {\\displaystyle f} について Δ f = ∂ 2 f ∂ x 2 + ∂ 2 f ∂ y 2 + ∂ 2 f ∂ z 2 {\\displaystyle \\Delta f={\\frac {\\partial ^{2}f}{\\partial x^{2}}}+{\\frac {\\partial ^{2}f}{\\partial y^{2}}}+{\\frac {\\partial ^{2}f}{\\partial z^{2}}}} であり、ベクトル関数 A {\\displaystyle {\\boldsymbol {A}}} について Δ A = ( ∂ 2 A x ∂ x 2 + ∂ 2 A x ∂ y 2 + ∂ 2 A x ∂ z 2 ∂ 2 A y ∂ x 2 + ∂ 2 A y ∂ y 2 + ∂ 2 A y ∂ z 2 ∂ 2 A z ∂ x 2 + ∂ 2 A z ∂ y 2 + ∂ 2 A z ∂ z 2 ) {\\displaystyle \\Delta {\\boldsymbol {A}}={\\begin{pmatrix}{\\frac {\\partial ^{2}A_{x}}{\\partial x^{2}}}+{\\frac {\\partial ^{2}A_{x}}{\\partial y^{2}}}+{\\frac {\\partial ^{2}A_{x}}{\\partial z^{2}}}\\\\{\\frac {\\partial ^{2}A_{y}}{\\partial x^{2}}}+{\\frac {\\partial ^{2}A_{y}}{\\partial y^{2}}}+{\\frac {\\partial ^{2}A_{y}}{\\partial z^{2}}}\\\\{\\frac {\\partial ^{2}A_{z}}{\\partial x^{2}}}+{\\frac {\\partial ^{2}A_{z}}{\\partial y^{2}}}+{\\frac {\\partial ^{2}A_{z}}{\\partial z^{2}}}\\end{pmatrix}}} である。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 76, "tag": "p", "text": "", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 77, "tag": "p", "text": "以下では、簡単のためにベクトル A {\\displaystyle {\\boldsymbol {A}}} の x {\\displaystyle x} 成分 A x {\\displaystyle A_{x}} を A 1 {\\displaystyle A_{1}} 、 y {\\displaystyle y} 成分 A y {\\displaystyle A_{y}} を A 2 {\\displaystyle A_{2}} 、 z {\\displaystyle z} 成分 A z {\\displaystyle A_{z}} を A 3 {\\displaystyle A_{3}} と書く。偏微分についても ∂ ∂ x = ∂ x = ∂ 1 {\\displaystyle {\\frac {\\partial }{\\partial x}}=\\partial _{x}=\\partial _{1}} などとする。ベクトル A {\\displaystyle {\\boldsymbol {A}}} の 第i成分 A i {\\displaystyle A_{i}} を [ A ] i {\\displaystyle [{\\boldsymbol {A}}]_{i}} と書く。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 78, "tag": "p", "text": "ベクトルの外積 A × B {\\displaystyle {\\boldsymbol {A}}\\times {\\boldsymbol {B}}} の第i成分 [ A × B ] i {\\displaystyle [{\\boldsymbol {A}}\\times {\\boldsymbol {B}}]_{i}} は", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 79, "tag": "p", "text": "[ A × B ] i = ∑ j , k ε i j k A j B k {\\displaystyle [{\\boldsymbol {A}}\\times {\\boldsymbol {B}}]_{i}=\\sum _{j,k}\\varepsilon _{ijk}A_{j}B_{k}}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 80, "tag": "p", "text": "と書ける。ここで Σ {\\displaystyle \\Sigma } の添字はそれぞれ1から3までの整数値を動くものとする。この規約は以下の文章にも適用する。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 81, "tag": "p", "text": "実際に、展開して確認すると、", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 82, "tag": "p", "text": "∑ j , k ε 1 j k A j B k = ε 123 A 2 B 3 + ε 132 A 3 B 2 = A 2 B 3 − A 3 B 2 = [ A × B ] 1 {\\displaystyle {\\begin{aligned}\\sum _{j,k}\\varepsilon _{1jk}A_{j}B_{k}&=\\varepsilon _{123}A_{2}B_{3}+\\varepsilon _{132}A_{3}B_{2}\\\\&=A_{2}B_{3}-A_{3}B_{2}\\\\&=[{\\boldsymbol {A}}\\times {\\boldsymbol {B}}]_{1}\\end{aligned}}}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 83, "tag": "p", "text": "∑ j , k ε 2 j k A j B k = ε 213 A 1 B 3 + ε 231 A 3 B 1 = A 3 B 1 − A 1 B 3 = [ A × B ] 2 {\\displaystyle {\\begin{aligned}\\sum _{j,k}\\varepsilon _{2jk}A_{j}B_{k}&=\\varepsilon _{213}A_{1}B_{3}+\\varepsilon _{231}A_{3}B_{1}\\\\&=A_{3}B_{1}-A_{1}B_{3}\\\\&=[{\\boldsymbol {A}}\\times {\\boldsymbol {B}}]_{2}\\end{aligned}}}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 84, "tag": "p", "text": "∑ j , k ε 3 j k A j B k = ε 312 A 1 B 2 + ε 321 A 2 B 1 = A 1 B 2 − A 2 B 1 = [ A × B ] 3 {\\displaystyle {\\begin{aligned}\\sum _{j,k}\\varepsilon _{3jk}A_{j}B_{k}&=\\varepsilon _{312}A_{1}B_{2}+\\varepsilon _{321}A_{2}B_{1}\\\\&=A_{1}B_{2}-A_{2}B_{1}\\\\&=[{\\boldsymbol {A}}\\times {\\boldsymbol {B}}]_{3}\\end{aligned}}}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 85, "tag": "p", "text": "となる。上の式において、 ∑ j , k ε 1 j k A j B k {\\displaystyle \\sum _{j,k}\\varepsilon _{1jk}A_{j}B_{k}} を展開すると9つの項が出てくるが、その内の7つの ε 1 j k {\\displaystyle \\varepsilon _{1jk}} が0となるため、2つの項だけが残る。すなわち、 j = 2 , j = 3 {\\displaystyle j=2,j=3} に対応する項(対応する k {\\displaystyle k} は { 1 , 2 , 3 } {\\displaystyle \\{1,2,3\\}} のうち1でも j {\\displaystyle j} でもないもの)、 ε 123 , ε 132 {\\displaystyle \\varepsilon _{123},\\varepsilon _{132}} の項のみが残る。 ε 2 j k , ε 3 j k {\\displaystyle \\varepsilon _{2jk},\\varepsilon _{3jk}} についても同様である。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 86, "tag": "p", "text": "定理", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 87, "tag": "p", "text": "ε i j k = | e i e j e k | = e i ⋅ ( e j × e k ) = | δ 1 i δ 1 j δ 1 k δ 2 i δ 2 j δ 2 k δ 3 i δ 3 j δ 3 k | {\\displaystyle \\varepsilon _{ijk}=|{\\boldsymbol {e}}_{i}\\,{\\boldsymbol {e}}_{j}\\,{\\boldsymbol {e}}_{k}|={\\boldsymbol {e}}_{i}\\cdot ({\\boldsymbol {e}}_{j}\\times {\\boldsymbol {e}}_{k})={\\begin{vmatrix}\\delta _{1i}&\\delta _{1j}&\\delta _{1k}\\\\\\delta _{2i}&\\delta _{2j}&\\delta _{2k}\\\\\\delta _{3i}&\\delta _{3j}&\\delta _{3k}\\end{vmatrix}}} が成り立つ。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 88, "tag": "p", "text": "証明", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 89, "tag": "p", "text": "| e 1 e 2 e 3 | = | 1 0 0 0 1 0 0 0 1 | = 1 = ε 123 {\\displaystyle |{\\boldsymbol {e}}_{1}\\,{\\boldsymbol {e}}_{2}\\,{\\boldsymbol {e}}_{3}|={\\begin{vmatrix}1&0&0\\\\0&1&0\\\\0&0&1\\end{vmatrix}}=1=\\varepsilon _{123}} である。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 90, "tag": "p", "text": "これと、行列式の性質より、 | e i e j e k | {\\displaystyle |{\\boldsymbol {e}}_{i}\\,{\\boldsymbol {e}}_{j}\\,{\\boldsymbol {e}}_{k}|} は反対称であることから、 ε i j k = | e i e j e k | {\\displaystyle \\varepsilon _{ijk}=|{\\boldsymbol {e}}_{i}\\,{\\boldsymbol {e}}_{j}\\,{\\boldsymbol {e}}_{k}|} を得る。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 91, "tag": "p", "text": "| e i e j e k | = e i ⋅ ( e j × e k ) {\\displaystyle |{\\boldsymbol {e}}_{i}\\,{\\boldsymbol {e}}_{j}\\,{\\boldsymbol {e}}_{k}|={\\boldsymbol {e}}_{i}\\cdot ({\\boldsymbol {e}}_{j}\\times {\\boldsymbol {e}}_{k})} については直接計算すればよい。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 92, "tag": "p", "text": "基本ベクトルの定義 e i = ( δ 1 i δ 2 i δ 3 i ) {\\displaystyle {\\boldsymbol {e}}_{i}={\\begin{pmatrix}\\delta _{1i}\\\\\\delta _{2i}\\\\\\delta _{3i}\\end{pmatrix}}} を代入して、 | e i e j e k | = | δ 1 i δ 1 j δ 1 k δ 2 i δ 2 j δ 2 k δ 3 i δ 3 j δ 3 k | {\\displaystyle |{\\boldsymbol {e}}_{i}\\,{\\boldsymbol {e}}_{j}\\,{\\boldsymbol {e}}_{k}|={\\begin{vmatrix}\\delta _{1i}&\\delta _{1j}&\\delta _{1k}\\\\\\delta _{2i}&\\delta _{2j}&\\delta _{2k}\\\\\\delta _{3i}&\\delta _{3j}&\\delta _{3k}\\end{vmatrix}}} を得る。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 93, "tag": "p", "text": "定理", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 94, "tag": "p", "text": "ε i j k ε l m n = | δ i l δ i m δ i n δ j l δ j m δ j n δ k l δ k m δ k n | = δ i l ( δ j m δ k n − δ j n δ k m ) + δ i m ( δ j n δ k l − δ j l δ k n ) + δ i n ( δ j l δ k m − δ j m δ k l ) {\\displaystyle \\varepsilon _{ijk}\\varepsilon _{lmn}={\\begin{vmatrix}\\delta _{il}&\\delta _{im}&\\delta _{in}\\\\\\delta _{jl}&\\delta _{jm}&\\delta _{jn}\\\\\\delta _{kl}&\\delta _{km}&\\delta _{kn}\\end{vmatrix}}=\\delta _{il}\\left(\\delta _{jm}\\delta _{kn}-\\delta _{jn}\\delta _{km}\\right)+\\delta _{im}\\left(\\delta _{jn}\\delta _{kl}-\\delta _{jl}\\delta _{kn}\\right)+\\delta _{in}\\left(\\delta _{jl}\\delta _{km}-\\delta _{jm}\\delta _{kl}\\right)} である。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 95, "tag": "p", "text": "証明", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 96, "tag": "p", "text": "ε i j k = | e i e j e k | , ε l m n = | e l e m e n | {\\displaystyle \\varepsilon _{ijk}=|{\\boldsymbol {e}}_{i}\\,{\\boldsymbol {e}}_{j}\\,{\\boldsymbol {e}}_{k}|,\\,\\varepsilon _{lmn}=|{\\boldsymbol {e}}_{l}\\,{\\boldsymbol {e}}_{m}\\,{\\boldsymbol {e}}_{n}|} より", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 97, "tag": "p", "text": "ε i j k ε l m n = | e i e j e k | | e l e m e n | = | e i T e j T e k T | | e l e m e n | = | e i T e l e i T e m e i T e n e j T e l e j T e m e j T e n e k T e l e k T e m e k T e n | = | δ i l δ i m δ i n δ j l δ j m δ j n δ k l δ k m δ k n | . {\\displaystyle \\varepsilon _{ijk}\\varepsilon _{lmn}=|{\\boldsymbol {e}}_{i}\\,{\\boldsymbol {e}}_{j}\\,{\\boldsymbol {e}}_{k}||{\\boldsymbol {e}}_{l}\\,{\\boldsymbol {e}}_{m}\\,{\\boldsymbol {e}}_{n}|={\\begin{vmatrix}{\\boldsymbol {e}}_{i}^{T}\\\\{\\boldsymbol {e}}_{j}^{T}\\\\{\\boldsymbol {e}}_{k}^{T}\\end{vmatrix}}|{\\boldsymbol {e}}_{l}\\,{\\boldsymbol {e}}_{m}\\,{\\boldsymbol {e}}_{n}|={\\begin{vmatrix}{\\boldsymbol {e}}_{i}^{T}{\\boldsymbol {e}}_{l}&{\\boldsymbol {e}}_{i}^{T}{\\boldsymbol {e}}_{m}&{\\boldsymbol {e}}_{i}^{T}{\\boldsymbol {e}}_{n}\\\\{\\boldsymbol {e}}_{j}^{T}{\\boldsymbol {e}}_{l}&{\\boldsymbol {e}}_{j}^{T}{\\boldsymbol {e}}_{m}&{\\boldsymbol {e}}_{j}^{T}{\\boldsymbol {e}}_{n}\\\\{\\boldsymbol {e}}_{k}^{T}{\\boldsymbol {e}}_{l}&{\\boldsymbol {e}}_{k}^{T}{\\boldsymbol {e}}_{m}&{\\boldsymbol {e}}_{k}^{T}{\\boldsymbol {e}}_{n}\\end{vmatrix}}={\\begin{vmatrix}\\delta _{il}&\\delta _{im}&\\delta _{in}\\\\\\delta _{jl}&\\delta _{jm}&\\delta _{jn}\\\\\\delta _{kl}&\\delta _{km}&\\delta _{kn}\\end{vmatrix}}.}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 98, "tag": "p", "text": "また、 余因子展開をして、 | δ i l δ i m δ i n δ j l δ j m δ j n δ k l δ k m δ k n | = δ i l ( δ j m δ k n − δ j n δ k m ) + δ i m ( δ j n δ k l − δ j l δ k n ) + δ i n ( δ j l δ k m − δ j m δ k l ) {\\displaystyle {\\begin{vmatrix}\\delta _{il}&\\delta _{im}&\\delta _{in}\\\\\\delta _{jl}&\\delta _{jm}&\\delta _{jn}\\\\\\delta _{kl}&\\delta _{km}&\\delta _{kn}\\end{vmatrix}}=\\delta _{il}\\left(\\delta _{jm}\\delta _{kn}-\\delta _{jn}\\delta _{km}\\right)+\\delta _{im}\\left(\\delta _{jn}\\delta _{kl}-\\delta _{jl}\\delta _{kn}\\right)+\\delta _{in}\\left(\\delta _{jl}\\delta _{km}-\\delta _{jm}\\delta _{kl}\\right)} を得る。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 99, "tag": "p", "text": "定理", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 100, "tag": "p", "text": "が成り立つ。ここでも ∑ {\\displaystyle \\sum } のそれぞれの添字は1,2,3を歩くという規約を採用している。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 101, "tag": "p", "text": "証明", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 102, "tag": "p", "text": "ε i j k ε i l m = | 1 δ i l δ i m δ j i δ j l δ j m δ k i δ k l δ k m | = ( δ j l δ k m − δ j m δ k l ) − δ i l ( δ j i δ k m − δ j m δ k i ) + δ i m ( δ j i δ k l − δ j l δ k i ) {\\displaystyle \\varepsilon _{ijk}\\varepsilon _{ilm}={\\begin{vmatrix}1&\\delta _{il}&\\delta _{im}\\\\\\delta _{ji}&\\delta _{jl}&\\delta _{jm}\\\\\\delta _{ki}&\\delta _{kl}&\\delta _{km}\\end{vmatrix}}=(\\delta _{jl}\\delta _{km}-\\delta _{jm}\\delta _{kl})-\\delta _{il}(\\delta _{ji}\\delta _{km}-\\delta _{jm}\\delta _{ki})+\\delta _{im}(\\delta _{ji}\\delta _{kl}-\\delta _{jl}\\delta _{ki})} より", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 103, "tag": "p", "text": "∑ i ε i j k ε i l m = ∑ i [ ( δ j l δ k m − δ j m δ k l ) − δ i l ( δ j i δ k m − δ j m δ k i ) + δ i m ( δ j i δ k l − δ j l δ k i ) ] = 3 ( δ j l δ k m − δ j m δ k l ) − ( δ j l δ k m − δ j m δ k l ) + ( δ j m δ k l − δ j l δ k m ) = δ j l δ k m − δ j m δ k l {\\displaystyle {\\begin{aligned}\\sum _{i}\\varepsilon _{ijk}\\varepsilon _{ilm}&=\\sum _{i}[(\\delta _{jl}\\delta _{km}-\\delta _{jm}\\delta _{kl})-\\delta _{il}(\\delta _{ji}\\delta _{km}-\\delta _{jm}\\delta _{ki})+\\delta _{im}(\\delta _{ji}\\delta _{kl}-\\delta _{jl}\\delta _{ki})]\\\\&=3(\\delta _{jl}\\delta _{km}-\\delta _{jm}\\delta _{kl})-(\\delta _{jl}\\delta _{km}-\\delta _{jm}\\delta _{kl})+(\\delta _{jm}\\delta _{kl}-\\delta _{jl}\\delta _{km})\\\\&=\\delta _{jl}\\delta _{km}-\\delta _{jm}\\delta _{kl}\\end{aligned}}}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 104, "tag": "p", "text": "∑ i , j ε i j k ε i j l = ∑ j ∑ i ε i j k ε i j l = ∑ j ( δ j j δ k l − δ j l δ k j ) = 3 δ k l − δ k l = 2 δ k l {\\displaystyle \\sum _{i,j}\\varepsilon _{ijk}\\varepsilon _{ijl}=\\sum _{j}\\sum _{i}\\varepsilon _{ijk}\\varepsilon _{ijl}=\\sum _{j}(\\delta _{jj}\\delta _{kl}-\\delta _{jl}\\delta _{kj})=3\\delta _{kl}-\\delta _{kl}=2\\delta _{kl}}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 105, "tag": "p", "text": "∑ i , j , k ε i j k ε i j k = ∑ k ∑ i , j ε i j k ε i j k = ∑ k 2 δ k k = 6 {\\displaystyle \\sum _{i,j,k}\\varepsilon _{ijk}\\varepsilon _{ijk}=\\sum _{k}\\sum _{i,j}\\varepsilon _{ijk}\\varepsilon _{ijk}=\\sum _{k}2\\delta _{kk}=6}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 106, "tag": "p", "text": "", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 107, "tag": "p", "text": "定理", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 108, "tag": "p", "text": "次の式が成り立つ。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 109, "tag": "p", "text": "証明", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 110, "tag": "p", "text": "スカラー三重積の証明", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 111, "tag": "p", "text": "A ⋅ ( B × C ) = ∑ i A i [ B × C ] i = ∑ i , j , k ε i j k A i B j C k . B ⋅ ( C × A ) = ∑ j B j [ C × A ] j = ∑ i , j , k B j ε j k i C k A i = ∑ i , j , k ε i j k A i B j C k . C ⋅ ( A × B ) = ∑ k C k [ A × B ] k = ∑ i , j , k C k ε k i j A i B j = ∑ i , j , k ε i j k A i B j C k . {\\displaystyle {\\begin{aligned}{\\boldsymbol {A}}\\cdot ({\\boldsymbol {B}}\\times {\\boldsymbol {C}})&=\\sum _{i}A_{i}[{\\boldsymbol {B}}\\times {\\boldsymbol {C}}]_{i}\\\\&=\\sum _{i,j,k}\\varepsilon _{ijk}A_{i}B_{j}C_{k}.\\\\{\\boldsymbol {B}}\\cdot ({\\boldsymbol {C}}\\times {\\boldsymbol {A}})&=\\sum _{j}B_{j}[{\\boldsymbol {C}}\\times {\\boldsymbol {A}}]_{j}\\\\&=\\sum _{i,j,k}B_{j}\\varepsilon _{jki}C_{k}A_{i}\\\\&=\\sum _{i,j,k}\\varepsilon _{ijk}A_{i}B_{j}C_{k}.\\\\{\\boldsymbol {C}}\\cdot ({\\boldsymbol {A}}\\times {\\boldsymbol {B}})&=\\sum _{k}C_{k}[{\\boldsymbol {A}}\\times {\\boldsymbol {B}}]_{k}\\\\&=\\sum _{i,j,k}C_{k}\\varepsilon _{kij}A_{i}B_{j}\\\\&=\\sum _{i,j,k}\\varepsilon _{ijk}A_{i}B_{j}C_{k}.\\end{aligned}}}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 112, "tag": "p", "text": "ベクトル三重積の証明", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 113, "tag": "p", "text": "[ A × ( B × C ) ] i = ∑ j , k ε i j k A j [ B × C ] k = ∑ j , k , l , m ε i j k A j ε k l m B l C m = − ∑ j , k , l , m ε k j i ε k l m A j B l C m = − ∑ j , l , m ( δ j l δ i m − δ j m δ i l ) A j B l C m = ∑ j , l , m δ j m δ i l A j B l C m − ∑ j , l , m δ j l δ i m A j B l C m = ∑ j A j B i C j − ∑ j A j B j C i = ( A ⋅ C ) B i − ( A ⋅ B ) C i {\\displaystyle {\\begin{aligned}{[}{\\boldsymbol {A}}\\times ({\\boldsymbol {B}}\\times {\\boldsymbol {C}})]_{i}&=\\sum _{j,k}\\varepsilon _{ijk}A_{j}[{\\boldsymbol {B}}\\times {\\boldsymbol {C}}]_{k}\\\\&=\\sum _{j,k,l,m}\\varepsilon _{ijk}A_{j}\\varepsilon _{klm}B_{l}C_{m}\\\\&=-\\sum _{j,k,l,m}\\varepsilon _{kji}\\varepsilon _{klm}A_{j}B_{l}C_{m}\\\\&=-\\sum _{j,l,m}(\\delta _{jl}\\delta _{im}-\\delta _{jm}\\delta _{il})A_{j}B_{l}C_{m}\\\\&=\\sum _{j,l,m}\\delta _{jm}\\delta _{il}A_{j}B_{l}C_{m}-\\sum _{j,l,m}\\delta _{jl}\\delta _{im}A_{j}B_{l}C_{m}\\\\&=\\sum _{j}A_{j}B_{i}C_{j}-\\sum _{j}A_{j}B_{j}C_{i}\\\\&=({\\boldsymbol {A}}\\cdot {\\boldsymbol {C}})B_{i}-({\\boldsymbol {A}}\\cdot {\\boldsymbol {B}})C_{i}\\end{aligned}}}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 114, "tag": "p", "text": "スカラー四重積の証明", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 115, "tag": "p", "text": "スカラー三重積及びベクトル三重積を使うと", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 116, "tag": "p", "text": "( A × B ) ⋅ ( C × D ) = C ⋅ [ D × ( A × B ) ] = C ⋅ [ ( D ⋅ B ) A − ( D ⋅ A ) B ] = ( A ⋅ C ) B − ( A ⋅ B ) C . {\\displaystyle ({\\boldsymbol {A}}\\times {\\boldsymbol {B}})\\cdot ({\\boldsymbol {C}}\\times {\\boldsymbol {D}})={\\boldsymbol {C}}\\cdot [{\\boldsymbol {D}}\\times ({\\boldsymbol {A}}\\times {\\boldsymbol {B}})]={\\boldsymbol {C}}\\cdot [({\\boldsymbol {D}}\\cdot {\\boldsymbol {B}}){\\boldsymbol {A}}-({\\boldsymbol {D}}\\cdot {\\boldsymbol {A}}){\\boldsymbol {B}}]=({\\boldsymbol {A}}\\cdot {\\boldsymbol {C}}){\\boldsymbol {B}}-({\\boldsymbol {A}}\\cdot {\\boldsymbol {B}}){\\boldsymbol {C}}.}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 117, "tag": "p", "text": "ベクトル四重積の証明", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 118, "tag": "p", "text": "ベクトル三重積よりほとんど自明である。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 119, "tag": "p", "text": "ヤコビ恒等式の証明", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 120, "tag": "p", "text": "ベクトル三重積の公式を代入して計算するだけである。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 121, "tag": "p", "text": "上の表式を用いると、複雑な微分の計算を簡便に行なうことが出来る。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 122, "tag": "p", "text": "定理", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 123, "tag": "p", "text": "∇ × ( ∇ f ) = 0 {\\displaystyle \\nabla \\times (\\nabla f)=0}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 124, "tag": "p", "text": "∇ ⋅ ( ∇ × A ) = 0 {\\displaystyle \\nabla \\cdot (\\nabla \\times {\\boldsymbol {A}})=0}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 125, "tag": "p", "text": "が成り立つ。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 126, "tag": "p", "text": "証明", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 127, "tag": "p", "text": "[ ∇ × ( ∇ f ) ] i = ∑ j , k ε i j k ∂ j [ ∇ f ] k = ∑ j , k ε i j k ∂ j ∂ k f {\\displaystyle {\\begin{aligned}{[\\nabla \\times (\\nabla f)]}_{i}&=\\sum _{j,k}\\varepsilon _{ijk}\\partial _{j}[\\nabla f]_{k}\\\\&=\\sum _{j,k}\\varepsilon _{ijk}\\partial _{j}\\partial _{k}f\\end{aligned}}}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 128, "tag": "p", "text": "ここで、 ε i j k ∂ i ∂ j f {\\displaystyle \\varepsilon _{ijk}\\partial _{i}\\partial _{j}f} について、 i > j {\\displaystyle i>j} の項は、 ε j i k ∂ j ∂ i f = − ε i j k ∂ i ∂ j f {\\displaystyle \\varepsilon _{jik}\\partial _{j}\\partial _{i}f=-\\varepsilon _{ijk}\\partial _{i}\\partial _{j}f} と打ち消し合う( ε i j k ∂ i ∂ j f + ε j i k ∂ j ∂ i f = 0 {\\displaystyle \\varepsilon _{ijk}\\partial _{i}\\partial _{j}f+\\varepsilon _{jik}\\partial _{j}\\partial _{i}f=0} )。 i = j {\\displaystyle i=j} の項は ε i j k ∂ i ∂ j f = ε i i k ∂ i ∂ i f = 0 {\\displaystyle \\varepsilon _{ijk}\\partial _{i}\\partial _{j}f=\\varepsilon _{iik}\\partial _{i}\\partial _{i}f=0} となるので、結局最後の式は 0 である。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 129, "tag": "p", "text": "すなわち、 ∇ × ( ∇ f ) = 0 {\\displaystyle \\nabla \\times (\\nabla f)=0} を得る。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 130, "tag": "p", "text": "∇ ⋅ ( ∇ × A ) = ∑ i ∂ i [ ∇ × A ] i = ∑ i , j , k ∂ i ε i j k ∂ j A k = ∑ i , j , k ε i j k ∂ i ∂ j A k {\\displaystyle {\\begin{aligned}\\nabla \\cdot (\\nabla \\times {\\boldsymbol {A}})&=\\sum _{i}\\partial _{i}[\\nabla \\times {\\boldsymbol {A}}]_{i}\\\\&=\\sum _{i,j,k}\\partial _{i}\\varepsilon _{ijk}\\partial _{j}A_{k}\\\\&=\\sum _{i,j,k}\\varepsilon _{ijk}\\partial _{i}\\partial _{j}A_{k}\\\\\\end{aligned}}}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 131, "tag": "p", "text": "ここで、 ε i j k ∂ i ∂ j A k {\\displaystyle \\varepsilon _{ijk}\\partial _{i}\\partial _{j}A_{k}} について、 i > j {\\displaystyle i>j} の項は、 ε j i k ∂ j ∂ i A k = − ε i j k ∂ i ∂ j A k {\\displaystyle \\varepsilon _{jik}\\partial _{j}\\partial _{i}A_{k}=-\\varepsilon _{ijk}\\partial _{i}\\partial _{j}A_{k}} と打ち消し合う( ε i j k ∂ i ∂ j A k + ε j i k ∂ j ∂ i A k = 0 {\\displaystyle \\varepsilon _{ijk}\\partial _{i}\\partial _{j}A_{k}+\\varepsilon _{jik}\\partial _{j}\\partial _{i}A_{k}=0} )。 i = j {\\displaystyle i=j} の項は ε i j k ∂ i ∂ j A k = ε i i k ∂ i ∂ i A k = 0 {\\displaystyle \\varepsilon _{ijk}\\partial _{i}\\partial _{j}A_{k}=\\varepsilon _{iik}\\partial _{i}\\partial _{i}A_{k}=0} となるので、結局最後の式は 0 である。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 132, "tag": "p", "text": "すなわち、 ∇ ⋅ ( ∇ × A ) = 0 {\\displaystyle \\nabla \\cdot (\\nabla \\times {\\boldsymbol {A}})=0} を得る。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 133, "tag": "p", "text": "定理", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 134, "tag": "p", "text": "∇ ⋅ ( A × B ) = ( ∇ × A ) ⋅ B − A ⋅ ( ∇ × B ) {\\displaystyle \\nabla \\cdot ({\\boldsymbol {A}}\\times {\\boldsymbol {B}})=(\\nabla \\times {\\boldsymbol {A}})\\cdot {\\boldsymbol {B}}-{\\boldsymbol {A}}\\cdot (\\nabla \\times {\\boldsymbol {B}})}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 135, "tag": "p", "text": "∇ × ( A × B ) = ( B ⋅ ∇ ) A − ( A ⋅ ∇ ) B + A ( ∇ ⋅ B ) − B ( ∇ ⋅ A ) {\\displaystyle \\nabla \\times ({\\boldsymbol {A}}\\times {\\boldsymbol {B}})=({\\boldsymbol {B}}\\cdot \\nabla ){\\boldsymbol {A}}-({\\boldsymbol {A}}\\cdot \\nabla ){\\boldsymbol {B}}+{\\boldsymbol {A}}(\\nabla \\cdot {\\boldsymbol {B}})-{\\boldsymbol {B}}(\\nabla \\cdot {\\boldsymbol {A}})}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 136, "tag": "p", "text": "∇ ( A ⋅ B ) = A × ( ∇ × B ) + B × ( ∇ × A ) + ( A ⋅ ∇ ) B + ( B ⋅ ∇ ) A {\\displaystyle \\nabla ({\\boldsymbol {A}}\\cdot {\\boldsymbol {B}})={\\boldsymbol {A}}\\times (\\nabla \\times B)+{\\boldsymbol {B}}\\times (\\nabla \\times {\\boldsymbol {A}})+({\\boldsymbol {A}}\\cdot \\nabla ){\\boldsymbol {B}}+({\\boldsymbol {B}}\\cdot \\nabla ){\\boldsymbol {A}}}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 137, "tag": "p", "text": "が成り立つ。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 138, "tag": "p", "text": "証明", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 139, "tag": "p", "text": "∇ ⋅ ( A × B ) = ∑ i , j , k ∂ i ( ε i j k A j B k ) = ∑ i , j , k ε i j k ( ∂ i A j ) B k + ∑ i , j , k ε i j k A j ( ∂ i B k ) = ( ∇ × A ) ⋅ B − A ⋅ ( ∇ × B ) . {\\displaystyle {\\begin{aligned}\\nabla \\cdot ({\\boldsymbol {A}}\\times {\\boldsymbol {B}})&=\\sum _{i,j,k}\\partial _{i}(\\varepsilon _{ijk}A_{j}B_{k})\\\\&=\\sum _{i,j,k}\\varepsilon _{ijk}(\\partial _{i}A_{j})B_{k}+\\sum _{i,j,k}\\varepsilon _{ijk}A_{j}(\\partial _{i}B_{k})\\\\&=(\\nabla \\times {\\boldsymbol {A}})\\cdot {\\boldsymbol {B}}-{\\boldsymbol {A}}\\cdot (\\nabla \\times {\\boldsymbol {B}}).\\end{aligned}}}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 140, "tag": "p", "text": "[ ∇ × ( A × B ) ] i = ∑ j , k ε i j k ∂ j [ A × B ] k = ∑ j , k , l , m ε i j k ε k l m ∂ j ( A l B m ) = − ∑ j , k , l , m ε k j i ε k l m ∂ j ( A l B m ) = − ∑ j , l , m ( δ j l δ i m − δ j m δ i l ) ∂ j ( A l B m ) = ∑ j , l , m δ j m δ i l ∂ j ( A l B m ) − ∑ j , l , m δ j l δ i m ∂ j ( A l B m ) = ∑ j ∂ j ( A i B j ) − ∑ j ∂ j ( A j B i ) = ∑ j B j ∂ j A i + ∑ j A i ∂ j B j − ∑ j B i ∂ j A j − ∑ j A j ∂ j B i = ( B ⋅ ∇ ) A i + A i ( ∇ ⋅ B ) − ( A ⋅ ∇ ) B i − B i ( ∇ ⋅ A ) {\\displaystyle {\\begin{aligned}{[\\nabla \\times ({\\boldsymbol {A}}\\times {\\boldsymbol {B}})}]_{i}&=\\sum _{j,k}\\varepsilon _{ijk}\\partial _{j}[{\\boldsymbol {A}}\\times {\\boldsymbol {B}}]_{k}\\\\&=\\sum _{j,k,l,m}\\varepsilon _{ijk}\\varepsilon _{klm}\\partial _{j}(A_{l}B_{m})\\\\&=-\\sum _{j,k,l,m}\\varepsilon _{kji}\\varepsilon _{klm}\\partial _{j}(A_{l}B_{m})\\\\&=-\\sum _{j,l,m}(\\delta _{jl}\\delta _{im}-\\delta _{jm}\\delta _{il})\\partial _{j}(A_{l}B_{m})\\\\&=\\sum _{j,l,m}\\delta _{jm}\\delta _{il}\\partial _{j}(A_{l}B_{m})-\\sum _{j,l,m}\\delta _{jl}\\delta _{im}\\partial _{j}(A_{l}B_{m})\\\\&=\\sum _{j}\\partial _{j}(A_{i}B_{j})-\\sum _{j}\\partial _{j}(A_{j}B_{i})\\\\&=\\sum _{j}B_{j}\\partial _{j}A_{i}+\\sum _{j}A_{i}\\partial _{j}B_{j}-\\sum _{j}B_{i}\\partial _{j}A_{j}-\\sum _{j}A_{j}\\partial _{j}B_{i}\\\\&=({\\boldsymbol {B}}\\cdot \\nabla )A_{i}+A_{i}(\\nabla \\cdot {\\boldsymbol {B}})-({\\boldsymbol {A}}\\cdot \\nabla )B_{i}-B_{i}(\\nabla \\cdot {\\boldsymbol {A}})\\end{aligned}}}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 141, "tag": "p", "text": "より、 ∇ × ( A × B ) = ( B ⋅ ∇ ) A − ( A ⋅ ∇ ) B + A ( ∇ ⋅ B ) − B ( ∇ ⋅ A ) {\\displaystyle \\nabla \\times ({\\boldsymbol {A}}\\times {\\boldsymbol {B}})=({\\boldsymbol {B}}\\cdot \\nabla ){\\boldsymbol {A}}-({\\boldsymbol {A}}\\cdot \\nabla ){\\boldsymbol {B}}+{\\boldsymbol {A}}(\\nabla \\cdot {\\boldsymbol {B}})-{\\boldsymbol {B}}(\\nabla \\cdot {\\boldsymbol {A}})} が成り立つ。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 142, "tag": "p", "text": "[ ∇ ( A ⋅ B ) ] i = ∑ j ∂ i ( A j B j ) = ∑ j B j ∂ i A j + ∑ j A j ∂ i B j . {\\displaystyle {\\begin{aligned}{[\\nabla ({\\boldsymbol {A}}\\cdot {\\boldsymbol {B}})]}_{i}&=\\sum _{j}\\partial _{i}(A_{j}B_{j})\\\\&=\\sum _{j}B_{j}\\partial _{i}A_{j}+\\sum _{j}A_{j}\\partial _{i}B_{j}.\\\\\\end{aligned}}}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 143, "tag": "p", "text": "ここで、 [ A × ( ∇ × B ) ] i = ∑ j A j ∂ i B j − ( A ⋅ ∇ ) B i {\\displaystyle [{\\boldsymbol {A}}\\times (\\nabla \\times {\\boldsymbol {B}})]_{i}=\\sum _{j}A_{j}\\partial _{i}B_{j}-({\\boldsymbol {A}}\\cdot \\nabla ){\\boldsymbol {B}}_{i}} が成り立つので、これを第二項に代入する。第一項についても同様の式が成り立つため、これを代入すると結局、 ∇ ( A ⋅ B ) = A × ( ∇ × B ) + B × ( ∇ × A ) + ( A ⋅ ∇ ) B + ( B ⋅ ∇ ) A {\\displaystyle \\nabla ({\\boldsymbol {A}}\\cdot {\\boldsymbol {B}})={\\boldsymbol {A}}\\times (\\nabla \\times B)+{\\boldsymbol {B}}\\times (\\nabla \\times {\\boldsymbol {A}})+({\\boldsymbol {A}}\\cdot \\nabla ){\\boldsymbol {B}}+({\\boldsymbol {B}}\\cdot \\nabla ){\\boldsymbol {A}}} が得られる。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 144, "tag": "p", "text": "", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 145, "tag": "p", "text": "定理", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 146, "tag": "p", "text": "∇ ⋅ ( f A ) = ∇ f ⋅ A + f ∇ ⋅ A {\\displaystyle \\nabla \\cdot (f{\\boldsymbol {A}})=\\nabla f\\cdot {\\boldsymbol {A}}+f\\nabla \\cdot {\\boldsymbol {A}}}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 147, "tag": "p", "text": "∇ × ( f A ) = ∇ f × A + f ∇ × A {\\displaystyle \\nabla \\times (f{\\boldsymbol {A}})=\\nabla f\\times {\\boldsymbol {A}}+f\\nabla \\times {\\boldsymbol {A}}}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 148, "tag": "p", "text": "が成り立つ。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 149, "tag": "p", "text": "証明", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 150, "tag": "p", "text": "∇ ⋅ ( f A ) = ∑ i ∂ i ( f A i ) = ∑ i ( ∂ i f ) A i + ∑ i f ( ∂ i A i ) = ∇ f ⋅ A + f ∇ ⋅ A {\\displaystyle {\\begin{aligned}\\nabla \\cdot (f{\\boldsymbol {A}})&=\\sum _{i}\\partial _{i}(fA_{i})\\\\&=\\sum _{i}(\\partial _{i}f)A_{i}+\\sum _{i}f(\\partial _{i}A_{i})\\\\&=\\nabla f\\cdot {\\boldsymbol {A}}+f\\nabla \\cdot {\\boldsymbol {A}}\\end{aligned}}}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 151, "tag": "p", "text": "[ ∇ × f A ] i = ∑ j , k ε i j k ∂ j ( f A k ) = ∑ j , k ε i j k ∂ j f A k + ∑ j , k ε i j k f ∂ j A k = [ ∇ f × A ] i + [ f ∇ × A ] i {\\displaystyle {\\begin{aligned}{[\\nabla \\times f{\\boldsymbol {A}}]}_{i}&=\\sum _{j,k}\\varepsilon _{ijk}\\partial _{j}(fA_{k})\\\\&=\\sum _{j,k}\\varepsilon _{ijk}\\partial _{j}f\\,A_{k}+\\sum _{j,k}\\varepsilon _{ijk}f\\partial _{j}\\,A_{k}\\\\&={[\\nabla f\\times {\\boldsymbol {A}}]}_{i}+{[f\\nabla \\times {\\boldsymbol {A}}]}_{i}\\end{aligned}}}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 152, "tag": "p", "text": "定理", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 153, "tag": "p", "text": "∇ × ( ∇ × A ) = ∇ ( ∇ ⋅ A ) − Δ A {\\displaystyle \\nabla \\times (\\nabla \\times {\\boldsymbol {A}})=\\nabla (\\nabla \\cdot {\\boldsymbol {A}})-\\Delta {\\boldsymbol {A}}} が成り立つ。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 154, "tag": "p", "text": "証明", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 155, "tag": "p", "text": "[ ∇ × ( ∇ × A ) ] i = ∑ j , k ε i j k ∂ j [ ∇ × A ] k = ∑ j , k , l , m ε i j k ∂ j ε k l m ∂ l A m = ∑ j , k , l , m ε k i j ε k l m ∂ j ∂ l A m = ∑ j , l , m ( δ i l δ j m − δ i m δ j l ) ∂ j ∂ l A m = ∑ j , l , m δ i l δ j m ∂ j ∂ l A m − ∑ j , l , m δ i m δ j l ∂ j ∂ l A m = ∑ j ∂ i ∂ j A j − ∑ j ∂ j ∂ j A i {\\displaystyle {\\begin{aligned}{[}\\nabla \\times (\\nabla \\times {\\boldsymbol {A}}){]}_{i}&=\\sum _{j,k}\\varepsilon _{ijk}\\partial _{j}[\\nabla \\times {\\boldsymbol {A}}]_{k}\\\\&=\\sum _{j,k,l,m}\\varepsilon _{ijk}\\partial _{j}\\varepsilon _{klm}\\partial _{l}{A}_{m}\\\\&=\\sum _{j,k,l,m}\\varepsilon _{kij}\\varepsilon _{klm}\\partial _{j}\\partial _{l}A_{m}\\\\&=\\sum _{j,l,m}(\\delta _{il}\\delta _{jm}-\\delta _{im}\\delta _{jl})\\partial _{j}\\partial _{l}A_{m}\\\\&=\\sum _{j,l,m}\\delta _{il}\\delta _{jm}\\partial _{j}\\partial _{l}A_{m}-\\sum _{j,l,m}\\delta _{im}\\delta _{jl}\\partial _{j}\\partial _{l}A_{m}\\\\&=\\sum _{j}\\partial _{i}\\partial _{j}A_{j}-\\sum _{j}\\partial _{j}\\partial _{j}A_{i}\\end{aligned}}}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 156, "tag": "p", "text": "それぞれの成分について展開すると", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 157, "tag": "p", "text": "[ ∇ × ( ∇ × A ) ] 1 = ∂ 1 ( ∂ 1 A 1 + ∂ 2 A 2 + ∂ 3 A 3 ) − ( ∂ 1 2 + ∂ 2 2 + ∂ 3 2 ) A 1 {\\displaystyle {[}\\nabla \\times (\\nabla \\times {\\boldsymbol {A}}){]}_{1}=\\partial _{1}(\\partial _{1}A_{1}+\\partial _{2}A_{2}+\\partial _{3}A_{3})-(\\partial _{1}^{2}+\\partial _{2}^{2}+\\partial _{3}^{2})A_{1}}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 158, "tag": "p", "text": "[ ∇ × ( ∇ × A ) ] 2 = ∂ 2 ( ∂ 1 A 1 + ∂ 2 A 2 + ∂ 3 A 3 ) − ( ∂ 1 2 + ∂ 2 2 + ∂ 3 2 ) A 2 {\\displaystyle {[}\\nabla \\times (\\nabla \\times {\\boldsymbol {A}}){]}_{2}=\\partial _{2}(\\partial _{1}A_{1}+\\partial _{2}A_{2}+\\partial _{3}A_{3})-(\\partial _{1}^{2}+\\partial _{2}^{2}+\\partial _{3}^{2})A_{2}}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 159, "tag": "p", "text": "[ ∇ × ( ∇ × A ) ] 3 = ∂ 3 ( ∂ 1 A 1 + ∂ 2 A 2 + ∂ 3 A 3 ) − ( ∂ 1 2 + ∂ 2 2 + ∂ 3 2 ) A 3 {\\displaystyle {[}\\nabla \\times (\\nabla \\times {\\boldsymbol {A}}){]}_{3}=\\partial _{3}(\\partial _{1}A_{1}+\\partial _{2}A_{2}+\\partial _{3}A_{3})-(\\partial _{1}^{2}+\\partial _{2}^{2}+\\partial _{3}^{2})A_{3}}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 160, "tag": "p", "text": "である。これは ∇ × ( ∇ × A ) = ∇ ( ∇ ⋅ A ) − Δ A {\\displaystyle \\nabla \\times (\\nabla \\times {\\boldsymbol {A}})=\\nabla (\\nabla \\cdot {\\boldsymbol {A}})-\\Delta {\\boldsymbol {A}}} であることを意味する。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 161, "tag": "p", "text": "これらの計算は、電磁気学等で頻繁に用いられるので、よく練習しておかねばならない。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 162, "tag": "p", "text": "定理", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 163, "tag": "p", "text": "位置ベクトル r {\\displaystyle {\\boldsymbol {r}}} について r = | r | = x 2 + y 2 + z 2 {\\displaystyle r=|{\\boldsymbol {r}}|={\\sqrt {x^{2}+y^{2}+z^{2}}}} とすると、 ∇ r n = n r n − 2 r {\\displaystyle \\nabla r^{n}=nr^{n-2}{\\boldsymbol {r}}} である。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 164, "tag": "p", "text": "証明", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 165, "tag": "p", "text": "∂ ∂ x r n = n r n − 1 ∂ ∂ x x 2 + y 2 + z 2 = n r n − 1 x r = n r n − 2 x {\\displaystyle {\\frac {\\partial }{\\partial x}}r^{n}=nr^{n-1}{\\frac {\\partial }{\\partial x}}{\\sqrt {x^{2}+y^{2}+z^{2}}}=nr^{n-1}{\\frac {x}{r}}=nr^{n-2}x}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 166, "tag": "p", "text": "y , z {\\displaystyle y,z} についても同様である。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 167, "tag": "p", "text": "すなわち、 ∇ r n = ( n r n − 2 x n r n − 2 y n r n − 2 z ) = n r n − 2 r . {\\displaystyle \\nabla r^{n}={\\begin{pmatrix}nr^{n-2}x\\\\nr^{n-2}y\\\\nr^{n-2}z\\end{pmatrix}}=nr^{n-2}{\\boldsymbol {r}}.}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 168, "tag": "p", "text": "ここでは、極座標での勾配、発散、ラプラシアンを求める。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 169, "tag": "p", "text": "極座標では、位置ベクトルは r = ( x y z ) = ( r sin θ cos φ r sin θ sin φ r cos θ ) {\\displaystyle {\\boldsymbol {r}}={\\begin{pmatrix}x\\\\y\\\\z\\end{pmatrix}}={\\begin{pmatrix}r\\sin \\theta \\cos \\varphi \\\\r\\sin \\theta \\sin \\varphi \\\\r\\cos \\theta \\end{pmatrix}}} となる。正規直交基底は e r := ∂ r ∂ r | ∂ r ∂ r | = ( sin θ cos φ sin θ sin φ cos θ ) {\\displaystyle {\\boldsymbol {e}}_{r}:={\\frac {\\frac {\\partial {\\boldsymbol {r}}}{\\partial r}}{\\left|{\\frac {\\partial {\\boldsymbol {r}}}{\\partial r}}\\right|}}={\\begin{pmatrix}\\sin \\theta \\cos \\varphi \\\\\\sin \\theta \\sin \\varphi \\\\\\cos \\theta \\end{pmatrix}}} , e θ := ∂ r ∂ θ | ∂ r ∂ θ | = 1 r ( r cos θ cos φ r cos θ sin φ − r sin θ ) = ( cos θ cos φ cos θ sin φ − sin θ ) {\\displaystyle {\\boldsymbol {e}}_{\\theta }:={\\frac {\\frac {\\partial {\\boldsymbol {r}}}{\\partial \\theta }}{\\left|{\\frac {\\partial {\\boldsymbol {r}}}{\\partial \\theta }}\\right|}}={\\frac {1}{r}}{\\begin{pmatrix}r\\cos \\theta \\cos \\varphi \\\\r\\cos \\theta \\sin \\varphi \\\\-r\\sin \\theta \\end{pmatrix}}={\\begin{pmatrix}\\cos \\theta \\cos \\varphi \\\\\\cos \\theta \\sin \\varphi \\\\-\\sin \\theta \\end{pmatrix}}} , e φ := ∂ r ∂ φ | ∂ r ∂ φ | = 1 r sin θ ( − r sin θ sin φ r sin θ cos φ 0 ) = ( − sin φ cos φ 0 ) {\\displaystyle {\\boldsymbol {e}}_{\\varphi }:={\\frac {\\frac {\\partial {\\boldsymbol {r}}}{\\partial \\varphi }}{\\left|{\\frac {\\partial {\\boldsymbol {r}}}{\\partial \\varphi }}\\right|}}={\\frac {1}{r\\sin \\theta }}{\\begin{pmatrix}-r\\sin \\theta \\sin \\varphi \\\\r\\sin \\theta \\cos \\varphi \\\\0\\end{pmatrix}}={\\begin{pmatrix}-\\sin \\varphi \\\\\\cos \\varphi \\\\0\\end{pmatrix}}} である。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 170, "tag": "p", "text": "微小変位ベクトル d r = d x e x + d y e y + d z e z {\\displaystyle d{\\boldsymbol {r}}=dx{\\boldsymbol {e}}_{x}+dy{\\boldsymbol {e}}_{y}+dz{\\boldsymbol {e}}_{z}} は極座標では、", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 171, "tag": "p", "text": "d r = ∂ r ∂ r d r + ∂ r ∂ θ d θ + ∂ r ∂ φ d φ = | ∂ r ∂ r | e r d r + | ∂ r ∂ θ | e θ d θ + | ∂ r ∂ φ | e φ d φ = e r d r + r e θ d θ + r sin θ e φ d φ {\\displaystyle {\\begin{aligned}d{\\boldsymbol {r}}&={\\frac {\\partial {\\boldsymbol {r}}}{\\partial r}}dr+{\\frac {\\partial {\\boldsymbol {r}}}{\\partial \\theta }}d\\theta +{\\frac {\\partial {\\boldsymbol {r}}}{\\partial \\varphi }}d\\varphi \\\\&=\\left|{\\frac {\\partial {\\boldsymbol {r}}}{\\partial r}}\\right|{\\boldsymbol {e}}_{r}dr+\\left|{\\frac {\\partial {\\boldsymbol {r}}}{\\partial \\theta }}\\right|{\\boldsymbol {e}}_{\\theta }d\\theta +\\left|{\\frac {\\partial {\\boldsymbol {r}}}{\\partial \\varphi }}\\right|{\\boldsymbol {e}}_{\\varphi }d\\varphi \\\\&={\\boldsymbol {e}}_{r}dr+r{\\boldsymbol {e}}_{\\theta }d\\theta +r\\sin \\theta {\\boldsymbol {e}}_{\\varphi }d\\varphi \\end{aligned}}}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 172, "tag": "p", "text": "と書ける。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 173, "tag": "p", "text": "関数 f {\\displaystyle f} の全微分 d f {\\displaystyle df} は d f = d f d x d x + d f d y d y + d f d z d z = ∇ f ⋅ d r {\\displaystyle df={\\frac {df}{dx}}dx+{\\frac {df}{dy}}dy+{\\frac {df}{dz}}dz=\\nabla f\\cdot d{\\boldsymbol {r}}} となる。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 174, "tag": "p", "text": "極座標での発散を ∇ f = ∇ r f e r + ∇ θ f e θ + ∇ φ f e φ {\\displaystyle \\nabla f=\\nabla _{r}f\\,{\\boldsymbol {e}}_{r}+\\nabla _{\\theta }f\\,{\\boldsymbol {e}}_{\\theta }+\\nabla _{\\varphi }f\\,{\\boldsymbol {e}}_{\\varphi }} とすると、 d f = ∇ f ⋅ d r = ( ∇ r f e r + ∇ θ f e θ + ∇ φ f e φ ) ⋅ ( e r d r + r e θ d θ + r sin θ e φ d φ ) = ∇ r f d r + r ∇ θ f d θ + r sin θ ∇ φ f d φ {\\displaystyle {\\begin{aligned}df&=\\nabla f\\cdot d{\\boldsymbol {r}}\\\\&=(\\nabla _{r}f\\,{\\boldsymbol {e}}_{r}+\\nabla _{\\theta }f\\,{\\boldsymbol {e}}_{\\theta }+\\nabla _{\\varphi }f\\,{\\boldsymbol {e}}_{\\varphi })\\cdot ({\\boldsymbol {e}}_{r}dr+r{\\boldsymbol {e}}_{\\theta }d\\theta +r\\sin \\theta {\\boldsymbol {e}}_{\\varphi }d\\varphi )\\\\&=\\nabla _{r}f\\,dr+r\\nabla _{\\theta }f\\,d\\theta +r\\sin \\theta \\nabla _{\\varphi }f\\,d\\varphi \\end{aligned}}}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 175, "tag": "p", "text": "である。これと極座標での全微分 d f = ∂ f ∂ r d r + ∂ f ∂ θ d θ + ∂ f ∂ φ d φ {\\displaystyle df={\\frac {\\partial f}{\\partial r}}dr+{\\frac {\\partial f}{\\partial \\theta }}d\\theta +{\\frac {\\partial f}{\\partial \\varphi }}d\\varphi } と比較すると、", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 176, "tag": "p", "text": "∇ r f = ∂ f ∂ r , ∇ θ f = 1 r ∂ f ∂ θ , ∇ φ f = 1 r sin θ ∂ f ∂ φ {\\displaystyle \\nabla _{r}f={\\frac {\\partial f}{\\partial r}},\\nabla _{\\theta }f={\\frac {1}{r}}{\\frac {\\partial f}{\\partial \\theta }},\\nabla _{\\varphi }f={\\frac {1}{r\\sin \\theta }}{\\frac {\\partial f}{\\partial \\varphi }}{}} を得る。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 177, "tag": "p", "text": "すなわち、極座標での発散は ∇ f = ∂ f ∂ r + 1 r ∂ f ∂ θ + 1 r sin θ ∂ f ∂ φ {\\displaystyle \\nabla f={\\frac {\\partial f}{\\partial r}}+{\\frac {1}{r}}{\\frac {\\partial f}{\\partial \\theta }}+{\\frac {1}{r\\sin \\theta }}{\\frac {\\partial f}{\\partial \\varphi }}{}} である。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 178, "tag": "p", "text": "基底ベクトルの微分は、", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 179, "tag": "p", "text": "∂ e r ∂ r = 0 , ∂ e r ∂ θ = e θ , ∂ e r ∂ φ = sin θ e φ {\\displaystyle {\\frac {\\partial {\\boldsymbol {e}}_{r}}{\\partial r}}=0,{\\frac {\\partial {\\boldsymbol {e}}_{r}}{\\partial \\theta }}={\\boldsymbol {e}}_{\\theta },{\\frac {\\partial {\\boldsymbol {e}}_{r}}{\\partial \\varphi }}=\\sin \\theta {\\boldsymbol {e}}_{\\varphi }}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 180, "tag": "p", "text": "∂ e θ ∂ r = 0 , ∂ e θ ∂ θ = − e r , ∂ e θ ∂ φ = cos θ e φ {\\displaystyle {\\frac {\\partial {\\boldsymbol {e}}_{\\theta }}{\\partial r}}=0,{\\frac {\\partial {\\boldsymbol {e}}_{\\theta }}{\\partial \\theta }}=-{\\boldsymbol {e}}_{r},{\\frac {\\partial {\\boldsymbol {e}}_{\\theta }}{\\partial \\varphi }}=\\cos \\theta {\\boldsymbol {e}}_{\\varphi }}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 181, "tag": "p", "text": "∂ e φ ∂ r = 0 , ∂ e φ ∂ θ = 0 , ∂ e φ ∂ φ = − cos θ e r − sin θ e θ {\\displaystyle {\\frac {\\partial {\\boldsymbol {e}}_{\\varphi }}{\\partial r}}=0,{\\frac {\\partial {\\boldsymbol {e}}_{\\varphi }}{\\partial \\theta }}=0,{\\frac {\\partial {\\boldsymbol {e}}_{\\varphi }}{\\partial \\varphi }}=-\\cos \\theta {\\boldsymbol {e}}_{r}-\\sin \\theta {\\boldsymbol {e}}_{\\theta }}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 182, "tag": "p", "text": "であることを使って極座標でのベクトル A {\\displaystyle {\\boldsymbol {A}}} の発散を計算すると、", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 183, "tag": "p", "text": "∇ ⋅ A = ( e r ∂ f ∂ r + e θ 1 r ∂ ∂ θ + e φ 1 r sin θ ∂ f ∂ φ ) ⋅ ( A r e r + A θ e θ + A φ e φ ) = e r ⋅ ( ∂ A r ∂ r e r ) + 1 r e θ ⋅ ( ∂ A θ ∂ θ e θ + A r e θ ) + 1 r sin θ e φ ⋅ ( ∂ A φ ∂ φ e φ + A r sin θ e φ + A θ cos θ e φ ) = 1 r 2 ∂ ( r 2 A r ) ∂ r + 1 r sin θ ∂ ( sin θ A θ ) ∂ θ + 1 r sin θ ∂ A φ ∂ φ {\\displaystyle {\\begin{aligned}\\nabla \\cdot A&=\\left({\\boldsymbol {e}}_{r}{\\frac {\\partial f}{\\partial r}}+{\\boldsymbol {e}}_{\\theta }{\\frac {1}{r}}{\\frac {\\partial }{\\partial \\theta }}+{\\boldsymbol {e}}_{\\varphi }{\\frac {1}{r\\sin \\theta }}{\\frac {\\partial f}{\\partial \\varphi }}\\right)\\cdot (A_{r}{\\boldsymbol {e}}_{r}+A_{\\theta }{\\boldsymbol {e}}_{\\theta }+A_{\\varphi }{\\boldsymbol {e}}_{\\varphi })\\\\&={\\boldsymbol {e}}_{r}\\cdot \\left({\\frac {\\partial A_{r}}{\\partial r}}{\\boldsymbol {e}}_{r}\\right)+{\\frac {1}{r}}{\\boldsymbol {e}}_{\\theta }\\cdot \\left({\\frac {\\partial A_{\\theta }}{\\partial \\theta }}{\\boldsymbol {e}}_{\\theta }+A_{r}{\\boldsymbol {e}}_{\\theta }\\right)+{\\frac {1}{r\\sin \\theta }}{\\boldsymbol {e}}_{\\varphi }\\cdot \\left({\\frac {\\partial A_{\\varphi }}{\\partial \\varphi }}{\\boldsymbol {e}}_{\\varphi }+A_{r}\\sin \\theta {\\boldsymbol {e}}_{\\varphi }+A_{\\theta }\\cos \\theta {\\boldsymbol {e}}_{\\varphi }\\right)\\\\&={\\frac {1}{r^{2}}}{\\frac {\\partial (r^{2}A_{r})}{\\partial r}}+{\\frac {1}{r\\sin \\theta }}{\\frac {\\partial (\\sin \\theta A_{\\theta })}{\\partial \\theta }}+{\\frac {1}{r\\sin \\theta }}{\\frac {\\partial A_{\\varphi }}{\\partial \\varphi }}\\end{aligned}}}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 184, "tag": "p", "text": "となる。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 185, "tag": "p", "text": "また、ラプラシアンに極座標での勾配と発散を代入すると、", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 186, "tag": "p", "text": "Δ f = ∇ ⋅ ∇ f = 1 r 2 ∂ ∂ r ( r 2 ∂ f ∂ r ) + 1 r 2 sin θ ∂ ∂ θ ( sin θ ∂ f ∂ θ ) + 1 r 2 sin 2 θ ∂ 2 f ∂ φ 2 {\\displaystyle \\Delta f=\\nabla \\cdot \\nabla f={\\frac {1}{r^{2}}}{\\frac {\\partial }{\\partial r}}\\left(r^{2}{\\frac {\\partial f}{\\partial r}}\\right)+{\\frac {1}{r^{2}\\sin \\theta }}{\\frac {\\partial }{\\partial \\theta }}\\left(\\sin \\theta {\\frac {\\partial f}{\\partial \\theta }}\\right)+{\\frac {1}{r^{2}\\sin ^{2}\\theta }}{\\frac {\\partial ^{2}f}{\\partial \\varphi ^{2}}}}", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 187, "tag": "p", "text": "となり、ラプラシアンの極座標表示が得られた。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 188, "tag": "p", "text": "物理の計算においては、テンソルと呼ばれる量が 頻繁に用いられる。これは3次元における電磁気学の計算や、 古典力学における慣性モーメントなどで用いられるが、 特殊相対論、一般相対論においても用いられる。 ただし、特に一般相対論においては、計量テンソルと呼ばれる 特殊なテンソルが導入されるため、計算が非常に複雑になる。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 189, "tag": "p", "text": "ここでは、主に3次元のテンソル計算を扱うが、 特殊相対論における計算も少し扱う。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 190, "tag": "p", "text": "まずは、テンソルを定義する。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 191, "tag": "p", "text": "あるn次元のベクトルを考える。 このベクトルに対して、一般にあるベクトルからそれと同じ 次元のベクトルに変換するような線形変換を考えることが出来る。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 192, "tag": "p", "text": "この変換は、そのベクトルを同じ次元のベクトルに変換することから、 n*nの行列で書けることが分かる。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 193, "tag": "p", "text": "さて、次にこれらのベクトルのいくつかの(m個とする。)直積を取って、 mn個の要素を含む列ベクトルを作ることを考える。 直積の取り方については、物理数学Iを参照。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 194, "tag": "p", "text": "この操作によってできたmnベクトルは、上の行列によって表わされる n行のベクトルから出来たm次のテンソルの一種となっている。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 195, "tag": "p", "text": "ただし、一般のテンソルはもう少し複雑で、 既に上で得たベクトルとのつながりを忘れてしまったmn次元のベクトルが 上と同じ様な変換性を持つとき、これを上のベクトルに対する m次のテンソルと呼ぶ。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 196, "tag": "p", "text": "ここでは、さらにこれらのテンソルが従う変換の行列を 構成することを考える。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 197, "tag": "p", "text": "ここで、先ほど定めたmn行のベクトルの成分のうち、直積を取られる前は別の ベクトルだった部分のそれぞれが、直積を取られる前と同じように変換するような mn*mn次の変換行列を作りたい。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 198, "tag": "p", "text": "このためには、先ほど定めたn*nの行列による変換のm回の直積を取って、 mn*mnの行列を作ればよい。 このとき行列の直積の性質", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 199, "tag": "p", "text": "から、 この行列が先ほどの性質を満たすことが分かる。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 200, "tag": "p", "text": "ここで、これらの行列やベクトルは添字をうまくつけることによって 書き表すことが出来る。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 201, "tag": "p", "text": "先ほど述べたうち、元々のベクトルを", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 202, "tag": "p", "text": "と書く。 次に、元々のベクトルを変換する行列を", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 203, "tag": "p", "text": "と書くと、この行列により変換された後のベクトルは、", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 204, "tag": "p", "text": "で表わされる。 ここで、行列を添字を用いて計算する方法を使った。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 205, "tag": "p", "text": "ただし、物理の計算においては、 \"同じ式の中に同じ添字が2回出て来たとき、この2つの添字を 足し合わせる\"という規約を用いることが多い。 これをEinsteinの規約と呼び、一般相対論でEinsteinが用いてから よく使われるようになった。 この規約を用いると、上の式は簡単に、", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 206, "tag": "p", "text": "と書かれる。以下の計算では、常にこの規約を用い、 この規約が適用されないところでは、注意書きを行なうこととする。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 207, "tag": "p", "text": "さらに、元々のベクトルの直積は、", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 208, "tag": "p", "text": "となる。 ただし、ここでは、簡単にするためm=2と定めた。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 209, "tag": "p", "text": "これらを変換するmn*mn行列は", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 210, "tag": "p", "text": "となる。 また、これらの行列によって変換されたベクトルは、", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 211, "tag": "p", "text": "で表わされる。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 212, "tag": "p", "text": "これらの変換則から一般的なテンソルを構成することが出来る。 例えば、ここでもm =2と定める。上の議論からこの量は 2つの添字を用いて、", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 213, "tag": "p", "text": "と書くことが出来、この量が従う変換則は、", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 214, "tag": "p", "text": "となることがわかる。この量をある変換 Λ {\\displaystyle \\Lambda } に対する、 2次のテンソルと呼ぶ。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 215, "tag": "p", "text": "ここでは、テンソルの代数を定義した。このことを用いて、 ここからはより複雑な微分を見て行く。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 216, "tag": "p", "text": "多変数関数の積分は1変数の場合の拡張によって定義される。 特に、いくつかの計算は物理的な意味が明確であるので 物理数学においても扱われることが多い。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 217, "tag": "p", "text": "", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 218, "tag": "p", "text": "ここで直交座標系を用いた場合について、 ある定理を導出する。 この定理は、ベクトルの発散という量の物理的意味を 与えてくれる点で重要である。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 219, "tag": "p", "text": "が成り立つ。 ここで、左辺の体積積分はある領域について行なわれ、 右辺の表面積分は、その領域を囲む面積全体に対して 行なわれる。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 220, "tag": "p", "text": "この定理をガウスの定理と呼ぶ。 ガウスは19世紀の非常に有名な数学者の名前である。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 221, "tag": "p", "text": "導出に移る前に、この定理の意味を述べる。 まずは右辺に注目する。右辺の被積分関数", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 222, "tag": "p", "text": "は、ある点での面積要素に垂直な", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 223, "tag": "p", "text": "の値を表わしている。これは例えば、", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 224, "tag": "p", "text": "が、流体力学でいう流体の流れる速度を表わすベクトルだったとするなら、 その流れのうちで今定めた面積要素から流れだす流量を表わしている。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 225, "tag": "p", "text": "この量を領域Vを囲む表面全体で足し合わせることから、この量は 領域Vから流れ出す流体の流量の和に等しいことが分かる。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 226, "tag": "p", "text": "ここで、領域Vの中に流体がわきだして来るような場所が合ったとすると、このとき 領域Vから流れ出す流量は、有限になると考えられる。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 227, "tag": "p", "text": "このためには、左辺で", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 228, "tag": "p", "text": "が流体のわきだしの回りで有限になっていなければならない。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 229, "tag": "p", "text": "これらのことからベクトルの発散は、", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 230, "tag": "p", "text": "の意味は、ベクトルAのわきだしに対応していることが分かる。 発散という名前は、ベクトルAがどこからか現われて、回りに広がって行く 様子から来ている。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 231, "tag": "p", "text": "ここからは、この定理の導出に移る。ただし、ここでの導出は直観的なものであり、 局限移行等については数学的に厳密なものではないことを注意しておく。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 232, "tag": "p", "text": "", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 233, "tag": "p", "text": "まず、ある領域Vを非常に小さい立方体の領域 v i {\\displaystyle v_{i}} に分割する。 領域Vがどんな形であっても、このことは常に可能だと期待される。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 234, "tag": "p", "text": "ここで、ある互いに接し合う2つの小さい領域 v 1 {\\displaystyle v_{1}} と v 2 {\\displaystyle v_{2}} について この定理が示されたとする。 このとき、領域 v 1 {\\displaystyle v_{1}} と領域が v 2 {\\displaystyle v_{2}} 接している面を考える。 それぞれの領域からの寄与は、その点でのベクトルの大きさと その面積要素の大きさが同じであることから同じであると考えられ、 また、それらは互いに接しているので、面積分の性質から見て、 それらの寄与は互いに異なった符合を持っている。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 235, "tag": "p", "text": "ここで、今考えている領域2つを張りつけて新しい領域 v 3 {\\displaystyle v_{3}} を作り、この領域について元の式の左辺を計算すると、 その量は、", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 236, "tag": "p", "text": "となる。ここで、右辺についても互いに重なった部分の寄与が打ち消し合うことから、", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 237, "tag": "p", "text": "のように v 3 {\\displaystyle v_{3}} の回りについて元の式の表式が成り立っている。 ここで v 3 {\\displaystyle v_{3}} の囲む領域の表面として", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 238, "tag": "p", "text": "という表式を導入した。実際にはこの表式は数学の本から来ており、 物理の本でも割合よく用いられる。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 239, "tag": "p", "text": "結局、小さい立方体についてこの定理が示されれば、元の領域についても この定理が正しいことが分かった。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 240, "tag": "p", "text": "次にこのことが実際小さい立方体について正しいことを見る。 立方体の辺の長さを ε {\\displaystyle \\epsilon } とする。 このとき、元の式について", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 241, "tag": "p", "text": "となる。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 242, "tag": "p", "text": "更に、右辺については", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 243, "tag": "p", "text": "のような表式が得られる。この式は、それぞれの面に対する面積分をあからさまに 積分したものである。ここで、特にそれぞれの面の中心を通るように 積分の点を選んでいる。これは、局限移行をうまく行なうためだが、 もう少し違った点を選んでも結果を得ることは出来る。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 244, "tag": "p", "text": "次に、上の表式を ε {\\displaystyle \\epsilon } についてテイラー展開する。このとき、", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 245, "tag": "p", "text": "が得られる。 これをまとめると、", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 246, "tag": "p", "text": "が得られるが、これはちょうど左辺からの式と一致している。 よって、小さい立方体についてはこの定理は正しい。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 247, "tag": "p", "text": "次にベクトルの回転の物理的意味を特徴づける定理を扱う。 まずは定理を述べる。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 248, "tag": "p", "text": "が成り立つ。 ここで、この式の左辺はある面積Sについて積分し、 この式の右辺は、その面積の外周についての線積分を行なう。 ここでも、ある面積Sの外周のことを、", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 249, "tag": "p", "text": "と書くことがある。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 250, "tag": "p", "text": "この定理をストークスの定理と呼ぶ。 例えば、", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 251, "tag": "p", "text": "を流体の速度ベクトルとしてみる。このとき、速度ベクトルをある面積の 外周について積分したとき、その値はその面積内の速度の回転の積分に 等しい。このことは、速度ベクトルの回転が、これらの流体の渦のような ものに対応していることを示している。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 252, "tag": "p", "text": "実際、流体力学では", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 253, "tag": "p", "text": "のことを渦度と呼び、流体中の渦の様子を示す重要な量となっている。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 254, "tag": "p", "text": "この様に、ベクトルの回転はそのベクトルについてある閉じた経路について 積分したものに対応している。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 255, "tag": "p", "text": "が全ての点で成り立つ場合、全ての閉経路に対する線積分は0に等しくなる。 これは、流体でいうと渦無しの流れに対応している。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 256, "tag": "p", "text": "また、この結果は複素解析の線積分の定理の1つに対応しており、その面からも 重要である。複素解析については、物理数学IIで扱う予定である。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 257, "tag": "p", "text": "まず、ある面積Sを辺の長さが ε {\\displaystyle \\epsilon } に等しい小さな正方形に分ける。 正方形の大きさが十分小さいとき、このことは常に可能であると期待できる。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 258, "tag": "p", "text": "ここで、互いに接している小さい正方形についてそれぞれの辺からの線積分の寄与は、 大きさが等しく、符合が反対であることが分かる。このことは、線積分の 経路を反時計回りに取るというきまりを守っていると、その辺で接するためには 積分の向きが逆になっていなくてはいけないということによる。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 259, "tag": "p", "text": "ここで、今挙げた小さな2つの正方形を張り付けた長方形について 同じ計算を行なう。このとき、互いに張りついた1つの辺からの寄与は打ち消し あうので、同じ計算が張りつけた後の長方形についても成り立つ。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 260, "tag": "p", "text": "このことを繰りかえせば、小さな正方形についてこの定理が成り立ったとき、 元々の領域についてもこの定理が成り立つと期待できる。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 261, "tag": "p", "text": "さて、ここで、辺の長さが ε {\\displaystyle \\epsilon } に等しい正方形についてこの定理が 成り立っていることを示す。 これらの正方形の各辺に平行になるように、x,y軸を取って", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 262, "tag": "p", "text": "の左辺を計算すると、", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 263, "tag": "p", "text": "が成り立つ。 次に右辺について、", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 264, "tag": "p", "text": "が得られるが、これは右辺の表式と等しい。 よって、小さい正方形についてこの定理は示された。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 265, "tag": "p", "text": "また、以前の議論からこのとき元の領域についてもこの定理は正しいことが 分かっている。よって、全ての領域について、この定理は正しいことが 示された。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 266, "tag": "p", "text": "直交座標系でないときにも grad,div,rotを計算することが出来る。 ここではまず、座標系の定義を行なうことから始める。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 267, "tag": "p", "text": "", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 268, "tag": "p", "text": "また、上の議論からこのことは全ての領域Vに対してもこの定理が正しいことを 示している。", "title": "ベクトル解析の公式" }, { "paragraph_id": 269, "tag": "p", "text": "この定理は電磁気学で頻繁に用いられる重要な定理である。", "title": "ベクトル解析の公式" } ]
物理数学I > ベクトル解析
<small> [[物理数学I]] > ベクトル解析</small> ==ベクトル解析== ここでは、ベクトル解析について解説を行なう。 ベクトル解析は、主に多変数関数の微積分と関連しているが、 特にそれらのうちには計算自体に明確な物理的意味を 持つものがいくつか見られる。歴史的にもこの分野は 数学と物理の間のフィードバックを通して発展して来た。 <!-- 現代では数学と物理の間は広がってしまっているが、 --> そのため、計算においては物理的な意味を強調していきたい。 また、特にいくつかの定理は数学的に厳密な証明をすることが 難しい。その様なときには常識的に古典的な物理学の範囲で 起こる現象で適用できる程度に、一般的に 書くことにしたいと思う。 また、現代的にはこの分野は微分形式を用いて書かれることが多いが、 ここではまず最初に古典的な計算法を扱う。 これは、特に物理を専攻としない学習者に配慮するためである。 例えば、電気技術者や機械技術者もベクトル解析は依然として学ばねば ならず、彼らに取っては微分形式の理論はそれほど有用とはいえないものと 思われる。 ベクトル解析の理論は特に電磁気学と関連が深いが、これらの結果は 流体力学や量子力学など、様々な分野で登場する物理の根幹を成す計算法であり、 学習者は十分これらの手法に習熟することが求められる。 なお、ベクトル自体の性質については[[線型代数学/ベクトル]]を参照していただきたい。 ===ベクトル関数の定義=== ====ベクトル関数の定義==== 例えば3次元ベクトルで :<math> \vec r = (x,y,z) </math> とするとき、ある変数tについて x,y,z が、 :<math> (x,y,z) = (x(t),y(t),z(t)) </math> で表わされるとき、 :<math> \vec r </math> を、ベクトルの関数と呼ぶ。 これは、tを時間と見なすときにはある3次元空間中を 物体が動いて行く軌跡の値と見なすことが出来る。 例えば、 :<math> x= t, y=0,z = 0 </math> という軌跡を与えたとき、この値は 物体がxの方向に速度1で等速直線運動しているものとみなすことが できる。 ただし、この定義自体は3次元にとどまらず容易にn次元に拡張することが 出来る。 例えば、 :<math> (x _1,x _2,\cdots ,x _n) = (x _1(t),x _2(t),\cdots ,x _n(t)) </math> のようにn次元のベクトルを取ったときに、そのうちの各要素が ある独立変数tだけに依存すると考えることが出来るとき これは、n次元空間の中の物体の軌跡と考えることが出来る。 ====ベクトルの微分==== ここでは、ベクトルの微分を定義する。 例えば、1次元においては、物体の速度は :<math> \dot x = \frac {x(t+dt) - x(t)}{dt} </math> で与えられた。この値はある時間における物体の 位置の変化率という直接的な物理的意味を持っている。 これらの自然な拡張として一般的な次元において、 :<math> \dot r = \frac {\vec r(t+dt) - \vec r(t)}{dt} </math> によって、ベクトルの微分を定義する。 例えば、1次元空間に限ったときにはこの結果は上の式と一致することが分かる。 このことによって、例えば :<math> (x,y) = (x(t), y(t)) </math> という2次元ベクトルを取ったとき、 物体の速度のx方向成分は :<math> \dot x = \frac {x(t+dt) - x(t)}{dt} </math> によって与えられ、物体の位置のx方向成分のみによることが示唆される。 同様に 物体の速度のy方向成分は 物体の位置のy方向成分のみによっている。 このことは一見当然のように思えるが、実際にはそうではなく 我々が用いている座標系によっている。 例えば、2次元の極座標を用いてみると、 :<math> \vec x = x \vec e _x + y \vec e _y = r \vec e _r </math> と書けるが、 この式を正しく微分すると、 :<math> \vec v = \dot r \vec e _r + r \dot \theta \vec e _\theta </math> が得られ、速度の<math>\theta</math>成分は、物体のr成分にも依存している。 このことは、直接的には<math>\vec e _r</math>自身が時間依存性を持っている。 我々が通常用いる(x,y,z)という座標系は 通常直交座標系と呼ばれるが、(デカルト座標系と呼ばれることも多い。) これらの座標軸の方向は時間的に変わることが無いので、 微分の性質が非常に簡単になっている。 しかし、実際にある物体の動きを記述するとき、直交座標系を用いるより、 その動きに特徴的な量をパラメーターとして用いた方が記述が簡明に なることがある。例えば、太陽のまわりを円運動する惑星の 動きを記述するには、極座標を用いると、物体の運動がもっとも簡潔に記述される。 この様に、運動の種類によって用いるべき座標系が変わって来るため、 それぞれの間の緒量の変化、つまり微分や積分の性質を調べることが重要に なる。 ====関数の勾配==== ここまでで一般的な微分の方法を見た。 ここでは、特に物理的に重要なベクトルの作り方を 見る。 ある関数f(x,y,z) があるものとする。 このとき、 :<math> \textrm{grad} f = ( \frac{\partial{f}}{\partial{x}}, \frac{\partial{f}}{\partial{y}}, \frac{\partial{f}}{\partial{z}}) </math> をfの勾配と呼ぶ。 また、同様にしてn次元では :<math> \textrm{grad} f(x _1, \cdots , x _n) = ( \frac{\partial{f}}{\partial{{x _1}}}, \cdots, \frac{\partial{f}}{\partial{{x _n}}}) </math> によって定義される。 ここで、勾配はこの式の意味によって付けられた名前である。 例えば、 :<math> y= z = 0 </math> に限ってこの式を書いてみる。 このとき、 :<math> \textrm{grad} f = ( \frac{\partial{f}}{\partial{x}}, 0, 0) </math> となるが、これはこの関数fのx方向の傾きに等しい。 つまり、この式は傾きを求める式の複数の方向を用いた場合への一般化と なっている。 より一般的な例として2次元の場合の 例を考えてみる。ここでは :<math> f(x,y) = x^2 + y^2 </math> とおく。 このときこの式の勾配は簡単に計算でき、 :<math> \textrm{grad} f = ( 2 x, 2y, 0) </math> となる。例えば、この式を :<math> x = a, y=0 </math> (aはある定数。) について考えてみる。 このとき、勾配の値は :<math> \textrm{grad} f = ( 2 a, 0, 0) </math> となるが、これはxが正のとき正であり、負のときには負となっている。 つまり、この式はこの関数のx座標軸上で見たときに、 x=0を極少としたすり鉢形のグラフとなっており、更に 原点から離れれば離れるほど、グラフの傾きが増すことを示唆している。 実際この式を数値的にプロットすると、この主張が確かめられる。 *TODO プロットを作製。 次に、この式を :<math> x = 0, y=b </math> (bはある定数。) について考えてみる。 このときにも全く同じ主張が出来、y方向に見ても このグラフはすり鉢状になっている。 また、この式を :<math> x = y= \frac c {\sqrt 2} </math> について考えてみる。このときには :<math> \textrm{grad} f = 2(\frac c {\sqrt 2},\frac c {\sqrt 2}) </math> が得られ、この点では勾配はx軸から<math>\pi/4</math>の方向を向いていることが分かる。 一般に勾配は、関数fが、最も大きな傾きで増加する方向を 向いており、その絶対値はその点でそちらへの微分を取った値に等しい。 また、ある点でのある方向への微分を求めたいときには、 求めたい方向の単位ベクトルを :<math> \vec n </math> としたとき、 :<math> \textrm{grad} f \cdot \vec {n} </math> を計算することで、求めることが出来る。 *説明 勾配の計算では、全ての独立変数に対する微分を求めており、 これらの微分を組み合わせることであらゆる方向への微分を 作ることが出来ることが期待される。 微分の最も低いオーダーでは、それぞれの方向への微分は それぞれの方向の単位ベクトルにそちらの方向への微分の大きさを かけたものに等しいので、ある方向に対する微分を 計算するにはそれらを適切な方向への重みをつけて足し合わせることが 求められる。このとき、ある方向に対する単位ベクトルと ある軸の方向に対する単位ベクトルは、2つの方向の重みを表わしていると 考えられるので、確かにこの値は、そちらの方向への微分となっている。 例えば、 :<math> x = a,y=0 </math> でのy方向の傾きは、 :<math> \textrm{grad} f \cdot \vec {n}= (2a,0)\cdot (0,1)=0 </math> となるが、 これは、この関数の等高線が円形になっていることを考えると 確かにこの点ではy方向の傾きは0になっていなくてはいけない。 ====ベクトルの発散==== 次には逆にあるベクトルを取ったとき、 あるスカラー量を作りだす計算を導入する。 後に示される通り、この量はある点から流れ出す 粒子や場の束の和という物理的意味を持っており、 電磁気学や流体力学で頻繁に用いられる。 実際前者では磁束や電束についての計算に用いられ、 後者では流体中のわきだしや吸い込みなどのまわりで 流体の性質を表わすベクトルがnon-zeroになることが 知られている。 あるベクトルの関数 :<math> \vec a </math> があるとき、 :<math> \textrm{div} \vec a = \frac{\partial{{a _x}}}{\partial{x}} +\frac{\partial{{a _y}}}{\partial{y}} + \frac{\partial{{a _z}}}{\partial{z}} </math> を、<math>\vec a</math>の発散と呼ぶ。 また、この量もn次元で定義することが出来、そのときの定義は、 :<math> \textrm{div} \vec a = \frac{\partial {a _{1}}}{ {x _1}} +\cdots + \frac{\partial{{a _n}}}{\partial{{x _n}}} </math> で与えられる。 ただし <math> a _i </math> はベクトル <math> \vec a </math> の第i成分である。 この式の物理的意味は上で述べた通りだが、そのことの導出は ガウスの定理の導出によって与えられるため、ここでは扱わない。 ====ベクトルの回転==== ここでもう1つ、物理的に重要な演算を導入する。 この量も電磁気学や流体力学で使われており、 ある経路に沿って積分した値がその経路の中の ある量の積分によって与えられるという定理である。 実際には電磁気学では古典的にある回路を突き抜ける磁束の時間変化が 、その回路内に電流を引き起こすことがレンツの法則として知られている。 この法則は、このようなベクトルの演算によってうまく記述される現象の 例である。 流体力学では、この量は流体中に巻き起こる渦に対応している。 つまり、渦が流れるルートに沿って、流体の速度を積分していけば 0でない値が得られることが期待される。一方、そうでない場合 この値は全ての寄与が打ち消し合い、0になると思われる。 つまり、この量を用いることで、流体中の渦を記述する方法が得られるわけである。 ただし、実際には流体の運動を考えるときには渦が一切発生しないと した方が計算が簡単になることも多い。このような流れは渦無しの流れと 呼ばれ、その性質はよく知られている。 ここからはベクトルの回転の定義を述べる。 あるベクトルの関数 :<math> \vec a </math> があるとき、 :<math> \begin{matrix} \textrm{rot} \vec a = \\ \begin{pmatrix} \frac{\partial{{a _z}}}{\partial{y}} -\frac{\partial{{a _y}}}{\partial{z}} &\frac{\partial{{a _x}}}{\partial{z}} -\frac{\partial{{a _z}}}{\partial{x}} &\frac{\partial{{a _y}}}{\partial{x}} -\frac{\partial{{a _x}}}{\partial{y}} \end{pmatrix}\\ = \begin{vmatrix} \vec e _x &\vec e _y&\vec e _z\\ \frac{\partial{{}}}{\partial{{x}}}&\frac{\partial{{}}}{\partial{{y}}}& \frac{\partial{{}}}{\partial{{y}}}\\ a _1&a _2&a _3 \end{vmatrix} \end{matrix} </math> を :<math> \vec a </math> の回転と呼ぶ。 == ベクトル解析の公式 == ここでは、ベクトル解析の公式を証明する。これらの公式はベクトルを成分表示して単純に計算することでも証明できるが、この方法ではあまりにも煩雑になってしまうためレヴィ・チヴィタ記号を導入して証明する。 === クロネッカーのデルタ === クロネッカーのデルタ <math>\delta_{ij}</math>を {{式番号|<math>\delta_{ij} = \begin{cases} 1 & i=j\\ 0 & i \ne j\end{cases}</math>|1}} で定義する。 === レヴィ・チヴィタ記号 === レヴィ・チヴィタ記号 <math>\varepsilon_{ijk}</math> を {{式番号|<math>\varepsilon_{ijk} = \begin{cases} 1 & \, (i, j, k) = (1, 2, 3), (2, 3, 1), (3, 1, 2) \\ -1 & \, (i, j, k) = (1, 3, 2), (3, 2, 1), (2, 1, 3) \\ 0 & \mathrm{otherwise} \end{cases}</math>|2}} と定義する。すなわち、置換 <math>\sigma=\begin{pmatrix} 1 & 2 & 3 \\ i & j & k \end{pmatrix}</math> (ただし <math>i,j,k</math> は互いに異なる)が偶置換のとき、<math>\varepsilon_{ijk} = 1</math>、奇置換のとき<math>\varepsilon_{ijk} = -1</math> である。また、レヴィ・チヴィタ記号 <math>\varepsilon_{ijk}</math> は <math>\varepsilon_{123} = 1</math> であり、2つの添字を入れ替えると -1 倍される(反対称)もの (e.g. <math>\varepsilon_{213} = -\varepsilon_{123} = -1 ,\,\varepsilon_{231} = -\varepsilon_{213} = 1 </math>)と理解できる。添字に同じ数字があるときはレヴィ・チヴィタ記号は 0 である(e.g. <math>\varepsilon_{111} = 0,\,\varepsilon_{322} = 0</math>)。 基本ベクトル <math>\boldsymbol e_i</math> を <math>\boldsymbol e_i = \begin{pmatrix} \delta_{1i} \\ \delta_{2i} \\ \delta_{3i} \end{pmatrix}</math> とする。すなわち、<math>\boldsymbol e_1 = \begin{pmatrix} 1 \\ 0 \\ 0 \end{pmatrix},\boldsymbol e_2 = \begin{pmatrix} 0 \\ 1 \\ 0 \end{pmatrix},\boldsymbol e_3 = \begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ 1 \end{pmatrix}</math> である。 <math>\nabla = \begin{pmatrix} \frac{\partial}{\partial x} \\ \frac{\partial}{\partial y} \\ \frac{\partial}{\partial z} \end{pmatrix}</math> をナブラという。 ナブラを通常のベクトル演算と同じように扱うと、grad,div,rotは簡単に : <math> \textrm{grad } f = \nabla f </math> : <math> \textrm{div} \vec a = \nabla \cdot \vec a </math> : <math> \textrm{rot} \vec a = \nabla \times \vec a </math> と書くことが出来る。 ベクトルの成分に微分演算子が入っていることにびっくりするかもしれないが、形式的なものだと思っても良い。 <math> \Delta := \nabla \cdot \nabla = \frac{\partial^2}{\partial x^2} + \frac{\partial^2}{\partial y^2} + \frac{\partial^2}{\partial z^2} </math> をラプラシアンという。スカラー関数 <math> f </math> について <math> \Delta f =\frac{\partial^2f}{\partial x^2} + \frac{\partial^2f}{\partial y^2} + \frac{\partial^2f}{\partial z^2} </math> であり、ベクトル関数 <math> \boldsymbol A </math> について <math> \Delta \boldsymbol A = \begin{pmatrix} \frac{\partial^2A_x}{\partial x^2} + \frac{\partial^2A_x}{\partial y^2} + \frac{\partial^2A_x}{\partial z^2} \\ \frac{\partial^2A_y}{\partial x^2} + \frac{\partial^2A_y}{\partial y^2} + \frac{\partial^2A_y}{\partial z^2} \\ \frac{\partial^2A_z}{\partial x^2} + \frac{\partial^2A_z}{\partial y^2} + \frac{\partial^2A_z}{\partial z^2} \end{pmatrix} </math> である。 以下では、簡単のためにベクトル <math>\boldsymbol A</math>の <math>x</math> 成分 <math>A_x</math> を <math>A_1</math>、 <math>y</math> 成分 <math>A_y</math> を <math>A_2</math>、 <math>z</math> 成分 <math>A_z</math> を <math>A_3</math> と書く。偏微分についても <math>\frac{\partial}{\partial x} = \partial_x = \partial_1</math> などとする。ベクトル <math>\boldsymbol A</math> の 第i成分 <math>A_i</math> を <math>[\boldsymbol A]_i</math> と書く。 ベクトルの外積 <math>\boldsymbol A \times \boldsymbol B</math> の第i成分 <math>[\boldsymbol A \times \boldsymbol B]_i</math> は <math>[\boldsymbol A \times \boldsymbol B]_i = \sum_{j,k}\varepsilon_{ijk}A_jB_k</math> と書ける。ここで <math>\Sigma</math> の添字はそれぞれ1から3までの整数値を動くものとする。この規約は以下の文章にも適用する。 実際に、展開して確認すると、 <math>\begin{align}\sum_{j,k}\varepsilon_{1jk}A_jB_k &= \varepsilon_{123}A_2B_3 + \varepsilon_{132}A_3B_2 \\ &= A_2B_3 - A_3B_2 \\ &= [\boldsymbol A \times \boldsymbol B]_1 \end{align}</math> <math>\begin{align}\sum_{j,k}\varepsilon_{2jk}A_jB_k &= \varepsilon_{213}A_1B_3 + \varepsilon_{231}A_3B_1 \\ &= A_3B_1 - A_1B_3 \\ &= [\boldsymbol A \times \boldsymbol B]_2 \end{align}</math> <math>\begin{align}\sum_{j,k}\varepsilon_{3jk}A_jB_k &= \varepsilon_{312}A_1B_2 + \varepsilon_{321}A_2B_1 \\ &= A_1B_2 - A_2B_1 \\ &= [\boldsymbol A \times \boldsymbol B]_3 \end{align}</math> となる。上の式において、 <math>\sum_{j,k}\varepsilon_{1jk}A_jB_k</math> を展開すると9つの項が出てくるが、その内の7つの <math>\varepsilon_{1jk}</math> が0となるため、2つの項だけが残る。すなわち、<math>j=2,j=3</math> に対応する項(対応する <math>k</math> は <math>\{1,2,3\}</math> のうち1でも <math>j</math> でもないもの)、 <math>\varepsilon_{123},\varepsilon_{132}</math> の項のみが残る。<math>\varepsilon_{2jk},\varepsilon_{3jk}</math> についても同様である。 '''定理''' <math>\varepsilon_{ijk} = |\boldsymbol e_i \,\boldsymbol e_j \, \boldsymbol e_k| = \boldsymbol e_i\cdot(\boldsymbol e_j \times \boldsymbol e_k) = \begin{vmatrix} \delta_{1i} & \delta_{1j}& \delta_{1k}\\ \delta_{2i} & \delta_{2j}& \delta_{2k}\\ \delta_{3i} & \delta_{3j}& \delta_{3k} \end{vmatrix} </math> が成り立つ。 '''証明''' <math>|\boldsymbol e_1 \, \boldsymbol e_2 \, \boldsymbol e_3| = \begin{vmatrix} 1 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{vmatrix} = 1 = \varepsilon_{123}</math> である。 これと、行列式の性質より、<math>|\boldsymbol e_i \,\boldsymbol e_j \, \boldsymbol e_k| </math> は反対称であることから、<math>\varepsilon_{ijk} = |\boldsymbol e_i \, \boldsymbol e_j\, \boldsymbol e_k| </math> を得る。 <math>|\boldsymbol e_i \,\boldsymbol e_j \, \boldsymbol e_k| = \boldsymbol e_i\cdot(\boldsymbol e_ j \times \boldsymbol e_k) </math> については直接計算すればよい。 基本ベクトルの定義 <math>\boldsymbol e_i = \begin{pmatrix} \delta_{1i} \\ \delta_{2i} \\ \delta_{3i} \end{pmatrix}</math> を代入して、<math>|\boldsymbol e_i \,\boldsymbol e_j \, \boldsymbol e_k| = \begin{vmatrix} \delta_{1i} & \delta_{1j}& \delta_{1k}\\ \delta_{2i} & \delta_{2j}& \delta_{2k}\\ \delta_{3i} & \delta_{3j}& \delta_{3k} \end{vmatrix} </math> を得る。 '''定理''' <math>\varepsilon_{ijk}\varepsilon_{lmn} = \begin{vmatrix} \delta_{il} & \delta_{im}& \delta_{in}\\ \delta_{jl} & \delta_{jm}& \delta_{jn}\\ \delta_{kl} & \delta_{km}& \delta_{kn} \end{vmatrix} = \delta_{il}\left( \delta_{jm}\delta_{kn} - \delta_{jn}\delta_{km} \right) + \delta_{im}\left( \delta_{jn}\delta_{kl} - \delta_{jl}\delta_{kn} \right) + \delta_{in}\left( \delta_{jl}\delta_{km} - \delta_{jm}\delta_{kl} \right) </math> である。 '''証明''' <math>\varepsilon_{ijk} = |\boldsymbol e_i \,\boldsymbol e_j \, \boldsymbol e_k|,\, \varepsilon_{lmn} = |\boldsymbol e_l \,\boldsymbol e_m \, \boldsymbol e_n| </math> より <math>\varepsilon_{ijk}\varepsilon_{lmn} = |\boldsymbol e_i \,\boldsymbol e_j \, \boldsymbol e_k||\boldsymbol e_l \,\boldsymbol e_m \, \boldsymbol e_n| = \begin{vmatrix}\boldsymbol e_i^T \\ \boldsymbol e_j^T \\ \boldsymbol e_k^T \end{vmatrix}|\boldsymbol e_l \, \boldsymbol e_m \, \boldsymbol e_n| = \begin{vmatrix} \boldsymbol e_i^T\boldsymbol e_l & \boldsymbol e_i^T\boldsymbol e_m& \boldsymbol e_i^T\boldsymbol e_n\\ \boldsymbol e_j^T\boldsymbol e_l & \boldsymbol e_j^T\boldsymbol e_m& \boldsymbol e_j^T\boldsymbol e_n\\ \boldsymbol e_k^T\boldsymbol e_l & \boldsymbol e_k^T\boldsymbol e_m& \boldsymbol e_k^T\boldsymbol e_n \end{vmatrix} = \begin{vmatrix} \delta_{il} & \delta_{im}& \delta_{in}\\ \delta_{jl} & \delta_{jm}& \delta_{jn}\\ \delta_{kl} & \delta_{km}& \delta_{kn} \end{vmatrix}. </math> また、 余因子展開をして、 <math>\begin{vmatrix} \delta_{il} & \delta_{im}& \delta_{in}\\ \delta_{jl} & \delta_{jm}& \delta_{jn}\\ \delta_{kl} & \delta_{km}& \delta_{kn} \end{vmatrix} = \delta_{il}\left( \delta_{jm}\delta_{kn} - \delta_{jn}\delta_{km} \right) + \delta_{im}\left( \delta_{jn}\delta_{kl} - \delta_{jl}\delta_{kn} \right) + \delta_{in}\left( \delta_{jl}\delta_{km} - \delta_{jm}\delta_{kl} \right) </math> を得る。 '''定理''' # <math>\sum_i \varepsilon_{ijk}\varepsilon_{ilm} = \delta_{jl}\delta_{km} - \delta_{jm}\delta_{kl} </math> # <math>\sum_{i,j} \varepsilon_{ijk}\varepsilon_{ijl} = 2\delta_{kl} </math> # <math>\sum_{i,j,k} \varepsilon_{ijk}\varepsilon_{ijk} = 6 </math> が成り立つ。ここでも <math>\sum</math> のそれぞれの添字は1,2,3を歩くという規約を採用している。 '''証明''' <math>\varepsilon_{ijk}\varepsilon_{ilm} = \begin{vmatrix} 1 & \delta_{il}& \delta_{im}\\ \delta_{ji} & \delta_{jl}& \delta_{jm}\\ \delta_{ki} & \delta_{kl}& \delta_{km} \end{vmatrix} = (\delta_{jl}\delta_{km} - \delta_{jm}\delta_{kl}) - \delta_{il}(\delta_{ji}\delta_{km} - \delta_{jm}\delta_{ki}) + \delta_{im}(\delta_{ji}\delta_{kl} - \delta_{jl}\delta_{ki}) </math> より <math>\begin{align}\sum_i \varepsilon_{ijk}\varepsilon_{ilm} &= \sum_i [(\delta_{jl}\delta_{km} - \delta_{jm}\delta_{kl}) - \delta_{il}(\delta_{ji}\delta_{km} - \delta_{jm}\delta_{ki}) + \delta_{im}(\delta_{ji}\delta_{kl} - \delta_{jl}\delta_{ki})] \\ &= 3(\delta_{jl}\delta_{km} - \delta_{jm}\delta_{kl}) - (\delta_{jl}\delta_{km} - \delta_{jm}\delta_{kl}) + (\delta_{jm}\delta_{kl} - \delta_{jl}\delta_{km}) \\ &= \delta_{jl}\delta_{km} - \delta_{jm}\delta_{kl} \end{align} </math> <math>\sum_{i,j} \varepsilon_{ijk}\varepsilon_{ijl} = \sum_j \sum_i \varepsilon_{ijk}\varepsilon_{ijl} = \sum_j (\delta_{jj}\delta_{kl} - \delta_{jl}\delta_{kj}) = 3\delta_{kl} - \delta_{kl} = 2\delta_{kl} </math> <math>\sum_{i,j,k} \varepsilon_{ijk}\varepsilon_{ijk} = \sum_{k} \sum_{i,j} \varepsilon_{ijk}\varepsilon_{ijk} = \sum_{k} 2\delta_{kk} = 6 </math> === 三重積と四重積 === '''定理''' 次の式が成り立つ。 # スカラー三重積 <math>\boldsymbol A \cdot (\boldsymbol B \times \boldsymbol C) = \boldsymbol B \cdot (\boldsymbol C \times \boldsymbol A) = \boldsymbol C \cdot (\boldsymbol A \times \boldsymbol B)</math> # ベクトル三重積 <math>\boldsymbol A \times (\boldsymbol B \times \boldsymbol C) = (\boldsymbol A \cdot \boldsymbol C)\boldsymbol B - (\boldsymbol A \cdot \boldsymbol B)\boldsymbol C</math> # スカラー四重積 <math>(\boldsymbol A \times \boldsymbol B) \cdot (\boldsymbol C \times \boldsymbol D) = (\boldsymbol A \cdot \boldsymbol C) (\boldsymbol B \cdot \boldsymbol D) - (\boldsymbol A \cdot \boldsymbol D) (\boldsymbol B \cdot \boldsymbol C)</math> # ベクトル四重積 <math>(\boldsymbol A \times \boldsymbol B) \times (\boldsymbol C \times \boldsymbol D) = [(\boldsymbol A \times \boldsymbol B) \cdot \boldsymbol D] \boldsymbol C - [(\boldsymbol A \times \boldsymbol B) \cdot \boldsymbol C] \boldsymbol D </math> # ヤコビ恒等式 <math>\boldsymbol{A} \times ( \boldsymbol{B} \times \boldsymbol{C} ) + \boldsymbol{B} \times ( \boldsymbol{C} \times \boldsymbol{A} ) + \boldsymbol{C} \times ( \boldsymbol{A} \times \boldsymbol{B} ) = 0</math> '''証明''' スカラー三重積の証明 <math>\begin{align}\boldsymbol A \cdot (\boldsymbol B \times \boldsymbol C) &= \sum_i A_i[\boldsymbol B \times \boldsymbol C]_i \\ &= \sum_{i,j,k}\varepsilon_{ijk}A_iB_jC_k. \\ \boldsymbol B \cdot (\boldsymbol C \times \boldsymbol A) &= \sum_jB_j[\boldsymbol C \times \boldsymbol A]_j\\ &= \sum_{i,j,k}B_j\varepsilon_{jki}C_kA_i \\ &= \sum_{i,j,k}\varepsilon_{ijk}A_iB_jC_k.\\ \boldsymbol C \cdot (\boldsymbol A \times \boldsymbol B) &= \sum_kC_k[\boldsymbol A \times \boldsymbol B]_k \\ &= \sum_{i,j,k}C_k\varepsilon_{kij}A_iB_j \\ &= \sum_{i,j,k} \varepsilon_{ijk}A_iB_jC_k. \end{align}</math> ベクトル三重積の証明 <math>\begin{align} {[}\boldsymbol A \times (\boldsymbol B \times \boldsymbol C)]_i &= \sum_{j,k}\varepsilon_{ijk}A_j[\boldsymbol B \times \boldsymbol C]_k \\ &= \sum_{j,k,l,m}\varepsilon_{ijk}A_j\varepsilon_{klm}B_lC_m \\ &= -\sum_{j,k,l,m}\varepsilon_{kji}\varepsilon_{klm}A_jB_lC_m \\ &= -\sum_{j,l,m}(\delta_{jl}\delta_{im}-\delta_{jm}\delta_{il})A_jB_lC_m\\ &= \sum_{j,l,m}\delta_{jm}\delta_{il}A_jB_lC_m - \sum_{j,l,m}\delta_{jl}\delta_{im}A_jB_lC_m\\ &= \sum_jA_jB_iC_j - \sum_jA_jB_jC_i\\ &= (\boldsymbol A \cdot \boldsymbol C)B_i - (\boldsymbol A \cdot \boldsymbol B)C_i \end{align}</math> スカラー四重積の証明 スカラー三重積及びベクトル三重積を使うと <math>(\boldsymbol A \times \boldsymbol B) \cdot (\boldsymbol C \times \boldsymbol D) = \boldsymbol C \cdot [\boldsymbol D \times (\boldsymbol A \times \boldsymbol B)] = \boldsymbol C \cdot [(\boldsymbol D \cdot \boldsymbol B ) \boldsymbol A - (\boldsymbol D \cdot \boldsymbol A) \boldsymbol B] = (\boldsymbol A \cdot \boldsymbol C)\boldsymbol B - (\boldsymbol A \cdot \boldsymbol B)\boldsymbol C.</math> ベクトル四重積の証明 ベクトル三重積よりほとんど自明である。 ヤコビ恒等式の証明 ベクトル三重積の公式を代入して計算するだけである。 === 微分公式 === 上の表式を用いると、複雑な微分の計算を簡便に行なうことが出来る。 '''定理''' <math>\nabla \times (\nabla f) = 0</math> <math>\nabla \cdot (\nabla \times \boldsymbol A)=0 </math> が成り立つ。 '''証明''' <math>\begin{align} {[\nabla \times (\nabla f)]}_i &= \sum_{j,k} \varepsilon_{ijk}\partial_j[\nabla f]_k \\ &= \sum_{j,k} \varepsilon_{ijk}\partial_j\partial_kf \end{align} </math> ここで、<math>\varepsilon_{ijk}\partial_i \partial_jf </math> について、<math>i>j </math> の項は、 <math>\varepsilon_{jik}\partial_j \partial_if = -\varepsilon_{ijk}\partial_i \partial_jf </math>と打ち消し合う(<math>\varepsilon_{ijk}\partial_i \partial_jf + \varepsilon_{jik}\partial_j \partial_if = 0 </math>)。 <math>i=j </math> の項は <math>\varepsilon_{ijk}\partial_i \partial_jf = \varepsilon_{iik}\partial_i \partial_if = 0 </math> となるので、結局最後の式は 0 である。 すなわち、<math>\nabla \times (\nabla f) = 0</math> を得る。 <math>\begin{align}\nabla \cdot (\nabla \times \boldsymbol A) &= \sum_{i} \partial_i[\nabla \times \boldsymbol A]_i \\ &= \sum_{i,j,k} \partial_i \varepsilon_{ijk}\partial_jA_k \\ &= \sum_{i,j,k} \varepsilon_{ijk}\partial_i \partial_jA_k \\ \end{align} </math> ここで、<math>\varepsilon_{ijk}\partial_i \partial_jA_k </math> について、<math>i>j </math> の項は、 <math>\varepsilon_{jik}\partial_j \partial_iA_k = -\varepsilon_{ijk}\partial_i \partial_jA_k </math>と打ち消し合う(<math>\varepsilon_{ijk}\partial_i \partial_jA_k + \varepsilon_{jik}\partial_j \partial_iA_k = 0 </math>)。 <math>i=j </math> の項は <math>\varepsilon_{ijk}\partial_i \partial_jA_k = \varepsilon_{iik}\partial_i \partial_iA_k = 0 </math> となるので、結局最後の式は 0 である。 すなわち、<math>\nabla \cdot (\nabla \times \boldsymbol A)=0 </math> を得る。 '''定理''' <math> \nabla \cdot (\boldsymbol A \times \boldsymbol B ) = (\nabla \times \boldsymbol A) \cdot \boldsymbol B - \boldsymbol A \cdot (\nabla \times \boldsymbol B) </math> <math>\nabla \times ( \boldsymbol{A} \times \boldsymbol{B} ) = ( \boldsymbol{B} \cdot \nabla ) \boldsymbol{A} - ( \boldsymbol{A} \cdot \nabla ) \boldsymbol{B} + \boldsymbol{A} ( \nabla \cdot \boldsymbol{B} ) - \boldsymbol{B} ( \nabla \cdot \boldsymbol{A} ) </math> <math>\nabla(\boldsymbol A \cdot \boldsymbol B) = \boldsymbol A \times (\nabla \times B) + \boldsymbol B \times (\nabla \times \boldsymbol A) + (\boldsymbol A \cdot \nabla)\boldsymbol B + (\boldsymbol B \cdot \nabla)\boldsymbol A </math> が成り立つ。 '''証明''' <math> \begin{align} \nabla \cdot (\boldsymbol A \times \boldsymbol B ) &= \sum_{i,j,k} \partial_i (\varepsilon_{ijk} A _j B _k) \\ &= \sum_{i,j,k}\varepsilon_{ijk}(\partial _i A _j) B _k + \sum_{i,j,k} \varepsilon_{ijk} A _j (\partial _i B _k)\\ &= (\nabla \times \boldsymbol A)\cdot \boldsymbol B - \boldsymbol A \cdot (\nabla \times \boldsymbol B) . \end{align} </math> <math>\begin{align} {[\nabla \times ( \boldsymbol{A} \times \boldsymbol{B} )}]_i &= \sum_{j,k} \varepsilon_{ijk}\partial_j[ \boldsymbol{A} \times \boldsymbol{B}]_k \\ &= \sum_{j,k,l,m} \varepsilon_{ijk}\varepsilon_{klm}\partial_j(A_lB_m) \\ &= - \sum_{j,k,l,m} \varepsilon_{kji}\varepsilon_{klm}\partial_j(A_lB_m) \\ &= - \sum_{j,l,m} (\delta_{jl}\delta_{im} - \delta_{jm}\delta_{il})\partial_j(A_lB_m) \\ & = \sum_{j,l,m}\delta_{jm}\delta_{il}\partial_j(A_lB_m)-\sum_{j,l,m} \delta_{jl}\delta_{im}\partial_j(A_lB_m)\\ &= \sum_{j} \partial_j(A_iB_j) -\sum_j \partial_j(A_jB_i) \\ &= \sum_{j} B_j\partial_jA_i + \sum_{j} A_i\partial_jB_j - \sum_j B_i\partial_jA_j - \sum_j A_j\partial_jB_i \\ &= (\boldsymbol B \cdot \nabla)A_i + A_i(\nabla \cdot \boldsymbol B) - (\boldsymbol A \cdot \nabla)B_i - B_i(\nabla \cdot \boldsymbol A) \end{align} </math> より、<math>\nabla \times ( \boldsymbol{A} \times \boldsymbol{B} ) = ( \boldsymbol{B} \cdot \nabla ) \boldsymbol{A} - ( \boldsymbol{A} \cdot \nabla ) \boldsymbol{B} + \boldsymbol{A} ( \nabla \cdot \boldsymbol{B} ) - \boldsymbol{B} ( \nabla \cdot \boldsymbol{A} ) </math> が成り立つ。 <math>\begin{align}{[\nabla(\boldsymbol A \cdot \boldsymbol B)]}_i &= \sum_j \partial_i(A_jB_j)\\ &= \sum_j B_j\partial_iA_j + \sum_j A_j\partial_iB_j.\\ \end{align} </math> ここで、<math>[\boldsymbol A \times(\nabla \times \boldsymbol B)]_i = \sum_j A_j \partial_iB_j - (\boldsymbol A \cdot \nabla) \boldsymbol B_i </math> が成り立つので<ref>この式の導出に困ったらベクトル三重積の導出を参考すること。ただし、微分の扱いに注意すること。ベクトル三重積の導出の六行目までは、Bを∇に読み替えても成立するが、七行目の式変形は成立しない。なぜなら、偏微分とベクトルの成分を入れ替えて <math>\partial_i C_j=C_j \partial_i</math> とすることは当然不可能だからである。</ref>、これを第二項に代入する。第一項についても同様の式が成り立つため、これを代入すると結局、 <math>\nabla(\boldsymbol A \cdot \boldsymbol B) = \boldsymbol A \times (\nabla \times B) + \boldsymbol B \times (\nabla \times \boldsymbol A) + (\boldsymbol A \cdot \nabla)\boldsymbol B + (\boldsymbol B \cdot \nabla)\boldsymbol A </math> が得られる。 '''定理''' <math> \nabla \cdot(f\boldsymbol A )= \nabla f \cdot \boldsymbol A + f \nabla \cdot \boldsymbol A </math> <math>\nabla \times(f\boldsymbol A) = \nabla f \times \boldsymbol A + f\nabla \times \boldsymbol A </math> が成り立つ。 '''証明''' <math> \begin{align} \nabla \cdot (f \boldsymbol A) &= \sum_i\partial _i (fA _i)\\ &= \sum_i(\partial _i f ) A _i + \sum_if (\partial _i A _i)\\ &= \nabla f \cdot \boldsymbol A + f\nabla \cdot \boldsymbol A \end{align} </math> <math> \begin{align} {[\nabla \times f \boldsymbol A]}_i &= \sum_{j,k} \varepsilon_{ijk}\partial_j(fA_k)\\ &= \sum_{j,k} \varepsilon_{ijk}\partial_jf \,A_k + \sum_{j,k} \varepsilon_{ijk}f\partial_j \,A_k \\ &= {[\nabla f \times \boldsymbol A]}_i + {[f\nabla \times \boldsymbol A]}_i \end{align} </math> '''定理''' <math>\nabla \times (\nabla \times \boldsymbol{A} ) = \nabla (\nabla \cdot \boldsymbol{A} ) - \Delta \boldsymbol{A} </math> が成り立つ。 '''証明''' <math>\begin{align} {[}\nabla \times (\nabla \times \boldsymbol{A}){]}_i &= \sum_{j,k}\varepsilon_{ijk}\partial_j[\nabla \times \boldsymbol A]_k \\ &= \sum_{j,k,l,m}\varepsilon_{ijk}\partial_j\varepsilon_{klm}\partial_l{ A}_m \\ &= \sum_{j,k,l,m}\varepsilon_{kij}\varepsilon_{klm}\partial_j\partial_lA_m \\ &= \sum_{j,l,m}(\delta_{il}\delta_{jm} - \delta_{im}\delta_{jl})\partial_j\partial_lA_m \\ &= \sum_{j,l,m}\delta_{il}\delta_{jm}\partial_j\partial_lA_m -\sum_{j,l,m}\delta_{im}\delta_{jl}\partial_j\partial_lA_m \\ &= \sum_{j}\partial_i\partial_jA_j - \sum_{j}\partial_j\partial_jA_i \end{align} </math> それぞれの成分について展開すると <math> {[}\nabla \times (\nabla \times \boldsymbol{A}){]}_1 = \partial_1(\partial_1A_1+\partial_2A_2+\partial_3A_3) - (\partial_1^2+\partial_2^2+\partial_3^2)A_1 </math> <math> {[}\nabla \times (\nabla \times \boldsymbol{A}){]}_2 = \partial_2(\partial_1A_1+\partial_2A_2+\partial_3A_3) - (\partial_1^2+\partial_2^2+\partial_3^2)A_2 </math> <math> {[}\nabla \times (\nabla \times \boldsymbol{A}){]}_3 = \partial_3(\partial_1A_1+\partial_2A_2+\partial_3A_3) - (\partial_1^2+\partial_2^2+\partial_3^2)A_3 </math> である。これは <math>\nabla \times (\nabla \times \boldsymbol{A} ) = \nabla (\nabla \cdot \boldsymbol{A} ) - \Delta \boldsymbol{A} </math> であることを意味する。 これらの計算は、電磁気学等で頻繁に用いられるので、よく練習しておかねばならない。 '''定理''' 位置ベクトル <math> \boldsymbol r </math> について <math> r = |\boldsymbol r| =\sqrt{x^2+y^2 + z^2} </math> とすると、<math> \nabla r^n = n r^{n-2}{\boldsymbol r} </math>である。 '''証明''' <math> \frac{\partial}{\partial x}r^n = nr^{n-1}\frac{\partial}{\partial x}\sqrt{x^2 + y^2 + z^2} = nr^{n-1} \frac x r = nr^{n-2}x </math> <math> y,z </math> についても同様である。 すなわち、<math> \nabla r^n = \begin{pmatrix} nr^{n-2}x \\nr^{n-2}y \\nr^{n-2}z\end{pmatrix} = nr^{n-2}\boldsymbol r. </math> === 極座標系 === ここでは、極座標での勾配、発散、ラプラシアンを求める。 極座標では、位置ベクトルは <math>\boldsymbol r = \begin{pmatrix} x\\ y\\ z \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} r\sin\theta\cos\varphi\\ r\sin\theta\sin\varphi\\ r\cos\theta \end{pmatrix} </math> となる。正規直交基底は <math>\boldsymbol e_r := \frac{\frac{\partial \boldsymbol r}{\partial r}}{\left|\frac{\partial \boldsymbol r}{\partial r}\right|} = \begin{pmatrix}\sin\theta\cos\varphi\\ \sin\theta\sin\varphi\\ \cos\theta\end{pmatrix} </math>,<math>\boldsymbol e_\theta := \frac{\frac{\partial \boldsymbol r}{\partial \theta}}{\left|\frac{\partial \boldsymbol r}{\partial \theta}\right|} = \frac 1 r \begin{pmatrix}r\cos\theta\cos\varphi\\ r\cos\theta\sin\varphi\\ -r\sin\theta\end{pmatrix} =\begin{pmatrix}\cos\theta\cos\varphi\\ \cos\theta\sin\varphi\\ -\sin\theta\end{pmatrix} </math>,<math>\boldsymbol e_\varphi := \frac{\frac{\partial \boldsymbol r}{\partial \varphi}}{\left|\frac{\partial \boldsymbol r}{\partial \varphi}\right|} = \frac{1}{r\sin\theta}\begin{pmatrix}-r\sin\theta\sin\varphi\\ r\sin\theta\cos\varphi\\ 0 \end{pmatrix} =\begin{pmatrix}-\sin\varphi\\ \cos\varphi\\ 0 \end{pmatrix} </math>である。 微小変位ベクトル <math>d\boldsymbol r = dx\boldsymbol e_x + dy\boldsymbol e_y + dz\boldsymbol e_z </math> は極座標では、 <math>\begin{align}d\boldsymbol r &= \frac{\partial \boldsymbol r}{\partial r}dr + \frac{\partial \boldsymbol r}{\partial \theta}d\theta + \frac{\partial \boldsymbol r}{\partial \varphi}d\varphi\\ &= \left|\frac{\partial \boldsymbol r}{\partial r}\right|\boldsymbol e_r dr +\left|\frac{\partial \boldsymbol r}{\partial \theta}\right|\boldsymbol e_\theta d\theta + \left|\frac{\partial \boldsymbol r}{\partial \varphi}\right|\boldsymbol e_\varphi d\varphi\\ &= \boldsymbol e_r dr + r\boldsymbol e_\theta d\theta + r\sin\theta\boldsymbol e_\varphi d\varphi \end{align} </math> と書ける。 関数 <math>f </math> の全微分 <math>df </math> は <math>df = \frac{df}{dx}dx + \frac{df}{dy}dy + \frac{df}{dz}dz = \nabla f \cdot d\boldsymbol r </math> となる。 極座標での発散を <math>\nabla f = \nabla_r f \, \boldsymbol e_r + \nabla_\theta f \, \boldsymbol e_\theta + \nabla_\varphi f \, \boldsymbol e_\varphi </math> とすると、<math>\begin{align}df &= \nabla f \cdot d\boldsymbol r \\ &= (\nabla_r f \, \boldsymbol e_r + \nabla_\theta f \, \boldsymbol e_\theta + \nabla_\varphi f \, \boldsymbol e_\varphi)\cdot (\boldsymbol e_r dr + r\boldsymbol e_\theta d\theta + r\sin\theta\boldsymbol e_\varphi d\varphi)\\ &=\nabla_r f\, dr + r\nabla_\theta f \, d\theta + r\sin\theta\nabla_\varphi f \, d\varphi \end{align} </math> である。これと極座標での全微分 <math>df = \frac{\partial f}{\partial r}dr + \frac{\partial f}{\partial \theta}d\theta + \frac{\partial f}{\partial \varphi}d\varphi </math> と比較すると、 <math>\nabla_r f = \frac{\partial f}{\partial r},\nabla_\theta f = \frac{1}{r}\frac{\partial f}{\partial \theta},\nabla_\varphi f = \frac{1}{r\sin\theta}\frac{\partial f}{\partial \varphi}{} </math> を得る。 すなわち、極座標での発散は <math>\nabla f =\frac{\partial f}{\partial r} + \frac{1}{r}\frac{\partial f}{\partial \theta} + \frac{1}{r\sin\theta}\frac{\partial f}{\partial \varphi}{} </math> である。 基底ベクトルの微分は、 <math>\frac{\partial \boldsymbol e_r}{\partial r} = 0,\frac{\partial \boldsymbol e_r}{\partial \theta} = \boldsymbol e_\theta,\frac{\partial \boldsymbol e_r}{\partial \varphi} = \sin\theta \boldsymbol e_\varphi </math> <math>\frac{\partial \boldsymbol e_\theta}{\partial r} = 0,\frac{\partial \boldsymbol e_\theta}{\partial \theta} = -\boldsymbol e_r,\frac{\partial \boldsymbol e_\theta}{\partial \varphi} = \cos\theta\boldsymbol e_\varphi </math> <math>\frac{\partial \boldsymbol e_\varphi}{\partial r} = 0,\frac{\partial \boldsymbol e_\varphi}{\partial \theta} = 0,\frac{\partial \boldsymbol e_\varphi}{\partial \varphi} = -\cos\theta\boldsymbol e_r - \sin\theta \boldsymbol e_\theta </math> であることを使って極座標でのベクトル <math>\boldsymbol A </math> の発散を計算すると、 <math>\begin{align}\nabla \cdot A &= \left(\boldsymbol e_r\frac{\partial f}{\partial r} + \boldsymbol e_\theta \frac{1}{r}\frac{\partial }{\partial \theta} + \boldsymbol e_\varphi \frac{1}{r\sin\theta}\frac{\partial f}{\partial \varphi}\right)\cdot (A_r\boldsymbol e_r + A_\theta \boldsymbol e_\theta + A_\varphi \boldsymbol e_\varphi)\\ &= \boldsymbol e_r \cdot \left(\frac{\partial A_r}{\partial r}\boldsymbol e_r\right) + \frac 1 r \boldsymbol e_\theta \cdot \left( \frac{\partial A_\theta}{\partial \theta}\boldsymbol e_\theta + A_r\boldsymbol e_\theta\right) + \frac{1}{r\sin\theta}\boldsymbol e_\varphi \cdot \left( \frac{\partial A_\varphi}{\partial \varphi}\boldsymbol e_\varphi + A_r\sin\theta \boldsymbol e_\varphi + A_\theta\cos\theta\boldsymbol e_\varphi\right)\\ &= \frac{1}{r^2}\frac{\partial (r^2 A_r)}{\partial r} + \frac{1}{r\sin\theta}\frac{\partial (\sin\theta A_\theta)}{\partial \theta} + \frac{1}{r\sin\theta}\frac{\partial A_\varphi}{\partial \varphi} \end{align} </math> となる。 また、ラプラシアンに極座標での勾配と発散を代入すると、 <math>\Delta f = \nabla \cdot \nabla f =\frac{1}{r^2}\frac{\partial }{\partial r}\left(r^2 \frac{\partial f}{\partial r}\right) + \frac{1}{r^2\sin\theta}\frac{\partial }{\partial \theta}\left(\sin\theta\frac{\partial f}{\partial \theta}\right) + \frac{1}{r^2\sin^2\theta}\frac{\partial^2 f}{\partial \varphi^2} </math> となり、ラプラシアンの極座標表示が得られた。 ===テンソル代数=== ====テンソルの定義==== 物理の計算においては、テンソルと呼ばれる量が 頻繁に用いられる。これは3次元における電磁気学の計算や、 古典力学における慣性モーメントなどで用いられるが、 特殊相対論、一般相対論においても用いられる。 ただし、特に一般相対論においては、計量テンソルと呼ばれる 特殊なテンソルが導入されるため、計算が非常に複雑になる。 ここでは、主に3次元のテンソル計算を扱うが、 特殊相対論における計算も少し扱う。 まずは、テンソルを定義する。 あるn次元のベクトルを考える。 このベクトルに対して、一般にあるベクトルからそれと同じ 次元のベクトルに変換するような線形変換を考えることが出来る。 この変換は、そのベクトルを同じ次元のベクトルに変換することから、 n*nの行列で書けることが分かる。 さて、次にこれらのベクトルのいくつかの(m個とする。)直積を取って、 mn個の要素を含む列ベクトルを作ることを考える。 直積の取り方については、[[物理数学I]]を参照。 :<math> V \times V \times \cdots \times V </math> この操作によってできたmnベクトルは、上の行列によって表わされる n行のベクトルから出来たm次のテンソルの一種となっている。 ただし、一般のテンソルはもう少し複雑で、 既に上で得たベクトルとのつながりを忘れてしまったmn次元のベクトルが 上と同じ様な変換性を持つとき、これを上のベクトルに対する m次のテンソルと呼ぶ。 ここでは、さらにこれらのテンソルが従う変換の行列を 構成することを考える。 ここで、先ほど定めたmn行のベクトルの成分のうち、直積を取られる前は別の ベクトルだった部分のそれぞれが、直積を取られる前と同じように変換するような mn*mn次の変換行列を作りたい。 このためには、先ほど定めたn*nの行列による変換のm回の直積を取って、 mn*mnの行列を作ればよい。 このとき行列の直積の性質 :<math> (A _1 \times B _1) \cdot (A _2 \times B _2 ) = A _1 A _2 \times B _1 B _2 </math> から、 この行列が先ほどの性質を満たすことが分かる。 ここで、これらの行列やベクトルは添字をうまくつけることによって 書き表すことが出来る。 先ほど述べたうち、元々のベクトルを :<math> A^\mu </math> と書く。 次に、元々のベクトルを変換する行列を :<math> \Lambda ^{\mu\nu} </math> と書くと、この行列により変換された後のベクトルは、 :<math> \Sigma _{\nu = 1}^{n} \Lambda ^{\mu\nu} A^\nu </math> で表わされる。 ここで、行列を添字を用いて計算する方法を使った。 ただし、物理の計算においては、 "同じ式の中に同じ添字が2回出て来たとき、この2つの添字を 足し合わせる"という規約を用いることが多い。 これをEinsteinの規約と呼び、一般相対論でEinsteinが用いてから よく使われるようになった。 この規約を用いると、上の式は簡単に、 :<math> \Lambda ^{\mu\nu} A^\nu </math> と書かれる。以下の計算では、常にこの規約を用い、 この規約が適用されないところでは、注意書きを行なうこととする。 さらに、元々のベクトルの直積は、 :<math> A^\mu A^\nu </math> となる。 ただし、ここでは、簡単にするためm=2と定めた。 これらを変換するmn*mn行列は :<math> \Lambda ^{\mu\rho} \Lambda ^{\nu\sigma} </math> となる。 また、これらの行列によって変換されたベクトルは、 :<math> \Lambda ^{\mu\rho} \Lambda ^{\nu\sigma} A^\rho A^\sigma </math> で表わされる。 これらの変換則から一般的なテンソルを構成することが出来る。 例えば、ここでもm =2と定める。上の議論からこの量は 2つの添字を用いて、 :<math> T^{\mu\nu} </math> と書くことが出来、この量が従う変換則は、 :<math> \Lambda ^{\mu\rho} \Lambda ^{\nu\sigma} T^{\rho\sigma} </math> となることがわかる。この量をある変換<math>\Lambda </math>に対する、 2次のテンソルと呼ぶ。 ここでは、テンソルの代数を定義した。このことを用いて、 ここからはより複雑な微分を見て行く。 ===多変数関数の積分=== 多変数関数の積分は1変数の場合の拡張によって定義される。 特に、いくつかの計算は物理的な意味が明確であるので 物理数学においても扱われることが多い。 ====ガウスの定理==== ここで直交座標系を用いた場合について、 ある定理を導出する。 この定理は、ベクトルの発散という量の物理的意味を 与えてくれる点で重要である。 :<math> \iiint _V dxdydz \textrm{div} \vec A = \iint d\vec s \vec A </math> が成り立つ。 ここで、左辺の体積積分はある領域について行なわれ、 右辺の表面積分は、その領域を囲む面積全体に対して 行なわれる。 この定理をガウスの定理と呼ぶ。 [[w:ガウス|ガウス]]は19世紀の非常に有名な数学者の名前である。 導出に移る前に、この定理の意味を述べる。 まずは右辺に注目する。右辺の被積分関数 :<math> d\vec s \vec A </math> は、ある点での面積要素に垂直な :<math> \vec A </math> の値を表わしている。これは例えば、 :<math> \vec A </math> が、流体力学でいう流体の流れる速度を表わすベクトルだったとするなら、 その流れのうちで今定めた面積要素から流れだす流量を表わしている。 この量を領域Vを囲む表面全体で足し合わせることから、この量は 領域Vから流れ出す流体の流量の和に等しいことが分かる。 ここで、領域Vの中に流体がわきだして来るような場所が合ったとすると、このとき 領域Vから流れ出す流量は、有限になると考えられる。 このためには、左辺で :<math> \textrm{div} \vec A </math> が流体のわきだしの回りで有限になっていなければならない。 これらのことからベクトルの発散は、 :<math> \textrm{div} \vec A </math> の意味は、ベクトルAのわきだしに対応していることが分かる。 発散という名前は、ベクトルAがどこからか現われて、回りに広がって行く 様子から来ている。 ここからは、この定理の導出に移る。ただし、ここでの導出は直観的なものであり、 局限移行等については数学的に厳密なものではないことを注意しておく。 *導出 まず、ある領域Vを非常に小さい立方体の領域<math>v _i</math>に分割する。 領域Vがどんな形であっても、このことは常に可能だと期待される。 ここで、ある互いに接し合う2つの小さい領域<math>v _1</math>と<math>v _2</math>について この定理が示されたとする。 このとき、領域<math>v _1</math>と領域が<math>v _2</math>接している面を考える。 それぞれの領域からの寄与は、その点でのベクトルの大きさと その面積要素の大きさが同じであることから同じであると考えられ、 また、それらは互いに接しているので、面積分の性質から見て、 それらの寄与は互いに異なった符合を持っている。 ここで、今考えている領域2つを張りつけて新しい領域 <math>v _3</math>を作り、この領域について元の式の左辺を計算すると、 その量は、 :<math> \iiint _{v _1+v _2} dxdydz \textrm{div} \vec A </math> となる。ここで、右辺についても互いに重なった部分の寄与が打ち消し合うことから、 :<math> \iint _{\partial v _3} d\vec s \vec A </math> のように<math>v _3</math>の回りについて元の式の表式が成り立っている。 ここで<math>v _3</math>の囲む領域の表面として :<math> \partial v _3 </math> という表式を導入した。実際にはこの表式は数学の本から来ており、 物理の本でも割合よく用いられる。 結局、小さい立方体についてこの定理が示されれば、元の領域についても この定理が正しいことが分かった。 次にこのことが実際小さい立方体について正しいことを見る。 立方体の辺の長さを<math>\epsilon</math>とする。 このとき、元の式について :<math> \begin{matrix} \textrm{lhs} = \int _v \textrm{div} \vec A\\ = \epsilon^3 \textrm{div} \vec A \end{matrix} </math> となる。 更に、右辺については :<math> \begin{matrix} \textrm{rhs} = A _x(x+\epsilon,y+\epsilon /2,z+\epsilon /2) \epsilon^2 - A _x(x,y+\epsilon /2,z+\epsilon /2) \epsilon^2\\ +A _y(x+\epsilon/2, y+\epsilon,z+\epsilon/2) \epsilon^2 - A _y(x+\epsilon /2,y+\epsilon,z+\epsilon/2) \epsilon^2\\ +A _z(x+\epsilon/2, y+\epsilon/2,z+\epsilon) \epsilon^2 - A _z(x+\epsilon/2, y+\epsilon/2,z) \epsilon^2 \end{matrix} </math> のような表式が得られる。この式は、それぞれの面に対する面積分をあからさまに 積分したものである。ここで、特にそれぞれの面の中心を通るように 積分の点を選んでいる。これは、局限移行をうまく行なうためだが、 もう少し違った点を選んでも結果を得ることは出来る。 次に、上の表式を<math>\epsilon</math>についてテイラー展開する。このとき、 :<math> = \epsilon^2( \epsilon(\frac{\partial{{A _x(x,y,z)}}}{\partial{x}} )) + \epsilon^2( \epsilon(\frac{\partial{{A _y(x,y,z)}}}{\partial{y}} )) + \epsilon^2( \epsilon(\frac{\partial{{A _z(x,y,z)}}}{\partial{z}} )) </math> が得られる。 これをまとめると、 :<math> = \epsilon^3 \textrm{div} \vec A </math> が得られるが、これはちょうど左辺からの式と一致している。 よって、小さい立方体についてはこの定理は正しい。 ====ストークスの定理==== 次にベクトルの回転の物理的意味を特徴づける定理を扱う。 まずは定理を述べる。 :<math> \iint dS \textrm{rot} \vec A = \int d\vec l \vec A </math> が成り立つ。 ここで、この式の左辺はある面積Sについて積分し、 この式の右辺は、その面積の外周についての線積分を行なう。 ここでも、ある面積Sの外周のことを、 :<math> \partial S </math> と書くことがある。 この定理をストークスの定理と呼ぶ。 例えば、 :<math> \vec A </math> を流体の速度ベクトルとしてみる。このとき、速度ベクトルをある面積の 外周について積分したとき、その値はその面積内の速度の回転の積分に 等しい。このことは、速度ベクトルの回転が、これらの流体の渦のような ものに対応していることを示している。 実際、流体力学では :<math> \textrm{rot} \vec u </math> のことを渦度と呼び、流体中の渦の様子を示す重要な量となっている。 この様に、ベクトルの回転はそのベクトルについてある閉じた経路について 積分したものに対応している。 :<math> \textrm{rot} \vec A </math> が全ての点で成り立つ場合、全ての閉経路に対する線積分は0に等しくなる。 これは、流体でいうと渦無しの流れに対応している。 また、この結果は複素解析の線積分の定理の1つに対応しており、その面からも 重要である。複素解析については、[[物理数学II]]で扱う予定である。 *導出 まず、ある面積Sを辺の長さが<math>\epsilon</math>に等しい小さな正方形に分ける。 正方形の大きさが十分小さいとき、このことは常に可能であると期待できる。 ここで、互いに接している小さい正方形についてそれぞれの辺からの線積分の寄与は、 大きさが等しく、符合が反対であることが分かる。このことは、線積分の 経路を反時計回りに取るというきまりを守っていると、その辺で接するためには 積分の向きが逆になっていなくてはいけないということによる。 ここで、今挙げた小さな2つの正方形を張り付けた長方形について 同じ計算を行なう。このとき、互いに張りついた1つの辺からの寄与は打ち消し あうので、同じ計算が張りつけた後の長方形についても成り立つ。 このことを繰りかえせば、小さな正方形についてこの定理が成り立ったとき、 元々の領域についてもこの定理が成り立つと期待できる。 さて、ここで、辺の長さが<math>\epsilon</math>に等しい正方形についてこの定理が 成り立っていることを示す。 これらの正方形の各辺に平行になるように、x,y軸を取って :<math> \iint dS \textrm{rot} \vec A = \int d\vec l \vec A </math> の左辺を計算すると、 :<math> (\textrm{lhs}) = \epsilon ^2 \textrm{rot} \vec A (x+ \epsilon/2,y+\epsilon/2) </math> が成り立つ。 次に右辺について、 :<math> \begin{matrix} (\textrm{rhs}) =\epsilon \{A _x(x+\epsilon/2,y ) - A _x(x+\epsilon/2,y+\epsilon) \}\\ + \epsilon \{A _y(x+\epsilon ,y+\epsilon/2 ) - A _y(x,y+\epsilon/2) \} \\ =\epsilon^2 \{ - \frac{\partial{{A _x }}}{\partial{y}} + \frac{\partial{{A _y}}}{\partial{x}} \} \\ = \epsilon^2 \textrm{rot } \vec A \end{matrix} </math> が得られるが、これは右辺の表式と等しい。 よって、小さい正方形についてこの定理は示された。 また、以前の議論からこのとき元の領域についてもこの定理は正しいことが 分かっている。よって、全ての領域について、この定理は正しいことが 示された。 ===直交座標系でないときの計算=== 直交座標系でないときにも grad,div,rotを計算することが出来る。 ここではまず、座標系の定義を行なうことから始める。 また、上の議論からこのことは全ての領域Vに対してもこの定理が正しいことを 示している。 この定理は電磁気学で頻繁に用いられる重要な定理である。 ---- {{DEFAULTSORT:へくとるかいせき}} [[カテゴリ:ベクトル解析]]
2005-07-07T03:24:56Z
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卵は一般的な食料であり、タンパク質が豊富な食べ物です。独特の匂いになれない方も、ハンバーグなどに入れて食べてみてはいかがでしょう。 ダチョウ、ウズラなどの卵はグルメ食材としても扱われます。中でも烏骨鶏は産卵数が少ないため高級品となっています。 調理前に卵を洗いましょう。 水洗いすると殻に空いている穴から雑菌が水と共に入り込む可能性があります。水洗いは調理直前、どうしても気になるならキッチンペーパーなどで優しくこするのがよいでしょう。 卵は生で食べることもできるが(卵かけご飯)生卵にはサルモネラ菌がいることがあり、注意が必要です。サルモネラ菌は熱に弱いので、加熱すると殺せます。免疫力の弱い方(高齢者など)は生食は控えましょう。 また、卵が腐ると黄身は緑色になり割ると硫黄臭がします。早めに食べましょう。 以下に一般的な卵料理を示します。 卵は、卵アレルギーを引き起こす可能性があります。多くは成長と共に治ります。アレルゲンは主に卵白にあり、加熱することでアレルゲン性は減りますがなくなるわけではありません。なお、鶏肉や魚卵は卵のアレルゲンとは違います。
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卵は一般的な食料であり、タンパク質が豊富な食べ物です。独特の匂いになれない方も、ハンバーグなどに入れて食べてみてはいかがでしょう。 ダチョウ、ウズラなどの卵はグルメ食材としても扱われます。中でも烏骨鶏は産卵数が少ないため高級品となっています。
[[画像:Freerange eggs.jpg|thumb|right|平飼い卵]] [[画像:Ostrich egg.jpg|thumb|right|ダチョウの卵]] 卵は一般的な食料であり、タンパク質が豊富な食べ物です<ref>{{Cite web |url=https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=106&category=health |title=卵をタンパク質摂取に活用しよう!卵の栄養成分・カロリーと活用レシピ morinaga.co.jp |accessdate=2022-04-18}}</ref>。独特の匂いになれない方も、ハンバーグなどに入れて食べてみてはいかがでしょう。 ダチョウ、ウズラなどの卵はグルメ食材としても扱われます。中でも烏骨鶏は産卵数が少ないため高級品となっています<ref>{{cite web |url=http://www.nlbc.go.jp/okazaki/gyoumu/hoyukei/silkie.html |title=烏骨鶏について 独立行政法人家畜改良センター岡崎牧場 nlbc.go.jp |accessdate=2022-9-15}}</ref>。 == 卵の主な調理法 == 調理前に卵を洗いましょう。 === 洗い方 === *卵は拭くまたは水洗いで十分です。洗うのは殻のみでいいでしょう。 水洗いすると殻に空いている穴から雑菌が水と共に入り込む可能性があります。水洗いは調理直前、どうしても気になるならキッチンペーパーなどで優しくこするのがよいでしょう<ref>{{cite web |url=https://www.yabetama-topran.jp/faq/ |title=卵Q &A トップランの場合 矢部養鶏場 yabetama-topran.jp |accessdate=2022-9-15}}</ref>。 == 腐敗と食中毒 == 卵は生で食べることもできるが(卵かけご飯)生卵にはサルモネラ菌がいることがあり、注意が必要です。サルモネラ菌は熱に弱いので、加熱すると殺せます<ref>{{cite web |url=https://www.toholab.co.jp/info/archive/2321/ |title=卵とサルモネラについて 株式会社東邦微生物病研究所 toholab.co.jp|accessdate=2022-9-15}}</ref>。免疫力の弱い方(高齢者など)は生食は控えましょう。 また、卵が腐ると黄身は緑色になり割ると硫黄臭がします。早めに食べましょう。 == レシピ == 以下に一般的な卵料理を示します。 *[[卵焼き]] *[[目玉焼き]] *[[スクランブルエッグ]] *[[ほうれん草の卵あえ]] *[[たまごスープ]] *[[ベーコンエッグ]] *[[オムレツ]] *[[卵かけご飯]] == 代替食材 == 卵は、卵アレルギーを引き起こす可能性があります。多くは成長と共に治ります。アレルゲンは主に卵白にあり、加熱することでアレルゲン性は減りますがなくなるわけではありません。なお、鶏肉や魚卵は卵のアレルゲンとは違います<ref>{{cite web |url=https://www.foodallergy.jp/tebiki/keiran/ |title=鶏卵アレルギー 食物アレルギー研究会 foodallergy.jp |accessdate=2022-9-15}}</ref>。 == 脚注 == {{reflist}} {{デフォルトソート:りようりほん|にゆうせいひん|たまこ}} [[category:材料別の料理本|たまこ]] [[en:Cookbook:Egg]] [[nl:Kookboek/Ei]]
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電磁気学II
物理学 > 電磁気学II 電磁気学がからんでくる現象は数多いが、 これらの現象のうちの多くは 次の2つの方程式によって記述される。 ガウス単位系では、 ここで、 でありまた、 である。 更に、 (Aは、 のある関数。) となる。 note: 実際には現在ではほとんどの分野で、古くなっているGauss単位系ではなく、 SI単位系が用いられている。(特に工学の分野ではそうであるようである。) ただし、特殊相対論と組み合わせた 電磁気現象を見るぶんには、Gauss単位系でもそれほど不自由がないので、 こちらを用いている。 ここではこれらの式がどの様に書かれるかを見ていく。 comment: 過去の遺物である Gauss単位系を今さら用いるのは、教育的 見地からしても問題である。 Gauss単位系が相対論に適合しているというのは誤解である。 (たとえば電荷保存則を見れば明らかである。) 空間中に電荷を置くと、 その回りには、 等方的に の電界が生じる。 ただし、これはSI単位系で書かれた式であり、 ガウス単位系では、 と書かれる。 放射状に電界が広がるという描像は変化していない ことに注意。 これを一般化すると、 ある表面積分を行なったとき、 が成り立つ。 ここで、 である。(電荷密度の定義) ここで、 は電荷密度である。 ガウスの定理を用いて この式の 左辺を空間積分で書き変えると、 よって、 が成り立つ。 同じ計算をすると、ガウス単位系では となることが分る。 ここで、 の第0成分を書き変えると、 ( に注意。 ) となり、確かに現象と一致する。 上で、ある電荷があるとその回りに放射状の電界が生じることを 述べたが、磁場についてはその様な対応物、つまり磁荷が存在しないことが 実験的に知られている。 (一般的な磁石はS極とN極が対になっているので磁荷と呼ぶことはできない。) このことを用いて電荷の場合と同じ計算をすると (これは磁荷密度が常に0であることによる。) 上と同様にガウスの定理を用いて書き換えると、 が成り立つことが分る。 ここで、 で、 と選ぶと、 となり確かに式が現象を説明することがわかる。 (この結果は、ガウス単位系でもSI単位系でも同一である。) 磁場の時間変化が電場を引き起こすという法則が レンツの法則として、知られている。 (SI単位系での式) これは円形のコイル(半径a)を使ったときの表式であるが、 そうでないときに一般化すると、 ストークスの定理を用いて書き変えると、 よって、 が従う。 Gauss単位系では となる。 ここで、 で例えば、 と置くと、 となり、上で現象から得られた式のz成分と一致する。 x成分、y成分はそれぞれ , と置くと求めることが出来る。 よってこの場合も式が現象を説明することが わかる。 直線的に流れる電流の回りには、 の磁束密度が生じることが知られている。 (SI単位系での式。) (aは電線からの距離。) これを一般化すると、 となる。 ストークスの定理を用いて線積分を 面積分に変換すると、 よって両辺を比べることで、 が得られる。実際にはこの式が 上で得られた式と一致するには もう1つ現象を付け加える必要がある。 例えば、平板 コンデンサに対して電荷が蓄積していくとき、 コンデンサの間の空間には電場の時間変化が現われる。 このとき、%電荷の時間変化には コンデンサの間の空間には(電流からの寄与が無くても) 磁場が生じることが知られている。 この項は、通常の電流と比べて変位電流と呼ばれる。 数式では、(SI単位系では) としたものに等しい。 これら2つの寄与を足し合わせると、式 が得られる。 ガウス単位系では、 ここで、 で例えば、 を代入すると、 となり確かに一致する。 y,z方向については , とおけばよい。 真空中では、 が成り立つので、 が得られる。 ここで、 がゲージの自由度を持つことを考慮して この方程式を簡単にすることが出来る。 ここでは、 (ローレンツゲージ) をとる。 すると、上の式は簡単になって、 となる。 ここで、 である。 この式は速度cで伝搬する波の波動方程式であり、 真空中を電場や磁場が光の速さで伝搬することが分る。 実際にはこのことから光がこのような波(電磁波と呼ぶ)の 一種であることが知られた。 電磁波は振動数によって様々な名前で呼ばれる。
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物理学 > 電磁気学II
<small> [[物理学]] > 電磁気学II</small> ---- ==はじめに== 電磁気学がからんでくる現象は数多いが、 これらの現象のうちの多くは 次の2つの方程式によって記述される。 ガウス単位系では、 :<math> \partial ^\mu F _{\mu\nu} = 4\pi J _\mu </math> :<math> F _{\mu\nu.\rho}+ F _{\rho\mu.\nu}+F _{\nu\rho.\mu}= 0 </math> ここで、 :<math> F _{\mu\nu} = \partial _\mu A _\nu -\partial _\nu A _\mu </math> :<math> = \begin{pmatrix} 0 &E _x&E _y&E _z\\ - E _x&0&-B _z& B _y\\ - E _y&B _z&0&-B _x\\ - E _z&-B _y&B _x&0\\ \end{pmatrix} </math> でありまた、 :<math> J _\mu = \begin{pmatrix} \rho \\ \vec j \\ \end{pmatrix} </math> である。 更に、 :<math> A _{, \mu} = \partial _\mu A = \frac{\partial{{}}}{\partial{{x^\mu}}} A </math> (Aは、 :<math> x^\mu = t,x,y,z </math> のある関数。) となる。 note: 実際には現在ではほとんどの分野で、古くなっているGauss単位系ではなく、 SI単位系が用いられている。(特に工学の分野ではそうであるようである。) ただし、特殊相対論と組み合わせた 電磁気現象を見るぶんには、Gauss単位系でもそれほど不自由がないので、 こちらを用いている。 ここではこれらの式がどの様に書かれるかを見ていく。 comment: 過去の遺物である Gauss単位系を今さら用いるのは、教育的 見地からしても問題である。 Gauss単位系が相対論に適合しているというのは誤解である。 (たとえば電荷保存則を見れば明らかである。) ==Gaussの法則== 空間中に電荷を置くと、 その回りには、 等方的に :<math> \vec E = \frac 1 {4\pi\epsilon _0} \frac q {r^2} \vec e _r </math> の電界が生じる。 ただし、これはSI単位系で書かれた式であり、 ガウス単位系では、 :<math> \vec E = \frac q {r^2} \vec e _r </math> と書かれる。 放射状に電界が広がるという描像は変化していない ことに注意。 これを一般化すると、 ある表面積分を行なったとき、 :<math> 4\pi r^2 \cdot \vec E = 4\pi r^2 \cdot \frac 1 {4\pi\epsilon _0} \frac q {r^2} \vec e _r </math> :<math> \iint d\vec S \vec E = \frac 1 {\epsilon _0} \iiint d V \rho </math> が成り立つ。 ここで、 :<math> \iiint d V \rho = q </math> である。(電荷密度の定義) ここで、 :<math> \rho </math> は電荷密度である。 ガウスの定理を用いて この式の 左辺を空間積分で書き変えると、 :<math> \iint d\vec S \vec E </math> :<math> =\iiint dV \textrm{div} \vec E </math> :<math> = \iiint d V \rho </math> よって、 :<math> \textrm {div}\vec E = \frac \rho {\epsilon _0} </math> が成り立つ。 同じ計算をすると、ガウス単位系では :<math> \textrm {div}\vec E = 4 \pi \rho </math> となることが分る。 ここで、 :<math> \partial ^\mu F _{\mu\nu} = 4\pi J _\nu </math> の第0成分を書き変えると、 ( :<math> \partial ^\mu = (0,- \partial _x ,- \partial _y, - 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2007-06-02T21:47:47Z
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電磁気学/静電場
電磁気学 > 静電場 さまざまな電気現象を引き起こすものを電荷という。電荷は正と負の2種類がある。あらゆる物質を構成する原子は、さらに陽子と電子を構成要素としてもつが、陽子は正の電荷を、電子は負の電荷を持つ。多くの場合、原子中には正の電荷と負の電荷が同量ずつ含まれ、巨視的には電荷を持たないと見ることができる。この状態を電気的に中性であるという。 電磁気学の現象のうちで最も簡単なものは、時間的な変動の無い2つの点電荷によるものである。点電荷は、空間的な広がりを持たない電荷である。実験的に電荷 q 1 {\displaystyle q_{1}} から距離r離れたところに、電荷 q 2 {\displaystyle q_{2}} を置いたとき、その間には2点電荷を結ぶ直線方向に力fが働く。この力は2つの電荷が互いに同符号であれば斥力となり、互いに異符号であれば引力となる。また力の大きさは2つの電荷の大きさの積に比例し、距離の二乗に反比例する。すなわちこの力fは、Kを比例定数として、 と表すことができ、f>0であれば斥力、f<0であれば引力とみなす。このような力は電磁気力あるいはクーロン力と呼ばれる、力の一種である。さらに、点電荷が3つ以上存在する場合、ある点電荷に働く力は、自分以外の点電荷それぞれから受ける力の合力となる。以上をクーロンの法則(Coulomb's law)という。 通常、電磁気学ではこの比例定数Kを とし、 と表現する。ここで ε 0 {\displaystyle \varepsilon _{0}} を真空の誘電率と呼ぶ。誘電率については後の章で詳しく述べることにする。 国際単位系(SI)では、距離の単位は[m]、力の単位は[N]であり、電荷の単位は[C](クーロン)である。[C]の定義については後ほど述べることとするが、このとき、比例定数Kの値は となることが知られている。ただし、 c 0 {\displaystyle c_{0}} は光の速度である。 この式では、電荷の間の距離をrとすると、電荷間に 1 r 2 {\displaystyle {\frac {1}{r^{2}}}} に比例する電磁気力が働くことが示されている。このような力を逆2乗力と呼ぶことがある。電磁気力は逆2乗力であるが、他にも万有引力は逆2乗力であることが知られている。 このように静的な電荷に互いに働き合う力は、 逆2乗則によって完全に記述される。しかし、電荷の数が増えて来たときに、 このような記述法は計算が大変になることがある。 そのため、これとは異なった電荷の間の力を導入するのが便利になる。 ここで、そのような記述法を与える。 ある点に電荷qが合ったとする。このとき、その点の回りには の場が生じていると見ることが出来る。 ただし、ここでは は、その電荷からの距離を表わしており、 は、その電荷を原点としたとき、有る点Aに対して ベクトル をとり、その方向の単位ベクトルをとるようにして得られるベクトルである。 つまり、電荷を中心として放射状に広がるベクトルの集合である。 ここでいう場とは、2つの電荷が与えられたとき、 その間に何も媒介するものがなく力が働くということが直観に反していることから 導入された量である。つまり、何もないところを通じて力が生じているのでは なく、ある2つの電荷の間に何ものかが現われて、電磁気力を媒介している ということを予想して導入された量が場の考え方である。 現代的には、実際にそのような場が存在していることが知られている。 このような場を歴史的事情により光子場と呼ぶことがある。 つまり、ある2つの電荷が存在したとき、その間に光子と呼ばれる 粒子が受け渡され、それによってこのような相互作用が生まれていると 見ることができる。 いずれにせよ、ある点電荷の回りに何らかの場が放射状にとびでており、 それにあたった電荷が力を受けるという描像は非常に直観的であり、 このような量はよく用いられる。 上で導入した電界という量は直観的な量だが、実際の計算においては もう少し簡単な量を導入することが出来る。 古典力学に置いては、ある保存力に対してその保存力に対する 位置エネルギー を、 によって定めることが出来た。ここで、 が上で述べた保存力を表わすベクトルである。 この量の類似に頼って、電磁気の逆2乗力に対しても位置エネルギーを 導入することが出来る。ただし、この量は力よりも電界に沿って 定義されるため、電位と呼ばれる。電位は通常Vで書かれ、 で定義される。 古典力学の場合と同様に、この式での は、任意に選ぶことが出来るパラメーターであり、計算し易いように 取ることが出来る。 この量は、ある電荷eを持った物体に対して、電界が を満たすことを考慮すると、 を満たすことが分かる。このことから、電位とは単位電荷をもった物体に取っての 電界の位置エネルギーと考えることが出来る。 特に、ある点電荷qの回りの電界に対する電位を考えてみる。 このとき、慣習的に ととると、この場合の電位は、 となり、 に比例した電位が得られる。 電位を計算した後、その量の勾配を取ることで電界が計算されることが、 古典力学の類似からわかる。 簡単のため を省くと、この例では、 となり、確かに元の表式が取り戻された。 (未記述) 誘電体やコンデンサーを、ベクトルの数式で扱うさい、次のように電束密度(記号はD)というベクトル量を定義する。 Dは電束密度(でんそく みつど)といい、式 D = ε 0 E + P {\displaystyle \mathbb {D} =\varepsilon _{0}\mathbb {E} +\mathbb {P} } によって定義される。 コンデンサーにおける「電束密度」とは、誘電体の分極の影響にかかわらず、コンデンサーの正電荷から発生し、負電荷に吸収されて消滅する量として、コンデンサーにおける「電束密度」を定義をする。 また、電束密度の単位は、クーロン([C])である。 Eは電界ベクトルである。 Pは分極ベクトルであり、誘電体全体の負電荷側から発生し、誘電体全体の正電荷側で吸収されて消滅するベクトルである。 分極の現象では、電界を打ち消すように分極が発生するので、なので分極ベクトルの方向の定義では、誘電体の負電荷側から正電荷への向きのベクトルを定義する必要がある。 また、分極ベクトルの単位は、クーロン([C])である。 εは誘電率の記号である。そして ε0 は真空の誘電率である。 いっぽう、誘電体の比誘電率を、つぎの式で定義する。 が、比誘電率の定義である。 比誘電率の記号では、添字にゼロがつかない事に注意せよ。 よって、 である。 では、物質の比誘電率を、どうやって、測定するのか。 (※ 出典となる参考文献が、手元にないので、紹介できない。以降の比誘電率の測定原理は、丸善の電磁気学の教科書に、書いてあった測定方法である。) 比誘電率の測定方法は、原理的には、右図のような実験をすれば、比誘電率が分かる。 まず誘電体内での電束Dを測定する必要があるのだが、 その測定のために、図のように、電束の方向に(つまり、外部電界の方向に)直角に、図のような薄くて長い穴をあけて、その穴の電界Eを測定すれば、良いのである(かりに、この電界の測定値をEaとしよう)。 電界Eを測定するだけなら、通常の物理学の測定方法で可能である。 電束は、その定義上、誘電体内では絶対に連続であるので、ここで測定した電界Eに真空の誘電率をかけ算する事によって、この誘電体内での電束Dを測定できる。 一方、比誘電率の測定のためには、誘電体内での電界も測定する必要があり、そのため、同じ誘電材料に、電束の方向に(垂直ではなく)平行に、薄くて長い穴をあけて、その穴の中の電界Eを測定する事になる(かりに、この電界の測定値をEbとしよう)。 あとは、われわれの得た2つの測定値である「Ea」と「Eb」を比較すれば、その物質内の比誘電率を、実験にもとづき得たことになる。 上記の解法の前提として、誘電体内部に、ほぼ均一に、電気力線が分散している、という事を仮定している。そして、電極の面積にも、均一に電荷が分散している、・・・と暗黙に仮定されている。誘電体を入れたからといって、電極の周囲に電荷が寄ったりしないし、あるいは電極の 周囲から離れた中央部に電荷が寄ったりもしない。電荷は均一に分散してる、・・・と暗黙に仮定されている。 では、実のところ、実験結果はどうなるのだろうか? 上述の解法と同様に、誘電体内部ならどこでも、電場がほぼ均一になるのだろうか? それとも表面だけ電場が強いとか、あるいは電場が弱いとか、あるのだろうか? 困ったことに、物理学の専門書を読んでも、こういう事が探求されていない。 とりあえず、今のところ、通説では、誘電体内部で、電場がほぼ均一になっているのだろう、と暗黙に考えられているようだ。 (なお、電気磁気学ではなく弾性体力学の分野だと、大きさを持った透明物質(透明プラスチックなどで作る)内部にかかる力を、光弾性実験と言われる実験により、外部から目視で観測できる。しかし、電気磁気学では、光弾性のような実験は無い。また、そういう物質内部の電場の観測実験は、寡聞にして聞かない。) そもそも、電束密度を測定するために穴を空けたりする話題なども、一般の大学物理学の教科書の多くでは、まったく紹介されておらず、そもそも測定実験・観測実験による裏付けの必要性に、日本の大学の電気磁気学では、まったく注意が払われていない。 読者は、高校で「光は電磁波である」などと習ったかもしれない。この電磁波の方程式は「マクスウェルの方程式」という式で表されるのだが、この方程式の記述が、ベクトルを用いると簡潔になり、しかも正確な方程式になる。(マクスウェルの方程式を書くのは、ベクトルを用いないと10個以上の方程式になっていまうが、ベクトルを用いれば4個の方程式になる。) なので読者は、ベクトルで電場や磁場をあらわす練習をしておこう。 大学の電磁気学で、ベクトルで誘電体や磁性体などの電場や磁場をかきあらわす意義も、「電磁波のマクスウェル方程式のための練習」とでも、思っておこう。 (未記述) (未記述) (未記述)
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電磁気学 > 静電場
<small> [[電磁気学]] > 静電場</small> ---- {{stub}} == 電荷 == さまざまな電気現象を引き起こすものを'''電荷'''という。電荷は'''正'''と'''負'''の2種類がある。あらゆる物質を構成する原子は、さらに陽子と電子を構成要素としてもつが、陽子は正の電荷を、電子は負の電荷を持つ。多くの場合、原子中には正の電荷と負の電荷が同量ずつ含まれ、巨視的には電荷を持たないと見ることができる。この状態を電気的に'''中性'''であるという。 === 電荷の間に働く力 === 電磁気学の現象のうちで最も簡単なものは、時間的な変動の無い2つの点電荷によるものである。点電荷は、空間的な広がりを持たない電荷である。実験的に電荷<math>q _1</math>から距離''r''離れたところに、電荷<math>q _2</math>を置いたとき、その間には2点電荷を結ぶ直線方向に力''f''が働く。この力は2つの電荷が互いに同符号であれば斥力となり、互いに異符号であれば引力となる。また力の大きさは2つの電荷の大きさの積に比例し、距離の二乗に反比例する。すなわちこの力''f''は、''K''を比例定数として、 :<math> f = K \frac{q _1q _2} {r^2} </math> と表すことができ、''f''>0であれば斥力、''f''<0であれば引力とみなす。このような力は'''電磁気力'''あるいは'''クーロン力'''と呼ばれる、力の一種である。さらに、点電荷が3つ以上存在する場合、ある点電荷に働く力は、自分以外の点電荷それぞれから受ける力の合力となる。以上を'''クーロンの法則'''(Coulomb's law)という。 通常、電磁気学ではこの比例定数''K''を :<math>K = \frac 1 {4\pi\epsilon _0}</math> とし、 :<math> f = \frac 1 {4\pi\varepsilon _0} \frac{q _1q _2} {r^2} </math> と表現する。ここで<math>\varepsilon_0</math>を真空の'''誘電率'''と呼ぶ。誘電率については後の章で詳しく述べることにする。 国際単位系(SI)では、距離の単位は[m]、力の単位は[N]であり、電荷の単位は'''[C]'''(クーロン)である。[C]の定義については後ほど述べることとするが、このとき、比例定数''K''の値は : <math>K = c_0^2 \times 10^{-7} \simeq 9 \times 10^9</math> となることが知られている。ただし、<math>c_0</math>は光の速度である。 <!-- この式にはいくつかの定数が現われるが、それらのうちで次元が整合的になっていることを確認しなければならない。ここでは、この次の議論を読みとばしてきちんと次元が合うように定数に次元が与えられていることを期待してもよい。 この式のうちで :<math> \pi </math> は、 :<math> \pi = 3.1415\cdots </math> を満たす定数であり、この数は次元を持たない。 次に :<math> \varepsilon _0 </math> は、 :<math> \varepsilon _0 = 8.85\times 10^{-12} [\textrm F/ \textrm m] </math> で与えられる量で次元を持っている。ここで、Fはファラッドと呼ばれ、コンデンサの容量を表わす単位である。 コンデンサは、 :<math> Q= CV </math> を満たすことから、その単位は :<math> [\textrm F ] = [\textrm C] /[\textrm V] </math> を満たすが、更に電位Vは、 :<math> [\textrm V] = [\textrm J ] / [\textrm C] </math> を満たすことから、結局 :<math> [F] </math> は :<math> [\textrm F ] = [\textrm C]^2 /[\textrm J] </math> を満たすことが分かる。よって真空の誘電率の次元は :<math> [\varepsilon _0] = [\textrm F] = [\textrm C]^2 /[\textrm J \cdot \textrm m] </math> となることが分かる。この式を電気的な力を表わす式に代入すると、左辺については、 :<math> \textrm{lhs} = [\textrm N] </math> となり、右辺については :<math> \textrm {rhs} =([\textrm C]^2 /[\textrm J \cdot \textrm m]) ^{-1} ([\textrm C]^2 / [\textrm m]^2) </math> :<math> =[ \textrm J ] /[\textrm m] = [\textrm N] </math> が得られ、確かに両辺の次元が一致することがわかる。よって、次元が整合的になっていることが確かめられた。 --> この式では、電荷の間の距離をrとすると、電荷間に<math>\frac 1 {r^2}</math>に比例する電磁気力が働くことが示されている。このような力を逆2乗力と呼ぶことがある。電磁気力は逆2乗力であるが、他にも万有引力は逆2乗力であることが知られている。 ;SIにおける [C] の定義 :<math>\text{C} = \frac{e}{1.602~176~634\times 10^{-19}}</math> :;<math>e</math>:電気素量 ==静電場== ===電界=== このように静的な電荷に互いに働き合う力は、 逆2乗則によって完全に記述される。しかし、電荷の数が増えて来たときに、 このような記述法は計算が大変になることがある。 そのため、これとは異なった電荷の間の力を導入するのが便利になる。 ここで、そのような記述法を与える。 ある点に電荷qが合ったとする。このとき、その点の回りには :<math> \vec E = \frac 1 {4\pi \epsilon _0} \frac q {r^2} \vec e _r </math> の場が生じていると見ることが出来る。 ただし、ここでは :<math> r </math> は、その電荷からの距離を表わしており、 :<math> \vec e _r </math> は、その電荷を原点としたとき、有る点Aに対して ベクトル :<math> \vec {OA} </math> をとり、その方向の単位ベクトルをとるようにして得られるベクトルである。 つまり、電荷を中心として放射状に広がるベクトルの集合である。 *電界ベクトルの図 ここでいう場とは、2つの電荷が与えられたとき、 その間に何も媒介するものがなく力が働くということが直観に反していることから 導入された量である。つまり、何もないところを通じて力が生じているのでは なく、ある2つの電荷の間に何ものかが現われて、電磁気力を媒介している ということを予想して導入された量が場の考え方である。 現代的には、実際にそのような場が存在していることが知られている。 このような場を歴史的事情により光子場と呼ぶことがある。 つまり、ある2つの電荷が存在したとき、その間に光子と呼ばれる 粒子が受け渡され、それによってこのような相互作用が生まれていると 見ることができる。 いずれにせよ、ある点電荷の回りに何らかの場が放射状にとびでており、 それにあたった電荷が力を受けるという描像は非常に直観的であり、 このような量はよく用いられる。 ===電位=== 上で導入した電界という量は直観的な量だが、実際の計算においては もう少し簡単な量を導入することが出来る。 古典力学に置いては、ある保存力に対してその保存力に対する 位置エネルギー :<math> U(\vec r) </math> を、 :<math> U (\vec r ) = -\int ^{\vec r} _{\vec r _0} \vec f \cdot d\vec r </math> によって定めることが出来た。ここで、 :<math> \vec f </math> が上で述べた保存力を表わすベクトルである。 この量の類似に頼って、電磁気の逆2乗力に対しても位置エネルギーを 導入することが出来る。ただし、この量は力よりも電界に沿って 定義されるため、電位と呼ばれる。電位は通常Vで書かれ、 :<math> V(\vec r) = -\int ^{\vec r} _{\vec r _0} \vec E \cdot d\vec r </math> で定義される。 古典力学の場合と同様に、この式での :<math> \vec r _0 </math> は、任意に選ぶことが出来るパラメーターであり、計算し易いように 取ることが出来る。 この量は、ある電荷eを持った物体に対して、電界が :<math> \vec f = e \vec E </math> を満たすことを考慮すると、 :<math> U = eV </math> を満たすことが分かる。このことから、電位とは単位電荷をもった物体に取っての 電界の位置エネルギーと考えることが出来る。 特に、ある点電荷qの回りの電界に対する電位を考えてみる。 このとき、慣習的に :<math> \vec r _0 = \vec r| _{|\vec r|=\infty} </math> ととると、この場合の電位は、 :<math> V(\vec r) = -\int ^{\vec r} _{\vec r _0} \vec E \cdot d\vec r </math> :<math> = -\frac 1 {4\pi\epsilon _0} q [- \frac 1 r ]^r _\infty </math> :<math> = \frac 1 {4\pi\epsilon _0} q \frac 1 r </math> となり、 :<math> \frac 1 r </math> に比例した電位が得られる。 電位を計算した後、その量の勾配を取ることで電界が計算されることが、 古典力学の類似からわかる。 簡単のため :<math> \frac q {4\pi\epsilon _0} </math> を省くと、この例では、 :<math> - \textrm{grad} V(\vec r)= -\textrm{grad} \frac 1 r </math> :<math> = \frac 1 {r^2} \textrm{grad} r </math> :<math> = \frac 1 {r^2} \frac {\vec r } {|\vec r| } </math> :<math> = \frac 1 {r^2} \vec e _r </math> となり、確かに元の表式が取り戻された。 == 電荷鏡像法 == (未記述) == 誘電体 == [[File:誘電体コンデンサー.svg|thumb|400px|誘電体を入れたコンデンサー]] 誘電体やコンデンサーを、ベクトルの数式で扱うさい、次のように電束密度(記号はD)というベクトル量を定義する。 Dは電束密度(でんそく みつど)といい、式 <math>\mathbb{D} = \varepsilon_0 \mathbb{E} + \mathbb{P} </math> によって定義される。 コンデンサーにおける「電束密度」とは、誘電体の分極の影響にかかわらず、コンデンサーの正電荷から発生し、負電荷に吸収されて消滅する量として、コンデンサーにおける「電束密度」を定義をする。 また、電束密度の単位は、クーロン([C])である。 :<math>\mathbb{D} = \varepsilon_0 \mathbb{E} + \mathbb{P} </math> Eは電界ベクトルである。 Pは分極ベクトルであり、誘電体全体の負電荷側から発生し、誘電体全体の正電荷側で吸収されて消滅するベクトルである。 分極の現象では、電界を打ち消すように分極が発生するので、なので分極ベクトルの方向の定義では、誘電体の負電荷側から正電荷への向きのベクトルを定義する必要がある。 また、分極ベクトルの単位は、クーロン([C])である。 εは誘電率の記号である。そして ε<sub>0</sub> は真空の誘電率である。 {| class="wikitable" style="float:right" |+ 物質の比誘電率 |- style="background:silver" ! 物質 !! 比誘電率 |- | 空気 (20℃) || 1.0005 |- | パラフィン (20℃) || 2.2 |- | ボール紙 (20℃) || 3.2 |- | 雲母 || 7.0 |- | 水 (20℃) || 約80 |- | チタン酸バリウム || 約5000 |- |} いっぽう、誘電体の比誘電率を、つぎの式で定義する。 :<math>\mathbb{D} = \varepsilon \mathbb{E} </math> が、比誘電率の定義である。 比誘電率の記号では、添字にゼロが'''つかない'''事に注意せよ。 よって、 :<math> \varepsilon \mathbb{E} = \varepsilon_0 \mathbb{E} + \mathbb{P} </math> である。 {{-}} では、物質の比誘電率を、どうやって、測定するのか。 (※ 出典となる参考文献が、手元にないので、紹介できない。以降の比誘電率の測定原理は、丸善の電磁気学の教科書に、書いてあった測定方法である。) [[File:磁束密度の測定の穴.svg|thumb|300px|電束密度Dを測定するさいの穴]] 比誘電率の測定方法は、原理的には、右図のような実験をすれば、比誘電率が分かる。 まず誘電体内での電束Dを測定する必要があるのだが、 その測定のために、図のように、電束の方向に(つまり、外部電界の方向に)直角に、図のような薄くて長い穴をあけて、その穴の電界Eを測定すれば、良いのである(かりに、この電界の測定値をEaとしよう)。 電界Eを測定するだけなら、通常の物理学の測定方法で可能である。 電束は、その定義上、誘電体内では絶対に連続であるので、ここで測定した電界Eに真空の誘電率をかけ算する事によって、この誘電体内での電束Dを測定できる。 一方、比誘電率の測定のためには、誘電体内での電界も測定する必要があり、そのため、同じ誘電材料に、電束の方向に(垂直ではなく)平行に、薄くて長い穴をあけて、その穴の中の電界Eを測定する事になる(かりに、この電界の測定値をEbとしよう)。 あとは、われわれの得た2つの測定値である「Ea」と「Eb」を比較すれば、その物質内の比誘電率を、実験にもとづき得たことになる。 * 誘電体内部の電場は均一なのだろうか? 上記の解法の前提として、誘電体内部に、ほぼ均一に、電気力線が分散している、という事を仮定している。そして、電極の面積にも、均一に電荷が分散している、・・・と暗黙に仮定されている。誘電体を入れたからといって、電極の周囲に電荷が寄ったりしないし、あるいは電極の 周囲から離れた中央部に電荷が寄ったりもしない。電荷は均一に分散してる、・・・と暗黙に仮定されている。 では、実のところ、実験結果はどうなるのだろうか? 上述の解法と同様に、誘電体内部ならどこでも、電場がほぼ均一になるのだろうか? それとも表面だけ電場が強いとか、あるいは電場が弱いとか、あるのだろうか? 困ったことに、物理学の専門書を読んでも、こういう事が探求されていない。 とりあえず、今のところ、通説では、誘電体内部で、電場がほぼ均一になっているのだろう、と暗黙に考えられているようだ。 (なお、電気磁気学ではなく弾性体力学の分野だと、大きさを持った透明物質(透明プラスチックなどで作る)内部にかかる力を、光弾性実験と言われる実験により、外部から目視で観測できる。しかし、電気磁気学では、光弾性のような実験は無い。また、そういう物質内部の電場の観測実験は、寡聞にして聞かない。) そもそも、電束密度を測定するために穴を空けたりする話題なども、一般の大学物理学の教科書の多くでは、まったく紹介されておらず、そもそも測定実験・観測実験による裏付けの必要性に、日本の大学の電気磁気学では、まったく注意が払われていない。 * 電場をベクトルで記述する意義 読者は、高校で「光は電磁波である」などと習ったかもしれない。この電磁波の方程式は「マクスウェルの方程式」という式で表されるのだが、この方程式の記述が、ベクトルを用いると簡潔になり、しかも正確な方程式になる。(マクスウェルの方程式を書くのは、ベクトルを用いないと10個以上の方程式になっていまうが、ベクトルを用いれば4個の方程式になる。) なので読者は、ベクトルで電場や磁場をあらわす練習をしておこう。 大学の電磁気学で、ベクトルで誘電体や磁性体などの電場や磁場をかきあらわす意義も、「電磁波のマクスウェル方程式のための練習」とでも、思っておこう。 === コンデンサー === (未記述) === 電束密度 === (未記述) === 誘電体での電荷鏡像法 === (未記述) [[Category:電磁気学|せいてんは]]
2005-07-12T11:34:23Z
2024-03-09T06:33:39Z
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電磁気学/静磁場
電磁気学 > 静磁場 次に場の量に対する時間変化が無いときの、磁場の様子を見ることにする。 ここでいう磁場というものは先ほどの電場との類似で導入されるものだが、その性質は電場とはある程度異なっている。しかし、どちらも電磁気力の1つの現われで有ることに変わりは無い。 ここでは、電流の回りに磁場の発生する現象であるアンペールの法則から、磁場を導入する。 実験的に、ある電流 I 1 {\displaystyle I_{1}} が流れている導線と、 I 2 {\displaystyle I_{2}} が流れている導線を、距離rまで近づけると、その間に 導線の単位長さlに対して、 だけの力が働くことが知られている。 ここで、 という量が与えられたが、この量は磁気的な力に関連する定数である。 この量の次元と大きさは後に述べる。 これだけでは、この力が上でいう電気力と区別するものなのかどうか わからない。しかし、例えば磁石の発する磁気に対して強く反応する 鉄などの物質をその回りに近づけることで、導線に引きよせられるような 力が働くことから、この力は、電気力ではなく磁気力によるもので あることが示唆される。 上のように電流の回りに生じる磁気の強さは、導線からの距離に のみ依存することが、砂鉄等を用いた実験によって確かめることが できる。 また、磁気の方向は、電流の流れる方向にネジが進むように 回転する方向になっている。このことを右ネジの法則と呼ぶことがある。 これらの量は、電流によって作りだされた磁気力を伝える新たな場であると 考えることが出来る。この量を磁界、または磁場と呼ぶ。 上の結果から、磁場は導線の距離によってその強さが変化し、 その方向は導線の回りを回転するようになっていることが期待される。 これらを考慮して、電流Iの回りに現われる磁界は、 与えられる。 ここで、 は、真空の透磁率と呼ばれる量で、その量は を満たす。この量は測定されたものというより定義によるものであり、 端数の無い定まった量を持つ。 この量(別の導線との相互作用は、導線の単位長さに対して、 で書かれる。 ここで、この式の は、ベクトルの外積を表わす。ベクトルの外積については、 物理数学Iで解説する。 また、この式に、 を代入すると、 I 2 {\displaystyle I_{2}} だけの電流が流れる導線の単位長さあたりに対して、 の力が働くが、これは上の表式と一致している。 このため、磁場を使った表式は電流間の相互作用を書き表す方法として 正しい結果を表わしている。 この式は、物理的には電流を磁場に対して垂直な方向に流すと、 電流は力を受けることを示している。この法則は、 初等的には「フレミングの左手の法則」として知られている。なお、大学物理では原則的に「ローレンツ力」の用語は、使わない。 なぜなら、後述する「ローレンツ力」の理論により、「フレミングの法則」をふくむ幾つかの法則がまとめて説明でき、しかも、「ローレンツ力」の理論にもとづいて、力などの計算もできるからである。 いっぽう、「フレミングの法則」の理論は、個々の実験結果の現象論にとどまってしまっており、そのため、大学物理では採用されていない。 さて、実際には、微視的に見ることで、電流は導線中の電荷が動いていることで 引き起こされていると見ることが出来る。そのため、ここで起こっていることは 実際には、磁場の中を電荷を持った粒子が横切ったとき、その粒子には 力が働くことに対応している。 この力は、歴史的な理由により「ローレンツ力」と呼ばれる。 この力は、 で書かれる。式中のqは電荷の大きさであり、単位はクーロン(記号: C )である。 上では導線の回りに生じる磁界について考えた。 導線の中では、微視的に見ると電荷が定常的に運動しており、そのようなときに 回りに磁場が引き起こされることが予想される。 実際には、導線はもっと複雑な配置にすることも出来る。 例えば、導線を円形に配置したときにも、その回りには磁場が発生することが 知られている。 このような場合の磁界の計算法として が知られている。この式を、提唱した人間にちなんで、 「ビオ-サバールの法則」と呼ぶ。 ここで、積分は導線に沿った線積分(せん せきぶん)であり、 は、導線上の点から磁場を計算したい点までのベクトルを表わしている。 例として、無限遠から無限遠まで続く導線からrだけ離れた点での磁場を 計算してみる。 この条件は、上のように長い導線を平行に置いたときの条件と近似的に 一致している。 まず導線はz軸方向に置かれているとする。 さらに磁場の大きさを計算する点の座標を A(r,0,0)とし、計算を進める点の座標をB(0,0,z)とし、 原点をOとおく。 この配置について について、 となる。 更に角OABを φ {\displaystyle \phi } とおくと、求める積分は を得る。(式中のeは単位ベクトル。添え字のyは座標軸yの方向のこと。eといっても、ここでは電子エレクトロンのことではないので、間違えないように。) さらに積分変数をzから φ {\displaystyle \phi } にすれば、 から、 が成り立つ。 これを代入すると、 となる。 元の式に代入すると、 となる。 この表式は、ベクトルの方向まで含めて、以前導線の回りの磁場として 与えた式と一致している。このことから、ビオ-サバールの法則は、 以前与えた表式の拡張となっていることが分かる。 (未記述) 磁場をあらわすベクトルをBとしたとき、ベクトルポテンシャルとは、 という式中のベクトルAのことがベクトルポテンシャルである。(アンペアの記号とは、まったく違う意味なので、間違えて混同しないように。おそらく単に「磁気の記号Bの前だからA」くらいの軽い気持ちで、むかしの物理学者の誰かが「ベクトルポテンシャルの記号はAと書こう」と決めたんだろう。) 普通は磁気Bの分布が実験的には分かってる場合が多いだろう。なのに、わざわざベクトル解析の回転をもちいてAを定義するのは、一見すると、まわりくどいと感じるかもしれないが、しかしポテンシャルのような概念を経由することで、運動量やエネルギーといった量とローレンツ力を関係づけやすくなる。 (未記述) (未記述)
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"tag": "p", "text": "このような場合の磁界の計算法として", "title": "静磁場" }, { "paragraph_id": 36, "tag": "p", "text": "が知られている。この式を、提唱した人間にちなんで、 「ビオ-サバールの法則」と呼ぶ。 ここで、積分は導線に沿った線積分(せん せきぶん)であり、", "title": "静磁場" }, { "paragraph_id": 37, "tag": "p", "text": "は、導線上の点から磁場を計算したい点までのベクトルを表わしている。", "title": "静磁場" }, { "paragraph_id": 38, "tag": "p", "text": "例として、無限遠から無限遠まで続く導線からrだけ離れた点での磁場を 計算してみる。 この条件は、上のように長い導線を平行に置いたときの条件と近似的に 一致している。", "title": "静磁場" }, { "paragraph_id": 39, "tag": "p", "text": "まず導線はz軸方向に置かれているとする。 さらに磁場の大きさを計算する点の座標を A(r,0,0)とし、計算を進める点の座標をB(0,0,z)とし、 原点をOとおく。", "title": "静磁場" }, { "paragraph_id": 40, "tag": "p", "text": "この配置について", "title": "静磁場" }, { "paragraph_id": 41, "tag": "p", "text": "について、", "title": "静磁場" }, { "paragraph_id": 42, "tag": "p", "text": "となる。 更に角OABを φ {\\displaystyle \\phi } とおくと、求める積分は", "title": "静磁場" }, { "paragraph_id": 43, "tag": "p", "text": "を得る。(式中のeは単位ベクトル。添え字のyは座標軸yの方向のこと。eといっても、ここでは電子エレクトロンのことではないので、間違えないように。)", "title": "静磁場" }, { "paragraph_id": 44, "tag": "p", "text": "さらに積分変数をzから φ {\\displaystyle \\phi } にすれば、", "title": "静磁場" }, { "paragraph_id": 45, "tag": "p", "text": "から、", "title": "静磁場" }, { "paragraph_id": 46, "tag": "p", "text": "が成り立つ。", "title": "静磁場" }, { "paragraph_id": 47, "tag": "p", "text": "これを代入すると、", "title": "静磁場" }, { "paragraph_id": 48, "tag": "p", "text": "となる。", "title": "静磁場" }, { "paragraph_id": 49, "tag": "p", "text": "元の式に代入すると、", "title": "静磁場" }, { "paragraph_id": 50, "tag": "p", "text": "となる。", "title": "静磁場" }, { "paragraph_id": 51, "tag": "p", "text": "この表式は、ベクトルの方向まで含めて、以前導線の回りの磁場として 与えた式と一致している。このことから、ビオ-サバールの法則は、 以前与えた表式の拡張となっていることが分かる。", "title": "静磁場" }, { "paragraph_id": 52, "tag": "p", "text": "(未記述)", "title": "磁性体" }, { "paragraph_id": 53, "tag": "p", "text": "磁場をあらわすベクトルをBとしたとき、ベクトルポテンシャルとは、", "title": "ベクトルポテンシャル" }, { "paragraph_id": 54, "tag": "p", "text": "という式中のベクトルAのことがベクトルポテンシャルである。(アンペアの記号とは、まったく違う意味なので、間違えて混同しないように。おそらく単に「磁気の記号Bの前だからA」くらいの軽い気持ちで、むかしの物理学者の誰かが「ベクトルポテンシャルの記号はAと書こう」と決めたんだろう。)", "title": "ベクトルポテンシャル" }, { "paragraph_id": 55, "tag": "p", "text": "普通は磁気Bの分布が実験的には分かってる場合が多いだろう。なのに、わざわざベクトル解析の回転をもちいてAを定義するのは、一見すると、まわりくどいと感じるかもしれないが、しかしポテンシャルのような概念を経由することで、運動量やエネルギーといった量とローレンツ力を関係づけやすくなる。", "title": "ベクトルポテンシャル" }, { "paragraph_id": 56, "tag": "p", "text": "(未記述)", "title": "動磁場" }, { "paragraph_id": 57, "tag": "p", "text": "(未記述)", "title": "動磁場" } ]
電磁気学 > 静磁場
<small> [[電磁気学]] > 静磁場</small> == 静磁場 == === 磁気的な力の導入 === 次に場の量に対する時間変化が無いときの、磁場の様子を見ることにする。 ここでいう磁場というものは先ほどの電場との類似で導入されるものだが、その性質は電場とはある程度異なっている。しかし、どちらも電磁気力の1つの現われで有ることに変わりは無い。 ここでは、電流の回りに磁場の発生する現象であるアンペールの法則から、磁場を導入する。 実験的に、ある電流<math>I _1</math>が流れている導線と、 <math>I _2</math>が流れている導線を、距離rまで近づけると、その間に 導線の単位長さlに対して、 :<math> f = \frac {\mu _0}{2\pi} {I _1 I _2 l} r </math> だけの力が働くことが知られている。 ここで、 :<math> \mu _0 </math> という量が与えられたが、この量は磁気的な力に関連する定数である。 この量の次元と大きさは後に述べる。 これだけでは、この力が上でいう電気力と区別するものなのかどうか わからない。しかし、例えば磁石の発する磁気に対して強く反応する 鉄などの物質をその回りに近づけることで、導線に引きよせられるような 力が働くことから、この力は、電気力ではなく磁気力によるもので あることが示唆される。 === 磁界 === 上のように電流の回りに生じる磁気の強さは、導線からの距離に のみ依存することが、砂鉄等を用いた実験によって確かめることが できる。 また、磁気の方向は、電流の流れる方向にネジが進むように 回転する方向になっている。このことを右ネジの法則と呼ぶことがある。 これらの量は、電流によって作りだされた磁気力を伝える新たな場であると 考えることが出来る。この量を磁界、または磁場と呼ぶ。 上の結果から、磁場は導線の距離によってその強さが変化し、 その方向は導線の回りを回転するようになっていることが期待される。 これらを考慮して、電流Iの回りに現われる磁界は、 :<math> \vec B = \frac {\mu _0} {2\pi} \frac {I } r </math> 与えられる。 ここで、 :<math> \mu _0 </math> は、真空の透磁率と呼ばれる量で、その量は :<math> \mu _0 = 4\pi \times 10^ {-7} [\textrm N \cdot \textrm A^{-2} ] </math> を満たす。この量は測定されたものというより定義によるものであり、 端数の無い定まった量を持つ。 この量(別の導線との相互作用は、導線の単位長さに対して、 :<math> \vec f = \vec I \times \vec B </math> で書かれる。 ここで、この式の :<math> \times </math> は、ベクトルの外積を表わす。ベクトルの外積については、 [[物理数学I]]で解説する。 また、この式に、 :<math> \vec B = \frac {\mu _0} {2\pi} \frac {I } r </math> を代入すると、<math>I _2</math>だけの電流が流れる導線の単位長さあたりに対して、 :<math> \vec f = \frac {\mu _0} {2\pi} \frac {I I _2} r </math> の力が働くが、これは上の表式と一致している。 このため、磁場を使った表式は電流間の相互作用を書き表す方法として 正しい結果を表わしている。 この式は、物理的には電流を磁場に対して垂直な方向に流すと、 電流は力を受けることを示している。この法則は、 初等的には「フレミングの左手の法則」として知られている。なお、大学物理では原則的に「ローレンツ力」の用語は、使わない。 なぜなら、後述する「ローレンツ力」の理論により、「フレミングの法則」をふくむ幾つかの法則がまとめて説明でき、しかも、「ローレンツ力」の理論にもとづいて、力などの計算もできるからである。 いっぽう、「フレミングの法則」の理論は、個々の実験結果の現象論にとどまってしまっており、そのため、大学物理では採用されていない。 さて、実際には、微視的に見ることで、電流は導線中の電荷が動いていることで 引き起こされていると見ることが出来る。そのため、ここで起こっていることは 実際には、磁場の中を電荷を持った粒子が横切ったとき、その粒子には 力が働くことに対応している。 この力は、歴史的な理由により「ローレンツ力」と呼ばれる。 この力は、 :<math> \vec f = q \vec v \times \vec B </math> で書かれる。式中のqは電荷の大きさであり、単位はクーロン(記号: C )である。 === ビオ-サバールの法則 === 上では導線の回りに生じる磁界について考えた。 導線の中では、微視的に見ると電荷が定常的に運動しており、そのようなときに 回りに磁場が引き起こされることが予想される。 実際には、導線はもっと複雑な配置にすることも出来る。 例えば、導線を円形に配置したときにも、その回りには磁場が発生することが 知られている。 このような場合の磁界の計算法として :<math> d\vec B = \frac {\mu _0}{4\pi} \int d\vec s \times \vec r \frac 1{|\vec r|^3} </math> が知られている。この式を、提唱した人間にちなんで、 「ビオ-サバールの法則」と呼ぶ。 ここで、積分は導線に沿った線積分(せん せきぶん)であり、 :<math> \vec r </math> は、導線上の点から磁場を計算したい点までのベクトルを表わしている。 例として、無限遠から無限遠まで続く導線からrだけ離れた点での磁場を 計算してみる。 この条件は、上のように長い導線を平行に置いたときの条件と近似的に 一致している。 まず導線はz軸方向に置かれているとする。 さらに磁場の大きさを計算する点の座標を A(r,0,0)とし、計算を進める点の座標をB(0,0,z)とし、 原点をOとおく。 この配置について :<math> \int \vec r \times d\vec s \frac 1{|\vec r|^3} </math> について、 :<math> \vec ds \times \vec r </math> :<math> = (0,0,dz) \times (r,0,z) </math> :<math> = rdz \vec e _y </math> となる。 更に角OABを<math>\phi</math>とおくと、求める積分は :<math> \int \vec r \times d\vec s \frac 1{|\vec r|^3} </math> :<math> = \vec e _y \int rdz \frac 1{(r/\cos \phi )^3} </math> :<math> = \vec e _y\frac 1{r^2} \int dz \cos^3 \phi </math> を得る。(式中のeは単位ベクトル。添え字のyは座標軸yの方向のこと。eといっても、ここでは電子エレクトロンのことではないので、間違えないように。) さらに積分変数をzから<math>\phi</math>にすれば、 :<math> z = r \tan \phi </math> から、 :<math> dz = \frac r {\cos ^2 \phi} d\phi </math> が成り立つ。 これを代入すると、 :<math> = \vec e _y\frac 1{r^2} \int dz \cos^3 \phi </math> :<math> = \vec e _y\frac 1{r^2} \int _{-\pi/2}^{\pi/2} \cos^3 \phi \frac r {\cos ^2 \phi} d\phi </math> :<math> = \vec e _y\frac 1 r 2 \int _0 ^{\pi/2} \cos \phi d\phi </math> :<math> = \vec e _y\frac 2 r </math> となる。 元の式に代入すると、 :<math> d\vec B = \frac {\mu _0}{4\pi} \int d\vec s \times \vec r \frac 1{|\vec r|^3} </math> :<math> = \frac {\mu _0}{4\pi} \frac 2 r \vec e _y </math> :<math> = \frac {\mu _0}{2\pi r} \vec e _y </math> となる。 この表式は、ベクトルの方向まで含めて、以前導線の回りの磁場として 与えた式と一致している。このことから、ビオ-サバールの法則は、 以前与えた表式の拡張となっていることが分かる。 == 磁性体 == (未記述) == ベクトルポテンシャル == 磁場をあらわすベクトルをBとしたとき、ベクトルポテンシャルとは、 :<math>\operatorname{rot}\boldsymbol{A} = \boldsymbol{B}</math> という式中のベクトルAのことがベクトルポテンシャルである。(アンペアの記号とは、まったく違う意味なので、間違えて混同しないように。おそらく単に「磁気の記号Bの前だからA」くらいの軽い気持ちで、むかしの物理学者の誰かが「ベクトルポテンシャルの記号はAと書こう」と決めたんだろう。) 普通は磁気Bの分布が実験的には分かってる場合が多いだろう。なのに、わざわざベクトル解析の回転をもちいてAを定義するのは、一見すると、まわりくどいと感じるかもしれないが、しかしポテンシャルのような概念を経由することで、運動量やエネルギーといった量とローレンツ力を関係づけやすくなる。 :(※ ここから先、未記述。読者に、お詳しい人がいれば、加筆をお願いしまうす。) == 動磁場 == === 電磁波 === ==== 範囲外: 相対論の一次近似 ==== (未記述) ==== ポインティングベクトル ==== (未記述) == 脚注 == [[Category:電磁気学|せいしは]]
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2023-08-22T22:12:11Z
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電磁気学/電磁誘導
電磁気学 > 電磁誘導 次に、磁場について時間変化があるときの電場について考える。 実験的に磁石をコイルの回りで動かすと、コイル内に電流が発生 することが知られている。ここで電流は、コイル内に引き起こされた 電場によってコイル内の電荷が動かされることによって生じ ていることが知られている。 そのため、ここで起こっていることは磁場の時間変化によって電場が 引き起こされているとまとめることが出来る。 今までは、電場と磁場は全く別の量であると考えて来た。しかし、ここでは 電場と磁場は互いに重要な関係を持つ量であることが示された わけである。 実験的に、このときに引き起こされる電流の大きさは に比例していることが知られている。 この法則を発見者にちなんでレンツの法則と呼ぶ。 ここで、 は、コイルをつらぬく磁束密度を積分した量である。 この量は面積分の表式を用いると、 と書くことが出来る。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "電磁気学 > 電磁誘導", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "次に、磁場について時間変化があるときの電場について考える。", "title": "電磁誘導" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "実験的に磁石をコイルの回りで動かすと、コイル内に電流が発生 することが知られている。ここで電流は、コイル内に引き起こされた 電場によってコイル内の電荷が動かされることによって生じ ていることが知られている。", "title": "電磁誘導" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "そのため、ここで起こっていることは磁場の時間変化によって電場が 引き起こされているとまとめることが出来る。", "title": "電磁誘導" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "今までは、電場と磁場は全く別の量であると考えて来た。しかし、ここでは 電場と磁場は互いに重要な関係を持つ量であることが示された わけである。", "title": "電磁誘導" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "実験的に、このときに引き起こされる電流の大きさは", "title": "電磁誘導" }, { "paragraph_id": 6, "tag": "p", "text": "に比例していることが知られている。 この法則を発見者にちなんでレンツの法則と呼ぶ。", "title": "電磁誘導" }, { "paragraph_id": 7, "tag": "p", "text": "ここで、", "title": "電磁誘導" }, { "paragraph_id": 8, "tag": "p", "text": "は、コイルをつらぬく磁束密度を積分した量である。 この量は面積分の表式を用いると、", "title": "電磁誘導" }, { "paragraph_id": 9, "tag": "p", "text": "と書くことが出来る。", "title": "電磁誘導" } ]
電磁気学 > 電磁誘導
<small> [[電磁気学]] > 電磁誘導</small> ---- ==電磁誘導== 次に、磁場について時間変化があるときの電場について考える。 実験的に磁石をコイルの回りで動かすと、コイル内に電流が発生 することが知られている。ここで電流は、コイル内に引き起こされた 電場によってコイル内の電荷が動かされることによって生じ ていることが知られている。 そのため、ここで起こっていることは磁場の時間変化によって電場が 引き起こされているとまとめることが出来る。 今までは、電場と磁場は全く別の量であると考えて来た。しかし、ここでは 電場と磁場は互いに重要な関係を持つ量であることが示された わけである。 実験的に、このときに引き起こされる電流の大きさは :<math> -\frac {d\Phi} {dt} </math> に比例していることが知られている。 この法則を発見者にちなんでレンツの法則と呼ぶ。 ここで、 :<math> \Phi </math> は、コイルをつらぬく磁束密度を積分した量である。 この量は面積分の表式を用いると、 :<math> \Phi = \int _S d\vec S \cdot \vec B </math> と書くことが出来る。 == 相対論の一次近似 == [[Category:電磁気学|てんしゆうとう]]
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2017-08-29T14:12:59Z
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CSS/ブラウザ
特定のブラウザでのみ有効な指定を解説します。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "特定のブラウザでのみ有効な指定を解説します。", "title": "" } ]
特定のブラウザでのみ有効な指定を解説します。
特定のブラウザでのみ有効な指定を解説します。 ;[[/ブラウザ/Microsoft Internet Explorer|Microsoft Internet Explorer]] ;[[/ブラウザ/Mozilla|Mozilla系]] [[Category:CSS|ふらうさ]]
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https://ja.wikibooks.org/wiki/CSS/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%82%B6
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Scheme/継続
Schemeは継続(continuation)という、たいへん強力で柔軟な制御機構を備えています。継続を用いれば大域脱出、コルーチン、疑似マルチタスク、バックトラックといった特殊な制御を必要とするプログラムを効率的に記述することができるのです。しかし一方でその抽象度の高さから、「継続は難しいもの」という印象も強いようです。 ここでは継続の正確な定義はとりあえず後に回し、直感的な観点から継続を導入してみたいと思います。 話を簡単にするため、今全ての手続きが1-in/1-outであるような1-Schemeというものを考えます。例えば: のような手続きが1-Scheme手続きです。 1-in/1-out手続きf,g,hを考えると、あらゆる1-Schemeプログラムは本質的に次のような形をもつと考えられます。 つまり前の手続きの出力が次の手続きの入力として渡され、それが連なって最終結果が導かれるわけです。パイプラインに似ていますね。 ところで、これは次のように図式化できます。 ここで少し細工をして としたらどうでしょうか。つまりgで計算をする替わりに前後の脈絡なく1をhに渡してしまうわけです。考えて見れば、これは部品の差し替えが起こるだけでプログラム全体の進行には大して影響がないことが分かります。それどころか、「特別な場合にgの計算を省略したい」といったニーズにたいへん便利に見えます。 こういう差し替えを行うにはパイプラインを監視すればよさそうです。つまり「基本的には前の手続きの入力を次に渡すのだが、必要なら替わりの値を流し込んでもいい」というルールがあれば部品の差し替えと同じことが実現できます。これはつまり図式の => にアクセスする手段があるということになります。 => とはなんでしょうか。 まず であることが分かります。よく考えるとこれは1-in/1-outの手続きそのものです。そして「前の値」とは、ある手続きの計算結果のことですから、 ということが言えます。最後に流し込みのルールを追加します。 このような性質を持った => を「継続手続き」といいます。そして、ある手続きを呼び出す時に、すぐ後ろの継続手続を取り出す手段がSchemeには用意されているのです。これはcall-with-current-continuationあるいは省略してcall/ccと呼ばれています。 Schemeの仕様書R5RSによれば、継続の正確な定義はこうです。 デフォルトの未来全体とは、ずいぶん持って回った言い方です。 これは継続手続きが連なるパイプラインの先を何であれ継続と考える、ということを意味します。実行型プログラムであればプログラムの終了までですし、対話環境なら「次の入力を受け取ってそれを解釈しまた次の・・」という繰り返しを(少なくとも概念上)継続全体としてとらえます。 ここで注意しなければならないのは、一端取り出した継続手続きは、他の手続きとなんら変わるところがない、ということです。再び上の例を考えます。 上の例を字句通りに書くと次のようになります。 ここでcont-procは単なる手続きなので、適当な変数に代入すれば後から再利用できてしまうのです。 その後適当なタイミングでcontを呼び出すことができます。 このような場合、単に再開手続きを呼ぶだけではあまり意味がないので、脱出用の継続手続きを同時に用意して処理の中断を行うケースが多いでしょう。 以上をまとめると、継続の基本的な作用は次の二つになります。 Schemeの継続は基本的に「一入力の手続き」です。ただし真の多値であるvalues手続きをもつ関係上、「call-with-valuesの直下で呼び出されたcall/ccはn入力の継続手続きを生成する」と規定されています。 「継続」という概念は必ずしもScheme固有のものではないのですが、Schemeとワンセットで扱われることが多いようです。理由は色々ありますが、 などが考えられます。
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Schemeは継続(continuation)という、たいへん強力で柔軟な制御機構を備えています。継続を用いれば大域脱出、コルーチン、疑似マルチタスク、バックトラックといった特殊な制御を必要とするプログラムを効率的に記述することができるのです。しかし一方でその抽象度の高さから、「継続は難しいもの」という印象も強いようです。 ここでは継続の正確な定義はとりあえず後に回し、直感的な観点から継続を導入してみたいと思います。
Schemeは継続('''continuation''')という、たいへん強力で柔軟な制御機構を備えています。継続を用いれば大域脱出、コルーチン、疑似マルチタスク、バックトラックといった特殊な制御を必要とするプログラムを効率的に記述することができるのです。しかし一方でその抽象度の高さから、「継続は難しいもの」という印象も強いようです。 ここでは継続の正確な定義はとりあえず後に回し、直感的な観点から継続を導入してみたいと思います。 == 継続手続き== 話を簡単にするため、今全ての手続きが1-in/1-outであるような1-Schemeというものを考えます。例えば: (define (double x) (* x x)) (double 2) => 4 (define (add1 x) (+ x 1)) (add1 2) => 3 のような手続きが1-Scheme手続きです。 ---- :(なおSchemeではlambdaを自由に導入できるので、n-inの手続きであっても次のように「1-in手続きのつながったもの」に加工できます) (define (f x y) (* x y)) (lambda (X) (lambda (Y) (f X Y))) ---- 1-in/1-out手続きf,g,hを考えると、あらゆる1-Schemeプログラムは本質的に次のような形をもつと考えられます。 (h (g (f 入力))) => 結果 つまり前の手続きの出力が次の手続きの入力として渡され、それが連なって最終結果が導かれるわけです。パイプラインに似ていますね。 ところで、これは次のように図式化できます。 入力 => [ f => g => h ] => 結果 ここで少し細工をして 入力 => [ f => 1 => h ] => 結果 としたらどうでしょうか。つまりgで計算をする替わりに前後の脈絡なく1をhに渡してしまうわけです。考えて見れば、これは部品の差し替えが起こるだけでプログラム全体の進行には大して影響がないことが分かります。それどころか、「特別な場合にgの計算を省略したい」といったニーズにたいへん便利に見えます。 こういう差し替えを行うにはパイプラインを監視すればよさそうです。つまり「基本的には前の手続きの入力を次に渡すのだが、必要なら替わりの値を流し込んでもいい」というルールがあれば部品の差し替えと同じことが実現できます。これはつまり図式の => にアクセスする手段があるということになります。 => とはなんでしょうか。 まず * '''前の値を受け取って次の手続きに渡す何か''' であることが分かります。よく考えるとこれは1-in/1-outの手続きそのものです。そして「前の値」とは、ある手続きの計算結果のことですから、 * '''ある手続きを呼び出すとき、その後ろに必ず => が一つある''' ということが言えます。最後に流し込みのルールを追加します。 * '''何もしなければ => はその手前の手続きの結果を受け取るが、必要なら任意の値を渡してもいい''' このような性質を持った => を「'''継続手続き'''」といいます。そして、ある手続きを呼び出す時に、すぐ後ろの継続手続を取り出す手段がSchemeには用意されているのです。これはcall-with-current-continuationあるいは省略してcall/ccと呼ばれています。 == 継続 == Schemeの仕様書R5RSによれば、継続の正確な定義はこうです。 :Whenever a Scheme expression is evaluated there is a continuation waiting the result of the expression. The continuation represents an entire (default) future for the computation. :[訳] Schemeの式が評価される時、そこには評価の結果を待つ継続が一つ待機している。継続は計算の(デフォルトの)未来全体を表している。 デフォルトの未来全体とは、ずいぶん持って回った言い方です<ref> futureに未来の役を当てましたが、GoFのデザインパターンの[[W:Future パターン|Future パターン]]に相当します。</ref>。 これは継続手続きが連なるパイプラインの先を何であれ継続と考える、ということを意味します。実行型プログラムであればプログラムの終了までですし、対話環境なら「次の入力を受け取ってそれを解釈しまた次の・・」という繰り返しを(少なくとも概念上)継続全体としてとらえます。 ここで注意しなければならないのは、一端取り出した継続手続きは、他の手続きとなんら変わるところがない、ということです。再び上の例を考えます。 上の例を字句通りに書くと次のようになります。 (h (call/cc (lambda (cont-proc) ;; 継続手続きをとり出す (let ((v (f 入力))) (cont-proc 1) ;; 継続手続きに1を渡す (g v) ;; ここでgを呼び出しているが、 )))) ;; 直前の継続手続きで脱出してしまうため、実際には実行されない => (h 1) ここでcont-procは単なる手続きなので、適当な変数に代入すれば後から再利用できてしまうのです。 (define reuse #f) (h (call/cc (lambda (cont-proc) (let ((v (f 入力))) (set! reuse cont-proc) (g v) ;; 今度はcont-procを呼び出していないので普通に手続きは終了する )))) => (h (g v)) その後適当なタイミングでcontを呼び出すことができます。 (reuse 1) => (h 1) このような場合、単に再開手続きを呼ぶだけではあまり意味がないので、脱出用の継続手続きを同時に用意して処理の中断を行うケースが多いでしょう。 (define (re-entrant stop-cont) (call/cc (lambda (continue) (stop-cont continue))) ;; 再開用の手続きを渡して一端終了 (continued-body) ;;continueが呼び出されると実行される ... ) 以上をまとめると、継続の基本的な作用は次の二つになります。 * 手続き呼び出しの直前にcall/ccを使うことで、替わりの脱出経路を取り出せる * 継続を保存することで処理の再開ができる === Schemeと継続 === Schemeの継続は基本的に「一入力の手続き」です。ただし真の多値であるvalues手続きをもつ関係上、「call-with-valuesの直下で呼び出されたcall/ccはn入力の継続手続きを生成する」と規定されています。 「継続」という概念は必ずしもScheme固有のものではないのですが、Schemeとワンセットで扱われることが多いようです。理由は色々ありますが、 * ラムダ算法あっての継続ということ(全ての操作がlambda手続きと見なせるから、あらゆる状況で正しく継続を取り出せる) * 動的型(継続に任意の値を渡せる) * 一方で副作用をもつ(レキシカルクロージャと組み合わせることで威力を発揮する) などが考えられます。 == 継続の応用例 == * 脱出継続 * ツリー探索 * コルーチン * バックトラック * 協調的マルチタスク(call/cc軽量スレッド) * 例外処理 {{DEFAULTSORT:けいそく}} [[Category:Scheme]]
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2022-01-10T02:45:00Z
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https://ja.wikibooks.org/wiki/Scheme/%E7%B6%99%E7%B6%9A
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JavaScript/XML
XML(eXtensible Markup Language)とその派生であるXHTML(eXtensible Hypertext Markup Language)は、過去にはウェブ開発やデータ交換の分野で非常に期待されていましたが、その期待感は時間とともに沈静化していきました。以下に期待と失望の要因を示します。 期待: 失望: さらにW3CがHTMLの規格策定主体でなくなったことは、HTMLの進化と共に、XMLとXHTMLに対する注目と重要性が低下する傾向に影響を与えました。その結果、HTML5が広く採用され、XMLとXHTMLの役割は限定されたものとなりました。
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XMLとその派生であるXHTMLは、過去にはウェブ開発やデータ交換の分野で非常に期待されていましたが、その期待感は時間とともに沈静化していきました。以下に期待と失望の要因を示します。 期待: データの構造化と交換: XMLはデータを階層的な構造で表現することができ、異なるシステム間でのデータ交換に適していると考えられました。これにより、異なるプログラミング言語やプラットフォーム間での相互運用性が向上すると期待されました。 拡張性: XMLはタグのカスタム定義が可能であり、特定の業界や用途に合わせて独自のマークアップ言語を作成することができました。これにより、さまざまな用途に応じた柔軟なデータ表現が期待されました。 XHTMLの厳密性と一貫性: XHTMLはXMLに基づいており、より厳密な文法と構造を持つことから、より信頼性の高いウェブページの作成と解析が期待されました。これにより、異なるブラウザやデバイス間での一貫性が向上し、アクセシビリティが改善されると期待されました。 失望: 複雑性と冗長性: XMLは非常に冗長で読みづらい形式を持ち、データの記述に多くのタグが必要となるため、手書きでの作成や読解が難しくなります。また、XHTMLも厳密な文法と構造を必要とするため、開発者にとっては煩雑であり、効率性が低いと感じられることがあります。 JSONとYAMLの登場: JSONやYAMLなどの新しいデータフォーマットが登場しました。これらのフォーマットはXMLよりもシンプルで読み書きが容易であり、特にウェブ開発やAPIの通信において広く採用されるようになりました。 HTML5の普及: XHTMLの時代にはHTML5が登場し、HTML5はより柔軟で強力な機能を提供しました。HTML5はXMLの複雑性を回避し、より直感的で使いやすいマークアップ言語として広く受け入れられました。 さらにW3CがHTMLの規格策定主体でなくなったことは、HTMLの進化と共に、XMLとXHTMLに対する注目と重要性が低下する傾向に影響を与えました。その結果、HTML5が広く採用され、XMLとXHTMLの役割は限定されたものとなりました。
{{Nav}} XML(eXtensible Markup Language)とその派生であるXHTML(eXtensible Hypertext Markup Language)は、過去にはウェブ開発やデータ交換の分野で非常に期待されていましたが<ref>Ajax は Asynchronous JavaScript + XMLの略であるように、かつてはXMLがペイロードであることが想定されていました。</ref>、その期待感は時間とともに沈静化していきました。以下に期待と失望の要因を示します。 期待: # データの構造化と交換: XMLはデータを階層的な構造で表現することができ、異なるシステム間でのデータ交換に適していると考えられました。これにより、異なるプログラミング言語やプラットフォーム間での相互運用性が向上すると期待されました。 # 拡張性: XMLはタグのカスタム定義が可能であり、特定の業界や用途に合わせて独自のマークアップ言語を作成することができました。これにより、さまざまな用途に応じた柔軟なデータ表現が期待されました。 # XHTMLの厳密性と一貫性: XHTMLはXMLに基づいており、より厳密な文法と構造を持つことから、より信頼性の高いウェブページの作成と解析が期待されました。これにより、異なるブラウザやデバイス間での一貫性が向上し、アクセシビリティが改善されると期待されました。 失望: # 複雑性と冗長性: XMLは非常に冗長で読みづらい形式を持ち、データの記述に多くのタグが必要となるため、手書きでの作成や読解が難しくなります。また、XHTMLも厳密な文法と構造を必要とするため、開発者にとっては煩雑であり、効率性が低いと感じられることがあります。 # JSONとYAMLの登場: JSON(JavaScript Object Notation)やYAML(YAML Ain't Markup Language)などの新しいデータフォーマットが登場しました。これらのフォーマットはXMLよりもシンプルで読み書きが容易であり、特にウェブ開発やAPIの通信において広く採用されるようになりました。 # HTML5の普及: XHTMLの時代にはHTML5が登場し、HTML5はより柔軟で強力な機能を提供しました。HTML5はXMLの複雑性を回避し、より直感的で使いやすいマークアップ言語として広く受け入れられました。 さらにW3CがHTMLの規格策定主体でなくなったことは、HTMLの進化と共に、XMLとXHTMLに対する注目と重要性が低下する傾向に影響を与えました<ref>XHTMLを主導的に標準化してきたW3Cは[[w:ウェブ標準|ウェブ標準]]の策定を [[w:WHATWG|WHATWG]] に譲っています。 https://www.w3.org/blog/news/archives/8909</ref>。その結果、HTML5が広く採用され、XMLとXHTMLの役割は限定されたものとなりました<ref>HTML5ではXHTMLは、HTML5のXML構文との位置づけられるともに、XHTMLの語は標準仕様書のなかでは用いないとしている https://html.spec.whatwg.org/multipage/xhtml.html#writing-xhtml-documents</ref>。 == 脚註 == <references /> [[Category:JavaScript]] [[カテゴリ:XML]]
2005-07-28T15:05:26Z
2024-02-18T14:08:38Z
[ "テンプレート:Nav" ]
https://ja.wikibooks.org/wiki/JavaScript/XML
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方丈記
古典文学>日本の古典>方丈記 『方丈記(冒頭)』鴨長明 ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、またかくのごとし。 たましきの都のうちに、棟を並べ、甍を争へる、高き、卑しき、人のすまひは、世々を経て尽きせぬものなれど、これをまことかと尋ぬれば、昔ありし家はまれなり。あるいは去年焼けて今年作れり。あるいは大家滅びて小家となる。住む人もこれに同じ。所も変はらず、人も多かれど、いにしへ見し人は、二、三十人が中に、わづかにひとりふたりなり。朝に死に、夕べに生まるるならひ、ただ水のあわにぞ似たりける。知らず、生まれ死ぬる人、いづかたより来たりて、いづかたへか去る。また知らず、仮の宿り、たがためにか心を悩まし、何によりてか目を喜ばしむる。その、あるじとすみかと、無常を争ふさま、いはば朝顔の露に異ならず。あるいは露落ちて花残れり。残るといへども朝日に枯れぬ。あるいは花しぼみて露なほ消えず。消えずといへども夕べを待つことなし。 http://home2.highway.ne.jp/issei-s/koten01/hojyo.01.htmlより転載 よどみに浮ぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとゞまりたるためしなし。世中にある、人と栖(すみか)と、又かくのごとし。 たましきの都のうちに、棟(むね)を並べ、甍を争へる、高き、いやしき人の住ひは、世々を経て、尽きせぬ物なれど、是をまことかと尋れば、昔しありし家は稀なり。或は去年(こぞ)焼けて今年つくれり。或は大家(おほいへ)ほろびて小家(こいへ)となる。住む人も是に同じ。所もかはらず、人も多かれど、いにしへ見し人は、二三十人が中に、わづかにひとりふたりなり。朝に死に、夕に生るゝならひ、たゞ水の泡にぞ似りける。 不知、生れ死ぬる人、何方より来たりて、何方へか去る。又不知、仮の宿り、誰が為にか心を悩まし、何によりてか目を喜ばしむる。その、主と栖と、無常を争ふさま、いはゞあさがほの露に異ならず。或は露落ちて花残れり。残るといへども、朝日に枯れぬ。或は花しぼみて露なほ消えず。消えずといへども、夕を待つ事なし。 (方丈記原文)(Taiju's Notebookより)
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "古典文学>日本の古典>方丈記", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "『方丈記(冒頭)』鴨長明", "title": "" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、またかくのごとし。 たましきの都のうちに、棟を並べ、甍を争へる、高き、卑しき、人のすまひは、世々を経て尽きせぬものなれど、これをまことかと尋ぬれば、昔ありし家はまれなり。あるいは去年焼けて今年作れり。あるいは大家滅びて小家となる。住む人もこれに同じ。所も変はらず、人も多かれど、いにしへ見し人は、二、三十人が中に、わづかにひとりふたりなり。朝に死に、夕べに生まるるならひ、ただ水のあわにぞ似たりける。知らず、生まれ死ぬる人、いづかたより来たりて、いづかたへか去る。また知らず、仮の宿り、たがためにか心を悩まし、何によりてか目を喜ばしむる。その、あるじとすみかと、無常を争ふさま、いはば朝顔の露に異ならず。あるいは露落ちて花残れり。残るといへども朝日に枯れぬ。あるいは花しぼみて露なほ消えず。消えずといへども夕べを待つことなし。", "title": "本文" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "http://home2.highway.ne.jp/issei-s/koten01/hojyo.01.htmlより転載", "title": "本文" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "よどみに浮ぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとゞまりたるためしなし。世中にある、人と栖(すみか)と、又かくのごとし。", "title": "本文" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "たましきの都のうちに、棟(むね)を並べ、甍を争へる、高き、いやしき人の住ひは、世々を経て、尽きせぬ物なれど、是をまことかと尋れば、昔しありし家は稀なり。或は去年(こぞ)焼けて今年つくれり。或は大家(おほいへ)ほろびて小家(こいへ)となる。住む人も是に同じ。所もかはらず、人も多かれど、いにしへ見し人は、二三十人が中に、わづかにひとりふたりなり。朝に死に、夕に生るゝならひ、たゞ水の泡にぞ似りける。", "title": "本文" }, { "paragraph_id": 6, "tag": "p", "text": "不知、生れ死ぬる人、何方より来たりて、何方へか去る。又不知、仮の宿り、誰が為にか心を悩まし、何によりてか目を喜ばしむる。その、主と栖と、無常を争ふさま、いはゞあさがほの露に異ならず。或は露落ちて花残れり。残るといへども、朝日に枯れぬ。或は花しぼみて露なほ消えず。消えずといへども、夕を待つ事なし。", "title": "本文" }, { "paragraph_id": 7, "tag": "p", "text": "(方丈記原文)(Taiju's Notebookより)", "title": "関連" } ]
古典文学>日本の古典>方丈記 『方丈記(冒頭)』鴨長明
[[古典文学]]>[[日本の古典]]>方丈記 『[[w:方丈記|方丈記(冒頭)]]』[[w:鴨長明|鴨長明]] ==本文== ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、またかくのごとし。  たましきの都のうちに、棟を並べ、甍を争へる、高き、卑しき、人のすまひは、世々を経て尽きせぬものなれど、これをまことかと尋ぬれば、昔ありし家はまれなり。あるいは去年焼けて今年作れり。あるいは大家滅びて小家となる。住む人もこれに同じ。所も変はらず、人も多かれど、いにしへ見し人は、二、三十人が中に、わづかにひとりふたりなり。朝に死に、夕べに生まるるならひ、ただ水のあわにぞ似たりける。知らず、生まれ死ぬる人、いづかたより来たりて、いづかたへか去る。また知らず、仮の宿り、たがためにか心を悩まし、何によりてか目を喜ばしむる。その、あるじとすみかと、無常を争ふさま、いはば朝顔の露に異ならず。あるいは露落ちて花残れり。残るといへども朝日に枯れぬ。あるいは花しぼみて露なほ消えず。消えずといへども夕べを待つことなし。 [http://home2.highway.ne.jp/issei-s/koten01/hojyo.01.html http://home2.highway.ne.jp/issei-s/koten01/hojyo.01.html]より転載 ===一行目=== {|border="1" |- |本文|| ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。 |- |現代語訳||ゆく河の水の流れは絶える事がなく流れ続ける状態にあって、それでいて、それぞれのもともとの水ではない。 |- |本文解釈||「ゆく河の流れ」というのは、流れて行く河の水のことを指しています。 河が流れて行く様子を見ていると、池や沼とは異なり、とうとうと流れて行き、その水の流れは、河がなくならない限り絶えることはありません。『方丈記』の作者とされる鴨長明は、流れる河の水が、二度と戻らない事を見、「無常」という仏教の言葉と重ね合わせて、「常に同じものはこの世には無い」と強く感じて、この冒頭の文章を書き始めたと多くの人に解釈されています。 鴨長明の生きた時代は、戦乱が多く、天災や火災も多かったということが、『方丈記』の中に描かれています。 世の中に常なるものがないけれども、河の流れ自体は絶えないというある種の「歴史観」を、鴨長明は河にたとえて描きました。 「爽健美茶」のコマーシャルソングとしてよくしられる森山直太朗の「時の行方 ~序・春の空~」という歌でも「自然の移ろい」に時の流れをたくし、美空ひばりの「川の流れのように」では時の流れを河の流れにたとえていますが、これらの「時」の感覚は、鴨長明の『方丈記』の冒頭によって強く印象付けられ、鴨長明が感じた無常観は、『方丈記』によって伝えられて、現在でも、多くの文学作品に登場します。 |- |文法解説||「絶えずして」の「ず」は打消しの助動詞「ず」の連用形です。「して」は、接続の助動詞「して」で、「-の状態にあって」という意味です。「しかも」は、もともと接続詞でしたが、ここでは、副詞で、「それでいて」というように使われています。今現在では、「なおその上に」という意味で使用されることが多いですが、ここでは、「それでいて」と訳されます。現代語訳のところで、何故「それでいて」と訳すかについて現在の古文の先生の多くの解釈についてお話しますが、ここで、少し立ち止まって、何故そう訳すのかを考えてみてください。「あらず」の「ず」は打消しの助動詞、「ず」の終止形です。 |- |||簡潔な現代語にすると、「流れゆく河の水の流れは絶えて無くなることがないが、それでいて、流れる水の一つ一つは同じ水ではない。」と訳せるでしょう。 「ないが」の「が」という訳は、おかしいと感じられるかもしれません。しかし、「流れゆく水は絶えなくて(常なるもの)」と「同じ水ではない(無常なるもの)」という相反する考え方を繋ぐためには、「が」という語を使い、「それでいて」を活かすとよいでしょう。一般的には、「行く川の流れは絶えることなく、それでいて、この瞬間に流れている水はもとの水ではない。」という訳がされます。 この世に同じものなど二つと無く、それでいて、流れ自体が絶えないという、仏教の世界観に貫かれた書き出しといえるでしょう。 |} ===二行目以降=== よどみに浮ぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとゞまりたるためしなし。世中にある、人と栖(すみか)と、又かくのごとし。 たましきの都のうちに、棟(むね)を並べ、甍を争へる、高き、いやしき人の住ひは、世々を経て、尽きせぬ物なれど、是をまことかと尋れば、昔しありし家は稀なり。或は去年(こぞ)焼けて今年つくれり。或は大家(おほいへ)ほろびて小家(こいへ)となる。住む人も是に同じ。所もかはらず、人も多かれど、いにしへ見し人は、二三十人が中に、わづかにひとりふたりなり。朝に死に、夕に生るゝならひ、たゞ水の泡にぞ似りける。 不知、生れ死ぬる人、何方より来たりて、何方へか去る。又不知、仮の宿り、誰が為にか心を悩まし、何によりてか目を喜ばしむる。その、主と栖と、無常を争ふさま、いはゞあさがほの露に異ならず。或は露落ちて花残れり。残るといへども、朝日に枯れぬ。或は花しぼみて露なほ消えず。消えずといへども、夕を待つ事なし。 == 関連 == [http://www2s.biglobe.ne.jp/~Taiju/hojoki.htm (方丈記原文)](Taiju's Notebookより) {{stub}} [[Category:古典文学|ほうしようき]]
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日本の古典
文学>古典文学>日本の古典
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文学>古典文学>日本の古典
[[文学]]>[[古典文学]]>[[日本の古典]] == 文学論 == *[[/日記文学|日記文学]] *[[/宮廷文学|宮廷文学]] *[[/女流文学|女流文学]] *[[/仏教文学|仏教文学]] *[[/中世文学|中世文学]] *[[/中古文学|中古文学]] *[[/上代文学|上代文学]] *[[/江戸文学|江戸文学]] == 個々の文学 == *[[竹取物語]]を読む *[[とりかやべ物語]]を読む *[[今昔物語集]]を読む *[[室町物語集]]を読む *[[太閤記]]を読む [[Category:古典文学|にほんのこてん]]
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小学校算数/5学年
5年生の算数では、整数、分数の計算、合同な図形、多角形などについて学習します。 4年生までに、整数のことについて学びました。では、整数についてもっと深く学んでいきましょう。 2でわり切れる整数を「偶数」といい、2でわり切れない整数を「奇数」といいます。 たとえば、2、6、10、50などは偶数で、1、5、11、51などは奇数です(0は2でわり切れると考えられるので、偶数です)。 なお、一の位の数が ならばその数は偶数で、 ならばその数は奇数です。 54,78,85,231は偶数ですか、奇数ですか。 一の位の数に注目しましょう。 それぞれ、 結果は、 となります。 ある整数に整数をかけてできる数を、ある整数の倍数といいます。 などがあります(0については考えません)。ある整数の倍数は、無数にあります。 ある整数をわり切ることができる整数を、ある整数の 約数 といいます。 たとえば、12の約数には 1,2,3,4,6,12 があります。約数の個数には、限りがあります。 2つの整数に共通している倍数を 公倍数といいます。特に、最も小さい公倍数を 最小公倍数 といいます。 2つの整数に共通している約数を 公約数といいます。特に、最も大きい公約数を 最大公約数 といいます。 青森県と北海道を結ぶ青函トンネルの長さは53.85kmです。この53.85という数について考えましょう。 また、東京都から大阪府を走っている東海道新幹線の路線きょりは515.4kmです。この515.4という数について考えましょう。 小数のかけ算とわり算も、整数の場合と同様にできます。 しかし整数と同じように計算すると矛盾します。 次のかけ算の問題を解いてみましょう。 式は 2.3 × 2.8 {\displaystyle 2.3\times 2.8} となります。 計算のしかたを考えてみましょう。 パイプの重さを23kgと10倍にすると、求める重さも10倍になります。 パイプの長さが10倍になると、求める重さも10倍になります。 1mの重さが2.3kgのパイプ2.8mの重さを出すには、この積を 1 100 {\displaystyle {\frac {1}{100}}} にすればよいので 2.3 × 2.8 = 23 × 28 ÷ 100 = 6.44 {\displaystyle 2.3\times 2.8=23\times 28\div 100=6.44} したがって、 2.3 × 2.8 = 6.44 {\displaystyle 2.3\times 2.8=6.44} となります。答えは6.44kgです。 次のわり算の問題を解いてみましょう。 式は 7.8 ÷ 6.5 {\displaystyle 7.8\div 6.5} となります。 計算のしかたを考えてみましょう。 同じぼうの長さを10倍にすれば、重さも10倍になります。 65mのぼうの重さは 7.8 × 10 = 78 {\displaystyle 7.8\times 10=78} 鉄のぼう1mの重さは ( 7.8 × 10 ) ÷ ( 6.5 × 10 ) = 78 ÷ 65 = 1.2 {\displaystyle (7.8\times 10)\div (6.5\times 10)=78\div 65=1.2} したがって、 7.8 ÷ 6.5 = 1.2 {\displaystyle 7.8\div 6.5=1.2} となります。答えは1.2kgです。 右の図を見てください。ファイル:Fraction4 6.svg 2 3 {\displaystyle {\frac {2}{3}}} と 4 6 {\displaystyle {\frac {4}{6}}} と 6 9 {\displaystyle {\frac {6}{9}}} が同じ大きさであることがわかるでしょう。ですから、 4 6 {\displaystyle {\frac {4}{6}}} や 6 9 {\displaystyle {\frac {6}{9}}} は 2 3 {\displaystyle {\frac {2}{3}}} になおせますね。分数を、同じ大きさで、分母と分子ができるだけ小さい分数になおすことを 約分する といいます。 ある分数の分子と分母に、同じ数をかけたりわったりしても分数の大きさは変わりません。 約分する方法には、分母と分子を分母と分子の最大公約数でわる方法があります。 先ほどの 約分 とは逆に、たとえば、 2 3 {\displaystyle {\frac {2}{3}}} は 4 6 {\displaystyle {\frac {4}{6}}} や 6 9 {\displaystyle {\frac {6}{9}}} となおせますね。 たとえば、 1 2 {\displaystyle {\frac {1}{2}}} は 2 4 , 3 6 {\displaystyle {\frac {2}{4}},{\frac {3}{6}}} ...となおすことができます。 また、 1 3 {\displaystyle {\frac {1}{3}}} は 2 6 , 3 9 {\displaystyle {\frac {2}{6}},{\frac {3}{9}}} ... となおすことができます。 いま、 1 2 {\displaystyle {\frac {1}{2}}} と 1 3 {\displaystyle {\frac {1}{3}}} は それぞれ 3 6 {\displaystyle {\frac {3}{6}}} 、 2 6 {\displaystyle {\frac {2}{6}}} になおせました。このように、2つ以上の分数を 分母が同じ大きさになるように直すことを 通分する といいます。通分する方法には、すべての分数の分母を すべての分数の分母の最小公倍数にそろえる方法があります。 分母がことなる分数のたし算やひき算について考えてみましょう。 分母が同じ分数のたし算はすでに学んでいます。そこで 通分 して、分母をそろえると、 5 1 5 + 3 1 5 {\displaystyle {\frac {5}{1}}5+{\frac {3}{1}}5} となります。これを計算すると 8 1 5 {\displaystyle {\frac {8}{1}}5} となるので、答えは 8 1 5 {\displaystyle {\frac {8}{1}}5} です。 では、 について考えましょう。 これも、先ほどと同じように通分して、 5 6 − 1 2 = 5 6 − 3 6 = 2 6 = 1 3 {\displaystyle {\frac {5}{6}}-{\frac {1}{2}}={\frac {5}{6}}-{\frac {3}{6}}={\frac {2}{6}}={\frac {1}{3}}} となります。上のように、答えが約分できる場合は、必ず約分します。 次の問題を解いてみましょう。 式は 2 ÷ 3 {\displaystyle 2\div 3} となります。 小数で表すと 2 ÷ 3 = 0.666 {\displaystyle 2\div 3=0.666} ...... となり、わりきれません。 1Lを3等分した量は、 1 3 {\displaystyle {\frac {1}{3}}} Lになります。 2Lは1Lの2つ分です。 2Lを3等分した量のうちの1つは1Lを3等分した量の2つ分であるから、 2 3 {\displaystyle {\frac {2}{3}}} Lになります。 したがって 2 ÷ 3 = 2 3 {\displaystyle 2\div 3={\frac {2}{3}}} となります。 このように、分数は、分数を使うと正確に表すことができます。 整数どうしのわり算の商は、分数で表すことができます。 ◯ ÷ △ = ◯ △ {\displaystyle \bigcirc \div \triangle ={\frac {\bigcirc }{\triangle }}} また、0.5と0.24を分数になおしましょう。 0.1 = 1 10 {\displaystyle 0.1={\frac {1}{10}}} であるから、 0.5 = 5 10 {\displaystyle 0.5={\frac {5}{10}}} ( = 1 2 ) {\displaystyle (={\frac {1}{2}})} 0.01 = 1 100 {\displaystyle 0.01={\frac {1}{100}}} であるから、 0.24 = 24 100 {\displaystyle 0.24={\frac {24}{100}}} ( = 6 25 ) {\displaystyle (={\frac {6}{25}})} 小数は、10、100などを分母とする分数になおすことができます。 5を分数になおしましょう。 整数は、1などを分母とする分数になおすことができます。 次の問題を考えましょう。 ●と○は全部で何個ありますか。 ∙ {\displaystyle \bullet } と ∘ {\displaystyle \circ } を全部あわせて考えると ∙ {\displaystyle \bullet } の数と ∘ {\displaystyle \circ } の数をそれぞれ求めてあわせると よって が成り立ちます。 ( )を使った式の計算には次のような法則(ほうそく)があります。 このような法則(ほうそく)を 分配法則(ぶんぱいほうそく) といいます。(小学校では、法則名は覚えなくても構いません。) この考えを使って、くふうして暗算で計算しよう。 たし算とかけ算には、次のようなきまりがあります。 これを たし算の 交換法則(こうかん ほうそく)と言います。 これを たし算の 結合法則(けつごう ほうそく)と言います。 これを かけ算の 交換法則(こうかん ほうそく)と言います。 これを かけ算の 結合法則(けつごう ほうそく)と言います。 この考えを使って、くふうして暗算で計算しよう。 2つの図形が、その図形の位置や向きをかえて、形と大きさをかえずに、重ねられるとき、その2つの図形は 合同である といいます。 多角形 (たかくけい)とは、3本以上の線でかつそのどれもが結ばれた図形のことを言います。名前は線が3本なら 三角形 、4本なら 四角形 、5本なら 五角形(ごかくけい)、・・・というふうになります。 また、辺の長さと角の大きさが全て同じである多角形のことを 正多角形 (せいたかくけい)と言います。三角形の場合は正三角形、四角形の場合は正四角形(「正方形」(せいほうけい)というのがふつうです)、五角形の場合は正五角形・・・というふうになります。 正多角形は、まず円をかき、その中心の周りの角を等分することでかけます。例えば正五角形は、円をかき、その中心の周りの角を5等分して、72°ずつに区切り、区切る直線が縁と交わったところの点を結ぶことで書けます。なお、正六角形は、 三角形をかいて、3つの角の大きさの和を求めてみましょう。 三角形の3つの角の大きさの和は、どんな三角形でも 180°になります。 四角形の4つの角の大きさの和は、どんな四角形でも 360°になります。 四角形に対角線を1本引けば、ふたつの三角形に分かれるので、2つの三角形の三角形の3つの角の大きさの和に等しくなります。 五角形では、五角形の5つの角の大きさの和は、三角形の3つの角の大きさの和に等しくなります。 五角形の内角の和をもとめるための対角線のひきかたには、いろいろとありますが、とにかく五角形の内角の和は三角形の3つの角の大きさの和に等しくなります。 六角形の6つの角の大きさの和をもとめるための対角線のひきかたには、いろいろとありますが、とにかく六角形の6つの角の大きさの和は、4つの三角形の3つの角の大きさの和になります。 円のまわりの長さを 円周 といいます。 例えば、 円周は曲がっているので、定規でははかれません。しかし「円周÷直径」はどの円でも同じです。これを 円周率(えんしゅうりつ) といい、円周率は およそ3.14 であることが わかっています。 円周率は、くわしくは 3.14159 26535 89793 23846 26433 83279 50288 ... と、限りなく続きます。 小学校では、円周率は 3.14 として計算することが多いです。 円周率は、分数で表すことはできない数で、小数で表すといつまでも終わらないことがわかっています。 でしたから、 ですね。はじめの問題を解くと、7×3.14=21.98(cm)というようになります。 面積は、図形の広さを表すものです。例えば、 面積は長方形・正方形の場合は、たて×よこで表すことができました。 たとえば、たて4cm、よこ5cmの長方形の面積は、4×5=20(cm)となります。 次の図形でも、面積は次のように求めることができます。 右の図1の方眼紙は1目もり1cmです。図1の三角形の面積を考えてみましょう。 右の図1の方眼紙は1目もり1cmです。図1の平行四辺形の面積を考えてみましょう。 図1の台形の面積を考えてみましょう。 図1のひし形の面積を考えてみましょう。 2年生では、「かさ」や「L」などの単位について、ならいました。 立体の、空間での大きさ(今までに習った「かさ」のこと)を 体積 (たいせき) といいます。 面積では、縦(たて)と横(よこ)が 1cm の正方形の面積のことを 1cm と いいました。 体積では、縦(たて) と 横(よこ) と 高さ(たかさ) が 1cm の 立方体 の 体積 を 1cm と 書き 、「 1 立方(りっぽう) センチメートル」といいます。 体積は、縦と 横と 高さが 1cm の 立方体 の 体積(1cm)が、いくつ分かで表します。 直方体(ちょくほうたい) は 長方形 が たくさん 積み 重なった もの 、 立方体は 正方形 が たくさん 積み 重なったもの と 考えてみると、体積は たて×横× 高さ の式で 求めることができます。 立方体(りっぽうたい) は 全ての辺の長さが同じなので、高さも1辺の長さになります。また、底面の面積は今までどおり 縦×横 の式で計算できます。 つまり、 で求めることができます。 下の問題を見てみましょう。 という問題があります。 直方体の体積は 縦×横×高さ なので、2×3×6=36(cm)と求められます。 一辺が1mの立方体の体積を1立方メートル(いち りっぽうメートル)と言い 1m と書きます。1立方メートルを立方センチメートルで書いたとすると、1mは100cmですから、1m は です。(一立方メートルは、百万立方センチメートル) コップや水槽(すいそう)、プールなど、水などの液体(えきたい)をいれる容器(ようき)について、容器の内部の長さを内(うち)のりといい、その容器に入りきる液体の体積を 容積(ようせき) といいます。 容積の単位(たんい)は、体積と同じようにLやdLや立方cmや立方mなどを、つかいます。 なお、1Lは 1000cm です。つまり です。 1dLは 100cm です。つまり です。 1mLは 1cm です。つまり です。 三角柱には面が、5個、あります。三角柱の面のうち、2個は三角形です。三角柱の面のうち、3個は四角形です。 三角柱には、頂点が 6個 あります。(数えてみてください。) 三角柱には、辺が 9本 あります。(数えてみてください。) 三角柱の上下の2つの三角形の面を 底面(ていめん) と言います。 底面の面積のことを 底面積(ていめんせき) と言います。 三角柱の底面積は、底面の円の面積とおなじです。 上側の面も、「底」面というのは変だと思うかもしれませんが、慣習(かんしゅう)で、こう呼びます。 三角柱の、2つの三角形である底面のあいだのきょりを、三角柱の 高さ といいます。 三角柱の、展開すると四角形になる部分の面を 側面(そくめん) と言います。 側面の面積のことを 側面積(そくめんせき) と言います。 円柱には面が3個あります。 円柱の面のうち2個は円です。 円柱の上下の2つの円の面を 底面(ていめん) と言います。 円柱の、2つの円である底面の中心を結んだきょりを、円柱の 高さ といいます。 円柱の、展開すると四角形になる部分の面を 側面(そくめん) と言います。 展開図をみると、側面積の縦の長さを「円柱の高さ」にとった場合は、側面積の横の長さは、底面の円周です。 です。 サッカーボールを買うために、2つの店 A店とB店に行きました。 ここでは、サッカーボールの数が違います。どのように比べればよいでしょうか。 一方、「サッカーボール1つで1200円」と、「サッカーボール1つで1300円」とであれば、 「サッカーボール1つで1200円」の方が安いということはすぐ分かります。 つまり、サッカーボールの数が違うときは、サッカーボール1つあたりの値段を比べれば、どちらが安いか分かるわけです。 このように、「~1つあたり」のようなものを、単位あたりの量といいます。「単位」というのは、「基準とする量」のことです。ふつうは1を基準とします。 1個あたりの値段で比べれば、A店のほうが安いといえます。 (練習問題) 1kmあたりの人口を人口密度といいます。 では、東京都と高知県の人口密度を求めてみましょう。 ここでは、特に速さについて学んでいきましょう。 例えば、ライオンが9秒間に、200mだけ走ったとします。また、キリンは、6秒間に100mだけ走ったとします。このとき、ライオンは1秒間におよそ22.2m,キリンは、1秒間におよそ16.7m走ったことになります。このように、ある時間あたりに動く割合をさすものを速さといます。 速さはある時間あたりの速さを表すものですから、速さは 時速とは、1時間あたりに進む距離で速さをあらわした、速さの単位です。 たとえば、1時間に10kmを進む自転車の速さは、時速10kmです。2時間で14kmを進んだら、時速7kmです。 分速 とは、1分あたりに進む距離で速さをあらわした、速さの単位です。 たとえば、時速10kmという速さを分速になおすと より、およそ分速0.167kmに、つまり、およそ分速167mになります。 秒速 とは、1秒あたりに進む距離(きょり)で速さをあらわした、速さの単位です。 たとえば秒速15cmを分速になおすと、 より、秒速15cmは、分速900cm、つまり分速9mとなります。 なお、「時速5km」を、「毎時5km」「5km/h」などと表すこともあります。 あるマラソン選手が42.195kmを、2.2時間で走り終えました。この選手の速さは、時速何kmですか。 式は42.195 ÷ {\displaystyle \div } 2.2 となります。これを計算すると 19.17...となるので、およそ時速19.2kmとなります。 速さ=道のり÷時間 であるから (分速を求める方法と、何時間でつくか求める方法でやってみましょう) 簡単には、分かりませんね。 それは、5年生と6年生で、全体の人数が違うからです。 そこで、比べるために、5年生と6年生のの人数をそろえてみます。 たとえば、全体の人数を100人にそろえてみましょう。 5年生はもともと全体の人数が200人ですから、これを2でわって100人にします。 一方、6年生はもともとの全体の人数が50人ですから、これを2倍して100人にします。 同時に、音楽をよく聞く人の人数も2倍します。 つまり、全体の人数が100人だったとすると、音楽をよく聞く人は、5年生では50人、6年生では60人 いることになります。 この結果、6年生の方が音楽をよく聞くと言えます。 ここでは全体の人数を100人にあわせましたが、もちろん他の数にしても同じ結果になるはずです。 それでは、全体の人数が1人だとして、同じように計算してみましょう。 5年生はもともと全体の人数が200人ですから、これを200でわって1人にします。 同時に、音楽をよく聞く人の人数も200でわります。 一方、6年生はもともとの全体の人数が50人ですから、これを50で割って1人にします。 同時に、音楽好きな人の人数も50で割ります。 つまり、全体の人数が1人だったとすると、音楽好きな人は、5年生で0.5人、6年生では0.6人 いることになります。 この結果、6年生の方が音楽好きであると言え、先ほどと同じ結果になりました。 この2つめの例のように、ある量(もとにする量という)を1としたとき、別のある量(くらべる量という)がある量の何倍かを表す数を 一般に、割合は 割合というのは、「ある量(比べる量)が、ある別の量(もとにする量)の何倍かということです。 ですから、 割合 = くらべる量 ÷ もとにする量 また、この式から、 割合は例えば「このりんごジュースは果汁100%です。」や「あるプロ野球選手の今シーズンの打率は3割1分5厘でした。」などと使われます。この単位はどのような割合を表すか見てみましょう。 0.01倍を 1%と表す表し方を 百分率 といいます。ですから、元にする量は 100% となります。 0.1倍を 1割、0.01倍を分、0.001倍を厘と表す割合の表し方を「歩合」といいます。野球の打率などの表し方で使われています。 割合を表すグラフには、帯グラフと円グラフがあります。 2つの量で、一方が2倍、3倍、...となったとき、もう一方が2倍、3倍、...となるとき、2つの数量は 比例している といいます。 3つのコップに 160mL、210mL、230mL のジュースが入るので、これをAさん、Bさん、Cさんの3人で飲もうと思います。しかし、これでは、1人分の量が 均等 ではありません。そこで、3人でぴったり分ける方法を考えましょう。 このように、いくつかの数量を、1つあたりの量が等しくなるようにならしたものを 平均といいます。 また、合計=平均×個数、個数=合計÷平均 となります。 8人に算数のテストを行ったところ、点数は となりました。このテストの8人の平均点は何点ですか。 平均 = 合計 ÷ 個数 なので となります。 なお、平均は小数や分数となることもあります。 また、、10人いるクラブの各メンバーの体重が、つぎのようなとき、 体重の平均は より、61.2 kg が平均の体重となります。 下の表は、ウィキ小学校の5年1組の、ある1週間の、本の貸し出し冊数です。 この表では、水曜日に、0冊とまったく借りられていませんが、「0」のデータでも平均に含めます。 下は、Aさんの、5回の幅跳びの結果を表したものです。 4回目に、ほかの記録と大きくはなれた「327cm」という記録が出ていますが、はかりまちがえてしまったようです。 あるグループの5人の身長は、145cm,156cm,149cm,141cm,152cm となっています。この5人の身長の平均を求めてみましょう。 下の「5年生のための算数ドリル」の文字を押すと、 見ているページが、算数ドリルのぺージに、変わります。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "5年生の算数では、整数、分数の計算、合同な図形、多角形などについて学習します。", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "4年生までに、整数のことについて学びました。では、整数についてもっと深く学んでいきましょう。", "title": "整数" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "2でわり切れる整数を「偶数」といい、2でわり切れない整数を「奇数」といいます。 たとえば、2、6、10、50などは偶数で、1、5、11、51などは奇数です(0は2でわり切れると考えられるので、偶数です)。", "title": "整数" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "なお、一の位の数が", "title": "整数" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "ならばその数は偶数で、", "title": "整数" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "ならばその数は奇数です。", "title": "整数" }, { "paragraph_id": 6, "tag": "p", "text": "54,78,85,231は偶数ですか、奇数ですか。", "title": "整数" }, { "paragraph_id": 7, "tag": "p", "text": "一の位の数に注目しましょう。 それぞれ、", "title": "整数" }, { "paragraph_id": 8, "tag": "p", "text": "結果は、", "title": "整数" }, { "paragraph_id": 9, "tag": "p", "text": "となります。", "title": "整数" }, { "paragraph_id": 10, "tag": "p", "text": "ある整数に整数をかけてできる数を、ある整数の倍数といいます。", "title": "整数" }, { "paragraph_id": 11, "tag": "p", "text": "などがあります(0については考えません)。ある整数の倍数は、無数にあります。", "title": "整数" }, { "paragraph_id": 12, "tag": "p", "text": "ある整数をわり切ることができる整数を、ある整数の 約数 といいます。 たとえば、12の約数には 1,2,3,4,6,12 があります。約数の個数には、限りがあります。", "title": "整数" }, { "paragraph_id": 13, "tag": "p", "text": "2つの整数に共通している倍数を 公倍数といいます。特に、最も小さい公倍数を 最小公倍数 といいます。", "title": "整数" }, { "paragraph_id": 14, "tag": "p", "text": "2つの整数に共通している約数を 公約数といいます。特に、最も大きい公約数を 最大公約数 といいます。", "title": "整数" }, { "paragraph_id": 15, "tag": "p", "text": "青森県と北海道を結ぶ青函トンネルの長さは53.85kmです。この53.85という数について考えましょう。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 16, "tag": "p", "text": "また、東京都から大阪府を走っている東海道新幹線の路線きょりは515.4kmです。この515.4という数について考えましょう。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 17, "tag": "p", "text": "", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 18, "tag": "p", "text": "", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 19, "tag": "p", "text": "小数のかけ算とわり算も、整数の場合と同様にできます。 しかし整数と同じように計算すると矛盾します。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 20, "tag": "p", "text": "次のかけ算の問題を解いてみましょう。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 21, "tag": "p", "text": "式は 2.3 × 2.8 {\\displaystyle 2.3\\times 2.8} となります。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 22, "tag": "p", "text": "計算のしかたを考えてみましょう。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 23, "tag": "p", "text": "パイプの重さを23kgと10倍にすると、求める重さも10倍になります。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 24, "tag": "p", "text": "パイプの長さが10倍になると、求める重さも10倍になります。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 25, "tag": "p", "text": "1mの重さが2.3kgのパイプ2.8mの重さを出すには、この積を 1 100 {\\displaystyle {\\frac {1}{100}}} にすればよいので", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 26, "tag": "p", "text": "2.3 × 2.8 = 23 × 28 ÷ 100 = 6.44 {\\displaystyle 2.3\\times 2.8=23\\times 28\\div 100=6.44}", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 27, "tag": "p", "text": "したがって、 2.3 × 2.8 = 6.44 {\\displaystyle 2.3\\times 2.8=6.44} となります。答えは6.44kgです。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 28, "tag": "p", "text": "次のわり算の問題を解いてみましょう。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 29, "tag": "p", "text": "式は 7.8 ÷ 6.5 {\\displaystyle 7.8\\div 6.5} となります。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 30, "tag": "p", "text": "計算のしかたを考えてみましょう。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 31, "tag": "p", "text": "同じぼうの長さを10倍にすれば、重さも10倍になります。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 32, "tag": "p", "text": "65mのぼうの重さは 7.8 × 10 = 78 {\\displaystyle 7.8\\times 10=78}", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 33, "tag": "p", "text": "鉄のぼう1mの重さは ( 7.8 × 10 ) ÷ ( 6.5 × 10 ) = 78 ÷ 65 = 1.2 {\\displaystyle (7.8\\times 10)\\div (6.5\\times 10)=78\\div 65=1.2}", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 34, "tag": "p", "text": "したがって、 7.8 ÷ 6.5 = 1.2 {\\displaystyle 7.8\\div 6.5=1.2} となります。答えは1.2kgです。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 35, "tag": "p", "text": "右の図を見てください。ファイル:Fraction4 6.svg 2 3 {\\displaystyle {\\frac {2}{3}}} と 4 6 {\\displaystyle {\\frac {4}{6}}} と 6 9 {\\displaystyle {\\frac {6}{9}}} が同じ大きさであることがわかるでしょう。ですから、 4 6 {\\displaystyle {\\frac {4}{6}}} や 6 9 {\\displaystyle {\\frac {6}{9}}} は 2 3 {\\displaystyle {\\frac {2}{3}}} になおせますね。分数を、同じ大きさで、分母と分子ができるだけ小さい分数になおすことを 約分する といいます。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 36, "tag": "p", "text": "ある分数の分子と分母に、同じ数をかけたりわったりしても分数の大きさは変わりません。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 37, "tag": "p", "text": "約分する方法には、分母と分子を分母と分子の最大公約数でわる方法があります。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 38, "tag": "p", "text": "", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 39, "tag": "p", "text": "先ほどの 約分 とは逆に、たとえば、 2 3 {\\displaystyle {\\frac {2}{3}}} は 4 6 {\\displaystyle {\\frac {4}{6}}} や 6 9 {\\displaystyle {\\frac {6}{9}}} となおせますね。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 40, "tag": "p", "text": "たとえば、 1 2 {\\displaystyle {\\frac {1}{2}}} は 2 4 , 3 6 {\\displaystyle {\\frac {2}{4}},{\\frac {3}{6}}} ...となおすことができます。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 41, "tag": "p", "text": "また、 1 3 {\\displaystyle {\\frac {1}{3}}} は 2 6 , 3 9 {\\displaystyle {\\frac {2}{6}},{\\frac {3}{9}}} ... となおすことができます。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 42, "tag": "p", "text": "いま、 1 2 {\\displaystyle {\\frac {1}{2}}} と 1 3 {\\displaystyle {\\frac {1}{3}}} は それぞれ 3 6 {\\displaystyle {\\frac {3}{6}}} 、 2 6 {\\displaystyle {\\frac {2}{6}}} になおせました。このように、2つ以上の分数を 分母が同じ大きさになるように直すことを 通分する といいます。通分する方法には、すべての分数の分母を すべての分数の分母の最小公倍数にそろえる方法があります。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 43, "tag": "p", "text": "分母がことなる分数のたし算やひき算について考えてみましょう。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 44, "tag": "p", "text": "分母が同じ分数のたし算はすでに学んでいます。そこで 通分 して、分母をそろえると、", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 45, "tag": "p", "text": "5 1 5 + 3 1 5 {\\displaystyle {\\frac {5}{1}}5+{\\frac {3}{1}}5}", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 46, "tag": "p", "text": "となります。これを計算すると 8 1 5 {\\displaystyle {\\frac {8}{1}}5} となるので、答えは 8 1 5 {\\displaystyle {\\frac {8}{1}}5} です。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 47, "tag": "p", "text": "では、", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 48, "tag": "p", "text": "について考えましょう。 これも、先ほどと同じように通分して、", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 49, "tag": "p", "text": "5 6 − 1 2 = 5 6 − 3 6 = 2 6 = 1 3 {\\displaystyle {\\frac {5}{6}}-{\\frac {1}{2}}={\\frac {5}{6}}-{\\frac {3}{6}}={\\frac {2}{6}}={\\frac {1}{3}}}", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 50, "tag": "p", "text": "となります。上のように、答えが約分できる場合は、必ず約分します。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 51, "tag": "p", "text": "次の問題を解いてみましょう。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 52, "tag": "p", "text": "式は 2 ÷ 3 {\\displaystyle 2\\div 3} となります。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 53, "tag": "p", "text": "小数で表すと 2 ÷ 3 = 0.666 {\\displaystyle 2\\div 3=0.666} ...... となり、わりきれません。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 54, "tag": "p", "text": "1Lを3等分した量は、 1 3 {\\displaystyle {\\frac {1}{3}}} Lになります。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 55, "tag": "p", "text": "2Lは1Lの2つ分です。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 56, "tag": "p", "text": "2Lを3等分した量のうちの1つは1Lを3等分した量の2つ分であるから、 2 3 {\\displaystyle {\\frac {2}{3}}} Lになります。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 57, "tag": "p", "text": "したがって 2 ÷ 3 = 2 3 {\\displaystyle 2\\div 3={\\frac {2}{3}}} となります。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 58, "tag": "p", "text": "このように、分数は、分数を使うと正確に表すことができます。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 59, "tag": "p", "text": "整数どうしのわり算の商は、分数で表すことができます。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 60, "tag": "p", "text": "◯ ÷ △ = ◯ △ {\\displaystyle \\bigcirc \\div \\triangle ={\\frac {\\bigcirc }{\\triangle }}}", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 61, "tag": "p", "text": "また、0.5と0.24を分数になおしましょう。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 62, "tag": "p", "text": "0.1 = 1 10 {\\displaystyle 0.1={\\frac {1}{10}}} であるから、 0.5 = 5 10 {\\displaystyle 0.5={\\frac {5}{10}}} ( = 1 2 ) {\\displaystyle (={\\frac {1}{2}})}", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 63, "tag": "p", "text": "0.01 = 1 100 {\\displaystyle 0.01={\\frac {1}{100}}} であるから、 0.24 = 24 100 {\\displaystyle 0.24={\\frac {24}{100}}} ( = 6 25 ) {\\displaystyle (={\\frac {6}{25}})}", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 64, "tag": "p", "text": "小数は、10、100などを分母とする分数になおすことができます。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 65, "tag": "p", "text": "5を分数になおしましょう。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 66, "tag": "p", "text": "整数は、1などを分母とする分数になおすことができます。", "title": "式と計算" }, { "paragraph_id": 67, "tag": "p", "text": "次の問題を考えましょう。", "title": "計算のきまり" }, { "paragraph_id": 68, "tag": "p", "text": "●と○は全部で何個ありますか。", "title": "計算のきまり" }, { "paragraph_id": 69, "tag": "p", "text": "∙ {\\displaystyle \\bullet } と ∘ {\\displaystyle \\circ } を全部あわせて考えると", "title": "計算のきまり" }, { "paragraph_id": 70, "tag": "p", "text": "∙ {\\displaystyle \\bullet } の数と ∘ {\\displaystyle \\circ } の数をそれぞれ求めてあわせると", "title": "計算のきまり" }, { "paragraph_id": 71, "tag": "p", "text": "よって", "title": "計算のきまり" }, { "paragraph_id": 72, "tag": "p", "text": "が成り立ちます。", "title": "計算のきまり" }, { "paragraph_id": 73, "tag": "p", "text": "( )を使った式の計算には次のような法則(ほうそく)があります。", "title": "計算のきまり" }, { "paragraph_id": 74, "tag": "p", "text": "このような法則(ほうそく)を 分配法則(ぶんぱいほうそく) といいます。(小学校では、法則名は覚えなくても構いません。)", "title": "計算のきまり" }, { "paragraph_id": 75, "tag": "p", "text": "この考えを使って、くふうして暗算で計算しよう。", "title": "計算のきまり" }, { "paragraph_id": 76, "tag": "p", "text": "たし算とかけ算には、次のようなきまりがあります。", "title": "計算のきまり" }, { "paragraph_id": 77, "tag": "p", "text": "これを たし算の 交換法則(こうかん ほうそく)と言います。", "title": "計算のきまり" }, { "paragraph_id": 78, "tag": "p", "text": "これを たし算の 結合法則(けつごう ほうそく)と言います。", "title": "計算のきまり" }, { "paragraph_id": 79, "tag": "p", "text": "これを かけ算の 交換法則(こうかん ほうそく)と言います。", "title": "計算のきまり" }, { "paragraph_id": 80, "tag": "p", "text": "これを かけ算の 結合法則(けつごう ほうそく)と言います。", "title": "計算のきまり" }, { "paragraph_id": 81, "tag": "p", "text": "この考えを使って、くふうして暗算で計算しよう。", "title": "計算のきまり" }, { "paragraph_id": 82, "tag": "p", "text": "2つの図形が、その図形の位置や向きをかえて、形と大きさをかえずに、重ねられるとき、その2つの図形は 合同である といいます。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 83, "tag": "p", "text": "多角形 (たかくけい)とは、3本以上の線でかつそのどれもが結ばれた図形のことを言います。名前は線が3本なら 三角形 、4本なら 四角形 、5本なら 五角形(ごかくけい)、・・・というふうになります。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 84, "tag": "p", "text": "また、辺の長さと角の大きさが全て同じである多角形のことを 正多角形 (せいたかくけい)と言います。三角形の場合は正三角形、四角形の場合は正四角形(「正方形」(せいほうけい)というのがふつうです)、五角形の場合は正五角形・・・というふうになります。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 85, "tag": "p", "text": "正多角形は、まず円をかき、その中心の周りの角を等分することでかけます。例えば正五角形は、円をかき、その中心の周りの角を5等分して、72°ずつに区切り、区切る直線が縁と交わったところの点を結ぶことで書けます。なお、正六角形は、", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 86, "tag": "p", "text": "三角形をかいて、3つの角の大きさの和を求めてみましょう。 三角形の3つの角の大きさの和は、どんな三角形でも 180°になります。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 87, "tag": "p", "text": "四角形の4つの角の大きさの和は、どんな四角形でも 360°になります。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 88, "tag": "p", "text": "四角形に対角線を1本引けば、ふたつの三角形に分かれるので、2つの三角形の三角形の3つの角の大きさの和に等しくなります。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 89, "tag": "p", "text": "五角形では、五角形の5つの角の大きさの和は、三角形の3つの角の大きさの和に等しくなります。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 90, "tag": "p", "text": "五角形の内角の和をもとめるための対角線のひきかたには、いろいろとありますが、とにかく五角形の内角の和は三角形の3つの角の大きさの和に等しくなります。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 91, "tag": "p", "text": "六角形の6つの角の大きさの和をもとめるための対角線のひきかたには、いろいろとありますが、とにかく六角形の6つの角の大きさの和は、4つの三角形の3つの角の大きさの和になります。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 92, "tag": "p", "text": "", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 93, "tag": "p", "text": "円のまわりの長さを 円周 といいます。 例えば、", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 94, "tag": "p", "text": "円周は曲がっているので、定規でははかれません。しかし「円周÷直径」はどの円でも同じです。これを 円周率(えんしゅうりつ) といい、円周率は およそ3.14 であることが わかっています。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 95, "tag": "p", "text": "円周率は、くわしくは 3.14159 26535 89793 23846 26433 83279 50288 ... と、限りなく続きます。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 96, "tag": "p", "text": "小学校では、円周率は 3.14 として計算することが多いです。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 97, "tag": "p", "text": "円周率は、分数で表すことはできない数で、小数で表すといつまでも終わらないことがわかっています。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 98, "tag": "p", "text": "でしたから、", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 99, "tag": "p", "text": "ですね。はじめの問題を解くと、7×3.14=21.98(cm)というようになります。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 100, "tag": "p", "text": "", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 101, "tag": "p", "text": "面積は、図形の広さを表すものです。例えば、", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 102, "tag": "p", "text": "面積は長方形・正方形の場合は、たて×よこで表すことができました。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 103, "tag": "p", "text": "たとえば、たて4cm、よこ5cmの長方形の面積は、4×5=20(cm)となります。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 104, "tag": "p", "text": "次の図形でも、面積は次のように求めることができます。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 105, "tag": "p", "text": "右の図1の方眼紙は1目もり1cmです。図1の三角形の面積を考えてみましょう。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 106, "tag": "p", "text": "右の図1の方眼紙は1目もり1cmです。図1の平行四辺形の面積を考えてみましょう。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 107, "tag": "p", "text": "図1の台形の面積を考えてみましょう。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 108, "tag": "p", "text": "図1のひし形の面積を考えてみましょう。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 109, "tag": "p", "text": "2年生では、「かさ」や「L」などの単位について、ならいました。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 110, "tag": "p", "text": "立体の、空間での大きさ(今までに習った「かさ」のこと)を 体積 (たいせき) といいます。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 111, "tag": "p", "text": "面積では、縦(たて)と横(よこ)が 1cm の正方形の面積のことを 1cm と いいました。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 112, "tag": "p", "text": "体積では、縦(たて) と 横(よこ) と 高さ(たかさ) が 1cm の 立方体 の 体積 を 1cm と 書き 、「 1 立方(りっぽう) センチメートル」といいます。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 113, "tag": "p", "text": "体積は、縦と 横と 高さが 1cm の 立方体 の 体積(1cm)が、いくつ分かで表します。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 114, "tag": "p", "text": "直方体(ちょくほうたい) は 長方形 が たくさん 積み 重なった もの 、 立方体は 正方形 が たくさん 積み 重なったもの と 考えてみると、体積は たて×横× 高さ の式で 求めることができます。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 115, "tag": "p", "text": "立方体(りっぽうたい) は 全ての辺の長さが同じなので、高さも1辺の長さになります。また、底面の面積は今までどおり 縦×横 の式で計算できます。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 116, "tag": "p", "text": "つまり、", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 117, "tag": "p", "text": "で求めることができます。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 118, "tag": "p", "text": "下の問題を見てみましょう。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 119, "tag": "p", "text": "という問題があります。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 120, "tag": "p", "text": "直方体の体積は 縦×横×高さ なので、2×3×6=36(cm)と求められます。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 121, "tag": "p", "text": "", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 122, "tag": "p", "text": "一辺が1mの立方体の体積を1立方メートル(いち りっぽうメートル)と言い 1m と書きます。1立方メートルを立方センチメートルで書いたとすると、1mは100cmですから、1m は", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 123, "tag": "p", "text": "です。(一立方メートルは、百万立方センチメートル)", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 124, "tag": "p", "text": "", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 125, "tag": "p", "text": "コップや水槽(すいそう)、プールなど、水などの液体(えきたい)をいれる容器(ようき)について、容器の内部の長さを内(うち)のりといい、その容器に入りきる液体の体積を 容積(ようせき) といいます。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 126, "tag": "p", "text": "容積の単位(たんい)は、体積と同じようにLやdLや立方cmや立方mなどを、つかいます。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 127, "tag": "p", "text": "なお、1Lは 1000cm です。つまり", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 128, "tag": "p", "text": "です。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 129, "tag": "p", "text": "1dLは 100cm です。つまり", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 130, "tag": "p", "text": "です。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 131, "tag": "p", "text": "1mLは 1cm です。つまり", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 132, "tag": "p", "text": "です。", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 133, "tag": "p", "text": "", "title": "図形" }, { "paragraph_id": 134, "tag": "p", "text": "三角柱には面が、5個、あります。三角柱の面のうち、2個は三角形です。三角柱の面のうち、3個は四角形です。", "title": "角柱と円柱" }, { "paragraph_id": 135, "tag": "p", "text": "三角柱には、頂点が 6個 あります。(数えてみてください。)", "title": "角柱と円柱" }, { "paragraph_id": 136, "tag": "p", "text": "三角柱には、辺が 9本 あります。(数えてみてください。)", "title": "角柱と円柱" }, { "paragraph_id": 137, "tag": "p", "text": "三角柱の上下の2つの三角形の面を 底面(ていめん) と言います。", "title": "角柱と円柱" }, { "paragraph_id": 138, "tag": "p", "text": "底面の面積のことを 底面積(ていめんせき) と言います。", "title": "角柱と円柱" }, { "paragraph_id": 139, "tag": "p", "text": "三角柱の底面積は、底面の円の面積とおなじです。", "title": "角柱と円柱" }, { "paragraph_id": 140, "tag": "p", "text": "上側の面も、「底」面というのは変だと思うかもしれませんが、慣習(かんしゅう)で、こう呼びます。", "title": "角柱と円柱" }, { "paragraph_id": 141, "tag": "p", "text": "三角柱の、2つの三角形である底面のあいだのきょりを、三角柱の 高さ といいます。", "title": "角柱と円柱" }, { "paragraph_id": 142, "tag": "p", "text": "三角柱の、展開すると四角形になる部分の面を 側面(そくめん) と言います。", "title": "角柱と円柱" }, { "paragraph_id": 143, "tag": "p", "text": "側面の面積のことを 側面積(そくめんせき) と言います。", "title": "角柱と円柱" }, { "paragraph_id": 144, "tag": "p", "text": "", "title": "角柱と円柱" }, { "paragraph_id": 145, "tag": "p", "text": "", "title": "角柱と円柱" }, { "paragraph_id": 146, "tag": "p", "text": "円柱には面が3個あります。", "title": "角柱と円柱" }, { "paragraph_id": 147, "tag": "p", "text": "円柱の面のうち2個は円です。", "title": "角柱と円柱" }, { "paragraph_id": 148, "tag": "p", "text": "円柱の上下の2つの円の面を 底面(ていめん) と言います。", "title": "角柱と円柱" }, { "paragraph_id": 149, "tag": "p", "text": "円柱の、2つの円である底面の中心を結んだきょりを、円柱の 高さ といいます。", "title": "角柱と円柱" }, { "paragraph_id": 150, "tag": "p", "text": "円柱の、展開すると四角形になる部分の面を 側面(そくめん) と言います。", "title": "角柱と円柱" }, { "paragraph_id": 151, "tag": "p", "text": "展開図をみると、側面積の縦の長さを「円柱の高さ」にとった場合は、側面積の横の長さは、底面の円周です。", "title": "角柱と円柱" }, { "paragraph_id": 152, "tag": "p", "text": "です。", "title": "角柱と円柱" }, { "paragraph_id": 153, "tag": "p", "text": "サッカーボールを買うために、2つの店 A店とB店に行きました。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 154, "tag": "p", "text": "ここでは、サッカーボールの数が違います。どのように比べればよいでしょうか。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 155, "tag": "p", "text": "一方、「サッカーボール1つで1200円」と、「サッカーボール1つで1300円」とであれば、 「サッカーボール1つで1200円」の方が安いということはすぐ分かります。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 156, "tag": "p", "text": "つまり、サッカーボールの数が違うときは、サッカーボール1つあたりの値段を比べれば、どちらが安いか分かるわけです。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 157, "tag": "p", "text": "このように、「~1つあたり」のようなものを、単位あたりの量といいます。「単位」というのは、「基準とする量」のことです。ふつうは1を基準とします。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 158, "tag": "p", "text": "1個あたりの値段で比べれば、A店のほうが安いといえます。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 159, "tag": "p", "text": "(練習問題)", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 160, "tag": "p", "text": "1kmあたりの人口を人口密度といいます。 では、東京都と高知県の人口密度を求めてみましょう。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 161, "tag": "p", "text": "ここでは、特に速さについて学んでいきましょう。 例えば、ライオンが9秒間に、200mだけ走ったとします。また、キリンは、6秒間に100mだけ走ったとします。このとき、ライオンは1秒間におよそ22.2m,キリンは、1秒間におよそ16.7m走ったことになります。このように、ある時間あたりに動く割合をさすものを速さといます。 速さはある時間あたりの速さを表すものですから、速さは", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 162, "tag": "p", "text": "時速とは、1時間あたりに進む距離で速さをあらわした、速さの単位です。 たとえば、1時間に10kmを進む自転車の速さは、時速10kmです。2時間で14kmを進んだら、時速7kmです。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 163, "tag": "p", "text": "分速 とは、1分あたりに進む距離で速さをあらわした、速さの単位です。 たとえば、時速10kmという速さを分速になおすと", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 164, "tag": "p", "text": "より、およそ分速0.167kmに、つまり、およそ分速167mになります。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 165, "tag": "p", "text": "秒速 とは、1秒あたりに進む距離(きょり)で速さをあらわした、速さの単位です。 たとえば秒速15cmを分速になおすと、", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 166, "tag": "p", "text": "より、秒速15cmは、分速900cm、つまり分速9mとなります。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 167, "tag": "p", "text": "なお、「時速5km」を、「毎時5km」「5km/h」などと表すこともあります。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 168, "tag": "p", "text": "あるマラソン選手が42.195kmを、2.2時間で走り終えました。この選手の速さは、時速何kmですか。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 169, "tag": "p", "text": "式は42.195 ÷ {\\displaystyle \\div } 2.2 となります。これを計算すると 19.17...となるので、およそ時速19.2kmとなります。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 170, "tag": "p", "text": "速さ=道のり÷時間 であるから", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 171, "tag": "p", "text": "(分速を求める方法と、何時間でつくか求める方法でやってみましょう)", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 172, "tag": "p", "text": "簡単には、分かりませんね。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 173, "tag": "p", "text": "それは、5年生と6年生で、全体の人数が違うからです。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 174, "tag": "p", "text": "そこで、比べるために、5年生と6年生のの人数をそろえてみます。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 175, "tag": "p", "text": "たとえば、全体の人数を100人にそろえてみましょう。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 176, "tag": "p", "text": "5年生はもともと全体の人数が200人ですから、これを2でわって100人にします。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 177, "tag": "p", "text": "一方、6年生はもともとの全体の人数が50人ですから、これを2倍して100人にします。 同時に、音楽をよく聞く人の人数も2倍します。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 178, "tag": "p", "text": "つまり、全体の人数が100人だったとすると、音楽をよく聞く人は、5年生では50人、6年生では60人 いることになります。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 179, "tag": "p", "text": "この結果、6年生の方が音楽をよく聞くと言えます。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 180, "tag": "p", "text": "ここでは全体の人数を100人にあわせましたが、もちろん他の数にしても同じ結果になるはずです。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 181, "tag": "p", "text": "それでは、全体の人数が1人だとして、同じように計算してみましょう。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 182, "tag": "p", "text": "5年生はもともと全体の人数が200人ですから、これを200でわって1人にします。 同時に、音楽をよく聞く人の人数も200でわります。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 183, "tag": "p", "text": "一方、6年生はもともとの全体の人数が50人ですから、これを50で割って1人にします。 同時に、音楽好きな人の人数も50で割ります。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 184, "tag": "p", "text": "つまり、全体の人数が1人だったとすると、音楽好きな人は、5年生で0.5人、6年生では0.6人 いることになります。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 185, "tag": "p", "text": "この結果、6年生の方が音楽好きであると言え、先ほどと同じ結果になりました。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 186, "tag": "p", "text": "この2つめの例のように、ある量(もとにする量という)を1としたとき、別のある量(くらべる量という)がある量の何倍かを表す数を", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 187, "tag": "p", "text": "一般に、割合は", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 188, "tag": "p", "text": "割合というのは、「ある量(比べる量)が、ある別の量(もとにする量)の何倍かということです。 ですから、 割合 = くらべる量 ÷ もとにする量", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 189, "tag": "p", "text": "また、この式から、", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 190, "tag": "p", "text": "割合は例えば「このりんごジュースは果汁100%です。」や「あるプロ野球選手の今シーズンの打率は3割1分5厘でした。」などと使われます。この単位はどのような割合を表すか見てみましょう。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 191, "tag": "p", "text": "0.01倍を 1%と表す表し方を 百分率 といいます。ですから、元にする量は 100% となります。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 192, "tag": "p", "text": "0.1倍を 1割、0.01倍を分、0.001倍を厘と表す割合の表し方を「歩合」といいます。野球の打率などの表し方で使われています。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 193, "tag": "p", "text": "", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 194, "tag": "p", "text": "割合を表すグラフには、帯グラフと円グラフがあります。", "title": "数量関係" }, { "paragraph_id": 195, "tag": "p", "text": "2つの量で、一方が2倍、3倍、...となったとき、もう一方が2倍、3倍、...となるとき、2つの数量は 比例している といいます。", "title": "比例" }, { "paragraph_id": 196, "tag": "p", "text": "", "title": "比例" }, { "paragraph_id": 197, "tag": "p", "text": "3つのコップに 160mL、210mL、230mL のジュースが入るので、これをAさん、Bさん、Cさんの3人で飲もうと思います。しかし、これでは、1人分の量が 均等 ではありません。そこで、3人でぴったり分ける方法を考えましょう。", "title": "平均" }, { "paragraph_id": 198, "tag": "p", "text": "このように、いくつかの数量を、1つあたりの量が等しくなるようにならしたものを 平均といいます。", "title": "平均" }, { "paragraph_id": 199, "tag": "p", "text": "また、合計=平均×個数、個数=合計÷平均 となります。", "title": "平均" }, { "paragraph_id": 200, "tag": "p", "text": "8人に算数のテストを行ったところ、点数は", "title": "平均" }, { "paragraph_id": 201, "tag": "p", "text": "となりました。このテストの8人の平均点は何点ですか。", "title": "平均" }, { "paragraph_id": 202, "tag": "p", "text": "平均 = 合計 ÷ 個数 なので", "title": "平均" }, { "paragraph_id": 203, "tag": "p", "text": "となります。 なお、平均は小数や分数となることもあります。", "title": "平均" }, { "paragraph_id": 204, "tag": "p", "text": "また、、10人いるクラブの各メンバーの体重が、つぎのようなとき、", "title": "平均" }, { "paragraph_id": 205, "tag": "p", "text": "体重の平均は", "title": "平均" }, { "paragraph_id": 206, "tag": "p", "text": "より、61.2 kg が平均の体重となります。", "title": "平均" }, { "paragraph_id": 207, "tag": "p", "text": "下の表は、ウィキ小学校の5年1組の、ある1週間の、本の貸し出し冊数です。", "title": "平均" }, { "paragraph_id": 208, "tag": "p", "text": "この表では、水曜日に、0冊とまったく借りられていませんが、「0」のデータでも平均に含めます。", "title": "平均" }, { "paragraph_id": 209, "tag": "p", "text": "下は、Aさんの、5回の幅跳びの結果を表したものです。", "title": "平均" }, { "paragraph_id": 210, "tag": "p", "text": "4回目に、ほかの記録と大きくはなれた「327cm」という記録が出ていますが、はかりまちがえてしまったようです。", "title": "平均" }, { "paragraph_id": 211, "tag": "p", "text": "あるグループの5人の身長は、145cm,156cm,149cm,141cm,152cm となっています。この5人の身長の平均を求めてみましょう。", "title": "平均" }, { "paragraph_id": 212, "tag": "p", "text": "下の「5年生のための算数ドリル」の文字を押すと、", "title": "算数ドリル" }, { "paragraph_id": 213, "tag": "p", "text": "見ているページが、算数ドリルのぺージに、変わります。", "title": "算数ドリル" } ]
5年生の算数では、整数、分数の計算、合同な図形、多角形などについて学習します。
5年生の算数では、整数、分数の計算、合同な図形、多角形などについて学習します。 == 整数 == === 偶数と奇数 === [[小学校算数/4学年|4年生]]までに、整数のことについて学びました。では、整数についてもっと深く学んでいきましょう。 2でわり切れる整数を「'''{{ruby|偶数|ぐうすう}}'''」といい、2でわり切れない整数を「'''{{ruby|奇数|きすう}}'''」といいます。 たとえば、2、6、10、50などは偶数で、1、5、11、51などは奇数です(0は2でわり切れると考えられるので、偶数です)。 なお、一の位の数が :0,2,4,6,8 ならばその数は偶数で、 :1,3,5,7,9 ならばその数は奇数です。 * 問題 :54,78,85,231は偶数ですか、奇数ですか。 * 答え :一の位の数に注目しましょう。 :それぞれ、 ::4,8,5,1 :なので、 : :結果は、 ::54…偶数 ::78…偶数 ::85…奇数 ::231…奇数 :となります。 === 倍数と約数 === ====倍数==== ある整数に整数をかけてできる数を、ある整数の'''{{ruby|倍数|ばいすう}}'''といいます。たとえば、3の倍数は :<math> 3 \times 1 = 3, </math> :<math> 3 \times 2 = 6, </math> :<math> 3 \times 3 = 9, </math> :<math> 3 \times 4 = 12, </math> :<math> \cdots </math> などがあります(0については考えません)。ある整数の倍数は数え切れません。 ====約数==== ある整数をわり切ることができる整数を、ある整数の '''{{ruby|約数|やくすう}}''' といいます。 たとえば、12の約数は :<math> 12 \div 1 = 12, </math> :<math> 12 \div 2 = 6, </math> :<math> 12 \div 3 = 4, </math> :<math> 12 \div 4 = 3, </math> :<math> 12 \div 6 = 2, </math> :<math> 12 \div 12 = 1, </math> とできるので1,2,3,4,6,12の6個あります。約数の{{ruby|個|こ}}数には、{{ruby|限|かぎ}}りがあります。 {{コラム|約数の調べ方| 12の約数を調べる方法を考えてみましょう。 #まずは、積が12となる2つの整数を探す方法で調べてみましょう。 :このようなものを調べると(1との積が12になる整数、2との積が12になる整数、…と調べることができます)、 :1と12、 :2と6, :3と4 があります。 :これから、12の約数は 1,2,3,4,6,12 であることがわかります。 :(実際には、4以上との整数との積を調べる必要はありません。一度出ています。このように、一度出た整数が{{ruby|再|ふたた}}び{{ruby|現|あらわ}}れたら{{ruby|終了|しゅうりょう}}となります。 |}} === 公倍数と公約数 === 2つの整数に共通している倍数を '''{{ruby|公倍数|こうばいすう}}'''といいます。特に、最も小さい公倍数を '''最小公倍数''' といいます。 :たとえば、12と16の倍数を書き出すと、 {| class="wikitable" |- | 12の倍数 || 12 || 24 || 36 || '''48''' || 60 || 72 || 84 || '''96''' || 108 || 120 || 132 || '''144''' ||156 |- | 16の倍数 || 16 || 32 || '''48''' || 64 || 80 || '''96''' || 120 || '''144''' || 160 || 176 || … |} :となるので、12と16の公倍数は 48,96,144…となります。12と16の最小公倍数は 48 となります。 :また、3つの数 4と6と9 の最小公倍数について考えてみましょう。 {| class="wikitable" |- | 4の倍数 || 4 || 8 || 12 || 16 || 20 || 24 || 28 || 32 || '''36''' || 40 || 44 || 48 |- | 6の倍数 || 6 || 12 || 18 || 24 || 30 || '''36''' || 42 || 48 || 54 || 60 || 66 || 72 |- | 9の倍数 || 9 || 18 || 27 || '''36''' || 45 || 54 || 63 || 72 || 81 || 90 || 99 || 108 |} :となるので、4と6と9の最小公倍数は36となります。 :なお、4と6の最小公倍数は12なので、12の倍数と9の倍数で考えることができます(同じように、6と9の最小公倍数である18の倍数と4の倍数を用いて考える、などの方法もあります。このように、最小公倍数は、それぞれの整数の倍数を書き出して考えることができます。 2つの整数に共通している約数を '''{{ruby|公約数|こうやくすう}}'''といいます。特に、最も大きい公約数を '''最大公約数''' といいます。 :たとえば、12と16の公約数を書き出すと、 {| class="wikitable" |- | 12の約数 || 12 || 6 || '''4''' || 3 || '''2''' || '''1''' |- | 16の倍数 || 16 || 8 || '''4''' || '''2''' || '''1''' || |} :となるので、12と16の公約数は 1,2,4となります。12と16の最大公約数は 4 となります。 == 式と計算 == === 整数と小数のしくみ === {{ruby|青森|あおもり}}県と{{ruby|北海道|ほっかいどう}}を結ぶ{{ruby|青函|せいかん}}トンネルの長さは53.85kmです。この53.85という数について考えましょう。[[File:Seikan tonneru aomori.JPG|200px|thumb|青函トンネルを通る電車]] :10倍すると538.5、 :100倍すると5385、 :1000倍すると53850 と、小数点が{{ruby|移|うつ}}っていきます。 :このように、ある数を10倍、100倍、1000倍…にすると、小数点が右に1けた、2けた、3けた…ずつずれていきます。 また、{{ruby|東京|とうきょう}}都から{{ruby|大阪|おおさか}}府を走っている{{ruby|東海道新幹線|とうかいどうしんかんせん}}の路線きょりは515.4kmです。この515.4という数について考えましょう。[[File:Shinkansen N700 z15.jpg|200px|thumb|東海道新幹線]] :<math>\frac{1}{10}</math>にすると51.54、 :<math>\frac{1}{10}</math>にすると5.154、 :<math>\frac{1}{10}</math>にすると0.5154、と、小数点が{{ruby|移|うつ}}っていきます。 :このように、ある数を<math>\frac{1}{10},\frac{1}{100},\frac{1}{1000}</math>にすると、小数点が左に1けた、2けた、3けた…ずつずれていきます。 === 小数のかけ算、わり算 === {{節stub}} ==== 整数のかけ算、わり算の意味 ==== ==== 小数のかけ算、わり算の意味 ==== 小数のかけ算とわり算も、整数の場合と同様にできます。 しかし整数と同じように計算すると矛盾します。 === 小数のかけ算、わり算の計算=== ==== 小数 × 小数 ==== 次のかけ算の問題を解いてみましょう。 * 1mの重さが2.3kgのパイプがあります。このパイプが2.8mあったら重さは何kgですか。 式は <math>2.3 \times 2.8</math> となります。 計算のしかたを考えてみましょう。 パイプの重さを23kgと10倍にすると、求める重さも10倍になります。 パイプの長さが10倍になると、求める重さも10倍になります。 *1mの重さが23kgのパイプ28mの重さは <math>23 \times 28 =644</math> 1mの重さが2.3kgのパイプ2.8mの重さを出すには、この積を<math>\frac{1}{100}</math> にすればよいので <math>2.3 \times 2.8 = 23 \times 28 \div 100 = 6.44</math> したがって、 '''<math>2.3 \times 2.8 = 6.44</math>''' となります。答えは6.44kgです。 ==== 小数 ÷ 小数 ==== 次のわり算の問題を解いてみましょう。 *6.5mの重さが7.8kgの鉄のぼうがあります。この鉄のぼう1mの重さは何kgですか。 式は <math>7.8 \div 6.5</math> となります。 計算のしかたを考えてみましょう。 同じぼうの長さを10倍にすれば、重さも10倍になります。 65mのぼうの重さは <math>7.8 \times 10 =78</math> 鉄のぼう1mの重さは<math>(7.8 \times 10) \div (6.5 \times 10) = 78 \div 65 =1.2</math> したがって、 '''<math>7.8 \div 6.5 = 1.2</math>''' となります。答えは1.2kgです。 === 約分 === 右の図を見てください。[[File:fraction2 3.svg]]<!--[[File:fraction4 6.svg]]-->[[File:fraction6 9.svg]] <math>\frac{2}{3}</math>と<math>\frac{4}{6}</math>と<math>\frac{6}{9}</math>が同じ大きさであることがわかるでしょう。ですから、<math>\frac{4}{6}</math>や<math>\frac{6}{9}</math>は<math>\frac{2}{3}</math>になおせますね。 '''ある分数の分子と分母に、同じ数をかけたりわったりしても分数の大きさは変わりません。'''それを使って、分数を、分母と分子ができるだけ小さい分数に、大きさを変えないでなおすことを '''{{ruby|約分|やくぶん}}する''' といいます。 約分する方法には、'''分母と分子を分母と分子の最大公約数でわる'''方法があります。上の<math>\frac{4}{6}</math>を約分してみると、4と6の最大公約数は2なので、 :<math> \frac{4}{6} = \frac{4 \div 2}{6 \div 2} = \frac{2}{3} </math> となります。 === 通分 === 先ほどの 約分 とは逆に、たとえば、<math>\frac{2}{3}</math>は <math>\frac{4}{6}</math>や<math>\frac{6}{9}</math> となおせますね。 たとえば、<math>\frac{1}{2}</math> は <math>\frac{2}{4},\frac{3}{6}</math>…となおすことができます。 また、<math>\frac{1}{3}</math> は <math>\frac{2}{6},\frac{3}{9}</math>… となおすことができます。 いま、<math>\frac{1}{2}</math>と<math>\frac{1}{3}</math>は それぞれ <math>\frac{3}{6}</math>、<math>\frac{2}{6}</math> になおせました。このように、2つ以上の分数を 分母が同じ大きさになるように直すことを '''{{ruby|通分|つうぶん}}する''' といいます。通分する方法には、'''すべての分数の分母を すべての分数の分母の最小公倍数にそろえる'''方法があります。 ==== 分数のたし算とひき算 ==== 分母がことなる分数のたし算やひき算について考えてみましょう。 では、<math>\frac 1 3 + \frac 1 5</math>について考えてみましょう。 分母が同じ分数のたし算はすでに学んでいます。そこで '''通分''' して、分母をそろえると、 <math>\frac{5}{15} + \frac{3}{15}</math> となります。これを計算すると <math>\frac{5 + 3}{15} = \frac{8}{15}</math> となるので、答えは <math>\frac{8}{15}</math> です。 では、<math>\frac 5 6 - \frac 1 2</math>について考えましょう。 これも、先ほどと同じように通分して、 :<math>\frac 5 6 - \frac 1 2=\frac 5 6-\frac 3 6=\frac 2 6=\frac 1 3</math> となります。上のように、'''答えが約分できる場合は、必ず約分します。''' ==== わり算と分数 ==== 次の問題を解いてみましょう。 *2Lのジュースを3等分します。1人分は何Lになりますか。 式は <math>2 \div 3</math> となります。 小数で表すと <math>2 \div 3 = 0.666 \cdots \cdots</math> となり、わりきれません。 1Lを3等分した量は、<math>\frac{1}{3}</math>Lになります。 2Lは1Lの2つ分です。 2Lを3等分した量のうちの1つは1Lを3等分した量の2つ分であるから、<math>\frac{2}{3}</math> Lになります。 したがって <math>2 \div 3 = \frac{2}{3}</math> となります。 このように、分数は、分数を使うと{{ruby|正確|せいかく}}に表すことができます。 整数どうしのわり算の商は、分数で表すことができます。 <math>\bigcirc \div \triangle = \frac{\bigcirc}{\triangle}</math> また、0.5と0.24を分数になおしましょう。 <math>0.1 = \frac{1}{10} </math> であるから、<math>0.5 = \frac{5}{10} </math> <math>(=\frac{1}{2})</math> <math>0.01 = \frac{1}{100} </math> であるから、<math>0.24 = \frac{24}{100} </math> <math>(=\frac{6}{25})</math> 小数は、10、100などを分母とする分数になおすことができます。 <!--ここいる?計算の結果、分数は約分することで整数になることもあるよって説明のほうが実用性あるかも--> 5を分数になおしましょう。 :<math>5 = 5 \div 1 = \frac{5}{1}</math> :<math>5 = 10 \div 2 = \frac{10}{2}</math> 整数は、1などを分母とする分数になおすことができます。 == 計算のきまり == 次の問題を考えましょう。 ●と○は全部で何個ありますか。 :<math> \bullet \bullet \bullet \bullet \bullet \bullet </math> :<math> \bullet \bullet \bullet \bullet \bullet \bullet </math> :<math> \bullet \bullet \bullet \bullet \bullet \bullet </math> :<math> \bullet \bullet \bullet \bullet \bullet \bullet </math> :<math> \circ \circ \circ \circ \circ \circ </math> :<math> \circ \circ \circ \circ \circ \circ </math> :<math> \circ \circ \circ \circ \circ \circ </math> <math> \bullet </math>と<math> \circ </math>を全部あわせて考えると、たてが黒4つ白3つで横が6つになるので、 :<math> (4+3) \times 6 = 42</math> <math> \bullet </math>の数と<math> \circ </math>の数をそれぞれ求めてあわせると :<math> (4 \times 6) + (3 \times 6) = 42</math> よって :<math> (4+3) \times 6 = (4 \times 6) + (3 \times 6)</math> が成り立ちます。 ( )を使った式の計算には次のような法則(ほうそく)があります。 :<math> ( \Box + \bigcirc ) \times \triangle = \Box \times \triangle + \bigcirc \times \triangle </math> :<math> ( \Box - \bigcirc ) \times \triangle = \Box \times \triangle - \bigcirc \times \triangle </math> このような法則(ほうそく)を <big>分配法則</big>(ぶんぱいほうそく) といいます。(小学校では、法則名は覚えなくても構いません。) この考えを使って、くふうして暗算で計算しよう。 :<math>\begin{align} 27 \times 9 + 33 \times 9 & = ( 27 + 33 ) \times 9 \\ & = 60 \times 9\\ & = 540\\ \end{align} </math> :<math>\begin{align} 98 \times 27 & = ( 100 - 2 ) \times 27 \\ & = 100 \times 27 - 2 \times 27\\ & = 2700 - 54\\ & = 2646\\ \end{align} </math> たし算とかけ算には、次のようなきまりがあります。 :<math> \Box + \bigcirc = \bigcirc + \Box </math> これを たし算の <big>交換法則</big>(こうかん ほうそく)と言います。 :<math> ( \Box + \bigcirc ) + \triangle = \Box + ( \bigcirc + \triangle ) </math> これを たし算の <big>結合法則</big>(けつごう ほうそく)と言います。 :<math> \Box \times \bigcirc = \bigcirc \times \Box </math> これを かけ算の <big>交換法則</big>(こうかん ほうそく)と言います。 :<math> ( \Box \times \bigcirc ) \times \triangle = \Box \times ( \bigcirc \times \triangle ) </math> これを かけ算の <big>結合法則</big>(けつごう ほうそく)と言います。 この考えを使って、くふうして暗算で計算しよう。 :<math>\begin{align} (8+16)+84 & = 8+(16+84) \\ & = 8+100 \\ & = 108\\ \end{align} </math> :<math>\begin{align} 36 \times 25 = 9 \times (4 \times 25) \\ & = 9 \times 100 \\ & = 900 \\ \end{align} </math> == 図形 == === 合同 === [[File:Congtri.png|thumb|300px|図のような三角形ABCと三角形DEFは合同である。]] 2つの図形が、その図形の位置や向きをかえて、形と大きさをかえずに、重ねられるとき、その2つの図形は '''{{ruby|合同|ごうどう}}である''' といいます。 === 多角形 === [[Image:Apothem_of_hexagon.svg|thumb|right|正六角形]] <big>多角形</big> (たかくけい)とは、3本以上の線でかつそのどれもが結ばれた図形のことを言います。名前は線が3本なら 三角形 、4本なら 四角形 、5本なら 五角形(ごかくけい)、・・・というふうになります。 また、辺の長さと角の大きさが全て同じである多角形のことを <big>正多角形</big> (せいたかくけい)と言います。三角形の場合は正三角形、四角形の場合は正四角形(「正方形」(せいほうけい)というのがふつうです)、五角形の場合は正五角形・・・というふうになります。 [[File:Regular polygon 5 annotated.svg|thumb|left|正五角形]] ==== 正多角形のかきかた ==== 正多角形は、まず円をかき、その中心の周りの角を等分することでかけます。例えば正五角形は、円をかき、その中心の周りの角を5等分して、72°ずつに区切り、区切る直線が縁と交わったところの点を結ぶことで書けます。なお、正六角形は、 === 図形の角 === ==== 三角形の3つの角の大きさの和 ==== 三角形をかいて、3つの角をはかって和を求めてみましょう。三角形の3つの角の大きさの和は、どんな三角形でも 180°になります。 ==== 四角形の4つの角の大きさの和 ==== 四角形の4つの角の大きさの和は、どんな四角形でも 360°になります。 四角形に対角線を1本引けば、ふたつの三角形に分かれるので、2つの三角形の三角形の3つの角の大きさの和に等しくなります。 ==== 多角形の内角の和 ==== {{clear}} 五角形では、五角形の5つの角の大きさの和は、三角形の3つの角の大きさの和に等しくなります。 [[File:Catalan number triangulation.png|center|600px|]] 五角形の内角の和をもとめるための対角線のひきかたには、いろいろとありますが、とにかく五角形の内角の和は三角形の3つの角の大きさの和に等しくなります。 :五角形の内角の和は 180°×(5-2)=540° より、五角形の内角の和は 540°になります。 {{clear}} [[File:Catalan-Hexagons-example.svg|center|600px|]] 六角形の6つの角の大きさの和をもとめるための対角線のひきかたには、いろいろとありますが、とにかく六角形の6つの角の大きさの和は、4つの三角形の3つの角の大きさの和になります。 {{clear}} === 円周の長さと円周率 === 円のまわりの長さを {{ruby|円周|えんしゅう}} といいます。 例えば、 :では、直径7cmの円の円周は何cmでしょう。 円周は曲がっているので、定規でははかれません。しかし「円周÷直径」はどの円でも同じです。これを <big>円周率</big>(えんしゅうりつ) といいます。 円周率は分数で表すことはできず、また小数で表しても{{ruby|限|かぎ}}りなく続く数字で、 およそ'''3.14'''であることが わかっています。なので、小学校では、円周率は 3.14 として計算することが多いです。 :円周÷直径=3.14 でしたから、 :円周=直径×3.14 ですね。はじめの問題を{{ruby|解|とく}}くと、7×3.14=21.98(cm)というようになります。 {{コラム|円周率の研究の{{ruby|歴史|れきし}}| 円と、円にぴったり入る正多角形と、円がぴったり入る正多角形をかくと、この円の周は内側の正多角形より長く、外側の正多角形よりは短くなり、これから円周率のおよその値がわかります。古代ギリシアの数学者アルキメデスは、円にぴったり入る正96角形と、円がぴったり入る正96角形を使い、円周率は<br>3<math>\frac{10}{71}</math> (=3.1408…)より大きく、3<math>\frac{1}{7}</math> (=3.1428…)より小さいことを発見しました。また、オランダの数学者ルドルフ(1539年~1610年)は、<br>正4611686018427387904角形(正2の62乗角形)を使って、円周率を小数点以下35けたまで求めました。その後も、日本の数学者 関孝和(せきたかかず)や建部賢弘(たけべかたひろ)などが円周率を研究しました。2010年、長野(ながの)県飯田(いいだ)市に住む日本人と米国人がチームを組み、コンピュータを使って円周率を5兆けた計算し、この計算でギネス世界記録に選ばれました。(正多角形の考え方ではなく、「計算結果が円周率になる式」が使われています。)今でも、円周率は日々計算されています。 }} === 面積 === '''面積'''は、図形の広さを表すものです。例えば、 面積は長方形・正方形の場合は、'''たて×よこ'''で表すことができました。 たとえば、たて4cm、よこ5cmの長方形の面積は、4×5=20(cm<sup>2</sup>)となります。 次の図形でも、面積は次のように求めることができます。 ==== 三角形の面積 ==== [[File:三角形の面積1.png|thumb|right|200px|図1]] [[File:三角形の面積2.png|thumb|right|200px|図2]] [[File:三角形の説明.png|thumb|right|200px|図3]] 右の図1の方眼紙は1目もり1cmです。'''図1'''の三角形の面積を考えてみましょう。 :'''図2'''のように三角形の周りにたて4cm、横8cmの面積を作ると面積の等しい直角三角形が2組できます。だから、三角形の面積はこの長方形の面積の半分になります。また、'''図3'''のように、三角形で、ある辺を'''{{ruby|底辺|ていへん}}'''としたとき、向かい合う{{ruby|頂点|ちょうてん}}から底辺に{{ruby|垂直|すいちょく}}に引いた直線を'''高さ'''といいます。辺と高さが重なったり、高さが図形の外にきたりすることもあります。'''図2'''の長方形で、たての長さは高さ、横の長さは底辺とみることができるので、三角形の面積の公式は '''底辺×高さ÷2''' となります。図3のように高さが図形の外にあってもこの公式は使えます。図1の三角形の面積は <math>8\times4\div2=16</math> より、16cm<sup>2</sup>となります。 ==== 平行四辺形の面積 ==== [[File:平行四辺形の面積1.png|thumb|right|200px|図1]] [[File:平行四辺形の面積2.png|thumb|right|200px|図2]] [[File:平行四辺形の面積3.png|thumb|right|200px|図3]] [[File:平行四辺形の説明.png|thumb|right|200px|図4]] 右の図1の方眼紙は1目もり1cmです。'''図1'''の平行四辺形の面積を考えてみましょう。 :'''図2'''の位置から'''図3'''の位置に色の{{ruby|濃|こ}}い三角形を移動すると、だから、三角形の面積はこの長方形の面積の半分になります。また、'''図4'''のように、平行四辺形で、ある辺を'''{{ruby|底辺|ていへん}}'''としたとき、底辺とそれに向かい合う辺のはばを '''高さ''' といいます。'''図2'''の平行四辺形で、たての長さは高さ、横の長さは底辺とみることができるので、平行四辺形の面積の公式は '''底辺×高さ''' となります。高さが図形の外にあってもこの公式は使えます。'''図1'''の平行四辺形の面積は <math>\times7\div5=35</math> より、35cm<sup>2</sup>となります。 ==== 台形とひし形の面積 ==== ===== 台形 ===== [[File:台形の面積1.png|thumb|right|200px|図1]] [[File:台形の面積2.png|thumb|right|200px|図2]] [[File:台形の説明.png|thumb|right|200px|図3]] '''図1'''の台形の面積を考えてみましょう。 :'''図2'''のように、この台形を2つならべると平行四辺形ができます。台形の面積はこの平行四辺形の半分です。'''図3'''のように、台形にで、平行な2本の辺をそれぞれ '''{{ruby|上底|じょうてい}}'''、'''{{ruby|下底|かてい}}''' といいます。この平行四辺形で、底辺は(上底+下底)で、高さはもとの台形の高さと同じなので面積は (上底+下底)×高さ となります。台形の面積はこの半分なので、台形の面積の公式は '''(上底+下底)×高さ÷2''' となります。 {{clear}} ===== ひし形 ===== [[File:ひし形の面積1.png|thumb|right|200px|図1]] [[File:ひし形の面積2.png|thumb|right|200px|図2]] [[File:ひし形の説明.png|thumb|right|200px|図3]] '''図1'''のひし形の面積を考えてみましょう。 :'''図2'''のように、ひし形の周りに長方形を作ります。ひし形の面積は長方形の面積のちょうど半分です。長方形のたてと横はそれぞれひし形の対角線となっています。ですから、'''図3'''のように、ひし形の面積の公式は '''対角線×対角線÷2''' となります。 === 体積 === 2年生では、「かさ」や「L」などの単位について、ならいました。 [[File:CubeLitre.svg|thumb|1Lと、立方(りっぽう)センチメートルとの、かんけい。<br>1L=1000cm<sup>3</sup>である。]] 立体の、空間での大きさ(今までに習った「かさ」のこと)を <big>体積</big> (たいせき) といいます。 面積では、縦(たて)と横(よこ)が 1cm の正方形の面積のことを 1cm<sup>2</sup> と いいました。 体積では、縦(たて) と 横(よこ) と 高さ(たかさ) が 1cm の 立方体 の 体積 を '''1cm<sup>3</sup>''' と 書き 、「 1 立方(りっぽう) センチメートル」といいます。 体積は、縦と 横と 高さが 1cm の 立方体 の 体積(1cm<sup>3</sup>)が、いくつ分かで表します。 直方体(ちょくほうたい) は 長方形 が たくさん 積み 重なった もの 、 立方体は 正方形 が たくさん 積み 重なったもの と 考えてみると、体積は '''たて×横× 高さ''' の式で 求めることができます。 立方体(りっぽうたい) は 全ての辺の長さが同じなので、高さも1辺の長さになります。また、底面の面積は今までどおり '''縦×横''' の式で計算できます。 つまり、 * 直方体の体積は '''たて×横×高さ ''' * 立方体の体積は '''1辺×1辺×1辺''' で求めることができます。 下の問題を見てみましょう。 * 縦2cm 、 横3cm 、 高さ6cm の 直方体の 体積を もとめましょう。 という問題があります。 直方体の体積は '''縦×横×高さ''' なので、2×3×6=36(cm<sup>3</sup>)と求められます。 * 立方メートル 一辺が1mの立方体の体積を1立方メートル(いち りっぽうメートル)と言い 1m<sup>3</sup> と書きます。1立方メートルを立方センチメートルで書いたとすると、1mは100cmですから、1m<sup>3</sup> は :1m<sup>3</sup> = 100cm × 100cm × 100cm = 1000000 cm<sup>3</sup> です。(一立方メートルは、百万立方センチメートル) * 内のりと容積 コップや水槽(すいそう)、プールなど、水などの液体(えきたい)をいれる容器(ようき)について、容器の内部の長さを<big>内(うち)のり</big>といい、その容器に入りきる液体の体積を <big>容積</big>(ようせき) といいます。 容積の単位(たんい)は、体積と同じようにLやdLや立方cm<sup>3</sup>や立方m<sup>3</sup>などを、つかいます。 なお、1Lは 1000cm<sup>3</sup> です。つまり :1L=1000cm<sup>3</sup> です。 1dLは 100cm<sup>3</sup> です。つまり :1dL=100cm<sup>3</sup> です。 1mLは 1cm<sup>3</sup> です。つまり :1mL = 1cm<sup>3</sup> です。 {{clear}} == 角柱と円柱 == === 角柱と円柱 === * 三角柱 三角柱には面が、5個、あります。三角柱の面のうち、2個は三角形です。三角柱の面のうち、3個は四角形です。 三角柱には、頂点が 6個 あります。(数えてみてください。) 三角柱には、辺が 9本 あります。(数えてみてください。) 三角柱の上下の2つの三角形の面を <big>底面</big>(ていめん) と言います。 底面の面積のことを <big>底面積</big>(ていめんせき) と言います。 三角柱の底面積は、底面の円の面積とおなじです。 上側の面も、「底」面というのは変だと思うかもしれませんが、慣習(かんしゅう)で、こう呼びます。 三角柱の、2つの三角形である底面のあいだのきょりを、三角柱の <big>高さ</big> といいます。 三角柱の、展開すると四角形になる部分の面を <big>側面</big>(そくめん) と言います。 側面の面積のことを <big>側面積</big>(そくめんせき) と言います。 {{clear}} * 円柱 [[File:Cylinder.svg|thumb|left|100px|円柱(えんちゅう)<br>この図では、hが「円柱の高さ」です。]] [[Image:ZylinderNetz.svg|thumb|円柱の展開図]] *:トイレットペーパーの しん の ような 同じ大きさの円 が 積み重なってできた立体を <big>円柱</big> (えんちゅう)と言います。 {{clear}} 円柱には面が3個あります。 円柱の面のうち2個は円です。 円柱の上下の2つの円の面を <big>底面</big>(ていめん) と言います。 円柱の、2つの円である底面の中心を結んだきょりを、円柱の <big>高さ</big> といいます。 円柱の、展開すると四角形になる部分の面を <big>側面</big>(そくめん) と言います。 展開図をみると、側面積の縦の長さを「円柱の高さ」にとった場合は、側面積の横の長さは、底面の円周です。 です。 {{clear}} == 数量関係 == === 単位量あたりの大きさ === ==== 単位量あたりの量 ==== サッカーボールを買うために、2つの店 A店とB店に行きました。 :A店では 「サッカーボール2つ3000円」で売っており、 :B店では「サッカーボール5つ8000円」で売っていました。 :どちらが安いといえるでしょうか。 ここでは、サッカーボールの数が{{ruby|違|ちが}}います。どのように{{ruby|比|くら}}べればよいでしょうか。 一方、「サッカーボール1つで1200円」と、「サッカーボール1つで1300円」とであれば、 「サッカーボール1つで1200円」の方が安いということはすぐ分かります。 つまり、サッカーボールの数が違うときは、サッカーボール1つあたりの{{ruby|値段|ねだん}}を{{ruby|比|くら}}べれば、どちらが安いか分かるわけです。 このように、「~1つあたり」のようなものを、''単位あたりの量''といいます。「単位」というのは、「{{ruby|基準|きじゅん}}とする量」のことです。ふつうは1を基準とします。 :(注意)「{{ruby|豚|ぶた}}肉100gあたり130円」などというように、1を基準としないものもあります。 :A店でのサッカーボールの1個あたりの値段は、<math>3000 \div 2=1500</math>円で、 :B店でのサッカーボールの1個あたりの値段は、<math>8000 \div 5=1600</math>円で、 1個あたりの値段で比べれば、A店のほうが安いといえます。 (練習問題) *サッカーボール5個で6000円のとき、サッカーボール1個あたりの値段を求めましょう。 :<math>6000 \div 5 = 1200</math>(円) *サッカーボール1個あたり1000円のとき、3個買うと、全部でいくらですか。 :<math>1000 \times 3 = 3000</math>(円) *1.5Lのジュースが、180円でした。このジュース1Lあたりの値段を求めましょう。 :<math>180 \div 1.5 = 120</math>(円) *1Lあたり130円のジュースを2.3L買いました。全部でいくらですか。 :<math>130 \times 2.3 = 299</math>(円) *1.5Lのジュースが、200円でした。1円あたりジュースを何L買えるでしょう。 :<math>1.5 \div 200 = 0.0075</math>(L) ==== 人口密度 ==== 1km<sup>2</sup>あたりの人口を'''{{ruby|人口密度|じんこうみつど}}'''といいます。 では、{{ruby|東京|とうきょう}}都と{{ruby|高知|こうち}}県の人口密度を求めてみましょう。 :東京都の人口:1351万人、面積:2191km<sup>2</sup><br> :高知県の人口:72万人、面積:7104km<sup>2</sup> (2015年の{{ruby|国政調査|こくせいちょうさ}}データ・改) :東京都:1351000÷2191=6166.13… より、約6200人、  :高知県:720000÷7104=101.35… より、約100人  :となります。 === 速さ === ==== 速さ ==== ここでは、特に[[w:速度|速さ]]について学んでいきましょう。 例えば、ライオンが9秒間に、200mだけ走ったとします。また、キリンは、6秒間に100mだけ走ったとします。このとき、ライオンは1秒間におよそ22.2m,キリンは、1秒間におよそ16.7m走ったことになります。このように、ある時間あたり進める長さを'''速さ'''といます。 速さはある時間あたりの速さを表すものですから、速さは :速さ=道のり÷時間  :という式で、求められます。 {{ruby|時速|じそく}}とは、1時間あたりに進む{{ruby|距離|きょり}}で速さをあらわした、速さの単位です。 たとえば、1時間に10kmを進む自転車の速さは、時速10kmです。2時間で14kmを進んだら、時速7kmです。 {{ruby|分速|ふんそく}} とは、1分あたりに進む{{ruby|距離|きょり}}で速さをあらわした、速さの単位です。 たとえば、時速10kmという速さを分速になおすと :10÷60=0.16666… より、およそ分速0.167kmに、つまり、およそ分速167mになります。 {{ruby|秒速|びょうそく}} とは、1秒あたりに進む距離(きょり)で速さをあらわした、速さの単位です。 たとえば秒速15cmを分速になおすと、 :15×60=900 より、秒速15cmは、分速900cm、つまり分速9mとなります。 なお、「時速5km」を、「毎時5km」「5km/h<ref>kmはキロメートル、hは英語で一時間を表す"hour"の意味です。この記号の意味は道のり(km)÷時間(h)、つまり分数で表すとkm/hとなるのです。</ref>」などと表すこともあります。 *問題1 あるマラソン選手が42.195kmを、2.2時間で走り終えました。この選手の速さは、時速何kmですか。 *答え 式は42.195<math>\div</math>2.2 となります。これを計算すると 19.17…となるので、およそ時速19.2kmとなります。 === 速さの公式 === 速さ=道のり÷時間 であるから :道のりは 道のり=速さ×時間 という式で求められます。 :同じように考えてみると :時間は 時間=道のり÷速さ という式で求められます。 * 問題2  :(1)時速40kmで3時間走った車は、何km進みましたか。 :(2)A君は、9kmはなれたところにあるおばさんの家に、時速15kmの自転車で向かっています。何分でつきますか。 (分速を求める方法と、何時間でつくか求める方法でやってみましょう) === 割合 === ==== はじめに ==== 5年生は200人いて、そのうち音楽をよく聞く人は100人です。一方、6年生は50人いて、 そのうち音楽をよく聞く人は30人です。 5年生と、6年生では、どちらの方が音楽をよく聞くといえるでしょうか。 {{ruby|簡単|かんたん}}には、分かりませんね。 それは、5年生と6年生で、全体の人数が{{ruby|違|ちが}}うからです。 そこで、{{ruby|比|くら}}べるために、5年生と6年生のの人数をそろえてみます。 たとえば、全体の人数を100人にそろえてみましょう。 5年生はもともと全体の人数が200人ですから、これを2でわって100人にします。 :同時に、音楽好きな人の人数も2でわります。 <5年生> 全体の人数 :200人 --> 100人(2でわった) 音楽好きな人:100人 --> 50人(2でわった) 一方、6年生はもともとの全体の人数が50人ですから、これを2倍して100人にします。 同時に、音楽をよく聞く人の人数も2倍します。 <6年生> 全体の人数 : 50人 --> 100人(2倍した) 音楽好きな人: 30人 --> 60人(2倍した) つまり、全体の人数が100人だったとすると、音楽をよく聞く人は、5年生では50人、6年生では60人 いることになります。 この結果、6年生の方が音楽をよく聞くと言えます。 ここでは全体の人数を100人にあわせましたが、もちろん他の数にしても同じ結果になるはずです。 それでは、全体の人数が1人だとして、同じように計算してみましょう。 5年生はもともと全体の人数が200人ですから、これを200でわって1人にします。 同時に、音楽をよく聞く人の人数も200でわります。 <5年生> 全体の人数 :200人 --> 1人 (200でわった) 音楽好きな人:100人 --> 0.5人 (200でわった) 一方、6年生はもともとの全体の人数が50人ですから、これを50で割って1人にします。 同時に、音楽好きな人の人数も50で割ります。 <6年生> 全体の人数 : 50人 --> 1人 (50で割った) 音楽好きな人: 30人 --> 0.6人 (50で割った) つまり、全体の人数が1人だったとすると、音楽好きな人は、5年生で0.5人、6年生では0.6人 いることになります。 この結果、6年生の方が音楽好きであると言え、先ほどと同じ結果になりました。 この2つめの例のように、ある量(もとにする量という)を1としたとき、別のある量(くらべる量という)がある量の何倍かを表す数を :'''{{ruby|割合|わりあい}}'''といいます。 ==== 割合 ==== {{ruby|一般|いっぱん}}に、割合は 割合というのは、「ある量('''比べる量''')が、ある別の量('''もとにする量''')の何倍かということです。 ですから、 '''割合 = くらべる量 ÷ もとにする量''' :という式で求めることができます。 また、この式から、 :'''くらべる量 = もとにする量 × 割合'''、 :'''もとにする量 = くらべる量 ÷ 割合''' :となります。 === 割合の表し方 === 割合は例えば「このりんごジュースは{{ruby|果汁|かじゅう}}100%です。」や「あるプロ野球選手の今シーズンの打率は3{{ruby|割|わり}}1{{ruby|分|ぶ}}5{{ruby|厘|りん}}でした。」などと使われます。この単位はどのような割合を表すか見てみましょう。 ==== 百分率 ==== 0.01倍を 1{{ruby|%|パーセント}}と表す表し方を {{ruby|百分率|ひゃくぶんりつ}} といいます。ですから、元にする量は 100% となります。 ==== 歩合 ==== 0.1倍を 1'''{{ruby|割|わり}}'''、0.01倍を'''{{ruby|分|ぶ}}'''、0.001倍を'''{{ruby|厘|りん}}'''と表す割合の表し方を「'''{{ruby|歩合|ぶあい}}'''」といいます。野球の打率などの表し方で使われています。 例えば、上の打率3{{ruby|割|わり}}1{{ruby|分|ぶ}}5{{ruby|厘|りん}}は1000回バットを振ると315回ボールに当たるという意味になります。 === 割合を表すグラフ === {{節stub}} 割合を表すグラフには、'''{{ruby|帯|おび}}グラフ'''と'''{{ruby|円|えん}}グラフ'''があります。 == 比例 == 2つの量で、一方が2倍、3倍、…となったとき、もう一方が2倍、3倍、…となるとき、2つの数量は {{ruby|比例|ひれい}}している といいます。 === 図形と比例 === <!--事実的にはそうなんだけど、もっと説明入れてもいいかも--> * 直方体において、高さが変わっていくとき、高さと体積は比例します。 * 三角形や平行四辺形において、高さが変わっていくとき、高さと面積は比例します。 == 平均 == 3つのコップに 160mL、210mL、230mL のジュースが入るので、これをAさん、Bさん、Cさんの3人で飲もうと思います。しかし、これでは、1人分の量が {{ruby|均等|きんとう}} ではありません。そこで、3人でぴったり分ける方法を考えましょう。 :3つのコップのジュースを合わせて、それを同じ量ずつ3つのコップに分けることにしました。このとき、3つのコップのジュースの量の合計は160+210+230=600 (mL) になるので、1人分の量は 600÷3=200 (mL) となります。 このように、いくつかの数量を、1つあたりの量が等しくなるようにならしたものを '''{{ruby|平均|へいきん}}'''といいます。 {| style="border:2px solid greenyellow;width:80%" cellspacing=0 |style="background:greenyellow"|'''平均の求め方''' |- |style="padding:5px"| <big>平均=合計÷{{ruby|個|こ}}数</big> |} また、合計=平均×個数、個数=合計÷平均 となります。 * 問題1 8人に算数のテストを行ったところ、点数は :<math> 75,87,50,38,68,84,72,78 </math> となりました。このテストの8人の平均点は何点ですか。 ** 答え 平均 = 合計 ÷ 個数 なので :<math> (75+87+50+38+68+84+74+78) \div 8 := 69.25 </math>(点) となります。 なお、平均は小数や分数となることもあります。 <!-- (75+87+50+38+68+84+74+78)8 =69.25 --> また、、10人いるクラブの各メンバーの体重が、つぎのようなとき、 * データ1 <table border="1"> <tr align="center"> <th>番号</th> <td colspan="2">1</td> <td colspan="2">2</td> <td colspan="2">3</td> <td colspan="2">4</td> <td colspan="2">5</td> <td colspan="2">6</td> <td colspan="2">7</td> <td colspan="2">8</td> <td colspan="2">9</td> <td colspan="2">10</td> </tr> <th>体重(kg)</th> <td colspan="2">60.3</td> <td colspan="2">57.9</td> <td colspan="2">65.4</td> <td colspan="2">56.1</td> <td colspan="2">53.6</td> <td colspan="2">62.7</td> <td colspan="2">70.0</td> <td colspan="2">55.8</td> <td colspan="2">67.1</td> <td colspan="2">63.1</td> </tr> </table> 体重の平均は :<math> (60.3+57.9+65.4+56.1+53.6+62.7+70.0+55.8+67.1+63.1) \div 10 = 61.2 (kg) </math> より、61.2 kg が平均の体重となります。 === 平均の{{ruby|扱|あつか}}いかた === 下の表は、ウィキ小学校の5年1組の、ある1週間の、本の{{ruby|貸|か}}し出し{{ruby|冊数|さっすう}}です。<br> {| class="wikitable" |+ 貸し出し冊数 ! 冊数・曜日 !! 月 !! 火 !! 水 !! 木 !! 金 |- ! 貸出冊数 | 8 || 5 || 0 || 6 || 9 |} この表では、水曜日に、0冊とまったく借りられていませんが、「0」のデータでも平均に{{ruby|含|ふく}}めます。 :貸出冊数の平均は、<math>(8+5+0+6+9)\div5=5.6</math> より、5.6冊です。 下は、Aさんの、5回の{{ruby|幅跳|はばと}}びの結果を表したものです。 {| class="wikitable" |+ 記録 ! 回数 !! 1 !! 2 !! 3 !! 4 !! 5 |- ! 記録 | 158cm || 167cm || 161cm || 327cm || 164cm |} 4回目に、ほかの記録と大きくはなれた「327cm」という記録が出ていますが、はかりまちがえてしまったようです。 :このような、記録ミスなどによる、大きくはなれたデータがあるときは、それをふくめずに平均を計算することがあります。 :ここでは、平均は :<math>(158+167+161+164)\div4=162.5</math>で、平均は162.5cmです。 === 平均の求め方のくふう === あるグループの5人の身長は、145cm,156cm,149cm,141cm,152cm となっています。この5人の身長の平均を求めてみましょう。 :ふつうに計算すると <math>(145+156+149+141+152) \div 5 = 148.6(cm)</math>となりますが、これを計算するのは少し大変です。 :そこで、くふうした平均の計算方法を考えてみましょう。 :まず、5人の身長はすべて140cmより高いので、「5人の身長と140cmの差」の平均を求めて、それに140をたす という方法で平均を求めてみましょう。 :まず、「5人の身長と140cmの差」の平均は <math>(5+16+9+1+12) \div 5 = 8.6(cm)</math>となります。 :これに140をたすと 8.6+140=148.6 となり、これでも平均を求められます。 :また、一番身長の低い人の身長は、141cmです。そこで、「5人の身長と141cmの差」の平均を求めて、それに141をたす という方法で平均を求めてみましょう。 :まず、「5人の身長と141cmの差」の平均は <math>(4+15+8+0+11) \div 5 = 7.6(cm)</math>となります。 :これに141をたすと 7.6+141=148.6 となり、これでも平均を求められます。 :このように、くふうして平均を求めることができます。 == 算数ドリル == 下の「5年生のための算数ドリル」の文字を{{ruby|押|お}}すと、 見ているページが、算数ドリルのぺージに、変わります。 * [[算数演習 小学校5年生|5年生のための算数ドリル]] [[Category:小学校算数|5かくねん]]
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[ "テンプレート:Ruby", "テンプレート:コラム", "テンプレート:Clear" ]
https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%B0%8F%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E7%AE%97%E6%95%B0/5%E5%AD%A6%E5%B9%B4
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HTML/テーブル
テーブル(表)とは、本文中のデータを表として見やすく表示するための機能。 テーブルを作成するには、table, thead, tbody, tfoot, td, tr, th, tdの8つの要素を用いる。 この様な具合になる。 ここで紹介した各要素にも他の要素と同じように属性が存在する。属性の記述方法についてはHTML入門を参照。また、CSSを使った表の位置や大きさ、色などの装飾的な事項に関しては、CSS/テーブルを参照にするとよい。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "テーブル(表)とは、本文中のデータを表として見やすく表示するための機能。", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "テーブルを作成するには、table, thead, tbody, tfoot, td, tr, th, tdの8つの要素を用いる。", "title": "作成方法" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "", "title": "作成方法" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "この様な具合になる。", "title": "作成方法" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "ここで紹介した各要素にも他の要素と同じように属性が存在する。属性の記述方法についてはHTML入門を参照。また、CSSを使った表の位置や大きさ、色などの装飾的な事項に関しては、CSS/テーブルを参照にするとよい。", "title": "属性" } ]
テーブル(表)とは、本文中のデータを表として見やすく表示するための機能。
{{Pathnav|HTML|frame=1|small=1}} テーブル(表)とは、本文中のデータを表として見やすく表示するための機能。 == 作成方法 == テーブルを作成するには、'''table, thead, tbody, tfoot, td, tr, th, td'''の8つの要素を用いる。 [[画像:Outline of table.svg|300px|thumb|テーブルの基本的な構造]] # table要素で、テーブルを作成することを明示する。 # thead要素でテーブルのヘッダ部を示す。ひとつのテーブル内にひとつしか記述できないが、ヘッダがない場合は省略可能。 # tbody要素でテーブルの本体部分を示す。しばし省略されるが、正式なHTMLには必要。 # tfoot要素でテーブルのフッタ部を示し、これに囲まれた内容は必ずテーブルのフッタ部に表示される。ひとつのテーブル内にひとつしか記述できない。フッタがない場合は省略可能。tbody要素よりも前に配置するが、未対応ブラウザでは無視され本体部よりも前に表示されてしまう。 # tr要素で、テーブルの行(横一列)を作成する。 # th要素で、見出し用のセル(ます目)を作成する。 # td要素で、データ表示用のセルを作成し、内容を記述する。 ==== 記述例 ==== <syntaxhighlight lang="html4strict"> <table> <thead> <tr> <th>&nbsp;</th> <th>男子</th> <th>女子</th> </tr> </thead> <tfoot> <th>合計</th> <td>14人</td> <td>15人</td> </tfoot> <tbody> <tr> <th>綱引き</th> <td>10人</td> <td>12人</td> </tr> <tr> <th>徒競走</th> <td>4人</td> <td>3人</td> </tr> </tbody> </table> </syntaxhighlight> ==== 表示例 ==== <br><!-- 下記の空行1個は表示の調整用に追加してください。見出しタイトルと、表との間に、表示の際に空白を入れて見やすくするため。 --> <table rules="all"> <tr> <th>&nbsp;</th> <th>男子</th> <th>女子</th> </tr> <tr> <th>綱引き</th> <td>10人</td> <td>12人</td> </tr> <tr> <th>徒競走</th> <td>4人</td> <td>3人</td> </tr> <tr> <th>合計</th> <td>14人</td> <td>15人</td> </tr> </table> この様な具合になる。 == 属性 == ここで紹介した各要素にも他の要素と同じように'''属性'''が存在する。属性の記述方法については[[HTML#HTML入門|HTML入門]]を参照。また、[[CSS]]を使った表の位置や大きさ、色などの装飾的な事項に関しては、[[CSS/テーブル]]を参照にするとよい。 === table要素 === [[画像:Table spaceing.svg|300px|thumb|テーブルの外枠や空白]] ; border : 表の外枠の太さを設定。この属性を抜かした場合外枠が表示されない。 ; bgcolor : テーブル全体の背景色を指定する。同時に背景が設定されていた場合、背景画像が表示できないときにこの設定が反映される。 ; background : テーブル全体の背景画像として表示するファイルを指定する。 ; bordercolor : 枠線の色を指定する属性だが、ブラウザによってレイアウトが微妙に異なるほか、[[w:Opera|Opera]]など未対応環境もあるので使用は好ましくない。CSSを利用しよう。 ; width,height : テーブルの大きさを指定する。一般的なブラウザでサポートされているが、標準的なHTMLの仕様上ではtable属性にheight属性は指定できない。高さを指定する場合はth属性やtd属性に指定を行うと良い。 : table属性に具体値でwidthを指定し、その上で全てのth,td属性に具体値でwidth指定を行うと、ブラウザによってどちらかが優先されてしまい環境によって表示に差異の生じるケースがある。 ; align : テキストの回り込みを指定。leftで左に、rightで右にテキストを回りこませることが出来る。また、centerを指定することでテーブルをセンタリングできる。 ; frame : 外枠の表示方式を設定。属性値として指定可能な値はvoid(枠なし・デフォルト値)、above(上のみ)、below(下のみ)、lhs(左のみ)、rhs(右のみ)、hsides(上下のみ)、vsides(左右のみ)、border(上下左右)の9通り。 ; rules : セルを区切る枠線の表示形式を指定。属性値として指定可能な値はnone(なし・デフォルト値)、rows(縦列の境界のみ)、cols(横列の境界のみ)、groups(thead, tbody, tfoot, col, colgroupの各要素の境界のみ)、all(全ての境界)の5通り。 ; cellcpacing : セル同士の間隔を指定。セルと外枠の間隔も同様の間隔になる。 ; cellspacing : セルとコンテンツの間隔を指定する。 === tr要素 === ; bgcolor : 横一列の背景色をまとめて設定できる。同時に背景画像が設定されていた場合はtable要素同様画像優先。 ; background : 背景画像を横一列まとめて指定する。 === th要素とtd要素 === ; bgcolor : セルの背景色を指定。tr要素に指定すれば横一列、th要素やtd要素に指定すれば個別のセルに背景色を設定できる。同時に背景が設定されていた場合は、背景画像が表示できないときにこの設定が反映される。 ; background : 背景画像の指定。bgcolor要素と同様にtr要素で横一列、th要素・td要素で個別セルに背景を設定できる。 ; colspan,rowspan : colspanで横方向に、rowspanで縦方向に指定した数値だけセルを連結する。セルを連結した場合、ソース上では同じ方向に来る次のセルを指定する必要がない。 ; align : align属性をth要素やtd要素に指定した場合セル内でのテキストの行揃えを設定する。leftで左、centerで中央、rightで右、justifyで均等割り付け。 ; valign : テーブルのセル内で縦方向のテキスト位置を指定する。topで上、middleで中央、bottomで下。 === 記述例と表示例 === <syntaxhighlight lang="html4strict"> <table border="3"> <thead> <tr> <th>&nbsp;</th> <th>男子</th> <th>女子</th> </tr> </thead> <tfoot> <th>合計</th> <td>14人</td> <td>15人</td> </tfoot> <tbody> <tr> <th>綱引き</th> <td colspan="2" align="center">22人</td> </tr> <tr> <th>徒競走</th> <td>4人</td> <td>3人</td> </tr> <tr> <th rowspan="2">障害物リレー The サバイバル</th> <td>2人(第一回)</td> <td>2人(第一回)</td> </tr> <tr> <td>3人(第二回)</td> <td>3人(第二回)</td> </tr> <tr> <th>ダンス 曲目:ウィキペたんのテーマ</th> <td colspan="2" align="center">38人</td> </tr> </tbody> </table> </syntaxhighlight> <table rules="all" border="3"> <tr> <th>&nbsp;</th> <th>男子</th> <th>女子</th> </tr> <tr> <th>綱引き</th> <td colspan="2" align="center">22人</td> </tr> <tr> <th>徒競走</th> <td>4人</td> <td>3人</td> </tr> <tr> <th rowspan="2">障害物リレー The サバイバル</th> <td>2人(第一回)</td> <td>2人(第一回)</td> </tr> <tr> <td>3人(第二回)</td> <td>3人(第二回)</td> </tr> <tr> <th>ダンス(曲目:ウィキペたんのテーマ)</th> <td colspan="2" align="center">38人</td> </tr> <tr> <th>合計</th> <td>14人</td> <td>15人</td> </tr> </table> [[Category:HTML|HTML てーふる]]
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地学I/地球の概観
この項では、理科総合B 地学分野を履修しているものとして高等学校地学Iの解説を行う。 地球はいつから球形であると考えられていたのだろうか。ギリシアのアリストテレスは、月食のときの地球の影の形から地球が球形であると考えていた。紀元前230年ごろにアレキサンドリアの南のシエネ(現在のアスワン)では、夏至の日の正午に深い井戸の底まで太陽の光が届くのをエラトステネスが知り、同じ時刻の夏至の日のアレキサンドリアでは鉛直に立てた棒に影ができて太陽が頭上より約7.2°傾いている(つまり太陽高度 82.8°)のを知り、アレキサンドリアとシエネの距離は5000スタジア(925km)であるので、このことから、 として、解の x=250000スタジア から、地球の半径を7361kmと算出した。実際の半径は、6371kmであり、当時とすれば妥当な結果であろう。 地球の形は、赤道付近がやや膨らんだ回転楕円体(かいてん だえんたい)である。これを地球楕円体という。 1671年〜1672年、フランスの天文学者リシェは、ギアナでは、フランスで調整した振り子時計が1日に約2分30秒おくれることに気付いた。振り子は重力によって振動している事が分かっていて、重力が小さいほど振り子が遅くなることが分かっていたので、ニュートンは振り子の遅れの原因として、地球の形は遠心力によって赤道方向がふくらんだ形になっていると考えられた。(オレンジ型) これに対し、パリ天文台のカッシーニなどのフランスの学者などが、地球は極方向(つまり南北方向)にふくらんでいると考えていた。(レモン型) そこでフランス学士院は、スカンジナビア半島とペルーに調査団を派遣し、緯度差1度に対する子午線の長さを測定した結果、極付近の方が緯度1度に対する弧が長いことが証明され、ニュートンの説が正しいことが証明された。 緯度と緯度1°あたりの弧長は であった。 これより、ニュートンの仮説(オレンジ型)が正しいことになり、 地球の大きさは、 となり、よって 扁平率(へんぺいりつ) は (赤道半径 ー 極半径)/(赤道半径) =(a-b)/a= 1/298となる。 扁平率は非常に小く、実用上は地球を球形とみなして問題ない。 すべての物体どうしには、おたがいに引きよせ合う力があり、これを万有引力(ばんゆう いんりょく)という。 で表される。Mとmは2つの物体の質量。距離をrとしている。Gは万有引力定数であり、G=6.67×10^-11 m/(kg・s) である。 単に引力という場合も多い。 物体が大きいほど、引き寄せあう力が大きくなる。私たちが地上で感じる下方向への引力は、地球によって引き寄せられる引力である。 地球は1つの大きな磁石であると考えられる。自転軸と地表面の交点からN極の指す方角は約11度ずれていて、方位磁石は真北を指さない。このずれる角度を偏角という。日本付近では磁場が下方向を向いていて水平面に対する角度を伏角という。地磁気の大きさを全磁力といい、偏角と伏角と全磁力が定まれば地磁気の様子がわかる。したがってこれら3つを地磁気の3要素という。 (注) 偏角と伏角と全磁力の組合せだけが,地磁気の三要素ではない。 偏角は他の要素で表すことができないために,必ず三要素の一つに含めるが,他は,伏角と全磁力,伏角と水平分力(水平磁力)でも構わない。 地温は深さとともに次第に高くなっていく。この割合を地下増温率(地温勾配)という。地下30kmまでの地下増温率は、平均して100mにつき2~3°C程度である。 地球の内部は高温で、温度の低い地表に向かって熱が伝えられる。この熱量を地殻熱流量という。この平均的な値は、 6.9 × 10 − 2 [ W / m 2 ] {\displaystyle 6.9\times 10^{-2}[W/m^{2}]} である。 地球の主な熱源は、岩石に含まれるウラン、トリウムなどの放射線同位体の自然崩壊に伴う熱と、地球生成時に地球内部に閉じこめられた熱である。核の生成に伴う潜熱も熱の要因である。とりわけ、大陸地殻を構成する花こう岩発熱量が多い。 地震のゆれは波として地球内部を伝わっていく。これを地震波という。破壊が最初に生じたところを震源、震源の真上の地表の地点を震央という。 波の伝わる速さは物質の状態や種類によって変化する。物質の種類や状態が変わると地震波の速さが変わり、屈折や反射が起きる。ゆえに、地震波の伝わり方を解析することによって、地球内部の構造や状態を推定できる。 図1の下二つは表面波の伝わり方を示している。 震源から観測地点まで伝わるまでに要する時間を走時(そうじ)と呼び、震源から観測地点までの距離と走時の関係とを表したグラフのことを走時曲線(そうじきょくせん)と呼ぶ。縦軸に走時をとり、横軸に各観測点の震央距離をとった時に描かれる曲線である。地震波は通常、一定の速度で伝わるため、走時曲線はほぼ直線になるはずである。しかし、クロアチアの地震学者であるアンドリア・モホロビチッチは、走時曲線は直線にはならずにどこかで折れ曲がるという法則を発見した。モホロビチッチは、1909年にクパ渓谷で発生した地震の走時曲線から、いくつかの地震波は他の波より速く伝わっていることに気づき、この事実をP波の速度が急に変わる不連続面によって解説し、モホロビチッチ不連続面と呼ばれるようになった。地下30kmから60kmの間にモホロビチッチ不連続面があるため、浅発地震の場合、震央距離150~300km程度の陸地で折れ曲がる。モホロビチッチ不連続面より上を地殻といい、下をマントルという。 走時曲線を分析してみると、震央距離を地球中心からの角度で表した場合、103°から 先の領域にはS波が伝わらない。この領域をS波のシャドーゾーンと言う。また震央距離103°から143°にはP波が直接伝わらない。これをP波のシャドーゾーンという。深さ2900kmよりも深部は液体となっているためで、これよりも深部を核という。核は深さ5100kmまでが液体の外核,それよりも深部を内核という。内核は固体である。 マグマオーシャンから分離した鉄が地球中心部に核を形成したが,時代を経るにつれて冷え,鉄が固体となって中心部に沈み,内核を形成した。 高温のマントル物質は中央海嶺でわきだし、冷えてプレートとなり、海溝に向かって移動する。 (火山などで見られる)マグマの粘性(ねんせい)の原因の物質は二酸化ケイ素 SiO2 である。(粘性(ねんせい)とは、その物質の 粘りぐあい(ねばりぐあい) のこと。) なので、マグマの成分の割合で、ケイ素の割合が高いほど、そのマグマは粘性が高い。
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==最初に== この項では、[[理科総合B 地学分野]]を履修しているものとして'''高等学校地学I'''の解説を行う。 ==地球の形と構造== [[File:エラトステネスの考え.svg|thumb|400px|エラトステネスの考え]] 地球はいつから球形であると考えられていたのだろうか。ギリシアのアリストテレスは、月食のときの地球の影の形から地球が球形であると考えていた。紀元前230年ごろにアレキサンドリアの南のシエネ(現在のアスワン)では、夏至の日の正午に深い井戸の底まで太陽の光が届くのをエラトステネスが知り、同じ時刻の夏至の日のアレキサンドリアでは鉛直に立てた棒に影ができて太陽が頭上より約7.2°傾いている(つまり太陽高度 82.8°)のを知り、アレキサンドリアとシエネの距離は5000スタジア(925km)であるので、このことから、 :7.2:5000 = 360 : x として、解の x=250000スタジア から、地球の半径を7361kmと算出した。実際の半径は、6371kmであり、当時とすれば妥当な結果であろう。 ===扁平率=== 地球の形は、赤道付近がやや膨らんだ回転楕円体(かいてん だえんたい)である。これを地球楕円体という。 1671年〜1672年、フランスの天文学者リシェは、ギアナでは、フランスで調整した振り子時計が1日に約2分30秒おくれることに気付いた。振り子は重力によって振動している事が分かっていて、重力が小さいほど振り子が遅くなることが分かっていたので、ニュートンは振り子の遅れの原因として、地球の形は遠心力によって赤道方向がふくらんだ形になっていると考えられた。(オレンジ型) これに対し、パリ天文台のカッシーニなどのフランスの学者などが、地球は極方向(つまり南北方向)にふくらんでいると考えていた。(レモン型) そこでフランス学士院は、スカンジナビア半島とペルーに調査団を派遣し、緯度差1度に対する子午線の長さを測定した結果、極付近の方が緯度1度に対する弧が長いことが証明され、ニュートンの説が正しいことが証明された。 緯度と緯度1°あたりの弧長は :ラップランド(北フィンランド): 緯度66°22′N、弧長 111992 m :フランス:45°N、111162 m :エクアドル:1°31′N、110657 m であった。 これより、ニュートンの仮説(オレンジ型)が正しいことになり、 地球の大きさは、 *赤道半径(a)=6378km *極半径(b)=6357km となり、よって '''[[w:扁平率|扁平率]](へんぺいりつ) は (赤道半径 ー 極半径)/(赤道半径) =(a-b)/a'''= ''1/298''となる。 扁平率は非常に小く、実用上は地球を球形とみなして問題ない。 ===重力=== [[File:Acceleration-due-to-Gravity-on-Earth.png|thumb|250px|地球における、重力のイメージ]] すべての物体どうしには、おたがいに引きよせ合う力があり、これを万有引力(ばんゆう いんりょく)という。 :<math> F= G \frac{M m}{R^2} </math> (N) で表される。Mとmは2つの物体の質量。距離をrとしている。Gは万有引力定数であり、G=6.67×10^-11 m<sup>3</sup>/(kg・s<sup>2</sup>) である。 単に引力という場合も多い。 物体が大きいほど、引き寄せあう力が大きくなる。私たちが地上で感じる下方向への引力は、地球によって引き寄せられる引力である。 *(地球の)引力 地球の重心に向かう力。 *遠心力 地球の自転による遠心力が働いている。遠心力の方向は地軸に垂直な方向である。自転軸である地軸からの距離が大きいほど、遠心力も大きい。よって遠心力は、赤道で最大。両極で0。 *重力 引力と遠心力の合力。両極で最大となり、赤道で最小となる。重力を W とすると、式は質量mによって、 W=mg で表される。比例定数 g を重力加速度といい、大きさはほぼ 9.8 m/s<sup>2</sup> である。よって、質量1kgの物体あたり、9.8Nの重力が掛かっている。 ===地磁気=== 地球は1つの大きな磁石であると考えられる。自転軸と地表面の交点からN極の指す方角は約11度ずれていて、方位磁石は真北を指さない。このずれる角度を'''偏角'''という。日本付近では磁場が下方向を向いていて水平面に対する角度を'''伏角'''という。地磁気の大きさを'''全磁力'''といい、偏角と伏角と全磁力が定まれば地磁気の様子がわかる。したがってこれら3つを'''地磁気の3要素'''という。 (注) 偏角と伏角と全磁力の組合せだけが,地磁気の三要素ではない。 偏角は他の要素で表すことができないために,必ず三要素の一つに含めるが,他は,伏角と全磁力,伏角と水平分力(水平磁力)でも構わない。 ===地球内部の熱=== 地温は深さとともに次第に高くなっていく。この割合を'''[[w:地温勾配|地下増温率]]'''(地温勾配)という。地下30kmまでの地下増温率は、平均して100mにつき2~3℃程度である。 ===地殻熱流量=== 地球の内部は高温で、温度の低い地表に向かって熱が伝えられる。この熱量を'''地殻熱流量'''という。この平均的な値は、<math> 6.9 \times 10^{-2} [W/m^2] </math> である。 ===地球の熱源=== 地球の主な熱源は、岩石に含まれるウラン、トリウムなどの放射線同位体の自然崩壊に伴う熱と、地球生成時に地球内部に閉じこめられた熱である。核の生成に伴う潜熱も熱の要因である。とりわけ、大陸地殻を構成する花こう岩発熱量が多い。 ==地震と地球内部構造== ===地震のゆれの波=== [[File:震源と震央.svg|thumb|400px|震源と震央]] [[File:Diagram-of-seismic-waves jp.svg|thumb|400px|地震の波形 説明図]] 地震のゆれは波として地球内部を伝わっていく。これを'''[[w:地震波|地震波]]'''という。破壊が最初に生じたところを'''[[w:震源|震源]]'''、震源の真上の地表の地点を'''震央'''という。 ===地震波の種類=== [[Image:Pswaves.jpg|thumb|250px|left|図:1 P波とS波の伝わり方]] *'''P波''' - 疎密の状態が伝わる。固体・液体・気体の全てに伝わる。S波よりも速度が速いため、観測地に先に到着。(図:1の一番上) *'''S波''' - ねじれが伝わる。固体中しか伝わらない。(図:1の上から2番目) 波の伝わる速さは物質の状態や種類によって変化する。物質の種類や状態が変わると地震波の速さが変わり、屈折や反射が起きる。ゆえに、地震波の伝わり方を解析することによって、地球内部の構造や状態を推定できる。 図1の下二つは表面波の伝わり方を示している。 {{-}} ===走時曲線=== [[File:Travel-time-curve jp.svg|thumb|400px|left|走時曲線 と モホ面 との関係。]]震源から観測地点まで伝わるまでに要する時間を'''走時'''(そうじ)と呼び、震源から観測地点までの距離と走時の関係とを表したグラフのことを'''[[走時曲線]]'''(そうじきょくせん)と呼ぶ。縦軸に走時をとり、横軸に各観測点の震央距離をとった時に描かれる曲線である。地震波は通常、一定の速度で伝わるため、走時曲線はほぼ直線になるはずである。しかし、[[:w:クロアチア|クロアチア]]の地震学者である[[:w:アンドリア・モホロビチッチ|アンドリア・モホロビチッチ]]は、走時曲線は直線にはならずにどこかで折れ曲がるという法則を発見した。モホロビチッチは、1909年にクパ渓谷で発生した地震の走時曲線から、いくつかの地震波は他の波より速く伝わっていることに気づき、この事実をP波の速度が急に変わる不連続面によって解説し、[[:w:モホロビチッチ不連続面|モホロビチッチ不連続面]]と呼ばれるようになった。地下30kmから60kmの間にモホロビチッチ不連続面があるため、浅発地震の場合、震央距離150~300km程度の陸地で折れ曲がる。モホロビチッチ不連続面より上を'''[[w:地殻|地殻]]'''といい、下を'''[[w:マントル|マントル]]'''という。 ===地球の内部はどうなっているか=== [[ファイル:Earthquake wave shadow zone.svg|thumb|300px|地震のシャドーゾーン(アメリカ地質調査所USGSの作成)]] 走時曲線を分析してみると、震央距離を地球中心からの角度で表した場合、103°から 先の領域にはS波が伝わらない。この領域を'''S波のシャドーゾーン'''と言う。また震央距離103°から143°にはP波が直接伝わらない。これを'''P波のシャドーゾーン'''という。深さ2900kmよりも深部は液体となっているためで、これよりも深部を'''[[w:核 (天体)|核]]'''という。核は深さ5100kmまでが液体の外核,それよりも深部を内核という。内核は固体である。  マグマオーシャンから分離した鉄が地球中心部に核を形成したが,時代を経るにつれて冷え,鉄が固体となって中心部に沈み,内核を形成した。 ===プレートとその動き=== 高温のマントル物質は中央海嶺でわきだし、冷えてプレートとなり、海溝に向かって移動する。 *プレートの境界の種類 :*拡大する境界 - 中央海嶺は、プレートがつくられ拡大する場所である。大西洋中央海嶺は、新しくできたプレートが東西に向かって移動して、大西洋を広げている。アイスランドにはギャオが広がっているが、これは海嶺が地表部分に露出している珍しい例である。 :*収束する境界 - プレートが収束する境界に沿ってしばしば海溝・トラフが出来ている。そこではプレートが沈み込み、島弧である日本列島やアンデス山脈のような大山脈が出来る。このような地殻変動の活発な場所は'''島弧-海溝系'''と呼ばれている。 [[Image:Transform fault-1.svg|thumb|left|300px|赤:トランスフォーム断層 茶:断裂帯]] :*すれ違う境界 - プレートがすれ違うような所では、横ずれ断層('''[[w:トランスフォーム断層|トランスフォーム断層]]''')が出来る。アメリカのサンアンドレアス断層が有名である。 == ※ 雑題 == (火山などで見られる)マグマの粘性(ねんせい)の原因の物質は二酸化ケイ素 SiO<sub>2</sub> である。(粘性(ねんせい)とは、その物質の 粘りぐあい(ねばりぐあい) のこと。) なので、マグマの成分の割合で、ケイ素の割合が高いほど、そのマグマは粘性が高い。 ==参考文献== *文部省検定済教科書「高等学校地学I」松田時彦、山崎貞治:編 啓林館 *マーク式基礎問題集27 地学I 安藤雅彦:著 河合出版 *新ひとりで学べる地学I 清水書院 *実況中継地学Ⅰ 安藤雅彦:著 語学春秋社 [[Category:高等学校教育|地ちかく1]] [[Category:地球科学|高1]]
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2020-12-24T17:47:01Z
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天文学
メインページ > 自然科学 > 天文学 この記事ではWikibooks内にある天文学の記事を列挙している。
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メインページ > 自然科学 > 天文学 この記事ではWikibooks内にある天文学の記事を列挙している。
[[メインページ]] > [[自然科学]] > 天文学 {| style="float:right" |- |{{Wikipedia|天文学|天文学}} |- |{{Wikiquote|太陽系|太陽系}} |- |{{Wiktionary|Category:天文学|天文学}} |- |{{Wikinews|宇宙|Category:宇宙|カテゴリ}} |- |{{Commons|Category:Astronomy}} |- |{{蔵書一覧}} |- |{{進捗状況}} |} この記事ではWikibooks内にある天文学の記事を列挙している。 == 目次 == === [[太陽系]] === * [[太陽]] * 太陽系の惑星と衛星 ** [[水星]] ** [[金星]] ** [[地球]] *** [[月]] - 月の裏 - 月の地形 ** [[火星]] - 火星の衛星 ** [[木星]] *** [[ガリレオ衛星]] ** [[土星]] *** [[タイタン]] ** [[天王星]] ** [[海王星]] * [[準惑星]] * [[太陽系小天体]] - 惑星間塵 ** [[小惑星]] ** [[彗星]] * [[隕石]] * [[流星]] - 火球 === 恒星と恒星間空間 === * [[恒星]] ** [[恒星の分類]] - スペクトル分類 - 連星 ** [[変光星]] ** [[恒星の一生]] - 誕生 - 終末 * [[星団]] * [[星間物質]] - 星雲 - 恒星間天体 * [[太陽系外惑星]] - ハビタブルゾーン === 銀河と大宇宙 === * [[銀河と分類]] * [[天体の距離の測定]] - 赤方偏移 - 宇宙の距離はしご * [[宇宙の大規模構造]] - フィラメント - ボイド * [[宇宙の膨張とビッグバン]] - ビッグバン - 宇宙背景放射 === 天文学史 === * [[天動説と地動説]] * [[望遠鏡による観測]] * [[天文学で否定された仮説]] - 仮説上の天体 - 火星の運河 === 天体の観測 === * [[食と掩蔽]] * [[日周運動と年周運動]] * [[星座]] * [[望遠鏡の分類]] === 宇宙からの観測 === * [[宇宙望遠鏡]] * [[宇宙探査機]] === その他 === * [[天文学で使われる単位]] * [[天体カタログ]] * [[天体の命名法]] * [[天文学に携わる機関]] ** [[天文台・天文学関連施設]] * [[地球外生命]] {{DEFAULTSORT:てんもんかく}} {{NDC|440}} [[category:自然科学|てんもんかく]] [[Category:天文学|*]]
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太陽系
Main Page > 自然科学 > 天文学 > 太陽系 今は、太陽系には1つの恒星と8つの惑星、いくつかの準惑星、多数の衛星、小惑星、彗星がある。 太陽と惑星は46億年前に形成されたとされている。惑星・彗星についての詳細な情報は、それぞれの項目を参照。 太陽が唯一の恒星で、中心部で核融合反応を起こして熱と光を絶えず放出している。 現在は寿命の中間にあり、あと50億年すれば中心部の水素を使い果たし赤色巨星になると考えられている。 詳しくは太陽の項目を参照。 惑星は太陽の周りを公転し、太陽の光を反射して光っており、近くにそれ自身と同じくらい大きな天体がないものである。 水星から土星までの惑星は文明ができたころには知られていたとされている。 惑星は大きく分けて地球型惑星(岩石惑星:水星、金星、地球、火星)、木星型惑星(ガス惑星:木星、土星)、天王星型惑星(氷惑星:天王星、海王星)の3つに分類できる。天王星型惑星は木星型惑星に含めることもある。 以下に太陽から近い順に並べ、主な特徴を示した。 準惑星は、太陽の周りを公転している惑星以外の天体の中で、特に大きなものである。 2019年現在、準惑星と呼ばれている天体は5個存在する。このうち、ケレス以外は冥王星型天体とも呼ばれる。 太陽系小天体は、太陽の周りを公転している惑星・準惑星以外の天体である。これには小惑星や彗星などが含まれる。 通常、小惑星というのは火星と木星の間を公転するメインベルトにある天体のことを指す。 そのほか、木星の影響をかなり受けるトロヤ群小惑星(公転周期約12年)、地球にかなり近づくことがある地球近傍小惑星がある。 パラス(直径約520km)、ベスタ(直径約460km)など巨大な物も複数存在するが、殆どの小惑星は直径が100km以下の小さなものである。多くの小惑星の主に岩石から成る。 20世紀末以降、太陽系外縁天体と呼ばれる巨大な氷の天体が海王星以遠で続々と見つかっている。 発見され始めた頃はやや小さい物が多かったが、2000年代からクワオアーやセドナなどの直径1,000kmを超えるものが続々と見つかり、2005年には冥王星より大きなエリスまで発見されている。 太陽系外縁天体のうちで特に大きなものが冥王星型天体と呼ばれ、準惑星でもある。冥王星型天体以外の太陽系外縁天体は太陽系小天体である。 太陽系外縁天体がたくさんある場所をカイパーベルトや散乱円盤という。 彗星は主成分が水などの氷と少量の岩石で、太陽に近づくとガスや水などの氷が気化してコマをつくり、尾を引く。 彗星はエンケ彗星などの数年の周期の彗星、ハレー彗星のような数十年、数百年の周期を持ち、かなりつぶれた楕円軌道を描くものなど、中には二度と戻ってこない彗星など、様々な物がある。彗星の起源はカイパーベルトやオールトの雲とされている。 衛星は、惑星や準惑星、小惑星の周りを公転する天体である。 木星型惑星や天王星型惑星は多くの衛星を従えているが、地球型惑星や準惑星、小惑星は1~3個しかない、または全くない。 また、木星型惑星や天王星型惑星には環を持っている。これは小さな衛星が壊れたり、衛星に隕石がぶつかった時にできたかけらが集まったものである。 地球で唯一、天然の衛星である月は、直径が3,475kmもあり、太陽系の中でも大きな衛星である。また、惑星に比べて直径が4分の1もあり、非常に大きい。 火星の衛星はいずれも直径十数 - 二十数kmと小さく、捕獲された小惑星と考えられている。 木星には4つの大きなガリレオ衛星のほか、小さな衛星が多数ある。 2019年10月時点で木星は太陽系で2番目に多くの衛星(79個)が確認されている。 ここではガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星のみを挙げる。 木星の小さな衛星一覧 土星は、2019年10月現在、82個の衛星が見つかっている。 最大の衛星タイタンは、太陽系で唯一、濃い大気を持ってる。 ここでは主な土星の衛星を土星から近い順に並べている。 土星の小さな衛星一覧 天王星は2019年10月現在、27個の衛星が見つかっている。 天王星の小さな衛星一覧 海王星は2019年10月現在、14個の衛星が見つかっている。 海王星の小さな衛星一覧 冥王星の衛星 ハウメアの衛星 エリスの衛星 衛星を持つ準惑星と小惑星一覧
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Main Page > 自然科学 > 天文学 > 太陽系 今は、太陽系には1つの恒星と8つの惑星、いくつかの準惑星、多数の衛星、小惑星、彗星がある。 太陽と惑星は46億年前に形成されたとされている。惑星・彗星についての詳細な情報は、それぞれの項目を参照。
{{Pathnav|Main Page|自然科学|天文学}} 今は、太陽系には1つの恒星と8つの惑星、いくつかの準惑星、多数の衛星、小惑星、彗星がある。 太陽と惑星は46億年前に形成されたとされている。惑星・彗星についての詳細な情報は、それぞれの項目を参照。 == 太陽系の恒星 == 太陽が唯一の'''恒星'''で、中心部で'''核融合反応'''を起こして熱と光を絶えず放出している。 現在は寿命の中間にあり、あと50億年すれば中心部の水素を使い果たし赤色巨星になると考えられている。 詳しくは[[太陽]]の項目を参照。 == 太陽系の惑星 == '''惑星'''は太陽の周りを公転し、太陽の光を反射して光っており、近くにそれ自身と同じくらい大きな天体がないものである。 水星から土星までの惑星は文明ができたころには知られていたとされている。 惑星は大きく分けて'''地球型惑星'''(岩石惑星:水星、金星、地球、火星)、'''木星型惑星'''(ガス惑星:木星、土星)、'''天王星型惑星'''(氷惑星:天王星、海王星)の3つに分類できる。天王星型惑星は木星型惑星に含めることもある。 以下に太陽から近い順に並べ、主な特徴を示した。 * [[水星]](昼と夜の温度差が極めて大きい) * [[金星]](大きさは地球と似ているが、表面は高温高圧) * [[地球]](太陽系内で唯一生命活動が確認されている) * [[火星]](表面は赤く、巨大な火山・峡谷が存在する) * [[木星]](太陽系最大の惑星で、水素を中心としたガスで構成されている) * [[土星]](木星と同じガス惑星で、小望遠鏡でも見える環がある) * [[天王星]](ほぼ横倒しの状態で自転している) * [[海王星]](表面では強い嵐が吹いているものと見られている) == 準惑星 == '''準惑星'''は、太陽の周りを公転している惑星以外の天体の中で、特に大きなものである。 2019年現在、準惑星と呼ばれている天体は5個存在する。このうち、ケレス以外は'''冥王星型天体'''とも呼ばれる。 * [[ケレス]](直径約950km、メインベルトで最も大きな天体) * [[冥王星]](2006年8月までは惑星と呼ばれていた) * [[ハウメア]](2008年9月に準惑星と認められた) * [[マケマケ]](2008年7月に準惑星と認められた) * [[エリス]](冥王星より大きい) == 太陽系小天体 == '''太陽系小天体'''は、太陽の周りを公転している惑星・準惑星以外の天体である。これには小惑星や彗星などが含まれる。 通常、'''小惑星'''というのは火星と木星の間を公転する'''メインベルト'''にある天体のことを指す。 そのほか、木星の影響をかなり受ける'''トロヤ群小惑星'''(公転周期約12年)、地球にかなり近づくことがある'''地球近傍小惑星'''がある。 パラス(直径約520km)、ベスタ(直径約460km)など巨大な物も複数存在するが、殆どの小惑星は直径が100km以下の小さなものである。多くの小惑星の主に岩石から成る。 20世紀末以降、'''太陽系外縁天体'''と呼ばれる巨大な氷の天体が海王星以遠で続々と見つかっている。 発見され始めた頃はやや小さい物が多かったが、2000年代から'''クワオアー'''や'''セドナ'''などの直径1,000kmを超えるものが続々と見つかり、2005年には冥王星より大きなエリスまで発見されている。 太陽系外縁天体のうちで特に大きなものが冥王星型天体と呼ばれ、準惑星でもある。冥王星型天体以外の太陽系外縁天体は太陽系小天体である。 太陽系外縁天体がたくさんある場所を'''カイパーベルト'''や'''散乱円盤'''という。 '''彗星'''は主成分が水などの氷と少量の岩石で、太陽に近づくとガスや水などの氷が気化してコマをつくり、尾を引く。 彗星は'''エンケ彗星'''などの数年の周期の彗星、'''ハレー彗星'''のような数十年、数百年の周期を持ち、かなりつぶれた楕円軌道を描くものなど、中には二度と戻ってこない彗星など、様々な物がある。彗星の起源は'''カイパーベルト'''や'''オールトの雲'''とされている。 * メインベルト小惑星 ** パラス ** ベスタ ** ジュノー * 地球近傍小惑星 ** エロス(アメリカの探査機「NEARシューメーカー」が調査した) ** イトカワ(日本の探査機「はやぶさ」が調査した) ** クルイシン(地球の衛星ではないが、地球とよく似た軌道を周っている) * [[カイパーベルト]]天体 ** クワオワー(推定直径1,200km) * 散乱円盤天体 ** セドナ(非常に太陽から遠く、表面がなぜか赤い) * オールトの雲 * [[彗星]] ** ハレー彗星 == 衛星 == '''衛星'''は、惑星や準惑星、小惑星の周りを公転する天体である。 木星型惑星や天王星型惑星は多くの衛星を従えているが、地球型惑星や準惑星、小惑星は1~3個しかない、または全くない。 また、木星型惑星や天王星型惑星には'''環'''を持っている。これは小さな衛星が壊れたり、衛星に隕石がぶつかった時にできたかけらが集まったものである。 === 地球の衛星 === 地球で唯一、天然の衛星である月は、直径が3,475kmもあり、太陽系の中でも大きな衛星である。また、惑星に比べて直径が4分の1もあり、非常に大きい。 * [[月]] === 火星の衛星 === 火星の衛星はいずれも直径十数 - 二十数kmと小さく、捕獲された小惑星と考えられている。 * ダイモス * フォボス === 木星の衛星 === 木星には4つの大きな'''ガリレオ衛星'''のほか、小さな衛星が多数ある。 2019年10月時点で木星は太陽系で2番目に多くの衛星(79個)が確認されている。 ここではガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星のみを挙げる。 * [[イオ]](火山がある) * [[エウロパ]] * [[ガニメデ]](太陽系で最大の衛星、水星よりも大きい) * [[カリスト]] [[木星の小さな衛星一覧]] === 土星の衛星 === 土星は、2019年10月現在、82個の衛星が見つかっている。 最大の衛星タイタンは、太陽系で唯一、濃い大気を持ってる。 ここでは主な土星の衛星を土星から近い順に並べている。 * ミマス * エンケラドゥス * テティス * ディオネ * レア * [[タイタン]] * ヒペリオン * イアペトゥス * フェーベ [[土星の小さな衛星一覧]] === 天王星の衛星 === 天王星は2019年10月現在、27個の衛星が見つかっている。 * ミランダ * アリエル * ウンブリエル * チタニア(タイタニアとも読む) * オベロン [[天王星の小さな衛星一覧]] === 海王星の衛星 === 海王星は2019年10月現在、14個の衛星が見つかっている。 * [[トリトン]] * ネレイド [[海王星の小さな衛星一覧]] === 準惑星・小惑星の衛星 === 冥王星の衛星 * [[カロン]] * ニクス * ヒドラ ハウメアの衛星 * ヒイアカ * ナマカ エリスの衛星 * ディスノミア [[衛星を持つ準惑星と小惑星一覧]] [[Category:太陽系|*]]
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刑法
法学>刑事法>刑法 刑法(日本)の教科書。 日本以外の国の刑法については、別の項目において解説する。
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[[法学]]>[[刑事法]]>[[刑法]] 刑法(日本)の教科書。 日本以外の国の刑法については、別の項目において解説する。 == 標準教科書 == *[[刑法概論]] *[[刑法総論]] *[[刑法各論]] == コンメンタール == *[[コンメンタール刑法]] == 判例集 == *明治・大正時代の判例 *昭和時代の判例 *平成時代の判例 == 参考文献 == *[[w:刑法|刑法(Wikipedia)]] <!-- == 刑法の論点 == 犯罪の本質と処罰の根拠を巡り、依って立つ人間観・社会観やイデオロギー等の違いを背景に激しい対立があり、数多くの論争を生み出している。 *行為論論争―刑法における行為とは何か ヴェルツェルの影響に始まる。目的的行為論がやや後退し収束。 *近代派刑法学と古典派刑法学―構成要件理論の是非 ロンブローゾの影響に始まる主観主義刑法と客観的主義刑法の対立。団藤重光以降古典派が通説化し収束。 *形式的犯罪論か実質的犯罪論か―構成要件理論の運用 藤木英雄以降激しい対立があるが、学会では形式的犯罪論が通説。 *結果無価値論と行為無価値論―違法性の本質 平野龍一以降現在も激しい対立がある。判例は行為無価値論。 *過失論論争―過失の本質 特に藤木以降対立がある。 *責任論―責任の本質 団藤が人格責任論のテーゼを立てたが、批判もある。 *共犯論―共犯処罰の根拠 西田典之を始めとして錯綜した議論がある。 *被害者保護論 従来の被疑者の人権保護一辺倒に対し、大谷実により被害者保護論が提示された。 *死刑廃止論 団藤により死刑廃止論が強力に打ち出された。 *[[被害者の承諾・同意]] *[[名誉毀損と表現の自由]] *[[行刑にかかる争点]] --> [[category:法学|けいほう]] [[category:刑法|*けいほう]]
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刑法史
法学>刑事法>刑法>刑法概論>刑法史 ここでは、刑法史一般について解説する。
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日本の近代刑法史
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[[法学]]>[[刑事法]]>[[刑法]]>[[刑法概論]]>[[刑法史]]>[[日本の近代刑法史]] 日本における近代刑法史について解説する。 == 近代刑法史前史 刑法典の制定まで == *律令制度 == 牧野英一前の刑法学 == == 日本新派刑法学 == === 牧野英一 === == 日本旧派刑法学 == === 小野清一郎 === == 戦後の刑法及び刑法学の潮流 == *客観主義と主観主義 *行為無価値論と結果無価値論 {{stub}} [[Category:刑法|にほんのきんたいけいほうし]]
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刑罰論
法学>刑事法>刑法>刑法概論>関係諸法等 (刑事法)>行刑法>刑罰論・刑罰の種類 作成中、w:死刑を参照。 作成中、w:懲役を参照。 作成中、w:禁錮を参照。 作成中、w:拘留を参照。 作成中、w:罰金を参照。 作成中、w:科料を参照。 作成中、w:没収を参照。
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法学>刑事法>刑法>刑法概論>関係諸法等 (刑事法)>行刑法>刑罰論・刑罰の種類
[[法学]]>[[刑事法]]>[[刑法]]>[[刑法概論]]>[[関係諸法等 (刑事法)]]>[[行刑法]]>[[刑罰論・刑罰の種類]] == 刑罰論総論 == *[[w:刑罰|刑罰]]とは、犯罪に対する法律上の効果として、行為者に課せられる[[w:法益|法益]]の剥奪を内容とした行政上の処分である。行政上の処分と言うことで、私的制裁・[[w:私刑|私刑]]と区分される。 === 刑罰の機能 === *刑法の本質のひとつは、個人の報復権の国家への委譲であり、その意味では応報的であることが求められる。それと同時に、一般人への警告機能として[[一般予防機能]]、刑罰の執行(行刑)を通じて犯罪者の再犯を抑止する[[特別予防機能]]が期待される。なお、行刑を通じて犯罪者を一般社会から隔離する機能([[隔離機能]])も認められるが、これは副次的なものであり、刑罰の本質的目的としがたい。 === 刑罰の分類 === *刑罰は講学以下のものに分類される。なお、現行刑法に定めのないものについては、[[w:刑罰の一覧|刑罰の一覧]]に詳しい。 *#'''生命刑''' : 行為者の生命を奪うもの。方法としては[[w:死刑|死刑]]のみ。 *#'''身体刑''' : 行為者の身体に対する苦痛、身体の完全性を欠くことによるもの。歴史的には、死刑とともに刑罰の主流をなしており、鞭打ち等身体に苦痛を加えるもの(笞刑、杖刑)、身体の一部を切断するもの([[w:宮刑|宮刑]]、断手)、入れ墨等様々なバリエーションがあり、十分な威嚇効果を有していたが、近代において、その残虐性が非難されほとんどの国家で刑罰として廃止された。しかしながら、現在においても、一部のイスラム国家に残る。また、米国等先進諸国において、性犯罪者に対し、判決において断種等が言い渡されることがあるが、これは刑罰論とは別の文脈で議論すべきものである([[w:刑事政策|刑事政策]]の範疇ではある)。 *#'''自由刑''' : 行為者を拘禁し、自由を剥奪するもの(追放刑を含む場合もある)。日本の刑法においては、[[w:懲役|懲役]]、[[w:禁錮|禁錮]]及び[[w:拘留|拘留]]が規定されている。その他、諸外国において、週末拘禁や自宅禁錮等の制度がある。 *#'''追放刑''' : 行為者に一定区域への移動を禁じ、移動・居住の自由を剥奪するもの。歴史的には職業の拠点を失うこととなり、厳刑のひとつであったが、近代にいたりその効果が低下した。諸外国においては、国外追放を刑罰として有する国もある。なお、日本における、日本に生活の拠点を有する外国籍者に対する国外退去処分は、追放刑同様の効果をもたらすが、刑罰とされていないため刑事手続きによらない。従って、刑事手続き上の保証も与えられておらず問題視する向きもある。 *#'''名誉刑''' : 行為者の名誉・身分を剥奪するもの。爵位剥奪、江戸時代における非人手下等がその例である。また、江戸時代の「晒し」等、市中において犯罪者として衆目に晒される刑も、名誉刑のひとつといえる。歴史的に、名誉=職業であったことも多く、名誉剥奪が経済的打撃を与えることもあった。しかしながら、現在においては、多くの近代国家において封建的身分制度は存在しておらず、名誉は主観的な問題であり、一般的な刑罰効果を評価することは難しい。この観点からは、マスコミの犯罪報道は実質的な名誉刑に相当しているとも言えるが、やはり刑事手続きの外にあり、刑事政策上問題がないとは言えない。 *#'''財産刑''' : 行為者の財産を剥奪するもの。日本の刑法においては、主刑として[[w:罰金|罰金]]及び[[w:科料|科料]]が、付加刑として[[w:没収|没収]]が規定されている。 :現在の日本の刑法においては、その制定時から身体刑、追放刑及び名誉刑は採用されていない。これは、身体刑の不採用は近代市民主義の帰結であり、追放刑・名誉刑は刑法制定当時の日本においてはすでに、刑罰としての実効性を失っていたためと思われる。 === 主刑と付加刑 === == 残虐な刑罰の禁止 == * == 死刑 == 作成中、[[w:死刑]]を参照。 == 懲役(2022年改正により「拘禁刑」) == 作成中、[[w:懲役]]を参照。 == 禁錮(2022年改正により廃止) == 作成中、[[w:禁錮]]を参照。 == 拘留 == 作成中、[[w:拘留]]を参照。 == 罰金 == 作成中、[[w:罰金]]を参照。 == 科料 == 作成中、[[w:科料]]を参照。 == 没収 == 作成中、[[w:没収]]を参照。 {{stub|law}} [[Category:刑法|けいはつろん・けいはつのしゆるい]]
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2022-10-03T06:09:03Z
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地球
地球とは、太陽系第三惑星であり、太陽系における地球型惑星の中では最大の惑星である。 また、2023年9月現在において唯一生命活動が観測されている惑星であり、人類が居住可能な唯一の天体である。 地球の大気は複数の元素から構成されている。下記が主要元素の体積比である。 酸素が21%も含まれているのは、他の太陽系惑星には見られない顕著な特色である。 また、上記のほかに極少量含まれている元素として、ネオン、ヘリウム、クリプトン、キセノンやメタン(合計0.01%未満)、水蒸気(0.1 - 2%、観測地点の気候で変動)が含まれている。 これらの大気は、海面では1気圧(1,013hPa)と定められており、低高度では10m高い位置に移動するとおよそ1hPa減るとされているが、実際には高度によって空気の密度は減衰するため、標高に応じて減衰具合に変化がある。 以下が目安となる。 また、大気圏は下記の大よそ5つの区分に分類できる。 『宇宙との境界』は事実上存在しないものの、『無重力』且つ『真空状態』に近い空間を宇宙と定義するならば高度100kmあたりが宇宙との境界と考えることができるだろう。 人類は水中では生きることができないため、陸地にて生活する必要がある。しかしながら、その陸地はその海の面積に比較すると半分以下で、総表面積のおおよそ29%。残りの71%は海水面で構成されている。地表では多種の天候変化が発生し、季節と合わせて多様な変化を生み出す。 惑星内部は大まかに3つに分類される 地球は一つだけ衛星を所有している。それが月である。 太陽系の衛星の中でも5番目に大きな衛星であり、その明るさは地球から見ると太陽に次ぐ。また、人類が初めて(唯一)到達した地球外天体である。また、星系の中心となる恒星を太陽と呼ぶように、ある惑星にから見た衛星を月と表現することもある。 また、特異な点として、自転周期と公転周期が完全に同期しており、地球へは常に同じ一面を向け続けている。そのため、基本的には月の模様が変わることはない。ただし、離心率が0ではないため、(長いスケールで見ると)月の表面がある程度揺れるように見える。 詳しくは月の項目を参照の事。
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地球とは、太陽系第三惑星であり、太陽系における地球型惑星の中では最大の惑星である。 また、2023年9月現在において唯一生命活動が観測されている惑星であり、人類が居住可能な唯一の天体である。 赤道直径…12,756km 軌道半径…1億4960万km 自転周期…23時間56分 公転周期…365.25日 衛星…月
{{Wikipedia|地球|地球}} {{Wiktionary}} {{Wikiquote}} {{Wikiversity}} '''地球'''とは、太陽系第三惑星であり、太陽系における地球型惑星の中では最大の惑星である。<br /> また、<big>{{CURRENTYEAR}}年{{CURRENTMONTHNAME}}現在において唯一生命活動が観測されている惑星</big>であり、人類が居住可能な唯一の天体である。 * 赤道直径…12,756km * 軌道半径…1億4960万km * 自転周期…23時間56分 * 公転周期…365.25日 * 衛星…[[月]] == 地表と内部 == === 大気圏 === 地球の大気は複数の元素から構成されている。下記が主要元素の体積比である。 * 窒素 - 78% * 酸素 - 21% * アルゴン - 1% * 二酸化炭素 - 0.04%未満 酸素が21%も含まれているのは、''他の太陽系惑星には見られない顕著な特色''である。 また、上記のほかに極少量含まれている元素として、ネオン、ヘリウム、クリプトン、キセノンやメタン<small>(合計0.01%未満)</small>、水蒸気<small>(0.1 - 2%、観測地点の気候で変動)</small>が含まれている。 これらの大気は、海面では1気圧(1,013hPa)と定められており、低高度では10m高い位置に移動するとおよそ1hPa減るとされているが、実際には高度によって空気の密度は減衰するため、標高に応じて減衰具合に変化がある。 以下が目安となる。 * 標高3,500m付近 - 0.7hPa/10m * 標高5,500m付近 - 0.5hPa/10m * 標高9,000m付近 - 0.3hPa/10m また、大気圏は下記の大よそ5つの区分に分類できる。 # '''対流圏'''(高度20kmほどまで)<BR /> -人類の居住圏。蒸発した水が雲を生成する限界圏域。 # '''成層圏'''(高度20km - 50kmほどまで)<BR /> - オゾン層が存在する圏域。 # '''中間圏'''(高度50km - 80kmほどまで)<BR /> - 気圧変化の少ない安定圏域。 # '''熱圏'''(高度80km - 800kmほどまで)<BR /> - 自由電子が多く、オーロラなどが発生する圏域。中間圏から含め電離層を構成する。 # '''外気圏'''(高度800km - 10,000kmほどまで)<BR /> -水素やヘリウム、プラズマで構成された圏域。気体分子や原子が宇宙空間へ放出される。 『宇宙との境界』は事実上存在しないものの、『無重力』且つ『真空状態』に近い空間を宇宙と定義するならば高度100kmあたりが宇宙との境界と考えることができるだろう。 === 地表 === 人類は水中では生きることができないため、陸地にて生活する必要がある。しかしながら、その陸地はその海の面積に比較すると半分以下で、総表面積のおおよそ29%。残りの71%は海水面で構成されている。地表では多種の天候変化が発生し、季節と合わせて多様な変化を生み出す。 === 内部 === 惑星内部は大まかに3つに分類される * '''岩石圏'''<BR /> -所謂大陸プレート等と呼ばれる、人類が居住している地面のこと。大部分は二酸化珪素から構成される。 * '''マントル'''<BR /> -橄欖石と輝石からなる部位・地球体積の8割近くを占めているとされるが、その性質について詳しくはまだわかっていない。核に暖められたマントルは地表へ熱を伝えるため、常にラヴァランプのように熱された塊が地表近くへと登り、下降していると考えられている<ref>マントル溶融論を指す。一般的には固体であると考えられているが、それでは地震学的に矛盾が生ずる為便宜上『固体だが粘弾性がある』と解釈される</ref>。 * '''核'''<BR /> -主に鉄とニッケルから構成されていると考えられている。液体の外核と固体の内核から構成されていると考えられており、外核が流動することにより地磁気が発生すると考えられている。マントル同様、あまり詳しいことは分かっていない。 == 月 == [[File:NASA-Apollo8-Dec24-Earthrise.jpg|frameless|right]] 地球は一つだけ衛星を所有している。それが'''月'''である。 太陽系の衛星の中でも5番目に大きな衛星であり、その明るさは地球から見ると太陽に次ぐ。また、人類が初めて(唯一)到達した地球外天体である。また、星系の中心となる恒星を太陽と呼ぶように、ある惑星にから見た衛星を月と表現することもある。 また、特異な点として、自転周期と公転周期が完全に同期しており、地球へは常に同じ一面を向け続けている。そのため、基本的には月の模様が変わることはない。ただし、離心率が0ではないため、(長いスケールで見ると)月の表面がある程度揺れるように見える。 詳しくは[[月]]の項目を参照の事。 == 脚注 == {{Reflist}} {{stub}} [[カテゴリ:地球|*]]
2005-08-16T02:14:47Z
2023-09-19T06:02:18Z
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Lisp
LISPはプログラミング言語の一つです。LISP という名前はリスト処理を意味する英語の「list processing」という語に由来します。 LISPには Common Lisp, Scheme, Emacs Lisp など、いくつかの処理系が存在しますが、ここでは便宜上 Common Lisp を扱うこととします。 Common Lisp (CL) は現役で使用されており、様々な用途に耐え、コンパイルされたANSI規格標準の高速な言語です。また、Lispの長きにわたる系列に連なる傑出した末裔ともいえるプログラミング言語でもあります。 CL での Hello World プログラムは以下のようになります。
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2022-07-07T07:50:29Z
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初等物理学公式集
以下に、日本の物理学教育において大学入学程度の水準までで用いられる、主な公式をジャンルごとに分けて記しておく。 m a = F {\displaystyle ma=F} 以下、理想気体の場合を想定する。 熱量と熱機関 コンデンサ コイル 交流回路
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以下に、日本の物理学教育において大学入学程度の水準までで用いられる、主な公式をジャンルごとに分けて記しておく。
以下に、日本の物理学教育において大学入学程度の水準までで用いられる、主な公式をジャンルごとに分けて記しておく。 == 古典力学 == === 速度・加速度 === * 速度 ** 距離 ''x'' (m) を経過時間 ''t'' (s) で等速直線運動する物体の速さ ''v'' (m/s) *:<math>v=\frac{x}{t}</math> ** 時刻 ''t'' (s) における変位 ''x'' (m) の物体の平均の速さ <math>\bar{v}</math> (m/s) *:<math>\bar{v}={\Delta x \over \Delta t}={{x_2 - x_1}\over{t_2 - t_1}}</math> ** 時刻 ''t'' (s) における変位 ''x'' (m) の物体の瞬間の速さ <math>v</math> (m/s) *:<math>v=\frac{dx}{dt}=\lim_{\Delta t \to 0}{\Delta x \over \Delta t}=\lim_{t_2 \to t_1}{{x_2 - x_1}\over{t_2 - t_1}}</math> * 加速度 ** 経過時間 <math>\Delta t</math> (s) の間の速度の変化 <math>\Delta v</math> (m/s) の物体の平均の加速度 <math>\bar{a}</math> (m/s<sup>2</sup>) *:<math>\bar{a}={\Delta v \over \Delta t}={{v_2 - v_1}\over{t_2 - t_1}}</math> ** 経過時間 <math>\Delta t</math> (s) の間の速度の変化 <math>\Delta v</math> (m/s) の物体の瞬間の加速度 <math>a</math> (m/s<sup>2</sup>) *:<math>a=\frac{dv}{dt}=\lim_{\Delta t \to 0}{\Delta v \over \Delta t}=\lim_{t_2 \to t_1}{{v_2 - v_1}\over{t_2 - t_1}}</math> * 等加速度直線運動 ** 一定の加速度 ''a'' (m/s<sup>2</sup>) で加速する初速度 ''v''<sub>0</sub> (m/s) の物体の時刻 ''t'' (s) における速度 ''v'' (m/s) と変位 ''x'' (m) <!-- 初期位置の追加が必要。 #*<math>x={1 \over 2}at^2+v_0t+x_0</math> --> *:<math>v=v_0+at</math> *:<math>x=v_0t+{1 \over 2}at^2</math> *:<math>v^2-v_0^2=2ax</math> === 運動方程式 === <math>ma=F</math> === 摩擦力 === * 静止摩擦係数 <math>\mu</math>、垂直抗力 ''N'' の物体にはたらく最大静止摩擦力 ''F''<sub>max</sub> :<math>F_\mathbf{max}=\mu N</math> * 動摩擦係数 <math>\mu'</math>、垂直抗力 ''N'' の物体にはたらく動摩擦力 <math>F'</math> :<math>F'=\mu'N</math> * 摩擦角 <math>\theta</math> のときの静止摩擦係数 <math>\mu</math> :<math>\mu=\tan\theta</math> === コリオリの力 === * 速度 <math>\vec{v}</math>、角速度 <math>\omega</math> で回転運動する質量 ''m'' の物体にはたらくコリオリの力 <math>\vec{F}</math> :<math>\vec{F} = 2m\vec{v}\omega</math> === ケプラーの法則 === * 惑星の公転周期 ''T''、長半径 ''a'' :<math>T^2=ka^3 \Leftrightarrow {T^2 \over a^3}=k</math> === 万有引力の法則 === * 質量 ''M'', ''m''、距離 ''r'' の物体間にはたらく万有引力 ''F'' :<math>F=G\frac{Mm}{r^2}</math>(''G'' は万有引力定数) * 重力場 :<math>\left\{\begin{matrix}g&=&G{m \over r^2} \\ F&=&mg\end{matrix}\right.</math> * 重力質量と慣性質量の等価性 :<math>\bold{}a=g</math> * 落下 :<math>\left\{\begin{matrix} x&=&v_{x0}t+x_0 \\ y&=&{1 \over 2}gt^2+v_{y0}t+y_0 \end{matrix}\right.</math> :<math>\bold{}v=gt+v_0</math> * 位置エネルギー :<math>\bold{}E_\phi=-GMm/r</math> === 等速円運動 === #*<math>\left\{\begin{matrix} x=r \cos \omega t \\ y=r \sin \omega t \end{matrix}\right.</math> #*<math>\bold{}v=r\omega</math> #*<math>\bold{}a=r\omega^2</math> #*<math>T={2\pi \over \omega}</math>(周期) #*<math>\bold{}F=-kx</math>(バネの力) #*<math>E={1 \over 2}kx^2</math>(バネのエネルギー) #*<math>\omega=\sqrt{k \over m}</math>(単振動の角速度)  #*<math>\omega \simeq \sqrt{g \over l}</math>(単振り子の角速度) * 角速度 <math>\omega</math> で回転運動する質量 ''m'' の物体が回転の中心から <math>\vec{r}</math> の位置にあるときの遠心力 <math>\vec{F}</math> :<math>\vec{F} = m\vec{r}\omega^2</math> === 力学的保存量 === #*<math>\bold{}p=mv=ft</math>([[力積]]) #*<math>\sum_i {m_iv_i \over dt}=0</math>(運動量保存) #*<math>E_v={1 \over 2}mv^2</math>(運動エネルギー) #*<math>\sum_i {E_{vi}+E_{\phi i} \over dt}=0</math>([[力学的エネルギー保存]]) #*<math>E=\vec{F}\cdot\vec{x}=\begin{vmatrix}F\end{vmatrix}\begin{vmatrix}x\end{vmatrix} \cos \theta</math>(仕事) #*<math>P={dE \over dt}</math>(仕事率、ワット) == 熱力学 == === 熱力学 === 以下、理想気体の場合を想定する。 * 気体の圧力 :<math>P={F \over S}</math> * 気体の仕事 :<math>\bold{}E=P \Delta V</math> * アボガドロ数 :<math>N_0=6.02214076 \times 10^{23}</math> * 気体の状態方程式 :<math>\bold{}PV=nRT</math> * 熱エネルギー :<math>U={3 \over 2}nRT</math> * 分圧と全圧の関係式 :<math>P=\sum_i P_i=\sum_i {n_iRT \over V}</math> 熱量と熱機関 * 比熱 :<math>{dQ \over dT} = mc</math> * 気体のモル比熱 :<math>{dQ \over ndT} = C</math> * 熱エネルギー保存 :<math>\bold{}\Delta Q = \Delta U + \Delta W</math> * 定圧モル比熱と定積モル比熱の差 :<math>\bold{}C_P-C_V=R</math> * 変換熱量とP-V図の面積 :<math>\Delta Q=\int\Delta P(V) dV</math> * 閉じた系の内部エネルギー変化 :<math>\Delta U=\delta Q - \delta W</math>(熱力学第一法則) == 波動力学 == * 横波: 振動方向と進行方向が直交 * 縦波: 振動方向と進行方向が同じ * 波形の公式 :<math>\bold{}y=A \sin (\omega t - kx)</math> * 振動数を ''f'' (Hz)、周期を ''T'' (s) とすると: :<math>f={1 \over T}</math> * 振動数 ''f'' (Hz)、波長 &lambda; (m) のときの波の速さ ''v'' (m/s) :<math>v=f\lambda={\lambda \over T}</math> * 干渉による強め合い :<math>|l_1 - l_2| = m\lambda</math> * 干渉による弱め合い :<math>|l_1 - l_2| = \left(m + {1 \over 2}\right)\lambda</math> * 入射角を ''i'' (rad)、入射波の速さと波長を ''v<sub>i</sub>'' (m/s)、''&lambda;<sub>i</sub>'' (m)、屈折角を ''r'' (rad)、屈折波の速さと波長を ''v<sub>r</sub>'' (m/s)、''&lambda;<sub>r</sub>'' (m) としたときの屈折率 ''n'' :<math>\frac{\sin i}{\sin r}=\frac{v_i}{v_r}=\frac{\lambda_i}{\lambda_r}=n</math>(スネルの法則、屈折の法則) * 波の速さ ''V'' (m/s)、観測者の速さ ''v<sub>o</sub>'' (m/s) (近づくとき正)、音源の速さ ''v<sub>s</sub>'' (m/s) (近づくとき正)、元の周波数 ''f'' (Hz) としたときに観測される周波数 ''f' '' (Hz) :<math>f'=\frac{V-v_o}{V-v_s}f</math> === 音の場合 === * うなり振動数 :<math>f=\begin{vmatrix}f_1-f_2\end{vmatrix}</math> * 弦、両閉、両開気柱の振動 :<math>\lambda_n={2l \over n}</math> * 片開気柱の振動 :<math>\lambda_n={4l \over 2n-1}</math> * 弦の振動周波数 :<math>f \propto \sqrt{F \over \rho}</math> === 光の場合 === <!-- 屈折率は波長によって変化する。横波のため偏光が存在する--> * 真空中の光速(定義値) :<math>c= 299\,792\,458\,\rm{m/s} \approx 3 \times 10^8\,\rm{m/s}</math> * 絶対屈折率 :<math>n={c \over v}</math> * 全反射の条件 :<math>\bold{}\sin \theta > n_{12}</math> * 強めあう回折条件(波長ズレなし) :<math>\bold{}d \sin \theta = m\lambda</math> * 弱めあう回折条件(波長ズレなし) #*<math>d \sin \theta = \left(m+{1 \over 2}\right)\lambda</math> == 電気回路 == * 電流の強さ ''I'' (A)、電圧 ''V'' (V)、抵抗 ''R'' (Ω) *:<math>I={V \over R} \Leftrightarrow V=RI \Leftrightarrow R={V \over I}</math>(オームの法則) <!-- *<math>\bold{}V=IR</math>(オームの法則) --> *<math>\left\{\begin{matrix}\sum_i I_i=0 \\ \sum_i V_i=0\end{matrix}\right.</math>(キルヒホッフの法則) * 電気抵抗 *<math>R=\rho{l \over S}</math>(形状と抵抗値) *<math>\bold{}R=\sum_i R_i</math>(直列接続の合成則) *<math>{1 \over R}=\sum_i {1 \over R_i}</math>(並列接続の合成則) *<math>R_1R_4=R_2R_3 \Leftrightarrow {R_1 \over R_3}V={R_2 \over R_4}V</math>(ホイートストンブリッジの平衡条件) *<math>P=I^2R=VI={V^2 \over R}</math>(消費電力) *<math>\bold{}E=Pt=VIt</math>(ジュールの法則) コンデンサ *<math>\bold{}Q=CV</math>(コンデンサの電気容量) *<math>W={1 \over 2}CV^2</math>(コンデンサのエネルギー) *<math>C=\epsilon{S \over d}=\epsilon_0\epsilon_r{S \over d}</math>(平板コンデンサの容量) *<math>{1 \over C}=\sum_i {1 \over C_i}</math>(直列接続の合成則) *<math>C=\sum_i C_i</math>(並列接続の合成則) *<math>\bold{}P=0</math>(コンデンサの消費電力) コイル *<math>\bold{}L=\sum_i L_i</math>(直列接続の合成則) *<math>\bold{}{1 \over L}=\sum_i {1 \over L_i}</math>(並列接続の合成則) *<math>\bold{}P=0</math>(コイルの消費電力) 交流回路 *<math>\bold{}V(t)=V_{max} \sin \omega t</math>(交流波形) *<math>V_e={1 \over \sqrt{2}} V_{max}</math>(実効電圧) *<math>I_e={1 \over \sqrt{2}} I_{max}</math>(実効電流) *<math>R_C={1 \over \omega C}</math>(容量リアクタンス) *<math>\bold{}R_L=\omega L</math>(誘導リアクタンス) *<math>Z=\sqrt{R^2+\left(\omega L -{1 \over \omega C}\right)^2}</math>(直列合成インピーダンス) *<math>\overline V = Z \overline I</math> *<math>V_2={n_2 \over n_1}V_1</math>(変圧トランス) *<math>I_2={n_1 \over n_2}I_1</math> *<math>\omega = {1 \over \sqrt{LC}}</math>(LC回路の共振条件) == 電磁気学 == === 静電気・電界 === <!-- #[[電荷]]と[[電流]] #*電荷には + と - がある --> * 電気量 ''q''<sub>1</sub> (C) と ''q''<sub>2</sub> (C) の点電荷間の距離を ''r'' (m)、誘電率を &epsilon; (F/m) とするときに働く静電気力 ''F'' (N) *:<math>F=\frac{1}{4\pi\varepsilon}\frac{q_1q_2}{r^2}</math>(クーロンの法則) <!-- *クーロンの法則 :<math>F=k_0{q_1q_2 \over r^2}={1 \over 4\pi\epsilon_0}{q_1q_2 \over r^2}</math> --> * 電場 :<math>\left\{\begin{matrix}E&=&k_0{q \over r^2} \\ F&=&qE\end{matrix}\right.</math> * 一様な電場で生じる電位 :<math>\bold{}V=Ed</math> * 電気的位置エネルギー :<math>\bold{}W_{\phi}=qV</math> * 電流と電荷の関係 :<math>\bold{}Q=It</math> === 磁界 === <!-- *磁極には N と S がある --> *<math>F=k'_0{m_1m_2 \over r^2}={1 \over 4\pi\mu_0}{m_1m_2 \over r^2}</math>(磁気のクーロンの法則) *<math>\left\{\begin{matrix}H&=&k_0{m \over r^2} \\ F&=&mH\end{matrix}\right.</math>(磁場) *<math>\vec{H}={\vec{I}\times\vec{r} \over 2\pi r}</math>(線電流の作る磁場) *<math>H={I \over 2r}</math>(円電流の作る磁場) *<math>\bold{}B=\mu H=\mu_0\mu_r H</math>(磁束密度) *<math>\bold{}F=qvB \sin \theta</math>(ローレンツ力) *<math>\bold{}F=lIB \sin \theta</math>(フレミングの法則) === 電磁誘導 === *<math>\bold{}\Phi=BS</math>(磁束) *<math>V=-n{d\Phi \over dt}</math>(ファラデーの法則) *<math>\bold{}V=lBv \sin \theta</math>(誘導起電力) == 量子力学 == * プランク定数 ''h''、位置の不確かさ <math>\Delta x</math>、運動量の不確かさ <math>\Delta p</math> :<math>\Delta x \Delta p \ge \frac{h}{4\pi}</math>(不確定性原理) *<math>\bold{}E_0=mc^2</math>(質量エネルギー) === 原子核物理学 === *<math>\bold{}E=\ h \nu-W_0</math>(光電効果) *<math>\bold{}E=\ h \nu</math>(光子のエネルギー) *<math>p={h \over \lambda}={h\nu \over c}</math>(光子の運動量) * <math>\lambda ={h \over p}={h \over mv }</math> (ド・ブロイ波長) *&alpha;崩壊: ヘリウム核(陽子2、中性子2)を放出 *&beta;<sup>&minus;</sup>崩壊: 中性子が陽子と電子に崩壊し電子を放出 *&gamma;崩壊: きわめてエネルギーの高い光子を放出 *核分裂: 原子核が二個以上の部分に分解しエネルギーを放出 *核融合: 二個軽い原子核が融合しエネルギーを放出 [[Category:物理学|しようとうふつりかくこうしきしゆう]]
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被害者の承諾・同意
法学>刑事法>刑法>刑法総論>違法性>被害者の承諾・同意 これらの法益については、公の利益を刑法により保護しようとするものであるから、個人の意思は意味を持ち得ない。 この場合も、原則として個人の意思は意味を持ち得ない。例えば、虚偽告訴罪において、被告訴人の承諾があっても犯罪の成立を妨げるものではない(というよりも、この場合侵害されたのは警察機能、裁判機能であり、例としては不適当か?)。但し、承諾が存在することにより処罰規定が変更される場合はある。現住者の承諾により、現住建造物放火罪は非現住建造物放火罪となりうるし、所有者による所有物に対する放火は別罪を構成している。また、一般論として公的秩序の保護よりも個人的法益保護の側面の強い場合には、違法性阻却事由としうる。 以上の考察から、被害者の承諾・同意が法益の放棄として意味をなし得るのは、個人的法益に関してのみであるという結論となるが、個人的法益といっても全く社会性を有していないというものではないため、個別の保護法益により適用の有無が分かれる。 被害者の同意があったとしても、自殺関与罪・同意殺人罪又は同意堕胎罪等が成立する。 構成要件自体に、「被害者の意に反して」と言う要件が含まれているものと解され、そもそも犯罪が成立していない。 以上により、被害者の承諾・同意が法益の要保護性の放棄の問題として論じられるのは、身体的法益の場合のみであると言うことがわかる。
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法学>刑事法>刑法>刑法総論>違法性>被害者の承諾・同意
[[法学]]>[[刑事法]]>[[刑法]]>[[刑法総論]]>[[違法性]]>'''被害者の承諾・同意''' :ローマ法の格言には"'''''Volenti non fit injuria.'''''(同意あれば危害なし)"というものがあり、法益の放棄は可罰性を失うというのが古くから受け入れられてきた法慣習である。しかし、罪刑法定主義により犯罪の類型化が進んだ現在においては、「被害者の同意」により、一見成立した犯罪を、法益性の喪失の観点から不成立とする局面は限定的となっている。 == 「被害者の承諾・同意」概論 == :刑法の謙抑性の観点から、法益を放棄したものについては実質的処罰根拠を欠くというものは正当な考え方である。しかしながら構成要件論の発達により、その内容の多くは、「本人の意に反して」等の形で構成要件自体に含有されているものと解される(これを「'''合意'''(''Einverständnis'')」と定義し、違法性阻却事由としての「'''同意'''(''Einwilligung'')」と区別する場合もある)。したがって、「被害者の承諾・同意」を違法性阻却事由として論ずる局面は後述するとおり、かなり限定的となっている。しかしながら、有効な「被害者の承諾・同意」を考察することは、違法性阻却事由のみならず構成要件を論ずるにおいても有効である。 :有効な「被害者の承諾・同意」の、主体側の要件としては、 ::(1)法益が個人に属するものであること(後述) ::(2)承諾能力があること ::(3)承諾適格があること(原則は本人による承諾であり、代理を認めない) ::(4)真意によるもの(錯誤がない)であること(但し、争いあり) :があげられ、その行使態様としては ::(1)目的が合法である、又は違法でないこと、及び ::(2)行為そのものが社会的に認容できるものであることが要求される。 :行使態様における成立要件の具備状況については、ともに十分であれば異論なく同意ありとされるが、片方が欠ける場合又はその水準が低い場合には、いずれに比重を置くかで、[[行為無価値]]派と[[結果無価値]]派で争いがある。 == 承諾・同意の有効な範囲 == === 国家的法益・社会的法益 === これらの法益については、公の利益を刑法により保護しようとするものであるから、個人の意思は意味を持ち得ない。 ==== 国家的・社会的法益と個人的法益が重複する場合 ==== この場合も、原則として個人の意思は意味を持ち得ない。例えば、[[虚偽告訴罪]]において、被告訴人の承諾があっても犯罪の成立を妨げるものではない(というよりも、この場合侵害されたのは警察機能、裁判機能であり、例としては不適当か?)。但し、承諾が存在することにより処罰規定が変更される場合はある。現住者の承諾により、[[現住建造物放火罪]]は[[非現住建造物放火罪]]となりうるし、所有者による所有物に対する放火は別罪を構成している。また、一般論として公的秩序の保護よりも個人的法益保護の側面の強い場合には、違法性阻却事由としうる。 === 個人的法益 === 以上の考察から、被害者の承諾・同意が法益の放棄として意味をなし得るのは、個人的法益に関してのみであるという結論となるが、個人的法益といっても全く社会性を有していないというものではないため、個別の保護法益により適用の有無が分かれる。 ==== 生命 ==== 被害者の同意があったとしても、[[自殺関与罪・同意殺人罪]]又は[[同意堕胎罪]]等が成立する。 ==== 自由・財産・名誉 ==== 構成要件自体に、「被害者の意に反して」と言う要件が含まれているものと解され、そもそも犯罪が成立していない。 ==== 身体 ==== 以上により、被害者の承諾・同意が法益の要保護性の放棄の問題として論じられるのは、身体的法益の場合のみであると言うことがわかる。 == 身体的法益等に関する被害者の承諾・同意 == === [[暴行罪]] === *承諾があれば構成要件該当性を欠く。 *:典型的な例は、ボクシング等格闘技系のスポーツである。さらに、試合上の怪我の類は、<u>その結果を[[認容]]していない</u>ことにより、[[故意]]を欠いており、また、スポーツ選手としての通常の注意義務を払っていれば、事故等により相手に怪我等が発生した場合であっても、[[過失]]もないと言うべきであろう。一方、喧嘩等の私闘、練習におけるしごきなどは、スポーツとは言い得ず、その結果傷害が発生すれば傷害罪の成立はもちろん、傷害に至らない場合でも暴行罪を成立させるのに支障はない。 *:なお、私闘の一種で日時・場所を指定した決闘については、「[[w:決闘罪ニ関スル件|決闘罪ニ関スル件]]」より、申入/応諾共に犯罪とされており、実行においては暴行罪よりも法定刑が重い。 === [[傷害罪]] === *違法性排除の限界 **(行為)公序良俗に反さない、社会的相当性に反さない **(結果)傷害が重大でない、生命に危険がない === [[強制わいせつ罪]]・[[強姦罪]] === *強制わいせつ罪及び強姦罪については、承諾・同意があれば、そもそも本罪は成立していないが、相手方が13歳未満であれば、態様に関わらず本罪が成立する。これは、承諾・同意の行為能力の欠如について法が擬制したものである。 === [[遺棄罪]] === *遺棄罪における保護法益は非遺棄者の生命であり、いわゆる「姥捨て」のように被害者が真摯にそれを望んだとしても、違法性を阻却することはできない。 == 医療行為 == == 安楽死 == == 承諾・同意の錯誤 == {{stub}} [[Category:刑法総論|ひかいしやのしようたく・とうい]]
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行刑にかかる争点
法学>刑事法>刑法>刑法概論>関係諸法等 (刑事法)>行刑法>行刑にかかる争点 ここでは行刑にかかる争点を解説する。 死刑廃止論の論拠としては、大きくわけて、「人道的見地」からのものと、刑事政策的見地からのものがある。 死刑は非人道的・非文化的で野蛮な刑罰との見解である。死刑廃止論の根幹の思想ではあるが、巷間の死刑存続論と表裏一体であり、感情論の域を出ないため、水掛け論になるきらいがある。 死刑が犯罪抑止の観点から、払われる代償に対して効果が少ないとの観点から判断して死刑廃止を論ずるものであり、おおむね以下の論拠による。 一方、死刑存続論も同様の見地から以下の反論を加えている。 人道的見地からの廃止論同様、最終的には水掛け論になるが、廃止に踏み切ろうとするには感情論を無視しておこなうことはできず、国民的なレベルで意識に変化がみられることが必須となる。 もっとも感情論に訴える言説。最近では、「現行法は被害者の心情を無視している」との論調も強くなりつつあり、その立場からも一見首肯できる言説にみえるが、逆に、遺族がない場合にはこの遺族感情を想定し得ない。すなわち、親しい家族がいない人が殺された場合、その人の死を悲しむ遺族はおらず、尊重すべき遺族感情は存在しないこととなり、そのような事案については、量刑において、遺族がいる場合との差を生じさせることとなり、このことは、同一の犯罪の態様について被害者の立場が異なるゆえに刑罰が異なることを正面から認めたこととなり、これは憲法第14条に定める法の下の平等にもとる嫌いがある(被害者の身分のみによって刑罰が異なることが憲法の趣旨に反しうるとする判断については尊属殺法定刑違憲事件を参照)。そのため、論理的には一般化できる根拠といいがたい。 現時点において世論調査をおこなうとおおむね存続論が多数派となる。しかしながら、これは死刑制度の得失について真摯な議論としていないことが原因のひとつと考えられる。なぜならば、一般の国民にとって、たとえば、被害者の遺族であるとか、加害者の知己といった、当事者の問題として死刑を評価する立場となり、死刑制度について主体的な立場で考察することはごくまれであり、また、学校教育などにおいても生命倫理をきちんと取り上げることは少ないという事情からは多数の支持のみをもって存続すべきであるとする根拠に足りない。ただし、今後は裁判員制度の導入により、「裁く者」としての当事者意識が浸透するにつれ、死刑の存否について熟慮する機会は増加することは予想される。 日本法において自由刑は大きく懲役と禁錮にわかれるが、その違いは労役が強制か否かの違いである。受刑の基準として、懲役は道徳的に非難すべき罪いわゆる破廉恥罪に対するであり、禁錮はそうでない罪(非破廉恥罪)に対するものというのが基本的理念である。 しかしながら、破廉恥罪かそうでないかの線引きは明確とはいえず、一般に「懲役又は禁錮」とともに定められており(内乱罪には懲役はない)、いずれを選択するかは裁判官に委ねられている。傾向として、過失犯の初犯は禁錮刑を言い渡されることが多いが、この場合であっても執行猶予がつくのが通例であり、ことさらに禁錮刑である必然性は不明である。 このように、非破廉恥罪といった概念が曖昧である(犯罪であれば、非道徳的であり破廉恥であるとするのが理解しやすい)ことと、労役を課すことがあたかも不名誉なことであるとの考え方は労働を軽視するものであり、これらをわける実益はなく、禁錮刑を廃止し懲役刑のみにしようというのが自由刑統一論である。 「統一論」の登場から長期間放置されてきたきらいがあるが、2022年における刑法改正により、懲役刑と禁錮刑を廃止して一本化した「拘禁刑」が創設される見込みである。 刑務所などの刑事施設は再犯者をふやすだけで更生に役だっていない、企業が労役を安価な労働力とみなして厳罰化をもとめている、刑事施設の存在が社会問題を安易に刑罰で解決しようという風潮を蔓延させているといった理由から究極的に刑事施設の廃止をめざす主張。アンジェラ・デイヴィスの『監獄ビジネス』など。
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法学>刑事法>刑法>刑法概論>関係諸法等 (刑事法)>行刑法>行刑にかかる争点 ここでは行刑にかかる争点を解説する。
[[法学]]>[[刑事法]]>[[刑法]]>[[刑法概論]]>[[関係諸法等 (刑事法)]]>[[行刑法]]>[[行刑にかかる争点]] ここでは行刑にかかる争点を解説する。 == 死刑廃止論 == ;広義 :死刑を廃止する主張すべて。 ;狭義 :(刑事学の領域)立法論的主張としての死刑廃止論 :(実体的デュープロセス)死刑を規定する法に対する違憲論 === 論拠 === 死刑廃止論の論拠としては、大きくわけて、「人道的見地」からのものと、刑事政策的見地からのものがある。 ====人道的見地==== 死刑は非人道的・非文化的で野蛮な刑罰との見解である。死刑廃止論の根幹の思想ではあるが、巷間の死刑存続論と表裏一体であり、感情論の域を出ないため、水掛け論になるきらいがある。 ====刑事政策的見地==== 死刑が犯罪抑止の観点から、払われる代償に対して効果が少ないとの観点から判断して死刑廃止を論ずるものであり、おおむね以下の論拠による。 ;誤判時に回復救済の途がない :これは死刑廃止論最強の論拠といえ、存続論はこれを論破できておらず(論破とは、すなわち、誤審とわかったときに原状回復できる、つまり、人を生き返らせることができるということである)、そのリスクを負ってでも死刑が必要であると論ずるしかない。 ;被害者救済のためにも逆効果である :死刑があるために犯罪者が自暴自棄となり、かえって犯罪の度合いを増し、被害が拡大するとの言説。 ;犯罪者に対する威嚇力はない :死刑に犯罪を抑止する威嚇力があるというのであれば、死刑に相当する犯罪は発生しないはずであり、それが発生するのは死刑に威嚇力がないからだという言説。 ;国際刑事共助の観点 :犯罪者引渡し条約に関して、死刑廃止国は死刑存置国との間に条約を締結することに抵抗を示す傾向があり、国外逃亡犯の捕捉が困難になる。 === 存続論 === 一方、死刑存続論も同様の見地から以下の反論を加えている。 ====感情的見地==== 人道的見地からの廃止論同様、最終的には水掛け論になるが、廃止に踏み切ろうとするには感情論を無視しておこなうことはできず、国民的なレベルで意識に変化がみられることが必須となる。 ====遺族の感情の尊重==== もっとも感情論に訴える言説。最近では、「現行法は被害者の心情を無視している」との論調も強くなりつつあり、その立場からも一見首肯できる言説にみえるが、逆に、遺族がない場合にはこの遺族感情を想定し得ない。すなわち、親しい家族がいない人が殺された場合、その人の死を悲しむ遺族はおらず、尊重すべき遺族感情は存在しないこととなり、そのような事案については、量刑において、遺族がいる場合との差を生じさせることとなり、このことは、同一の犯罪の態様について被害者の立場が異なるゆえに刑罰が異なることを正面から認めたこととなり、これは憲法第14条に定める法の下の平等にもとる嫌いがある(被害者の身分のみによって刑罰が異なることが憲法の趣旨に反しうるとする判断については[[w:尊属殺法定刑違憲事件|尊属殺法定刑違憲事件]]を参照)。そのため、論理的には一般化できる根拠といいがたい。 ====一般国民の感情の尊重==== 現時点において世論調査をおこなうとおおむね存続論が多数派となる。しかしながら、これは死刑制度の得失について真摯な議論としていないことが原因のひとつと考えられる。なぜならば、一般の国民にとって、たとえば、被害者の遺族であるとか、加害者の知己といった、当事者の問題として死刑を評価する立場となり、死刑制度について主体的な立場で考察することはごくまれであり、また、学校教育などにおいても生命倫理をきちんと取り上げることは少ないという事情からは多数の支持のみをもって存続すべきであるとする根拠に足りない。ただし、今後は裁判員制度の導入により、「裁く者」としての当事者意識が浸透するにつれ、死刑の存否について熟慮する機会は増加することは予想される。 ====刑事政策的見地==== ;一般予防効果の大きさ :極刑は重大犯罪の拡大に寄与しているとの考え方。感覚的には理解でき、また、少年犯罪においては、「少年は死刑にならない(だから、凶悪犯罪を行っても恐れることはない)」ということが実行時に意識されることもあることから予防効果の存在を推定することもできるが、実証的なものであるかは国際比較も含めさらに議論が必要であろう。 == 自由刑統一論 == 日本法において自由刑は大きく[[w:懲役|懲役]]と[[w:禁錮|禁錮]]にわかれるが、その違いは労役が強制か否かの違いである。受刑の基準として、懲役は道徳的に非難すべき罪いわゆる'''破廉恥罪'''に対するであり、禁錮はそうでない罪('''非破廉恥罪''')に対するものというのが基本的理念である。 しかしながら、破廉恥罪かそうでないかの線引きは明確とはいえず、一般に「懲役又は禁錮」とともに定められており([[w:内乱罪|内乱罪]]には懲役はない)、いずれを選択するかは裁判官に委ねられている。傾向として、[[w:過失犯|過失犯]]の初犯は禁錮刑を言い渡されることが多いが、この場合であっても[[w:執行猶予|執行猶予]]がつくのが通例であり、ことさらに禁錮刑である必然性は不明である。 このように、非破廉恥罪といった概念が曖昧である(犯罪であれば、非道徳的であり破廉恥であるとするのが理解しやすい)ことと、労役を課すことがあたかも不名誉なことであるとの考え方は労働を軽視するものであり、これらをわける実益はなく、禁錮刑を廃止し懲役刑のみにしようというのが'''自由刑統一論'''である。 「統一論」の登場から長期間放置されてきたきらいがあるが、2022年における刑法改正により、懲役刑と禁錮刑を廃止して一本化した「拘禁刑」が創設される見込みである。 == 短期自由刑廃止論 == *短期自由刑廃止論の目的 *週末拘禁制度 *社会奉仕制度 ==刑事施設廃止論== 刑務所などの刑事施設は再犯者をふやすだけで更生に役だっていない、企業が労役を安価な労働力とみなして厳罰化をもとめている、刑事施設の存在が社会問題を安易に刑罰で解決しようという風潮を蔓延させているといった理由から究極的に刑事施設の廃止をめざす主張。アンジェラ・デイヴィスの『監獄ビジネス』など。 == 保安処分 == *定義と目的 *刑罰との相違点 **一元主義と二元主義 *日本法における保安処分 == ディクリミナリゼーション(非犯罪化) == *目的 **刑法の謙抑性 **ラベリング理論 *代替措置 ==参考文献== *アンジェラ・デイヴィス 『監獄ビジネス…グローバリズムと産獄複合体』 岩波書店、2008年9月。ISBN 9784000224871 == 関連項目 == *[[w:死刑の廃止|死刑の廃止]] {{stub}} [[Category:刑法|きようけいにかかるそうてん]]
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2022-03-09T05:58:21Z
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構成要件
法学>刑事法>刑法>刑法総論>構成要件 構成要件とは違法かつ有責な行為を類型化したものである。このように犯罪類型を設けることで、あらゆる行為の中からどの行為が刑法の対象となる行為になるのかを容易に判断することができる。またどのような行為が犯罪となるのかを条文として明記することで、国民に予見可能性を与え、抑制作用をももっている。 構成要件に該当する行為は違法性と有責性の推定を受け、違法性や責任を阻却する事由が認められない場合に犯罪が成立する。すなわち、刑法を適用する際には構成要件該当性、違法性阻却事由の有無、責任阻却事由の有無を順に検討していくことになる。 法は、条文において「~した者」と規定しているが、これは原則として、自然人の単独犯を想定している。例外的に構成要件において複数関与者を前提としているものとして、内乱罪・騒乱罪等「多衆」によることが前提としているもの(合同犯)、賄賂罪における贈賄罪と収賄罪の関係に見られるもの(対向犯)があり、これらを必要的共犯と呼ぶ場合がある。その他の場合において、主体を拡張する場合は、個別の法令によるか、共犯論等別の解釈を援用することとなる。 現代社会において、組織体である法人は自然人に劣らない重要な存在であり、特に経済活動においては、個々の自然人を超えて他の自然人へ影響を与える。ここで、論点とされるのは法人が犯罪の主体たり得るかと言うことである。日常的にも、個人としては品行方正な人が、組織の一員となると贈賄や談合と言った社会的非違行為を、「組織の論理」により職務として行ってしまったり、会社として無理な労働を強いた結果、事故が発生した場合など、組織が犯罪発生の原因となっているとみられることも多い。特に、正犯として想定することは違和感があるが、共犯(教唆犯、幇助犯)としての犯罪への関与性を考察すれば、犯罪の主体としての法人が想像しやすい。そのようなときに、法人自体を犯罪主体とし、刑事罰を適用することの可否が問題となる。 日本の判例・通説は一貫してこれを否定する。その理由は、(1)法人には行為能力がない。(2)法人は自己決定能力を有しておらず、倫理的責任非難ができない。(3)刑罰体系が自然人を前提としている(自由刑を課すことができない等)。ということにある。ただし、立法論としては別論とし、脱税罪等の行政刑法や経済刑法の分野で、犯罪主体の帰属する法人に罰則を課すこと(両罰規定)も刑事政策上は有効としている。 一方、英米法に倣って、犯罪の種類にかかわらず、法人に犯罪能力を認め、組織的な関与があれば、当該法人に対して刑罰を課しうるとの見解も有力である。 両罰規定における責任の根拠については争いがある。これは、両罰規定のある犯罪発生に際して、法人が責任を免れ得るかという点で重要な論点である。 不真正不作為犯とは、構成要件自体は作為として定義されているが、不作為によっても実行が可能な犯罪をいう。しかし、この問題は、条文上明文のない構成要件を適用することは罪刑法定主義に反するのではないかという根本的な問題をはらんでいる。 これに対しては、不真正不作為犯の成立には、不作為が作為と同程度の価値をもつ、言い換えればその不作為が犯罪の実行行為として認めうるだけの価値をもつことを必要とするのだと限定的に解釈して、罪刑法定主義との整合性を図る理論構成がとられている。 不真正不作為犯は、不作為による作為犯の実現であるから、逆にいえば、不真正不作為犯の前提として、行為者には何らかの積極的な作為をなす義務、つまり作為義務があったといえることが必要である。 行為者に作為義務がある、といっても、すべての人間に作為義務があると捉えることはできない。なぜなら、あらゆる不作為が構成要件に該当するということは、構成要件のもつ違法性推定機能を失わせることになるからである。そこで保障人説は、保障人的地位にある者に作為義務があり、保障人的地位にある者の不作為が構成要件に該当するのだと捉える。 たとえば、池に落ちて溺れている子供を助ける義務は、保障人的地位にあるその子の親には発生するが、通りすがりの一般市民には発生しない。したがって、親がその子を助けようとせず、結果的に子供が溺死した場合、親には不作為による殺人罪が成立するが、通りすがりの市民が子供を助けようとしなかったとしても、殺人罪の構成要件には該当しないことになる。 この保障人的地位は、親子のように身分関係に基づいて成立する場合のほか、何らかの先行行為に基づいて発生する場合もあると解されている。典型的には、自らの先行行為によって結果発生の危険を招いた場合である。たとえば、過失によって建物の一部に火をつけてしまった者は、火災という結果発生の危険を招いているから、保障人的地位に基づいて消火活動をする作為義務が生じ、これを行わない場合には不作為による放火罪が成立する。 また、先行行為が故意や過失に基づかない場合でも、自己の意思に基づいて因果経過に対する排他的支配を獲得した場合には保障人的地位が生じると考えられている。道で行き倒れになっている急病人を自分の車に乗せた者は、彼の生殺与奪をその手に握ったといえ、病院に搬送するなど何らかの作為をなす義務が生じる。この義務に違反して漫然と急病人を放置した場合には、やはり不真正不作為犯の成立が問題になる。 保障人的地位は契約に基づいて生じる場合もある。たとえば、医師や看護師は患者を治療する作為義務があるといえる。 不真正不作為犯が成立するためには作為義務違反と結果との間に因果関係があることを必要とされる。因果関係の前提として条件関係の検討が必要となるが、注意すべきは、コンディチオ公式への当てはめに関して、不作為犯の場合は、いわゆる「仮定的事情の付加えの禁止」の原則が適用されないことである。すなわち、不作為犯の条件関係を認める場合には、どうしても「その作為がなされていたならば、結果は発生しなかった」といえることが必要であるから、仮定される「作為」を付加えて検討することが必要になるのである。 結果犯においては、実行行為と発生結果の間に一定の結びつきが要求される。これを因果関係と呼ぶ。因果関係は、行為者に結果責任を負わせるための客観的な要件である。 因果関係を論じるための大前提は条件関係である。 条件関係は「その行為を取り去ることで、結果が発生しなかったといえるか」という基準によって判断される。その行為を取り去った場合に結果が発生しなかったといえるならば「条件関係がある」といえ、その行為を取り去った場合にもやはり結果が発生したといえるならば、「条件関係がない」といえる。 この公式はしばしば「あれなくばこれなし」の関係、あるいは'conditio sine qua non'の公式(コンディチオ公式)と呼ばれる。 条件関係が肯定された場合、次に、行為からすべての結果を行為者に帰責することが妥当かどうかが問題となる。 これは、偶然の事情(自然力、不可抗力、他者の行為、被害者の素因等)が介在して結果が発生した場合に、発生したより重い結果をすべて行為者に帰責することができるかという問題である。 ここでもうひとつの判断基準が介入することになる。すなわち「当該行為から当該結果が発生することは、社会通念上相当だといえるか」という基準である。このような基準を介入させて客観的帰責の範囲を制限する理論を相当因果関係説と呼ぶ。 相当因果関係の判断対象(因果関係の判断基底)には、行為時の事情と行為後の事情がある。また、判断基底にどのような事情を取り込むべきかをめぐって、主観説、客観説、折衷説の対立がある。 因果とは原因と結果である 行為の他に結果の発生を必要とするか否かによって、結果犯と単純行為犯に分けられる。多くの犯罪においては、行為だけでなく一定の結果の発生が構成要件要素とされる。これを結果犯という。例えば、殺人罪(刑法199条)、窃盗罪(同235条)、器物損壊罪(同261条)などがこれに当たる。これに対して、結果の発生を必要とせずに単に行為だけを構成要件要素とする犯罪を、単純行為犯という。例えば、偽証罪(刑法169条)、虚偽告訴罪(同172条)、暴行罪(同208条)などがこれに当たる。 主観的構成要件とは類型である
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"現代社会において、組織体である法人は自然人に劣らない重要な存在であり、特に経済活動においては、個々の自然人を超えて他の自然人へ影響を与える。ここで、論点とされるのは法人が犯罪の主体たり得るかと言うことである。日常的にも、個人としては品行方正な人が、組織の一員となると贈賄や談合と言った社会的非違行為を、「組織の論理」により職務として行ってしまったり、会社として無理な労働を強いた結果、事故が発生した場合など、組織が犯罪発生の原因となっているとみられることも多い。特に、正犯として想定することは違和感があるが、共犯(教唆犯、幇助犯)としての犯罪への関与性を考察すれば、犯罪の主体としての法人が想像しやすい。そのようなときに、法人自体を犯罪主体とし、刑事罰を適用することの可否が問題となる。", "title": "主体論" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "日本の判例・通説は一貫してこれを否定する。その理由は、(1)法人には行為能力がない。(2)法人は自己決定能力を有しておらず、倫理的責任非難ができない。(3)刑罰体系が自然人を前提としている(自由刑を課すことができない等)。ということにある。ただし、立法論としては別論とし、脱税罪等の行政刑法や経済刑法の分野で、犯罪主体の帰属する法人に罰則を課すこと(両罰規定)も刑事政策上は有効としている。", "title": "主体論" }, { "paragraph_id": 6, "tag": "p", "text": "一方、英米法に倣って、犯罪の種類にかかわらず、法人に犯罪能力を認め、組織的な関与があれば、当該法人に対して刑罰を課しうるとの見解も有力である。", "title": "主体論" }, { "paragraph_id": 7, "tag": "p", "text": "両罰規定における責任の根拠については争いがある。これは、両罰規定のある犯罪発生に際して、法人が責任を免れ得るかという点で重要な論点である。", "title": "主体論" }, { "paragraph_id": 8, "tag": "p", "text": 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"この保障人的地位は、親子のように身分関係に基づいて成立する場合のほか、何らかの先行行為に基づいて発生する場合もあると解されている。典型的には、自らの先行行為によって結果発生の危険を招いた場合である。たとえば、過失によって建物の一部に火をつけてしまった者は、火災という結果発生の危険を招いているから、保障人的地位に基づいて消火活動をする作為義務が生じ、これを行わない場合には不作為による放火罪が成立する。", "title": "行為論" }, { "paragraph_id": 14, "tag": "p", "text": "また、先行行為が故意や過失に基づかない場合でも、自己の意思に基づいて因果経過に対する排他的支配を獲得した場合には保障人的地位が生じると考えられている。道で行き倒れになっている急病人を自分の車に乗せた者は、彼の生殺与奪をその手に握ったといえ、病院に搬送するなど何らかの作為をなす義務が生じる。この義務に違反して漫然と急病人を放置した場合には、やはり不真正不作為犯の成立が問題になる。", "title": "行為論" }, { "paragraph_id": 15, "tag": "p", "text": "保障人的地位は契約に基づいて生じる場合もある。たとえば、医師や看護師は患者を治療する作為義務があるといえる。", "title": "行為論" }, { "paragraph_id": 16, "tag": "p", "text": "不真正不作為犯が成立するためには作為義務違反と結果との間に因果関係があることを必要とされる。因果関係の前提として条件関係の検討が必要となるが、注意すべきは、コンディチオ公式への当てはめに関して、不作為犯の場合は、いわゆる「仮定的事情の付加えの禁止」の原則が適用されないことである。すなわち、不作為犯の条件関係を認める場合には、どうしても「その作為がなされていたならば、結果は発生しなかった」といえることが必要であるから、仮定される「作為」を付加えて検討することが必要になるのである。", "title": "行為論" }, { "paragraph_id": 17, "tag": "p", "text": 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法学>刑事法>刑法>刑法総論>構成要件
[[法学]]>[[刑事法]]>[[刑法]]>[[刑法総論]]>[[構成要件]] == 構成要件概論 == [[w:構成要件|構成要件]]とは違法かつ有責な行為を類型化したものである。このように犯罪類型を設けることで、あらゆる行為の中からどの行為が刑法の対象となる行為になるのかを容易に判断することができる。またどのような行為が犯罪となるのかを条文として明記することで、国民に予見可能性を与え、抑制作用をももっている。 構成要件に該当する行為は違法性と有責性の推定を受け、違法性や責任を阻却する事由が認められない場合に犯罪が成立する。すなわち、刑法を適用する際には構成要件該当性、違法性阻却事由の有無、責任阻却事由の有無を順に検討していくことになる。 == 主体論 == 法は、条文において「~した者」と規定しているが、これは原則として、自然人の単独犯を想定している。例外的に構成要件において複数関与者を前提としているものとして、[[w:内乱罪|内乱罪]]・[[騒乱罪]]等「多衆」によることが前提としているもの('''合同犯''')、[[賄賂罪]]における[[w:贈賄罪|贈賄罪]]と[[w:収賄罪|収賄罪]]の関係に見られるもの('''対向犯''')があり、これらを'''必要的共犯'''と呼ぶ場合がある。その他の場合において、主体を拡張する場合は、個別の法令によるか、共犯論等別の解釈を援用することとなる。 === 法人の犯罪能力 === 現代社会において、組織体である法人は自然人に劣らない重要な存在であり、特に経済活動においては、個々の自然人を超えて他の自然人へ影響を与える。ここで、論点とされるのは法人が犯罪の主体たり得るかと言うことである。日常的にも、個人としては品行方正な人が、組織の一員となると贈賄や談合と言った社会的非違行為を、「組織の論理」により職務として行ってしまったり、会社として無理な労働を強いた結果、事故が発生した場合など、組織が犯罪発生の原因となっているとみられることも多い。特に、正犯として想定することは違和感があるが、共犯([[教唆犯]]、[[幇助犯]])としての犯罪への関与性を考察すれば、犯罪の主体としての法人が想像しやすい。そのようなときに、法人自体を犯罪主体とし、刑事罰を適用することの可否が問題となる。 日本の判例・通説は一貫してこれを否定する。その理由は、'''(1)'''法人には行為能力がない。'''(2)'''法人は自己決定能力を有しておらず、倫理的責任非難ができない。'''(3)'''刑罰体系が自然人を前提としている(自由刑を課すことができない等)。ということにある。ただし、立法論としては別論とし、[[脱税罪]]等の行政刑法や経済刑法の分野で、犯罪主体の帰属する法人に罰則を課すこと('''両罰規定''')も刑事政策上は有効としている。 一方、英米法に倣って、犯罪の種類にかかわらず、法人に犯罪能力を認め、組織的な関与があれば、当該法人に対して刑罰を課しうるとの見解も有力である。 ==== 両罰規定における責任 ==== 両罰規定における責任の根拠については争いがある。これは、両罰規定のある犯罪発生に際して、法人が責任を免れ得るかという点で重要な論点である。 #犯罪主体の代位責任であるとする説。この立場によると、法人は処罰をまぬがれ得ない。 #犯罪主体の故意・過失責任であるとの説 ##故意・過失の擬制。代位責任同様の結論となる。 ##故意・過失の推定。法人側で、故意・過失の不存在を証明することができる。 ##法人における故意・過失を要する。立件側で故意・過失の存在を証明しなければならない。 :なお、故意・過失を論じる際には、法人自体が、意思を有するものではないため、法人内における意思決定過程や権限の委譲が論じられることとなる。 === 身分犯 === === 間接正犯 === == 行為論 == === 不作為犯 === ====不真正不作為犯==== 不真正不作為犯とは、構成要件自体は作為として定義されているが、不作為によっても実行が可能な犯罪をいう。しかし、この問題は、条文上明文のない構成要件を適用することは罪刑法定主義に反するのではないかという根本的な問題をはらんでいる。 これに対しては、不真正不作為犯の成立には、不作為が作為と同程度の価値をもつ、言い換えればその不作為が犯罪の実行行為として認めうるだけの価値をもつことを必要とするのだと限定的に解釈して、罪刑法定主義との整合性を図る理論構成がとられている。 ====不真正不作為犯の要件==== =====作為義務===== 不真正不作為犯は、不作為による作為犯の実現であるから、逆にいえば、不真正不作為犯の前提として、行為者には何らかの積極的な作為をなす義務、つまり'''作為義務'''があったといえることが必要である。 =====保障人的地位===== 行為者に作為義務がある、といっても、すべての人間に作為義務があると捉えることはできない。なぜなら、あらゆる不作為が構成要件に該当するということは、構成要件のもつ違法性推定機能を失わせることになるからである。そこで'''保障人説'''は、保障人的地位にある者に作為義務があり、保障人的地位にある者の不作為が構成要件に該当するのだと捉える。 たとえば、池に落ちて溺れている子供を助ける義務は、保障人的地位にあるその子の親には発生するが、通りすがりの一般市民には発生しない。したがって、親がその子を助けようとせず、結果的に子供が溺死した場合、親には不作為による殺人罪が成立するが、通りすがりの市民が子供を助けようとしなかったとしても、殺人罪の構成要件には該当しないことになる。 この保障人的地位は、親子のように身分関係に基づいて成立する場合のほか、何らかの先行行為に基づいて発生する場合もあると解されている。典型的には、自らの先行行為によって結果発生の危険を招いた場合である。たとえば、過失によって建物の一部に火をつけてしまった者は、火災という結果発生の危険を招いているから、保障人的地位に基づいて消火活動をする作為義務が生じ、これを行わない場合には不作為による放火罪が成立する。 また、先行行為が故意や過失に基づかない場合でも、自己の意思に基づいて因果経過に対する排他的支配を獲得した場合には保障人的地位が生じると考えられている。道で行き倒れになっている急病人を自分の車に乗せた者は、彼の生殺与奪をその手に握ったといえ、病院に搬送するなど何らかの作為をなす義務が生じる。この義務に違反して漫然と急病人を放置した場合には、やはり不真正不作為犯の成立が問題になる。 保障人的地位は契約に基づいて生じる場合もある。たとえば、医師や看護師は患者を治療する作為義務があるといえる。 =====因果関係===== 不真正不作為犯が成立するためには作為義務違反と結果との間に因果関係があることを必要とされる。因果関係の前提として条件関係の検討が必要となるが、注意すべきは、コンディチオ公式への当てはめに関して、不作為犯の場合は、いわゆる「仮定的事情の付加えの禁止」の原則が適用されないことである。すなわち、不作為犯の条件関係を認める場合には、どうしても「その作為がなされていたならば、結果は発生しなかった」といえることが必要であるから、仮定される「作為」を付加えて検討することが必要になるのである。 === 因果関係 === 結果犯においては、実行行為と発生結果の間に一定の結びつきが要求される。これを因果関係と呼ぶ。因果関係は、行為者に結果責任を負わせるための客観的な要件である。 ==== 条件関係 ==== 因果関係を論じるための大前提は条件関係である。 条件関係は「その行為を取り去ることで、結果が発生しなかったといえるか」という基準によって判断される。その行為を取り去った場合に結果が発生しなかったといえるならば「条件関係がある」といえ、その行為を取り去った場合にもやはり結果が発生したといえるならば、「条件関係がない」といえる。 この公式はしばしば「あれなくばこれなし」の関係、あるいは'conditio sine qua non'の公式(コンディチオ公式)と呼ばれる。 ==== 相当因果関係 ==== 条件関係が肯定された場合、次に、行為からすべての結果を行為者に帰責することが妥当かどうかが問題となる。 これは、偶然の事情(自然力、不可抗力、他者の行為、被害者の素因等)が介在して結果が発生した場合に、発生したより重い結果をすべて行為者に帰責することができるかという問題である。 ここでもうひとつの判断基準が介入することになる。すなわち「当該行為から当該結果が発生することは、社会通念上相当だといえるか」という基準である。このような基準を介入させて客観的帰責の範囲を制限する理論を相当因果関係説と呼ぶ。 相当因果関係の判断対象(因果関係の判断基底)には、行為時の事情と行為後の事情がある。また、判断基底にどのような事情を取り込むべきかをめぐって、'''主観説'''、'''客観説'''、'''折衷説'''の対立がある。 ;行為時の事情:行為時の事情とは、被害者の素因などが結果に影響した場合に、発生したより重い結果を行為者に帰責できるかどうかの問題である。たとえば、通常では死亡に至らない程度の傷害を負ったが、被害者の脳に梅毒による病変があったために、病変が悪化して死に至った場合、脳の病変が外見上行為者に認識できないものであったとしても死亡という重い結果を帰責できるかどうか、判断が分かれる。 :'''主観説'''によれば、行為時の事情として判断基底に取り込むべきものは「行為時に行為者が認識していた事情」である。この説に従って上記の事例を検討すると、行為者が特に被害者の脳の病変を認識していたのであれば死亡という重い結果は行為者に帰責されるが、そうでなければ帰責されないことになる。 :'''客観説'''によれば、行為時の事情として判断基底に取り込むべきものは「行為時に客観的に存在していたすべての事情」である。この説に従って上記の事例を検討すると、被害者の脳に病変があったという事実が客観的に存在していたのであれば、それが行為者や一般人にとって認識不可能な病変であったとしても、傷害から発生した死亡という重い結果は行為者に帰責されることになる。 :'''折衷説'''によれば、行為時の事情として判断基底に取り込むべきものは「行為時に一般人が認識可能であった事情」および「行為時に行為者が特に認識していた事情」である。この説に従って上記の事例を検討すると、脳に病変があるという事情は通常一般人にとって認識不可能であるから、行為者が特にその病変を認識していたのでない限り、死亡という重い結果は帰責されないことになる。 ;行為後の事情:行為後の事情とは、実行行為の終了後に、他者の行為や自然力などが介入した場合に、発生した重い結果を行為者に帰責できるかの問題である(因果経過の相当性)。たとえば、行為者が被害者をナイフで刺して死に至らない程度の重傷を負わせたが、治療のため搬送された病院で医療ミスにより死亡した場合、医療ミスの介在が行為者にとって予見不可能な事情であっても、被害者の死という重い結果を行為者に帰責できるか、判断が分かれる。 :'''主観説'''によれば、行為後の事情として判断基底に取り込むべきものは「行為者が予見していた事情」であるから、行為者が医療ミスを予見していたのでない限り、実行行為と被害者の死との因果関係は否定される。 :'''客観説'''によれば、行為後の事情として判断基底に取り込むべきものは「予見可能な行為後の事情」であるから、医療ミスが予見可能であるといえない限り、実行行為と被害者の死との因果関係は否定される。 :'''折衷説'''によれば、行為後の事情として判断基底に取り込むべきものは「一般人が予見可能な事情」および「行為者が予見していた事情」であるから、医療ミスが一般人にとって予見不可能であれば、行為者が医療ミスを特に予見していたのでない限り、実行行為と被害者の死との因果関係は否定される。 ==== 客観的帰属論(「危険の現実化」とも) ==== ==== 結果的加重犯 ==== == 客体論:保護法益 == == 結果 == 因果とは原因と結果である === 侵害犯と危険犯 === === 結果犯と単純行為犯 === 行為の他に結果の発生を必要とするか否かによって、結果犯と単純行為犯に分けられる。多くの犯罪においては、行為だけでなく一定の結果の発生が構成要件要素とされる。これを結果犯という。例えば、殺人罪(刑法199条)、窃盗罪(同235条)、器物損壊罪(同261条)などがこれに当たる。これに対して、結果の発生を必要とせずに単に行為だけを構成要件要素とする犯罪を、単純行為犯という。例えば、偽証罪(刑法169条)、虚偽告訴罪(同172条)、暴行罪(同208条)などがこれに当たる。 === 即成犯・継続犯・状態犯 === == 主観的構成要件要素 == === 目的犯・傾向犯・表現犯 === === 主観的違法要素 === {{stub}} 主観的構成要件とは類型である [[Category:刑法総論|こうせいようけん]]
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2021-08-10T16:33:07Z
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HTML/ヘッダ
HTML > ヘッダ HTML5では これだけです。DTDがないので、もはやHTML5はSGMLではなくなりました。 以下、HTML4.01 以前についての記述 HTMLは、DTD(Document Type Definition = 文書型定義)をスキーマ言語を採用しています。HTMLのDTDには、HTMLで用いることができる要素や属性などが定義されています。例えばHTML 4.01には次の3種類のDTDが存在します。 DTDは文書の先頭にひとつだけ記述します。しばし省略されるが正式なHTMLの文書には必要なものであり、一字一句間違えずに入力する必要があります。 HTML 4.01 Strictの場合 HTML 4.01 Transitionalの場合 HTML 4.01 Framesetの場合 なお、一部のウェブブラウザでは上記のまま記述すれば規格に従った標準準拠モードとなるが、末尾にあるURLの部分を省略するとその文書は後方互換モードとなり、ウェブブラウザの独自拡張が使用できるようになります。ただしStrictでは後方互換モードでも独自拡張が利用できない実装系が多い。 meta要素は、文書自体のさまざまな情報(メタデータ)を記述します。 HTML5では、HTML4.01 以前に http-equiv属性 を使いアドホックに指定していたメタデータは、より直感的な固有の属性によって置換わり、http-equiv属性の使用機会は殆どなくなりました。 以下、HTML4.01 以前についての記述 本来ならばHTTPで交換される情報をあらかじめファイルに記載しておくことができます。この属性に対応しているWWWサーバやウェブブラウザがこの情報を読み込んで、ページの作成者が望むHTTP上の動作を実現させることができます。 ただし、本来ならばHTTPレスポンスヘッダで指定すべきものであるため、記述することで不具合が起こる場合もあります。 HTML5での文字符号化形式は、 となります。シンプルですね。 以下、HTML4.01 以前についての記述 文書がtext/html形式で書かれていることを示すと同時に文書中で使われている文字符号化方式を指定します。文書中で使われている文字符号化方式と同じ符号化方式を設定する必要があります。文書中で使われている文字コードと異なるものを指定した場合、文字化けの原因になるので注意が必要です。 HTML5では、スタイルシートは CSS,スクリプトの言語は Javascript がそれぞれ既定値 となりました。 以下、HTML4.01 以前についての記述 ページ内でスタイルシート、スクリプトを使用している場合に使用しているスタイルシート・スクリプトの種類をそれぞれ指定します。省略してもウェブブラウザがtext/css、text/javascriptと自動的に認識するが、指定することが望ましい。 HTML5で、自動的にページを読込む場合 HTTPのRefreshヘッダを指定することにより、ページが読み込まれてから自動的に再読み込みをすることをクライアントに指定します。URLを指定した場合は、指定したURLの再読み込みが行われます。ただし、アクセシビリティの面からは利用が推奨されないです。サーバー側でリダイレクトの処理を行う、通常のリンクで移動させるなどの方法で代用することが望ましい。 以下、HTML4.01 以前についての記述 秒数 と URL の間に、; url= が必要でした。 HTML5では、PICS を規定していません。 PICS自体が、HTMLの規格策定から手を引いた W3C が策定した規格で、既に廃止ないし失効しています。 https://www.w3.org/PICS/labels.html 以下、HTML4.01 以前についての記述 コンテンツに年齢制限に関する情報を記述します。 pics-1.1 "URL"の部分でPics-Labelの仕様が書かれているページのURLを指定し、l r ()の部分(LとRの小文字の間に半角スペース)で仕様に従った年齢制限レベルの記述を4段階評価で行う。仕様は複数定められているため、自分の従う形式の記述法に従って項目を指定します。 例えば英国非営利団体ICRA(Internet Content Rating Association)の定める形式に従った場合は以下のような形式となります。 HTML5では、 の様な新しいメタデータも規定されました。 以下、HTML4.01 以前についての記述 その他の具体的にHTMLで規定されていないメタ情報については、name属性とcontent属性(とscheme属性)を用いて記述します。 HTML5 § 4.2.4 The link element https://html.spec.whatwg.org/multipage/semantics.html#the-link-element 以下、HTML4.01 以前についての記述 文書に関連する別のリソースを記述する要素。外部スタイルシートの指定やサイト内リンクに関する情報指定等に用いられます。サイト内リンクに関する一部の情報はSeaMonkeyやOperaなど一部のブラウザがナビゲーション情報として取得内容をブラウザのツールバーに表示します。 rel属性はURLで示したページの側から見たこのページとの関係を、rev属性はこのページの側から見たURLで示したページの関係を示す。外部ファイルをページ内に埋め込む場合はtype属性も記述します。 HTML5 4.2.3 The base element https://html.spec.whatwg.org/multipage/semantics.html#the-base-element 以下、HTML4.01 以前についての記述 <base href="URL">で、ページ内のすべてのリンクが、指定されたURLを基準にします。<base href="URL" target="ターゲット">のようにしてtarget属性も指定することが可能。たとえば下のウェブページがhttp://ja.wikipedia.org/ だとして、 と入力すると、http://ja.wikipedia.org/wiki/HTML ではなく、http://ja.wikibooks.org/wiki/HTML にリンクされます。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "HTML > ヘッダ", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "HTML5では", "title": "!DOCTYPE" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "これだけです。DTDがないので、もはやHTML5はSGMLではなくなりました。", "title": "!DOCTYPE" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "以下、HTML4.01 以前についての記述", "title": "!DOCTYPE" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "HTMLは、DTD(Document Type Definition = 文書型定義)をスキーマ言語を採用しています。HTMLのDTDには、HTMLで用いることができる要素や属性などが定義されています。例えばHTML 4.01には次の3種類のDTDが存在します。", "title": "!DOCTYPE" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "DTDは文書の先頭にひとつだけ記述します。しばし省略されるが正式なHTMLの文書には必要なものであり、一字一句間違えずに入力する必要があります。", "title": "!DOCTYPE" }, { "paragraph_id": 6, "tag": "p", "text": "HTML 4.01 Strictの場合", "title": "!DOCTYPE" }, { "paragraph_id": 7, "tag": "p", "text": "HTML 4.01 Transitionalの場合", "title": "!DOCTYPE" }, { "paragraph_id": 8, "tag": "p", "text": "HTML 4.01 Framesetの場合", "title": "!DOCTYPE" }, { "paragraph_id": 9, "tag": "p", "text": "なお、一部のウェブブラウザでは上記のまま記述すれば規格に従った標準準拠モードとなるが、末尾にあるURLの部分を省略するとその文書は後方互換モードとなり、ウェブブラウザの独自拡張が使用できるようになります。ただしStrictでは後方互換モードでも独自拡張が利用できない実装系が多い。", "title": "!DOCTYPE" }, { "paragraph_id": 10, "tag": "p", "text": "meta要素は、文書自体のさまざまな情報(メタデータ)を記述します。", "title": "meta要素" }, { "paragraph_id": 11, "tag": "p", "text": "HTML5では、HTML4.01 以前に http-equiv属性 を使いアドホックに指定していたメタデータは、より直感的な固有の属性によって置換わり、http-equiv属性の使用機会は殆どなくなりました。", "title": "meta要素" }, { "paragraph_id": 12, "tag": "p", "text": "以下、HTML4.01 以前についての記述", "title": "meta要素" }, { "paragraph_id": 13, "tag": "p", "text": "本来ならばHTTPで交換される情報をあらかじめファイルに記載しておくことができます。この属性に対応しているWWWサーバやウェブブラウザがこの情報を読み込んで、ページの作成者が望むHTTP上の動作を実現させることができます。", "title": "meta要素" }, { "paragraph_id": 14, "tag": "p", "text": "ただし、本来ならばHTTPレスポンスヘッダで指定すべきものであるため、記述することで不具合が起こる場合もあります。", "title": "meta要素" }, { "paragraph_id": 15, "tag": "p", "text": "HTML5での文字符号化形式は、", "title": "meta要素" }, { "paragraph_id": 16, "tag": "p", "text": "となります。シンプルですね。", "title": "meta要素" }, { "paragraph_id": 17, "tag": "p", "text": "以下、HTML4.01 以前についての記述", "title": "meta要素" }, { "paragraph_id": 18, "tag": "p", "text": "文書がtext/html形式で書かれていることを示すと同時に文書中で使われている文字符号化方式を指定します。文書中で使われている文字符号化方式と同じ符号化方式を設定する必要があります。文書中で使われている文字コードと異なるものを指定した場合、文字化けの原因になるので注意が必要です。", "title": "meta要素" }, { "paragraph_id": 19, "tag": "p", "text": "HTML5では、スタイルシートは CSS,スクリプトの言語は Javascript がそれぞれ既定値 となりました。", "title": "meta要素" }, { "paragraph_id": 20, "tag": "p", "text": "以下、HTML4.01 以前についての記述", "title": "meta要素" }, { "paragraph_id": 21, "tag": "p", "text": "ページ内でスタイルシート、スクリプトを使用している場合に使用しているスタイルシート・スクリプトの種類をそれぞれ指定します。省略してもウェブブラウザがtext/css、text/javascriptと自動的に認識するが、指定することが望ましい。", "title": "meta要素" }, { "paragraph_id": 22, "tag": "p", "text": "HTML5で、自動的にページを読込む場合", "title": "meta要素" }, { "paragraph_id": 23, "tag": "p", "text": "HTTPのRefreshヘッダを指定することにより、ページが読み込まれてから自動的に再読み込みをすることをクライアントに指定します。URLを指定した場合は、指定したURLの再読み込みが行われます。ただし、アクセシビリティの面からは利用が推奨されないです。サーバー側でリダイレクトの処理を行う、通常のリンクで移動させるなどの方法で代用することが望ましい。", "title": "meta要素" }, { "paragraph_id": 24, "tag": "p", "text": "以下、HTML4.01 以前についての記述", "title": "meta要素" }, { "paragraph_id": 25, "tag": "p", "text": "秒数 と URL の間に、; 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HTML > ヘッダ
[[HTML]] > '''ヘッダ''' == 記述例 == ;HTML5:<syntaxhighlight lang="HTML" highlight="3-6"> <!DOCTYPE html"> <html> <head> <meta charset="UTF-8"> <title>HTML/ヘッダ</title> </head> <body> <!-- 本文 --> </body> </html> </syntaxhighlight > : HTML5では、スタイルシートは text/css、スクリプトは text/javascript が既定となり明示的な指定は不要になりました。 上記コードでも動きますが、<code><html lang="ja"></code> と言語を日本語であると明示すると、より検索エンジンやwebブラウザなどが読み取りやすくなります。 :<syntaxhighlight lang="HTML"> <!DOCTYPE html"> <html lang="ja"> <head> <meta charset="UTF-8"> <title>HTML/ヘッダ</title> </head> <body> <!-- 本文 --> </body> </html> </syntaxhighlight > ;HTML4 Strict:<syntaxhighlight lang="html4strict" highlight="3-8"> <!DOCTYPE HTML PUBLIC "-//W3C//DTD HTML 4.01//EN" "http://www.w3.org/TR/html4/strict.dtd"> <html> <head> <meta http-equiv="Content-Type" content="text/html;charset=UTF-8"> <meta http-equiv="Content-Style-Type" content="text/css"> <meta http-equiv="Content-Script-Type" content="text/javascript"> <title>HTML/ヘッダ</title> </head> <body> <!-- 本文 --> </body> </html> </syntaxhighlight > == 必須要素 == ;html :HTML文書であることを表す要素。HTML文書の最初(DTDの次)に&lt;html&gt;、最後に&lt;/html&gt;を一組入力します。 :開始要素にはlang属性を用いて使用言語が何であるかを指定することが望ましい。lang属性を指定することで適切なフォントが指定され文字化けなどを防ぐことが出来ます。日本語環境に対するlang="ja"など言語環境と使用言語が同じ場合は属性指定でそれほど目立った効果を得らないかもしれませんが、言語環境と使用言語が異なる場合は属性指定で適切な効果を得られることが多い。 ;head :&lt;head&gt;~&lt;/head&gt;を&lt;html&gt;~&lt;/html&gt;中に一組入力します。ここにはtitle要素やmeta要素など文書に関する情報を記述します。ここで書いた情報が直接表示されることはませんが、的確な表示を行うためにブラウザ側に必要な情報を引き渡す役目があります。 :;title ::ページのタイトルを表す要素。一般的なウェブブラウザでは、タイトルバーに表示されます。 :&lt;head&gt;~&lt;/head&gt;中に一組入力し、~の部分にタイトルを入力することで指定します。タイトルはその文書が何であるかを示すもので、検索結果に表示される際やお気に入り(ブックマーク)登録を行ったときでもおおよその内容が何であるか分かるようにすることが好ましい。 :例えば「卯園工業株式会社」の会社概要であればタイトルは「会社概要」ではなく「会社概要:卯園工業株式会社」とすべきです。 ;body :&lt;body&gt;~&lt;/body&gt;を&lt;html&gt;~&lt;/html&gt;中に一組入力します。ここには直接ブラウザに表示させたい文章を入力します。 == !DOCTYPE == HTML5では :<syntaxhighlight lang="HTML"> <!DOCTYPE html> </syntaxhighlight> これだけです。DTDがないので、もはや[[w:HTML5|HTML5]]は[[w:SGML|SGML]]ではなくなりました<ref>[https://html.spec.whatwg.org/#the-doctype HTML Living Standard::§13.1.1 The DOCTYPE]</ref>。 ---- 以下、HTML4.01 以前についての記述 HTMLは、'''[[w:Document Type Definition |DTD]]'''(Document Type Definition = 文書型定義)を[[w:スキーマ言語|スキーマ言語]]を採用しています。HTMLのDTDには、HTMLで用いることができる要素や属性などが定義されています。例えばHTML 4.01には次の3種類のDTDが存在します。 ;Strict :最も厳密なDTDで論理的なマークアップの目的を中心に構成されており、HTML 3.2と比較すると視覚的とされる要素の多くが削除された。 ;Transitional :HTML 3.2から4.01への過渡期に用いるDTDです。Strictへの移行によって削除された要素を以前のバージョンとの互換性のために含む。ただしインラインフレーム以外のフレームは使用できないです。 ;Frameset :フレーム定義用のDTDです。フレーム定義以外の目的で使用することが出来ず、また&lt;html&gt;~&lt;/html&gt;に直接&lt;body&gt;要素を含めることが出来ないです。(&lt;noframes&gt;~&lt;/noframes&gt;中に記述する必要があります。) DTDは文書の先頭にひとつだけ記述します。しばし省略されるが正式なHTMLの文書には必要なものであり、一字一句間違えずに入力する必要があります。 HTML 4.01 Strictの場合 <pre><nowiki><!DOCTYPE HTML PUBLIC "-//W3C//DTD HTML 4.01//EN" "http://www.w3.org/TR/html4/strict.dtd"></nowiki></pre> HTML 4.01 Transitionalの場合 <pre><nowiki><!DOCTYPE HTML PUBLIC "-//W3C//DTD HTML 4.01 Transitional//EN" "http://www.w3.org/TR/html4/loose.dtd"></nowiki></pre> HTML 4.01 Framesetの場合 <pre><nowiki><!DOCTYPE HTML PUBLIC "-//W3C//DTD HTML 4.01 Frameset//EN" "http://www.w3.org/TR/html4/frameset.dtd"></nowiki></pre> なお、一部の[[w:ウェブブラウザ|ウェブブラウザ]]では上記のまま記述すれば規格に従った標準準拠モードとなるが、末尾にあるURLの部分を省略するとその文書は後方互換モードとなり、ウェブブラウザの独自拡張が使用できるようになります。ただしStrictでは後方互換モードでも独自拡張が利用できない実装系が多い。 == meta要素 == meta要素は、文書自体のさまざまな情報([[w:メタデータ|メタデータ]])を記述します。 === http-equiv属性 === HTML5では、HTML4.01 以前に http-equiv属性 を使いアドホックに指定していたメタデータは、より直感的な固有の属性によって置換わり、http-equiv属性の使用機会は殆どなくなりました。 ---- 以下、HTML4.01 以前についての記述 本来ならば[[w:HTTP|HTTP]]で交換される情報をあらかじめファイルに記載しておくことができます。この属性に対応しているWWWサーバやウェブブラウザがこの情報を読み込んで、ページの作成者が望むHTTP上の動作を実現させることができます。 ただし、本来ならばHTTPレスポンスヘッダで指定すべきものであるため、記述することで不具合が起こる場合もあります。 ==== 文字符号化方式の指定 ==== HTML5での文字符号化形式は、 :<syntaxhighlight lang="HTML"> <meta charset="UTF-8"> </syntaxhighlight> となります。シンプルですね。 ---- 以下、HTML4.01 以前についての記述 :<syntaxhighlight lang="html4strict"> <meta http-equiv="Content-Type" content="text/html;charset=文字符号化方式"> </syntaxhighlight> 文書がtext/html形式で書かれていることを示すと同時に文書中で使われている[[w:文字符号化方式|文字符号化方式]]を指定します。文書中で使われている文字符号化方式と同じ符号化方式を設定する必要があります。文書中で使われている文字コードと異なるものを指定した場合、文字化けの原因になるので注意が必要です。 ==== スタイルシート・スクリプトのタイプ指定 ==== HTML5では、スタイルシートは CSS,スクリプトの言語は Javascript がそれぞれ既定値 となりました。 ---- 以下、HTML4.01 以前についての記述 :<syntaxhighlight lang="html4strict"> <meta http-equiv="Content-Style-Type" content="text/css"> <meta http-equiv="Content-Script-Type" content="text/javascript"> </syntaxhighlight> ページ内でスタイルシート、スクリプトを使用している場合に使用しているスタイルシート・スクリプトの種類をそれぞれ指定します。省略してもウェブブラウザがtext/css、text/javascriptと自動的に認識するが、指定することが望ましい。 ==== 自動的にページを読込む ==== HTML5で、自動的にページを読込む場合 :<syntaxhighlight lang="HTML"> <meta http-equiv="Refresh" content="秒数"> <meta http-equiv="Refresh" content="秒数 URL"> </syntaxhighlight> HTTPのRefreshヘッダを指定することにより、ページが読み込まれてから自動的に再読み込みをすることをクライアントに指定します。URLを指定した場合は、指定したURLの再読み込みが行われます。ただし、アクセシビリティの面からは利用が推奨されないです。サーバー側でリダイレクトの処理を行う、通常のリンクで移動させるなどの方法で代用することが望ましい。 ---- 以下、HTML4.01 以前についての記述 :<syntaxhighlight lang="html4strict"> <meta http-equiv="Refresh" content="秒数"> <meta http-equiv="Refresh" content="秒数; url=URL"> </syntaxhighlight> 秒数 と URL の間に、<code>; url=</code> が必要でした。 ==== セルフレイテリング ==== HTML5では、PICS を規定していません。 PICS自体が、HTMLの規格策定から手を引いた W3C が策定した規格で、既に廃止ないし失効しています。 https://www.w3.org/PICS/labels.html ---- 以下、HTML4.01 以前についての記述 :<syntaxhighlight lang="html4strict"> <meta http-equiv="Pics-Label" content='(pics-1.1 "URL" l r (v 0 s 0 n 0 l 0))'> </syntaxhighlight> コンテンツに年齢制限に関する情報を記述します。 pics-1.1 "URL"の部分でPics-Labelの仕様が書かれているページのURLを指定し、l r ()の部分(LとRの小文字の間に半角スペース)で仕様に従った年齢制限レベルの記述を4段階評価で行う。仕様は複数定められているため、自分の従う形式の記述法に従って項目を指定します。 例えば英国非営利団体ICRA(Internet Content Rating Association)の定める形式に従った場合は以下のような形式となります。 {| class="wikitable" |- !年齢制限となる要素!!規制Lv0!!規制Lv1!!規制Lv2!!規制Lv3!!規制Lv4 |- !v=violence(暴力) |rowspan=4|問題なし||喧嘩、障害||殺人行為などの描写||流血を伴う殺人や死体||過激な暴力・殺人 |- !s=sex(セックス) |普通のキスなど||ペッティング||性行為を連想させる表現や描写||性行為を鮮明に描写 |- !n=nude(ヌード) |露出度の高い服装||水着や下着など比較的露出度の高い服装の描写||全裸などの描写||性器などの強調された裸体の描写など |- !l=language(言葉) |比較的穏やかだが品のない言葉や悪口||冒涜などの悪口||性的な表現。||誹謗中傷や過激なエロ。 |- !URLの指定 |colspan="5"|<nowiki>http://www.rsac.org/ratingsv01.html</nowiki> |} === その他の情報を記載する === HTML5では、 :<syntaxhighlight lang="HTML"> <meta name="application-name" content="Gmail"> </syntaxhighlight> の様な新しいメタデータも規定されました。 ---- 以下、HTML4.01 以前についての記述 :<syntaxhighlight lang="html4strict"> <meta name="情報の種類" content="情報"> </syntaxhighlight> その他の具体的にHTMLで規定されていないメタ情報については、name属性とcontent属性(とscheme属性)を用いて記述します。 {| class="wikitable" |- !colspan="2"|情報の種類!!情報 |- |rowspan="6"|作成者||author||作成者の名前(実名でもハンドルでも) |- |generator||作成ソフト |- |reply-to||連絡先(メールアドレスを書くのが一般的) |- |tel||電話番号 |- |fax||FAX番号 |- |copyright||著作権 |- |rowspan="3"|日時||creation date||作成日 |- |date||作成日または更新日 |- |expires||有効期限 |- |rowspan="6"|対象||distribution||他のmetaタグの対象範囲<br />'''global''':外部<br />'''local''':内部 |- |language||使用言語 |- |coverage||商品やサービスの提供範囲<br />'''worldwide''':全世界 |- |targeted geographic area||ウェブページの対象範囲 |- |rating |対象年齢<br />'''general''':一般的<br />'''safe for kids''':子供が見ても安心<br />'''adult''':大人向け<br />'''child''':子供向け |- |classification |ページのジャンル<br />'''business''':仕事用<br />'''computers''':コンピュータ関連<br />'''entertainment''':エンターテイメント<br />'''internet''':インターネット関連<br />'''miscellaneous''':ごちゃごちゃ<br />'''personal''':個人的なページ |- |rowspan="4"|検索ロボット||keywords||キーワード(「,」で区切ます) |- |description||ページ内容の要約 |- |robots |検索させるかさせないか(「,」で区切ます)<br />'''index''':そのページを検索させる<br />'''noindex''':そのページを検索させない<br />'''follow''':リンク先を検索させる<br />'''nofollow''':リンク先を検索させない |- |revisit_after||'''X days''':X日後に再検索 |} == link要素 == HTML5 § 4.2.4 The link element https://html.spec.whatwg.org/multipage/semantics.html#the-link-element ---- 以下、HTML4.01 以前についての記述 文書に関連する別のリソースを記述する要素。外部スタイルシートの指定やサイト内リンクに関する情報指定等に用いられます。サイト内リンクに関する一部の情報は[[w:SeaMonkey|SeaMonkey]]や[[w:Opera|Opera]]など一部のブラウザがナビゲーション情報として取得内容をブラウザのツールバーに表示します。 :<syntaxhighlight lang="html4strict"> <link rel="ページとの関係" href="アドレス" type="ファイルタイプ"> <link rev="ページとの関係" href="アドレス" type="ファイルタイプ"> </syntaxhighlight> rel属性はURLで示したページの側から見たこのページとの関係を、rev属性はこのページの側から見たURLで示したページの関係を示す。外部ファイルをページ内に埋め込む場合はtype属性も記述します。 {| class="wikitable" |- !値!!概要 |- |stylesheet||外部ファイルのスタイルシート |- |alternate stylesheet||外部ファイルの代替スタイルシート |- |alternate||ドキュメントの別バージョン。RSSやAtomを指定するのに利用され、ここで指定された内容はRSS対応のブラウザが自動的に情報を取得してツールバーなどで通知されます。複数指定する場合、ブラウザが内容を識別できるようにtitle属性をつけるのが望ましい。 |- |shortcut icon||[[w:Favicon|Favicon]]。iconとともに指定するのが望ましい。 |- |icon||Favicon。shortcut iconと合わせて指定するのが望ましい。 |- |made||作成者の連絡先。 |- |start||トップページ |- |next||次のページ(指定先に内容の続きがあることを示す) |- |prev||前のページ(このページからの内容が続いていることを示す) |- |search||検索に関する情報の場所。ウィキメディアプロジェクトのように[[w:OpenSearch|OpenSearch]]形式のxmlファイルを指定してFirefoxなどの検索プラグインを読み込ませる場合もあります。 |- |contents||目次 |- |index||索引 |- |glossary||用語集 |- |copyright||著作権についてのページ |- |made||作成者の連絡先をrev属性で指定。<nowiki>mailto:</nowiki>でメールアドレスを記述するのが一般的ですが、作成者と連絡が取れるのであればメールフォームなどのページを指定してもよい。 |- |chapter||章 |- |section||節 |- |subjection||項 |- |appendix||付録 |- |help||ヘルプページ |- |bookmark||文書内のジャンプ先 |} == base要素 == HTML5 4.2.3 The <dfn><code>base</code></dfn> element https://html.spec.whatwg.org/multipage/semantics.html#the-base-element ---- 以下、HTML4.01 以前についての記述 &lt;base href="URL"&gt;で、ページ内のすべてのリンクが、指定されたURLを基準にします。&lt;base href="URL" target="ターゲット"&gt;のようにしてtarget属性も指定することが可能。たとえば下のウェブページがhttp://ja.wikipedia.org/ だとして、 :<syntaxhighlight lang="html4strict"> <!DOCTYPE HTML PUBLIC "-//W3C//DTD HTML 4.01//EN" "http://www.w3.org/TR/html4/strict.dtd"> <html> <head> <title>ウィキブックスへのリンク</title> <base href="http://ja.wikibooks.org/"> </head> <body> <p><a href="./wiki/HTML">HTMLの教科書</a></p> </body> </html> </syntaxhighlight> と入力すると、http://ja.wikipedia.org/wiki/HTML ではなく、http://ja.wikibooks.org/wiki/HTML にリンクされます。 [[Category:HTML|HTML へつた]]
2005-08-27T17:35:46Z
2023-10-06T07:47:40Z
[]
https://ja.wikibooks.org/wiki/HTML/%E3%83%98%E3%83%83%E3%83%80
2,752
小学校国語
小学校の国語では、生きていく上で必要な言葉や字などについて、学習します。 これらの内容は社会生活において、とても大切ですから、本項目を通して、しっかりと学習していきましょう。 見たい学年のところをクリックしてください。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "小学校の国語では、生きていく上で必要な言葉や字などについて、学習します。", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "これらの内容は社会生活において、とても大切ですから、本項目を通して、しっかりと学習していきましょう。", "title": "" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "見たい学年のところをクリックしてください。", "title": "一覧" } ]
小学校(しょうがっこう)の国語(こくご)では、生(い)きていく上(うえ)で必要(ひつよう)な言葉(ことば)や字(じ)などについて、学習(がくしゅう)します。 これらの内容(ないよう)は社会生活(しゃかいせいかつ)において、とても大切(たいせつ)ですから、本項目(ほんこうもく)を通(とお)して、しっかりと学習(がくしゅう)していきましょう。
{{Pathnav|メインページ|小学校・中学校・高等学校の学習|小学校の学習|frame=1}} {{ruby|小学校|しょうがっこう}}の{{ruby|国語|こくご}}では、{{ruby|生|い}}きていく{{ruby|上|うえ}}で{{ruby|必要|ひつよう}}な{{ruby|言葉|ことば}}や{{ruby|字|じ}}などについて、{{ruby|学習|がくしゅう}}します。 これらの{{ruby|内容|ないよう}}は{{ruby|社会生活|しゃかいせいかつ}}において、とても{{ruby|大切|たいせつ}}ですから、{{ruby|本項目|ほんこうもく}}を{{ruby|通|とお}}して、しっかりと{{ruby|学習|がくしゅう}}していきましょう。 <!-- 編集者へ 小学生が見ることも考えられますので、編集の際には、学年別漢字配当表を参考にし、学年に応じた漢字を使う、振り仮名をつけるなどの考慮をしていただきますようお願い致します。--> == {{ruby|一覧|いちらん}} == {{ruby|見|み}}たい{{ruby|学年|がくねん}}のところをクリックしてください。 {{進捗状況}} * [[/1学年|1ねんせい]] {{進捗|50%|2013-12-21}} :: [[/漢字/1年生でならう漢字|1{{ruby|年生|ねんせい}}で{{ruby|学|まな}}ぶかん{{ruby|字|じ}}]] {{進捗|75%|2013-12-26}} :: [[/はやくち ことば|はやくち ことば]] {{進捗|25%|2014-10-08}} :: [[/おむすびころりん]] :: [[/おおきな かぶ]] * [[小学校国語/2学年|2年生]] {{進捗|25%|2014-10-08}} :: [[/漢字/2年生で習う漢字|2年生で学ぶかん字]] {{進捗|75%|2013-12-26}} :: [[/わらべうた|わらべうた]] * [[/3学年|3年生]] {{進捗|25%|2014-10-08}} :: [[/漢字/3年生で習う漢字|3年生で学ぶ{{ruby|漢|かん}}字]] {{進捗|75%|2013-12-26}} :: [[/いろはうた|いろはうた]] * [[/4学年|4年生]] {{進捗|00%|2013-12-19}} :: [[/漢字/4年生で習う漢字|4年生で学ぶ漢字]] {{進捗|75%|2013-12-26}} :: [[/ごんぎつね|ごんぎつね]](原作:{{ruby|新美南吉|にいみなんきち}}) :: [[/手ぶくろを買いに|手ぶくろを買いに]](原作:新美南吉){{進捗|100%|2018-07-08}} * [[/5学年|5年生]] {{進捗|00%|2013-12-19}} :: [[/漢字/5年生で習う漢字|5年生で学ぶ漢字]] {{進捗|75%|2013-12-26}} :古文 :: [[/枕草子|{{ruby|枕草子|まくらのそうし}}]](原作:{{ruby|清少納言|せいしょうなごん}}) :: [[/徒然草|{{ruby|徒然草|つれづれぐさ}}]](原作:{{ruby|兼好法師|けんこうほうし}}({{ruby|吉田兼好|よしだけんこう}})) :: [[/平家物語|{{ruby|平家物語|へいけものがたり}}]] :: [[/竹取物語|{{ruby|竹取物語|たけとりものがたり}}]] :漢文 :: [[/孔子|{{ruby|孔子|こうし}}]] :: [[/漢文|漢文]] :近代文学 :: [[小学校国語/雨ニモマケズ|雨ニモマケズ]](原作:{{ruby|宮澤賢治|みやざわけんじ}}) :: [[小学校国語/注文の多い料理店|注文の多い料理店]](原作:宮澤賢治) * [[小学校国語/6学年|6年生]] {{進捗|00%|2013-12-19}} :: [[小学校国語/漢字/6年生で習う漢字|6年生で学ぶ漢字]] {{進捗|75%|2013-12-26}} :古文 :: [[小学校国語/おくの細道|おくの細道]](原作:{{ruby|松尾芭蕉|まつおばしょう}}) :漢文 :: [[小学校国語/孔子|{{ruby|孔子|こうし}}]] * [[/ひらがな・カタカナ|ひらがな・<ruby><rb>カタカナ</rb><rp>(</rp><rt>かたかな</rt><rp>)</rp></ruby>]]{{進捗|100%|2006-07-23}} <br> * [[/漢字|<ruby><rb>漢字</rb><rp>(</rp><rt>かんじ</rt><rp>)</rp></ruby>]] {{進捗|50%|2013-12-26}} * [[/ローマ字|<ruby><rb>ローマ字</rb><rp>(</rp><rt>ろーまじ</rt><rp>)</rp></ruby>]] {{進捗|50%|2013-12-26}} * [[/表現|<ruby><rb>表現</rb><rp>(</rp><rt>ひょうげん</rt><rp>)</rp></ruby>]] {{進捗|00%|2013-12-19}} * [[/作文|<ruby><rb>作文</rb><rp>(</rp><rt>さくぶん</rt><rp>)</rp></ruby>]] {{進捗|00%|2013-12-19}} * [[/俳句|{{ruby|俳句|はいく}}]] ---- * [[小学校書写|小学校{{ruby|書写|しょしゃ}}]] ---- * [[中学受験国語]] {{進捗|00%|2014-01-05}} [[Category:小学校国語|*]] [[Category:小学校教育|国*]] [[Category:日本語|小*]]
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自然科学
メインページ > 自然科学
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メインページ > 自然科学
[[メインページ]] > '''自然科学''' {| style="float:right" |- |{{Wikipedia|自然科学|自然科学}} |- |{{Wikinews|自然科学|Category:自然科学|カテゴリ}} |- |{{蔵書一覧}} |- |{{進捗状況}} |} == 高等学校の学習 == *[[高等学校数学]] *[[高等学校理科]] *[[高等学校理数]] *[[高等学校工業]] *[[高等学校農業]] *[[高等学校水産]] *[[高等学校情報]] == [[大学の学習]] == === 基本分野 === *[[理学]] **[[数学]] **[[物理学]] **[[化学]] **[[生物学]] **[[地球科学]] **[[天文学]] === 応用分野 === *[[医学]] *[[歯学]] *[[薬学]] *[[獣医学]] *[[農学]] *[[水産学]] *[[工学]] *[[情報科学]] *[[環境科学]] {{NDC|400|*}} [[Category:自然科学|! しせんかかく]] [[Category:書庫|しせんかかく]]
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生物学
メインページ>生物学 生物学に関する文書・資料・教科書が収められる書庫です。収録内容は以下をご覧ください。 全生物の分類を目指すウィキプロジェクトウィキスピーシーズがあります。
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[[メインページ]]>生物学 {{NDC|460|せいふつかく}} {{NDC|470|せいふつかく}} {{NDC|480|せいふつかく}} {| style="float:right" |- |{{Wikipedia|生物学|生物学}} |- |{{Commons|Category:Biology}} |- |{{wikiversity|School:生物学|生物学}} |- |{{蔵書一覧}} |- |{{進捗状況}} |} 生物学に関する文書・資料・教科書が収められる書庫です。収録内容は以下をご覧ください。 ''全生物の分類を目指すウィキプロジェクト[[wikispecies:メインページ|ウィキスピーシーズ]]があります。'' == 初等教育用教科書 == * [[小学校理科]] {{進捗|75%|2014-03-14}} * [[中学校理科]] {{進捗|25%|2014-03-14}} * [[高等学校理科総合B]] {{進捗|25%|2014-03-14}} * [[高等学校生物]] {{進捗|50%|2005-11-17}} * [[大学受験生物]] {{進捗|25%|2014-03-14}}(※ 現段階では、リンク先の内容は学習方法のみ。) == 一般教科書 == === 対象生物学 === * [[動物学]] * [[植物学]] {{進捗|00%|2014-03-14}} * [[微生物学]] {{進捗|00%|2014-03-14}} * [[菌類学]] * [[分子生物学]] {{進捗|100%|2014-03-14}}(※ リンク先は医学カテゴリに移動。) === 生理・生化学 === * [[栄養学]] === 生態学 === * [[生態学]]{{進捗|00%|2014-03-14}} === 細胞・組織学 === * [[細胞生物学]] {{進捗|25%|2014-03-14}} === 進化生物学 === * [[進化生物学]] === その他 === * [[大学教養 理系学部の生物学]] {{進捗|25%|2018-12-07}} * [[生物学の研究技術]] {{進捗|00%|2014-03-14}} == 関連教科書 == === [[医学]] === *[[発生学]] {{DEFAULTSORT:せいふつかく}} [[Category:自然科学|せいふつかく]] [[Category:生物学|! せいふつかく]] [[Category:書庫|せいふつかく]]
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地球科学
メインページ > 地球科学 地球科学に関する文書・資料・教科書が収められる書庫です。収録内容は以下をご覧ください。
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メインページ > 地球科学 地球科学に関する文書・資料・教科書が収められる書庫です。収録内容は以下をご覧ください。
<small> [[メインページ]] > 地球科学 </small> ---- {| style="float:right" |- |{{Wikipedia|地球科学|地球科学}} |- |{{Commons|Category:Earth sciences}} |- |{{蔵書一覧}} |- |{{進捗状況}} |} 地球科学に関する文書・資料・教科書が収められる書庫です。収録内容は以下をご覧ください。 == 初等・中等教育用教科書 == * [[小学校理科]] * [[中学校理科]] * [[高等学校理科基礎]] * [[高等学校理科総合B]] * [[高等学校地学]] * [[大学受験地学]] == 一般教科書 == * [[地質学]] * [[岩石学]] * [[鉱物学]] * [[堆積学]] * [[鉱床学]] * [[地球化学]] * [[地球物理学]] * [[火山学]] * [[地形学]] * [[海洋学]] * [[水文学]] * [[雪氷学]] * [[土壌学]] * [[地震学]] * [[応用地質学]] * [[地球環境科学]] * [[古生物学]] * [[気象学]] * [[気候学]] * [[天文学]] [[Category:自然科学|ちきゆうかかく]] [[Category:地球科学|! ちきゆうかかく]] [[Category:書庫|ちきゆうかかく]]
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医学
メインページ > 医学 生物学と関連する項目がほとんどである。 各用語のWikipediaの項目を参照。(w: )で示した。
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メインページ > 医学
[[メインページ]] > 医学 {{NDC|490|*}} {| style="float:right" |- |{{Wikipedia|医学|医学}} |- |{{Wikisource|ポータル: 医学書|医学書}} |- |{{Wikiquote|Category:医師|医師}} |- |{{Wiktionary|Category:医学|医学}} |- |{{Wikinews|医学|Category:医学|カテゴリ}} |- |{{Commons|Category:Medicine}} |- |{{wikiversity|School:医学|医学}} |- |{{蔵書一覧}} |- |{{進捗状況}} |} == 中等教育用教科書 == * [[中学校理科]] * [[中学校保健]] * [[高等学校生物]] * [[高等学校保健体育保健|高等学校保健]] * [[高等学校看護]] (専門高校での専門科目) == 一般用教科書 == === 一般教養課目 === [[生物学]]と関連する項目がほとんどである。 *[[有機化学]] *[[細胞生物学]] *[[分子生物学]] *[[発生学]] *[[遺伝学]] *[[進化学]] === 基礎医学 === * [[解剖学]] ([[w:人体解剖学]]) ** [[組織学]] ([[w:組織学]]) ** [[肉眼解剖学]]=[[系統解剖学]] ([[w:系統解剖学]]) *** [[骨学]] (osteology)([[w:骨学]]) *** [[靭帯学]] (syndesmology)([[w:靭帯]]) *** [[筋学]] (myology)([[w:筋学]]) *** [[内臓学]] (splanchnology) *** [[感覚器学]] (aesthesiology) *** [[脈管学]] (angiology) ([[w:脈管学]]) *** [[神経解剖学]] (neuroanatomy) ([[w:神経解剖学]]) * [[生理学]] ([[w:生理学]]) * [[薬理学]]([[w:薬理学]])※ 総論のみ作成済み * [[病理学]]([[w:病理学]]) {{進捗|50%|2020-10-16}} ** [[漢方薬理学]]([[w:漢方薬]]) * [[微生物学]]([[w:微生物学]]) * [[免疫学]] ([[w:免疫学]]) * [[生化学]] ([[w:生化学]]) * [[公衆衛生学]]([[w:公衆衛生]]) * [[法医学]]([[w:法医学]]) === 臨床医学 === * [[内科学]] ([[w:内科学]])  ** [[内科学/神経学|神経学]] ([[w:神経学]])    ** [[内科学/循環器学|循環器学]] ([[w:循環器学]]) ** [[内科学 呼吸器学|呼吸器学]] ([[w:呼吸器学]])         ** [[内科学/消化器学|消化器学]] ([[w:消化器学]]) ** [[内科学/腎臓学|腎臓学]] ([[w:腎臓学]]) ** [[内科学/内分泌学|内分泌学]] ([[w:内分泌学]]) ** [[内科学/血液学|血液学]] ([[w:血液学]]) ** [[内科学/感染症学|感染症学]]([[w:感染症学]]) ** [[内科学/リウマチ学|リウマチ学]]([[w:リウマチ学]])=膠原病・リウマチ関連疾患についての学問 * [[外科学]] ([[w:外科学]]) ** [[外科学/脳神経外科学|脳神経外科学]] ([[w:脳神経外科学]]) ** [[外科学/心臓血管外科学|心臓血管外科学]] ([[w:心臓血管外科学]]) ** [[外科学/呼吸器外科学|呼吸器外科学]] ([[w:呼吸器外科学]]) ** [[外科学/消化器外科|消化器外科]] ([[w:消化器外科学]]) * [[婦人科学|婦人科学]]、[[内科学/産科学|産科学]] ([[w:婦人科学]]) ([[w:産科学]]) * [[精神科|精神科]] ([[w:精神科]]) * [[眼科学|眼科学]] ([[w:眼科学]]) * [[耳鼻咽喉科学|耳鼻咽喉科学]] ([[w:耳鼻咽喉科学]]) * [[皮膚科学|皮膚科学]] ([[w:皮膚科学]]) * [[泌尿器科学|泌尿器科学]] ([[w:泌尿器科学]]) * [[放射医学|放射線医学]] ([[w:放射線医学]]) * [[外科学/整形外科学|整形外科学]] ([[w:整形外科学]]) * [[小児科学]] ([[w:小児科学]]) ** [[小児科学/新生児学|新生児学]] ([[w:新生児学]]) ** [[小児科学/小児神経学|小児神経学]] ([[w:小児神経学]]) <!--小児科学/内科--> <!--小児科学/外科--> <!--小児科学/精神科--> * [[麻酔科学]] ([[w:麻酔科学]]) ** [[麻酔科学/ペインクリニック|ペインクリニック]] ([[w:ペインクリニック]]) * [[救急医学]] ([[w:救急医療]]) * [[緩和医療|緩和医療]] ([[w:緩和医療]]) === 応用的な関連項目 === 各用語のWikipediaの項目を参照。(w: )で示した。 * [[OsiriX オンライン解説文書]] [[Category:自然科学|いかく]] [[Category:医学|! いかく]] [[Category:書庫|いかく]]
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歴史学
歴史学に関する教科書が集められている書庫です。収録内容は以下をご覧下さい。
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歴史学に関する教科書が集められている書庫です。収録内容は以下をご覧下さい。
{{Pathnav|メインページ|frame=1}} {{History Title||歴史の書庫。}} 歴史学に関する教科書が集められている書庫です。収録内容は以下をご覧下さい。 {| style="float:right" |- |{{進捗状況}} |- |{{Wikiquote|歴史|歴史}} |- |{{Wikipedia|歴史学|歴史学}} |- |{{Wikiversity|School:歴史|歴史}} |- |{{蔵書一覧}} |} == 初等教育・中等教育の教科書 == * [[小学校社会/6学年/歴史編]] {{進捗|100%|2024-02-28}} ** [[小学校社会/6学年/歴史編/年表]] {{進捗|100%|2024-02-28}} ** [[小学校社会/6学年/歴史編/人物事典]] {{進捗|25%|2014-03-01}} * [[中学受験社会/歴史]] {{進捗|100%|2019-08-29}} * [[中学校社会 歴史]] {{進捗|25%|2014-03-01}} * [[高等学校世界史]] {{進捗|100%|2014-03-01}} ** [[高等学校世界史A]] 2単位 {{進捗|25%|2014-03-01}} ** [[高等学校世界史B]] 4単位 {{進捗|25%|2014-03-01}} * [[高等学校日本史]] {{進捗|100%|2014-03-01}} ** [[高等学校日本史A]] 2単位 ** [[高等学校日本史B]] 4単位 {{進捗|25%|2014-03-01}} == 一般の教科書 == * [[歴史学概論]] * [[世界史]] {{進捗|25%|2014-03-01}} * [[史観]] {{進捗|25%|2014-03-01}} === 各国史 === ==== アジア ==== ===== 東アジア ===== * [[日本史]] {{進捗|25%|2014-03-01}} * [[中国史]] {{進捗|25%|2014-03-01}} * [[香港の歴史|香港史]] {{進捗|25%|2014-03-01}} * [[マカオの歴史|マカオ史]] {{進捗|25%|2014-03-01}} * [[台湾の歴史|台湾史]] {{進捗|25%|2014-03-01}} * [[朝鮮の歴史|朝鮮史]] {{進捗|25%|2014-03-01}} ===== 東南アジア ===== * [[ベトナム史]] * [[カンボジア史]] * [[タイ史]] * [[マレーシア史]] * [[インドネシア史]] * [[フィリピン史]] ===== 西アジア・中東史 ===== * [[イスラエル史]] ==== アフリカ ==== * [[アフリカ史]] ==== アメリカ ==== * [[北アメリカ史]] * [[中央アメリカ史]] * [[南アメリカ史]] * [[アメリカ合衆国史]] {{進捗|25%|2014-03-01}} * [[カナダ史]] * [[ブラジル史]] ==== ヨーロッパ ==== * [[ヨーロッパ史]] ** [[イギリス史]] ** [[スコットランド史]] ** [[アイルランド史]] ** [[フランス史]] ** [[ドイツ史]] ** [[イタリア史]] ** [[スペイン史]] ** [[ポルトガル史]] ** [[オランダ史]] ** [[スイス史]] ** [[デンマーク史]] ** [[アイスランド史]] ** [[フィンランド史]] ** [[オーストリア史]] ** [[ポーランド史]] ** [[ロシア史]] ** 過去存在した国家 *** [[ビザンツ帝国]] *** [[ソビエト連邦|ソヴィエト社会主義共和国連邦]] ==== オセアニア ==== == 科学史 == === 自然科学 === * [[数学史]] * [[物理史]] * [[化学史]] * [[生物史]] === 社会科学史 === * [[経済史]] * [[歴史学史]] * [[文学史]] [[Category:人文科学|れきしかく]] [[Category:歴史|*]] [[Category:書庫|れきしかく]] {{NDC|201|*}} [[en:Wikibooks:History bookshelf]] [[ka:თარო:ისტორია]] [[sr:Викикњиге:Полица са књигама за историју]]
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2,766
古語活用表
日本語の古語の活用表
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日本語の古語の活用表 上一段動詞はつぎのとおりである。着る、似る、煮る、干(ひ)る、乾(ひ)る、簸(ひ)る、嚏(ひ)る、見る、うしろみる、おもんみる、かへりみる、かんがみる、こころみる、回(み)る、射(い)る、鋳(い)る、癒(い)る、沃(い)る、居(ゐ)る、率(ゐ)る、率(ひき)ゐる、用(もち)ゐる。 上一段は「きみにいいひ」(君にいい日)と覚える。 下一段活用は 蹴(け)る の1語のみである(←蹴ゑる)。 カ行変格活用は来(く)の1語のみである。 ヤ行上二段活用の動詞は、老(お)ゆ、悔(く)ゆ、報(むく)ゆ の3語のみである。 ア行下二段活用の動詞は、得(う)、心得(こころう)、所得(ところう) の3語のみである。 ワ行下二段活用の動詞は、植(う)う、飢(う)う、据(す)う の3語のみである。 ナ行変格活用は死ぬ、いぬ(往、去)のみである。 ラ行変格活用は、あり、居(を)り、侍(はべ)り、いますが(か)り、いまそが(か)り のみである。
{{pathnav|語学|日本語|frame=1}} {{pathnav|高等学校の学習|高等学校古文|frame=1}} 日本語の古語の活用表 {| class="wikitable" style="background:#fff" |+ 用言 |- | style="position: sticky;top: 0;border: solid #a2a9b1 1px;background: #eaecf0;vertical-align: bottom;"|品詞 | style="position: sticky;top: 0;border: solid #a2a9b1 1px;background: #eaecf0;vertical-align: bottom;"|活用の種類 | style="position: sticky;top: 0;border: solid #a2a9b1 1px;background: #eaecf0;vertical-align: bottom;"|例 | style="position: sticky;top: 0;border: solid #a2a9b1 1px;background: #eaecf0;vertical-align: bottom;"|語幹 | style="position: sticky;top: 0;border: solid #a2a9b1 1px;background: #eaecf0;vertical-align: bottom;"|未然形 | style="position: sticky;top: 0;border: solid #a2a9b1 1px;background: #eaecf0;vertical-align: bottom;"|連用形 | style="position: sticky;top: 0;border: solid #a2a9b1 1px;background: #eaecf0;vertical-align: bottom;"|終止形 | style="position: sticky;top: 0;border: solid #a2a9b1 1px;background: #eaecf0;vertical-align: bottom;"|連体形 | style="position: sticky;top: 0;border: solid #a2a9b1 1px;background: #eaecf0;vertical-align: bottom;"|已然形 | style="position: sticky;top: 0;border: solid #a2a9b1 1px;background: #eaecf0;vertical-align: bottom;"|命令形 |- |rowspan="9"|動詞||四段活用||飽く||飽||か||き||く||く||け||け |- |下一段活用||蹴る||(蹴)||け||け||ける||ける||けれ||けよ |- |下二段活用||受く||受||け||け||く||くる||くれ||けよ |- |上一段活用||着る||(着)||き||き||きる||きる||きれ||きよ |- |上二段活用||起く||起||き||き||く||くる||くれ||きよ |- |カ行変格活用||来||(来)||こ||き||く||くる||くれ||こ<br>こよ |- |サ行変格活用||為||(為)||せ||し||す||する||すれ||せよ |- |ナ行変格活用||死ぬ||死||な||に||ぬ||ぬる||ぬれ||ね |- |ラ行変格活用||有り||有||ら||り||り||る||れ||れ |- |rowspan="2"|形容詞||ク活用||多し||多||く<br>から||く<br>かり||し<br>かり||き<br>かる||けれ<br>かれ||&nbsp;<br>かれ |- |シク活用||美し||美||しく<br>しから||しく<br>しかり||し<br>&nbsp;||しき<br>しかる||しけれ<br>&nbsp;||&nbsp;<br>しかれ |- |rowspan="2"|形容動詞||ナリ活用||静かなり||静か||なら<br>&nbsp;||なり<br>に||なり<br>&nbsp;||なる<br>&nbsp;||なれ<br>&nbsp;||なれ<br>&nbsp; |- |タリ活用||堂々たり||堂々||たら<br>&nbsp;||たり<br>と||たり<br>&nbsp;||たる<br>&nbsp;||たれ<br>&nbsp;||たれ<br>&nbsp; |} *上一段動詞はつぎのとおりである。着る、似る、煮る、干(ひ)る、乾(ひ)る、簸(ひ)る、嚏(ひ)る、見る、うしろみる、おもんみる、かへりみる、かんがみる、こころみる、回(み)る、射(い)る、鋳(い)る、癒(い)る、沃(い)る、居(ゐ)る、率(ゐ)る、率(ひき)ゐる、用(もち)ゐる。 *上一段は「きみにいいひ」(君にいい日)と覚える。 *下一段活用は 蹴(け)る の1語のみである(←蹴(く)ゑる)。 *カ行変格活用は来(く)の1語のみである。 *ヤ行上二段活用の動詞は、老(お)ゆ、悔(く)ゆ、報(むく)ゆ の3語のみである。 *ア行下二段活用の動詞は、得(う)、心得(こころう)、所得(ところう) の3語のみである。 *ワ行下二段活用の動詞は、植(う)う、飢(う)う、据(す)う の3語のみである。 *ナ行変格活用は死ぬ、いぬ(往、去)のみである。 *ラ行変格活用は、あり、居(を)り、侍(はべ)り、いますが(か)り、いまそが(か)り のみである。 {| class="wikitable" style="background:#fff" |+ 助動詞 |- | style="position: sticky;top: 0;border: solid #a2a9b1 1px;background: #eaecf0;vertical-align: bottom;"|意味 | style="position: sticky;top: 0;border: solid #a2a9b1 1px;background: #eaecf0;vertical-align: bottom;"|語 | style="position: sticky;top: 0;border: solid #a2a9b1 1px;background: #eaecf0;vertical-align: bottom;"|接続 | style="position: sticky;top: 0;border: solid #a2a9b1 1px;background: #eaecf0;vertical-align: bottom;"|未然形 | style="position: sticky;top: 0;border: solid #a2a9b1 1px;background: #eaecf0;vertical-align: bottom;"|連用形 | style="position: sticky;top: 0;border: solid #a2a9b1 1px;background: #eaecf0;vertical-align: bottom;"|終止形 | style="position: sticky;top: 0;border: solid #a2a9b1 1px;background: #eaecf0;vertical-align: bottom;"|連体形 | style="position: sticky;top: 0;border: solid #a2a9b1 1px;background: #eaecf0;vertical-align: bottom;"|已然形 | style="position: sticky;top: 0;border: solid #a2a9b1 1px;background: #eaecf0;vertical-align: bottom;"|命令形 | style="position: sticky;top: 0;border: solid #a2a9b1 1px;background: #eaecf0;vertical-align: bottom;"|活用型 |- |rowspan="2"|自発<br>可能<br>受身||ゆ||四段・ナ変・ラ変動詞の未然形||え||え||ゆ||ゆる||○||○||下二段型 |- |らゆ||動詞「<ruby><rb>寝</rb><rp>(</rp><rt>ぬ</rt><rp>)</rp></ruby>」の未然形||らえ||○||○||○||○||○||下二段型 |- |尊敬||す||活用語の未然形||さ||し||す||す||せ||せ||四段型 |- |反復・継続||ふ||四段動詞の未然形||は||ひ||ふ||ふ||へ||へ||四段型 |- |rowspan="2"|自発・可能・<br>尊敬・受身。<br>動作・作用・状態の自然展開的<br>無作為的成立。||る||四段・ナ変・ラ変動詞の未然形||れ||れ||る||るる||るれ||れよ||下二段型 |- |らる||四段・ナ変・ラ変以外の動詞の未然形||られ||られ||らる||らるる||らるれ||られよ||下二段型 |- |rowspan="3"|使役<br>尊敬||す||四段・ナ変・ラ変動詞の未然形||せ||せ||す||する||すれ||せよ||下二段型 |- |さす||四段・ナ変・ラ変以外の動詞の未然形||させ||させ||さす||さする||さすれ||させよ||下二段型 |- |しむ||活用語の未然形||しめ||しめ||しむ||しむる||しむれ||しめよ||下二段型 |- |打消||ず||活用語の未然形||&nbsp;<br>ざら||に<br>ず<br>ざり||ず<br>&nbsp;||ぬ<br>ざる||ね<br>ざれ||&nbsp;<br>ざれ||特殊型<br>(無変化+四段+ラ変) |- |rowspan="2"|推量<br>意志<br>適当・勧誘<br>仮定・婉曲||む||活用語の未然形||○||○||む||む||め||○||四段型 |- |むず||活用語の未然形||○||○||むず||むずる||むずれ||○||サ変型 |- |反実仮想<br>実現不可能な願望・残念<br>ためらいの気持ち||まし||活用語の未然形||ましか<br>ませ||○||まし||まし||ましか||○||特殊型 |- |打消推量<br>打消意志||じ||活用語の未然形||○||○||じ||じ||じ||○||無変化形 |- |願望||まほし||活用語の未然形||まほしく<br>まほしから||まほしく<br>まほしかり||まほし<br>&nbsp;||まほしき<br>まほしかる||まほしけれ<br>&nbsp;||○||シク活用型 |- |記憶||き||活用語の連用形<br>カ変・サ変には特殊な接続<br>こし、こしか、きし、きしか<br>せし、せしか、しき||(せ)||○||き||し||しか||○||特殊型<br>未然形せには異説あり |- |気づき||けり||活用語の連用形||けら||○||けり||ける||けれ||○||ラ変型 |- |rowspan="2"|完了<br>強意<br>並列||つ||活用語の連用形||て||て||つ||つる||つれ||てよ||下二段型 |- |ぬ||活用語の連用形||な||に||ぬ||ぬる||ぬれ||ね||ナ変型 |- |rowspan="2"|完了<br>存続||たり||活用語の連用形||たら||たり||たり||たる||たれ||たれ||ラ変型 |- |り||四段の已然形<br>サ変の未然形<br>時枝文法では四段・サ変の命令形||ら||り||り||る||れ||れ||ラ変型 |- |過去推量<br>過去の原因推量<br>過去の伝聞・婉曲||けむ||活用語の連用形||○||○||けむ||けむ||けめ||○||四段型 |- |願望||たし||活用語の連用形||たく<br>たから||たく<br>たかり||たし<br>&nbsp;||たき<br>たかる||たけれ<br>&nbsp;||○||ク活用型 |- |推量<br>意志<br>可能<br>当然・義務<br>命令<br>適当・勧誘||べし||活用語の終止形<br>ただしラ変型は連体形||べく<br>べから||べく<br>べかり||べし<br>&nbsp;||べき<br>べかる||べけれ<br>&nbsp;||○||ク活用型 |- |現在推量<br>原因推量<br>伝聞・婉曲||らむ||活用語の終止形<br>ただしラ変型は連体形<br>上代は上一段動詞の連用形||○||○||らむ||らむ||らめ||○||四段型 |- |推定||らし||活用語の終止形<br>ただしラ変型は連体形<br>上代は上一段動詞の連用形||○||○||らし||らし<br>らしき||らし||○||無変化形 |- |推定<br>婉曲||めり||活用語の終止形<br>ただしラ変型は連体形||○||めり||めり||める||めれ||○||ラ変型 |- |推定<br>伝聞||なり||活用語の終止形<br>ただしラ変型は連体形||○||なり||なり||なる||なれ||○||ラ変型 |- |打消推量<br>打消意志<br>不可能<br>打消当然<br>禁止<br>不適当||まじ||活用語の終止形<br>ただしラ変型は連体形||まじく<br>まじから||まじく<br>まじかり||まじ<br>&nbsp;||まじき<br>まじかる||まじけれ<br>&nbsp;||○||シク活用型 |- |断定<br>所在・存在||なり||活用語の連体形<br>体言||なら<br>&nbsp;||なり<br>に||なり<br>&nbsp;||なる<br>&nbsp;||なれ<br>&nbsp;||なれ<br>&nbsp;||ナリ活用型 |- |断定||たり||体言||たら<br>&nbsp;||たり<br>と||たり<br>&nbsp;||たる<br>&nbsp;||たれ<br>&nbsp;||たれ<br>&nbsp;||タリ活用型 |- |比況<br>例示||ごとし||活用語の連体形<br>体言<br>助詞「が」「の」||ごとく||ごとく||ごとし||ごとき||○||○||ク活用型 |- |比況<br>例示<br>様子・状態<br>婉曲||やうなり||活用語の連体形<br>体言<br>助詞「が」「の」||やうなら<br>&nbsp;||やうなり<br>やうに||やうなり<br>&nbsp;||やうなる<br>&nbsp;||やうなれ<br>&nbsp;||○||ナリ活用型 |} [[Category:日本語|ここかつようひよう]]
2005-08-30T10:40:21Z
2023-08-15T11:44:14Z
[ "テンプレート:Pathnav" ]
https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%8F%A4%E8%AA%9E%E6%B4%BB%E7%94%A8%E8%A1%A8
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C言語メニュー
このページはページ分け案が出ているC言語の全体の目次部分として、既に使われている名前「C言語」を避けて執筆中のページです。本体、基本的な関数、良い書き方、環境依存な情報、凄い技の順で上から順番に読めば徐々に扱うものの幅が広がっていくようにしたつもりです。最終的には現在C言語と名付けられているページを別名に置き換え、このページをC言語とすることを目標としています。また、この節はこのページが改名された後削除されるべきです。 コンパイラ,プリプロセッサ、リンカ、デバッガやIDEといった各環境での開発環境の準備について 式、変数、関数、キーワードといったC言語自体の仕様について C言語ライブラリ等の基本的なライブラリを使ったプログラミングについて 無駄な処理を減らし、よりスムーズな方法を選択するテクニックについて 一般的に行われているインデントやコメントの使い方や、命名規則について インストゥルメーションや各種C言語に対応したデバッガの使い方について 様々な環境でC言語を使ってプログラムを書く際の環境依存なライブラリなどの情報と移植性について 腕自慢なあなたのとっておきのプログラミングについて
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "このページはページ分け案が出ているC言語の全体の目次部分として、既に使われている名前「C言語」を避けて執筆中のページです。本体、基本的な関数、良い書き方、環境依存な情報、凄い技の順で上から順番に読めば徐々に扱うものの幅が広がっていくようにしたつもりです。最終的には現在C言語と名付けられているページを別名に置き換え、このページをC言語とすることを目標としています。また、この節はこのページが改名された後削除されるべきです。", "title": "注意" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "コンパイラ,プリプロセッサ、リンカ、デバッガやIDEといった各環境での開発環境の準備について", "title": "準備" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "式、変数、関数、キーワードといったC言語自体の仕様について", "title": "さあ始めよう" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "C言語ライブラリ等の基本的なライブラリを使ったプログラミングについて", "title": "いろいろ動かしてみよう" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "無駄な処理を減らし、よりスムーズな方法を選択するテクニックについて", "title": "効率の良い書き方を考えよう" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "一般的に行われているインデントやコメントの使い方や、命名規則について", "title": "読みやすい書き方を考えよう" }, { "paragraph_id": 6, "tag": "p", "text": "インストゥルメーションや各種C言語に対応したデバッガの使い方について", "title": "問題点を捜し出そう" }, { "paragraph_id": 7, "tag": "p", "text": "様々な環境でC言語を使ってプログラムを書く際の環境依存なライブラリなどの情報と移植性について", "title": "それぞれのC言語" }, { "paragraph_id": 8, "tag": "p", "text": "腕自慢なあなたのとっておきのプログラミングについて", "title": "極めるC言語" } ]
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==注意== このページはページ分け案が出ているC言語の全体の目次部分として、既に使われている名前「C言語」を避けて執筆中のページです。本体、基本的な関数、良い書き方、環境依存な情報、凄い技の順で上から順番に読めば徐々に扱うものの幅が広がっていくようにしたつもりです。最終的には現在C言語と名付けられているページを別名に置き換え、このページをC言語とすることを目標としています。また、この節はこのページが改名された後削除されるべきです。 ==準備== コンパイラ,プリプロセッサ、リンカ、デバッガやIDEといった各環境での開発環境の準備について ==さあ始めよう== 式、変数、関数、キーワードといったC言語自体の仕様について :[[ANSI C]] :[[ISO C99]] ==いろいろ動かしてみよう== C言語ライブラリ等の基本的なライブラリを使ったプログラミングについて :[[math]] :[[stdio]] :[[stdlib]] ==効率の良い書き方を考えよう== 無駄な処理を減らし、よりスムーズな方法を選択するテクニックについて ==読みやすい書き方を考えよう== 一般的に行われているインデントやコメントの使い方や、命名規則について ==問題点を捜し出そう== インストゥルメーションや各種C言語に対応したデバッガの使い方について :[[インストゥルメーション]] :[[gdbの使い方]] ==それぞれのC言語== 様々な環境でC言語を使ってプログラムを書く際の環境依存なライブラリなどの情報と移植性について ==極めるC言語== 腕自慢なあなたのとっておきのプログラミングについて [[Category:C言語]]
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2005-09-03T00:58:37Z
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https://ja.wikibooks.org/wiki/C%E8%A8%80%E8%AA%9E%E3%83%A1%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC
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オブジェクト指向
メインページ > 工学 > 情報技術 > プログラミング > オブジェクト指向 「オブジェクト指向(Object-Oriented)」は、ソフトウェア工学の設計および開発のアプローチの一つです。このアプローチでは、システムやプログラムを「オブジェクト」と呼ばれる小さな部品に分割し、それらのオブジェクトがデータとそれに関連するメソッド(関数)を組み合わせて構成されます。 オブジェクト指向プログラミング(Object-Oriented Programming)(OOP)は、このアプローチを具現化したもので、主に以下の基本的な概念に基づいています: オブジェクト指向の歴史は、1960年代から1970年代初頭にかけてさかのぼりますが、実際の導入は1980年代以降が主流となりました。SmalltalkやSimulaといった言語が初期のオブジェクト指向プログラミング言語として知られています。 オブジェクト指向プログラミングに触発され、ソフトウェア工学の他の分野でも、オブジェクト指向に基づく手法が考案普及しました。 これらの手法を使用することで、ソフトウェアの開発が柔軟で保守性が高くなり、大規模で複雑なシステムの開発が容易になります。 その他のオブジェクト指向に関連する用語やアクロニムを挙げてみます。 これらの用語は、オブジェクト指向に関連する様々な側面や応用分野を表しています。それぞれが特定のコンセプトや技術に焦点を当てているため、コンテキストによって適切なものが選択されます。 オブジェクト指向プログラミング(Object-Oriented Programming, OOP)は、ソフトウェア開発のためのプログラミングパラダイムの一つです。このアプローチでは、システムやプログラムを「オブジェクト」と呼ばれる個別の要素に分割し、それらのオブジェクトがデータとそのデータを処理するメソッド(関数)を組み合わせて構築します。オブジェクト指向プログラミングは、以下の基本的な概念に基づいています。 クラスはオブジェクト指向プログラミングにおける基本的な構造で、オブジェクトを生成するための設計図やテンプレートです。クラスは属性(データメンバー)とメソッド(関数メンバー)を定義します。例えば、クラス "Car" があれば、その属性には "color" や "speed" などがあり、メソッドには "accelerate" や "brake" などが含まれます。 オブジェクトはクラスの実体であり、クラスから生成されたインスタンスです。クラスの設計図に基づいて作成され、特定のデータやメソッドを持ちます。例えば、クラス "Car" から生成されたオブジェクトは、特定の色や速度の車を表します。 インスタンスは、特定のクラスから生成された具体的なオブジェクトを指します。クラスは設計図やテンプレートであり、クラスから具体的なデータやメソッドを持つオブジェクトが生成されると、そのオブジェクトはそのクラスの「インスタンス」と呼ばれます。 例えば、クラスが「Car(車)」である場合、Carクラスのインスタンスは、特定の車を表す具体的なオブジェクトです。このインスタンスは、Carクラスの属性(例: color, speed)やメソッド(例: accelerate, brake)を持ち、Carクラスの設計に基づいて振る舞います。 継承は、既存のクラス(親クラスまたは基底クラス)から新しいクラス(子クラスまたは派生クラス)を作成するメカニズムです。子クラスは親クラスの属性やメソッドを引き継ぎ、それを拡張または変更することができます。これにより、コードの再利用性が向上し、階層構造を形成することができます。 例えば、CarクラスはVehicleクラス(乗物クラス)を継承することで、乗物の基本的な属性とメソッドを再利用あるいは再定義することで差分プログラミングを実現しましす。 ポリモーフィズムは、同じ名前のメソッドが異なるクラスで異なる振る舞いをすることを可能にする概念です。ポリモーフィズムは静的なもの(コンパイル時ポリモーフィズム)と動的なもの(ランタイムポリモーフィズム)があり、それぞれメソッドのオーバーロードやオーバーライドを通じて実現されます。 カプセル化は、データとそれに関連するメソッドを一つの単位にまとめ、外部からのアクセスを制御する仕組みを指します。クラス内でデータを隠蔽し、外部からは公開されたインターフェースを通じてアクセスすることで、データの整合性や安全性を確保します。 オブジェクト指向プログラミング言語において、クラスベース(Class-based)とプロトタイプベース(Prototype-based)は、オブジェクトの生成と振る舞いの定義において異なるアプローチを取る2つの主要なモデルです。 太字概要: クラスの概念がなく、オブジェクトは他のオブジェクトを複製して新しいオブジェクトを生成します。オブジェクトは動的に変更され、新しいメンバーを追加することができます。 これらの2つのアプローチは、オブジェクト生成と設計の観点から異なります。クラスベースは静的である一方、プロトタイプベースは動的であり、ランタイムにオブジェクトの構造が変更されることができます。各モデルには利点と制約があり、プログラミング言語や開発者の好みに応じて選択されます。 クラスベースのオブジェクト指向プログラミング言語は、プログラム内のオブジェクトをクラスとして定義し、それに基づいてインスタンスを生成する手法を採用しています。 以下は、代表的なクラスベースのオブジェクト指向プログラミング言語の特徴です。 代表的なクラスベースのオブジェクト指向プログラミング言語には、C++、Java、Ruby、Python、C#などがあります。 C++はクラスベースのオブジェクト指向プログラミング言語であり、オブジェクト指向の概念をサポートしています。以下に、C++におけるオブジェクト指向の基本的な要素を説明します。 // クラスの定義 class Vehicle { public: private: }; // 継承クラス class Car : public Vehicle { public: private: }; // ポリモーフィズムの利用 void performDrive(Vehicle& vehicle) { } int main() { } </sytaxhighlight> このコードは、クラスの設計、継承、ポリモーフィズム、カプセル化など、オブジェクト指向プログラミングの基本的な概念を示しています。 Javaはオブジェクト指向、クロスプラットフォーム、安全性、移植性に焦点を当てたプログラミング言語です。標準ライブラリが豊富で、ガベージコレクション、マルチスレッドサポート、広範なエコシステムも特徴です。Web、モバイル、エンタープライズアプリケーションで幅広く利用されています。 public class Main { } </sytaxhighlight> このコードは、オブジェクト指向プログラミング(OOP)の基本的な要素を示しています。以下に、コード内で使用されているOOPの要素について解説します: これらの要素により、コードは柔軟性があり、再利用性が高いOOPの原則に従っています。 Rubyは動的で柔軟な構文のオブジェクト指向プログラミング言語です。豊富な機能とメタプログラミングのサポートがあり、特にRailsフレームワークで知られています。シンプルなコードで高い生産性を提供し、Web開発やスクリプト作成に適しています。 class Vehicle end class Car < Vehicle end def perform_drive(vehicle) end my_car = Car.new("Sedan", "Toyota") my_car.start puts "Vehicle type: #{my_car.type}" my_car.type = "SUV" perform_drive(my_car) </sytaxhighlight> これらの要素により、コードはオブジェクト指向プログラミングの原則に従っており、柔軟性と再利用性が向上しています。 Pythonは直感的で読みやすい構文の高水準プログラミング言語です。豊富な標準ライブラリ、拡張性、動的型付けがあり、データサイエンス、AI、Web開発など幅広い用途に使用されます。大規模なコミュニティが存在し、学習が容易です。 class Vehicle: class Car(Vehicle): def perform_drive(vehicle): my_car = Car("Sedan", "Toyota") my_car.start() print(f"Vehicle type: {my_car.get_type}") my_car.set_type = "SUV" perform_drive(my_car) </sytaxhighlight> これらの要素により、コードはオブジェクト指向プログラミングの原則に則り、柔軟性と再利用性が向上しています。 C#はマイクロソフトにより開発されたオブジェクト指向のプログラミング言語で、強力な型システムと豊富な機能があります。WindowsアプリケーションやWeb開発に適しており、.NETフレームワークと統合されています。高い生産性と安全性を提供し、大規模なエコシステムが形成されています。 using System; // クラスの定義 public abstract class Vehicle { } // 継承クラス public class Car : Vehicle { } // ポリモーフィズムの利用 public class Program { } </sytaxhighlight> これらの要素により、コードはオブジェクト指向プログラミングの原則に従っており、柔軟性と再利用性が向上しています。 プロトタイプベースのオブジェクト指向プログラミング言語は、クラスの概念が存在せず、オブジェクトを直接複製して新しいオブジェクトを生成する手法を採用しています。以下は、代表的なプロトタイプベースのオブジェクト指向プログラミング言語の特徴です。 代表的なプロトタイプベースのオブジェクト指向プログラミング言語には、JavaScriptやLuaなどがあります。 JavaScriptは軽量かつ柔軟なスクリプト言語で、広くWebページの動的な操作に活用されています。イベント駆動型で非同期処理に強みを持ち、オブジェクト指向や関数型もサポートしています。主にブラウザ上でクライアントサイド開発に使われるほか、サーバーサイド(Node.js)でも利用可能で、多彩なライブラリとエコシステムが整備されています。 // オブジェクトの生成関数 function Vehicle(type) { } // オブジェクトの生成関数(継承) function Car(type, brand) { } // ポリモーフィズムの利用 function performDrive(vehicle) { } // オブジェクトの生成 const myCar = Car("Sedan", "Toyota"); // オブジェクトのメソッドの呼び出し myCar.start(); // ポリモーフィズムの利用 performDrive(myCar); </sytaxhighlight> このコードはプロトタイプベースのOOPの基本的な要素を活用しており、オブジェクトの生成、継承、プロトタイプチェーン、ポリモーフィズムの概念が組み込まれています。 Luaは軽量で埋め込み可能なスクリプト言語で、高い拡張性と柔軟性を備えています。組み込みシステムやゲームエンジンで幅広く利用され、シンプルで効率的な記述が可能です。動的型付けと自動ガベージコレクションを特長とし、C言語に容易に統合できます。 -- クラスの定義(テーブルを用いてオブジェクト指向を模倣) Vehicle = {} Vehicle.__index = Vehicle -- コンストラクタ function Vehicle.new(type) end -- メソッド function Vehicle:start() end -- 継承クラス Car = setmetatable({}, {__index = Vehicle}) -- コンストラクタ function Car.new(type, brand) end -- メソッドのオーバーライド function Car:drive() end -- ポリモーフィズムの利用 function performDrive(vehicle) end -- オブジェクトの生成 local myCar = Car.new("Sedan", "Toyota") -- クラスのメソッドの呼び出し myCar:start() -- ポリモーフィズムの利用 performDrive(myCar) </sytaxhighlight> Luaではクラスを直接サポートしていないため、テーブルとメタテーブルを使用してオブジェクト指向の概念を表現しています。 新興言語の多くがオブジェクト指向言語を積極的に採用しない理由は、これらの言語が特定の目標や設計原則に基づいて開発され、その背後にある哲学や価値観がオブジェクト指向とは異なる場合があります。以下に、Go、Rust、Haskell、およびZigのそれぞれにおいて、オブジェクト指向を採用しない理由を解説します。 総じて、これらの新興言語はシンプルで効率的な設計、メモリ安全性や型安全性、純粋関数型プログラミングなど、それぞれ異なる価値観や目標を持っています。これにより、オブジェクト指向を用いない選択が行われています。ただし、これらの言語も柔軟性を保つために、独自のアプローチや言語機能を提供しています。 オブジェクト指向分析(OOA)は、ソフトウェア開発の初期段階で行われるプロセスで、システムの要件を理解し、問題領域を抽象化してモデル化するための手法です。 以下にOOAについて詳しく説明します。 オブジェクト指向分析は、ソフトウェア開発プロセスにおいて要件の理解からシステムの設計に至るまでの重要なステップです。OOPの原則に基づいたモデル構築により、柔軟性、再利用性、メンテナンス性の向上を実現し、ソフトウェアの品質を向上させます。 オブジェクト指向設計(OOD)は、ソフトウェア開発のプロセスにおいて、オブジェクト指向プログラミング(OOP)の原則をもとにしてソフトウェアの構造を設計するプロセスです。OODは、システムの構造や相互作用を効果的かつ柔軟にモデル化し、開発者が保守可能で拡張可能なソフトウェアを構築することを目指します。以下に、OODに関する詳細な説明を示します。 オブジェクト指向設計は、ソフトウェアの柔軟かつ効果的な設計を行うための手法であり、OOPの原則を遵守しながらシステムを構築することで、保守性や拡張性を高め、高品質なソフトウェアを開発することが可能です。 オブジェクト指向ユーザーインターフェース(OOUI)は、ユーザーインターフェース(UI)の設計や開発において、オブジェクト指向プログラミング(OOP)の原則と概念を適用するアプローチです。OOUIは、UIをオブジェクト指向のプラクティスに基づいてモデル化し、柔軟性、再利用性、メンテナンス性を向上させることを目指しています。 オブジェクト指向ユーザーインターフェースは、洗練されたUIを開発するための効果的な手法であり、OOPの原則をUI設計に取り入れることで、柔軟性や再利用性を高め、ユーザーエクスペリエンスを向上させることが期待されます。このアプローチは、大規模なアプリケーションや複雑なユーザーインターフェースの設計に特に適しています。 オブジェクト指向プログラミングは、コードの再利用性を高めるための強力な手法を提供しています。 以下は、オブジェクト指向がコード再利用に寄与する主な点です: これらの要素を組み合わせることで、オブジェクト指向はコードの再利用性を向上させ、保守性や拡張性を高める効果的な手段となっています。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "メインページ > 工学 > 情報技術 > プログラミング > オブジェクト指向", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "「オブジェクト指向(Object-Oriented)」は、ソフトウェア工学の設計および開発のアプローチの一つです。このアプローチでは、システムやプログラムを「オブジェクト」と呼ばれる小さな部品に分割し、それらのオブジェクトがデータとそれに関連するメソッド(関数)を組み合わせて構成されます。", "title": "" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "オブジェクト指向プログラミング(Object-Oriented Programming)(OOP)は、このアプローチを具現化したもので、主に以下の基本的な概念に基づいています:", "title": "概要" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "オブジェクト指向の歴史は、1960年代から1970年代初頭にかけてさかのぼりますが、実際の導入は1980年代以降が主流となりました。SmalltalkやSimulaといった言語が初期のオブジェクト指向プログラミング言語として知られています。", "title": "概要" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "オブジェクト指向プログラミングに触発され、ソフトウェア工学の他の分野でも、オブジェクト指向に基づく手法が考案普及しました。", "title": "概要" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "これらの手法を使用することで、ソフトウェアの開発が柔軟で保守性が高くなり、大規模で複雑なシステムの開発が容易になります。", "title": "概要" }, { "paragraph_id": 6, "tag": "p", "text": "その他のオブジェクト指向に関連する用語やアクロニムを挙げてみます。", "title": "概要" }, { "paragraph_id": 7, "tag": "p", "text": "これらの用語は、オブジェクト指向に関連する様々な側面や応用分野を表しています。それぞれが特定のコンセプトや技術に焦点を当てているため、コンテキストによって適切なものが選択されます。", "title": "概要" }, { "paragraph_id": 8, "tag": "p", "text": "オブジェクト指向プログラミング(Object-Oriented Programming, OOP)は、ソフトウェア開発のためのプログラミングパラダイムの一つです。このアプローチでは、システムやプログラムを「オブジェクト」と呼ばれる個別の要素に分割し、それらのオブジェクトがデータとそのデータを処理するメソッド(関数)を組み合わせて構築します。オブジェクト指向プログラミングは、以下の基本的な概念に基づいています。", "title": "オブジェクト指向プログラミング(Object-Oriented Programming)" }, { "paragraph_id": 9, "tag": "p", "text": "", "title": "オブジェクト指向プログラミング(Object-Oriented Programming)" }, { "paragraph_id": 10, "tag": "p", "text": "クラスはオブジェクト指向プログラミングにおける基本的な構造で、オブジェクトを生成するための設計図やテンプレートです。クラスは属性(データメンバー)とメソッド(関数メンバー)を定義します。例えば、クラス \"Car\" があれば、その属性には \"color\" や \"speed\" などがあり、メソッドには \"accelerate\" や \"brake\" などが含まれます。", "title": "オブジェクト指向プログラミング(Object-Oriented Programming)" }, { "paragraph_id": 11, "tag": "p", "text": "オブジェクトはクラスの実体であり、クラスから生成されたインスタンスです。クラスの設計図に基づいて作成され、特定のデータやメソッドを持ちます。例えば、クラス \"Car\" から生成されたオブジェクトは、特定の色や速度の車を表します。", "title": "オブジェクト指向プログラミング(Object-Oriented Programming)" }, { "paragraph_id": 12, "tag": "p", "text": "インスタンスは、特定のクラスから生成された具体的なオブジェクトを指します。クラスは設計図やテンプレートであり、クラスから具体的なデータやメソッドを持つオブジェクトが生成されると、そのオブジェクトはそのクラスの「インスタンス」と呼ばれます。", "title": "オブジェクト指向プログラミング(Object-Oriented Programming)" }, { "paragraph_id": 13, "tag": "p", "text": "例えば、クラスが「Car(車)」である場合、Carクラスのインスタンスは、特定の車を表す具体的なオブジェクトです。このインスタンスは、Carクラスの属性(例: color, speed)やメソッド(例: accelerate, brake)を持ち、Carクラスの設計に基づいて振る舞います。", "title": "オブジェクト指向プログラミング(Object-Oriented Programming)" }, { "paragraph_id": 14, "tag": "p", "text": "継承は、既存のクラス(親クラスまたは基底クラス)から新しいクラス(子クラスまたは派生クラス)を作成するメカニズムです。子クラスは親クラスの属性やメソッドを引き継ぎ、それを拡張または変更することができます。これにより、コードの再利用性が向上し、階層構造を形成することができます。", "title": "オブジェクト指向プログラミング(Object-Oriented Programming)" }, { "paragraph_id": 15, "tag": "p", "text": "例えば、CarクラスはVehicleクラス(乗物クラス)を継承することで、乗物の基本的な属性とメソッドを再利用あるいは再定義することで差分プログラミングを実現しましす。", "title": "オブジェクト指向プログラミング(Object-Oriented Programming)" }, { "paragraph_id": 16, "tag": "p", "text": "ポリモーフィズムは、同じ名前のメソッドが異なるクラスで異なる振る舞いをすることを可能にする概念です。ポリモーフィズムは静的なもの(コンパイル時ポリモーフィズム)と動的なもの(ランタイムポリモーフィズム)があり、それぞれメソッドのオーバーロードやオーバーライドを通じて実現されます。", "title": "オブジェクト指向プログラミング(Object-Oriented Programming)" }, { "paragraph_id": 17, "tag": "p", "text": "カプセル化は、データとそれに関連するメソッドを一つの単位にまとめ、外部からのアクセスを制御する仕組みを指します。クラス内でデータを隠蔽し、外部からは公開されたインターフェースを通じてアクセスすることで、データの整合性や安全性を確保します。", "title": "オブジェクト指向プログラミング(Object-Oriented Programming)" }, { "paragraph_id": 18, "tag": "p", "text": "オブジェクト指向プログラミング言語において、クラスベース(Class-based)とプロトタイプベース(Prototype-based)は、オブジェクトの生成と振る舞いの定義において異なるアプローチを取る2つの主要なモデルです。", "title": "クラスベースとプロトタイプベース" }, { "paragraph_id": 19, "tag": "p", "text": "太字概要: クラスの概念がなく、オブジェクトは他のオブジェクトを複製して新しいオブジェクトを生成します。オブジェクトは動的に変更され、新しいメンバーを追加することができます。", "title": "クラスベースとプロトタイプベース" }, { "paragraph_id": 20, "tag": "p", "text": "これらの2つのアプローチは、オブジェクト生成と設計の観点から異なります。クラスベースは静的である一方、プロトタイプベースは動的であり、ランタイムにオブジェクトの構造が変更されることができます。各モデルには利点と制約があり、プログラミング言語や開発者の好みに応じて選択されます。", "title": "クラスベースとプロトタイプベース" }, { "paragraph_id": 21, "tag": "p", "text": "クラスベースのオブジェクト指向プログラミング言語は、プログラム内のオブジェクトをクラスとして定義し、それに基づいてインスタンスを生成する手法を採用しています。", "title": "クラスベースのオブジェクト指向プログラミング言語" }, { "paragraph_id": 22, "tag": "p", "text": "以下は、代表的なクラスベースのオブジェクト指向プログラミング言語の特徴です。", "title": "クラスベースのオブジェクト指向プログラミング言語" }, { "paragraph_id": 23, "tag": "p", "text": "代表的なクラスベースのオブジェクト指向プログラミング言語には、C++、Java、Ruby、Python、C#などがあります。", "title": "クラスベースのオブジェクト指向プログラミング言語" }, { "paragraph_id": 24, "tag": "p", "text": "C++はクラスベースのオブジェクト指向プログラミング言語であり、オブジェクト指向の概念をサポートしています。以下に、C++におけるオブジェクト指向の基本的な要素を説明します。", "title": "クラスベースのオブジェクト指向プログラミング言語" }, { "paragraph_id": 25, "tag": "p", "text": "// クラスの定義 class Vehicle { public:", "title": "クラスベースのオブジェクト指向プログラミング言語" }, { "paragraph_id": 26, "tag": "p", "text": "private:", "title": "クラスベースのオブジェクト指向プログラミング言語" }, { 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"総じて、これらの新興言語はシンプルで効率的な設計、メモリ安全性や型安全性、純粋関数型プログラミングなど、それぞれ異なる価値観や目標を持っています。これにより、オブジェクト指向を用いない選択が行われています。ただし、これらの言語も柔軟性を保つために、独自のアプローチや言語機能を提供しています。", "title": "新興言語にはオブジェクト指向言語が少ないのはなぜ?" }, { "paragraph_id": 104, "tag": "p", "text": "オブジェクト指向分析(OOA)は、ソフトウェア開発の初期段階で行われるプロセスで、システムの要件を理解し、問題領域を抽象化してモデル化するための手法です。", "title": "オブジェクト指向分析(OOA:Object-Oriented Analysis)" }, { "paragraph_id": 105, "tag": "p", "text": "以下にOOAについて詳しく説明します。", "title": "オブジェクト指向分析(OOA:Object-Oriented Analysis)" }, { "paragraph_id": 106, "tag": "p", "text": "オブジェクト指向分析は、ソフトウェア開発プロセスにおいて要件の理解からシステムの設計に至るまでの重要なステップです。OOPの原則に基づいたモデル構築により、柔軟性、再利用性、メンテナンス性の向上を実現し、ソフトウェアの品質を向上させます。", "title": "オブジェクト指向分析(OOA:Object-Oriented Analysis)" }, { "paragraph_id": 107, "tag": "p", "text": "オブジェクト指向設計(OOD)は、ソフトウェア開発のプロセスにおいて、オブジェクト指向プログラミング(OOP)の原則をもとにしてソフトウェアの構造を設計するプロセスです。OODは、システムの構造や相互作用を効果的かつ柔軟にモデル化し、開発者が保守可能で拡張可能なソフトウェアを構築することを目指します。以下に、OODに関する詳細な説明を示します。", "title": "オブジェクト指向設計(OOD:Object-Oriented Design)" }, { "paragraph_id": 108, "tag": "p", "text": "オブジェクト指向設計は、ソフトウェアの柔軟かつ効果的な設計を行うための手法であり、OOPの原則を遵守しながらシステムを構築することで、保守性や拡張性を高め、高品質なソフトウェアを開発することが可能です。", "title": "オブジェクト指向設計(OOD:Object-Oriented Design)" }, { "paragraph_id": 109, "tag": "p", "text": "オブジェクト指向ユーザーインターフェース(OOUI)は、ユーザーインターフェース(UI)の設計や開発において、オブジェクト指向プログラミング(OOP)の原則と概念を適用するアプローチです。OOUIは、UIをオブジェクト指向のプラクティスに基づいてモデル化し、柔軟性、再利用性、メンテナンス性を向上させることを目指しています。", "title": "オブジェクト指向ユーザーインターフェース(Object-Oriented User Interface)" }, { "paragraph_id": 110, "tag": "p", "text": "オブジェクト指向ユーザーインターフェースは、洗練されたUIを開発するための効果的な手法であり、OOPの原則をUI設計に取り入れることで、柔軟性や再利用性を高め、ユーザーエクスペリエンスを向上させることが期待されます。このアプローチは、大規模なアプリケーションや複雑なユーザーインターフェースの設計に特に適しています。", "title": "オブジェクト指向ユーザーインターフェース(Object-Oriented User Interface)" }, { "paragraph_id": 111, "tag": "p", "text": "オブジェクト指向プログラミングは、コードの再利用性を高めるための強力な手法を提供しています。", "title": "コード再利用の手法としての「オブジェクト指向」" }, { "paragraph_id": 112, "tag": "p", "text": "以下は、オブジェクト指向がコード再利用に寄与する主な点です:", "title": "コード再利用の手法としての「オブジェクト指向」" }, { 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メインページ > 工学 > 情報技術 > プログラミング > オブジェクト指向 「オブジェクト指向(Object-Oriented)」は、ソフトウェア工学の設計および開発のアプローチの一つです。このアプローチでは、システムやプログラムを「オブジェクト」と呼ばれる小さな部品に分割し、それらのオブジェクトがデータとそれに関連するメソッド(関数)を組み合わせて構成されます。
<small>{{Pathnav|メインページ|工学|情報技術|プログラミング}}</small> {{Wikipedia|オブジェクト指向|オブジェクト指向}} {{Wikipedia|オブジェクト指向プログラミング|オブジェクト指向プログラミング}} 「'''オブジェクト指向'''(Object-Oriented)」は、ソフトウェア工学の設計および開発のアプローチの一つです。このアプローチでは、システムやプログラムを「オブジェクト」と呼ばれる小さな部品に分割し、それらのオブジェクトがデータとそれに関連するメソッド(関数)を組み合わせて構成されます。 == 概要 == '''[[#オブジェクト指向プログラミング(Object-Oriented Programming)|オブジェクト指向プログラミング(Object-Oriented Programming)]]'''(OOP)は、このアプローチを具現化したもので、主に以下の基本的な概念に基づいています: ;[[#クラス(Class)|クラス(Class)]]: クラスはオブジェクトの設計図であり、オブジェクトを生成するためのテンプレートです。クラスには属性(データメンバー)とメソッド(関数メンバー)が含まれます。 ;[[#オブジェクト(Object)|オブジェクト(Object)]]: オブジェクトはクラスの実体であり、データとそのデータを処理するメソッドを持っています。オブジェクトはクラスのインスタンスです。 ;[[#インスタンス(Instance)|インスタンス(Instance)]]:インスタンスは、特定のクラスから生成された具体的なオブジェクトを指します。クラスは設計図やテンプレートであり、クラスから具体的なデータやメソッドを持つオブジェクトが生成されると、そのオブジェクトはそのクラスの「インスタンス」と呼ばれます。 ;[[#継承(Inheritance)|継承(Inheritance)]]: 継承は、既存のクラスから新しいクラスを作成するためのメカニズムです。これにより、既存のクラスの属性とメソッドを再利用でき、コードの再利用性と保守性が向上します。 ;[[#ポリモーフィズム(Polymorphism)|ポリモーフィズム(Polymorphism)]]: ポリモーフィズムは、同じ名前のメソッドが異なるクラスで異なる振る舞いをすることを可能にする概念です。これにより、コードの柔軟性と拡張性が向上します。 ;[[#カプセル化(Encapsulation)|カプセル化(Encapsulation)]]:カプセル化は、データとそれに関連する操作(メソッド)を一つの単位にまとめ、外部からのアクセスを制御する仕組みを指します。これにより、データの隠蔽と安全な操作が実現され、オブジェクト指向の主要な特性である「情報隠蔽」が実現されます。 オブジェクト指向の歴史は、1960年代から1970年代初頭にかけてさかのぼりますが、実際の導入は1980年代以降が主流となりました。SmalltalkやSimulaといった言語が初期のオブジェクト指向プログラミング言語として知られています。 オブジェクト指向プログラミングに触発され、ソフトウェア工学の他の分野でも、オブジェクト指向に基づく手法が考案普及しました。 ;[[#オブジェクト指向分析(OOA:Object-Oriented Analysis)|オブジェクト指向分析(OOA:Object-Oriented Analysis)]]:オブジェクト指向分析は、システムを抽象的な視点から捉え、要求分析を行います。 ;[[#オブジェクト指向設計(OOD:Object-Oriented Design)|オブジェクト指向設計(OOD:Object-Oriented Design)]]:オブジェクト指向設計は、OOAの結果に基づいて具体的な実装の計画を立て、クラスやオブジェクトの関係を設計します。 ;[[#オブジェクト指向ユーザーインターフェース(Object-Oriented User Interface)|オブジェクト指向ユーザーインターフェース(Object-Oriented User Interface)]]:オブジェクト指向ユーザーインターフェースは、ユーザーアプリケーションの開発において、オブジェクト指向プログラミングの原則を適用してユーザーインターフェース(UI)を設計するアプローチを指します。 これらの手法を使用することで、ソフトウェアの開発が柔軟で保守性が高くなり、大規模で複雑なシステムの開発が容易になります。 その他のオブジェクト指向に関連する用語やアクロニムを挙げてみます。 ;ORM(Object-Relational Mapping): データベースとオブジェクト指向プログラミングの間でデータを変換する手法や技術を指します。オブジェクトとリレーショナルデータベースの間でのデータのマッピングを行います。 :OODBMS(Object-Oriented Database Management System): オブジェクト指向データベース管理システム。データベースの管理と操作をオブジェクト指向の原則に基づいて行うためのデータベース管理システム。 ;OOPIC(Object-Oriented Programming in C): C言語をベースにしてオブジェクト指向プログラミングを実現する手法やライブラリを指します。C言語でのオブジェクト指向の実践を指向しています。 これらの用語は、オブジェクト指向に関連する様々な側面や応用分野を表しています。それぞれが特定のコンセプトや技術に焦点を当てているため、コンテキストによって適切なものが選択されます。 {{コラム|「オブジェクト指向」はバズワード?|2=「オブジェクト指向」は、バズワードというよりも、プログラミングやソフトウェア開発における重要な概念やデザインパラダイムを指す一般的な用語です。バズワードはしばしば一時的な流行や宣伝のために過剰に使用され、その本質が漠然としていることがありますが、オブジェクト指向はソフトウェア開発において長く確立された概念として存在しています。 オブジェクト指向は、プログラミング言語や開発手法の設計において、コードの再利用性、保守性、拡張性などの利点をもたらすとされています。多くの主要なプログラミング言語(C++、Java、JavaScript、Python、Rubyなど)がオブジェクト指向プログラミングを採用しており、これによって多くの開発者がこの概念に親しんでいます。 ただし、時折、オブジェクト指向が「宗教的な信念」のように扱われ、適切なコンテキストでの使用や理解を超えて抽象的に使われることがあるかもしれません。しかし、その多くはオブジェクト指向の原則や利点を強調するために行われるもので、バズワードとして否定的な意味合いを持つことは一般的ではありません。 }} == オブジェクト指向プログラミング(Object-Oriented Programming) == オブジェクト指向プログラミング(Object-Oriented Programming, OOP)は、ソフトウェア開発のためのプログラミングパラダイムの一つです。このアプローチでは、システムやプログラムを「オブジェクト」と呼ばれる個別の要素に分割し、それらのオブジェクトがデータとそのデータを処理するメソッド(関数)を組み合わせて構築します。オブジェクト指向プログラミングは、以下の基本的な概念に基づいています。 === クラス(Class)=== クラスはオブジェクト指向プログラミングにおける基本的な構造で、オブジェクトを生成するための設計図やテンプレートです。クラスは属性(データメンバー)とメソッド(関数メンバー)を定義します。例えば、クラス "Car" があれば、その属性には "color" や "speed" などがあり、メソッドには "accelerate" や "brake" などが含まれます。 === オブジェクト(Object)=== オブジェクトはクラスの実体であり、クラスから生成されたインスタンスです。クラスの設計図に基づいて作成され、特定のデータやメソッドを持ちます。例えば、クラス "Car" から生成されたオブジェクトは、特定の色や速度の車を表します。 === インスタンス(Instance) === インスタンスは、特定のクラスから生成された具体的なオブジェクトを指します。クラスは設計図やテンプレートであり、クラスから具体的なデータやメソッドを持つオブジェクトが生成されると、そのオブジェクトはそのクラスの「インスタンス」と呼ばれます。 例えば、クラスが「Car(車)」である場合、Carクラスのインスタンスは、特定の車を表す具体的なオブジェクトです。このインスタンスは、Carクラスの属性(例: color, speed)やメソッド(例: accelerate, brake)を持ち、Carクラスの設計に基づいて振る舞います。 === 継承(Inheritance) === 継承は、既存のクラス(親クラスまたは基底クラス)から新しいクラス(子クラスまたは派生クラス)を作成するメカニズムです。子クラスは親クラスの属性やメソッドを引き継ぎ、それを拡張または変更することができます。これにより、コードの再利用性が向上し、階層構造を形成することができます。 例えば、CarクラスはVehicleクラス(乗物クラス)を継承することで、乗物の基本的な属性とメソッドを再利用あるいは再定義することで差分プログラミングを実現しましす。 === ポリモーフィズム(Polymorphism)=== ポリモーフィズムは、同じ名前のメソッドが異なるクラスで異なる振る舞いをすることを可能にする概念です。ポリモーフィズムは静的なもの(コンパイル時ポリモーフィズム)と動的なもの(ランタイムポリモーフィズム)があり、それぞれメソッドのオーバーロードやオーバーライドを通じて実現されます。 === カプセル化(Encapsulation)=== カプセル化は、データとそれに関連するメソッドを一つの単位にまとめ、外部からのアクセスを制御する仕組みを指します。クラス内でデータを隠蔽し、外部からは公開されたインターフェースを通じてアクセスすることで、データの整合性や安全性を確保します。 == クラスベースとプロトタイプベース == オブジェクト指向プログラミング言語において、クラスベース(Class-based)とプロトタイプベース(Prototype-based)は、オブジェクトの生成と振る舞いの定義において異なるアプローチを取る2つの主要なモデルです。 ;クラスベース(Class-based) :;特徴: クラスベースのオブジェクト指向は、クラスという静的な設計要素を使用してオブジェクトを生成します。 :;概要: クラスはオブジェクトの設計図であり、オブジェクトはそのクラスから生成されます。クラスは属性(データメンバー)とメソッド(関数メンバー)を定義し、オブジェクトはこれらの定義に基づいて生成されます。 ::例: JavaやC++などの言語がクラスベースのオブジェクト指向を採用しています。 ;プロトタイプベース(Prototype-based): :;特徴: プロトタイプベースのオブジェクト指向は、オブジェクト自体がプロトタイプ(原型)となり、新しいオブジェクトは既存のオブジェクトを複製することで生成されます。 '''太字'''概要: クラスの概念がなく、オブジェクトは他のオブジェクトを複製して新しいオブジェクトを生成します。オブジェクトは動的に変更され、新しいメンバーを追加することができます。 ::例: JavaScriptやLuaなど一部のスクリプト言語がプロトタイプベースのオブジェクト指向を採用しています。 これらの2つのアプローチは、オブジェクト生成と設計の観点から異なります。クラスベースは静的である一方、プロトタイプベースは動的であり、ランタイムにオブジェクトの構造が変更されることができます。各モデルには利点と制約があり、プログラミング言語や開発者の好みに応じて選択されます。 == クラスベースのオブジェクト指向プログラミング言語 == クラスベースのオブジェクト指向プログラミング言語は、プログラム内のオブジェクトをクラスとして定義し、それに基づいてインスタンスを生成する手法を採用しています。 以下は、代表的なクラスベースのオブジェクト指向プログラミング言語の特徴です。 ;クラスの定義:プログラマは事前にクラスを定義し、そのクラス内にデータメンバーやメソッドを含めます。これはオブジェクトの設計図となります。 ;インスタンスの生成:定義されたクラスから実際のオブジェクト(インスタンス)を生成することができます。これにより、同じクラスから複数のオブジェクトが作成できます。 ;継承:クラスベースの言語では、既存のクラスから新しいクラスを派生させることができます。これにより、既存のクラスの機能を再利用しながら、新しい機能を追加することができます。 ;ポリモーフィズム:同じ名前のメソッドが複数のクラスで異なる動作をすることができます。これは静的なポリモーフィズム(オーバーロード)や動的なポリモーフィズム(オーバーライド)として実現されます。 ;カプセル化:データとそれに関連するメソッドをクラス内にまとめ、外部からはクラスの公開されたインターフェースを通じてアクセスできるようにします。 代表的なクラスベースのオブジェクト指向プログラミング言語には、C++、Java、Ruby、Python、C#などがあります。 === C++ === C++はクラスベースのオブジェクト指向プログラミング言語であり、オブジェクト指向の概念をサポートしています。以下に、C++におけるオブジェクト指向の基本的な要素を説明します。 :<sytaxhighlight lang=c++> #include <iostream> #include <string> // クラスの定義 class Vehicle { public: // コンストラクタ Vehicle(std::string type) : type(type) {} // メソッド void start() { std::cout << "The " << type << " is starting." << std::endl; } // 純粋仮想関数(継承クラスでオーバーライドすることが期待される関数) virtual void drive() = 0; // ゲッターとセッター std::string getType() const { return type; } void setType(std::string newType) { type = newType; } private: // カプセル化: データメンバを private にし、公開するインターフェースを提供 std::string type; }; // 継承クラス class Car : public Vehicle { public: // コンストラクタ Car(std::string type, std::string brand) : Vehicle(type), brand(brand) {} // メソッドのオーバーライド void drive() override { std::cout << "Driving the " << getType() << " car from " << brand << "." << std::endl; } private: std::string brand; }; // ポリモーフィズムの利用 void performDrive(Vehicle& vehicle) { vehicle.drive(); } int main() { // オブジェクトの生成 Car myCar("Sedan", "Toyota"); // クラスのメソッドの呼び出し myCar.start(); // ゲッターの利用 std::cout << "Vehicle type: " << myCar.getType() << std::endl; // セッターの利用 myCar.setType("SUV"); // ポリモーフィズムの利用 performDrive(myCar); return 0; } </sytaxhighlight> # クラスの定義(Vehicle): #* <code>Vehicle</code> クラスは、オブジェクトの設計図として機能します。<code>start</code> メソッドで車の始動を表示し、<code>drive</code> メソッドは純粋仮想関数として定義されています。 # 継承クラス(Car): #* <code>Car</code> クラスは <code>Vehicle</code> クラスを継承しています。継承により、<code>Car</code> クラスは <code>Vehicle</code> クラスのメソッドやデータにアクセスできます。<code>drive</code> メソッドをオーバーライドして、車の運転を表示しています。 # ポリモーフィズムの利用: #* <code>performDrive</code> 関数は基底クラスの参照を受け取り、ポリモーフィズムを示しています。この関数を通じて、<code>Vehicle</code> クラスとその派生クラス(ここでは <code>Car</code>)の異なる実装が呼び出されます。 # メイン関数: #* <code>main</code> 関数では、<code>Car</code> クラスのオブジェクトを生成し、そのメソッドや機能を呼び出しています。クラスのメソッドやゲッター・セッター、ポリモーフィズムが効果的に利用されています。 このコードは、クラスの設計、継承、ポリモーフィズム、カプセル化など、オブジェクト指向プログラミングの基本的な概念を示しています。 === Java === Javaはオブジェクト指向、クロスプラットフォーム、安全性、移植性に焦点を当てたプログラミング言語です。標準ライブラリが豊富で、ガベージコレクション、マルチスレッドサポート、広範なエコシステムも特徴です。Web、モバイル、エンタープライズアプリケーションで幅広く利用されています。 :<sytaxhighlight lang=java> public class Main { public static void performDrive(Vehicle vehicle) { vehicle.drive(); } public static void main(String[] args) { Car myCar = new Car("Sedan", "Toyota"); myCar.start(); System.out.println("Vehicle type: " + myCar.getType()); myCar.setType("SUV"); performDrive(myCar); } // Vehicleクラス static abstract class Vehicle { private String type; public Vehicle(String type) { this.type = type; } public void start() { System.out.println("The " + type + " is starting."); } public abstract void drive(); public String getType() { return type; } public void setType(String newType) { type = newType; } } // Carクラス static class Car extends Vehicle { private String brand; public Car(String type, String brand) { super(type); this.brand = brand; } public void drive() { System.out.println("Driving the " + getType() + " car from " + brand + "."); } } } </sytaxhighlight> このコードは、オブジェクト指向プログラミング(OOP)の基本的な要素を示しています。以下に、コード内で使用されているOOPの要素について解説します: ; クラス (Class): <code>Vehicle</code> と <code>Car</code> はクラスです。クラスはオブジェクトの設計図であり、それに基づいてオブジェクトが生成されます。 ; オブジェクト (Object): <code>Car myCar = new Car("Sedan", "Toyota");</code> で、<code>Car</code> クラスから <code>myCar</code> という具体的なオブジェクトが生成されています。 ; 継承 (Inheritance): <code>Car</code> クラスは <code>Vehicle</code> クラスを継承しています。これにより、<code>Car</code> は <code>Vehicle</code> のメソッドや属性を引き継ぎつつ、独自の機能を追加できます。 ; ポリモーフィズム (Polymorphism): <code>performDrive</code> メソッドでは、<code>Vehicle</code> クラスを引数として受け取り、その <code>drive</code> メソッドを呼び出しています。これにより、<code>Car</code> クラスが <code>Vehicle</code> クラスを継承していることから、<code>performDrive(myCar)</code> で <code>Car</code> クラスの <code>drive</code> メソッドが呼び出されます。 ; 抽象クラスと抽象メソッド: <code>Vehicle</code> クラスには抽象メソッド <code>drive</code> があります。抽象クラスと抽象メソッドは、継承クラスで必ずオーバーライドされるべきメソッドを示します。 ; カプセル化 (Encapsulation): クラス内でのデータの隠蔽とアクセス制御が行われています。例えば、<code>type</code> フィールドは <code>private</code> であり、<code>getType</code> や <code>setType</code> を通じてアクセスされます。 これらの要素により、コードは柔軟性があり、再利用性が高いOOPの原則に従っています。 === Ruby === Rubyは動的で柔軟な構文のオブジェクト指向プログラミング言語です。豊富な機能とメタプログラミングのサポートがあり、特にRailsフレームワークで知られています。シンプルなコードで高い生産性を提供し、Web開発やスクリプト作成に適しています。 :<sytaxhighlight lang=ruby> # クラスの定義 class Vehicle # コンストラクタ def initialize(type) @type = type end # メソッド def start puts "The #{@type} is starting." end # 抽象メソッド(サブクラスで実装されることが期待される) def drive raise NotImplementedError, "Subclasses must implement the 'drive' method." end # ゲッターとセッター def type @type end def type=(new_type) @type = new_type end end # 継承クラス class Car < Vehicle # コンストラクタ def initialize(type, brand) super(type) @brand = brand end # メソッドのオーバーライド def drive puts "Driving the #{type} car from #{@brand}." end end # ポリモーフィズムの利用 def perform_drive(vehicle) vehicle.drive end # オブジェクトの生成 my_car = Car.new("Sedan", "Toyota") # クラスのメソッドの呼び出し my_car.start # ゲッターの利用 puts "Vehicle type: #{my_car.type}" # セッターの利用 my_car.type = "SUV" # ポリモーフィズムの利用 perform_drive(my_car) </sytaxhighlight> ; クラス (Class): <code>Vehicle</code> と <code>Car</code> はクラスです。クラスはオブジェクトの設計図であり、共通の属性やメソッドを持つオブジェクトの定義です。 ; オブジェクト (Object): <code>my_car</code> は <code>Car</code> クラスのインスタンスで、オブジェクトとして扱われます。オブジェクトはクラスの実体であり、それぞれが独自の状態を持ちます。 ; コンストラクタ: <code>initialize</code> メソッドがコンストラクタとして機能し、オブジェクトの初期化を担当します。 ; 継承 (Inheritance): <code>Car</code> クラスは <code>Vehicle</code> クラスを継承しています。これにより、<code>Car</code> は <code>Vehicle</code> の属性やメソッドを引き継ぎます。 ; メソッド (Method): <code>start</code> メソッドや <code>drive</code> メソッドなど、クラス内で定義された振る舞いや操作がメソッドとして実装されています。 ; ポリモーフィズム (Polymorphism): <code>perform_drive</code> メソッドがポリモーフィズムを示しています。このメソッドは <code>Vehicle</code> クラスを引数として受け取り、引数の <code>drive</code> メソッドを呼び出しています。これにより、実際のクラスの型に関係なく同じメソッドが呼び出せます。 ; カプセル化 (Encapsulation): インスタンス変数 (<code>@type</code>, <code>@brand</code>) はクラス内でカプセル化されており、外部から直接アクセスされることはありません。ゲッター (<code>type</code>) およびセッター (<code>type=</code>) メソッドを介してデータにアクセスします。 これらの要素により、コードはオブジェクト指向プログラミングの原則に従っており、柔軟性と再利用性が向上しています。 === Python === Pythonは直感的で読みやすい構文の高水準プログラミング言語です。豊富な標準ライブラリ、拡張性、動的型付けがあり、データサイエンス、AI、Web開発など幅広い用途に使用されます。大規模なコミュニティが存在し、学習が容易です。 :<sytaxhighlight lang=python3> # クラスの定義 class Vehicle: # コンストラクタ def __init__(self, type): self.type = type # メソッド def start(self): print(f"The {self.type} is starting.") # 抽象メソッド(サブクラスで実装されることが期待される) def drive(self): raise NotImplementedError("Subclasses must implement the 'drive' method.") # ゲッターとセッター @property def get_type(self): return self.type @property def set_type(self, new_type): self.type = new_type # 継承クラス class Car(Vehicle): # コンストラクタ def __init__(self, type, brand): super().__init__(type) self.brand = brand # メソッドのオーバーライド def drive(self): print(f"Driving the {self.get_type} car from {self.brand}.") # ポリモーフィズムの利用 def perform_drive(vehicle): vehicle.drive() # オブジェクトの生成 my_car = Car("Sedan", "Toyota") # クラスのメソッドの呼び出し my_car.start() # ゲッターの利用 print(f"Vehicle type: {my_car.get_type}") # セッターの利用 my_car.set_type = "SUV" # ポリモーフィズムの利用 perform_drive(my_car) </sytaxhighlight> ; クラス (Class): <code>Vehicle</code> および <code>Car</code> はクラスです。クラスはオブジェクトの設計図であり、属性とメソッドを定義します。 ; オブジェクト (Object): <code>my_car</code> は <code>Car</code> クラスのインスタンスで、実行時にメモリ上に存在する実体です。オブジェクトはクラスから生成されるものです。 ; コンストラクタ: <code>__init__</code> メソッドがコンストラクタとして機能し、オブジェクトの初期化を担当します。 ; 継承 (Inheritance): <code>Car</code> クラスは <code>Vehicle</code> クラスを継承しています。これにより、<code>Car</code> は <code>Vehicle</code> のメソッドや属性を継承します。 ; メソッド (Method): <code>start</code> メソッドや <code>drive</code> メソッドなど、クラス内で定義された振る舞いや操作がメソッドとして実装されています。 ; ポリモーフィズム (Polymorphism): <code>perform_drive</code> 関数がポリモーフィズムを示しています。この関数は <code>Vehicle</code> クラスのインスタンスを引数として受け取り、その <code>drive</code> メソッドを呼び出します。これにより、実際のクラスの型に関係なく同じメソッドが呼び出せます。 ; プロパティ (Property): <code>@property</code> デコレータを使用して、<code>get_type</code> メソッドと <code>set_type</code> メソッドをプロパティとして定義しています。これにより、属性へのアクセスがメソッド呼び出しのように見えます。 これらの要素により、コードはオブジェクト指向プログラミングの原則に則り、柔軟性と再利用性が向上しています。 === C# === C#はマイクロソフトにより開発されたオブジェクト指向のプログラミング言語で、強力な型システムと豊富な機能があります。WindowsアプリケーションやWeb開発に適しており、.NETフレームワークと統合されています。高い生産性と安全性を提供し、大規模なエコシステムが形成されています。 :<sytaxhighlight lang=c#> using System; // クラスの定義 public abstract class Vehicle { // プロパティ public string Type { get; set; } // コンストラクタ public Vehicle(string type) { Type = type; } // メソッド(抽象メソッド) public abstract void Start(); // メソッド public abstract void Drive(); } // 継承クラス public class Car : Vehicle { // プロパティ public string Brand { get; set; } // コンストラクタ public Car(string type, string brand) : base(type) { Brand = brand; } // メソッドのオーバーライド public override void Start() { Console.WriteLine($"The {Type} is starting."); } // メソッドのオーバーライド public override void Drive() { Console.WriteLine($"Driving the {Type} car from {Brand}."); } } // ポリモーフィズムの利用 public class Program { public static void PerformDrive(Vehicle vehicle) { vehicle.Drive(); } public static void Main() { // オブジェクトの生成 Car myCar = new Car("Sedan", "Toyota"); // クラスのメソッドの呼び出し myCar.Start(); // ポリモーフィズムの利用 PerformDrive(myCar); } } </sytaxhighlight> ; クラス (Class): <code>Vehicle</code> および <code>Car</code> はクラスです。クラスはオブジェクトの設計図であり、属性とメソッドを定義します。 ; オブジェクト (Object): <code>myCar</code> は <code>Car</code> クラスのインスタンスで、実行時にメモリ上に存在する実体です。オブジェクトはクラスから生成されるものです。 ; プロパティ (Property): <code>Type</code> および <code>Brand</code> はクラス内のプロパティです。プロパティはクラスの状態を表し、外部からアクセスされることがあります。 ; コンストラクタ: <code>Vehicle</code> クラスと <code>Car</code> クラスにはコンストラクタがあり、オブジェクトの初期化を担当します。 ; 継承 (Inheritance): <code>Car</code> クラスは <code>Vehicle</code> クラスを継承しています。これにより、<code>Car</code> は <code>Vehicle</code> のメソッドやプロパティを継承します。 ; メソッド (Method): <code>Start</code> メソッドおよび <code>Drive</code> メソッドなど、クラス内で定義された振る舞いや操作がメソッドとして実装されています。 ; 抽象クラスと抽象メソッド: <code>Vehicle</code> クラスには抽象メソッド <code>Start</code> および <code>Drive</code> があります。抽象クラスと抽象メソッドは、継承クラスで必ずオーバーライドされるべきメソッドを示します。 ; ポリモーフィズム (Polymorphism): <code>PerformDrive</code> メソッドがポリモーフィズムを示しています。このメソッドは <code>Vehicle</code> クラスのインスタンスを引数として受け取り、その <code>Drive</code> メソッドを呼び出します。これにより、実際のクラスの型に関係なく同じメソッドが呼び出せます。 これらの要素により、コードはオブジェクト指向プログラミングの原則に従っており、柔軟性と再利用性が向上しています。 == プロトタイプベースのオブジェクト指向プログラミング言語 == プロトタイプベースのオブジェクト指向プログラミング言語は、クラスの概念が存在せず、オブジェクトを直接複製して新しいオブジェクトを生成する手法を採用しています。以下は、代表的なプロトタイプベースのオブジェクト指向プログラミング言語の特徴です。 ;プロトタイプの定義:プログラマは事前にプロトタイプとなるオブジェクトを定義します。このプロトタイプが基となり、新しいオブジェクトはこれを複製することで生成されます。 ;オブジェクトの複製:既存のオブジェクトを直接複製して新しいオブジェクトを作成することができます。このプロセスはプロトタイプのメソッドやデータを新しいオブジェクトにも含めるものです。 ;継承(プロトタイプのチェーン):オブジェクトは、それを生成したプロトタイプとの関連性を保ちます。これにより、プロトタイプの変更がそれを複製した全てのオブジェクトに影響を与える可能性があります。 ;ポリモーフィズム:プロトタイプベースの言語でもポリモーフィズムをサポートすることができます。同じメソッド名を持つ複数のオブジェクトが異なる振る舞いを示すことがあります。 ;カプセル化:プロトタイプベースのアプローチでは、オブジェクトが直接データやメソッドを保持するため、カプセル化の概念は存在しますが、クラスベースのような厳密な区分けはありません。 代表的なプロトタイプベースのオブジェクト指向プログラミング言語には、JavaScriptやLuaなどがあります。 === JavaScript === JavaScriptは軽量かつ柔軟なスクリプト言語で、広くWebページの動的な操作に活用されています。イベント駆動型で非同期処理に強みを持ち、オブジェクト指向や関数型もサポートしています。主にブラウザ上でクライアントサイド開発に使われるほか、サーバーサイド(Node.js)でも利用可能で、多彩なライブラリとエコシステムが整備されています。 :<sytaxhighlight lang=js> // オブジェクトの生成関数 function Vehicle(type) { return { type: type, start: function() { console.log(`The ${this.type} is starting.`); } }; } // オブジェクトの生成関数(継承) function Car(type, brand) { const vehicle = Vehicle(type); return Object.assign(vehicle, { brand: brand, drive: function() { console.log(`Driving the ${this.type} car from ${this.brand}.`); } }); } // ポリモーフィズムの利用 function performDrive(vehicle) { vehicle.drive(); } // オブジェクトの生成 const myCar = Car("Sedan", "Toyota"); // オブジェクトのメソッドの呼び出し myCar.start(); // ポリモーフィズムの利用 performDrive(myCar); </sytaxhighlight> ; オブジェクトの生成関数: <code>Vehicle</code>関数は、新しいオブジェクトを生成するためのファクトリー関数です。<code>Vehicle</code> 相当のオブジェクトを生成します。 ; プロトタイプオブジェクト: <code>Vehicle</code>関数内のオブジェクトリテラルが <code>Vehicle</code> 相当のプロトタイプオブジェクトです。これは <code>type</code> プロパティと <code>start</code> メソッドを持ちます。 ; オブジェクトの生成関数(継承): <code>Car</code>関数もファクトリー関数で、<code>Car</code> 相当のオブジェクトを生成します。<code>Object.assign</code>を使用して <code>Vehicle</code> 相当のオブジェクトを継承します。 ; プロトタイプチェーン: <code>Car</code>関数で生成された <code>myCar</code> オブジェクトは、<code>Vehicle</code>で生成されたオブジェクトを継承しています。これにより、プロトタイプチェーンが形成され、<code>start</code> メソッドが利用可能です。 ; ポリモーフィズムの利用: <code>performDrive</code> 関数はポリモーフィズムを示しており、異なるオブジェクトタイプを受け入れ、それぞれの <code>drive</code> メソッドを呼び出します。 このコードはプロトタイプベースのOOPの基本的な要素を活用しており、オブジェクトの生成、継承、プロトタイプチェーン、ポリモーフィズムの概念が組み込まれています。 === Lua === Luaは軽量で埋め込み可能なスクリプト言語で、高い拡張性と柔軟性を備えています。組み込みシステムやゲームエンジンで幅広く利用され、シンプルで効率的な記述が可能です。動的型付けと自動ガベージコレクションを特長とし、C言語に容易に統合できます。 :<sytaxhighlight lang=lua> -- クラスの定義(テーブルを用いてオブジェクト指向を模倣) Vehicle = {} Vehicle.__index = Vehicle -- コンストラクタ function Vehicle.new(type) local self = setmetatable({}, Vehicle) self.type = type return self end -- メソッド function Vehicle:start() print("The " .. self.type .. " is starting.") end -- 継承クラス Car = setmetatable({}, {__index = Vehicle}) -- コンストラクタ function Car.new(type, brand) local self = setmetatable(Vehicle.new(type), Car) self.brand = brand return self end -- メソッドのオーバーライド function Car:drive() print("Driving the " .. self.type .. " car from " .. self.brand .. ".") end -- ポリモーフィズムの利用 function performDrive(vehicle) vehicle:drive() end -- オブジェクトの生成 local myCar = Car.new("Sedan", "Toyota") -- クラスのメソッドの呼び出し myCar:start() -- ポリモーフィズムの利用 performDrive(myCar) </sytaxhighlight> ; クラス (Class): <code>Vehicle</code> および <code>Car</code> はクラスのように振る舞います。テーブルを用いてオブジェクト指向的な概念を模倣しています。 ; オブジェクト (Object): <code>myCar</code> は <code>Car</code> クラスのオブジェクトで、クラスのインスタンスです。 ; コンストラクタ (Constructor): <code>new</code> 関数がコンストラクタとして機能し、新しいオブジェクトを生成して初期化します。 ; 継承 (Inheritance): <code>Car</code> クラスが <code>Vehicle</code> クラスを継承しています。これにより、<code>Car</code> は <code>Vehicle</code> のプロパティとメソッドを共有します。 ; メソッド (Method): <code>start</code> メソッドおよび <code>drive</code> メソッドはクラス内で定義された振る舞いを表します。 ; ポリモーフィズム (Polymorphism): <code>performDrive</code> 関数がポリモーフィズムを示しています。これにより、異なるクラスのオブジェクトを受け入れ、それぞれの <code>drive</code> メソッドを呼び出す柔軟性があります。 Luaではクラスを直接サポートしていないため、テーブルとメタテーブルを使用してオブジェクト指向の概念を表現しています。 == 新興言語にはオブジェクト指向言語が少ないのはなぜ? == 新興言語の多くがオブジェクト指向言語を積極的に採用しない理由は、これらの言語が特定の目標や設計原則に基づいて開発され、その背後にある哲学や価値観がオブジェクト指向とは異なる場合があります。以下に、Go、Rust、Haskell、およびZigのそれぞれにおいて、オブジェクト指向を採用しない理由を解説します。 ;Go(Golang) :;シンプルで効率的な言語設計:Goはシンプルで効率的な設計を目指しており、冗長性を排除して直感的な言語を提供します。オブジェクト指向の複雑な概念や機能が、Goの設計哲学に合致しないと考えられています。 :;インターフェースの導入:Goではオブジェクト指向の代替として、インターフェースを導入しています。これにより、型を抽象化し、柔軟で再利用可能なコードを実現しています。 ;Rust :;所有権システムの重視:Rustはメモリ安全性を強調し、所有権システムを採用しています。この設計により、ランタイムのオーバーヘッドを最小限に抑え、高いパフォーマンスを実現しています。オブジェクト指向の一般的なアプローチとは異なる所有権モデルが、Rustの特徴となっています。 :;トレイトシステムの活用:Rustではオブジェクト指向の代替として、トレイトシステムを活用しています。これにより、型にメソッドを追加する柔軟性を提供しています。 ;Haskell :;純粋関数型言語の性質:Haskellは純粋関数型言語であり、副作用のない純粋な関数を重視しています。オブジェクト指向の概念は、副作用のある操作や状態変更に焦点を当てるため、Haskellの設計哲学とは異なります。 :;型クラスとモナド:Haskellでは型クラスやモナドなどの概念が、オブジェクト指向のアプローチに代わる形で採用されています。これらの概念により、型に関数を結びつけることが可能です。 ;Zig :;制御構造の優先:Zigは低レベルの制御構造やメモリ管理に焦点を当てており、オブジェクト指向の複雑さが不要であるという立場をとっています。 :;明示的なデータ表現:Zigではデータ表現が明示的であり、オブジェクト指向における抽象化が避けられています。代わりに、データ構造や関数の明示性が重視されています。 総じて、これらの新興言語はシンプルで効率的な設計、メモリ安全性や型安全性、純粋関数型プログラミングなど、それぞれ異なる価値観や目標を持っています。これにより、オブジェクト指向を用いない選択が行われています。ただし、これらの言語も柔軟性を保つために、独自のアプローチや言語機能を提供しています。 == オブジェクト指向分析(OOA:Object-Oriented Analysis) == オブジェクト指向分析(OOA)は、ソフトウェア開発の初期段階で行われるプロセスで、システムの要件を理解し、問題領域を抽象化してモデル化するための手法です。 以下にOOAについて詳しく説明します。 === OOAの基本概念 === ; オブジェクト指向の視点:OOAはオブジェクト指向プログラミング(OOP)の基本概念をもとにしています。これにはクラス、オブジェクト、継承、ポリモーフィズムなどが含まれます。 ;要件の理解:OOAはシステムやソフトウェアの要件を明確に理解するために始まります。ユーザーのニーズや問題領域に焦点を当て、それを形式化します。 ;モデリング:要件をもとに、システム内の概念やエンティティを特定し、それらをモデル化します。これにより、現実の問題領域を抽象化して扱いやすい形にします。 ;クラスとオブジェクト:モデル化された要素を基に、クラスとオブジェクトを定義します。クラスは抽象化された概念を表し、オブジェクトはクラスのインスタンスです。 ;関連性の特定:システム内の要素やオブジェクト同士の関連性を特定し、それらの関係をモデルに反映させます。これにより、システム内でのデータや機能の流れを把握します。 ;継承とポリモーフィズム:OOAでは継承の概念を使用して、共通の特性を持つクラスを抽出します。また、ポリモーフィズムを利用して異なるクラスが同じメソッド名を共有することで柔軟性を高めます。 ;クラス階層:クラス階層を構築し、抽象クラスやインターフェースを使用してシステム内の構造を整理します。これにより、クラス間の関係性や特性の継承が明確になります。 ;ユースケース分析:ユーザーがシステムをどのように使用するかをユースケースとしてモデル化し、それに基づいてシステムの振る舞いを把握します。 ;精緻なモデル構築:ユーザー要件やビジネスプロセスをさらに詳細にモデル化し、システムの動作やデータの流れを具体的に把握します。 === OOAの利点 === ;抽象化と再利用:OOAは抽象化により問題領域を効果的にモデル化し、再利用可能なコンポーネントの構築を可能にします。 ;柔軟性と拡張性:クラスやオブジェクト指向の原則を遵守することで、システムの柔軟性と拡張性が向上します。 ;ユーザー要件への適合:OOAはユーザーの要件に焦点を当て、それに基づいてシステムを構築するため、ユーザー満足度を向上させます。 ;メンテナンスの容易性:クラスやオブジェクト指向の特性により、コードのメンテナンスが容易になります。変更が発生した場合でも、関連するクラスだけを変更することが可能です。 ;モジュール性:OOAはモジュール性を重視し、機能単位でモデル化することで、システムの部品ごとの理解と再利用が容易になります。 === 結論 === オブジェクト指向分析は、ソフトウェア開発プロセスにおいて要件の理解からシステムの設計に至るまでの重要なステップです。OOPの原則に基づいたモデル構築により、柔軟性、再利用性、メンテナンス性の向上を実現し、ソフトウェアの品質を向上させます。 == オブジェクト指向設計(OOD:Object-Oriented Design) == オブジェクト指向設計(OOD)は、ソフトウェア開発のプロセスにおいて、オブジェクト指向プログラミング(OOP)の原則をもとにしてソフトウェアの構造を設計するプロセスです。OODは、システムの構造や相互作用を効果的かつ柔軟にモデル化し、開発者が保守可能で拡張可能なソフトウェアを構築することを目指します。以下に、OODに関する詳細な説明を示します。 === OODの主要な概念と原則 === ;クラスとオブジェクト:OODの出発点は、クラスとオブジェクトです。クラスは抽象データ型を定義し、オブジェクトはそのクラスのインスタンスです。 ;継承:OODでは、既存のクラスから新しいクラスを作成することができる継承の概念が重要です。これにより、既存のクラスの機能を再利用し、新しいクラスでこれを拡張できます。 ;カプセル化:データと操作をクラスにカプセル化することで、外部からのアクセスを制限し、データの安全性やセキュリティを確保します。 ;ポリモーフィズム:同じインターフェースやメソッドを複数のクラスが共有することで、柔軟性と拡張性を高めるポリモーフィズムの原則がOOPにおいても重要です。 ;抽象化:OODでは抽象化を用いて、問題領域や要件を適切な抽象レベルまで簡略化し、理解しやすい形にします。 === OODのプロセス === ;要件収集:システムの要求事項を理解し、利害関係者とのコミュニケーションを通じて必要な機能や制約を収集します。 ;ユーザーケース分析:利害関係者がシステムをどのように使用するかをユーザーケースとしてモデル化し、システムの外部からの期待される振る舞いを把握します。 ;クラス設計:要求事項とユーザーケースから派生し、システム内の主要な概念やエンティティを表現するクラスを設計します。 ;クラス間の関係性の特定:クラス同士の依存関係や関連性を特定し、クラスダイアグラムなどの手法を使用してモデル化します。 ;継承とポリモーフィズムの検討:システム内のクラスが共通の機能を共有する場合、継承やポリモーフィズムを活用して柔軟性を確保します。 ;クラス階層の構築:クラス階層を構築し、クラス間の関係を整理します。抽象クラスやインターフェースを利用して設計の柔軟性を高めます。 ;メソッドとデータの設計:各クラスにおいて、メソッドやデータの具体的な設計を行います。これにはカプセル化の原則が考慮されます。 ;設計の文書化:設計の概念や意図、クラス階層、関係性などを文書化し、開発者や関係者が設計を理解しやすくします。 === OODの利点 === ;柔軟性と拡張性:OODにより、システムの変更や拡張が容易になります。 ;メンテナンスの容易性:カプセル化やクラスの階層化により、コードのメンテナンスが効率的に行えます。 ;再利用性:継承やポリモーフィズムにより、既存のクラスやモジュールを再利用しやすくなります。 ;理解しやすい構造:クラスやオブジェクト指向の原則に基づいたモデルは、開発者や他の関係者にとって理解しやすい構造を提供します。 ;要件との一致:OODは要件に基づいて設計が行われるため、開発されたシステムがユーザーの要求を満たすことが期待されます。 === 結論 === オブジェクト指向設計は、ソフトウェアの柔軟かつ効果的な設計を行うための手法であり、OOPの原則を遵守しながらシステムを構築することで、保守性や拡張性を高め、高品質なソフトウェアを開発することが可能です。 == オブジェクト指向ユーザーインターフェース(Object-Oriented User Interface) == オブジェクト指向ユーザーインターフェース(OOUI)は、ユーザーインターフェース(UI)の設計や開発において、オブジェクト指向プログラミング(OOP)の原則と概念を適用するアプローチです。OOUIは、UIをオブジェクト指向のプラクティスに基づいてモデル化し、柔軟性、再利用性、メンテナンス性を向上させることを目指しています。 === OOUIの基本概念 === ;オブジェクト指向の原則:OOUIは、クラス、オブジェクト、継承、ポリモーフィズム、カプセル化など、オブジェクト指向の基本原則をUIの設計に適用します。 ;UI要素の抽象化:各UI要素(ボタン、テキストボックス、ウィンドウなど)をオブジェクトとしてモデル化し、それらをクラスとして定義します。これにより、UI要素の特性や振る舞いを抽象化できます。 ;カプセル化:カプセル化は、UI要素のデータや振る舞いをクラスに内包し、外部からの直接アクセスを制限します。これにより、UIの安全性や保守性が向上します。 ;継承と再利用:UI要素の共通の特性や振る舞いを持つクラスを設計し、これを継承することでコードの再利用を促進します。例えば、共通のスタイルやイベントハンドリング機能を提供する基底クラスを定義することがあります。 ;ポリモーフィズム:ポリモーフィズムを利用して、異なるUI要素が同じイベントや操作に対して異なる振る舞いを示すことができます。これにより、柔軟性が向上し、異なるUI要素が統一された方法で扱えます。 ;イベント駆動プログラミング:イベント駆動の考え方を取り入れ、ユーザーの操作(クリック、キー入力など)に対して特定の処理が実行されるようにデザインします。 === OOUIの開発プロセス === ;要件定義:UIの要件を明確にし、ユーザーの期待を理解します。ユーザーストーリーやユーザーケースを通じて、UIの機能や特性を洗い出します。 ;モデリング:UI要素をオブジェクトとしてモデル化し、これらのオブジェクト間の関係性や振る舞いをクラス図やシーケンス図といったモデリング手法を用いて表現します。 ;UI要素の実装:モデルに基づいて、各UI要素を実際にコーディングします。これにはオブジェクト指向言語(例: Java、C#)を使用することが一般的です。 ;イベントハンドリングの実装:ユーザーの操作に対する反応を定義するために、イベントハンドリング機能を実装します。これにより、UI要素が特定のイベントに対してどのように振る舞うかが定義されます。 ;テストとフィードバック:実装されたUIをテストし、ユーザビリティや機能性に問題がないか確認します。ユーザーからのフィードバックを収集し、必要に応じて修正を行います。 === OOUIの利点 === ;柔軟性と拡張性:オブジェクト指向の原則を用いたOOUIは、変更や拡張に対して柔軟であり、新しいUI要素の追加が容易です。 ;再利用性:クラスやオブジェクト指向の原則に基づいてUIをモデル化することで、同様の要素を再利用しやすくなります。 ;保守性:カプセル化やモジュール化により、UIの保守が容易になります。特定のUI要素の変更が他の部分に影響を及ぼしにくくなります。 ;理解しやすい設計:クラスやオブジェクト指向の原則に基づいたOOUIは、開発者やデザイナーにとって理解しやすく、協力しやすい設計を提供します。 === 結論 === オブジェクト指向ユーザーインターフェースは、洗練されたUIを開発するための効果的な手法であり、OOPの原則をUI設計に取り入れることで、柔軟性や再利用性を高め、ユーザーエクスペリエンスを向上させることが期待されます。このアプローチは、大規模なアプリケーションや複雑なユーザーインターフェースの設計に特に適しています。 == コード再利用の手法としての「オブジェクト指向」 == オブジェクト指向プログラミングは、コードの再利用性を高めるための強力な手法を提供しています。 以下は、オブジェクト指向がコード再利用に寄与する主な点です: ;クラスと継承:クラスと継承を使用することで、既存のクラスを基にして新しいクラスを作成できます。これにより、既存のクラスの機能や属性を再利用しながら、新しい機能を拡張したり変更したりすることができます。 ;ライブラリとフレームワーク:オブジェクト指向プログラミングにおいては、共通の機能や処理をライブラリやフレームワークとしてまとめ、これを他のプログラムで簡単に再利用することができます。これにより、開発者は特定のタスクや機能を手軽に導入し、効率的に開発作業を進めることができます。 ;ポリモーフィズム:ポリモーフィズムにより、同じインターフェースを持つ異なるクラスのオブジェクトを同様に扱うことができます。これにより、異なるクラスでも共通の操作が可能となり、柔軟性が増します。 ;抽象クラスとインターフェース:抽象クラスとインターフェースは、関連するクラスに共通のメソッドやプロパティを定義するための手段です。これにより、異なるクラスが同じ抽象を共有し、コードの重複を避けることができます。 ;デザインパターン:オブジェクト指向設計においては、標準的な問題に対処するためのデザインパターンが存在します。これらのパターンは再利用可能なソリューションを提供し、ソフトウェア開発者が共通の問題に対して効果的にアプローチできるようになります。 これらの要素を組み合わせることで、オブジェクト指向はコードの再利用性を向上させ、保守性や拡張性を高める効果的な手段となっています。 == 用語集 == ;オブジェクト (Object):データとそのデータに対する操作をまとめたもの。クラスのインスタンス。 ;クラス (Class):オブジェクトの設計図。データと操作を定義し、オブジェクトの生成に使用される。 ;インスタンス (Instance):クラスから生成されたオブジェクト。クラスの実体。 ;メソッド (Method):クラスやオブジェクトに紐付いた関数。クラスで定義され、オブジェクトから呼び出される。 ;プロパティ (Property):クラスやオブジェクトが持つデータ。クラスで定義され、オブジェクトからアクセス可能。 ;継承 (Inheritance):既存のクラスから新しいクラスを作成し、既存のクラスの特性やメソッドを継承する概念。 ;ポリモーフィズム (Polymorphism):異なるクラスやオブジェクトが同じメソッド名を持ち、異なる振る舞いをする能力。 ;カプセル化 (Encapsulation):データとそれに関連するメソッドを一つのまとまりにし、外部からのアクセスを制限する概念。 ;抽象クラス (Abstract Class):インスタンスを生成できないクラスで、継承先でメソッドの実装を要求する。 ;インターフェース (Interface):メソッドの一覧を定義するが、それらの実装を提供しない抽象的なクラス。 ;メッセージ (Message):オブジェクト間でやり取りされる要求や通知。メソッドの呼び出しもメッセージと見なすことができる。 ;コンストラクタ (Constructor):クラスからインスタンスを生成する際に呼び出されるメソッド。オブジェクトの初期化を行う。 ;デストラクタ (Destructor):オブジェクトが不要になったときに呼び出されるメソッド。リソースの解放などの後処理を行う。 ;オーバーライド (Override):継承したクラスで、親クラスのメソッドを再定義すること。 ;オーバーロード (Overload):同じメソッド名を複数の引数リストで定義すること。 {{DEFAULTSORT:おふしえくとしこう}} [[Category:コンピュータ言語]] [[Category:計算機科学]] [[カテゴリ:オブジェクト指向|*]]
2005-08-31T18:20:34Z
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高等学校化学I/物質と原子
物質は、原子(げんし、atom)という基本構造が組み合わさることによって構成されている。 この元素は、現在では110種類ほどであり、これらのうち約90種類は天然に存在している。元素をあらわす記号には、ラテン語名などの頭文字から1文字または2文字をとった元素記号(げんそきごう、symbol of element)で表される。元素記号の1文字目は必ず大文字であり、2文字目は必ず小文字である。代表的な元素の元素記号を右の表に記したので、参考にしてほしい。詳しい元素記号の表は、元素記号(周期表)に掲載しておいた。 元素の確認方法には、さまざまな方法があるが、炎色反応で確認することができる。たとえば塩化ナトリウム水溶液をつけた白金線、または水酸化ナトリウム水溶液をつけた白金線を、ガスバーナーの外炎に当てると、黄色い炎が出る。 これは、ナトリウム元素 Na による現象である。塩化ナトリウムも水酸化ナトリウムも、どちらの物質とも、Na を含んでいる。 このように、物質を炎の中に入れたとき、その物質に特有の色の炎が見られる現象を炎色反応(えんしょくはんのう、flame reaction)という。炎色反応の色は、元素の種類によって異なるので、元素の種類を調べたい時に炎色反応で元素の種類を確認する事ができる。 なお、花火の色は、炎色反応を利用したものである。 石灰水(水酸化カルシウム水溶液)は、二酸化炭素を吹き込まれることで、白く沈殿する。これは、水に不溶の CaCO3 が発生したためである。 この一連の現象を利用して、ある気体中での二酸化炭素の有無を確認できる。 また、ある物質を酸化させて燃やした時に発生する気体が、石灰水を白く濁らせれば、その物質には炭素が含まれることが判別できる。 大理石に希塩酸をそそぐと気体が発生する。この気体を、水酸化カルシウム水溶液にそそぐと、白く沈殿する。このことから、大理石には炭素Cが含まれてることが分かる。なお、生じた白色沈殿は炭酸カルシウムである。 食塩水(水酸化ナトリウム水溶液)に硝酸銀水溶液を加えると、白色沈殿(塩化銀)が生じる。 この沈殿反応を利用することで、ある水溶液中に銀 Ag または塩素 Cl が含まれているか否かを判別できる。 たとえば水を電気分解すると、水素と酸素の気体が2:1の比で分離する。水素だけからなる気体、酸素だけからなる気体など、一つの元素のみから構成されている物質を単体(たんたい、simple substance)という。 単体の例をあげると、たとえば、純粋な銅は、銅元素のみからなる単体である。純粋な水素の気体は、水素元素のみからなる単体である。 いっぽう、水は、水素と酸素が結合している。このように、2種類以上の元素から成り立つ物質を化合物(compound)という。 水(H2O)はH元素とO元素からなる分子から構成されている化合物である。他にも、酸化銅II(CuO)や、塩化アルミニウム(AlCl3)など、化合物には、いくつもの種類がある。 黒鉛とダイヤモンドは、ともに炭素 C からなるが、色・電気伝導性など、性質が異なる。このように、ある元素の単体どうしで、元素の結びつき方が違うために性質が違うもののことを、たがいに同素体(どうそたい、allotrope)という。 たとえば「黒鉛はダイヤモンドの同素体である」といった具合に、この言葉を使用する。当然、組み合わさり方が一種類しかないような元素には、同素体は無い。 硫黄 S の同素体には、斜方硫黄(しゃほう いおう)と単斜硫黄(たんしゃいおう)およびゴム状硫黄がある。斜方硫黄(しゃほう いおう)と単斜硫黄(たんしゃいおう)およびゴム状硫黄は、これらはいずれも単体であるが、化学的性質が異なる。 赤リン(せきリン)と黄リン(おうリン)は、リン P の同素体である。 ほかにも炭素の同素体として、フラーレンやカーボンナノチューブなどが知られている。しかしフラーレンなどの説明には高度な専門性を要するので、ここでは詳細は述べない。 純物質は、物理的操作(叩く、引っ張る、ろ過する、といった操作)によってそれよりも小さい構成パターンに分けることができないようなパターンの集まりだと考えられる。ここで言うパターンとは、元素の組み合わせのことである。単体や化合物は、物理的な操作だけではその構成を変えることができない。例えば、水は蒸発させても凍らせても叩いてもろ過しても、水のままである。しかし、電気分解を行うことで水素と酸素に分解できることは、中学校で学習した通りだ。具体的には、前者を物理的操作、後者を化学的操作と呼ぶ。 なお、(※ 教科書には書かれてないが、)塩化ナトリウムそのものは純物質である。 海水は混合物である。(※ 海水の組成は覚えなくてもいいが、まず海水には食塩(塩化ナトリウム)が含まれてるので、その時点ですでに塩化ナトリウムと水との混合物。さらに海水には塩化マグネシウムなども含まれているので、より混合物である。) 空気は混合物である。なぜなら、空気には窒素や酸素などが混ざっているからである。窒素そのものは純物質である。酸素そのものは純物質である、 牛乳は混合物。石油は混合物。 ドライアイスは純物質。氷(こおり)は普通、純物質。 純粋な銅(どう)は純物質である(合金などは除外する)。純粋な鉄そのものは純物質である(合金などは除外する)。硫黄(いおう)は純物質。エタノールは純物質。 (検定教科書には書かれてないが、)ほかにも、塩酸は塩化水素(HCl)と水(H2O)の混合物である(※ チャート式など参考書で紹介)。 (※ チャート式など参考書で紹介)花崗岩(かこうがん)も混合物である。 ※ 純物質と混合物の分類の定義に対しては、直観的な理解で、かまわない。しかし、ある物質が純物質か混合物かについては、しっかりと把握すべきである。 これまでに学習した単体、化合物、混合物についてまとめた。右側には具体例となる物質を挙げたので、参考にしてほしい。 原子(げんし)は、中心にある原子核(atomic nucleus)と、その周り(電子殻、electron shell)を飛び回るいくつかの電子(electron,図では黄色)からなる。原子の形状は、球状の構造である(円状ではなく、球状である)。(※ 電子殻(でんしかく)については後述する。) 右に示した図で言えば、真ん中の赤い粒が陽子(ようし、proton)、おなじく真ん中の黄緑色の粒が中性子(ちゅうせいし、neutron)。それから、周りにある黄色い粒が電子である。全ての原子は、このような「原子核の周りに電子」という構造をしていると考えられている。 原子核は、何個かの陽子(ようし、proton)と何個かの中性子(ちゅうせいし、neutron)からなる。 原子の大きさは、だいたい半径 10 cm である(= 100億分の1メートル 、つまり 10 m )。原子核はさらに小く、原子核の大きさは半径 10 m である。 比喩(ひゆ)として、原子をドーム球場の大きさに例えると、原子核の大きさは1円玉やビー玉の大きさに相当することになる。 原子はあまりに小さいため、電子顕微鏡などを用いなければ形状を観察することができない。原子核は、正の電荷(charge)を持っている。基本的に原子核は壊れない(※ 高校化学の段階では、とくに断りのないかぎり、原子核は壊れない、として扱ってよい)。 陽子が持つ電荷は、電子が持つ電気と大きさが同じで、符号が反対である。化学式などでは一般に、電子の電荷の大きさを最小単位として表す。つまり、電子の電荷を -1 として表す。このため、陽子の電荷を +1 として表す。 中性子は電荷を持たない。中性子の電荷は 0 である。 原子に含まれる陽子の数を原子番号(げんしばんごう、atomic number)という。元素ごとに、陽子の数は決まっているので、つまり元素が決まれば、原子番号も決まる。たとえば水素は陽子を1個持つので、水素の原子番号は1である。 原子核中での、電子の数と陽子の数は、同じである。よって原子核は、全体としては電荷をもたない。よって原子核は電気的に中性である。 また、陽子の質量と中性子の質量は、ほぼ同じである。 電子の質量は、陽子の約 1 1840 {\displaystyle {\frac {1}{1840}}} 倍である。よって原子の質量は、ほぼ原子核の質量になる。そして、陽子1個の質量と中性子1個の質量はほぼ同じである。ある原子1個での、陽子数と中性子数との和を、質量数(しつりょうすう、mass number)という。 つまり、ある元素の原子1個あたりの質量は、原子核1個中の陽子と中性子の質量数の和に、比例する。 具体例として、通常の水素 H の質量数は1である。通常の水素の原子核は、陽子1個のみである。 通常のヘリウム He の質量数は4である。なぜなら通常のヘリウムの原子核は、陽子2個と中性子2個からなる。 ある元素記号の質量数を表す場合、 He 4 {\displaystyle {\ce {^4 He}}} のように、原子の左上に小さく書いて示す(例ではヘリウムを例にした)。 原子番号も書く場合は、 He 2 4 {\displaystyle {\ce {_2^4 He}}} のように、左下に原子番号を書き、左上に質量数を書く。 質量数はあくまで、陽子と中性子の個数の和であり、質量そのものではないことに注意が必要である。さらに言えば、これら質量数はあくまで指標であり、実際の質量は厳密には異なってくる。 天然に存在する水素原子の大部分は、原子核が陽子1個だけからなる H 1 1 {\displaystyle {\ce {^1_1 H}}} であるが、水素には、この他にも陽子1個と中性子1個からなる H 1 2 {\displaystyle {\ce {^2_1 H}}} も少量ながら存在する。 このように、原子番号が同じでも質量数が異なる原子のことを、たがいに同位体(どういたい、isotope)であるという。あるいは同位体のことをアイソトープ(isotope)ともいう。 水素の同位体には、さらに H 1 3 {\displaystyle {\ce {^3_1 H}}} も、ごくわずかにある。 なお、「同位体」という名前が「同素体」と似ているが、異なる概念なので、混同しないように読者は注意のこと。 H 1 2 {\displaystyle {\ce {^2_1 H}}} のことを重水素(じゅうすいそ)という。また H 1 3 {\displaystyle {\ce {^3_1 H}}} のことを三重水素という。 同位体どうしは質量が異なるが、化学反応などの化学的性質はほぼ同じである。なぜなら、原子核に含まれる陽子の数が同じだからである。 炭素Cの代表的な同位体には、C とC がある。 炭素Cの同位体にはCも存在する場合もあるが、このCは不安定であり、すぐに崩壊(ほうかい)して質量数が変わってしまう。原子核が壊れるとき、一般に放射線をだすので、不安定な同位体が壊れたときも放射線を出す。Cも崩壊するときに放射線を出す。 Cのような、すぐに崩壊して放射線を出す同位体を放射性同位体(ほうしゃせいどういたい、ラジオアイソトープ,radioisotope)という。 これに対して安定して存在できる同位体を安定同位体(stable Isotope)という。 原子力発電所の原子炉内では、質量数3の水素Hも存在する。この水素Hを三重水素(さんじゅうすいそ、tritium トリチウム)という。Hは放射性同位体である。 なお、すべての元素に、自然界で同位体が存在するわけではない。 Be,F,Na,Al,P,Sc,Mnなどには、天然には同位体は存在しない。 放射性同位体の活用としては、化学反応のしくみを追跡するときに利用される。ほかにも、年代測定などにも利用される。 なお、放射性に関する用語として、放射線を出す性質のことを「放射能」(radioactivity)という。放射線を出すなどして、原子が他の原子に変わることを「崩壊」という。 原子ごとに、原子核が変わるまでの、だいたいの時間が異なる。半分の量の原子核が変わるまでの時間を半減期(はんげんき、half life)という。 Cの半減期は5830年である。例えばCの量が元の1/8になっているなら 1/8=(1/2)なので5830×3=17490年経過している。 原子力工業などでいう「軽水」(けいすい)とは、重水素を含まない普通の水の事である。(※ 参考文献: 電気学会『電気学会大学講座 発電工学 〔改訂版〕』、2015年改訂版) 原子力工業の分野では、重水素を含んでいて普通でない水のことを「重水」(じゅうすい)と呼んでいる。原子力工業の用語では、「重水」に対して、普通の水素の化合によって出来た水のことを「軽水」と呼んで、原子力工業では区別している。 また、原子力の分野や、放射性同位体をつかった化学分析の分野では、一般の水素原子 1 H {\displaystyle _{1}^{}\mathrm {H} } を「重水素」と区別するために、一般の水素原子 1 H {\displaystyle _{1}^{}\mathrm {H} } のことを「軽水素」という場合もある。(※ 参考文献: サイエンス社『工学のための無機化学 新訂版』、橋本和明ほか著、2016年新訂第1版、118ページ) だが、けっして普通の水素 1 H {\displaystyle _{1}^{}\mathrm {H} } とは別に「軽水素」なんて元素があるわけではない。普通の水素原子 1 H {\displaystyle _{1}^{}\mathrm {H} } を重水との区別のために「軽水素」と呼んでいるだけである。 原子の構造のうち、電子が並んでいる原子核の周りの部分について、より詳しく見ていこう。 この電子殻は何重かにわかれており、内側からK殻(ケーかく、K shell)、L殻(エルかく、L shell)、M殻(M shell)、......と呼ぶ。それぞれの層に入ることのできる電子の数は決まっており、その数以上の電子が一つの層に入ることは無い。たとえば、K殻に入ることのできる電子の数は2つまでである。また、電子は原則的に内側の層から順に入っていく。M殻以降では例外もあるが、高等学校の化学ではこれについては扱わない。内側から数えてn番目の電子殻に入ることのできる電子の数は、最大2nまでである。 また、いちばん外側の電子殻にある電子を最外殻電子(さいがいかく でんし、outermost-shell electron)という。ある原子とある原子との接点が、実際には電子殻であるため、原子の結合の仕方などはこの最外殻電子の個数が重要になってくる。ある原子での最外殻電子の数を価電子(かでんし、valence electron)という。 各々の原子の電子の、電子殻への配列の仕方を電子配置 (でんしはいち、electron configuration)という。 ヘリウムやネオンは、安定しており、化合物をつくりづらい。ヘリウムガスは、化合してないヘリウム原子が気体そのものの成分であり、分子化合物ではない。同様にネオンガスも原子の気体であり、分子ではない。 ヘリウムの電子配置は、K殻に2個ぜんぶの電子が配置されていて、安定しているので、このような化学的安定をしている。 同様に、ネオンの電子配置は、L殻に8個ぜんぶの電子が配置されてるので、安定している。 このように、最外殻にそれ以上電子が入ることのできない状態を閉殻(へいかく)という。閉殻になっている原子の価電子の個数は0であると約束する。 なお、ヘリウム、ネオン、アルゴンなどの原子のことを希ガス(きガス、Noble gases)原子という。希ガス原子は、ほかの原子とは化合せず、希ガスどうしとも化合しておらす、希ガスそのものが分子と同様に安定してふるまうので、「単原子分子」(たんげんし ぶんし、monoatomic molecule)である。 原子の構造を理解する助けとして、これから先になって必要になってくる概念である電荷という言葉については、ここで簡単な説明を加えておく。 この電荷という概念は、高等学校物理などでも扱う。電荷を持った粒子がどのような振る舞いをするかについて興味を持ったなら、そちらを参考にすると良い。 電荷を持った粒子は基本的に次の性質を持っている。これらを知っていれば、高等学校の化学においては十分であろう。 ある原子核に陽子が3つ含まれているとき、原子核全体の電荷は と表される。さらに、この原子核の周りに電子が3つ回っているならば、原子全体の電荷は、 となる。これは、原子全体では電荷を持っていないということである。このことがらを利用すれば、原子全体の電荷や、原子の名称などから、それにいくつの陽子や電子が含まれているかを計算することができる。 高校の「物理」で習う電気の内容だけでは、化学での価電子のふるまいなどを理解することはできない。だから高校生は、物理とは別に、化学の理論も覚える必要がある。 たとえば、「なぜ、電子にはK殻、L殻などといった電子殻(でんしかく)があるのか?」などといった基本的な問いさえ、高校物理の電気・磁気の知識では説明不可能である。原子どうしの結合の起こる理由すら、高校物理では、説明不可能である。 電子殻については、量子力学の以前でも、周期表が19世紀にメンデレーエフによって発見されたことや、さまざまな実験結果によって、電子殻のような、現象が存在することは、19世紀ころ(1800年~1900年ごろ)から分かっていた。だが、ではなぜ、そのような電子殻といった仕組みがあるのか、量子力学の以前は、まだ分からなかったのである。 量子力学の以前でも、電気分解などの実験によって、化学反応には電子が関わることは分かっていたし、周期表などから、原子のもつ電子の数も分かっていた。原子核に陽子や中性子のような物があることも、原子の電子軌道上にもつ電子と、原子の質量の分析から、分かっていた。しかし、ではなぜ、原子核のもつ陽子や中性子の数が、そのような数に決まるのか、まったくもって理由が不明だったのである。 シュレーディンガー方程式とディラック方程式の解法は、とても難解であり、高校レベルを遥かに越える難度で、理系の大学学部の高学年~大学院レベルである。しかも、数学や物理や化学を専門にする学科の大学生の場合で、大学高学年~大学院で、やっと、解けるというレベルである。 たいていの大学生の受ける大学の授業では、大学1年~2年での化学の授業で、学生が理解するよりも先に、シュレーディンガー方程式・ディラック方程式によって20世紀の化学者が分かった結果を習い、学生は結果を鵜呑みすることになる。 とても、一般の高校生には、シュレーディンガー方程式などによる化学反応の証明は手が追えないので、シュレーディンガー方程式およびディラック方程式に深入りしてはならない。 科学技術の歴史的にも、物理学において、現代のような、原子や電子にもとづく化学反応の仕組みが分かったのは、だいぶ後の時代であり、1900年すぎごろから、量子力学や相対性理論などの学問が発達してからである。1800年代までは、そもそも「原子」や「分子」といったものが存在するということの証明すら、とても難しかったのである。 また、1800年代ころの昔は、原子と分子との区別すら、まだ、あまり区別されてなくて、混同されていた時代だったのである。 つぎの章の以降で話す、原子の仕組みについても、同様に、高校物理の電気の知識では、説明できない。量子力学よりも前の昔は、化学での原子の仕組みが「なぜ、そうなるのか?」が分からなかったのである。 だから、高校生は、先に結果を覚える必要がある。 原子の化学反応的な性質は、その原子の原子核に含まれる陽子の数で決まる。なぜなら、電子殻上の電子が、化学反応では媒介(ばいかい)になるのだが、電子殻上のその電子の数は、原子核中の陽子の数と、同じだからである。このため原子番号の定義を、陽子の数として定義することは、合理的である。 実は、元素の分類、つまり原子がどの元素に属するかという判断は、その原子の原子核に含まれる陽子の数によって行われている。例えば、水素(H)に属する原子の場合、それに含まれる陽子の数は必ず1個である。同じように、炭素(C)に属する原子の原子核には、必ず6個の陽子が含まれている。逆に、ある原子の原子核に陽子が6個含まれるなら、その原子は炭素である。 元素を原子番号の順に並べると、性質のよく似た元素が周期的に現れることがある(例:1価の陽イオン(→高等学校化学II/化学結合)になりやすい物質......3Li、11Na、19K、など。ここまでは8個間隔で現れている)。このことを元素の周期律(periodic law)という。また、図のような表を、周期表(periodic table)という。 元素を原子番号の順に並べて、かつ周期律に併せて配列した表のことを周期表という。周期表の縦の列を族(group)といい、同族内では性質のよく似た元素が並ぶ。周期表の横の列を周期(period)と呼び、周期の番号は電子殻の数と一致する。 「族」は、1族から18族までの、合計18個がある。「周期」は、1族から7族までが、現在(2013年に本文を執筆。)では確認されている。 具体例をいくつか挙げると、族については、水素HとリチウムLiとナトリウムNaとカリウムKは、ともに1族の元素である。周期に関しては、水素Hは第一周期であり、リチウムLiは第二周期であり、Naは第三周期である。 他の族の元素でも、例を挙げる。酸素Oは、16族で第二周期の元素である。炭素Cは14族で第2周期である。塩素Clは17族元素で第3周期である。 族が同じ元素どうしを同族元素という。たとえば、HとLiとNaとKとルビジウムRbとセシウムCsとフランシウムFrとは、お互いに同族元素である。 他の族でも例を挙げれば、14族の炭素Cと,シリコンSi,ゲルマニウムGeと,すずSnと,鉛Pbとは、お互いに同族元素である。 1族の同族元素のうち、水素Hを除いた残りの元素の、LiとNaとKとルビジウムRbとセシウムCsとフランシウムFrを、アルカリ金属(alkali metals)という。Hはアルカリ金属には含めない。 2族元素のうち、ベリリウムBeとマグネシウムMgを除いた残りの元素の、カルシウムCa,ストロンチウムSr,バリウムBa,ラジウムRaをアルカリ土類金属(alkaline earth metal)という。ベリリウムBeとマグネシウムMgはアルカリ土類金属には含めない。 17族の元素のフッ素F,塩素Cl,臭素Br,ヨウ素I,アスタチンAtをハロゲン元素(halogen)という。 18族のヘリウムHe,ネオンNe,アルゴンAr,クリプトンKr,キセノンXe,ラドンRnを希ガス元素(rare gas)という。 3族から11族の元素を遷移金属(せんいきんぞく,transition metals)という。 遷移金属は、価電子の数が1個または2個であることが多く、族と価電子数が一致しない。 遷移金属以外の元素である元素はどうだろうか。1族と2族と12族~18族の元素を典型元素(main group element)という。典型元素では、族の番号の1の位の数が、最外殻電子の数と一致する。 1族の元素と2族の元素は陽イオンになりやすい。 17族の元素は陰イオンになりやすい。 18族の元素は化合物をつくりづらい。天然には単分子で存在するのが一般である。 なお書式について、原子番号の個数をaとして核子の個数をbとして元素記号(HやHeなど)をAすれば、その原子を a b {\displaystyle _{a}^{b}} A のように書く事がある。 カルシウムは、じつは金属である。カルシウムは金属なので、電気もよく通す。なのに、まったく骨が「電気を通す」という話を聞かない理由は、じつは動物の骨のおもな成分は、リン酸カルシウムという化合物であるので、電気を通しにくいのである。ちなみに骨は細胞である。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "物質は、原子(げんし、atom)という基本構造が組み合わさることによって構成されている。", "title": "物質と元素" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "この元素は、現在では110種類ほどであり、これらのうち約90種類は天然に存在している。元素をあらわす記号には、ラテン語名などの頭文字から1文字または2文字をとった元素記号(げんそきごう、symbol of element)で表される。元素記号の1文字目は必ず大文字であり、2文字目は必ず小文字である。代表的な元素の元素記号を右の表に記したので、参考にしてほしい。詳しい元素記号の表は、元素記号(周期表)に掲載しておいた。", "title": "物質と元素" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "", "title": "物質と元素" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "元素の確認方法には、さまざまな方法があるが、炎色反応で確認することができる。たとえば塩化ナトリウム水溶液をつけた白金線、または水酸化ナトリウム水溶液をつけた白金線を、ガスバーナーの外炎に当てると、黄色い炎が出る。", "title": "物質と元素" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "これは、ナトリウム元素 Na による現象である。塩化ナトリウムも水酸化ナトリウムも、どちらの物質とも、Na を含んでいる。", "title": "物質と元素" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "このように、物質を炎の中に入れたとき、その物質に特有の色の炎が見られる現象を炎色反応(えんしょくはんのう、flame reaction)という。炎色反応の色は、元素の種類によって異なるので、元素の種類を調べたい時に炎色反応で元素の種類を確認する事ができる。", "title": "物質と元素" }, { "paragraph_id": 6, "tag": "p", "text": "なお、花火の色は、炎色反応を利用したものである。", "title": "物質と元素" }, { "paragraph_id": 7, "tag": "p", "text": "石灰水(水酸化カルシウム水溶液)は、二酸化炭素を吹き込まれることで、白く沈殿する。これは、水に不溶の CaCO3 が発生したためである。", "title": "物質と元素" }, { "paragraph_id": 8, "tag": "p", "text": "この一連の現象を利用して、ある気体中での二酸化炭素の有無を確認できる。", "title": "物質と元素" }, { "paragraph_id": 9, "tag": "p", "text": "また、ある物質を酸化させて燃やした時に発生する気体が、石灰水を白く濁らせれば、その物質には炭素が含まれることが判別できる。", "title": "物質と元素" }, { "paragraph_id": 10, "tag": "p", "text": "大理石に希塩酸をそそぐと気体が発生する。この気体を、水酸化カルシウム水溶液にそそぐと、白く沈殿する。このことから、大理石には炭素Cが含まれてることが分かる。なお、生じた白色沈殿は炭酸カルシウムである。", "title": "物質と元素" }, { "paragraph_id": 11, "tag": "p", "text": "食塩水(水酸化ナトリウム水溶液)に硝酸銀水溶液を加えると、白色沈殿(塩化銀)が生じる。", "title": "物質と元素" }, { "paragraph_id": 12, "tag": "p", "text": "この沈殿反応を利用することで、ある水溶液中に銀 Ag または塩素 Cl が含まれているか否かを判別できる。", "title": "物質と元素" }, { "paragraph_id": 13, "tag": "p", "text": "たとえば水を電気分解すると、水素と酸素の気体が2:1の比で分離する。水素だけからなる気体、酸素だけからなる気体など、一つの元素のみから構成されている物質を単体(たんたい、simple substance)という。", "title": "物質の構成" }, { "paragraph_id": 14, "tag": "p", "text": "単体の例をあげると、たとえば、純粋な銅は、銅元素のみからなる単体である。純粋な水素の気体は、水素元素のみからなる単体である。", "title": "物質の構成" }, { "paragraph_id": 15, "tag": "p", "text": "いっぽう、水は、水素と酸素が結合している。このように、2種類以上の元素から成り立つ物質を化合物(compound)という。 水(H2O)はH元素とO元素からなる分子から構成されている化合物である。他にも、酸化銅II(CuO)や、塩化アルミニウム(AlCl3)など、化合物には、いくつもの種類がある。", "title": "物質の構成" }, { "paragraph_id": 16, "tag": "p", "text": "黒鉛とダイヤモンドは、ともに炭素 C からなるが、色・電気伝導性など、性質が異なる。このように、ある元素の単体どうしで、元素の結びつき方が違うために性質が違うもののことを、たがいに同素体(どうそたい、allotrope)という。 たとえば「黒鉛はダイヤモンドの同素体である」といった具合に、この言葉を使用する。当然、組み合わさり方が一種類しかないような元素には、同素体は無い。", "title": "物質の構成" }, { "paragraph_id": 17, "tag": "p", "text": "硫黄 S の同素体には、斜方硫黄(しゃほう いおう)と単斜硫黄(たんしゃいおう)およびゴム状硫黄がある。斜方硫黄(しゃほう いおう)と単斜硫黄(たんしゃいおう)およびゴム状硫黄は、これらはいずれも単体であるが、化学的性質が異なる。", "title": "物質の構成" }, { "paragraph_id": 18, "tag": "p", "text": "赤リン(せきリン)と黄リン(おうリン)は、リン P の同素体である。", "title": "物質の構成" }, { "paragraph_id": 19, "tag": "p", "text": "ほかにも炭素の同素体として、フラーレンやカーボンナノチューブなどが知られている。しかしフラーレンなどの説明には高度な専門性を要するので、ここでは詳細は述べない。", "title": "物質の構成" 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"p", "text": "純粋な銅(どう)は純物質である(合金などは除外する)。純粋な鉄そのものは純物質である(合金などは除外する)。硫黄(いおう)は純物質。エタノールは純物質。", "title": "物質の構成" }, { "paragraph_id": 28, "tag": "p", "text": "(検定教科書には書かれてないが、)ほかにも、塩酸は塩化水素(HCl)と水(H2O)の混合物である(※ チャート式など参考書で紹介)。", "title": "物質の構成" }, { "paragraph_id": 29, "tag": "p", "text": "(※ チャート式など参考書で紹介)花崗岩(かこうがん)も混合物である。", "title": "物質の構成" }, { "paragraph_id": 30, "tag": "p", "text": "※ 純物質と混合物の分類の定義に対しては、直観的な理解で、かまわない。しかし、ある物質が純物質か混合物かについては、しっかりと把握すべきである。", "title": "物質の構成" }, { "paragraph_id": 31, "tag": "p", "text": "", "title": "物質の構成" }, { "paragraph_id": 32, "tag": "p", "text": "これまでに学習した単体、化合物、混合物についてまとめた。右側には具体例となる物質を挙げたので、参考にしてほしい。", "title": "物質の構成" }, { "paragraph_id": 33, "tag": "p", "text": "", "title": "物質の構成" }, { "paragraph_id": 34, "tag": "p", "text": "原子(げんし)は、中心にある原子核(atomic nucleus)と、その周り(電子殻、electron shell)を飛び回るいくつかの電子(electron,図では黄色)からなる。原子の形状は、球状の構造である(円状ではなく、球状である)。(※ 電子殻(でんしかく)については後述する。)", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 35, "tag": "p", "text": "右に示した図で言えば、真ん中の赤い粒が陽子(ようし、proton)、おなじく真ん中の黄緑色の粒が中性子(ちゅうせいし、neutron)。それから、周りにある黄色い粒が電子である。全ての原子は、このような「原子核の周りに電子」という構造をしていると考えられている。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 36, "tag": "p", "text": "原子核は、何個かの陽子(ようし、proton)と何個かの中性子(ちゅうせいし、neutron)からなる。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 37, "tag": "p", "text": "原子の大きさは、だいたい半径 10 cm である(= 100億分の1メートル 、つまり 10 m )。原子核はさらに小く、原子核の大きさは半径 10 m である。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 38, "tag": "p", "text": "比喩(ひゆ)として、原子をドーム球場の大きさに例えると、原子核の大きさは1円玉やビー玉の大きさに相当することになる。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 39, "tag": "p", "text": "原子はあまりに小さいため、電子顕微鏡などを用いなければ形状を観察することができない。原子核は、正の電荷(charge)を持っている。基本的に原子核は壊れない(※ 高校化学の段階では、とくに断りのないかぎり、原子核は壊れない、として扱ってよい)。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 40, "tag": "p", "text": "", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 41, "tag": "p", "text": "陽子が持つ電荷は、電子が持つ電気と大きさが同じで、符号が反対である。化学式などでは一般に、電子の電荷の大きさを最小単位として表す。つまり、電子の電荷を -1 として表す。このため、陽子の電荷を +1 として表す。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 42, "tag": "p", "text": "中性子は電荷を持たない。中性子の電荷は 0 である。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 43, "tag": "p", "text": "原子に含まれる陽子の数を原子番号(げんしばんごう、atomic number)という。元素ごとに、陽子の数は決まっているので、つまり元素が決まれば、原子番号も決まる。たとえば水素は陽子を1個持つので、水素の原子番号は1である。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 44, "tag": "p", "text": "原子核中での、電子の数と陽子の数は、同じである。よって原子核は、全体としては電荷をもたない。よって原子核は電気的に中性である。 また、陽子の質量と中性子の質量は、ほぼ同じである。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 45, "tag": "p", "text": "電子の質量は、陽子の約 1 1840 {\\displaystyle {\\frac {1}{1840}}} 倍である。よって原子の質量は、ほぼ原子核の質量になる。そして、陽子1個の質量と中性子1個の質量はほぼ同じである。ある原子1個での、陽子数と中性子数との和を、質量数(しつりょうすう、mass number)という。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 46, "tag": "p", "text": "つまり、ある元素の原子1個あたりの質量は、原子核1個中の陽子と中性子の質量数の和に、比例する。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 47, "tag": "p", "text": "具体例として、通常の水素 H の質量数は1である。通常の水素の原子核は、陽子1個のみである。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 48, "tag": "p", "text": "通常のヘリウム He の質量数は4である。なぜなら通常のヘリウムの原子核は、陽子2個と中性子2個からなる。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 49, "tag": "p", "text": "ある元素記号の質量数を表す場合、 He 4 {\\displaystyle {\\ce {^4 He}}} のように、原子の左上に小さく書いて示す(例ではヘリウムを例にした)。 原子番号も書く場合は、 He 2 4 {\\displaystyle {\\ce {_2^4 He}}} のように、左下に原子番号を書き、左上に質量数を書く。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 50, "tag": "p", "text": "質量数はあくまで、陽子と中性子の個数の和であり、質量そのものではないことに注意が必要である。さらに言えば、これら質量数はあくまで指標であり、実際の質量は厳密には異なってくる。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 51, "tag": "p", "text": "天然に存在する水素原子の大部分は、原子核が陽子1個だけからなる H 1 1 {\\displaystyle {\\ce {^1_1 H}}} であるが、水素には、この他にも陽子1個と中性子1個からなる H 1 2 {\\displaystyle {\\ce {^2_1 H}}} も少量ながら存在する。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 52, "tag": "p", "text": "このように、原子番号が同じでも質量数が異なる原子のことを、たがいに同位体(どういたい、isotope)であるという。あるいは同位体のことをアイソトープ(isotope)ともいう。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 53, "tag": "p", "text": "水素の同位体には、さらに H 1 3 {\\displaystyle {\\ce {^3_1 H}}} も、ごくわずかにある。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 54, "tag": "p", "text": "なお、「同位体」という名前が「同素体」と似ているが、異なる概念なので、混同しないように読者は注意のこと。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 55, "tag": "p", "text": "H 1 2 {\\displaystyle {\\ce {^2_1 H}}} のことを重水素(じゅうすいそ)という。また H 1 3 {\\displaystyle {\\ce {^3_1 H}}} のことを三重水素という。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 56, "tag": "p", "text": "同位体どうしは質量が異なるが、化学反応などの化学的性質はほぼ同じである。なぜなら、原子核に含まれる陽子の数が同じだからである。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 57, "tag": "p", "text": "炭素Cの代表的な同位体には、C とC がある。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 58, "tag": "p", "text": "炭素Cの同位体にはCも存在する場合もあるが、このCは不安定であり、すぐに崩壊(ほうかい)して質量数が変わってしまう。原子核が壊れるとき、一般に放射線をだすので、不安定な同位体が壊れたときも放射線を出す。Cも崩壊するときに放射線を出す。 Cのような、すぐに崩壊して放射線を出す同位体を放射性同位体(ほうしゃせいどういたい、ラジオアイソトープ,radioisotope)という。 これに対して安定して存在できる同位体を安定同位体(stable Isotope)という。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 59, "tag": "p", "text": "原子力発電所の原子炉内では、質量数3の水素Hも存在する。この水素Hを三重水素(さんじゅうすいそ、tritium トリチウム)という。Hは放射性同位体である。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 60, "tag": "p", "text": "なお、すべての元素に、自然界で同位体が存在するわけではない。 Be,F,Na,Al,P,Sc,Mnなどには、天然には同位体は存在しない。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 61, "tag": "p", "text": "放射性同位体の活用としては、化学反応のしくみを追跡するときに利用される。ほかにも、年代測定などにも利用される。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 62, "tag": "p", "text": "なお、放射性に関する用語として、放射線を出す性質のことを「放射能」(radioactivity)という。放射線を出すなどして、原子が他の原子に変わることを「崩壊」という。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 63, "tag": "p", "text": "原子ごとに、原子核が変わるまでの、だいたいの時間が異なる。半分の量の原子核が変わるまでの時間を半減期(はんげんき、half life)という。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 64, "tag": "p", "text": "Cの半減期は5830年である。例えばCの量が元の1/8になっているなら 1/8=(1/2)なので5830×3=17490年経過している。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 65, "tag": "p", "text": "", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 66, "tag": "p", "text": "原子力工業などでいう「軽水」(けいすい)とは、重水素を含まない普通の水の事である。(※ 参考文献: 電気学会『電気学会大学講座 発電工学 〔改訂版〕』、2015年改訂版) 原子力工業の分野では、重水素を含んでいて普通でない水のことを「重水」(じゅうすい)と呼んでいる。原子力工業の用語では、「重水」に対して、普通の水素の化合によって出来た水のことを「軽水」と呼んで、原子力工業では区別している。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 67, "tag": "p", "text": "また、原子力の分野や、放射性同位体をつかった化学分析の分野では、一般の水素原子 1 H {\\displaystyle _{1}^{}\\mathrm {H} } を「重水素」と区別するために、一般の水素原子 1 H {\\displaystyle _{1}^{}\\mathrm {H} } のことを「軽水素」という場合もある。(※ 参考文献: サイエンス社『工学のための無機化学 新訂版』、橋本和明ほか著、2016年新訂第1版、118ページ) だが、けっして普通の水素 1 H {\\displaystyle _{1}^{}\\mathrm {H} } とは別に「軽水素」なんて元素があるわけではない。普通の水素原子 1 H {\\displaystyle _{1}^{}\\mathrm {H} } を重水との区別のために「軽水素」と呼んでいるだけである。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 68, "tag": "p", "text": "原子の構造のうち、電子が並んでいる原子核の周りの部分について、より詳しく見ていこう。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 69, "tag": "p", "text": "この電子殻は何重かにわかれており、内側からK殻(ケーかく、K shell)、L殻(エルかく、L shell)、M殻(M shell)、......と呼ぶ。それぞれの層に入ることのできる電子の数は決まっており、その数以上の電子が一つの層に入ることは無い。たとえば、K殻に入ることのできる電子の数は2つまでである。また、電子は原則的に内側の層から順に入っていく。M殻以降では例外もあるが、高等学校の化学ではこれについては扱わない。内側から数えてn番目の電子殻に入ることのできる電子の数は、最大2nまでである。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 70, "tag": "p", "text": "また、いちばん外側の電子殻にある電子を最外殻電子(さいがいかく でんし、outermost-shell electron)という。ある原子とある原子との接点が、実際には電子殻であるため、原子の結合の仕方などはこの最外殻電子の個数が重要になってくる。ある原子での最外殻電子の数を価電子(かでんし、valence electron)という。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 71, "tag": "p", "text": "各々の原子の電子の、電子殻への配列の仕方を電子配置 (でんしはいち、electron configuration)という。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 72, "tag": "p", "text": "", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 73, "tag": "p", "text": "ヘリウムやネオンは、安定しており、化合物をつくりづらい。ヘリウムガスは、化合してないヘリウム原子が気体そのものの成分であり、分子化合物ではない。同様にネオンガスも原子の気体であり、分子ではない。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 74, "tag": "p", "text": "ヘリウムの電子配置は、K殻に2個ぜんぶの電子が配置されていて、安定しているので、このような化学的安定をしている。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 75, "tag": "p", "text": "同様に、ネオンの電子配置は、L殻に8個ぜんぶの電子が配置されてるので、安定している。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 76, "tag": "p", "text": "このように、最外殻にそれ以上電子が入ることのできない状態を閉殻(へいかく)という。閉殻になっている原子の価電子の個数は0であると約束する。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 77, "tag": "p", "text": "なお、ヘリウム、ネオン、アルゴンなどの原子のことを希ガス(きガス、Noble gases)原子という。希ガス原子は、ほかの原子とは化合せず、希ガスどうしとも化合しておらす、希ガスそのものが分子と同様に安定してふるまうので、「単原子分子」(たんげんし ぶんし、monoatomic molecule)である。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 78, "tag": "p", "text": "原子の構造を理解する助けとして、これから先になって必要になってくる概念である電荷という言葉については、ここで簡単な説明を加えておく。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 79, "tag": "p", "text": "この電荷という概念は、高等学校物理などでも扱う。電荷を持った粒子がどのような振る舞いをするかについて興味を持ったなら、そちらを参考にすると良い。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 80, "tag": "p", "text": "電荷を持った粒子は基本的に次の性質を持っている。これらを知っていれば、高等学校の化学においては十分であろう。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 81, "tag": "p", "text": "ある原子核に陽子が3つ含まれているとき、原子核全体の電荷は", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 82, "tag": "p", "text": "と表される。さらに、この原子核の周りに電子が3つ回っているならば、原子全体の電荷は、", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 83, "tag": "p", "text": "となる。これは、原子全体では電荷を持っていないということである。このことがらを利用すれば、原子全体の電荷や、原子の名称などから、それにいくつの陽子や電子が含まれているかを計算することができる。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 84, "tag": "p", "text": "高校の「物理」で習う電気の内容だけでは、化学での価電子のふるまいなどを理解することはできない。だから高校生は、物理とは別に、化学の理論も覚える必要がある。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 85, "tag": "p", "text": "たとえば、「なぜ、電子にはK殻、L殻などといった電子殻(でんしかく)があるのか?」などといった基本的な問いさえ、高校物理の電気・磁気の知識では説明不可能である。原子どうしの結合の起こる理由すら、高校物理では、説明不可能である。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 86, "tag": "p", "text": "電子殻については、量子力学の以前でも、周期表が19世紀にメンデレーエフによって発見されたことや、さまざまな実験結果によって、電子殻のような、現象が存在することは、19世紀ころ(1800年~1900年ごろ)から分かっていた。だが、ではなぜ、そのような電子殻といった仕組みがあるのか、量子力学の以前は、まだ分からなかったのである。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 87, "tag": "p", "text": "量子力学の以前でも、電気分解などの実験によって、化学反応には電子が関わることは分かっていたし、周期表などから、原子のもつ電子の数も分かっていた。原子核に陽子や中性子のような物があることも、原子の電子軌道上にもつ電子と、原子の質量の分析から、分かっていた。しかし、ではなぜ、原子核のもつ陽子や中性子の数が、そのような数に決まるのか、まったくもって理由が不明だったのである。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 88, "tag": "p", "text": "シュレーディンガー方程式とディラック方程式の解法は、とても難解であり、高校レベルを遥かに越える難度で、理系の大学学部の高学年~大学院レベルである。しかも、数学や物理や化学を専門にする学科の大学生の場合で、大学高学年~大学院で、やっと、解けるというレベルである。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 89, "tag": "p", "text": "たいていの大学生の受ける大学の授業では、大学1年~2年での化学の授業で、学生が理解するよりも先に、シュレーディンガー方程式・ディラック方程式によって20世紀の化学者が分かった結果を習い、学生は結果を鵜呑みすることになる。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 90, "tag": "p", "text": "とても、一般の高校生には、シュレーディンガー方程式などによる化学反応の証明は手が追えないので、シュレーディンガー方程式およびディラック方程式に深入りしてはならない。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 91, "tag": "p", "text": "科学技術の歴史的にも、物理学において、現代のような、原子や電子にもとづく化学反応の仕組みが分かったのは、だいぶ後の時代であり、1900年すぎごろから、量子力学や相対性理論などの学問が発達してからである。1800年代までは、そもそも「原子」や「分子」といったものが存在するということの証明すら、とても難しかったのである。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 92, "tag": "p", "text": "また、1800年代ころの昔は、原子と分子との区別すら、まだ、あまり区別されてなくて、混同されていた時代だったのである。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 93, "tag": "p", "text": "つぎの章の以降で話す、原子の仕組みについても、同様に、高校物理の電気の知識では、説明できない。量子力学よりも前の昔は、化学での原子の仕組みが「なぜ、そうなるのか?」が分からなかったのである。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 94, "tag": "p", "text": "だから、高校生は、先に結果を覚える必要がある。", "title": "原子の構造と元素の周期表" }, { "paragraph_id": 95, "tag": "p", "text": "原子の化学反応的な性質は、その原子の原子核に含まれる陽子の数で決まる。なぜなら、電子殻上の電子が、化学反応では媒介(ばいかい)になるのだが、電子殻上のその電子の数は、原子核中の陽子の数と、同じだからである。このため原子番号の定義を、陽子の数として定義することは、合理的である。", "title": "原子に関する諸概念" }, { "paragraph_id": 96, "tag": "p", "text": "実は、元素の分類、つまり原子がどの元素に属するかという判断は、その原子の原子核に含まれる陽子の数によって行われている。例えば、水素(H)に属する原子の場合、それに含まれる陽子の数は必ず1個である。同じように、炭素(C)に属する原子の原子核には、必ず6個の陽子が含まれている。逆に、ある原子の原子核に陽子が6個含まれるなら、その原子は炭素である。", "title": "原子に関する諸概念" }, { "paragraph_id": 97, "tag": "p", "text": "元素を原子番号の順に並べると、性質のよく似た元素が周期的に現れることがある(例:1価の陽イオン(→高等学校化学II/化学結合)になりやすい物質......3Li、11Na、19K、など。ここまでは8個間隔で現れている)。このことを元素の周期律(periodic law)という。また、図のような表を、周期表(periodic table)という。", "title": "原子に関する諸概念" }, { "paragraph_id": 98, "tag": "p", "text": "元素を原子番号の順に並べて、かつ周期律に併せて配列した表のことを周期表という。周期表の縦の列を族(group)といい、同族内では性質のよく似た元素が並ぶ。周期表の横の列を周期(period)と呼び、周期の番号は電子殻の数と一致する。", "title": "原子に関する諸概念" }, { "paragraph_id": 99, "tag": "p", "text": "「族」は、1族から18族までの、合計18個がある。「周期」は、1族から7族までが、現在(2013年に本文を執筆。)では確認されている。 具体例をいくつか挙げると、族については、水素HとリチウムLiとナトリウムNaとカリウムKは、ともに1族の元素である。周期に関しては、水素Hは第一周期であり、リチウムLiは第二周期であり、Naは第三周期である。 他の族の元素でも、例を挙げる。酸素Oは、16族で第二周期の元素である。炭素Cは14族で第2周期である。塩素Clは17族元素で第3周期である。", "title": "原子に関する諸概念" }, { "paragraph_id": 100, "tag": "p", "text": "族が同じ元素どうしを同族元素という。たとえば、HとLiとNaとKとルビジウムRbとセシウムCsとフランシウムFrとは、お互いに同族元素である。 他の族でも例を挙げれば、14族の炭素Cと,シリコンSi,ゲルマニウムGeと,すずSnと,鉛Pbとは、お互いに同族元素である。", "title": "原子に関する諸概念" }, { "paragraph_id": 101, "tag": "p", "text": "", "title": "原子に関する諸概念" }, { "paragraph_id": 102, "tag": "p", "text": "1族の同族元素のうち、水素Hを除いた残りの元素の、LiとNaとKとルビジウムRbとセシウムCsとフランシウムFrを、アルカリ金属(alkali metals)という。Hはアルカリ金属には含めない。", "title": "原子に関する諸概念" }, { "paragraph_id": 103, "tag": "p", "text": "2族元素のうち、ベリリウムBeとマグネシウムMgを除いた残りの元素の、カルシウムCa,ストロンチウムSr,バリウムBa,ラジウムRaをアルカリ土類金属(alkaline earth metal)という。ベリリウムBeとマグネシウムMgはアルカリ土類金属には含めない。", "title": "原子に関する諸概念" }, { "paragraph_id": 104, "tag": "p", "text": "17族の元素のフッ素F,塩素Cl,臭素Br,ヨウ素I,アスタチンAtをハロゲン元素(halogen)という。", "title": "原子に関する諸概念" }, { "paragraph_id": 105, "tag": "p", "text": "18族のヘリウムHe,ネオンNe,アルゴンAr,クリプトンKr,キセノンXe,ラドンRnを希ガス元素(rare gas)という。", "title": "原子に関する諸概念" }, { "paragraph_id": 106, "tag": "p", "text": "3族から11族の元素を遷移金属(せんいきんぞく,transition metals)という。 遷移金属は、価電子の数が1個または2個であることが多く、族と価電子数が一致しない。", "title": "原子に関する諸概念" }, { "paragraph_id": 107, "tag": "p", "text": "遷移金属以外の元素である元素はどうだろうか。1族と2族と12族~18族の元素を典型元素(main group element)という。典型元素では、族の番号の1の位の数が、最外殻電子の数と一致する。", "title": "原子に関する諸概念" }, { "paragraph_id": 108, "tag": "p", "text": "", "title": "原子に関する諸概念" }, { "paragraph_id": 109, "tag": "p", "text": "1族の元素と2族の元素は陽イオンになりやすい。 17族の元素は陰イオンになりやすい。 18族の元素は化合物をつくりづらい。天然には単分子で存在するのが一般である。", "title": "原子に関する諸概念" }, { "paragraph_id": 110, "tag": "p", "text": "なお書式について、原子番号の個数をaとして核子の個数をbとして元素記号(HやHeなど)をAすれば、その原子を a b {\\displaystyle _{a}^{b}} A のように書く事がある。", "title": "原子に関する諸概念" }, { "paragraph_id": 111, "tag": "p", "text": "", "title": "原子に関する諸概念" }, { "paragraph_id": 112, "tag": "p", "text": "カルシウムは、じつは金属である。カルシウムは金属なので、電気もよく通す。なのに、まったく骨が「電気を通す」という話を聞かない理由は、じつは動物の骨のおもな成分は、リン酸カルシウムという化合物であるので、電気を通しにくいのである。ちなみに骨は細胞である。", "title": "原子に関する諸概念" } ]
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== 物質と元素 == === 物質の要素 === {| class="wikitable" style="float: right; text-align: center; margin: 2pt;" |- ! style="text-align: center;" | 番号 !! 名称 !! 元素記号の例 |- | 1 || 水素 || H |- | 6 || 炭素 || C |- | 7 || 窒素 || N |- | 8 || 酸素 || O |- | 16 || 硫黄 || S |- | 20 || カルシウム || Ca |- | 26 || 鉄 || Fe |- | 29 || 銅 || Cu |- | 47 || 銀 || Ag |- | 79 || 金 || Au |} 物質は、'''原子'''(げんし、atom)という基本構造が組み合わさることによって構成されている。 ; 元素 : 原子の種類のことを元素(げんそ、element)という。 この元素は、現在では110種類ほどであり、これらのうち約90種類は天然に存在している。元素をあらわす記号には、ラテン語名などの頭文字から1文字または2文字をとった'''元素記号'''(げんそきごう、symbol of element)で表される。元素記号の1文字目は必ず大文字であり、2文字目は必ず小文字である。代表的な元素の元素記号を右の表に記したので、参考にしてほしい。詳しい元素記号の表は、[[元素記号]](周期表)に掲載しておいた。 :※ 「元素記号」のことを「原子記号」ともいう(※ 参考文献: チャート式)。 {{-}} === 元素の確認方法 === ==== 炎色反応 ==== [[File:Flametest--Na.swn.jpg|thumb|ナトリウムの炎色反応]] 元素の確認方法には、さまざまな方法があるが、炎色反応で確認することができる。たとえば塩化ナトリウム水溶液をつけた白金線、または水酸化ナトリウム水溶液をつけた白金線を、ガスバーナーの外炎に当てると、黄色い炎が出る。 これは、ナトリウム元素 Na による現象である。塩化ナトリウムも水酸化ナトリウムも、どちらの物質とも、Na を含んでいる。 <gallery> Image:Flametest--.swn.jpg|試料を加えない場合のガスバーナーの色 Image:FlammenfärbungLi.png|リチウム(赤) Image:Flametest--Na.swn.jpg|ナトリウム(黄色) Image:Flametest-Co-Na.swn.jpg|ナトリウム(※ コバルトガラスを通した場合) Image:FlammenfärbungK.png|カリウム(赤紫) Image:FlammenfärbungCa.png|カルシウム(橙赤) Image:FlammenfärbungSr.png|ストロンチウム(赤) Image:Flametest--Cu.swn.jpg|銅(青緑) </gallery> このように、物質を炎の中に入れたとき、その物質に特有の色の炎が見られる現象を'''炎色反応'''(えんしょくはんのう、flame reaction)という。炎色反応の色は、元素の種類によって異なるので、元素の種類を調べたい時に炎色反応で元素の種類を確認する事ができる。 なお、花火の色は、炎色反応を利用したものである。 ==== 石灰水と二酸化炭素 ==== 石灰水(水酸化カルシウム水溶液)は、二酸化炭素を吹き込まれることで、白く沈殿する。これは、水に不溶の CaCO<sub>3</sub> が発生したためである。 この一連の現象を利用して、ある気体中での二酸化炭素の有無を確認できる。 また、ある物質を酸化させて燃やした時に発生する気体が、石灰水を白く濁らせれば、その物質には炭素が含まれることが判別できる。 *具体例 大理石に希塩酸をそそぐと気体が発生する。この気体を、水酸化カルシウム水溶液にそそぐと、白く沈殿する。このことから、大理石には炭素Cが含まれてることが分かる。なお、生じた白色沈殿は炭酸カルシウムである。 ==== 沈殿 ==== 食塩水(水酸化ナトリウム水溶液)に硝酸銀水溶液を加えると、白色沈殿(塩化銀)が生じる。 この沈殿反応を利用することで、ある水溶液中に銀 Ag または塩素 Cl が含まれているか否かを判別できる。 ==== 参考:スクロースの成分元素の検出 ==== :(※ 未記述. 執筆協力者を募集) == 物質の構成 == === 単体と化合物 === たとえば水を電気分解すると、水素と酸素の気体が2:1の比で分離する。水素だけからなる気体、酸素だけからなる気体など、一つの元素のみから構成されている物質を'''単体'''(たんたい、simple substance)という。 単体の例をあげると、たとえば、純粋な銅は、銅元素のみからなる単体である。純粋な水素の気体は、水素元素のみからなる単体である。 いっぽう、水は、水素と酸素が結合している。このように、2種類以上の元素から成り立つ物質を'''化合物'''(compound)という。 水(H<sub>2</sub>O)はH元素とO元素からなる分子から構成されている化合物である。他にも、酸化銅II(CuO)や、塩化アルミニウム(AlCl<sub>3</sub>)など、化合物には、いくつもの種類がある。 === 同素体 === <gallery> ファイル:GraphiteUSGOV.jpg|黒鉛 File:Brillanten.jpg|ダイヤモンド </gallery> 黒鉛とダイヤモンドは、ともに炭素 C からなるが、色・電気伝導性など、性質が異なる。このように、ある元素の単体どうしで、元素の結びつき方が違うために性質が違うもののことを、たがいに'''同素体'''(どうそたい、allotrope)という。 たとえば「黒鉛はダイヤモンドの同素体である」といった具合に、この言葉を使用する。当然、組み合わさり方が一種類しかないような元素には、同素体は無い。 硫黄 S の同素体には、斜方硫黄(しゃほう いおう)と単斜硫黄(たんしゃいおう)およびゴム状硫黄がある。斜方硫黄(しゃほう いおう)と単斜硫黄(たんしゃいおう)およびゴム状硫黄は、これらはいずれも単体であるが、化学的性質が異なる。 赤リン(せきリン)と黄リン(おうリン)は、リン P の同素体である。 {| class="wikitable" style="text-align:center;" |- ! style="text-align: left;" colspan="3" | 同素体の例 |- | style="width: 160px;" rowspan="2" | 炭素(C)の同素体 | style="width: 160px;" | 黒鉛 | style="text-align: left;" | 黒色。やわらかい。電気を通す。 |- | ダイヤモンド | style="text-align: left;" | きわめて硬い。電気を通さない。無色透明。 |- | style="width: 160px;" rowspan="3" | 硫黄(S)の同素体 | style="width: 160px;" | 斜方硫黄 | style="text-align: left;" | 常温で安定。 |- | 単射硫黄 | style="text-align: left;" | 針状。常温で放置すると、やがて斜方硫黄になる。 |- | ゴム状硫黄 | style="text-align: left;" | 弾力性がある。 |- | style="width: 160px;" rowspan="2" | リン(P)の同素体 | style="width: 160px;" | 赤リン | style="text-align: left;" | 化学的に安定。毒性は少。 |- | 黄リン | style="text-align: left;" | 空気中で自然発火するので、水中に保存する。猛毒。 |- |} {{clear}} ほかにも炭素の同素体として、フラーレンやカーボンナノチューブなどが知られている。しかしフラーレンなどの説明には高度な専門性を要するので、ここでは詳細は述べない。 {{clear}} === 純物質と混合物 === [[File:ろ過 器具 svg.svg|thumb|ろ過の器具の使い方。ろうとの先端は、とがっているほうをビーカーに密着させる。]] [[File:Filtracia.png|thumb|1:ビーカー および ろ過前の液体、 2:支持台、 3:ろうと、 4:ろ過された溶液、 5:支持台、 6:ガラス棒、 7:ろ紙 。]] ; 純物質 : 物質が単体か化合物であるとき、その物質を'''純物質'''(pure substance)と呼ぶ。 純物質は、物理的操作(叩く、引っ張る、ろ過する、といった操作)によってそれよりも小さい構成パターンに分けることができないようなパターンの集まりだと考えられる。ここで言うパターンとは、元素の組み合わせのことである。単体や化合物は、物理的な操作だけではその構成を変えることができない。例えば、水は蒸発させても凍らせても叩いてもろ過しても、水のままである。しかし、電気分解を行うことで水素と酸素に分解できることは、中学校で学習した通りだ。具体的には、前者を物理的操作、後者を化学的操作と呼ぶ。 [[Image:空気の比率 小学生用svg.svg|thumb|350px|left|乾燥空気の平均的な組成。<br>(※ 小学生用の画像ですが、組成は同じですので、容赦してください。)]] ; 混合物 : 2種類以上の物質が混ざった物質のことを'''混合物'''(こんごうぶつ、mixture)と言う。食塩水は混合物である(なぜなら、水と食塩とが混同しているので)。 なお、(※ 教科書には書かれてないが、)塩化ナトリウムそのものは純物質である。 海水は混合物である。(※ 海水の組成は覚えなくてもいいが、まず海水には食塩(塩化ナトリウム)が含まれてるので、その時点ですでに塩化ナトリウムと水との混合物。さらに海水には塩化マグネシウムなども含まれているので、より混合物である。) 空気は混合物である。なぜなら、空気には窒素や酸素などが混ざっているからである。窒素そのものは純物質である。酸素そのものは純物質である、 牛乳は混合物。石油は混合物。 ドライアイスは純物質。氷(こおり)は普通、純物質。 純粋な銅(どう)は純物質である(合金などは除外する)。純粋な鉄そのものは純物質である(合金などは除外する)。硫黄(いおう)は純物質。エタノールは純物質。 (検定教科書には書かれてないが、)ほかにも、塩酸は塩化水素(HCl)と水(H<sub>2</sub>O)の混合物である(※ チャート式など参考書で紹介)。 (※ チャート式など参考書で紹介)花崗岩(かこうがん)も混合物である。 ※ 純物質と混合物の分類の定義に対しては、直観的な理解で、かまわない。しかし、ある物質が純物質か混合物かについては、しっかりと把握すべきである。 {{-}} === 物質の構成による分類 === これまでに学習した'''単体'''、'''化合物'''、'''混合物'''についてまとめた。右側には具体例となる物質を挙げたので、参考にしてほしい。 {| class="wikitable" style="text-align:center;" |- ! style="width: 260px;" colspan="3" | 物質の構成 ! style="width: 400px;" | 具体例 |- | rowspan="3" | 物質 | rowspan="2" | 純物質 | 単体 | style="text-align: left;" | 鉄(Fe)、水素(H<sub>2</sub>)、酸素(O<sub>2</sub>)、など |- | 化合物 | style="text-align: left;" | 水(H<sub>2</sub>O)、酸化銅(II)(CuO)、など |- | colspan="2" | 混合物 | style="text-align: left;" | 食塩水(水と塩化ナトリウム)、海水、空気、など |- |} {{-}} == 原子の構造と元素の周期表 == === 原子の構造 === [[File:Helium Atom jp.svg|frame|right|He原子のボーアモデル]] 原子(げんし)は、中心にある'''原子核'''(atomic nucleus)と、その周り(電子殻、electron shell)を飛び回るいくつかの'''電子'''(electron,図では黄色)からなる。原子の形状は、球状の構造である(円状ではなく、球状である)。(※ 電子殻(でんしかく)については後述する。) 右に示した図で言えば、真ん中の赤い粒が陽子(ようし、proton)、おなじく真ん中の黄緑色の粒が中性子(ちゅうせいし、neutron)。それから、周りにある黄色い粒が電子である。全ての原子は、このような「原子核の周りに電子」という構造をしていると考えられている。 ==== 原子核 ==== 原子核は、何個かの'''陽子'''(ようし、proton)と何個かの'''中性子'''(ちゅうせいし、neutron)からなる。 原子の大きさは、だいたい半径 10<sup>-8</sup> cm である(= 100億分の1メートル 、つまり 10<sup>-10</sup> m )。原子核はさらに小さく、原子核の大きさは半径 10<sup>-15</sup> m である。 比喩(ひゆ)として、原子をドーム球場の大きさに例えると、原子核の大きさは1円玉やビー玉の大きさに相当することになる。 原子はあまりに小さいため、電子顕微鏡などを用いなければ形状を観察することができない。原子核は、正の電荷(charge)を持っている。基本的に原子核は壊れない(※ 高校化学の段階では、とくに断りのないかぎり、原子核は壊れない、として扱ってよい)。 :(※ 範囲外: )右上図のボーアモデルのような、原子核と電子の位置関係がなぜ分かったかというと、様々な実験にもとづいているが、特に代表的な実験としては、放射線を用いて原子核を研究した物理学者ラザフォードによる、金箔などに放射線(ラジウムを用いてアルファ線を出す実験をしていた)を当てる実験によって大きく解明された<ref>John McMurry ほか原著『第4版(原書7版) マクマリー生物有機化学 基礎化学編』、菅原二三男 監訳、平成25年1月25日 発行、p46</ref>。(くわしくは物理2 科目の [[高等学校物理/物理II/原子と原子核]] で習う。ラザフォードの時代には、まだ中性子や陽子などといった原子核の中身の個別の粒子が知られていなかったので、のちに物理学者ボーアなどによって中性子や陽子などの知見を加えたボーアモデルに改良された。) ==== 原子の電荷 ==== 陽子が持つ電荷は、電子が持つ電気と大きさが同じで、符号が反対である。化学式などでは一般に、電子の電荷の大きさを最小単位として表す。つまり、電子の電荷を -1 として表す。このため、陽子の電荷を +1 として表す。 中性子は電荷を持たない。中性子の電荷は 0 である。 {| class="wikitable" |+ !    !! 構成粒子 !! 電荷 !! 質量[g] !! 質量比 |- !rowspan="2"| 原子核 !!陽子 | <center>+1</center> || 1.673×10<sup>-24</sup> || <center>1</center> |- ! 中性子 | <center>0</center> || 1.675×10<sup>-24</sup> || <center>1</center> |- !colspan="2"| 電子 | <center>-1</center> || 9.109×10<sup>-28</sup> || <math>\frac{1}{1840}</math> |- |} 原子に含まれる陽子の数を'''原子番号'''(げんしばんごう、atomic number)という。元素ごとに、陽子の数は決まっているので、つまり元素が決まれば、原子番号も決まる。たとえば水素は陽子を1個持つので、水素の原子番号は1である。 :※ ちなみに、電子1個の電荷は、物理学的には、-1.602×10<sup>-9</sup>〔C〕である。単位 c はクーロンと読む。陽子1個の電荷は、物理学的には、1.602×10<sup>-9</sup>〔C〕である。この 1.602×10<sup>-9</sup>〔C〕の大きさを、化学では計算を簡単化するため、単位1として扱っているわけである。なお、1.602×10<sup>-9</sup>〔C〕の大きさのことを「電気素量」(でんきそりょう)という。 ==== 原子の質量 ==== 原子核中での、電子の数と陽子の数は、同じである。よって原子核は、全体としては電荷をもたない。よって原子核は電気的に中性である。 また、陽子の質量と中性子の質量は、ほぼ同じである。 電子の質量は、陽子の約 <math>\frac{1}{1840}</math> 倍である。よって原子の質量は、ほぼ原子核の質量になる。そして、陽子1個の質量と中性子1個の質量はほぼ同じである。ある原子1個での、陽子数と中性子数との和を、'''質量数'''(しつりょうすう、mass number)という。 つまり、ある元素の原子1個あたりの質量は、原子核1個中の陽子と中性子の質量数の和に、比例する。 具体例として、通常の水素 H の質量数は1である。通常の水素の原子核は、陽子1個のみである。 通常のヘリウム He の質量数は4である。なぜなら通常のヘリウムの原子核は、陽子2個と中性子2個からなる。 *参考 :中性子だけでは原子核にはならない。いっぽう、水素原子のように、陽子だけでも原子核は成り立つ場合がある。 :原子の構造は、高等学校の化学においては一般的に、ボーアの原子模型と呼ばれるモデルを使って理解する。 ---- ある元素記号の質量数を表す場合、 <chem>^4 He</chem> のように、原子の左上に小さく書いて示す(例ではヘリウムを例にした)。 原子番号も書く場合は、 <chem>_2^4 He</chem> のように、左下に原子番号を書き、左上に質量数を書く。 : かりに質量数をMとして、その元素記号をXとすると、<sup>M</sup>X のように書き表す。 質量数はあくまで、陽子と中性子の個数の和であり、質量そのものではないことに注意が必要である。さらに言えば、これら質量数はあくまで指標であり、実際の質量は厳密には異なってくる。 :※ 単元『[[高等学校化学I/物質量と化学反応式]]』のページで、ある質量数の原子の個数と実際の質量との関係について解説する。 ==== 同位体 ==== ===== 同位体 ===== {| class="wikitable" style="float: right;" |+ 水素の同位体 |- ! 同位体 | <chem>^1_1 H</chem> || <chem>^2_1 H</chem> || <chem>^3_1 H</chem> |- ! 陽子の数 | 1 || 1 || 1 |- ! 中性子の数 | 0 || 1 || 2 |- ! 質量数 | 1 || 2 || 3 |- ! 電子の数 | 1 || 1 || 0 |- |} 天然に存在する水素原子の大部分は、原子核が陽子1個だけからなる <chem>^1_1 H</chem> であるが、水素には、この他にも陽子1個と中性子1個からなる <chem>^2_1 H</chem> も少量ながら存在する。 このように、原子番号が同じでも質量数が異なる原子のことを、たがいに'''同位体'''(どういたい、isotope)であるという。あるいは同位体のことを'''アイソトープ'''(isotope)ともいう。 {| class="wikitable" style="float:right" |+ 同位体と存在比 ! 元素 !!   !! 同位体 !! 存在比(%) |- ! rowspan="2"| 水素 | rowspan="2"| <chem>_1 H</chem> || <chem>^1 H</chem> || 99.9885 |- | <chem>^2 H</chem> || 0.0115 |- ! rowspan="2"| 炭素 | rowspan="2"| <chem>_6 C</chem> || <chem>^12 C</chem> || 98.93 |- | <chem>^13 C</chem> || 1.07 |- ! rowspan="3"| 酸素 | rowspan="3"| <chem>_8 O</chem> || <chem>^16 O</chem> || 99.757 |- | <chem>^17 O</chem> || 0.038 |- | <chem>^18 O</chem> || 0.205 |- |} 水素の同位体には、さらに <chem>^3_1 H</chem> も、ごくわずかにある。 なお、「同位体」という名前が「同素体」と似ているが、異なる概念なので、混同しないように読者は注意のこと。 <chem>^2_1 H</chem> のことを重水素(じゅうすいそ)という。また <chem>^3_1 H</chem> のことを三重水素という。 同位体どうしは質量が異なるが、化学反応などの化学的性質はほぼ同じである。なぜなら、原子核に含まれる陽子の数が同じだからである。 炭素Cの代表的な同位体には、<sup>12</sup>C と<sup>13</sup>C がある。 ===== 放射性同位体 ===== 炭素Cの同位体には<sup>14</sup>Cも存在する場合もあるが、この<sup>14</sup>Cは不安定であり、すぐに崩壊(ほうかい)して質量数が変わってしまう。原子核が壊れるとき、一般に放射線をだすので、不安定な同位体が壊れたときも放射線を出す。<sup>14</sup>Cも崩壊するときに放射線を出す。 <sup>14</sup>Cのような、すぐに崩壊して放射線を出す同位体を'''放射性同位体'''(ほうしゃせいどういたい、ラジオアイソトープ,radioisotope)という。 これに対して安定して存在できる同位体を'''安定同位体'''(stable Isotope)という。 原子力発電所の原子炉内では、質量数3の水素<sup>3</sup>Hも存在する。この水素<sup>3</sup>Hを'''三重水素'''(さんじゅうすいそ、tritium トリチウム)という。<sup>3</sup>Hは放射性同位体である。 なお、すべての元素に、自然界で同位体が存在するわけではない。 Be,F,Na,Al,P,Sc,Mnなどには、天然には同位体は存在しない。 放射性同位体の活用としては、化学反応のしくみを追跡するときに利用される。ほかにも、年代測定などにも利用される。 なお、放射性に関する用語として、放射線を出す性質のことを「放射能」(radioactivity)という。放射線を出すなどして、原子が他の原子に変わることを「崩壊」という。 原子ごとに、原子核が変わるまでの、だいたいの時間が異なる。半分の量の原子核が変わるまでの時間を'''半減期'''(はんげんき、half life)という。 <sup>14</sup>Cの半減期は5830年である。例えば<sup>14</sup>Cの量が元の1/8になっているなら 1/8=(1/2)<sup>3</sup>なので5830×3=17490年経過している。 :(※ 高校化学の範囲外: 生物の範囲: )放射性同位体を使った実験の前提として、放射性同位体の原子ばかりを周囲の通常の原子から分離する工程が必要である。では、そもそもどうやって分離するのかというと、一例として、遠心分離機などを用いて質量差に起因する遠心力の差によって分離する方法がある(遠心分離法)。遠心分離法は、よく生物学の放射性同位体をもちいた実験でも使う。 :(※ 高校の範囲外: )遠心分離法の他にも、温度差や熱を用いた熱拡散法による分離もある。その他、溶解した状態で電気を流すと質量差によって泳動する速度がちがうことを利用する方法や(「電気泳動法」といわれるが、生物学でいう同名の方法とは若干ちがう)、ほかには蒸留を用いた方法など、さまざまな方法がある<ref>https://www.jstage.jst.go.jp/article/bunsekikagaku1952/12/1/12_1_91/_pdf 『講座 同位体の分離』理化学研究所 中根] </ref>。 :このように、割と普通の方法で放射性同位体をほかの原子から分離できるので、高校生としては、同位体の分離法については特に悩む必要は無い。 {{-}} * 範囲外: 「軽水」(けいすい)とは? 原子力工業などでいう「軽水」(けいすい)とは、重水素を含まない普通の水の事である。(※ 参考文献: 電気学会『電気学会大学講座 発電工学 〔改訂版〕』、2015年改訂版) 原子力工業の分野では、重水素を含んでいて普通でない水のことを「重水」(じゅうすい)と呼んでいる。原子力工業の用語では、「重水」に対して、普通の水素の化合によって出来た水のことを「軽水」と呼んで、原子力工業では区別している。 :※ しかし、高校生にとっては、「軽水」は一般の化学用語ではないので、覚える必要は無い。 また、原子力の分野や、放射性同位体をつかった化学分析の分野では、一般の水素原子<math>_{1}^{} \mathrm{H}</math>を「重水素」と区別するために、一般の水素原子<math>_{1}^{} \mathrm{H}</math>のことを「軽水素」という場合もある。(※ 参考文献: サイエンス社『工学のための無機化学 新訂版』、橋本和明ほか著、2016年新訂第1版、118ページ) だが、けっして普通の水素<math>_{1}^{} \mathrm{H}</math>とは別に「軽水素」なんて元素があるわけではない。普通の水素原子<math>_{1}^{} \mathrm{H}</math>を重水との区別のために「軽水素」と呼んでいるだけである。 :※ 中学高校の理科では、特にことわりのないかぎり、「水素原子」といったら、一般の水素 <math>_{1}^{} \mathrm{H}</math> のことであるので、「軽水」「軽水素」の用語は高校生は覚えなくて良い。 === 電子殻と価電子 === [[File:Electron-shell jp.svg|thumb|300px|電子殻の配置]] {| class="wikitable" style="float:right" |+ 希ガス原子の電子配置 !    !! K !! L !! M !! O !! P |- ! He | 2 || || || || |- ! Ne | 2 || 8 || || || |- ! Ar | 2 || 8 || 8 || || |- ! Kr | 2 || 8 || 18 || 8 || |- |} [[Image:Electron shell 008 Oxygen (diatomic nonmetal) - no label.svg| thumb |200px| 酸素原子Oの電子は、K殻に2個の電子。L殻に6個の価電子を持つ。]] [[File:Electron shell 001 Hydrogen (diatomic nonmetal) - no label.svg|thumb|200px| 水素原子Hの電子は、K殻に1個の価電子を持つ。]] 原子の構造のうち、電子が並んでいる原子核の周りの部分について、より詳しく見ていこう。 ; 電子殻(でんしかく、electron shell) : 電子が飛び回っている部分全体を指す。階層構造になっている。 この電子殻は何重かにわかれており、内側から'''K殻'''(ケーかく、K shell)、'''L殻'''(エルかく、L shell)、'''M殻'''(M shell)、……と呼ぶ。それぞれの層に入ることのできる電子の数は決まっており、その数以上の電子が一つの層に入ることは無い。たとえば、K殻に入ることのできる電子の数は2つまでである。また、電子は原則的に内側の層から順に入っていく。M殻以降では例外もあるが、高等学校の化学ではこれについては扱わない。内側から数えてn番目の電子殻に入ることのできる電子の数は、最大2n<sup>2</sup>までである。 また、いちばん外側の電子殻にある電子を'''最外殻電子'''(さいがいかく でんし、outermost-shell electron)という。ある原子とある原子との接点が、実際には電子殻であるため、原子の結合の仕方などはこの最外殻電子の個数が重要になってくる。ある原子での最外殻電子の数を'''価電子'''(かでんし、valence electron)という。 各々の原子の電子の、電子殻への配列の仕方を'''電子配置''' (でんしはいち、electron configuration)という。 :※ そもそも「価電子」が本当に電子なのかどうかの根拠は、高校レベルでは、いちおう、高校化学のあとの単元で習う『電気分解』などの電気化学の実験結果により、反応した物質の量から算出される「価電子」の数と、電気回路によって与えた電気量から算出される「電子」の数とが一致するので、価電子は電子だと思われている。 :なお、電子1個の電気量そのものの数値の証明は、高校「物理」でならうミリカンの油滴の実験などで検証されている。 ヘリウムやネオンは、安定しており、化合物をつくりづらい。ヘリウムガスは、化合してないヘリウム原子が気体そのものの成分であり、分子化合物ではない。同様にネオンガスも原子の気体であり、分子ではない。 ヘリウムの電子配置は、K殻に2個ぜんぶの電子が配置されていて、安定しているので、このような化学的安定をしている。 同様に、ネオンの電子配置は、L殻に8個ぜんぶの電子が配置されてるので、安定している。 このように、最外殻にそれ以上電子が入ることのできない状態を'''閉殻'''(へいかく)という。閉殻になっている原子の価電子の個数は'''0'''であると約束する。 なお、ヘリウム、ネオン、アルゴンなどの原子のことを'''希ガス'''(きガス、Noble gases)原子という。希ガス原子は、ほかの原子とは化合せず、希ガスどうしとも化合しておらす、希ガスそのものが分子と同様に安定してふるまうので、「単原子分子」(たんげんし ぶんし、monoatomic molecule)である。 [[File:Electron shell 002 Helium - no label.svg|thumb|left|200px| ヘリウム原子Heの電子は、K殻に2個の電子を持つ。ヘリウムは閉殻構造である。閉殻なのでヘリウムの価電子は0と数える。]] <gallery widths="250px" heights="250px"> File:Electron shell 011 Sodium.svg |ナトリウム原子Naの電子は、K殻に2個の電子。L殻に8個の電子。M殻に1個の価電子を持つ。 File:Electron shell 017 Chlorine.svg| 塩素原子Clの電子は、K殻に2個の電子。L殻に8個の電子。M殻に7個の価電子を持つ。 </gallery> {{clear}} ---- === 電荷 === 原子の構造を理解する助けとして、これから先になって必要になってくる概念である'''電荷'''という言葉については、ここで簡単な説明を加えておく。 ; 電荷(electric charge) : 粒子にある電気的な性質のこと。プラスの量とマイナスの量があり、当然ながら0も存在する。 この電荷という概念は、[[高等学校物理]]などでも扱う。電荷を持った粒子がどのような振る舞いをするかについて興味を持ったなら、そちらを参考にすると良い。 電荷を持った粒子は基本的に次の性質を持っている。これらを知っていれば、高等学校の化学においては十分であろう。 :* 同じ符号の電荷を持った粒子同士は反発する力が働く。 :* 逆の符号の電荷を持った粒子同士は引き合う力が働く。 :* 電荷を持った粒子どうしに働く力は、距離が近いほど大きくなる。 ある原子核に陽子が3つ含まれているとき、原子核全体の電荷は : +e &times; 3 = +3e と表される。さらに、この原子核の周りに電子が3つ回っているならば、原子全体の電荷は、 : (+3e) + (-3e) = 0 となる。これは、原子全体では電荷を持っていないということである。このことがらを利用すれば、原子全体の電荷や、原子の名称などから、それにいくつの陽子や電子が含まれているかを計算することができる。 === 高校の物理の範囲では、化学反応を説明できない === 高校の「物理」で習う電気の内容だけでは、化学での価電子のふるまいなどを理解することはできない。だから高校生は、物理とは別に、化学の理論も覚える必要がある。 たとえば、「なぜ、電子にはK殻、L殻などといった電子殻(でんしかく)があるのか?」などといった基本的な問いさえ、高校物理の電気・磁気の知識では説明不可能である。原子どうしの結合の起こる理由すら、高校物理では、説明不可能である。 :問いの答えを話すと、量子力学(りょうし りきがく)のシュレーディンガーの方程式や、ディラックの方程式によって、これら化学での電子の振る舞いについての問いの答えが、数学的に証明できたとされている。 電子殻については、量子力学の以前でも、周期表が19世紀にメンデレーエフによって発見されたことや、さまざまな実験結果によって、電子殻のような、現象が存在することは、19世紀ころ(1800年~1900年ごろ)から分かっていた。だが、ではなぜ、そのような電子殻といった仕組みがあるのか、量子力学の以前は、まだ分からなかったのである。 量子力学の以前でも、電気分解などの実験によって、化学反応には電子が関わることは分かっていたし、周期表などから、原子のもつ電子の数も分かっていた。原子核に陽子や中性子のような物があることも、原子の電子軌道上にもつ電子と、原子の質量の分析から、分かっていた。しかし、ではなぜ、原子核のもつ陽子や中性子の数が、そのような数に決まるのか、まったくもって理由が不明だったのである。 シュレーディンガー方程式とディラック方程式の解法は、とても難解であり、高校レベルを遥かに越える難度で、理系の大学学部の高学年~大学院レベルである。しかも、数学や物理や化学を専門にする学科の大学生の場合で、大学高学年~大学院で、やっと、解けるというレベルである。 たいていの大学生の受ける大学の授業では、大学1年~2年での化学の授業で、学生が理解するよりも先に、シュレーディンガー方程式・ディラック方程式によって20世紀の化学者が分かった結果を習い、学生は結果を鵜呑みすることになる。 とても、一般の高校生には、シュレーディンガー方程式などによる化学反応の証明は手が追えないので、シュレーディンガー方程式およびディラック方程式に深入りしてはならない。 科学技術の歴史的にも、物理学において、現代のような、原子や電子にもとづく化学反応の仕組みが分かったのは、だいぶ後の時代であり、1900年すぎごろから、量子力学や相対性理論などの学問が発達してからである。1800年代までは、そもそも「原子」や「分子」といったものが存在するということの証明すら、とても難しかったのである。 また、1800年代ころの昔は、原子と分子との区別すら、まだ、あまり区別されてなくて、混同されていた時代だったのである。 つぎの章の以降で話す、原子の仕組みについても、同様に、高校物理の電気の知識では、説明できない。量子力学よりも前の昔は、化学での原子の仕組みが「なぜ、そうなるのか?」が分からなかったのである。 だから、高校生は、先に結果を覚える必要がある。 == 原子に関する諸概念 == === 原子の分類 === 原子の化学反応的な性質は、その原子の原子核に含まれる陽子の数で決まる。なぜなら、電子殻上の電子が、化学反応では媒介(ばいかい)になるのだが、電子殻上のその電子の数は、原子核中の陽子の数と、同じだからである。このため原子番号の定義を、陽子の数として定義することは、合理的である。 実は、元素の分類、つまり原子がどの元素に属するかという判断は、その原子の原子核に含まれる陽子の数によって行われている。例えば、水素(H)に属する原子の場合、それに含まれる陽子の数は必ず1個である。同じように、炭素(C)に属する原子の原子核には、必ず6個の陽子が含まれている。逆に、ある原子の原子核に陽子が6個含まれるなら、その原子は炭素である。 <div style="text-align: center;"> {| |- ! style="text-align:center;" colspan="2" | 原子番号と元素記号と陽子の数の対応の例 |- | {| class="wikitable" ! style="text-align:center; width: 80px;" | 原子番号 ! style="text-align:center; width: 80px;" | 元素記号 ! style="text-align:center; width: 200px;" | 元素名(原子名) ! style="text-align:center; width: 100px;" | 陽子の数 |- | 1 || <sub>1</sub>H || 水素 || 1 |- | 2 || <sub>2</sub>He || ヘリウム || 2 |- | 6 || <sub>6</sub>C || 炭素 || 6 |} | {| class="wikitable" ! style="text-align:center; width: 80px;" | 原子番号 ! style="text-align:center; width: 80px;" | 元素記号 ! style="text-align:center; width: 200px;" | 元素名(原子名) ! style="text-align:center; width: 100px;" | 陽子の数 |- | 8 || <sub>8</sub>O || 酸素 || 8 |- | 13 || <sub>13</sub>Al || アルミニウム || 13 |- | 20 || <sub>20</sub>Ca || カルシウム || 20 |} |- |} </div> === 周期表と周期律 === [[Image:Periodic table (polyatomic).svg|center|700px|周期表]] 元素を原子番号の順に並べると、性質のよく似た元素が周期的に現れることがある(例:1価の陽イオン<small>(→[[高等学校化学Ⅱ/化学結合]])</small>になりやすい物質……<sub>3</sub>Li、<sub>11</sub>Na、<sub>19</sub>K、など。ここまでは8個間隔で現れている)。このことを元素の'''周期律'''(periodic law)という。また、図のような表を、周期表(periodic table)という。 元素を原子番号の順に並べて、かつ周期律に併せて配列した表のことを'''周期表'''という。周期表の縦の列を'''族'''(group)といい、同族内では性質のよく似た元素が並ぶ。周期表の横の列を'''周期'''(period)と呼び、周期の番号は電子殻の数と一致する。 :※ 関連: 『[[元素記号]]』。 「族」は、1族から18族までの、合計18個がある。「周期」は、1族から7族までが、現在(2013年に本文を執筆。)では確認されている。 具体例をいくつか挙げると、族については、水素HとリチウムLiとナトリウムNaとカリウムKは、ともに1族の元素である。周期に関しては、水素Hは第一周期であり、リチウムLiは第二周期であり、Naは第三周期である。 他の族の元素でも、例を挙げる。酸素Oは、16族で第二周期の元素である。炭素Cは14族で第2周期である。塩素Clは17族元素で第3周期である。 族が同じ元素どうしを'''同族元素'''という。たとえば、HとLiとNaとKとルビジウムRbとセシウムCsとフランシウムFrとは、お互いに同族元素である。 他の族でも例を挙げれば、14族の炭素Cと,シリコンSi,ゲルマニウムGeと,すずSnと,鉛Pbとは、お互いに同族元素である。 {{コラム|メンデレーエフと周期表| [[File:Дмитрий Иванович Менделеев 2.jpg|thumb|メンデレーエフ]] ロシアのメンデレーエフによって、1869年に、周期表が作られはじめた。彼メンデレーエフの偉大な点は、当時知られていた63種類の元素だけを並べようとはせず、空欄がいくつもある表をつくったことであり、その空欄には未知の元素が入ると予言したことである。 :(※ 教科書の範囲外: )じつはメンデレーエフ以前にも元素を並べようとしていた先駆者はいたが、しかし彼ら先駆者は既存の元素だけで無理に並べようとしたりしたので、注目されなかった。(※ 参考書のチャート式に書いてあるメンデレーエフ以前の発見者の説明は、そういう意味。) メンデレーエフは、まず元素を原子量の順に並べると、化学反応などの性質の似た元素が表の縦の列にあらわれるような周期表を作成した。当時に、まだ知られていない元素があったが、それは、「未発見の元素があるのだろう」とメンデレーエフは考えた。のちに、メンデレーエフの予想したとおりの性質をもつガリウムやゲルマニウムが発見された。 発見されたゲルマニウムの性質は、メンデレーエフの予言したエカケイ素とよく一致した。エカケイ素は、彼の周期表で、ケイ素の一つ下にある元素である。(エカとはサンスクリット語で「1」の意味。) }} {| class="wikitable" ; text-align: center; margin: 2pt;" |- ! !! エカケイ素 Es !! ゲルマニウム Ge |- ! 原子量 || 72 || 72.6 |- ! 密度[g/cm<sup>3</sup>] || 5.5 || 5.3 |- ! 融点 || 高い || 937 |- ! 酸化物 || EsO<sub>2</sub> || GeO<sub>2</sub> |- |} ::※ wikiの仕様上、コラム内で表を描けないので、コラム外に表を記述しています。 {{-}} ;アルカリ金属 1族の同族元素のうち、水素Hを除いた残りの元素の、LiとNaとKとルビジウムRbとセシウムCsとフランシウムFrを、'''アルカリ金属'''(alkali metals)という。Hはアルカリ金属には含めない。 ;アルカリ土類金属 2族元素のうち、ベリリウムBeとマグネシウムMgを除いた残りの元素の、カルシウムCa,ストロンチウムSr,バリウムBa,ラジウムRaを'''アルカリ土類金属'''(alkaline earth metal)という。ベリリウムBeとマグネシウムMgはアルカリ土類金属には含めない。 ;ハロゲン元素 17族の元素のフッ素F,塩素Cl,臭素Br,ヨウ素I,アスタチンAtを'''ハロゲン元素'''(halogen)という。 ;希ガス元素 18族のヘリウムHe,ネオンNe,アルゴンAr,クリプトンKr,キセノンXe,ラドンRnを'''希ガス元素'''(rare gas)という。 ;遷移金属 3族から11族の元素を'''遷移金属'''(せんいきんぞく,transition metals)という。 遷移金属は、価電子の数が1個または2個であることが多く、族と価電子数が一致しない。 ;典型元素 遷移金属以外の元素である元素はどうだろうか。1族と2族と12族~18族の元素を典型元素(main group element)という。典型元素では、族の番号の1の位の数が、最外殻電子の数と一致する。 1族の元素と2族の元素は陽イオンになりやすい。 17族の元素は陰イオンになりやすい。 18族の元素は化合物をつくりづらい。天然には単分子で存在するのが一般である。 なお書式について、原子番号の個数をaとして核子の個数をbとして元素記号(HやHeなど)をAすれば、その原子を<big> <math>^b_a</math>A </big>のように書く事がある。 * 備考 カルシウムは、じつは金属である。カルシウムは金属なので、電気もよく通す。なのに、まったく骨が「電気を通す」という話を聞かない理由は、じつは動物の骨のおもな成分は、リン酸カルシウムという化合物であるので、電気を通しにくいのである。ちなみに骨は細胞である。 [[カテゴリ:物質|ふしつとけんし]]
2005-09-08T09:21:30Z
2023-10-13T01:56:40Z
[ "テンプレート:-", "テンプレート:Clear", "テンプレート:コラム" ]
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料理本/朝鮮料理
料理本 | 東アジア料理
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "料理本 | 東アジア料理", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "", "title": "米飯" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "", "title": "米飯" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "", "title": "米飯" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "", "title": "米飯" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "", "title": "米飯" }, { "paragraph_id": 6, "tag": "p", "text": "", "title": "米飯" }, { "paragraph_id": 7, "tag": "p", "text": "", "title": "米飯" } ]
料理本 | 東アジア料理
[[料理本]] | [[料理本/東アジア料理|東アジア料理]] ==海鮮料理== <li>[[料理本/蛤のガソリン焼き|蛤のガソリン焼き]] - 北朝鮮の名物料理。蛤にガソリンをかけて豪快に焼く。 ==[[料理本/米料理|米飯]]== *[[料理本/ビビンバ|ビビンバ]] - 朝鮮風の混ぜご飯。丼によそったご飯の上に野菜などの具財を並べ、コチュジャンをかける料理。これを食べる直前にかき混ぜる。 ==スープ類== *[[料理本/参鶏湯|参鶏湯]] (サンゲタン) - 鶏を丸ごと使ったスープで朝鮮人参などを使用し滋養強壮効果も高い。 *[[料理本/補身湯|補身湯]] (ポシンタン) - 犬肉を使ったスープで、滋養強壮効果も高い。 ==チゲ(鍋)類== ==調味料== *[[料理本/コチュジャン|コチュジャン]] (苦椒醤) - 唐辛子味噌とも呼ばれる。 ==肉料理== *[[料理本/カルビ|カルビ]] - 肋骨についている肉(バラ肉)を使った料理。 *[[料理本/プルコギ|ブルコギ]] - 朝鮮風の焼肉、バーベキュー。 ==麺類== *[[料理本/チヂミ|チヂミ]] (パジョン) 朝鮮風お好み焼き。 *[[料理本/冷麺|冷麺]] - 冷たい麺を金属製の器に盛り付ける冬と夏の料理。 ==野菜料理== *[[料理本/キムチ|キムチ]] - 唐辛子、白菜などを使った漬物。 <!--- *[[料理本/Songpyeon|Songpyeon]] - 朝鮮風ライスケーキ ---> [[en:Cookbook:Cuisine of Korea]] [[カテゴリ:朝鮮料理|*]] [[カテゴリ:朝鮮|りようり]]
2005-09-10T07:31:37Z
2023-09-26T12:27:59Z
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TeX/LaTeX入門
TeXとはドナルド・クヌースが開発した電子組版ソフトウェアである。Microsoft Windows、OS X、UNIXなど様々なプラットフォームで利用可能であり、商業印刷並みの品質で印刷を行うことができる。LaTeXはレスリー・ランポートがTeXの上にマクロパッケージを組み込んで構築した文書処理システム(テキストベースの組版処理システム)である。ごく基本的な機能を有しているTeXと組み合わせて用いることで、より手軽に組版を行うことができる。 TeX LiveなどのTeXディストリビューション、またはこれを元にした公式パッケージ(FreeBSDであればports、Fedora であればyum、Debian や Ubuntu であれば .deb など)を導入することで容易に利用可能となる。 UbuntuにTeXをインストールするにはコマンドラインを開いて以下のコマンドを入力する。 MathLibreはKnoppix を原型に開発されたLinux ディストリビューションであり、TeXなど様々な数学ソフトウェアが初期搭載されている。 TeX LiveにWindows用のインストーラ(install-tl-windows.exeまたはinstall-tl.zip)が作成されており、これらを用いることで比較的容易に環境を構築することができる。またWindows向けに簡単なインストーラが公開されている。 MacTeXはTeXのほか、TeXShopやBibDeskなど、関連ツールがインストールされる。MacTeXは、Homebrewによって導入することもできる。 Cloud LaTeX は株式会社アカリクが開発した日本語対応済みオンラインLaTeXコンパイルサービスである。利用にはアカウント登録が必要になる。論文誌等のテンプレート各種も用意されている。 ShareLaTeXは英国ShareLaTeX社が開発したオンラインで使用できるLATEXエディタで、リアルタイムの共同制作が可能である。日本語で利用するにはプリアンブルを次のように書く: この章では最初にlatexコマンドを用いた英語のみの文書作成、続いてuplatexコマンドを用いた日本語を含む文書作成の順に解説します。入力するコマンドがcommandである場合、以下の様に示します。 $はシェルの出力(プロンプト)であり、ユーザが入力する必要はありません。コマンドを実行(commandを入力しEnterキー等を入力)すると、上の例では“output, output”が二行出力されていることを示します。コマンド入力に関してはUNIX/Linux入門やMS-DOS/PC DOS入門を参照して下さい。 日本語を扱った文書を作成する前に、まずは動作確認を含めて英語の文書を作成しましょう。テキストエディタを用いてtest1.texというファイルを作成します。ファイルの内容は以下のようにします。 大文字と小文字は区別されます。大文字は小文字にしないで入力してください。 これを保存した上で、以下のコマンドでLaTeXを実行します。引数には作成したLaTeXファイルの拡張子(.texサフィックス)を除いた名前を指定します。 問題なくコンパイルされると最後の二行が上のようになり(環境によっては出力されるサイズが異なるかもしれません、以下同様です)、text1.dviというDVIファイルが作成されます。作成されたDVIファイルは、dvipdfmxでPDFに変換することが出来ます。このドキュメントには、TeX・LaTeXともにロゴに変換された上で、1行目に"Hello, TeX"、2行目に"Hello, LaTeX"と表示されます。 test1.texファイルと照らし合わせて解説をします。 %以降は全てコメントとみなされ、出力されません。今回はファイル名を明確にするために書いてみました。 全てのLaTeXドキュメントは\documentclass{...}コマンドより始まります。この波括弧内にクラスファイルと呼ばれる、文書のレイアウトなどを定義しているファイルを指定します。今回の場合、クラスファイルはarticleです。これは短いドキュメントの書式で、論文の記事に類似しています。 \begin{...}は\end{...}と対応して使い、環境と呼ばれる区切りをあらわします。今回の場合、環境はdocumentです。これは文書の本文を示す重要な環境で、この中にあるものが出力されます。\begin{document}より前の行をプリアンブルと呼びます。 最初の段落で、\に続く\TeXはコマンドと呼ばれ、様々な表現を可能にします。このコマンドはTeXのロゴ(TeX)を表示します。\\は強制改行をするコマンドです。 前の段落で強制改行されているので、行頭は字下げされずに出力されます。\LaTeXはLaTeXのロゴ(LaTeX)を出力するコマンドです。行末に強制改行のコマンドがあります。 本文の終わりを示します。これ以降は出力されません。 続いて日本語を扱った文書を作成します。日本語を扱うためには pLaTeX /upLaTeXが必要となり、ソースファイルを保存するときは文字コードに気をつけなければなりません。まずはソースファイルを保存するときに必要とされる文字コードを調べて見ましょう。以下のコマンドを実行してみてください。 出力の最初の行に(utf8.uptex)と表示されると思います。これは利用した組版ソフト(今回の場合はuplatex)に設定されたソースファイルに使用する文字コードと内部文字コードを示しています。上記の例ではソースファイルに使用する文字コードはUTF-8、内部文字コードはuptexを示しています。 次に以下の内容を、組版ソフトに設定された文字コードと同じになるように、utf8.uptexであればUTF-8で、test2.texとして保存してください。ソースファイルの文字コードが組版ソフトの設定と異なると、出力結果が文字化けを起こすことがあります。 今回は日本語を扱っているのでクラスファイルにはujarticleを指定してください。 先ほどと同様にコンパイルしてみましょう。今回は日本語の含まれるソースをコンパイルするので、コマンドにはuplatexを使用します。 うまくコンパイル出来れば、最後の二行が上のように出力されます。こちらも同様にdvipdfmxでPDFに変換することが出来ます。 今回は日本語を含んでいるソースファイルをコンパイルしました。日本語を含む文書作成の際、クラスファイルにはujarticleやujreportなどを指定します。 TeXでは一行以上空けない改行は全て無視されます。ですから、DVIファイルの“こんにちは、世界。”と“こんにちは、TeX。”は同じ行に出力されています。テキストエディタで編集している際、一行が長くなると場合によっては横スクロールが必要となり、見やすさが損なわれるので適度に改行することがあります。 では段落を作りたいときはどうすれば良いのでしょうか。一つは英語だけの文書を作成した際に利用した、\\コマンドです。しかし先ほど説明したとおり、強制改行の命令なので行頭の字下げは行われません。そこで今回のように、一行空けた改行を行います。こうすることで新たな段落を作ることができるのです。 この章ではレポートなどの文書を作成する際に必要となる、表紙や章立ての作成を行います。論文の作成を例に話を進めますが、レポートでも同様に作業を行なうことができます。 TeX文書の最初に使用する\documentclass{}コマンドは、大括弧([と])を用いてオプションを渡すことが出来ます。オプションを指定することで、細かい指定をすることが出来ます。 以下の内容をclassoption.texなどとし、保存してください。 続いて、以下のコマンドでコンパイルします。 \documentclassコマンドの中括弧の前に、大括弧でオプションを指定することが出来ます。省略された場合はデフォルトのオプションが実行されることになります。 以下にujarticle.clsで指定できる殆どのオプションを掲載します。カンマで区切っているものは、そのいずれかしか選択できないものです(a4paperとa4jの項目も同時指定不可)。 プリアンブルとは、パッケージや独自のマクロを定義する際に用いる場所です。 パッケージとは、別のTeX文書をプリアンブルへ読み込むことで、初期状態では用意されていないような便利な機能(正確にはマクロと呼ばれます)を追加することが出来ます。 マクロとは、今までに紹介した\TeXコマンドなど、一度呼び出すと一連の処理を行うものです。 まずは以下の内容をpreamble.texなどとし、保存してください。 今まで通りにコンパイルしますが、urlパッケージが無い場合は以下のようなエラーが表示されます。エラーが表示されたら、xを入力してEnterキーを押して終了します。 \usepackage{}コマンドは、中括弧に指定されたファイル名に、拡張子が.styのファイルを読み込むコマンドです。\newcommandコマンドは新たにマクロを定義するコマンドです。 ここではプリアンブルへ\usepackage{}コマンドの書き方を覚えるだけで十分です。\newcommandコマンドに関してはここで理解する必要はありませんので、詳しくは#応用で説明します。 論文では最初のページに、表題や著作者などを記すことが多いと思います。LaTeXでは比較的簡単に作成することが出来ます。 下の内容をmaketitle.texなどとし、保存してください。 続いて、以下のコマンドでコンパイルします。 では、この例に出てくる主要なコマンドの解説をします。コマンド名が太字のものは\maketitleを使用する際に必須のコマンドで、省略することはできません。 \titleと\author、そして\dateコマンドは引数を取るコマンドです。引数は例の通り、{と}の中括弧で囲みます。例では本文の開始と同じページに表紙を印刷しましたが、1ページ使って表紙を印刷したい場合はクラスファイルオプションにtitlepageを指定します。つまり、\documentclass[titlepage]{ujarticle}と書けばそれだけでいいのです。 以下の内容を、abstract.texと保存しましょう。 概要はabstract環境を用います。環境は、\begin{}コマンドと\end{}コマンドで囲うものですね。abstract環境では“概要”という文字を太字で印刷し、概要の文章の左右に空白を空けて印刷します。jsarticleクラスでは\smallサイズで印刷します。 “概要”という文字を“要約”などに変更したい場合は、#応用で詳しく説明します。 以下の内容を、toc.texと保存しましょう。 \tableofcontentsコマンドを使用するときは、3回程度はコンパイルします。 \tableofcontentsコマンドでは、コンパイル時に生成される.tocファイルを基に目次を生成します。この.tocファイルは後述の\sectionコマンドなどの情報を書き出してあるファイルで、初めてのコンパイル作業では.tocファイルがないため、目次は生成されません。 また2回目のコンパイルで目次が挿入されると目次以降の本文がずれてしまい、2回だけでは目次と本文のページ番号が合わない場合がありますので、コンパイルは少なくとも3回程度行なってください。 論文では複数の“章”や“節”という固まりを作ることになると思います。ここでは、章立ての仕方について解説します。 以下の内容を、section.texなどで保存しましょう。 今までと同様にコンパイルしてみましょう。 上の例では\sectionコマンドと\subsectionコマンドのみを使いましたが、同様のコマンドは以下の表の通りです。 ※\chapter{}コマンドはarticle, ujarticleクラスでは使用できません。 章立てコマンドは自動的に章番号をつけ、上位レベルのコマンドを記述すると番号は再び1から始まります。これらのコマンドは、\sectionに続けて\subsubsectionを記述することができますが、文書の論理構造的に正しくないので、\sectionの次は\subsection以上のものを記述するようにしましょう。 章番号を付けずに、目次へ出力しない章を作りたいときはどうすればよいのでしょうか。これは簡単で、それぞれのコマンド名のあとにアスタリスク(半角の*)を付けるだけです。 番号を出力するとともに“章”という文字を出力したりする場合は、#応用を参照してください。 (stab) この章では文字列の見た目を変更するコマンドを紹介します。 フォントサイズは、サイズを変更したい文字列を中括弧で囲い、最初に変更するコマンドを記述します。中括弧で囲んでいる中に、別の中括弧を含めた場合は最も内側が優先されます。 上記以外のサイズ変更コマンドは以下の表の通りです(ujarticleクラス)。各コマンドにおける実際のフォントサイズは、\documentclassコマンドのオプション等で指定された基準のフォントサイズ(\normalsize)によって異なります。 LaTeXで書体を扱う際、以下の種類に分けることが出来ます。 更に記述の方法は、以下の2種類あります。 宣言型の記述では、中括弧を用いて範囲を指定しない限り最後まで変更されます。 イタリック体と斜体の違いですが、イタリック体は通常体を傾けた形でデザインされたものを使用するのに対し、斜体は通常体を無理矢理傾けて使用します。 宣言型では\normalfontコマンド、コマンド型では\textnormal{}コマンドは通常の書体設定(大抵は宣言型記述で、\rmfamily\mdseries\upshape)に戻します。また宣言型記述方法で、タイプライタ体を\ttコマンドで記述できるシステムがありますが、互換性維持のためのコマンドなので上で示したコマンドを使いましょう。 ファミリーとシリーズ、シェイプは以下のように、それぞれを組み合わせることが可能です。同じ種類のコマンドを記述すると最後のものが優先されます。 この章では文書作成の上で有用な環境である、箇条書きを幾つか紹介します。 箇条書きには幾つか種類があります。 箇条書きの構造は、\begin{}コマンドで見た目を決定する環境を開始し、\itemコマンドで要素を記述します。 このソースファイルをコンパイルすると、中黒で順序のない箇条書きを作ることが出来ます。またソースファイルでは、LaTeXの構造を分かりやすくするために\itemコマンドの前に半角スペースを2個入れていますが、出力には影響ありません。 このソースファイルをコンパイルすると、算用数字で順序のある箇条書きを作ることが出来ます。 このソースファイルをコンパイルすると、\itemコマンドの直後に[と]で囲んだ文字列が太字で印刷され、定義リストを作ることが出来ます。 他の文献などから引用する場合に用いるのがquote環境とquotation環境です。 引用文中の段落の字下げを行わない引用環境です。短い引用に用いられます。 引用文中の段落の字下げを行う引用環境です。比較的長い文章を引用する際に用いられます。 begin〜end間のテキストをそのまま出力する環境です。プログラムのソースファイルなどをそのまま載せたいとき、LaTeXの制御文字を連続して使用する場合などに用います。ただし、行頭のタブは無視され、行の途中のタブは半角スペースに置き換えられるので注意してください。 verbatim環境とほとんど同じですが、半角スペースがあるところにアキの印が出力されます。 verbatim環境は使用すると、整形済みテキストの前に必ず改行されます。これは、文中にちょっとしたものを書きたいときには不便です。\verbを使うことで、文中に整形済みテキストを挿入することができます。使い方は、\verbの後に任意の記号を置き、その後に整形済みテキストを置き、\verbの後に置いた記号をもう一度置きます。\verbの後に置く記号は、整形済みテキストに含まれていないものなら、何でもかまいません。 TeXは数式の組版に強いと言われます。なぜなら開発者のクヌースが自身の著書であるw:en:The Art of Computer Programmingを書くときに、当時コンピュータで作った組版状態が綺麗ではなく、自ら満足するソフトを作ったからです。この作ったものこそ、TeXなのです。 数式を扱うには大きく分けて二つあります。 後者はページの中心に数式が印刷されます。また、どちらも専用のフォントで表示されます。 文中に数式を挿入する場合は次のいずれかのコマンドで囲みます。 例: 文中に入れるのではなく、数式として独立させたい場合は、eqnarray環境を用います。 eqnarray環境では1行ごとに番号が付加されます。必要ない場合はeqnarray*環境を用います。 足し算(+)と引き算(-)は何も考えずに表示できます。 掛け算( × {\displaystyle \times } )と割り算( ÷ {\displaystyle \div } )は、それぞれ\timesコマンド、\divコマンドを用います。 \fracコマンドを用います。最初の引数で分子を指定し、次の引数で分母を指定します。 ※注:この例では見やすくするため半角スペースを用いて = の位置を揃えていますが、実際の処理では & を用いた位置で揃えられます。 \sqrtコマンドを用います。 3乗根や5乗根を表現したいときは、コマンド名の直後に角括弧([と])で数字を囲みます。 ^を用います。 ^の後が一文字だけであれば{}で囲む必要はありませんが、複数文字で表現したいときに忘れることがあるので、出来る限り{}で囲むようにしましょう。 数列の添え字は_を用います。これも{}を付けない場合、続く1文字だけが添字だと解釈されます。 = 和は\sumコマンド、極限は\limコマンド、積分は\intコマンドを用います。 それぞれ記号の上下に範囲を印刷しますが、べき乗と数列で扱った^と_を用いて表現します。 数学にはsinやcosなど、名前のついた関数がありますが、これらをそのままsin xのように書いてしまうと、s×i×n×xのように解釈されてしまうため文字が斜体となりきれいに表示されません。有名な関数は\sinのように、コマンドになっています。 また、modについては、二項演算子として使う\bmodと、カッコつきの\pmodがあります。 ただし一部の関数はコマンドになっておらず、そう言った場合は\mathrmを用いて斜体を解除する必要があります。Sinc 関数を例にすると\mathrm{sinc}(n \pi)とすると、 s i n c ( n π ) {\displaystyle \mathrm {sinc} (n\pi )} のように表示されます。ちなみに、\mathrmは、数式環境用の\textrmです。 これを応用して、数式環境で単位を表示させたいときにも$f_{s}=4\mathrm{kHz}$(textstyleの書き方)のように書くことができます。 数式にはいろんな記号が登場します。これらは、専用の命令で呼び出せます。日本語のフォントにあるからと言って、それを直接数式モードで使わないようにしましょう。環境によってはエラーになりますし、スペースの配分がうまくいかなくなる原因にもなります。 Beamer(ビーマー)は LATEX に基づくプレゼンテーションソフトウェアであり、組み込みの各種スタイルや各種色使いが用意されている。documentclassは\documentclass[dvipdfmx,10pt]{beamer}のようになる。CTAN上で配布されているbeamerposter.styと組み合わせることでポスターの作成にも使える。印刷に適した「配布資料」作成機能も持つ。例えば、Beamerで作成したpresentation.pdfの配布資料(縦2枚、横2枚)を作りたい場合は、 とする。コンパイルオプションはpdflatexにする。 例えば大きな文書を作成しているときや、共通する部分を持つ文書を作成するとき、一つのLaTeX文書を複数に分割することで編集作業や再利用が容易になります。 include{}コマンドを利用することで、指定したファイルをその位置に読み込みます。従って、読み込まれるファイルでは\documentclassコマンドなどを記述する必要はありません。 コンパイルするときは大元の文書ファイルを指定します。他のファイルは自動的に読み込まれます。 この本は入門なので、簡単に変更できるような方法を紹介します。そのためにjsarticleドキュメントクラスを導入しましょう。 jsarticleドキュメントクラスは奥村晴彦が作成した新ドキュメントクラスで、フォントサイズがujarticleに比べて多く用意されていたり、\sectionコマンドのラベルを容易に変更できるようになっています。 jsarticleドキュメントクラスの導入はjsarticleのサポートサイトに載っているので、そちらを参照してください。 例えば\sectionの出力を“第1章 はじめに”のようにしたい場合は、#プリアンブルへ以下の記述をします。 ujarticleでも以下で紹介する殆どを変更できますが、jsarticleを用いれば\sectionコマンドの出力も変更できます。 \newcommandコマンドはマクロを定義するコマンドで、以下のような形式を取ります。 マクロは定義した名前を呼ぶことで、一連の手続きを手軽に扱うことができます。これにより、煩雑なコマンドも独自のマクロで容易に扱えるようになります。 #プリアンブルに例があります。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "TeXとはドナルド・クヌースが開発した電子組版ソフトウェアである。Microsoft Windows、OS X、UNIXなど様々なプラットフォームで利用可能であり、商業印刷並みの品質で印刷を行うことができる。LaTeXはレスリー・ランポートがTeXの上にマクロパッケージを組み込んで構築した文書処理システム(テキストベースの組版処理システム)である。ごく基本的な機能を有しているTeXと組み合わせて用いることで、より手軽に組版を行うことができる。", "title": "はじめに" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "TeX LiveなどのTeXディストリビューション、またはこれを元にした公式パッケージ(FreeBSDであればports、Fedora であればyum、Debian や Ubuntu であれば .deb など)を導入することで容易に利用可能となる。", "title": "TeX/LaTeX環境の導入" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "UbuntuにTeXをインストールするにはコマンドラインを開いて以下のコマンドを入力する。", "title": "TeX/LaTeX環境の導入" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "MathLibreはKnoppix を原型に開発されたLinux ディストリビューションであり、TeXなど様々な数学ソフトウェアが初期搭載されている。", "title": "TeX/LaTeX環境の導入" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "TeX LiveにWindows用のインストーラ(install-tl-windows.exeまたはinstall-tl.zip)が作成されており、これらを用いることで比較的容易に環境を構築することができる。またWindows向けに簡単なインストーラが公開されている。", "title": "TeX/LaTeX環境の導入" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "MacTeXはTeXのほか、TeXShopやBibDeskなど、関連ツールがインストールされる。MacTeXは、Homebrewによって導入することもできる。", "title": "TeX/LaTeX環境の導入" }, { "paragraph_id": 6, "tag": "p", "text": "Cloud LaTeX は株式会社アカリクが開発した日本語対応済みオンラインLaTeXコンパイルサービスである。利用にはアカウント登録が必要になる。論文誌等のテンプレート各種も用意されている。", "title": "TeX/LaTeX環境の導入" }, { "paragraph_id": 7, "tag": "p", "text": "ShareLaTeXは英国ShareLaTeX社が開発したオンラインで使用できるLATEXエディタで、リアルタイムの共同制作が可能である。日本語で利用するにはプリアンブルを次のように書く:", "title": "TeX/LaTeX環境の導入" }, { "paragraph_id": 8, "tag": "p", "text": "この章では最初にlatexコマンドを用いた英語のみの文書作成、続いてuplatexコマンドを用いた日本語を含む文書作成の順に解説します。入力するコマンドがcommandである場合、以下の様に示します。", "title": "LaTeXを始める" }, { "paragraph_id": 9, "tag": "p", "text": "$はシェルの出力(プロンプト)であり、ユーザが入力する必要はありません。コマンドを実行(commandを入力しEnterキー等を入力)すると、上の例では“output, output”が二行出力されていることを示します。コマンド入力に関してはUNIX/Linux入門やMS-DOS/PC DOS入門を参照して下さい。", "title": "LaTeXを始める" }, { "paragraph_id": 10, "tag": "p", "text": "日本語を扱った文書を作成する前に、まずは動作確認を含めて英語の文書を作成しましょう。テキストエディタを用いてtest1.texというファイルを作成します。ファイルの内容は以下のようにします。", "title": "LaTeXを始める" }, { "paragraph_id": 11, "tag": "p", "text": "大文字と小文字は区別されます。大文字は小文字にしないで入力してください。", "title": "LaTeXを始める" }, { "paragraph_id": 12, "tag": "p", "text": "これを保存した上で、以下のコマンドでLaTeXを実行します。引数には作成したLaTeXファイルの拡張子(.texサフィックス)を除いた名前を指定します。", "title": "LaTeXを始める" }, { "paragraph_id": 13, "tag": "p", "text": "問題なくコンパイルされると最後の二行が上のようになり(環境によっては出力されるサイズが異なるかもしれません、以下同様です)、text1.dviというDVIファイルが作成されます。作成されたDVIファイルは、dvipdfmxでPDFに変換することが出来ます。このドキュメントには、TeX・LaTeXともにロゴに変換された上で、1行目に\"Hello, TeX\"、2行目に\"Hello, LaTeX\"と表示されます。", "title": "LaTeXを始める" }, { "paragraph_id": 14, "tag": "p", "text": "test1.texファイルと照らし合わせて解説をします。", "title": "LaTeXを始める" }, { "paragraph_id": 15, "tag": "p", "text": "%以降は全てコメントとみなされ、出力されません。今回はファイル名を明確にするために書いてみました。", "title": "LaTeXを始める" }, { "paragraph_id": 16, "tag": "p", "text": "全てのLaTeXドキュメントは\\documentclass{...}コマンドより始まります。この波括弧内にクラスファイルと呼ばれる、文書のレイアウトなどを定義しているファイルを指定します。今回の場合、クラスファイルはarticleです。これは短いドキュメントの書式で、論文の記事に類似しています。", "title": "LaTeXを始める" }, { "paragraph_id": 17, "tag": "p", "text": "\\begin{...}は\\end{...}と対応して使い、環境と呼ばれる区切りをあらわします。今回の場合、環境はdocumentです。これは文書の本文を示す重要な環境で、この中にあるものが出力されます。\\begin{document}より前の行をプリアンブルと呼びます。", "title": "LaTeXを始める" }, { "paragraph_id": 18, "tag": "p", "text": "最初の段落で、\\に続く\\TeXはコマンドと呼ばれ、様々な表現を可能にします。このコマンドはTeXのロゴ(TeX)を表示します。\\\\は強制改行をするコマンドです。", "title": "LaTeXを始める" }, { "paragraph_id": 19, "tag": "p", "text": "前の段落で強制改行されているので、行頭は字下げされずに出力されます。\\LaTeXはLaTeXのロゴ(LaTeX)を出力するコマンドです。行末に強制改行のコマンドがあります。", "title": "LaTeXを始める" }, { "paragraph_id": 20, "tag": "p", "text": "本文の終わりを示します。これ以降は出力されません。", "title": "LaTeXを始める" }, { "paragraph_id": 21, "tag": "p", "text": "続いて日本語を扱った文書を作成します。日本語を扱うためには pLaTeX /upLaTeXが必要となり、ソースファイルを保存するときは文字コードに気をつけなければなりません。まずはソースファイルを保存するときに必要とされる文字コードを調べて見ましょう。以下のコマンドを実行してみてください。", "title": "LaTeXを始める" }, { "paragraph_id": 22, "tag": "p", "text": "出力の最初の行に(utf8.uptex)と表示されると思います。これは利用した組版ソフト(今回の場合はuplatex)に設定されたソースファイルに使用する文字コードと内部文字コードを示しています。上記の例ではソースファイルに使用する文字コードはUTF-8、内部文字コードはuptexを示しています。", "title": "LaTeXを始める" }, { "paragraph_id": 23, "tag": "p", "text": "次に以下の内容を、組版ソフトに設定された文字コードと同じになるように、utf8.uptexであればUTF-8で、test2.texとして保存してください。ソースファイルの文字コードが組版ソフトの設定と異なると、出力結果が文字化けを起こすことがあります。", "title": "LaTeXを始める" }, { "paragraph_id": 24, "tag": "p", "text": "今回は日本語を扱っているのでクラスファイルにはujarticleを指定してください。", "title": "LaTeXを始める" }, { "paragraph_id": 25, "tag": "p", "text": "先ほどと同様にコンパイルしてみましょう。今回は日本語の含まれるソースをコンパイルするので、コマンドにはuplatexを使用します。", "title": "LaTeXを始める" }, { "paragraph_id": 26, "tag": "p", "text": "うまくコンパイル出来れば、最後の二行が上のように出力されます。こちらも同様にdvipdfmxでPDFに変換することが出来ます。", "title": "LaTeXを始める" }, { "paragraph_id": 27, "tag": "p", "text": "今回は日本語を含んでいるソースファイルをコンパイルしました。日本語を含む文書作成の際、クラスファイルにはujarticleやujreportなどを指定します。", "title": "LaTeXを始める" }, { "paragraph_id": 28, "tag": "p", "text": "TeXでは一行以上空けない改行は全て無視されます。ですから、DVIファイルの“こんにちは、世界。”と“こんにちは、TeX。”は同じ行に出力されています。テキストエディタで編集している際、一行が長くなると場合によっては横スクロールが必要となり、見やすさが損なわれるので適度に改行することがあります。", "title": "LaTeXを始める" }, { "paragraph_id": 29, "tag": "p", "text": "では段落を作りたいときはどうすれば良いのでしょうか。一つは英語だけの文書を作成した際に利用した、\\\\コマンドです。しかし先ほど説明したとおり、強制改行の命令なので行頭の字下げは行われません。そこで今回のように、一行空けた改行を行います。こうすることで新たな段落を作ることができるのです。", "title": "LaTeXを始める" }, { "paragraph_id": 30, "tag": "p", "text": "この章ではレポートなどの文書を作成する際に必要となる、表紙や章立ての作成を行います。論文の作成を例に話を進めますが、レポートでも同様に作業を行なうことができます。", "title": "文書構造" }, { "paragraph_id": 31, "tag": "p", "text": "TeX文書の最初に使用する\\documentclass{}コマンドは、大括弧([と])を用いてオプションを渡すことが出来ます。オプションを指定することで、細かい指定をすることが出来ます。", "title": "文書構造" }, { "paragraph_id": 32, "tag": "p", "text": "以下の内容をclassoption.texなどとし、保存してください。", "title": "文書構造" }, { "paragraph_id": 33, "tag": "p", "text": "続いて、以下のコマンドでコンパイルします。", "title": "文書構造" }, { "paragraph_id": 34, "tag": "p", "text": "\\documentclassコマンドの中括弧の前に、大括弧でオプションを指定することが出来ます。省略された場合はデフォルトのオプションが実行されることになります。", "title": "文書構造" }, { "paragraph_id": 35, "tag": "p", "text": "以下にujarticle.clsで指定できる殆どのオプションを掲載します。カンマで区切っているものは、そのいずれかしか選択できないものです(a4paperとa4jの項目も同時指定不可)。", "title": "文書構造" }, { "paragraph_id": 36, "tag": "p", "text": "プリアンブルとは、パッケージや独自のマクロを定義する際に用いる場所です。", "title": "文書構造" }, { "paragraph_id": 37, "tag": "p", "text": "パッケージとは、別のTeX文書をプリアンブルへ読み込むことで、初期状態では用意されていないような便利な機能(正確にはマクロと呼ばれます)を追加することが出来ます。", "title": "文書構造" }, { "paragraph_id": 38, "tag": "p", "text": "マクロとは、今までに紹介した\\TeXコマンドなど、一度呼び出すと一連の処理を行うものです。", "title": "文書構造" }, { "paragraph_id": 39, "tag": "p", "text": "まずは以下の内容をpreamble.texなどとし、保存してください。", "title": "文書構造" }, { "paragraph_id": 40, "tag": "p", "text": "今まで通りにコンパイルしますが、urlパッケージが無い場合は以下のようなエラーが表示されます。エラーが表示されたら、xを入力してEnterキーを押して終了します。", "title": "文書構造" }, { "paragraph_id": 41, "tag": "p", "text": "\\usepackage{}コマンドは、中括弧に指定されたファイル名に、拡張子が.styのファイルを読み込むコマンドです。\\newcommandコマンドは新たにマクロを定義するコマンドです。", "title": "文書構造" }, { "paragraph_id": 42, "tag": "p", "text": "ここではプリアンブルへ\\usepackage{}コマンドの書き方を覚えるだけで十分です。\\newcommandコマンドに関してはここで理解する必要はありませんので、詳しくは#応用で説明します。", "title": "文書構造" }, { "paragraph_id": 43, "tag": "p", "text": "論文では最初のページに、表題や著作者などを記すことが多いと思います。LaTeXでは比較的簡単に作成することが出来ます。", "title": "文書構造" }, { "paragraph_id": 44, "tag": "p", "text": "下の内容をmaketitle.texなどとし、保存してください。", "title": "文書構造" }, { "paragraph_id": 45, "tag": "p", "text": "続いて、以下のコマンドでコンパイルします。", "title": "文書構造" }, { "paragraph_id": 46, "tag": "p", "text": "では、この例に出てくる主要なコマンドの解説をします。コマンド名が太字のものは\\maketitleを使用する際に必須のコマンドで、省略することはできません。", "title": "文書構造" }, { "paragraph_id": 47, "tag": "p", "text": "\\titleと\\author、そして\\dateコマンドは引数を取るコマンドです。引数は例の通り、{と}の中括弧で囲みます。例では本文の開始と同じページに表紙を印刷しましたが、1ページ使って表紙を印刷したい場合はクラスファイルオプションにtitlepageを指定します。つまり、\\documentclass[titlepage]{ujarticle}と書けばそれだけでいいのです。", "title": "文書構造" }, { "paragraph_id": 48, "tag": "p", "text": "以下の内容を、abstract.texと保存しましょう。", "title": "文書構造" }, { "paragraph_id": 49, "tag": "p", "text": "概要はabstract環境を用います。環境は、\\begin{}コマンドと\\end{}コマンドで囲うものですね。abstract環境では“概要”という文字を太字で印刷し、概要の文章の左右に空白を空けて印刷します。jsarticleクラスでは\\smallサイズで印刷します。", "title": "文書構造" }, { "paragraph_id": 50, "tag": "p", "text": "“概要”という文字を“要約”などに変更したい場合は、#応用で詳しく説明します。", "title": "文書構造" }, { "paragraph_id": 51, "tag": "p", "text": "以下の内容を、toc.texと保存しましょう。", "title": "文書構造" }, { "paragraph_id": 52, "tag": "p", "text": "\\tableofcontentsコマンドを使用するときは、3回程度はコンパイルします。", "title": "文書構造" }, { "paragraph_id": 53, "tag": "p", "text": "\\tableofcontentsコマンドでは、コンパイル時に生成される.tocファイルを基に目次を生成します。この.tocファイルは後述の\\sectionコマンドなどの情報を書き出してあるファイルで、初めてのコンパイル作業では.tocファイルがないため、目次は生成されません。", "title": "文書構造" }, { "paragraph_id": 54, "tag": "p", "text": "また2回目のコンパイルで目次が挿入されると目次以降の本文がずれてしまい、2回だけでは目次と本文のページ番号が合わない場合がありますので、コンパイルは少なくとも3回程度行なってください。", "title": "文書構造" }, { "paragraph_id": 55, "tag": "p", "text": "論文では複数の“章”や“節”という固まりを作ることになると思います。ここでは、章立ての仕方について解説します。", "title": "文書構造" }, { "paragraph_id": 56, "tag": "p", "text": "以下の内容を、section.texなどで保存しましょう。", "title": "文書構造" }, { "paragraph_id": 57, "tag": "p", "text": "今までと同様にコンパイルしてみましょう。", "title": "文書構造" }, { "paragraph_id": 58, "tag": "p", "text": "上の例では\\sectionコマンドと\\subsectionコマンドのみを使いましたが、同様のコマンドは以下の表の通りです。", "title": "文書構造" }, { "paragraph_id": 59, "tag": "p", "text": "※\\chapter{}コマンドはarticle, ujarticleクラスでは使用できません。", "title": "文書構造" }, { "paragraph_id": 60, "tag": "p", "text": "章立てコマンドは自動的に章番号をつけ、上位レベルのコマンドを記述すると番号は再び1から始まります。これらのコマンドは、\\sectionに続けて\\subsubsectionを記述することができますが、文書の論理構造的に正しくないので、\\sectionの次は\\subsection以上のものを記述するようにしましょう。", "title": "文書構造" }, { "paragraph_id": 61, "tag": "p", "text": "章番号を付けずに、目次へ出力しない章を作りたいときはどうすればよいのでしょうか。これは簡単で、それぞれのコマンド名のあとにアスタリスク(半角の*)を付けるだけです。", "title": "文書構造" }, { "paragraph_id": 62, "tag": "p", "text": "番号を出力するとともに“章”という文字を出力したりする場合は、#応用を参照してください。", "title": "文書構造" }, { "paragraph_id": 63, "tag": "p", "text": "(stab)", "title": "文書構造" }, { "paragraph_id": 64, "tag": "p", "text": "この章では文字列の見た目を変更するコマンドを紹介します。", "title": "書式" }, { "paragraph_id": 65, "tag": "p", "text": "フォントサイズは、サイズを変更したい文字列を中括弧で囲い、最初に変更するコマンドを記述します。中括弧で囲んでいる中に、別の中括弧を含めた場合は最も内側が優先されます。", "title": "書式" }, { "paragraph_id": 66, "tag": "p", "text": "上記以外のサイズ変更コマンドは以下の表の通りです(ujarticleクラス)。各コマンドにおける実際のフォントサイズは、\\documentclassコマンドのオプション等で指定された基準のフォントサイズ(\\normalsize)によって異なります。", "title": "書式" }, { "paragraph_id": 67, "tag": "p", "text": "LaTeXで書体を扱う際、以下の種類に分けることが出来ます。", "title": "書式" }, { "paragraph_id": 68, "tag": "p", "text": "更に記述の方法は、以下の2種類あります。", "title": "書式" }, { "paragraph_id": 69, "tag": "p", "text": "宣言型の記述では、中括弧を用いて範囲を指定しない限り最後まで変更されます。", "title": "書式" }, { "paragraph_id": 70, "tag": "p", "text": "イタリック体と斜体の違いですが、イタリック体は通常体を傾けた形でデザインされたものを使用するのに対し、斜体は通常体を無理矢理傾けて使用します。", "title": "書式" }, { "paragraph_id": 71, "tag": "p", "text": "宣言型では\\normalfontコマンド、コマンド型では\\textnormal{}コマンドは通常の書体設定(大抵は宣言型記述で、\\rmfamily\\mdseries\\upshape)に戻します。また宣言型記述方法で、タイプライタ体を\\ttコマンドで記述できるシステムがありますが、互換性維持のためのコマンドなので上で示したコマンドを使いましょう。", "title": "書式" }, { "paragraph_id": 72, "tag": "p", "text": "ファミリーとシリーズ、シェイプは以下のように、それぞれを組み合わせることが可能です。同じ種類のコマンドを記述すると最後のものが優先されます。", "title": "書式" }, { "paragraph_id": 73, "tag": "p", "text": "この章では文書作成の上で有用な環境である、箇条書きを幾つか紹介します。", "title": "環境" }, { "paragraph_id": 74, "tag": "p", "text": "箇条書きには幾つか種類があります。", "title": "環境" }, { "paragraph_id": 75, "tag": "p", "text": "箇条書きの構造は、\\begin{}コマンドで見た目を決定する環境を開始し、\\itemコマンドで要素を記述します。", "title": "環境" }, { "paragraph_id": 76, "tag": "p", "text": "このソースファイルをコンパイルすると、中黒で順序のない箇条書きを作ることが出来ます。またソースファイルでは、LaTeXの構造を分かりやすくするために\\itemコマンドの前に半角スペースを2個入れていますが、出力には影響ありません。", "title": "環境" }, { "paragraph_id": 77, "tag": "p", "text": "このソースファイルをコンパイルすると、算用数字で順序のある箇条書きを作ることが出来ます。", "title": "環境" }, { "paragraph_id": 78, "tag": "p", "text": "このソースファイルをコンパイルすると、\\itemコマンドの直後に[と]で囲んだ文字列が太字で印刷され、定義リストを作ることが出来ます。", "title": "環境" }, { "paragraph_id": 79, "tag": "p", "text": "他の文献などから引用する場合に用いるのがquote環境とquotation環境です。", "title": "環境" }, { "paragraph_id": 80, "tag": "p", "text": "引用文中の段落の字下げを行わない引用環境です。短い引用に用いられます。", "title": "環境" }, { "paragraph_id": 81, "tag": "p", "text": "引用文中の段落の字下げを行う引用環境です。比較的長い文章を引用する際に用いられます。", "title": "環境" }, { "paragraph_id": 82, "tag": "p", "text": "begin〜end間のテキストをそのまま出力する環境です。プログラムのソースファイルなどをそのまま載せたいとき、LaTeXの制御文字を連続して使用する場合などに用います。ただし、行頭のタブは無視され、行の途中のタブは半角スペースに置き換えられるので注意してください。", "title": "環境" }, { "paragraph_id": 83, "tag": "p", "text": "verbatim環境とほとんど同じですが、半角スペースがあるところにアキの印が出力されます。", "title": "環境" }, { "paragraph_id": 84, "tag": "p", "text": "verbatim環境は使用すると、整形済みテキストの前に必ず改行されます。これは、文中にちょっとしたものを書きたいときには不便です。\\verbを使うことで、文中に整形済みテキストを挿入することができます。使い方は、\\verbの後に任意の記号を置き、その後に整形済みテキストを置き、\\verbの後に置いた記号をもう一度置きます。\\verbの後に置く記号は、整形済みテキストに含まれていないものなら、何でもかまいません。", "title": "環境" }, { "paragraph_id": 85, "tag": "p", "text": "TeXは数式の組版に強いと言われます。なぜなら開発者のクヌースが自身の著書であるw:en:The Art of Computer Programmingを書くときに、当時コンピュータで作った組版状態が綺麗ではなく、自ら満足するソフトを作ったからです。この作ったものこそ、TeXなのです。", "title": "数式" }, { "paragraph_id": 86, "tag": "p", "text": "数式を扱うには大きく分けて二つあります。", "title": "数式" }, { "paragraph_id": 87, "tag": "p", "text": "後者はページの中心に数式が印刷されます。また、どちらも専用のフォントで表示されます。", "title": "数式" }, { "paragraph_id": 88, "tag": "p", "text": "文中に数式を挿入する場合は次のいずれかのコマンドで囲みます。", "title": "数式" }, { "paragraph_id": 89, "tag": "p", "text": "例:", "title": "数式" }, { "paragraph_id": 90, "tag": "p", "text": "文中に入れるのではなく、数式として独立させたい場合は、eqnarray環境を用います。", "title": "数式" }, { "paragraph_id": 91, "tag": "p", "text": "eqnarray環境では1行ごとに番号が付加されます。必要ない場合はeqnarray*環境を用います。", "title": "数式" }, { "paragraph_id": 92, "tag": "p", "text": "足し算(+)と引き算(-)は何も考えずに表示できます。", "title": "数式" }, { "paragraph_id": 93, "tag": "p", "text": "掛け算( × {\\displaystyle \\times } )と割り算( ÷ {\\displaystyle \\div } )は、それぞれ\\timesコマンド、\\divコマンドを用います。", "title": "数式" }, { "paragraph_id": 94, "tag": "p", "text": "\\fracコマンドを用います。最初の引数で分子を指定し、次の引数で分母を指定します。", "title": "数式" }, { "paragraph_id": 95, "tag": "p", "text": "※注:この例では見やすくするため半角スペースを用いて = の位置を揃えていますが、実際の処理では & を用いた位置で揃えられます。", "title": "数式" }, { "paragraph_id": 96, "tag": "p", "text": "\\sqrtコマンドを用います。", "title": "数式" }, { "paragraph_id": 97, "tag": "p", "text": "3乗根や5乗根を表現したいときは、コマンド名の直後に角括弧([と])で数字を囲みます。", "title": "数式" }, { "paragraph_id": 98, "tag": "p", "text": "^を用います。", "title": "数式" }, { "paragraph_id": 99, "tag": "p", "text": "^の後が一文字だけであれば{}で囲む必要はありませんが、複数文字で表現したいときに忘れることがあるので、出来る限り{}で囲むようにしましょう。", "title": "数式" }, { "paragraph_id": 100, "tag": "p", "text": "数列の添え字は_を用います。これも{}を付けない場合、続く1文字だけが添字だと解釈されます。", "title": "数式" }, { "paragraph_id": 101, "tag": "p", "text": "=", "title": "数式" }, { "paragraph_id": 102, "tag": "p", "text": "和は\\sumコマンド、極限は\\limコマンド、積分は\\intコマンドを用います。", "title": "数式" }, { "paragraph_id": 103, "tag": "p", "text": "それぞれ記号の上下に範囲を印刷しますが、べき乗と数列で扱った^と_を用いて表現します。", "title": "数式" }, { "paragraph_id": 104, "tag": "p", "text": "数学にはsinやcosなど、名前のついた関数がありますが、これらをそのままsin xのように書いてしまうと、s×i×n×xのように解釈されてしまうため文字が斜体となりきれいに表示されません。有名な関数は\\sinのように、コマンドになっています。", "title": "数式" }, { "paragraph_id": 105, "tag": "p", "text": "また、modについては、二項演算子として使う\\bmodと、カッコつきの\\pmodがあります。", "title": "数式" }, { "paragraph_id": 106, "tag": "p", "text": "ただし一部の関数はコマンドになっておらず、そう言った場合は\\mathrmを用いて斜体を解除する必要があります。Sinc 関数を例にすると\\mathrm{sinc}(n \\pi)とすると、 s i n c ( n π ) {\\displaystyle \\mathrm {sinc} (n\\pi )} のように表示されます。ちなみに、\\mathrmは、数式環境用の\\textrmです。", "title": "数式" }, { "paragraph_id": 107, "tag": "p", "text": "これを応用して、数式環境で単位を表示させたいときにも$f_{s}=4\\mathrm{kHz}$(textstyleの書き方)のように書くことができます。", "title": "数式" }, { "paragraph_id": 108, "tag": "p", "text": "数式にはいろんな記号が登場します。これらは、専用の命令で呼び出せます。日本語のフォントにあるからと言って、それを直接数式モードで使わないようにしましょう。環境によってはエラーになりますし、スペースの配分がうまくいかなくなる原因にもなります。", "title": "数式" }, { "paragraph_id": 109, "tag": "p", "text": "Beamer(ビーマー)は LATEX に基づくプレゼンテーションソフトウェアであり、組み込みの各種スタイルや各種色使いが用意されている。documentclassは\\documentclass[dvipdfmx,10pt]{beamer}のようになる。CTAN上で配布されているbeamerposter.styと組み合わせることでポスターの作成にも使える。印刷に適した「配布資料」作成機能も持つ。例えば、Beamerで作成したpresentation.pdfの配布資料(縦2枚、横2枚)を作りたい場合は、", "title": "Beamer" }, { "paragraph_id": 110, "tag": "p", "text": "とする。コンパイルオプションはpdflatexにする。", "title": "Beamer" }, { "paragraph_id": 111, "tag": "p", "text": "例えば大きな文書を作成しているときや、共通する部分を持つ文書を作成するとき、一つのLaTeX文書を複数に分割することで編集作業や再利用が容易になります。", "title": "応用" }, { "paragraph_id": 112, "tag": "p", "text": "include{}コマンドを利用することで、指定したファイルをその位置に読み込みます。従って、読み込まれるファイルでは\\documentclassコマンドなどを記述する必要はありません。", "title": "応用" }, { "paragraph_id": 113, "tag": "p", "text": "コンパイルするときは大元の文書ファイルを指定します。他のファイルは自動的に読み込まれます。", "title": "応用" }, { "paragraph_id": 114, "tag": "p", "text": "この本は入門なので、簡単に変更できるような方法を紹介します。そのためにjsarticleドキュメントクラスを導入しましょう。", "title": "応用" }, { "paragraph_id": 115, "tag": "p", "text": "jsarticleドキュメントクラスは奥村晴彦が作成した新ドキュメントクラスで、フォントサイズがujarticleに比べて多く用意されていたり、\\sectionコマンドのラベルを容易に変更できるようになっています。", "title": "応用" }, { "paragraph_id": 116, "tag": "p", "text": "jsarticleドキュメントクラスの導入はjsarticleのサポートサイトに載っているので、そちらを参照してください。", "title": "応用" }, { "paragraph_id": 117, "tag": "p", "text": "例えば\\sectionの出力を“第1章 はじめに”のようにしたい場合は、#プリアンブルへ以下の記述をします。", "title": "応用" }, { "paragraph_id": 118, "tag": "p", "text": "ujarticleでも以下で紹介する殆どを変更できますが、jsarticleを用いれば\\sectionコマンドの出力も変更できます。", "title": "応用" }, { "paragraph_id": 119, "tag": "p", "text": "\\newcommandコマンドはマクロを定義するコマンドで、以下のような形式を取ります。", "title": "応用" }, { "paragraph_id": 120, "tag": "p", "text": "マクロは定義した名前を呼ぶことで、一連の手続きを手軽に扱うことができます。これにより、煩雑なコマンドも独自のマクロで容易に扱えるようになります。", "title": "応用" }, { "paragraph_id": 121, "tag": "p", "text": "#プリアンブルに例があります。", "title": "応用" } ]
null
{{Pathnav|メインページ|frame=1|small=1}} == はじめに == [[w:TeX|TeX]]とは[[w:ドナルド・クヌース|ドナルド・クヌース]]が開発した[[w:電子|電子]][[w:組版|組版]]ソフトウェアである。[[w:Microsoft Windows|Microsoft Windows]]、[[w:OS X|OS X]]、[[w:UNIX|UNIX]]など様々なプラットフォームで利用可能であり、商業印刷並みの品質で印刷を行うことができる。[[w:LaTeX|LaTeX]]は[[w:レスリー・ランポート|レスリー・ランポート]]がTeXの上にマクロパッケージを組み込んで構築した文書処理システム(テキストベースの組版処理システム)である。ごく基本的な機能を有しているTeXと組み合わせて用いることで、より手軽に組版を行うことができる。 === 長所と短所 === ==== 長所 ==== * 組版の元となるデータ(ソースファイル)はテキストファイルであり、特定の環境やアプリケーションに依存しない * 印刷物に勝るとも劣らない、高精度な出力 * 章や節などの論理構造で記述することができる * ページ番号や章番号などを自動的に振り、目次や索引なども作成可能 * 数式の優れた印刷 ==== 短所 ==== * ソースファイルは出力形式で記述できないため、表などを作る際には多少の慣れが必要 * コンパイルではコマンドライン操作が必要となるため、[[w:GUI|GUI]]に慣れたユーザには取っ付きづらい。 == TeX/LaTeX環境の導入 == === UNIX === [http://www.tug.org/texlive/ TeX Live]などのTeXディストリビューション、またはこれを元にした公式パッケージ([[w:FreeBSD|FreeBSD]]であればports、[[w:Fedora|Fedora]] であればyum、[[w:Debian|Debian]] や [[w:Ubuntu|Ubuntu]] であれば .deb など)を導入することで容易に利用可能となる。 ====Ubuntu==== UbuntuにTeXをインストールするにはコマンドラインを開いて以下のコマンドを入力する。 <syntaxhighlight lang="bash"> $ sudo apt install texlive-lang-cjk $ sudo apt install texlive-fonts-recommended $ sudo apt install texlive-fonts-extra $ sudo apt install xdvik-ja $ sudo apt install dvipsk-ja $ sudo apt install gv </syntaxhighlight> ====MathLibre==== MathLibreは[[w:Knoppix|Knoppix]] を原型に開発されたLinux ディストリビューションであり、TeXなど様々な数学ソフトウェアが初期搭載されている。 === Windows === [[w:TeX Live|TeX Live]]にWindows用のインストーラ(install-tl-windows.exeまたはinstall-tl.zip)が作成されており、これらを用いることで比較的容易に環境を構築することができる。またWindows向けに簡単な[http://did2memo.net/2016/04/24/easy-latex-install-windows-10-2016-04/ インストーラ]が公開されている。 TeXエディターを実行する場合は、「TeXworks editor」を起動すると、Texエディターが立ち上がります。アプリ名は TeX Live ですが、しかしPC内を「Tex Live」でアプリ検索しても見つかりませんので、「TeXwork」でPC内を探してください(※ 2023年の時点)。 普通にダイアログの指示どおりにインストールすれば TeXworks がインストールされます。なお、このエディターにある緑の三角ボタン(再生ボタンみたいなの)は、PDF化の機能のボタンです。PDF化までコマンドプロンプト無しでもPDF作成可能です(ただしTexエディター内でのTexコマンドは必要です)。再生ボタンを用いた場合、初期設定ではDVIファイルは作成されません。 インストールに数時間ほど掛かるので、金曜・土曜など休日前の夜中の就寝前などにインストールすると良いでしょう。 === OS X === [https://www.tug.org/mactex/ MacTeX]はTeXのほか、TeXShopやBibDeskなど、関連ツールがインストールされる。[[w:MacTeX|MacTeX]]は、[https://brew.sh/ Homebrew]によって導入することもできる。 ===Cloud LaTeX=== [https://cloudlatex.io/ Cloud LaTeX] は[[w:アカリク|株式会社アカリク]]が開発した日本語対応済みオンラインLaTeXコンパイルサービスである。利用にはアカウント登録が必要になる。論文誌等のテンプレート各種も用意されている。 ===ShareLaTeX=== [[w:ShareLaTeX|ShareLaTeX]]は英国[https://www.sharelatex.com/ ShareLaTeX社]が開発したオンラインで使用できるLATEXエディタで、リアルタイムの共同制作が可能である。日本語で利用するにはプリアンブルを次のように書く: <syntaxhighlight lang="latex"> \documentclass{article} \usepackage{xeCJK} \setCJKmainfont{AozoraMinchoRegular.ttf} </syntaxhighlight> == LaTeXを始める == この章では最初にlatexコマンドを用いた英語のみの文書作成、続いてuplatexコマンドを用いた日本語を含む文書作成の順に解説します。入力するコマンドが''command''である場合、以下の様に示します。 <syntaxhighlight lang="bash"> $ command output, output output, output </syntaxhighlight> $は[[w:シェル|シェル]]の出力(プロンプト)であり、ユーザが入力する必要はありません。コマンドを実行(commandを入力しEnterキー等を入力)すると、上の例では“output, output”が二行出力されていることを示します。コマンド入力に関しては[[UNIX/Linux入門]]や[[MS-DOS/PC DOS入門]]を参照して下さい。 === Hello, TeX 文書を作ろう === ==== 準備 ==== 日本語を扱った文書を作成する前に、まずは動作確認を含めて英語の文書を作成しましょう。テキストエディタを用いてtest1.texというファイルを作成します。ファイルの内容は以下のようにします。 * 以下の内容に含まれる\は、環境によっては¥([[w:¥記号|円記号]])、あるいは\([[w:バックスラッシュ|バックスラッシュ]])に見えます。 <syntaxhighlight lang="latex" line> \documentclass{article} \begin{document} Hello, \TeX \\ Hello, \LaTeX \\ \end{document} </syntaxhighlight> 大文字と小文字は区別されます。大文字は小文字にしないで入力してください。 ==== コンパイル ==== これを保存した上で、以下のようにコマンド<code>latex test1</code>でLaTeXを実行します。引数には作成したLaTeXファイルの拡張子(.texサフィックス)を除いた名前を指定します。すると下記のような出力画面になります。 <syntaxhighlight lang="bash"> $ latex test1 Output written on test1.dvi (1 page, 340 bytes). Transcript written on test1.log. </syntaxhighlight> 問題なくコンパイルされると最後の二行が上のようになり(環境によっては出力されるサイズが異なるかもしれません、以下同様です)、text1.dviという''[[w:DVI (ファイルフォーマット)|DVIファイル]]''が作成されます。 ;背景 DVIファイルにはフォントなどは埋め込まれておらず、作成環境のDVIビューアーでしか閲覧できないので(ふつうにTex/Latex環境をインストールすればDVIビューアーも付属してインストールされていると思います)、したがってDVIファイルは上記コマンドでコンパイルしただけの時点ではプレビュー用です。 PC環境にも寄りますが、DVIファイルをダブルクリックまたは実行するだけで、プレビューができます。 作成されたDVIファイルは、[[w:dvipdfmx|dvipdfmx]]で[[w:PDF|PDF]]に変換することが出来ます。PDF化されたドキュメントには、TeX・LaTeXともにロゴに変換された上で、1行目に"Hello, TeX"、2行目に"Hello, LaTeX"と表示されます。 他人に原稿の成果物を渡す場合には、PDFファイル化をしてから相手にそのPDFファイルを渡す必要があります。 ==== 解説 ==== test1.texファイルと照らし合わせて解説をします。 <syntaxhighlight lang="latex" start=2 line>\documentclass{article} </syntaxhighlight> 全てのLaTeXドキュメントは'''\documentclass{...}'''コマンドより始まります。この波括弧内に''クラスファイル''と呼ばれる、文書のレイアウトなどを定義しているファイルを指定します。今回の場合、クラスファイルは'''article'''です。これは短いドキュメントの書式で、論文の記事に類似しています。 <syntaxhighlight lang="latex" start=3 line>\begin{document} </syntaxhighlight> '''\begin{...}'''は'''\end{...}'''と対応して使い、''環境''と呼ばれる区切りをあらわします。今回の場合、環境は'''document'''です。これは文書の本文を示す重要な環境で、この中にあるものが出力されます。\begin{document}より前の行を''プリアンブル''と呼びます。 <syntaxhighlight lang="latex" start=4 line>Hello, \TeX \\ </syntaxhighlight> 最初の段落で、\に続く'''\TeX'''は''コマンド''と呼ばれ、様々な表現を可能にします。このコマンドはTeXのロゴ(T<span style="text-transform:uppercase;margin-left:-0.1667em;vertical-align:-0.5ex;line-height:0;margin-right:-0.125em">e</span>X)を表示します。'''\\'''は強制改行をするコマンドです。 <syntaxhighlight lang="latex" start=5 line>Hello, \LaTeX \\ </syntaxhighlight> 前の段落で強制改行されているので、行頭は字下げされずに出力されます。'''\LaTeX'''はLaTeXのロゴ(L<span style="text-transform:uppercase;font-size:70%;margin-left: -0.36em; vertical-align:0.3em;line-height: 0; margin-right:-0.15em">a</span>T<span style="text-transform:uppercase;margin-left:-0.1667em;vertical-align:-0.5ex;line-height:0;margin-right:-0.125em">e</span>X)を出力するコマンドです。行末に強制改行のコマンドがあります。 <syntaxhighlight lang="latex" start=6 line>\end{document} </syntaxhighlight> 本文の終わりを示します。これ以降は出力されません。 === 日本語の文書を作ってみよう === ==== 準備 ==== 続いて日本語を扱った文書を作成します。日本語を扱うためには pLaTeX /upLaTeXが必要となり、ソースファイルを保存するときは[[w:文字コード|文字コード]]に気をつけなければなりません。まずはソースファイルを保存するときに必要とされる文字コードを調べて見ましょう。以下のコマンドを実行してみてください。 <syntaxhighlight lang="bash"> $ uplatex --version e-upTeX 3.14159265-p3.5-u1.11-130605-2.6 (utf8.uptex) (TeX Live 2014) </syntaxhighlight> 出力の最初の行に'''(utf8.uptex)'''と表示されると思います。これは利用した組版ソフト(今回の場合はuplatex)に設定されたソースファイルに使用する文字コードと内部文字コードを示しています。上記の例ではソースファイルに使用する文字コードは[[w:UTF-8|UTF-8]]、内部文字コードはuptexを示しています。 次に以下の内容を、組版ソフトに設定された文字コードと同じになるように、utf8.uptexであればUTF-8で、test2.texとして保存してください。ソースファイルの文字コードが組版ソフトの設定と異なると、出力結果が文字化けを起こすことがあります。 <syntaxhighlight lang="latex"> \documentclass{ujarticle} \begin{document} こんにちは、世界。 こんにちは、\TeX。 こんにちは、\LaTeX。 \end{document} </syntaxhighlight> 今回は日本語を扱っているのでクラスファイルには'''ujarticle'''を指定してください。 ==== コンパイル ==== 先ほどと同様にコンパイルしてみましょう。今回は日本語の含まれるソースをコンパイルするので、コマンドにはuplatexを使用します。 <syntaxhighlight lang="bash"> $ uplatex test2 Output written on test2.dvi (1 page, 444 bytes). Transcript written on test2.log. </syntaxhighlight> うまくコンパイル出来れば、最後の二行が上のように出力されます。こちらも同様にdvipdfmxでPDFに変換することが出来ます。 ==== 解説 ==== 今回は日本語を含んでいるソースファイルをコンパイルしました。日本語を含む文書作成の際、クラスファイルには'''ujarticle'''や'''ujreport'''などを指定します。 TeXでは一行以上空けない改行は全て無視されます。ですから、DVIファイルの“こんにちは、世界。”と“こんにちは、TeX。”は同じ行に出力されています。テキストエディタで編集している際、一行が長くなると場合によっては横スクロールが必要となり、見やすさが損なわれるので適度に改行することがあります。 では段落を作りたいときはどうすれば良いのでしょうか。一つは英語だけの文書を作成した際に利用した、'''\\'''コマンドです。しかし先ほど説明したとおり、強制改行の命令なので行頭の字下げは行われません。そこで今回のように、一行空けた改行を行います。こうすることで新たな段落を作ることができるのです。 === コメント === 下記のようなファイルを test3.tex という名前で作ってみましょう。 <syntaxhighlight lang="latex" line> % File name: test3.tex \documentclass{article} \begin{document} Hello, \TeX \\ Hello, \LaTeX \\ \end{document} </syntaxhighlight> '''%'''以降は全て''コメント''とみなされ、出力されません。今回はファイル名を明確にするために書いてみました。 コンパイル結果は先ほどの test1.tex とファイル名以外は同じです。(ほぼ同じなので省略します。) == 文書構造 == この章ではレポートなどの文書を作成する際に必要となる、表紙や章立ての作成を行います。論文の作成を例に話を進めますが、レポートでも同様に作業を行なうことができます。 === クラスファイルオプション === TeX文書の最初に使用する'''\documentclass{}コマンド'''は、大括弧([と])を用いてオプションを渡すことが出来ます。オプションを指定することで、細かい指定をすることが出来ます。 ==== 準備 ==== 以下の内容をclassoption.texなどとし、保存してください。 <syntaxhighlight lang="latex"> % File name: classoption.tex \documentclass[12pt]{ujarticle} \begin{document} こんにちは、世界! \end{document} </syntaxhighlight> 続いて、以下のコマンドでコンパイルします。 <syntaxhighlight lang="bash"> $ uplatex classoption </syntaxhighlight> ==== 解説 ==== \documentclassコマンドの中括弧の前に、大括弧でオプションを指定することが出来ます。省略された場合はデフォルトのオプションが実行されることになります。 以下にujarticle.clsで指定できる殆どのオプションを掲載します。カンマで区切っているものは、そのいずれかしか選択できないものです(a4paperとa4jの項目も同時指定不可)。 ; a4paper, a5paper, b4paper, b5paper : それぞれの用紙に設定します。 ; a4j, a5j, b4j, b5j, a4p, a5p, b4p, b5p : より日本語組版の通例にマッチした、本文領域が広めの体裁になるようにマージンを確保します。 ; 10pt, 11pt, 12pt : 基準となるフォントサイズを指定します。 ; landscape : 用紙を横置き(横の長さが長い)に設定します。<ref>ターミナルからdvipdfmxコマンドでPDFを出力した場合、本文記事中で\documentclassコマンドにlandscapeオプションを指定しただけでは横長の用紙設定でPDFが出力されないことがあります。これには2種類の対処方法があります。 * ターミナルからdvipdfmxコマンドを入力する際、-lオプションを指定 * プリアンブルに\AtBeginDvi{\special{landscape}}の一行を追加 なお、本文記事中にlandscapeオプションを指定しないと、用紙は横長だが本文レイアウトが縦長のまま出力されてしまうことに注意してください </ref> ; tombow, tombo :用紙サイズに合わせたトンボを出力します。tomboオプションは作成日時を出力しません。 ; tate :縦書きで組版します。<ref>documentclassにujarticleを指定した場合、不具合が出る場合があります。 : 例)タイトルページを組み込んでも、\authorに縦書き設定が反映されない。 その場合はdocumentclassにutarticleを指定してください。</ref> ; oneside, twoside :片面印刷・両面印刷に適した組版を行うように設定します。 ; onecolumn, twocolumn :本文を二段組にするかのオプションです。 ; titlepage, notitlepage :\maketitleコマンドの出力に1ページ確保するかの設定です。 ; openright, openany :chapterを右ページから行うか、或いは任意であるかのオプションです。 ; leqno, fleqn :leqnoオプションは数式番号を左側へ、fleqnオプションは数式番号を右側へ出力するように設定します。 ; openbib :参考文献リストを各項目ごとに改行する、オープンスタイル書式で出力します。 ; draft, final :draftオプションは、オーバーフルボックスが発生した箇所へ5ptの罫線を引きます。 === プリアンブル === ''プリアンブル''とは、パッケージや独自のマクロを定義する際に用いる場所です。 ''パッケージ''とは、別のTeX文書をプリアンブルへ読み込むことで、初期状態では用意されていないような便利な機能(正確には'''マクロ'''と呼ばれます)を追加することが出来ます。 ''マクロ''とは、今までに紹介した'''\TeXコマンド'''など、一度呼び出すと一連の処理を行うものです。 ==== 準備 ==== まずは以下の内容をpreamble.texなどとし、保存してください。 <syntaxhighlight lang="latex"> % File name: preamble.tex \documentclass{ujarticle} % urlパッケージを使う \usepackage{url} % Wikiプロジェクトの名前と、日本語版プロジェクトへのURLを作る \newcommand{\wikiproj}[1]{% Wiki#1 (http://ja.wiki#1.org/)} \begin{document} 日本語版ウィキブックスは\url{http://ja.wikibooks.org/}にあります。 % 出力結果↓ \wikiproj{pedia}, % Wikipedia (http://ja.wikipedia.org/), \wikiproj{books}. % Wikibooks (http://ja.wikibooks.org/). \end{document} </syntaxhighlight> 今まで通りにコンパイルしますが、urlパッケージが無い場合は以下のようなエラーが表示されます。エラーが表示されたら、xを入力してEnterキーを押して終了します。 <syntaxhighlight lang="bash"> $ uplatex preamble ! LaTeX Error: File `url.sty' not found. Type X to quit or <RETURN> to proceed, or enter new name. (Default extension: sty) Enter file name: </syntaxhighlight> ==== 解説 ==== '''\usepackage{}コマンド'''は、中括弧に指定されたファイル名に、拡張子が.styのファイルを読み込むコマンドです。'''\newcommandコマンド'''は新たにマクロを定義するコマンドです。 ここではプリアンブルへ\usepackage{}コマンドの書き方を覚えるだけで十分です。\newcommandコマンドに関してはここで理解する必要はありませんので、詳しくは[[#応用]]で説明します。 === 表紙 === 論文では最初のページに、表題や著作者などを記すことが多いと思います。LaTeXでは比較的簡単に作成することが出来ます。 ==== 準備 ==== 下の内容をmaketitle.texなどとし、保存してください。 <syntaxhighlight lang="latex"> % File name: maketitle.tex \documentclass{ujarticle} \begin{document} \title{文書のタイトル} \author{名無しの権兵衛} \date{2001年1月15日} \maketitle 本文。 \end{document} </syntaxhighlight> 続いて、以下のコマンドでコンパイルします。 <syntaxhighlight lang="bash"> $ uplatex maketitle </syntaxhighlight> ==== 解説 ==== では、この例に出てくる主要なコマンドの解説をします。コマンド名が太字のものは\maketitleを使用する際に必須のコマンドで、省略することはできません。 ; \title{} : 表題を定義するコマンドです。\LARGEサイズ(サイズに関しては後述します)で印刷されます。 ; \author{} : 著者を定義するコマンドです。\Largeサイズで印刷されます。 ; \date{} : 日付を定義するコマンドです。\largeサイズで印刷されます。このコマンドを指定しないと、ujarticleクラスでは“平成13年1月15日”の形で印刷され、日付を出力したくない場合は引数を空にします。例では英語版Wikipediaのプロジェクトが始まった日を西暦で表示します。 ; \maketitle : このコマンドを記述することで、上のコマンドで定義した表紙の要素を印刷します。つまりこのコマンドよりも前に、上のコマンドを記述する必要があります。 \titleと\author、そして\dateコマンドは引数を取るコマンドです。引数は例の通り、''{''と''}''の中括弧で囲みます。例では本文の開始と同じページに表紙を印刷しましたが、1ページ使って表紙を印刷したい場合はクラスファイルオプションにtitlepageを指定します。つまり、\documentclass[titlepage]{ujarticle}と書けばそれだけでいいのです。 === 概要 === ==== 準備 ==== 以下の内容を、abstract.texと保存しましょう。 <syntaxhighlight lang="latex"> % File name: abstract.tex \documentclass{ujarticle} \begin{document} \title{概要を表示する} \author{ウィキブックス} \date{\today} \maketitle \begin{abstract} ここに概要を書きます。 \end{abstract} 本文。 \end{document} </syntaxhighlight> ==== 解説 ==== 概要は'''abstract環境'''を用います。環境は、\begin{}コマンドと\end{}コマンドで囲うものですね。abstract環境では“概要”という文字を太字で印刷し、概要の文章の左右に空白を空けて印刷します。jsarticleクラスでは\smallサイズで印刷します。 “概要”という文字を“要約”などに変更したい場合は、[[#応用]]で詳しく説明します。 === 目次 === ==== 準備 ==== 以下の内容を、toc.texと保存しましょう。 <syntaxhighlight lang="latex"> % File name: toc.tex \documentclass{ujarticle} \begin{document} \tableofcontents % 以下の \section{}, \subsection{}コマンドについては後述します。 \section{はじめに} \subsection{時代背景} \subsection{著者について} \section{人生について} \subsection{人生とは} \end{document} </syntaxhighlight> '''\tableofcontentsコマンド'''を使用するときは、3回程度はコンパイルします。 <syntaxhighlight lang="bash"> $ uplatex toc $ uplatex toc </syntaxhighlight> ==== 解説 ==== \tableofcontentsコマンドでは、コンパイル時に生成される'''.tocファイル'''を基に目次を生成します。この.tocファイルは後述の\sectionコマンドなどの情報を書き出してあるファイルで、初めてのコンパイル作業では.tocファイルがないため、目次は生成されません。 また2回目のコンパイルで目次が挿入されると目次以降の本文がずれてしまい、2回だけでは目次と本文のページ番号が合わない場合がありますので、コンパイルは少なくとも3回程度行なってください。 === 章立て === 論文では複数の“章”や“節”という固まりを作ることになると思います。ここでは、章立ての仕方について解説します。 ==== 準備 ==== 以下の内容を、section.texなどで保存しましょう。 <syntaxhighlight lang="latex"> % File name: section.tex \documentclass{ujarticle} \begin{document} \section{はじめに} 第一章です。 \subsection{時代背景} 第一章、第一節です。 \subsection{著者について} 第一章、第二節です。 \section{人生について} \subsection{人生とは} 第二章、第一節です。 \end{document} </syntaxhighlight> 今までと同様にコンパイルしてみましょう。 <syntaxhighlight lang="bash"> $ uplatex section </syntaxhighlight> ==== 解説 ==== 上の例では'''\section'''コマンドと'''\subsection'''コマンドのみを使いましたが、同様のコマンドは以下の表の通りです。 {| class="wikitable" |+ '''章立てコマンドの一覧''' |- ! コマンド !! 章節 !! レベル |- | \part{} || 部 || -1 |- | \chapter{} || 章 || 0 |- | \section{} || 節 || 1 |- | \subsection{} || 小節 || 2 |- | \subsubsection{} || 小々節 || 3 |- | \paragraph{} || 段落 || 4 |- | \subparagraph{} || 小段落 || 5 |} ※\chapter{}コマンドはarticle, ujarticleクラスでは使用できません。 章立てコマンドは自動的に章番号をつけ、上位レベルのコマンドを記述すると番号は再び1から始まります。これらのコマンドは、\sectionに続けて\subsubsectionを記述することができますが、文書の論理構造的に正しくないので、\sectionの次は\subsection以上のものを記述するようにしましょう。 章番号を付けずに、目次へ出力しない章を作りたいときはどうすればよいのでしょうか。これは簡単で、それぞれのコマンド名のあとに[[w:アスタリスク|アスタリスク]](半角の*)を付けるだけです。 <syntaxhighlight lang="latex"> \section*{前に番号がつかず、目次にも現れない章} </syntaxhighlight> 番号を出力するとともに“章”という文字を出力したりする場合は、[[#応用]]を参照してください。 === 参考文献リスト === (stab) == 書式 == この章では文字列の見た目を変更するコマンドを紹介します。 === サイズ === ==== 例 ==== <syntaxhighlight lang="latex"> % File name: fontsize.tex \documentclass{ujarticle} \begin{document} ここは普通の大きさです。 {\small ここは小さい文字になります。} 普通の大きさです。 {\large ここは大きい文字になります。} 普通の大きさです。 {\small 小さい文字の中に、{\large 大きい文字を入れて、}再び小さい文字になります。} \end{document} </syntaxhighlight> ==== 解説 ==== フォントサイズは、サイズを変更したい文字列を中括弧で囲い、最初に変更するコマンドを記述します。中括弧で囲んでいる中に、別の中括弧を含めた場合は最も内側が優先されます。 上記以外のサイズ変更コマンドは以下の表の通りです(ujarticleクラス)。各コマンドにおける実際のフォントサイズは、\documentclassコマンドのオプション等で指定された基準のフォントサイズ(\normalsize)によって異なります。 {| class="wikitable" |+ '''サイズ変更コマンド一覧''' |- ! コマンド ! colspan="3" | ポイント |- | \tiny || 5 || 6 || 6 |- | \scriptsize || 7 || 8 || 8 |- | \footnotesize || 8 || 9 || 10 |- | \small || 9 || 10 || 11 |- | bgcolor="#CCCCCC" | \normalsize | bgcolor="#CCCCCC" | 10 | bgcolor="#CCCCCC" | 11 | bgcolor="#CCCCCC" | 12 |- | \large || 12 || 12 || 14 |- | \Large || 14 || 14 | 17 |- | \LARGE || 17 || 17 || 20 |- | \huge || 20 || 20 || 25 |- | \Huge || 25 || 25 || 25 |} === 書体 === LaTeXで書体を扱う際、以下の種類に分けることが出来ます。 ; ファミリー(Family) : デザインで分類したもの。いわゆるフォントにほぼ同じです。 ; シリーズ(Series) : 文字の太さを分類したもの。TeX以外ではウェイトと呼ばれています。 ; シェイプ(Shape) : 見た目の形で分類したもの。斜体やスモールキャップ体などです。 更に記述の方法は、以下の2種類あります。 * 宣言型(Declaration) * コマンド型 宣言型の記述では、中括弧を用いて範囲を指定しない限り最後まで変更されます。 ==== ファミリー ==== <syntaxhighlight lang="latex"> % File name: fontfamily.tex \documentclass{ujarticle} \begin{document} Normal. % 宣言型 {\gtfamily Gothic.} {\rm Roman.} % コマンド型 \texttt{Typewriter.} \end{document} </syntaxhighlight> {| class="wikitable" |- ! !! 宣言型 !! コマンド型 |- | 明朝体 || \mcfamily || \textmc |- | ゴシック体 || \gtfamily || \textgt |- | ローマン体 || \rmfamily || \textrm |- | サンセリフ体 || \sffamily || \textsf |- | タイプライタ体 || \ttfamily || \texttt |} ==== シリーズ ==== <syntaxhighlight lang="latex"> % File name: fontseries.tex \documentclass{ujarticle} \begin{document} Normal. {\bfseries Bold.} \end{document} </syntaxhighlight> {| class="wikitable" |- ! !! 宣言型 !! コマンド型 |- | ミディアム || \mdseries || \textmd |- | ボールド || \bfseries || \textbf |} ==== シェイプ ==== <syntaxhighlight lang="latex"> % File name: fontshape.tex \documentclass{ujarticle} \begin{document} Normal. {\itshape Italic.} {\slshape Slanted.} \end{document} </syntaxhighlight> {| class="wikitable" |- ! !! 宣言型 !! コマンド型 |- | 通常体(Upright) || \upshape || \textup |- | イタリック体(Italic) || \itshape || \textit |- | スモールキャップ体(Small caps) || \scshape || \textsc |- | 斜体(Slanted) || \slshape || \textsl |} イタリック体と斜体の違いですが、イタリック体は通常体を傾けた形でデザインされたものを使用するのに対し、斜体は通常体を無理矢理傾けて使用します。 ==== その他 ==== 宣言型では'''\normalfontコマンド'''、コマンド型では'''\textnormal{}コマンド'''は通常の書体設定(大抵は宣言型記述で、\rmfamily\mdseries\upshape)に戻します。また宣言型記述方法で、タイプライタ体を\ttコマンドで記述できるシステムがありますが、互換性維持のためのコマンドなので上で示したコマンドを使いましょう。 ファミリーとシリーズ、シェイプは以下のように、それぞれを組み合わせることが可能です。同じ種類のコマンドを記述すると最後のものが優先されます。 <syntaxhighlight lang="latex"> % File name: fontother.tex \documentclass{ujarticle} \begin{document} Normal. {\ttfamily\bfseries\itshape Typewriter, Bold and Italic.} {\ttfamily\scshape\rmfamily Roman and Small caps.} \end{document} </syntaxhighlight> == 環境 == この章では文書作成の上で有用な環境である、箇条書きを幾つか紹介します。 === 箇条書き === 箇条書きには幾つか種類があります。 * HTMLでは <syntaxhighlight lang="html5" inline><ul></syntaxhighlight> のような記号に続くリスト('''itemize環境''')。 * HTMLでは <syntaxhighlight lang="html5" inline><ol></syntaxhighlight> のような数字に続くリスト('''enumerate環境''')。 * HTMLでは <syntaxhighlight lang="html5" inline><dl></syntaxhighlight> のような任意の言葉に続くリスト('''description環境''')。 箇条書きの構造は、'''\begin{}コマンド'''で見た目を決定する環境を開始し、'''\itemコマンド'''で要素を記述します。 ==== itemize環境 ==== <syntaxhighlight lang="latex"> % File name: itemize.tex \documentclass{ujarticle} \begin{document} 以下はWikibooksの姉妹プロジェクトのリストです。 \begin{itemize} \item Wikipedia \item Wiktionary \item Wikiquote \end{itemize} \end{document} </syntaxhighlight> このソースファイルをコンパイルすると、中黒で順序のない箇条書きを作ることが出来ます。またソースファイルでは、LaTeXの構造を分かりやすくするために\itemコマンドの前に半角スペースを2個入れていますが、出力には影響ありません。 ==== enumerate環境 ==== <syntaxhighlight lang="latex"> % File name: enumerate.tex \documentclass{ujarticle} \begin{document} Wikiを使うメリットは以下の3点です。 \begin{enumerate} \item インターネット上のどこからでも更新できる。 \item ブラウザだけで作業が出来る。 \item Wikiの文法は覚えやすく、Wiki内のリンクは簡単。 \end{enumerate} \end{document} </syntaxhighlight> このソースファイルをコンパイルすると、算用数字で順序のある箇条書きを作ることが出来ます。 ==== description環境 ==== <syntaxhighlight lang="latex"> % File name: description.tex \documentclass{ujarticle} \begin{document} 以下の期日で新年会を行います。 \begin{description} \item[日時] 20xx年1月1日 xx時より \item[場所] 日本語版ウィキブックス、談話室にて \item[会費] ψ0 \end{description} \end{document} </syntaxhighlight> このソースファイルをコンパイルすると、\itemコマンドの直後に[と]で囲んだ文字列が太字で印刷され、定義リストを作ることが出来ます。 === 引用 === 他の文献などから引用する場合に用いるのが'''quote環境'''と'''quotation環境'''です。 <syntaxhighlight lang="latex"> % File name: quote.tex \documentclass{ujarticle} \begin{document} 先ずはquote環境を使います。 \begin{quote} 吾輩は猫である。名前はまだ無い。 どこで生れたかとんと見当がつかぬ。 何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。 \end{quote} 続いてquotation環境を使います。 \begin{quotation} 吾輩は猫である。名前はまだ無い。 どこで生れたかとんと見当がつかぬ。 何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。 \end{quotation} 夏目漱石『吾輩は猫である』より。 \end{document} </syntaxhighlight> ==== quote環境 ==== 引用文中の段落の字下げを行わない引用環境です。短い引用に用いられます。 ==== quotation環境 ==== 引用文中の段落の字下げを行う引用環境です。比較的長い文章を引用する際に用いられます。 === 整形済みテキスト === ==== verbatim環境 ==== begin〜end間のテキストをそのまま出力する環境です。プログラムのソースファイルなどをそのまま載せたいとき、LaTeXの制御文字を連続して使用する場合などに用います。ただし、行頭のタブは無視され、行の途中のタブは半角スペースに置き換えられるので注意してください。 <syntaxhighlight lang="latex"> % File name: verbatim.tex \documentclass{ujarticle} \begin{document} \begin{verbatim} !"#$%&'()+*<>?_|~= \end{verbatim} \end{document} </syntaxhighlight> ==== verbatim*環境 ==== verbatim環境とほとんど同じですが、半角スペースがあるところにアキの印が出力されます。 ==== \verbと\verb* ==== verbatim環境は使用すると、整形済みテキストの前に必ず改行されます。これは、文中にちょっとしたものを書きたいときには不便です。\verbを使うことで、文中に整形済みテキストを挿入することができます。使い方は、\verbの後に任意の記号を置き、その後に整形済みテキストを置き、\verbの後に置いた記号をもう一度置きます。\verbの後に置く記号は、整形済みテキストに含まれていないものなら、何でもかまいません。 <syntaxhighlight lang="latex"> % File name: verbatim.tex \documentclass{ujarticle} \begin{document} 今日はとても楽しかった\verb+(^_^)+ですね。 \end{document} </syntaxhighlight> == 数式 == TeXは数式の組版に強いと言われます。なぜなら開発者の[[w:ドナルド・クヌース|クヌース]]が自身の著書である[[w:en:The Art of Computer Programming]]を書くときに、当時コンピュータで作った組版状態が綺麗ではなく、自ら満足するソフトを作ったからです。この作ったものこそ、TeXなのです。 === 数式を使うには === 数式を扱うには大きく分けて二つあります。 * 数式を文中へ埋め込む場合で、'''$'''で挟む方法(textstyle) * 別の段落として数式を印刷する場合で、'''\['''と'''\]'''で囲んだり、'''数式環境'''に入れる方法(displaystyle) 後者はページの中心に数式が印刷されます。また、どちらも専用のフォントで表示されます。 <syntaxhighlight lang="latex"> \documentclass{ujarticle} \begin{document} 積分は一般に以下の形で記される。 \[ \int^{b}_{a} f(x) dx \] \end{document} </syntaxhighlight> === 数式モードの基礎 === * 式に含まれる空白は自動的に調節されます * textstyleでは行内に収めるため、圧縮されたような表示になります ** textstyle表示をdisplaystyle表示にしたいときは、'''\displaystyleコマンド'''を用います ==== 数式環境 ==== 文中に数式を挿入する場合は次のいずれかのコマンドで囲みます。 * '''$''' と '''$''' * '''\(''' と '''\)''' 例: <syntaxhighlight lang="latex"> \( 数式 \) </syntaxhighlight> 文中に入れるのではなく、数式として独立させたい場合は、'''eqnarray環境'''を用います。 <syntaxhighlight lang="latex"> \begin{eqnarray} 数式 \\ 数式 \\ 数式 \end{eqnarray} </syntaxhighlight> eqnarray環境では1行ごとに番号が付加されます。必要ない場合は'''eqnarray*環境'''を用います。 ==== 四則演算 ==== 足し算(+)と引き算(-)は何も考えずに表示できます。 <syntaxhighlight lang="latex"> \[ 4 + 5 - 2 = 7 \] </syntaxhighlight> 掛け算(<math>\times</math>)と割り算(<math>\div</math>)は、それぞれ'''\timesコマンド'''、'''\divコマンド'''を用います。 <syntaxhighlight lang="latex"> \[ 4 \times 5 \div 2 = 10 \] </syntaxhighlight> ==== 分数 ==== '''\fracコマンド'''を用います。最初の引数で分子を指定し、次の引数で分母を指定します。 <syntaxhighlight lang="latex"> \begin{eqnarray*} \frac{1}{2} + \frac{1}{3} &=& \frac{3}{6} + \frac{2}{6} \\ &=& \frac{3 + 2}{6} \\ &=& \frac{5}{6} \end{eqnarray*} </syntaxhighlight> ※注:この例では見やすくするため半角スペースを用いて = の位置を揃えていますが、実際の処理では & を用いた位置で揃えられます。 ==== 平方根 ==== '''\sqrtコマンド'''を用います。 <syntaxhighlight lang="latex"> \[ \sqrt{4} = 2 \] </syntaxhighlight> 3乗根や5乗根を表現したいときは、コマンド名の直後に角括弧([と])で数字を囲みます。 <syntaxhighlight lang="latex"> \[ \sqrt[3]{8} = 2 \] </syntaxhighlight> ==== べき乗 ==== '''^'''を用います。 <syntaxhighlight lang="latex"> \begin{eqnarray*} 2^{3} &=& 2 \times 2 \times 2 \\ &=& 8 \end{eqnarray*} </syntaxhighlight> ^の後が一文字だけであれば{}で囲む必要はありませんが、複数文字で表現したいときに忘れることがあるので、出来る限り{}で囲むようにしましょう。 ==== 数列 ==== 数列の添え字は'''_'''を用います。これも{}を付けない場合、続く1文字だけが添字だと解釈されます。 <syntaxhighlight lang="latex"> \begin{eqnarray*} a_{n + 1} = a_{n} + 4 \end{eqnarray*} </syntaxhighlight> = === 和(シグマ)、極限、積分 ==== 和は'''\sumコマンド'''、極限は'''\limコマンド'''、積分は'''\intコマンド'''を用います。 <syntaxhighlight lang="latex"> \begin{eqnarray*} \sum_{k = 0}^{10} k \\ \lim_{x \to \infty} f(x) \\ \int^{b}_{a} f(x) dx \end{eqnarray*} </syntaxhighlight> それぞれ記号の上下に範囲を印刷しますが、べき乗と数列で扱った'''^'''と'''_'''を用いて表現します。 ==== 関数名 ==== 数学にはsinやcosなど、名前のついた関数がありますが、これらをそのまま<code>sin x</code>のように書いてしまうと、s×i×n×xのように解釈されてしまうため文字が斜体となりきれいに表示されません。有名な関数は'''<code>\sin</code>'''のように、コマンドになっています。 <syntaxhighlight lang="latex"> \sin^2 x + \cos^2 x = 1 </syntaxhighlight> また、modについては、二項演算子として使う'''<code>\bmod</code>'''と、カッコつきの'''<code>\pmod</code>'''があります。 <syntaxhighlight lang="latex"> \begin{eqnarray*} a \bmod b = 2 \\ a \equiv b \pmod{3} \end{eqnarray*} </syntaxhighlight> ただし一部の関数はコマンドになっておらず、そう言った場合は<code>\mathrm</code>を用いて斜体を解除する必要があります。[[w:Sinc 関数|Sinc 関数]]を例にすると<code>\mathrm{sinc}(n \pi)</code>とすると、<math>\mathrm{sinc}(n \pi)</math>のように表示されます。ちなみに、<code>\mathrm</code>は、数式環境用の<code>\textrm</code>です。 これを応用して、数式環境で単位を表示させたいときにも<code>$f_{s}=4\mathrm{kHz}$</code>(textstyleの書き方)のように書くことができます。 ==== 特殊記号 ==== 数式にはいろんな記号が登場します。これらは、専用の命令で呼び出せます。日本語のフォントにあるからと言って、それを直接数式モードで使わないようにしましょう。環境によってはエラーになりますし、スペースの配分がうまくいかなくなる原因にもなります。 {| class="wikitable" |+ 特殊記号 ! 記法 !! 結果 |- | <code>\alpha \beta \gamma \delta</code> || <math>\alpha \beta \gamma \delta</math> |- | <code>\Delta \Lambda \Psi \Omega</code> || <math>\Delta \Lambda \Psi \Omega</math> |- | <code>= \neq &lt; &gt; \leq \geq \equiv</code> || <math>= \neq < > \leq \geq \equiv</math> |- | <code>\cap \cup \in \ni \forall \exists</code> || <math>\cap \cup \in \ni \forall \exists</math> |- | <code>\nabla \partial \infty</code> || <math>\nabla \partial \infty</math> |} ==Beamer== [[w:Beamer|Beamer]](ビーマー)は LATEX に基づくプレゼンテーションソフトウェアであり、組み込みの各種スタイルや各種色使いが用意されている。documentclassは<code>\documentclass[dvipdfmx,10pt]{beamer}</code>のようになる。CTAN上で配布されている'''beamerposter.sty'''と組み合わせることでポスターの作成にも使える。印刷に適した「配布資料」作成機能も持つ。例えば、Beamerで作成したpresentation.pdfの配布資料(縦2枚、横2枚)を作りたい場合は、 <syntaxhighlight lang="latex"> \documentclass[a4paper,landscape]{article} \usepackage{pdfpages} \begin{document} \includepdf[pages=1-last,nup=2x2]{presentation.pdf} \end{document} </syntaxhighlight> とする。コンパイルオプションはpdflatexにする。 == 応用 == === 他のファイルを読み込む === 例えば大きな文書を作成しているときや、共通する部分を持つ文書を作成するとき、一つのLaTeX文書を複数に分割することで編集作業や再利用が容易になります。 <syntaxhighlight lang="latex"> % --- article.tex --- \documentclass{ujarticle} \begin{document} \include{title} \include{body} \end{document} % --- title.tex --- \title{文書のタイトル} \author{名無しの権兵衛} \maketitle % --- body.tex --- \section{はじめに} ファイルを分割してみました! </syntaxhighlight> '''include{}コマンド'''を利用することで、指定したファイルをその位置に読み込みます。従って、読み込まれるファイルでは\documentclassコマンドなどを記述する必要はありません。 コンパイルするときは大元の文書ファイルを指定します。他のファイルは自動的に読み込まれます。 <syntaxhighlight lang="bash"> $ uplatex article </syntaxhighlight> === ラベルの変更 === ==== 準備 ==== この本は入門なので、簡単に変更できるような方法を紹介します。そのためにjsarticleドキュメントクラスを導入しましょう。 jsarticleドキュメントクラスは[[w:奥村晴彦|奥村晴彦]]が作成した新ドキュメントクラスで、フォントサイズがujarticleに比べて多く用意されていたり、\sectionコマンドのラベルを容易に変更できるようになっています。 jsarticleドキュメントクラスの導入は[https://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/jsclasses/ jsarticleのサポートサイト]に載っているので、そちらを参照してください。 ==== 解説 ==== 例えば\sectionの出力を“第1章 はじめに”のようにしたい場合は、[[#プリアンブル]]へ以下の記述をします。 <syntaxhighlight lang="latex"> \documentclass[uplatex]{jsarticle} % 以下2行が章のラベルを書き換える \renewcommand{\presectionname}{第} \renewcommand{\postsectionname}{章} \begin{document} \section{はじめに} \end{document} </syntaxhighlight> ujarticleでも以下で紹介する殆どを変更できますが、jsarticleを用いれば\sectionコマンドの出力も変更できます。 {| class="wikitable" |+ '''変更可能ラベル一覧 |- ! 変数 !! コマンド !! 初期値 |- | \prepartname | rowspan="2" | \part || 第 |- | \postpartname || 部 |- | \prechaptername | rowspan="2" | \chapter(book系のみ) | 第 |- | \postchaptername || 章 |- | \presectionname | rowspan="2" | \section | |- | \postsectionname | |- | \contentsname | \tableofcontents || 目次 |- | \listfigurename || \listoffigures || 図目次 |- | \listtablename || \listoftables || 表目次 |- | \refname || \thebibliography(book系以外) || 参考文献 |- | \bibname || \thebibliography(book系) || 参考文献 |- | \indexname || \theindex環境 || 索引 |- | \figurename || \label || 図 |- | \tablename || \label || 表 |- | \appendixname || \appendix || 付録 |- | \abstractname || abstract環境(book系以外) || 概要 |} === マクロ === '''\newcommandコマンド'''は[[w:マクロ_(コンピュータ用語)|マクロ]]を定義するコマンドで、以下のような形式を取ります。 \newcommand{\定義したいコマンド名}{コマンドなど} マクロは定義した名前を呼ぶことで、一連の手続きを手軽に扱うことができます。これにより、煩雑なコマンドも独自のマクロで容易に扱えるようになります。 ==== 簡単なマクロ ==== [[#プリアンブル]]に例があります。 == 脚注 == <references /> ==外部リンク== *[https://texwiki.texjp.org/ TeX Wiki] *[https://www.math.sci.hokudai.ac.jp/~abenori/tex/ TeXの話] *[https://ctan.org/?lang=en CTAN Comprehensive TeX Archive Network] *[https://www.slideshare.net/ssuser4ebddd/cloudlatex Cloudlatex講習] *[https://doratex.hatenablog.jp/entry/20131203/1386068127 TeXによる化学組版] *[https://www.math.sci.hokudai.ac.jp/~abenori/soft/abtexinst.html TeXインストーラ3] ===Beamer関連=== *[http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~tado/beamer/ LaTeX Beamer 入門]<!--リンク切れ--> *[http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~tado/beamer/poster.html Beamer ポスター入門]<!--リンク切れ--> *[https://termoshtt.hatenablog.com/entry/2014/02/17/235005 Beamerによる発表小技集] *[http://math.shinshu-u.ac.jp/~hanaki/beamer/beamer.html Beamerの基本的な使い方サンプル] ==参考文献== *[[奥村晴彦]]、[[黒木裕介]]『[改訂第7版]LATEX2ε美文書作成入門』技術評論社、2017年1月、ISBN 978-4-7741-8705-1 {{stub}} {{DEFAULTSORT:TeX/LaTeXにゆうもん}} [[Category:ソフトウェアのマニュアル]] [[Category:マークアップ言語]] {{NDC|007.63}}
2005-02-06T18:53:15Z
2023-10-06T01:31:42Z
[ "テンプレート:Pathnav", "テンプレート:Stub", "テンプレート:NDC" ]
https://ja.wikibooks.org/wiki/TeX/LaTeX%E5%85%A5%E9%96%80
2,823
料理本/ヨーロッパ料理
料理本
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "料理本", "title": "" } ]
料理本 アルバニア料理 イタリア料理 ギリシャ料理 スペイン料理 バスク料理 デンマーク料理 ドイツ料理 トルコ料理 フランス料理 ブリティッシュ料理 イングランド料理 スコットランド料理 ウェールズ料理 ブルガリア料理 ベルギー料理 ロシア料理
[[料理本]] ---- *[[料理本/アルバニア料理|アルバニア料理]] *[[料理本/イタリア料理|イタリア料理]] *[[料理本/ギリシャ料理|ギリシャ料理]] *[[料理本/スペイン料理|スペイン料理]] **[[料理本/バスク料理|バスク料理]] *[[料理本/デンマーク料理|デンマーク料理]] *[[料理本/ドイツ料理|ドイツ料理]] *[[料理本/トルコ料理|トルコ料理]] *[[料理本/フランス料理|フランス料理]] *[[料理本/ブリティッシュ料理|ブリティッシュ料理]] **[[料理本/イングランド料理|イングランド料理]] **[[料理本/スコットランド料理|スコットランド料理]] **[[料理本/ウェールズ料理|ウェールズ料理]] *[[料理本/ブルガリア料理|ブルガリア料理]] *[[料理本/ベルギー料理|ベルギー料理]] *[[料理本/ロシア料理|ロシア料理]] [[Category:ヨーロッパ料理|*]] [[カテゴリ:ヨーロッパ]]
2005-09-17T07:54:13Z
2023-09-26T12:19:35Z
[]
https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%96%99%E7%90%86%E6%9C%AC/%E3%83%A8%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%91%E6%96%99%E7%90%86
2,829
料理本/インド料理
料理本/東アジア料理 インドを中心としたインド亜大陸の料理の数々。 小麦粉食中心の北インド料理と米食を中心とした南インド料理とに大別されるが、さらに地域によってさまざまな料理が存在する。
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料理本/東アジア料理 インドを中心としたインド亜大陸の料理の数々。 小麦粉食中心の北インド料理と米食を中心とした南インド料理とに大別されるが、さらに地域によってさまざまな料理が存在する。
[[料理本/東アジア料理]] ---- インドを中心としたインド亜大陸の料理の数々。 小麦粉食中心の北インド料理と米食を中心とした南インド料理とに大別されるが、さらに地域によってさまざまな料理が存在する。 == スープ == *[[料理本/マトンカレー|マトンカレー]] *[[料理本/マトンマサラ|濃くのあるマトンカレー]] *[[料理本/チキン・カレー|チキン・カレー]] *[[料理本/チキンコルマ|チキンコルマ(カレー)]] ==飲料== *[[料理本/マサラ・チャイ|マサラ・チャイ]] (香辛料を使った煮出し紅茶) *[[料理本/ラッシー|ラッシー]] - [[料理本/ヨーグルト|ヨーグルト]]シェイク([[料理本/マンゴー|マンゴー]]、[[料理本/薔薇水|薔薇水]]風味) == 北インド料理 == *[[料理本/チャパーティー|チャパーティー、ローティー]] - 平べったいインドの無発酵パン *[[料理本/ナーン|ナーン]] - 平たく細長いインドの発酵パン *[[料理本/タンドリーチキン|タンドリーチキン]] - 香辛料などに漬け込んだ鶏肉を串にさしてタンドゥールと呼ばれる壷窯で焼いたもの *[[料理本/シシカバブ|シシカバブ]] - 香辛料,ヨーグルトに漬け込んだ羊挽肉を串にさしてタンドゥールと呼ばれる壷窯で焼いたもの *[[料理本/サモサ|サモサ]] - ゆでてつぶしたジャガイモとグリーンピースなどの具を各種の香辛料で味付けし、小麦粉と食塩と水で作った薄い皮で三角形に包み、食用油でさっくりと揚げたもの。 == 南インド料理 == *[[料理本/イドゥリ|イドゥリ]] - 米を使った蒸パン [[Category:インド料理|*]] [[en:Cookbook:Cuisine of India]] [[fr:Livre de cuisine/Recettes de cuisine indienne]] [[ms:Resipi:Masakan India]]
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2011-09-24T12:21:05Z
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https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%96%99%E7%90%86%E6%9C%AC/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E6%96%99%E7%90%86
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OsiriX オンライン解説文書/Osirix Routing Preferences (ルーティング)
OsiriX オンライン解説文書 目次 > OsiriXメニュー OsiriX > OsiriX 環境設定 ルーティング ルーティングの目的は、OsiriXが受信した画像を他のDICOM装置に転送することです。 ルーティングを設定するには: 例えば: 許容されるTransfer Syntaxは:
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "OsiriX オンライン解説文書 目次 > OsiriXメニュー OsiriX > OsiriX 環境設定 ルーティング", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "", "title": "" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "", "title": "" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "ルーティングの目的は、OsiriXが受信した画像を他のDICOM装置に転送することです。", "title": "" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "ルーティングを設定するには:", "title": "" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "例えば:", "title": "" }, { "paragraph_id": 6, "tag": "p", "text": "許容されるTransfer Syntaxは:", "title": "" } ]
OsiriX オンライン解説文書 目次 > OsiriXメニュー OsiriX > OsiriX 環境設定 ルーティング ルーティングの目的は、OsiriXが受信した画像を他のDICOM装置に転送することです。 ルーティングを設定するには: iCalで新規カレンダーを作り、環境設定で入力した名前をつけます。 次に、カレンダーへのrouteを追加します: そのカレンダーで新規イベントを作成します。 イベントの場所にはこの書式で: 例えば: 許容されるTransfer Syntaxは: Explicit Little Endian JPEG 2000 Lossless JPEG 2000 Lossy 10:1 JPEG 2000 Lossy 20:1 JPEG 2000 Lossy 50:1 JPEG Lossless JPEG High Quality (9) JPEG High Quality (8) JPEG High Quality (7)
[[OsiriX オンライン解説文書|OsiriX オンライン解説文書 目次]] > [[OsiriX オンライン解説文書/OsiriXメニュー_OsiriX|OsiriXメニュー OsiriX]] > [[OsiriX オンライン解説文書/OsiriX_Routing_Preferences(ルーティング)|OsiriX 環境設定 ルーティング]] ---- <br> <center>[[画像:OsiriXPrefsRouting2.1.jpg]]</center> <br> ルーティングの目的は、OsiriXが受信した画像を他のDICOM装置に転送することです。 ルーティングを設定するには: #iCalで新規カレンダーを作り、環境設定で入力した名前をつけます。 #次に、カレンダーへのrouteを追加します: #そのカレンダーで新規イベントを作成します。 #*イベントの場所にはこの書式で: Server1 Description:Transfer Syntax/Description:Transfer Syntax/etc 例えば: OSIRIX:JPEG 2000 Lossy 10:1 許容されるTransfer Syntaxは: *Explicit Little Endian *JPEG 2000 Lossless **JPEG 2000 Lossy 10:1 **JPEG 2000 Lossy 20:1 **JPEG 2000 Lossy 50:1 *JPEG Lossless **JPEG High Quality (9) **JPEG High Quality (8) **JPEG High Quality (7) [[en:Online OsiriX Documentation/OsiriX Routing Preferences]] [[Category:OsiriX|OsiriX Routing Preferences るうていんく]]
null
2015-08-29T00:59:51Z
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明晰夢
自分が夢を見ていることに気付いている夢を明晰夢といいます。夢を見ていることに気がつきながら眠っているという状態のとき、見ている夢を自分の思い通りにコントロールすることができます。例えば、空を飛んだり、空想の中のキャラクターに会ったりすることもできます。きっととてもおもしろい経験となることだと思います。 明晰夢というものが存在することは実験で証明されています(scientific historyを参照)。そして、訓練しだいでほとんどの人が明晰夢を見ることができるようになります。この教科書で、その方法をお教えします。 まず夢の生物学的な側面と夢の思い出し方を説明します。次に意識を持ちそれを保つ方法、明晰夢の中で何をすればいいのかを提案したいと思います。 ページトップの編集タブで各ページを編集できます。変更はすぐに反映されますが、ミスがあっても他のユーザーが直してくれるので気にしないでください。興味のある方はノートタブをクリックして議論に参加してください。 各項目の完成度です。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "自分が夢を見ていることに気付いている夢を明晰夢といいます。夢を見ていることに気がつきながら眠っているという状態のとき、見ている夢を自分の思い通りにコントロールすることができます。例えば、空を飛んだり、空想の中のキャラクターに会ったりすることもできます。きっととてもおもしろい経験となることだと思います。", "title": "まえがき" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "明晰夢というものが存在することは実験で証明されています(scientific historyを参照)。そして、訓練しだいでほとんどの人が明晰夢を見ることができるようになります。この教科書で、その方法をお教えします。", "title": "まえがき" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "まず夢の生物学的な側面と夢の思い出し方を説明します。次に意識を持ちそれを保つ方法、明晰夢の中で何をすればいいのかを提案したいと思います。", "title": "まえがき" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "ページトップの編集タブで各ページを編集できます。変更はすぐに反映されますが、ミスがあっても他のユーザーが直してくれるので気にしないでください。興味のある方はノートタブをクリックして議論に参加してください。", "title": "まえがき" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "各項目の完成度です。", "title": "内容" } ]
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{{明晰夢}} {{wikipedia|明晰夢}} == まえがき == 自分が夢を見ていることに気付いている夢を[[w:明晰夢|明晰夢]]といいます。夢を見ていることに気がつきながら眠っているという状態のとき、見ている夢を自分の思い通りにコントロールすることができます。例えば、空を飛んだり、空想の中のキャラクターに会ったりすることもできます。きっととてもおもしろい経験となることだと思います。 明晰夢というものが存在することは実験で証明されています([[w:en:Lucid_dream#Scientific history|scientific history]]を参照)。そして、訓練しだいでほとんどの人が明晰夢を見ることができるようになります。この教科書で、その方法をお教えします。 まず夢の生物学的な側面と夢の思い出し方を説明します。次に意識を持ちそれを保つ方法、明晰夢の中で何をすればいいのかを提案したいと思います。 ページトップの編集タブで各ページを編集できます。変更はすぐに反映されますが、ミスがあっても他のユーザーが直してくれるので気にしないでください。興味のある方はノートタブをクリックして議論に参加してください。 == 内容 == 各項目の完成度です。 : [[画像:25%.png]] 少ししかないか、役に立たないかもしれません。: : [[画像:50%.png]] 多少ありますが、あまり詳しくありません。: : [[画像:75%.png]] 詳しいですが、加筆・推敲する必要があります。: : [[ファイル:100 percent.svg]] 基本的に完成していますが、常に編集されていきます。: === [[明晰夢/夢と明晰夢|夢と明晰夢]] === # [[画像:75%.png]] ノート # [[画像:75%.png]] 夢とは # [[画像:25%.png]] 明晰夢とは # [[画像:25%.png]] 明晰夢の危険性 ## [[画像:25%.png]] 癖になるのではないか ## [[画像:25%.png]] 精神病ではないか ## [[画像:25%.png]] 現実との区別がつかなくなるのではないか ## [[画像:25%.png]] 議論: 霊的存在に遭うのではないか ## [[画像:25%.png]] 議論: 悪いことを考えたり、支配欲が強くなってしまうのではないか # [[画像:25%.png]] 明晰夢に似たテクニック === [[明晰夢/夢を思い出す|夢を思い出す]] === : [[画像:25%.png]] 夢日記 === [[明晰夢/意識を持つテクニック|意識を持つテクニック]] === # [[画像:25%.png]] 前置き ## [[画像:25%.png]] 目覚めて、寝つく ## [[画像:25%.png]] リアリティ・チェック # [[画像:25%.png]] テクニック ## [[画像:25%.png]] WBTB ## [[画像:25%.png]] 自己暗示 ## [[画像:25%.png]] MILD ## [[画像:25%.png]] WILD ### [[画像:25%.png]] 入眠時のイメージ ### [[画像:25%.png]] 数をかぞえる ## [[画像:25%.png]] 夢を具体化していく ### [[画像:25%.png]] 夢をつなげる ### [[画像:25%.png]] VILD ### [[画像:25%.png]] LILD ## [[画像:25%.png]] CAT ## [[画像:25%.png]] チベットでの方法 ## [[画像:25%.png]] 他のテクニック # [[画像:25%.png]] 他の方法 ## [[画像:25%.png]] 薬物 ## [[画像:25%.png]] 飲食物 ## [[画像:25%.png]] 小物類 ## [[画像:25%.png]] PCソフト === 意識を保つテクニック === # [[画像:25%.png]] 夢を安定させる ## [[画像:25%.png]] 手をこする ## [[画像:25%.png]] スピニング ## [[画像:25%.png]] ゆっくり夢を見る ## [[画像:25%.png]] 間違った目覚め # [[画像:25%.png]] 夢を回復させる ## [[画像:25%.png]] 自己暗示 ## [[画像:25%.png]] 視覚化 # [[画像:25%.png]] 物を出現させる # [[画像:25%.png]] 明晰夢で何が出来るか ## [[画像:25%.png]] かんたん ## [[画像:25%.png]] ふつう ## [[画像:25%.png]] 難しい # [[画像:25%.png]] あとがき === [[明晰夢/用語集|用語集]] === : [[画像:25%.png]] アルファベット順です
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2020-06-08T10:51:01Z
[ "テンプレート:明晰夢", "テンプレート:Wikipedia" ]
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刑法総論
法学>刑事法>刑法>刑法総論 刑法総論の教科書。刑法総論は序論、犯罪論、刑罰論で構成され、犯罪論内部では構成要件論、違法性論、責任論、罪数論で構成される。ここでは犯罪論を中心に解説する。 罪刑法定主義の原則によれば、行為後に成立した法規を遡って適用することは許されない。日本国憲法第39条は、遡及処罰の禁止の原則を掲げている。(「何人も、実行のときに適法であった行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。」)この原則を、事後法の禁止ともいう。刑罰法規は、それが施行された時以後の犯罪に対してのみ適用される。 類推解釈を認めるか否かについては、激しい対立がある。拡張解釈と類推解釈とは、どのように区別されるのだろうか。拡張解釈とは、法規によって示された概念を可能な限り拡張して解釈する方法をいう。それに対して、類推解釈とは、法規の意味するところを超えて解釈することをいう。拡張解釈は許されるが、類推解釈は許されないと解されている。なぜなら類推解釈は、罪刑法定主義の原則に反することになるからである。 不作為犯とは、ある一定の行為をしないことによって犯罪となるものをいう。例えば、不退去罪(刑法130条後段)、保護責任者遺棄罪(同218条後段)などである。これらの犯罪を、真正不作為犯という。これらの犯罪に対して、構成要件が作為の形式で規定されている場合にある一定の不作為が実行行為となる犯罪のことを不真正不作為犯という。例えば、嬰児の母親が殺害の意図をもって授乳しないことにより嬰児を餓死させた場合などである。通説・判例によれば不真正不作為犯は認められるが、これが実行行為として認められるためには、不作為があくまでも法律上の義務に違反するものでなければならない。 数ある刑法学の論点の中でも、現在最も激しく、極めて多くの論点に関係してくるものである。すなわち、刑法における違法性は法益を侵害したという結果の無価値(及びその危険性)によるもの(結果無価値論)か、それとも行為の反規範性に求める(行為無価値論)のか、である。ただし、日本においては純粋な行為無価値一元論はほとんど主張されておらず、結果無価値一元論と、結果無価値に加えて行為無価値も併せて考慮する結果無価値・行為無価値二元論の対立となっている。 本来はドイツで成立した議論である。ヴェルツェルにより従前の刑法体系を結果無価値論と名付けてこれを批判し、自らの立場を行為無価値論として社会的価値観を基礎に刑法を解釈すべしと主張された。 その後戦後の新憲法を背景に、平野博士によって団藤博士を始めとする従前の刑法体系を価値の押し付け的な行為無価値論であるとして批判し、刑法の違法性はあくまで結果無価値によるべきとする論が展開された。 行為無価値論の代表とされた団藤博士や大塚博士らがそれぞれ主に主観主義刑法、目的的行為論等との論議に目を向け、積極的に結果無価値論に対する反論をしてこなかったために結果無価値論は隆盛し学会において多数説化する。とりわけ東京大学においては、早世した藤木博士の後任に結果無価値論者の内藤が招かれたことによって、実務は未だいわゆる行為無価値論(正確には結果無価値・行為無価値二元論)を採るにもかかわらず、刑法講座は全て結果無価値論者で占められる事態となり理論と実務の乖離が進んでしまう。 その後大谷教授や前田教授らによる対立の止揚が試みられる一方で、山口教授による平野説を基本とした結果無価値の徹底的な純化も図られた。 戦後隆盛した結果無価値論が一応の到達点を見たこと、ロースクールの開講によって学者といえども実務の実態を無視できなくなったことなどから、今後議論の方向性が変化するとも考えられる。 単に結果無価値論、行為無価値論と呼ぶことが多いが、完全な二項対立ではないことに注意すべきである。 かつては、数個の犯罪に対しては、各々の犯罪をそのまま合わせて刑務所で勾留するという併科主義が多く採られていた。やがて、各々の刑罰のうち最も重いものに勾留をするという吸収主義やそれぞれの刑罰のうち最も重いものに比例した勾留をするという加重主義が順次採られた。日本の刑法は、1個の犯罪に対しては、勾留1回を原則とし、犯罪が数個ある場合には、加重主義と吸収主義を採っている。
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法学>刑事法>刑法>刑法総論 刑法総論の教科書。刑法総論は序論、犯罪論、刑罰論で構成され、犯罪論内部では構成要件論、違法性論、責任論、罪数論で構成される。ここでは犯罪論を中心に解説する。
[[法学]]>[[刑事法]]>[[刑法]]>[[刑法総論]] [[刑法総論]]の教科書。刑法総論は序論、[[犯罪論]]、[[刑罰論]]で構成され、犯罪論内部では構成要件論、違法性論、責任論、罪数論で構成される。ここでは犯罪論を中心に解説する。 {{wikiversity|Topic:刑法_(総論)|刑法総論}} == 犯罪論体系の意味 == *[[w:行為|行為]] *[[w:構成要件|構成要件]] *違法性 *責任 *四者の位置付け == 罪刑法定主義:刑法の自由保障機能 == {{wikipedia||罪刑法定主義}} === 法律主義 === === 遡及処罰の禁止 === 罪刑法定主義の原則によれば、行為後に成立した法規を遡って適用することは許されない。日本国憲法第39条は、遡及処罰の禁止の原則を掲げている。(「何人も、実行のときに適法であった行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。」)この原則を、事後法の禁止ともいう。刑罰法規は、それが施行された時以後の犯罪に対してのみ適用される。 === 限時法 === === 類推解釈の禁止 === 類推解釈を認めるか否かについては、激しい対立がある。拡張解釈と類推解釈とは、どのように区別されるのだろうか。拡張解釈とは、法規によって示された概念を可能な限り拡張して解釈する方法をいう。それに対して、類推解釈とは、法規の意味するところを超えて解釈することをいう。拡張解釈は許されるが、類推解釈は許されないと解されている。なぜなら類推解釈は、罪刑法定主義の原則に反することになるからである。 === 実体的デュープロセス === === 明確性の理論 === {{wikipedia|明確性の理論}} == [[構成要件|構成要件論]] == === [[構成要件#構成要件概論|構成要件概論]] === === [[構成要件#主体論|主体論]] === ==== [[構成要件#法人の犯罪能力|法人の犯罪能力]] ==== ==== [[構成要件#身分犯|身分犯]] ==== ==== [[構成要件#間接正犯|間接正犯]] ==== === [[構成要件#行為論|行為論]] === ==== [[構成要件#不作為犯|不作為犯]] ==== 不作為犯とは、ある一定の行為をしないことによって犯罪となるものをいう。例えば、不退去罪(刑法130条後段)、保護責任者遺棄罪(同218条後段)などである。これらの犯罪を、真正不作為犯という。これらの犯罪に対して、構成要件が作為の形式で規定されている場合にある一定の不作為が実行行為となる犯罪のことを不真正不作為犯という。例えば、嬰児の母親が殺害の意図をもって授乳しないことにより嬰児を餓死させた場合などである。通説・判例によれば不真正不作為犯は認められるが、これが実行行為として認められるためには、不作為があくまでも法律上の義務に違反するものでなければならない。 ==== [[構成要件#因果関係|因果関係]] ==== ===== [[構成要件#条件関係|条件関係]] ===== ===== [[構成要件#相当因果関係|相当因果関係]] ===== ===== [[構成要件#結果的加重犯|結果的加重犯]] ===== === [[構成要件#客体論:保護法益|客体論:保護法益]] === === [[構成要件#結果|結果]] === ==== [[構成要件#侵害犯と危険犯|侵害犯と危険犯]] ==== ==== [[構成要件#結果犯と単純行為犯|結果犯と単純行為犯]] ==== ==== [[構成要件#即成犯・継続犯・状態犯|即成犯・継続犯・状態犯]] ==== === [[構成要件#主観的構成要件要素|主観的構成要件要素]] === ==== [[構成要件#目的犯・傾向犯・表現犯|目的犯・傾向犯・表現犯]] ==== ==== [[構成要件#主観的違法要素|主観的違法要素]] ==== == 違法性論 == {{wikipedia|違法性}} === 行為無価値論·結果無価値論 === ====概要==== 数ある刑法学の論点の中でも、現在最も激しく、極めて多くの論点に関係してくるものである。すなわち、刑法における違法性は法益を侵害したという結果の無価値(及びその危険性)によるもの(結果無価値論)か、それとも行為の反規範性に求める(行為無価値論)のか、である。ただし、日本においては純粋な行為無価値一元論はほとんど主張されておらず、結果無価値一元論と、結果無価値に加えて行為無価値も併せて考慮する結果無価値・行為無価値二元論の対立となっている。 ====議論の歴史==== 本来はドイツで成立した議論である。ヴェルツェルにより従前の刑法体系を[[w:結果無価値|結果無価値論]]と名付けてこれを批判し、自らの立場を行為無価値論として社会的価値観を基礎に刑法を解釈すべしと主張された。 その後戦後の新憲法を背景に、[[w:平野龍一|平野博士]]によって[[w:団藤重光|団藤博士]]を始めとする従前の刑法体系を価値の押し付け的な行為無価値論であるとして批判し、刑法の違法性はあくまで結果無価値によるべきとする論が展開された。 行為無価値論の代表とされた団藤博士や[[w:大塚仁|大塚博士]]らがそれぞれ主に主観主義刑法、目的的行為論等との論議に目を向け、積極的に結果無価値論に対する反論をしてこなかったために結果無価値論は隆盛し学会において多数説化する。とりわけ東京大学においては、早世した[[w:藤木英雄|藤木博士]]の後任に結果無価値論者の[[w:内藤謙|内藤]]が招かれたことによって、実務は未だいわゆる行為無価値論(正確には結果無価値・行為無価値二元論)を採るにもかかわらず、刑法講座は全て結果無価値論者で占められる事態となり理論と実務の乖離が進んでしまう。 その後[[w:大谷実|大谷教授]]や[[w:前田雅英|前田教授]]らによる対立の止揚が試みられる一方で、[[w:山口厚|山口教授]]による平野説を基本とした結果無価値の徹底的な純化も図られた。 戦後隆盛した結果無価値論が一応の到達点を見たこと、ロースクールの開講によって学者といえども実務の実態を無視できなくなったことなどから、今後議論の方向性が変化するとも考えられる。 ====代表的立場==== 単に結果無価値論、行為無価値論と呼ぶことが多いが、完全な二項対立ではないことに注意すべきである。 *一元的結果無価値論 *:平野、[[w:内藤謙|内藤]]、[[w:町野朔|町野]]、[[w:西田典之|西田]]、[[w:林幹人|林(幹)]]、山口、[[w:佐伯仁志|佐伯(仁)]]、[[w:曽根威彦|曽根]]、[[w:堀内捷三|堀内]]等。近事極めて有力な立場である。背景として、[[w:憲法 (芦部信喜)|芦部信喜博士の憲法学]]を基本とする憲法観がある。 *関西結果無価値一元論 *:[[w:中山研一|中山]]、[[w:山中敬一|山中]]、[[w:松宮孝明|松宮]]等。関西系の学者は条文の国語的解釈をより重視する傾向にあると言われることがあり、関東系とは若干基本とする立場が異なる場合がある。基本的には[[w:瀧川幸辰|瀧川博士]]の法系。 *二元的結果無価値論 *:前田、木村等。前田教授は結果無価値論の代表的論者と言われる事が多いが、行為無価値論に立つ藤木博士の実質的犯罪論の立場を受け継ぎつつも行為無価値的な判例を結果無価値的に読み替えようとする立場であるため結果無価値論の中でも異端であり、典型的な結果無価値論とは異なる。 *二元的行為無価値論 *:団藤、大塚、[[w:福田平|福田]]、川端、[[w:佐久間修|佐久間]]、[[w:平川宗信|平川]]、[[w:井田良|井田]]、[[w:高橋則夫|高橋]]、[[w:野村稔|野村]]、大谷等。一般に行為無価値論という場合には、こちらを指す。行為無価値を基本に結果無価値をも合わせて考慮しようという立場。いわゆる通説である。 *一元的行為無価値論 *:藤木、[[w:板倉宏|板倉]]、[[w:伊東研祐|伊東]]等。「国民にわかりやすい刑法」をスローガンに処罰の必要性を重視した刑法体系(実質的犯罪論)を構築し実務へも影響を与えたが、行為無価値の過度な重視として学者からはイデオロギー的な反発を受けたが、実務においては少なからず受け入れられた。 ====議論の構造==== === 違法性阻却事由 === *正当行為 *正当防衛 *緊急避難 ==== [[正当行為]] ==== {{wikipedia|正当行為}} *法令による正当化 *[[w:被害者の承諾|被害者の意思]]による正当化 ===== [[被害者の承諾・同意]] ===== ==== [[正当防衛]] ==== {{wikipedia|正当防衛}} ==== [[緊急避難]] ==== {{wikipedia|緊急避難}} ==== 過剰防衛·過剰避難 ==== *過剰防衛 *過剰避難 ==== 違法性阻却事由の錯誤 ==== *[[違法性の意識#違法性の錯誤|法律の錯誤]] ===== 誤想防衛·誤想避難 ===== *誤想防衛 *誤想避難 ===== 誤想過剰防衛等 ===== *誤想過剰防衛 == 責任 == {{wikipedia|責任}} === [[責任論]] === ==== 道義的責任と社会的責任 ==== *道義的責任 *社会的責任 ==== 行為責任と人格責任 ==== *行為責任  *[[人格責任論|人格責任]] === [[責任能力]] === ==== [[責任能力#心神喪失・心神耗弱|心神喪失・心神耗弱]] ==== *[[w:心神喪失|心神喪失]] *[[w:心神耗弱|心神耗弱]] ==== [[責任能力#原因において自由な行為|原因において自由な行為]] ==== *[[w:原因において自由な行為|原因において自由な行為]] ==== [[責任能力#刑事未成年者|刑事未成年者]] ==== *[[w:刑事未成年者|刑事未成年者]] === [[故意論|故意]] === *犯罪体系上の[[w:故意|故意]]の位置づけ *構成要件的故意 *構成要件的事実の錯誤 === [[違法性の意識|違法性の意識]] === *違法性の意識の要否と位置づけ *違法性の錯誤 *幻覚犯 === [[期待可能性|期待可能性]] === *[[w:期待可能性|期待可能性]] === [[過失]] === ==== [[過失#過失論の変遷|過失論の変遷]] ==== *[[w:過失|過失]] == [[未遂犯論|修正された構成要件:未遂犯(その1)]] == === [[未遂犯論#実行の着手|実行の着手]] === *[[w:実行の着手|実行の着手]] === [[未遂犯論#未遂|未遂]] === *[[w:未遂|未遂]] === [[未遂犯論#不能犯|不能犯]] === *[[w:不能犯|不能犯]] === [[未遂犯論#中止犯|中止犯]] === *[[w:中止犯|中止犯]] === [[未遂犯論#予備・陰謀|予備・陰謀]] === *[[w:予備|予備]] == [[共犯論|修正された構成要件:共犯(その2)]] == === [[共犯論#総論|総論]] === ==== [[共犯の処罰根拠]] ==== *[[w:共犯|共犯]] ==== [[共犯の従属性]] ==== *[[w:共犯独立性説|共犯独立性説]] === [[共同正犯]] === *[[w:共同正犯|共同正犯]] ==== [[共謀共同正犯]] ==== *[[w:共謀共同正犯|共謀共同正犯]] === [[教唆犯]] === === [[幇助犯]] === *[[w:幇助|幇助]] === [[共犯の諸問題|共犯と錯誤・未遂・身分]] === ==== [[共犯と未遂]] ==== ===== [[共犯の離脱と中止]] ===== ===== [[アジャン・プロヴォカトゥール]] ===== ==== [[共犯と錯誤]] ==== ==== [[過失の共犯]] ==== ==== [[共犯と身分]] ==== *[[w:共犯と身分|共犯と身分]] == [[罪数論|罪数]] == {{wikipedia|罪数}} === [[罪数論#総論|総論]] === ==== [[罪数論#罪数を論ずる意義|罪数を論ずる意義]] ==== ==== [[罪数論#罪数を区別する基準|罪数を区別する基準]] ==== ==== [[罪数論#罪数の種類|罪数の種類]] ==== === [[罪数論#各論|各論]] === === [[罪数論#本来的一罪|本来的一罪]] === ==== [[罪数論#単純一罪|単純一罪]] ==== ==== [[罪数論#法条競合|法条競合]] ==== ==== [[罪数論#包括一罪|包括一罪]] ==== === [[罪数論#科刑上一罪|科刑上一罪]] === ==== [[罪数論#観念的競合|観念的競合]] ==== ==== [[罪数論#牽連犯|牽連犯]] ==== === [[罪数論#併合罪|併合罪]] === === [[罪数論#単純数罪|単純数罪]] === {{stub|law}} [[Category:刑法|*そうろん]] [[Category:刑法総論|*けいほうそうろん]]
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高等学校生物/生物I/生殖と発生
高等学校生物 > 生物I > 生殖と発生 生物は、生殖によって増え、発生の過程を経て個体(こたい、indvidual)となる。 生殖とは、生物の個体が新個体を作り出す働きであり、 発生とは、受精卵から成長した個体になるまでの過程である。 このページでは、 生殖の働きや仕組み、 発生の過程や仕組み、 などを扱う。 生殖(せいしょく、reproduction)とは、生物の個体が新個体を作り出す働きである。 生殖には、親に雄(おす)と雌(めす)がある有性生殖(ゆうせい せいしょく、sexual reproduction)と、親に雄と雌がない無性生殖(むせい せいしょく、asexual reproduction)がある。 有性生殖では、親は、精子や卵のような配偶子(はいぐうし、gamete)という生殖細胞を作り、配偶子どうしが合体(接合、Bacterial conjugation)して子となる。 配偶子には、雄と雌の配偶子の形や大きさが同じな同形配偶子(isogamete)と、雄と雌の配偶子の形や大きさが異なる異形配偶子(anisogamete)がある 。 同形配偶子は緑藻類のクラミドモナスなどに見られ、異形配偶子は種子植物や動物などに見られる。 異形配偶子には、大きな卵細胞(らんさいぼう、egg cell)または卵(らん、egg, ovum)と、小さな精細胞(せいさいぼう、sperm cell)または精子(sperm, spermatozoon)がある。 卵は栄養を蓄え、精子は移動できる。 卵と精子が合体することを受精(じゅせい、fertilization)と呼び、合体したものは受精卵(じゅせいらん、fertilized egg)と呼ばれる。 有性生殖では、配偶子が遺伝的に異なるため、子は親と異なる遺伝的性質を持つ。 生殖に雄と雌が必要だが、遺伝的多様性が得られるため、環境の変化に対応できる可能性がある。 無性生殖では、親は生殖細胞を作らずに、子を増やしていく。 無性生殖には、分裂、出芽、栄養生殖、胞子生殖などがある。 分裂(fission)とは、親の体が分裂して子となる生殖の方法であり、単細胞生物のアメーバやミドリムシなどが行うほか、多細胞生物のイソギンチャクやプラナリアなども行う。 出芽(budding)とは、親の体の一部が子の体となり成長する生殖の方法であり、酵母菌やヒドラやサンゴなどが行う。 栄養生殖(vegetative reproduction)とは、植物にみられる、親の根や茎などの栄養器官(vegetative organ)が子となる生殖の方法であり、サツマイモやジャガイモやオニユリなどが行う。 胞子生殖(spore reproduction、sporulation)とは、親の体に胞子(spore)という細胞を作り、それが発芽し(germinate)て子となる生殖の方法であり、アオカビなどの菌類が行う。 無性生殖では、子は親と全く同じ遺伝的性質をもち、クローン(clone)と呼ばれる。生殖に雄と雌が出会う必要がないため効率がいいが、遺伝的多様性が得られないため、環境の変化に対応できず絶滅する可能性もある。 また、ミズクラゲのように、有性生殖と無性生殖の両方を行う生物もいる。 また、ゾウリムシは、無性生殖の分裂と、有性生殖の接合を行う。 有性生殖の目的は、環境に適応しやすくなることと、新しい核を作ることで分裂によって劣化した細胞をリセットすることである。 細胞分裂の際、細胞の核内で観察される、DNAが折りたたまれて凝縮されて棒状になったものを、染色体(chromosome)と呼ぶ。DNA(デオキシリボ核酸、deoxyribonucleic acid)とは、アデニン・チミン・シトシン・グアニン(adenine, thymine, cytosine, guanine)の4種類の塩基(base)と呼ばれるものを含む、二重らせん構造の物質である。この塩基の並び方で決定される情報を遺伝子(gene)と呼ぶ。この遺伝子の情報が、生物の形や性質を決めている。 ヒトの細胞は同形同大のペアが23組、あわせて46本の染色体をもつ。 ただし、ヒトの精子と卵は、23組のペアのうち1本ずつ23本の染色体を持っている。受精卵になると精子と卵の染色体をあわせて46本の染色体となる。 ある細胞で、ある遺伝子を決める染色体が、父に由来する染色体と母に由来する染色体の両方をもつ場合を複相(ふくそう)といい表記「2n」で表し、体細胞が例である。生殖細胞などのように、ある遺伝子の染色体が父母のどちらか片方のみに由来している場合を単相(たんそう)といい、表記「n」で表す。複相とか単相とかのことを核相という。核相は染色体の本数では決まらず、DNA量でも決まらず、ある遺伝子の染色体の種類が父母の両方由来なら2nであり父母の片方由来ならnと決まる。よって、体細胞分裂時の細胞質分裂の直前にDNA合成によってDNA量が倍化していても、核相は2nのままである。 減数分裂(meiosis)とは生殖細胞でみられる染色体数が半減する分裂である。 減数分裂は第一分裂(Meiosis I)と第二分裂(Meiosis II)の2回の分裂が連続して起こる。 減数分裂は間期(interphase)→第一分裂前期(Prophase I)→第一分裂中期(Metaphase I)→第一分裂後期(Anaphase I)→第一分裂終期(Telophase I)→第二分裂前期(Prophase II)→第二分裂中期(Metaphase II)→第二分裂後期(Anaphase II)→第二分裂終期(Telophase II)の順で起こる。 減数分裂において、DNA量の変化の時期と核相の変化の時期は異なり、一致しないので、注意。また、顕微鏡などでの見かけの染色体の本数と、DNA量にもとづく染色体の本数とが、減数分裂では一致しない。DNA量にもとづく染色体数を数えるとき、染色分体(せんしょくぶんたい)という。 核相は、第二分裂の間は前期から終期まで 核相=n のままである。 減数分裂で二価染色体ができているとき、ある確率で、4本の染色分体のうちの、相同染色体の2本が組み換わることがある。これを組換え(くみかえ)または乗換え(のりかえ)という。(※ 生物IIで、組換えについて詳しく扱う。) DNAの塩基配列が少し異なっていて、異なった遺伝子の情報となることがある。この違いが、個人の違いとなる。 また、性の決定に関与する染色体を性染色体(sex-chromosome)と呼ぶ。 ヒトの男女の違いは、X染色体とY染色体を1つずつ持っていれば男性で、X染色体を2本持っていれば女性となる。生殖細胞の精子は22本+X染色体または22本+Y染色体の場合があり、卵は22本+X染色体の場合だけである。つまり、X染色体をもつ精子とX染色体をもつ卵が受精すれば女性に、Y染色体をもつ精子とX染色体をもつ卵が受精すれば男性になる。 ヒトの場合、男性ホルモンや女性ホルモンなど性ホルモンを異性の人体に投与しても、ヒトの性別は変わらない。ヒトの性を決定するのは、遺伝子の性染色体である。 (※ ホルモンについて、詳しくは、単元環境と動物の反応などで扱う。) また、ヒトの生殖細胞は、46本の染色体のうち、23組のペアから1本ずつ受け継ぐため、その組み合わせは、2^23=8388608(約800万)通りとなる。さらにその精子と卵の組み合わせは、8388608*8388608=70368744177664(約70兆)通りとなる。兄弟姉妹の違いが生まれるのは、この染色体の組み合わせの多さによる。また、組み換え(Recombination)とよばれる染色体の部分的交換により、その組み合わせはさらに増える。 動物の生殖では、水中の動物の多くは、母体外で受精を行い(体外受精)、陸上の動物の多くは、交尾により母体内で受精を行う(体内受精)。この節ではヒトの生殖細胞を中心に扱う。 発生(development)の初期に存在している生殖細胞のもとになる細胞を始原生殖細胞(しげんせいしょくさいぼう、primordial germ cell)と呼ぶ。始原生殖細胞の核相は2nである。 男性では、始原生殖細胞が受精後3週目に出現し、その後体細胞分裂で増殖し精原細胞(せいげんさいぼう、spermatogonium)となる。精原細胞の核相は2nである。青年期以降、体細胞分裂を繰り返して増殖し精原細胞から一次精母細胞(primary spermatocyte)となり、減数分裂の第一分裂で2個の二次精母細胞(secondary spermatocyte)となり、減数分裂の第二分裂で4個の精細胞となる。精細胞の核相はnである。その後、精細胞が変形して精子となる。 精子は、頭部(head)、中片(mid piece)、尾部(tail)で構成される。頭部は、核(nucleus)とそれを覆う先体(せんたい、acrosome)からなる。中片はミトコンドリア(mitochondria)と中心粒(centriole)からなる。尾部はべん毛(flagellum)からなる。 ミトコンドリアは、ATPの反応によって鞭毛をうごかすことで、精子を動かすためのエネルギー源を供給する。 頭部にある先体はゴルジ体が変形・由来したものであるので、よって精子に通常のゴルジ体は含まれていない(※ 2015年センター試験の選択肢で、精子にゴルジ体が含まれていないことまで知識を問う出題あり)。 女性では、始原生殖細胞が受精後5週目に出現し、その後体細胞分裂で増殖し卵原細胞(oogonium)になる。やがて卵原細胞の多くは、退化・消失し、出生時には約200万個の一次卵母細胞(primary oocyte)ができ、青年期には約40万個に減少する。排卵の直前に、減数分裂の第一分裂で、一次卵母細胞は大型の二次卵母細胞(secondary oocyte)と小型の第一極体(first polar body)に分裂する。減数分裂の第二分裂で、二次卵母細胞は卵と第二極体(second polar body)に分裂する。やがて極体は退化して消滅する。 精子と卵が合体することを受精と呼び、生じた卵を受精卵と呼ぶ。受精の前。 ウニ(urchin)の卵を例に説明する。卵の表面には細胞膜があり、さらに外側には細胞膜ごと卵をつつむようにゼリー状の透明な層があり、ゼリー層(jelly coat)という。ゼリー層の下に卵黄膜(らんおうまく、vitelline membrane)がある。精子がゼリー層に到着すると、精子の先体に変化が起きる、これを先体反応(せんたいはんのう、acrosome reaction)という。まず先体から加水分解酵素が放出されゼリー層を溶かす。精子頭部の先体が変形し、先体から糸状の突起が出る。この突起のことを、先体突起(せんたいとっき)といい、アクチンフィラメントの束が先体突起の中身である。この働きは、ゼリー層にふくまれる物質の働きによる。このような、先体の一連の反応を先体反応という。そして精子はゼリー層を貫通する。先体突起の表面にはバインディンというタンパク質があり、ウニ卵の細胞膜にはバインディンと結合する受容体がある。バインディンと受容体が結合して、精細胞と卵細胞が融合し、受精する。1つの精子が卵に受精したとき、卵のカルシウムイオン濃度が上昇し、このイオン濃度変化によって卵の細胞膜下にある表層粒が内容物を細胞膜と卵黄膜の間に放出する。これを表層反応という。この表層反応によって、卵黄膜が硬化し、精子の侵入点を中心に卵の表面の性質が変化していき、卵黄膜が変化し受精膜(fertilization membrane)となって、受精膜が持ち上がり、受精膜が卵の表面全体に広がり、これによって他の精子の侵入を妨げる。また、卵は受精膜で保護される。このため、精子は、1個の卵にふつう1個しか受精しない(多精拒否、たせいきょひ)。受精して卵の中に入った精子は、頭部が精核(sperm nucleus)となって卵核(egg nucleus)と合体して、核相は2nとなり、受精が完了する。 植物(plant)の生殖では、カテンソウなどは風が媒介して受粉(pollination)する花であり(風媒花)、ツユクサなどは雄ずい(ゆうずい)の花粉(pollen)が同株の花の雌ずい(しずい)に受粉する(自家受粉)。この節では被子植物の生殖細胞を中心に扱う。 花は植物の生殖器官である。花には、中央に雌ずい(しずい、pistil)があり、その周りに雄ずい(ゆうずい、stamen)がある。雌ずいの膨らんでいるところは子房(しぼう、ovary)と呼ばれ、その中のつぶつぶを胚珠(はいしゅ、ovule)と呼ぶ。雄ずいの先端には花粉(かふん、pollen)を含むやく(anther)がある。 胚珠の中に卵細胞と呼ばれる細胞が、花粉の中に精細胞(sperm cell)と呼ばれる細胞がそれぞれ形成される。 花がつぼみの頃、やくの中で、花粉母細胞(pollen-mother cell)(核相:2n)と呼ばれる細胞が、減数分裂を行い、花粉四分子(かふん しぶんし)という4個の細胞になる。花が咲く頃、花粉四分子は、体細胞分裂を行い、大きな花粉管細胞()(核相:n)と小さな雄原細胞(generative cell)(核相:n)からなる花粉になる。雌ずいの先に雄ずいの花粉が付くことを 受粉(じゅふん、pollination) と呼ぶ。受粉すると、花粉から 花粉管(かふんかん、pollen tube) と呼ばれる管が伸びて、胚珠の 珠孔(しゅこう、micropyle) に到達する。雄原細胞が花粉管の中を移動し、分裂して2個の精細胞(n)と呼ばれる細胞になる。 胚珠(はいしゅ)では、胚のう母細胞(はいのうぼさいぼう、embryo-sac mother cell)(核相:2n)と呼ばれる細胞が、減数分裂を行い、生じた4個の細胞のうち、1個が胚のう細胞(embryo-sac cell)(n)と呼ばれる細胞になり、残りの3個の細胞は退化して消滅する。胚のう細胞は、3回の核分裂を行った後、細胞質分裂を行って、7個の細胞と8個の核からなる胚のう(はいのう、embryo sac)になる。胚のうは、珠孔側に1個の卵細胞(らんさいぼう)(n)と2個の助細胞(じょさいぼう、synergid)(n)、反対側に3個の反足細胞(はんそくさいぼう、antipodal cell)(n)、中央に2個の極核(きょくかく、polar nucleus)(n)を含む中央細胞(ちゅうおうさいぼう、central cell)から構成される。 被子植物の場合の仕組みである。まず、花粉管内では雄原細胞が分裂して2個の精細胞(n)となっている。そして、胚のうに達した2個の精細胞(n)のうち、1個の精細胞は卵細胞と受精し受精卵(2n)になり、もう1個の精細胞は中央細胞の極核の2個(n+n)と受精して胚乳核(3n)になる。2つの受精が起こるのでこれを重複受精(じゅうふくじゅせい、double fertilization)と呼び、被子植物のみに見られる仕組みである。 重複受精(被子植物) 受粉時の花粉管の 胚のう への誘引は、胚のうにある助細胞が花粉管を誘引する物質を出していることが、日本の東山哲也らの研究(レーザーで助細胞を破壊するなどの実験)によって分かっている。トレニアという植物で実験された。トレニアでは胚のうが珠皮から出ているので観察しやすいためである。 1つの 胚のう では、助細胞は2個ある。 実験結果では、助細胞を2個とも破壊すると、花粉管が、まったく誘引されなくなる。助細胞以外の、卵細胞や極核などを破壊しても、花粉管は誘引される。助細胞を1個だけ破壊すると、花粉管の誘引の確率が下がる。 そして、花粉管を誘引している物質は、あるタンパク質であることが分かっており、ルアーと名づけられた。魚釣りの疑似餌(ぎじえ)の「ルアー」が名前の由来である。このタンパク質が、助細胞で発現している。 受精卵(embryo)から成長した個体になるまでの過程を発生(embryogenesis)と呼ぶ。例えば、ニワトリの雌は1日に1個程度の卵を産む。交尾をしないでも卵は産まれるが、孵化(ふか)しない。交尾をしないで受精しないで産まれた卵を無精卵と呼び、交尾をして受精して産まれた卵を有精卵と呼ぶ。無精卵と有精卵をニワトリの体温と同じ37°Cで保温すると、無精卵は変化しないが、有精卵は2日程度で血管が3日程度で心臓が形成され、7日程度で脳や目や手足などが形成され、20日程度で生まれヒヨコになる。血管や心臓が発生の初期に形成されるのは、卵黄(らんおう、yolk)にある栄養を血管や心臓で取り入れるためである。 受精卵は体細胞分裂を繰り返して成長するため、それぞれの細胞は受精卵の遺伝子を全てそのまま受け継ぐ。発生の過程で、それぞれの細胞は遺伝子の異なる部分を使うことで、それぞれ異なる細胞になっていき、これを分化(differentiation)と呼ぶ。つまり、個体の全ての細胞は同じ遺伝子をもつが、使う遺伝子の組み合わせで異なる細胞になっていく。 受精卵は体細胞分裂を繰り返して成長するが、その体細胞分裂を卵割(らんかつ、cleavage)と呼ぶ。 卵割で生じた細胞を割球(かっきゅう、blastomere)と呼ぶ。 卵の極体を生じた側を動物極(どうぶつきょく、animal pole)と呼び、 その反対側を植物極(しょくぶつきょく、vegetal pole)と呼ぶ。 卵は栄養のある卵黄(らんおう、yolk)を含み、 卵黄は卵の種類によって量や分布が異なっており、 卵はその量や分布により等黄卵(とうおうらん,isolecithal egg)、端黄卵(たんおうらん、telolecithal egg)、心黄卵(しんおうらん,centrolecithal egg)に分けられる。 等黄卵(isolecithal egg)は、卵黄が少なく卵内にほぼ均一に分布しており、ウニや哺乳類などが等黄卵である。 端黄卵(telolecithal egg)は、卵黄が植物極に偏って分布しており、両生類などが端黄卵である。 卵割には、卵全体が分裂する全割(holoblastic cleavage)と、卵の一部分が分裂する部分割(meroblastic cleavage)がある。 全割には割球の大きさがほぼ等しい等割(equal cleavage)と割球の大きさが等しくない不等割(unequal cleavage)があり、 部分割には動物極側にある胚盤の部分だけで行われる盤割(discodial cleavage)と表面の細胞層だけで行われる表割(superficial cleavage)がある。 ウニの発生は、受精卵→2細胞期→4細胞期→8細胞期→16細胞期→桑実胚期→胞胚期→原腸胚期→プリズム形幼生→プルテウス幼生→成体の順で起こる。 原腸胚のころになると、胚葉は、外胚葉、中胚葉、内胚葉に分化する。 その後、外胚葉は表皮や神経などになり、中胚葉は筋肉や骨片などになり、内胚葉は腸などになる。 カエル(frog)の受精では、精子は動物極側から侵入する。精子が卵に侵入した位置の反対側には、灰色の部分が三日月になっている箇所が生じる。これを灰色三日月(はいいろ みかづき)という。発生が進むと灰色三日月の位置に原口(げんこう)が生じる。 カエルの卵は、卵黄が植物極側に片寄った端黄卵である。 カエルの発生は、受精卵→2細胞期→4細胞期→8細胞期→16細胞期→桑実胚期→胞胚期→原腸胚期→神経胚期→尾芽胚→おたまじゃくし→成体の順で起こる。 原腸胚のころになると、胚葉は、外胚葉、中胚葉、内胚葉に分化する。 神経胚のころになると、外肺葉は表面を覆う表皮(epidermis)と管状体の神経管に分化し、中胚葉は支持器官の脊索(notochord)と体節(somite)と腎節(nephrotome)と側板(abdominal plate)に分化し、内胚葉は管状の腸管(enteron)に分化する。 その後、外胚葉性の器官では、表皮は皮膚の表皮、眼の水晶体や角膜、口や鼻の上皮に分化し、神経管は脳や脊髄、眼の眼胞や網膜に分化する。 中胚葉性の器官では、脊索は退化し、体節は脊椎骨・骨格・骨格筋、皮膚の真皮に分化し、腎節は腎臓や輸尿管に分化し、側板は心臓などの内臓、血管の結合組織や筋組織に分化する。 内胚葉性の器官では、腸管は前部が気管・肺、食道、胃、肝臓、膵臓に分化し、中・後部が小腸、大腸、膀胱に分化する。 胚珠内で、受精卵は発生をはじめ、珠孔と反対側の細胞は胚球()や胚柄()となり、珠孔側の細胞は吸器細胞()となる。 胚球は子葉(cotyledon)・幼芽(plumule)・胚軸(hypocotyl)・幼根(radicle)からなる胚(embryo)となり、胚柄は退化する。 中央細胞は養分を蓄えた胚乳(endosperm)となる。胚乳の養分はデンプンなどである。 珠皮は種皮(seed coat)となる。 助細胞や反足細胞は退化する。 胚珠は種子(seed)と呼ばれるようになる。 種子には有胚乳種子(ゆうはいにゅうしゅし)と無胚乳種子(むはいにゅうしゅし)がある。 有胚乳種子(Albuminous seed)にはイネやムギ・トウモロコシがあり、胚乳が発達し、発芽に必要な養分が胚乳に蓄えられる種子で、カキ科やイネ科の植物の種子が有胚乳種子である。 無胚乳種子(exalbuminous seed)にはナズナやマメやクリがあり、種子の成熟時に胚乳の養分を子葉が吸収するため胚乳は発達せず、養分が子葉に蓄えられる種子で、マメ科やアブラナ科の植物の種子が無胚乳種子である。 種子が芽を出すことを発芽(はつが、Germination)と呼ぶ。適切な水分・温度・空気などが、そろうと、発芽する。 発芽した種子では、有胚乳種子は胚乳の養分を、無胚乳種子は子葉の養分を、というように蓄えた栄養を使って成長する。 やがて葉ができると、自分で光合成して栄養を作るようになる。 コケ植物・シダ植物で、胞子生殖は無性生殖である。 コケ植物・シダ植物では、胞子体(ほうしたい)をつくって無性生殖をする世代と、配偶体(はいぐうたい)という卵と精子をつくって有性生殖をする世代とを、交互に繰り返す。 このような異なる生殖方法の交代の繰り返しのことを世代交代(せだい こうたい)という。世代交代の様子を図などで環状に表したものを生活環(せいかつかん)という。 普通、胞子体は核相が2nであり、配偶体の核相はnである。なので、世代交代での胞子体と配偶体との交代にともなって、核相も交代することになり、このような核相の交代を核相交代(かくそう こうたい)という。 スギゴケなどのコケ植物で、通常に目にする植物体は、配偶体(核相n)である。コケ植物の配偶体には雄と雌との区別があり、それぞれ雄株(おかぶ)あるいは雌株(めかぶ)という。 胞子が成長して雄株または雌株になるわけだから、つまり胞子には雄雌の区別があり、雄株になる胞子と、雌株になる胞子との区別がある。 胞子をつくる胞子体の胞子嚢(ほうしのう)の中で減数分裂をして、胞子(核相:n)がつくられる。 17~18世紀頃には、精子や卵の中に、成体を縮小した形態(ホムンクルス, homunculus)があり、それが発生とともに展開するという考えである前成説(preformation theory)が有力な学説であった。それに対して、精子や卵の中に、成体を縮小した形態は含まれておらず、発生の過程で、しだいに単純な状態から複雑な状態へと成体の構造が生じてくるという考えを後成説(epigenesis)と呼ぶ。ドイツのカスパル・ヴォルフのニワトリの発生の研究などにより後成説の正しさが次第に認められていった。 割球を分離しても完全な胚になる卵を調節卵(regulation egg)と呼び、2細胞期のウニ・イモリ・カエルなどの卵が調節卵である。それに対して、割球を(ヒモで強く縛る等して)分離すると不完全な胚になる卵をモザイク卵(mosaic egg)と呼び、クシクラゲなどの卵がモザイク卵である。ただし調節卵であっても、ある程度発生が進むとモザイク卵となる。つまり、調節卵とモザイク卵の違いは、卵の各部分の発生運命がいつ決まるかの違いである。 実験には、ドイツのウィルヘルム・ルーのカエルを用いた実験、ドイツのハンス・ドリーシュのウニを用いた実験、ドイツのハンス・シュペーマンのイモリを用いた実験などがある。(後述) なお、モザイク卵を得るために割球を縛る実験では、割球は強く縛らなければならない。縛り方が弱いと、実験は失敗する。(※ 2014年の生物Iの本試験で出題) イモリ胚をきつくしばる分割実験では、実験結果から灰色三日月をふくんだ部分のみが正常な幼生になることが分かった。次のような実験結果になった。 このことから、灰色三日月は、正常な幼生になるのに必要な物質をふくんでいることが分かる。イモリ胚の分割実験では、強くしばった場合、2個の個体になる。 なお、弱くしばると、頭が2つある1個の個体になる。この灰色三日月の部位には、背を発生させるのに必要な因子があることが、他の実験から分かっている。 ドイツのウォルター・フォークトは1925年ごろ、イモリの胚を無害な色素(ナイル青や中性赤など)を含んだ寒天片で染め分ける局所生体染色(localized vital staining)と呼ばれる手法を用いて、胚の表面の各部分が、将来どの器官に分化するかを調べた。そして、実験結果から、表面の各部がどう分化するかをまとめた原基分布図 (予定運命図) を作った。 これによると、胚の時期から、胚のどの部分が成体のどの器官に将来、分化するか決まっている。 原基(げんき、anlage)とは、まだ分化していない状態の細胞群のうち、発生段階で将来ある器官になることに予定されているもののことである。 シュペーマンは、スジイモリとクシイモリの初期原腸胚で、予定神経域と予定原腸域とを交換移植してどうなるかを実験した。実験結果は、移植先の予定運命にしたがって分化した。 しかし、神経胚のときに移植した場合は、結果が違った。移植片それぞれの予定運命どおりに分化した。 このことから、イモリで予定運命の決定をする時期は、原腸胚初期よりは後で、神経胚になるまでには決定していることが分かる。 シュペーマンはさらに後期原腸胚でも同様の実験を行った。その結果、移植片は移植先の予定運命には従って変更される場合と、従わなずに変更されない場合とがあった。移植片の予定運命が変更される場合でも、初期原腸胚の場合よりも長い時間が掛かった。 ドイツのハンス・シュペーマンは、イモリの胚の交換移植実験を行った。原腸胚初期の原口の上部(原口背唇)を切り出し、同じく原腸胚初期の他の胚の外胚葉の表皮になる予定の部分へ移植した。すると頭が2つある幼生ができた。シュペーマンは、これを移植した細胞が周りの細胞に頭部になるよう情報を伝えたと考えた。原口背唇のように、胚のほかの部分に働きかけ、分化を起こさせる部分を形成体(けいせいたい)、あるいは オーガナイザー(organizer)と呼び、その働き(分化を起こさせる働き)を誘導(ゆうどう、induction)と呼ぶ。この実験結果から、原口背唇は近くの外胚葉に働きかけて、神経管を作る働きがあることが分かる。現代では、移植した細胞からタンパク質が分泌され、これが誘導を行っていることがわかっている。 イモリの眼の形成過程は次の順で起こる。 ・一次誘導 原口背唇が形成体(一次形成体)として働き、外肺葉から神経管を誘導する。神経管の前方部は脳(のう)に分化し、脳の両側から一対の眼胞(がんぽう)が生じる。さらに眼胞はくぼんで眼杯(がんぱい)となる。 ・二次誘導 眼杯が形成体(二次形成体)として働き、表皮から水晶体(すいしょうたい)を誘導する。眼杯は網膜(もうまく)に分化する。 ・三次誘導 水晶体が形成体(三次形成体)として働き、表皮から角膜(かくまく)を誘導する。 このように、誘導の連鎖によって器官が作られていく。 オランダのニューコープは、メキシコサンショウウオを用いた実験により、内胚葉が外肺葉を中胚葉へと誘導することを示した。これを中胚葉誘導()という。 体の一部が失われた場合、その部分が再び作り出されることを再生(さいせい、regeneration)と呼ぶ。 例えば、プラナリアは体を切り刻まれても、切り刻まれた部分が元の体に戻る。 プラナリアを切断すると、切断面に未分化の細胞が集まって再生芽という細胞群ができる。 この再生芽が増殖し、頭部側のものは尾部へ、尾部側のものは頭部へ分化していく。 このとき頭部と尾部の方向は切断する前と同じになる。 また、イモリは、手足や尾の一部が失われても、元に戻る。 イモリの手や足を切断すると、切断面の細胞が脱分化して再生芽ができる。 また、イモリの眼の水晶体を除去しても、虹彩の背側の色素細胞から水晶体が再生したりもする。 ヒトも傷や骨折が治るので、ある程度再生する能力を持っているといえる。 近年では、心不全の治療のために、筋肉組織から筋肉細胞を取り出し、培養し、シート状にして心臓に張り付けるなどの再生医療()の研究も進んでいる。 発生などの段階で、ある細胞では、遺伝的にあらかじめ死ぬようにプログラムされている細胞がある。たとえば哺乳類や鳥類の胚では指と指の間に 水かき が始めのころにあるが、この水かきの所の細胞は死んで組織が退化していく。このような、あらかじめ死ぬようにプログラムされた細胞死をプログラム細胞死という。ヒトの手足の指の間の部分も、発生時に水かきのようなものがプログラム細胞死をしている。 カエルの幼生(オタマジャクシ)が変態で尾がなくなるのもプログラム細胞死である。 正常な発生のためにプログラム細胞死は必要なことである。 プログラム細胞死の多くは、まず細胞膜および細胞小器官は正常なまま染色体・DNAだけが凝縮し、それによって細胞膜が変化するなどして細胞が断片化して壊れて死んでいく。このような細胞死をアポトーシス(apoptosis) という。 ヒトやニワトリの手足の指の間の部分の発生時に水かきのプログラム細胞死も、アポトーシスである。オタマジャクシの尾がカエルへの変態で無くなるプログラム細胞死もアポトーシスである。 なお、いっぽう、傷や栄養不足や病原菌などによって細胞が壊されるなどして死んでいくことを壊死(えし)またはネクローシス(necrosis) という。 ※ 資料集などに書いてある。深入りの必要は無い。 ※ 保健体育などと、ほぼ同内容だが、高校生は教養として、目を通しておく程度には勉強しておくこと。大学で生物系に進学する場合、基礎知識として必要になる。 ※ 現代では、基本的に高校『生物基礎』『生物』の範囲外になっている。もし教科書に書いてあったとしても、コラムなどだろう。 ※ 第一学習社や数研出版の教科書に記述あり。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "高等学校生物 > 生物I > 生殖と発生", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "生物は、生殖によって増え、発生の過程を経て個体(こたい、indvidual)となる。 生殖とは、生物の個体が新個体を作り出す働きであり、 発生とは、受精卵から成長した個体になるまでの過程である。 このページでは、 生殖の働きや仕組み、 発生の過程や仕組み、 などを扱う。", "title": "導入" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "生殖(せいしょく、reproduction)とは、生物の個体が新個体を作り出す働きである。 生殖には、親に雄(おす)と雌(めす)がある有性生殖(ゆうせい せいしょく、sexual reproduction)と、親に雄と雌がない無性生殖(むせい せいしょく、asexual reproduction)がある。", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "有性生殖では、親は、精子や卵のような配偶子(はいぐうし、gamete)という生殖細胞を作り、配偶子どうしが合体(接合、Bacterial conjugation)して子となる。 配偶子には、雄と雌の配偶子の形や大きさが同じな同形配偶子(isogamete)と、雄と雌の配偶子の形や大きさが異なる異形配偶子(anisogamete)がある 。 同形配偶子は緑藻類のクラミドモナスなどに見られ、異形配偶子は種子植物や動物などに見られる。 異形配偶子には、大きな卵細胞(らんさいぼう、egg cell)または卵(らん、egg, ovum)と、小さな精細胞(せいさいぼう、sperm cell)または精子(sperm, spermatozoon)がある。 卵は栄養を蓄え、精子は移動できる。 卵と精子が合体することを受精(じゅせい、fertilization)と呼び、合体したものは受精卵(じゅせいらん、fertilized egg)と呼ばれる。 有性生殖では、配偶子が遺伝的に異なるため、子は親と異なる遺伝的性質を持つ。 生殖に雄と雌が必要だが、遺伝的多様性が得られるため、環境の変化に対応できる可能性がある。", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "無性生殖では、親は生殖細胞を作らずに、子を増やしていく。 無性生殖には、分裂、出芽、栄養生殖、胞子生殖などがある。 分裂(fission)とは、親の体が分裂して子となる生殖の方法であり、単細胞生物のアメーバやミドリムシなどが行うほか、多細胞生物のイソギンチャクやプラナリアなども行う。 出芽(budding)とは、親の体の一部が子の体となり成長する生殖の方法であり、酵母菌やヒドラやサンゴなどが行う。 栄養生殖(vegetative reproduction)とは、植物にみられる、親の根や茎などの栄養器官(vegetative organ)が子となる生殖の方法であり、サツマイモやジャガイモやオニユリなどが行う。 胞子生殖(spore reproduction、sporulation)とは、親の体に胞子(spore)という細胞を作り、それが発芽し(germinate)て子となる生殖の方法であり、アオカビなどの菌類が行う。 無性生殖では、子は親と全く同じ遺伝的性質をもち、クローン(clone)と呼ばれる。生殖に雄と雌が出会う必要がないため効率がいいが、遺伝的多様性が得られないため、環境の変化に対応できず絶滅する可能性もある。", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "また、ミズクラゲのように、有性生殖と無性生殖の両方を行う生物もいる。", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 6, "tag": "p", "text": "また、ゾウリムシは、無性生殖の分裂と、有性生殖の接合を行う。 有性生殖の目的は、環境に適応しやすくなることと、新しい核を作ることで分裂によって劣化した細胞をリセットすることである。", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 7, "tag": "p", "text": "細胞分裂の際、細胞の核内で観察される、DNAが折りたたまれて凝縮されて棒状になったものを、染色体(chromosome)と呼ぶ。DNA(デオキシリボ核酸、deoxyribonucleic acid)とは、アデニン・チミン・シトシン・グアニン(adenine, thymine, cytosine, guanine)の4種類の塩基(base)と呼ばれるものを含む、二重らせん構造の物質である。この塩基の並び方で決定される情報を遺伝子(gene)と呼ぶ。この遺伝子の情報が、生物の形や性質を決めている。 ヒトの細胞は同形同大のペアが23組、あわせて46本の染色体をもつ。 ただし、ヒトの精子と卵は、23組のペアのうち1本ずつ23本の染色体を持っている。受精卵になると精子と卵の染色体をあわせて46本の染色体となる。", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 8, "tag": "p", "text": "ある細胞で、ある遺伝子を決める染色体が、父に由来する染色体と母に由来する染色体の両方をもつ場合を複相(ふくそう)といい表記「2n」で表し、体細胞が例である。生殖細胞などのように、ある遺伝子の染色体が父母のどちらか片方のみに由来している場合を単相(たんそう)といい、表記「n」で表す。複相とか単相とかのことを核相という。核相は染色体の本数では決まらず、DNA量でも決まらず、ある遺伝子の染色体の種類が父母の両方由来なら2nであり父母の片方由来ならnと決まる。よって、体細胞分裂時の細胞質分裂の直前にDNA合成によってDNA量が倍化していても、核相は2nのままである。 減数分裂(meiosis)とは生殖細胞でみられる染色体数が半減する分裂である。 減数分裂は第一分裂(Meiosis I)と第二分裂(Meiosis II)の2回の分裂が連続して起こる。 減数分裂は間期(interphase)→第一分裂前期(Prophase I)→第一分裂中期(Metaphase I)→第一分裂後期(Anaphase I)→第一分裂終期(Telophase I)→第二分裂前期(Prophase II)→第二分裂中期(Metaphase II)→第二分裂後期(Anaphase II)→第二分裂終期(Telophase II)の順で起こる。", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 9, "tag": "p", "text": "", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 10, "tag": "p", "text": "減数分裂において、DNA量の変化の時期と核相の変化の時期は異なり、一致しないので、注意。また、顕微鏡などでの見かけの染色体の本数と、DNA量にもとづく染色体の本数とが、減数分裂では一致しない。DNA量にもとづく染色体数を数えるとき、染色分体(せんしょくぶんたい)という。", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 11, "tag": "p", "text": "核相は、第二分裂の間は前期から終期まで 核相=n のままである。", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 12, "tag": "p", "text": "", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 13, "tag": "p", "text": "減数分裂で二価染色体ができているとき、ある確率で、4本の染色分体のうちの、相同染色体の2本が組み換わることがある。これを組換え(くみかえ)または乗換え(のりかえ)という。(※ 生物IIで、組換えについて詳しく扱う。)", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 14, "tag": "p", "text": "DNAの塩基配列が少し異なっていて、異なった遺伝子の情報となることがある。この違いが、個人の違いとなる。 また、性の決定に関与する染色体を性染色体(sex-chromosome)と呼ぶ。 ヒトの男女の違いは、X染色体とY染色体を1つずつ持っていれば男性で、X染色体を2本持っていれば女性となる。生殖細胞の精子は22本+X染色体または22本+Y染色体の場合があり、卵は22本+X染色体の場合だけである。つまり、X染色体をもつ精子とX染色体をもつ卵が受精すれば女性に、Y染色体をもつ精子とX染色体をもつ卵が受精すれば男性になる。", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 15, "tag": "p", "text": "ヒトの場合、男性ホルモンや女性ホルモンなど性ホルモンを異性の人体に投与しても、ヒトの性別は変わらない。ヒトの性を決定するのは、遺伝子の性染色体である。 (※ ホルモンについて、詳しくは、単元環境と動物の反応などで扱う。)", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 16, "tag": "p", "text": "また、ヒトの生殖細胞は、46本の染色体のうち、23組のペアから1本ずつ受け継ぐため、その組み合わせは、2^23=8388608(約800万)通りとなる。さらにその精子と卵の組み合わせは、8388608*8388608=70368744177664(約70兆)通りとなる。兄弟姉妹の違いが生まれるのは、この染色体の組み合わせの多さによる。また、組み換え(Recombination)とよばれる染色体の部分的交換により、その組み合わせはさらに増える。", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 17, "tag": "p", "text": "", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 18, "tag": "p", "text": "", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 19, "tag": "p", "text": "動物の生殖では、水中の動物の多くは、母体外で受精を行い(体外受精)、陸上の動物の多くは、交尾により母体内で受精を行う(体内受精)。この節ではヒトの生殖細胞を中心に扱う。 発生(development)の初期に存在している生殖細胞のもとになる細胞を始原生殖細胞(しげんせいしょくさいぼう、primordial germ cell)と呼ぶ。始原生殖細胞の核相は2nである。", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 20, "tag": "p", "text": "男性では、始原生殖細胞が受精後3週目に出現し、その後体細胞分裂で増殖し精原細胞(せいげんさいぼう、spermatogonium)となる。精原細胞の核相は2nである。青年期以降、体細胞分裂を繰り返して増殖し精原細胞から一次精母細胞(primary spermatocyte)となり、減数分裂の第一分裂で2個の二次精母細胞(secondary spermatocyte)となり、減数分裂の第二分裂で4個の精細胞となる。精細胞の核相はnである。その後、精細胞が変形して精子となる。 精子は、頭部(head)、中片(mid piece)、尾部(tail)で構成される。頭部は、核(nucleus)とそれを覆う先体(せんたい、acrosome)からなる。中片はミトコンドリア(mitochondria)と中心粒(centriole)からなる。尾部はべん毛(flagellum)からなる。 ミトコンドリアは、ATPの反応によって鞭毛をうごかすことで、精子を動かすためのエネルギー源を供給する。 頭部にある先体はゴルジ体が変形・由来したものであるので、よって精子に通常のゴルジ体は含まれていない(※ 2015年センター試験の選択肢で、精子にゴルジ体が含まれていないことまで知識を問う出題あり)。", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 21, "tag": "p", "text": "女性では、始原生殖細胞が受精後5週目に出現し、その後体細胞分裂で増殖し卵原細胞(oogonium)になる。やがて卵原細胞の多くは、退化・消失し、出生時には約200万個の一次卵母細胞(primary oocyte)ができ、青年期には約40万個に減少する。排卵の直前に、減数分裂の第一分裂で、一次卵母細胞は大型の二次卵母細胞(secondary oocyte)と小型の第一極体(first polar body)に分裂する。減数分裂の第二分裂で、二次卵母細胞は卵と第二極体(second polar body)に分裂する。やがて極体は退化して消滅する。", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 22, "tag": "p", "text": "", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 23, "tag": "p", "text": "精子と卵が合体することを受精と呼び、生じた卵を受精卵と呼ぶ。受精の前。", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 24, "tag": "p", "text": "ウニ(urchin)の卵を例に説明する。卵の表面には細胞膜があり、さらに外側には細胞膜ごと卵をつつむようにゼリー状の透明な層があり、ゼリー層(jelly coat)という。ゼリー層の下に卵黄膜(らんおうまく、vitelline membrane)がある。精子がゼリー層に到着すると、精子の先体に変化が起きる、これを先体反応(せんたいはんのう、acrosome reaction)という。まず先体から加水分解酵素が放出されゼリー層を溶かす。精子頭部の先体が変形し、先体から糸状の突起が出る。この突起のことを、先体突起(せんたいとっき)といい、アクチンフィラメントの束が先体突起の中身である。この働きは、ゼリー層にふくまれる物質の働きによる。このような、先体の一連の反応を先体反応という。そして精子はゼリー層を貫通する。先体突起の表面にはバインディンというタンパク質があり、ウニ卵の細胞膜にはバインディンと結合する受容体がある。バインディンと受容体が結合して、精細胞と卵細胞が融合し、受精する。1つの精子が卵に受精したとき、卵のカルシウムイオン濃度が上昇し、このイオン濃度変化によって卵の細胞膜下にある表層粒が内容物を細胞膜と卵黄膜の間に放出する。これを表層反応という。この表層反応によって、卵黄膜が硬化し、精子の侵入点を中心に卵の表面の性質が変化していき、卵黄膜が変化し受精膜(fertilization membrane)となって、受精膜が持ち上がり、受精膜が卵の表面全体に広がり、これによって他の精子の侵入を妨げる。また、卵は受精膜で保護される。このため、精子は、1個の卵にふつう1個しか受精しない(多精拒否、たせいきょひ)。受精して卵の中に入った精子は、頭部が精核(sperm nucleus)となって卵核(egg nucleus)と合体して、核相は2nとなり、受精が完了する。", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 25, "tag": "p", "text": "", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 26, "tag": "p", "text": "植物(plant)の生殖では、カテンソウなどは風が媒介して受粉(pollination)する花であり(風媒花)、ツユクサなどは雄ずい(ゆうずい)の花粉(pollen)が同株の花の雌ずい(しずい)に受粉する(自家受粉)。この節では被子植物の生殖細胞を中心に扱う。", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 27, "tag": "p", "text": "花は植物の生殖器官である。花には、中央に雌ずい(しずい、pistil)があり、その周りに雄ずい(ゆうずい、stamen)がある。雌ずいの膨らんでいるところは子房(しぼう、ovary)と呼ばれ、その中のつぶつぶを胚珠(はいしゅ、ovule)と呼ぶ。雄ずいの先端には花粉(かふん、pollen)を含むやく(anther)がある。", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 28, "tag": "p", "text": "胚珠の中に卵細胞と呼ばれる細胞が、花粉の中に精細胞(sperm cell)と呼ばれる細胞がそれぞれ形成される。", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 29, "tag": "p", "text": "花がつぼみの頃、やくの中で、花粉母細胞(pollen-mother cell)(核相:2n)と呼ばれる細胞が、減数分裂を行い、花粉四分子(かふん しぶんし)という4個の細胞になる。花が咲く頃、花粉四分子は、体細胞分裂を行い、大きな花粉管細胞()(核相:n)と小さな雄原細胞(generative cell)(核相:n)からなる花粉になる。雌ずいの先に雄ずいの花粉が付くことを 受粉(じゅふん、pollination) と呼ぶ。受粉すると、花粉から 花粉管(かふんかん、pollen tube) と呼ばれる管が伸びて、胚珠の 珠孔(しゅこう、micropyle) に到達する。雄原細胞が花粉管の中を移動し、分裂して2個の精細胞(n)と呼ばれる細胞になる。", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 30, "tag": "p", "text": "胚珠(はいしゅ)では、胚のう母細胞(はいのうぼさいぼう、embryo-sac mother cell)(核相:2n)と呼ばれる細胞が、減数分裂を行い、生じた4個の細胞のうち、1個が胚のう細胞(embryo-sac cell)(n)と呼ばれる細胞になり、残りの3個の細胞は退化して消滅する。胚のう細胞は、3回の核分裂を行った後、細胞質分裂を行って、7個の細胞と8個の核からなる胚のう(はいのう、embryo sac)になる。胚のうは、珠孔側に1個の卵細胞(らんさいぼう)(n)と2個の助細胞(じょさいぼう、synergid)(n)、反対側に3個の反足細胞(はんそくさいぼう、antipodal cell)(n)、中央に2個の極核(きょくかく、polar nucleus)(n)を含む中央細胞(ちゅうおうさいぼう、central cell)から構成される。", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 31, "tag": "p", "text": "被子植物の場合の仕組みである。まず、花粉管内では雄原細胞が分裂して2個の精細胞(n)となっている。そして、胚のうに達した2個の精細胞(n)のうち、1個の精細胞は卵細胞と受精し受精卵(2n)になり、もう1個の精細胞は中央細胞の極核の2個(n+n)と受精して胚乳核(3n)になる。2つの受精が起こるのでこれを重複受精(じゅうふくじゅせい、double fertilization)と呼び、被子植物のみに見られる仕組みである。", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 32, "tag": "p", "text": "重複受精(被子植物)", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 33, "tag": "p", "text": "受粉時の花粉管の 胚のう への誘引は、胚のうにある助細胞が花粉管を誘引する物質を出していることが、日本の東山哲也らの研究(レーザーで助細胞を破壊するなどの実験)によって分かっている。トレニアという植物で実験された。トレニアでは胚のうが珠皮から出ているので観察しやすいためである。", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 34, "tag": "p", "text": "1つの 胚のう では、助細胞は2個ある。", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 35, "tag": "p", "text": "実験結果では、助細胞を2個とも破壊すると、花粉管が、まったく誘引されなくなる。助細胞以外の、卵細胞や極核などを破壊しても、花粉管は誘引される。助細胞を1個だけ破壊すると、花粉管の誘引の確率が下がる。", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 36, "tag": "p", "text": "そして、花粉管を誘引している物質は、あるタンパク質であることが分かっており、ルアーと名づけられた。魚釣りの疑似餌(ぎじえ)の「ルアー」が名前の由来である。このタンパク質が、助細胞で発現している。", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 37, "tag": "p", "text": "", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 38, "tag": "p", "text": "", "title": "生殖細胞の形成と受精" }, { "paragraph_id": 39, "tag": "p", "text": "受精卵(embryo)から成長した個体になるまでの過程を発生(embryogenesis)と呼ぶ。例えば、ニワトリの雌は1日に1個程度の卵を産む。交尾をしないでも卵は産まれるが、孵化(ふか)しない。交尾をしないで受精しないで産まれた卵を無精卵と呼び、交尾をして受精して産まれた卵を有精卵と呼ぶ。無精卵と有精卵をニワトリの体温と同じ37°Cで保温すると、無精卵は変化しないが、有精卵は2日程度で血管が3日程度で心臓が形成され、7日程度で脳や目や手足などが形成され、20日程度で生まれヒヨコになる。血管や心臓が発生の初期に形成されるのは、卵黄(らんおう、yolk)にある栄養を血管や心臓で取り入れるためである。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 40, "tag": "p", "text": "受精卵は体細胞分裂を繰り返して成長するため、それぞれの細胞は受精卵の遺伝子を全てそのまま受け継ぐ。発生の過程で、それぞれの細胞は遺伝子の異なる部分を使うことで、それぞれ異なる細胞になっていき、これを分化(differentiation)と呼ぶ。つまり、個体の全ての細胞は同じ遺伝子をもつが、使う遺伝子の組み合わせで異なる細胞になっていく。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 41, "tag": "p", "text": "受精卵は体細胞分裂を繰り返して成長するが、その体細胞分裂を卵割(らんかつ、cleavage)と呼ぶ。 卵割で生じた細胞を割球(かっきゅう、blastomere)と呼ぶ。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 42, "tag": "p", "text": "卵の極体を生じた側を動物極(どうぶつきょく、animal pole)と呼び、 その反対側を植物極(しょくぶつきょく、vegetal pole)と呼ぶ。 卵は栄養のある卵黄(らんおう、yolk)を含み、 卵黄は卵の種類によって量や分布が異なっており、 卵はその量や分布により等黄卵(とうおうらん,isolecithal egg)、端黄卵(たんおうらん、telolecithal egg)、心黄卵(しんおうらん,centrolecithal egg)に分けられる。 等黄卵(isolecithal egg)は、卵黄が少なく卵内にほぼ均一に分布しており、ウニや哺乳類などが等黄卵である。 端黄卵(telolecithal egg)は、卵黄が植物極に偏って分布しており、両生類などが端黄卵である。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 43, "tag": "p", "text": "卵割には、卵全体が分裂する全割(holoblastic cleavage)と、卵の一部分が分裂する部分割(meroblastic cleavage)がある。 全割には割球の大きさがほぼ等しい等割(equal cleavage)と割球の大きさが等しくない不等割(unequal cleavage)があり、 部分割には動物極側にある胚盤の部分だけで行われる盤割(discodial cleavage)と表面の細胞層だけで行われる表割(superficial cleavage)がある。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 44, "tag": "p", "text": "ウニの発生は、受精卵→2細胞期→4細胞期→8細胞期→16細胞期→桑実胚期→胞胚期→原腸胚期→プリズム形幼生→プルテウス幼生→成体の順で起こる。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 45, "tag": "p", "text": "原腸胚のころになると、胚葉は、外胚葉、中胚葉、内胚葉に分化する。 その後、外胚葉は表皮や神経などになり、中胚葉は筋肉や骨片などになり、内胚葉は腸などになる。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 46, "tag": "p", "text": "", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 47, "tag": "p", "text": "カエル(frog)の受精では、精子は動物極側から侵入する。精子が卵に侵入した位置の反対側には、灰色の部分が三日月になっている箇所が生じる。これを灰色三日月(はいいろ みかづき)という。発生が進むと灰色三日月の位置に原口(げんこう)が生じる。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 48, "tag": "p", "text": "カエルの卵は、卵黄が植物極側に片寄った端黄卵である。 カエルの発生は、受精卵→2細胞期→4細胞期→8細胞期→16細胞期→桑実胚期→胞胚期→原腸胚期→神経胚期→尾芽胚→おたまじゃくし→成体の順で起こる。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 49, "tag": "p", "text": "原腸胚のころになると、胚葉は、外胚葉、中胚葉、内胚葉に分化する。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 50, "tag": "p", "text": "神経胚のころになると、外肺葉は表面を覆う表皮(epidermis)と管状体の神経管に分化し、中胚葉は支持器官の脊索(notochord)と体節(somite)と腎節(nephrotome)と側板(abdominal plate)に分化し、内胚葉は管状の腸管(enteron)に分化する。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 51, "tag": "p", "text": "その後、外胚葉性の器官では、表皮は皮膚の表皮、眼の水晶体や角膜、口や鼻の上皮に分化し、神経管は脳や脊髄、眼の眼胞や網膜に分化する。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 52, "tag": "p", "text": "中胚葉性の器官では、脊索は退化し、体節は脊椎骨・骨格・骨格筋、皮膚の真皮に分化し、腎節は腎臓や輸尿管に分化し、側板は心臓などの内臓、血管の結合組織や筋組織に分化する。 内胚葉性の器官では、腸管は前部が気管・肺、食道、胃、肝臓、膵臓に分化し、中・後部が小腸、大腸、膀胱に分化する。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 53, "tag": "p", "text": "", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 54, "tag": "p", "text": "胚珠内で、受精卵は発生をはじめ、珠孔と反対側の細胞は胚球()や胚柄()となり、珠孔側の細胞は吸器細胞()となる。 胚球は子葉(cotyledon)・幼芽(plumule)・胚軸(hypocotyl)・幼根(radicle)からなる胚(embryo)となり、胚柄は退化する。 中央細胞は養分を蓄えた胚乳(endosperm)となる。胚乳の養分はデンプンなどである。 珠皮は種皮(seed coat)となる。 助細胞や反足細胞は退化する。 胚珠は種子(seed)と呼ばれるようになる。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 55, "tag": "p", "text": "種子には有胚乳種子(ゆうはいにゅうしゅし)と無胚乳種子(むはいにゅうしゅし)がある。 有胚乳種子(Albuminous seed)にはイネやムギ・トウモロコシがあり、胚乳が発達し、発芽に必要な養分が胚乳に蓄えられる種子で、カキ科やイネ科の植物の種子が有胚乳種子である。 無胚乳種子(exalbuminous seed)にはナズナやマメやクリがあり、種子の成熟時に胚乳の養分を子葉が吸収するため胚乳は発達せず、養分が子葉に蓄えられる種子で、マメ科やアブラナ科の植物の種子が無胚乳種子である。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 56, "tag": "p", "text": "種子が芽を出すことを発芽(はつが、Germination)と呼ぶ。適切な水分・温度・空気などが、そろうと、発芽する。 発芽した種子では、有胚乳種子は胚乳の養分を、無胚乳種子は子葉の養分を、というように蓄えた栄養を使って成長する。 やがて葉ができると、自分で光合成して栄養を作るようになる。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 57, "tag": "p", "text": "コケ植物・シダ植物で、胞子生殖は無性生殖である。 コケ植物・シダ植物では、胞子体(ほうしたい)をつくって無性生殖をする世代と、配偶体(はいぐうたい)という卵と精子をつくって有性生殖をする世代とを、交互に繰り返す。 このような異なる生殖方法の交代の繰り返しのことを世代交代(せだい こうたい)という。世代交代の様子を図などで環状に表したものを生活環(せいかつかん)という。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 58, "tag": "p", "text": "普通、胞子体は核相が2nであり、配偶体の核相はnである。なので、世代交代での胞子体と配偶体との交代にともなって、核相も交代することになり、このような核相の交代を核相交代(かくそう こうたい)という。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 59, "tag": "p", "text": "スギゴケなどのコケ植物で、通常に目にする植物体は、配偶体(核相n)である。コケ植物の配偶体には雄と雌との区別があり、それぞれ雄株(おかぶ)あるいは雌株(めかぶ)という。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 60, "tag": "p", "text": "胞子が成長して雄株または雌株になるわけだから、つまり胞子には雄雌の区別があり、雄株になる胞子と、雌株になる胞子との区別がある。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 61, "tag": "p", "text": "胞子をつくる胞子体の胞子嚢(ほうしのう)の中で減数分裂をして、胞子(核相:n)がつくられる。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 62, "tag": "p", "text": "17~18世紀頃には、精子や卵の中に、成体を縮小した形態(ホムンクルス, homunculus)があり、それが発生とともに展開するという考えである前成説(preformation theory)が有力な学説であった。それに対して、精子や卵の中に、成体を縮小した形態は含まれておらず、発生の過程で、しだいに単純な状態から複雑な状態へと成体の構造が生じてくるという考えを後成説(epigenesis)と呼ぶ。ドイツのカスパル・ヴォルフのニワトリの発生の研究などにより後成説の正しさが次第に認められていった。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 63, "tag": "p", "text": "割球を分離しても完全な胚になる卵を調節卵(regulation egg)と呼び、2細胞期のウニ・イモリ・カエルなどの卵が調節卵である。それに対して、割球を(ヒモで強く縛る等して)分離すると不完全な胚になる卵をモザイク卵(mosaic egg)と呼び、クシクラゲなどの卵がモザイク卵である。ただし調節卵であっても、ある程度発生が進むとモザイク卵となる。つまり、調節卵とモザイク卵の違いは、卵の各部分の発生運命がいつ決まるかの違いである。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 64, "tag": "p", "text": "実験には、ドイツのウィルヘルム・ルーのカエルを用いた実験、ドイツのハンス・ドリーシュのウニを用いた実験、ドイツのハンス・シュペーマンのイモリを用いた実験などがある。(後述)", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 65, "tag": "p", "text": "なお、モザイク卵を得るために割球を縛る実験では、割球は強く縛らなければならない。縛り方が弱いと、実験は失敗する。(※ 2014年の生物Iの本試験で出題)", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 66, "tag": "p", "text": "", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 67, "tag": "p", "text": "イモリ胚をきつくしばる分割実験では、実験結果から灰色三日月をふくんだ部分のみが正常な幼生になることが分かった。次のような実験結果になった。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 68, "tag": "p", "text": "このことから、灰色三日月は、正常な幼生になるのに必要な物質をふくんでいることが分かる。イモリ胚の分割実験では、強くしばった場合、2個の個体になる。 なお、弱くしばると、頭が2つある1個の個体になる。この灰色三日月の部位には、背を発生させるのに必要な因子があることが、他の実験から分かっている。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 69, "tag": "p", "text": "", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 70, "tag": "p", "text": "", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 71, "tag": "p", "text": "ドイツのウォルター・フォークトは1925年ごろ、イモリの胚を無害な色素(ナイル青や中性赤など)を含んだ寒天片で染め分ける局所生体染色(localized vital staining)と呼ばれる手法を用いて、胚の表面の各部分が、将来どの器官に分化するかを調べた。そして、実験結果から、表面の各部がどう分化するかをまとめた原基分布図 (予定運命図) を作った。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 72, "tag": "p", "text": "これによると、胚の時期から、胚のどの部分が成体のどの器官に将来、分化するか決まっている。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 73, "tag": "p", "text": "原基(げんき、anlage)とは、まだ分化していない状態の細胞群のうち、発生段階で将来ある器官になることに予定されているもののことである。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 74, "tag": "p", "text": "", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 75, "tag": "p", "text": "シュペーマンは、スジイモリとクシイモリの初期原腸胚で、予定神経域と予定原腸域とを交換移植してどうなるかを実験した。実験結果は、移植先の予定運命にしたがって分化した。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 76, "tag": "p", "text": "しかし、神経胚のときに移植した場合は、結果が違った。移植片それぞれの予定運命どおりに分化した。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 77, "tag": "p", "text": "このことから、イモリで予定運命の決定をする時期は、原腸胚初期よりは後で、神経胚になるまでには決定していることが分かる。 シュペーマンはさらに後期原腸胚でも同様の実験を行った。その結果、移植片は移植先の予定運命には従って変更される場合と、従わなずに変更されない場合とがあった。移植片の予定運命が変更される場合でも、初期原腸胚の場合よりも長い時間が掛かった。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 78, "tag": "p", "text": "", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 79, "tag": "p", "text": "ドイツのハンス・シュペーマンは、イモリの胚の交換移植実験を行った。原腸胚初期の原口の上部(原口背唇)を切り出し、同じく原腸胚初期の他の胚の外胚葉の表皮になる予定の部分へ移植した。すると頭が2つある幼生ができた。シュペーマンは、これを移植した細胞が周りの細胞に頭部になるよう情報を伝えたと考えた。原口背唇のように、胚のほかの部分に働きかけ、分化を起こさせる部分を形成体(けいせいたい)、あるいは オーガナイザー(organizer)と呼び、その働き(分化を起こさせる働き)を誘導(ゆうどう、induction)と呼ぶ。この実験結果から、原口背唇は近くの外胚葉に働きかけて、神経管を作る働きがあることが分かる。現代では、移植した細胞からタンパク質が分泌され、これが誘導を行っていることがわかっている。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 80, "tag": "p", "text": "イモリの眼の形成過程は次の順で起こる。 ・一次誘導 原口背唇が形成体(一次形成体)として働き、外肺葉から神経管を誘導する。神経管の前方部は脳(のう)に分化し、脳の両側から一対の眼胞(がんぽう)が生じる。さらに眼胞はくぼんで眼杯(がんぱい)となる。 ・二次誘導 眼杯が形成体(二次形成体)として働き、表皮から水晶体(すいしょうたい)を誘導する。眼杯は網膜(もうまく)に分化する。 ・三次誘導 水晶体が形成体(三次形成体)として働き、表皮から角膜(かくまく)を誘導する。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 81, "tag": "p", "text": "このように、誘導の連鎖によって器官が作られていく。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 82, "tag": "p", "text": "オランダのニューコープは、メキシコサンショウウオを用いた実験により、内胚葉が外肺葉を中胚葉へと誘導することを示した。これを中胚葉誘導()という。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 83, "tag": "p", "text": "", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 84, "tag": "p", "text": "", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 85, "tag": "p", "text": "体の一部が失われた場合、その部分が再び作り出されることを再生(さいせい、regeneration)と呼ぶ。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 86, "tag": "p", "text": "例えば、プラナリアは体を切り刻まれても、切り刻まれた部分が元の体に戻る。 プラナリアを切断すると、切断面に未分化の細胞が集まって再生芽という細胞群ができる。 この再生芽が増殖し、頭部側のものは尾部へ、尾部側のものは頭部へ分化していく。 このとき頭部と尾部の方向は切断する前と同じになる。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 87, "tag": "p", "text": "また、イモリは、手足や尾の一部が失われても、元に戻る。 イモリの手や足を切断すると、切断面の細胞が脱分化して再生芽ができる。 また、イモリの眼の水晶体を除去しても、虹彩の背側の色素細胞から水晶体が再生したりもする。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 88, "tag": "p", "text": "ヒトも傷や骨折が治るので、ある程度再生する能力を持っているといえる。 近年では、心不全の治療のために、筋肉組織から筋肉細胞を取り出し、培養し、シート状にして心臓に張り付けるなどの再生医療()の研究も進んでいる。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 89, "tag": "p", "text": "発生などの段階で、ある細胞では、遺伝的にあらかじめ死ぬようにプログラムされている細胞がある。たとえば哺乳類や鳥類の胚では指と指の間に 水かき が始めのころにあるが、この水かきの所の細胞は死んで組織が退化していく。このような、あらかじめ死ぬようにプログラムされた細胞死をプログラム細胞死という。ヒトの手足の指の間の部分も、発生時に水かきのようなものがプログラム細胞死をしている。 カエルの幼生(オタマジャクシ)が変態で尾がなくなるのもプログラム細胞死である。 正常な発生のためにプログラム細胞死は必要なことである。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 90, "tag": "p", "text": "プログラム細胞死の多くは、まず細胞膜および細胞小器官は正常なまま染色体・DNAだけが凝縮し、それによって細胞膜が変化するなどして細胞が断片化して壊れて死んでいく。このような細胞死をアポトーシス(apoptosis) という。 ヒトやニワトリの手足の指の間の部分の発生時に水かきのプログラム細胞死も、アポトーシスである。オタマジャクシの尾がカエルへの変態で無くなるプログラム細胞死もアポトーシスである。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 91, "tag": "p", "text": "なお、いっぽう、傷や栄養不足や病原菌などによって細胞が壊されるなどして死んでいくことを壊死(えし)またはネクローシス(necrosis) という。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 92, "tag": "p", "text": "※ 資料集などに書いてある。深入りの必要は無い。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 93, "tag": "p", "text": "※ 保健体育などと、ほぼ同内容だが、高校生は教養として、目を通しておく程度には勉強しておくこと。大学で生物系に進学する場合、基礎知識として必要になる。", "title": "発生とその仕組み" }, { "paragraph_id": 94, "tag": "p", "text": "※ 現代では、基本的に高校『生物基礎』『生物』の範囲外になっている。もし教科書に書いてあったとしても、コラムなどだろう。", "title": "※ 生物基礎の範囲外 or 発展" }, { "paragraph_id": 95, "tag": "p", "text": "※ 第一学習社や数研出版の教科書に記述あり。", "title": "発展: クローン動物" }, { "paragraph_id": 96, "tag": "p", "text": "", "title": "発展: クローン動物" } ]
高等学校生物 > 生物I > 生殖と発生
<small> [[高等学校生物]] > 生物I > 生殖と発生 </small> == 導入 == 生物は、生殖によって増え、発生の過程を経て個体(こたい、indvidual)となる。 生殖とは、生物の個体が新個体を作り出す働きであり、 発生とは、受精卵から成長した個体になるまでの過程である。 このページでは、 生殖の働きや仕組み、 発生の過程や仕組み、 などを扱う。 == 生殖細胞の形成と受精 == === 有性生殖と無性生殖 === '''生殖'''(せいしょく、reproduction)とは、生物の個体が新個体を作り出す働きである。 生殖には、親に雄(おす)と雌(めす)がある'''有性生殖'''(ゆうせい せいしょく、sexual reproduction)と、親に雄と雌がない'''無性生殖'''(むせい せいしょく、asexual reproduction)がある。 有性生殖では、親は、精子や卵のような配偶子(はいぐうし、gamete)という生殖細胞を作り、配偶子どうしが合体(接合、Bacterial conjugation)して子となる。 配偶子には、雄と雌の配偶子の形や大きさが同じな'''同形配偶子'''(isogamete)と、雄と雌の配偶子の形や大きさが異なる'''異形配偶子'''(anisogamete)がある 。 同形配偶子は[[w:緑藻類|緑藻類]]の[[w:クラミドモナス|クラミドモナス]]などに見られ、異形配偶子は[[w:種子植物|種子植物]]や[[w:動物|動物]]などに見られる。 異形配偶子には、大きな'''卵細胞'''(らんさいぼう、egg cell)または'''卵'''(らん、egg, ovum)と、小さな'''精細胞'''(せいさいぼう、sperm cell)または'''精子'''(sperm, spermatozoon)がある。 卵は栄養を蓄え、精子は移動できる。 卵と精子が合体することを'''受精'''(じゅせい、fertilization)と呼び、合体したものは'''受精卵'''(じゅせいらん、fertilized egg)と呼ばれる。 有性生殖では、配偶子が遺伝的に異なるため、子は親と異なる遺伝的性質を持つ。 生殖に雄と雌が必要だが、遺伝的多様性が得られるため、環境の変化に対応できる可能性がある。 無性生殖では、親は生殖細胞を作らずに、子を増やしていく。 無性生殖には、分裂、出芽、栄養生殖、胞子生殖などがある。 '''分裂'''(fission)とは、親の体が分裂して子となる生殖の方法であり、単細胞生物の[[w:アメーバ|アメーバ]]や[[w:ミドリムシ|ミドリムシ]]などが行うほか、多細胞生物の[[w:イソギンチャク|イソギンチャク]]や[[w:プラナリア|プラナリア]]なども行う。 '''出芽'''(budding)とは、親の体の一部が子の体となり成長する生殖の方法であり、[[w:酵母菌|酵母菌]]や[[w:ヒドラ (生物)|ヒドラ]]や[[w:サンゴ|サンゴ]]などが行う。 '''栄養生殖'''(vegetative reproduction)とは、植物にみられる、親の根や茎などの栄養器官(vegetative organ)が子となる生殖の方法であり、[[w:サツマイモ|サツマイモ]]や[[w:ジャガイモ|ジャガイモ]]や[[w:オニユリ|オニユリ]]などが行う。 '''胞子生殖'''(spore reproduction、sporulation)とは、親の体に胞子(spore)という細胞を作り、それが発芽し(germinate)て子となる生殖の方法であり、[[w:アオカビ|アオカビ]]などの[[w:菌類|菌類]]が行う。 無性生殖では、子は親と全く同じ遺伝的性質をもち、クローン(clone)と呼ばれる。生殖に雄と雌が出会う必要がないため効率がいいが、遺伝的多様性が得られないため、環境の変化に対応できず絶滅する可能性もある。 また、[[w:ミズクラゲ|ミズクラゲ]]のように、有性生殖と無性生殖の両方を行う生物もいる。 [[画像:接合生殖の様子2.png|thumb|right|640px|接合生殖の様子]] また、[[w:ゾウリムシは|ゾウリムシ]]は、無性生殖の分裂と、有性生殖の接合を行う。 有性生殖の目的は、環境に適応しやすくなることと、新しい核を作ることで分裂によって劣化した細胞をリセットすることである。 {{-}} === 生殖細胞のでき方と染色体の組み合わせ === 細胞分裂の際、細胞の核内で観察される、DNAが折りたたまれて凝縮されて棒状になったものを、'''染色体'''(chromosome)と呼ぶ。'''DNA'''(デオキシリボ核酸、deoxyribonucleic acid)とは、'''アデニン・チミン・シトシン・グアニン'''(adenine, thymine, cytosine, guanine)の4種類の'''塩基'''(base)と呼ばれるものを含む、二重らせん構造の物質である。この塩基の並び方で決定される情報を'''遺伝子'''(gene)と呼ぶ。この遺伝子の情報が、生物の形や性質を決めている。 ヒトの細胞は同形同大のペアが23組、あわせて46本の染色体をもつ。 ただし、ヒトの精子と卵は、23組のペアのうち1本ずつ23本の染色体を持っている。受精卵になると精子と卵の染色体をあわせて46本の染色体となる。 ある細胞で、ある遺伝子を決める染色体が、父に由来する染色体と母に由来する染色体の両方をもつ場合を'''複相'''(ふくそう)といい表記「2n」で表し、体細胞が例である。生殖細胞などのように、ある遺伝子の染色体が父母のどちらか片方のみに由来している場合を'''単相'''(たんそう)といい、表記「n」で表す。複相とか単相とかのことを'''核相'''という。核相は染色体の本数では決まらず、DNA量でも決まらず、ある遺伝子の染色体の種類が父母の両方由来なら2nであり父母の片方由来ならnと決まる。よって、体細胞分裂時の細胞質分裂の直前にDNA合成によってDNA量が倍化していても、核相は2nのままである。 {{-}} '''減数分裂'''(meiosis)とは生殖細胞でみられる染色体数が半減する分裂である。 減数分裂は第一分裂(Meiosis I)と第二分裂(Meiosis II)の2回の分裂が連続して起こる。 減数分裂は間期(interphase)→第一分裂前期(Prophase I)→第一分裂中期(Metaphase I)→第一分裂後期(Anaphase I)→第一分裂終期(Telophase I)→第二分裂前期(Prophase II)→第二分裂中期(Metaphase II)→第二分裂後期(Anaphase II)→第二分裂終期(Telophase II)の順で起こる。 [[File:減数分裂 動物細胞 高校教育用.svg|thumb|center|1000px|減数分裂。動物細胞の場合。]] {{-}} [[File:減数分裂 簡略図.svg|thumb|300px|減数分裂での染色体の関係の簡略図]] [[File:減数分裂 DNA量の変化.svg|thumb|700px|減数分裂 DNA量の変化]] 減数分裂において、DNA量の変化の時期と核相の変化の時期は異なり、一致しないので、注意。また、顕微鏡などでの見かけの染色体の本数と、DNA量にもとづく染色体の本数とが、減数分裂では一致しない。DNA量にもとづく染色体数を数えるとき、染色分体(せんしょくぶんたい)という。 :※ このような染色体の数え方のややこしさのため、学習者は、DNA量と核相との関係について注目して、減数分裂の過程を追っていくのが簡単で良いだろう。 *間期 染色体が複製される。よってDNA量は2倍になる。核相は2nのままである。なぜなら染色体の本数が複製で増えても、染色体の種類の数は何も変わらないので、間期が終わっても核相は2nのままである。 *第一分裂前期 染色体が凝縮し、相同染色体が対合(たいごう)し、'''二価染色体'''(にかせんしょくたい、bivalent chromosome)となる。核相は2nのままである。二価染色体の説明で「4n個の染色分体」ともいうが、核相は2nのままであるので混同しないように。 *第一分裂中期 前期~中期に紡錘体が形成され、中期には二価染色体が赤道面(せきどうめん、equatrial plane)に並ぶ。核相は2nのままである。 *第一分裂後期 二価染色体が対合面で分離し、分離して出来た相同染色体は両極へと移動する。このように核分裂し、それぞれの核の染色体の数は母細胞の半分になる。DNA量は生殖母細胞と同じ。核相は n になる。 *第一分裂終期 染色体が崩れ、核膜が形成され、細胞質分裂が起こる。この結果、核相 n の細胞が2個できる。 *第二分裂 体細胞分裂と、ほぼ同様に分裂する。染色体の数は第一分裂の終期のまま複製されないので、最終的にDNA量は生殖母細胞の半分になる。 核相は、第二分裂の間は前期から終期まで 核相=n のままである。 *第二分裂前期 染色体の数は第一分裂の終期のまま複製されない。 *第二分裂中期 核膜は消失し、紡錘体・紡錘糸が形成され、染色体が赤道面に並ぶ。 *第二分裂後期 染色分体が両極へと移動する。 *第二分裂終期 染色体が両極に到達して、紡錘糸は消失し、染色体が糸状になり、核膜ができ、細胞質分裂が起きる。よって、最終的に4個の生殖細胞ができる。それぞれの細胞のDNA量は生殖母細胞の半分である。核相はnである。 [[画像:Meiosis diagram.jpg|thumb|right|640px|減数分裂の図式]] 減数分裂で二価染色体ができているとき、ある確率で、4本の染色分体のうちの、相同染色体の2本が組み換わることがある。これを'''組換え'''(くみかえ)または'''乗換え'''(のりかえ)という。(※ 生物IIで、組換えについて詳しく扱う。) DNAの塩基配列が少し異なっていて、異なった遺伝子の情報となることがある。この違いが、個人の違いとなる。 また、性の決定に関与する染色体を'''性染色体'''(sex-chromosome)と呼ぶ。 ヒトの男女の違いは、X染色体とY染色体を1つずつ持っていれば男性で、X染色体を2本持っていれば女性となる。生殖細胞の精子は22本+X染色体または22本+Y染色体の場合があり、卵は22本+X染色体の場合だけである。つまり、X染色体をもつ精子とX染色体をもつ卵が受精すれば女性に、Y染色体をもつ精子とX染色体をもつ卵が受精すれば男性になる。 ヒトの場合、男性ホルモンや女性ホルモンなど性ホルモンを異性の人体に投与しても、ヒトの性別は変わらない。ヒトの性を決定するのは、遺伝子の性染色体である。 (※ ホルモンについて、詳しくは、単元[[高等学校生物 生物I‐環境と動物の反応|環境と動物の反応]]などで扱う。) また、ヒトの生殖細胞は、46本の染色体のうち、23組のペアから1本ずつ受け継ぐため、その組み合わせは、2^23=8388608(約800万)通りとなる。さらにその精子と卵の組み合わせは、8388608*8388608=70368744177664(約70兆)通りとなる。兄弟姉妹の違いが生まれるのは、この染色体の組み合わせの多さによる。また、'''組み換え'''(Recombination)とよばれる染色体の部分的交換により、その組み合わせはさらに増える。 {{-}} === 動物の生殖 === <ref>吉里勝利ほか『スクエア 最新図説生物』第一学習社、2004年1月10日発行、pp.34-35</ref> 動物の生殖では、水中の動物の多くは、母体外で受精を行い(体外受精)、陸上の動物の多くは、交尾により母体内で受精を行う(体内受精)。この節ではヒトの生殖細胞を中心に扱う。 発生(development)の初期に存在している生殖細胞のもとになる細胞を'''始原生殖細胞'''(しげんせいしょくさいぼう、primordial germ cell)と呼ぶ。始原生殖細胞の核相は2nである。 [[画像:Spermatogenesis.svg|thumb|320px|left|精子形成<br>1.一次卵母細胞、2.二次卵母細胞、3.精細胞、4.精子]] [[File:Simplified spermatozoon diagram jp 高校課程.svg|thumb|500px|'''精子の構造''' 細胞核からなる頭部(青)、ミトコンドリアを含みエネルギーを生成する中片部、推進運動を行う尾部からなる。]] 男性では、始原生殖細胞が受精後3週目に出現し、その後体細胞分裂で増殖し'''精原細胞'''(せいげんさいぼう、spermatogonium)となる。精原細胞の核相は2nである。青年期以降、体細胞分裂を繰り返して増殖し精原細胞から'''一次精母細胞'''(primary spermatocyte)となり、減数分裂の第一分裂で2個の'''二次精母細胞'''(secondary spermatocyte)となり、減数分裂の第二分裂で4個の'''精細胞'''となる。精細胞の核相はnである。その後、精細胞が変形して'''精子'''となる。 精子は、'''頭部'''(head)、'''中片'''(mid piece)、'''尾部'''(tail)で構成される。頭部は、核(nucleus)とそれを覆う'''先体'''(せんたい、acrosome)からなる。中片はミトコンドリア(mitochondria)と中心粒(centriole)からなる。尾部は'''べん毛'''(flagellum)からなる。 ミトコンドリアは、ATPの反応によって鞭毛をうごかすことで、精子を動かすためのエネルギー源を供給する。 頭部にある先体はゴルジ体が変形・由来したものであるので、よって精子に通常のゴルジ体は含まれていない(※ 2015年センター試験の選択肢で、精子にゴルジ体が含まれていないことまで知識を問う出題あり)。 {{-}} [[画像:Gray5-ja.svg|thumb|right|320px|卵細胞の成熟過程]] 女性では、始原生殖細胞が受精後5週目に出現し、その後体細胞分裂で増殖し'''卵原細胞'''(oogonium)になる。やがて卵原細胞の多くは、退化・消失し、出生時には約200万個の'''一次卵母細胞'''(primary oocyte)ができ、青年期には約40万個に減少する。排卵の直前に、減数分裂の第一分裂で、一次卵母細胞は大型の'''二次卵母細胞'''(secondary oocyte)と小型の'''第一極体'''(first polar body)に分裂する。減数分裂の第二分裂で、二次卵母細胞は'''卵'''と'''第二極体'''(second polar body)に分裂する。やがて極体は退化して消滅する。 {{-}} [[画像:Sperm-egg.jpg|thumb|right|精子の卵への侵入]] 精子と卵が合体することを受精と呼び、生じた卵を受精卵と呼ぶ。受精の前。 [[Image:Acrosome_reaction_diagram_en.svg|thumb|550px|ウニの細胞における先体反応]] ウニ(urchin)の卵を例に説明する。卵の表面には細胞膜があり、さらに外側には細胞膜ごと卵をつつむようにゼリー状の透明な層があり、ゼリー層(jelly coat)という。ゼリー層の下に'''卵黄膜'''(らんおうまく、vitelline membrane)がある。精子がゼリー層に到着すると、精子の先体に変化が起きる、これを'''先体反応'''(せんたいはんのう、acrosome reaction)という。まず先体から加水分解酵素が放出されゼリー層を溶かす。精子頭部の先体が変形し、先体から糸状の突起が出る。この突起のことを、'''先体突起'''(せんたいとっき)といい、アクチンフィラメントの束が先体突起の中身である。この働きは、ゼリー層にふくまれる物質の働きによる。このような、先体の一連の反応を'''先体反応'''という。そして精子はゼリー層を貫通する。先体突起の表面には'''バインディン'''というタンパク質があり、ウニ卵の細胞膜にはバインディンと結合する受容体がある。バインディンと受容体が結合して、精細胞と卵細胞が融合し、受精する。1つの精子が卵に受精したとき、卵のカルシウムイオン濃度が上昇し、このイオン濃度変化によって卵の細胞膜下にある'''表層粒'''が内容物を細胞膜と卵黄膜の間に放出する。これを'''表層反応'''という。この表層反応によって、卵黄膜が硬化し、精子の侵入点を中心に卵の表面の性質が変化していき、卵黄膜が変化し'''受精膜'''(fertilization membrane)となって、受精膜が持ち上がり、受精膜が卵の表面全体に広がり、これによって他の精子の侵入を妨げる。また、卵は受精膜で保護される。このため、精子は、1個の卵にふつう1個しか受精しない('''多精拒否'''、たせいきょひ)。受精して卵の中に入った精子は、頭部が'''精核'''(sperm nucleus)となって'''卵核'''(egg nucleus)と合体して、核相は2nとなり、受精が完了する。 {{-}} === 被子植物の生殖 === [[File:被子植物の花のつくり 中学校.svg|thumb|600px|被子植物の花のつくり。(※ この図は中学校の復習)]] 植物(plant)の生殖では、[[w:カテンソウ|カテンソウ]]などは風が媒介して受粉(pollination)する花であり(風媒花)、[[w:ツユクサ|ツユクサ]]などは雄ずい(ゆうずい)の花粉(pollen)が同株の花の雌ずい(しずい)に受粉する(自家受粉)。この節では被子植物の生殖細胞を中心に扱う。 花は植物の生殖器官である。花には、中央に雌ずい(しずい、pistil)があり、その周りに雄ずい(ゆうずい、stamen)がある。雌ずいの膨らんでいるところは子房(しぼう、ovary)と呼ばれ、その中のつぶつぶを胚珠(はいしゅ、ovule)と呼ぶ。雄ずいの先端には花粉(かふん、pollen)を含むやく(anther)がある。 [[File:被子植物の配偶子形成.svg|thumb|1000px|被子植物の配偶子形成]] {{-}} 胚珠の中に'''卵細胞'''と呼ばれる細胞が、花粉の中に'''精細胞'''(sperm cell)と呼ばれる細胞がそれぞれ形成される。 花がつぼみの頃、やくの中で、花粉母細胞(pollen-mother cell)(核相:2n)と呼ばれる細胞が、減数分裂を行い、'''花粉四分子'''(かふん しぶんし)という4個の細胞になる。花が咲く頃、花粉四分子は、体細胞分裂を行い、大きな'''花粉管細胞'''()(核相:n)と小さな'''雄原細胞'''(generative cell)(核相:n)からなる花粉になる。雌ずいの先に雄ずいの花粉が付くことを 受粉(じゅふん、pollination) と呼ぶ。受粉すると、花粉から 花粉管(かふんかん、pollen tube) と呼ばれる管が伸びて、胚珠の 珠孔(しゅこう、micropyle) に到達する。雄原細胞が花粉管の中を移動し、分裂して2個の'''精細胞'''(n)と呼ばれる細胞になる。 胚珠(はいしゅ)では、'''胚のう母細胞'''(はいのうぼさいぼう、embryo-sac mother cell)(核相:2n)と呼ばれる細胞が、減数分裂を行い、生じた4個の細胞のうち、1個が'''胚のう細胞'''(embryo-sac cell)(n)と呼ばれる細胞になり、残りの3個の細胞は退化して消滅する。胚のう細胞は、3回の核分裂を行った後、細胞質分裂を行って、7個の細胞と8個の核からなる'''胚のう'''(はいのう、embryo sac)になる。胚のうは、珠孔側に1個の'''卵細胞'''(らんさいぼう)(n)と2個の'''助細胞'''(じょさいぼう、synergid)(n)、反対側に3個の'''反足細胞'''(はんそくさいぼう、antipodal cell)(n)、中央に2個の'''極核'''(きょくかく、polar nucleus)(n)を含む'''中央細胞'''(ちゅうおうさいぼう、central cell)から構成される。 *重複受精(じゅうふく じゅせい) 被子植物の場合の仕組みである。まず、花粉管内では雄原細胞が分裂して2個の'''精細胞'''(n)となっている。そして、胚のうに達した2個の'''精細胞'''(n)のうち、1個の精細胞は卵細胞と受精し'''受精卵'''(2n)になり、もう1個の精細胞は中央細胞の極核の2個(n+n)と受精して'''胚乳核'''(3n)になる。2つの受精が起こるのでこれを'''重複受精'''(じゅうふくじゅせい、double fertilization)と呼び、被子植物のみに見られる仕組みである。 重複受精(被子植物) :卵細胞(n) + 精細胞(n) → 受精卵(2n) :中央細胞(n+n) + 精細胞(n) → 胚乳(3n) *花粉管の誘引 (参考) 受粉時の花粉管の 胚のう への誘引は、胚のうにある助細胞が花粉管を誘引する物質を出していることが、日本の東山哲也らの研究(レーザーで助細胞を破壊するなどの実験)によって分かっている。トレニアという植物で実験された。トレニアでは胚のうが珠皮から出ているので観察しやすいためである。 1つの 胚のう では、助細胞は2個ある。 実験結果では、助細胞を2個とも破壊すると、花粉管が、まったく誘引されなくなる。助細胞以外の、卵細胞や極核などを破壊しても、花粉管は誘引される。助細胞を1個だけ破壊すると、花粉管の誘引の確率が下がる。 そして、花粉管を誘引している物質は、あるタンパク質であることが分かっており、'''ルアー'''と名づけられた。魚釣りの疑似餌(ぎじえ)の「ルアー」が名前の由来である。このタンパク質が、助細胞で発現している。 *裸子植物の受精 {{-}} [[画像:Plant Fertilization Cycle.svg|thumb|right|640px|1.胞子体<br>精細胞の形成:2.やく、5.花粉母細胞、7.花粉四分子、9.花粉<br>卵の形成:3.胚珠、4.子房、6.背のう母細胞、8.背のう細胞と極体、10.背のう<br>受精後:11.種子、12.胚乳、13.成熟した種子]] {{-}} == 発生とその仕組み == === 発生と分化 === 受精卵(embryo)から成長した個体になるまでの過程を'''発生'''(embryogenesis)と呼ぶ。例えば、ニワトリの雌は1日に1個程度の卵を産む。交尾をしないでも卵は産まれるが、孵化(ふか)しない。交尾をしないで受精しないで産まれた卵を無精卵と呼び、交尾をして受精して産まれた卵を有精卵と呼ぶ。無精卵と有精卵をニワトリの体温と同じ37℃で保温すると、無精卵は変化しないが、有精卵は2日程度で血管が3日程度で心臓が形成され、7日程度で脳や目や手足などが形成され、20日程度で生まれヒヨコになる。血管や心臓が発生の初期に形成されるのは、卵黄(らんおう、yolk)にある栄養を血管や心臓で取り入れるためである。 受精卵は体細胞分裂を繰り返して成長するため、それぞれの細胞は受精卵の遺伝子を全てそのまま受け継ぐ。発生の過程で、それぞれの細胞は遺伝子の異なる部分を使うことで、それぞれ異なる細胞になっていき、これを'''分化'''(differentiation)と呼ぶ。つまり、個体の全ての細胞は同じ遺伝子をもつが、使う遺伝子の組み合わせで異なる細胞になっていく。 === 動物の発生 === ==== 卵の種類と卵割の種類 ==== [[File:卵割の様式.svg|thumb|700px|卵割の様式]] 受精卵は体細胞分裂を繰り返して成長するが、その体細胞分裂を'''卵割'''(らんかつ、cleavage)と呼ぶ。 卵割で生じた細胞を'''割球'''(かっきゅう、blastomere)と呼ぶ。 卵の極体を生じた側を'''動物極'''(どうぶつきょく、animal pole)と呼び、 その反対側を'''植物極'''(しょくぶつきょく、vegetal pole)と呼ぶ。 卵は栄養のある卵黄(らんおう、yolk)を含み、 卵黄は卵の種類によって量や分布が異なっており、 卵はその量や分布により'''等黄卵'''(とうおうらん,isolecithal egg)、'''端黄卵'''(たんおうらん、telolecithal egg)、'''心黄卵'''(しんおうらん,centrolecithal egg)に分けられる。 '''等黄卵'''(isolecithal egg)は、卵黄が少なく卵内にほぼ均一に分布しており、[[w:ウニ|ウニ]]や[[w:哺乳類|哺乳類]]などが等黄卵である。 '''端黄卵'''(telolecithal egg)は、卵黄が植物極に偏って分布しており、[[w:両生類|両生類]]などが端黄卵である。 卵割には、卵全体が分裂する'''全割'''(holoblastic cleavage)と、卵の一部分が分裂する'''部分割'''(meroblastic cleavage)がある。 全割には割球の大きさがほぼ等しい'''等割'''(equal cleavage)と割球の大きさが等しくない'''不等割'''(unequal cleavage)があり、 部分割には動物極側にある胚盤の部分だけで行われる'''盤割'''(discodial cleavage)と表面の細胞層だけで行われる'''表割'''(superficial cleavage)がある。 ==== ウニの発生と分化 ==== [[File:ウニの発生 受精卵から胞胚.svg|thumb|600px|ウニの発生の過程。受精卵から胞胚]] [[File:ウニの発生.svg|thumb|600px|ウニの発生の過程]] [[ファイル:Pluteus001.jpg|thumb|right|プルテウス幼生]] [[File:Echinometra mathaei MHNT Philippines.jpg|thumb|right|ウニ]] ウニの発生は、受精卵→2細胞期→4細胞期→8細胞期→16細胞期→桑実胚期→胞胚期→原腸胚期→プリズム形幼生→プルテウス幼生→成体の順で起こる。 *~8細胞期 等割を行う。 *16細胞期~ 不等割を行う。 *桑実胚期 割球が桑の実のように塊状になった胚を'''桑実胚'''(そうじつはい、morula)と呼ぶ。胚の内部に'''卵割腔'''(らんかつこう)という空所が生じる。 *胞胚期 卵割が終わってから原腸形成が開始されるまでの時期の胚を'''胞胚'''(ほうはい、blastula)と呼ぶ。卵割腔は大きくなり胞胚腔(blastocoel)になる。胚の表面に繊毛(せんもう)を生じる。 *原腸胚期 胞胚の次の胚を'''原腸胚'''(げんちょう、gastrula)と呼ぶ。胚の植物極側の'''原口'''(げんこう、blastopore)と呼ばれる部分から、細胞が内側に向かってくぼみはじめ、これを'''陥入'''(invagination)と呼ぶ。原口は、将来は肛門になる。原口の将来は、口ではないので注意。陥入によって胚の内部に'''原腸'''(げんちょう、archenteron)と呼ばれるくぼみができる。胚は、外表面の'''外胚葉'''(がいはいよう、ectoderm)、内側の'''内胚葉'''(endoderm)、その中間の'''中胚葉'''(mesoderm)から構成される。 *プリズム形幼生 プリズム形をしているためプリズム形幼生と呼ばれる。原腸が消化管へと分化し、原腸の先端から口もできる。発生での校門と口の順序は、まず肛門が先にできてから、あとから口ができることになる。 *プルテウス幼生 腕が生えて増えていく。 *成体 変態してウニになる。口を下に、肛門を上にして生活している。 原腸胚のころになると、胚葉は、外胚葉、中胚葉、内胚葉に分化する。 その後、外胚葉は表皮や神経などになり、中胚葉は筋肉や骨片などになり、内胚葉は腸などになる。 <ref>[http://spider.art.coocan.jp/biology2/embryology2012.htm 高校生物:発生]</ref> *参考画像(ウニに限らず) <gallery widths=320px heights=220px> 画像:Blastulation.png |1.桑実胚、2.胞胚 画像:Gastrulation.png|胚の原腸形成の仕組み<br>1.胞胚、2.原腸胚 </gallery> {{-}} ==== カエルの発生と分化 ==== [[File:カエルの発生 原腸胚から神経胚まで.svg|thumb|700px|カエルの発生. 原腸胚から神経胚まで]] カエル(frog)の受精では、精子は動物極側から侵入する。精子が卵に侵入した位置の反対側には、灰色の部分が三日月になっている箇所が生じる。これを'''灰色三日月'''(はいいろ みかづき)という。発生が進むと灰色三日月の位置に'''原口'''(げんこう)が生じる。 カエルの卵は、卵黄が植物極側に片寄った端黄卵である。 カエルの発生は、受精卵→2細胞期→4細胞期→8細胞期→16細胞期→桑実胚期→胞胚期→原腸胚期→神経胚期→尾芽胚→おたまじゃくし→成体の順で起こる。 *~4細胞期 等割を行う。 *8細胞期~ 不等割を行う。動物極の割球が小さい。 *桑実胚期 動物極側に'''卵割腔'''という空所が生じる。 *胞胚期 胞胚腔(ほうはいこう)が、動物極側に偏った位置にできる。 *原腸胚期 '''灰色三日月'''のあった所に、半月上の溝ができ、原口となる。この原口が陥入して、動物極の方に陥入し、原腸ができる。発生が進むに連れて原腸が拡大する。原口の上側の位置を'''原口背唇'''(げんこうはいしん)といい、主にこの部分が陥入していく。外胚葉・内胚葉・中胚葉が、それぞれできる。原口は陥入が進むにつれて弓形から円形へと変わり、表面から見ると円形の'''卵黄栓'''(らんおうせん)ができる。 *神経胚期 外胚葉の背側に生じる肥厚を'''神経板'''(しんけいばん、neural plate)と呼ぶ。神経板はやがて管状になり、これを'''神経管'''(しんけいかん、neural tube)と呼ぶ。神経管は将来、脳や脊髄になる。神経板ができてから神経管ができるまでの胚を'''神経胚'''(しんけいはい、neurula)と呼ぶ。 *尾芽胚 尾ができはじめた胚を'''尾芽胚'''(びがはい、tail bud)と呼ぶ。 *おたまじゃくし(幼生) 独立し食物をとる。 原腸胚のころになると、胚葉は、外胚葉、中胚葉、内胚葉に分化する。 神経胚のころになると、外肺葉は表面を覆う表皮(epidermis)と管状体の神経管に分化し、中胚葉は支持器官の脊索(notochord)と'''体節'''(somite)と'''腎節'''(nephrotome)と'''側板'''(abdominal plate)に分化し、内胚葉は管状の腸管(enteron)に分化する。 その後、外胚葉性の器官では、表皮は皮膚の表皮、眼の水晶体や角膜、口や鼻の上皮に分化し、神経管は脳や脊髄、眼の眼胞や網膜に分化する。 中胚葉性の器官では、脊索は退化し、体節は脊椎骨・骨格・骨格筋、皮膚の真皮に分化し、腎節は腎臓や輸尿管に分化し、側板は心臓などの内臓、血管の結合組織や筋組織に分化する。 内胚葉性の器官では、腸管は前部が気管・肺、食道、胃、肝臓、膵臓に分化し、中・後部が小腸、大腸、膀胱に分化する。 {{-}} === 植物の発生 === [[File:被子植物の発生.svg|thumb|500px|被子植物(ナズナ)の胚の発生]] 胚珠内で、受精卵は発生をはじめ、珠孔と反対側の細胞は胚球()や胚柄()となり、珠孔側の細胞は吸器細胞()となる。 胚球は'''子葉(cotyledon)・幼芽(plumule)・胚軸(hypocotyl)・幼根'''(radicle)からなる'''胚'''(embryo)となり、胚柄は退化する。 中央細胞は養分を蓄えた胚乳(endosperm)となる。胚乳の養分はデンプンなどである。 珠皮は種皮(seed coat)となる。 助細胞や反足細胞は退化する。 胚珠は'''種子'''(seed)と呼ばれるようになる。 種子には有胚乳種子(ゆうはいにゅうしゅし)と無胚乳種子(むはいにゅうしゅし)がある。 '''有胚乳種子'''(Albuminous seed)にはイネやムギ・トウモロコシがあり、胚乳が発達し、発芽に必要な養分が胚乳に蓄えられる種子で、[[w:カキ科|カキ科]]や[[w:イネ科|イネ科]]の植物の種子が有胚乳種子である。 '''無胚乳種子'''(exalbuminous seed)にはナズナやマメやクリがあり、種子の成熟時に胚乳の養分を子葉が吸収するため胚乳は発達せず、養分が子葉に蓄えられる種子で、[[w:マメ科|マメ科]]や[[w:アブラナ科|アブラナ科]]の植物の種子が無胚乳種子である。 種子が芽を出すことを発芽(はつが、Germination)と呼ぶ。適切な水分・温度・空気などが、そろうと、発芽する。 発芽した種子では、有胚乳種子は胚乳の養分を、無胚乳種子は子葉の養分を、というように蓄えた栄養を使って成長する。 やがて葉ができると、自分で光合成して栄養を作るようになる。 === コケ植物・シダ植物の生殖 === [[File:スギゴケの生活環.svg|thumb|600px|スギゴケの生活環]] コケ植物・シダ植物で、胞子生殖は無性生殖である。 コケ植物・シダ植物では、'''胞子体'''(ほうしたい)をつくって無性生殖をする世代と、'''配偶体'''(はいぐうたい)という卵と精子をつくって有性生殖をする世代とを、交互に繰り返す。 このような異なる生殖方法の交代の繰り返しのことを'''世代交代'''(せだい こうたい)という。世代交代の様子を図などで環状に表したものを'''生活環'''(せいかつかん)という。 普通、胞子体は核相が2nであり、配偶体の核相はnである。なので、世代交代での胞子体と配偶体との交代にともなって、核相も交代することになり、このような核相の交代を'''核相交代'''(かくそう こうたい)という。 スギゴケなどのコケ植物で、通常に目にする植物体は、配偶体(核相n)である。コケ植物の配偶体には雄と雌との区別があり、それぞれ雄株(おかぶ)あるいは雌株(めかぶ)という。 胞子が成長して雄株または雌株になるわけだから、つまり胞子には雄雌の区別があり、雄株になる胞子と、雌株になる胞子との区別がある。 胞子をつくる胞子体の胞子嚢(ほうしのう)の中で減数分裂をして、胞子(核相:n)がつくられる。 === 発生の仕組み === ==== 発生の仕組み ==== 17~18世紀頃には、精子や卵の中に、成体を縮小した形態(ホムンクルス, homunculus)があり、それが発生とともに展開するという考えである'''前成説'''(preformation theory)が有力な学説であった。それに対して、精子や卵の中に、成体を縮小した形態は含まれておらず、発生の過程で、しだいに単純な状態から複雑な状態へと成体の構造が生じてくるという考えを'''後成説'''(epigenesis)と呼ぶ。ドイツの[[w:カスパル・ヴォルフ|カスパル・ヴォルフ]]のニワトリの発生の研究などにより後成説の正しさが次第に認められていった。 [[File:クシクラゲの分割実験.svg|thumb|500px|クシクラゲ(モザイク卵)の分割実験]] 割球を分離しても完全な胚になる卵を'''調節卵'''(regulation egg)と呼び、2細胞期の[[w:ウニ|ウニ]]・[[w:イモリ|イモリ]]・[[w:カエル|カエル]]などの卵が調節卵である。それに対して、割球を(ヒモで強く縛る等して)分離すると不完全な胚になる卵を'''モザイク卵'''(mosaic egg)と呼び、[[w:クシクラゲ|クシクラゲ]]などの卵がモザイク卵である。ただし調節卵であっても、ある程度発生が進むとモザイク卵となる。つまり、調節卵とモザイク卵の違いは、卵の各部分の発生運命がいつ決まるかの違いである。 実験には、ドイツの[[w:ウィルヘルム・ルー|ウィルヘルム・ルー]]のカエルを用いた実験、ドイツの[[w:ハンス・ドリーシュ|ハンス・ドリーシュ]]のウニを用いた実験、ドイツの[[w:ハンス・シュペーマン|ハンス・シュペーマン]]のイモリを用いた実験などがある。(後述) なお、モザイク卵を得るために割球を縛る実験では、割球は強く縛らなければならない。縛り方が弱いと、実験は失敗する。(※ 2014年の生物Iの本試験で出題) {{-}} * シュペーマンの実験 - イモリ胚の分割実験(1902年) [[File:イモリの胚の分割実験.svg|thumb|400px|イモリの胚の分割実験。2細胞期、または、その直前の卵で行う。]] イモリ胚をきつくしばる分割実験では、実験結果から灰色三日月をふくんだ部分のみが正常な幼生になることが分かった。次のような実験結果になった。 :灰色三日月を二等分するように強くしばると、2個の胚とも正常に発生する。 :いっぽう、灰色三日月が片側の胚のみにあるように強くしばると、灰色三日月がある側の胚しか発生しない。 このことから、灰色三日月は、正常な幼生になるのに必要な物質をふくんでいることが分かる。イモリ胚の分割実験では、強くしばった場合、2個の個体になる。 なお、弱くしばると、頭が2つある1個の個体になる。この灰色三日月の部位には、背を発生させるのに必要な因子があることが、他の実験から分かっている。 {{-}} ==== 予定運命 ==== *フォークトの実験 局所生体染色法 [[File:局所生体染色 側面.svg|thumb|600px|局所生体染色。側面]] [[File:局所生体染色 背面.svg|thumb|350px|left|局所生体染色。背面]] {{-}} [[File:フォークトの実験.svg|thumb|フォークトの実験。局所生体染色。]] ドイツの[[w:ウォルター・フォークト|ウォルター・フォークト]]は1925年ごろ、イモリの胚を無害な色素(ナイル青や中性赤など)を含んだ寒天片で染め分ける'''局所生体染色'''(localized vital staining)と呼ばれる手法を用いて、胚の表面の各部分が、将来どの器官に分化するかを調べた。そして、実験結果から、表面の各部がどう分化するかをまとめた'''原基分布図''' ('''予定運命図''') を作った。 <gallery widths=250px heights=200px style="float:right" > File:イモリの原基分布図.svg|イモリ胞胚の原基分布図。側面図。 File:イモリ胞胚の原基分布図 背面図.svg|イモリ胞胚の原基分布図 背面図 </gallery> これによると、胚の時期から、胚のどの部分が成体のどの器官に将来、分化するか決まっている。 '''原基'''(げんき、anlage)とは、まだ分化していない状態の細胞群のうち、発生段階で将来ある器官になることに予定されているもののことである。 {{-}} *シュペーマンの実験 - イモリ胚の交換移植実験(1921年) [[File:イモリ胚の移植実験.svg|thumb|400px|シュペーマンの実験。イモリ原腸胚の移植実験]] シュペーマンは、スジイモリとクシイモリの初期原腸胚で、予定神経域と予定原腸域とを交換移植してどうなるかを実験した。実験結果は、移植先の予定運命にしたがって分化した。 :予定表皮域の移植片を予定神経域に移植した場合。 → 移植片は神経板になる。 :予定神経域の移植片を予定表皮域に移植した場合。 → 移植片は表皮になる。 しかし、神経胚のときに移植した場合は、結果が違った。移植片それぞれの予定運命どおりに分化した。 :予定表皮域の移植片を予定神経域に移植した場合。 → 移植片は表皮になる。 :予定神経域の移植片を予定表皮域に移植した場合。 → 移植片は脳または神経になる。 [[File:シュペーマンのイモリ神経胚の移植実験.svg|thumb|400px|シュペーマンの実験。イモリ神経胚の移植実験]] このことから、イモリで予定運命の決定をする時期は、原腸胚初期よりは後で、神経胚になるまでには決定していることが分かる。 シュペーマンはさらに後期原腸胚でも同様の実験を行った。その結果、移植片は移植先の予定運命には従って変更される場合と、従わなずに変更されない場合とがあった。移植片の予定運命が変更される場合でも、初期原腸胚の場合よりも長い時間が掛かった。 {{-}} *シュペーマンとマンゴルドの実験 - 原口背唇部の移植実験(1924年) [[File:原口背唇部の移植実験.svg|thumb|500px|シュペーマンとマンゴルドの実験。原口背唇部の移植実験。模式図。]] ドイツの[[w:ハンス・シュペーマン|ハンス・シュペーマン]]は、イモリの胚の交換移植実験を行った。原腸胚初期の原口の上部(原口背唇)を切り出し、同じく原腸胚初期の他の胚の外胚葉の表皮になる予定の部分へ移植した。すると頭が2つある幼生ができた。シュペーマンは、これを移植した細胞が周りの細胞に頭部になるよう情報を伝えたと考えた。原口背唇のように、胚のほかの部分に働きかけ、分化を起こさせる部分を'''形成体'''(けいせいたい)、あるいは '''オーガナイザー'''(organizer)と呼び、その働き(分化を起こさせる働き)を'''誘導'''(ゆうどう、induction)と呼ぶ。この実験結果から、原口背唇は近くの外胚葉に働きかけて、神経管を作る働きがあることが分かる。現代では、移植した細胞からタンパク質が分泌され、これが誘導を行っていることがわかっている。 [[File:眼の形成過程 イモリ.svg|thumb|700px|イモリの眼の形成過程]] [[File:誘導の連鎖による眼の形成過程.svg|thumb|600px|誘導の連鎖による眼の形成過程]] イモリの眼の形成過程は次の順で起こる。 <br>・一次誘導 原口背唇が形成体(一次形成体)として働き、外肺葉から神経管を誘導する。神経管の前方部は'''脳'''(のう)に分化し、脳の両側から一対の'''眼胞'''(がんぽう)が生じる。さらに眼胞はくぼんで'''眼杯'''(がんぱい)となる。 <br>・二次誘導 眼杯が形成体(二次形成体)として働き、表皮から'''水晶体'''(すいしょうたい)を誘導する。眼杯は'''網膜'''(もうまく)に分化する。 <br>・三次誘導 水晶体が形成体(三次形成体)として働き、表皮から角膜(かくまく)を誘導する。 このように、'''誘導の連鎖'''によって器官が作られていく。 {{-}} *中胚葉誘導 [[File:ニューコープの実験 1.svg|thumb|300px|ニューコープの実験。<br />A: アニマルキャップ]] オランダの[[w:ニューコープ|ニューコープ]]は、[[w:メキシコサンショウウオ|メキシコサンショウウオ]]を用いた実験により、内胚葉が外肺葉を中胚葉へと誘導することを示した。これを'''中胚葉誘導'''()という。 [[File:ニューコープの実験 2.svg|thumb|500px|left|ニューコープの実験。中胚葉誘導。]] {{-}} === 再生 === <ref>吉里勝利ほか『スクエア 最新図説生物』第一学習社、2004年1月10日発行、p.59</ref> 体の一部が失われた場合、その部分が再び作り出されることを'''再生'''(さいせい、regeneration)と呼ぶ。 例えば、[[w:プラナリア|プラナリア]]は体を切り刻まれても、切り刻まれた部分が元の体に戻る。 プラナリアを切断すると、切断面に未分化の細胞が集まって再生芽という細胞群ができる。 この再生芽が増殖し、頭部側のものは尾部へ、尾部側のものは頭部へ分化していく。 このとき頭部と尾部の方向は切断する前と同じになる。 また、[[w:イモリ|イモリ]]は、手足や尾の一部が失われても、元に戻る。 イモリの手や足を切断すると、切断面の細胞が脱分化して再生芽ができる。 また、イモリの眼の水晶体を除去しても、虹彩の背側の色素細胞から水晶体が再生したりもする。 ヒトも傷や骨折が治るので、ある程度再生する能力を持っているといえる。 近年では、心不全の治療のために、筋肉組織から筋肉細胞を取り出し、培養し、シート状にして心臓に張り付けるなどの'''再生医療'''()の研究も進んでいる。 === アポトーシス=== 発生などの段階で、ある細胞では、遺伝的にあらかじめ死ぬようにプログラムされている細胞がある。たとえば哺乳類や鳥類の胚では指と指の間に 水かき が始めのころにあるが、この水かきの所の細胞は死んで組織が退化していく。このような、あらかじめ死ぬようにプログラムされた細胞死を'''プログラム細胞死'''という。ヒトの手足の指の間の部分も、発生時に水かきのようなものがプログラム細胞死をしている。 カエルの幼生(オタマジャクシ)が変態で尾がなくなるのもプログラム細胞死である。 正常な発生のためにプログラム細胞死は必要なことである。 プログラム細胞死の多くは、まず細胞膜および細胞小器官は正常なまま染色体・DNAだけが凝縮し、それによって細胞膜が変化するなどして細胞が断片化して壊れて死んでいく。このような細胞死を'''アポトーシス'''(apoptosis) という。 ヒトやニワトリの手足の指の間の部分の発生時に水かきのプログラム細胞死も、アポトーシスである。オタマジャクシの尾がカエルへの変態で無くなるプログラム細胞死もアポトーシスである。 なお、いっぽう、傷や栄養不足や病原菌などによって細胞が壊されるなどして死んでいくことを'''壊死'''(えし)または'''ネクローシス'''(necrosis) という。 === ニワトリの発生 === ※ 資料集などに書いてある。深入りの必要は無い。 === ヒトの発生 === ※ 保健体育などと、ほぼ同内容だが、高校生は教養として、目を通しておく程度には勉強しておくこと。大学で生物系に進学する場合、基礎知識として必要になる。 == ※ 生物基礎の範囲外 or 発展 == === 発展: 細胞融合 === ※ 現代では、基本的に高校『生物基礎』『生物』の範囲外になっている。もし教科書に書いてあったとしても、コラムなどだろう。 == 発展: クローン動物 == * テロメア ※ 第一学習社や数研出版の教科書に記述あり。 === 発展: 幹細胞 === * ガードンの核移植実験 * ES細胞(胚性幹細胞) * iPS細胞 :※ 専門生物の教科書にコラムなどで書いてあったりするが、高校の段階では理解しきれないので、深入りの必要は無い。 <!--== キーワード一覧 == 生殖、分裂、出芽、栄養生殖、無性生殖、胞子生殖、配偶子、有性生殖、同形配偶子、異形配偶子、卵細胞、卵、精細胞、精子、受精、受精卵、減数分裂、始原生殖細胞、卵原細胞、精原細胞、一次卵母細胞、二次卵母細胞、第一極体、卵、第二極体、一次精母細胞、二次精母細胞、精細胞、精子、受精膜、精核、精細胞、卵細胞、花粉四分子、花粉管細胞、雄原細胞、胚のう母細胞、胚のう細胞、卵細胞、助細胞、反足細胞、極核、中央細胞、胚のう、重複受精、子葉、幼芽、胚軸、幼根、胚、胚乳、種子、果実、有胚乳種子、無胚乳種子、発生、卵割、割球、動物極、植物極、等黄卵、等割、端黄卵、不等割、全割、桑実胚、胞胚、卵割腔、胞胚腔、陥入、原口、原腸、外胚葉、内胚葉、中胚葉、原腸胚、原口背唇、卵黄栓、原腸胚、神経版、神経管、神経胚、体節、腎節、側板、尾芽胚、前成説、後成節、調節卵、モザイク卵、局所生体染色、原基、原基分布図、一次胚、二次胚、形成体、誘導、中胚葉誘導 --> == 脚注 == <references/> == 参考文献 == *田中隆荘ほか『高等学校生物I』第一学習社、2004年2月10日発行、pp.66-109 *[https://web.archive.org/web/20141016171612/http://www.nhk.or.jp/kokokoza/library/2013/tv/seibutsu/ 『NHK高校講座 生物』第9-15回] *[http://www.weblio.jp/cat/academic/sbtgy 生物学用語辞典 - Weblio 学問] [[Category:高等学校教育|生1せいしよくとはつせい]] [[Category:生物学|高1せいしよくとはつせい]]
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刑事訴訟法
法学>刑事法>刑事訴訟法 ※ サブページに移動済み. ※ サブページに移動済み. ※ サブページに移動済み. ※ サブページに移動済み. 通常逮捕 要件 被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があるとき。なお,30万円以下の罰金,勾留,または科料に当たる罪については,被疑者が定まった住居を有しない場合又は正当な理由がなく任意出頭の求めに応じない場合に限られる。 裁判とは、裁判機関(裁判所または裁判官)の訴訟行為であって、意思表示を内容とする訴訟行為である。 裁判はその形式面から、判決・命令・決定の3種に分けられる。 有罪判決を言い渡すには、 を示さなければならない(335条)。 有罪判決にともない、裁判所は、刑の量定をしなければならない。 法令名の略記
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法学>刑事法>刑事訴訟法
[[法学]]>[[刑事法]]>[[刑事訴訟法]] {{wikiversity|Topic:刑事訴訟法|刑事訴訟法}} == 目次 == * [[刑事訴訟法/捜査]] * [[刑事訴訟法/公訴]] * [[刑事訴訟法/公判手続]] * [[刑事訴訟法/証拠法]] * [[刑事訴訟法/上訴]] * ※ 調査中 == 標準教科書(※現時点では下書き) == === 総説 === ==== 刑事訴訟の法源 ==== ===== 憲法 ===== ===== 法令 ===== * 刑事訴訟法 * 刑事訴訟法規則 * 刑法 ===== 判例 ===== * 判例の位置付け ==== 手続の関与者 ==== * 被害者の位置付け ===== 被疑者・被告人 ===== * 被疑者 * 被告人 * 捜査の必要と人権保障 ===== 弁護人 ===== * 弁護人と弁護士 * 固有権とは ===== 司法警察職員 ===== ※ サブページに移動済み. ===== 検察官 ===== ※ サブページに移動済み. ===== 裁判官 ===== * 裁判官 === 捜査手続 === ==== 捜査総説 ==== * 糾問的捜査観と弾劾的捜査観 ===== 強制処分と任意捜査 ===== * 任意捜査の原則とその限界 * 強制処分法定主義と新しい強制処分 * 令状主義とその現代的変容 * 取調べ * 親告罪 ※ サブページに移動済み. ====捜査の端緒==== * 総説 * 職務質問 * 任意同行 * 所持品検査 * 自動車検問 * 告訴 * 告発 * 自首 * 検視 ※ サブページに移動済み. ==== 捜査の実行 ==== ===== 強制捜査 ===== ====== 逮捕 ====== 通常逮捕  要件 被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があるとき。なお,30万円以下の罰金,勾留,または科料に当たる罪については,被疑者が定まった住居を有しない場合又は正当な理由がなく任意出頭の求めに応じない場合に限られる。 : 手続 :請求 請求権者,請求書・謄本・提出,資料,請求の相手方 :発付 :執行 :執行後の手続 :緊急逮捕 :現行犯逮捕 ====== 勾留 ====== ====== 捜索・差押え ====== ====== 検証 ====== ====== 通信傍受 ====== === 公訴 === * 公訴と私訴 ==== 起訴状一本主義 ==== * 起訴状一本主義とは ** 予断排除の原則 * 根拠条文 :※サブページに移動済み ==== 訴訟条件 ==== * 訴訟条件とは ==== 訴因と公訴事実 ==== * 審判対象論 * 訴因の機能 * 訴因の明示 * 訴因の特定 * 訴因変更 ** 訴因変更の要否 ** 訴因変更の可否 === 公判手続 === ==== 公判とは ==== * 総説 * 口頭弁論との違い * 職権主義と当事者主義 * 証人尋問 ==== 必要的弁護事件 ==== * 必要的弁護事件とは ==== 証拠開示 ==== * 証拠開示とは * 証拠開示と当事者主義 === 証拠法 === ==== 総論 ==== ===== 証拠裁判主義 ===== ===== 自由心証主義 ===== * 根拠条文 ===== 挙証責任と推定 ===== * 根拠条文 ====== 挙証責任 ====== * 客観的挙証責任 * 主観的挙証責任 ====== 推定 ====== * 種類 ** 事実上の推定 ** 法律上の推定 *** 擬制(反証を許さない推定) *** 推定(狭義の=反証を許す推定) * 効果 ** 推定事実不存在挙証責任転換説(通説) ** 証拠提出責任説(平野・田宮・光藤〔中125〕など) * 現行規定の解釈 ** 刑法230条の2 ** 刑法108条などの抽象的危険犯規定 *** ①擬制説 *** ②推定説  **** 野中の一軒家事例 ** 刑法207条 ** 両罰規定 ** その他 *** 公害罪法5条 *** 爆発物取締罰則6条 *** 児童福祉法60条3項 *** 麻薬特例法18条(不法収益の推定) * 合憲性基準 ** 便宜性基準 *** 推定事実不存在についての立証が被告人に比較的容易であること ** 包摂基準 *** 推定事実の一部を除去して考えても前提事実が犯罪として相当の可罰性を持つこと ** 合理性基準 *** 前提事実からの推定事実の推認が合理性を持っていること ==== 証拠能力 ==== * 自然的関連性 * 法的関連性 * 証拠禁止 * 違法収集証拠排除法則 * 科学的証拠 ==== 自白 ==== * 自白法則 ** 任意性の原則 ==== 伝聞証拠 ==== * 総説 ** 反対尋問権との関係 * 非伝聞 * 伝聞例外 * 弾劾証拠 === 裁判 === * 内部的成立 * 外部的成立 * 裁判の確定 裁判とは、裁判機関(裁判所または裁判官)の訴訟行為であって、意思表示を内容とする訴訟行為である。 裁判はその形式面から、判決・命令・決定の3種に分けられる。 ;有罪判決 有罪判決を言い渡すには、 :罪となるべき事実、 :証拠の標目、 :法令の適用、 :、 を示さなければならない(335条)。 有罪判決にともない、裁判所は、刑の量定をしなければならない。 ==== 判決効論 ==== * 既判力 * 一事不再理 === 上訴 === ==== 控訴 ==== * 控訴 ==== 上告 ==== * 上告 ==== 抗告 ==== * 抗告 === 非常手続 === * 非常手続 ==== 再審 ==== * 再審 == 凡例 == 法令名の略記<ref>宇藤崇ほか『刑事訴訟法 〔第2版〕』、有斐閣、2018年2月25日 第2版 第1刷発行</ref> {| |+ |- | style="width:50%;"| '''医師''' : 医師法<br> '''恩赦''' : 恩赦法<br> '''関税''' : 関税法<br> '''刑''' : 刑法<br> '''警''' : 警察法<br> '''刑事収容''' : 刑事収容使節及び被収容者の処遇に関する法律<br> '''警職''' : 警察官職務執行法(警職法) '''憲''' : 日本国憲法<br> '''検察''' : 検察庁法<br> '''検審''' : 警察審査会法<br> '''公選''' : 公職選挙法<br> '''裁''' : 裁判所法<br> '''裁員''' : 裁判員法<br> '''少''' : 少年法<br> | style="width:50%;"| '''所税''' : 所得税法<br> '''捜査規範''' : 経済捜査規範<br> '''通信傍受''' : 犯罪捜査のための通信傍受に関する法律<br> '''独禁''' : 独占禁止法<br> '''犯罪被害保護''' : 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律<br> '''不正競争''' : 不正競争防止法<br> '''弁護''' : 弁護士法<br> '''法廷秩序''' : 法廷等の秩序維持に関する法律<br> '''麻薬''' : 麻薬及び向精神薬取締法<br> '''民訴''' : 民事訴訟法<br> '''労調''' : 労働関係調整法<br> |} == 参考文献 == * 田中開『刑事訴訟法 (第6版)』、有斐閣、2020年5月25日 第6版 第1刷 発行 * 宇藤崇『刑事訴訟法 〔第2版〕』、有斐閣、2018年2月25日 第2版 第1刷 発行 == コンメンタール == *[[コンメンタール刑事訴訟法]] == 判例集 == *昭和時代の判例 *平成時代の判例 {{stub}} [[category:法学|けいしそしようほう]] [[Category:刑事訴訟法|*]]
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高等学校生物/生物I/環境と動物の反応
高等学校生物 > 生物I > 環境と動物の反応 生物に作用して反応を起こさせる要因を刺激()と呼ぶ。 眼や耳などの、刺激を受け取る器官を受容器(じゅようき、receptor)という。生物が刺激に対して活動を起こすことを反応(reaction)と呼ぶ。 反応は筋肉や腺などの効果器(こうかき、effector)で引き起こされる。効果器のことを作動体ともいう。そして受容器と効果器との間は神経系で結ばれている。 受容から反応まで、次のような順序である。 また、刺激を受けた感覚細胞が活動状態となることを興奮(こうふん)という。興奮の正体は、細胞膜の電気的な変化である。 受容器はそれぞれ受容する刺激が決まっており、受容できる刺激を適刺激(てきしげき、adequate stimuli)と呼ぶ。 ヒトの五感と受容器と適刺激は次の表のようになっている。 感覚細胞は一定以上の強さの適刺激を受けないと興奮しない。興奮するための刺激の最小値のことを閾値(いきち、threshold)という。 眼のように光を受容する器官を'視覚器(optic organ)'と呼び、 光の感覚を視覚(vision)と呼ぶ。 ヒトの眼はカメラとよく似た仕組みになっており、このヒトの眼の仕組みをカメラ眼という。 眼は、水晶体(すいしょうたい、lens)で光を屈折し、網膜(もうまく、retina)に像を上下左右逆に結ぶ。カメラに例えると、水晶体がレンズに相当し、網膜がフィルムに相当する。 ヒトの眼での遠近のピント調整は、カメラでいうレンズに相当する水晶体の厚さをかえることで遠近のピントを調整している。機械式カメラとは違って、レンズの前後移動に相当するような仕組みは無い。 ヒトの眼は、前部の表面に角膜(cornea)があり、その内側に瞳孔(pupil)と虹彩(iris)があり、さらにその内側に水晶体(lens)とチン小帯(Zonule of Zinn)と毛様体(ciliary body)がある。 内部には球形のガラス体(Vitreous humour)があり、それを囲むように網膜(retina)がある。 網膜の盲斑(もうはん、blind spot)からは視神経が伸びている。盲斑には視細胞(しさいぼう、visual cell)が無く、そのため、盲斑に像が写っても見えない。盲斑のことを盲点(もうてん)ともいう。 光は視細胞で電気信号にかえられ、その電気信号が視神経を通り脳(主に大脳)へ送られ、視覚が発生する。 網膜の視細胞(visual cell)には二種類の視細胞があり、明暗を感じるかん体細胞(かんたいさいぼう、桿体細胞、rod cell)と、色を感じる錐体細胞(すいたいさいぼう、cone cell)がある。 かん体細胞は明暗のみを区別し、色は区別しない。視細胞には光を吸収する物質の視物質があり、吸収によって、その細胞の特性が変化することから、それぞれの視細胞で光あるいは色などを感じている。 ヒトやサルの錐体細胞では、三原色の赤・青・緑の区別をしており、三種類の錐体細胞(青錐体細胞、赤錐体細胞、緑錐体細胞)でこれらの色を区別しており、色覚が生じている。三種類の錐体細胞は、光の波長によって感度が異なり、それぞれ420nm(青)、530nm(緑)、560nm(赤)を中心に吸収する。このような仕組みで色覚が生じている。なお、緑と赤が近い。 こららの三種類の錐体細胞では、それぞれの色に対応する視物質のフォトプシンがふくまれており、その色の光を良く吸収する。そのため三種類の錐体細胞の色の感度が異なる。 錐体細胞は、網膜の中央部の黄斑に多く分布する。 明るいところで、錐体細胞は、よく働く。弱い光では錐体細胞は反応しない。このため暗いところでは色を区別できない。 錐体細胞の色の光を吸収する色素は、光を吸収すると一時的に分解する。この分解を視細胞が感じ取っており、色覚を生じている。 白色の光は、赤・青・緑のすべての色をふくんでいる光であり、白色光があたると三種類の錐体細胞が三種類とも興奮する。 動物によっては、錐体細胞の種類の数が異なり、そのためヒトとは異なる色の世界を見ている動物も多い。 かん体細胞にはロドプシンという感光する物質が含まれている。ロドプシンの色が紅色なので視紅(しこう)ともいう。ロドプシンに光が当たると、レチナールとオプシン(タンパク質の一種)に分解される。この際、かん体細胞での細胞膜のイオンの透過性が変化し、そのため細胞が興奮する。 ロドプシンはビタミンAから作られる。そのためビタミンAが不足するとロドプシンが不足するので、暗いところで物が見えなくなる夜盲症(やもうしょう)になる。 暗いところから明るいところになったとき、 視覚器が次第になれてくることを明順応(めいじゅんのう、light adaptation)といい、 その逆を暗順応(あんじゅんのう、dark adaptation)という。 明順応の仕組み 暗順応の仕組み 眼は、明暗を虹彩にある瞳孔を拡大縮小することで調節している。明るい所では瞳孔は小さくなる。暗いところでは瞳孔が大きくなる。 また、遠近を水晶体を厚くしたり薄くしたりすることで調節している。 遠くを見るとき、水晶体はチン小帯に引っ張られてうすくなり、このため焦点距離が長くなり(屈折率は小さくなり)、遠くの物が網膜上に像を結ぶ。チン小帯は毛様体の筋肉に引っ張られて調節される。 いっぽう、近くを見るとき、チン小帯がゆるみ、水晶体は自らの弾性で厚くなる。このため屈折率が大きくなり焦点距離が短くなり、ちかくの物が網膜上に像を結ぶ。 ヒトの耳のように音を受容する器官を聴覚器(ちょうかくき、auditory organ)と呼び、 音の感覚を聴覚(ちょうかく、hearing)と呼ぶ。 ヒトの耳は、外耳(がいじ、outer ear)、中耳(ちゅうじ、middle ear)、内耳(ないじ、inner ear)の3つの部分からなる。音波を受容する聴細胞(ちょうさいぼう)は内耳にある。 音は空気の振動であり、空気の波である。音の波を、音波(おんぱ)という。音は、外耳の耳殻で集められ、外耳道を通る。 音は中耳にある鼓膜(こまく、eardrum)を振動させ、耳小骨(じしょうこつ、ossicle)によって振動が増幅される。 振動は内耳にあるうずまき管(cochlea)を満たすリンパ液に伝わる。 リンパ液の振動は、うずまき管内の基底膜を振動させ、基底膜のコルチ器(Corti's organ)と呼ばれる部分の聴細胞(ちょうさいぼう)の感覚毛を変形させ、聴細胞が興奮する。詳しく言うと、リンパ液の振動によって、コルチ器の聴細胞の感覚毛が、その上をおおっているおおい膜(tectorial membrane)と接触し、その結果、コルチ器の聴細胞が興奮して、最終的に聴覚が生じる。 聴細胞の興奮は、聴神経(ちょうしんけい)によって大脳に伝わって、こうして聴覚(ちょうかく)が発生する。 また、耳は聴覚のほかに、からだの傾きなどを感じる平衡覚(へいこうかく)を感じる。 からだの姿勢・動作を知る感覚を、平衡覚(sensation of equilibrium)と呼ぶ。 平衡覚は、前庭(ぜんてい、vestibule)と半規管(はんきかん、semicircular canals)によって感じる。内耳に、前庭と半規管がある。 前庭では、感覚毛(vibrissa)を持った感覚細胞があり、この上に耳石(じせき、otoconium)という石灰質(炭酸カルシウム)の粒子が乗っている。体が傾くと、前庭では耳石が動き、感覚毛を持った感覚細胞が刺激として受け取るので、こうして体の傾きを感じる。耳石のことを平衡砂(へいこうさ)あるいは平衡石(へいこうせき)ともいう。 また、体が回転すると、半規管ではリンパ液がうごき、それを感覚毛をもった有毛の感覚細胞が刺激として受け取るので、こうして体の回転を感じる。 体の回転を止めても、感覚では回りつづけるような感じがする現象、いわゆる「目が回る」現象のある理由は、体の回転を止めてもリンパ液は慣性によって、しばらく流れ続けているからである。 半規管では3個の半円状の管があり、この3個の半規管は、それぞれ直交して約90度をなす配置になっている。この3つの半規管によって、それぞれ前後・左右・水平の3方向の平衡感覚を区別している。 半規管の一方の根元にはふくらんだ部分があり、そこの内部に有毛の感覚細胞がある。 基底膜の振動する箇所が、音の高低によって違う。なお、音の高低の正体とは、音波の振動数の違いであり、振動数が大きいほど音も高い。 振動数が大きい音ほど、うずまき管の入口ちかくのを振動させ、つまり鼓膜に近いがわが振動する。 いっぽう、振動数が小さい音ほど、うずまき管の奥を振動させる。 ヒトは20000Hz(ヘルツ)以上の音を聞き取ることが出来ない。Hzとは1秒間あたりの振動数。つまり20000Hzとは1秒間につき2万回の振動ということ。ヒトが聞き取れないほどに高い音波のことを超音波(ちょうおんぱ、英:ultrasonic)という。コウモリなど、いくつかの動物には、超音波を聞き取れるものがいる。コウモリは飛びながら超音波を発し、反射して帰ってきた超音波を感じることができるので、これによって夜間などでも周囲の状況を知ることができる。 鼻のように気体の化学物質を受容する器官を嗅覚器(きゅうかくき、olfactory organ)と呼び、 その感覚を嗅覚(きゅうかく、olfaction)と呼ぶ。 鼻には、入口の鼻孔(nostril)、その奥の広い鼻腔(nasal cavity)、鼻腔の上部の嗅上皮(きゅうじょうひ、olfactory epithelia)がある。 嗅上皮には、嗅細胞(きゅうさいぼう、olfactory cell)があり、表面の粘液層に繊毛をだし、粘液に溶け出した化学物質を嗅細胞の受容体が受容して興奮する。受容体に種類があり、種類ごとに結合できる物質がちがうので、それによって、においを区別できる。受容体の結合によってイオンチャネルが開き、電位が変化して、興奮する。嗅細胞の興奮が嗅神経によって脳へ伝えられていき、脳で嗅覚として認識する。 舌のように液体の化学物質を受容する器官を味覚器(みかくき、Gustatory organ)と呼び、 その感覚を味覚(みかく、gustation)と呼ぶ。 舌の表面には、舌乳頭(ぜつにゅうとう)と呼ばれるつぶつぶが多数あり、 舌乳頭には、味覚芽(みかくが、gustatory bud)と呼ばれる受容器が多数あり、この味覚芽に受容体がある。 味覚芽には、味孔()と呼ばれる孔の奥に味細胞(みさいぼう、gustatory cell)があり、この味細胞の細胞膜にタンパク質でできた受容体があり、 その味細胞の受容体が水などに溶け出した化学物質を受容する。 ヒトの味覚には、甘味(あまみ)、塩味(しおみ)、苦味(にがみ)、酸味(さんみ)、うま味(うまみ) の5つがある。コンブにふくまれるグルタミン酸ナトリウムなどが、うま味をひきおこす物質である。カツオブシのイノシン酸ナトリウムも、うまみをひきおこす。 日本人の池田菊苗が、グルタミン酸ナトリウムによる、うま味を発見した。なお、池田の弟子の木霊新太郎がカツオブシのイノシン酸ナトリウムのうま味を発見した。 特定企業の商品だが「味の素」の主成分が、グルタミン酸ナトリウムである。 グルタミン酸は核酸の主成分であり、イノシン酸は核酸の主成分である。 塩味など、水などに溶けた化学物質が受容体に結合すると、チャネルが開き、電位が変化してシナプスから神経伝達物質を放出し、味神経を興奮させ、興奮が脳へ伝えられていき、脳で味覚を認識する。 私たちが甘みやうまみを「おいしい」と感じるのは、その感覚を起こす物質が生きるのに必要な場合が多いからである。たとえば甘みなら、砂糖などの糖分が含まれており、エネルギーの摂取に役立つ。うま味の物質はタンパク質やアミノ酸などの場合が多く、肉体を構成するのに必要な物質である。逆に、苦味を「まずい」味だと感じるのは、それが危険な物質である場合が多いからである。酸味は、腐敗物にふくまれる場合があり、そのため、注意が必要な味として感じているだろう、などと思われている。 トウガラシにふくまれる化学物質のカプサイシンの辛み(からみ)は、痛覚を刺激しており、触角に近い「痛み」の感覚であり、純粋な味覚ではない。ところが、このような辛みを、脳は「味」として認識することから、どうやら味覚と触覚の感覚は、似たような受容の仕組みを持っているらしい、とも言われてる。まだ学者たちが辛みについては研究中なので、高校は深入りする必要は無い。 皮膚のように接触の刺激を受容する器官を触覚器()と呼び、 その感覚を触覚()と呼ぶ。 また、皮膚は触覚のほかに温覚、冷覚、痛覚を感じる。 触覚を感じるのはメルケル小体()やマイスナー小体(Meissner corpuscle)やパチーニ小体(pacinian corpuscle)(触点)、 温覚(sensation of warm)を感じるのはルッフィーニ小体()(温点)、 冷覚(cold sensation)を感じるのはクラウゼ小体()(冷点)、 痛覚()を感じるのは痛点(つうてん)という神経の自由末端である。 筋肉の内、骨格筋(きんせんい、skeletal muscle)は、自分の意志で動かすことができる。 骨格筋には、屈筋(くっきん、flexor muscle)と伸筋(しんきん、protractor muscle)があり、これによって腕や脚を曲げたり伸ばしたりできる。 骨格筋の筋繊維(きんせんい、muscle fiber)は多核の細胞であり、 筋繊維の中には多数の筋原線維(きんげんせんい、myofibril)が束になっている。 つまり、筋原繊維の束(たば)が筋繊維である。筋繊維の束が骨格筋などのそれぞれの筋肉である。 筋原繊維は、光学顕微鏡で観察すると、明るい明帯(めいたい)と、暗い暗帯(あんたい)とが、交互に並んでいる。明るく見える部分は明帯(めいたい、light bands)といい、 暗く見える部分は暗帯(あんたい、dark bands)という。 明帯の中央にある仕切りをZ膜()という。 Z膜とZ膜との間をサルコメア(筋節、sarcomere)といい、このサルコメアが筋収縮の単位がある。 筋繊維は細いアクチンフィラメントと、太いほうがミオシンフィラメントで、できている。 アクチンが明帯であり、ミオシンが暗帯である。 この骨格筋の縞模様のことを横紋(おうもん)ともいい、骨格筋には横紋が見られるので骨格筋のことを横紋筋(おうもんきん)ともいう。 ミオシンはATP分解酵素を持っており、運動のためにATPを分解してADPにする。筋肉は、このATPのエネルギーを利用して、力を出している。 なお、一般に、ミオシンのような運動を発生させるタンパク質のことを「モータータンパク質」という。 (※ 専門『生物』の範囲外)余談だが、筋肉組織だけでなく、微小管上を移動するキネシンとダイニンもモータータンパク質であることが知られている。なお、キネシンとダイニンもそれぞれATPを分解する部位を持つ。(※ 一部の教科書で紹介。) 筋収縮では、ミオシンフィラメントの間にアクチンフィラメントが滑り込む。この説を滑り説(すべりせつ、sliding filament model)という。 比喩として、よくアクチンが鉄道などのレールにたとえられ、ミオシンのほうがレールの上を移動する何らかの移動体などに(ミオシンが)例えられる(啓林館の教科書にもある比喩)。 なお、余談だが、植物の原形質流動でも、ミオシンとアクチンとの何らかの相互作用が起きている、と考えられている(※ 参考文献: 第一学習社の専門『生物』)。また、アメーバの運動は、アクチンによるものである(※ 参考文献: 数研出版の専門『生物』)。 筋原繊維は、筋小胞体に囲まれている。 神経の刺激によって活動電位が発生したさい、筋小胞体からCaが放出される。 このCaがの作用で、アクチンフィラメントにあるトロポニンと結合し、アクチンフィラメントに付着しているトロポミオシンの構造が変化することで、トロポミオシンによってさえぎられていたアクチンのミオシン結合部位が露出し、アクチンフィラメントがミオシンと作用できるようになり、よって筋収縮が起きる。こうしてサルコメアが収縮することで、筋収縮が起きている。 カエルのふくらはぎの骨格筋にへの電気刺激の収縮量の測定実験(キモグラフを用いる)で、つぎの段落で説明する単収縮・強縮のしくみが事が明らかになってる。 カエルなどの実験動物の骨格筋に運動神経を付けたまま取り出したものを、神経筋標本という。 実験動物の座骨神経(ざこつ しんけい)のついたままの神経筋標本に、1回の短い電気刺激を与えると、収縮したのち、すぐ(0.1秒ほど)に弛緩(しかん)する。この1回の電気刺激で起こる1回の収縮を単収縮(たんしゅうしゅく、twitch)という。単収縮のことを、れん縮(れんしゅく, spasm)ともいう。 筋肉が弛緩する前に次の電気刺激を行うことを繰り返しつづけると、持続的で強い収縮を行う。この強い収縮を強縮(きょうしゅく、tetanus)という。 動物の骨格筋の運動での収縮は、普通は、強縮である場合が多い。 強縮でも、刺激の頻度が低ければ(1秒間に15回の割合)、測定される波形は、単収縮が重なり合ったようなギザギザした形の不完全強縮になる。刺激の頻度がじゅうぶんに多ければ(1秒間に30回の割合)、完全強縮になる。 筋繊維はニューロンによって制御されているため、神経線維の「全か無かの法則」と同様、1本の筋繊維も、刺激の強さが収縮を起こせる一定値(閾値)以上の強さの刺激があれば筋繊維は収縮し、刺激が一定の強さに届かなければ収縮しない。 閾値は筋繊維の一本一本ごとに違う。 一本の運動ニューロン(motor neuron)が枝分かれして多くの筋繊維を制御する。この一本の運動ニューロンによって管理されている筋肉を、それを管理する運動ニューロンとまとめて、運動単位(うんどうたんい)という。 筋肉が収縮するさいの直接のエネルギー源はATPである。筋肉の収縮は、ATPを消費して、ATPがADPに変化する。ミオシンの頭部にATP結合部位があり、このミオシン頭部がATP分解酵素としても働き、こうしてATPを分解することで筋収縮のエネルギーを得ている。 急激な運動などで、呼吸や解糖によるATP合成が追いつかない場合は、筋肉にたくわえられているクレアチンリン酸(phosphocreatine)を用いて、ATPを合成する。 クレアチンリン酸は、ATPと同様に高エネルギーリン酸結合を持っている。 休息時などでATPが十分にあるときに、ATPのエネルギーを用いて、クレアチンからクレアチンリン酸が合成され、クレアチンリン酸が貯蔵され、エネルギーを蓄えている。 シビレエイやデンキウナギなどが発電器官をもつ生物には発電器官がある。 発電器官は筋肉が変化した発電板()が多数重なってできている。 発電版には片側に神経が分布している。 発電版は普段は外側が+で内側が-であり、発電器官を電流が流れることはないが、 興奮時は神経が分布している側の電位が逆になり、発電板が直列につながることで高電圧を生じる。 シビレエイは50~60V、デンキウナギは800Vの起電力が測定される。 ホタルは腹部に発光器官を持つ。 発光器官をもつ生物には、ホタル、ホタルイカ、オキアミなどが挙げられる。 ホタルの発光器官は発光細胞層()と反射細胞層()からなる。 発光細胞層から発光物質を分泌し、気管から取り込んだ酸素と反応させ発光させ、反射細胞層で光を外側に反射する。 ウミホタルは口の近くの発光腺から発光物質を分泌する。 この物質が体外で酸化し発光する。 ホタルは、雌と雄とが出会う手段として、自己の発光を利用している。 ・ルシフェリンとルシフェラーゼ ホタルの尻尾にある器官に、発光物質のルシフェリンがある。ルシフェリンが、酵素のルシフェラーゼが触媒として、ATPと酸素O2と反応して、酸化ルシフェリン(オキシルシフェリン)になる。この反応に伴って、発光が起こる。 ・ルシフェリンの応用(おぼえなくて良い。範囲外。参考。) よってATPの量の測定手段として、ルシフェリンと蛍光光度計を用いることにより、ATP量が測定できる。微生物量測定などのバイオテクノロジーにもルシフェリンが利用されている。また、遺伝子組み換え実験などでも、暗闇で光らせられるので、目的の細胞を見分けるためのマーカーとしても利用されている。 ATP量の測定については、反応する前のルシフェリンとルシフェラーゼの量を、一定にしておけば、ATPの量によって発光の強さが変わるからである。ところで、ほとんどの細菌は体内にATPをもつから、ルシフェリンを用いて、細菌の量を測定できる。つまり、微生物による汚染の度合いを測定できる。 遺伝子組み換えについては、ルシフェラーゼをつくる遺伝子を目的の細胞に導入しておくと、ルシフェラーゼの導入された植物は、暗闇で光り輝くので、融合が成功したかどうかを確かめることができる。ルシフェラーゼ遺伝子のように、細胞融合が成功したかどうかを確かめるための遺伝子をマーカーという。 動物の体色が変化する現象を体色変化()と呼ぶ。 体色変化する生物には、ヒラメやカメレオンなどが挙げられる。 メダカの体色変化は、色素胞(しきそほう)と呼ばれる細胞で、内部にある色素果粒()が、神経やホルモンの働きにより、凝縮したり拡散したりすることで起こる。 生物が能動的に音を出すことを発音と呼び、 発音を行う器官を発音器官()と呼ぶ。 ヒトの発音器官は咽頭部の声門(glottis)である。 声門の軟骨の間にある声帯(vocal cord)と呼ばれる部分が、通過する空気によって振動して声が出る。 特定の物質を分泌する器官を腺(せん、gland)と呼ぶ。 腺には、体外に分泌する外分泌腺(がいぶんぴせん、exocrine gland)と、体内に分泌する内分泌腺(ないぶんぴせん、endocrine gland)がある。 内分泌腺はホルモンを体内の血流に分泌する。内分泌されたホルモンは血流によって全身に運ばれる。 外分泌腺には、皮膚で汗を分泌する汗腺(かんせん、sweat gland)や、口で唾液を分泌する だ腺(だせん、salivary gland)などがある。 分泌物は腺細胞()で作られ、排出管()を通り分泌される。 刺激をある器官から別の器官へ伝える器官系を神経系(しんけいけい、nervous system)と呼ぶ。 神経系はニューロン(neuron)と呼ばれる神経細胞から成り立っている。 ニューロンは、細胞体(さいぼうたいcell body)と、細胞体の周りの多数の樹状突起(じゅじょうとっき、dendrite)と、細胞体から伸びる一本の軸索(じくさく、axon)からなる。 軸索はシュワン細胞(Schwann cell)でできた神経鞘(しんけいしょう、neurilemma)で囲まれており、軸索と神経鞘をあわせて神経線維(nerve fiber)と呼ぶ。 神経線維には髄鞘のある有髄神経線維()と、髄鞘のない無髄神経線維()とがある。 有髄神経線維の髄鞘のないくびれをランビエ絞輪(ランビエこうりん、Ranvier's constriction ring)と呼ぶ。 ニューロンとニューロンの連結部をシナプス(synapse)と呼ぶ。 刺激を受けた細胞が休止状態から活動状態になることを興奮(こうふん、excitation)と呼ぶ。 興奮がニューロンの中を伝わることを伝導(でんどう、conduction)と呼び、 シナプスを介してあるニューロンから別のニューロンへ刺激の情報が伝わることを伝達(でんたつ、transmission)と呼ぶ。 伝導はニューロンの電気的変化で伝えられる。この電気を起こす正体はニューロンの細胞膜にあるイオンポンプやイオンチャネルの働きである。そのため、神経細胞は体液に取り囲まれている。神経での伝導は、金属の電気伝導などとはちがい、ニューロンの興奮の伝導では電気が伝わるのに時間が掛かる。(無髄神経線維を興奮が伝導する速さは1m/秒程度。 有髄神経線維を興奮が伝導する速さは100m/秒程度である。) ニューロンの細胞内は刺激を受ける前、細胞内は負に帯電しており、膜外を基準にすると膜内は -90mV ~ -60mV ( 平均 -70mV ) の負の電位をもっており、このような刺激を受ける前の膜内の負の電位を静止電位(せいしでんい、resting potential)という。 ニューロンの一部に刺激を受けると、一瞬、刺激を受けた場所の電位が変化する。 まず、刺激を受けた直後、刺激を受けた場所の細胞内の電位は一瞬、細胞の内側が外側よりも高い電位になり、細胞内は約+40mVの電位をもつ。その後、すぐ(約1/1000秒)もとの静止電位にもどる。このような電位の変化を活動電位(かつどうでんい、action potential)という。 神経の興奮の正体は、活動電位の発生である。 ニューロンの一部分の興奮は、ニューロン上のとなりの細胞へと伝わっていく。これが伝導(でんどう)である。その結果、興奮は、ニューロン線維の両側へと伝導していき、ニューロンの両端まで伝わっていく。 神経細胞の活動電位にも、神経細胞の膜表面にあるイオンチャネルとナトリウムポンプが関係している。 1 2 3 4 1本のニューロンは、刺激の強さが一定値より弱いと興奮しない。この、さかいめの一定値を閾値(いきち)という。閾値以上だとニューロンは興奮し、その興奮の大きさは刺激の強さによらず一定であり、活動電位の大きさは一定である。 ニューロンは、刺激に対して、興奮するか、興奮しないか、のどちらか2通りだけである。 ニューロンの、このような反応の現れ方を全か無かの法則(ぜんかむかのほうそく、all-or-none law)と呼ぶ。 このようにして軸索のある箇所に活動電位が起こると、興奮部と隣接する静止部の間に電流が生じ、その電流を活動電流(かつどうでんりゅう、action current)という。活動電流によって隣(となり)の静止部に興奮が起き、さらに、その興奮によって、そのまた隣の静止部に興奮が起き・・・、というように活動電流によって次々と興奮が伝わっていく。 これを興奮の伝導(でんどう、conduction)という。 興奮をした直後の部位は、しばらく興奮しない状態になる。しくみは、イオンチャネルがしばらく不活性になるからである。この興奮直後の部位の刺激に応答しない時期のことを、不応期(ふのうき)という。 このため、刺激を受けた場所には興奮は戻らず、刺激は静止している側へと伝わっていく。 興奮を伝わる速度は、無髄神経繊維よりも、有髄神経線維のほうが、興奮の伝わる速度が速い。 この理由は、有髄神経繊維では髄鞘(ずいしょう)は電気を通しにくい電気絶縁体であり、活動電流がランビエ絞輪(ランビエこうりん)から隣のランビエ絞輪へと飛び飛びに伝わるためである。このように有髄神経線維にて、興奮がとびとびに絞輪から次の絞輪へと伝導する現象のことを跳躍伝導(ちょうやくでんどう、 saltatory conduction)という。 無髄神経繊維を興奮が伝導する速さは1m/秒程度で、 有髄神経繊維を興奮が伝導する速さは100m/秒程度である。 文献によって、伝導速度や太さや温度などの細かな数値は、少し違う。なので、細かい数値は、おぼえなくて良い。たとえばネコの場合、文献によって、伝導速度が120だったり110だったり100だったりする。だいたいの数値を把握すればよい。 ※参考文献(伝導速度の数値の出典) その他、各社の教科書や参考書などを参考文献・引用文献にした。 軸策が太いほど、伝導速度が速い。また、温度が40°C未満なら、温度が高いほど、伝導速度が速い。40°C以上に温度が高くなると、伝導しにくくなる。 イカやミミズは、太い神経軸策(巨大神経軸策)を持っており、そのぶん、興奮が伝わる速度も速い。逃げるさいなど、巨大軸策のおかげで信号が早く伝わるので行動の開始が早く、生存に有利だったと考えられている。 ふつう、神経は多数の軸策からなっている。 刺激が大きいほど、神経細胞の興奮の発生頻度が多くなる。なぜなら刺激が強いほど、個々のニューロンでの興奮の頻度も増え、また、多くの感覚細胞が反応することでニューロンも多数が反応するからである。 脳で感じる興奮の大きさの感覚の正体は、神経細胞から伝えられた興奮の発生頻度である。興奮の頻度が高いほど、脳で感じる興奮が大きくなる。 一つの軸索の先端と、他の神経細胞または筋肉などの効果器との間の部分をシナプスという。神経と筋肉との間のこともシナプスという。一つの神経の信号は、シナプスを経て、つぎの神経または効果器へと伝わる。 シナプスには、小さな隙間(すきま、かんげき)があり、シナプス間隙(シナプスかんげき)という。 シナプスから次のニューロンへと信号を伝える方法は、化学物質の分泌(ぶんぴ、ぶんぴつ)による。そのシナプスでの分泌物を神経伝達物質(しんけいでんたつぶっしつ、neurotransmitter)といい、軸索の末端から分泌される。神経伝達物質には、ノルアドレナリンやアセチルコリン、セロトニン(serotonin)、γアミノ酪酸(ガンマアミノらくさん)、ドーパミン(dopamine)などがある。 交感神経の末端からはノルアドレナリンが分泌される。副交感神経の末端からはアセチルコリンが分泌される。筋肉を動かす神経である運動神経の末端からはアセチルコリンが分泌される。 軸索の末端の内部には、つぶ状のシナプス小胞(シナプスしょうほう、synaptic vesicle)という物質があり、このシナプス小胞に伝達物質が含まれている。シナプスに興奮が伝わるとシナプス小胞から、アセチルコリン(acetylcholine)、ノルアドレナリン(noradrenaline)などの神経伝達物質(neurotransmitter)が分泌されることで、となりの細胞に興奮が伝えられる。 軸索の末端に、電位に依存するカルシウムチャネル( Caチャネル )があり、このCaチャネルに活動電位が到達することで、このチャネルが開き、Caが軸策末端の細胞内に流入する。このCaの流入によって、シナプス小胞の膜が 軸策末端の膜(シナプス前膜) と融合し、神経伝達物質がシナプス間隙に放出される。 シナプスのうち、放出側の細胞のほうをシナプス前細胞(シナプスぜんさいぼう)といい、その放出側のシナプス前細胞の細胞膜を、シナプス前膜(シナプスせんまく)という。シンプスのうち、受け取り側の細胞のほうをシナプス後細胞(シナプスこうさいぼう)といい、そのシナプス後細胞の細胞膜をシナプス後膜(シナプスこうまく)という。 受取り側の、となりの細胞の細胞膜には、伝達物質の受容体があり、さらに、その受容体によって働きの変わるイオンチャネルがある。(受容体がイオンチャネルを兼ね備えている場合もあるし(イオンチャネル型受容体)、受容体とイオンチャネルがそれぞれ存在する場合もある。 ※ 高校の範囲外だろう。) さて、伝達物質に依存するイオンチャネルが、受け取り側の細胞膜に存在している。伝達物質依存性のイオンチャネルが、伝達物質と受容体との結合によって働いて、興奮についての信号がとなりの細胞に伝わる。シナプスでの興奮が一方向( シナプス → となりの細胞 )に伝達され、信号は逆流はしない。 シナプスを介してある軸索から、となりの細胞へ興奮についての情報が伝わることを伝達(でんたつ)と呼ぶ。シナプスから出る化学物質によって、興奮の情報は伝達される。 シナプスで放出される神経伝達物質には、興奮をさせる興奮性の物質と、興奮をさせにくくする抑制性の物質とがある。興奮性の物質にはアセチルコリンやノルアドレナリンがある。抑制性の物質には、γアミノ酪酸(ガンマアミノらくさん、GABA)やグリシンがある。 さて、興奮性の神経伝達の場合では、Naチャネルが開き、Naが細胞内に流入して、活動電位が生じる。シナプスに限らず、神経細胞の興奮は、ナトリウムイオンの神経細胞内への流入によって起きている。いっぽう、抑制性の神経伝達物質の場合は、Clチャネル(読み:「クロライドチャネル」)が開き、Clが細胞内に流入する。 これらのイオンチャネルの働きによって、受け取り側の細胞での膜電位が変わるので、膜電位の高低によって、興奮や抑制の、コントロールが行われている。 Naチャネルが開けば膜電位は高まり、膜電位が高まれば、受け取り側の細胞は興奮をする。 いっぽう、Clチャネルが開けば膜電位は下がり、膜電位が低ければ、受け取り側の細胞は抑制される。 NaチャネルとClチャネルの両方が開けば、膜電位の高低が打ち消しあう。 しだいに神経伝達物質は、再吸収されたり、あるいは酵素(コリンエステラーゼなど)によって分解されたりするので、興奮や抑制は、しだいに終わっていく。そして、次に来る信号が伝達可能になる。 興奮性の伝達物質を放出するシナプスを興奮性シナプス(excitatory synapse)といい、いっぽう、抑制性の伝達物質を放出するシナプスを抑制性シナプス(inhibitory synapse)という。 シナプスの後膜の電位のことを後電位(こうでんい)あるいは後膜電位(こうまくでんい)という。興奮性シナプスの後電位のことを興奮性シナプス後電位(EPSP:excitatory postsynaptic potential)という。抑制性シナプスの後電位のことを抑制性シナプス後電位(IPSP:inhibitory postsynaptic potential)という。 シナプスで情報がシナプス前細胞からシナプス後細胞に伝わるのに、約1ミリ秒~2ミリ秒がかかり、この遅れ(おくれ)のことをシナプス遅延(シナプスちえん)という。 神経毒のサリンは、アセチルコリンの分解を行う酵素(コリンエステラーゼ)の働きを、さまたげる。(数研の(チャート式だけでなく)専門生物の検定教科書にも書いてある。) 神経系の種類には、神経細胞(ニューロン)が体全体に散在し網目状に連絡している散在神経系(diffuse nervous system)と、脳・脊髄などに神経細胞(ニューロン)のあつまった集中神経系(concentrated nervous system)がある。 脳・脊髄・神経節などをまとめて中枢神経系(ちゅうすうしんけいけい、central nervous system)という。集中神経系の動物の神経のうち、中枢神経以外の部分の神経を末梢神経系(まっしょうしんけいけい)という。 散在神経系をもつ生物にはイソギンチャクやヒドラやクラゲなどがあげられる。 集中神経系は、脊椎動物などにみられる。ミミズやプラナリアの神経は、集中神経系である。バッタ・ハチなど昆虫の神経系は集中神経系である。 感覚器で受けた刺激の情報は感覚神経によって脳(のう、brain)へ送られ、 脳はその情報を判断し、 運動神経によって効果器に情報が送られ反応する。 脊椎生物の脳は大脳(だいのう、cerebrum)、間脳(かんのう、diencephalon)、中脳(ちゅうのう、midbrain)、小脳(しょうのう、cerebellum)、延髄(えんずい、medulla oblongata)からなる。 ヒトの脳には約一千億個のニューロンがあり、そのニューロンには数千のシナプスがあり、複雑なネットワークを形作っている。 大脳の構造は、左右の半球に分かれており、それら左右を結ぶ脳梁(のうりょう、corpus callosum)がある。 両半球は表層は大脳皮質(だいのうひしつ、cerebral cortex)でおおわれており、ニューロンの細胞体があつまって灰色をしているため 灰白質(かいはくしつ)という。 内部には大脳髄質(だいのうずいしつ、cerebral medulla)があり、多くの神経線維が通っていて白色をしているため 白質(はくしつ)という。 大脳皮質には、新皮質(しんひしつ、neocortex)と、古皮質(こひしつ)および原皮質(げんひしつ)からなる辺縁皮質(へんえんひしつ)がある。ヒトの大脳では新皮質が発達している。ヒトの古皮質および原皮質は、大脳に囲まれており、そのため内側に古皮質および原皮質が隠れている。 新皮質には視覚・聴覚など感覚の中枢があり( 感覚野(かんかくや、sensory cortex) )、また、運動の中枢があり( 運動野(うんどうや、motor cortex) )、また、記憶・思考・理解などの学習を必要とする精神活動をつかさどる中枢( 連合野(れんごうや、association cortex) がある。 辺縁皮質は、本能などを司る。辺縁皮質にふくまれる海馬(かいば、hippocampus)という部分が記憶を主につかさどる。 中脳・間脳・延髄を 脳幹(のうかん、brainstem) という。 間脳の位置は中脳と大脳の間に位置し、構造は視床(ししょう、thalamus)と視床下部(ししょうかぶ、hypothalamus)に分かれている。視床下部に自律神経系の中枢があり、体温の調整や内臓の働きを調整している。また、視床下部は脳下垂体(のうかすいたい)とつながっており、ホルモンの分泌を調整しており、血糖値を調整している。視床は大脳への感覚を中継する。 中脳の構造は、間脳の後方、小脳の上方に位置している。 中脳の働きは、間脳と小脳との通路になっている。眼球運動や瞳孔反射の中枢、聴覚反射、姿勢制御などを司る中枢がある。 小脳の構造は、大脳の後下部に位置している。 小脳には、体の平衡、筋肉の運動機能を司る中枢がある。 延髄の構造は、脳の最下部に位置し、脊髄に続いている。 延髄には、呼吸・血液循環(心臓の拍動)・消化などを司る中枢がある。 延髄より下の体の右側は、脳の左側が担当する。延髄より下の体の左側は、脳の右側が担当する。なぜなら、神経が延髄を通るときに、多くの神経で、左右が交差するからである。したがって脳の右側が損傷すると、体の左側が麻痺(まひ)・不随(ふずい)になる。 参考: 血液脳関門(けつえき のうかんもん) (※未執筆) さて、中学で習うように、生物学の神経分野でいう「反射」とは、たとえば熱いものに手が触れたときには、思わず手を引っ込めるように、意識とは無関係にすばやく行われる反応である。 また、大脳を介さない反応もあり、脊髄がそのような、大脳を介さない反射の中枢になっているので、そのように大脳を介さないで脊髄が中枢になっている反射のことを脊髄反射(せきずいはんしゃ、spinal reflex)という。 脊髄反射には屈筋反射(くっきんはんしゃ、flexor reflex)やしつがい腱反射(しつがいけんはんしゃ、膝蓋腱反射、knee jerk)などの反射がある。 しつがい腱反射とは、ひざの骨のすぐ下を軽く叩くと、足が勝手に跳ね上がる現象のことである。 しつがい腱反射なら、打撃により、ひざ部の筋紡錘が興奮し、その興奮による信号が感覚神経を伝わっていく。 しつがい腱反射に限らず一般に反射のさい、興奮が伝わる経路のことを 反射弓(はんしゃきゅう、reflex arc)と呼ぶ。 しつがい腱反射の場合の反射弓は である。 反射は大脳を経由しないため無意識で素早く行われる。 しつがい腱反射は、大脳を介さないので、脊髄反射に分類される。 しつがい腱反射では、しつがい腱をたたくと、大腿四頭筋が縮み、膝関節が伸びる反射を起こす。しつがい腱反射での神経中のシナプスの数は、しつがい腱反射では介在ニューロンを経由せず、よってシナプスは1つである。 屈筋反射(くっきんはんしゃ)では、例えば熱いものに触れた時、手を思わず引っ込めるような、屈筋が縮む反射を起こす。屈筋反射での神経中のシナプスの数は、屈筋反射では介在ニューロンを経由するため、シナプスは2つである。 屈筋反射は、大脳を介さないので、脊髄反射に分類される。 その他の反射として、口に物を入れたときの、だ液の分泌も反射である。だ液の反射中枢は延髄にある。暑いときの発汗も反射である。 目の瞳孔が、光を受けると縮小する、瞳孔の縮小も反射である。瞳孔の反射中枢は中脳にある。 内臓の働きや、消化や、体内のホルモンや血糖の調整なども意識とは無関係に行われるが、これらの現象も「反射」であるとして分類されている(※ 検定教科書の範囲)。内臓など、こういった働きを制御している神経のことを自律神経と言うので、「自律神経」が内臓などの「反射」を調節していると言える。 末梢神経系には、脳から伸びる脳神経(cranial nerves)と、脊髄から伸びる脊髄神経(spinal nerves)とがある。 また、末梢神経系は、体の感覚や運動に関する体性神経系(たいせいしんけいけい、somatic nervous system)と、 意思とは無関係に働く自律神経系(じりつしんけいけい、autonomic nervous system)に分けることもできる。 体性神経系には、感覚神経(sensory nerve)と運動神経(motor neuron)がある。 自律神経系には、交感神経(こうかんしんけい、sympathetic nerve)と副交感神経(ふくこうかんしんけい、parasympathetic nerve)がある。交感神経と副交感神経は対抗的に働くことが多い。() ヒトの脳神経は12対であり、脊髄神経は31対である。 現過程・新課程の基礎なし科目「生物」に詳細を載せたのでそちらを見てください。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "高等学校生物 > 生物I > 環境と動物の反応", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "", "title": "" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "生物に作用して反応を起こさせる要因を刺激()と呼ぶ。 眼や耳などの、刺激を受け取る器官を受容器(じゅようき、receptor)という。生物が刺激に対して活動を起こすことを反応(reaction)と呼ぶ。 反応は筋肉や腺などの効果器(こうかき、effector)で引き起こされる。効果器のことを作動体ともいう。そして受容器と効果器との間は神経系で結ばれている。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "受容から反応まで、次のような順序である。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "また、刺激を受けた感覚細胞が活動状態となることを興奮(こうふん)という。興奮の正体は、細胞膜の電気的な変化である。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 6, "tag": "p", "text": "受容器はそれぞれ受容する刺激が決まっており、受容できる刺激を適刺激(てきしげき、adequate stimuli)と呼ぶ。 ヒトの五感と受容器と適刺激は次の表のようになっている。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 7, "tag": "p", "text": "感覚細胞は一定以上の強さの適刺激を受けないと興奮しない。興奮するための刺激の最小値のことを閾値(いきち、threshold)という。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 8, "tag": "p", "text": "眼のように光を受容する器官を'視覚器(optic organ)'と呼び、 光の感覚を視覚(vision)と呼ぶ。 ヒトの眼はカメラとよく似た仕組みになっており、このヒトの眼の仕組みをカメラ眼という。 眼は、水晶体(すいしょうたい、lens)で光を屈折し、網膜(もうまく、retina)に像を上下左右逆に結ぶ。カメラに例えると、水晶体がレンズに相当し、網膜がフィルムに相当する。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 9, "tag": "p", "text": "ヒトの眼での遠近のピント調整は、カメラでいうレンズに相当する水晶体の厚さをかえることで遠近のピントを調整している。機械式カメラとは違って、レンズの前後移動に相当するような仕組みは無い。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 10, "tag": "p", "text": "ヒトの眼は、前部の表面に角膜(cornea)があり、その内側に瞳孔(pupil)と虹彩(iris)があり、さらにその内側に水晶体(lens)とチン小帯(Zonule of Zinn)と毛様体(ciliary body)がある。 内部には球形のガラス体(Vitreous humour)があり、それを囲むように網膜(retina)がある。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 11, "tag": "p", "text": "網膜の盲斑(もうはん、blind spot)からは視神経が伸びている。盲斑には視細胞(しさいぼう、visual cell)が無く、そのため、盲斑に像が写っても見えない。盲斑のことを盲点(もうてん)ともいう。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 12, "tag": "p", "text": "光は視細胞で電気信号にかえられ、その電気信号が視神経を通り脳(主に大脳)へ送られ、視覚が発生する。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 13, "tag": "p", "text": "網膜の視細胞(visual 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"白色の光は、赤・青・緑のすべての色をふくんでいる光であり、白色光があたると三種類の錐体細胞が三種類とも興奮する。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 20, "tag": "p", "text": "動物によっては、錐体細胞の種類の数が異なり、そのためヒトとは異なる色の世界を見ている動物も多い。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 21, "tag": "p", "text": "かん体細胞にはロドプシンという感光する物質が含まれている。ロドプシンの色が紅色なので視紅(しこう)ともいう。ロドプシンに光が当たると、レチナールとオプシン(タンパク質の一種)に分解される。この際、かん体細胞での細胞膜のイオンの透過性が変化し、そのため細胞が興奮する。 ロドプシンはビタミンAから作られる。そのためビタミンAが不足するとロドプシンが不足するので、暗いところで物が見えなくなる夜盲症(やもうしょう)になる。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 22, "tag": "p", "text": "暗いところから明るいところになったとき、 視覚器が次第になれてくることを明順応(めいじゅんのう、light adaptation)といい、 その逆を暗順応(あんじゅんのう、dark adaptation)という。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 23, "tag": "p", "text": "明順応の仕組み", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 24, "tag": "p", "text": "暗順応の仕組み", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 25, "tag": "p", "text": "", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 26, "tag": "p", "text": "眼は、明暗を虹彩にある瞳孔を拡大縮小することで調節している。明るい所では瞳孔は小さくなる。暗いところでは瞳孔が大きくなる。 また、遠近を水晶体を厚くしたり薄くしたりすることで調節している。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 27, "tag": "p", "text": "遠くを見るとき、水晶体はチン小帯に引っ張られてうすくなり、このため焦点距離が長くなり(屈折率は小さくなり)、遠くの物が網膜上に像を結ぶ。チン小帯は毛様体の筋肉に引っ張られて調節される。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 28, "tag": "p", "text": "いっぽう、近くを見るとき、チン小帯がゆるみ、水晶体は自らの弾性で厚くなる。このため屈折率が大きくなり焦点距離が短くなり、ちかくの物が網膜上に像を結ぶ。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 29, "tag": "p", "text": "", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 30, "tag": "p", "text": "ヒトの耳のように音を受容する器官を聴覚器(ちょうかくき、auditory organ)と呼び、 音の感覚を聴覚(ちょうかく、hearing)と呼ぶ。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 31, "tag": "p", "text": "ヒトの耳は、外耳(がいじ、outer ear)、中耳(ちゅうじ、middle ear)、内耳(ないじ、inner ear)の3つの部分からなる。音波を受容する聴細胞(ちょうさいぼう)は内耳にある。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 32, "tag": "p", "text": "音は空気の振動であり、空気の波である。音の波を、音波(おんぱ)という。音は、外耳の耳殻で集められ、外耳道を通る。 音は中耳にある鼓膜(こまく、eardrum)を振動させ、耳小骨(じしょうこつ、ossicle)によって振動が増幅される。 振動は内耳にあるうずまき管(cochlea)を満たすリンパ液に伝わる。 リンパ液の振動は、うずまき管内の基底膜を振動させ、基底膜のコルチ器(Corti's organ)と呼ばれる部分の聴細胞(ちょうさいぼう)の感覚毛を変形させ、聴細胞が興奮する。詳しく言うと、リンパ液の振動によって、コルチ器の聴細胞の感覚毛が、その上をおおっているおおい膜(tectorial membrane)と接触し、その結果、コルチ器の聴細胞が興奮して、最終的に聴覚が生じる。 聴細胞の興奮は、聴神経(ちょうしんけい)によって大脳に伝わって、こうして聴覚(ちょうかく)が発生する。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 33, "tag": "p", "text": "", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 34, "tag": "p", "text": "また、耳は聴覚のほかに、からだの傾きなどを感じる平衡覚(へいこうかく)を感じる。 からだの姿勢・動作を知る感覚を、平衡覚(sensation of equilibrium)と呼ぶ。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 35, "tag": "p", "text": "平衡覚は、前庭(ぜんてい、vestibule)と半規管(はんきかん、semicircular canals)によって感じる。内耳に、前庭と半規管がある。 前庭では、感覚毛(vibrissa)を持った感覚細胞があり、この上に耳石(じせき、otoconium)という石灰質(炭酸カルシウム)の粒子が乗っている。体が傾くと、前庭では耳石が動き、感覚毛を持った感覚細胞が刺激として受け取るので、こうして体の傾きを感じる。耳石のことを平衡砂(へいこうさ)あるいは平衡石(へいこうせき)ともいう。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 36, "tag": "p", "text": "また、体が回転すると、半規管ではリンパ液がうごき、それを感覚毛をもった有毛の感覚細胞が刺激として受け取るので、こうして体の回転を感じる。 体の回転を止めても、感覚では回りつづけるような感じがする現象、いわゆる「目が回る」現象のある理由は、体の回転を止めてもリンパ液は慣性によって、しばらく流れ続けているからである。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 37, "tag": "p", "text": "半規管では3個の半円状の管があり、この3個の半規管は、それぞれ直交して約90度をなす配置になっている。この3つの半規管によって、それぞれ前後・左右・水平の3方向の平衡感覚を区別している。 半規管の一方の根元にはふくらんだ部分があり、そこの内部に有毛の感覚細胞がある。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 38, "tag": "p", "text": "基底膜の振動する箇所が、音の高低によって違う。なお、音の高低の正体とは、音波の振動数の違いであり、振動数が大きいほど音も高い。 振動数が大きい音ほど、うずまき管の入口ちかくのを振動させ、つまり鼓膜に近いがわが振動する。 いっぽう、振動数が小さい音ほど、うずまき管の奥を振動させる。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 39, "tag": "p", "text": "ヒトは20000Hz(ヘルツ)以上の音を聞き取ることが出来ない。Hzとは1秒間あたりの振動数。つまり20000Hzとは1秒間につき2万回の振動ということ。ヒトが聞き取れないほどに高い音波のことを超音波(ちょうおんぱ、英:ultrasonic)という。コウモリなど、いくつかの動物には、超音波を聞き取れるものがいる。コウモリは飛びながら超音波を発し、反射して帰ってきた超音波を感じることができるので、これによって夜間などでも周囲の状況を知ることができる。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 40, "tag": "p", "text": "", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 41, "tag": "p", "text": "鼻のように気体の化学物質を受容する器官を嗅覚器(きゅうかくき、olfactory organ)と呼び、 その感覚を嗅覚(きゅうかく、olfaction)と呼ぶ。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 42, "tag": "p", "text": "鼻には、入口の鼻孔(nostril)、その奥の広い鼻腔(nasal cavity)、鼻腔の上部の嗅上皮(きゅうじょうひ、olfactory epithelia)がある。 嗅上皮には、嗅細胞(きゅうさいぼう、olfactory cell)があり、表面の粘液層に繊毛をだし、粘液に溶け出した化学物質を嗅細胞の受容体が受容して興奮する。受容体に種類があり、種類ごとに結合できる物質がちがうので、それによって、においを区別できる。受容体の結合によってイオンチャネルが開き、電位が変化して、興奮する。嗅細胞の興奮が嗅神経によって脳へ伝えられていき、脳で嗅覚として認識する。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 43, "tag": "p", "text": "", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 44, "tag": "p", "text": "舌のように液体の化学物質を受容する器官を味覚器(みかくき、Gustatory organ)と呼び、 その感覚を味覚(みかく、gustation)と呼ぶ。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 45, "tag": "p", "text": "舌の表面には、舌乳頭(ぜつにゅうとう)と呼ばれるつぶつぶが多数あり、 舌乳頭には、味覚芽(みかくが、gustatory bud)と呼ばれる受容器が多数あり、この味覚芽に受容体がある。 味覚芽には、味孔()と呼ばれる孔の奥に味細胞(みさいぼう、gustatory cell)があり、この味細胞の細胞膜にタンパク質でできた受容体があり、 その味細胞の受容体が水などに溶け出した化学物質を受容する。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 46, "tag": "p", "text": "ヒトの味覚には、甘味(あまみ)、塩味(しおみ)、苦味(にがみ)、酸味(さんみ)、うま味(うまみ) の5つがある。コンブにふくまれるグルタミン酸ナトリウムなどが、うま味をひきおこす物質である。カツオブシのイノシン酸ナトリウムも、うまみをひきおこす。 日本人の池田菊苗が、グルタミン酸ナトリウムによる、うま味を発見した。なお、池田の弟子の木霊新太郎がカツオブシのイノシン酸ナトリウムのうま味を発見した。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 47, "tag": "p", "text": "特定企業の商品だが「味の素」の主成分が、グルタミン酸ナトリウムである。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 48, "tag": "p", "text": "グルタミン酸は核酸の主成分であり、イノシン酸は核酸の主成分である。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 49, "tag": "p", "text": "塩味など、水などに溶けた化学物質が受容体に結合すると、チャネルが開き、電位が変化してシナプスから神経伝達物質を放出し、味神経を興奮させ、興奮が脳へ伝えられていき、脳で味覚を認識する。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 50, "tag": "p", "text": "私たちが甘みやうまみを「おいしい」と感じるのは、その感覚を起こす物質が生きるのに必要な場合が多いからである。たとえば甘みなら、砂糖などの糖分が含まれており、エネルギーの摂取に役立つ。うま味の物質はタンパク質やアミノ酸などの場合が多く、肉体を構成するのに必要な物質である。逆に、苦味を「まずい」味だと感じるのは、それが危険な物質である場合が多いからである。酸味は、腐敗物にふくまれる場合があり、そのため、注意が必要な味として感じているだろう、などと思われている。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 51, "tag": "p", "text": "トウガラシにふくまれる化学物質のカプサイシンの辛み(からみ)は、痛覚を刺激しており、触角に近い「痛み」の感覚であり、純粋な味覚ではない。ところが、このような辛みを、脳は「味」として認識することから、どうやら味覚と触覚の感覚は、似たような受容の仕組みを持っているらしい、とも言われてる。まだ学者たちが辛みについては研究中なので、高校は深入りする必要は無い。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 52, "tag": "p", "text": "", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 53, "tag": "p", "text": "皮膚のように接触の刺激を受容する器官を触覚器()と呼び、 その感覚を触覚()と呼ぶ。 また、皮膚は触覚のほかに温覚、冷覚、痛覚を感じる。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 54, "tag": "p", "text": "触覚を感じるのはメルケル小体()やマイスナー小体(Meissner corpuscle)やパチーニ小体(pacinian corpuscle)(触点)、 温覚(sensation of warm)を感じるのはルッフィーニ小体()(温点)、 冷覚(cold sensation)を感じるのはクラウゼ小体()(冷点)、 痛覚()を感じるのは痛点(つうてん)という神経の自由末端である。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 55, "tag": "p", "text": "", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 56, "tag": "p", "text": "筋肉の内、骨格筋(きんせんい、skeletal muscle)は、自分の意志で動かすことができる。 骨格筋には、屈筋(くっきん、flexor muscle)と伸筋(しんきん、protractor muscle)があり、これによって腕や脚を曲げたり伸ばしたりできる。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 57, "tag": "p", "text": "骨格筋の筋繊維(きんせんい、muscle fiber)は多核の細胞であり、 筋繊維の中には多数の筋原線維(きんげんせんい、myofibril)が束になっている。 つまり、筋原繊維の束(たば)が筋繊維である。筋繊維の束が骨格筋などのそれぞれの筋肉である。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 58, "tag": "p", "text": "筋原繊維は、光学顕微鏡で観察すると、明るい明帯(めいたい)と、暗い暗帯(あんたい)とが、交互に並んでいる。明るく見える部分は明帯(めいたい、light bands)といい、 暗く見える部分は暗帯(あんたい、dark bands)という。 明帯の中央にある仕切りをZ膜()という。 Z膜とZ膜との間をサルコメア(筋節、sarcomere)といい、このサルコメアが筋収縮の単位がある。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 59, "tag": "p", "text": "筋繊維は細いアクチンフィラメントと、太いほうがミオシンフィラメントで、できている。 アクチンが明帯であり、ミオシンが暗帯である。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 60, "tag": "p", "text": "この骨格筋の縞模様のことを横紋(おうもん)ともいい、骨格筋には横紋が見られるので骨格筋のことを横紋筋(おうもんきん)ともいう。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 61, "tag": "p", "text": "ミオシンはATP分解酵素を持っており、運動のためにATPを分解してADPにする。筋肉は、このATPのエネルギーを利用して、力を出している。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 62, "tag": "p", "text": "なお、一般に、ミオシンのような運動を発生させるタンパク質のことを「モータータンパク質」という。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 63, "tag": "p", "text": "(※ 専門『生物』の範囲外)余談だが、筋肉組織だけでなく、微小管上を移動するキネシンとダイニンもモータータンパク質であることが知られている。なお、キネシンとダイニンもそれぞれATPを分解する部位を持つ。(※ 一部の教科書で紹介。)", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 64, "tag": "p", "text": "", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 65, "tag": "p", "text": "筋収縮では、ミオシンフィラメントの間にアクチンフィラメントが滑り込む。この説を滑り説(すべりせつ、sliding filament model)という。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 66, "tag": "p", "text": "比喩として、よくアクチンが鉄道などのレールにたとえられ、ミオシンのほうがレールの上を移動する何らかの移動体などに(ミオシンが)例えられる(啓林館の教科書にもある比喩)。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 67, "tag": "p", "text": "なお、余談だが、植物の原形質流動でも、ミオシンとアクチンとの何らかの相互作用が起きている、と考えられている(※ 参考文献: 第一学習社の専門『生物』)。また、アメーバの運動は、アクチンによるものである(※ 参考文献: 数研出版の専門『生物』)。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 68, "tag": "p", "text": "筋原繊維は、筋小胞体に囲まれている。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 69, "tag": "p", "text": "神経の刺激によって活動電位が発生したさい、筋小胞体からCaが放出される。 このCaがの作用で、アクチンフィラメントにあるトロポニンと結合し、アクチンフィラメントに付着しているトロポミオシンの構造が変化することで、トロポミオシンによってさえぎられていたアクチンのミオシン結合部位が露出し、アクチンフィラメントがミオシンと作用できるようになり、よって筋収縮が起きる。こうしてサルコメアが収縮することで、筋収縮が起きている。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 70, "tag": "p", "text": "", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 71, "tag": "p", "text": "カエルのふくらはぎの骨格筋にへの電気刺激の収縮量の測定実験(キモグラフを用いる)で、つぎの段落で説明する単収縮・強縮のしくみが事が明らかになってる。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 72, "tag": "p", "text": "", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 73, "tag": "p", "text": "カエルなどの実験動物の骨格筋に運動神経を付けたまま取り出したものを、神経筋標本という。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 74, "tag": "p", "text": "実験動物の座骨神経(ざこつ しんけい)のついたままの神経筋標本に、1回の短い電気刺激を与えると、収縮したのち、すぐ(0.1秒ほど)に弛緩(しかん)する。この1回の電気刺激で起こる1回の収縮を単収縮(たんしゅうしゅく、twitch)という。単収縮のことを、れん縮(れんしゅく, spasm)ともいう。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 75, "tag": "p", "text": "筋肉が弛緩する前に次の電気刺激を行うことを繰り返しつづけると、持続的で強い収縮を行う。この強い収縮を強縮(きょうしゅく、tetanus)という。 動物の骨格筋の運動での収縮は、普通は、強縮である場合が多い。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 76, "tag": "p", "text": "強縮でも、刺激の頻度が低ければ(1秒間に15回の割合)、測定される波形は、単収縮が重なり合ったようなギザギザした形の不完全強縮になる。刺激の頻度がじゅうぶんに多ければ(1秒間に30回の割合)、完全強縮になる。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 77, "tag": "p", "text": "筋繊維はニューロンによって制御されているため、神経線維の「全か無かの法則」と同様、1本の筋繊維も、刺激の強さが収縮を起こせる一定値(閾値)以上の強さの刺激があれば筋繊維は収縮し、刺激が一定の強さに届かなければ収縮しない。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 78, "tag": "p", "text": "閾値は筋繊維の一本一本ごとに違う。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 79, "tag": "p", "text": "一本の運動ニューロン(motor neuron)が枝分かれして多くの筋繊維を制御する。この一本の運動ニューロンによって管理されている筋肉を、それを管理する運動ニューロンとまとめて、運動単位(うんどうたんい)という。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 80, "tag": "p", "text": "筋肉が収縮するさいの直接のエネルギー源はATPである。筋肉の収縮は、ATPを消費して、ATPがADPに変化する。ミオシンの頭部にATP結合部位があり、このミオシン頭部がATP分解酵素としても働き、こうしてATPを分解することで筋収縮のエネルギーを得ている。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 81, "tag": "p", "text": "急激な運動などで、呼吸や解糖によるATP合成が追いつかない場合は、筋肉にたくわえられているクレアチンリン酸(phosphocreatine)を用いて、ATPを合成する。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 82, "tag": "p", "text": "クレアチンリン酸は、ATPと同様に高エネルギーリン酸結合を持っている。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 83, "tag": "p", "text": "休息時などでATPが十分にあるときに、ATPのエネルギーを用いて、クレアチンからクレアチンリン酸が合成され、クレアチンリン酸が貯蔵され、エネルギーを蓄えている。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 84, "tag": "p", "text": "", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 85, "tag": "p", "text": "", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 86, "tag": "p", "text": "シビレエイやデンキウナギなどが発電器官をもつ生物には発電器官がある。 発電器官は筋肉が変化した発電板()が多数重なってできている。 発電版には片側に神経が分布している。 発電版は普段は外側が+で内側が-であり、発電器官を電流が流れることはないが、 興奮時は神経が分布している側の電位が逆になり、発電板が直列につながることで高電圧を生じる。 シビレエイは50~60V、デンキウナギは800Vの起電力が測定される。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 87, "tag": "p", "text": "ホタルは腹部に発光器官を持つ。 発光器官をもつ生物には、ホタル、ホタルイカ、オキアミなどが挙げられる。 ホタルの発光器官は発光細胞層()と反射細胞層()からなる。 発光細胞層から発光物質を分泌し、気管から取り込んだ酸素と反応させ発光させ、反射細胞層で光を外側に反射する。 ウミホタルは口の近くの発光腺から発光物質を分泌する。 この物質が体外で酸化し発光する。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 88, "tag": "p", "text": "ホタルは、雌と雄とが出会う手段として、自己の発光を利用している。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 89, "tag": "p", "text": "・ルシフェリンとルシフェラーゼ ホタルの尻尾にある器官に、発光物質のルシフェリンがある。ルシフェリンが、酵素のルシフェラーゼが触媒として、ATPと酸素O2と反応して、酸化ルシフェリン(オキシルシフェリン)になる。この反応に伴って、発光が起こる。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 90, "tag": "p", "text": "・ルシフェリンの応用(おぼえなくて良い。範囲外。参考。) よってATPの量の測定手段として、ルシフェリンと蛍光光度計を用いることにより、ATP量が測定できる。微生物量測定などのバイオテクノロジーにもルシフェリンが利用されている。また、遺伝子組み換え実験などでも、暗闇で光らせられるので、目的の細胞を見分けるためのマーカーとしても利用されている。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 91, "tag": "p", "text": "ATP量の測定については、反応する前のルシフェリンとルシフェラーゼの量を、一定にしておけば、ATPの量によって発光の強さが変わるからである。ところで、ほとんどの細菌は体内にATPをもつから、ルシフェリンを用いて、細菌の量を測定できる。つまり、微生物による汚染の度合いを測定できる。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 92, "tag": "p", "text": "遺伝子組み換えについては、ルシフェラーゼをつくる遺伝子を目的の細胞に導入しておくと、ルシフェラーゼの導入された植物は、暗闇で光り輝くので、融合が成功したかどうかを確かめることができる。ルシフェラーゼ遺伝子のように、細胞融合が成功したかどうかを確かめるための遺伝子をマーカーという。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 93, "tag": "p", "text": "動物の体色が変化する現象を体色変化()と呼ぶ。 体色変化する生物には、ヒラメやカメレオンなどが挙げられる。 メダカの体色変化は、色素胞(しきそほう)と呼ばれる細胞で、内部にある色素果粒()が、神経やホルモンの働きにより、凝縮したり拡散したりすることで起こる。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 94, "tag": "p", "text": "生物が能動的に音を出すことを発音と呼び、 発音を行う器官を発音器官()と呼ぶ。 ヒトの発音器官は咽頭部の声門(glottis)である。 声門の軟骨の間にある声帯(vocal cord)と呼ばれる部分が、通過する空気によって振動して声が出る。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 95, "tag": "p", "text": "特定の物質を分泌する器官を腺(せん、gland)と呼ぶ。 腺には、体外に分泌する外分泌腺(がいぶんぴせん、exocrine gland)と、体内に分泌する内分泌腺(ないぶんぴせん、endocrine gland)がある。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 96, "tag": "p", "text": "内分泌腺はホルモンを体内の血流に分泌する。内分泌されたホルモンは血流によって全身に運ばれる。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 97, "tag": "p", "text": "外分泌腺には、皮膚で汗を分泌する汗腺(かんせん、sweat gland)や、口で唾液を分泌する だ腺(だせん、salivary gland)などがある。 分泌物は腺細胞()で作られ、排出管()を通り分泌される。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 98, "tag": "p", "text": "刺激をある器官から別の器官へ伝える器官系を神経系(しんけいけい、nervous system)と呼ぶ。 神経系はニューロン(neuron)と呼ばれる神経細胞から成り立っている。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 99, "tag": "p", "text": "ニューロンは、細胞体(さいぼうたいcell body)と、細胞体の周りの多数の樹状突起(じゅじょうとっき、dendrite)と、細胞体から伸びる一本の軸索(じくさく、axon)からなる。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 100, "tag": "p", "text": "軸索はシュワン細胞(Schwann cell)でできた神経鞘(しんけいしょう、neurilemma)で囲まれており、軸索と神経鞘をあわせて神経線維(nerve fiber)と呼ぶ。 神経線維には髄鞘のある有髄神経線維()と、髄鞘のない無髄神経線維()とがある。 有髄神経線維の髄鞘のないくびれをランビエ絞輪(ランビエこうりん、Ranvier's constriction ring)と呼ぶ。 ニューロンとニューロンの連結部をシナプス(synapse)と呼ぶ。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 101, "tag": "p", "text": "", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 102, "tag": "p", "text": "刺激を受けた細胞が休止状態から活動状態になることを興奮(こうふん、excitation)と呼ぶ。 興奮がニューロンの中を伝わることを伝導(でんどう、conduction)と呼び、 シナプスを介してあるニューロンから別のニューロンへ刺激の情報が伝わることを伝達(でんたつ、transmission)と呼ぶ。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 103, "tag": "p", "text": "伝導はニューロンの電気的変化で伝えられる。この電気を起こす正体はニューロンの細胞膜にあるイオンポンプやイオンチャネルの働きである。そのため、神経細胞は体液に取り囲まれている。神経での伝導は、金属の電気伝導などとはちがい、ニューロンの興奮の伝導では電気が伝わるのに時間が掛かる。(無髄神経線維を興奮が伝導する速さは1m/秒程度。 有髄神経線維を興奮が伝導する速さは100m/秒程度である。) ニューロンの細胞内は刺激を受ける前、細胞内は負に帯電しており、膜外を基準にすると膜内は -90mV ~ -60mV ( 平均 -70mV ) の負の電位をもっており、このような刺激を受ける前の膜内の負の電位を静止電位(せいしでんい、resting potential)という。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 104, "tag": "p", "text": "ニューロンの一部に刺激を受けると、一瞬、刺激を受けた場所の電位が変化する。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 105, "tag": "p", "text": "まず、刺激を受けた直後、刺激を受けた場所の細胞内の電位は一瞬、細胞の内側が外側よりも高い電位になり、細胞内は約+40mVの電位をもつ。その後、すぐ(約1/1000秒)もとの静止電位にもどる。このような電位の変化を活動電位(かつどうでんい、action potential)という。 神経の興奮の正体は、活動電位の発生である。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 106, "tag": "p", "text": "ニューロンの一部分の興奮は、ニューロン上のとなりの細胞へと伝わっていく。これが伝導(でんどう)である。その結果、興奮は、ニューロン線維の両側へと伝導していき、ニューロンの両端まで伝わっていく。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 107, "tag": "p", "text": "神経細胞の活動電位にも、神経細胞の膜表面にあるイオンチャネルとナトリウムポンプが関係している。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 108, "tag": "p", "text": "1", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 109, "tag": "p", "text": "2", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 110, "tag": "p", "text": "3", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 111, "tag": "p", "text": "4", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 112, "tag": "p", "text": "", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 113, "tag": "p", "text": "1本のニューロンは、刺激の強さが一定値より弱いと興奮しない。この、さかいめの一定値を閾値(いきち)という。閾値以上だとニューロンは興奮し、その興奮の大きさは刺激の強さによらず一定であり、活動電位の大きさは一定である。 ニューロンは、刺激に対して、興奮するか、興奮しないか、のどちらか2通りだけである。 ニューロンの、このような反応の現れ方を全か無かの法則(ぜんかむかのほうそく、all-or-none law)と呼ぶ。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 114, "tag": "p", "text": "このようにして軸索のある箇所に活動電位が起こると、興奮部と隣接する静止部の間に電流が生じ、その電流を活動電流(かつどうでんりゅう、action current)という。活動電流によって隣(となり)の静止部に興奮が起き、さらに、その興奮によって、そのまた隣の静止部に興奮が起き・・・、というように活動電流によって次々と興奮が伝わっていく。 これを興奮の伝導(でんどう、conduction)という。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 115, "tag": "p", "text": "興奮をした直後の部位は、しばらく興奮しない状態になる。しくみは、イオンチャネルがしばらく不活性になるからである。この興奮直後の部位の刺激に応答しない時期のことを、不応期(ふのうき)という。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 116, "tag": "p", "text": "このため、刺激を受けた場所には興奮は戻らず、刺激は静止している側へと伝わっていく。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 117, "tag": "p", "text": "興奮を伝わる速度は、無髄神経繊維よりも、有髄神経線維のほうが、興奮の伝わる速度が速い。 この理由は、有髄神経繊維では髄鞘(ずいしょう)は電気を通しにくい電気絶縁体であり、活動電流がランビエ絞輪(ランビエこうりん)から隣のランビエ絞輪へと飛び飛びに伝わるためである。このように有髄神経線維にて、興奮がとびとびに絞輪から次の絞輪へと伝導する現象のことを跳躍伝導(ちょうやくでんどう、 saltatory conduction)という。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 118, "tag": "p", "text": "無髄神経繊維を興奮が伝導する速さは1m/秒程度で、 有髄神経繊維を興奮が伝導する速さは100m/秒程度である。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 119, "tag": "p", "text": "文献によって、伝導速度や太さや温度などの細かな数値は、少し違う。なので、細かい数値は、おぼえなくて良い。たとえばネコの場合、文献によって、伝導速度が120だったり110だったり100だったりする。だいたいの数値を把握すればよい。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 120, "tag": "p", "text": "※参考文献(伝導速度の数値の出典)", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 121, "tag": "p", "text": "その他、各社の教科書や参考書などを参考文献・引用文献にした。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 122, "tag": "p", "text": "軸策が太いほど、伝導速度が速い。また、温度が40°C未満なら、温度が高いほど、伝導速度が速い。40°C以上に温度が高くなると、伝導しにくくなる。 イカやミミズは、太い神経軸策(巨大神経軸策)を持っており、そのぶん、興奮が伝わる速度も速い。逃げるさいなど、巨大軸策のおかげで信号が早く伝わるので行動の開始が早く、生存に有利だったと考えられている。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 123, "tag": "p", "text": "ふつう、神経は多数の軸策からなっている。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 124, "tag": "p", "text": "刺激が大きいほど、神経細胞の興奮の発生頻度が多くなる。なぜなら刺激が強いほど、個々のニューロンでの興奮の頻度も増え、また、多くの感覚細胞が反応することでニューロンも多数が反応するからである。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 125, "tag": "p", "text": "脳で感じる興奮の大きさの感覚の正体は、神経細胞から伝えられた興奮の発生頻度である。興奮の頻度が高いほど、脳で感じる興奮が大きくなる。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 126, "tag": "p", "text": "一つの軸索の先端と、他の神経細胞または筋肉などの効果器との間の部分をシナプスという。神経と筋肉との間のこともシナプスという。一つの神経の信号は、シナプスを経て、つぎの神経または効果器へと伝わる。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 127, "tag": "p", "text": "シナプスには、小さな隙間(すきま、かんげき)があり、シナプス間隙(シナプスかんげき)という。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 128, "tag": "p", "text": "シナプスから次のニューロンへと信号を伝える方法は、化学物質の分泌(ぶんぴ、ぶんぴつ)による。そのシナプスでの分泌物を神経伝達物質(しんけいでんたつぶっしつ、neurotransmitter)といい、軸索の末端から分泌される。神経伝達物質には、ノルアドレナリンやアセチルコリン、セロトニン(serotonin)、γアミノ酪酸(ガンマアミノらくさん)、ドーパミン(dopamine)などがある。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 129, "tag": "p", "text": "交感神経の末端からはノルアドレナリンが分泌される。副交感神経の末端からはアセチルコリンが分泌される。筋肉を動かす神経である運動神経の末端からはアセチルコリンが分泌される。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 130, "tag": "p", "text": "軸索の末端の内部には、つぶ状のシナプス小胞(シナプスしょうほう、synaptic vesicle)という物質があり、このシナプス小胞に伝達物質が含まれている。シナプスに興奮が伝わるとシナプス小胞から、アセチルコリン(acetylcholine)、ノルアドレナリン(noradrenaline)などの神経伝達物質(neurotransmitter)が分泌されることで、となりの細胞に興奮が伝えられる。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 131, "tag": "p", "text": "軸索の末端に、電位に依存するカルシウムチャネル( Caチャネル )があり、このCaチャネルに活動電位が到達することで、このチャネルが開き、Caが軸策末端の細胞内に流入する。このCaの流入によって、シナプス小胞の膜が 軸策末端の膜(シナプス前膜) と融合し、神経伝達物質がシナプス間隙に放出される。 シナプスのうち、放出側の細胞のほうをシナプス前細胞(シナプスぜんさいぼう)といい、その放出側のシナプス前細胞の細胞膜を、シナプス前膜(シナプスせんまく)という。シンプスのうち、受け取り側の細胞のほうをシナプス後細胞(シナプスこうさいぼう)といい、そのシナプス後細胞の細胞膜をシナプス後膜(シナプスこうまく)という。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 132, "tag": "p", "text": "受取り側の、となりの細胞の細胞膜には、伝達物質の受容体があり、さらに、その受容体によって働きの変わるイオンチャネルがある。(受容体がイオンチャネルを兼ね備えている場合もあるし(イオンチャネル型受容体)、受容体とイオンチャネルがそれぞれ存在する場合もある。 ※ 高校の範囲外だろう。)", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 133, "tag": "p", "text": "さて、伝達物質に依存するイオンチャネルが、受け取り側の細胞膜に存在している。伝達物質依存性のイオンチャネルが、伝達物質と受容体との結合によって働いて、興奮についての信号がとなりの細胞に伝わる。シナプスでの興奮が一方向( シナプス → となりの細胞 )に伝達され、信号は逆流はしない。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 134, "tag": "p", "text": "シナプスを介してある軸索から、となりの細胞へ興奮についての情報が伝わることを伝達(でんたつ)と呼ぶ。シナプスから出る化学物質によって、興奮の情報は伝達される。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 135, "tag": "p", "text": "シナプスで放出される神経伝達物質には、興奮をさせる興奮性の物質と、興奮をさせにくくする抑制性の物質とがある。興奮性の物質にはアセチルコリンやノルアドレナリンがある。抑制性の物質には、γアミノ酪酸(ガンマアミノらくさん、GABA)やグリシンがある。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 136, "tag": "p", "text": "さて、興奮性の神経伝達の場合では、Naチャネルが開き、Naが細胞内に流入して、活動電位が生じる。シナプスに限らず、神経細胞の興奮は、ナトリウムイオンの神経細胞内への流入によって起きている。いっぽう、抑制性の神経伝達物質の場合は、Clチャネル(読み:「クロライドチャネル」)が開き、Clが細胞内に流入する。 これらのイオンチャネルの働きによって、受け取り側の細胞での膜電位が変わるので、膜電位の高低によって、興奮や抑制の、コントロールが行われている。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 137, "tag": "p", "text": "Naチャネルが開けば膜電位は高まり、膜電位が高まれば、受け取り側の細胞は興奮をする。 いっぽう、Clチャネルが開けば膜電位は下がり、膜電位が低ければ、受け取り側の細胞は抑制される。 NaチャネルとClチャネルの両方が開けば、膜電位の高低が打ち消しあう。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 138, "tag": "p", "text": "しだいに神経伝達物質は、再吸収されたり、あるいは酵素(コリンエステラーゼなど)によって分解されたりするので、興奮や抑制は、しだいに終わっていく。そして、次に来る信号が伝達可能になる。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 139, "tag": "p", "text": "興奮性の伝達物質を放出するシナプスを興奮性シナプス(excitatory synapse)といい、いっぽう、抑制性の伝達物質を放出するシナプスを抑制性シナプス(inhibitory synapse)という。 シナプスの後膜の電位のことを後電位(こうでんい)あるいは後膜電位(こうまくでんい)という。興奮性シナプスの後電位のことを興奮性シナプス後電位(EPSP:excitatory postsynaptic potential)という。抑制性シナプスの後電位のことを抑制性シナプス後電位(IPSP:inhibitory postsynaptic potential)という。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 140, "tag": "p", "text": "シナプスで情報がシナプス前細胞からシナプス後細胞に伝わるのに、約1ミリ秒~2ミリ秒がかかり、この遅れ(おくれ)のことをシナプス遅延(シナプスちえん)という。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 141, "tag": "p", "text": "神経毒のサリンは、アセチルコリンの分解を行う酵素(コリンエステラーゼ)の働きを、さまたげる。(数研の(チャート式だけでなく)専門生物の検定教科書にも書いてある。)", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 142, "tag": "p", "text": "神経系の種類には、神経細胞(ニューロン)が体全体に散在し網目状に連絡している散在神経系(diffuse nervous system)と、脳・脊髄などに神経細胞(ニューロン)のあつまった集中神経系(concentrated nervous system)がある。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 143, "tag": "p", "text": "脳・脊髄・神経節などをまとめて中枢神経系(ちゅうすうしんけいけい、central nervous system)という。集中神経系の動物の神経のうち、中枢神経以外の部分の神経を末梢神経系(まっしょうしんけいけい)という。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 144, "tag": "p", "text": "散在神経系をもつ生物にはイソギンチャクやヒドラやクラゲなどがあげられる。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 145, "tag": "p", "text": "集中神経系は、脊椎動物などにみられる。ミミズやプラナリアの神経は、集中神経系である。バッタ・ハチなど昆虫の神経系は集中神経系である。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 146, "tag": "p", "text": "感覚器で受けた刺激の情報は感覚神経によって脳(のう、brain)へ送られ、 脳はその情報を判断し、 運動神経によって効果器に情報が送られ反応する。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 147, "tag": "p", "text": "脊椎生物の脳は大脳(だいのう、cerebrum)、間脳(かんのう、diencephalon)、中脳(ちゅうのう、midbrain)、小脳(しょうのう、cerebellum)、延髄(えんずい、medulla oblongata)からなる。 ヒトの脳には約一千億個のニューロンがあり、そのニューロンには数千のシナプスがあり、複雑なネットワークを形作っている。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 148, "tag": "p", "text": "大脳の構造は、左右の半球に分かれており、それら左右を結ぶ脳梁(のうりょう、corpus callosum)がある。 両半球は表層は大脳皮質(だいのうひしつ、cerebral cortex)でおおわれており、ニューロンの細胞体があつまって灰色をしているため 灰白質(かいはくしつ)という。 内部には大脳髄質(だいのうずいしつ、cerebral medulla)があり、多くの神経線維が通っていて白色をしているため 白質(はくしつ)という。 大脳皮質には、新皮質(しんひしつ、neocortex)と、古皮質(こひしつ)および原皮質(げんひしつ)からなる辺縁皮質(へんえんひしつ)がある。ヒトの大脳では新皮質が発達している。ヒトの古皮質および原皮質は、大脳に囲まれており、そのため内側に古皮質および原皮質が隠れている。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 149, "tag": "p", "text": "新皮質には視覚・聴覚など感覚の中枢があり( 感覚野(かんかくや、sensory cortex) )、また、運動の中枢があり( 運動野(うんどうや、motor cortex) )、また、記憶・思考・理解などの学習を必要とする精神活動をつかさどる中枢( 連合野(れんごうや、association cortex) がある。 辺縁皮質は、本能などを司る。辺縁皮質にふくまれる海馬(かいば、hippocampus)という部分が記憶を主につかさどる。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 150, "tag": "p", "text": "中脳・間脳・延髄を 脳幹(のうかん、brainstem) という。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 151, "tag": "p", "text": "間脳の位置は中脳と大脳の間に位置し、構造は視床(ししょう、thalamus)と視床下部(ししょうかぶ、hypothalamus)に分かれている。視床下部に自律神経系の中枢があり、体温の調整や内臓の働きを調整している。また、視床下部は脳下垂体(のうかすいたい)とつながっており、ホルモンの分泌を調整しており、血糖値を調整している。視床は大脳への感覚を中継する。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 152, "tag": "p", "text": "中脳の構造は、間脳の後方、小脳の上方に位置している。 中脳の働きは、間脳と小脳との通路になっている。眼球運動や瞳孔反射の中枢、聴覚反射、姿勢制御などを司る中枢がある。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 153, "tag": "p", "text": "小脳の構造は、大脳の後下部に位置している。 小脳には、体の平衡、筋肉の運動機能を司る中枢がある。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 154, "tag": "p", "text": "延髄の構造は、脳の最下部に位置し、脊髄に続いている。 延髄には、呼吸・血液循環(心臓の拍動)・消化などを司る中枢がある。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 155, "tag": "p", "text": "延髄より下の体の右側は、脳の左側が担当する。延髄より下の体の左側は、脳の右側が担当する。なぜなら、神経が延髄を通るときに、多くの神経で、左右が交差するからである。したがって脳の右側が損傷すると、体の左側が麻痺(まひ)・不随(ふずい)になる。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 156, "tag": "p", "text": "参考: 血液脳関門(けつえき のうかんもん) (※未執筆)", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 157, "tag": "p", "text": "さて、中学で習うように、生物学の神経分野でいう「反射」とは、たとえば熱いものに手が触れたときには、思わず手を引っ込めるように、意識とは無関係にすばやく行われる反応である。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 158, "tag": "p", "text": "また、大脳を介さない反応もあり、脊髄がそのような、大脳を介さない反射の中枢になっているので、そのように大脳を介さないで脊髄が中枢になっている反射のことを脊髄反射(せきずいはんしゃ、spinal reflex)という。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 159, "tag": "p", "text": "脊髄反射には屈筋反射(くっきんはんしゃ、flexor reflex)やしつがい腱反射(しつがいけんはんしゃ、膝蓋腱反射、knee jerk)などの反射がある。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 160, "tag": "p", "text": "しつがい腱反射とは、ひざの骨のすぐ下を軽く叩くと、足が勝手に跳ね上がる現象のことである。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 161, "tag": "p", "text": "しつがい腱反射なら、打撃により、ひざ部の筋紡錘が興奮し、その興奮による信号が感覚神経を伝わっていく。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 162, "tag": "p", "text": "しつがい腱反射に限らず一般に反射のさい、興奮が伝わる経路のことを 反射弓(はんしゃきゅう、reflex arc)と呼ぶ。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 163, "tag": "p", "text": "しつがい腱反射の場合の反射弓は", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 164, "tag": "p", "text": "である。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 165, "tag": "p", "text": "反射は大脳を経由しないため無意識で素早く行われる。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 166, "tag": "p", "text": "しつがい腱反射は、大脳を介さないので、脊髄反射に分類される。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 167, "tag": "p", "text": "しつがい腱反射では、しつがい腱をたたくと、大腿四頭筋が縮み、膝関節が伸びる反射を起こす。しつがい腱反射での神経中のシナプスの数は、しつがい腱反射では介在ニューロンを経由せず、よってシナプスは1つである。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 168, "tag": "p", "text": "", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 169, "tag": "p", "text": "屈筋反射(くっきんはんしゃ)では、例えば熱いものに触れた時、手を思わず引っ込めるような、屈筋が縮む反射を起こす。屈筋反射での神経中のシナプスの数は、屈筋反射では介在ニューロンを経由するため、シナプスは2つである。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 170, "tag": "p", "text": "屈筋反射は、大脳を介さないので、脊髄反射に分類される。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 171, "tag": "p", "text": "その他の反射として、口に物を入れたときの、だ液の分泌も反射である。だ液の反射中枢は延髄にある。暑いときの発汗も反射である。 目の瞳孔が、光を受けると縮小する、瞳孔の縮小も反射である。瞳孔の反射中枢は中脳にある。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 172, "tag": "p", "text": "", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 173, "tag": "p", "text": "", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 174, "tag": "p", "text": "内臓の働きや、消化や、体内のホルモンや血糖の調整なども意識とは無関係に行われるが、これらの現象も「反射」であるとして分類されている(※ 検定教科書の範囲)。内臓など、こういった働きを制御している神経のことを自律神経と言うので、「自律神経」が内臓などの「反射」を調節していると言える。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 175, "tag": "p", "text": "", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 176, "tag": "p", "text": "末梢神経系には、脳から伸びる脳神経(cranial nerves)と、脊髄から伸びる脊髄神経(spinal nerves)とがある。 また、末梢神経系は、体の感覚や運動に関する体性神経系(たいせいしんけいけい、somatic nervous system)と、 意思とは無関係に働く自律神経系(じりつしんけいけい、autonomic nervous system)に分けることもできる。 体性神経系には、感覚神経(sensory nerve)と運動神経(motor neuron)がある。 自律神経系には、交感神経(こうかんしんけい、sympathetic nerve)と副交感神経(ふくこうかんしんけい、parasympathetic nerve)がある。交感神経と副交感神経は対抗的に働くことが多い。()", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 177, "tag": "p", "text": "ヒトの脳神経は12対であり、脊髄神経は31対である。", "title": "刺激の受容と反応" }, { "paragraph_id": 178, "tag": "p", "text": "現過程・新課程の基礎なし科目「生物」に詳細を載せたのでそちらを見てください。", "title": "動物の行動" } ]
高等学校生物 > 生物I > 環境と動物の反応
<small> [[高等学校生物]] > 生物I > 環境と動物の反応 </small> == 刺激の受容と反応 == === 刺激の受容 === 生物に作用して反応を起こさせる要因を刺激(stimulation)と呼ぶ。 眼や耳などの、刺激を受け取る器官を'''受容器'''(じゅようき、receptor)という。生物が刺激に対して活動を起こすことを反応(reaction)と呼ぶ。 反応は筋肉や腺などの'''効果器'''(こうかき、effector)で引き起こされる。効果器のことを作動体ともいう。そして受容器と効果器との間は'''神経系'''で結ばれている。 受容から反応まで、次のような順序である。 :刺激 → 受容器 → 中枢 → 効果器 → 反応 また、刺激を受けた感覚細胞が活動状態となることを'''興奮'''(こうふん)という。興奮の正体は、細胞膜の電気的な変化である。 === 受容器 === 受容器はそれぞれ受容する刺激が決まっており、受容できる刺激を'''適刺激'''(てきしげき、adequate stimuli)と呼ぶ。 ヒトの五感と受容器と適刺激は次の表のようになっている。 {|class="wikitable" |- !感覚!!受容器!!適刺激 |- |視覚||眼||光(可視光線) |- |聴覚||耳||音(空気の振動) |- |嗅覚||鼻||気体の化学物質 |- |味覚||舌||液体の化学物質 |- |触覚||皮膚||圧力 |- |} 感覚細胞は一定以上の強さの適刺激を受けないと興奮しない。興奮するための刺激の最小値のことを'''閾値'''(いきち、threshold)という。 === 様々な受容器 === ==== 眼の構造と働き ==== [[画像:Schematic diagram of the human eye ja.svg|thumb|right|400px|ヒトの眼の構造]] 眼のように光を受容する器官を'''視覚器''(optic organ)'と呼び、 光の感覚を'''視覚'''(vision)と呼ぶ。 ヒトの眼はカメラとよく似た仕組みになっており、このヒトの眼の仕組みを'''カメラ眼'''という。 眼は、'''水晶体'''(すいしょうたい、lens)で光を屈折し、'''網膜'''(もうまく、retina)に像を上下左右逆に結ぶ。カメラに例えると、水晶体がレンズに相当し、網膜がフィルムに相当する。 ヒトの眼での遠近のピント調整は、カメラでいうレンズに相当する水晶体の厚さをかえることで遠近のピントを調整している。機械式カメラとは違って、レンズの前後移動に相当するような仕組みは無い。 ヒトの眼は、前部の表面に角膜(cornea)があり、その内側に瞳孔(pupil)と虹彩(iris)があり、さらにその内側に水晶体(lens)とチン小帯(Zonule of Zinn)と毛様体(ciliary body)がある。 内部には球形のガラス体(Vitreous humour)があり、それを囲むように'''網膜'''(retina)がある。 網膜の'''盲斑'''(もうはん、blind spot)からは視神経が伸びている。盲斑には視細胞(しさいぼう、visual cell)が無く、そのため、盲斑に像が写っても見えない。盲斑のことを'''盲点'''(もうてん)ともいう。 光は視細胞で電気信号にかえられ、その電気信号が視神経を通り脳(主に大脳)へ送られ、視覚が発生する。 網膜の'''視細胞'''(visual cell)には二種類の視細胞があり、明暗を感じる'''かん体細胞'''(かんたいさいぼう、桿体細胞、rod cell)と、色を感じる'''錐体細胞'''(すいたいさいぼう、cone cell)がある。 かん体細胞は明暗のみを区別し、色は区別しない。視細胞には光を吸収する物質の視物質があり、吸収によって、その細胞の特性が変化することから、それぞれの視細胞で光あるいは色などを感じている。 ヒトやサルの錐体細胞では、三原色の赤・青・緑の区別をしており、三種類の錐体細胞(青錐体細胞、赤錐体細胞、緑錐体細胞)でこれらの色を区別しており、色覚が生じている。三種類の錐体細胞は、光の波長によって感度が異なり、それぞれ420nm(青)、530nm(緑)、560nm(赤)を中心に吸収する。このような仕組みで色覚が生じている。なお、緑と赤が近い。 こららの三種類の錐体細胞では、それぞれの色に対応する視物質の'''フォトプシン'''がふくまれており、その色の光を良く吸収する。そのため三種類の錐体細胞の色の感度が異なる。 錐体細胞は、網膜の中央部の黄斑に多く分布する。 明るいところで、錐体細胞は、よく働く。弱い光では錐体細胞は反応しない。このため暗いところでは色を区別できない。 錐体細胞の色の光を吸収する色素は、光を吸収すると一時的に分解する。この分解を視細胞が感じ取っており、色覚を生じている。 白色の光は、赤・青・緑のすべての色をふくんでいる光であり、白色光があたると三種類の錐体細胞が三種類とも興奮する。 動物によっては、錐体細胞の種類の数が異なり、そのためヒトとは異なる色の世界を見ている動物も多い。 かん体細胞には'''ロドプシン'''という感光する物質が含まれている。ロドプシンの色が紅色なので'''視紅'''(しこう)ともいう。ロドプシンに光が当たると、'''レチナール'''と'''オプシン'''(タンパク質の一種)に分解される。この際、かん体細胞での細胞膜のイオンの透過性が変化し、そのため細胞が興奮する。 ロドプシンはビタミンAから作られる。そのためビタミンAが不足するとロドプシンが不足するので、暗いところで物が見えなくなる'''夜盲症'''(やもうしょう)になる。 :※ ビタミンについてはwikibooks『高等学校化学I/その他』でも、他のビタミン(ビタミンCなど)についての説明がある。目とはあまり関係ないので、この高校生物のページでは深入りしない。 暗いところから明るいところになったとき、 視覚器が次第になれてくることを'''明順応'''(めいじゅんのう、light adaptation)といい、 その逆を'''暗順応'''(あんじゅんのう、dark adaptation)という。 '''明順応の仕組み''' :暗いところから急に明るいところに出ると、視物質のロドプシンが急に分解され、そのため かん体細胞 が急激に興奮する。ロドプシンが分解されるにつれ感度が低下するので、明るさに慣れてくる。(※ 範囲外:  明順応の実態は、単に、後述の「暗順応」が終了しただけ<ref>KIM E. BARRETT ほか原著改訂、岡田泰伸 監訳『ギャノング生理学 原著23版 』丸善株式会社、平成23年1月31日 発行、P234</ref>だと考えられている。) '''暗順応の仕組み''' :ロドプシンが分解されないので、ロドプシンが蓄積される。そのため感度が上がり、暗くても光が見えやすくなってくる。 [[File:チン小帯 ゆるむ場合.svg|thumb|300px|ヒトの眼の遠近調節。近くを見る場合。毛様体は収縮し、チン小帯がゆるむ。その結果、水晶体は、自らの弾性で厚くなる。]] 眼は、明暗を虹彩にある瞳孔を拡大縮小することで調節している。明るい所では瞳孔は小さくなる。暗いところでは瞳孔が大きくなる。 また、遠近を水晶体を厚くしたり薄くしたりすることで調節している。 * チン小帯 遠くを見るとき、水晶体はチン小帯に引っ張られてうすくなり、このため焦点距離が長くなり(屈折率は小さくなり)、遠くの物が網膜上に像を結ぶ。チン小帯は毛様体の筋肉に引っ張られて調節される。 いっぽう、近くを見るとき、チン小帯がゆるみ、水晶体は自らの弾性で厚くなる。このため屈折率が大きくなり焦点距離が短くなり、ちかくの物が網膜上に像を結ぶ。 {{-}} ==== 耳の構造と働き ==== [[画像:Anatomy of the Human Ear ja.svg|thumb|right|320px|ヒトの耳の構造。<br />外耳には耳殻(pinna)、外耳道(ear canal)があり、 中耳には鼓膜(こまく、eardrum)、耳小骨(じしょうこつ、ossicle)、耳管(ユースタキー管, Eustachian tube)があり、 内耳には半規管(はんきかん、semicircular canals)、前庭(ぜんてい、vestibule)、うずまき管(cochlear duct)、聴神経(auditory nerve)がある。ツチ骨(槌骨)とキヌタ骨とアブミ骨をまとめて耳小骨(じしょうこつ)という。]] *聴覚 ヒトの耳のように音を受容する器官を聴覚器(ちょうかくき、auditory organ)と呼び、 音の感覚を'''聴覚'''(ちょうかく、hearing)と呼ぶ。 ヒトの耳は、'''外耳'''(がいじ、outer ear)、'''中耳'''(ちゅうじ、middle ear)、'''内耳'''(ないじ、inner ear)の3つの部分からなる。音波を受容する'''聴細胞'''(ちょうさいぼう)は内耳にある。 音は空気の振動であり、空気の波である。音の波を、音波(おんぱ)という。音は、外耳の耳殻で集められ、外耳道を通る。 音は中耳にある'''鼓膜'''(こまく、eardrum)を振動させ、'''耳小骨'''(じしょうこつ、ossicle)によって振動が増幅される。 振動は内耳にある'''うずまき管'''(cochlea)を満たすリンパ液に伝わる。 リンパ液の振動は、うずまき管内の基底膜を振動させ、基底膜の'''コルチ器'''(Corti's organ)と呼ばれる部分の'''聴細胞'''(ちょうさいぼう)の感覚毛を変形させ、聴細胞が興奮する。詳しく言うと、リンパ液の振動によって、コルチ器の聴細胞の感覚毛が、その上をおおっている'''おおい膜'''(tectorial membrane)と接触し、その結果、コルチ器の聴細胞が興奮して、最終的に聴覚が生じる。 聴細胞の興奮は、'''聴神経'''(ちょうしんけい)によって大脳に伝わって、こうして'''聴覚'''(ちょうかく)が発生する。 {{-}} [[File:Gray928.png|thumb|left|320px|うずまき管の断面図]] [[File:Cochlea-crosssection jp.svg|thumb|420px|center|コルチ器および前庭管、鼓室階]] [[File:Organ of corti.svg|thumb|left|コルチ器]] {{-}} *平衡覚 [[File:ヒトの耳の平衡感覚器.svg|thumb|320px|ヒトの耳の平衡感覚器]] また、耳は聴覚のほかに、からだの傾きなどを感じる平衡覚(へいこうかく)を感じる。 からだの姿勢・動作を知る感覚を、'''平衡覚'''(sensation of equilibrium)と呼ぶ。 平衡覚は、'''前庭'''(ぜんてい、vestibule)と'''半規管'''(はんきかん、semicircular canals)によって感じる。内耳に、前庭と半規管がある。 前庭では、感覚毛(vibrissa)を持った感覚細胞があり、この上に'''耳石'''(じせき、otoconium)という石灰質(炭酸カルシウム)の粒子が乗っている。体が傾くと、前庭では耳石が動き、感覚毛を持った感覚細胞が刺激として受け取るので、こうして体の傾きを感じる。耳石のことを'''平衡砂'''(へいこうさ)あるいは平衡石(へいこうせき)ともいう。 [[File:ヒトの耳の前庭.svg|thumb|420px|left|ヒトの耳の前庭]] [[File:ヒトの耳の前庭 傾いた場合.svg|thumb|420px|ヒトの耳の前庭、傾いた場合]] {{-}} また、体が回転すると、半規管ではリンパ液がうごき、それを感覚毛をもった有毛の感覚細胞が刺激として受け取るので、こうして体の回転を感じる。 体の回転を止めても、感覚では回りつづけるような感じがする現象、いわゆる「目が回る」現象のある理由は、体の回転を止めてもリンパ液は慣性によって、しばらく流れ続けているからである。 半規管では3個の半円状の管があり、この3個の半規管は、それぞれ直交して約90度をなす配置になっている。この3つの半規管によって、それぞれ前後・左右・水平の3方向の平衡感覚を区別している。 半規管の一方の根元にはふくらんだ部分があり、そこの内部に有毛の感覚細胞がある。 * 参考: 音の高低の識別 [[File:耳の音波の高低と伝わる経路.svg|thumb|500px|耳の音波の高低と伝わる経路。うずまき管を伸ばした模式図。]] 基底膜の振動する箇所が、音の高低によって違う。なお、音の高低の正体とは、音波の振動数の違いであり、振動数が大きいほど音も高い。 振動数が大きい音ほど、うずまき管の入口ちかくのを振動させ、つまり鼓膜に近いがわが振動する。 いっぽう、振動数が小さい音ほど、うずまき管の奥を振動させる。 * 超音波 ヒトは20000Hz(ヘルツ)以上の音を聞き取ることが出来ない。Hzとは1秒間あたりの振動数。つまり20000Hzとは1秒間につき2万回の振動ということ。ヒトが聞き取れないほどに高い音波のことを超音波(ちょうおんぱ、英:ultrasonic)という。コウモリなど、いくつかの動物には、超音波を聞き取れるものがいる。コウモリは飛びながら超音波を発し、反射して帰ってきた超音波を感じることができるので、これによって夜間などでも周囲の状況を知ることができる。 {{-}} ==== 鼻の構造と働き ==== [[File:ヒトの嗅覚器の構造.svg|thumb|320px|ヒトの嗅覚器の構造]] 鼻のように気体の化学物質を受容する器官を'''嗅覚器'''(きゅうかくき、olfactory organ)と呼び、 その感覚を'''嗅覚'''(きゅうかく、olfaction)と呼ぶ。 鼻には、入口の鼻孔(nostril)、その奥の広い鼻腔(nasal cavity)、鼻腔の上部の'''嗅上皮'''(きゅうじょうひ、olfactory epithelia)がある。 嗅上皮には、'''嗅細胞'''(きゅうさいぼう、olfactory cell)があり、表面の粘液層に繊毛をだし、粘液に溶け出した化学物質を嗅細胞の受容体が受容して興奮する。受容体に種類があり、種類ごとに結合できる物質がちがうので、それによって、においを区別できる。受容体の結合によってイオンチャネルが開き、電位が変化して、興奮する。嗅細胞の興奮が嗅神経によって脳へ伝えられていき、脳で嗅覚として認識する。 {{-}} ==== 舌の構造と働き ==== 舌のように液体の化学物質を受容する器官を'''味覚器'''(みかくき、Gustatory organ)と呼び、 その感覚を'''味覚'''(みかく、gustation)と呼ぶ。 舌の表面には、舌乳頭(ぜつにゅうとう)と呼ばれるつぶつぶが多数あり、 舌乳頭には、'''味覚芽'''(みかくが、gustatory bud)と呼ばれる受容器が多数あり、この味覚芽に受容体がある。 味覚芽には、味孔()と呼ばれる孔の奥に'''味細胞'''(みさいぼう、gustatory cell)があり、この味細胞の細胞膜にタンパク質でできた受容体があり、 その味細胞の受容体が水などに溶け出した化学物質を受容する。 ヒトの味覚には、甘味(あまみ)、塩味(しおみ)、苦味(にがみ)、酸味(さんみ)、うま味(うまみ) の5つがある。コンブにふくまれるグルタミン酸ナトリウムなどが、うま味をひきおこす物質である。カツオブシのイノシン酸ナトリウムも、うまみをひきおこす。 日本人の池田菊苗が、グルタミン酸ナトリウムによる、うま味を発見した。なお、池田の弟子の木霊新太郎がカツオブシのイノシン酸ナトリウムのうま味を発見した。 特定企業の商品だが「味の素」の主成分が、グルタミン酸ナトリウムである。 グルタミン酸は核酸の主成分であり、イノシン酸は核酸の主成分である。 塩味など、水などに溶けた化学物質が受容体に結合すると、チャネルが開き、電位が変化してシナプスから神経伝達物質を放出し、味神経を興奮させ、興奮が脳へ伝えられていき、脳で味覚を認識する。 私たちが甘みやうまみを「おいしい」と感じるのは、その感覚を起こす物質が生きるのに必要な場合が多いからである。たとえば甘みなら、砂糖などの糖分が含まれており、エネルギーの摂取に役立つ。うま味の物質はタンパク質やアミノ酸などの場合が多く、肉体を構成するのに必要な物質である。逆に、苦味を「まずい」味だと感じるのは、それが危険な物質である場合が多いからである。酸味は、腐敗物にふくまれる場合があり、そのため、注意が必要な味として感じているだろう、などと思われている。 トウガラシにふくまれる化学物質のカプサイシンの辛み(からみ)は、痛覚を刺激しており、触角に近い「痛み」の感覚であり、純粋な味覚ではない。ところが、このような辛みを、脳は「味」として認識することから、どうやら味覚と触覚の感覚は、似たような受容の仕組みを持っているらしい、とも言われてる。まだ学者たちが辛みについては研究中なので、高校は深入りする必要は無い。 ==== 皮膚の構造と働き ==== [[画像:Jpn skin layers.PNG|thumb|right|320px|ヒトの皮膚]] <ref>吉里勝利ほか『スクエア 最新図説生物』第一学習社、2004年1月10日発行、p.137</ref> 皮膚のように接触の刺激を受容する器官を'''触覚器'''()と呼び、 その感覚を'''触覚'''()と呼ぶ。 また、皮膚は触覚のほかに温覚、冷覚、痛覚を感じる。 触覚を感じるのはメルケル小体()やマイスナー小体(Meissner corpuscle)やパチーニ小体(pacinian corpuscle)(触点)、 温覚(sensation of warm)を感じるのはルッフィーニ小体()(温点)、 冷覚(cold sensation)を感じるのはクラウゼ小体()(冷点)、 痛覚()を感じるのは痛点(つうてん)という神経の自由末端である。 {{-}} === 様々な効果器 === ==== 筋肉の構造と働き ==== [[画像:Skeletal muscle.jpg|thumb|right|512px|骨格筋の構造]] [[File:Muskelstruktur uk.png|thumb|512px|]] 筋肉の内、骨格筋(きんせんい、skeletal muscle)は、自分の意志で動かすことができる。 骨格筋には、屈筋(くっきん、flexor muscle)と伸筋(しんきん、protractor muscle)があり、これによって腕や脚を曲げたり伸ばしたりできる。 骨格筋の筋繊維(きんせんい、muscle fiber)は多核の細胞であり、 筋繊維の中には多数の'''筋原線維'''(きんげんせんい、myofibril)が束になっている。 つまり、筋原繊維の束(たば)が筋繊維である。筋繊維の束が骨格筋などのそれぞれの筋肉である。 筋原繊維は、光学顕微鏡で観察すると、明るい明帯(めいたい)と、暗い暗帯(あんたい)とが、交互に並んでいる。明るく見える部分は'''明帯'''(めいたい、light bands)といい、 暗く見える部分は'''暗帯'''(あんたい、dark bands)という。 明帯の中央にある仕切りを'''Z膜'''()という。 Z膜とZ膜との間を'''サルコメア'''(筋節、sarcomere)といい、このサルコメアが筋収縮の単位がある。 筋繊維は細いアクチンフィラメントと、太いほうがミオシンフィラメントで、できている。 アクチンが明帯であり、ミオシンが暗帯である。 :※ なお、アクチンとミオシンは、細胞骨格にも関わる成分である。『[[高等学校生物/生物I/細胞の構造とはたらき#発展:_細胞骨格]]』を参照せよ。 :細胞骨格の「アクチンフィラメント」と、筋肉の「アクチンフィラメント」とは、同種・同類のものだと考えられている。(数研出版・第一学習社などの見解) この骨格筋の縞模様のことを横紋(おうもん)ともいい、骨格筋には横紋が見られるので骨格筋のことを横紋筋(おうもんきん)ともいう。 ミオシンはATP分解酵素を持っており、運動のためにATPを分解してADPにする。筋肉は、このATPのエネルギーを利用して、力を出している。 なお、一般に、ミオシンのような運動を発生させるタンパク質のことを「モータータンパク質」という。 (※ 専門『生物』の範囲外)余談だが、筋肉組織だけでなく、微小管上を移動するキネシンとダイニンもモータータンパク質であることが知られている。なお、キネシンとダイニンもそれぞれATPを分解する部位を持つ。(※ 一部の教科書で紹介。) {{-}} * 滑り説 [[File:1006 Sliding Filament Model of Muscle Contraction.jpg|thumb|512px|]] 筋収縮では、ミオシンフィラメントの間にアクチンフィラメントが滑り込む。この説を'''滑り説'''(すべりせつ、sliding filament model)という。 比喩として、よくアクチンが鉄道などのレールにたとえられ、ミオシンのほうがレールの上を移動する何らかの移動体などに(ミオシンが)例えられる(啓林館の教科書にもある比喩)。 なお、余談だが、植物の原形質流動でも、ミオシンとアクチンとの何らかの相互作用が起きている、と考えられている(※ 参考文献: 第一学習社の専門『生物』)。また、アメーバの運動は、アクチンによるものである(※ 参考文献: 数研出版の専門『生物』)。 筋原繊維は、筋小胞体に囲まれている。 神経の刺激によって活動電位が発生したさい、筋小胞体からCa<sup>2+</sup>が放出される。 このCa<sup>2+</sup>がの作用で、アクチンフィラメントにある'''トロポニン'''と結合し、アクチンフィラメントに付着している'''トロポミオシン'''の構造が変化することで、トロポミオシンによってさえぎられていたアクチンのミオシン結合部位が露出し、アクチンフィラメントがミオシンと作用できるようになり、よって筋収縮が起きる。こうしてサルコメアが収縮することで、筋収縮が起きている。 {{-}} * 筋収縮 [[File:Kymograph daigram japanese.svg|400px|thumb|キモグラフ]] カエルのふくらはぎの骨格筋にへの電気刺激の収縮量の測定実験(キモグラフを用いる)で、つぎの段落で説明する単収縮・強縮のしくみが事が明らかになってる。 [[File:Muscle contraction curve phrase japanese.svg|thumb|300px|left]] {{-}} カエルなどの実験動物の骨格筋に運動神経を付けたまま取り出したものを、神経筋標本という。 実験動物の座骨神経(ざこつ しんけい)のついたままの神経筋標本に、1回の短い電気刺激を与えると、収縮したのち、すぐ(0.1秒ほど)に弛緩(しかん)する。この1回の電気刺激で起こる1回の収縮を単収縮(たんしゅうしゅく、twitch)という。単収縮のことを、れん縮(れんしゅく, spasm)ともいう。 [[File:Muscle conraction curve japanese.svg|thumb|600px|骨格筋の収縮曲線]] :※ 高校の理科の検定教科書では、坐骨(ざこつ)の表記は「座骨」です。大学教科書などでは「坐骨」(ざこつ)の表記が使われる場合もあります。 筋肉が弛緩する前に次の電気刺激を行うことを繰り返しつづけると、持続的で強い収縮を行う。この強い収縮を'''強縮'''(きょうしゅく、tetanus)という。 動物の骨格筋の運動での収縮は、普通は、強縮である場合が多い。 強縮でも、刺激の頻度が低ければ(1秒間に15回の割合)、測定される波形は、単収縮が重なり合ったようなギザギザした形の不完全強縮になる。刺激の頻度がじゅうぶんに多ければ(1秒間に30回の割合)、完全強縮になる。 筋繊維はニューロンによって制御されているため、神経線維の「全か無かの法則」と同様、1本の筋繊維も、刺激の強さが収縮を起こせる一定値(閾値)以上の強さの刺激があれば筋繊維は収縮し、刺激が一定の強さに届かなければ収縮しない。 閾値は筋繊維の一本一本ごとに違う。 :(※編集者への注意 ここに運動単位を図示してください。) 一本の運動ニューロン(motor neuron)が枝分かれして多くの筋繊維を制御する。この一本の運動ニューロンによって管理されている筋肉を、それを管理する運動ニューロンとまとめて、'''運動単位'''(うんどうたんい)という。 筋肉が収縮するさいの直接のエネルギー源はATPである。筋肉の収縮は、ATPを消費して、ATPがADPに変化する。ミオシンの頭部にATP結合部位があり、このミオシン頭部がATP分解酵素としても働き、こうしてATPを分解することで筋収縮のエネルギーを得ている。 急激な運動などで、呼吸や解糖によるATP合成が追いつかない場合は、筋肉にたくわえられている'''クレアチンリン酸'''(phosphocreatine)を用いて、ATPを合成する。 [[File:筋収縮のエネルギー源.svg|thumb|600px|筋収縮のエネルギー源]] クレアチンリン酸は、ATPと同様に高エネルギーリン酸結合を持っている。 休息時などでATPが十分にあるときに、ATPのエネルギーを用いて、クレアチンからクレアチンリン酸が合成され、クレアチンリン酸が貯蔵され、エネルギーを蓄えている。 {{-}} {{コラム|(※ 範囲外: )筋繊維の回折光| 筋線維を取り出し、それに光またはX線を当てると、光の回折(かいせつ)が見える。その回折光のパターンは、筋線維の横紋の周期に由来していると考えられている<ref>小澤瀞司・福田康一郎 監修『標準生理学』、医学書院、2015年8月1日 第8版 第2刷、P10、</ref>。 :※ 物理学でいう光の「回折」については『[[高等学校物理/物理I/波/波の性質#回折]]』を参照せよ。 これを用いて、筋節(きんせつ)の長さを測定できる。筋節とは、横紋の1周期ぶんの長さのことで、普通は Z帯から次のZ帯までの長さ を採用する<ref>小澤瀞司・福田康一郎 監修『標準生理学』、医学書院、2015年8月1日 第8版 第2刷、P105、</ref>。 }} ==== その他の効果器 ==== <ref name="koukaki">吉里勝利ほか『スクエア 最新図説生物』第一学習社、2004年1月10日発行、p.141</ref> * 発電器官 [[w:シビレエイ|シビレエイ]]や[[w:デンキウナギ|デンキウナギ]]などが発電器官をもつ生物には'''発電器官'''がある。 発電器官は筋肉が変化した発電板()が多数重なってできている。 発電版には片側に神経が分布している。 発電版は普段は外側が+で内側が-であり、発電器官を電流が流れることはないが、 興奮時は神経が分布している側の電位が逆になり、発電板が直列につながることで高電圧を生じる。 シビレエイは50~60V、デンキウナギは800Vの起電力が測定される。 * 発光器官 ホタルは腹部に'''発光器官'''を持つ。 発光器官をもつ生物には、[[w:ホタル|ホタル]]、[[w:ホタルイカ|ホタルイカ]]、[[w:オキアミ|オキアミ]]などが挙げられる。 ホタルの発光器官は発光細胞層()と反射細胞層()からなる。 発光細胞層から発光物質を分泌し、気管から取り込んだ酸素と反応させ発光させ、反射細胞層で光を外側に反射する。 [[w:ウミホタル|ウミホタル]]は口の近くの発光腺から発光物質を分泌する。 この物質が体外で酸化し発光する。 ホタルは、雌と雄とが出会う手段として、自己の発光を利用している。 ・ルシフェリンとルシフェラーゼ<br /> ホタルの尻尾にある器官に、発光物質の'''ルシフェリン'''がある。ルシフェリンが、酵素のルシフェラーゼが触媒として、ATPと酸素O<sub>2</sub>と反応して、酸化ルシフェリン(オキシルシフェリン)になる。この反応に伴って、発光が起こる。 :ルシフェリン + ATP → 酸化ルシフェリン + 光 :       (触媒:ルシフェラーゼ) ・ルシフェリンの応用(おぼえなくて良い。範囲外。参考。)<br /> よってATPの量の測定手段として、ルシフェリンと蛍光光度計を用いることにより、ATP量が測定できる。微生物量測定などのバイオテクノロジーにもルシフェリンが利用されている。また、遺伝子組み換え実験などでも、暗闇で光らせられるので、目的の細胞を見分けるためのマーカーとしても利用されている。 ATP量の測定については、反応する前のルシフェリンとルシフェラーゼの量を、一定にしておけば、ATPの量によって発光の強さが変わるからである。ところで、ほとんどの細菌は体内にATPをもつから、ルシフェリンを用いて、細菌の量を測定できる。つまり、微生物による汚染の度合いを測定できる。 遺伝子組み換えについては、ルシフェラーゼをつくる遺伝子を目的の細胞に導入しておくと、ルシフェラーゼの導入された植物は、暗闇で光り輝くので、融合が成功したかどうかを確かめることができる。ルシフェラーゼ遺伝子のように、細胞融合が成功したかどうかを確かめるための遺伝子をマーカーという。 * 色素胞と体色変化 動物の体色が変化する現象を'''体色変化'''()と呼ぶ。 体色変化する生物には、[[w:ヒラメ|ヒラメ]]や[[w:カメレオン|カメレオン]]などが挙げられる。 [[w:メダカ|メダカ]]の体色変化は、'''色素胞'''(しきそほう)と呼ばれる細胞で、内部にある色素果粒()が、神経やホルモンの働きにより、凝縮したり拡散したりすることで起こる。 生物が能動的に音を出すことを発音と呼び、 発音を行う器官を発音器官()と呼ぶ。 ヒトの発音器官は咽頭部の声門(glottis)である。 声門の軟骨の間にある声帯(vocal cord)と呼ばれる部分が、通過する空気によって振動して声が出る。 ==== 腺の構造と働き ==== 特定の物質を分泌する器官を'''腺'''(せん、gland)と呼ぶ。 腺には、体外に分泌する'''外分泌腺'''(がいぶんぴせん、exocrine gland)と、体内に分泌する'''内分泌腺'''(ないぶんぴせん、endocrine gland)がある。 内分泌腺はホルモンを体内の血流に分泌する。内分泌されたホルモンは血流によって全身に運ばれる。 外分泌腺には、皮膚で汗を分泌する汗腺(かんせん、sweat gland)や、口で唾液を分泌する だ腺(だせん、salivary gland)などがある。 分泌物は'''腺細胞'''()で作られ、排出管()を通り分泌される。 === 神経 === ==== ニューロンの構造と働き ==== [[File:Axon Hillock jp.png|400px|thumb|ニューロン]] [[File:Anatomy and physiology of animals Motor neuron jp.png|400px|thumb|ニューロン]] 刺激をある器官から別の器官へ伝える器官系を'''神経系'''(しんけいけい、nervous system)と呼ぶ。 神経系は'''ニューロン'''(neuron)と呼ばれる神経細胞から成り立っている。 ニューロンは、'''細胞体'''(さいぼうたいcell body)と、細胞体の周りの多数の'''樹状突起'''(じゅじょうとっき、dendrite)と、細胞体から伸びる一本の'''軸索'''(じくさく、axon)からなる。 軸索は'''シュワン細胞'''(Schwann cell)でできた'''神経鞘'''(しんけいしょう、neurilemma)で囲まれており、軸索と神経鞘をあわせて神経線維(nerve fiber)と呼ぶ。 神経線維には髄鞘のある'''有髄神経線維'''()と、髄鞘のない'''無髄神経線維'''()とがある。 有髄神経線維の髄鞘のないくびれを'''ランビエ絞輪'''(ランビエこうりん、Ranvier's constriction ring)と呼ぶ。 ニューロンとニューロンの連結部を'''シナプス'''(synapse)と呼ぶ。 {{-}} [[File:静止電位と活動電位.svg|thumb|center|800px|静止電位と活動電位]] 刺激を受けた細胞が休止状態から活動状態になることを'''興奮'''(こうふん、excitation)と呼ぶ。 興奮がニューロンの中を伝わることを'''伝導'''(でんどう、conduction)と呼び、 シナプスを介してあるニューロンから別のニューロンへ刺激の情報が伝わることを'''伝達'''(でんたつ、transmission)と呼ぶ。 伝導はニューロンの電気的変化で伝えられる。この電気を起こす正体はニューロンの細胞膜にあるイオンポンプやイオンチャネルの働きである。そのため、神経細胞は体液に取り囲まれている。神経での伝導は、金属の電気伝導などとはちがい、ニューロンの興奮の伝導では電気が伝わるのに時間が掛かる。(無髄神経線維を興奮が伝導する速さは1m/秒程度。 有髄神経線維を興奮が伝導する速さは100m/秒程度である。) ニューロンの細胞内は刺激を受ける前、細胞内は負に帯電しており、膜外を基準にすると膜内は -90mV ~ -60mV ( 平均 -70mV ) の負の電位をもっており、このような刺激を受ける前の膜内の負の電位を'''静止電位'''(せいしでんい、resting potential)という。 ニューロンの一部に刺激を受けると、一瞬、刺激を受けた場所の電位が変化する。 まず、刺激を受けた直後、刺激を受けた場所の細胞内の電位は一瞬、細胞の内側が外側よりも高い電位になり、細胞内は約+40mVの電位をもつ。その後、すぐ(約1/1000秒)もとの静止電位にもどる。このような電位の変化を'''活動電位'''(かつどうでんい、action potential)という。 神経の興奮の正体は、活動電位の発生である。 ニューロンの一部分の興奮は、ニューロン上のとなりの細胞へと伝わっていく。これが伝導(でんどう)である。その結果、興奮は、ニューロン線維の両側へと伝導していき、ニューロンの両端まで伝わっていく。 * イオンチャネルの働き :※ 一般的なイオンチャネルについては、すでに『[[高等学校生物/生物I/細胞の構造とはたらき#受動輸送]]』で説明してある。 :本『環境と動物の反応』のページでは、主に神経細胞のイオンチャネルについて説明する。(※ 高3の専門生物の範囲内です。) 神経細胞の活動電位にも、神経細胞の膜表面にあるイオンチャネルとナトリウムポンプが関係している。 1 :神経細胞でも、静止状態ではナトリウムポンプの働きによって、細胞の内側でナトリウム濃度が高くカリウム濃度が低く、外側ではナトリウム濃度が低くカリウム濃度が高い(他の一般の細胞でのナトリウムポンプの動作と同様の結果の濃度勾配)。 :一部のカリウムチャネルが刺激の有無に依存せず漏れ出すので(※ 東京書籍・数研出版の検定教科書に記述あり)、つまりプラスの電荷をもったK<sup>+</sup>が細胞外へ漏れ出すのだから、その結果、静止状態の細胞内は負(-)に帯電している。なお、この現象を「分極」(ぶんきょく)と呼んでいる(※ 東京書籍に記述あり)。 :※ とりあえず、神経細胞内が初期状態では負に帯電している事が分かればいいだろう。 2 :神経細胞のナトリウムチャネルは普段は閉じているが、電位が上昇すると、ナトリウムチャネルが開き、細胞内にナトリウムチャネルが流入する。その結果、細胞内の電位が上がり、今までの負(-)の電位から一瞬、正(+)になる。なお、この現象を「脱分極」という(※ 東京書籍に記述あり)。(図「静止電位と活動電位」の、○2の状態) 3 :上記のように細胞内の電位が正になり膜内外の電位は逆転した結果、ナトリウムチャネルは閉じる。 4 :そして細胞内に入ったナトリウムは、(ナトリウム「チャネル」ではなく)ナトリウムポンプによって外に出されていく。この際、ナトリムポンプの働きによってカリウム(K<sup>+</sup>)が細胞内に取り込まれていく。 :そして、イオンの分布が、もとにもどる。 * 全か無かの法則 [[File:All-or-none law jp.svg|thumb|300px|全か無かの法則]] 1本のニューロンは、刺激の強さが一定値より弱いと興奮しない。この、さかいめの一定値を'''閾値'''(いきち)という。閾値以上だとニューロンは興奮し、その興奮の大きさは刺激の強さによらず一定であり、活動電位の大きさは一定である。 ニューロンは、刺激に対して、興奮するか、興奮しないか、のどちらか2通りだけである。 ニューロンの、このような反応の現れ方を'''全か無かの法則'''(ぜんかむかのほうそく、all-or-none law)と呼ぶ。 * 興奮の伝導 [[File:興奮の伝導 無髄神経.svg|thumb|400px|left|興奮の伝導 (無髄神経)]] このようにして軸索のある箇所に活動電位が起こると、興奮部と隣接する静止部の間に電流が生じ、その電流を'''活動電流'''(かつどうでんりゅう、action current)という。活動電流によって隣(となり)の静止部に興奮が起き、さらに、その興奮によって、そのまた隣の静止部に興奮が起き・・・、というように活動電流によって次々と興奮が伝わっていく。 これを興奮の'''伝導'''(でんどう、conduction)という。 興奮をした直後の部位は、しばらく興奮しない状態になる。しくみは、イオンチャネルがしばらく不活性になるからである。この興奮直後の部位の刺激に応答しない時期のことを、'''不応期'''(ふのうき)という。 このため、刺激を受けた場所には興奮は戻らず、刺激は静止している側へと伝わっていく。 *興奮の伝導速度 [[File:跳躍伝導 有髄神経.svg|thumb|400px|跳躍伝導 (有髄神経)]] 興奮を伝わる速度は、無髄神経繊維よりも、'''有髄神経線維'''のほうが、興奮の伝わる速度が速い。 この理由は、有髄神経繊維では'''髄鞘'''(ずいしょう)は電気を通しにくい電気絶縁体であり、活動電流が'''ランビエ絞輪'''(ランビエこうりん)から隣のランビエ絞輪へと飛び飛びに伝わるためである。このように有髄神経線維にて、興奮がとびとびに絞輪から次の絞輪へと伝導する現象のことを'''跳躍伝導'''(ちょうやくでんどう、 saltatory conduction)という。 無髄神経繊維を興奮が伝導する速さは1m/秒程度で、 有髄神経繊維を興奮が伝導する速さは100m/秒程度である。 :(※ なお、解剖学では人体各部の繊維のことを「線維」とも書く。高校生物の検定教科書(2015年に確認。)では「繊維」を用いている。) {| class="wikitable" style="float:left" |+ 動物ごとの伝導速度 ! 神経繊維  !! 伝導速度<br />(m/秒) !! 太さ<br />(μm) !! 温度<br />(℃) |- ! イカ (無髄) |  25||  600 ||  18 |- ! カニ (無髄) |  4 ||  30   ||  21 |- ! カエル (有髄) |  30 ||  15 ||  22  |- ! ネコ (有髄) |  100 ||  15 ||  37  |- ! ネコ (無髄) |  1 ||  0.8 ||  37  |- |} 文献によって、伝導速度や太さや温度などの細かな数値は、少し違う。なので、細かい数値は、おぼえなくて良い。たとえばネコの場合、文献によって、伝導速度が120だったり110だったり100だったりする。だいたいの数値を把握すればよい。 {{-}} ---- ※参考文献(伝導速度の数値の出典)  :上記の表中のイカの数値の出典 *(検定教科書)吉里勝利など『高等学校生物』第一学習社、平成24年検定済、平成26年2月10日、p.285・ よりイカの値を参考・引用。 その他、各社の教科書や参考書などを参考文献・引用文献にした。 *(検定教科書)嶋田正和など『生物』数研出版、平成26年1月10日発行 *水野丈夫など『理解しやすい生物I・II』文英堂、2004年版 *鈴木考仁など『チャート式シリーズ新生物 生物基礎・生物』数研出版、平成26年4月1日発行 ---- 軸策が太いほど、伝導速度が速い。また、温度が40℃未満なら、温度が高いほど、伝導速度が速い。40℃以上に温度が高くなると、伝導しにくくなる。 イカやミミズは、太い神経軸策(巨大神経軸策)を持っており、そのぶん、興奮が伝わる速度も速い。逃げるさいなど、巨大軸策のおかげで信号が早く伝わるので行動の開始が早く、生存に有利だったと考えられている。 {{-}} [[File:刺激の強さと興奮の頻度.svg|thumb|400px|刺激の強さと興奮の頻度]] ふつう、神経は多数の軸策からなっている。 刺激が大きいほど、神経細胞の興奮の発生頻度が多くなる。なぜなら刺激が強いほど、個々のニューロンでの興奮の頻度も増え、また、多くの感覚細胞が反応することでニューロンも多数が反応するからである。 脳で感じる興奮の大きさの感覚の正体は、神経細胞から伝えられた興奮の発生頻度である。興奮の頻度が高いほど、脳で感じる興奮が大きくなる。 ==== シナプスでの伝達 ==== [[Image:Synapse_diag1.svg|left|300px|thumb|'''シナプス前細胞(A)からシナプス後細胞(B)への化学シナプスを経由した神経伝達の様子''' (1)ミトコンドリア、(2)神経伝達物質が詰まったシナプス小胞、(3)自己受容体、(4)シナプス間隙を拡散する神経伝達物質、(5)後シナプス細胞の受容体、(6)前シナプス細胞のカルシウムイオンチャネル、(7)シナプス小胞の開口放出、(8)神経伝達物質の能動的再吸収]] 一つの軸索の先端と、他の神経細胞または筋肉などの効果器との間の部分を'''シナプス'''という。神経と筋肉との間のこともシナプスという。一つの神経の信号は、シナプスを経て、つぎの神経または効果器へと伝わる。 シナプスには、小さな隙間(すきま、かんげき)があり、'''シナプス間隙'''(シナプスかんげき)という。 シナプスから次のニューロンへと信号を伝える方法は、化学物質の分泌(ぶんぴ、ぶんぴつ)による。そのシナプスでの分泌物を'''神経伝達物質'''(しんけいでんたつぶっしつ、neurotransmitter)といい、軸索の末端から分泌される。神経伝達物質には、ノルアドレナリンやアセチルコリン、セロトニン(serotonin)、γアミノ酪酸(ガンマアミノらくさん)、ドーパミン(dopamine)などがある。 交感神経の末端からは'''ノルアドレナリン'''が分泌される。副交感神経の末端からは'''アセチルコリン'''が分泌される。筋肉を動かす神経である運動神経の末端からはアセチルコリンが分泌される。 軸索の末端の内部には、つぶ状の'''シナプス小胞'''(シナプスしょうほう、synaptic vesicle)という物質があり、このシナプス小胞に伝達物質が含まれている。シナプスに興奮が伝わるとシナプス小胞から、'''アセチルコリン'''(acetylcholine)、'''ノルアドレナリン'''(noradrenaline)などの'''神経伝達物質'''(neurotransmitter)が分泌されることで、となりの細胞に興奮が伝えられる。 軸索の末端に、電位に依存するカルシウムチャネル( Ca<sup>2+</sup>チャネル )があり、このCa<sup>2+</sup>チャネルに活動電位が到達することで、このチャネルが開き、Ca<sup>2+</sup>が軸策末端の細胞内に流入する。このCa<sup>2+</sup>の流入によって、シナプス小胞の膜が 軸策末端の膜(シナプス前膜) と融合し、神経伝達物質がシナプス間隙に放出される。 シナプスのうち、放出側の細胞のほうをシナプス前細胞(シナプスぜんさいぼう)といい、その放出側のシナプス前細胞の細胞膜を、'''シナプス前膜'''(シナプスせんまく)という。シンプスのうち、受け取り側の細胞のほうをシナプス後細胞(シナプスこうさいぼう)といい、そのシナプス後細胞の細胞膜を'''シナプス後膜'''(シナプスこうまく)という。 受取り側の、となりの細胞の細胞膜には、伝達物質の受容体があり、さらに、その受容体によって働きの変わるイオンチャネルがある。(受容体がイオンチャネルを兼ね備えている場合もあるし(イオンチャネル型受容体)、受容体とイオンチャネルがそれぞれ存在する場合もある。 ※ 高校の範囲外だろう。) さて、伝達物質に依存するイオンチャネルが、受け取り側の細胞膜に存在している。伝達物質依存性のイオンチャネルが、伝達物質と受容体との結合によって働いて、興奮についての信号がとなりの細胞に伝わる。シナプスでの興奮が一方向( シナプス → となりの細胞 )に伝達され、信号は逆流はしない。 シナプスを介してある軸索から、となりの細胞へ興奮についての情報が伝わることを'''伝達'''(でんたつ)と呼ぶ。シナプスから出る化学物質によって、興奮の情報は伝達される。 シナプスで放出される神経伝達物質には、興奮をさせる興奮性の物質と、興奮をさせにくくする抑制性の物質とがある。興奮性の物質にはアセチルコリンやノルアドレナリンがある。抑制性の物質には、γアミノ酪酸(ガンマアミノらくさん、GABA)やグリシンがある。 :同じ神経伝達物質でも、受け取り側の神経細胞によって、興奮性にも抑制性にも、なりうる。たとえば、さきほどアセチルコリンを「興奮性」と言ったが、じつは心臓の迷走神経(めいそうしんけい)などではアセチルコリンが抑制性に働く場合もある。 さて、興奮性の神経伝達の場合では、Na<sup>+</sup>チャネルが開き、Na<sup>+</sup>が細胞内に流入して、活動電位が生じる。シナプスに限らず、神経細胞の興奮は、ナトリウムイオンの神経細胞内への流入によって起きている。いっぽう、抑制性の神経伝達物質の場合は、Cl<sup>-</sup>チャネル(読み:「クロライドチャネル」)が開き、Cl<sup>-</sup>が細胞内に流入する。 これらのイオンチャネルの働きによって、受け取り側の細胞での膜電位が変わるので、膜電位の高低によって、興奮や抑制の、コントロールが行われている。 Na<sup>+</sup>チャネルが開けば膜電位は高まり、膜電位が高まれば、受け取り側の細胞は興奮をする。 いっぽう、Cl<sup>-</sup>チャネルが開けば膜電位は下がり、膜電位が低ければ、受け取り側の細胞は抑制される。 Na<sup>+</sup>チャネルとCl<sup>-</sup>チャネルの両方が開けば、膜電位の高低が打ち消しあう。 しだいに神経伝達物質は、再吸収されたり、あるいは酵素(コリンエステラーゼなど)によって分解されたりするので、興奮や抑制は、しだいに終わっていく。そして、次に来る信号が伝達可能になる。 :(※ 範囲外: )アセチルコリンの化学式はエステル構造である<ref>今井正 ほか『標準薬理学 第7版』 、医学書院、2015年3月25日 第7版 第1刷、P226</ref>。エステルの意味については『[[高等学校化学I/脂肪族化合物/エステル]]』を参照のこと。 :※ 「コリンエステラーゼ」という名前からは まぎらわしいが、コリンエステラーゼは、(コリンをエステル化するのではなく、)アセチルコリンを分解してエステルと酢酸に分解する酵素である。 興奮性の伝達物質を放出するシナプスを'''興奮性シナプス'''(excitatory synapse)といい、いっぽう、抑制性の伝達物質を放出するシナプスを'''抑制性シナプス'''(inhibitory synapse)という。 シナプスの後膜の電位のことを'''後電位'''(こうでんい)あるいは後膜電位(こうまくでんい)という。興奮性シナプスの後電位のことを'''興奮性シナプス後電位'''(EPSP:excitatory postsynaptic potential)という。抑制性シナプスの後電位のことを'''抑制性シナプス後電位'''(IPSP:inhibitory postsynaptic potential)という。 シナプスで情報がシナプス前細胞からシナプス後細胞に伝わるのに、約1ミリ秒~2ミリ秒がかかり、この遅れ(おくれ)のことを'''シナプス遅延'''(シナプスちえん)という。 *発展:コカインとドーパミン *参考:毒ガスのサリン 神経毒のサリンは、アセチルコリンの分解を行う酵素(コリンエステラーゼ)の働きを、さまたげる。(数研の(チャート式だけでなく)専門生物の検定教科書にも書いてある。) === 神経系の種類 === [[File:ヒトの神経系.svg|thumb|500px|ヒトの神経系]] :(※編集者へ注意 ここにヒドラやプラナリアやミミズや昆虫(バッタあるいはハチなど)の神経系の図を追加してください。) 神経系の種類には、神経細胞(ニューロン)が体全体に散在し網目状に連絡している'''散在神経系'''(diffuse nervous system)と、脳・脊髄などに神経細胞(ニューロン)のあつまった'''集中神経系'''(concentrated nervous system)がある。 脳・脊髄・神経節などをまとめて'''中枢神経系'''(ちゅうすうしんけいけい、central nervous system)という。集中神経系の動物の神経のうち、中枢神経以外の部分の神経を'''末梢神経系'''(まっしょうしんけいけい)という。 散在神経系をもつ生物にはイソギンチャクや[[w:ヒドラ|ヒドラ]]や[[w:クラゲ|クラゲ]]などがあげられる。 集中神経系は、[[w:脊椎動物|脊椎動物]]などにみられる。ミミズやプラナリアの神経は、集中神経系である。バッタ・ハチなど昆虫の神経系は集中神経系である。 {{-}} ==== 脊椎動物の脳の構造と働き ==== [[File:Human brain NIH.jpg|thumb|left|ヒトの脳]] [[File:ヒトの脳 模式図ii.svg|thumb|300px|ヒトの脳の構造]] [[File:脳の横断面.svg|thumb|300px|ヒトの脳の横断面]] [[File:興奮の伝導経路.svg|thumb|420px|興奮の伝導経路]] :(※編集者へ注意 ここにタラ(魚類)の脳、カエル(両生類)の脳、ガチョウ(鳥類)の脳の図を追加してください。) :※ 教科書には魚類などの脳の図もあるが、実は参考書には、あまり魚類や両生類の脳は書いてない。少なくとも近年のチャート式では、見あたらない。 感覚器で受けた刺激の情報は感覚神経によって脳(のう、brain)へ送られ、 脳はその情報を判断し、 運動神経によって効果器に情報が送られ反応する。 脊椎生物の脳は'''大脳'''(だいのう、cerebrum)、'''間脳'''(かんのう、diencephalon)、'''中脳'''(ちゅうのう、midbrain)、'''小脳'''(しょうのう、cerebellum)、'''延髄'''(えんずい、medulla oblongata)からなる。 ヒトの脳には約一千億個のニューロンがあり、そのニューロンには数千のシナプスがあり、複雑なネットワークを形作っている。 *大脳 大脳の構造は、左右の半球に分かれており、それら左右を結ぶ'''脳梁'''(のうりょう、corpus callosum)がある。 両半球は表層は'''大脳皮質'''(だいのうひしつ、cerebral cortex)でおおわれており、ニューロンの細胞体があつまって灰色をしているため '''灰白質'''(かいはくしつ)という。 内部には'''大脳髄質'''(だいのうずいしつ、cerebral medulla)があり、多くの神経線維が通っていて白色をしているため '''白質'''(はくしつ)という。 大脳皮質には、'''新皮質'''(しんひしつ、neocortex)と、古皮質(こひしつ)および原皮質(げんひしつ)からなる'''辺縁皮質'''(へんえんひしつ)がある。ヒトの大脳では新皮質が発達している。ヒトの古皮質および原皮質は、大脳に囲まれており、そのため内側に古皮質および原皮質が隠れている。 新皮質には視覚・聴覚など感覚の中枢があり( '''感覚野'''(かんかくや、sensory cortex) )、また、運動の中枢があり( '''運動野'''(うんどうや、motor cortex) )、また、記憶・思考・理解などの学習を必要とする精神活動をつかさどる中枢( '''連合野'''(れんごうや、association cortex) がある。 辺縁皮質は、本能などを司る。辺縁皮質にふくまれる'''海馬'''(かいば、hippocampus)という部分が記憶を主につかさどる。 *脳幹 中脳・間脳・延髄を '''脳幹'''(のうかん、brainstem) という。 *間脳 間脳の位置は中脳と大脳の間に位置し、構造は'''視床'''(ししょう、thalamus)と'''視床下部'''(ししょうかぶ、hypothalamus)に分かれている。視床下部に自律神経系の中枢があり、体温の調整や内臓の働きを調整している。また、視床下部は'''脳下垂体'''(のうかすいたい)とつながっており、ホルモンの分泌を調整しており、血糖値を調整している。視床は大脳への感覚を中継する。 *中脳 中脳の構造は、間脳の後方、小脳の上方に位置している。 中脳の働きは、間脳と小脳との通路になっている。眼球運動や瞳孔反射の中枢、聴覚反射、姿勢制御などを司る中枢がある。 *小脳 小脳の構造は、大脳の後下部に位置している。 小脳には、体の平衡、筋肉の運動機能を司る中枢がある。 *延髄 延髄の構造は、脳の最下部に位置し、脊髄に続いている。 延髄には、呼吸・血液循環(心臓の拍動)・消化などを司る中枢がある。 {{-}} 延髄より下の体の右側は、脳の左側が担当する。延髄より下の体の左側は、脳の右側が担当する。なぜなら、神経が延髄を通るときに、多くの神経で、左右が交差するからである。したがって脳の右側が損傷すると、体の左側が麻痺(まひ)・不随(ふずい)になる。 参考: 血液脳関門(けつえき のうかんもん)<br /> (※未執筆) ==== 脊髄の構造と働き ==== [[File:Tendon reflex of reflex arc japanese.svg|thumb|500px|しつがい健反射の反射弓]] さて、中学で習うように、生物学の神経分野でいう「反射」とは、たとえば熱いものに手が触れたときには、思わず手を引っ込めるように、意識とは無関係にすばやく行われる反応である。 また、大脳を介さない反応もあり、脊髄がそのような、大脳を介さない反射の中枢になっているので、そのように大脳を介さないで脊髄が中枢になっている反射のことを'''脊髄反射'''(せきずいはんしゃ、spinal reflex)という。 脊髄反射には'''屈筋反射'''(くっきんはんしゃ、flexor reflex)や'''しつがい腱反射'''(しつがいけんはんしゃ、膝蓋腱反射、knee jerk)などの反射がある。 しつがい腱反射とは、ひざの骨のすぐ下を軽く叩くと、足が勝手に跳ね上がる現象のことである。 しつがい腱反射なら、打撃により、ひざ部の筋紡錘が興奮し、その興奮による信号が感覚神経を伝わっていく。 しつがい腱反射に限らず一般に反射のさい、興奮が伝わる経路のことを '''反射弓'''(はんしゃきゅう、reflex arc)と呼ぶ。 しつがい腱反射の場合の反射弓は  :受容器→感覚神経→反射中枢→運動神経→効果器  である。 反射は大脳を経由しないため無意識で素早く行われる。 しつがい腱反射は、大脳を介さないので、脊髄反射に分類される。 しつがい腱反射では、しつがい腱をたたくと、大腿四頭筋が縮み、膝関節が伸びる反射を起こす。しつがい腱反射での神経中のシナプスの数は、しつがい腱反射では介在ニューロンを経由せず、よってシナプスは1つである。 {{-}} [[File:Imgnotraçat arc reflex eng.svg |thumb | 400px |屈筋反射]] 屈筋反射(くっきんはんしゃ)では、例えば熱いものに触れた時、手を思わず引っ込めるような、屈筋が縮む反射を起こす。屈筋反射での神経中のシナプスの数は、屈筋反射では介在ニューロンを経由するため、シナプスは2つである。 屈筋反射は、大脳を介さないので、脊髄反射に分類される。 その他の反射として、口に物を入れたときの、だ液の分泌も反射である。だ液の反射中枢は延髄にある。暑いときの発汗も反射である。 目の瞳孔が、光を受けると縮小する、瞳孔の縮小も反射である。瞳孔の反射中枢は中脳にある。 ;解剖学的なこと :脊髄(せきずい、spinal cord)は、脳の延髄の下方に続き、脊柱(vertebral column)の管内を通る、中枢神経である。 :脊髄の内側は細胞体でできた灰白質であり、外側は神経繊維でできた白質である。 :感覚神経は'''背根'''(はいこん、dorsal root)と呼ばれる部分を通り、 :運動神経と自律神経は'''腹根'''(ふくこん、ventral root)と呼ばれる部分を通る。 :受容器で発生した興奮は、感覚神経によって背根を通り、灰白質・白質を通り、大脳へ伝わる。 :そして、大脳から興奮が、白質・灰白質を通り、運動神経によって腹根を通り、効果器へ伝わる。 ;内臓など 内臓の働きや、消化や、体内のホルモンや血糖の調整なども意識とは無関係に行われるが、これらの現象も「反射」であるとして分類されている(※ 検定教科書の範囲)。内臓など、こういった働きを制御している神経のことを自律神経と言うので、「自律神経」が内臓などの「反射」を調節していると言える。 ==== 末梢神経系の種類 ==== 末梢神経系には、脳から伸びる'''脳神経'''(cranial nerves)と、脊髄から伸びる'''脊髄神経'''(spinal nerves)とがある。 また、末梢神経系は、体の感覚や運動に関する'''体性神経系'''(たいせいしんけいけい、somatic nervous system)と、 意思とは無関係に働く'''自律神経系'''(じりつしんけいけい、autonomic nervous system)に分けることもできる。 体性神経系には、感覚神経(sensory nerve)と運動神経(motor neuron)がある。 自律神経系には、'''交感神経'''(こうかんしんけい、sympathetic nerve)と'''副交感神経'''(ふくこうかんしんけい、parasympathetic nerve)がある。交感神経と副交感神経は対抗的に働くことが多い。() *神経系の分類 まとめ <div style="font-size:120%;"> <pre>         (中央)  神経系━┳━中枢神経系━┳━脳     ┃       ┗━脊髄     ┃      ┗━抹しょう神経系━┳━体性神経系━┳━運動神経               ┃       ┗━感覚神経               ┃               ┗━自律神経系━┳━交感神経                       ┗━副交感神経 </pre> </div> ヒトの脳神経は12対であり、脊髄神経は31対である。 == 動物の行動 ==  現過程・新課程の基礎なし科目「生物」に詳細を載せたのでそちらを見てください。 * [[高等学校 生物/生得的行動|生得的行動]] * [[高等学校 生物/学習|学習]] == 脚注 == <references/> == 参考文献 == * 田中隆荘ほか『高等学校生物I』第一学習社、2004年2月10日発行、pp.156-213 * [https://web.archive.org/web/20141016171612/http://www.nhk.or.jp/kokokoza/library/2013/tv/seibutsu/ 『NHK高校講座 生物』第22-33回] * [http://www.weblio.jp/cat/academic/sbtgy 生物学用語辞典 - Weblio 学問] その他、高校の検定教科書などを参照。 <ref>吉里勝利ほか『スクエア 最新図説生物』第一学習社、2004年1月10日発行、p.155</ref> [[Category:高等学校教育|生1かんきようととうふつのはんのう]] [[Category:生物学|高かんきようととうふつのはんのう]]
2005-10-26T05:12:48Z
2023-10-13T02:05:40Z
[ "テンプレート:-", "テンプレート:コラム" ]
https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E7%94%9F%E7%89%A9/%E7%94%9F%E7%89%A9I/%E7%92%B0%E5%A2%83%E3%81%A8%E5%8B%95%E7%89%A9%E3%81%AE%E5%8F%8D%E5%BF%9C
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高等学校生物/生物I/環境と植物の反応
高等学校生物 > 生物I > 環境と植物 中学や、高校生物Iの他の単元で説明した内容の復習である。 すでに読者が理解できていれば、節『植物の反応と調節』へと進んで、新たな内容を勉強すること。 植物は一か所に固定して暮らすため、 外部環境の変化に大きな影響を受ける。 植物は外部環境の変化に対して、 自身の成長などを調節することで対応する。 このページでは、 植物と水分・光の関係、 植物の発芽・成長・花芽形成の調節、 などを扱う。 環境のうち生物に影響を与えるものを環境要因と呼ぶ。 植物に対する環境要因は光・水・大気(酸素・二酸化炭素)、土壌などがある。 光は、植物が光合成を行うためのエネルギー源となっている。 水は、化学反応を行う場となったり、様々な物質を輸送している。 植物は光合成だけでなく呼吸も行っている。酸素はその呼吸に必要であり、二酸化炭素は光合成に必要である。 土壌中の栄養塩類は、植物が成長するために必要である。 水は植物に必要なものの一つで、 植物は水を根の根毛から吸収し、 茎の道管を通して移動し、 葉の気孔から蒸散する。 根の外側には表皮細胞やその表皮細胞が変形した根毛があり、吸水を行っている。 その後、水は皮層の細胞やその間を通り、道管・仮道管へ到達する。 根の内部の浸透圧はその外部の浸透圧より高いので、 根は吸水する。 この圧力を根圧(root pressure)と呼ぶ。 水分子は互いに引き合う凝集力()をもっている。 この凝集力によって水は導管で途切れることなく続いている。 蒸散(transpiration)にはクチクラ蒸散と気孔蒸散があるが、ほとんどは気孔蒸散である。 蒸散量の調節は気孔の開閉によって行われる。 蒸散は、水を引き上げる力となっている。 気孔は、2つの孔辺細胞が向かい合ってできている。 孔辺細胞の細胞壁は、内側が外側より厚くなっている。 水分を吸収して膨圧が高くなると、外側に曲がり、気孔が開く。 根圧、水分子の凝集力、蒸散によって、 植物は水を吸収し移動させている。 植物は光エネルギーにより、 水と二酸化炭素から、 グルコースを合成している。 これを光合成(photosynthesis)と呼ぶ。 植物は光合成で二酸化炭素から酸素を作るとともに、 呼吸で酸素から二酸化炭素を作っている。 したがって、実際の光合成速度(photosynthetic rate)は、見かけの光合成速度(apparent photosunthetic rate)と呼吸速度(respiration rate)を足したものである。 イギリスのフレデリック・ブラックマンは、 光合成速度は、光の強さ、二酸化炭素濃度、温度のうち最も不足したもの(限定要因(limiting factor))によって決まるとする限定要因説()を唱えた。 二酸化炭素濃度と温度を一定にし、光の強さを変えてみる。 光の強さと光合成速度をグラフにしたとき、 光合成速度と呼吸速度が等しく、見かけの光合成速度がゼロになる点を補償点(compensation point)と呼ぶ。 また、光の強さを上げても光合成速度がそれ以上上がらなくなる点を光飽和点(photic saturation point)と呼ぶ。 日向を好む陽生植物(sun plant)では、補償点や光飽和点は比較的高く、 弱い光でも生育できる陰生植物()では、補償点や光飽和点は比較的低い。 陽生植物にはクロマツ、ソラマメ、ススキなどがあり、 陰生植物にはブナ、コミヤマカタバミなどがある。 また、同じ植物でも、日当たりの良いところの葉(陽葉, sun leaf)は補償点や光飽和点は比較的高く、 日当たりの悪いところの葉(陰葉, shade leaf)は補償点や光飽和点は比較的低い。 光の強さと温度を一定にし、二酸化炭素濃度を変えてみる。 二酸化炭素濃度と光合成速度をグラフにすると、 二酸化炭素濃度が上がるとともに光合成速度も上がるが、 二酸化炭素濃度がある一定の値以上になると光合成速度は上がらなくなる。 これは、二酸化炭素濃度が低いときは二酸化炭素濃度が限定要因となり、 二酸化炭素濃度が高いときは二酸化炭素濃度以外が限定要因となっているためである。 光の強さと二酸化炭素濃度を一定にし、温度を変えてみる。 温度と光合成速度をグラフにすると、 温度がある一定の値の時に光合成速度が最も上がり、 温度が低すぎたり高すぎたりすると光合成速度は下がる。 これは、光合成を行う酵素の働きに最適な温度があるためである。 休眠(dormancy)した植物の種子が芽を出し発育を始めることを発芽(Germination)と呼ぶ。 発芽には、水分・温度・酸素などの条件がそろうことが必要である。 休眠した種子の発芽には、水が必要である。 種子の周りには水を通しにくい種皮と呼ばれるものがあり、これが種子の休眠を維持している。 種子の休眠にはアブシシン酸(abscisic acid)という植物ホルモンが関係している。アブシシン酸は発芽を抑制する。 発芽にはジベレリン(gibberellin)と呼ばれる別の植物ホルモンが、発芽を促進している。 このようにジベレリンとアブシジン酸は、種子の発芽に関して、拮抗的(きっこうてき)に、対立する。 イネやコムギの種子では、胚がジベレリンを合成し分泌する。そしてジベレリンは胚乳の外側にある糊粉層(こふんそう)の細胞に働きかけることで、酵素のアミラーゼの発現を誘導して、アミラーゼが胚乳にふくまれるデンプンを分解することでグルコースなどの糖が生成され、これらの糖が発芽のためのエネルギー源になる。 レタス、マツヨイグサ、タバコ、シソなどは発芽に光を必要とする種子であり、光発芽種子(ひかりはつがしゅし、photoblastic seed)という。 いっぽう、カボチャ、ケイトウ、キュウリなどは発芽に光を必要としない種子であり、暗発芽種子(あんはつがしゅし、dark germinater)という。 レタスの種子(光発芽種子)は、赤色光(せきしょくこう、波長660nm)を当てると発芽を促進し、遠赤色光(えんせきしょくこう、波長730nm)を当てると発芽が打ち消される。 赤色光と遠赤色光を交互にあてた場合、最後に照射された光の波長によって発芽の有無が決まる。 最後に赤色光を当てた場合には発芽して、いっぽう最後に遠赤色光を当てた場合には発芽しない。 このような仕組みは、植物が、他に植物の多い場所では発芽しないようにするための工夫であると考えられている。なぜなら、光は植物の葉を通過すると、赤色光などは吸収されて遠赤色光だけになる。もし、他に植物が多いと、他の植物に地中の栄養や水分などを奪われやすいからである。 光発芽種子の発芽には、フィトクロム(phytochrome)という色素タンパク質が受容体として関係している。フィトクロムのように、光を受け取る受容体を光受容体(ひかりじゅようたい)という。フィトクロムには2つの型があり、赤色光を感じる型(PRまたはPrと表記)と、遠赤色光を感じる型(PFRまたはPfrと表記)がある。これらは光を吸収することによって相互に変換しあう。PRは赤色光を吸収することでPFRに変化する。PFRは遠赤色光を吸収することでPrに変化する。このフィトクロムの2つの型によって、最後に当たった光の波長が赤色光か遠赤色光かを区別している。 PFR型が増えるとジベレリンの合成が誘導され、ジベレリンによって発芽が促進される。 いっぽう、他の植物が生い茂っている場所などにある種子では、まわりの植物の葉緑体が赤色光を吸収して、吸収されなかった遠赤色光が種子に届くので、種子中のフィトクロムではPFRが遠赤色光を吸収してPRになってるため、種子中にPR型フィトクロムが多く、PFR型は少ない。 こうして種子は花芽形成や種子の発芽を調節している。 レタスの種子の発芽はジベレリンによるものなので、たとえ暗所であっても、レタスの種子にジベレリンを外部から与えれば、レタスの種子は発芽する。 植物が刺激の方向に対して一定の方向に屈曲する性質を屈性(くっせい、tropism)と呼び、 刺激の方向に関係なく運動する性質を傾性(けいせい、nasty)と呼ぶ。 屈性には、光屈性(phototropism)、重力屈性(gravitropism)、水分屈性(hydrotropism)、化学屈性(chemotropism)、接触屈性(thigmotropism)などがある。 刺激の方向へ向かって屈曲することを正の屈曲といい、 その逆を負の屈曲という。 傾性には、傾熱性(thermonasty )、傾光性(photonasty)、傾触性(aeschynomenous)などがある。 オーキシン(auxin)という植物ホルモンが、光屈性に関係している。オーキシンは茎の先端部で合成される。そして、オーキシンは光の当たらない側に移動する。そして、オーキシンの多い側(つまり光の当たらない側)では、細胞が、より伸張するため、結果的に植物が曲がる。 植物の天然のオーキシンはインドール酢酸(インドールさくさん、IAA、indole acetic acid)である。 光屈性の研究にはダーウィン、ボイセン・イェンセン、ウェント、ケーグルらの研究がある。 1880年、進化論でも有名なダーウィン父子(イギリス)は、 カナリークサヨシ(学名:Phalaris canariensis)の幼葉鞘を用いて一方向から光を当てる光屈性の実験を行った。 そのまま光を当てると、光の方向に屈曲した。 幼葉鞘(ようようしょう、英: coleoptile、子葉鞘とも)を土の中へ埋め、先端部だけ土の中から出すと、先端部の下方で屈曲した。 先端部を錫箔で覆うと、屈曲しなかった。 これらから、幼葉鞘は、光の方向を感知するのは先端部であり、その刺激に反応して先端部よりも下の部位が屈曲することがわかった。 1913年、デンマークのボイセン・イェンセンは、 マカラスムギ(学名:Avena sativa)の幼葉鞘を用いて一方向から光を当てる実験を行った。 先端部を切り、先端部と基部との間に、ゼラチン片を挟むと、屈曲した。ゼラチン片は水を通す。 光側に雲母片を刺すと、屈曲した。 影側に雲母片を刺すと、屈曲しなかった。 これらから、幼葉鞘は、 光を先端部で受容すると、 ゼラチン片を通る成長促進の物質が作られ、その成長促進物質は光の当たらない側に移動して、そして下方に移動して作用することがわかった。そしてゼラチン片は水を通すことから、成長を促進する物質は、水溶性であることを示唆し、実際に水溶性であることが、のちに分かっている。 1928年、オランダのウェントは、 マカラスムギの幼葉鞘を用いて一方向から光を当てる実験を行った。 まず、先端部だけを寒天片に乗せ、一方向から光を当てる。 次に、その寒天片を光側と影側に半分に分け、 それぞれを先端部を切除した幼葉鞘に乗せる。 すると、光側の寒天片を乗せた幼葉鞘は成長しなかったが、 影側の寒天片を乗せた幼葉鞘は成長した。 これらから、先端部で作られた化学物質は、 影側へ移動してから下降し、 成長を促進することがわかった。このような植物成長の促進物質があることが分かり、オーキシン(auxin)と名づけられた。オーキシンのように、微量で植物の成長や作用を調節する物質をまとめて植物ホルモンという。 また、ウェントは屈曲の角度から成長促進物質の濃度を調べるアベナ屈曲試験法(avena curvature test)(別名:アベナテスト)を考案した。マカラスムギの学名 avena sativa(アベナ サティバ)の属名に由来する。 1934年、ドイツのケーグルは、 植物の、これらの成長促進物質をオーキシン(auxin)と名づけた。このとき、まだオーキシンの化学構造ははっきりしていなかった。 のちに植物の天然のオーキシンはインドール酢酸(インドールさくさん、IAA、indole acetic acid)という物質であることを突き止めた。 オーキシンは、茎の先端から根の方向へと移動する。逆には移動しない。これは茎をさかさまにしても、移動方向は、茎頂→根のまま変わらない。たとえば幼葉鞘を切り取ってさかさまにして、上側(根の側)をオーキシンをふくんだ寒天片に接触させても、倒立した幼葉鞘ではオーキシンは移動しない。このようにオーキシンの移動に茎→根という方向性があることを極性(きょくせい)といい、このような極性にしたがったオーキシンの移動のことを極性移動(きょくせい いどう)という。 植物の細胞膜にはオーキシンを取り入れるタンパク質(AUX1)と、オーキシンを排出するタンパク質(PIN)があることが分かっている。これらのオーキシン輸送タンパク質が、植物の器官ごとに、それぞれ細胞の特定方向の面に片寄っているので、結果的にオーキシンの極性移動が行われる。 オーキシンが移動する仕組みについては、まだ未解明の部分があり、学者たちの研究中である。 今のところの説は、オーキシン(インドール酢酸)は、細胞壁や細胞膜に作用していると考えられており、酸の水素イオン(H)が関わっているとされている。 根の重力屈性の仕組みは、根冠の細胞中にあるアミロプラストというデンプンをふくむ細胞小器官が多くあり、このアミロプラストが重力によって下方に移動し、その細胞内の下部にアミロプラストが集まることが、オーキシンを輸送するオーキシン輸送タンパク質(AUX1やPIN)に、何らかの影響を与えているとされている。 オーキシンの最適濃度は植物の器官によって異なる。 オーキシンの最適濃度は 茎>側芽>根 の順となっている。さらに、オーキシンの濃度が高すぎると、成長が抑制される。 オーキシンは極性移動とは別に、重力によって移動する。幼葉鞘を水平にするとオーキシンは重力によって下部に集まる。茎と根でオーキシンの最適濃度が違い、最適濃度を大幅に越えると、むしろ抑制されるため、結果的に茎と根が、上図『水平にした幼葉鞘の重力屈性』のように曲がって成長していく。重力と同じ方向に曲がる根のがわが正の重力屈性である。茎のがわは負の重力屈性である。 茎の頂芽(ちょうが、茎の先端の芽のこと)が成長しているときは、そのオーキシン濃度では側芽(そくが)は抑制されて成長できない。 これを頂芽優勢(ちょうがゆうせい、apical dominance)と呼ぶ。頂芽優勢には、サイトカイニンという別の植物ホルモンも関係している。 頂芽を除去しても切断芽にオーキシンを与えると、側芽は成長しない。また、頂芽を残しても側芽にサイトカイニンを与えると、側芽は成長する。これらの結果から仮説として、オーキシンが、側芽の成長に必要なサイトカイニンの合成を抑制している、と考えられている。 (未記述) オーキシンの他の植物ホルモンとしては、 植物の成長を促すジベレリン(gibberellin)、 果実の成熟を促すエチレン(ethylene)、 細胞分裂を促すサイトカイニン(cytokinin)、 種子の休眠を維持するアブシシン酸(abscisic acid)などがある。 ジベレリンの発見は、イネの馬鹿苗病(ばかなえびょう)という草丈の大きくなる病気の研究から、黒沢英一によって発見され(1926年)、藪田貞治郎によって単離・結晶化され命名された(1930年代)。あるカビ(学名:Gibberella、ジベレラ属)がジベレリンを分泌することが分かり、そのジベレリンがイネの草丈を大きくしていることが分かった。当初はジベレリンはカビの産生する毒素と考えられていた。その後、健康な植物自体もジベレリンを生成していることが分かり、ジベレリンは植物ホルモンだと分かった。 ジベレリンの作用は草丈を伸ばす以外にもあり、受粉してない子房に果実をつくらせ成長させる(単為結実)ので、種無しブドウなどの生産にもジベレリンは利用されている。受粉してない子房に果実作らせることを単為結実(たんいけつじつ)という。 エチレンは気体であり、化学式 C2H4 の植物ホルモンである。エチレンは果実の成熟をうながす。熟したリンゴからはエチレンが良く出てくる。密閉した容器に熟したリンゴと未熟なバナナを入れておくと、バナナが早く熟す。一つの箱にリンゴをいくつも入れておくと、一つでも塾すと、エチレンを出して他のリンゴも熟させるので、ほぼ同時に多くのリンゴが熟す。 まず、充分な水がある場合、気孔にある孔片細胞に水が取り込まれ、孔片細胞が湾曲し、結果的に気孔が開く。 水分が不足すると、葉でアブシジン酸が合成され、葉でのアブシジン酸の濃度が高まり、浸透によって後編細胞からは水が流出し、孔片細胞の膨圧が低下して気孔が閉じる。 成長すれば花となる芽を花芽(floral bud)と呼ぶ。 花芽形成には光や温度が関係している。 花芽形成が暗期の長さによって調節される性質を光周性(photoperiodism)という。 植物は一定の長さの暗期が続くと花芽形成を行い、 この一定の長さの暗期を限界暗期(critical dark period)という。 限界暗期以下で花芽を形成する植物を長日植物(long-day plant)といい、 限界暗期以上で花芽を形成する植物を短日植物(short-day plant)といい、 限界暗期に影響を受けない植物を中性植物(neutral plant)という。 長日植物にはアブラナ、ホウレンソウなどがあり、 短日植物にはダイズ、コスモスなどがあり、 中性植物にはトマト、トウモロコシなどがある。 人為的に限界暗期を短くすることを長日処理(long-day treatment)といい、 人為的に限界暗期を長くすることを短日処理(short-day treatment)という。 光周性に働きかけるホルモンは花成ホルモン(flowring hormone)と呼ばれ、フロリゲン(florigen)がある。 フロリゲンは葉で光を感知することで合成され、師管を通ることが分かっている。 花芽形成には低温にさらされることが必要な植物もある。 これを春化(vernalization)と呼び、人工的に春化することを春化処理()と呼ぶ。 春化が必要な植物には、秋まきコムギなどがある。
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"paragraph_id": 30, "tag": "p", "text": "光屈性の研究にはダーウィン、ボイセン・イェンセン、ウェント、ケーグルらの研究がある。", "title": "植物の反応と調節" }, { "paragraph_id": 31, "tag": "p", "text": "1880年、進化論でも有名なダーウィン父子(イギリス)は、 カナリークサヨシ(学名:Phalaris canariensis)の幼葉鞘を用いて一方向から光を当てる光屈性の実験を行った。 そのまま光を当てると、光の方向に屈曲した。 幼葉鞘(ようようしょう、英: coleoptile、子葉鞘とも)を土の中へ埋め、先端部だけ土の中から出すと、先端部の下方で屈曲した。 先端部を錫箔で覆うと、屈曲しなかった。 これらから、幼葉鞘は、光の方向を感知するのは先端部であり、その刺激に反応して先端部よりも下の部位が屈曲することがわかった。", "title": "植物の反応と調節" }, { "paragraph_id": 32, "tag": "p", "text": "1913年、デンマークのボイセン・イェンセンは、 マカラスムギ(学名:Avena sativa)の幼葉鞘を用いて一方向から光を当てる実験を行った。 先端部を切り、先端部と基部との間に、ゼラチン片を挟むと、屈曲した。ゼラチン片は水を通す。 光側に雲母片を刺すと、屈曲した。 影側に雲母片を刺すと、屈曲しなかった。 これらから、幼葉鞘は、 光を先端部で受容すると、 ゼラチン片を通る成長促進の物質が作られ、その成長促進物質は光の当たらない側に移動して、そして下方に移動して作用することがわかった。そしてゼラチン片は水を通すことから、成長を促進する物質は、水溶性であることを示唆し、実際に水溶性であることが、のちに分かっている。", "title": "植物の反応と調節" }, { "paragraph_id": 33, "tag": "p", "text": "1928年、オランダのウェントは、 マカラスムギの幼葉鞘を用いて一方向から光を当てる実験を行った。 まず、先端部だけを寒天片に乗せ、一方向から光を当てる。 次に、その寒天片を光側と影側に半分に分け、 それぞれを先端部を切除した幼葉鞘に乗せる。 すると、光側の寒天片を乗せた幼葉鞘は成長しなかったが、 影側の寒天片を乗せた幼葉鞘は成長した。 これらから、先端部で作られた化学物質は、 影側へ移動してから下降し、 成長を促進することがわかった。このような植物成長の促進物質があることが分かり、オーキシン(auxin)と名づけられた。オーキシンのように、微量で植物の成長や作用を調節する物質をまとめて植物ホルモンという。 また、ウェントは屈曲の角度から成長促進物質の濃度を調べるアベナ屈曲試験法(avena curvature test)(別名:アベナテスト)を考案した。マカラスムギの学名 avena sativa(アベナ サティバ)の属名に由来する。", "title": "植物の反応と調節" }, { "paragraph_id": 34, "tag": "p", "text": "1934年、ドイツのケーグルは、 植物の、これらの成長促進物質をオーキシン(auxin)と名づけた。このとき、まだオーキシンの化学構造ははっきりしていなかった。", "title": "植物の反応と調節" }, { "paragraph_id": 35, "tag": "p", "text": "のちに植物の天然のオーキシンはインドール酢酸(インドールさくさん、IAA、indole acetic acid)という物質であることを突き止めた。", "title": "植物の反応と調節" }, { "paragraph_id": 36, "tag": "p", "text": "オーキシンは、茎の先端から根の方向へと移動する。逆には移動しない。これは茎をさかさまにしても、移動方向は、茎頂→根のまま変わらない。たとえば幼葉鞘を切り取ってさかさまにして、上側(根の側)をオーキシンをふくんだ寒天片に接触させても、倒立した幼葉鞘ではオーキシンは移動しない。このようにオーキシンの移動に茎→根という方向性があることを極性(きょくせい)といい、このような極性にしたがったオーキシンの移動のことを極性移動(きょくせい いどう)という。", "title": "植物の反応と調節" }, { "paragraph_id": 37, "tag": "p", "text": "植物の細胞膜にはオーキシンを取り入れるタンパク質(AUX1)と、オーキシンを排出するタンパク質(PIN)があることが分かっている。これらのオーキシン輸送タンパク質が、植物の器官ごとに、それぞれ細胞の特定方向の面に片寄っているので、結果的にオーキシンの極性移動が行われる。", "title": "植物の反応と調節" }, { "paragraph_id": 38, "tag": "p", "text": "オーキシンが移動する仕組みについては、まだ未解明の部分があり、学者たちの研究中である。 今のところの説は、オーキシン(インドール酢酸)は、細胞壁や細胞膜に作用していると考えられており、酸の水素イオン(H)が関わっているとされている。", "title": "植物の反応と調節" }, { "paragraph_id": 39, "tag": "p", "text": "根の重力屈性の仕組みは、根冠の細胞中にあるアミロプラストというデンプンをふくむ細胞小器官が多くあり、このアミロプラストが重力によって下方に移動し、その細胞内の下部にアミロプラストが集まることが、オーキシンを輸送するオーキシン輸送タンパク質(AUX1やPIN)に、何らかの影響を与えているとされている。", "title": "植物の反応と調節" }, { "paragraph_id": 40, "tag": "p", "text": "オーキシンの最適濃度は植物の器官によって異なる。 オーキシンの最適濃度は 茎>側芽>根 の順となっている。さらに、オーキシンの濃度が高すぎると、成長が抑制される。", "title": "植物の反応と調節" }, { "paragraph_id": 41, "tag": "p", "text": "オーキシンは極性移動とは別に、重力によって移動する。幼葉鞘を水平にするとオーキシンは重力によって下部に集まる。茎と根でオーキシンの最適濃度が違い、最適濃度を大幅に越えると、むしろ抑制されるため、結果的に茎と根が、上図『水平にした幼葉鞘の重力屈性』のように曲がって成長していく。重力と同じ方向に曲がる根のがわが正の重力屈性である。茎のがわは負の重力屈性である。", "title": "植物の反応と調節" }, { "paragraph_id": 42, "tag": "p", "text": "茎の頂芽(ちょうが、茎の先端の芽のこと)が成長しているときは、そのオーキシン濃度では側芽(そくが)は抑制されて成長できない。 これを頂芽優勢(ちょうがゆうせい、apical dominance)と呼ぶ。頂芽優勢には、サイトカイニンという別の植物ホルモンも関係している。 頂芽を除去しても切断芽にオーキシンを与えると、側芽は成長しない。また、頂芽を残しても側芽にサイトカイニンを与えると、側芽は成長する。これらの結果から仮説として、オーキシンが、側芽の成長に必要なサイトカイニンの合成を抑制している、と考えられている。", "title": "植物の反応と調節" }, { "paragraph_id": 43, "tag": "p", "text": "(未記述)", "title": "植物の反応と調節" }, { "paragraph_id": 44, "tag": "p", "text": "オーキシンの他の植物ホルモンとしては、 植物の成長を促すジベレリン(gibberellin)、 果実の成熟を促すエチレン(ethylene)、 細胞分裂を促すサイトカイニン(cytokinin)、 種子の休眠を維持するアブシシン酸(abscisic acid)などがある。", "title": "植物の反応と調節" }, { "paragraph_id": 45, "tag": "p", "text": "ジベレリンの発見は、イネの馬鹿苗病(ばかなえびょう)という草丈の大きくなる病気の研究から、黒沢英一によって発見され(1926年)、藪田貞治郎によって単離・結晶化され命名された(1930年代)。あるカビ(学名:Gibberella、ジベレラ属)がジベレリンを分泌することが分かり、そのジベレリンがイネの草丈を大きくしていることが分かった。当初はジベレリンはカビの産生する毒素と考えられていた。その後、健康な植物自体もジベレリンを生成していることが分かり、ジベレリンは植物ホルモンだと分かった。", "title": "植物の反応と調節" }, { "paragraph_id": 46, "tag": "p", "text": "ジベレリンの作用は草丈を伸ばす以外にもあり、受粉してない子房に果実をつくらせ成長させる(単為結実)ので、種無しブドウなどの生産にもジベレリンは利用されている。受粉してない子房に果実作らせることを単為結実(たんいけつじつ)という。", "title": "植物の反応と調節" }, { "paragraph_id": 47, "tag": "p", "text": "エチレンは気体であり、化学式 C2H4 の植物ホルモンである。エチレンは果実の成熟をうながす。熟したリンゴからはエチレンが良く出てくる。密閉した容器に熟したリンゴと未熟なバナナを入れておくと、バナナが早く熟す。一つの箱にリンゴをいくつも入れておくと、一つでも塾すと、エチレンを出して他のリンゴも熟させるので、ほぼ同時に多くのリンゴが熟す。", "title": "植物の反応と調節" }, { "paragraph_id": 48, "tag": "p", "text": "まず、充分な水がある場合、気孔にある孔片細胞に水が取り込まれ、孔片細胞が湾曲し、結果的に気孔が開く。 水分が不足すると、葉でアブシジン酸が合成され、葉でのアブシジン酸の濃度が高まり、浸透によって後編細胞からは水が流出し、孔片細胞の膨圧が低下して気孔が閉じる。", "title": "植物の反応と調節" }, { "paragraph_id": 49, "tag": "p", "text": "成長すれば花となる芽を花芽(floral bud)と呼ぶ。 花芽形成には光や温度が関係している。", "title": "植物の反応と調節" }, { "paragraph_id": 50, "tag": "p", "text": "花芽形成が暗期の長さによって調節される性質を光周性(photoperiodism)という。 植物は一定の長さの暗期が続くと花芽形成を行い、 この一定の長さの暗期を限界暗期(critical dark period)という。", "title": "植物の反応と調節" }, { "paragraph_id": 51, "tag": "p", "text": "限界暗期以下で花芽を形成する植物を長日植物(long-day plant)といい、 限界暗期以上で花芽を形成する植物を短日植物(short-day plant)といい、 限界暗期に影響を受けない植物を中性植物(neutral plant)という。 長日植物にはアブラナ、ホウレンソウなどがあり、 短日植物にはダイズ、コスモスなどがあり、 中性植物にはトマト、トウモロコシなどがある。", "title": "植物の反応と調節" }, { "paragraph_id": 52, "tag": "p", "text": "人為的に限界暗期を短くすることを長日処理(long-day treatment)といい、 人為的に限界暗期を長くすることを短日処理(short-day treatment)という。", "title": "植物の反応と調節" }, { "paragraph_id": 53, "tag": "p", "text": "光周性に働きかけるホルモンは花成ホルモン(flowring hormone)と呼ばれ、フロリゲン(florigen)がある。 フロリゲンは葉で光を感知することで合成され、師管を通ることが分かっている。", "title": "植物の反応と調節" }, { "paragraph_id": 54, "tag": "p", "text": "花芽形成には低温にさらされることが必要な植物もある。 これを春化(vernalization)と呼び、人工的に春化することを春化処理()と呼ぶ。 春化が必要な植物には、秋まきコムギなどがある。", "title": "植物の反応と調節" } ]
高等学校生物 > 生物I > 環境と植物
<small> [[高等学校生物]] > 生物I > 環境と植物 </small> == これまでの復習 == 中学や、高校生物Iの他の単元で説明した内容の復習である。 すでに読者が理解できていれば、節『[[#植物の反応と調節|植物の反応と調節]]』へと進んで、新たな内容を勉強すること。 === 導入 === 植物は一か所に固定して暮らすため、 外部環境の変化に大きな影響を受ける。 植物は外部環境の変化に対して、 自身の成長などを調節することで対応する。 このページでは、 植物と水分・光の関係、 植物の発芽・成長・花芽形成の調節、 などを扱う。 === 植物の生活と環境 === ==== 環境要因 ==== 環境のうち生物に影響を与えるものを環境要因と呼ぶ。 植物に対する環境要因は光・水・大気(酸素・二酸化炭素)、土壌などがある。 光は、植物が光合成を行うためのエネルギー源となっている。 水は、化学反応を行う場となったり、様々な物質を輸送している。 植物は光合成だけでなく呼吸も行っている。酸素はその呼吸に必要であり、二酸化炭素は光合成に必要である。 土壌中の栄養塩類は、植物が成長するために必要である。 ==== 水分の吸収と移動 ==== 水は植物に必要なものの一つで、 植物は水を根の根毛から吸収し、 茎の道管を通して移動し、 葉の気孔から蒸散する。 [[Image:NSRW Root-Tip.png|thumb|right|320px|若い根毛のある根冠]] 根の外側には表皮細胞やその表皮細胞が変形した根毛があり、'''吸水'''を行っている。 その後、水は皮層の細胞やその間を通り、道管・仮道管へ到達する。 根の内部の浸透圧はその外部の浸透圧より高いので、 根は吸水する。 この圧力を'''根圧'''(root pressure)と呼ぶ。 {{-}} 水分子は互いに引き合う'''凝集力'''()をもっている。 この凝集力によって水は導管で途切れることなく続いている。 [[Image:Stomata_open_close.jpg|thumb|right|320px|[[w:シロイヌナズナ|シロイヌナズナ]]の気孔。(上)開いた気孔、(下)閉じた気孔]] '''蒸散'''(transpiration)にはクチクラ蒸散と気孔蒸散があるが、ほとんどは気孔蒸散である。 蒸散量の調節は気孔の開閉によって行われる。 蒸散は、水を引き上げる力となっている。 気孔は、2つの孔辺細胞が向かい合ってできている。 孔辺細胞の細胞壁は、内側が外側より厚くなっている。 水分を吸収して膨圧が高くなると、外側に曲がり、気孔が開く。 {{-}} 根圧、水分子の凝集力、蒸散によって、 植物は水を吸収し移動させている。 ==== 光合成 ==== 植物は光エネルギーにより、 水と二酸化炭素から、 グルコースを合成している。 これを'''光合成'''(photosynthesis)と呼ぶ。 植物は光合成で二酸化炭素から酸素を作るとともに、 呼吸で酸素から二酸化炭素を作っている。 したがって、実際の'''光合成速度'''(photosynthetic rate)は、'''見かけの光合成速度'''(apparent photosunthetic rate)と'''呼吸速度'''(respiration rate)を足したものである。 イギリスの[[w:フレデリック・ブラックマン|フレデリック・ブラックマン]]は、 光合成速度は、光の強さ、二酸化炭素濃度、温度のうち最も不足したもの('''限定要因'''(limiting factor))によって決まるとする'''限定要因説'''()を唱えた。 ===== 光の強さと光合成速度 ===== 二酸化炭素濃度と温度を一定にし、光の強さを変えてみる。 光の強さと光合成速度をグラフにしたとき、 光合成速度と呼吸速度が等しく、見かけの光合成速度がゼロになる点を'''補償点'''(compensation point)と呼ぶ。 また、光の強さを上げても光合成速度がそれ以上上がらなくなる点を'''光飽和点'''(photic saturation point)と呼ぶ。 日向を好む'''陽生植物'''(sun plant)では、補償点や光飽和点は比較的高く、 弱い光でも生育できる'''陰生植物'''()では、補償点や光飽和点は比較的低い。 陽生植物には[[w:クロマツ|クロマツ]]、[[w:ソラマメ|ソラマメ]]、[[w:ススキ|ススキ]]などがあり、 陰生植物には[[w:ブナ|ブナ]]、[[w:コミヤマカタバミ|コミヤマカタバミ]]などがある。 また、同じ植物でも、日当たりの良いところの葉(陽葉, sun leaf)は補償点や光飽和点は比較的高く、 日当たりの悪いところの葉(陰葉, shade leaf)は補償点や光飽和点は比較的低い。 ===== 二酸化炭素濃度と光合成速度 ===== 光の強さと温度を一定にし、二酸化炭素濃度を変えてみる。 二酸化炭素濃度と光合成速度をグラフにすると、 二酸化炭素濃度が上がるとともに光合成速度も上がるが、 二酸化炭素濃度がある一定の値以上になると光合成速度は上がらなくなる。 これは、二酸化炭素濃度が低いときは二酸化炭素濃度が限定要因となり、 二酸化炭素濃度が高いときは二酸化炭素濃度以外が限定要因となっているためである。 ===== 温度と光合成速度 ===== 光の強さと二酸化炭素濃度を一定にし、温度を変えてみる。 温度と光合成速度をグラフにすると、 温度がある一定の値の時に光合成速度が最も上がり、 温度が低すぎたり高すぎたりすると光合成速度は下がる。 これは、光合成を行う酵素の働きに最適な温度があるためである。 == 植物の反応と調節 == === 発芽 === 休眠(dormancy)した植物の種子が芽を出し発育を始めることを発芽(Germination)と呼ぶ。 発芽には、水分・温度・酸素などの条件がそろうことが必要である。 休眠した種子の発芽には、水が必要である。 種子の周りには水を通しにくい種皮と呼ばれるものがあり、これが種子の休眠を維持している。 種子の休眠には'''アブシシン酸'''(abscisic acid)という植物ホルモンが関係している。アブシシン酸は発芽を抑制する。 発芽には'''ジベレリン'''(gibberellin)と呼ばれる別の植物ホルモンが、発芽を促進している。 このようにジベレリンとアブシジン酸は、種子の発芽に関して、拮抗的(きっこうてき)に、対立する。 イネやコムギの種子では、胚がジベレリンを合成し分泌する。そしてジベレリンは胚乳の外側にある糊粉層(こふんそう)の細胞に働きかけることで、酵素のアミラーゼの発現を誘導して、アミラーゼが胚乳にふくまれるデンプンを分解することでグルコースなどの糖が生成され、これらの糖が発芽のためのエネルギー源になる。 [[w:レタス|レタス]]、[[w:マツヨイグサ|マツヨイグサ]]、[[w:タバコ|タバコ]]、シソなどは発芽に光を必要とする種子であり、'''光発芽種子'''(ひかりはつがしゅし、photoblastic seed)という。 いっぽう、[[w:カボチャ|カボチャ]]、[[w:ケイトウ|ケイトウ]]、キュウリなどは発芽に光を必要としない種子であり、'''暗発芽種子'''(あんはつがしゅし、dark germinater)という。 レタスの種子(光発芽種子)は、赤色光(せきしょくこう、波長660nm)を当てると発芽を促進し、遠赤色光(えんせきしょくこう、波長730nm)を当てると発芽が打ち消される。 赤色光と遠赤色光を交互にあてた場合、最後に照射された光の波長によって発芽の有無が決まる。 最後に赤色光を当てた場合には発芽して、いっぽう最後に遠赤色光を当てた場合には発芽しない。 このような仕組みは、植物が、他に植物の多い場所では発芽しないようにするための工夫であると考えられている。なぜなら、光は植物の葉を通過すると、赤色光などは吸収されて遠赤色光だけになる。もし、他に植物が多いと、他の植物に地中の栄養や水分などを奪われやすいからである。 光発芽種子の発芽には、'''フィトクロム'''(phytochrome)という色素タンパク質が受容体として関係している。フィトクロムのように、光を受け取る受容体を'''光受容体'''(ひかりじゅようたい)という。フィトクロムには2つの型があり、赤色光を感じる型('''P<sub>R</sub>'''または'''Pr'''と表記)と、遠赤色光を感じる型('''P<sub>FR</sub>'''または'''Pfr'''と表記)がある。これらは光を吸収することによって相互に変換しあう。P<sub>R</sub>は赤色光を吸収することでP<sub>FR</sub>に変化する。P<sub>FR</sub>は遠赤色光を吸収することでPrに変化する。このフィトクロムの2つの型によって、最後に当たった光の波長が赤色光か遠赤色光かを区別している。 P<sub>FR</sub>型が増えるとジベレリンの合成が誘導され、ジベレリンによって発芽が促進される。 いっぽう、他の植物が生い茂っている場所などにある種子では、まわりの植物の葉緑体が赤色光を吸収して、吸収されなかった遠赤色光が種子に届くので、種子中のフィトクロムではP<sub>FR</sub>が遠赤色光を吸収してP<sub>R</sub>になってるため、種子中にP<sub>R</sub>型フィトクロムが多く、P<sub>FR</sub>型は少ない。 こうして種子は花芽形成や種子の発芽を調節している。 レタスの種子の発芽はジベレリンによるものなので、たとえ暗所であっても、レタスの種子にジベレリンを外部から与えれば、レタスの種子は発芽する。 === 成長 === [[Image:Phycomyces3.JPG|thumb|right|320px|[[w:真菌|真菌]]類の[[w:ヒゲカビ|ヒゲカビ]]。屈光性を示す。]] {| class="wikitable" style="float:right" |+ いろいろな屈性 !   !! 刺激 !! 例 |- ! 重力屈性 |  重力 ||  根(+)、茎(ー)  |- ! 光屈性 |  光 ||  茎(+)、根(ー) |- ! 接触屈性 |  接触 ||  巻きひげ(+) |- ! 水分屈性 |  水 ||  根(+) |-   ! 化学屈性 |  化学物質 ||  花粉管(+) |} 植物が刺激の方向に対して一定の方向に屈曲する性質を'''屈性'''(くっせい、tropism)と呼び、 刺激の方向に関係なく運動する性質を'''傾性'''(けいせい、nasty)と呼ぶ。 屈性には、光屈性(phototropism)、重力屈性(gravitropism)、水分屈性(hydrotropism)、化学屈性(chemotropism)、接触屈性(thigmotropism)などがある。 刺激の方向へ向かって屈曲することを正の屈曲といい、 その逆を負の屈曲という。 傾性には、傾熱性(thermonasty )、傾光性(photonasty)、傾触性(aeschynomenous)などがある。 {{-}} <ref>吉里勝利ほか『スクエア 最新図説生物』第一学習社、2004年1月10日発行、p.176</ref> [[File:オーキシンの移動.svg|thumb|400px|オーキシンの移動。幼葉鞘(ようようしょう)に、光を一方から当てている。オーキシンは光の当たらない側に移動する。]] '''オーキシン'''(auxin)という植物ホルモンが、光屈性に関係している。オーキシンは茎の先端部で合成される。そして、オーキシンは光の当たらない側に移動する。そして、オーキシンの多い側(つまり光の当たらない側)では、細胞が、より伸張するため、結果的に植物が曲がる。 植物の天然のオーキシンは'''インドール酢酸'''(インドールさくさん、'''IAA'''、indole acetic acid)である。 [[File:茎の屈性と細胞.svg|thumb|400px|left|光の当たらない側の細胞が、より大きく成長する。よって結果的に、植物は曲がる。]] {{-}} 光屈性の研究にはダーウィン、ボイセン・イェンセン、ウェント、ケーグルらの研究がある。 *ダーウィンの実験 [[File:ダーウィンの実験.svg|thumb|500px|ダーウィンの実験]] 1880年、進化論でも有名な[[w:チャールズ・ダーウィン|ダーウィン]]父子(イギリス)は、 [[w:カナリークサヨシ|カナリークサヨシ]](学名:''Phalaris canariensis'')の幼葉鞘を用いて一方向から光を当てる光屈性の実験を行った。 そのまま光を当てると、光の方向に屈曲した。 幼葉鞘(ようようしょう、{{lang-en-short|coleoptile}}、[[w:子葉鞘|子葉鞘]]とも)を土の中へ埋め、先端部だけ土の中から出すと、先端部の下方で屈曲した。 先端部を錫箔で覆うと、屈曲しなかった。 これらから、幼葉鞘は、光の方向を感知するのは先端部であり、その刺激に反応して先端部よりも下の部位が屈曲することがわかった。 {{-}} *ボイセン イェンセンの実験 [[File:ボイセン イェンセンの実験.svg|thumb|500px|ボイセン イェンセンの実験]] 1913年、デンマークの[[w:ピーター・ボイセン・イェンセン|ボイセン・イェンセン]]は、 [[w:エンバク|マカラスムギ]](学名:''Avena sativa'')の幼葉鞘を用いて一方向から光を当てる実験を行った。 先端部を切り、先端部と基部との間に、ゼラチン片を挟むと、屈曲した。ゼラチン片は水を通す。 光側に雲母片を刺すと、屈曲した。 影側に雲母片を刺すと、屈曲しなかった。 これらから、幼葉鞘は、 光を先端部で受容すると、 ゼラチン片を通る成長促進の物質が作られ、その成長促進物質は光の当たらない側に移動して、そして下方に移動して作用することがわかった。そしてゼラチン片は水を通すことから、成長を促進する物質は、水溶性であることを示唆し、実際に水溶性であることが、のちに分かっている。 {{-}} *ウェントの実験 [[File:ウェントの実験.svg|thumb|400px|ウェントの実験]] 1928年、オランダの[[w:en:Frits Went|ウェント]]は、 マカラスムギの幼葉鞘を用いて一方向から光を当てる実験を行った。 まず、先端部だけを寒天片に乗せ、一方向から光を当てる。 次に、その寒天片を光側と影側に半分に分け、 それぞれを先端部を切除した幼葉鞘に乗せる。 すると、光側の寒天片を乗せた幼葉鞘は成長しなかったが、 影側の寒天片を乗せた幼葉鞘は成長した。 これらから、先端部で作られた化学物質は、 影側へ移動してから下降し、 成長を促進することがわかった。このような植物成長の促進物質があることが分かり、'''オーキシン'''(auxin)と名づけられた。オーキシンのように、微量で植物の成長や作用を調節する物質をまとめて'''植物ホルモン'''という。 また、ウェントは屈曲の角度から成長促進物質の濃度を調べる'''アベナ屈曲試験法'''(avena curvature test)(別名:'''アベナテスト''')を考案した。マカラスムギの学名 ''avena sativa''(アベナ サティバ)の属名に由来する。 1934年、ドイツの[[w:de:Fritz Kögl|ケーグル]]は、 植物の、これらの成長促進物質を'''オーキシン'''(auxin)と名づけた。このとき、まだオーキシンの化学構造ははっきりしていなかった。 のちに植物の天然のオーキシンは'''[[w:インドール-3-酢酸|インドール酢酸]]'''(インドールさくさん、'''IAA'''、indole acetic acid)という物質であることを突き止めた。 {{-}} *オーキシンの極性移動 [[File:オーキシンの極性移動.svg|thumb|500px|オーキシンの極性移動]] オーキシンは、茎の先端から根の方向へと移動する。逆には移動しない。これは茎をさかさまにしても、移動方向は、茎頂→根のまま変わらない。たとえば幼葉鞘を切り取ってさかさまにして、上側(根の側)をオーキシンをふくんだ寒天片に接触させても、倒立した幼葉鞘ではオーキシンは移動しない。このようにオーキシンの移動に茎→根という方向性があることを'''極性'''(きょくせい)といい、このような極性にしたがったオーキシンの移動のことを'''極性移動'''(きょくせい いどう)という。 植物の細胞膜にはオーキシンを取り入れるタンパク質(AUX1)と、オーキシンを排出するタンパク質(PIN)があることが分かっている。これらのオーキシン輸送タンパク質が、植物の器官ごとに、それぞれ細胞の特定方向の面に片寄っているので、結果的にオーキシンの極性移動が行われる。 {{-}} *オーキシンと重力による移動の仕組み <gallery widths=300px heights=250px> File:アミロプラストと重力屈性.svg|アミロプラストと重力屈性。垂直の場合。 File:アミロプラストと重力屈性 水平時.svg|水平の場合。 </gallery> オーキシンが移動する仕組みについては、まだ未解明の部分があり、学者たちの研究中である。 今のところの説は、オーキシン(インドール酢酸)は、細胞壁や細胞膜に作用していると考えられており、酸の水素イオン(H<sup>+</sup>)が関わっているとされている。 根の重力屈性の仕組みは、根冠の細胞中にある'''アミロプラスト'''というデンプンをふくむ細胞小器官が多くあり、このアミロプラストが重力によって下方に移動し、その細胞内の下部にアミロプラストが集まることが、オーキシンを輸送するオーキシン輸送タンパク質(AUX1やPIN)に、何らかの影響を与えているとされている。 *オーキシンの感受性と重力屈性 <gallery widths=450px heights=300px> File:オーキシンの器官ごとの感受性.svg|オーキシンの器官ごとの感受性。 File:茎と根の重力屈性.svg|水平にした幼葉鞘の重力屈性 </gallery> オーキシンの最適濃度は植物の器官によって異なる。 オーキシンの最適濃度は 茎>側芽>根 の順となっている。さらに、オーキシンの濃度が高すぎると、成長が抑制される。 オーキシンは極性移動とは別に、重力によって移動する。幼葉鞘を水平にするとオーキシンは重力によって下部に集まる。茎と根でオーキシンの最適濃度が違い、最適濃度を大幅に越えると、むしろ抑制されるため、結果的に茎と根が、上図『水平にした幼葉鞘の重力屈性』のように曲がって成長していく。重力と同じ方向に曲がる根のがわが正の重力屈性である。茎のがわは負の重力屈性である。 *頂芽優勢 茎の頂芽(ちょうが、茎の先端の芽のこと)が成長しているときは、そのオーキシン濃度では側芽(そくが)は抑制されて成長できない。 これを'''頂芽優勢'''(ちょうがゆうせい、apical dominance)と呼ぶ。頂芽優勢には、'''サイトカイニン'''という別の植物ホルモンも関係している。 頂芽を除去しても切断芽にオーキシンを与えると、側芽は成長しない。また、頂芽を残しても側芽にサイトカイニンを与えると、側芽は成長する。これらの結果から仮説として、オーキシンが、側芽の成長に必要なサイトカイニンの合成を抑制している、と考えられている。 {{-}} *オーキシンの光屈性 (未記述) *その他 オーキシンの他の植物ホルモンとしては、 植物の成長を促す'''ジベレリン'''(gibberellin)、 果実の成熟を促す'''エチレン'''(ethylene)、 細胞分裂を促す'''サイトカイニン'''(cytokinin)、 種子の休眠を維持する'''アブシシン酸'''(abscisic acid)などがある。 *ジベレリン(gibberellin) ジベレリンの発見は、イネの'''馬鹿苗病'''(ばかなえびょう)という草丈の大きくなる病気の研究から、黒沢英一によって発見され(1926年)、藪田貞治郎によって単離・結晶化され命名された(1930年代)。あるカビ(学名:''Gibberella''、ジベレラ属)がジベレリンを分泌することが分かり、そのジベレリンがイネの草丈を大きくしていることが分かった。当初はジベレリンはカビの産生する毒素と考えられていた。その後、健康な植物自体もジベレリンを生成していることが分かり、ジベレリンは植物ホルモンだと分かった。 ジベレリンの作用は草丈を伸ばす以外にもあり、受粉してない子房に果実をつくらせ成長させる(単為結実)ので'''、種無しブドウ'''などの生産にもジベレリンは利用されている。受粉してない子房に果実作らせることを'''単為結実'''(たんいけつじつ)という。 *エチレン エチレンは気体であり、化学式 C<sub>2</sub>H<sub>4</sub> の植物ホルモンである。エチレンは果実の成熟をうながす。熟したリンゴからはエチレンが良く出てくる。密閉した容器に熟したリンゴと未熟なバナナを入れておくと、バナナが早く熟す。一つの箱にリンゴをいくつも入れておくと、一つでも塾すと、エチレンを出して他のリンゴも熟させるので、ほぼ同時に多くのリンゴが熟す。 === 気孔の開閉 === まず、充分な水がある場合、気孔にある孔片細胞に水が取り込まれ、孔片細胞が湾曲し、結果的に気孔が開く。 水分が不足すると、葉でアブシジン酸が合成され、葉でのアブシジン酸の濃度が高まり、浸透によって後編細胞からは水が流出し、孔片細胞の膨圧が低下して気孔が閉じる。 === 花芽形成 === 成長すれば花となる芽を'''花芽'''(floral bud)と呼ぶ。 花芽形成には光や温度が関係している。 花芽形成が暗期の長さによって調節される性質を'''光周性'''(photoperiodism)という。 植物は一定の長さの暗期が続くと花芽形成を行い、 この一定の長さの暗期を'''限界暗期'''(critical dark period)という。 限界暗期以下で花芽を形成する植物を'''長日植物'''(long-day plant)といい、 限界暗期以上で花芽を形成する植物を'''短日植物'''(short-day plant)といい、 限界暗期に影響を受けない植物を'''中性植物'''(neutral plant)という。 長日植物には[[w:アブラナ|アブラナ]]、[[w:ホウレンソウ|ホウレンソウ]]などがあり、 短日植物には[[w:ダイズ|ダイズ]]、[[w:コスモス|コスモス]]などがあり、 中性植物には[[w:トマト|トマト]]、[[w:トウモロコシ|トウモロコシ]]などがある。 人為的に限界暗期を短くすることを長日処理(long-day treatment)といい、 人為的に限界暗期を長くすることを短日処理(short-day treatment)という。 光周性に働きかけるホルモンは'''花成ホルモン'''(flowring hormone)と呼ばれ、'''フロリゲン'''(florigen)がある。 フロリゲンは葉で光を感知することで合成され、師管を通ることが分かっている。 花芽形成には低温にさらされることが必要な植物もある。 これを'''春化'''(vernalization)と呼び、人工的に春化することを'''春化処理'''()と呼ぶ。 春化が必要な植物には、秋まきコムギなどがある。 == 脚注 == <references/> == 参考文献 == *田中隆荘ほか『高等学校生物I』第一学習社、2004年2月10日発行、pp.214-243 *[https://web.archive.org/web/20141016171612/http://www.nhk.or.jp/kokokoza/library/2013/tv/seibutsu/ 『NHK高校講座 生物』第34-38回] *[http://www.weblio.jp/cat/academic/sbtgy 生物学用語辞典 - Weblio 学問] [[Category:高等学校教育|生1かんきようとしよくふつのはんのう]] [[Category:生物学|高1かんきようとしよくふつのはんのう]]
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商法
日本法の法律の一つである商法(広義)に関する教科書。 日本以外の国の商法については、別の項目で解説する。
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{{Pathnav|frame=1|法学|民事法}} {{Wikipedia}}{{Wiktionary}} 日本法の法律の一つである商法(広義)に関する教科書。 日本以外の国の商法については、別の項目で解説する。 == 目次 == == 標準教科書 == *[[商法総則]] *[[会社法]] *[[手形小切手法]] *[[商行為法]] *[[保険法]] *[[海商法]] == コンメンタール == *[[コンメンタール商法]] *[[コンメンタール会社法]] *[[コンメンタール保険法]] *[[コンメンタール手形法]] *[[コンメンタール小切手法]] == 判例集 == === 商法総則 === *昭和時代の判例 *平成時代の判例 === 会社法 === *昭和時代の判例 *平成時代の判例 === 手形小切手法 === *昭和時代の判例 *平成時代の判例 === 商行為法 === === 保険法 === === 海商法 === [[category:法学|しようほう]] [[category:商法|*]]
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民事訴訟法
法学>民事法>民事訴訟法 簡易裁判所では、訴訟を簡易に行えるようにするため、下記のような特則がいくつかある。 なお、地方裁判所以上の裁判所では訴訟代理人は弁護士でなければならない(54条)。 離婚訴訟など家族間の訴訟のことを人事訴訟といい、人事訴訟法に定められている。 ただし、人事訴訟によらずに調停という方法も、家族間・親族間の紛争を解決するには便利である。家事調停のための法律として家事事件手続法が定められている。 下記はウィキバーシティからの引用が元になっています。 サブページ化の際は、引用元の記載時にご注意ください。 当事者能力とは、民事訴訟において当事者となることのできる一般的な資格のことです。少なくとも民法上の権利能力を有する者に当事者能力が認められます(28条)。つまり、自然人または法人には当事者能力が認められます(民法3条)。また、後述する法人格でない団体でも、代表者や管理人の定めがある場合には当事者能力が認められます(29条)。 行政訴訟ですが、アマミノクロウサギを原告とした訴訟が、当事者能力が無いとして訴えが却下された判例〔民訴137 II〕があります。 当事者適格とは、訴訟物たる特定の権利または法律関係について、当事者として訴訟を追行し、本案判決を求めることのできる資格のことです。当事者適格は、訴訟追行権といわれることもあります。当事者適格を有する者のことを正当な当事者という場合もあります。 たとえば債務契約において、債務者あるいは債権者が破産宣告を受けると、破産宣告を受けた人物に代わり破産管財人が原告または被告になる(破80)。 この例のように、本来ならその訴訟物での権利義務の主体とされていない第三者が、当事者適格を獲得する事があり、このような事例のことを第三者の訴訟担当という。 第三者の訴訟担当には、本人(もとの原告・被告)の意志とは無関係に法令の定めによって与えられる法令訴訟担当と、権利義務の主体とされた本人の意志による任意的訴訟担当があります。 法廷訴訟担当の例は、株主代表訴訟(会社847条)、遺言執行者(民1012条)、破産管財人(破80条)、民事執行法155条などに基づく差押債権者による取立(民執155条・157条)、債権者代位訴訟において債権者、・・・・・・などがあると考えられています。 その他、職務上の当事者というのがあり、それは、その仕事の職務上から、訴訟の当事者になることが法的にも当然にも予想されるという職務のことです。 破産管財人や遺言執行者など財産管理処分権のある者は当然、その職務によって訴訟でも当事者として扱われているので、職務上の当事者です。 ほか、財産管理処分権は無いですが、成年後見人・成年被後見監督人(人訴14条)、一定の海難事件における船長(商803条)、なども、職務上の当事者であると考えられます。 また、やや特殊な例ですが、離婚訴訟などの人事訴訟で、相手が死亡した場合、形式的に検察官が相手方の当事者になる規定がありますが(人訴12条3項)、この場合の検察官も職務上の当事者だと考えられます。 任意的訴訟担当の例は、たとえば共同訴訟において代表者を決める選定当事者です(30条1項)。選定当事者とは、具体的にはたとえば列車事故で、多数の被害乗客のうちの1人が代表者になって訴訟するような例です。抽象的には、選定当事者とは、共同の利益を有する者達が、その中から1人または数人ほど選んだ代表者のことです。 しかし、弁護士代理の原則(54条)や訴訟信託の禁止(信託10条)がありますので、学説では、選定当事者以外に無闇やたらに任意的訴訟担当を実施することには批判があります。 選定当事者以外の任意的訴訟担当については判例がいくつかありますが、あまり具体的かつ一般的ではありません。 判例では、民法上の組合の組合員(最判昭和45・11・11)に訴訟追行権を与えた判例があります。これ以前の判例では組合員には選定当事者の場合以外には訴訟追行権がなかったので(たとえば 最判昭和37・7・13民集16巻8号1516頁)、判例の傾向が変わったという事になります。 現在、民法上の組合でなくても、実質的に事件に深く関係する団体の、その団体の構成員であれば、訴訟の権利が認められる事例が比較的に多くあります。 各単元の脚注では、単に「安西、P○○(参照ページ)」、「三木、P○○」など略す場合もある。 凡例は出典により微妙に異なる場合もあるので、統一的なものではない。このため教科書本文では凡例がここの節と微妙に違っている場合もあるので、適宜、適切に解釈すべしこと。 「民事訴訟法」については、原則として条数のみの表記とした。 「民事訴訟規則」については、「民訴規」または「規」とした。、 下記のように略記した箇所もある(安西本を参照)。 以下は主要なものを抜粋。 下記のように略記した箇所もある(三木本を参照)。
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法学>民事法>民事訴訟法
[[法学]]>[[民事法]]>'''民事訴訟法''' {{Wikiversity|Topic:民事訴訟法|民事訴訟法}} == 目次 == ;訴訟の開始 * [[民事訴訟法/訴えの提起]] (訴訟代理人、本人訴訟、) * [[民事訴訟法#当事者]] (ページ内リンク) * [[民事訴訟法/裁判所]] (管轄、訴訟代理人、本人訴訟、送達、除斥・忌避・回避) * [[民事訴訟法/弁論の準備]](専門委員、争点整理手続、弁護士会照会、証拠保全、) ;訴訟の審理 * [[民事訴訟法/証拠調べ]](インカメラ、集中証拠調べ、陳述書、ビデオリンク) * [[民事訴訟法/訴訟の審理]](利益関係文書、口頭弁論、弁論主義、職権探知主義) * [[v:証拠の評価]](自由心証主義、証明度) ;訴訟の終了 * [[民事訴訟法/訴訟の終了]](和解、終局判決、対世効) ;複雑訴訟 * [[民事訴訟法/複数請求訴訟]] * [[民事訴訟法/多数当事者訴訟]] ;上訴・再審 * [[民事訴訟法/不服申立て]] ;簡易裁判所 * [[民事訴訟法/略式手続]] (少額訴訟、手形訴訟(※予定)、督促手続) :※ 以下↓、まだサブページ化していない内容 == 雑題 == === 簡易裁判所 === 簡易裁判所では、訴訟を簡易に行えるようにするため、下記のような特則がいくつかある。 :口頭による訴えの提起ができる(271条)。 :口頭弁論では<ref>安西、P263</ref>準備書面が要求されていない(276条)。 :2002年以降、簡易裁判所では、弁護士でなくても、司法書士が訴訟代理をできる(司書3条1項6号)<ref>安西、P263</ref>。 :職業裁判官ではない司法委員が審理に立ち会いできる(279条)。 なお、地方裁判所以上の裁判所では訴訟代理人は弁護士でなければならない(54条)<ref>三木、P116</ref><ref>安西、P21</ref>。 === ※ 未分類 === 離婚訴訟など家族間の訴訟のことを'''人事訴訟'''といい、人事訴訟法に定められている。 ただし、人事訴訟によらずに調停という方法も、家族間・親族間の紛争を解決するには便利である。家事調停のための法律として家事事件手続法が定められている<ref>三木、P4および凡例</ref>。 == ※ウィキバーシティ == 下記はウィキバーシティからの引用が元になっています。 サブページ化の際は、引用元の記載時にご注意ください。 === 当事者 === ==== 当事者能力 ==== 当事者能力とは、民事訴訟において当事者となることのできる一般的な資格のことです。少なくとも民法上の権利能力を有する者に当事者能力が認められます(28条)。つまり、自然人または法人には当事者能力が認められます(民法3条)。また、後述する法人格でない団体でも、代表者や管理人の定めがある場合には当事者能力が認められます(29条)。 行政訴訟ですが、アマミノクロウサギを原告とした訴訟が、当事者能力が無いとして訴えが却下された判例〔民訴137 II〕があります<ref>中野、P126</ref><ref>安西、P44</ref>。 ==== 当事者適格 ==== 当事者適格とは、訴訟物たる特定の権利または法律関係について、当事者として訴訟を追行し、本案判決を求めることのできる資格のことです<ref>安西、P46</ref><ref>山本、P108</ref>。当事者適格は、'''訴訟追行権'''といわれることもあります。当事者適格を有する者のことを正当な'''当事者'''という場合もあります<ref>安西、P46</ref><ref>山本、P109</ref>。 ==== 第三者の訴訟担当 ==== たとえば債務契約において、債務者あるいは債権者が破産宣告を受けると、破産宣告を受けた人物に代わり破産管財人が原告または被告になる(破80)<ref>中野、P131</ref>。 この例のように、本来ならその訴訟物での権利義務の主体とされていない第三者が、当事者適格を獲得する事があり、このような事例のことを'''第三者の訴訟担当'''という。 第三者の訴訟担当には、本人(もとの原告・被告)の意志とは無関係に法令の定めによって与えられる'''法令訴訟担当'''と、権利義務の主体とされた本人の意志による'''任意的訴訟担当'''があります。 ;法廷訴訟担当 法廷訴訟担当の例は、株主代表訴訟(会社847条)、遺言執行者(民1012条)<ref>三木、P126 (節「職務上の当事者」)</ref>、破産管財人(破80条)、民事執行法155条などに基づく差押債権者による取立(民執155条・157条)、債権者代位訴訟において債権者、・・・・・・などがあると考えられています<ref>安西、P47</ref><ref>三木、P126</ref>。 その他、'''職務上の当事者'''というのがあり、それは、その仕事の職務上から、訴訟の当事者になることが法的にも当然にも予想されるという職務のことです。 破産管財人や遺言執行者など財産管理処分権のある者は当然、その職務によって訴訟でも当事者として扱われているので、職務上の当事者です<ref>三木、P126</ref>。 ほか、財産管理処分権は無いですが、成年後見人・成年被後見監督人(人訴14条)、一定の海難事件における船長(商803条)、なども、職務上の当事者であると考えられます<ref>三木、P126</ref>。 また、やや特殊な例ですが、離婚訴訟などの人事訴訟で、相手が死亡した場合、形式的に検察官が相手方の当事者になる規定がありますが(人訴12条3項)、この場合の検察官も職務上の当事者だと考えられます<ref>安西、P47</ref><ref>三木、P127</ref>。 ;任意的訴訟担当 任意的訴訟担当の例は、たとえば共同訴訟において代表者を決める'''選定当事者'''です(30条1項)。選定当事者とは、具体的にはたとえば列車事故で、多数の被害乗客のうちの1人が代表者になって訴訟するような例です<ref>安西、P50</ref>。抽象的には、選定当事者とは、共同の利益を有する者達が、その中から1人または数人ほど選んだ代表者のことです。 しかし、弁護士代理の原則(54条)や訴訟信託の禁止(信託10条)<ref>安西、P48</ref>がありますので、学説では、選定当事者以外に無闇やたらに任意的訴訟担当を実施することには批判があります<ref>山本、P117</ref><ref>安西、P48</ref>。 選定当事者以外の任意的訴訟担当については判例がいくつかありますが、あまり具体的かつ一般的ではありません。 判例では、民法上の組合の組合員(最判昭和45・11・11)に訴訟追行権を与えた判例があります。これ以前の判例では組合員には選定当事者の場合以外には訴訟追行権がなかったので(たとえば 最判昭和37・7・13民集16巻8号1516頁)、判例の傾向が変わったという事になります。 現在、民法上の組合でなくても、実質的に事件に深く関係する団体の、その団体の構成員であれば、訴訟の権利が認められる事例が比較的に多くあります<ref>山本、P135</ref><ref>安西、P49</ref>。 == 主な参考文献 == * 安西明子ほか『民事訴訟法』、有斐閣、2020年11月10日 第2版 第6刷発行 * 三木裕一ほか『民事訴訟法 第3版』、有斐閣、2021年1月15日 第3版 第8刷発行 * 中野貞一郎『民事裁判入門 第3版』、有斐閣、2010年4月10日 第3版 第1刷発行 * 山本弘ほか『民事訴訟法 第3版』、有斐閣、2018年4月10日 第3版 第1刷発行 各単元の脚注では、単に「安西、P○○(参照ページ)」、「三木、P○○」など略す場合もある。 == 凡例 == 凡例は出典により微妙に異なる場合もあるので、統一的なものではない。このため教科書本文では凡例がここの節と微妙に違っている場合もあるので、適宜、適切に解釈すべしこと。 「民事訴訟法」については、原則として条数のみの表記とした。 「民事訴訟規則」については、「民訴規」または「規」とした。 ;法令名の略記 下記のように略記した箇所もある(安西本を参照)<ref>安西明子ほか『民事訴訟法』、有斐閣、2020年11月10日 第2版 第6刷発行</ref>。 以下は主要なものを抜粋。 {| |+ |- | style="width:50%;"| :'''人訴''' : 人事訴訟法 :'''非訴''' : 非訴訟事件手続法 :'''家事''' : 家事事件手続法 :'''民調''' : 民事調停法 :'''仲裁''' : 仲裁法 :'''民執''' : 民事執行法 :'''民保''' : 民事保全法 :'''破''' : 破産法 | style="width:50%;"| :'''憲''' : 日本国憲法 :'''民''' : 民法 :'''刑''' : 刑法 :'''会社''' : 会社法 :'''自治''' : 自治法 :'''裁''' : 裁判所法 :'''最事規''' : 最高裁判所裁判事務処理規則 :'''司書''' : 司法書士法 :'''弁護''' : 弁護士法 |} 下記のように略記した箇所もある(三木本を参照)<ref>三木裕一ほか『民事訴訟法 第3版』、有斐閣、2021年1月15日 第3版 第8刷発行</ref>。 {| |+ |- | style="width:50%;"| :'''意匠''' : 意匠法 :'''会計士''' : 会計士法 :'''会更''' : 会社更生法 :'''会社''' : 会社法 :'''家事''' : 家事事件手続法 :'''行書''' : 行政書士法 :'''行訴''' : 行政訴訟法 :'''刑訴''' : 刑事訴訟法 :'''建設''' : 建設業法 | style="width:50%;"| :'''戸''' : 戸籍法 :'''公害紛争''' : 公害紛争処理法 :'''公証''' : 公証人法 :'''公選''' : 公職選挙法 :'''国公''' : 国家公務員法 :'''裁''' : 裁判所法 :'''最事規''' : 最高裁判所裁判事務処理規則 :'''裁判外紛争解決''' : 裁判外紛争解決手続も利用の促進に関する法律 :'''司書''' : 司法書士法 |} ;裁判例 :裁判平成10・6・12民集52巻4号1147頁 :::→最高裁判所平成 10年 6月 12日 判決、最高裁判所民事判例集 52巻 4号 1147頁登録 :'''大判''' : 大審院法 :'''最大判(決)''' : 最高裁判所大法廷判決(決定) :'''最判''' : 最高裁判所判決(決定) :'''高判''' : 高等裁判所判決(決定) :'''地判''' : 地方裁判所判決(決定) ;判例集 :'''民集''' : 最高裁判所民事判例集 :'''刑集''' : 最高裁判所刑事判例集 :'''民録''' : 大審院民事判決録 :'''高民''' : 高等裁判所民事判例集 :'''下民''' : 下級裁判所民事判例集 :'''家月''' : 家庭裁判所月報 ;刊行物 :'''判時''' : 判例時報 :'''判タ''' : 判例タイムズ :'''新聞''' : 法律新聞 :'''百選''' : 民事訴訟法判例百選(有斐閣) == 脚注 == <references/> == 関連項目 == === 関連リンク === * 判決執行法([[民事執行法・民事保全法]]) * [[倒産法|倒産処理法]] === 推奨外部サイト === * [http://civilpro.sx3.jp/kurita/procedure/lecture/index.html 民事訴訟法講義(栗田隆氏)] == 脚注 == [[category:法学|みんしそしようほう]] [[category:民事訴訟法|*みんしそしようほう]]
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刑法概論
法学>刑事法>刑法>刑法概論
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法学>刑事法>刑法>刑法概論
[[法学]]>[[刑事法]]>[[刑法]]>[[刑法概論]] = 刑法概論 = == [[刑法史]] == === [[刑法史#近代刑法前史|近代刑法前史]] === === [[刑法史#近代刑法の誕生|近代刑法の誕生]] === ==== [[刑法史#近代市民社会と刑法|近代市民社会と刑法]] ==== ==== [[刑法史#アンゼルム・フォイエルバッハ|アンゼルム・フォイエルバッハ]] ==== ==== [[刑法史#前期旧派刑法学|前期旧派刑法学]] ==== === [[刑法史#新派刑法学|新派刑法学]] === === [[刑法史#新派刑法の誕生|新派刑法の誕生]] === ==== [[刑法史#大衆社会の誕生と刑法|大衆社会の誕生と刑法]] ==== ==== [[刑法史#エンリコ・フェリー|エンリコ・フェリー]] ==== ==== [[刑法史#フランツ・フォン・リスト|フランツ・フォン・リスト]] ==== === [[刑法史#後期旧派刑法学|後期旧派刑法学]] === ==== [[刑法史#ヘーゲル哲学と旧派刑法学の巻き返し|ヘーゲル哲学と旧派刑法学の巻き返し]] ==== === [[刑法史#第二次大戦後の状況|第二次大戦後の状況]] === === [[刑法史#日本の近代刑法史|日本の近代刑法史]] === == 刑法の法源 == === 法律 === ==== 刑法典 ==== ===== 刑法の有効範囲 ===== ==== [[行政刑法]] ==== ==== [[経済刑法]] ==== === 条例・命令 === === 判例 === == [[関係諸法等 (刑事法)|関係諸法等]] == === [[刑事訴訟法]] === === [[刑事政策・刑事学・犯罪学]] === === [[行刑法]] === ==== [[刑罰論・刑罰の種類]] ==== ===== [[刑罰論・刑罰の種類#残虐な刑罰の禁止|残虐な刑罰の禁止]] ===== ===== [[刑罰論・刑罰の種類#死刑|死刑]] ===== ===== [[刑罰論・刑罰の種類#懲役|懲役]] ===== ===== [[刑罰論・刑罰の種類#禁錮|禁錮]] ===== ===== [[刑罰論・刑罰の種類#拘留|拘留]] ===== ===== [[刑罰論・刑罰の種類#罰金|罰金]] ===== ===== [[刑罰論・刑罰の種類#科料|科料]] ===== ===== [[刑罰論・刑罰の種類#没収|没収]] ===== ==== その他行刑 ==== ===== 行政罰 ===== ===== 過料 ===== ===== 交通反則金制度 ===== ==== 執行猶予制度 ==== ==== [[行刑にかかる争点]] ==== ===== [[行刑にかかる争点#死刑廃止論|死刑廃止論]] ===== ===== [[行刑にかかる争点#自由刑統一論|自由刑統一論]] ===== ===== [[行刑にかかる争点#短期自由刑廃止論|短期自由刑廃止論]] ===== ===== [[行刑にかかる争点#保安処分|保安処分]] ===== ===== [[行刑にかかる争点#ディクリミナリゼーション|ディクリミナリゼーション]] ===== === [[日本法以外の刑法・刑事法]] === === [[諸外国における刑法・刑事法]] === === [[国際刑法・国際刑事法]] === [[Category:刑法|*けいほうかいろん]]
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人権 (日本国憲法)
法学> 憲法 > 日本国憲法 > 人権 (日本国憲法)
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[[法学]]> [[憲法]] > [[日本国憲法]] > [[人権 (日本国憲法)]] {{Wikiversity|Topic:憲法_(人権)|人権 (日本国憲法)}} == 人権総論 == *人権とは何か **人権の歴史 **人権の性質 **人権の根拠 **人権の内容(人権カタログ) **[[人権の享有主体]] *人権と制度的保障の問題 *人権と公共の福祉(人権の限界の問題) **人権の制約根拠 *人権と特別権力関係の問題 *[[私人間効力|人権と私人間適用の問題]] == 包括的基本権 == *幸福追求権 *人権の不可侵 *人格権 *プライバシー権 == [[法の下の平等]] == *平等原則 *男女の平等 *投票価値の平等 == 精神的自由権 == *[[思想・良心の自由]] *[[信教の自由]] **政教分離 *[[表現の自由]] **根拠・機能 **違憲審査基準 ***[[検閲と事前抑制の禁止]] ***二重の基準 ***明確性の原則 ***内容規制とそれ以外の規制 **知る権利 **通信の秘密 **[[報道の自由]] ***取材の自由 **[[名誉毀損と表現の自由]] **性表現と表現の自由 **教科書検定と表現の自由 **公安条例と表現の自由 *[[学問の自由]] **大学の自治 *[[集会・結社の自由]] *通信の秘密 == 経済的自由権 == *意義・機能 *[[居住・移転の自由]] **出国の自由 **国籍離脱の自由 *[[職業選択の自由]] **営業の自由 *[[財産権の保障]] == 人身の自由 == *奴隷的拘束からの自由 == 刑事手続上の権利 == *適正手続の保障 *令状主義 *被疑者・被告人の権利 **証人尋問権 **弁護人依頼権 **黙秘権 **自己負罪拒否特権 **自白 *二重の危険の禁止 *残虐刑の禁止 == 社会権 == *[[生存権]] **平和的生存権 *[[教育を受ける権利]] *勤労の権利 *[[労働基本権]] **団結権 **団体交渉権 **団体行動権 == 参政権 == *選挙権 *被選挙権 *政治活動の自由 **公務員の場合 **外国人の場合 *憲法改正権 == 国務請求権 == *請願権・陳情 *裁判を受ける権利 *国家賠償・補償請求権 *直接請求権 == 国民の義務 == *教育を受けさせる義務 *勤労の義務 *納税の義務 {{stub|law}} [[Category:憲法|しんけん]] [[カテゴリ:人権]]
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統治 (日本国憲法)
法学 > 憲法 > 日本国憲法 > 統治 (日本国憲法)
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[[法学]] > [[憲法]] > [[日本国憲法]] > [[統治 (日本国憲法)]] == 統治総論 == *[[w:民主主義|民主主義]] *[[w:自由主義|自由主義]] *[[w:代表民主制|代表民主制]] *[[w:政党|政党]] *[[w:議院内閣制|議院内閣制]] *[[w:権力分立|権力分立]] == [[国会]] == *[[w:立法|立法]] *[[w:国会|国会]] **政治的代表と社会学的代表 **「国権の最高機関」 **「唯一の立法機関」 *[[w:両院制|両院制]] **[[w:衆議院|衆議院]] **[[w:参議院|参議院]] ***[[w:参議院の緊急集会|参議院の緊急集会]] *国会議員 **[[w:不逮捕特権|不逮捕特権]] **[[w:免責特権|免責特権]] *国会の会期 **[[w:通常国会|通常国会]](常会) **[[w:臨時国会|臨時国会]] **[[w:特別国会|特別国会]] *国会の権能 **憲法改正発議 **法律制定 **内閣総理大臣の指名 **財政監督 **条約承認 *議院の権能 **議院の自律 **[[w:国政調査権|国政調査権]] == [[内閣]] == *[[w:行政|行政]] **[[w:独立行政委員会|独立行政委員会]] *[[w:内閣|内閣]] **[[w:文民|文民]] **総辞職 **議院内閣制 **[[w:衆議院の解散|衆議院の解散]] *[[w:内閣総理大臣|内閣総理大臣]] == [[裁判所]] == *[[w:司法|司法]] **司法権の限界 ***部分社会の法理 ***統治行為論 *[[w:裁判所|裁判所]] **特別裁判所の禁止 **裁判所の自律権 *[[w:裁判官|裁判官]] **裁判官の独立 **最高裁判官の国民審査 **裁判の公開 **陪審制 == [[財政]] == *[[w:財政|財政]] **財政民主主義 **租税法律主義 *公金支出の禁止 == [[地方自治]] == *[[w:地方自治|地方自治]] **地方自治の本旨 *[[w:地方公共団体|地方公共団体]] == [[法の諸類型]] == === 条約 === *[[w:条約|条約]] **性質 **効力 === 法律 === *[[w:法律|法律]] **地方自治特別法 **委任立法 === 規則 === *[[w:規則|規則]] **議院規則 **裁判所規則 === 条例 === *[[w:条例|条例]] **性質 **範囲・限界 == [[憲法保障]] == === [[抵抗権]] === === 最高法規性 === === 憲法訴訟 === {{main|憲法訴訟}} === 憲法の改正と変遷 === [[Category:憲法|とうち]] {{stub|law}}
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セーリング
メインページ > スポーツ > セーリング セーリングはセーリング・ディンギーやセーリング・クルーザーと呼ばれる舟艇(日本ではヨットと呼ばれることもあります)を風の力で走らせるスポーツです。 水上以外に、陸上や氷上を走るランドヨットやアイスヨットによるセーリングなどもあります。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "メインページ > スポーツ > セーリング", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "セーリングはセーリング・ディンギーやセーリング・クルーザーと呼ばれる舟艇(日本ではヨットと呼ばれることもあります)を風の力で走らせるスポーツです。", "title": "概要" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "水上以外に、陸上や氷上を走るランドヨットやアイスヨットによるセーリングなどもあります。", "title": "概要" } ]
メインページ > スポーツ > セーリング
<small> [[メインページ]] > [[スポーツ]] > セーリング </small> ---- {| style="float:right" |- |{{Wikipedia|セーリング|セーリング}} |} == 概要 == '''[[w:セーリング|セーリング]]'''は[[w:ディンギー|セーリング・ディンギー]]やセーリング・クルーザーと呼ばれる[[w:船|舟艇]](日本ではヨットと呼ばれることもあります)を風の力で走らせるスポーツです。 水上以外に、陸上や氷上を走るランドヨットやアイスヨットによるセーリングなどもあります。 == セールボートの各部名称 == *[[w:ヨット#ディンギーの外観|Wikipedia:ディンギーの外観]] == 基本操作 == == レースルール == == タクティクス == == 関連サイト == * [http://www.jsaf.or.jp/ 財団法人 日本セーリング連盟] [[Category:スポーツ|せえりんく]]
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料理本/肉料理/タンドリーチキン
タンドリーチキンは、インドのパンジャーブ地方に伝わる、鶏肉を串にさしてタンドゥールと呼ばれる壷窯で焼いた料理である。 残ったスパイス入りヨーグルトはカレー等にいれて使用する。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "タンドリーチキンは、インドのパンジャーブ地方に伝わる、鶏肉を串にさしてタンドゥールと呼ばれる壷窯で焼いた料理である。", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "残ったスパイス入りヨーグルトはカレー等にいれて使用する。", "title": "備考" } ]
タンドリーチキンは、インドのパンジャーブ地方に伝わる、鶏肉を串にさしてタンドゥールと呼ばれる壷窯で焼いた料理である。
[[ファイル:Tandoorimumbai.jpg|500px]] {{-}} '''タンドリーチキン'''は、インドのパンジャーブ地方に伝わる、鶏肉を串にさしてタンドゥールと呼ばれる壷窯で焼いた料理である。 == 材料(1人分) == *鶏肉 … 手羽元、骨付き腿肉、あるいは腿肉300gほど。 *プレーンヨーグルト … 2/1カップ *コリアンダーシード … 少々 *クミンシード … 少々 *カルダモン … 少々 *パプリカ … 少々 == 作り方 == #ヨーグルトとスパイス、レモン果汁を混ぜ合わせる #スパイス入りヨーグルトに鶏肉を一日以上漬け込む。 #ヨーグルトから鶏肉を取り出し水を流して鶏肉についたヨーグルトを洗い流す。 #タンドゥル、あるいはフライパンに油を引いて焼き上げる。 == 備考 == 残ったスパイス入りヨーグルトはカレー等にいれて使用する。 {{Wikipedia|タンドリーチキン}} {{DEFAULTSORT:たんとりいちきん}} [[Category:料理本]] [[category:鶏料理]] [[カテゴリ:インド料理]] [[カテゴリ:焼き料理]]
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[ "テンプレート:-", "テンプレート:Wikipedia" ]
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Perl/演算子
演算子とは、1つ以上のオペランドを伴って式を構成する構文要素です。 オペランドの数によって、単項演算子・二項演算子・三項演算子に分類されます。 同じ記号を使っても、単項演算子だったり二項演算子であったりする演算子もあります。 問えば、符号反転-$xと減算$x - $y は、同じ記号 - を使います。 さらに、デクリメント--$x も、同じ記号 - を使います(--で1つのトークンで間に空白などは入れられません)。 また。Perlの演算子は、オペランドの型を演算子の想定する型に強制的に型変換され演算が行われます。 演算子の優先順位と結合性は、Perlでは概ね数学の世界と同じように機能します。 演算子の優先順位は、ある演算子が他の演算子よりも強くグループ化されることを意味します。たとえば、2 + 4 * 5 の場合、乗算の方が優先順位が高いので、2 + 4 が乗算の左側のオペランドとしてグループ化されるよりも、4 * 5 が加算の右側のオペランドとしてグループ化されます。つまり、式は (2 + 4) * 5 ではなく、2 + (4 * 5) と書かれるようなもので、6 * 5 == 30 ではなく、2 + 20 == 22 となります。 LEFT OP= 右 の形式の演算子は、LEFT = LEFT OP 右 と等価です。 OP= で1つのトークンです。OP と = の間に空白や改行があってはいけません。 Perlでは、演算子が決まるとオペランドの型が確定するのですが、インクリメントは例外で、数値のときは $x++ ⇒ $x += 1 ⇒ $x = $x + 1 ですが、文字列を渡すと一風変わった挙動をします。 .(ピリオド)は、文字列同士を連結して別の文字列を返す演算子、文字列連結演算子です。 x は、繰返し演算子です。 Perlにしては珍しく、オペランドによって演算内容と返す型が変わります。 q/STRING/は、文字列リテラルを表します。 変数と式の展開は、行なわれません。 ’(シングルクオーテーション)で囲まれた文字列リテラルに相当しますが、’を\(バックスラッシュ)でエスケープする必要はありません。 \の変換規則は、下記の実行結果のように変則的です。 qq/STRING/は、文字列リテラルを表します。 変数と式の展開が、行なわれます。 "(ダブルクオーテーション)で囲まれた文字列リテラルに相当しますが、”をエスケープする必要はありません。 \の変換規則は、下記の実行結果のように変則的です。 qw/STRING/は、空白および改行で区切られた文字列を、文字リテラルを要素とするリストを表します。 変数と式の展開は、行なわれません。 対応する他のリテラル表現がありませんが、概ね よくある間違えとしては、セパレーターとして ,(カンマ)を使ってしまったり、(複数行のqw/STRING/で)#(井桁)をコメントになると期待してしまうことです。 これは、use warnings;か、use v5.36.0; warnings プラグマを有効にすることで警告を受けます(Perl5.36.0以降は warnings プラグマが標準で有効で、無効にするには no warnings; とします)。 正規表現リテラルの一般化 バッククォートリテラルの一般化 行指向のクォートの形式は、シェルのヒアドキュメント構文に基づくものです。 << の後に引用を終了する文字列を指定すると、現在の行から終了文字列までのすべての行が、その項目の値となります。 終了文字列の前に ~ を付けると、「インデント付きHere-docs」を使用することを指定します。 終了文字列は、識別子(単語)か、引用符で囲まれたテキストのどちらかです。 引用符で囲まれていない識別子は二重引用符のように機能します。 <<と識別子の間には、識別子が明示的に引用されていない限り、スペースを入れてはいけません。 終端文字列は,終端行に単独で (引用せず,周囲に空白を入れずに) 表示されなければなりません。 終了文字列が引用されている場合、使用される引用符の種類によって、そのテキストの扱いが決まります。 任意のサイズのビット列( Bitstring )は、ビット演算子(~ | & ^)で操作することができる。 ビットごとの否定を返します。 ビットごとの論理和(or)を返します。 ビットごとの論理積(and)を返します。 ビットごとの排他的論理和(xor)を返します。 オペランドを文字列に強制するバージョンのビット演算子(~. |. &. ^.)です。 オペランドを文字列に強制し、ビットごとの否定を返します。 オペランドを文字列に強制し、ビットごとの論理和(or)を返します。 オペランドを文字列に強制し、ビットごとの論理積(and)を返します。 オペランドを文字列に強制し、ビットごとの排他的論理和(xor)を返します。 右ビットシフトを行います。 左ビットシフトを行います。 論理演算子式は、典型的にはif文などの条件式に使われますが、短絡評価するため制御構造としても機能します。 || と or、&& と and、! と not は別名関係にありますが、or,and,notの方が優先順位が低いことが違います。「単語より演算子らしい記号のほうが強い」とおぼえてください。 ||は、論理和を返す二項演算子です。 or は、優先度が低いバージョンの || 演算子です。 論理和は左引数が偽である場合のみ右引数の評価を行います。 このような論理演算子の実質的に制御構造としての振る舞いを「短絡評価」とよびます。 論理和はまた、最後に評価された値を返すので例外処理にも使われます。 このとき or の優先度が低いことが役に立ちます。 &&は、論理積を返す二項演算子です。 and は、優先度が低いバージョンの && 演算子です。 論理積も短絡評価を行います。 この // は、正規表現のそれではなく / 2文字からなるトークンで、|| とよく似ていますが、左辺が定義さていれば左辺を、定義されていなければ右辺を返します。オプショナルな引数の定義状況のテストを意図されています。 を と簡素に書くことができます。 // は、5.10 で追加されました。 notは、与えられた論理式の否定を表します。Aが真のとき、not A は偽です。Aが偽のとき、not A は真です。 ! は、優先度が高いバージョンの not 演算子です。 不等号を表すのに利用します。 比較演算子は数値の他、文字列にも 数学記号の ≦ と <= は同じ意味ですが、パソコンの直接入力(半角英数)には ≦ が無いので、プログラミングでは <= で代用されます。 これは、Cも同様です(PerlがCを模倣したのですが)。 Fortranの様にASCIIコードが制定される前の言語では '<' がキャラクターセットになかったり文字のサポートがまちまちだったので、.EQ.,.NE.,.GT.,.LT.,.GE.,.LE.,.AND.,.OR.,.NOT. のように演算子の頭文字をドット. で囲み表現しました。 Perlの文字列の比較演算子も概ねFortranの記法にならっています。 同じ数値であることや、違う数値であることを表すのに使用されます。両辺の変数などの内容を(文字列ではなく)数値として評価します。 == は、両辺の値が等しい事を要求します。if文の中でよく使います。 (Perlに限らずC言語などでも、)よくあるミスで、「=」と記号をひとつだけにするミスがありますが、これはエラーになるか、または代入演算子として解釈されるのでバグになります。 != は 両辺の値が等しくない事を要求します。つまり、!= は両辺の値が違っている事を要求します。 等しくない場合の != では、否定の記号 ! が先に来ます。(Perl にかぎらずC言語など他のプログラム言語でも、同様の順序です。) 左右の数値の大小関係により -1, 0, 1 のいずれかを返します。これは主にsortで使われます。 両辺の文字列が、文字列として評価した場合に、同じ値かを調べるときに使用します。 なお、== および != は両辺が数値として評価した場合なので、意味が違います。 Perlには変数に型が無いので、C言語とは異なり、比較演算子の側で、変数の内容を数値として評価するか、内容を文字列として評価するかの指定が必要になるのです。 eq は、両辺を文字列として比較したときに、両辺が同じであることを要求します。 なお「eq」とは equal (等号、等しい)の略であるとされる。 ne は、両辺を文字列として比較したときに、両辺が異なることを比較します。 「ne」とは not equal の略だとされる。 二つの文字列の辞書順での大小を比較します。 二つの文字列の辞書順での大小関係により-1, 0, 1のいずれかを返します。これは主にsortで使われます。 フリップフロップ演算子として .. が振る舞うときは癖が強いです と等価です。 とも等価です。 PATTERNにマッチするものをSTRINGに置換します。PATTERNは正規表現です。 tr/PATTERN1/PATTERN2/ 1文字を対応する1文字に置換します。PATTERNには正規表現ではなく、文字クラス(角括弧で囲まれた文字クラスの[]の内側)を指定します。 ハイフンを使って範囲指定を行うことができます。 =~ を使わないと $_ の変換対象になり、変換した文字数を返します。 ->は、中置のデリファレンス演算子で、左辺のリファレンスに対し、右辺のフォームによりそれぞれ を参照します。 y/PATTERN1/PATTERN2/ tr///の同義語です。 Perl には、秘密の演算子( secret operators )と呼ばれる一連の独特の記法があります。 これらは実際には演算子ではないのですが、高い頻度でコード上に登場するので愛称がつけられたものです。 ビーナス演算子は、式を強制的に数値化します。 ベビーカー演算子は、文字列の内部でリスト補間を行います。リスト項目は、$"の値で区切られます。 [TODO:例]
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演算子とは、1つ以上のオペランドを伴って式を構成する構文要素です。 オペランドの数によって、単項演算子・二項演算子・三項演算子に分類されます。 同じ記号を使っても、単項演算子だったり二項演算子であったりする演算子もあります。 問えば、符号反転-$xと減算$x - $y は、同じ記号 - を使います。 さらに、デクリメント--$x も、同じ記号 - を使います(--で1つのトークンで間に空白などは入れられません)。 また。Perlの演算子は、オペランドの型を演算子の想定する型に強制的に型変換され演算が行われます。
{{Nav}} <includeonly> =演算子= </includeonly> {{Main|[https://perldoc.perl.org/5.36.0/perlop perlop(en)]|[https://perldoc.jp/docs/perl/5.36.0/perlop.pod perlop(ja)]}} <!--Perlは、他のプログラミング言語と同様に豊富な演算子を持ちます。--> 演算子とは、1つ以上のオペランドを伴って式を構成する構文要素です。 オペランドの数によって、単項演算子・二項演算子・三項演算子に分類されます。 同じ記号を使っても、単項演算子だったり二項演算子であったりする演算子もあります。 問えば、符号反転<code>-$x</code>と減算<code>$x - $y</code> は、同じ記号 <code>-</code> を使います。 さらに、デクリメント<code>--$x</code> も、同じ記号 <code>-</code> を使います(<code>--</code>で1つのトークンで間に空白などは入れられません)。 また。Perlの演算子は、オペランドの型を演算子の想定する型に強制的に型変換され演算が行われます。 :<syntaxhighlight lang=perl> $x + $y # 加算。オペランドが数値でない場合は数値に変換してから加算。 $x . $y # 結合。オペランドが文字列でない場合は文字列に変換してから結合。 $x x $y # 繰返し。左オペランドの文字列とみなし、右オペランドを数値とみなし、その回数だけ繰り返す。 </syntaxhighlight> : このように演算子がわかれば、オペランドの型もわかります。 : フランス語の名詞を憶えるときに性も同時に憶えるように、Perl の演算子を憶えるときにはオペランドの型も同時に憶えましょう。 : 多くのオペランドはスカラーです。 :: インクリメント<code>++</code>のように数値も文字列もとり得る例外や、二項演算子の <code>x</code> の様にリストを取る例外もありますが、本則を覚えたあと、各個の例外を理解するのが全体を理解する早道です。 == 演算子の優先度と結合性 == 演算子の優先順位と結合性は、Perlでは概ね数学の世界と同じように機能します。 演算子の優先順位は、ある演算子が他の演算子よりも強くグループ化されることを意味します。たとえば、2 + 4 * 5 の場合、乗算の方が優先順位が高いので、2 + 4 が乗算の左側のオペランドとしてグループ化されるよりも、4 * 5 が加算の右側のオペランドとしてグループ化されます。つまり、式は (2 + 4) * 5 ではなく、2 + (4 * 5) と書かれるようなもので、6 * 5 == 30 ではなく、2 + 20 == 22 となります。 :{| class=wikitable |+ 演算子の優先度と結合方向<ref>[https://perldoc.perl.org/perlop#Operator-Precedence-and-Associativity Operator Precedence and Associativity]</ref> |- ! 演算子 !! 結合方向 |- | 項 リスト演算子(左から) || 左 |- | [[#%EF%BD%B0%3E|->]] || 左 |- | [[#++|++]] [[#--|--]] || 無結合 |- | [[#**|**]] || 右 |- | [[#!|!]] [[#~|~]] [[#~.|~.]] [[#\|\]] +項 -項 || 右 |- | [[#=~|=~]] !~ || 左 |- | * / % x || 左 |- | + - . || 左 |- | << >> || 左 |- | 名前付き単項演算子 || 無結合 |- | isa || 無結合 |- | < > <= >= lt gt le ge || 連鎖<ref name=chained>Perl5.32から<code>0<= $x && $x < 12</code> を <code>0<= $x < 12</code> 書けるようになりました。</ref> |- | == != eq ne <=> cmp ~~ || 連鎖/無結合<ref name=chained/> |- | & &. || 左 |- | <nowiki>|</nowiki> <nowiki>|</nowiki>. ^ ^. || 左 |- | && || 左 |- | <nowiki>||</nowiki> // || 左 |- | .. ... || 無結合 |- | ?: || 右 |- | [[#=|=]] += -= *= などの代入演算子 goto last next redo dump || 右 |- | , => || 左 |- | リスト演算子 (右から) || 無結合 |- | not || 右 |- | and || 左 |- | or xor || 左 |} == 代入演算子 == === = === :左辺の変数に右辺のオブジェクトを束縛します。 :[[#my|my]], [[#local|local]] や [[#state|state]] による変数宣言に伴う <code>=</code> は代入ではなく初期化です。 ;[https://paiza.io/projects/utOPCak_W8dCu3hv-Er_IA?language=perl コード例]:<syntaxhighlight lang=perl> #!/usr/bin/perl use v5.30.0; use warnings; my $x = 1; # $x を 1 で初期化 say "\$x = $x"; $x = "abc"; # $x に "abc" を代入 say "\$x = $x"; my @x = ("xyz", 1, 3.14); # @x を ("xyz", 1, 3.14) で初期化 say "\@x = @x"; say "\$x = $x"; my $y = 0; $x = $y = 123; say "\$x = $x, \$y = $y"; </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> $x = 1 $x = abc @x = xyz 1 3.14 $x = abc $x = 123, $y = 123 </syntaxhighlight> : $x の値に注目すると、代入するたびに方が違うオブジェクトに束縛されています。 :: これは正常な動作で、strict プラグマがあってもwarningsプラグマがあっても、違う型の値の代入もエラーも警告も出ません。 : @x に代入した後も、$x の値は変わらないので「名前が同じでも接頭辞($ @ や %)が違う変数は別の変数」であることがわかります。 : 代入は式で、値は代入された値です。 : 代入は右結合なので、<code>$x = $y = 123</code> は <code>$x = ( $y = 123 )</code> と解されます。 === += === === -= === === *= === === /= === === %= === === **= === <code>LEFT OP= 右</code> の形式の演算子は、<code>LEFT = LEFT OP 右</code> と等価です。 <code>OP=</code> で1つのトークンです。<code>OP</code> と <code>=</code> の間に空白や改行があってはいけません。 :<syntaxhighlight lang=perl> $x += $y; # $x = $x + $y と等価 $x -= $y; # $x = $x - $y と等価 $x *= $y; # $x = $x * $y と等価 $x /= $y; # $x = $x / $y と等価 $x %= $y; # $x = $x % $y と等価 $x **= $y; # $x = $x ** $y と等価 </syntaxhighlight> === .= === ;[https://paiza.io/projects/7xPfnkj-Jx0B0b7nd-vLyA?language=perl 例]:<syntaxhighlight lang=perl> use v5.30.0; my $x; $x .= "abc"; say $x; $x .= "XYZ"; say $x; </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> abc abcXYZ </syntaxhighlight> : 文字列を結合して代入します。 : 変数が未定義、あるいはみ初期化の場合(undefの場合)、undefが "" に自動変換され右辺の値と結合…つまり普通の代入が行なわれます。 === x= === ;[https://paiza.io/projects/f68Bto1eqy88piQlgKuzSA?language=perl 例]:<syntaxhighlight lang=perl> use v5.30.0; my $x = "abc"; $x x= 4; say $x; </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> abcabcabcabc </syntaxhighlight> : 繰返して代入します。 == 算術演算子 == === + === === - === === * === === / === === % === === ** === : 四則演算と剰余および累乗です。 ;[https://paiza.io/projects/nB_GZEefthhSk1leeUaMNg?language=perl 四則演算と剰余および累乗]:<syntaxhighlight lang=perl> #!/usr/bin/perl use strict; use warnings; foreach my $x(-7, 0, -7) { foreach my $y(-3, 1, 3) { foreach my $op(qw(+ - * / % **)) { my $expr = "$x $op $y"; print "$expr -> @{[eval $expr]}:\t" } print "\n" } } </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> -7 + -3 -> -10: -7 - -3 -> -4: -7 * -3 -> 21: -7 / -3 -> 2.33333333333333: -7 % -3 -> -1: -7 ** -3 -> -0.00291545189504373: -7 + 1 -> -6: -7 - 1 -> -8: -7 * 1 -> -7: -7 / 1 -> -7: -7 % 1 -> 0: -7 ** 1 -> -7: -7 + 3 -> -4: -7 - 3 -> -10: -7 * 3 -> -21: -7 / 3 -> -2.33333333333333: -7 % 3 -> 2: -7 ** 3 -> -343: 0 + -3 -> -3: 0 - -3 -> 3: 0 * -3 -> 0: 0 / -3 -> 0: 0 % -3 -> 0: 0 ** -3 -> Inf: 0 + 1 -> 1: 0 - 1 -> -1: 0 * 1 -> 0: 0 / 1 -> 0: 0 % 1 -> 0: 0 ** 1 -> 0: 0 + 3 -> 3: 0 - 3 -> -3: 0 * 3 -> 0: 0 / 3 -> 0: 0 % 3 -> 0: 0 ** 3 -> 0: -7 + -3 -> -10: -7 - -3 -> -4: -7 * -3 -> 21: -7 / -3 -> 2.33333333333333: -7 % -3 -> -1: -7 ** -3 -> -0.00291545189504373: -7 + 1 -> -6: -7 - 1 -> -8: -7 * 1 -> -7: -7 / 1 -> -7: -7 % 1 -> 0: -7 ** 1 -> -7: -7 + 3 -> -4: -7 - 3 -> -10: -7 * 3 -> -21: -7 / 3 -> -2.33333333333333: -7 % 3 -> 2: -7 ** 3 -> -343: </syntaxhighlight> : 除算は浮動小数点数を返すのに、剰余演算は整数を返すことです。 : また、剰余演算は <code>-7 % -3 -> -1</code> と若干癖があります。 == インクリメントとデクリメント == === ++ === :インクリメントは変数の値を1増します。 :<code>$x++</code>は、<code>$x += 1</code>および<code>$x = $x + 1</code>と等価な演算を行います。 :<code>++</code> は前置すること(<code>++$x</code>)も後置すること(<code>$x++</code>)もできます。 ;[https://paiza.io/projects/bvqSEC7QMPRkHOOrF9suEQ?language=perl インクリメント]:<syntaxhighlight lang=perl> #!/usr/bin/perl use strict; use warnings; my $x = 10; print "\$x = $x\n"; $x++; print "\$x = $x\n"; ++$x; print "\$x = $x\n"; print $x++ . "\n"; print "\$x = $x\n"; print ++$x . "\n"; print "\$x = $x\n"; my $q; $q++; print "\$q = $q\n"; </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> $x = 10 $x = 11 $x = 12 12 $x = 13 14 $x = 14 $q = 1 </syntaxhighlight> : 前置<code>++$x</code>でも後置<code>$x++</code>でも実行結果は同じです。 : 式の値は :; 前置<code>++$x</code> : インクリメント後の値 :; 後置<code>$x++</code> : インクリメント前の値 : と異なります。 : 最後の $q はややトリッキーです。 : 宣言だけで初期化を行なわないスカラー変数の値は undef です。この変数をインクリメントする場合 :: undef が数値に変換される undef ⇒ 0、変換された 0 をインクリメント ⇒ 1 という反応経路になります。   ==== マジカルインクリメント ==== Perlでは、演算子が決まるとオペランドの型が確定するのですが、インクリメントは例外で、数値のときは <code>$x++ ⇒ $x += 1 ⇒ $x = $x + 1</code> ですが、文字列を渡すと一風変わった挙動をします。 :<syntaxhighlight lang=perl> print <<EOS; @{[ ++($foo = "99") ]} @{[ ++($foo = "a0") ]} @{[ ++($foo = "Az") ]} @{[ ++($foo = "zz") ]} EOS </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> 100 a1 Ba aaa </syntaxhighlight> : この文字烈に対する不思議なインクリメントをマジカルインクリメントと呼びます。 : デクリメントに、マジカルデクリメントはありません。 === -- === :デクリメントは変数の値を1減らします。 :<code>$x--</code>は、<code>$x -= 1</code>および<code>$x = $x - 1</code>と等価な演算を行います。 :<code>--</code> は前置すること(<code>--$x</code>)も後置すること(<code>$x--</code>)もできます。 ;[https://paiza.io/projects/X_ORnNzjHEywfZ6J-XD-8g?language=perl デクリメント]:<syntaxhighlight lang=perl> #!/usr/bin/perl use strict; use warnings; my $x = 10; print "\$x = $x\n"; $x--; print "\$x = $x\n"; --$x; print "\$x = $x\n"; print $x-- . "\n"; print "\$x = $x\n"; print --$x . "\n"; print "\$x = $x\n"; my $q; $q--; print "\$q = $q\n"; </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> $x = 10 $x = 9 $x = 8 8 $x = 7 6 $x = 6 $q = -1 </syntaxhighlight> : 前置<code>--$x</code>でも後置<code>$x--</code>でも実行結果は同じです。 : 式の値は :; 前置<code>--$x</code> : デクリメント後の値 :; 後置<code>$x--</code> : デクリメント前の値 : と異なります。 : 最後の $q はややトリッキーです。 : 宣言だけで初期化を行なわないスカラー変数の値は undef です。この変数をデクリメントする場合 :: undef が数値に変換される undef ⇒ 0、変換された 0 をデクリメント ⇒ -1 という反応経路になります。 == 文字列連結演算子 == === . === <code>.</code>(ピリオド)は、文字列同士を連結して別の文字列を返す演算子、文字列連結演算子です。 ;[https://paiza.io/projects/2c_XMpXoUwbroL3K-FLUPA?language=perl 例]:<syntaxhighlight lang=perl> #!/usr/bin/perl use v5.30.0; use warnings; say "ABC" . "XYZ"; say "ABC" . "XYZ" x 3; say "ABC" x 3 . "XYZ"; </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> ABCXYZ ABCXYZXYZXYZ ABCABCABCXYZ </syntaxhighlight> : <code>.</code> は、二項演算子です。 : 次節で説明する<code>x</code>[[#繰返し演算子|繰返し演算子]]と併用すると、<code>x</code>の方が<code>.</code> より優先度が高いので、<code>*</code>と<code>+</code>の関係のように<code>x</code>側の部分式が先に評価されます。 == 繰返し演算子 == === x === <code>x</code> は、繰返し演算子です。 Perlにしては珍しく、オペランドによって演算内容と返す型が変わります。 ;[https://paiza.io/projects/n8rPnYvDKGm_sQVpNwfiSg?language=perl 例]:<syntaxhighlight lang=perl> #!/usr/bin/perl use v5.30.0; use warnings; say "ABC" x 2; say "ABC" x 3.7; # 右辺に浮動小数点数を与えても、整数として評価されます。 #say "ABC" x -5; # XXX: 右辺に負数を与えると ーー> Negative repeat count does nothing #say 2 x "ABC"; # XXX: 右辺に数値以外を与えると ーー> Argument "ABC" isn't numeric in repeat (x) my @ary = qw(abc def ghi); say "@{[ @ary x 9 ]}"; # 右辺が数値の場合、左辺は文字列に型強制され配列は要素数を文字列化されます。 say "@{[ 9 x @ary ]}"; # 数値 x 配列は、配列の要素を数値に置換えた文字列(配列ではありません)を返します。 say "@{[ qw(1 2 3 4) x @ary ]}"; # 配列左 x 配列右は、配列右の要素を配列左に置換えた配列を返します。 </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> ABCABC ABCABCABC 333333333 999 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 </syntaxhighlight> == クオート演算子 == {{Main|[https://perldoc.jp/docs/perl/5.28.0/perlop.pod#Quote32and32Quote-like32Operators Perl の演算子と優先順位::クォートとクォート風の演算子]}} === q === <code>q/STRING/</code>は、文字列リテラルを表します。 変数と式の展開は、'''行なわれません。''' <code>’</code>(シングルクオーテーション)で囲まれた文字列リテラルに相当しますが、<code>’</code>を<code>\</code>(バックスラッシュ)でエスケープする必要はありません。 <code>\</code>の変換規則は、下記の実行結果のように変則的です。 ;[https://paiza.io/projects/-BHrYwlVQ69zYZlfIXPneA?language=perl q/STRING/]:<syntaxhighlight lang=perl> use v5.30.0; my $c = 'I\'m fine.'; my $d = q(I'm fine.); say $c eq $d ? "一致" : "不一致"; say q(1: I\'m fine.); say q(2: I\\'m fine.); say q(3: I\\\'m fine.); say q(4: I\\\\'m fine.);</syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> 一致 1: I\'m fine. 2: I\'m fine. 3: I\\'m fine. 4: I\\'m fine. </syntaxhighlight> === qq === <code>qq/STRING/</code>は、文字列リテラルを表します。 変数と式の展開が、'''行なわれます。''' <code>"</code>(ダブルクオーテーション)で囲まれた文字列リテラルに相当しますが、<code>”</code>をエスケープする必要はありません。 <code>\</code>の変換規則は、下記の実行結果のように変則的です。 ;[https://paiza.io/projects/VqzK0lJIWISIMpukoSHeGg?language=perl qq/STRING/]:<syntaxhighlight lang=perl> use v5.30.0; my $x = "Hello, \"$^V\"!"; my $y = qq(Hello, "$^V"!); say $x; say $y; say qq(1: \"); say qq(2: \\"); say qq(3: \\\"); say qq(4: \\\\"); </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> Hello, "v5.30.0"! Hello, "v5.30.0"! 1: " 2: \" 3: \" 4: \\" </syntaxhighlight> === qw === <code>qw/STRING/</code>は、空白および改行で区切られた文字列を、文字リテラルを要素とするリストを表します。 変数と式の展開は、'''行なわれません'''。 対応する他のリテラル表現がありませんが、概ね :<syntaxhighlight lang=perl> qw/STRING/ </syntaxhighlight> :は :<syntaxhighlight lang=perl> split(" ", q/STRING/) </syntaxhighlight> :に相当しますが、厳密には qw/STRING/は、コンパイル時に実際のリストを生成し、スカラーコンテキストではリストの最後の要素を返します。 ;[https://paiza.io/projects/lG6CIQFS_jWESYxCGKbgVw?language=perl qw/STRING/]:<syntaxhighlight lang=perl> use v5.30.0; my $x = qw(a bc def); my @y = qw(a bc def); my $z = @y; say "\$x --> $x"; say "\@y --> @y"; say "\$z --> $z" </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> $x --> def @y --> a bc def $z --> 3 </syntaxhighlight> よくある間違えとしては、セパレーターとして <code>,</code>(カンマ)を使ってしまったり、(複数行のqw/STRING/で)<code>#</code>(井桁)をコメントになると期待してしまうことです。 これは、<code>use warnings;</code>か、<code>use v5.36.0;</code> warnings プラグマを有効にすることで警告を受けます(Perl5.36.0以降は warnings プラグマが標準で有効で、無効にするには <code>no warnings;</code> とします)。 ;[https://paiza.io/projects/mbfOsg8roOaoQoXsPe5AvQ?language=perl qw/STRING/(警告あり)]:<syntaxhighlight lang=perl line> use v5.30.0; use warnings; my @x = qw(a,bc,def); my @y = qw@ Hello world! # world Hello perl! # perl Hello universe! # universe @; say "\@x --> @x"; say "\@y --> @y"; </syntaxhighlight> ;コンパイル結果:<syntaxhighlight lang=text> Possible attempt to separate words with commas at Main.pl line 4. Possible attempt to put comments in qw() list at Main.pl line 9. </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> @x --> a,bc,def @y --> Hello world! # world Hello perl! # perl Hello universe! # universe </syntaxhighlight> === qr === 正規表現リテラルの一般化 :<syntaxhighlight lang=perl> $x = qr/^Regexp$/i; </syntaxhighlight> === qx === バッククォートリテラルの一般化 :<syntaxhighlight lang=perl> $x = qx/uname -a/; # `uname -a`; と同じ </syntaxhighlight> == ヒアドキュメント == === <<EOF === 行指向のクォートの形式は、シェルのヒアドキュメント構文に基づくものです。 << の後に引用を終了する文字列を指定すると、現在の行から終了文字列までのすべての行が、その項目の値となります。 終了文字列の前に ~ を付けると、「インデント付きHere-docs」を使用することを指定します。 終了文字列は、識別子(単語)か、引用符で囲まれたテキストのどちらかです。 引用符で囲まれていない識別子は二重引用符のように機能します。 <<と識別子の間には、識別子が明示的に引用されていない限り、スペースを入れてはいけません。 終端文字列は,終端行に単独で (引用せず,周囲に空白を入れずに) 表示されなければなりません。 終了文字列が引用されている場合、使用される引用符の種類によって、そのテキストの扱いが決まります。 ;ダブルクォーテーションマーク <code>"</code>:通常のダブルクォーテーションマークで囲まれた文字列と全く同じ規則でテキストが補間されることを示します。 ;シングルクォーテーションマーク <code>'</code> :テキストがその内容を補間することなく、文字通りに扱われることを示します。これは、バックスラッシュが特別な意味を持たないことを除けば、一重引用符で囲まれた文字列と同様です。 :シェルと同様、<<に続くバックスラッシュ付きの単語は、シングルクォート文字列と同じ意味を持ちます。 ;バッククォーテーションマーク <code>`</code>:文字列がバッククォーテーションマークで埋込まれている場合と同じように扱われます。すなわち、内容は二重引用符で囲まれているかのように補間され、シェル経由で実行され、その実行結果が返されます。 ;クォーテーションマークなし:(ダブルクォーテーションマークに同じ) ;[https://paiza.io/projects/416lH8g50fpbXNjObzLalg?language=perl ヒアドキュメント]:<syntaxhighlight lang=perl> my ($world, $perl) = qw(World Perl); print <<EOS; Hello\t$world! Hello\t$perl! @@@ EOS print <<"EOS"; Hello\t$world! Hello\t$perl! @@@ EOS print <<'EOS'; Hello\t$world! Hello\t$perl! @@@ EOS print <<`EOS`; uname uname -a cat /etc/debian_version EOS </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> Hello World! Hello Perl! @@@ Hello World! Hello Perl! @@@ Hello\t$world! Hello\t$perl! @@@ Linux Linux 55179a8a049f 5.15.0-1017-aws #21~20.04.1-Ubuntu SMP Fri Aug 5 11:44:14 UTC 2022 x86_64 x86_64 x86_64 GNU/Linux bullseye/sid </syntaxhighlight> :この例では、終了文字列を EOS としましたが、EOFなどもよく使われます。 :ヒアドキュメントは入れ子にできるので、入れ子レベルに応じた名前を付けることになると思います。 __TOC__ == ビット列演算子 == 任意のサイズのビット列( ''Bitstring'' )は、ビット演算子([[#~|~]] | [[#&|&]] [[#^|^]])で操作することができる。 === ~ === ビットごとの否定を返します。 === | === ビットごとの論理和(or)を返します。 === & === ビットごとの論理積(and)を返します。 === ^ === ビットごとの排他的論理和(xor)を返します。 == 文字列強制版ビット列演算子 == オペランドを文字列に強制するバージョンのビット演算子([[#~.|~.]] |. [[#&.|&.]] [[#^.|^.]])です。 === ~. === オペランドを文字列に強制し、ビットごとの否定を返します。 === |. === オペランドを文字列に強制し、ビットごとの論理和(or)を返します。 === &. === オペランドを文字列に強制し、ビットごとの論理積(and)を返します。 === ^. === オペランドを文字列に強制し、ビットごとの排他的論理和(xor)を返します。 == シフト演算子 == === >> === 右ビットシフトを行います。 === << === 左ビットシフトを行います。 == 論理演算子 == 論理演算子は、典型的には[[Perl/制御構造#if, elsif, else, unless|if文]]などの条件式に使用されますが、短絡評価を行うため制御構造としても機能します。また、<code>||</code> と <code>or</code>、<code>&&</code> と <code>and</code>、<code>!</code> と <code>not</code> は別名関係にありますが、<code>or</code>,<code>and</code>,<code>not</code>の方が優先順位が'''低い'''ことに注意してください。"単語よりも演算子らしい記号のほうが強い"と覚えておいてください。 === || === <code>||</code>は、論理和を返す二項演算子です。 ;[https://paiza.io/projects/MlDCKn8EkWqDRtKSj3h8XQ?language=perl 例]:<syntaxhighlight lang=perl> use v5.30.0; use warnings; my @v = ( 0, 5, !!0, "NaN" ),; foreach my $x (@v) { foreach my $y (@v) { say "$x || $y --> @{[ $x || $y ]}"; } } </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> 0 || 0 --> 0 0 || 5 --> 5 0 || --> 0 || NaN --> NaN 5 || 0 --> 5 5 || 5 --> 5 5 || --> 5 5 || NaN --> 5 || 0 --> 0 || 5 --> 5 || --> || NaN --> NaN NaN || 0 --> NaN NaN || 5 --> NaN NaN || --> NaN NaN || NaN --> NaN </syntaxhighlight> : 0, 5, 真理値偽, 非数の組合わせを試しました。 : 論理和演算子は、名前と違い真理値ではなくスカラーを返します。 :<syntaxhighlight lang=perl> $x || $y </syntaxhighlight> :は :<syntaxhighlight lang=perl> $x ? $x : $y </syntaxhighlight> :と等価です === or === <code>or</code> は、優先度が低いバージョンの <code>||</code> 演算子です。 ==== 短絡評価 ==== 論理和は左引数が'''偽である場合のみ'''右引数の評価を行います。 このような論理演算子の実質的に制御構造としての振る舞いを「短絡評価」とよびます。 論理和はまた、最後に評価された値を返すので例外処理にも使われます。 このとき or の優先度が低いことが役に立ちます。 :<syntaxhighlight lang=perl> $success or die; </syntaxhighlight> :これは、「成功または死ぬ」あるいは「成功するか死ぬか」と読めます。 === && === <code>&&</code>は、論理積を返す二項演算子です。 ;[https://paiza.io/projects/f9w5KqhysMP18lnmFH1wBw?language=perl 例]:<syntaxhighlight lang=perl> use v5.30.0; use warnings; my @v = ( 0, 5, !!0, "NaN" ),; foreach my $x (@v) { foreach my $y (@v) { say "$x && $y --> @{[ $x && $y ]}"; } } </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> 0 && 0 --> 0 0 && 5 --> 0 0 && --> 0 0 && NaN --> 0 5 && 0 --> 0 5 && 5 --> 5 5 && --> 5 && NaN --> NaN && 0 --> && 5 --> && --> && NaN --> NaN && 0 --> 0 NaN && 5 --> 5 NaN && --> NaN && NaN --> NaN </syntaxhighlight> : 0, 5, 真理値偽, 非数の組合わせを試しました。 : 論理積演算子は、名前と違い真理値ではなくスカラーを返します。 :<syntaxhighlight lang=perl> $x && $y </syntaxhighlight> :は :<syntaxhighlight lang=perl> !$x ? $x : $y </syntaxhighlight> :と等価です === and === <code>and</code> は、優先度が低いバージョンの <code>&&</code> 演算子です。 論理積も短絡評価を行います。 === // === この <code>//</code> は、正規表現のそれではなく <code>/</code> 2文字からなるトークンで、<code>||</code> とよく似ていますが、左辺が定義さていれば左辺を、定義されていなければ右辺を返します。オプショナルな引数の定義状況のテストを意図されています。 :<syntaxhighlight lang=perl> my $x = defined $opt ? $opt : "no"; </syntaxhighlight> を :<syntaxhighlight lang=perl> my $x = $opt // "no"; </syntaxhighlight> と簡素に書くことができます。 <code>//</code> は、5.10 で追加されました。 === not === notは、与えられた論理式の否定を表します。Aが真のとき、not A は偽です。Aが偽のとき、not A は真です。 :<syntaxhighlight lang=perl> $x = 2; if (not $x == 5 ) { say "実行された"; } </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> 実行された </syntaxhighlight> ;解説 : $x = 2 : 2 == 5 ⇒ 偽 : not 偽 ⇒ 真 : ∴ not $x == 5 は真 : if の条件が真なので、コードブロック実行され say が実行されます。 === ! === <code>!</code> は、優先度が高いバージョンの not 演算子です。 == 数値比較演算子 == === < === === > === === <= === === >= === 不等号を表すのに利用します。 :<syntaxhighlight lang=perl> if ($x > $y) { #この部分は$xが$yより大きいときに実行されます } if ($x <= $y) { #この部分は$xが$y以下のときに実行されます } </syntaxhighlight> : 以上または以下の <nowiki> <= </nowiki> や <nowiki> >= </nowiki> については、最初に不等号の記号が来ます。(Perl にかぎらずC言語など他のプログラム言語でも、同様の順序です。) 比較演算子は数値の他、文字列にも 数学記号の ≦ と <nowiki> <= </nowiki> は同じ意味ですが、パソコンの直接入力(半角英数)には ≦ が無いので、プログラミングでは <nowiki> <= </nowiki> で代用されます。 これは、Cも同様です(PerlがCを模倣したのですが)。 Fortranの様にASCIIコードが制定される前の言語では '<' がキャラクターセットになかったり文字のサポートがまちまちだったので、<code>.EQ.</code>,<code>.NE.</code>,<code>.GT.</code>,<code>.LT.</code>,<code>.GE.</code>,<code>.LE.</code>,<code>.AND.</code>,<code>.OR.</code>,<code>.NOT.</code> のように演算子の頭文字をドット<code>.</code> で囲み表現しました。 Perlの文字列の比較演算子も概ねFortranの記法にならっています。 === == === === != === 同じ数値であることや、違う数値であることを表すのに使用されます。両辺の変数などの内容を(文字列ではなく)数値として評価します。 :<syntaxhighlight lang=perl> if ($x == $y) { # この部分は$xが$yと同じ値のときに実行されます } if ($x != $y)) { # この部分は$xが$yと違う値のときに実行されます } </syntaxhighlight> == は、両辺の値が等しい事を要求します。if文の中でよく使います。 (Perlに限らずC言語などでも、)よくあるミスで、「=」と記号をひとつだけにするミスがありますが、これはエラーになるか、または代入演算子として解釈されるのでバグになります。 != は 両辺の値が等しくない事を要求します。つまり、!= は両辺の値が違っている事を要求します。 等しくない場合の != では、否定の記号 ! が先に来ます。(Perl にかぎらずC言語など他のプログラム言語でも、同様の順序です。) === <=> === 左右の数値の大小関係により -1, 0, 1 のいずれかを返します。これは主にsortで使われます。 :<syntaxhighlight lang=perl> @a = (22, 3, 111); @a = sort {$a <=> $b} @a; # この時点で@aは (3, 22, 111) になっています @a = sort {$b <=> $a} @a; # この時点で@aは (111, 22, 3) になっています </syntaxhighlight> ==文字列比較演算子== :{|class=wikitable |+ 文字列比較演算子 |- !演算子!!意味 |- |A eq B||AとBは等しい |- |A ne B||AとBは等しくない |- |A gt B||AはBより大きい |- |A ge B||AはB以上 |- |A lt B||AはBより小さい |- |A le B||AはB以下 |} === eq === === ne === 両辺の文字列が、文字列として評価した場合に、同じ値かを調べるときに使用します。 なお、== および != は両辺が数値として評価した場合なので、意味が違います。 Perlには変数に型が無いので、C言語とは異なり、比較演算子の側で、変数の内容を数値として評価するか、内容を文字列として評価するかの指定が必要になるのです。 :<syntaxhighlight lang=perl> if ($x eq $y) { # この部分は$xが$yと同じ文字列のときに実行されます } if ($x ne 'correct')) { # この部分は$xに代入されている文字列が 'correct' でなかったときに実行されます } </syntaxhighlight> eq は、両辺を文字列として比較したときに、両辺が同じであることを要求します。 なお「eq」とは equal (等号、等しい)の略であるとされる。 ne は、両辺を文字列として比較したときに、両辺が異なることを比較します。 「ne」とは not equal の略だとされる。 === le === === ge === === lt === === gt === 二つの文字列の辞書順での大小を比較します。 :<syntaxhighlight lang=perl> if ($x le $y) { # この部分は$xが$y以下のときに実行されます } ; le -- less than or equal -- 以下 ; ge -- greater than or equal -- 以上 ; lt -- less than -- より小さい(未満) ; gt -- greater than -- より大きい(超) </syntaxhighlight> === cmp === 二つの文字列の辞書順での大小関係により-1, 0, 1のいずれかを返します。これは主にsortで使われます。 :<syntaxhighlight lang=perl> @a = ('3', '22', '111', 'z', 'A', 'a', 'Z'); @a = sort {$x cmp $y} @a; # この時点で@aは ('111', '22', '3', 'A', 'Z', 'a', 'z') になっています @a = sort {$y cmp $x} @a; # この時点で@aは ('z', 'a', 'Z', 'A', '3', '22', '111') になっています </syntaxhighlight> == 条件演算子 == === ?: === ;<code>条件 ? 式1 : 式2</code>:条件が成立する場合は''式1''の値を、そうでない場合は''式2''の値を返します。 :<syntaxhighlight lang=perl> $x = 1; $y = $x ? 'true' : 'false'; # $y には 'true' が代入される </syntaxhighlight> == 範囲演算子 == === .. === === ... === :''式1'' .. ''式2'' で範囲を表します。 :式1・式2はリテラルである必要はありません。 ;[https://paiza.io/projects/8DdoaIYQ8f5DBPxWBmyIXQ?language=perl リストコンテキストの例]:<syntaxhighlight lang=perl> #!/usr/bin/env perl use v5.30.0; use warnings; print<<EOS; 1..32 --> @{[ 1..32 ]} "1".."12" --> @{[ "1".."12" ]} 'a'..'z' --> @{[ 'a'..'z' ]} 'A'..'BE' --> @{[ 'A'..'BE' ]} 'A1'..'D7' --> @{[ 'A1'..'D7' ]} EOS </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> 1..32 --> 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 "1".."12" --> 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 'a'..'z' --> a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z 'A'..'BE' --> A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T U V W X Y Z AA AB AC AD AE AF AG AH AI AJ AK AL AM AN AO AP AQ AR AS AT AU AV AW AX AY AZ BA BB BC BD BE 'A1'..'D7' --> A1 A2 A3 A4 A5 A6 A7 A8 A9 B0 B1 B2 B3 B4 B5 B6 B7 B8 B9 C0 C1 C2 C3 C4 C5 C6 C7 C8 C9 D0 D1 D2 D3 D4 D5 D6 D7 </syntaxhighlight> :<code>1..32</code>は、<code>(1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32)</code>に展開されます :<code>"1".."12"</code>は、文字列ですが数値として解釈可能なので<code>(1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12)</code>に展開されます :<code>'a'..'z'</code>は、マジカルインクリメントで<code>('a','b','c','d','e','f','g','h','i','j','k','l','m','n','o','p','q','r','s','t','u','v','w','x','y','z')</code>に展開されます :<code>'A1'..'D7'</code>も、マジカルインクリメントですが<code>'A9'</code>から<code>'B0'</code>に桁上りしています ;[https://paiza.io/projects/na1wL5a19MAfjwFx1MxoRQ?language=perl スカラーコンテキストの例]:<syntaxhighlight lang=perl> #!/usr/bin/env perl use v5.30.0; use warnings; while (<DATA>) { print if 8 .. 10; # 8行目から10行目を出力 print if /<head>/ .. /<\/head>/; # head要素の内容を出力 } __DATA__ <!DOCTYPE html> <html lang="ja"> <head> <meta charset='utf-8'> <title>簡単な例</title> </head> <body> <h1>簡単な例</h1> <p>この文書は非常に簡単な例です</p> </body> </html> </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> <head> <meta charset='utf-8'> <title>簡単な例</title> </head> <h1>簡単な例</h1> <p>この文書は非常に簡単な例です</p> </body> </syntaxhighlight> : スカラーコンテキストの場合はフリップフロップ演算子となります。 : オペランドが数値の場合は、暗黙に$.(行番号)と比較 (==) を行います。 : ...演算子を用いた場合は、左オペランドが真となった後、次の行に移ってから右オペランドの評価を行う。 === フリップフロップ演算子 === フリップフロップ演算子として .. が振る舞うときは癖が強いです :<syntaxhighlight lang=perl> $n == 3 .. $n == 5 ? "1" : "2" </syntaxhighlight> :は :<syntaxhighlight lang=perl> 3 <= $n <= 5 ? "1" : "2" </syntaxhighlight> と等価です。 :<syntaxhighlight lang=perl> print if 8 .. 10; # 8行目から10行目を出力 </syntaxhighlight> :は :<syntaxhighlight lang=perl> print if $. == 8 .. $. == 10; # 8行目から10行目を出力 </syntaxhighlight> :と等価で :<syntaxhighlight lang=perl> print if 8 <= $. <= 10; # 8行目から10行目を出力 </syntaxhighlight> とも等価です。 == 置換演算子 == === s/// === ; s/''PATTERN''/''STRING''/ PATTERNにマッチするものをSTRINGに置換します。PATTERNは[[Perl/正規表現|正規表現]]です。 :<syntaxhighlight lang=perl> $str = "Wiki"; $str =~ s/(Wiki)/$1pedia/; print $str; # Wikipedia </syntaxhighlight> == パターン変換演算子 == === tr/// === {{Anchor|tr}}/''PATTERN1''/''PATTERN2''/ 1文字を対応する1文字に置換します。PATTERNには正規表現ではなく、文字クラス(角括弧で囲まれた文字クラスの<code>[]</code>の内側)を指定します。 ;[https://paiza.io/projects/DMKq7OR7mIgzJ-ot5hlVAA?language=perl tr///]:<syntaxhighlight lang=perl> use v5.30.0; use warnings; my $str = "ABC BCA CAB"; $str =~ tr/ABC/012/; say $str; $str =~ tr/012/AB/; say $str </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> 012 120 201 ABB BBA BAB </syntaxhighlight> : PATTERN1とPATTERN2の長さが違っても(use warnings; しても)警告されず、およそ期待とは違う結果になります。 : 変換結果に疑問があったら、まずパッターン同士の長さの不一致を疑いましょう。 ハイフンを使って範囲指定を行うことができます。 ;[https://paiza.io/projects/HnN8XcZjViLrrZyargpjmg?language=perl 範囲指定を使ったパターン変換]:<syntaxhighlight lang=perl> use v5.30.0; use warnings; my $str = "WIKIBOOKS"; $str =~ tr/A-Z/a-z/; say $str </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> wikibooks </syntaxhighlight> <code>=~</code> を使わないと <code>$_</code> の変換対象になり、変換した文字数を返します。 ;[https://paiza.io/projects/GtbnDL9i2gH0DjGLfZ2Niw?language=perl 変換した文字数]:<syntaxhighlight lang=perl> use v5.30.0; use warnings; my $str = "WIKIBOOKS"; local $_ = $str; say tr/[A-Z]/[A-Z]/; </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> 9 </syntaxhighlight> == リファレンス参照演算子 == === ー> === <code>-></code>は、中置のデリファレンス演算子で、左辺のリファレンスに対し、右辺のフォームによりそれぞれ ; [...] : 配列 ; {...} : ハッシュ ; (...) : サブルーチン を参照します。 {{See also|Perl/リファレンス}} == パターン変換演算子 == === y/// === y/''PATTERN1''/''PATTERN2''/ [[#tr|tr///]]の同義語です。 == 秘密の演算子 == Perl には、秘密の演算子( ''secret operators'' )と呼ばれる一連の独特の記法があります<ref>[https://metacpan.org/dist/perlsecret/view/lib/perlsecret.pod perlsecret - Perl secret operators and constants]</ref>。 これらは実際には演算子ではないのですが、高い頻度でコード上に登場するので愛称がつけられたものです。 :{| class=wikitable |+ Perl の秘密の演算子 |- ! 演算子 !! 愛称 !! 和訳 !! 機能 |- |0+ || [[#Venus|Venus]] || ビーナス || 数値に強制変換 |- |@{[ ]} || [[#Baby cart|Baby cart]] || べピーカー || リストの展開 |- |!! || Bang bang || バンバン || 論理値化 |- |<nowiki>}{</nowiki> || Eskimo greeting || エスキモーの挨拶 || ワンライナーでの END ブロック |- |-M5; || Maori farewell || マオリ族のお別れ || ワンライナーでの BEGIN ブロック |- |~~ || Inchworm || 尺取り虫 || スカラーコンテキスト |- |~- || Inchworm on a stick || 串刺し尺取り虫 || 高優先順序のデクリメント |- | -~ || Inchworm on a stick || 串刺し尺取り虫 || 高優先順序のインクリメント |- | -+- || Space station || 宇宙ステーション || 高優先順序の数値化 |- |=( )= || Goatse || 山羊 || スカラー/リストコンテキスト |- |=< >=~ || Flaming X-Wing || 炎上Xウィング || マッチ入力、キャプチャの割り当て |- |~~<> || Kite || 凧 || 一行入力 |- |<<m=~m>> m ; || Ornate double-bladed sword || デコデコした両刃剣 || 複数行コメント |- | -=! -=!! || Flathead || フラットヘッド || 条件デクリメント |- | +=! +=!! || Phillips || フィリップス || 条件インクリメント |- |x=! x=!! || Pozidriv || プラスドライバー || 条件により <nowiki>''</nowiki> にリセット |- |*=! *=!! || Torx || 星型ドライバー || 条件により 0 にリセット |- |,=> || Winking fat comma || ウインクする太っちょコンマ || non-stringifying fat comma |- |()x!! || Enterprise || USSエンタープライズ || 論理リスト スカッシュ |- |0+!! || Key to the truth || 真理の鍵 || 数値論理値変換 |- |~~!! || Serpent of truth || 真理のサーペント || 数値論理値変換 |- |<nowiki>||()</nowiki> || Abbott and Costello || アボットとコステロ || リストから偽のスカラーを削除 |- |//() || Leaning Abbott and Costello || 傾いたアボットとコステロ || リストから undef のスカラーを削除 |} === Venus === ビーナス演算子は、式を強制的に数値化します。 ;[https://paiza.io/projects/_LiR9NuL4RV4UB0ZvoVZYg?language=perl 0+]:<syntaxhighlight lang=perl> foreach $x(qw(13b 3.1415926536 1.8e3 0xff 0177 0o177 0b10110), "32 Yen", "one penny", []) { print "0+$x -> @{[0+$x]}\n" } </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> 0+13b -> 13 0+3.1415926536 -> 3.1415926536 0+1.8e3 -> 1800 0+0xff -> 255 0+0177 -> 177 0+0o177 -> 0 0+0b10110 -> 0 0+32 Yen -> 32 0+one penny -> 0 0+ARRAY(0x558699694470) -> 94036587791472 </syntaxhighlight> : <code>0+</code> Venus は、式を数値に強制変換します。 : 加算演算子 <code>+</code> は、両辺を数値に変換してから加算します。 : 左辺を0に固定したので、単純な右辺の数値への強制変換になります。 :: 秘密の演算子の中では、一番わかりやすく実用価値も高いです。 :: ただ、やはり組込み関数の int などを使ったほうが、意図がわかりやすく grep 性も高くなります。 === Baby cart === ベビーカー演算子は、文字列の内部でリスト補間を行います。リスト項目は、$"の値で区切られます。 ;@{[ ]}:<syntaxhighlight lang=perl> %engines = ( "Thomas" => 1, "Edward" => 2, "Henry" => 3, "Gordon" => 4, "James" => 5, ); print <<EOS; %engines @{[ %engines ]} @{[ sort keys %engines ]} @{[ sort values %engines ]} EOS </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> %engines Thomas 1 Gordon 4 Edward 2 Henry 3 James 5 Edward Gordon Henry James Thomas 1 2 3 4 5 </syntaxhighlight> : <code>@{[ ]}</code> Baby cart は、まず内側の <code>[ ]</code>で匿名配列のリファレンスを作り、直後にその値を <code>@{ }</code>でデリファレンスしています。 : <code>@{[ ]}</code> Baby cart は、式を文字列化します。 : <code>@{[ ]}</code> Baby cart は、また書き換え可能なコピーを作り出せます。 [TODO:例] <noinclude> {{Nav}} {{DEFAULTSORT:Perl えんさんし}} [[Category:Perl|えんさんし]] </noinclude>
2005-10-30T14:59:01Z
2024-02-19T02:33:12Z
[ "テンプレート:Nav", "テンプレート:Main", "テンプレート:Anchor", "テンプレート:See also" ]
https://ja.wikibooks.org/wiki/Perl/%E6%BC%94%E7%AE%97%E5%AD%90
2,872
高等学校地理
高等学校地理とは世界・日本の自然環境や主な世界・日本の地域の地、人間の生活環境について扱う科目である。 2022年から新学習指導要領により、地理総合(必須)と地理探究(選択)に改組された。 2021年度までは、高等学校地理は『地理A』『地理B』に分けられていた。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "高等学校地理とは世界・日本の自然環境や主な世界・日本の地域の地、人間の生活環境について扱う科目である。 2022年から新学習指導要領により、地理総合(必須)と地理探究(選択)に改組された。", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "2021年度までは、高等学校地理は『地理A』『地理B』に分けられていた。", "title": "" } ]
高等学校地理とは世界・日本の自然環境や主な世界・日本の地域の地、人間の生活環境について扱う科目である。 2022年から新学習指導要領により、地理総合(必須)と地理探究(選択)に改組された。  2021年度までは、高等学校地理は『地理A』『地理B』に分けられていた。 (高等学校地理A) (高等学校地理B)
'''高等学校地理'''とは世界・日本の自然環境や主な世界・日本の地域の地、人間の生活環境について扱う科目である。 2022年から新学習指導要領により、[[高等学校地理総合|地理総合]](必須)と[[高等学校地理探究|地理探究]](選択)に改組された。  2021年度までは、高等学校地理は『地理A』『地理B』に分けられていた。 *([[高等学校地理A]]) *([[高等学校地理B]]) == 学習方法 == *[[学習方法/高校地理]] [[Category:高等学校教育|社ちり]] [[カテゴリ:地理学|高ちり]] [[Category:社会科教育|高ちり]]
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2022-12-03T10:36:48Z
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https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E5%9C%B0%E7%90%86
2,875
高等学校数学A/図形の性質
ここでは、三角形や円の性質、空間図形の性質等について扱う。 m, nを正の数とする。点Pが線分AB上にあってAB:PB=m:nが成り立つとき、「点Pは線分ABをm:nに内分する」という。 また、点Qが線分ABの延長線上にあってAQ:BQ=m:nであるとき、「点Qは線分ABをm:nに外分する」という。 △ A B C {\displaystyle \triangle ABC} の辺AB, AC(またはその延長線)上にそれぞれ点P, Qがあるとき、次のことが成り立つ。 三角形の内角の2等分線に関して、次のことが成り立つ。 ∠ A {\displaystyle \angle A} の2等分線と辺BCとの交点がDだから Cを通りADに平行な直線とBAの延長との交点をEとする。 ADとECは平行であるから 上の3つの式から よって また、ADとECは平行であるから (1)と(2)より 三角形の外角の2等分線に関して、次のことが成り立つ。 Cを通りADに平行な直線とABの延長との交点をEとすると、上の定理と同様に w:五心も参照。 △ABCを取り、辺AB,AC のそれぞれに対して垂直二等分線を取り、2直線の交点をOとする。このとき、点OがAB,ACのそれぞれに対する垂直2等分線上にあることから であるので、 が成り立つ。 よって点Oは辺BCの垂直二等分線上にある。 上の証明から、 O A = O B = O C {\displaystyle OA=OB=OC} であるので、この点は三角形の3つの頂点から等距離にあることが分かるので、この点Oを中心として円を書くと、三角形ABCの頂点3つを通る円を書くことができる。 このように、三角形の3つの頂点を通る円(右図では赤線の部分)のことを外接円(がいせつえん、 英:circumscribed circle)という。 そして、外接円の中心(右図の点Oの部分)のことを、その三角形の 外心(がいしん)という。 △ABCを取り、角A,Bについて角の2等分線を取り2直線の交点をIと呼ぶ。 さらに、点Iから辺BC,CA,ABに下ろした垂線とそれぞれの辺の交点をそれぞれ D,E,F と呼ぶとする。このとき、角Aの二等分線の性質から が成り立ち、同様に角Bの2等分線の性質から が成り立つので、 よって である。 したがって、点Iは角Cの二等分線上にある。 ID=IE=IF なので、図のように三角形の三辺に接する円を書くことができ。この円を △ABCの内接円 (ないせつえん、英:inscribed circle)といい、その中心Iを内心(ないしん)という。 なお、三角形の内接円の半径をrとすると、面積Sと三辺の長さa,b,cとの間に の関係式が成り立つ(△ABI、△BCI、△CAIの3つの三角形の面積を考えてみよ)。面積Sはヘロンの公式を用いれば、三角形の三辺の長さから内接円の半径が計算できる。 三角形の頂点から相対する辺の中点に対して下ろした線分のことを 中線 という。三角形の3つの中線の交わる点を重心という。 証明 △ A B C {\displaystyle \triangle ABC} の辺BC, CA, ABの中点をそれぞれL, M, Nとする。 中点連結定理よりML // AB, 2ML=ABが成り立つので、中線AL, BMの交点をGとするとAG:GL=AB:ML=2:1 中線ALとCNの交点をG'とすると、上と同様に考えてAG':G'L=AC:NL=2:1 よって、GとG'はともに線分ABを2:1に内分する点であるので、この2点は一致する。 したがって、3本の中線は1点Gで交わり、AG:GL=2:1である。 同様にBG:GM=CG:GN=2:1なので、Gは各中線を2:1に内分する。 外心の性質を利用して、次の定理が証明できる。 点Aを通り辺BCに平行な直線、点Bを通り辺CAに平行な直線、点Cを通り辺ABに平行な直線をかき、これらの直線の交点を図のようにP,Q,Rとする。 すると、四角形RBCA は平行四辺形なので、 RA = BC である。 同様に、四角形ABCQ も平行四辺形なので BC=AQ である。 よって RA=BC かつ BC=AQ なので、 RA = AQ である。 次に、点Aから対辺BCまたはその延長上に垂線ADを引く。 すると、 RQ // BC の仮定により、平行な2直線の同位角が等しい事を利用して、 が導かれる。したがって、この線分ADは、△RQPの辺RQの垂直二等分線である。 同様に考えると、頂点Bから辺ACまたはその延長上に降ろした垂線BEは辺RPの垂直二等分線であり、頂点Cから辺ABまたはその延長上に降ろした垂線CFは辺PQの垂直二等分線であることがわかる。 この3本の垂直二等分線は、△RQPの外心で交わる。すなわち△ABCの各頂点から対辺に引いた3本の垂線 AD,BE,CF は一点で交わる。 ここまで三角形の外心、内心、重心、垂心を見てきた。実は正三角形の場合、この4点は一致することが知られている。 また、正三角形でない三角形について外心O・重心G・垂心Hは常に一直線上に存在し、この直線をオイラー線と呼ぶ。 なお、オイラー線の証明は三角関数やベクトルでもできる。 オイラー線はw:九点円の中心Nも通り、ON=NHが成り立つ。 外角Bと外角Cの二等分線の交点をJとする。 図のように、Jから△ABCの3辺またはその延長線上に垂線JD,JE,JFをおろす。 すると、 なので、 である。 よって、直線AJは∠Aの二等分線である。 この点 J を 傍心(ぼうしん)という。 三角形には3つの傍心が存在する。 三角形の外心、内心、重心、垂心、傍心を合わせて三角形の五心と呼ぶ。 三角形 A B C {\displaystyle \mathrm {ABC} } に対し、任意の一点 O {\displaystyle \mathrm {O} } と A , B , C {\displaystyle \mathrm {A} ,\mathrm {B} ,\mathrm {C} } を結んだ直線がそれぞれ B C , C A , A B {\displaystyle \mathrm {BC} ,\mathrm {CA} ,\mathrm {AB} } と交わる点を D , E , F {\displaystyle \mathrm {D} ,\mathrm {E} ,\mathrm {F} } とする。 このとき、 A F F B ⋅ B D D C ⋅ C E E A = 1 {\displaystyle {\frac {\mathrm {AF} }{\mathrm {FB} }}\cdot {\frac {\mathrm {BD} }{\mathrm {DC} }}\cdot {\frac {\mathrm {CE} }{\mathrm {EA} }}=1} が成り立つ。 証明 点 C {\displaystyle \mathrm {C} } を通り直線 A B {\displaystyle \mathrm {AB} } に平行な直線をかき、 A D , B E {\displaystyle \mathrm {AD} ,\mathrm {BE} } との交点をそれぞれ G , H {\displaystyle \mathrm {G} ,\mathrm {H} } とする。 A F : F B = G C : H C {\displaystyle \mathrm {AF} :\mathrm {FB} =\mathrm {GC} :\mathrm {HC} } B D : D C = A B : C G {\displaystyle \mathrm {BD} :\mathrm {DC} =\mathrm {AB} :\mathrm {CG} } C E : E A = C H : A B {\displaystyle \mathrm {CE} :\mathrm {EA} =\mathrm {CH} :\mathrm {AB} } したがって、 A F F B ⋅ B D D C ⋅ C E E A = G C H C ⋅ A B C G ⋅ C H A B = 1 {\displaystyle {\frac {\mathrm {AF} }{\mathrm {FB} }}\cdot {\frac {\mathrm {BD} }{\mathrm {DC} }}\cdot {\frac {\mathrm {CE} }{\mathrm {EA} }}={\frac {\mathrm {GC} }{\mathrm {HC} }}\cdot {\frac {\mathrm {AB} }{\mathrm {CG} }}\cdot {\frac {\mathrm {CH} }{\mathrm {AB} }}=1} 平行線による比の移動より、 A F F B ⋅ B D D C ⋅ C E E A = G C H C ⋅ A B C G ⋅ C H A B = 1 {\displaystyle {\frac {\mathrm {AF} }{\mathrm {FB} }}\cdot {\frac {\mathrm {BD} }{\mathrm {DC} }}\cdot {\frac {\mathrm {CE} }{\mathrm {EA} }}={\frac {\mathrm {GC} }{\mathrm {HC} }}\cdot {\frac {\mathrm {AB} }{\mathrm {CG} }}\cdot {\frac {\mathrm {CH} }{\mathrm {AB} }}=1} 三角形 A B C {\displaystyle \mathrm {ABC} } に対し、直線 B C , C A , A B {\displaystyle \mathrm {BC} ,\mathrm {CA} ,\mathrm {AB} } 上にそれぞれ点 D , E , F {\displaystyle \mathrm {D} ,\mathrm {E} ,\mathrm {F} } があるとき、 A F F B ⋅ B D D C ⋅ C E E A = 1 {\displaystyle {\frac {\mathrm {AF} }{\mathrm {FB} }}\cdot {\frac {\mathrm {BD} }{\mathrm {DC} }}\cdot {\frac {\mathrm {CE} }{\mathrm {EA} }}=1} ならば、直線 A F , B D , C E {\displaystyle \mathrm {AF} ,\mathrm {BD} ,\mathrm {CE} } は一点で交わる。 証明 直線 B D , C E {\displaystyle \mathrm {BD} ,\mathrm {CE} } の交点を O {\displaystyle \mathrm {O} } とおき、直線 A O {\displaystyle \mathrm {AO} } と直線 B C {\displaystyle \mathrm {BC} } との交点を F ′ {\displaystyle \mathrm {F} '} とおく。このとき、チェバの定理より、 A F ′ F ′ B ⋅ B D D C ⋅ C E E A = 1 {\displaystyle {\frac {\mathrm {AF'} }{\mathrm {F'B} }}\cdot {\frac {\mathrm {BD} }{\mathrm {DC} }}\cdot {\frac {\mathrm {CE} }{\mathrm {EA} }}=1} が成り立つ。また、仮定より、 A F F B ⋅ B D D C ⋅ C E E A = 1 {\displaystyle {\frac {\mathrm {AF} }{\mathrm {FB} }}\cdot {\frac {\mathrm {BD} }{\mathrm {DC} }}\cdot {\frac {\mathrm {CE} }{\mathrm {EA} }}=1} である。これら2つの式から、 A F F B = A F ′ F ′ B {\displaystyle {\frac {\mathrm {AF} }{\mathrm {FB} }}={\frac {\mathrm {AF'} }{\mathrm {F'B} }}} が得られる。これは、2点 F , F ′ {\displaystyle \mathrm {F} ,\mathrm {F} '} が線分 A B {\displaystyle \mathrm {AB} } を同じ比で内分する点であることを示すので、 点 F {\displaystyle \mathrm {F} } と点 F ′ {\displaystyle \mathrm {F} '} は一致する。よって、直線 A F , B D , C E {\displaystyle \mathrm {AF} ,\mathrm {BD} ,\mathrm {CE} } は一点で交わる。 任意の直線 l {\displaystyle l} と三角形 A B C {\displaystyle \mathrm {ABC} } において、直線 l {\displaystyle l} と直線 B C , C A , A B {\displaystyle \mathrm {BC} ,\mathrm {CA} ,\mathrm {AB} } の交点をそれぞれ D , E , F {\displaystyle \mathrm {D} ,\mathrm {E} ,\mathrm {F} } とする。このとき が成り立つ。 証明 点 C {\displaystyle \mathrm {C} } から直線 l {\displaystyle l} に平行な直線をかき、直線 A B {\displaystyle \mathrm {AB} } との交点を G {\displaystyle \mathrm {G} } とする。 平行線による比の移動より、 B D : D C = B F : G F {\displaystyle \mathrm {BD} :\mathrm {DC} =\mathrm {BF} :\mathrm {GF} } C E : E A = G F : F A {\displaystyle \mathrm {CE} :\mathrm {EA} =\mathrm {GF} :\mathrm {FA} } したがって、 A F F B ⋅ B D D C ⋅ C E E A = A F F B ⋅ B F G F ⋅ G F F A = 1 {\displaystyle {\mathrm {AF} \over \mathrm {FB} }\cdot {\mathrm {BD} \over \mathrm {DC} }\cdot {\mathrm {CE} \over \mathrm {EA} }={\mathrm {AF} \over \mathrm {FB} }\cdot {\mathrm {BF} \over \mathrm {GF} }\cdot {\mathrm {GF} \over \mathrm {FA} }=1} 三角形 A B C {\displaystyle \mathrm {ABC} } に対して、直線 B C , C A , A B {\displaystyle \mathrm {BC} ,\mathrm {CA} ,\mathrm {AB} } 上に点 D , E , F {\displaystyle \mathrm {D} ,\mathrm {E} ,\mathrm {F} } をとり、 D , E , F {\displaystyle \mathrm {D} ,\mathrm {E} ,\mathrm {F} } のうち三角形 A B C {\displaystyle \mathrm {ABC} } の辺上にある点が0個あるいは2個で、かつ、 A F F B ⋅ B D D C ⋅ C E E A = 1 {\displaystyle {\mathrm {AF} \over \mathrm {FB} }\cdot {\mathrm {BD} \over \mathrm {DC} }\cdot {\mathrm {CE} \over \mathrm {EA} }=1} が成り立つとき、3点 D , E , F {\displaystyle \mathrm {D} ,\mathrm {E} ,\mathrm {F} } は一直線上にある。 証明 2直線 E F , B C {\displaystyle \mathrm {EF} ,\mathrm {BC} } の交点を D ′ {\displaystyle \mathrm {D} '} とする。このとき、メネラウスの定理より、 A F F B ⋅ B D ′ D ′ C ⋅ C E E A = 1 {\displaystyle {\mathrm {AF} \over \mathrm {FB} }\cdot {\mathrm {BD'} \over \mathrm {D'C} }\cdot {\mathrm {CE} \over \mathrm {EA} }=1} である。また、仮定より A F F B ⋅ B D D C ⋅ C E E A = 1 {\displaystyle {\mathrm {AF} \over \mathrm {FB} }\cdot {\mathrm {BD} \over \mathrm {DC} }\cdot {\mathrm {CE} \over \mathrm {EA} }=1} である。これら2式より、 B D D C = B D ′ D ′ C {\displaystyle {\mathrm {BD} \over \mathrm {DC} }={\frac {\mathrm {BD'} }{\mathrm {D'C} }}} である。これは、2点 D , D ′ {\displaystyle \mathrm {D} ,\mathrm {D} '} が線分 B C {\displaystyle \mathrm {BC} } を同じ比で内分する点であることを示すので、 点 D {\displaystyle \mathrm {D} } と点 D ′ {\displaystyle \mathrm {D} '} は一致する。したがって、3点 D , E , F {\displaystyle \mathrm {D} ,\mathrm {E} ,\mathrm {F} } は一直線上にある。 三角形の辺と角の大小関係について、次のようなことが言える。 ( A B < A C ⇒ ∠ B > ∠ C {\displaystyle AB<AC\ \Rightarrow \ \angle B>\angle C} の証明) A B < A C {\displaystyle AB<AC} とし、辺AC上に点Dを、 A D = A B {\displaystyle AD=AB} となるようにとれば ところで、 ∠ A D B {\displaystyle \angle ADB} は △ D B C {\displaystyle \triangle DBC} の ∠ B D C {\displaystyle \angle BDC} の外角だから また、点Dは辺AC上にあるから (1),(2),(3)より、 ∠ B > ∠ C {\displaystyle \angle B>\angle C} ( ∠ B > ∠ C ⇒ A B < A C {\displaystyle \angle B>\angle C\ \Rightarrow \ AB<AC} の証明) ∠ B > ∠ C {\displaystyle \angle B>\angle C} であって、 A B < A C {\displaystyle AB<AC} ではないとすると、次のどちらかが成り立つ。 (1)が成り立つとすると、二等辺三角形になるので、 ∠ B = ∠ C {\displaystyle \angle B=\angle C} (2)が成り立つとすると、前半で示したとおり、 ∠ B < ∠ C {\displaystyle \angle B<\angle C} どちらの場合も、仮定 ∠ B > ∠ C {\displaystyle \angle B>\angle C} に反する。 よって、 A B < A C {\displaystyle AB<AC} でなければならない。 三角形の3辺について、次のようなことが言える。 △ A B C {\displaystyle \triangle ABC} において、 A B + A C > B C {\displaystyle AB+AC>BC} を証明する。 辺BAをAの方に延長し、その上に点Dを、 A D = A C {\displaystyle AD=AC} となるようにとる。 △ A C D {\displaystyle \triangle ACD} は二等辺三角形であるから △ B C D {\displaystyle \triangle BCD} において、点Aは辺BD上にあるから よって、三角形の辺と角の大小の定理より △ A B C {\displaystyle \triangle ABC} の3辺の長さを、 B C = a , C A = b , A B = c {\displaystyle BC=a\ ,\ CA=b\ ,\ AB=c} とすると、上の定理より次のことがわかる。 であるから、 b ≥ c {\displaystyle b\geq c} のとき、 c + a > b {\displaystyle c+a>b} より b < c {\displaystyle b<c} のとき、 a + b > c {\displaystyle a+b>c} より が成り立つ。 2つの定理より、三角形の3辺が a , b , c {\displaystyle a\ ,\ b\ ,\ c} であるとき、 が成り立つことがわかる。 逆に、正の数 a , b , c {\displaystyle a\ ,\ b\ ,\ c} が不等式 | b − c | < a < b + c {\displaystyle |b-c|<a<b+c} を満たすとき、3辺の長さが a , b , c {\displaystyle a\ ,\ b\ ,\ c} である三角形が存在する。 この不等式を三角不等式と呼ぶ。 円周上に3点A,B,Cがある。直線ABについて点Cと同じ側に点Pをとり、 ∠ A P B {\displaystyle \angle APB} と ∠ A C B {\displaystyle \angle ACB} の大きさを比べる。 点Pについては、 のいずれかである。 (2)の場合、三角形の外角と内角の間の大小関係より (3)の場合も、三角形の外角と内角の間の大小関係より この結果、次のことがいえる。 このことから、次のようなことがいえる。 上の議論から三角形に外接する円はどのような三角形を取ったとしても常に存在 することが分かった。しかし、四角形に関してはそれに対して外接するような 円は常に存在するわけではない。 一般に円に内接するような四角形に関しては以下の性質が成り立つ。 内接する四角形の頂点を反時計回りにA,B,C,Dとする。 このとき、角A,角Cはそれぞれ点B,Dを対応する端点とする円弧に対する円周角となっている。ただし、角Aと角Cは互いに逆の円弧を対応する弧としているため、2つの弧を合わせるとそれらの弧はちょうど円周をおおうことになる。 このため、これらの2つの弧に対応する中心角の和は 360 ∘ {\displaystyle 360^{\circ }} に対応し、同じ弧に対応する円周角の和は 180 ∘ {\displaystyle 180^{\circ }} に対応するのである。 また、円に内接する四角形に関して以下の性質も成り立つ。 円に内接する四角形ABCDにおいて、上の定理より また、頂点Cにおける外角を ∠ D C E {\displaystyle \angle DCE} とすると、 ∠ D C E + ∠ C = 180 ∘ {\displaystyle \angle DCE+\angle C=180^{\circ }} であるから 円に内接する四角形の性質の逆について考えてみよう。 (1)の証明 四角形ABCDで、 とする。 △ A B C {\displaystyle \triangle ABC} の外接円Oを書き、円Oに内接する四角形ABCD'を作ると (I),(II)より したがって、円周角の定理の逆から、点Dはこの円Oの周上にある。 よって、四角形ABCDは円に内接する。 (2)の証明 四角形ABCDで、頂点Cにおける外角を ∠ D C E {\displaystyle \angle DCE} として、 とする。 であるから 四角形が円に内接する条件(1)より、向かい合う内角の和が 180 ∘ {\displaystyle 180^{\circ }} であるから、四角形ABCDは円に内接する。 円Oの外の点Aからその円に2本の接線を引ける。その接点をP,Qとするとき、線分AP,AQの長さを、円Oの外の点Aから円Oに引いた接線の長さという。 2つの接線の長さについて、次のことがいえる。 直角三角形APO,AQOにおいて (I),(II)より よって、対応する辺APとAQは等しい。 円周上の点Aを通る接線ATがあって、円周上に2点B,Cをとるとき、 ∠ T A B {\displaystyle \angle TAB} と円周角 ∠ A C B {\displaystyle \angle ACB} の大きさには、次のような関係がある。 ∠ T A B {\displaystyle \angle TAB} が鋭角の場合について考える。 直径ADを引くと、 ∠ T A D = 90 ∘ {\displaystyle \angle TAD=90^{\circ }} であるから、 また、ADは直径であるから ∠ B A D {\displaystyle \angle BAD} と ∠ B C D {\displaystyle \angle BCD} は弧BDに対する円周角であるから (I),(II),(III)より ∠ T A B {\displaystyle \angle TAB} が直角、鈍角の場合についても同様に証明できる。 中心Oとする円について次の定理が成り立つ。 まず、点Eが円の外部にある場合を考える。このとき、直線AB上で点Eに近い点を点B, 直線CD上で点Eに近い点を点Cとおいたとき、三角形ECBと三角形EADが相似であることを 示す。 まず、四角形ABCDは円に内接していることから、 について、 が成立する。これは円に内接する四角形の相対する角の和が 180 ∘ {\displaystyle 180^{\circ }} になることに よっている。同様にして が成立し、2角が等しいことから三角形ECBと三角形EADは相似となる。 このことから、 となるが、このことは に等しい。 次に、点Eが円の内部にある場合を考える。 このとき三角形EADと三角形EBCが互いに相似であることを示す。 最初に についてこれらが互いの対頂角であることから が成り立つ。次に、 についてこれらが円周BDの円周角であることから が成り立つ。よって、2角が等しいことから三角形EADと三角形EBCは 互いに相似である。このことから となるが、このことは に等しい。 よって、どちらの場合にも方べきの定理が示された。 また、中心Oとする円の弦と接線について次の定理が成り立つ。 △ P A T {\displaystyle \triangle PAT} と △ P T B {\displaystyle \triangle PTB} において 接弦定理より だから、 △ P A T {\displaystyle \triangle PAT} と △ P T B {\displaystyle \triangle PTB} は相似 よって、 したがって、 2つの線分AB, CD(またはその延長線)が点Pで交わるとき、PA・PB = PC・PDならば4点A, B, C, Dは同一円周上にある。 PA・PB=PC・PDよりPA:PD=PC:PBが成り立つ。 また、 ∠ A P C = ∠ D P B {\displaystyle \angle APC=\angle DPB} である。 よって、 △ P A C {\displaystyle \triangle PAC} と △ P D B {\displaystyle \triangle PDB} は相似なので、 ∠ P A C = ∠ P D B {\displaystyle \angle PAC=\angle PDB} である。 したがって、円周角の定理の逆より、4点A,B,C,Dは同一円周上にある。 方冪の定理(2)の逆も成り立つ。 2つの円を取ったときこれらはいくつかの仕方で関係する。2つの円の関係は2つの円の中心間の距離と、2円の半径によって定まる。 2円の距離をそれぞれ r 1 {\displaystyle r_{1}} , r 2 {\displaystyle r_{2}} ( r 1 > r 2 {\displaystyle r_{1}>r_{2}} ),中心間の距離を l {\displaystyle l} とすると、2円の位置関係として がある。 2つの円がただ1つの共有点をもつとき、この2つの円は接するといい、この共有点を接点(せってん、英:point of contact)という。 1つの直線が、2つの円に接しているとき、この直線を、2つの円の共通接線という。 定規・コンパスのみを用いて、与えられた条件を満たす図形を描くことを作図という。ただし、「直線を引く」「円を描く」「コンパスで長さを転写する」以外の操作(定規で長さを測る等)は認められない。 したがって、2つの三角定規を用いて平行線を引くことは上の意味での作図ではない。 これまで学んだ三角形や円の性質を用いることで、さまざまな図形を作図することができる。 作図そのものが大問としてテストや入試に出ることはあまりないが、図形問題を考える際は正確に作図することが大切になってくる。この先、数学II「図形と方程式」や、数学C「ベクトル」においても作図ができないと話にならない。「テストに出ないからほっとく」ではなく、この先の幾何分野で役立てるために、ぜひきちんと学んでほしい。 与えられた直線 l {\displaystyle l} 上にない点Pを通り、 l {\displaystyle l} に平行な直線を作図する。 与えられた線分ABをm:nに内分する点を作図する。 長さ1の線分ABと長さa, bの二つの線分が与えられたとき、長さ b a {\displaystyle {\frac {b}{a}}} の線分を作図する。 証明 BE=xとする。 BC // EDより1:x=a:bである。 この式を変形すると x = b a {\displaystyle x={\frac {b}{a}}} となる。 上の二つは、値a, bに対して商a/b, 積abの計算を作図で行なっていることになる。 長さ1の線分ABと長さaの線分が与えられたとき、長さ√aの線分を作図する。 証明 方冪の定理より、BA・BC=BD・BE ここで、AB=1, BC=a, BD=BEなのでBD=a^2となり、 BD=√aとなる。 正五角形について、一辺の長さと対角線の長さの比は黄金比1 : φ {\displaystyle \phi } である。ここで、 φ = 1 + 5 2 {\displaystyle \phi ={\frac {1+{\sqrt {5}}}{2}}} は黄金数と呼ばれる数である。 長さ2の線分CDが与えられたとき、正五角形ABCDEを作図する。 まずは、対角線ACの長さが1+√5であることを利用して、頂点Aを作図する。 ここでは、空間における直線・平面の位置関係について学ぶ。この内容は数学Cで空間ベクトルを学ぶ際に知っておかなければならない基礎的な知識である。 異なる2直線の位置関係には、 の3つの場合がある。 平面図形と同様、2直線l, mが平行なときl // mのように表す。 2直線l, mが平行でないとき、点Oを通りl, mにそれぞれ平行であるような2直線l', m'を引くと、l', m'は同一平面上にあり、そのなす角は点Oの取り方によらず一定である。この角を2直線l, mのなす角と呼ぶ。 この角が直角であるとき、「lとmは垂直である」といい、l ⊥ mのように表す。 特に、垂直な2直線が交わるとき、それらは「直交する」という。 また、平行な2直線の一方に垂直な直線は他方にも垂直である。 直線lと平面aの位置関係には、 の3つの場合がある。 直線lと平面aが平行であるとき、l // aと表す。 直線lが平面a上の全ての直線に垂直であるとき、直線lは「平面aに垂直」または「平面aに直交」であるといい、l ⊥ aと表す。 特に、直線lが平面a上の交わる2直線m, nに垂直ならば、直線lは平面aに垂直である。 異なる2平面a, bの位置関係には、 の2つの場合がある。 2平面が交わるとき、共有する直線を交線と呼ぶ。 2平面a, bが平行であるとき、a // bと表す。 交わる2平面の交線上の点から各平面上に引いた、交線に垂直な2つの直線のなす角を2平面のなす角と呼ぶ。 2平面a, bのなす角が直角であるとき、a, bは「垂直である」または「直交する」といい、a ⊥ bと書く。 三角柱、四角錐などのように、多角形の面で囲まれた立体を多面体という。 凹みのない多面体を特に凸多面体と呼ぶ。 各面が全て合同な正多角形であり、拡張点に集まる面の数が全て等しい凸多面体を正多面体(プラトンの多面体)という。 正多面体は正四面体、正六面体(立方体)、正八面体、正十二面体、正二十面体の5種類のみ存在する。 正八面体について、 同様にして、正多面体について面の数・頂点の数・辺の数を計算で求めることができる。 また、一般の多面体について、次のことが言える。 つまり、正多面体の面になる正多角形の一つの内角の大きさは120°よりも小さい。そのような正多角形を考えると、正多面体の面になり得るのは正三角形、正方形、正五角形のみである。 この事実とオイラーの多面体定理を利用して、正多面体が5種類しか存在しないことを証明できる。 余談だが、オイラーの多面体定理に似た式が四次元の正多胞体においても成り立つことが知られている。 多面体から切り取った立体が正多面体であることを利用することで、立体の体積を求めることができる。
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"title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 10, "tag": "p", "text": "(1)と(2)より", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 11, "tag": "p", "text": "三角形の外角の2等分線に関して、次のことが成り立つ。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 12, "tag": "p", "text": "Cを通りADに平行な直線とABの延長との交点をEとすると、上の定理と同様に", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 13, "tag": "p", "text": "", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 14, "tag": "p", "text": "w:五心も参照。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 15, "tag": "p", "text": "△ABCを取り、辺AB,AC のそれぞれに対して垂直二等分線を取り、2直線の交点をOとする。このとき、点OがAB,ACのそれぞれに対する垂直2等分線上にあることから", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 16, "tag": "p", "text": "であるので、", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 17, "tag": "p", "text": "が成り立つ。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 18, "tag": "p", "text": "よって点Oは辺BCの垂直二等分線上にある。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 19, "tag": "p", "text": "", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 20, "tag": "p", "text": "上の証明から、 O A = O B = O C {\\displaystyle OA=OB=OC} であるので、この点は三角形の3つの頂点から等距離にあることが分かるので、この点Oを中心として円を書くと、三角形ABCの頂点3つを通る円を書くことができる。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 21, "tag": "p", "text": "このように、三角形の3つの頂点を通る円(右図では赤線の部分)のことを外接円(がいせつえん、 英:circumscribed circle)という。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 22, "tag": "p", "text": "そして、外接円の中心(右図の点Oの部分)のことを、その三角形の 外心(がいしん)という。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 23, "tag": "p", "text": "", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 24, "tag": "p", "text": "", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 25, "tag": "p", "text": "△ABCを取り、角A,Bについて角の2等分線を取り2直線の交点をIと呼ぶ。 さらに、点Iから辺BC,CA,ABに下ろした垂線とそれぞれの辺の交点をそれぞれ D,E,F と呼ぶとする。このとき、角Aの二等分線の性質から", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 26, "tag": "p", "text": "が成り立ち、同様に角Bの2等分線の性質から", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 27, "tag": "p", "text": "が成り立つので、", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 28, "tag": "p", "text": "よって", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 29, "tag": "p", "text": "である。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 30, "tag": "p", "text": "したがって、点Iは角Cの二等分線上にある。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 31, "tag": "p", "text": "", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 32, "tag": "p", "text": "ID=IE=IF なので、図のように三角形の三辺に接する円を書くことができ。この円を △ABCの内接円 (ないせつえん、英:inscribed circle)といい、その中心Iを内心(ないしん)という。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 33, "tag": "p", "text": "なお、三角形の内接円の半径をrとすると、面積Sと三辺の長さa,b,cとの間に", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 34, "tag": "p", "text": "の関係式が成り立つ(△ABI、△BCI、△CAIの3つの三角形の面積を考えてみよ)。面積Sはヘロンの公式を用いれば、三角形の三辺の長さから内接円の半径が計算できる。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 35, "tag": "p", "text": "", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 36, "tag": "p", "text": "三角形の頂点から相対する辺の中点に対して下ろした線分のことを 中線 という。三角形の3つの中線の交わる点を重心という。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 37, "tag": "p", "text": "証明", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 38, "tag": "p", "text": "△ A B C {\\displaystyle \\triangle ABC} の辺BC, CA, ABの中点をそれぞれL, M, Nとする。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 39, "tag": "p", "text": "中点連結定理よりML // AB, 2ML=ABが成り立つので、中線AL, BMの交点をGとするとAG:GL=AB:ML=2:1", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 40, "tag": "p", "text": "中線ALとCNの交点をG'とすると、上と同様に考えてAG':G'L=AC:NL=2:1", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 41, "tag": "p", "text": "よって、GとG'はともに線分ABを2:1に内分する点であるので、この2点は一致する。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 42, "tag": "p", "text": "したがって、3本の中線は1点Gで交わり、AG:GL=2:1である。 同様にBG:GM=CG:GN=2:1なので、Gは各中線を2:1に内分する。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 43, "tag": "p", "text": "", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 44, "tag": "p", "text": "", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 45, "tag": "p", "text": "外心の性質を利用して、次の定理が証明できる。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 46, "tag": "p", "text": "点Aを通り辺BCに平行な直線、点Bを通り辺CAに平行な直線、点Cを通り辺ABに平行な直線をかき、これらの直線の交点を図のようにP,Q,Rとする。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 47, "tag": "p", "text": "すると、四角形RBCA は平行四辺形なので、 RA = BC である。 同様に、四角形ABCQ も平行四辺形なので BC=AQ である。 よって RA=BC かつ BC=AQ なので、 RA = AQ である。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 48, "tag": "p", "text": "次に、点Aから対辺BCまたはその延長上に垂線ADを引く。 すると、 RQ // BC の仮定により、平行な2直線の同位角が等しい事を利用して、", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 49, "tag": "p", "text": "が導かれる。したがって、この線分ADは、△RQPの辺RQの垂直二等分線である。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 50, "tag": "p", "text": "同様に考えると、頂点Bから辺ACまたはその延長上に降ろした垂線BEは辺RPの垂直二等分線であり、頂点Cから辺ABまたはその延長上に降ろした垂線CFは辺PQの垂直二等分線であることがわかる。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 51, "tag": "p", "text": "この3本の垂直二等分線は、△RQPの外心で交わる。すなわち△ABCの各頂点から対辺に引いた3本の垂線 AD,BE,CF は一点で交わる。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 52, "tag": "p", "text": "ここまで三角形の外心、内心、重心、垂心を見てきた。実は正三角形の場合、この4点は一致することが知られている。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 53, "tag": "p", "text": "また、正三角形でない三角形について外心O・重心G・垂心Hは常に一直線上に存在し、この直線をオイラー線と呼ぶ。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 54, "tag": "p", "text": "なお、オイラー線の証明は三角関数やベクトルでもできる。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 55, "tag": "p", "text": "オイラー線はw:九点円の中心Nも通り、ON=NHが成り立つ。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 56, "tag": "p", "text": "", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 57, "tag": "p", "text": "", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 58, "tag": "p", "text": "外角Bと外角Cの二等分線の交点をJとする。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 59, "tag": "p", "text": "図のように、Jから△ABCの3辺またはその延長線上に垂線JD,JE,JFをおろす。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 60, "tag": "p", "text": "すると、", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 61, "tag": "p", "text": "なので、", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 62, "tag": "p", "text": "である。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 63, "tag": "p", "text": "よって、直線AJは∠Aの二等分線である。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 64, "tag": "p", "text": "この点 J を 傍心(ぼうしん)という。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 65, "tag": "p", "text": "三角形には3つの傍心が存在する。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 66, "tag": "p", "text": "三角形の外心、内心、重心、垂心、傍心を合わせて三角形の五心と呼ぶ。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 67, "tag": "p", "text": "", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 68, "tag": "p", "text": "三角形 A B C {\\displaystyle \\mathrm {ABC} } に対し、任意の一点 O {\\displaystyle \\mathrm {O} } と A , B , C {\\displaystyle \\mathrm {A} ,\\mathrm {B} ,\\mathrm {C} } を結んだ直線がそれぞれ B C , C A , A B {\\displaystyle \\mathrm {BC} ,\\mathrm {CA} ,\\mathrm {AB} } と交わる点を D , E , F {\\displaystyle \\mathrm {D} ,\\mathrm {E} ,\\mathrm {F} } とする。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 69, "tag": "p", "text": "このとき、 A F F B ⋅ B D D C ⋅ C E E A = 1 {\\displaystyle {\\frac {\\mathrm {AF} }{\\mathrm {FB} }}\\cdot {\\frac {\\mathrm {BD} }{\\mathrm {DC} }}\\cdot {\\frac {\\mathrm {CE} }{\\mathrm {EA} }}=1} が成り立つ。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 70, "tag": "p", "text": "証明", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 71, "tag": "p", "text": "点 C {\\displaystyle \\mathrm {C} } を通り直線 A B {\\displaystyle \\mathrm {AB} } に平行な直線をかき、 A D , B E {\\displaystyle \\mathrm {AD} ,\\mathrm {BE} } との交点をそれぞれ G , H {\\displaystyle \\mathrm {G} ,\\mathrm {H} } とする。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 72, "tag": "p", "text": "A F : F B = G C : H C {\\displaystyle \\mathrm {AF} :\\mathrm {FB} =\\mathrm {GC} :\\mathrm {HC} }", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 73, "tag": "p", "text": "B D : D C = A B : C G {\\displaystyle \\mathrm {BD} :\\mathrm {DC} =\\mathrm {AB} :\\mathrm {CG} }", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 74, "tag": "p", "text": "C E : E A = C H : A B {\\displaystyle \\mathrm {CE} :\\mathrm {EA} =\\mathrm {CH} :\\mathrm {AB} }", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 75, "tag": "p", "text": "したがって、", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 76, "tag": "p", "text": "A F F B ⋅ B D D C ⋅ C E E A = G C H C ⋅ A B C G ⋅ C H A B = 1 {\\displaystyle {\\frac {\\mathrm {AF} }{\\mathrm {FB} }}\\cdot {\\frac {\\mathrm {BD} }{\\mathrm {DC} }}\\cdot {\\frac {\\mathrm {CE} }{\\mathrm {EA} }}={\\frac {\\mathrm {GC} }{\\mathrm {HC} }}\\cdot {\\frac {\\mathrm {AB} }{\\mathrm {CG} }}\\cdot {\\frac {\\mathrm {CH} }{\\mathrm {AB} }}=1}", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 77, "tag": "p", "text": "平行線による比の移動より、 A F F B ⋅ B D D C ⋅ C E E A = G C H C ⋅ A B C G ⋅ C H A B = 1 {\\displaystyle {\\frac {\\mathrm {AF} }{\\mathrm {FB} }}\\cdot {\\frac {\\mathrm {BD} }{\\mathrm {DC} }}\\cdot {\\frac {\\mathrm {CE} }{\\mathrm {EA} }}={\\frac {\\mathrm {GC} }{\\mathrm {HC} }}\\cdot {\\frac {\\mathrm {AB} }{\\mathrm {CG} }}\\cdot {\\frac {\\mathrm {CH} }{\\mathrm {AB} }}=1}", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 78, "tag": "p", "text": "", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 79, "tag": "p", "text": "三角形 A B C {\\displaystyle \\mathrm {ABC} } に対し、直線 B C , C A , A B {\\displaystyle \\mathrm {BC} ,\\mathrm {CA} ,\\mathrm {AB} } 上にそれぞれ点 D , E , F {\\displaystyle \\mathrm {D} ,\\mathrm {E} ,\\mathrm {F} } があるとき、 A F F B ⋅ B D D C ⋅ C E E A = 1 {\\displaystyle {\\frac {\\mathrm {AF} }{\\mathrm {FB} }}\\cdot {\\frac {\\mathrm {BD} }{\\mathrm {DC} }}\\cdot {\\frac {\\mathrm {CE} }{\\mathrm {EA} }}=1} ならば、直線 A F , B D , C E {\\displaystyle \\mathrm {AF} ,\\mathrm {BD} ,\\mathrm {CE} } は一点で交わる。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 80, "tag": "p", "text": "証明", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 81, "tag": "p", "text": "直線 B D , C E {\\displaystyle \\mathrm {BD} ,\\mathrm {CE} } の交点を O {\\displaystyle \\mathrm {O} } とおき、直線 A O {\\displaystyle \\mathrm {AO} } と直線 B C {\\displaystyle \\mathrm {BC} } との交点を F ′ {\\displaystyle \\mathrm {F} '} とおく。このとき、チェバの定理より、 A F ′ F ′ B ⋅ B D D C ⋅ C E E A = 1 {\\displaystyle {\\frac {\\mathrm {AF'} }{\\mathrm {F'B} }}\\cdot {\\frac {\\mathrm {BD} }{\\mathrm {DC} }}\\cdot {\\frac {\\mathrm {CE} }{\\mathrm {EA} }}=1} が成り立つ。また、仮定より、 A F F B ⋅ B D D C ⋅ C E E A = 1 {\\displaystyle {\\frac {\\mathrm {AF} }{\\mathrm {FB} }}\\cdot {\\frac {\\mathrm {BD} }{\\mathrm {DC} }}\\cdot {\\frac {\\mathrm {CE} }{\\mathrm {EA} }}=1} である。これら2つの式から、 A F F B = A F ′ F ′ B {\\displaystyle {\\frac {\\mathrm {AF} }{\\mathrm {FB} }}={\\frac {\\mathrm {AF'} }{\\mathrm {F'B} }}} が得られる。これは、2点 F , F ′ {\\displaystyle \\mathrm {F} ,\\mathrm {F} '} が線分 A B {\\displaystyle \\mathrm {AB} } を同じ比で内分する点であることを示すので、 点 F {\\displaystyle \\mathrm {F} } と点 F ′ {\\displaystyle \\mathrm {F} '} は一致する。よって、直線 A F , B D , C E {\\displaystyle \\mathrm {AF} ,\\mathrm {BD} ,\\mathrm {CE} } は一点で交わる。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 82, "tag": "p", "text": "", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 83, "tag": "p", "text": "任意の直線 l {\\displaystyle l} と三角形 A B C {\\displaystyle \\mathrm {ABC} } において、直線 l {\\displaystyle l} と直線 B C , C A , A B {\\displaystyle \\mathrm {BC} ,\\mathrm {CA} ,\\mathrm {AB} } の交点をそれぞれ D , E , F {\\displaystyle \\mathrm {D} ,\\mathrm {E} ,\\mathrm {F} } とする。このとき", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 84, "tag": "p", "text": "が成り立つ。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 85, "tag": "p", "text": "証明", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 86, "tag": "p", "text": "点 C {\\displaystyle \\mathrm {C} } から直線 l {\\displaystyle l} に平行な直線をかき、直線 A B {\\displaystyle \\mathrm {AB} } との交点を G {\\displaystyle \\mathrm {G} } とする。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 87, "tag": "p", "text": "平行線による比の移動より、", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 88, "tag": "p", "text": "B D : D C = B F : G F {\\displaystyle \\mathrm {BD} :\\mathrm {DC} =\\mathrm {BF} :\\mathrm {GF} }", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 89, "tag": "p", "text": "C E : E A = G F : F A {\\displaystyle \\mathrm {CE} :\\mathrm {EA} =\\mathrm {GF} :\\mathrm {FA} }", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 90, "tag": "p", "text": "したがって、", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 91, "tag": "p", "text": "A F F B ⋅ B D D C ⋅ C E E A = A F F B ⋅ B F G F ⋅ G F F A = 1 {\\displaystyle {\\mathrm {AF} \\over \\mathrm {FB} }\\cdot {\\mathrm {BD} \\over \\mathrm {DC} }\\cdot {\\mathrm {CE} \\over \\mathrm {EA} }={\\mathrm {AF} \\over \\mathrm {FB} }\\cdot {\\mathrm {BF} \\over \\mathrm {GF} }\\cdot {\\mathrm {GF} \\over \\mathrm {FA} }=1}", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 92, "tag": "p", "text": "", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 93, "tag": "p", "text": "三角形 A B C {\\displaystyle \\mathrm {ABC} } に対して、直線 B C , C A , A B {\\displaystyle \\mathrm {BC} ,\\mathrm {CA} ,\\mathrm {AB} } 上に点 D , E , F {\\displaystyle \\mathrm {D} ,\\mathrm {E} ,\\mathrm {F} } をとり、 D , E , F {\\displaystyle \\mathrm {D} ,\\mathrm {E} ,\\mathrm {F} } のうち三角形 A B C {\\displaystyle \\mathrm {ABC} } の辺上にある点が0個あるいは2個で、かつ、 A F F B ⋅ B D D C ⋅ C E E A = 1 {\\displaystyle {\\mathrm {AF} \\over \\mathrm {FB} }\\cdot {\\mathrm {BD} \\over \\mathrm {DC} }\\cdot {\\mathrm {CE} \\over \\mathrm {EA} }=1} が成り立つとき、3点 D , E , F {\\displaystyle \\mathrm {D} ,\\mathrm {E} ,\\mathrm {F} } は一直線上にある。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 94, "tag": "p", "text": "証明", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 95, "tag": "p", "text": "2直線 E F , B C {\\displaystyle \\mathrm {EF} ,\\mathrm {BC} } の交点を D ′ {\\displaystyle \\mathrm {D} '} とする。このとき、メネラウスの定理より、 A F F B ⋅ B D ′ D ′ C ⋅ C E E A = 1 {\\displaystyle {\\mathrm {AF} \\over \\mathrm {FB} }\\cdot {\\mathrm {BD'} \\over \\mathrm {D'C} }\\cdot {\\mathrm {CE} \\over \\mathrm {EA} }=1} である。また、仮定より A F F B ⋅ B D D C ⋅ C E E A = 1 {\\displaystyle {\\mathrm {AF} \\over \\mathrm {FB} }\\cdot {\\mathrm {BD} \\over \\mathrm {DC} }\\cdot {\\mathrm {CE} \\over \\mathrm {EA} }=1} である。これら2式より、 B D D C = B D ′ D ′ C {\\displaystyle {\\mathrm {BD} \\over \\mathrm {DC} }={\\frac {\\mathrm {BD'} }{\\mathrm {D'C} }}} である。これは、2点 D , D ′ {\\displaystyle \\mathrm {D} ,\\mathrm {D} '} が線分 B C {\\displaystyle \\mathrm {BC} } を同じ比で内分する点であることを示すので、 点 D {\\displaystyle \\mathrm {D} } と点 D ′ {\\displaystyle \\mathrm {D} '} は一致する。したがって、3点 D , E , F {\\displaystyle \\mathrm {D} ,\\mathrm {E} ,\\mathrm {F} } は一直線上にある。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 96, "tag": "p", "text": "", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 97, "tag": "p", "text": "三角形の辺と角の大小関係について、次のようなことが言える。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 98, "tag": "p", "text": "( A B < A C ⇒ ∠ B > ∠ C {\\displaystyle AB<AC\\ \\Rightarrow \\ \\angle B>\\angle C} の証明)", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 99, "tag": "p", "text": "A B < A C {\\displaystyle AB<AC} とし、辺AC上に点Dを、 A D = A B {\\displaystyle AD=AB} となるようにとれば", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 100, "tag": "p", "text": "ところで、 ∠ A D B {\\displaystyle \\angle ADB} は △ D B C {\\displaystyle \\triangle DBC} の ∠ B D C {\\displaystyle \\angle BDC} の外角だから", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 101, "tag": "p", "text": "また、点Dは辺AC上にあるから", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 102, "tag": "p", "text": "(1),(2),(3)より、 ∠ B > ∠ C {\\displaystyle \\angle B>\\angle C}", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 103, "tag": "p", "text": "( ∠ B > ∠ C ⇒ A B < A C {\\displaystyle \\angle B>\\angle C\\ \\Rightarrow \\ AB<AC} の証明)", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 104, "tag": "p", "text": "∠ B > ∠ C {\\displaystyle \\angle B>\\angle C} であって、 A B < A C {\\displaystyle AB<AC} ではないとすると、次のどちらかが成り立つ。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 105, "tag": "p", "text": "(1)が成り立つとすると、二等辺三角形になるので、 ∠ B = ∠ C {\\displaystyle \\angle B=\\angle C}", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 106, "tag": "p", "text": "(2)が成り立つとすると、前半で示したとおり、 ∠ B < ∠ C {\\displaystyle \\angle B<\\angle C}", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 107, "tag": "p", "text": "どちらの場合も、仮定 ∠ B > ∠ C {\\displaystyle \\angle B>\\angle C} に反する。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 108, "tag": "p", "text": "よって、 A B < A C {\\displaystyle AB<AC} でなければならない。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 109, "tag": "p", "text": "", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 110, "tag": "p", "text": "三角形の3辺について、次のようなことが言える。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 111, "tag": "p", "text": "△ A B C {\\displaystyle \\triangle ABC} において、 A B + A C > B C {\\displaystyle AB+AC>BC} を証明する。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 112, "tag": "p", "text": "辺BAをAの方に延長し、その上に点Dを、 A D = A C {\\displaystyle AD=AC} となるようにとる。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 113, "tag": "p", "text": "△ A C D {\\displaystyle \\triangle ACD} は二等辺三角形であるから", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 114, "tag": "p", "text": "△ B C D {\\displaystyle \\triangle BCD} において、点Aは辺BD上にあるから", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 115, "tag": "p", "text": "よって、三角形の辺と角の大小の定理より", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 116, "tag": "p", "text": "△ A B C {\\displaystyle \\triangle ABC} の3辺の長さを、 B C = a , C A = b , A B = c {\\displaystyle BC=a\\ ,\\ CA=b\\ ,\\ AB=c} とすると、上の定理より次のことがわかる。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 117, "tag": "p", "text": "であるから、 b ≥ c {\\displaystyle b\\geq c} のとき、 c + a > b {\\displaystyle c+a>b} より", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 118, "tag": "p", "text": "b < c {\\displaystyle b<c} のとき、 a + b > c {\\displaystyle a+b>c} より", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 119, "tag": "p", "text": "が成り立つ。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 120, "tag": "p", "text": "2つの定理より、三角形の3辺が a , b , c {\\displaystyle a\\ ,\\ b\\ ,\\ c} であるとき、", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 121, "tag": "p", "text": "が成り立つことがわかる。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 122, "tag": "p", "text": "逆に、正の数 a , b , c {\\displaystyle a\\ ,\\ b\\ ,\\ c} が不等式 | b − c | < a < b + c {\\displaystyle |b-c|<a<b+c} を満たすとき、3辺の長さが a , b , c {\\displaystyle a\\ ,\\ b\\ ,\\ c} である三角形が存在する。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 123, "tag": "p", "text": "この不等式を三角不等式と呼ぶ。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 124, "tag": "p", "text": "", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 125, "tag": "p", "text": "円周上に3点A,B,Cがある。直線ABについて点Cと同じ側に点Pをとり、 ∠ A P B {\\displaystyle \\angle APB} と ∠ A C B {\\displaystyle \\angle ACB} の大きさを比べる。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 126, "tag": "p", "text": "点Pについては、", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 127, "tag": "p", "text": "のいずれかである。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 128, "tag": "p", "text": "(2)の場合、三角形の外角と内角の間の大小関係より", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 129, "tag": "p", "text": "(3)の場合も、三角形の外角と内角の間の大小関係より", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 130, "tag": "p", "text": "この結果、次のことがいえる。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 131, "tag": "p", "text": "このことから、次のようなことがいえる。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 132, "tag": "p", "text": "", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 133, "tag": "p", "text": "上の議論から三角形に外接する円はどのような三角形を取ったとしても常に存在 することが分かった。しかし、四角形に関してはそれに対して外接するような 円は常に存在するわけではない。 一般に円に内接するような四角形に関しては以下の性質が成り立つ。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 134, "tag": "p", "text": "", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 135, "tag": "p", "text": "内接する四角形の頂点を反時計回りにA,B,C,Dとする。 このとき、角A,角Cはそれぞれ点B,Dを対応する端点とする円弧に対する円周角となっている。ただし、角Aと角Cは互いに逆の円弧を対応する弧としているため、2つの弧を合わせるとそれらの弧はちょうど円周をおおうことになる。 このため、これらの2つの弧に対応する中心角の和は 360 ∘ {\\displaystyle 360^{\\circ }} に対応し、同じ弧に対応する円周角の和は 180 ∘ {\\displaystyle 180^{\\circ }} に対応するのである。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 136, "tag": "p", "text": "また、円に内接する四角形に関して以下の性質も成り立つ。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 137, "tag": "p", "text": "円に内接する四角形ABCDにおいて、上の定理より", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 138, "tag": "p", "text": "また、頂点Cにおける外角を ∠ D C E {\\displaystyle \\angle DCE} とすると、 ∠ D C E + ∠ C = 180 ∘ {\\displaystyle \\angle DCE+\\angle C=180^{\\circ }} であるから", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 139, "tag": "p", "text": "円に内接する四角形の性質の逆について考えてみよう。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 140, "tag": "p", "text": "(1)の証明", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 141, "tag": "p", "text": "四角形ABCDで、", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 142, "tag": "p", "text": "とする。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 143, "tag": "p", "text": "△ A B C {\\displaystyle \\triangle ABC} の外接円Oを書き、円Oに内接する四角形ABCD'を作ると", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 144, "tag": "p", "text": "(I),(II)より", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 145, "tag": "p", "text": "したがって、円周角の定理の逆から、点Dはこの円Oの周上にある。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 146, "tag": "p", "text": "よって、四角形ABCDは円に内接する。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 147, "tag": "p", "text": "(2)の証明", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 148, "tag": "p", "text": "四角形ABCDで、頂点Cにおける外角を ∠ D C E {\\displaystyle \\angle DCE} として、", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 149, "tag": "p", "text": "とする。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 150, "tag": "p", "text": "であるから", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 151, "tag": "p", "text": "四角形が円に内接する条件(1)より、向かい合う内角の和が 180 ∘ {\\displaystyle 180^{\\circ }} であるから、四角形ABCDは円に内接する。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 152, "tag": "p", "text": "", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 153, "tag": "p", "text": "円Oの外の点Aからその円に2本の接線を引ける。その接点をP,Qとするとき、線分AP,AQの長さを、円Oの外の点Aから円Oに引いた接線の長さという。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 154, "tag": "p", "text": "2つの接線の長さについて、次のことがいえる。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 155, "tag": "p", "text": "直角三角形APO,AQOにおいて", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 156, "tag": "p", "text": "(I),(II)より", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 157, "tag": "p", "text": "よって、対応する辺APとAQは等しい。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 158, "tag": "p", "text": "", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 159, "tag": "p", "text": "円周上の点Aを通る接線ATがあって、円周上に2点B,Cをとるとき、 ∠ T A B {\\displaystyle \\angle TAB} と円周角 ∠ A C B {\\displaystyle \\angle ACB} の大きさには、次のような関係がある。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 160, "tag": "p", "text": "∠ T A B {\\displaystyle \\angle TAB} が鋭角の場合について考える。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 161, "tag": "p", "text": "直径ADを引くと、 ∠ T A D = 90 ∘ {\\displaystyle \\angle TAD=90^{\\circ }} であるから、", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 162, "tag": "p", "text": "また、ADは直径であるから", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 163, "tag": "p", "text": "∠ B A D {\\displaystyle \\angle BAD} と ∠ B C D {\\displaystyle \\angle BCD} は弧BDに対する円周角であるから", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 164, "tag": "p", "text": "(I),(II),(III)より", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 165, "tag": "p", "text": "∠ T A B {\\displaystyle \\angle TAB} が直角、鈍角の場合についても同様に証明できる。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 166, "tag": "p", "text": "", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 167, "tag": "p", "text": "中心Oとする円について次の定理が成り立つ。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 168, "tag": "p", "text": "", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 169, "tag": "p", "text": "まず、点Eが円の外部にある場合を考える。このとき、直線AB上で点Eに近い点を点B, 直線CD上で点Eに近い点を点Cとおいたとき、三角形ECBと三角形EADが相似であることを 示す。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 170, "tag": "p", "text": "まず、四角形ABCDは円に内接していることから、", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 171, "tag": "p", "text": "について、", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 172, "tag": "p", "text": "が成立する。これは円に内接する四角形の相対する角の和が 180 ∘ {\\displaystyle 180^{\\circ }} になることに よっている。同様にして", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 173, "tag": "p", "text": "が成立し、2角が等しいことから三角形ECBと三角形EADは相似となる。 このことから、", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 174, "tag": "p", "text": "となるが、このことは", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 175, "tag": "p", "text": "に等しい。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 176, "tag": "p", "text": "次に、点Eが円の内部にある場合を考える。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 177, "tag": "p", "text": "このとき三角形EADと三角形EBCが互いに相似であることを示す。 最初に", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 178, "tag": "p", "text": "についてこれらが互いの対頂角であることから", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 179, "tag": "p", "text": "が成り立つ。次に、", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 180, "tag": "p", "text": "についてこれらが円周BDの円周角であることから", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 181, "tag": "p", "text": "が成り立つ。よって、2角が等しいことから三角形EADと三角形EBCは 互いに相似である。このことから", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 182, "tag": "p", "text": "となるが、このことは", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 183, "tag": "p", "text": "に等しい。 よって、どちらの場合にも方べきの定理が示された。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 184, "tag": "p", "text": "また、中心Oとする円の弦と接線について次の定理が成り立つ。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 185, "tag": "p", "text": "△ P A T {\\displaystyle \\triangle PAT} と △ P T B {\\displaystyle \\triangle PTB} において", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 186, "tag": "p", "text": "接弦定理より", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 187, "tag": "p", "text": "だから、 △ P A T {\\displaystyle \\triangle PAT} と △ P T B {\\displaystyle \\triangle PTB} は相似", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 188, "tag": "p", "text": "よって、", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 189, "tag": "p", "text": "したがって、", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 190, "tag": "p", "text": "2つの線分AB, CD(またはその延長線)が点Pで交わるとき、PA・PB = PC・PDならば4点A, B, C, Dは同一円周上にある。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 191, "tag": "p", "text": "PA・PB=PC・PDよりPA:PD=PC:PBが成り立つ。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 192, "tag": "p", "text": "また、 ∠ A P C = ∠ D P B {\\displaystyle \\angle APC=\\angle DPB} である。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 193, "tag": "p", "text": "よって、 △ P A C {\\displaystyle \\triangle PAC} と △ P D B {\\displaystyle \\triangle PDB} は相似なので、 ∠ P A C = ∠ P D B {\\displaystyle \\angle PAC=\\angle PDB} である。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 194, "tag": "p", "text": "したがって、円周角の定理の逆より、4点A,B,C,Dは同一円周上にある。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 195, "tag": "p", "text": "方冪の定理(2)の逆も成り立つ。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 196, "tag": "p", "text": "", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 197, "tag": "p", "text": "2つの円を取ったときこれらはいくつかの仕方で関係する。2つの円の関係は2つの円の中心間の距離と、2円の半径によって定まる。 2円の距離をそれぞれ r 1 {\\displaystyle r_{1}} , r 2 {\\displaystyle r_{2}} ( r 1 > r 2 {\\displaystyle r_{1}>r_{2}} ),中心間の距離を l {\\displaystyle l} とすると、2円の位置関係として", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 198, "tag": "p", "text": "がある。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 199, "tag": "p", "text": "2つの円がただ1つの共有点をもつとき、この2つの円は接するといい、この共有点を接点(せってん、英:point of contact)という。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 200, "tag": "p", "text": "1つの直線が、2つの円に接しているとき、この直線を、2つの円の共通接線という。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 201, "tag": "p", "text": "", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 202, "tag": "p", "text": "定規・コンパスのみを用いて、与えられた条件を満たす図形を描くことを作図という。ただし、「直線を引く」「円を描く」「コンパスで長さを転写する」以外の操作(定規で長さを測る等)は認められない。 したがって、2つの三角定規を用いて平行線を引くことは上の意味での作図ではない。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 203, "tag": "p", "text": "これまで学んだ三角形や円の性質を用いることで、さまざまな図形を作図することができる。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 204, "tag": "p", "text": "作図そのものが大問としてテストや入試に出ることはあまりないが、図形問題を考える際は正確に作図することが大切になってくる。この先、数学II「図形と方程式」や、数学C「ベクトル」においても作図ができないと話にならない。「テストに出ないからほっとく」ではなく、この先の幾何分野で役立てるために、ぜひきちんと学んでほしい。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 205, "tag": "p", "text": "与えられた直線 l {\\displaystyle l} 上にない点Pを通り、 l {\\displaystyle l} に平行な直線を作図する。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 206, "tag": "p", "text": "", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 207, "tag": "p", "text": "", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 208, "tag": "p", "text": "与えられた線分ABをm:nに内分する点を作図する。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 209, "tag": "p", "text": "", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 210, "tag": "p", "text": "長さ1の線分ABと長さa, bの二つの線分が与えられたとき、長さ b a {\\displaystyle {\\frac {b}{a}}} の線分を作図する。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 211, "tag": "p", "text": "証明 BE=xとする。 BC // EDより1:x=a:bである。 この式を変形すると x = b a {\\displaystyle x={\\frac {b}{a}}} となる。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 212, "tag": "p", "text": "上の二つは、値a, bに対して商a/b, 積abの計算を作図で行なっていることになる。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 213, "tag": "p", "text": "長さ1の線分ABと長さaの線分が与えられたとき、長さ√aの線分を作図する。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 214, "tag": "p", "text": "証明 方冪の定理より、BA・BC=BD・BE ここで、AB=1, BC=a, BD=BEなのでBD=a^2となり、 BD=√aとなる。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 215, "tag": "p", "text": "", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 216, "tag": "p", "text": "", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 217, "tag": "p", "text": "正五角形について、一辺の長さと対角線の長さの比は黄金比1 : φ {\\displaystyle \\phi } である。ここで、 φ = 1 + 5 2 {\\displaystyle \\phi ={\\frac {1+{\\sqrt {5}}}{2}}} は黄金数と呼ばれる数である。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 218, "tag": "p", "text": "長さ2の線分CDが与えられたとき、正五角形ABCDEを作図する。 まずは、対角線ACの長さが1+√5であることを利用して、頂点Aを作図する。", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 219, "tag": "p", "text": "", "title": "平面図形" }, { "paragraph_id": 220, "tag": "p", "text": "ここでは、空間における直線・平面の位置関係について学ぶ。この内容は数学Cで空間ベクトルを学ぶ際に知っておかなければならない基礎的な知識である。", "title": "空間図形" }, { "paragraph_id": 221, "tag": "p", "text": "異なる2直線の位置関係には、", "title": "空間図形" }, { "paragraph_id": 222, "tag": "p", "text": "の3つの場合がある。", "title": "空間図形" }, { "paragraph_id": 223, "tag": "p", "text": "平面図形と同様、2直線l, mが平行なときl // mのように表す。", "title": "空間図形" }, { "paragraph_id": 224, "tag": "p", "text": "2直線l, mが平行でないとき、点Oを通りl, mにそれぞれ平行であるような2直線l', m'を引くと、l', m'は同一平面上にあり、そのなす角は点Oの取り方によらず一定である。この角を2直線l, mのなす角と呼ぶ。", "title": "空間図形" }, { "paragraph_id": 225, "tag": "p", "text": "この角が直角であるとき、「lとmは垂直である」といい、l ⊥ mのように表す。 特に、垂直な2直線が交わるとき、それらは「直交する」という。 また、平行な2直線の一方に垂直な直線は他方にも垂直である。", "title": "空間図形" }, { "paragraph_id": 226, "tag": "p", "text": "", "title": "空間図形" }, { "paragraph_id": 227, "tag": "p", "text": "直線lと平面aの位置関係には、", "title": "空間図形" }, { "paragraph_id": 228, "tag": "p", "text": "の3つの場合がある。", "title": "空間図形" }, { "paragraph_id": 229, "tag": "p", "text": "直線lと平面aが平行であるとき、l // aと表す。", "title": "空間図形" }, { "paragraph_id": 230, "tag": "p", "text": "直線lが平面a上の全ての直線に垂直であるとき、直線lは「平面aに垂直」または「平面aに直交」であるといい、l ⊥ aと表す。 特に、直線lが平面a上の交わる2直線m, nに垂直ならば、直線lは平面aに垂直である。", "title": "空間図形" }, { "paragraph_id": 231, "tag": "p", "text": "", "title": "空間図形" }, { "paragraph_id": 232, "tag": "p", "text": "異なる2平面a, bの位置関係には、", "title": "空間図形" }, { "paragraph_id": 233, "tag": "p", "text": "の2つの場合がある。", "title": "空間図形" }, { "paragraph_id": 234, "tag": "p", "text": "2平面が交わるとき、共有する直線を交線と呼ぶ。 2平面a, bが平行であるとき、a // bと表す。", "title": "空間図形" }, { "paragraph_id": 235, "tag": "p", "text": "交わる2平面の交線上の点から各平面上に引いた、交線に垂直な2つの直線のなす角を2平面のなす角と呼ぶ。", "title": "空間図形" }, { "paragraph_id": 236, "tag": "p", "text": "2平面a, bのなす角が直角であるとき、a, bは「垂直である」または「直交する」といい、a ⊥ bと書く。", "title": "空間図形" }, { "paragraph_id": 237, "tag": "p", "text": "", "title": "空間図形" }, { "paragraph_id": 238, "tag": "p", "text": "三角柱、四角錐などのように、多角形の面で囲まれた立体を多面体という。", "title": "空間図形" }, { "paragraph_id": 239, "tag": "p", "text": "凹みのない多面体を特に凸多面体と呼ぶ。", "title": "空間図形" }, { "paragraph_id": 240, "tag": "p", "text": "各面が全て合同な正多角形であり、拡張点に集まる面の数が全て等しい凸多面体を正多面体(プラトンの多面体)という。", "title": "空間図形" }, { "paragraph_id": 241, "tag": "p", "text": "正多面体は正四面体、正六面体(立方体)、正八面体、正十二面体、正二十面体の5種類のみ存在する。", "title": "空間図形" }, { "paragraph_id": 242, "tag": "p", "text": "正八面体について、", "title": "空間図形" }, { "paragraph_id": 243, "tag": "p", "text": "同様にして、正多面体について面の数・頂点の数・辺の数を計算で求めることができる。", "title": "空間図形" }, { "paragraph_id": 244, "tag": "p", "text": "", "title": "空間図形" }, { "paragraph_id": 245, "tag": "p", "text": "また、一般の多面体について、次のことが言える。", "title": "空間図形" }, { "paragraph_id": 246, "tag": "p", "text": "つまり、正多面体の面になる正多角形の一つの内角の大きさは120°よりも小さい。そのような正多角形を考えると、正多面体の面になり得るのは正三角形、正方形、正五角形のみである。", "title": "空間図形" }, { "paragraph_id": 247, "tag": "p", "text": "この事実とオイラーの多面体定理を利用して、正多面体が5種類しか存在しないことを証明できる。", "title": "空間図形" }, { "paragraph_id": 248, "tag": "p", "text": "", "title": "空間図形" }, { "paragraph_id": 249, "tag": "p", "text": "余談だが、オイラーの多面体定理に似た式が四次元の正多胞体においても成り立つことが知られている。", "title": "空間図形" }, { "paragraph_id": 250, "tag": "p", "text": "多面体から切り取った立体が正多面体であることを利用することで、立体の体積を求めることができる。", "title": "空間図形" }, { "paragraph_id": 251, "tag": "p", "text": "", "title": "空間図形" } ]
ここでは、三角形や円の性質、空間図形の性質等について扱う。
{{pathnav|高等学校の学習|高等学校数学|高等学校数学A|pagename=図形の性質|frame=1|small=1}} ここでは、三角形や円の性質、空間図形の性質等について扱う。 == 平面図形 == === 三角形の性質 === ==== 三角形の辺の比 ==== m, nを正の数とする。点Pが線分AB上にあってAB:PB=m:nが成り立つとき、「点Pは線分ABをm:nに'''内分'''する」という。 また、点Qが線分ABの延長線上にあってAQ:BQ=m:nであるとき、「点Qは線分ABをm:nに'''外分'''する」という。 <math>\triangle ABC</math>の辺AB, AC(またはその延長線)上にそれぞれ点P, Qがあるとき、次のことが成り立つ。 <Math>PQ / \! / BC \iff AP:AB=AQ:AC</Math> <Math>PQ / \! / BC \iff AP:PB=AQ:QC</Math> <Math>PQ / \! / BC \implies AP:AB=PQ:BC</Math> 三角形の内角の2等分線に関して、次のことが成り立つ。 {| style="border:2px solid yellow;width:80%" cellspacing=0 |style="background:yellow"|'''三角形の内角の2等分線と辺の比''' |- |style="padding:5px"| <math>\triangle ABC</math> の <math>\angle A</math> の2等分線と辺BCとの交点をDとすると、Dは辺BCを内分する。 |} * 導出 <math>\angle A</math> の2等分線と辺BCとの交点がDだから :<math>\angle BAD = \angle DAC</math> Cを通りADに平行な直線とBAの延長との交点をEとする。<br> ADとECは平行であるから :<math>\angle BAD = \angle AEC</math> :<math>\angle DAC = \angle ACE</math> 上の3つの式から :<math>\angle AEC = \angle ACE</math> よって :<math>AE=AC</math> ……(1) また、ADとECは平行であるから :<math>BD:DC=BA:AE</math> ……(2) (1)と(2)より :<math>AB:AC=BD:DC</math> 三角形の外角の2等分線に関して、次のことが成り立つ。 {| style="border:2px solid yellow;width:80%" cellspacing=0 |style="background:yellow"|'''三角形の外角の2等分線と辺の比''' |- |style="padding:5px"| <math>\triangle ABC</math> の <math>\angle A</math> の外角の2等分線と辺BCの延長との交点をDとすると、Dは辺BCを外分する。ただし、<math>AB \ne AC</math> とする。 |} * 導出 Cを通りADに平行な直線とABの延長との交点をEとすると、上の定理と同様に :<math>BD:DC=BA:AE=AB:AC</math> ==== 三角形の五心 ==== [[w:五心]]も参照。 ; '''三角形の外心''' {| style="border:2px solid yellow;width:80%" cellspacing=0 |style="background:yellow"|'''三角形の外心''' |- |style="padding:5px"| ;定理 三角形の3つの辺の垂直二等分線は1点で交わる。 |} [[File:Circumcenter triangle proof.svg|thumb|]] ;証明 △ABCを取り、辺AB,AC のそれぞれに対して垂直二等分線を取り、2直線の交点をOとする。このとき、点OがAB,ACのそれぞれに対する垂直2等分線上にあることから :<math>AO = OB</math>  かつ  <math>AO = OC</math> であるので、 :<math>OB = OC</math> が成り立つ。 よって点Oは辺BCの垂直二等分線上にある。 [[File:Circumcenter triangle.svg|thumb|300px]] 上の証明から、<math>OA = OB = OC</math> であるので、この点は三角形の3つの頂点から等距離にあることが分かるので、この点Oを中心として円を書くと、三角形ABCの頂点3つを通る円を書くことができる。 このように、三角形の3つの頂点を通る円(右図では赤線の部分)のことを'''外接円'''(がいせつえん、 英:circumscribed circle)という。 そして、外接円の中心(右図の点Oの部分)のことを、その三角形の '''外心'''(がいしん)という。 {{-}} ; '''三角形の内心''' {| style="border:2px solid yellow;width:80%" cellspacing=0 |style="background:yellow"|'''三角形の内心''' |- |style="padding:5px"| 三角形の3角のそれぞれに対して角の2等分線を取ったとき、それぞれの直線は1点で交わる。 |} * 証明 [[File:Inner center triangle.svg|thumb|300px]] △ABCを取り、角A,Bについて角の2等分線を取り2直線の交点をIと呼ぶ。 さらに、点Iから辺BC,CA,ABに下ろした垂線とそれぞれの辺の交点をそれぞれ D,E,F と呼ぶとする。このとき、角Aの二等分線の性質から :<math> IE=IF </math> が成り立ち、同様に角Bの2等分線の性質から :<math> IF=ID </math> が成り立つので、 よって :<math> ID=IE </math> である。 したがって、点Iは角Cの二等分線上にある。 [[File:Inner center triangle proof.svg|thumb|300px]] ID=IE=IF なので、図のように三角形の三辺に接する円を書くことができ。この円を △ABCの'''内接円''' (ないせつえん、英:inscribed circle)といい、その中心Iを'''内心'''(ないしん)という。 {{-}} なお、三角形の内接円の半径を''r''とすると、面積''S''と三辺の長さ''a'',''b'',''c''との間に :<math>S=\frac{1}{2}r(a+b+c)</math> の関係式が成り立つ(△ABI、△BCI、△CAIの3つの三角形の面積を考えてみよ)。面積''S''は[[w:ヘロンの公式|ヘロンの公式]]を用いれば、三角形の三辺の長さから内接円の半径が計算できる。 ; '''三角形の重心''' 三角形の頂点から相対する辺の中点に対して下ろした線分のことを '''中線''' という。三角形の3つの中線の交わる点を'''重心'''という。 {| style="border:2px solid yellow;width:80%" cellspacing=0 |style="background:yellow"|'''三角形の重心''' |- |style="padding:5px"| [[File:Gravity center triangle.svg|thumb|三角形の重心]] ;定理 三角形の3本の中線は1点で交わる。また、その交点は中線を 2:1 に内分する。 |} '''証明''' <Math>\triangle ABC</Math>の辺BC, CA, ABの中点をそれぞれL, M, Nとする。 中点連結定理よりML // AB, 2ML=ABが成り立つので、中線AL, BMの交点をGとするとAG:GL=AB:ML=2:1 中線ALとCNの交点をG'とすると、上と同様に考えてAG':G'L=AC:NL=2:1 よって、GとG'はともに線分ABを2:1に内分する点であるので、この2点は一致する。 したがって、3本の中線は1点Gで交わり、AG:GL=2:1である。 同様にBG:GM=CG:GN=2:1なので、Gは各中線を2:1に内分する。 <!-- 別証明 チェバの定理の逆<!-- 図 -- >より、三角形の3本の中線は一点で交わる。 [[File:Gravity center triangle ABC.svg|thumb|]] <math>\triangle \mathrm{ABC}</math> について、その重心を <math>\mathrm G</math> 、 <math>\mathrm{BC},\mathrm{CA}</math> の中点をそれぞれ <math>\mathrm D, \mathrm E</math> とおく。このとき、三角形 <math>\mathrm{ACD}</math> 及び、直線 <math>\mathrm{BGE}</math> に対してメネラウスの定理を用いることにより、 <math>\frac{\mathrm{AE}}{\mathrm{EC}} \cdot \frac{\mathrm{CB}}{\mathrm{BD}} \cdot \frac{\mathrm{DG}}{\mathrm{GA}} = 1</math> したがって、 <math>\frac{\mathrm{DG}}{\mathrm{GA}} = \frac{1}{2}</math> である。これより、重心は中線を2:1に内分することが分かる。--> {{コラム|(※ 高校数学の範囲外)「重心」の力学的なバランス| [[File:Ballance gravity center.svg|thumb|]] :※ 2019年現在では高校の理科で 重心 の力学的な意味を習うが、過去のカリキュラムでは中学の数学で後述の話題を扱ってた時代がある。 厚めの画用紙などで三角形をつくり、その三角形を水平にして、右図のように三角形の重心の部分で、棒で支えると、 水平方向の重さのバランスがとれるので、三角形を水平に保つことができる。 そもそも、このように重さのバランスを取れる場所であるので「重心」という名前がついている。重心の英語の center of gravity という英単語も、「重力の中心」という意味である。 理科の「物理」科目で習う「重心」とは、この例のように、重さのバランスを取れる部分という意味である。 なお、このような力学的な「重心」については、三角形だけでなく四角形や五角形などでも、同様に水平方向の重さのつりあいをとれる点として、力学的に「重心」を定義できる。 また、平面図形だけでなく立体図形でも同様、力学的に「重心」を定義できる。 }} ; '''三角形の垂心''' [[File:Orthocenter triangle.svg|thumb|]] 外心の性質を利用して、次の定理が証明できる。 {| style="border:2px solid yellow;width:80%" cellspacing=0 |style="background:yellow"|'''三角形の垂心''' |- |style="padding:5px"| ;定理 三角形の各頂点から対辺またはその延長に降ろした垂線は、1点で交わる。 |} ;証明 [[File:Orthocenter triangle proof.svg|thumb|400px]] 点Aを通り辺BCに平行な直線、点Bを通り辺CAに平行な直線、点Cを通り辺ABに平行な直線をかき、これらの直線の交点を図のようにP,Q,Rとする。 すると、四角形RBCA は平行四辺形なので、 RA = BC である。 同様に、四角形ABCQ も平行四辺形なので BC=AQ である。 よって RA=BC かつ BC=AQ なので、 RA = AQ である。 次に、点Aから対辺BCまたはその延長上に垂線ADを引く。 すると、 RQ // BC の仮定により、平行な2直線の同位角が等しい事を利用して、 :AD ⊥ RQ が導かれる。したがって、この線分ADは、△RQPの辺RQの垂直二等分線である。 同様に考えると、頂点Bから辺ACまたはその延長上に降ろした垂線BEは辺RPの垂直二等分線であり、頂点Cから辺ABまたはその延長上に降ろした垂線CFは辺PQの垂直二等分線であることがわかる。 この3本の垂直二等分線は、△RQPの外心で交わる。すなわち△ABCの各頂点から対辺に引いた3本の垂線 AD,BE,CF は一点で交わる。 ここまで三角形の外心、内心、重心、垂心を見てきた。実は正三角形の場合、この4点は一致することが知られている。 *問題 **以下の手順で、上記について証明せよ **#重心と外心が一致する三角形は正三角形であることを証明する **#重心と内心が一致する三角形は正三角形であることを証明する **#内心と垂心が一致する三角形は正三角形であることを証明する **#重心と外心が一致するならば重心と内心が一致し、さらに内心と垂心が一致することを述べる また、正三角形でない三角形について外心O・重心G・垂心Hは常に一直線上に存在し、この直線を'''オイラー線'''と呼ぶ。 *問題 **上記を証明せよ なお、オイラー線の証明は[[高等学校数学II/三角関数|三角関数]]や[[高等学校数学C/ベクトル|ベクトル]]でもできる。 オイラー線は[[w:九点円]]の中心Nも通り、ON=NHが成り立つ。 ; '''三角形の傍心''' {| style="border:2px solid yellow;width:80%" cellspacing=0 |style="background:yellow"|'''三角形の傍心''' |- |style="padding:5px"| [[File:Triangle excenter.svg|thumb|]] ;定理 三角形の2つの外角のそれぞれの二等分線と、残りの1つの内角の二等分線とは、一点で交わる。 |} ;証明 [[File:Triangle excenter proof.svg|thumb|300px]] 外角Bと外角Cの二等分線の交点をJとする。 図のように、Jから△ABCの3辺またはその延長線上に垂線JD,JE,JFをおろす。 すると、 :JF=JD かつ JE=JD なので、 :JF=JE である。 よって、直線AJは∠Aの二等分線である。 この点 J を '''傍心'''(ぼうしん)という。 三角形には3つの傍心が存在する。 三角形の外心、内心、重心、垂心、傍心を合わせて三角形の'''五心'''と呼ぶ。 ==== チェバの定理 ==== [[ファイル:Ceva's theorem 1.svg|サムネイル]] 三角形 <math>\mathrm{ABC}</math> に対し、任意の一点 <math>\mathrm O</math> と <math>\mathrm A,\mathrm B, \mathrm C</math> を結んだ直線がそれぞれ <math>\mathrm{BC}, \mathrm{CA}, \mathrm{AB}</math> と交わる点を <math>\mathrm D, \mathrm E, \mathrm F</math> とする。 このとき、 <math>\frac{\mathrm{AF}}{\mathrm{FB}} \cdot \frac{\mathrm{BD}}{\mathrm{DC}} \cdot \frac{\mathrm{CE}}{\mathrm{EA}} = 1</math> が成り立つ。 '''証明''' 点 <math>\mathrm C</math> を通り直線 <math>\mathrm{AB}</math> に平行な直線をかき、<math>\mathrm{AD} , \mathrm{BE}</math> との交点をそれぞれ <math>\mathrm G, \mathrm H</math> とする。<!-- 図 --> <math>\mathrm{AF}:\mathrm{FB}=\mathrm{GC}:\mathrm{HC}</math> <math>\mathrm{BD}:\mathrm{DC}=\mathrm{AB}:\mathrm{CG}</math> <math>\mathrm{CE}:\mathrm{EA}=\mathrm{CH}:\mathrm{AB}</math> したがって、 <math>\frac{\mathrm{AF}}{\mathrm{FB}} \cdot \frac{\mathrm{BD}}{\mathrm{DC}} \cdot \frac{\mathrm{CE}}{\mathrm{EA}} = \frac{\mathrm{GC}}{\mathrm{HC}} \cdot \frac{\mathrm{AB}}{\mathrm{CG}} \cdot \frac{\mathrm{CH}}{\mathrm{AB}} =1</math> 平行線による比の移動より、 <math>\frac{\mathrm{AF}}{\mathrm{FB}} \cdot \frac{\mathrm{BD}}{\mathrm{DC}} \cdot \frac{\mathrm{CE}}{\mathrm{EA}} = \frac{\mathrm{GC}}{\mathrm{HC}} \cdot \frac{\mathrm{AB}}{\mathrm{CG}} \cdot \frac{\mathrm{CH}}{\mathrm{AB}} =1</math> ; '''チェバの定理の逆''' 三角形 <math>\mathrm{ABC}</math> に対し、直線 <math>\mathrm{BC}, \mathrm{CA}, \mathrm{AB}</math> 上にそれぞれ点 <math>\mathrm D, \mathrm E, \mathrm F</math> があるとき、<math>\frac{\mathrm{AF}}{\mathrm{FB}} \cdot \frac{\mathrm{BD}}{\mathrm{DC}} \cdot \frac{\mathrm{CE}}{\mathrm{EA}} = 1</math> ならば、直線 <math>\mathrm{AF},\mathrm{BD},\mathrm{CE}</math> は一点で交わる。<!-- 図 --> '''証明''' 直線 <math>\mathrm{BD},\mathrm{CE}</math> の交点を <math>\mathrm O</math> とおき、直線 <math>\mathrm{AO}</math> と直線 <math>\mathrm{BC}</math> との交点を <math>\mathrm F'</math> とおく。このとき、チェバの定理より、<!-- 図 --><math>\frac{\mathrm{AF'}}{\mathrm{F'B}} \cdot \frac{\mathrm{BD}}{\mathrm{DC}} \cdot \frac{\mathrm{CE}}{\mathrm{EA}} = 1</math> が成り立つ。また、仮定より、<math>\frac{\mathrm{AF}}{\mathrm{FB}} \cdot \frac{\mathrm{BD}}{\mathrm{DC}} \cdot \frac{\mathrm{CE}}{\mathrm{EA}} = 1</math> である。これら2つの式から、<math>\frac{\mathrm{AF}}{\mathrm{FB}} = \frac{\mathrm{AF'}}{\mathrm{F'B}}</math> が得られる。これは、2点 <math>\mathrm F, \mathrm F'</math> が線分 <math>\mathrm{AB}</math> を同じ比で内分する点であることを示すので、 点 <math>\mathrm F</math> と点 <math>\mathrm F'</math> は一致する。よって、直線 <math>\mathrm{AF},\mathrm{BD},\mathrm{CE}</math> は一点で交わる。 ==== メネラウスの定理 ==== [[ファイル:Meneraus' theorum.png|right]] 任意の直線 <math>l</math> と三角形 <math>\mathrm{ABC}</math> において、直線 <math>l</math> と直線<math>\mathrm{BC},\mathrm{CA}, \mathrm{AB}</math> の交点をそれぞれ<math>\mathrm D, \mathrm E,\mathrm F</math> とする。このとき :<math>{\mathrm{AF} \over \mathrm{FB}} \cdot {\mathrm{BD} \over \mathrm{DC}} \cdot {\mathrm{CE} \over \mathrm{EA}} = 1</math> が成り立つ。 '''証明''' 点 <math>\mathrm C</math> から直線 <math>l</math> に平行な直線をかき、直線 <math>\mathrm{AB}</math> との交点を <math>\mathrm G</math> とする。<!-- 図! --> 平行線による比の移動より、 <math>\mathrm{BD}:\mathrm{DC}=\mathrm{BF}:\mathrm{GF}</math> <math>\mathrm{CE}:\mathrm{EA}=\mathrm{GF}:\mathrm{FA}</math> したがって、 <math>{\mathrm{AF} \over \mathrm{FB}} \cdot {\mathrm{BD} \over \mathrm{DC}} \cdot {\mathrm{CE} \over \mathrm{EA}} = {\mathrm{AF} \over \mathrm{FB}} \cdot {\mathrm{BF} \over \mathrm{GF}} \cdot {\mathrm{GF} \over \mathrm{FA}} = 1</math><ref><math>A:B=X:Y \iff \frac{A}B = \frac X Y</math> を使って変形した</ref> ; '''メネラウスの定理の逆''' 三角形 <math>\mathrm{ABC}</math> に対して、直線 <math>\mathrm{BC},\mathrm{CA}, \mathrm{AB}</math> 上に点 <math>\mathrm D, \mathrm E,\mathrm F</math> をとり、<math>\mathrm D, \mathrm E,\mathrm F</math> のうち三角形 <math>\mathrm{ABC}</math> の辺上にある点が0個あるいは2個で、かつ、<math>{\mathrm{AF} \over \mathrm{FB}} \cdot {\mathrm{BD} \over \mathrm{DC}} \cdot {\mathrm{CE} \over \mathrm{EA}} = 1</math> が成り立つとき、3点 <math>\mathrm D, \mathrm E,\mathrm F</math> は一直線上にある。 '''証明''' 2直線 <math>\mathrm{EF},\mathrm{BC}</math> の交点を <math>\mathrm D'</math> とする。このとき、メネラウスの定理より、<math>{\mathrm{AF} \over \mathrm{FB}} \cdot {\mathrm{BD'} \over \mathrm{D'C}} \cdot {\mathrm{CE} \over \mathrm{EA}} = 1</math> である。また、仮定より <math>{\mathrm{AF} \over \mathrm{FB}} \cdot {\mathrm{BD} \over \mathrm{DC}} \cdot {\mathrm{CE} \over \mathrm{EA}} = 1</math> である。これら2式より、<math>{\mathrm{BD} \over \mathrm{DC}} = \frac{\mathrm{BD'}}{\mathrm{D'C}}</math> である。これは、2点 <math>\mathrm D, \mathrm D'</math> が線分 <math>\mathrm{BC}</math> を同じ比で内分する点であることを示すので、 点 <math>\mathrm D</math> と点 <math>\mathrm D'</math> は一致する。したがって、3点 <math>\mathrm D, \mathrm E,\mathrm F</math> は一直線上にある。 ==== 三角形の辺と角 ==== 三角形の辺と角の大小関係について、次のようなことが言える。 {| style="border:2px solid yellow;width:80%" cellspacing=0 |style="background:yellow"|'''三角形の辺と角の大小''' |- |style="padding:5px"| <math>\triangle ABC</math> において <center><math>AB<AC\ \Leftrightarrow\ \angle B > \angle C</math></center> |} * 導出 (<math>AB<AC\ \Rightarrow\ \angle B > \angle C</math> の証明) <math>AB<AC</math> とし、辺AC上に点Dを、 <math>AD=AB</math> となるようにとれば :<math>\angle ABD = \angle ADB</math> ……(1) ところで、<math>\angle ADB</math> は <math>\triangle DBC</math> の <math>\angle BDC</math> の外角だから :<math>\angle ADB > \angle C</math> ……(2) また、点Dは辺AC上にあるから :<math>\angle B > \angle ABD</math> ……(3) (1),(2),(3)より、<math>\angle B > \angle C</math> (<math>\angle B > \angle C\ \Rightarrow\ AB<AC</math> の証明) <math>\angle B > \angle C</math> であって、<math>AB<AC</math> ではないとすると、次のどちらかが成り立つ。 :<math>AB=AC</math> ……(1) :<math>AB>AC</math> ……(2) (1)が成り立つとすると、二等辺三角形になるので、<math>\angle B = \angle C</math> (2)が成り立つとすると、前半で示したとおり、<math>\angle B < \angle C</math> どちらの場合も、仮定 <math>\angle B > \angle C</math> に反する。 よって、<math>AB<AC</math>でなければならない。 三角形の3辺について、次のようなことが言える。 {| style="border:2px solid yellow;width:80%" cellspacing=0 |style="background:yellow"|'''三角形の2辺の和''' |- |style="padding:5px"| 三角形の2辺の和は、残りの辺よりも大きい。 |} * 導出 <math>\triangle ABC</math> において、<math>AB+AC>BC</math> を証明する。 辺BAをAの方に延長し、その上に点Dを、<math>AD=AC</math> となるようにとる。 <math>\triangle ACD</math> は二等辺三角形であるから :<math>\angle D = \angle ACD</math> <math>\triangle BCD</math> において、点Aは辺BD上にあるから :<math>\angle BCD > \angle ACD = \angle D</math> よって、三角形の辺と角の大小の定理より :<math>AB+AC=AB+AD=DB>BC</math> <math>\triangle ABC</math> の3辺の長さを、<math>BC=a\ ,\ CA=b\ ,\ AB=c</math> とすると、上の定理より次のことがわかる。 :<math>b+c>a\ ,\ c+a>b\ ,\ a+b>c</math> {| style="border:2px solid yellow;width:80%" cellspacing=0 |style="background:yellow"|'''三角形の2辺の差''' |- |style="padding:5px"| 三角形の2辺の差は、残りの辺よりも小さい。 |} * 導出 :<math>b+c>a\ ,\ c+a>b\ ,\ a+b>c</math> であるから、<math>b \ge c</math> のとき、<math>c+a>b</math> より :<math>a>b-c</math> <math>b<c</math> のとき、<math>a+b>c</math> より :<math>a>c-b</math> が成り立つ。 2つの定理より、三角形の3辺が <math>a\ ,\ b\ ,\ c</math> であるとき、 :<math>|b-c|<a<b+c</math> が成り立つことがわかる。 逆に、正の数 <math>a\ ,\ b\ ,\ c</math> が不等式 <math>|b-c|<a<b+c</math> を満たすとき、3辺の長さが <math>a\ ,\ b\ ,\ c</math> である三角形が存在する。 この不等式を'''三角不等式'''と呼ぶ。 === 円の性質 === ==== 円周角の定理の逆 ==== 円周上に3点A,B,Cがある。直線ABについて点Cと同じ側に点Pをとり、<math>\angle APB</math> と <math>\angle ACB</math> の大きさを比べる。 点Pについては、 :(1) Pが円周上にある :(2) Pが円の内部にある :(3) Pが円の外部にある のいずれかである。 (2)の場合、三角形の外角と内角の間の大小関係より :<math> \angle APB > \angle ACB </math> (3)の場合も、三角形の外角と内角の間の大小関係より :<math> \angle APB < \angle ACB </math> この結果、次のことがいえる。 :(1) Pが円周上にある <math>\Rightarrow \angle APB = \angle ACB </math> :(2) Pが円の内部にある <math>\Rightarrow \angle APB > \angle ACB </math> :(3) Pが円の外部にある <math>\Rightarrow \angle APB < \angle ACB </math> このことから、次のようなことがいえる。 {| style="border:2px solid yellow;width:80%" cellspacing=0 |style="background:yellow"|'''円周角の定理の逆''' |- |style="padding:5px"| 2点C,Pが直線ABについて同じ側にあるとき、<math>\angle APB = \angle ACB </math> ならば、4点A,B,C,Pは同じ円周上にある。 |} ==== 円に内接する四角形 ==== 上の議論から三角形に外接する円はどのような三角形を取ったとしても常に存在 することが分かった。しかし、四角形に関してはそれに対して外接するような 円は常に存在するわけではない。 一般に円に内接するような四角形に関しては以下の性質が成り立つ。 {| style="border:2px solid yellow;width:80%" cellspacing=0 |style="background:yellow"|'''円に内接する四角形の性質(1)''' |- |style="padding:5px"| 円に内接する四角形の相対する角の和は<math>180^\circ</math>となる。 |} * 導出 内接する四角形の頂点を反時計回りにA,B,C,Dとする。 このとき、角A,角Cはそれぞれ点B,Dを対応する端点とする円弧に対する円周角となっている。ただし、角Aと角Cは互いに逆の円弧を対応する弧としているため、2つの弧を合わせるとそれらの弧はちょうど円周をおおうことになる。 このため、これらの2つの弧に対応する中心角の和は<math>360^\circ</math>に対応し、同じ弧に対応する円周角の和は <math>180^\circ</math>に対応するのである。 また、円に内接する四角形に関して以下の性質も成り立つ。 {| style="border:2px solid yellow;width:80%" cellspacing=0 |style="background:yellow"|'''円に内接する四角形の性質(2)''' |- |style="padding:5px"| 円に内接する四角形において、1つの内角は、それに向かい合う内角の隣にある外角に等しい。 |} * 導出 円に内接する四角形ABCDにおいて、上の定理より :<math> \angle A + \angle C = 180^\circ </math> また、頂点Cにおける外角を <math>\angle DCE</math> とすると、<math>\angle DCE + \angle C = 180^\circ</math> であるから :<math> \angle A = \angle DCE </math> 円に内接する四角形の性質の逆について考えてみよう。 {| style="border:2px solid yellow;width:80%" cellspacing=0 |style="background:yellow"|'''四角形が円に内接する条件''' |- |style="padding:5px"| (1) 向かい合う内角の和が<math>180^\circ</math>の四角形は、円に内接する。 (2) 1つの内角が、それに向かい合う内角の隣にある外角に等しい四角形は、円に内接する。 |} * 導出 '''(1)の証明''' 四角形ABCDで、 :<math>\angle B + \angle D = 180^\circ</math> …(I) とする。 <math>\triangle ABC</math>の外接円Oを書き、円Oに内接する四角形ABCD'を作ると :<math>\angle B + \angle D' = 180^\circ</math> …(II) (I),(II)より :<math> \angle D = \angle D' </math> したがって、円周角の定理の逆から、点Dはこの円Oの周上にある。 よって、四角形ABCDは円に内接する。 '''(2)の証明''' 四角形ABCDで、頂点Cにおける外角を <math>\angle DCE</math> として、 :<math> \angle A = \angle DCE </math> とする。 :<math> \angle DCE + \angle C = 180^\circ </math> であるから :<math> \angle A + \angle C = 180^\circ </math> 四角形が円に内接する条件(1)より、向かい合う内角の和が<math>180^\circ</math>であるから、四角形ABCDは円に内接する。 ==== 接線の長さ ==== 円Oの外の点Aからその円に2本の接線を引ける。その接点をP,Qとするとき、線分AP,AQの長さを、円Oの外の点Aから円Oに引いた'''接線の長さ'''という。 2つの接線の長さについて、次のことがいえる。 {| style="border:2px solid yellow;width:80%" cellspacing=0 |style="background:yellow"|'''接線の長さ''' |- |style="padding:5px"| 円外の点からその円に引いた2本の接線の長さは等しい。 |} * 導出 直角三角形APO,AQOにおいて :<math>PO=QO</math> …(I) :<math>AO</math>は共通 …(II) (I),(II)より :<math> \triangle APO \equiv \triangle AQO </math> よって、対応する辺APとAQは等しい。 ==== 接弦定理 ==== 円周上の点Aを通る接線ATがあって、円周上に2点B,Cをとるとき、<math>\angle TAB </math> と円周角 <math>\angle ACB </math> の大きさには、次のような関係がある。 {| style="border:2px solid yellow;width:80%" cellspacing=0 |style="background:yellow"|'''接弦定理''' |- |style="padding:5px"| 円の弦とその一端から引いた接線とのなす角は、その角内にある弧に対する円周角に等しい。 |} * 導出 <math>\angle TAB </math> が鋭角の場合について考える。 直径ADを引くと、<math>\angle TAD = 90^\circ</math> であるから、 :<math>\angle TAB = 90^\circ - \angle BAD</math> …(I) また、ADは直径であるから :<math>\angle ACD = 90^\circ</math> :<math>\angle ACB = 90^\circ - \angle BCD</math> …(II) <math>\angle BAD</math> と <math>\angle BCD</math> は弧BDに対する円周角であるから :<math>\angle BAD = \angle BCD</math> …(III) (I),(II),(III)より :<math> \angle TAB = \angle ACB </math> <math>\angle TAB </math> が直角、鈍角の場合についても同様に証明できる。 ==== 方冪の定理 ==== 中心Oとする円について次の定理が成り立つ。 {| style="border:2px solid yellow;width:80%" cellspacing=0 |style="background:yellow"|'''方冪(ほうべき)の定理''' |- |style="padding:5px"| 円周上に異なった2点A,Bを取りその2点を通る直線を取る。また、同様に A,Bと異なった2点C,Dを通りそれらを通過する直線を取り、直線ABと直線CDの 交点をEと取る。このとき、 :<math> AE \times BE = CE \times DE </math> が成り立つ。この定理を'''方べきの定理'''と呼ぶ。 |} * 導出 まず、点Eが円の外部にある場合を考える。このとき、直線AB上で点Eに近い点を点B, 直線CD上で点Eに近い点を点Cとおいたとき、三角形ECBと三角形EADが相似であることを 示す。 * 図 まず、四角形ABCDは円に内接していることから、 :<math> \angle DAE, \angle BCE </math> について、 :<math> \angle DAE= \angle BCE </math> が成立する。これは円に内接する四角形の相対する角の和が<math>180^\circ</math>になることに よっている。同様にして :<math> \angle ADE= \angle CBE </math> が成立し、2角が等しいことから三角形ECBと三角形EADは相似となる。 このことから、 :<math> EC : EA = EB : ED </math> となるが、このことは :<math> EA \times EB = EC \times ED </math> に等しい。 次に、点Eが円の内部にある場合を考える。 * 図 このとき三角形EADと三角形EBCが互いに相似であることを示す。 最初に :<math> \angle AED,\angle CEB </math> についてこれらが互いの対頂角であることから :<math> \angle AED= \angle CEB </math> が成り立つ。次に、 :<math> \angle EAD,\angle ECB </math> についてこれらが円周BDの円周角であることから :<math> \angle EAD=\angle ECB </math> が成り立つ。よって、2角が等しいことから三角形EADと三角形EBCは 互いに相似である。このことから :<math> EC : EA = EB : ED </math> となるが、このことは :<math> EA \times EB = EC \times ED </math> に等しい。 よって、どちらの場合にも方べきの定理が示された。 また、中心Oとする円の弦と接線について次の定理が成り立つ。 {| style="border:2px solid yellow;width:80%" cellspacing=0 |style="background:yellow"|'''方冪の定理(2)''' |- |style="padding:5px"| 円の弦ABの延長上の点Pから円に引いた接線をPTとする。このとき、 :<math> PA \times PB = PT^2 </math> が成り立つ。 |} * 導出 <math>\triangle PAT</math> と <math>\triangle PTB</math> において 接弦定理より :<math>\angle ATP = \angle TBP</math> …(II) :<math>\angle APT = \angle TPB</math>(共通) …(II) だから、<math>\triangle PAT</math> と <math>\triangle PTB</math> は相似 よって、 :<math> PA:PT=PT:PB </math> したがって、 :<math> PA \times PB = PT^2 </math> ; '''方冪の定理の逆''' 2つの線分AB, CD(またはその延長線)が点Pで交わるとき、PA・PB = PC・PDならば4点A, B, C, Dは同一円周上にある。 *導出 PA・PB=PC・PDよりPA:PD=PC:PBが成り立つ。 また、<Math>\angle APC = \angle DPB</Math>である。 よって、<Math>\triangle PAC</Math>と<Math>\triangle PDB</Math>は相似なので、<Math>\angle PAC = \angle PDB</Math>である。 したがって、円周角の定理の逆より、4点A,B,C,Dは同一円周上にある。 方冪の定理(2)の逆も成り立つ。 *問題 **一直線上にない3点A, B, T及び線分ABの延長線上にある点Pについて、<Math>PA \cdot PB=PT^2</Math>ならば直線PTが3点A, B, Tを通る円の接線であることを証明せよ。 ==== 2円の位置関係 ==== 2つの円を取ったときこれらはいくつかの仕方で関係する。2つの円の関係は2つの円の中心間の距離と、2円の半径によって定まる。 2円の距離をそれぞれ<math>r _1</math>,<math>r _2</math>(<math>r _1>r _2</math>),中心間の距離を<math>l</math>とすると、2円の位置関係として :<math>l < r _1 - r _2 </math>のとき、円2は円1に含まれている。 :<math>r _1 - r _2 = l</math>のとき、2つの円は'''内接'''している。 :<math>r _1 - r _2 < l < r _1 + r _2</math>のとき、円2と円1は互いに交わっている。 :<math>r _1 + r _2 = l</math>のとき、2つの円は'''外接'''している。 :<math>r _1 + r _2 < l</math>のとき、2円は離れている。 がある。 2つの円がただ1つの共有点をもつとき、この2つの円は'''接する'''といい、この共有点を'''接点'''(せってん、英:point of contact)という。 1つの直線が、2つの円に接しているとき、この直線を、2つの円の'''共通接線'''という。 :<math>l < r _1 - r _2 </math>のとき、共通接線はない。 :<math>r _1 - r _2 = l</math>のとき、共通接線は1本。 :<math>r _1 - r _2 < l < r _1 + r _2</math>のとき、共通接線は2本。 :<math>r _1 + r _2 = l</math>のとき、共通接線は3本。 :<math>r _1 + r _2 < l</math>のとき、共通接線は4本。 === 作図 === 定規・コンパスのみを用いて、与えられた条件を満たす図形を描くことを'''作図'''という。ただし、「直線を引く」「円を描く」「コンパスで長さを転写する」以外の操作(定規で長さを測る等)は認められない。 したがって、2つの三角定規を用いて平行線を引くことは上の意味での作図ではない。 これまで学んだ三角形や円の性質を用いることで、さまざまな図形を作図することができる。 作図そのものが大問としてテストや入試に出ることはあまりないが、図形問題を考える際は正確に作図することが大切になってくる。この先、数学Ⅱ「[[高等学校数学II/図形と方程式|図形と方程式]]」や、数学C「[[高等学校数学C/ベクトル|ベクトル]]」においても作図ができないと話にならない。「テストに出ないからほっとく」ではなく、この先の幾何分野で役立てるために、ぜひきちんと学んでほしい。 ==== 平行線の作図 ==== 与えられた直線<Math>l</Math>上にない点Pを通り、<Math>l</Math>に平行な直線を作図する。 # <Math>l</Math>上に点Aをとり、Aを中心とする半径APの円を描く。このとき、円と<Math>l</Math>の交点をBとする。 # P, Bを中心としてそれぞれ半径APの円を描き、Aと異なる交点をCとする。 # PとCを結ぶと、直線<Math>l</Math>に平行な直線が描ける。 *問題 **直線<Math>l</Math>と直線PCが平行である理由を説明せよ ==== 内分点・外分点の作図 ==== 与えられた線分ABをm:nに内分する点を作図する。 # Aを通り、線分ABと異なる直線<Math>l</Math>を引く。 # <Math>l</Math>上にAC:CD=m:nとなるように点C, Dをとる。このとき、Cは線分AD上にとる。 # Cを通りBDに平行な直線を引くと、ABとの交点が求める点である。 *問題 **与えられた線分ABをm:nに外分する点の作図方法を説明せよ ==== 色々な長さの線分の作図 ==== 長さ1の線分ABと長さa, bの二つの線分が与えられたとき、長さ<Math>\frac{b}{a}</Math>の線分を作図する。 # Aを通り、ABと異なる直線<Math>l</Math>を引く。 # <Math>l</Math>上にAC=a, AD=bとなるような点C, Dをとる。ただし、Cは線分AD上にとる。 # Dを通りBCに平行な直線を引いて直線ABとの交点をEとすると、線分BEが求める線分である。 ''' 証明 ''' BE=xとする。 BC // EDより1:x=a:bである。 この式を変形すると<Math>x=\frac{b}{a}</Math>となる。 *問題 **長さ1の線分ABと長さa, bの2直線が与えられたとき、長さabの線分を作図せよ。 上の二つは、値a, bに対して商a/b, 積abの計算を作図で行なっていることになる。 長さ1の線分ABと長さaの線分が与えられたとき、長さ√aの線分を作図する。 # 線分ABのBを超える延長線上にBC=aとなる点Cをとる。 # 線分ACの垂直二等分線を描き、線分ACとの交点をOとして中心O, 半径OAの円Oを描く。 # Bを通り、直線ABに垂直な直線を引き、円Oとの交点をそれぞれD, Eとすると、線分BDが求める線分である。 ''' 証明 ''' 方冪の定理より、BA・BC=BD・BE ここで、AB=1, BC=a, BD=BEなのでBD=a^2となり、 BD=√aとなる。 *問題 **長さ1の線分ABと長さa, bの二つの線分が与えられたとき、長さ<Math>\sqrt{ab}</Math>の線分を作図せよ ==== 正五角形の作図 ==== 正五角形について、一辺の長さと対角線の長さの比は'''黄金比'''1 : <Math>\phi</Math>である。ここで、<Math>\phi = \frac{1+\sqrt{5}}{2}</Math>は'''黄金数'''と呼ばれる数である。 長さ2の線分CDが与えられたとき、正五角形ABCDEを作図する。 まずは、対角線ACの長さが1+√5であることを利用して、頂点Aを作図する。 # 線分CDの垂直二等分線<Math>l</Math>を引き、CDとの交点をPとする。 # <Math>l</Math>上にPQ=CDとなるような点Qをとる。 # 線分CQのCを超える延長線上に、QR=CPとなるような点Rをとる。 # Cを中心として半径CRの円を描くと、<Math>l</Math>との交点がAである。このとき、CQ=√5, CA=CR=1+√5である。 # 中心C, 半径CDの円と中心D, 半径ACの円の交点がBである。同様に、中心D, 半径CDの円と中心C, 半径ACの円の交点がEである。 == 空間図形 == === 直線と平面 === ここでは、空間における直線・平面の位置関係について学ぶ。この内容は数学Cで[[高等学校数学C/ベクトル#空間座標とベクトル|空間ベクトル]]を学ぶ際に知っておかなければならない基礎的な知識である。 ==== 2直線の位置関係 ==== 異なる2直線の位置関係には、 # 一点で交わる # 平行である # ねじれの位置にある の3つの場合がある。 平面図形と同様、2直線l, mが平行なときl // mのように表す。 2直線l, mが平行でないとき、点Oを通りl, mにそれぞれ平行であるような2直線l', m'を引くと、l', m'は同一平面上にあり、そのなす角は点Oの取り方によらず一定である。この角を'''2直線l, mのなす角'''と呼ぶ。 この角が直角であるとき、「lとmは'''垂直'''である」といい、l ⊥ mのように表す。 特に、垂直な2直線が交わるとき、それらは「'''直交'''する」という。 また、平行な2直線の一方に垂直な直線は他方にも垂直である。 *問題 **立方体ABCD-EFGHにおいて、辺ABと平行な辺、垂直な辺、ねじれの位置にある辺をそれぞれ全て答えよ。 ==== 直線と平面の位置関係 ==== 直線lと平面aの位置関係には、 # lはaに含まれる(lはa上にある) # 一点で交わる # 平行である の3つの場合がある。 直線lと平面aが平行であるとき、l // aと表す。 直線lが平面a上の全ての直線に垂直であるとき、直線lは「平面aに垂直」または「平面aに直交」であるといい、l ⊥ aと表す。 特に、直線lが平面a上の交わる2直線m, nに垂直ならば、直線lは平面aに垂直である。 *問題 **正四面体ABCDにおいて辺CDの中点をMとしたとき、辺CDと平面ABMについてCD ⊥ ABMを示せ。また、AB ⊥ CDを示せ。 ==== 2平面の位置関係 ==== 異なる2平面a, bの位置関係には、 # 一直線で交わる # 平行である の2つの場合がある。 2平面が交わるとき、共有する直線を'''交線'''と呼ぶ。 2平面a, bが平行であるとき、a // bと表す。 交わる2平面の交線上の点から各平面上に引いた、交線に垂直な2つの直線のなす角を'''2平面のなす角'''と呼ぶ。 2平面a, bのなす角が直角であるとき、a, bは「'''垂直'''である」または「'''直交'''する」といい、a ⊥ bと書く。 *問題 **平面aの一つの垂線を含む平面bについて、a ⊥ bであることを証明せよ === 多面体 === 三角柱、四角錐などのように、多角形の面で囲まれた立体を'''多面体'''という。 凹みのない多面体を特に'''凸多面体'''と呼ぶ。 各面が全て合同な正多角形であり、拡張点に集まる面の数が全て等しい凸多面体を'''正多面体'''(プラトンの多面体)という。 正多面体は正四面体、正六面体(立方体)、正八面体、正十二面体、正二十面体の5種類のみ存在する。 *問題 **正四面体を二つ貼り合わせた6面体が正多面体でないことを説明せよ 正八面体について、 # 面の数は8である。 # 一つの面の頂点の数は3、一つの頂点に集まる面の数は4なので、頂点の数は<Math>\frac{8 \cdot 3}{4} = 6</Math> # 一つの面の辺の数は3、一つの辺に集まる面の数は2なので、辺の数は<Math>\frac{8 \cdot 3}{2} = 12</Math>である。 同様にして、正多面体について面の数・頂点の数・辺の数を計算で求めることができる。 *問題 **以下の表を完成させよ。また、各正多面体について、(頂点の数)-(辺の数)+(辺の数)を計算せよ。 <table border="1"> <tr><th>正多面体</th><th>面の数</th><th>面の形</th><th>1頂点に集まる面の数</th><th>頂点の数</th><th>辺の数</th></tr> <tr><th>正四面体</th><td></td><td></td><td></td><td></td><td></td></tr> <tr><th>正六面体</th><td></td><td></td><td></td><td></td><td></td></tr> <tr><th>正八面体</th><td>8</td><td>正三角形</td><td>4</td><td>6</td><td>12</td></tr> <tr><th>正十二面体</th><td></td><td></td><td></td><td></td><td></td></tr> <tr><th>正二十面体</th><td></td><td></td><td></td><td></td><td></td></tr> </table> {| style="border:2px solid yellow;width:80%" cellspacing=0 |style="background:yellow"|'''オイラーの多面体定理''' |- |style="padding:5px"| 一般の凸多面体について、頂点の数をv, 辺の数をe, 面の数をfとすると :<Math>v-e+f=2</Math> が成り立つ。 |} また、一般の多面体について、次のことが言える。 # 多面体の一つの頂点に集まる面の数は3以上である。 # 凸多面体の一つの頂点に集まる角の大きさは360°よりも小さい。 つまり、正多面体の面になる正多角形の一つの内角の大きさは120°よりも小さい。そのような正多角形を考えると、'''正多面体の面になり得るのは正三角形、正方形、正五角形のみ'''である。 この事実とオイラーの多面体定理を利用して、正多面体が5種類しか存在しないことを証明できる。 *問題 **正多面体が正四面体、正六面体、正八面体、正十二面体、正二十面体の5種類しか存在しないことを証明せよ。 余談だが、オイラーの多面体定理に似た式が四次元の正多胞体においても成り立つことが知られている。 多面体から切り取った立体が正多面体であることを利用することで、立体の体積を求めることができる。 *問題 **立方体ABCD-EFGHを4平面BDE, BEG, BGD, DEGで切り取ると正四面体BDEGができる。このことを利用して、一辺の長さがaである正四面体の体積を求めよ。 == 脚注 == {{reflist}} {{DEFAULTSORT:こうとうかつこうすうかくA すけいのせいしつ}} [[Category:高等学校数学A|すけいのせいしつ]] [[カテゴリ:図形]]
2005-11-01T00:37:21Z
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場の量子論
量子場の理論は主に素粒子を扱うための理論である。一般に物理的なものは常に 量子的な状態として記述されねばならず、粒子といえども例外ではないといえる。 一般に粒子は真空と呼ばれる何もない状態の中に1つの粒子が現われた状態として 記述されるのである。このように粒子の存在を量子力学的に記述する方法として 場の理論という方法が知られているのである。例えば、電磁気力をつたえる光子は A μ {\displaystyle A_{\mu }} という4元ベクトルで書かれるのだが、光子自体も粒子であるので この記述法は粒子の存在を記述する手法を示唆していると考えられる。 つまり、場という量は何らかの仕方で粒子の記述をしていると考えられ、 逆に粒子を記述する手法として場の量を用いることが考えられるのである。 この項では、場の量を用いた粒子の記述法についてまとめる。 量子力学の基本法則ではハミルトニアンの中で運動量 p {\displaystyle p} で、 ∂ ∂ x → {\displaystyle {\frac {\partial }{\partial {\vec {x}}}}} で置き換えることが主張された。 このことは相対論的な式でも正しいことが予想される。 このとき、質量 m {\displaystyle m} を持つ粒子で運動量 p {\displaystyle p} の粒子を考えると、 その粒子の満たす式の1つとして、 があげられる。ここで、時空は4次元とし、計量はミンコフスキー計量を用いる。 このとき、上の置き換えを用いると、 波動関数を求める式として、 が得られる。この式をクラインゴルドン方程式と呼ぶ。この式を解くと、 が得られる。ここで、 p {\displaystyle p} と x {\displaystyle x} はどちらも4元ベクトルであり、 2つの積は4次元ミンコフスキー計量を用いた内積である。この量を波動関数として 用いることは可能であるが、ここでは異なった仕方で量子化を行なう。 粒子が何もない状態を真空と呼ぶ。 次に粒子を1つだけ作る演算子 a † {\displaystyle a^{\dagger }} を取る。 このようなものを取ったとき、これを真空に作用させることで粒子がただ1つ存在する状態を作ることが出来る。 このような手段をくり返すことで粒子が存在する仕方が全てつくせることが予想されるが、 実際このような仕方は非常に便利であるので、ここではこの方法を導入する。 φ {\displaystyle \phi } は、ここまででは波動関数と考えて来た。ここからは、この量を場の演算子と見なす。 つまり、この量が真空や粒子がいくつかある状態によって張られるベクトルにかかる行列だと思うのである。 このときこの量は上で得た の方程式を満たすとする。更に、この演算子が を満たすことを要求する。ここで、 a i {\displaystyle a_{i}} は 量子数 i {\displaystyle i} で代表される状態の降下演算子であり、 ψ i {\displaystyle \psi _{i}} は、量子数 i {\displaystyle i} で代表される状態の波動関数である。 このように、ある状態を生み出す昇降演算子とその状態に対応する波動関数との間に 対応をつけることでこれまでの結果をそれほど変化無く用いることが出来るのである。 上の条件を満たす演算子は、 φ {\displaystyle \phi } を実数と仮定するとき、 となる。ただし、昇降演算子には [ a i , a j † ] = δ i j {\displaystyle [a_{i},a_{j}^{\dagger }]=\delta _{ij}} の交換関係があるものとする。ただし、 δ i j {\displaystyle \delta _{ij}} は i j {\displaystyle ij} が 連続量ではデルタ関数となり、 i j {\displaystyle ij} が離散的な量ではクロネッカーのデルタ となるものとする。 上で用いた方法をまとめるため、この系に対するラグランジアンを導入する。 ただし、古典力学の場合と異なり、ここで扱う φ {\displaystyle \phi } は、空間の1点ごとに 一般には異なった値を持つためラグランジアン自体も空間の各点で異なった値を持つ。 このようなラグランジアンを通常のラグランジアンと区別する意味で ラグランジアン密度と呼ぶことがあり、一般に L {\displaystyle {\mathcal {L}}} で書くことが多い。 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{{Pathnav|メインページ|自然科学|物理学|frame=1|small=1}} ==はじめに== 量子場の理論は主に素粒子を扱うための理論である。一般に物理的なものは常に 量子的な状態として記述されねばならず、粒子といえども例外ではないといえる。 一般に粒子は真空と呼ばれる何もない状態の中に1つの粒子が現われた状態として 記述されるのである。このように粒子の存在を量子力学的に記述する方法として 場の理論という方法が知られているのである。例えば、電磁気力をつたえる光子は <math>A_\mu</math>という4元ベクトルで書かれるのだが、光子自体も粒子であるので この記述法は粒子の存在を記述する手法を示唆していると考えられる。 つまり、場という量は何らかの仕方で粒子の記述をしていると考えられ、 逆に粒子を記述する手法として場の量を用いることが考えられるのである。 この項では、場の量を用いた粒子の記述法についてまとめる。 ==相対論的量子力学== ===== スカラー場===== 量子力学の基本法則では[[ハミルトニアン]]の中で運動量<math>p</math>で、 <math>\frac{\partial}{\partial \vec x}</math>で置き換えることが主張された。 このことは相対論的な式でも正しいことが予想される。 このとき、質量<math>m</math>を持つ粒子で運動量<math>p</math>の粒子を考えると、 その粒子の満たす式の1つとして、 :<math> p^2 - m^2 = 0 </math> があげられる。ここで、時空は4次元とし、計量はミンコフスキー計量を用いる。 このとき、上の置き換えを用いると、 <!-- (符合?) --> 波動関数を求める式として、 :<math> (-\partial^2 - m^2) \phi = 0 </math> が得られる。この式をクラインゴルドン方程式と呼ぶ。この式を解くと、 :<math> \phi = e^{i p x}, e^{-i p \vec x} </math> が得られる。ここで、<math>p</math>と<math>x</math>はどちらも4元ベクトルであり、 2つの積は4次元ミンコフスキー計量を用いた内積である。この量を波動関数として 用いることは可能であるが、ここでは異なった仕方で量子化を行なう。 粒子が何もない状態を真空と呼ぶ。 次に粒子を1つだけ作る演算子<math>a^\dagger</math>を取る。 このようなものを取ったとき、これを真空に作用させることで粒子がただ1つ存在する状態を作ることが出来る。 このような手段をくり返すことで粒子が存在する仕方が全てつくせることが予想されるが、 実際このような仕方は非常に便利であるので、ここではこの方法を導入する。 <math>\phi</math>は、ここまででは波動関数と考えて来た。ここからは、この量を場の演算子と見なす。 つまり、この量が真空や粒子がいくつかある状態によって張られるベクトルにかかる行列だと思うのである。 このときこの量は上で得た :<math> (-\partial^2 - m^2) \phi = 0 </math> の方程式を満たすとする。更に、この演算子が :<math> \langle 0|a_i \phi|0\rangle = \psi_i </math> を満たすことを要求する。ここで、<math>a_i</math>は 量子数<math>i</math>で代表される状態の降下演算子であり、 <math>\psi_i</math>は、量子数<math>i</math>で代表される状態の波動関数である。 このように、ある状態を生み出す昇降演算子とその状態に対応する波動関数との間に 対応をつけることでこれまでの結果をそれほど変化無く用いることが出来るのである。 上の条件を満たす演算子は、<math>\phi</math>を実数と仮定するとき、 :<math> \phi = \sum_i \{a_i^\dagger \psi_i + a_i \psi_i^*\} </math> となる。ただし、昇降演算子には<math>[a_i, a_j^\dagger] = \delta_{ij}</math> の交換関係があるものとする。ただし、<math>\delta_{ij}</math>は<math>ij</math>が 連続量ではデルタ関数となり、<math>ij</math>が離散的な量ではクロネッカーのデルタ となるものとする。 ===== スピノル場===== ===== ベクトル場===== ==粒子間の相互作用== ===相互作用と摂動項=== 上で用いた方法をまとめるため、この系に対するラグランジアンを導入する。 ただし、古典力学の場合と異なり、ここで扱う<math>\phi</math>は、空間の1点ごとに 一般には異なった値を持つためラグランジアン自体も空間の各点で異なった値を持つ。 このようなラグランジアンを通常のラグランジアンと区別する意味で ラグランジアン密度と呼ぶことがあり、一般に<math>\mathcal L</math>で書くことが多い。 また、ラグランジアン密度を用いることから運動方程式を導出する手法も変化する。 古典力学では<math>\int dt L(q,\dot q)</math>を変分することで、 :<math> \frac{dL}{dq} - \frac{d}{dt}(\frac{dL}{d \dot q}) = 0 </math> を導いた。今回はラグランジアン密度を用いて :<math> \int d^4 x \mathcal L(\phi, \partial^\mu \phi) </math> を用いるため、同じ様な計算を用いると得られる運動方程式は :<math> \frac{d \mathcal L}{d\phi} - \frac{d}{dx^\mu}(\frac{d \mathcal L}{d(\partial \phi / \partial x^\mu)}) = 0 </math> となる。この方程式を用いてクラインゴルドン方程式を得るようなラグランジアン密度として、 :<math> \mathcal L = \frac 1 2 \partial^\mu \phi \partial_\mu \phi - \frac 1 2 m^2 \phi^2 </math> が得られる。実際上の計算を適用すると、確かに :<math> (-\partial^2 - m^2) \phi = 0 </math> が得られるのである。次に上のラグランジアンにより複雑な項を加えることを考える。 例えば、 :<math> \mathcal L = \frac 1 2 \partial^\mu \phi \partial_\mu \phi - \frac 1 2 m^2 \phi^2 - \frac 1 6 \lambda \phi^3 </math> を考える。このときも同様の計算を用いると :<math> (\partial^2 - m^2) \phi - \frac 1 2 \lambda \phi^2 = 0 </math> が得られる。しかし、この式は<math>\phi</math>に関する非線形方程式であり、 簡単に解くことはできない。このため、ラグランジアンに含まれる <math>-\frac 1 6 \lambda \phi^3</math>の項を摂動として扱うことが重要となる。 しかし、逆にこのことを用いると粒子間の相互作用を扱うことが出来ることが分かる。 例えば、2つの粒子<math>\phi_1,\phi_2</math>を取り、ラグランジアンの中に <math>\phi_1 \phi_2</math>に比例する項をまじえたとする。 このとき2つの粒子をオペレーターとして見たとき、 それぞれの場は対応する粒子を消滅させるか生成する働きを持っている。 例えば、上の項を2つの粒子のクラインゴルドン方程式の解に対応する状態の 直積によって書かれた状態に対する摂動として用いたとき、 <math>|1_i\rangle</math>を粒子1が<math>i</math>の状態にある状態とし、 <math>|2_j\rangle</math>を粒子2が<math>j</math>の状態にある状態とすると、 <math>\langle 2_j|\phi_1 \phi_2|1_i\rangle</math>は一般には0でないことが分かる。 つまり、上のような項を含むラグランジアンが用いられる系では 粒子1は一定の確率で粒子2に変化することがわかる。 このようにして、場の考え方を用いると粒子の生成消滅の描像が簡潔に 記述できることが分かる。 ===プロパゲーター=== ここで摂動計算を行なうときに頻繁に用いられる量を導入する。 摂動計算に現われる量はラグランジアンの中に含まれる項である。 実際に<math>\phi^3</math>に比例する項は3つの<math>\phi</math>演算子の積として 摂動項に現われる。一般に、スカラー場の場の理論を組み立てるとき ラグランジアンの中に常に現われる量として、 :<math> \phi^*(-\partial^2 - m^2)\phi </math> がある。この項を摂動として扱うと、 :<math> \langle i|\phi(x) \phi(x)|j\rangle </math> の量が現われるがこの量は通常発散することが知られている。 このため、この量を変化させて :<math> \langle 0|\phi(x) \phi(x')|0\rangle </math> という量について考える。この量は一般には<math>x=x'</math>で発散しない。 この量をプロパゲーターと呼ぶ。実際に<math>\phi</math>の昇降演算子を用いて計算することで この量を得ることができる。 更にこの量をフーリエ変換して運動量表示にすることができるが、このときこの量は <math>\frac 1 {p^2 - m^2}</math>で与えられる。 ===== 摂動展開===== 摂動を統一的に扱うため相互作用表示と呼ばれる表示を導入する。 摂動を受けるハミルトニアンを<math>\mathcal H</math>とし、 摂動のハミルトニアンを<math>\mathcal V</math>とする。 更に、全ハミルトニアンを<math>\mathcal H'</math>とする。 このとき、演算子<math>O</math>に対して<math>O(t)</math>を :<math> O(t) = e^{i \mathcal H t} O e^{-i \mathcal H t} </math> で定義し、何らかの状態<math>|\gamma\rangle</math>に対して :<math> |\gamma(t)\rangle = \sum a_m(t)|m(t)\rangle </math> で状態を展開する。ただし、<math>|m\rangle</math>はハミルトニアン<math>\mathcal H</math>の固有状態とする。 *注意 :通常、系の時間発展は全ハミルトニアンの固有状態の時間発展だけで :記述される。しかし、摂動を受ける場合には全ハミルトニアンの固有状態を :知ることができないため、摂動を受ける前の状態を用いてその固有状態の :組み合わせが時間的に変化するとすることが有効になる。詳しくは[[量子力学II]]参照。 :このとき時間発展の方程式は、 :<math> i \frac{\partial{{}}}{\partial{t}}|\gamma(t) \rangle = \mathcal H'|\gamma(t)\rangle </math> で与えられるが、この式は :<math> \sum_m \dot a_m(t)|m(t)\rangle + a_m \mathcal H|m(t)\rangle = (\mathcal H + \mathcal V)|\gamma(t) \rangle </math> :<math> \sum_m \dot a_m(t)|m(t)\rangle = \mathcal V \sum_m a_m(t)|m(t)\rangle </math> で与えられる。更に、<math>m(t)\rangle</math>とは別の <math>\mathcal H</math>の固有状態<math>|n(t)\rangle</math>との内積を取ると、 :<math> \dot a_n(t) = \sum_m \mathcal V_{nm}(t) a_m(t) </math> となる。 ここで、<math>a</math>に関する表式は<math>a</math>をベクトルと見た場合 :<math> \frac{\partial{{}}}{\partial{t}} a(t) = \mathcal V(t) a(t) </math> と書くことが出来、この解は :<math> a = e^{\int_{t_0}^t dt \mathcal V(t)} a_0 </math> で書くことが出来る。 しかし、ここでは<math>\mathcal V</math>は通常<math>\phi</math>などの演算子で書かれる量だが、 <math>\phi</math>については摂動を受ける前のハミルトニアンに関するハイゼンベルグ表示を用いたいので、 :<math> \mathcal V(t) = e^{i \mathcal H t} \mathcal V e^{-i \mathcal H t} </math> を導入する。これは、時間発展の方程式について元のハミルトニアンの状態に ついて内積を取るとき、<math>|m(t)\rangle,|n(t)\rangle</math>ではなく <math>|m\rangle,|n\rangle</math>について内積を取ることに対応する。 このとき時間発展の方程式は :<math> \frac{\partial{{}}}{\partial{t}} a(t) = \mathcal V(t) a(t) </math> と書かれ、この解は :<math> a(t) = e^{\int_{t_0}^t dt \mathcal V(t)} a_0 = T e^{\int_{t_0}^t dt \mathcal V(t)} a_0 </math> で書かれる。ここで最後の表式<math>T</math>は時間順序積演算子と呼ばれ、 <math>\mathcal V(t)</math>に関して、時間が前の演算子ほど右側に来るように配置することを示している。 一般にこのような計算で<math>\mathcal V(t)</math>に含まれる<math>\phi(t)</math>などの量は、 時刻が等しいときには可換ではないが、時刻が等しくないときには常に可換であるので、 このような並べ換えは常に可能である。この並べ換えは例えば経路積分による導出を 扱うときに重要になる。 上の表示は各々の状態の時間変化については ハイゼンベルグ表示を取っており、 それに従って演算子が時間発展していく中で、時として摂動の効果で 状態の方も時間変化を受けることに対応する。これは、粒子がお互いと相互作用して 摂動を受けることとうまく対応している。例えば、光子と電子が相互作用して お互いの運動エネルギーが変化する情况は、このような摂動の式で記述できる。 例として<math>\mathcal V(t)</math>を :<math> \mathcal V(t) = \int d^3 x \lambda \phi^3(t) </math> :<math> |i(t)\rangle = T e^{-i\int dt \mathcal V(t)}|i\rangle </math> を摂動の次数ごとに展開すると、 :<math> |i(t)\rangle= (1 - i \lambda\int d^4 x \phi^3(x) + \frac 1 2 (-i) \lambda \int d^4 x \int d^4 x_2 \phi(x)^3 \phi(x_2) ^3 ...) |i\rangle </math> となる。 :<math>\lambda</math>が十分小さいとき2項目以降は無視してよいので、 <math>|i(t)\rangle</math>は :<math> |i(t)\rangle = (1 -i \lambda\int d^4 x \phi^3(x))|i\rangle </math> で与えられるが、特に元の状態からの変化に注目すると時刻<math>t</math>での状態として :<math> (-i \lambda\int d^4 x \phi^3(x)) |i\rangle </math> が得られる。ただしここでは :<math> \int d^4 x = \int d^3 x \int_{t_0}^t </math> で与えられているものとする。ここで<math>t_0</math>は粒子が他の粒子と相互作用する 距離に近づいた時刻のことをいい、<math>t</math>は、測定を行なう時刻である。 実際的な素粒子の実験では常に<math>t_0 = -\infty</math>,<math>t = \infty</math>として扱う。 ここで測定を始めたときに1つの<math>\phi_1</math>粒子だった状態が <math>\phi_2,\phi_3</math>の2つの粒子に崩壊する過程を 計算する。実際の計算では運動量の位相空間の大きさも計算に入れる必要が あるのだが、ここでは行列要素の計算だけにとどめる。 ただし、与えられたラグランジアンの摂動項は <math>\lambda \phi_1 \phi_2 \phi_3</math>で与えられるものとする。 ここで最初の状態は運動量<math>k_1^\mu</math>を持ち、最後の状態は<math>k_2^\mu,k_3^\mu</math> を持つものとする。このとき求める行列要素は :<math> \langle 0|a_{k_2} a_{k_3} \int d^4 x (-i \lambda \phi_1 \phi_2 \phi_3) a^\dagger_{k_1}|0\rangle </math> ここで、異なった粒子に関する昇降演算子が互いに交換することを用いると :<math> \phi_1 a^\dagger_{k_1}, a_{k_2} \phi_2 </math> の真空期待値が得られるが、<math>\phi</math>の展開式をあらわに用いると :<math> \langle 0|\phi_1 a^\dagger_{k_1}|0\rangle = e^{-i k_1 x} </math> :<math> \langle 0|a_{k_2} \phi_2|0\rangle = e^{i k_2 x} </math> が得られる。これらを上の式に代入すると、 :<math> \langle 0|a_{k_2} a_{k_3} \int d^4 x (-i \lambda \phi_1 \phi_2 \phi_3) a^\dagger_{k_1}|0\rangle </math> :<math> = -i \lambda \int d^4 x e^{i (k_2 + k_3 - k_1) x} </math> :<math> = -i \lambda \delta(k_2 + k_3 - k_1) </math> が得られる。ここで、デルタ関数は運動量の保存則を表わしており このような計算では常に現われるものであるので、次からの計算では 落とすことができる。そのため、このときの計算値は、単に<math>-i \lambda</math> と書かれる。ここでは<math>k_2</math>,<math>k_3</math>を定めていないが、 粒子の質量中心系では粒子1は静止しており :<math> \vec k_2 = -\vec k_3, k_2^0 + k^0_3 = m_1 </math> が成り立つ。 {{DEFAULTSORT:はのりようしろん}} [[Category:物理学]] {{NDC|421.3}}
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2018-11-26T13:40:08Z
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物理学のための計算機とオープンソース
物理学 > 物理学のための計算機とオープンソース この文書は、理学系の学部を卒業した者が、何らかの仕方で計算機を学ぼうと 考えた場合の教科書の役割を果たすものとして書かれるものである。 また、計算機そのものに興味は無くとも研究の手段として計算機に関わる 必要が出来、それに関する知識を得たいと考える者も想定している。 この文書では、出来る限り計算機科学の原理的な部分も扱っていきたいと考えて いる。しかし多くの部分はすでに完成しているプログラムの使い方だけを示して、 その原理にまでは触れないことも多い。これは、ひとえに現在の物理研究と 計算機の関係を表わしてもいる。例えば、現在ではFortranによる数値計算は 物理研究に欠かせないものとなっている。しかし、物理学者で実際にFortranの コンパイラを書ける人間はほとんどいないのである。つまり、こういった場合 物理学者はコンパイラをブラックボックスとして扱い、それによって物理的な 結果を得ているのである。 しかし、このことは必ずしも責められるべきことではない。実際的な問題として コンパイラの理論は計算機科学の学部講義に含まれるものであり、その修得には すくなくとも2単位分の時間がかかる。更に、その講義自身もそれ以前の 学部の講義の内容に依存しているため、その修得には相当の時間がかかることになる。 このため、実際に物理研究のためにコンパイルの理論を学ぶのは、 あまり現実的ではないといえよう。むしろ、計算誤差の拡大を防ぐ方法に注力すべきである。 この文書でも、コンパイラの理論自体を扱うことは出来ない。しかし、 それに関係する部分で、それほど複雑でない部分は出来る限り扱っていこうと 考えている。例えば、Web上にはすでに多くのコンパイラが出回っており、 それらの原理や設計の思想を出来る限り紹介して行きたい。 また、コンパイラの中でも構文解析と呼ばれる部分は、計算機を扱う上で いろいろな部分で出会う考え方であり、これは詳しく紹介したいと思う。 理想的な計算機は、0と1の2種類の信号しか受け取れない機械であり、 これによって2種類以上のことをさせるよう指示を出すことは不可能に思える。 しかし、これは間違いであり、計算機が2通りの事柄しか理解できないとしても これに対して人間が出来ることと同じだけのことをさせることが可能である。 もっとも簡単な例としてモールス信号を考えてみるとよい。 これは、ただ2通りだけの信号を用いて英語のアルファベットを 表現する方法を表わしているが、これを用いることが出来、更に 計算機が多少の英語の文法と単語を知っていたのなら、計算機に 人間に対すると同じだけの指示を与えることが可能になる。 実際には、計算機に文法と単語を教えることも人間がやらなくてはならない 作業であるため、実際の人間が扱う言語よりも単純化された 文法と単語を扱うことが多い。 ここで実際に文法と単語を教える手法はまさしくコンパイラの理論そのものなので やや複雑になるが、簡単な例を取って考えてみることにする。 まず、メモリとCPUだけからなっている理想的な計算機を 考える。ここで、メモリはそれぞれの部分が0と1だけの情報を蓄えることが出来る ものであり、CPUは加算、減算などの処理をすることが出来る電子回路であるとする。 実際にはメモリとCPUの実際の設計は計算機科学というよりも工学部の特に 電気電子系で扱われることが多い内容であり、その詳細には触れることが出来ないが、 直観的にはメモリはただ2つの量子状態からなる電子スピンのようなものを 想像し、CPUに関しては、AND回路やOR回路が標準的な仕方で連なっている ものを想像すればよい。例えば、2進数の1桁の数に対する加算回路を考えてみる。 このとき、2進数の1桁の数は0と1のみであり、これらの足し算の結果の 1桁目を考えてみる。すると、それらの和は が得られる。これは回路としてはXOR回路と呼ばれる回路であり、 ある回路によって作ることが出来ることが知られている。 更に、1桁同士の足し算によって2桁の数が作られることに注目して、 2桁めの数値を計算する回路も考えてみる。このとき、2桁めの数値は、 となるが、これはAND回路に等しい。結局、AND回路とXOR回路を組み合わせることで、 2進数の加法を行なう回路が作れたわけである。このように、CPUは 計算を行なう回路を集積したものであり、どちらかといえば計算機というより 電気系の学課の題材といえるだろう。 また、多くの実際に使われているCPUの詳細は全くの企業秘密であり、 それらを自由に扱うことは出来ない。 一般にCPUに対してモールス信号的な2進数で表現された命令や足し算等に必要な 数値を与える部分を理想化したものをレジスタと呼ぶ。物理的には、CPUに 対して外部から電気信号を送るための端子である。レジスタは通常 複数あり、命令を受けるレジスタと、データを受け取るレジスタは別になっている。 さて、ここまでで計算機に命令と命令を実行するのに必要なデータを与える 手段が分かった。理想的にはここからの話で、CPUへの命令は全てモールス信号的な 2進数の信号で行なわれており、2進数表記での命令を作ることを人間の側が 行なっているとしてもよい。しかし、それはあくまでも実用的に役立つ 文書を作るという本来のこの文書の目標に反している。例えば、 文書の執筆を行なうという大事業を2進数で書くことはほぼ不可能である。 ASCIIコードも全て手作業で2進数に直さなくてはならないし、 漢字が加わると更にその作業は難度を増す。 そのため、計算機に効果的な仕方で指示を与えるには、何らかの仕方で 既存の計算機への情報伝達を扱う道具を使う方法を修得しなければならない。 しかし、それらの道具自体も最終的にはそのような2進数の集まりであり、 それら自身もおそらく既存の資産を用いて作られたことは重要であると いえるだろう。 ここまででCPUに命令を与える方法について考察して来た。 もちろんCPUに与える命令自体はCPUを作るメーカーに任せられており、 それについては個々のCPUメーカーの作る文書を読むしかその内容を知る 方法は無い。しかし、実際にはそれでは問題が生じて来る。 あるソフトウェアをあるCPU向けに書いたとする。このとき、このソフトは あるそのCPUが理解できる命令の集まりとなっている。 このソフトを、他のCPUに対しても使いたいと思ったとしよう。 このとき、CPUごとに体系に異なった命令が用いられていたとすると、 ある命令の集まりは別のCPUに対してはなんら意味のある活動を 起こさせることが出来ない。このことを、得られた命令に移植性がないという。 このことは、そもそもCPUごとの命令に定まった意味が無く、信号ごとの意味の 当てはめ方が任意であったことを考えると、全く当然のことと言えるのだが、 それでも、1つのCPUに対して書いた2進数プログラムと、他のCPUに対して書いた 2進数プログラムに全く互換性が無いとすると、それぞれのCPUに対して 全く別のプログラムを書くことをしなければならず、このことは非常に大変な 作業になると考えられる。 実際にはこの問題は、CPUに対してだけに留まらない。昨今ではそれぞれの 機器、例えばハードディスクやサウンドカードなどが挙げられるが、 それぞれが個別の命令の体系を持っており、それら自身もある程度それを 作るメーカーに信号の受け方を決める権限が任されている。 そのため、それらに対しても個別に信号の受け方や送り方を規定せねばならず、 それぞれの機器がそれぞれのCPUや他の機器と組み合わせて用いられることを 考え合わせると、その組み合わせは非常に多くの数を持つと考えられる。 この問題はいくつかの方法で解決が図られている。しかし、 いくつかの場合にこのことは依然として問題になっており、完全な 解決が得られたわけではないことに注意しなければならない。 1つめの方法として、ハードウェアやCPUが受けつける命令自体を 統一してしまうことがあげられる。このことは通常ハードウェアメーカー各社の 努力によってなされる。 例えば、家庭用パソコンでない より多様な仕方で用いられるCPUのについては、大きな市場シェアを 占めるメーカーが存在せず、それらに対する対応はまちまちであるといえる。 関連のハードウェアについてもそれらへの命令の体系はあまり統一されているとは いえない。特に、急激な進歩が続いている分野、例えば、ハードディスクや グラフィックボードなどは、それらの命令にメーカーの重要な企業秘密に属する 情報が含まれていることがあり、それらの情報を公開することが 困難であることがある。そのため、これらの命令が完全に統一されることは あまり期待できないといえる。 2つめの方法としてあげられることは、それぞれの機器の機能のうちで 他の機器の機能と共通する部分を抽象化し、それに元々の命令とは 別の統一された名前を与え、それらの名前だけを用いてプログラムを作製する ことである。このことは実際にはコンパイラに関する話題とも密接に関係する のだが、つまり、そのような名前をある文法にしたがって書き並べることで、 プログラムをより汎用的な形で書くことが出来るのである。 もちろん書き上げたプログラムを2進数のプログラムに変換する簡単な方法が ないのなら、これは全く無意味な事であるが、 幸いにもそのような作業を行なうプログラムが実際に書けることが 知られており、また広く流通してもいる。このような抽象化された 名前によって作られたプログラムを、あるCPUに向けた2進数プログラムに置き換える プログラムをコンパイラと呼ぶのである。 しかし、このことはある機器が持つ標準的でない機能はコンパイラを使って それを扱うことが難しいことを意味する。そのようなものについては 必要な部分だけを2進数で書くか、コンパイラに適切な分岐を用いて そのような機能に対応させることによって、それらに対応しているが いずれにせよ対応がやや場当たり的になることは避けられないといえる。 結局、それぞれの機器の機能に対応する抽象化された名前を 作ることが、それぞれの機器の機能を移植性を保った方法で 用いるために役立つことが分かった。実際にはこれらの抽象化された名前の体系は まさにOSの機能の一部分を成している。例えば、OSの1つであるLinuxでは、 このような抽象化された命令としてread()とwrite()を持っている。 これは、例えばハードディスクに対する命令を抽象化することを 考えてみるとわかりやすい。ハードディスクはその中に磁気的なしくみで 蓄えられている情報を読みだしたり、新しい情報を書きこんだり する機能を持っているが、その仕組みは単に情報をreadする、または writeするという言葉で抽象化することが出来るのである。 もちろんreadやwriteという言葉は人間にとって直観的に意味が把握でき 便利であるが、それ自体はコンパイラに取っては意味があることではなく、 もっと分かりづらい名前にしてもよいのである。例えば、readは英語であるが、 これを日本語にしたり、別の言語にしたり、何の意味も持たない文字の羅列と してもよい。ただ、コンパイラとそれを用いる人間の間に共通の情報であれば それで用は足りているのである。 実際には、ハードディスクが扱える0と1の情報を用いて人間にとって 分かり易い仕方で情報を蓄えることはそれ自体が興味ある仕事である。 例えば、昨今どのような計算機においても用いられているツリー状の ディレクトリ構造も計算機に分かる仕方でそれを構成するのは、例え コンパイラを用いたとしても非常に大変な作業である。また、現在では ツリー状の構造を超えたより直観的なディレクトリ構造も模索されており、 これ以降どのようなファイル構造が主流になるかは、今の時点では よく分からないといえる。このように計算機の機能を用いて、 情報を蓄える方法をファイルシステムと呼びこれもOSの理論の重要な 一分野となっている。また、この部分は実際のOSメーカーの力も強く アカデミックな研究とメーカーとの距離が近い分野であるといえよう。 上ではread(),write()の命令を持っている機器としてハードディスクを 挙げたが、実際にはこのような命令を持っている機器はハードディスクに代表される 記憶装置だけにとどまらない。実際にはグラフィックカードやサウンドカードも このような命令を持っているのである。例えば、Linuxの重要なサウンドカード を扱う命令群にalsa があげられるが、そのコードの中には各々のメーカーのディレクトリがあり それぞれのメーカーの機器の命令を抽象化するようなread命令とwrite命令が 定義されているのである。しかし、サウンドカードについて何をreadしたりwrite したりするのであろうか?これは、readよりもwriteの方が分かり易いため そちらの方を扱う。理想化されたサウンドカードは1つの ディジタルアナログコンバーターに帰着される。 ディジタルアナログコンバーターはデジタル信号とアナログ信号を 変換するものであり、その逆にアナログ信号とデジタル信号を 変換する機器も知られている。このような機器は、加速器実験でも 加速器の実験機器が送ってくる信号を計算機が理解できる信号に変換するため よく用いられるものである。 ここでいうwrite命令はサウンドカード上のディジタルアナログコンバーターに ある定まった形式のデータを送り込む命令である。このデータは サウンドカードによって音楽を表わすデータと解釈され、それが本物の 音楽であるなら音楽を鳴らし、全く関係の無い文字などの羅列なら、 ノイズを鳴らすのである。このような音楽は通常圧縮された形式で 計算機上に蓄えられ、もともとどのような形で蓄えられていたものなのか 知るのは困難だが、各々の形式のデータを扱う音楽プレーヤーそれぞれの 仕方で圧縮されたデータを元のデータに変換しそれを用いて音楽を 鳴らしているのである。このことは、例え音楽を鳴らすような複雑な操作が 行なわれるにしても、計算機の側からはその機器は 通常の記憶装置の一種にしか見えないというやや非直観的な側面を持っている。 また、ここでいう音楽の圧縮自体も計算機科学の重要な一分野であり、 様々な効果的な圧縮手法が考案されている。他の分野でも映像や動画の 圧縮手法も様々に研究されており、それらの応用も幅広く知られている。 また、これらの圧縮手法については考案したメーカーの人間により 特許が取得されている場合があり、そのような場合はこれらの情報を 容易に用いることは出来ず、必ず特許取得者に対して何らかの額のお金を 払わなくてはならない。このことは研究への投資を回収し更なる研究を進めることを助けるという 観点から当然視されているが、あまりにも特許の内容が簡単な事であり その特許の適用範囲が広大である場合には、その特許を守ること自体が 研究の進行を遅らせる働きをしてしまい本来の特許法の意義に反する結果に なることが起こることもあり、そのような場合について様々な議論が かわされているようである。 ここまででそれぞれの機器の機能を抽象化しある一定の機能を用いる方法を 見てきた。おおよそ、現在用いられている家庭用パソコンはここまでに 書かれて来たことを用いて構成されているといえる。 ここからは、そのような標準化された入出力やファイルシステムはすでに 与えられたものとして、それらを用いてどのようなことを計算機にさせることが できるかを見ていく。このようにすでに入出力やファイルシステムなどの OSの機能が与えられた上でその機能を用いて書かれるソフトウェアを総称して アプリケーションと呼ばれる。ただし、OSの機能を用いて他のソフトウェアに 用いられるために書かれるソフトウェアも存在し、これらをライブラリと呼んで 区別することがある。ライブラリは例えば、グラフィックをより統一的な 仕方で表示するために用いられる。グラフィックカードもサウンドカードと同様 計算機からは記憶装置にしか見えない機器の一種であるが、 このような装置の特性上、直観的には簡単に見える機能であっても実際に 計算機を使ってやらせようと思うと難しく見える機能がある。 例として、グラフィックカード上に線を引くことを考える。これは、 碁盤の目上の図形を用意し、塗りつぶす部分を1で埋めて、塗りつぶさない部分を 0で埋めることで線を引くことが出来る。通常グラフィックカード上に配置されている メモリ上の図形は何らかの仕方でグラフィックを表示するディスプレイに送り届け られるのであるが、この部分は計算機の側からは見えない仕方で行なわれる ハードウェアメーカーの領分の仕事である。 ここでは、単に碁盤の目上に描かれた図形がそのままディスプレイ上に表示されると 考える。このとき、横向きや縦向きに線を引く場合は、どの点を1にしてどの点を 0にするかは簡単に決まる。しかし、斜めに線を引く場合にはこれは簡単には決まらず どのような見え方をさせたいかによって制御する必要がある。このような 制御は、グラフィックを用いる場合には非常に頻繁に用いられるため、 このような機能を何らかの標準化された仕方で作製しておくことが望ましい。 このような目的で作製されたプログラムをライブラリと呼ぶのである。 ライブラリは大きなプログラムになることが多く、単に利用するだけの立場で 計算機に関わるのならまずこれを作製する機会は無いが、 もちろんライブラリの機能は知っていた方が望ましい。 また、大きなライブラリになるとそれを設計するだけでも非常に難しい仕事に なるため、有能な設計者や技術者を確保するため大金が動くことも珍しくない。 ここからは個々のアプリケーションについて見て行きたいと思う。 ただし、あまりにも個々のアプリケーションの機能に特化した 説明をしてしまうと、解説に汎用性が無くなるため出来る限り 様々なOS上で同じような機能を持つ対応物がある程度に抽象化して 話を進めたいと思う。 ここでは、それぞれのアプリケーションがもつインタフェースに 注目して話を進める。 インターフェースとは個々のアプリケーションとそれを用いるユーザーが 意志疎通を行なう方法である。 例えば、読書などについてもインターフェースの考え方を抽象化して適用する ことが出来る。読書の場合には本が表示する情報を利用者が読み取る という関係になっており、利用者の方から本に対して何かを要求するという 関係は存在しない。これに対して、計算機を用いた場合ユーザーから プログラムへの入力に対してはマウス、キーボードなど様々な機器が 用いられる。ただし、これは利用者が用いるOSがそれぞれの機器に対応する 命令のセットを所持しているときの話である。通常の家庭用パソコンでは そのような事は既に設定されていることが普通なので、 ここからはそのような機能が既に得られているとする。 一方、計算機からユーザーに対しても文字を表示したり音楽を鳴らしたりと 様々な方法が考えられる。ただし、特に音楽や動画については現時点では OSごとに移植性が無い場合も多く、今後の発展が期待されるところである。 ここでは特に、利用者から計算機のインターフェースに注目する。 現在では主要なインタフェースは大きく分けてCUIとGUIがあげられる。 CUIはCharacter-based User Interfaceの略であり、文字を用いて 利用者に情報を送る方式である。この方式は古い方式で今は主流でないと 考えられがちであるが、実際にはそうではない。例えば、技術者だけが 用いるハードウェアの命令のセットに対してそれぞれにグラフィックをつけることは やや無駄に思われ、実際それほど行なわれてもいない。また、このような情報は それぞれの機器に固有のものとなってしまう傾向があり特に変化の速い分野では 機器の方の変化にグラフィックをつける作業の方が間に合わなくなってしまう ことが予想される。そのため、より変化の速い分野においては現在もそうであるし、 おそらくこれからも文字による情報伝達は主流であり続けるであろう。 次に、GUIは、Graphic-based User Interfaceの略であり、それぞれの情報に アイコンやスクロールバーなどのグラフィックを表示し、それぞれの情報を より直観的に提示する方法である。この方法は使うときには 非常に分かり易く重宝するが、これを実際にプログラムで制作することは やや難しい場合が多い。例えば、OSによっては標準的な仕方でグラフィックカードを 動かせるとは限らないし、動かせたとしてもそれに対応するライブラリが存在するとは 限らないのである。ライブラリが無いときにはそれを自力で作製するしか無いが それには通常多くの人手や予算がかかり、実際にそれを行なうのは困難であることが 多いのである。しかし、幸いにしてそのようなライブラリ等の問題を 全て乗り越えた計算機も家庭用パソコンを中心として多く存在する。例えば、 現在のWindowsや、Mac OS XやLinuxは通常グラフィカルな表示を持っており、 そのような問題を解決しているといえる。ただし、更に問題なのは それらのOSはそれぞれ異なったグラフィック表示ライブラリを用いており、 その間には互換性がないということである。それぞれのグラフィックライブラリは 製造元も発生の歴史的経緯も異なっているため、これらに互換性が無いのは 当然であるが、昨今ではLinuxが用いているものを中心に グラフィックライブラリを様々なOSに移植する計画が進んでいる。 Mac OS Xに対するXdarwinと呼ばれるプロジェクトはこの一種である。 ただし、実際には移植はただ一度だけではすまず、ライブラリが新機能を 加えるたびに、何度もそのような作業を繰り返す必要があり どのような仕方でこのプロジェクトが進行していくかは今の時点では分からない。 このように、GUIは様々な問題をかかえているが、特に初心者向けの アプリケーションについてはこのような直観的な入力方法は必須であり、 各々のメンバーが様々な仕方で開発を進めているといえる。 ここからは、特にCUIを中心に用いた手法を進めて行こうと思う。 なぜなら、上でも書いた通りGUIを用いた方法は移植性が無い場合が多く それぞれのOSに対して解説を加えるのも大変であるからである。 また、計算機の機能を全て使うという点ではCUIの方がGUIよりも優れているといえる。 例えば、通常あるアプリケーションのGUIを作製するためには、 CUIを用いる場合が 多い。これは、GUIで用いられるのはあくまでライブラリに代表される 抽象化された名前の集合であり、それらを扱うのは通常コンパイラの仕事であり、 またコンパイラ自身は通常CUIによる入力を受け取る方が普通だからである。 また、CUIを用いたプログラムは移植性に長けている場合が多く、 様々なOSで実行できる場合が多いことも理由の1つとしてあげられる。 ここからは本題である物理的な結果を得るために応用できる ソフトを説明して行く。一般に物理の研究は実験系と理論系に分かれており、 両者に取って必要となる計算機技術はかなり異なっている。 理論の側にとって理論研究に必要な計算機技術のうち多くは数値計算と 代数処理である。また、 数値計算を行なうときには計算機言語としては通常Fortranを 用いることになる。しかし、このときには計算機科学に属する詳しい知識は 実はあまり必要でない。どちらかといえば、このときに必要の知識はより実用的な 数値計算の知識であり、どちらかといえば工学に属する分野の知識であるといえる。 一方、計算機で用いる計算手法をより汎用性のある仕方でライブラリにしようとする ときには、どの計算機言語を用いるかの選択や、その選択した言語で書かれた プログラムのメンテナンスなどのいくらかを自動化するために、計算機を用いた 手法が重要になる。このように、計算機で仕事をするための計算機プログラムという 概念が存在することは、計算機以外の仕事と比べて計算機を用いた仕事の 著しい特徴と呼ばれるものであると思う。 次に実験的な研究を行なうときについては、最も頻繁に行なわれる仕事は データ処理である。実際にはデータの収集にも計算機が用いられるのが 普通であるが、このような手法はデータを収集する機器ごとに変わって来ており、 更に、そのうちにいくらかは企業に装置の作成を依頼した場合には企業秘密であり それ以上に詳しく知ることが許されないものでもあり、あまり一般的な事は 知ることが出来ないのが現状である。一方、実験で得たデータを 加工する技術は計算機技術の一種としても非常に面白いものであり、 またコンパイラの理論との関連にも興味深いものがあるため、追って 詳しく述べたいと思う。 また、理論物理と実験物理の共通の話題として、 数値計算で得た結果を直接外部のプログラムを呼び出してプロットを 作成する手法が問題になる場合がある。 しかし、このことについては割合深い計算機の知識が必要であるため、 ここですこし詳しく述べておこうと思う。 実際には外部プログラムを呼び出す方法はいくつかに分かれる。 ここでは3つの方法をあげるが、 そのうちの最初の2つは外部プログラム自身の設計によってそのような方法が 実際に適用できるかどうかが変化するため、実際にそのような設計になっていない場合 その方法を実行することが非常に困難になる。 また、最後の2つを説明するには、今までに紹介していないOSの機能の1つを 導入する必要がある。ただし、最後の1つはより汎用的に用いることが出来る 方法である。 ただし、OSの種類によってはそのような機能をサポートしていないことがあり、 やや移植性に欠けるという欠点がある。 まず第1に、外部プログラムのコードを自分が作成したコードの中から直接 呼び出す方法がある。つまり、自分が作成したコードが外部プログラムの 一部であるかのようにして、外部プログラムと同時にコンパイルを行なうのである。 この方法の欠点は、外部プログラム自身が大きいプログラムの集合であったとき、 それをコンパイルする事自体にかなりの時間がかかる点である。このような 欠点は、しかしより明快な形で設計されたライブラリについては現われることは無い。 例えば、X11というグラフィックを扱うライブラリがあるが、それらを扱う コードの全体は圧縮してもなお数10Mbにいたる巨大なものであるが、 実際に利用者がそれらの機能を用いるときには、そのライブラリが提供する機能の ほんの一部を用いることが普通である。このように、巨大なライブラリのうちの ただ一部を切り出してくる手法は計算機言語ごとに様々であり、言語の設計という 1つの分野を成している。この分野はコンパイラ設計と極めて近い関係に あるが、ただ設計だけを考えてコンパイラを作成しない場合も考えられるので、 それらの分野は一応分けて考えておいた方がよいものと思われる。 このようなコードの一部分だけを再利用する方法は、巨大なライブラリの多くが Cによって書かれているため、Cによる方法だけを修得すればよいように思える。 しかし、Java,Perlなどそれぞれの言語が無視できない 異なった手法を提示しているためここではこれ以上深く扱わず、抽象的に そのようなことがなられたものと仮定するにとどめておく。 いずれにしても始めからいくらかの機能だけを取りだして用いることを考えて 設計された場合を除いて、そのプログラムの全体をコンパイルしなければならない 手法は、あまり現実的な方法とはなり得ないと思われる。 第2の方法として、プロセス間通信と呼ばれる計算機技術を用いる方法がある。 ここで、OSの機能の1つであるプロセス管理について簡単に説明する。 幸いにもプロセスという考えかたは割合直観的に把握し易く、 おおよその考えを述べるだけでよいものと思われる。 計算機は何らかの意味を持った命令を連続的に計算機の命令を受けつける レジスタに受けつけることで、命令を実行している。このとき、通常の計算機は 一度に1つの命令しか実行できない。しかし、実用的な家庭用パソコンでは 例えばテレビを見ながらワープロを使うなど計算機に同時に複数の作業を させたいことが往々にしてある。このような情况を管理するため、 プロセス管理という考え方が生まれたのである。実際には計算機が1通りの 仕事をするだけなら、このようなプロセス管理の考え方は必要がない。 例えば、巨大な数値計算を専門に行なう計算機に取っては、常にただ1つの命令を 扱えば十分であり、それ以上に複雑な処理を行なうことはCPUに不必要な 負担をかけることになる。そのため、プロセス管理の手法は計算機の用途によって 使いわけることが必要となる。実際の現代的な家庭用パソコンでは 常にいくつかの仕事を並行して行なう形態が取られている。 このような手法をマルチタスクと呼ぶ。このように複数の仕事を同時に 行なうことはやや計算機科学の世界に深入りしすぎていると思われるので、 省略することにし、ここでは元の題材であるプロセス間通信に戻る。 プロセス間通信とは複数のプロセスの間でデータの電送を行なう手法の ことである。これは、実際にはある計算機で動いている2つのプロセスの 間だけでなく、他の計算機で動いているプロセスに対してもお互いの間で規格が 統一されていればデータを送ることが出来る。例えば、Webサーバーなどは この仕組みを用いて作成されている。 このような仕組みは伝統的に複数知られており、どの仕組みを用いるかは プログラムの設計上重要となるものと思われるが、実際にはそのような仕組みを 採用しているプログラム自体が少ないため、あまりどの仕組みが重要なのかは 触れないことにする。ここでは、様々なサーバーの仕組みの基礎を成す ソケットについて説明する。ソケットは、プロセス間通信の規格の1つであり 現在では数多くのOSにおいて使用可能となっている。 ソケットの仕組みは、OSのメモリ上にある領域を作成しておき、 その地点で2つのプロセスから来る信号を待ち受けることにある。 ここで、2つの信号がうまくであったならその2つの信号を発した プロセス間にデータを送受信するトンネルを開いて、各々の間で データを送受信可能にするのである。 このような仕組みを用いて、プロットのソフトに利用者が作成したプログラムによる データを送信することも出来そうに思える。しかし、実際にはそのような 機能を付け加えることは割合手間がかかるため、そのような機能をそなえた 外部プログラムはあまり知られていない。例外的にOpenOffice.org と呼ばれる オフィスソフトは、利用者が作成したプログラムとソケットを用いて更新することで、 作成中の文書の編集を行なうことが出来る仕組みを用いている。しかし、 このような機能が実際に使われるのかどうかは今の時点ではよく分からない。 第3の機能として紹介するのが、プロセス生成の手法である。 ここでは、プロセス自体を利用者のプログラムの中で生成してそれを用いて プロットを作成する方法を紹介する。プロセスを作成する方法は、 OSによって異なっているためこの手法に移植性があるかどうかは疑問だが、 この手法が使えるOSを用いている場合はもっとも手軽な方法である。 ここで、プロセスを生成する方法を見るために、プロセス管理の手法を 少し深く見て行くことにする。 通常、OSは複数のプロセスを管理するためにプロセステーブル と呼ばれる表を持っている。プロセス生成を行なうためには、 そのプロセステーブルに1つのプロセスを加える方法をOS側が提供している 必要がある。このような方法は実際Unixの周辺では実際提供されており、 命令の名前をfork()という。この命令はLinuxで提供されている他、 おそらくMac OS Xでも提供されているものと思われる。このように 自分がのコードが計算した値を何らかのファイルに書き出しておいて、 次に外部プログラムを行なうプロセスを立ち上げるようにしておけば、 自動的にプロットがなされたように見えるであろう。 理論的な研究手法に役立つ計算機技術の1つとして、計算機代数を 挙げようと思う。計算機代数は実用的にそれらによって得られる結果も面白い ものであることが多いが、その構成自身も非常に興味深いものであることが 多く、ここでは少し詳しく扱う。 計算機によって数式を扱うことは、計算機によって通常の数を扱う場合とは やや異なった性質を帯びる。なぜなら、通常加法や減法のような 数に対する四則演算は、CPU自体がそのような命令を持っていることが普通であり、 そのような手法を利用者はいかなる意味でも書き下すことは無い。 これは計算手法のハードウェア的な実装と呼ばれ、あらゆる意味で最も高速に 結果を得る手法であるといえる。例えば、通常計算機が扱うことが出来ない 文字式を扱うことが出来る計算機を作るとする。このときには、例えば、 xという文字だけを加えたいのなら回路の数を2倍に増やして、それによって 計算を行なうようにすればよい。片方の回路で扱う数をxについて0次の項の 係数として扱い、もう片方の回路で扱う数をxの係数として扱えばよいのである。 このような手法は高速であるが、しかしそのための計算機を作製するほど 汎用性がある機能であるかは疑問である。なぜなら、xの係数とxについて 0次の項の係数を分けて計算することはそれをソフトウェアで行なうことも けっして難しいことではないからである。通常計算機代数と呼ばれる プログラムはそのように特殊なハードウェアを用いる手法ではなく、既存の ハードウェアでソフトウェア的に計算機が扱える数学的な量を増やす手法のことを いうのである。 実際にそのような数学的関係を計算機的に書き下す方法は、 大きく分けて2つに分かれる。歴史的には数式処理は、Lispと呼ばれる計算機言語 と深い関係にあった。Lispについての解説は出来る限り避ける方針で 話を進めたいので、ここでは代わりにC言語を用いて話を進める。 1つめの書き方はCでいうところのvectorの構造を用いて、数式の関係を 書き下す手法である。 例えば、 という式を扱いたいとする。伝統的にはこの式は、 などとして書き下された。これはより直観的な書き方では、 のように、文字列が順に並べられている情况であると考えられる。 通常数学的な式は、いくつかの数の間の関係を表わす表式であるので、 あるベクトルを作成し、その最初の要素を関係を表わす文字列とし、 以降のベクトルの中味を先頭の文字列が表わす関係によって 関係づけられる量とすることで、数学的な関係が表わされるのである。 より複雑な式として例えば、 のような式は、 のような構造を用いて計算すればよい。ただし、Cの文法では ベクトルの中にベクトルを代入するような仕方は、通常の仕方では 出来ないので、これはあくまで仮想的なデータと考えなくてはいけない。 実際の数式処理では、このようなデータを作成するためにLispという 計算機言語を用いている場合が多い。Lispは、このようなデータを 統一的に管理するためのリストと呼ばれるデータを使用している。 リスト自体はCを用いても書くことが出来るがそれを用いて 様々なデータ型を統一的に扱う手法を得ることはやや難しい作業となる。 2つめの手法はオブジェクト指向の手法を用いる手法がある。 しかし、この手法を用いた数式処理では有力なものがあまり知られていないため、 さしあたりこちらの手法は無視することにする。 プログラムは通常何らかのデータを他の形に加工するために作製されるため、 データの処理は常に必要となる。もちろんこの分野はアカデミックな研究分野としても 重要と思われるのだが、より実用的な計算機技術においても しばしば問題となっており、それぞれに対して解決法が考察されている。 ここでは、データの扱い方を少し一般的に扱う。 ここでいうデータは、 (1)人間の読める形式になっている。 (2)データとして扱われるものは文字でも数値でもよい。 を満たすものとする。例えば、計算機を用いて計算した数値計算の結果や すこし一般的には学術論文などに用いられる.texファイル、更にXML形式で 保存されたオフィスソフトの文書などもこの中に含まれる。 一般にデータは、何らかの規則に従って並べられた文字列の集合である。数値的な データはそれが1つのものであったら数値と改行をくり返すことで書かれていることが 多い。また、データが何らかの意味で対応づけられている場合には対応のあるデータは スペースやコンマ等で区切られ、そのあとに改行が付けられていることが多い。 例えば、実験が始まってからの時刻とその時刻での測定値を並べて書いている場合が これに当てはまる。これらはいずれもデータを並べる規則の1つとして扱うことが できる。更に、より複雑な例では.texファイルでは (1)命令に対しては最初に ∖ {\displaystyle \backslash } を付ける。 (2)引数を取る命令は命令の直後に { } {\displaystyle \{\}} を付けることによって記述する。 などのいくつかのルールを用いて組版の情報を計算機に伝達しているのである。 .texファイルの場合には計算機は書かれた情報を与えられた命令を用いて理解し、 それを用いて更に別種の命令を作りだすことが成されている。 これは、例えば測定データ等についても、更にデータに対して四則演算等の 加工を行ないそれを出力としたいときには、常に必要となる技工である。 一般的には例えばC言語のコンパイラがCのプログラムを扱うときでも このことは当てはまっており、 (1)用いる変数を宣言する。 (2)文の最後には;をつける。 などのいくつかの規則の元にコンパイラは機械語の命令群を出力しているのである。 ここでは、より簡単な場合として通常の測定データの処理などを扱う。 そのために正規表現の導入を行なう。 w:正規表現とは次の規則で生成される文字列のことである。 (1)用いたい文字を全て導入し、それらを a 1 {\displaystyle a_{1}} , a n {\displaystyle a_{n}} とする。(nは整数。) (2)それらの任意の並びを文字列と呼ぶ。 (3)更に、ある文字列が任意の回数だけくり返されてできる文字列も 用いてよい文字列とする。 (4)どの文字とも一致するような文字が存在する。 通常正規表現を用いるプログラムではある程度記号ごとの意味が決まっている。 代表的なものとして、 (1)a,b, ...などの通常の文字 (2)1,2, ...などの通常の文字 (3)スペースなどの特殊な文字のうちで正規表現による意味が与えられていないもの (3) *:直前の文字が任意の回数だけくり返されることを表わす。 (4) []:かっこ内に現われる文字のいずれかが現われる。 (5) (): かっこ内に含まれる文字を1つの文字として扱う。 例えば、スペースを用いて区切られた任意の個数の数値 1 2 5 3 6 は、 に一致する。ここで、正規表現のパターンに一致した数値を後から使えるように したツールも知られており、その様なものを用いれば、 データを加工することが可能となるのである。 そのようなツールはPerl,Pythonなどが知られているが、 これらについてはプログラミングの手法でより詳しく述べる。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "物理学 > 物理学のための計算機とオープンソース", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "この文書は、理学系の学部を卒業した者が、何らかの仕方で計算機を学ぼうと 考えた場合の教科書の役割を果たすものとして書かれるものである。 また、計算機そのものに興味は無くとも研究の手段として計算機に関わる 必要が出来、それに関する知識を得たいと考える者も想定している。", "title": "始めに" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "この文書では、出来る限り計算機科学の原理的な部分も扱っていきたいと考えて いる。しかし多くの部分はすでに完成しているプログラムの使い方だけを示して、 その原理にまでは触れないことも多い。これは、ひとえに現在の物理研究と 計算機の関係を表わしてもいる。例えば、現在ではFortranによる数値計算は 物理研究に欠かせないものとなっている。しかし、物理学者で実際にFortranの コンパイラを書ける人間はほとんどいないのである。つまり、こういった場合 物理学者はコンパイラをブラックボックスとして扱い、それによって物理的な 結果を得ているのである。", "title": "始めに" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "しかし、このことは必ずしも責められるべきことではない。実際的な問題として コンパイラの理論は計算機科学の学部講義に含まれるものであり、その修得には すくなくとも2単位分の時間がかかる。更に、その講義自身もそれ以前の 学部の講義の内容に依存しているため、その修得には相当の時間がかかることになる。 このため、実際に物理研究のためにコンパイルの理論を学ぶのは、 あまり現実的ではないといえよう。むしろ、計算誤差の拡大を防ぐ方法に注力すべきである。", "title": "始めに" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "この文書でも、コンパイラの理論自体を扱うことは出来ない。しかし、 それに関係する部分で、それほど複雑でない部分は出来る限り扱っていこうと 考えている。例えば、Web上にはすでに多くのコンパイラが出回っており、 それらの原理や設計の思想を出来る限り紹介して行きたい。 また、コンパイラの中でも構文解析と呼ばれる部分は、計算機を扱う上で いろいろな部分で出会う考え方であり、これは詳しく紹介したいと思う。", "title": "始めに" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "理想的な計算機は、0と1の2種類の信号しか受け取れない機械であり、 これによって2種類以上のことをさせるよう指示を出すことは不可能に思える。 しかし、これは間違いであり、計算機が2通りの事柄しか理解できないとしても これに対して人間が出来ることと同じだけのことをさせることが可能である。", "title": "計算機との情報伝達手段" }, { "paragraph_id": 6, "tag": "p", "text": "もっとも簡単な例としてモールス信号を考えてみるとよい。 これは、ただ2通りだけの信号を用いて英語のアルファベットを 表現する方法を表わしているが、これを用いることが出来、更に 計算機が多少の英語の文法と単語を知っていたのなら、計算機に 人間に対すると同じだけの指示を与えることが可能になる。", "title": "計算機との情報伝達手段" }, { "paragraph_id": 7, "tag": "p", "text": "実際には、計算機に文法と単語を教えることも人間がやらなくてはならない 作業であるため、実際の人間が扱う言語よりも単純化された 文法と単語を扱うことが多い。 ここで実際に文法と単語を教える手法はまさしくコンパイラの理論そのものなので やや複雑になるが、簡単な例を取って考えてみることにする。", "title": "計算機との情報伝達手段" }, { "paragraph_id": 8, "tag": "p", "text": "まず、メモリとCPUだけからなっている理想的な計算機を 考える。ここで、メモリはそれぞれの部分が0と1だけの情報を蓄えることが出来る ものであり、CPUは加算、減算などの処理をすることが出来る電子回路であるとする。", "title": "計算機との情報伝達手段" }, { "paragraph_id": 9, "tag": "p", "text": "実際にはメモリとCPUの実際の設計は計算機科学というよりも工学部の特に 電気電子系で扱われることが多い内容であり、その詳細には触れることが出来ないが、 直観的にはメモリはただ2つの量子状態からなる電子スピンのようなものを 想像し、CPUに関しては、AND回路やOR回路が標準的な仕方で連なっている ものを想像すればよい。例えば、2進数の1桁の数に対する加算回路を考えてみる。 このとき、2進数の1桁の数は0と1のみであり、これらの足し算の結果の 1桁目を考えてみる。すると、それらの和は", "title": "計算機との情報伝達手段" }, { "paragraph_id": 10, "tag": "p", "text": "が得られる。これは回路としてはXOR回路と呼ばれる回路であり、 ある回路によって作ることが出来ることが知られている。 更に、1桁同士の足し算によって2桁の数が作られることに注目して、 2桁めの数値を計算する回路も考えてみる。このとき、2桁めの数値は、", "title": "計算機との情報伝達手段" }, { "paragraph_id": 11, "tag": "p", "text": "となるが、これはAND回路に等しい。結局、AND回路とXOR回路を組み合わせることで、 2進数の加法を行なう回路が作れたわけである。このように、CPUは 計算を行なう回路を集積したものであり、どちらかといえば計算機というより 電気系の学課の題材といえるだろう。 また、多くの実際に使われているCPUの詳細は全くの企業秘密であり、 それらを自由に扱うことは出来ない。", "title": "計算機との情報伝達手段" }, { "paragraph_id": 12, "tag": "p", "text": "一般にCPUに対してモールス信号的な2進数で表現された命令や足し算等に必要な 数値を与える部分を理想化したものをレジスタと呼ぶ。物理的には、CPUに 対して外部から電気信号を送るための端子である。レジスタは通常 複数あり、命令を受けるレジスタと、データを受け取るレジスタは別になっている。", "title": "計算機との情報伝達手段" }, { "paragraph_id": 13, "tag": "p", "text": "さて、ここまでで計算機に命令と命令を実行するのに必要なデータを与える 手段が分かった。理想的にはここからの話で、CPUへの命令は全てモールス信号的な 2進数の信号で行なわれており、2進数表記での命令を作ることを人間の側が 行なっているとしてもよい。しかし、それはあくまでも実用的に役立つ 文書を作るという本来のこの文書の目標に反している。例えば、 文書の執筆を行なうという大事業を2進数で書くことはほぼ不可能である。 ASCIIコードも全て手作業で2進数に直さなくてはならないし、 漢字が加わると更にその作業は難度を増す。 そのため、計算機に効果的な仕方で指示を与えるには、何らかの仕方で 既存の計算機への情報伝達を扱う道具を使う方法を修得しなければならない。 しかし、それらの道具自体も最終的にはそのような2進数の集まりであり、 それら自身もおそらく既存の資産を用いて作られたことは重要であると いえるだろう。", "title": "計算機との情報伝達手段" }, { "paragraph_id": 14, "tag": "p", "text": "ここまででCPUに命令を与える方法について考察して来た。 もちろんCPUに与える命令自体はCPUを作るメーカーに任せられており、 それについては個々のCPUメーカーの作る文書を読むしかその内容を知る 方法は無い。しかし、実際にはそれでは問題が生じて来る。 あるソフトウェアをあるCPU向けに書いたとする。このとき、このソフトは あるそのCPUが理解できる命令の集まりとなっている。 このソフトを、他のCPUに対しても使いたいと思ったとしよう。 このとき、CPUごとに体系に異なった命令が用いられていたとすると、 ある命令の集まりは別のCPUに対してはなんら意味のある活動を 起こさせることが出来ない。このことを、得られた命令に移植性がないという。 このことは、そもそもCPUごとの命令に定まった意味が無く、信号ごとの意味の 当てはめ方が任意であったことを考えると、全く当然のことと言えるのだが、 それでも、1つのCPUに対して書いた2進数プログラムと、他のCPUに対して書いた 2進数プログラムに全く互換性が無いとすると、それぞれのCPUに対して 全く別のプログラムを書くことをしなければならず、このことは非常に大変な 作業になると考えられる。 実際にはこの問題は、CPUに対してだけに留まらない。昨今ではそれぞれの 機器、例えばハードディスクやサウンドカードなどが挙げられるが、 それぞれが個別の命令の体系を持っており、それら自身もある程度それを 作るメーカーに信号の受け方を決める権限が任されている。 そのため、それらに対しても個別に信号の受け方や送り方を規定せねばならず、 それぞれの機器がそれぞれのCPUや他の機器と組み合わせて用いられることを 考え合わせると、その組み合わせは非常に多くの数を持つと考えられる。", "title": "移植性" }, { "paragraph_id": 15, "tag": "p", "text": "この問題はいくつかの方法で解決が図られている。しかし、 いくつかの場合にこのことは依然として問題になっており、完全な 解決が得られたわけではないことに注意しなければならない。 1つめの方法として、ハードウェアやCPUが受けつける命令自体を 統一してしまうことがあげられる。このことは通常ハードウェアメーカー各社の 努力によってなされる。 例えば、家庭用パソコンでない より多様な仕方で用いられるCPUのについては、大きな市場シェアを 占めるメーカーが存在せず、それらに対する対応はまちまちであるといえる。 関連のハードウェアについてもそれらへの命令の体系はあまり統一されているとは いえない。特に、急激な進歩が続いている分野、例えば、ハードディスクや グラフィックボードなどは、それらの命令にメーカーの重要な企業秘密に属する 情報が含まれていることがあり、それらの情報を公開することが 困難であることがある。そのため、これらの命令が完全に統一されることは あまり期待できないといえる。 2つめの方法としてあげられることは、それぞれの機器の機能のうちで 他の機器の機能と共通する部分を抽象化し、それに元々の命令とは 別の統一された名前を与え、それらの名前だけを用いてプログラムを作製する ことである。このことは実際にはコンパイラに関する話題とも密接に関係する のだが、つまり、そのような名前をある文法にしたがって書き並べることで、 プログラムをより汎用的な形で書くことが出来るのである。 もちろん書き上げたプログラムを2進数のプログラムに変換する簡単な方法が ないのなら、これは全く無意味な事であるが、 幸いにもそのような作業を行なうプログラムが実際に書けることが 知られており、また広く流通してもいる。このような抽象化された 名前によって作られたプログラムを、あるCPUに向けた2進数プログラムに置き換える プログラムをコンパイラと呼ぶのである。 しかし、このことはある機器が持つ標準的でない機能はコンパイラを使って それを扱うことが難しいことを意味する。そのようなものについては 必要な部分だけを2進数で書くか、コンパイラに適切な分岐を用いて そのような機能に対応させることによって、それらに対応しているが いずれにせよ対応がやや場当たり的になることは避けられないといえる。", "title": "移植性" }, { "paragraph_id": 16, "tag": "p", "text": "結局、それぞれの機器の機能に対応する抽象化された名前を 作ることが、それぞれの機器の機能を移植性を保った方法で 用いるために役立つことが分かった。実際にはこれらの抽象化された名前の体系は まさにOSの機能の一部分を成している。例えば、OSの1つであるLinuxでは、 このような抽象化された命令としてread()とwrite()を持っている。 これは、例えばハードディスクに対する命令を抽象化することを 考えてみるとわかりやすい。ハードディスクはその中に磁気的なしくみで 蓄えられている情報を読みだしたり、新しい情報を書きこんだり する機能を持っているが、その仕組みは単に情報をreadする、または writeするという言葉で抽象化することが出来るのである。 もちろんreadやwriteという言葉は人間にとって直観的に意味が把握でき 便利であるが、それ自体はコンパイラに取っては意味があることではなく、 もっと分かりづらい名前にしてもよいのである。例えば、readは英語であるが、 これを日本語にしたり、別の言語にしたり、何の意味も持たない文字の羅列と してもよい。ただ、コンパイラとそれを用いる人間の間に共通の情報であれば それで用は足りているのである。 実際には、ハードディスクが扱える0と1の情報を用いて人間にとって 分かり易い仕方で情報を蓄えることはそれ自体が興味ある仕事である。 例えば、昨今どのような計算機においても用いられているツリー状の ディレクトリ構造も計算機に分かる仕方でそれを構成するのは、例え コンパイラを用いたとしても非常に大変な作業である。また、現在では ツリー状の構造を超えたより直観的なディレクトリ構造も模索されており、 これ以降どのようなファイル構造が主流になるかは、今の時点では よく分からないといえる。このように計算機の機能を用いて、 情報を蓄える方法をファイルシステムと呼びこれもOSの理論の重要な 一分野となっている。また、この部分は実際のOSメーカーの力も強く アカデミックな研究とメーカーとの距離が近い分野であるといえよう。", "title": "移植性" }, { "paragraph_id": 17, "tag": "p", "text": "上ではread(),write()の命令を持っている機器としてハードディスクを 挙げたが、実際にはこのような命令を持っている機器はハードディスクに代表される 記憶装置だけにとどまらない。実際にはグラフィックカードやサウンドカードも このような命令を持っているのである。例えば、Linuxの重要なサウンドカード を扱う命令群にalsa があげられるが、そのコードの中には各々のメーカーのディレクトリがあり それぞれのメーカーの機器の命令を抽象化するようなread命令とwrite命令が 定義されているのである。しかし、サウンドカードについて何をreadしたりwrite したりするのであろうか?これは、readよりもwriteの方が分かり易いため そちらの方を扱う。理想化されたサウンドカードは1つの ディジタルアナログコンバーターに帰着される。 ディジタルアナログコンバーターはデジタル信号とアナログ信号を 変換するものであり、その逆にアナログ信号とデジタル信号を 変換する機器も知られている。このような機器は、加速器実験でも 加速器の実験機器が送ってくる信号を計算機が理解できる信号に変換するため よく用いられるものである。 ここでいうwrite命令はサウンドカード上のディジタルアナログコンバーターに ある定まった形式のデータを送り込む命令である。このデータは サウンドカードによって音楽を表わすデータと解釈され、それが本物の 音楽であるなら音楽を鳴らし、全く関係の無い文字などの羅列なら、 ノイズを鳴らすのである。このような音楽は通常圧縮された形式で 計算機上に蓄えられ、もともとどのような形で蓄えられていたものなのか 知るのは困難だが、各々の形式のデータを扱う音楽プレーヤーそれぞれの 仕方で圧縮されたデータを元のデータに変換しそれを用いて音楽を 鳴らしているのである。このことは、例え音楽を鳴らすような複雑な操作が 行なわれるにしても、計算機の側からはその機器は 通常の記憶装置の一種にしか見えないというやや非直観的な側面を持っている。", "title": "移植性" }, { "paragraph_id": 18, "tag": "p", "text": "また、ここでいう音楽の圧縮自体も計算機科学の重要な一分野であり、 様々な効果的な圧縮手法が考案されている。他の分野でも映像や動画の 圧縮手法も様々に研究されており、それらの応用も幅広く知られている。 また、これらの圧縮手法については考案したメーカーの人間により 特許が取得されている場合があり、そのような場合はこれらの情報を 容易に用いることは出来ず、必ず特許取得者に対して何らかの額のお金を 払わなくてはならない。このことは研究への投資を回収し更なる研究を進めることを助けるという 観点から当然視されているが、あまりにも特許の内容が簡単な事であり その特許の適用範囲が広大である場合には、その特許を守ること自体が 研究の進行を遅らせる働きをしてしまい本来の特許法の意義に反する結果に なることが起こることもあり、そのような場合について様々な議論が かわされているようである。", "title": "移植性" }, { "paragraph_id": 19, "tag": "p", "text": "ここまででそれぞれの機器の機能を抽象化しある一定の機能を用いる方法を 見てきた。おおよそ、現在用いられている家庭用パソコンはここまでに 書かれて来たことを用いて構成されているといえる。 ここからは、そのような標準化された入出力やファイルシステムはすでに 与えられたものとして、それらを用いてどのようなことを計算機にさせることが できるかを見ていく。このようにすでに入出力やファイルシステムなどの OSの機能が与えられた上でその機能を用いて書かれるソフトウェアを総称して アプリケーションと呼ばれる。ただし、OSの機能を用いて他のソフトウェアに 用いられるために書かれるソフトウェアも存在し、これらをライブラリと呼んで 区別することがある。ライブラリは例えば、グラフィックをより統一的な 仕方で表示するために用いられる。グラフィックカードもサウンドカードと同様 計算機からは記憶装置にしか見えない機器の一種であるが、 このような装置の特性上、直観的には簡単に見える機能であっても実際に 計算機を使ってやらせようと思うと難しく見える機能がある。 例として、グラフィックカード上に線を引くことを考える。これは、 碁盤の目上の図形を用意し、塗りつぶす部分を1で埋めて、塗りつぶさない部分を 0で埋めることで線を引くことが出来る。通常グラフィックカード上に配置されている メモリ上の図形は何らかの仕方でグラフィックを表示するディスプレイに送り届け られるのであるが、この部分は計算機の側からは見えない仕方で行なわれる ハードウェアメーカーの領分の仕事である。 ここでは、単に碁盤の目上に描かれた図形がそのままディスプレイ上に表示されると 考える。このとき、横向きや縦向きに線を引く場合は、どの点を1にしてどの点を 0にするかは簡単に決まる。しかし、斜めに線を引く場合にはこれは簡単には決まらず どのような見え方をさせたいかによって制御する必要がある。このような 制御は、グラフィックを用いる場合には非常に頻繁に用いられるため、 このような機能を何らかの標準化された仕方で作製しておくことが望ましい。 このような目的で作製されたプログラムをライブラリと呼ぶのである。 ライブラリは大きなプログラムになることが多く、単に利用するだけの立場で 計算機に関わるのならまずこれを作製する機会は無いが、 もちろんライブラリの機能は知っていた方が望ましい。 また、大きなライブラリになるとそれを設計するだけでも非常に難しい仕事に なるため、有能な設計者や技術者を確保するため大金が動くことも珍しくない。", "title": "アプリケーション" }, { "paragraph_id": 20, "tag": "p", "text": "ここからは個々のアプリケーションについて見て行きたいと思う。 ただし、あまりにも個々のアプリケーションの機能に特化した 説明をしてしまうと、解説に汎用性が無くなるため出来る限り 様々なOS上で同じような機能を持つ対応物がある程度に抽象化して 話を進めたいと思う。 ここでは、それぞれのアプリケーションがもつインタフェースに 注目して話を進める。 インターフェースとは個々のアプリケーションとそれを用いるユーザーが 意志疎通を行なう方法である。 例えば、読書などについてもインターフェースの考え方を抽象化して適用する ことが出来る。読書の場合には本が表示する情報を利用者が読み取る という関係になっており、利用者の方から本に対して何かを要求するという 関係は存在しない。これに対して、計算機を用いた場合ユーザーから プログラムへの入力に対してはマウス、キーボードなど様々な機器が 用いられる。ただし、これは利用者が用いるOSがそれぞれの機器に対応する 命令のセットを所持しているときの話である。通常の家庭用パソコンでは そのような事は既に設定されていることが普通なので、 ここからはそのような機能が既に得られているとする。 一方、計算機からユーザーに対しても文字を表示したり音楽を鳴らしたりと 様々な方法が考えられる。ただし、特に音楽や動画については現時点では OSごとに移植性が無い場合も多く、今後の発展が期待されるところである。 ここでは特に、利用者から計算機のインターフェースに注目する。 現在では主要なインタフェースは大きく分けてCUIとGUIがあげられる。 CUIはCharacter-based User Interfaceの略であり、文字を用いて 利用者に情報を送る方式である。この方式は古い方式で今は主流でないと 考えられがちであるが、実際にはそうではない。例えば、技術者だけが 用いるハードウェアの命令のセットに対してそれぞれにグラフィックをつけることは やや無駄に思われ、実際それほど行なわれてもいない。また、このような情報は それぞれの機器に固有のものとなってしまう傾向があり特に変化の速い分野では 機器の方の変化にグラフィックをつける作業の方が間に合わなくなってしまう ことが予想される。そのため、より変化の速い分野においては現在もそうであるし、 おそらくこれからも文字による情報伝達は主流であり続けるであろう。 次に、GUIは、Graphic-based User Interfaceの略であり、それぞれの情報に アイコンやスクロールバーなどのグラフィックを表示し、それぞれの情報を より直観的に提示する方法である。この方法は使うときには 非常に分かり易く重宝するが、これを実際にプログラムで制作することは やや難しい場合が多い。例えば、OSによっては標準的な仕方でグラフィックカードを 動かせるとは限らないし、動かせたとしてもそれに対応するライブラリが存在するとは 限らないのである。ライブラリが無いときにはそれを自力で作製するしか無いが それには通常多くの人手や予算がかかり、実際にそれを行なうのは困難であることが 多いのである。しかし、幸いにしてそのようなライブラリ等の問題を 全て乗り越えた計算機も家庭用パソコンを中心として多く存在する。例えば、 現在のWindowsや、Mac OS XやLinuxは通常グラフィカルな表示を持っており、 そのような問題を解決しているといえる。ただし、更に問題なのは それらのOSはそれぞれ異なったグラフィック表示ライブラリを用いており、 その間には互換性がないということである。それぞれのグラフィックライブラリは 製造元も発生の歴史的経緯も異なっているため、これらに互換性が無いのは 当然であるが、昨今ではLinuxが用いているものを中心に グラフィックライブラリを様々なOSに移植する計画が進んでいる。 Mac OS Xに対するXdarwinと呼ばれるプロジェクトはこの一種である。 ただし、実際には移植はただ一度だけではすまず、ライブラリが新機能を 加えるたびに、何度もそのような作業を繰り返す必要があり どのような仕方でこのプロジェクトが進行していくかは今の時点では分からない。 このように、GUIは様々な問題をかかえているが、特に初心者向けの アプリケーションについてはこのような直観的な入力方法は必須であり、 各々のメンバーが様々な仕方で開発を進めているといえる。", "title": "アプリケーション" }, { "paragraph_id": 21, "tag": "p", "text": "ここからは、特にCUIを中心に用いた手法を進めて行こうと思う。 なぜなら、上でも書いた通りGUIを用いた方法は移植性が無い場合が多く それぞれのOSに対して解説を加えるのも大変であるからである。 また、計算機の機能を全て使うという点ではCUIの方がGUIよりも優れているといえる。 例えば、通常あるアプリケーションのGUIを作製するためには、 CUIを用いる場合が 多い。これは、GUIで用いられるのはあくまでライブラリに代表される 抽象化された名前の集合であり、それらを扱うのは通常コンパイラの仕事であり、 またコンパイラ自身は通常CUIによる入力を受け取る方が普通だからである。 また、CUIを用いたプログラムは移植性に長けている場合が多く、 様々なOSで実行できる場合が多いことも理由の1つとしてあげられる。", "title": "アプリケーション" }, { "paragraph_id": 22, "tag": "p", "text": "ここからは本題である物理的な結果を得るために応用できる ソフトを説明して行く。一般に物理の研究は実験系と理論系に分かれており、 両者に取って必要となる計算機技術はかなり異なっている。 理論の側にとって理論研究に必要な計算機技術のうち多くは数値計算と 代数処理である。また、 数値計算を行なうときには計算機言語としては通常Fortranを 用いることになる。しかし、このときには計算機科学に属する詳しい知識は 実はあまり必要でない。どちらかといえば、このときに必要の知識はより実用的な 数値計算の知識であり、どちらかといえば工学に属する分野の知識であるといえる。 一方、計算機で用いる計算手法をより汎用性のある仕方でライブラリにしようとする ときには、どの計算機言語を用いるかの選択や、その選択した言語で書かれた プログラムのメンテナンスなどのいくらかを自動化するために、計算機を用いた 手法が重要になる。このように、計算機で仕事をするための計算機プログラムという 概念が存在することは、計算機以外の仕事と比べて計算機を用いた仕事の 著しい特徴と呼ばれるものであると思う。", "title": "物理学研究に際して応用上重要なアプリケーション群" }, { "paragraph_id": 23, "tag": "p", "text": "次に実験的な研究を行なうときについては、最も頻繁に行なわれる仕事は データ処理である。実際にはデータの収集にも計算機が用いられるのが 普通であるが、このような手法はデータを収集する機器ごとに変わって来ており、 更に、そのうちにいくらかは企業に装置の作成を依頼した場合には企業秘密であり それ以上に詳しく知ることが許されないものでもあり、あまり一般的な事は 知ることが出来ないのが現状である。一方、実験で得たデータを 加工する技術は計算機技術の一種としても非常に面白いものであり、 またコンパイラの理論との関連にも興味深いものがあるため、追って 詳しく述べたいと思う。", "title": "物理学研究に際して応用上重要なアプリケーション群" }, { "paragraph_id": 24, "tag": "p", "text": "また、理論物理と実験物理の共通の話題として、 数値計算で得た結果を直接外部のプログラムを呼び出してプロットを 作成する手法が問題になる場合がある。 しかし、このことについては割合深い計算機の知識が必要であるため、 ここですこし詳しく述べておこうと思う。", "title": "物理学研究に際して応用上重要なアプリケーション群" }, { "paragraph_id": 25, "tag": "p", "text": "実際には外部プログラムを呼び出す方法はいくつかに分かれる。 ここでは3つの方法をあげるが、 そのうちの最初の2つは外部プログラム自身の設計によってそのような方法が 実際に適用できるかどうかが変化するため、実際にそのような設計になっていない場合 その方法を実行することが非常に困難になる。 また、最後の2つを説明するには、今までに紹介していないOSの機能の1つを 導入する必要がある。ただし、最後の1つはより汎用的に用いることが出来る 方法である。 ただし、OSの種類によってはそのような機能をサポートしていないことがあり、 やや移植性に欠けるという欠点がある。 まず第1に、外部プログラムのコードを自分が作成したコードの中から直接 呼び出す方法がある。つまり、自分が作成したコードが外部プログラムの 一部であるかのようにして、外部プログラムと同時にコンパイルを行なうのである。 この方法の欠点は、外部プログラム自身が大きいプログラムの集合であったとき、 それをコンパイルする事自体にかなりの時間がかかる点である。このような 欠点は、しかしより明快な形で設計されたライブラリについては現われることは無い。 例えば、X11というグラフィックを扱うライブラリがあるが、それらを扱う コードの全体は圧縮してもなお数10Mbにいたる巨大なものであるが、 実際に利用者がそれらの機能を用いるときには、そのライブラリが提供する機能の ほんの一部を用いることが普通である。このように、巨大なライブラリのうちの ただ一部を切り出してくる手法は計算機言語ごとに様々であり、言語の設計という 1つの分野を成している。この分野はコンパイラ設計と極めて近い関係に あるが、ただ設計だけを考えてコンパイラを作成しない場合も考えられるので、 それらの分野は一応分けて考えておいた方がよいものと思われる。 このようなコードの一部分だけを再利用する方法は、巨大なライブラリの多くが Cによって書かれているため、Cによる方法だけを修得すればよいように思える。 しかし、Java,Perlなどそれぞれの言語が無視できない 異なった手法を提示しているためここではこれ以上深く扱わず、抽象的に そのようなことがなられたものと仮定するにとどめておく。 いずれにしても始めからいくらかの機能だけを取りだして用いることを考えて 設計された場合を除いて、そのプログラムの全体をコンパイルしなければならない 手法は、あまり現実的な方法とはなり得ないと思われる。", "title": "物理学研究に際して応用上重要なアプリケーション群" }, { "paragraph_id": 26, "tag": "p", "text": "第2の方法として、プロセス間通信と呼ばれる計算機技術を用いる方法がある。 ここで、OSの機能の1つであるプロセス管理について簡単に説明する。 幸いにもプロセスという考えかたは割合直観的に把握し易く、 おおよその考えを述べるだけでよいものと思われる。 計算機は何らかの意味を持った命令を連続的に計算機の命令を受けつける レジスタに受けつけることで、命令を実行している。このとき、通常の計算機は 一度に1つの命令しか実行できない。しかし、実用的な家庭用パソコンでは 例えばテレビを見ながらワープロを使うなど計算機に同時に複数の作業を させたいことが往々にしてある。このような情况を管理するため、 プロセス管理という考え方が生まれたのである。実際には計算機が1通りの 仕事をするだけなら、このようなプロセス管理の考え方は必要がない。 例えば、巨大な数値計算を専門に行なう計算機に取っては、常にただ1つの命令を 扱えば十分であり、それ以上に複雑な処理を行なうことはCPUに不必要な 負担をかけることになる。そのため、プロセス管理の手法は計算機の用途によって 使いわけることが必要となる。実際の現代的な家庭用パソコンでは 常にいくつかの仕事を並行して行なう形態が取られている。 このような手法をマルチタスクと呼ぶ。このように複数の仕事を同時に 行なうことはやや計算機科学の世界に深入りしすぎていると思われるので、 省略することにし、ここでは元の題材であるプロセス間通信に戻る。", "title": "物理学研究に際して応用上重要なアプリケーション群" }, { "paragraph_id": 27, "tag": "p", "text": "プロセス間通信とは複数のプロセスの間でデータの電送を行なう手法の ことである。これは、実際にはある計算機で動いている2つのプロセスの 間だけでなく、他の計算機で動いているプロセスに対してもお互いの間で規格が 統一されていればデータを送ることが出来る。例えば、Webサーバーなどは この仕組みを用いて作成されている。 このような仕組みは伝統的に複数知られており、どの仕組みを用いるかは プログラムの設計上重要となるものと思われるが、実際にはそのような仕組みを 採用しているプログラム自体が少ないため、あまりどの仕組みが重要なのかは 触れないことにする。ここでは、様々なサーバーの仕組みの基礎を成す ソケットについて説明する。ソケットは、プロセス間通信の規格の1つであり 現在では数多くのOSにおいて使用可能となっている。 ソケットの仕組みは、OSのメモリ上にある領域を作成しておき、 その地点で2つのプロセスから来る信号を待ち受けることにある。 ここで、2つの信号がうまくであったならその2つの信号を発した プロセス間にデータを送受信するトンネルを開いて、各々の間で データを送受信可能にするのである。 このような仕組みを用いて、プロットのソフトに利用者が作成したプログラムによる データを送信することも出来そうに思える。しかし、実際にはそのような 機能を付け加えることは割合手間がかかるため、そのような機能をそなえた 外部プログラムはあまり知られていない。例外的にOpenOffice.org と呼ばれる オフィスソフトは、利用者が作成したプログラムとソケットを用いて更新することで、 作成中の文書の編集を行なうことが出来る仕組みを用いている。しかし、 このような機能が実際に使われるのかどうかは今の時点ではよく分からない。", "title": "物理学研究に際して応用上重要なアプリケーション群" }, { "paragraph_id": 28, "tag": "p", "text": "第3の機能として紹介するのが、プロセス生成の手法である。 ここでは、プロセス自体を利用者のプログラムの中で生成してそれを用いて プロットを作成する方法を紹介する。プロセスを作成する方法は、 OSによって異なっているためこの手法に移植性があるかどうかは疑問だが、 この手法が使えるOSを用いている場合はもっとも手軽な方法である。 ここで、プロセスを生成する方法を見るために、プロセス管理の手法を 少し深く見て行くことにする。 通常、OSは複数のプロセスを管理するためにプロセステーブル と呼ばれる表を持っている。プロセス生成を行なうためには、 そのプロセステーブルに1つのプロセスを加える方法をOS側が提供している 必要がある。このような方法は実際Unixの周辺では実際提供されており、 命令の名前をfork()という。この命令はLinuxで提供されている他、 おそらくMac OS Xでも提供されているものと思われる。このように 自分がのコードが計算した値を何らかのファイルに書き出しておいて、 次に外部プログラムを行なうプロセスを立ち上げるようにしておけば、 自動的にプロットがなされたように見えるであろう。", "title": "物理学研究に際して応用上重要なアプリケーション群" }, { "paragraph_id": 29, "tag": "p", "text": "理論的な研究手法に役立つ計算機技術の1つとして、計算機代数を 挙げようと思う。計算機代数は実用的にそれらによって得られる結果も面白い ものであることが多いが、その構成自身も非常に興味深いものであることが 多く、ここでは少し詳しく扱う。", "title": "物理学研究に際して応用上重要なアプリケーション群" }, { "paragraph_id": 30, "tag": "p", "text": "計算機によって数式を扱うことは、計算機によって通常の数を扱う場合とは やや異なった性質を帯びる。なぜなら、通常加法や減法のような 数に対する四則演算は、CPU自体がそのような命令を持っていることが普通であり、 そのような手法を利用者はいかなる意味でも書き下すことは無い。 これは計算手法のハードウェア的な実装と呼ばれ、あらゆる意味で最も高速に 結果を得る手法であるといえる。例えば、通常計算機が扱うことが出来ない 文字式を扱うことが出来る計算機を作るとする。このときには、例えば、 xという文字だけを加えたいのなら回路の数を2倍に増やして、それによって 計算を行なうようにすればよい。片方の回路で扱う数をxについて0次の項の 係数として扱い、もう片方の回路で扱う数をxの係数として扱えばよいのである。 このような手法は高速であるが、しかしそのための計算機を作製するほど 汎用性がある機能であるかは疑問である。なぜなら、xの係数とxについて 0次の項の係数を分けて計算することはそれをソフトウェアで行なうことも けっして難しいことではないからである。通常計算機代数と呼ばれる プログラムはそのように特殊なハードウェアを用いる手法ではなく、既存の ハードウェアでソフトウェア的に計算機が扱える数学的な量を増やす手法のことを いうのである。", "title": "物理学研究に際して応用上重要なアプリケーション群" }, { "paragraph_id": 31, "tag": "p", "text": "実際にそのような数学的関係を計算機的に書き下す方法は、 大きく分けて2つに分かれる。歴史的には数式処理は、Lispと呼ばれる計算機言語 と深い関係にあった。Lispについての解説は出来る限り避ける方針で 話を進めたいので、ここでは代わりにC言語を用いて話を進める。 1つめの書き方はCでいうところのvectorの構造を用いて、数式の関係を 書き下す手法である。 例えば、", "title": "物理学研究に際して応用上重要なアプリケーション群" }, { "paragraph_id": 32, "tag": "p", "text": "という式を扱いたいとする。伝統的にはこの式は、", "title": "物理学研究に際して応用上重要なアプリケーション群" }, { "paragraph_id": 33, "tag": "p", "text": "などとして書き下された。これはより直観的な書き方では、", "title": "物理学研究に際して応用上重要なアプリケーション群" }, { "paragraph_id": 34, "tag": "p", "text": "のように、文字列が順に並べられている情况であると考えられる。 通常数学的な式は、いくつかの数の間の関係を表わす表式であるので、 あるベクトルを作成し、その最初の要素を関係を表わす文字列とし、 以降のベクトルの中味を先頭の文字列が表わす関係によって 関係づけられる量とすることで、数学的な関係が表わされるのである。 より複雑な式として例えば、", "title": "物理学研究に際して応用上重要なアプリケーション群" }, { "paragraph_id": 35, "tag": "p", "text": "のような式は、", "title": "物理学研究に際して応用上重要なアプリケーション群" }, { "paragraph_id": 36, "tag": "p", "text": "のような構造を用いて計算すればよい。ただし、Cの文法では ベクトルの中にベクトルを代入するような仕方は、通常の仕方では 出来ないので、これはあくまで仮想的なデータと考えなくてはいけない。 実際の数式処理では、このようなデータを作成するためにLispという 計算機言語を用いている場合が多い。Lispは、このようなデータを 統一的に管理するためのリストと呼ばれるデータを使用している。 リスト自体はCを用いても書くことが出来るがそれを用いて 様々なデータ型を統一的に扱う手法を得ることはやや難しい作業となる。", "title": "物理学研究に際して応用上重要なアプリケーション群" }, { "paragraph_id": 37, "tag": "p", "text": "2つめの手法はオブジェクト指向の手法を用いる手法がある。 しかし、この手法を用いた数式処理では有力なものがあまり知られていないため、 さしあたりこちらの手法は無視することにする。", "title": "物理学研究に際して応用上重要なアプリケーション群" }, { "paragraph_id": 38, "tag": "p", "text": "", "title": "物理学研究に際して応用上重要なアプリケーション群" }, { "paragraph_id": 39, "tag": "p", "text": "プログラムは通常何らかのデータを他の形に加工するために作製されるため、 データの処理は常に必要となる。もちろんこの分野はアカデミックな研究分野としても 重要と思われるのだが、より実用的な計算機技術においても しばしば問題となっており、それぞれに対して解決法が考察されている。 ここでは、データの扱い方を少し一般的に扱う。", "title": "物理学研究に際して応用上重要なアプリケーション群" }, { "paragraph_id": 40, "tag": "p", "text": "ここでいうデータは、 (1)人間の読める形式になっている。 (2)データとして扱われるものは文字でも数値でもよい。 を満たすものとする。例えば、計算機を用いて計算した数値計算の結果や すこし一般的には学術論文などに用いられる.texファイル、更にXML形式で 保存されたオフィスソフトの文書などもこの中に含まれる。", "title": "物理学研究に際して応用上重要なアプリケーション群" }, { "paragraph_id": 41, "tag": "p", "text": "一般にデータは、何らかの規則に従って並べられた文字列の集合である。数値的な データはそれが1つのものであったら数値と改行をくり返すことで書かれていることが 多い。また、データが何らかの意味で対応づけられている場合には対応のあるデータは スペースやコンマ等で区切られ、そのあとに改行が付けられていることが多い。 例えば、実験が始まってからの時刻とその時刻での測定値を並べて書いている場合が これに当てはまる。これらはいずれもデータを並べる規則の1つとして扱うことが できる。更に、より複雑な例では.texファイルでは (1)命令に対しては最初に ∖ {\\displaystyle \\backslash } を付ける。 (2)引数を取る命令は命令の直後に { } {\\displaystyle \\{\\}} を付けることによって記述する。 などのいくつかのルールを用いて組版の情報を計算機に伝達しているのである。 .texファイルの場合には計算機は書かれた情報を与えられた命令を用いて理解し、 それを用いて更に別種の命令を作りだすことが成されている。 これは、例えば測定データ等についても、更にデータに対して四則演算等の 加工を行ないそれを出力としたいときには、常に必要となる技工である。 一般的には例えばC言語のコンパイラがCのプログラムを扱うときでも このことは当てはまっており、 (1)用いる変数を宣言する。 (2)文の最後には;をつける。 などのいくつかの規則の元にコンパイラは機械語の命令群を出力しているのである。", "title": "物理学研究に際して応用上重要なアプリケーション群" }, { "paragraph_id": 42, "tag": "p", "text": "ここでは、より簡単な場合として通常の測定データの処理などを扱う。 そのために正規表現の導入を行なう。", "title": "物理学研究に際して応用上重要なアプリケーション群" }, { "paragraph_id": 43, "tag": "p", "text": "w:正規表現とは次の規則で生成される文字列のことである。 (1)用いたい文字を全て導入し、それらを a 1 {\\displaystyle a_{1}} , a n {\\displaystyle a_{n}} とする。(nは整数。) (2)それらの任意の並びを文字列と呼ぶ。 (3)更に、ある文字列が任意の回数だけくり返されてできる文字列も 用いてよい文字列とする。 (4)どの文字とも一致するような文字が存在する。", "title": "物理学研究に際して応用上重要なアプリケーション群" }, { "paragraph_id": 44, "tag": "p", "text": "通常正規表現を用いるプログラムではある程度記号ごとの意味が決まっている。 代表的なものとして、 (1)a,b, ...などの通常の文字 (2)1,2, ...などの通常の文字 (3)スペースなどの特殊な文字のうちで正規表現による意味が与えられていないもの (3) *:直前の文字が任意の回数だけくり返されることを表わす。 (4) []:かっこ内に現われる文字のいずれかが現われる。 (5) (): かっこ内に含まれる文字を1つの文字として扱う。 例えば、スペースを用いて区切られた任意の個数の数値 1 2 5 3 6 は、", "title": "物理学研究に際して応用上重要なアプリケーション群" }, { "paragraph_id": 45, "tag": "p", "text": "に一致する。ここで、正規表現のパターンに一致した数値を後から使えるように したツールも知られており、その様なものを用いれば、 データを加工することが可能となるのである。 そのようなツールはPerl,Pythonなどが知られているが、 これらについてはプログラミングの手法でより詳しく述べる。", "title": "物理学研究に際して応用上重要なアプリケーション群" } ]
物理学 > 物理学のための計算機とオープンソース
<small> [[物理学]] > 物理学のための計算機とオープンソース</small> ---- ==始めに== この文書は、理学系の学部を卒業した者が、何らかの仕方で計算機を学ぼうと 考えた場合の教科書の役割を果たすものとして書かれるものである。 また、計算機そのものに興味は無くとも研究の手段として計算機に関わる 必要が出来、それに関する知識を得たいと考える者も想定している。 この文書では、出来る限り計算機科学の原理的な部分も扱っていきたいと考えて いる。しかし多くの部分はすでに完成しているプログラムの使い方だけを示して、 その原理にまでは触れないことも多い。これは、ひとえに現在の物理研究と 計算機の関係を表わしてもいる。例えば、現在ではFortranによる数値計算は 物理研究に欠かせないものとなっている。しかし、物理学者で実際にFortranの コンパイラを書ける人間はほとんどいないのである。つまり、こういった場合 物理学者はコンパイラをブラックボックスとして扱い、それによって物理的な 結果を得ているのである。 しかし、このことは必ずしも責められるべきことではない。実際的な問題として コンパイラの理論は計算機科学の学部講義に含まれるものであり、その修得には すくなくとも2単位分の時間がかかる。更に、その講義自身もそれ以前の 学部の講義の内容に依存しているため、その修得には相当の時間がかかることになる。 このため、実際に物理研究のためにコンパイルの理論を学ぶのは、 あまり現実的ではないといえよう。むしろ、計算誤差の拡大を防ぐ方法に注力すべきである。 この文書でも、コンパイラの理論自体を扱うことは出来ない。しかし、 それに関係する部分で、それほど複雑でない部分は出来る限り扱っていこうと 考えている。例えば、Web上にはすでに多くのコンパイラが出回っており、 それらの原理や設計の思想を出来る限り紹介して行きたい。 また、コンパイラの中でも構文解析と呼ばれる部分は、計算機を扱う上で いろいろな部分で出会う考え方であり、これは詳しく紹介したいと思う。 ==計算機との情報伝達手段== 理想的な計算機は、0と1の2種類の信号しか受け取れない機械であり、 これによって2種類以上のことをさせるよう指示を出すことは不可能に思える。 しかし、これは間違いであり、計算機が2通りの事柄しか理解できないとしても これに対して人間が出来ることと同じだけのことをさせることが可能である。 もっとも簡単な例としてモールス信号を考えてみるとよい。 これは、ただ2通りだけの信号を用いて英語のアルファベットを 表現する方法を表わしているが、これを用いることが出来、更に 計算機が多少の英語の文法と単語を知っていたのなら、計算機に 人間に対すると同じだけの指示を与えることが可能になる。 実際には、計算機に文法と単語を教えることも人間がやらなくてはならない 作業であるため、実際の人間が扱う言語よりも単純化された 文法と単語を扱うことが多い。 ここで実際に文法と単語を教える手法はまさしくコンパイラの理論そのものなので やや複雑になるが、簡単な例を取って考えてみることにする。 まず、メモリとCPUだけからなっている理想的な計算機を 考える。ここで、メモリはそれぞれの部分が0と1だけの情報を蓄えることが出来る ものであり、CPUは加算、減算などの処理をすることが出来る電子回路であるとする。 実際にはメモリとCPUの実際の設計は計算機科学というよりも工学部の特に 電気電子系で扱われることが多い内容であり、その詳細には触れることが出来ないが、 直観的にはメモリはただ2つの量子状態からなる電子スピンのようなものを 想像し、CPUに関しては、AND回路やOR回路が標準的な仕方で連なっている ものを想像すればよい。例えば、2進数の1桁の数に対する加算回路を考えてみる。 このとき、2進数の1桁の数は0と1のみであり、これらの足し算の結果の 1桁目を考えてみる。すると、それらの和は :{| class="wikitable" | + ! 0 !! 1 |- ! 0 | 0 || 1 |- ! 1 | 1 || 0 |} が得られる。これは回路としてはXOR回路と呼ばれる回路であり、 ある回路によって作ることが出来ることが知られている。 更に、1桁同士の足し算によって2桁の数が作られることに注目して、 2桁めの数値を計算する回路も考えてみる。このとき、2桁めの数値は、 :{| class="wikitable" | × ! 0 !! 1 |- ! 0 | 0 || 0 |- ! 1 | 0 || 1 |} となるが、これはAND回路に等しい。結局、AND回路とXOR回路を組み合わせることで、 2進数の加法を行なう回路が作れたわけである。このように、CPUは 計算を行なう回路を集積したものであり、どちらかといえば計算機というより 電気系の学課の題材といえるだろう。 また、多くの実際に使われているCPUの詳細は全くの企業秘密であり、 それらを自由に扱うことは出来ない。 一般にCPUに対してモールス信号的な2進数で表現された命令や足し算等に必要な 数値を与える部分を理想化したものをレジスタと呼ぶ。物理的には、CPUに 対して外部から電気信号を送るための端子である。レジスタは通常 複数あり、命令を受けるレジスタと、データを受け取るレジスタは別になっている。 さて、ここまでで計算機に命令と命令を実行するのに必要なデータを与える 手段が分かった。理想的にはここからの話で、CPUへの命令は全てモールス信号的な 2進数の信号で行なわれており、2進数表記での命令を作ることを人間の側が 行なっているとしてもよい。しかし、それはあくまでも実用的に役立つ 文書を作るという本来のこの文書の目標に反している。例えば、 文書の執筆を行なうという大事業を2進数で書くことはほぼ不可能である。 ASCIIコードも全て手作業で2進数に直さなくてはならないし、 漢字が加わると更にその作業は難度を増す。 そのため、計算機に効果的な仕方で指示を与えるには、何らかの仕方で 既存の計算機への情報伝達を扱う道具を使う方法を修得しなければならない。 しかし、それらの道具自体も最終的にはそのような2進数の集まりであり、 それら自身もおそらく既存の資産を用いて作られたことは重要であると いえるだろう。 ==移植性== ここまででCPUに命令を与える方法について考察して来た。 もちろんCPUに与える命令自体はCPUを作るメーカーに任せられており、 それについては個々のCPUメーカーの作る文書を読むしかその内容を知る 方法は無い。しかし、実際にはそれでは問題が生じて来る。 あるソフトウェアをあるCPU向けに書いたとする。このとき、このソフトは あるそのCPUが理解できる命令の集まりとなっている。 このソフトを、他のCPUに対しても使いたいと思ったとしよう。 このとき、CPUごとに体系に異なった命令が用いられていたとすると、 ある命令の集まりは別のCPUに対してはなんら意味のある活動を 起こさせることが出来ない。このことを、得られた命令に移植性がないという。 このことは、そもそもCPUごとの命令に定まった意味が無く、信号ごとの意味の 当てはめ方が任意であったことを考えると、全く当然のことと言えるのだが、 それでも、1つのCPUに対して書いた2進数プログラムと、他のCPUに対して書いた 2進数プログラムに全く互換性が無いとすると、それぞれのCPUに対して 全く別のプログラムを書くことをしなければならず、このことは非常に大変な 作業になると考えられる。 実際にはこの問題は、CPUに対してだけに留まらない。昨今ではそれぞれの 機器、例えばハードディスクやサウンドカードなどが挙げられるが、 それぞれが個別の命令の体系を持っており、それら自身もある程度それを 作るメーカーに信号の受け方を決める権限が任されている。 そのため、それらに対しても個別に信号の受け方や送り方を規定せねばならず、 それぞれの機器がそれぞれのCPUや他の機器と組み合わせて用いられることを 考え合わせると、その組み合わせは非常に多くの数を持つと考えられる。 この問題はいくつかの方法で解決が図られている。しかし、 いくつかの場合にこのことは依然として問題になっており、完全な 解決が得られたわけではないことに注意しなければならない。 1つめの方法として、ハードウェアやCPUが受けつける命令自体を 統一してしまうことがあげられる。このことは通常ハードウェアメーカー各社の 努力によってなされる。 <!-- 歴史的には、CPUメーカーのうちでintelのCPUが 家庭用パソコンに登載されるCPUの市場シェアの 多くを占めたため、パソコン用のCPUについては、 intelの命令に合わせた仕方でCPUの命令を組み立てるメーカーが 増えた。 しかし、パソコン用であっても、 金銭的な理由やそれ以外の歴史的な理由などにより それ以外のCPUを使うメーカーも存在する。また、 --> 例えば、家庭用パソコンでない より多様な仕方で用いられるCPUのについては、大きな市場シェアを 占めるメーカーが存在せず、それらに対する対応はまちまちであるといえる。 関連のハードウェアについてもそれらへの命令の体系はあまり統一されているとは いえない。特に、急激な進歩が続いている分野、例えば、ハードディスクや グラフィックボードなどは、それらの命令にメーカーの重要な企業秘密に属する 情報が含まれていることがあり、それらの情報を公開することが 困難であることがある。そのため、これらの命令が完全に統一されることは あまり期待できないといえる。 2つめの方法としてあげられることは、それぞれの機器の機能のうちで 他の機器の機能と共通する部分を抽象化し、それに元々の命令とは 別の統一された名前を与え、それらの名前だけを用いてプログラムを作製する ことである。このことは実際にはコンパイラに関する話題とも密接に関係する のだが、つまり、そのような名前をある文法にしたがって書き並べることで、 プログラムをより汎用的な形で書くことが出来るのである。 もちろん書き上げたプログラムを2進数のプログラムに変換する簡単な方法が ないのなら、これは全く無意味な事であるが、 幸いにもそのような作業を行なうプログラムが実際に書けることが 知られており、また広く流通してもいる。このような抽象化された 名前によって作られたプログラムを、あるCPUに向けた2進数プログラムに置き換える プログラムをコンパイラと呼ぶのである。 しかし、このことはある機器が持つ標準的でない機能はコンパイラを使って それを扱うことが難しいことを意味する。そのようなものについては 必要な部分だけを2進数で書くか、コンパイラに適切な分岐を用いて そのような機能に対応させることによって、それらに対応しているが いずれにせよ対応がやや場当たり的になることは避けられないといえる。 結局、それぞれの機器の機能に対応する抽象化された名前を 作ることが、それぞれの機器の機能を移植性を保った方法で 用いるために役立つことが分かった。実際にはこれらの抽象化された名前の体系は まさにOSの機能の一部分を成している。例えば、OSの1つであるLinuxでは、 このような抽象化された命令としてread()とwrite()を持っている。 これは、例えばハードディスクに対する命令を抽象化することを 考えてみるとわかりやすい。ハードディスクはその中に磁気的なしくみで 蓄えられている情報を読みだしたり、新しい情報を書きこんだり する機能を持っているが、その仕組みは単に情報をreadする、または writeするという言葉で抽象化することが出来るのである。 もちろんreadやwriteという言葉は人間にとって直観的に意味が把握でき 便利であるが、それ自体はコンパイラに取っては意味があることではなく、 もっと分かりづらい名前にしてもよいのである。例えば、readは英語であるが、 これを日本語にしたり、別の言語にしたり、何の意味も持たない文字の羅列と してもよい。ただ、コンパイラとそれを用いる人間の間に共通の情報であれば それで用は足りているのである。 実際には、ハードディスクが扱える0と1の情報を用いて人間にとって 分かり易い仕方で情報を蓄えることはそれ自体が興味ある仕事である。 例えば、昨今どのような計算機においても用いられているツリー状の ディレクトリ構造も計算機に分かる仕方でそれを構成するのは、例え コンパイラを用いたとしても非常に大変な作業である。また、現在では ツリー状の構造を超えたより直観的なディレクトリ構造も模索されており、 これ以降どのようなファイル構造が主流になるかは、今の時点では よく分からないといえる。このように計算機の機能を用いて、 情報を蓄える方法をファイルシステムと呼びこれもOSの理論の重要な 一分野となっている。また、この部分は実際のOSメーカーの力も強く アカデミックな研究とメーカーとの距離が近い分野であるといえよう。 <!-- Linuxに関していうのなら、現在主流になっているのはext3fs --> 上ではread(),write()の命令を持っている機器としてハードディスクを 挙げたが、実際にはこのような命令を持っている機器はハードディスクに代表される 記憶装置だけにとどまらない。実際にはグラフィックカードやサウンドカードも このような命令を持っているのである。例えば、Linuxの重要なサウンドカード を扱う命令群に[[w:Alsa|alsa]] があげられるが、そのコードの中には各々のメーカーのディレクトリがあり それぞれのメーカーの機器の命令を抽象化するようなread命令とwrite命令が 定義されているのである。しかし、サウンドカードについて何をreadしたりwrite したりするのであろうか?これは、readよりもwriteの方が分かり易いため そちらの方を扱う。理想化されたサウンドカードは1つの ディジタルアナログコンバーターに帰着される。 ディジタルアナログコンバーターはデジタル信号とアナログ信号を 変換するものであり、その逆にアナログ信号とデジタル信号を 変換する機器も知られている。このような機器は、加速器実験でも 加速器の実験機器が送ってくる信号を計算機が理解できる信号に変換するため よく用いられるものである。 ここでいうwrite命令はサウンドカード上のディジタルアナログコンバーターに ある定まった形式のデータを送り込む命令である。このデータは サウンドカードによって音楽を表わすデータと解釈され、それが本物の 音楽であるなら音楽を鳴らし、全く関係の無い文字などの羅列なら、 ノイズを鳴らすのである。このような音楽は通常圧縮された形式で 計算機上に蓄えられ、もともとどのような形で蓄えられていたものなのか 知るのは困難だが、各々の形式のデータを扱う音楽プレーヤーそれぞれの 仕方で圧縮されたデータを元のデータに変換しそれを用いて音楽を 鳴らしているのである。このことは、例え音楽を鳴らすような複雑な操作が 行なわれるにしても、計算機の側からはその機器は 通常の記憶装置の一種にしか見えないというやや非直観的な側面を持っている。 また、ここでいう音楽の圧縮自体も計算機科学の重要な一分野であり、 様々な効果的な圧縮手法が考案されている。他の分野でも映像や動画の 圧縮手法も様々に研究されており、それらの応用も幅広く知られている。 また、これらの圧縮手法については考案したメーカーの人間により 特許が取得されている場合があり、そのような場合はこれらの情報を 容易に用いることは出来ず、必ず特許取得者に対して何らかの額のお金を 払わなくてはならない。このことは研究への投資を回収し更なる研究を進めることを助けるという 観点から当然視されているが、あまりにも特許の内容が簡単な事であり その特許の適用範囲が広大である場合には、その特許を守ること自体が 研究の進行を遅らせる働きをしてしまい本来の特許法の意義に反する結果に なることが起こることもあり、そのような場合について様々な議論が かわされているようである。 ==アプリケーション== ここまででそれぞれの機器の機能を抽象化しある一定の機能を用いる方法を 見てきた。おおよそ、現在用いられている家庭用パソコンはここまでに 書かれて来たことを用いて構成されているといえる。 ここからは、そのような標準化された入出力やファイルシステムはすでに 与えられたものとして、それらを用いてどのようなことを計算機にさせることが できるかを見ていく。このようにすでに入出力やファイルシステムなどの OSの機能が与えられた上でその機能を用いて書かれるソフトウェアを総称して アプリケーションと呼ばれる。ただし、OSの機能を用いて他のソフトウェアに 用いられるために書かれるソフトウェアも存在し、これらをライブラリと呼んで 区別することがある。ライブラリは例えば、グラフィックをより統一的な 仕方で表示するために用いられる。グラフィックカードもサウンドカードと同様 計算機からは記憶装置にしか見えない機器の一種であるが、 このような装置の特性上、直観的には簡単に見える機能であっても実際に 計算機を使ってやらせようと思うと難しく見える機能がある。 例として、グラフィックカード上に線を引くことを考える。これは、 碁盤の目上の図形を用意し、塗りつぶす部分を1で埋めて、塗りつぶさない部分を 0で埋めることで線を引くことが出来る。通常グラフィックカード上に配置されている メモリ上の図形は何らかの仕方でグラフィックを表示するディスプレイに送り届け られるのであるが、この部分は計算機の側からは見えない仕方で行なわれる ハードウェアメーカーの領分の仕事である。 ここでは、単に碁盤の目上に描かれた図形がそのままディスプレイ上に表示されると 考える。このとき、横向きや縦向きに線を引く場合は、どの点を1にしてどの点を 0にするかは簡単に決まる。しかし、斜めに線を引く場合にはこれは簡単には決まらず どのような見え方をさせたいかによって制御する必要がある。このような 制御は、グラフィックを用いる場合には非常に頻繁に用いられるため、 このような機能を何らかの標準化された仕方で作製しておくことが望ましい。 このような目的で作製されたプログラムをライブラリと呼ぶのである。 ライブラリは大きなプログラムになることが多く、単に利用するだけの立場で 計算機に関わるのならまずこれを作製する機会は無いが、 もちろんライブラリの機能は知っていた方が望ましい。 また、大きなライブラリになるとそれを設計するだけでも非常に難しい仕事に なるため、有能な設計者や技術者を確保するため大金が動くことも珍しくない。 ===ユーザーインタフェース=== ここからは個々のアプリケーションについて見て行きたいと思う。 ただし、あまりにも個々のアプリケーションの機能に特化した 説明をしてしまうと、解説に汎用性が無くなるため出来る限り 様々なOS上で同じような機能を持つ対応物がある程度に抽象化して 話を進めたいと思う。 ここでは、それぞれのアプリケーションがもつインタフェースに 注目して話を進める。 インターフェースとは個々のアプリケーションとそれを用いるユーザーが 意志疎通を行なう方法である。 例えば、読書などについてもインターフェースの考え方を抽象化して適用する ことが出来る。読書の場合には本が表示する情報を利用者が読み取る という関係になっており、利用者の方から本に対して何かを要求するという 関係は存在しない。これに対して、計算機を用いた場合ユーザーから プログラムへの入力に対してはマウス、キーボードなど様々な機器が 用いられる。ただし、これは利用者が用いるOSがそれぞれの機器に対応する 命令のセットを所持しているときの話である。通常の家庭用パソコンでは そのような事は既に設定されていることが普通なので、 ここからはそのような機能が既に得られているとする。 一方、計算機からユーザーに対しても文字を表示したり音楽を鳴らしたりと 様々な方法が考えられる。ただし、特に音楽や動画については現時点では OSごとに移植性が無い場合も多く、今後の発展が期待されるところである。 ここでは特に、利用者から計算機のインターフェースに注目する。 現在では主要なインタフェースは大きく分けてCUIとGUIがあげられる。 CUIはCharacter-based User Interfaceの略であり、文字を用いて 利用者に情報を送る方式である。この方式は古い方式で今は主流でないと 考えられがちであるが、実際にはそうではない。例えば、技術者だけが 用いるハードウェアの命令のセットに対してそれぞれにグラフィックをつけることは やや無駄に思われ、実際それほど行なわれてもいない。また、このような情報は それぞれの機器に固有のものとなってしまう傾向があり特に変化の速い分野では 機器の方の変化にグラフィックをつける作業の方が間に合わなくなってしまう ことが予想される。そのため、より変化の速い分野においては現在もそうであるし、 おそらくこれからも文字による情報伝達は主流であり続けるであろう。 次に、GUIは、Graphic-based User Interfaceの略であり、それぞれの情報に アイコンやスクロールバーなどのグラフィックを表示し、それぞれの情報を より直観的に提示する方法である。この方法は使うときには 非常に分かり易く重宝するが、これを実際にプログラムで制作することは やや難しい場合が多い。例えば、OSによっては標準的な仕方でグラフィックカードを 動かせるとは限らないし、動かせたとしてもそれに対応するライブラリが存在するとは 限らないのである。ライブラリが無いときにはそれを自力で作製するしか無いが それには通常多くの人手や予算がかかり、実際にそれを行なうのは困難であることが 多いのである。しかし、幸いにしてそのようなライブラリ等の問題を 全て乗り越えた計算機も家庭用パソコンを中心として多く存在する。例えば、 現在のWindowsや、Mac OS XやLinuxは通常グラフィカルな表示を持っており、 そのような問題を解決しているといえる。ただし、更に問題なのは それらのOSはそれぞれ異なったグラフィック表示ライブラリを用いており、 その間には互換性がないということである。それぞれのグラフィックライブラリは 製造元も発生の歴史的経緯も異なっているため、これらに互換性が無いのは 当然であるが、昨今ではLinuxが用いているものを中心に グラフィックライブラリを様々なOSに移植する計画が進んでいる。 Mac OS Xに対する[[w:Xdarwin|Xdarwin]]と呼ばれるプロジェクトはこの一種である。 ただし、実際には移植はただ一度だけではすまず、ライブラリが新機能を 加えるたびに、何度もそのような作業を繰り返す必要があり どのような仕方でこのプロジェクトが進行していくかは今の時点では分からない。 このように、GUIは様々な問題をかかえているが、特に初心者向けの アプリケーションについてはこのような直観的な入力方法は必須であり、 各々のメンバーが様々な仕方で開発を進めているといえる。 ここからは、特にCUIを中心に用いた手法を進めて行こうと思う。 なぜなら、上でも書いた通りGUIを用いた方法は移植性が無い場合が多く それぞれのOSに対して解説を加えるのも大変であるからである。 また、計算機の機能を全て使うという点ではCUIの方がGUIよりも優れているといえる。 例えば、通常あるアプリケーションのGUIを作製するためには、 CUIを用いる場合が 多い。これは、GUIで用いられるのはあくまでライブラリに代表される 抽象化された名前の集合であり、それらを扱うのは通常コンパイラの仕事であり、 またコンパイラ自身は通常CUIによる入力を受け取る方が普通だからである。 また、CUIを用いたプログラムは移植性に長けている場合が多く、 様々なOSで実行できる場合が多いことも理由の1つとしてあげられる。 ==物理学研究に際して応用上重要なアプリケーション群== ===物理学研究に必要な計算機技術に関する一般論=== ここからは本題である物理的な結果を得るために応用できる ソフトを説明して行く。一般に物理の研究は実験系と理論系に分かれており、 両者に取って必要となる計算機技術はかなり異なっている。 理論の側にとって理論研究に必要な計算機技術のうち多くは数値計算と 代数処理である。また、 数値計算を行なうときには計算機言語としては通常Fortranを 用いることになる。しかし、このときには計算機科学に属する詳しい知識は 実はあまり必要でない。どちらかといえば、このときに必要の知識はより実用的な 数値計算の知識であり、どちらかといえば工学に属する分野の知識であるといえる。 一方、計算機で用いる計算手法をより汎用性のある仕方でライブラリにしようとする ときには、どの計算機言語を用いるかの選択や、その選択した言語で書かれた プログラムのメンテナンスなどのいくらかを自動化するために、計算機を用いた 手法が重要になる。このように、計算機で仕事をするための計算機プログラムという 概念が存在することは、計算機以外の仕事と比べて計算機を用いた仕事の 著しい特徴と呼ばれるものであると思う。 次に実験的な研究を行なうときについては、最も頻繁に行なわれる仕事は データ処理である。実際にはデータの収集にも計算機が用いられるのが 普通であるが、このような手法はデータを収集する機器ごとに変わって来ており、 更に、そのうちにいくらかは企業に装置の作成を依頼した場合には企業秘密であり それ以上に詳しく知ることが許されないものでもあり、あまり一般的な事は 知ることが出来ないのが現状である。一方、実験で得たデータを 加工する技術は計算機技術の一種としても非常に面白いものであり、 またコンパイラの理論との関連にも興味深いものがあるため、追って 詳しく述べたいと思う。 また、理論物理と実験物理の共通の話題として、 数値計算で得た結果を直接外部のプログラムを呼び出してプロットを 作成する手法が問題になる場合がある。 しかし、このことについては割合深い計算機の知識が必要であるため、 ここですこし詳しく述べておこうと思う。 実際には外部プログラムを呼び出す方法はいくつかに分かれる。 ここでは3つの方法をあげるが、 そのうちの最初の2つは外部プログラム自身の設計によってそのような方法が 実際に適用できるかどうかが変化するため、実際にそのような設計になっていない場合 その方法を実行することが非常に困難になる。 また、最後の2つを説明するには、今までに紹介していないOSの機能の1つを 導入する必要がある。ただし、最後の1つはより汎用的に用いることが出来る 方法である。 ただし、OSの種類によってはそのような機能をサポートしていないことがあり、 やや移植性に欠けるという欠点がある。 まず第1に、外部プログラムのコードを自分が作成したコードの中から直接 呼び出す方法がある。つまり、自分が作成したコードが外部プログラムの 一部であるかのようにして、外部プログラムと同時にコンパイルを行なうのである。 この方法の欠点は、外部プログラム自身が大きいプログラムの集合であったとき、 それをコンパイルする事自体にかなりの時間がかかる点である。このような 欠点は、しかしより明快な形で設計されたライブラリについては現われることは無い。 例えば、X11というグラフィックを扱うライブラリがあるが、それらを扱う コードの全体は圧縮してもなお数10Mbにいたる巨大なものであるが、 実際に利用者がそれらの機能を用いるときには、そのライブラリが提供する機能の ほんの一部を用いることが普通である。このように、巨大なライブラリのうちの ただ一部を切り出してくる手法は計算機言語ごとに様々であり、言語の設計という 1つの分野を成している。この分野はコンパイラ設計と極めて近い関係に あるが、ただ設計だけを考えてコンパイラを作成しない場合も考えられるので、 それらの分野は一応分けて考えておいた方がよいものと思われる。 このようなコードの一部分だけを再利用する方法は、巨大なライブラリの多くが Cによって書かれているため、Cによる方法だけを修得すればよいように思える。 しかし、[[w:Java|Java]],[[w:Perl|Perl]]などそれぞれの言語が無視できない 異なった手法を提示しているためここではこれ以上深く扱わず、抽象的に そのようなことがなられたものと仮定するにとどめておく。 いずれにしても始めからいくらかの機能だけを取りだして用いることを考えて 設計された場合を除いて、そのプログラムの全体をコンパイルしなければならない 手法は、あまり現実的な方法とはなり得ないと思われる。 第2の方法として、プロセス間通信と呼ばれる計算機技術を用いる方法がある。 ここで、OSの機能の1つであるプロセス管理について簡単に説明する。 幸いにもプロセスという考えかたは割合直観的に把握し易く、 おおよその考えを述べるだけでよいものと思われる。 計算機は何らかの意味を持った命令を連続的に計算機の命令を受けつける レジスタに受けつけることで、命令を実行している。このとき、通常の計算機は 一度に1つの命令しか実行できない。しかし、実用的な家庭用パソコンでは 例えばテレビを見ながらワープロを使うなど計算機に同時に複数の作業を させたいことが往々にしてある。このような情况を管理するため、 プロセス管理という考え方が生まれたのである。実際には計算機が1通りの 仕事をするだけなら、このようなプロセス管理の考え方は必要がない。 例えば、巨大な数値計算を専門に行なう計算機に取っては、常にただ1つの命令を 扱えば十分であり、それ以上に複雑な処理を行なうことはCPUに不必要な 負担をかけることになる。そのため、プロセス管理の手法は計算機の用途によって 使いわけることが必要となる。実際の現代的な家庭用パソコンでは 常にいくつかの仕事を並行して行なう形態が取られている。 このような手法をマルチタスクと呼ぶ。このように複数の仕事を同時に 行なうことはやや計算機科学の世界に深入りしすぎていると思われるので、 省略することにし、ここでは元の題材であるプロセス間通信に戻る。 プロセス間通信とは複数のプロセスの間でデータの電送を行なう手法の ことである。これは、実際にはある計算機で動いている2つのプロセスの 間だけでなく、他の計算機で動いているプロセスに対してもお互いの間で規格が 統一されていればデータを送ることが出来る。例えば、Webサーバーなどは この仕組みを用いて作成されている。 このような仕組みは伝統的に複数知られており、どの仕組みを用いるかは プログラムの設計上重要となるものと思われるが、実際にはそのような仕組みを 採用しているプログラム自体が少ないため、あまりどの仕組みが重要なのかは 触れないことにする。ここでは、様々なサーバーの仕組みの基礎を成す ソケットについて説明する。ソケットは、プロセス間通信の規格の1つであり 現在では数多くのOSにおいて使用可能となっている。 ソケットの仕組みは、OSのメモリ上にある領域を作成しておき、 その地点で2つのプロセスから来る信号を待ち受けることにある。 ここで、2つの信号がうまくであったならその2つの信号を発した プロセス間にデータを送受信するトンネルを開いて、各々の間で データを送受信可能にするのである。 このような仕組みを用いて、プロットのソフトに利用者が作成したプログラムによる データを送信することも出来そうに思える。しかし、実際にはそのような 機能を付け加えることは割合手間がかかるため、そのような機能をそなえた 外部プログラムはあまり知られていない。例外的に[[w:OpenOffice.org|OpenOffice.org]] と呼ばれる オフィスソフトは、利用者が作成したプログラムとソケットを用いて更新することで、 作成中の文書の編集を行なうことが出来る仕組みを用いている。しかし、 このような機能が実際に使われるのかどうかは今の時点ではよく分からない。 第3の機能として紹介するのが、プロセス生成の手法である。 ここでは、プロセス自体を利用者のプログラムの中で生成してそれを用いて プロットを作成する方法を紹介する。プロセスを作成する方法は、 OSによって異なっているためこの手法に移植性があるかどうかは疑問だが、 この手法が使えるOSを用いている場合はもっとも手軽な方法である。 ここで、プロセスを生成する方法を見るために、プロセス管理の手法を 少し深く見て行くことにする。 通常、OSは複数のプロセスを管理するためにプロセステーブル と呼ばれる表を持っている。プロセス生成を行なうためには、 そのプロセステーブルに1つのプロセスを加える方法をOS側が提供している 必要がある。このような方法は実際Unixの周辺では実際提供されており、 命令の名前をfork()という。この命令はLinuxで提供されている他、 おそらくMac OS Xでも提供されているものと思われる。このように 自分がのコードが計算した値を何らかのファイルに書き出しておいて、 次に外部プログラムを行なうプロセスを立ち上げるようにしておけば、 自動的にプロットがなされたように見えるであろう。 ===計算機代数=== ====概説==== 理論的な研究手法に役立つ計算機技術の1つとして、計算機代数を 挙げようと思う。計算機代数は実用的にそれらによって得られる結果も面白い ものであることが多いが、その構成自身も非常に興味深いものであることが 多く、ここでは少し詳しく扱う。 計算機によって数式を扱うことは、計算機によって通常の数を扱う場合とは やや異なった性質を帯びる。なぜなら、通常加法や減法のような 数に対する四則演算は、CPU自体がそのような命令を持っていることが普通であり、 そのような手法を利用者はいかなる意味でも書き下すことは無い。 これは計算手法のハードウェア的な実装と呼ばれ、あらゆる意味で最も高速に 結果を得る手法であるといえる。例えば、通常計算機が扱うことが出来ない 文字式を扱うことが出来る計算機を作るとする。このときには、例えば、 xという文字だけを加えたいのなら回路の数を2倍に増やして、それによって 計算を行なうようにすればよい。片方の回路で扱う数をxについて0次の項の 係数として扱い、もう片方の回路で扱う数をxの係数として扱えばよいのである。 このような手法は高速であるが、しかしそのための計算機を作製するほど 汎用性がある機能であるかは疑問である。なぜなら、xの係数とxについて 0次の項の係数を分けて計算することはそれをソフトウェアで行なうことも けっして難しいことではないからである。通常計算機代数と呼ばれる プログラムはそのように特殊なハードウェアを用いる手法ではなく、既存の ハードウェアでソフトウェア的に計算機が扱える数学的な量を増やす手法のことを いうのである。 実際にそのような数学的関係を計算機的に書き下す方法は、 大きく分けて2つに分かれる。歴史的には数式処理は、Lispと呼ばれる計算機言語 と深い関係にあった。Lispについての解説は出来る限り避ける方針で 話を進めたいので、ここでは代わりにC言語を用いて話を進める。 1つめの書き方はCでいうところのvectorの構造を用いて、数式の関係を 書き下す手法である。 例えば、 :<math> x + y </math> という式を扱いたいとする。伝統的にはこの式は、 char * exp[10]; exp[0] = "plus"; exp[1] = "x"; exp[2] = "y"; などとして書き下された。これはより直観的な書き方では、 ["plus","x","y"] のように、文字列が順に並べられている情况であると考えられる。 通常数学的な式は、いくつかの数の間の関係を表わす表式であるので、 あるベクトルを作成し、その最初の要素を関係を表わす文字列とし、 以降のベクトルの中味を先頭の文字列が表わす関係によって 関係づけられる量とすることで、数学的な関係が表わされるのである。 より複雑な式として例えば、 :<math> 1 + x y </math> のような式は、 ["plus", "1" , ["mul", "x","y"]] のような構造を用いて計算すればよい。ただし、Cの文法では ベクトルの中にベクトルを代入するような仕方は、通常の仕方では 出来ないので、これはあくまで仮想的なデータと考えなくてはいけない。 実際の数式処理では、このようなデータを作成するためにLispという 計算機言語を用いている場合が多い。Lispは、このようなデータを 統一的に管理するためのリストと呼ばれるデータを使用している。 リスト自体はCを用いても書くことが出来るがそれを用いて 様々なデータ型を統一的に扱う手法を得ることはやや難しい作業となる。 2つめの手法はオブジェクト指向の手法を用いる手法がある。 しかし、この手法を用いた数式処理では有力なものがあまり知られていないため、 さしあたりこちらの手法は無視することにする。 <!-- ====実際の使い方==== 上のような手法で数学的な計算手法を計算機で扱うことが出来ることが分かった。 しかし、手法として知られていても実際にそれらが使える仕方で配付されていないなら そのようなことはあまり便利であるとはいえない。しかし、 様々な事情で、現在多くの数学的手法を既に扱えるようになっている数式処理 ソフトは、有料無料を問わず使えるものが複数ある。 代表的なものにmathematica,axiom,maximaなどがあげられる。 ここで、有料であるmathematicaはとりあえず置いておいて、無料のものの中でも 特に有名なmaximaについて詳しく述べる。 maximaは、上で述べた計算手法の中ではLispを用いて計算を進める形式の 数式処理ソフトである。このソフトはもともと有料で配付されていたが 様々な事情によって現在では無料で配付されている。この事情はそれだけでも 非常におもしろいのだが、さしあたりここでは関係ないので省略する。 実際にはもともと商用であっただけのことはあり通常の不定積分程度なら きちんとこなしてくれるので割合信用が置けるといえる。 maximaはそれ自体が1つのコンパイラのようになっており、maxima自身が定義した 言語を理解することが出来るようになっている。これは一見神秘的に見えるが、 実際には単に数式処理の部分とその部分とはあまり関係がないコンパイラ的な部分を まとめて1つのソフトとしているだけであり、なぜ数式処理部分だけを 取りだして使わなかったのか非常に疑問が残るところである。 実際にはこのことには歴史的な問題もあるらしく、単にそれがmaximaが 商用だった頃に流行りだったからという程度の理由であるようすでもあるが、 本当のところはよくわからない。 この機能の利点としては、実際にlispの文法を扱うよりもmaxima自身が定義した 文法の方が直観的であることがあげられる。しかし、欠点としては そのためにmaxima自身のメンテナンスがより大変になっているという点を あげられるため、どちらを優先すべきであったかは難しい問題であるといえる。 ここからはmaxima自身が定義する言語の文法について述べることも出来るが、 それは必要になってからでもよいと思われるので、それについては 省略することにする。maximaには簡単なチュートリアルが附属しているため、 それを用いればよいであろう。 --> ===データ処理=== ====概説==== プログラムは通常何らかのデータを他の形に加工するために作製されるため、 データの処理は常に必要となる。もちろんこの分野はアカデミックな研究分野としても 重要と思われるのだが、より実用的な計算機技術においても しばしば問題となっており、それぞれに対して解決法が考察されている。 ここでは、データの扱い方を少し一般的に扱う。 ここでいうデータは、 (1)人間の読める形式になっている。 (2)データとして扱われるものは文字でも数値でもよい。 を満たすものとする。例えば、計算機を用いて計算した数値計算の結果や すこし一般的には学術論文などに用いられる.texファイル、更に[[w:XML|XML]]形式で 保存されたオフィスソフトの文書などもこの中に含まれる。 一般にデータは、何らかの規則に従って並べられた文字列の集合である。数値的な データはそれが1つのものであったら数値と改行をくり返すことで書かれていることが 多い。また、データが何らかの意味で対応づけられている場合には対応のあるデータは スペースやコンマ等で区切られ、そのあとに改行が付けられていることが多い。 例えば、実験が始まってからの時刻とその時刻での測定値を並べて書いている場合が これに当てはまる。これらはいずれもデータを並べる規則の1つとして扱うことが できる。更に、より複雑な例では.texファイルでは (1)命令に対しては最初に<math>\backslash</math> を付ける。 (2)引数を取る命令は命令の直後に<math>\{ \}</math> を付けることによって記述する。 などのいくつかのルールを用いて組版の情報を計算機に伝達しているのである。 .texファイルの場合には計算機は書かれた情報を与えられた命令を用いて理解し、 それを用いて更に別種の命令を作りだすことが成されている。 これは、例えば測定データ等についても、更にデータに対して四則演算等の 加工を行ないそれを出力としたいときには、常に必要となる技工である。 一般的には例えばC言語のコンパイラがCのプログラムを扱うときでも このことは当てはまっており、 (1)用いる変数を宣言する。 (2)文の最後には;をつける。 などのいくつかの規則の元にコンパイラは機械語の命令群を出力しているのである。 ここでは、より簡単な場合として通常の測定データの処理などを扱う。 そのために正規表現の導入を行なう。 ====正規表現==== [[w:正規表現]]とは次の規則で生成される文字列のことである。 (1)用いたい文字を全て導入し、それらを<math>a _1</math>,<math>a _n</math>とする。(nは整数。) (2)それらの任意の並びを文字列と呼ぶ。 (3)更に、ある文字列が任意の回数だけくり返されてできる文字列も 用いてよい文字列とする。 (4)どの文字とも一致するような文字が存在する。 通常正規表現を用いるプログラムではある程度記号ごとの意味が決まっている。 代表的なものとして、 (1)a,b, ...などの通常の文字 (2)1,2, ...などの通常の文字 (3)スペースなどの特殊な文字のうちで正規表現による意味が与えられていないもの (3) *:直前の文字が任意の回数だけくり返されることを表わす。 (4) []:かっこ内に現われる文字のいずれかが現われる。 (5) (): かっこ内に含まれる文字を1つの文字として扱う。 例えば、スペースを用いて区切られた任意の個数の数値 1 2 5 3 6 は、 ([1-9] )* に一致する。ここで、正規表現のパターンに一致した数値を後から使えるように したツールも知られており、その様なものを用いれば、 データを加工することが可能となるのである。 そのようなツールは[[w:Perl|Perl]],[[w:Python|Python]]などが知られているが、 これらについてはプログラミングの手法でより詳しく述べる。 ==プログラミングの手法== ===CVS=== ===Fortran=== ==CUIの技術== ===viエディタ=== ===shellプログラミング=== ==最近の話題== [[Category:物理学|けいさんきとおうふんそうす]] [[Category:情報技術|ふつりかくのためのけいさんきとおうふんそうす]]
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高等学校生物 生物I‐環境と生物の反応に関する探求活動
高等学校生物 > 生物I > 環境と生物の反応に関する探求活動
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高等学校生物 > 生物I > 環境と生物の反応に関する探求活動
<small> [[高等学校生物]] > 生物I > 環境と生物の反応に関する探求活動 </small> == ゾウリムシの浸透圧調節 == == ウシの眼球 == == ハエの味覚 == == カエルの骨格筋の収縮 == == メダカの体色変化 == == ゾウリムシの走性 == == カイコガの性フェロモン == == 光合成速度の測定 == == オーキシンの働き == [[Category:高等学校教育|生1かんきようとせいふつのはんのうにかんするたんきゆうかつとう]] [[Category:生物学|高1かんきようとせいふつのはんのうにかんするたんきようかつとう]]
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高等学校生物 生物I‐生命の連続性に関する探求活動
高等学校生物 > 生物I > 生命の連続性に関する探求活動 仮に、ある条件Aが、ある現象の要因とした場合、条件A以外を同じにして条件Aだけを変更して実験をして、どういう結果になるかの確認を取る必要がある。 たとえば植物のある実験で、仮に光が、ある現象に必要な場合は、さらに、光以外の水分や温度などの他の条件をなるべく同じにして別の実験をすることで、比較のための実験を行う。 このような実験を対照実験(たいしょうじっけん)という。
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高等学校生物 > 生物I > 生命の連続性に関する探求活動
<small> [[高等学校生物]] > 生物I > 生命の連続性に関する探求活動 </small> == 対照実験 == 仮に、ある条件Aが、ある現象の要因とした場合、条件A以外を同じにして条件Aだけを変更して実験をして、どういう結果になるかの確認を取る必要がある。 たとえば植物のある実験で、仮に光が、ある現象に必要な場合は、さらに、光以外の水分や温度などの他の条件をなるべく同じにして別の実験をすることで、比較のための実験を行う。 このような実験を'''対照実験'''(たいしょうじっけん)という。 == ミクロメーターによる細胞の大きさと核の大きさ == == オオカナダモの葉の原形質流動 == == ほ乳類の血液の溶血 == == ユキノシタの原形質分離 == == タマネギの体細胞分裂 == == バラの花弁の組織 == == ムラサキツユクサの減数分裂 == == ハナニラの花粉、花粉管、精細胞 == == ウニの発生 == == カエルの発生 == == カイコガの卵の色の遺伝 == == キイロショウジョウバエの眼の色の遺伝 == == ユスリカのだ液腺染色体 == [[Category:高等学校教育|生1せいめいのれんそくせいにかんするたんきゆうかつとう]] [[Category:生物学|高1せいめいのれんそくせいにかんするたんきゆうかつとう]]
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貞観政要
貞観政要の教科書。
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文学>古典文学>中国の古典>貞観政要 貞観政要の教科書。
*[[文学]]>[[古典文学]]>[[中国の古典]]>[[貞観政要]] [[w:貞観政要|貞観政要]]の教科書。 == 目次 == *[[はじめに]] *[[君道]] *[[政体]] *[[任賢]] *[[求諫]] *[[納諫]] == 関連 == * [[w:太宗 (唐)|太宗]] == 外部サイト == * [http://www.genshu.gr.jp/DPJ/database/bunken/syahon/jiki_sya.htm 日蓮聖人御直筆写本「貞観政要」](日蓮宗 現代宗教研究所のサイト) [[Category:古典文学|しようかんせいよう]]
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算数演習/小学校1年生
初等数学演習 >算数演習 小学校1年生 「□」のかずは いくつか すうじで こたえましょう。 (1) □□□□□ (2) □□ (3) □□□□□□□□ (4) □□□□□□□□□□ (5) □□□□□□□□□ □□□□□□□□ こたえはつぎのとおりです。こたえあわせをしましょう。 (1) (2) (3) (4) (5) つぎのけいさんをしてみましょう。 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18) (19) (20) こたえはつぎのとおりです。こたえあわせをしましょう。 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18) (19) (20) つぎのけいさんをしましょう。 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18) (19) (20) (21) (22) (23) (24) (25) (26) (27) (28) (29) (30) こたえはつぎのとおりです。こたえあわせをしましょう。 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18) (19) (20) (21) (22) (23) (24) (25) (26) (27) (28) (29) (30) つぎのけいさんをしましょう。 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18) (19) (20) こたえはつぎのとおりです。こたえあわせをしましょう。 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18) (19) (20) つぎのけいさんをしましょう。 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18) (19) (20) こたえはつぎのとおりです。こたえあわせをしましょう。 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18) (19) (20) つぎのけいさんをしましょう。 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) こたえはつぎのとおりです。こたえあわせをしましょう。 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) つぎのけいさんをしましょう。 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) こたえはつぎのとおりです。こたえあわせをしましょう。 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) つぎのけいさんをしましょう。 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18) (19) (20) こたえはつぎのとおりです。こたえあわせをしましょう。 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18) (19) (20)
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初等数学演習 >算数演習 小学校1年生
<small>[[初等数学演習 ]]>算数演習 小学校1年生 </small> ---- === かずと すうじ === 「□」のかずは いくつか すうじで こたえましょう。<br> (1) □□□□□ (2) □□ (3) □□□□□□□□ (4) □□□□□□□□□□ (5) □□□□□□□□□ <br>    □□□□□□□□ ===こたえ=== こたえはつぎのとおりです。こたえあわせをしましょう。<br> (1) :<math>5</math> (2) :<math>2</math> (3) :<math>8</math> (4) :<math>10</math> (5) :<math>17</math> ===たしざん(1)=== つぎのけいさんをしてみましょう。 (1) :<math> 9 + 1</math> (2) :<math> 4 + 2</math> (3) :<math> 7 + 1</math> (4) :<math> 5 + 3</math> (5) :<math> 5 + 4</math> (6) :<math> 7 + 2</math> (7) :<math> 6 + 3</math> (8) :<math> 4 + 3</math> (9) :<math> 1 + 3</math> (10) :<math> 9 + 1</math> (11) :<math> 2 + 1</math> (12) :<math> 2 + 2</math> (13) :<math> 5 + 5</math> (14) :<math> 8 + 2</math> (15) :<math> 7 + 3</math> (16) :<math> 8 + 1</math> (17) :<math> 7 + 3</math> (18) :<math> 5 + 0</math> (19) :<math> 0 + 6</math> (20) :<math> 0 + 0</math> ===こたえ=== こたえはつぎのとおりです。こたえあわせをしましょう。 (1) :<math>10</math> (2) :<math>6</math> (3) :<math>8</math> (4) :<math>8</math> (5) :<math>9</math> (6) :<math>9</math> (7) :<math>9</math> (8) :<math>7</math> (9) :<math>4</math> (10) :<math>10</math> (11) :<math>3</math> (12) :<math>4</math> (13) :<math>10</math> (14) :<math>10</math> (15) :<math>10</math> (16) :<math>9</math> (17) :<math>10</math> (18) :<math>5</math> (19) :<math>6</math> (20) :<math>0</math> ===ひきざん(1) === つぎのけいさんをしましょう。 (1) :<math>3 - 1</math> (2) :<math>3 - 2</math> (3) :<math>7 - 1</math> (4) :<math>1 - 1</math> (5) :<math>4 - 2</math> (6) :<math>6 - 2</math> (7) :<math>10 - 3</math> (8) :<math>7 - 6</math> (9) :<math>4 - 3</math> (10) :<math>8 - 8</math> (11) :<math>9 - 6</math> (12) :<math>5 - 0</math> (13) :<math>4 - 2</math> (14) :<math>10 - 1</math> (15) :<math>5 - 4</math> (16) :<math>8 - 6</math> (17) :<math>9 - 4</math> (18) :<math>8 - 1</math> (19) :<math>4 - 3</math> (20) :<math>9 - 4</math> (21) :<math>2 - 1</math> (22) :<math>8 - 4</math> (23) :<math>1 - 1</math> (24) :<math>7 - 2</math> (25) :<math>7 - 6</math> (26) :<math>6 - 3</math> (27) :<math>10 - 6</math> (28) :<math>9 - 7</math> (29) :<math>7 - 0</math> (30) :<math>6 - 5</math> ===こたえ=== こたえはつぎのとおりです。こたえあわせをしましょう。 (1) :<math>2</math> (2) :<math>1</math> (3) :<math>6</math> (4) :<math>0</math> (5) :<math>2</math> (6) :<math>4</math> (7) :<math>7</math> (8) :<math>1</math> (9) :<math>1</math> (10) :<math>0</math> (11) :<math>3</math> (12) :<math>5</math> (13) :<math>2</math> (14) :<math>9</math> (15) :<math>1</math> (16) :<math>2</math> (17) :<math>5</math> (18) :<math>7</math> (19) :<math>1</math> (20) :<math>5</math> (21) :<math>1</math> (22) :<math>4</math> (23) :<math>0</math> (24) :<math>5</math> (25) :<math>1</math> (26) :<math>3</math> (27) :<math>4</math> (28) :<math>2</math> (29) :<math>7</math> (30) :<math>1</math> ===たしざん(2)=== つぎのけいさんをしましょう。 (1) :<math> 9 + 9</math> (2) :<math> 7 + 5</math> (3) :<math> 8 + 4</math> (4) :<math> 7 + 9</math> (5) :<math> 9 + 6</math> (6) :<math> 9 + 2</math> (7) :<math> 9 + 8</math> (8) :<math> 8 + 5</math> (9) :<math> 8 + 3</math> (10) :<math> 8 + 4</math> (11) :<math> 7 + 6</math> (12) :<math> 9 + 5</math> (13) :<math> 3 + 9</math> (14) :<math> 4 + 9</math> (15) :<math> 6 + 8</math> (16) :<math> 7 + 4</math> (17) :<math> 6 + 6</math> (18) :<math> 3 + 8</math> (19) :<math> 2 + 9</math> (20) :<math> 5 + 6</math> ===こたえ=== こたえはつぎのとおりです。こたえあわせをしましょう。 (1) :<math>18</math> (2) :<math>12</math> (3) :<math>12</math> (4) :<math>16</math> (5) :<math>15</math> (6) :<math>11</math> (7) :<math>17</math> (8) :<math>13</math> (9) :<math>11</math> (10) :<math>12</math> (11) :<math>13</math> (12) :<math>14</math> (13) :<math>12</math> (14) :<math>13</math> (15) :<math>14</math> (16) :<math>11</math> (17) :<math>12</math> (18) :<math>11</math> (19) :<math>11</math> (20) :<math>11</math> ===ひきざん(2)=== つぎのけいさんをしましょう。 (1) :<math>11 - 5</math> (2) :<math>13 - 4</math> (3) :<math>15 - 8</math> (4) :<math>17 - 9</math> (5) :<math>16 - 7</math> (6) :<math>12 - 4</math> (7) :<math>14 - 7</math> (8) :<math>11 - 3</math> (9) :<math>14 - 6</math> (10) :<math>18 - 9</math> (11) :<math>15 - 7</math> (12) :<math>12 - 9</math> (13) :<math>16 - 9</math> (14) :<math>13 - 5</math> (15) :<math>17 - 8</math> (16) :<math>11 - 8</math> (17) :<math>15 - 6</math> (18) :<math>12 - 5</math> (19) :<math>14 - 9</math> (20) :<math>13 - 7</math> ===こたえ=== こたえはつぎのとおりです。こたえあわせをしましょう。 (1) :<math>6</math> (2) :<math>9</math> (3) :<math>7</math> (4) :<math>8</math> (5) :<math>9</math> (6) :<math>8</math> (7) :<math>7</math> (8) :<math>8</math> (9) :<math>8</math> (10) :<math>9</math> (11) :<math>8</math> (12) :<math>3</math> (13) :<math>7</math> (14) :<math>8</math> (15) :<math>9</math> (16) :<math>3</math> (17) :<math>9</math> (18) :<math>7</math> (19) :<math>5</math> (20) :<math>6</math> ===たしざん(3)=== つぎのけいさんをしましょう。 (1) :<math> 10 + 9</math> (2) :<math> 10 + 6</math> (3) :<math> 10 + 1</math> (4) :<math> 10 + 4</math> (5) :<math> 10 + 3</math> (6) :<math> 10 + 5</math> (7) :<math> 10 + 8</math> (8) :<math> 10 + 5</math> (9) :<math> 10 + 2</math> ===こたえ=== こたえはつぎのとおりです。こたえあわせをしましょう。 (1) :<math>19</math> (2) :<math>16</math> (3) :<math>11</math> (4) :<math>14</math> (5) :<math>13</math> (6) :<math>15</math> (7) :<math>18</math> (8) :<math>15</math> (9) :<math>12</math> ===ひきざん(3) === つぎのけいさんをしましょう。 (1) :<math>17 - 7</math> (2) :<math>13 - 3</math> (3) :<math>14 - 4</math> (4) :<math>11 - 1</math> (5) :<math>19 - 9</math> (6) :<math>15 - 5</math> (7) :<math>12 - 2</math> (8) :<math>18 - 8</math> (9) :<math>16 - 6</math> ===こたえ=== こたえはつぎのとおりです。こたえあわせをしましょう。 (1) :<math>10</math> (2) :<math>10</math> (3) :<math>10</math> (4) :<math>10</math> (5) :<math>10</math> (6) :<math>10</math> (7) :<math>10</math> (8) :<math>10</math> (9) :<math>10</math> ===3つのかずのけいさん=== つぎのけいさんをしましょう。 (1) :<math> 2 + 3 + 4</math> (2) :<math> 4 + 5 + 1</math> (3) :<math> 2 + 5 + 3</math> (4) :<math> 5 + 5 + 4</math> (5) :<math> 8 + 2 + 9</math> (6) :<math> 9 - 3 - 2</math> (7) :<math> 8 - 6 - 1</math> (8) :<math> 10 - 3 - 4</math> (9) :<math> 15 - 5 - 7</math> (10) :<math> 17 - 7 - 2</math> (11) :<math> 9 - 6 + 3</math> (12) :<math> 10 - 8 + 7</math> (13) :<math> 10 - 5 + 3</math> (14) :<math> 14 - 4 + 2</math> (15) :<math> 19 - 9 + 6</math> (16) :<math> 3 + 5 - 4</math> (17) :<math> 7 + 2 - 6</math> (18) :<math> 8 + 2 - 5</math> (19) :<math> 4 + 6 - 3</math> (20) :<math> 5 + 5 - 8</math> ===こたえ=== こたえはつぎのとおりです。こたえあわせをしましょう。 (1) :<math>9</math> (2) :<math>10</math> (3) :<math>10</math> (4) :<math>14</math> (5) :<math>19</math> (6) :<math>4</math> (7) :<math>1</math> (8) :<math>3</math> (9) :<math>3</math> (10) :<math>8</math> (11) :<math>6</math> (12) :<math>9</math> (13) :<math>8</math> (14) :<math>12</math> (15) :<math>16</math> (16) :<math>4</math> (17) :<math>3</math> (18) :<math>5</math> (19) :<math>7</math> (20) :<math>2</math> [[Category:小学校算数演習|1年生]]
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2,886
初等整数論
数学>初等整数論 ここでは、初等整数論 --- 数論の中でも初等的な領域に属する、素数や合同式に関する基本的な理論 --- について解説する。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "数学>初等整数論", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "ここでは、初等整数論 --- 数論の中でも初等的な領域に属する、素数や合同式に関する基本的な理論 --- について解説する。", "title": "" } ]
数学>初等整数論 ここでは、初等整数論 --- 数論の中でも初等的な領域に属する、素数や合同式に関する基本的な理論 --- について解説する。 はじめに 公理 整除性 素数 パスカルの三角形に見る整数論 数列 多項式 合同式 合同の応用 ルーカス数列 べき剰余 数論的関数 連分数 不定方程式
<small>[[数学]]>初等整数論 </small> ---- ここでは、初等整数論 --- 数論の中でも初等的な領域に属する、素数や合同式に関する基本的な理論 --- について解説する。 *[[/はじめに|はじめに]] *[[/公理|公理]] *[[/整除性|整除性]] :*[[/ユークリッドの互除法|ユークリッドの互除法]] *[[/素数|素数]] :*[[/算術の基本定理|算術の基本定理]] :*[[/算術の基本定理の直接証明|算術の基本定理の直接証明]] *[[/パスカルの三角形|パスカルの三角形に見る整数論]] *[[/数列|数列]] :*[[/線形回帰数列|線形回帰数列]] *[[/多項式|多項式]] :*[[/因数分解の一意性|因数分解の一意性]] :*[[/円分多項式|円分多項式]] :*[[/多項式と数列|多項式と数列]] *[[/合同式|合同式]] :*[[/フェルマーの小定理|フェルマーの小定理]] :*[[/原始根と指数|原始根と指数]] :*[[/合成数を法とする合同式|合成数を法とする合同式]] :*[[/合成数を法とする剰余類の構造|合成数を法とする剰余類の構造]] *[[/合同の応用|合同の応用]] :*[[/合同式に基づく素数判定|合同式に基づく素数判定]] *[[/ルーカス数列|ルーカス数列]] *[[/べき剰余|べき剰余]] :*[[/平方剰余の相互法則の証明|平方剰余の相互法則の証明]] *[[/数論的関数|数論的関数]] *[[/連分数|連分数]] *[[/不定方程式|不定方程式]] {{stub}} [[Category:初等整数論|*]] [[Category:数論|*しよとうせいすうろん]]
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2016-12-29T04:43:14Z
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2,887
初等整数論/はじめに
数論 > 初等整数論 > はじめに 数論が取り扱う対象の中で基本的なものは0, 1, 2, 3, ...といった自然数であり、数学が取り扱う対象の中でももっとも身近で基本的である。そして数論が自然数に関して取り扱う概念も約数、素数、平方数など非常に分かりやすいものが多い。にもかかわらずこれらの概念は非常に多様で複雑な世界を織り成す。 提示するのは非常に簡単であるにもかかわらず、ゴールドバッハの予想など未だ解決されていない問題、フェルマーの予想(ワイルズの定理)など極めて難しい手法による解決しか知られていない問題は数知れない。そして、ある問題が解決した場合でも、その過程で新たな概念が見出され、新たな問題が浮上し、あるいは代数学、解析学、幾何学、組合せ論などの他分野の手法を盛んに用いなければならず、それが他分野も巻き込んだ数学全体に大きな刺激を与えることも珍しくない。素数定理の証明は複素関数論と複雑に関連しているし、フェルマーの予想は代数的整数論の研究を促してきた。 さらに、最近になって情報通信の発展とともに暗号や誤り訂正符号の研究が進展するに当たって、RSA暗号のように、素数や楕円曲線の算術などの数論的な技法を用いた暗号や符号がいくつか構成され、数論的な技法が盛んに使用されるようになっている。 この項目では、数論の中でも初等的な領域に属する、素数や合同式に関する基本的な理論を解説したい。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "数論 > 初等整数論 > はじめに", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "数論が取り扱う対象の中で基本的なものは0, 1, 2, 3, ...といった自然数であり、数学が取り扱う対象の中でももっとも身近で基本的である。そして数論が自然数に関して取り扱う概念も約数、素数、平方数など非常に分かりやすいものが多い。にもかかわらずこれらの概念は非常に多様で複雑な世界を織り成す。", "title": "" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "提示するのは非常に簡単であるにもかかわらず、ゴールドバッハの予想など未だ解決されていない問題、フェルマーの予想(ワイルズの定理)など極めて難しい手法による解決しか知られていない問題は数知れない。そして、ある問題が解決した場合でも、その過程で新たな概念が見出され、新たな問題が浮上し、あるいは代数学、解析学、幾何学、組合せ論などの他分野の手法を盛んに用いなければならず、それが他分野も巻き込んだ数学全体に大きな刺激を与えることも珍しくない。素数定理の証明は複素関数論と複雑に関連しているし、フェルマーの予想は代数的整数論の研究を促してきた。", "title": "" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "さらに、最近になって情報通信の発展とともに暗号や誤り訂正符号の研究が進展するに当たって、RSA暗号のように、素数や楕円曲線の算術などの数論的な技法を用いた暗号や符号がいくつか構成され、数論的な技法が盛んに使用されるようになっている。", "title": "" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "この項目では、数論の中でも初等的な領域に属する、素数や合同式に関する基本的な理論を解説したい。", "title": "" } ]
数論 > 初等整数論 > はじめに 数論が取り扱う対象の中で基本的なものは0, 1, 2, 3, ...といった自然数であり、数学が取り扱う対象の中でももっとも身近で基本的である。そして数論が自然数に関して取り扱う概念も約数、素数、平方数など非常に分かりやすいものが多い。にもかかわらずこれらの概念は非常に多様で複雑な世界を織り成す。 提示するのは非常に簡単であるにもかかわらず、ゴールドバッハの予想など未だ解決されていない問題、フェルマーの予想(ワイルズの定理)など極めて難しい手法による解決しか知られていない問題は数知れない。そして、ある問題が解決した場合でも、その過程で新たな概念が見出され、新たな問題が浮上し、あるいは代数学、解析学、幾何学、組合せ論などの他分野の手法を盛んに用いなければならず、それが他分野も巻き込んだ数学全体に大きな刺激を与えることも珍しくない。素数定理の証明は複素関数論と複雑に関連しているし、フェルマーの予想は代数的整数論の研究を促してきた。 さらに、最近になって情報通信の発展とともに暗号や誤り訂正符号の研究が進展するに当たって、RSA暗号のように、素数や楕円曲線の算術などの数論的な技法を用いた暗号や符号がいくつか構成され、数論的な技法が盛んに使用されるようになっている。 この項目では、数論の中でも初等的な領域に属する、素数や合同式に関する基本的な理論を解説したい。
{{Nav}} [[:Category:数論|数論]] > [[初等整数論]] > はじめに 数論が取り扱う対象の中で基本的なものは0, 1, 2, 3, ...といった自然数であり、数学が取り扱う対象の中でももっとも身近で基本的である。そして数論が自然数に関して取り扱う概念も約数、素数、平方数など非常に分かりやすいものが多い。にもかかわらずこれらの概念は非常に多様で複雑な世界を織り成す。 提示するのは非常に簡単であるにもかかわらず、ゴールドバッハの予想など未だ解決されていない問題、フェルマーの予想(ワイルズの定理)など極めて難しい手法による解決しか知られていない問題は数知れない。そして、ある問題が解決した場合でも、その過程で新たな概念が見出され、新たな問題が浮上し、あるいは代数学、解析学、幾何学、組合せ論などの他分野の手法を盛んに用いなければならず、それが他分野も巻き込んだ数学全体に大きな刺激を与えることも珍しくない。素数定理の証明は複素関数論と複雑に関連しているし、フェルマーの予想は代数的整数論の研究を促してきた。 さらに、最近になって情報通信の発展とともに暗号や誤り訂正符号の研究が進展するに当たって、RSA暗号のように、素数や楕円曲線の算術などの数論的な技法を用いた暗号や符号がいくつか構成され、数論的な技法が盛んに使用されるようになっている。 この項目では、数論の中でも初等的な領域に属する、素数や合同式に関する基本的な理論を解説したい。 {{stub}} {{DEFAULTSORT:しよとうせいすうろん はしめに}} [[Category:初等整数論|はしめに]]
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2022-07-06T22:45:50Z
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2,888
初等整数論/整除性
定義 q {\displaystyle q} が存在するとき、これを、「a は b の倍数」、「b は a の約数」、「a は b で割り切れる」という。記号で、 b | a {\displaystyle b\,|\,a} 。 証明 b | a 0 , a 1 , a 2 , ⋯ , a n {\displaystyle b\,|\,a_{0},a_{1},a_{2},\cdots ,a_{n}} より、 b q 0 = a 0 , b q 1 = a 1 , ⋯ {\displaystyle bq_{0}=a_{0},bq_{1}=a_{1},\cdots } とおく。すると、 a 0 x + a 1 x + a 2 x + ⋯ + a n x = b q 0 x + b q 1 x + b q 2 x + ⋯ + b q n x = b x ( q 0 + q 1 + q 2 + ⋯ + q n ) {\displaystyle {\begin{aligned}a_{0}x+a_{1}x+a_{2}x+\cdots +a_{n}x&=bq_{0}x+bq_{1}x+bq_{2}x+\cdots +bq_{n}x\\&=bx(q_{0}+q_{1}+q_{2}+\cdots +q_{n})\end{aligned}}} より、b の倍数であることから、 b | a 0 x + a 1 x + a 2 x + ⋯ + a n x . {\displaystyle b\,|\,a_{0}x+a_{1}x+a_{2}x+\cdots +a_{n}x.} これも整数論の根幹の部分を成す基本的かつ大事な定理である。 定理 1.2 (除法の原理) 証明 まずは存在することを証明する。そのために、まずは自然数についてを証明し、それを利用して負の数と 0 の場合を証明すれば整数全てを網羅できる。 a {\displaystyle a} についての数学的帰納法で証明する。 (i) a = 1 {\displaystyle a=1} のとき b = 1 {\displaystyle b=1} ならば、 a = b 1 + 0 {\displaystyle a=b1+0} とすることで定理の主張を満たす。 b > 1 {\displaystyle b>1} ならば、 a = b 0 + 1 {\displaystyle a=b0+1} とすることで定理の主張を満たす。 (ii) a = n {\displaystyle a=n} のとき成り立つと仮定する すなわち、 n = b q + r ( 0 ≦ r < b ) {\displaystyle n=bq+r(0\leqq r<b)} なる q , r {\displaystyle q,r} が存在する。 0 ≦ r < b − 1 {\displaystyle 0\leqq r<b-1} ならば、 n + 1 = b q + ( r + 1 ) ( 0 ≦ r < b ) {\displaystyle n+1=bq+(r+1)\ \ \ \ \ (0\leqq r<b)} より n+1 でも正しい。 r = b − 1 {\displaystyle r=b-1} ならば、 n + 1 = b q + r + 1 = b ( q + 1 ) + 0 {\displaystyle {\begin{aligned}n+1&=bq+r+1&=b(q+1)+0\end{aligned}}} となって、結局 n+1 の場合も正しい。 (i) (ii) によって数学的帰納法から、自然数について成り立つことが分かった。 次に、負数の場合である。 a < 0 ⇒ − a > 0 {\displaystyle a<0\Rightarrow -a>0} であるので、先ほど証明したことから − a = b q + r ( 0 ≦ r < b ) ⋯ ( 1 ) {\displaystyle -a=bq+r\ \ \ \ \ (0\leqq r<b)\cdots (1)} なる q , r {\displaystyle q,r} が存在する。 ( 1 ) ⟺ a = b ( − q ) + ( − r ) ( − b < − r ≦ 0 ) ⟺ a = b ( − q ) − b + ( − r + b ) ( 0 < − r + b ≦ b ) {\displaystyle {\begin{aligned}(1)&\iff a=b(-q)+(-r)\ \ \ \ \ (-b<-r\leqq 0)\\&\iff a=b(-q)-b+(-r+b)\ \ \ \ \ (0<-r+b\leqq b)\end{aligned}}} よって、 0 < − r + b < b {\displaystyle 0<-r+b<b} ならば定理は正しい。そうではなく、 − r + b = b {\displaystyle -r+b=b} のときも、 − r + b = b ⟺ r = 0 {\displaystyle -r+b=b\iff r=0} であることから定理の主張を満たす。 最後に 0 の場合であるが、これは自明。 以上より全ての整数において除法の原理を満たす q, r が存在することが証明された。 次に、その唯一性を証明する。仮にとある整数 a , b > 0 {\displaystyle a,b>0} でこれが成り立たず、 a = b q + r ( 0 ≦ r < b ) a = b q ′ + r ′ ( 0 ≦ r ′ < b ) q ≠ q ′ ∨ r ≠ r ′ {\displaystyle {\begin{aligned}a&=bq+r\ \ \ \ \ (0\leqq r<b)\\a&=bq'+r'\ \ \ \ \ (0\leqq r'<b)\\q&\neq q'\vee r\neq r'\end{aligned}}} だったとする。すると、 ( b q + r ) − ( b q ′ + r ′ ) = a − a ⟺ b ( q − q ′ ) + ( r − r ′ ) = 0 ⟺ b ( q − q ′ ) = r ′ − r {\displaystyle {\begin{aligned}(bq+r)-(bq'+r')=a-a&\iff b(q-q')+(r-r')=0\\&\iff b(q-q')=r'-r\end{aligned}}} ∴ b | r ′ − r ⋯ ( 2 ) {\displaystyle \therefore b\,|\,r'-r\cdots (2)} 0 ≦ r ′ ∧ r < b ⇒ r < r ′ + b ⟺ r − r ′ < b ⟺ r ′ − r > − b ⋯ ( 3 ) {\displaystyle {\begin{aligned}0\leqq r'\wedge r<b&\Rightarrow r<r'+b\\&\iff r-r'<b\\&\iff r'-r>-b\cdots (3)\\\end{aligned}}} 0 ≦ r ∧ r ′ < b ⇒ r ′ < r + b ⟺ r ′ − r < b ⋯ ( 4 ) {\displaystyle {\begin{aligned}0\leqq r\wedge r'<b&\Rightarrow r'<r+b\\&\iff r'-r<b\cdots (4)\end{aligned}}} (2), (3), (4) より r ′ − r = 0 ⟺ r = r ′ ⋯ ( 5 ) {\displaystyle r'-r=0\iff r=r'\cdots (5)} したがって、再び ( b q + r ) − ( b q ′ + r ′ ) = a − a ⟺ b ( q − q ′ ) = 0 ⟺ b = 0 ∨ q − q ′ = 0 {\displaystyle (bq+r)-(bq'+r')=a-a\iff b(q-q')=0\iff b=0\vee q-q'=0} ここで、 b > 0 {\displaystyle b>0} より、 q − q ′ = 0 ⟺ q = q ′ ⋯ ( 6 ) {\displaystyle q-q'=0\iff q=q'\cdots (6)} (5), (6) は仮定に矛盾。したがって、唯一性が証明された。以上により除法の原理が証明された。 定義 例 19 = 7 ⋅ 2 + 5 {\displaystyle 19=7\cdot 2+5} 97 = 24 ⋅ 4 + 1 {\displaystyle 97=24\cdot 4+1} 186 = 38 ⋅ 4 + 32 {\displaystyle 186=38\cdot 4+32} なお、余りの範囲を 0 ≦ r < b {\displaystyle 0\leqq r<b} とせず、 − b 2 ≦ r ≦ b 2 ( ⟺ r ≦ | b 2 | ) {\displaystyle -{\frac {b}{2}}\leqq r\leqq {\frac {b}{2}}(\iff r\leqq |{\frac {b}{2}}|)} とすることもできる。これを、絶対最小剰余という。例えば、 68 = 7 ⋅ 10 − 2 {\displaystyle 68=7\cdot 10-2} がある。 定義 例 84, 32 の最大公約数は 4, 記号で gcd ( 84 , 32 ) = 4. {\displaystyle \gcd(84,32)=4.} または ( 84 , 32 ) = 4. {\displaystyle (84,32)=4.} 189, 42 の最大公約数は 21, 記号で ( 189 , 42 ) = 21. {\displaystyle (189,42)=21.} 230, 132, 91 の最大公約数は 23, 記号で ( 230 , 132 , 91 ) = 23. {\displaystyle (230,132,91)=23.} 12 と 20 の最小公倍数は 60, 記号で lcm [ 12 , 20 ] = 60. {\displaystyle {\textrm {lcm}}[12,20]=60.} 9, 21, 15 の最小公倍数は 315, 記号で lcm [ 9 , 21 , 15 ] = 315. {\displaystyle {\textrm {lcm}}[9,21,15]=315.} 6, 7 は互いに素。92, 15 は互いに素。3, 4, 5 は対ごとに互いに素である。4, 6, 7 は互いに素であるが、 ( 4 , 6 ) = 2 {\displaystyle (4,6)=2} なので対ごとに互いに素ではない。6, 10, 15 は互いに素であるが、 ( 6 , 10 ) = 2 , ( 10 , 15 ) = 5 , ( 6 , 15 ) = 3 {\displaystyle (6,10)=2,(10,15)=5,(6,15)=3} とどの2つをとっても互いに素ではない。 次に述べるものは直観的に考えて合っているもので、証明なしに受け入れられるものである。それを反省する意味でもここに証明を載せる。 証明 2つ以上の数を a, b, ..., k とおく。公倍数は必ず存在する。なぜなら、全てをかけあわせたもの、 a b ⋯ k {\displaystyle ab\cdots k} は定義より公倍数であるからである。これが負ならば正に直すことで自然数の公倍数がみつかる。そのうち最小のものは存在する。よって最小公倍数は必ず存在する。 さて、ここで最小公倍数を l とおき、m は任意の公倍数とする。定理 1.2 に基づいて、 m = l q + r , 0 ≦ r < l {\displaystyle m=lq+r,\ \ \ 0\leqq r<l} とおけば、 r = m − l q {\displaystyle r=m-lq} m も l も a, b, ... , k の倍数であるから、定理 1.1 によって r も a, b, ... , k の倍数、すなわち、公倍数である。ここで、l は正のもののうち最小のものだったから、 r = 0 {\displaystyle r=0} となるしかなく、よって定理の正しいことが証明される。 証明 2つ以上の数を a, b, ..., k とおく。公約数は必ず存在する。なぜなら、1 は定義より公約数であるからである。また、それらの数のうち、最も大きい数を l とおくと、l + 1 以上の数は公約数ではない。よって公約数には最大のものは存在する。よって最小公倍数は必ず存在する。 さて、ここで最大公約数を m とおき、d は任意の公約数とする。また、m, d の最小公倍数を l とおく。仮定によって、a は m の倍数であり、d の倍数である。したがって、定理 1.3 によって、a は l の倍数である。同様に、b, c, ... , k も l の倍数。したがって、l は a, b, c, ... , k の公約数。したがって m は「最大」なので l ≦ m . {\displaystyle l\leqq m.} また、l は m の倍数であるから、 l ≧ m . {\displaystyle l\geqq m.} 以上より、 l = m {\displaystyle l=m} となり、d は m の約数であると分かった。 証明 仮定より、 l = a ′ b = a b ′ {\displaystyle l=a'b=ab'} とおける。ab は a, b の公倍数である。したがって定理 1.3 によって a b = d l ⋯ ( 1 ) {\displaystyle ab=dl\cdots (1)} とおける。 先ほどの式をこれに代入して、 a b = d a ′ b , a b = d a b ′ ⟺ a = d a ′ , b = d b ′ ⋯ {\displaystyle ab=da'b,ab=dab'\iff a=da',b=db'\cdots } つまり、d は a, b の公約数。定理 1.4 に基づいて、 g = d e ⋯ ( 2 ) {\displaystyle g=de\cdots (2)} とおく。仮定により、 g | a , b ⟺ d e | d a ′ , d b ′ ⟺ e | a ′ , b ′ . {\displaystyle g\,|\,a,b\iff de\,|\,da',db'\iff e\,|a',b'.} したがって、 a ′ = e a ′′ , b ′ = e b ′′ {\displaystyle a'=ea'',b'=eb''} とおけば、最初の式に代入して l = a b ′′ e = b a ′′ e {\displaystyle l=ab''e=ba''e} となるが、 e > 1 {\displaystyle e>1} であると、 l e ( < l ) {\displaystyle {\frac {l}{e}}(<l)} が a, b の公倍数となり、l の最小性に反するため、e = 1 となるしかなく、(2) より g = d . {\displaystyle g=d.} (1) より、 a b = g l . {\displaystyle ab=gl.} 次の定理も、1.3, 1.4 とともに無条件で受け入れられている、非常に重要な定理である。 証明 定理 1.5 より、a, b の最小公倍数は ab である。bc は a の倍数かつ b の倍数、したがって定理 1.3 によって a b | b c ⟺ a | c . {\displaystyle ab\,|\,bc\iff a\,|\,c.} 定理 1.3 のみを使って証明することもできる。a, b の最小公倍数は当然 b の倍数であるから kb とかける。ab は明らかに a, b の公倍数であるから定理 1.3 より kb の倍数である。よって a は k の倍数である。そこで a = l k {\displaystyle a=lk} とおくと k b = a b / l {\displaystyle kb=ab/l} が a の倍数であるから b / l {\displaystyle b/l} は整数、つまり l は b の約数である。よって l は a, b の公約数でなければならないが仮定より l=1 つまり k=a でなければならない。したがって a, b の最小公倍数は ab である。bc は a の倍数かつ b の倍数、したがって定理 1.3 によって a b | b c ⟺ a | c . {\displaystyle ab\,|\,bc\iff a\,|\,c.} 定理 1.6 は次のように一般化される。 証明 a ′ = a / gcd ( a , b ) , b ′ = b / gcd ( a , b ) {\displaystyle a'=a/\gcd(a,b),b'=b/\gcd(a,b)} とおくと gcd ( a ′ , b ′ ) = 1 {\displaystyle \gcd(a',b')=1} なので定理 1.6 より a | b c ⟺ a ′ | b ′ c ⟺ a ′ | c . {\displaystyle a\,|\,bc\iff a'\,|\,b'c\iff a'\,|\,c.}
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a, b, c, ... , k の公約数。したがって m は「最大」なので l ≦ m . {\\displaystyle l\\leqq m.} また、l は m の倍数であるから、 l ≧ m . {\\displaystyle l\\geqq m.} 以上より、 l = m {\\displaystyle l=m} となり、d は m の約数であると分かった。", "title": "公約数・公倍数" }, { "paragraph_id": 50, "tag": "p", "text": "証明 仮定より、 l = a ′ b = a b ′ {\\displaystyle l=a'b=ab'} とおける。ab は a, b の公倍数である。したがって定理 1.3 によって a b = d l ⋯ ( 1 ) {\\displaystyle ab=dl\\cdots (1)} とおける。 先ほどの式をこれに代入して、 a b = d a ′ b , a b = d a b ′ ⟺ a = d a ′ , b = d b ′ ⋯ {\\displaystyle ab=da'b,ab=dab'\\iff a=da',b=db'\\cdots } つまり、d は a, b の公約数。定理 1.4 に基づいて、 g = d e ⋯ ( 2 ) {\\displaystyle g=de\\cdots (2)} とおく。仮定により、 g | a , b ⟺ d e | d a ′ , d b ′ ⟺ e | a ′ , b ′ . {\\displaystyle g\\,|\\,a,b\\iff de\\,|\\,da',db'\\iff e\\,|a',b'.} したがって、 a ′ = e a ′′ , b ′ = e b ′′ {\\displaystyle a'=ea'',b'=eb''} とおけば、最初の式に代入して", "title": "公約数・公倍数" }, { "paragraph_id": 51, "tag": "p", "text": "l = a b ′′ e = b a ′′ e {\\displaystyle l=ab''e=ba''e} となるが、 e > 1 {\\displaystyle e>1} であると、 l e ( < l ) {\\displaystyle {\\frac {l}{e}}(<l)} が a, b の公倍数となり、l の最小性に反するため、e = 1 となるしかなく、(2) より g = d . {\\displaystyle g=d.} (1) より、 a b = g l . {\\displaystyle ab=gl.}", "title": "公約数・公倍数" }, { "paragraph_id": 52, "tag": "p", "text": "次の定理も、1.3, 1.4 とともに無条件で受け入れられている、非常に重要な定理である。", "title": "公約数・公倍数" }, { "paragraph_id": 53, "tag": "p", "text": "証明 定理 1.5 より、a, b の最小公倍数は ab である。bc は a の倍数かつ b の倍数、したがって定理 1.3 によって a b | b c ⟺ a | c . {\\displaystyle ab\\,|\\,bc\\iff a\\,|\\,c.}", "title": "公約数・公倍数" }, { "paragraph_id": 54, "tag": "p", "text": "定理 1.3 のみを使って証明することもできる。a, b の最小公倍数は当然 b の倍数であるから kb とかける。ab は明らかに a, b の公倍数であるから定理 1.3 より kb の倍数である。よって a は k の倍数である。そこで a = l k {\\displaystyle a=lk} とおくと k b = a b / l {\\displaystyle kb=ab/l} が a の倍数であるから b / l {\\displaystyle b/l} は整数、つまり l は b の約数である。よって l は a, b の公約数でなければならないが仮定より l=1 つまり k=a でなければならない。したがって a, b の最小公倍数は ab である。bc は a の倍数かつ b の倍数、したがって定理 1.3 によって a b | b c ⟺ a | c . {\\displaystyle ab\\,|\\,bc\\iff a\\,|\\,c.}", "title": "公約数・公倍数" }, { "paragraph_id": 55, "tag": "p", "text": "定理 1.6 は次のように一般化される。", "title": "公約数・公倍数" }, { "paragraph_id": 56, "tag": "p", "text": "証明 a ′ = a / gcd ( a , b ) , b ′ = b / gcd ( a , b ) {\\displaystyle a'=a/\\gcd(a,b),b'=b/\\gcd(a,b)} とおくと gcd ( a ′ , b ′ ) = 1 {\\displaystyle \\gcd(a',b')=1} なので定理 1.6 より a | b c ⟺ a ′ | b ′ c ⟺ a ′ | c . {\\displaystyle a\\,|\\,bc\\iff a'\\,|\\,b'c\\iff a'\\,|\\,c.}", "title": "公約数・公倍数" } ]
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{{Nav}} == 倍数・約数 == '''定義''' :整数<math>a, b</math> について <math>a = bq</math> なる 整数 <math>q</math> が存在するとき、これを、「a は b の'''倍数'''」、「b は a の'''約数'''」、「a は b で'''割り切れる'''」という。記号で、<math>b \, | \, a</math>。 ====== 定理 1.1 ====== :この定理は基本的である。 :<math>b \, | \, a_0, a_1, a_2, \cdots , a_n</math> のとき、<math>b \, | \, a_0x + a_1x + a_2x + \cdots +a_nx</math> '''証明'''<br /> <math>b \, | \, a_0, a_1, a_2, \cdots , a_n</math> より、 <math>bq_0 = a_0, bq_1 = a_1, \cdots </math> とおく。すると、 <math>\begin{align} a_0x + a_1x + a_2x + \cdots +a_nx & = bq_0x + bq_1x + bq_2x + \cdots + bq_nx \\ & = bx(q_0 + q_1 + q_2 + \cdots + q_n) \end{align} </math> より、b の倍数であることから、<math>b \, | \, a_0x + a_1x + a_2x + \cdots +a_nx.</math> == 除法の原理 == これも整数論の根幹の部分を成す基本的かつ大事な定理である。 '''定理 1.2''' ([[w:除法の原理|除法の原理]]) :任意の整数 <math>a, b > 0</math> が与えられたとき、<math>a = bq + r \ \ \ \ \ (0 \leqq r < b)</math> なる <math>q, r</math> がただ一組に限って存在する。 '''証明'''<br /> まずは存在することを証明する。そのために、まずは自然数についてを証明し、それを利用して負の数と 0 の場合を証明すれば整数全てを網羅できる。 <math>a</math> についての数学的帰納法で証明する。 (i) <math>a = 1</math> のとき <math>b = 1</math> ならば、<math>a = b1 + 0</math> とすることで定理の主張を満たす。<br /> <math>b > 1</math> ならば、<math>a = b0 + 1</math> とすることで定理の主張を満たす。 (ii) <math>a = n</math> のとき成り立つと仮定する すなわち、<math>n = bq + r (0 \leqq r < b)</math> なる <math>q, r</math> が存在する。 <math>0 \leqq r < b-1</math> ならば、<math>n + 1 = bq + (r + 1) \ \ \ \ \ (0 \leqq r < b)</math> より n+1 でも正しい。<br /> <math>r = b - 1</math> ならば、<br /> <math>\begin{align} n + 1 & = bq + r + 1 & = b(q+1) + 0 \end{align} </math><br /> となって、結局 n+1 の場合も正しい。 (i) (ii) によって数学的帰納法から、自然数について成り立つことが分かった。 次に、負数の場合である。 <math>a < 0 \Rightarrow -a > 0</math> であるので、先ほど証明したことから <math>-a = bq + r \ \ \ \ \ (0 \leqq r < b) \cdots (1)</math> なる <math>q, r</math> が存在する。 <math>\begin{align} (1) & \iff a = b(-q) + (-r) \ \ \ \ \ (-b < -r \leqq 0) \\ & \iff a = b(-q) - b + (-r + b) \ \ \ \ \ (0 < -r + b \leqq b) \end{align}</math> よって、<math>0 < -r + b < b</math> ならば定理は正しい。そうではなく、<math>-r + b = b</math> のときも、<math>-r + b = b \iff r = 0</math> であることから定理の主張を満たす。 最後に 0 の場合であるが、これは自明。 以上より全ての整数において除法の原理を満たす q, r が存在することが証明された。 次に、その唯一性を証明する。仮にとある整数 <math>a, b > 0</math> でこれが成り立たず、 <math> \begin{align} a & = bq + r \ \ \ \ \ (0 \leqq r < b) \\ a & = bq' + r' \ \ \ \ \ (0 \leqq r' < b) \\ q & \neq q'\vee r \neq r' \end{align} </math> だったとする。すると、 <math>\begin{align} (bq + r) - (bq' + r') = a-a & \iff b(q-q') + (r-r') = 0 \\ & \iff b(q-q') = r' - r \end{align} </math> <math> \therefore b \, | \, r' - r \cdots (2) </math> <math> \begin{align} 0 \leqq r' \wedge r < b & \Rightarrow r < r' + b \\ & \iff r-r' < b \\ & \iff r'-r > -b \cdots (3) \\ \end{align} </math> <math> \begin{align} 0 \leqq r \wedge r' < b & \Rightarrow r' < r + b \\ & \iff r' - r < b \cdots (4) \end{align} </math> (2), (3), (4) より <math>r' - r = 0 \iff r = r' \cdots (5)</math> したがって、再び <math>(bq + r) - (bq' + r') = a-a \iff b(q-q') = 0 \iff b = 0 \vee q - q' = 0</math> ここで、<math>b > 0</math> より、<math>q - q' = 0 \iff q = q' \cdots (6)</math> (5), (6) は仮定に矛盾。したがって、唯一性が証明された。以上により除法の原理が証明された。 '''定義''' :先ほどの定理をそのまま用いると、q を 「a を b で割った'''商'''」、r を 「a を b で割った'''余り'''」という。またこれを、「b を'''法'''とした a の'''最小正剰余'''」ともいう。 '''例''' <math>19 = 7 \cdot 2 + 5</math><br /> <math>97 = 24 \cdot 4 + 1</math><br /> <math>186 = 38 \cdot 4 + 32</math> なお、余りの範囲を <math>0 \leqq r < b</math> とせず、<math>-\frac{b}{2} \leqq r \leqq \frac{b}{2} ( \iff r \leqq |\frac{b}{2}|)</math> とすることもできる。これを、'''絶対最小剰余'''という。例えば、 <math>68 = 7 \cdot 10 - 2</math> がある。 == 公約数・公倍数 == '''定義''' :2つ以上の数 a, b, ... について、a の約数であり、かつ b の約数であり、かつ、... という数を「a, b, ... の'''公約数'''」という。自然数の公約数のうち最大のものを「'''最大公約数'''」という。「g.c.d, gcd」などとも書かれ、gcd(a, b, ...)、または単に (a, b, ...) という記号で表す。 :2つ以上の数 a, b, ... について、a の倍数であり、かつ b の倍数であり、かつ、... という数を「a, b, ... の公倍数」という。自然数の公約数のうち最小のものを「'''最小公倍数'''」という。「l.c.m, lcm, LCM」などとも書かれ、lcm[a, b, ...] という記号で表す。 :特に、gcd(a, b) = 1 のとき、「a, b は'''互いに素'''である」、という。さらにここでは、3つ以上の数 a, b, c, ... については、gcd(a, b, c, ...) = 1 を「広義の互いに素」あるいは単に「互いに素」、3つ以上の数のうち任意の異なる2数をとっても互いに素であるとき、「狭義の互いに素」「対ごとに互いに素」「どの2つも互いに素」という。対ごとに互いに素な数の組は互いに素である。このような区別は一般的ではなく曖昧な部分もあるがここではこのように約束する。 '''例''' 84, 32 の最大公約数は 4, 記号で <math>\gcd(84, 32) = 4.</math> または <math>(84, 32) = 4.</math><br /> 189, 42 の最大公約数は 21, 記号で <math>(189, 42) = 21.</math><br /> 230, 132, 91 の最大公約数は 23, 記号で <math>(230, 132, 91) = 23.</math> 12 と 20 の最小公倍数は 60, 記号で <math>\textrm{lcm}[12, 20] = 60.</math> 9, 21, 15 の最小公倍数は 315, 記号で <math>\textrm{lcm}[9, 21, 15] = 315.</math> 6, 7 は互いに素。92, 15 は互いに素。3, 4, 5 は対ごとに互いに素である。4, 6, 7 は互いに素であるが、<math>(4, 6) = 2</math> なので対ごとに互いに素ではない。6, 10, 15 は互いに素であるが、<math>(6, 10)=2, (10, 15)=5, (6, 15)=3</math> とどの2つをとっても互いに素ではない。 次に述べるものは直観的に考えて合っているもので、証明なしに受け入れられるものである。それを反省する意味でもここに証明を載せる。 ====== 定理 1.3 ====== :2つ以上の数の公倍数は最小公倍数の倍数である。 '''証明'''<br /> 2つ以上の数を a, b, ..., k とおく。公倍数は必ず存在する。なぜなら、全てをかけあわせたもの、<math>ab \cdots k</math> は定義より公倍数であるからである。これが負ならば正に直すことで自然数の公倍数がみつかる。そのうち最小のものは存在する。よって最小公倍数は必ず存在する。 さて、ここで最小公倍数を l とおき、m は任意の公倍数とする。定理 1.2 に基づいて、 <math>m = lq + r, \ \ \ 0 \leqq r < l</math> とおけば、<math>r = m - lq</math> m も l も a, b, ... , k の倍数であるから、定理 1.1 によって r も a, b, ... , k の倍数、すなわち、公倍数である。ここで、l は正のもののうち最小のものだったから、<math>r = 0</math> となるしかなく、よって定理の正しいことが証明される。 ====== 定理 1.4 ====== :2つ以上の数の公約数は最大公約数の約数である。 '''証明'''<br /> 2つ以上の数を a, b, ..., k とおく。公約数は必ず存在する。なぜなら、1 は定義より公約数であるからである。また、それらの数のうち、最も大きい数を l とおくと、l + 1 以上の数は公約数ではない。よって公約数には最大のものは存在する。よって最小公倍数は必ず存在する。 さて、ここで最大公約数を m とおき、d は任意の公約数とする。また、m, d の最小公倍数を l とおく。仮定によって、a は m の倍数であり、d の倍数である。したがって、定理 1.3 によって、a は l の倍数である。同様に、b, c, ... , k も l の倍数。したがって、l は a, b, c, ... , k の公約数。したがって m は「最大」なので <math>l \leqq m.</math> また、l は m の倍数であるから、<math>l \geqq m.</math> 以上より、<math>l = m</math> となり、d は m の約数であると分かった。 ====== 定理 1.5 ====== :任意の自然数 a, b について、<math>\gcd(a, b) = g, \textrm{lcm}[a, b] = l</math> とすると、<math>ab = gl</math> '''証明'''<br /> 仮定より、<math>l = a'b = ab'</math> とおける。ab は a, b の公倍数である。したがって定理 1.3 によって <math>ab = dl \cdots (1)</math> とおける。<br /> 先ほどの式をこれに代入して、<math>ab = da'b, ab = dab' \iff a = da', b = db' \cdots</math> つまり、d は a, b の公約数。定理 1.4 に基づいて、<br /> <math>g = de \cdots (2)</math>とおく。仮定により、<math>g \, | \, a, b \iff de \, | \, da', db' \iff e \, | a', b'.</math> したがって、<math>a' = ea'', b' = eb''</math> とおけば、最初の式に代入して <math>l = ab''e = ba''e</math> となるが、<math>e > 1</math> であると、<math>\frac{l}{e} ( < l )</math> が a, b の公倍数となり、l の最小性に反するため、e = 1 となるしかなく、(2) より <math>g = d.</math> (1) より、<math>ab = gl.</math> 次の定理も、1.3, 1.4 とともに無条件で受け入れられている、非常に重要な定理である。 ====== 定理 1.6 ====== :<math>\gcd (a, b) = 1</math> のとき <math> a \, | \, bc \iff a \, | \, c</math> '''証明'''<br /> 定理 1.5 より、a, b の最小公倍数は ab である。bc は a の倍数かつ b の倍数、したがって定理 1.3 によって <math>ab \, | \, bc \iff a \, | \, c.</math> 定理 1.3 のみを使って証明することもできる。a, b の最小公倍数は当然 b の倍数であるから kb とかける。ab は明らかに a, b の公倍数であるから定理 1.3 より kb の倍数である。よって a は k の倍数である。そこで <math>a=lk</math> とおくと <math>kb=ab/l</math> が a の倍数であるから <math>b/l</math> は整数、つまり l は b の約数である。よって l は a, b の公約数でなければならないが仮定より l=1 つまり k=a でなければならない。したがって a, b の最小公倍数は ab である。bc は a の倍数かつ b の倍数、したがって定理 1.3 によって <math>ab \, | \, bc \iff a \, | \, c.</math> 定理 1.6 は次のように一般化される。 ====== 定理 1.6' ====== :<math>a \, | \, bc \iff \frac{a}{\gcd (a, b)} \, | \, c</math> '''証明'''<br /> <math>a'=a/\gcd (a, b), b'=b/\gcd (a, b)</math> とおくと <math>\gcd(a', b')=1</math> なので定理 1.6 より <math>a \, | \, bc \iff a' \, | \, b'c \iff a' \, | \, c.</math> {{Nav}} {{DEFAULTSORT:しよとうせいすうろん せいしよせい}} [[Category:初等整数論|せいしよせい]]
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中学校社会 歴史
中学校社会 歴史では、中学生を対象とした歴史の教科書を用意しています。内容は細かく分けられているので、順番に読んでいきましょう。 以上の教科書を読みつくし、もっと歴史を知りたい、という人は日本史の本を読んでみよう。大人向けで内容や漢字は難しいが、その分内容がぎっしり詰まっている。
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中学校社会 歴史では、中学生を対象とした歴史の教科書を用意しています。内容は細かく分けられているので、順番に読んでいきましょう。
{{Pathnav|メインページ|小学校・中学校・高等学校の学習|中学校の学習|中学校社会|frame=1}} {{PAGENAME}}では、中学生を対象とした歴史の教科書を用意しています。内容は細かく分けられているので、順番に読んでいきましょう。 === 古代 === ==== [[中学校社会 歴史/人類の出現|人類の出現]] (旧石器時代) ==== * [[中学校社会 歴史/新石器時代|新石器時代]] (日本の縄文時代) * [[中学校社会 歴史/文明の誕生|文明の誕生]] (四大河文明) ** 参考[[中学校社会 歴史/年代測定法|年代測定法]](放射性年代測定、年輪年代測定など) ** [[中学校社会 歴史/中国文明|中国文明]](中国の古代文明から漢王朝まで) * [[中学校社会 歴史/古代のギリシャ文明とローマ文明|古代のギリシャ文明とローマ文明]] * [[中学校社会 歴史/三大宗教の始まり|三大宗教の始まり]] ==== 古代の日本 ==== * [[中学校社会 歴史 旧石器時代から縄文時代へ|旧石器時代から縄文時代へ]] * [[中学校社会 歴史/弥生時代|弥生時代]] * [[中学校社会 歴史/古墳時代|古墳時代]] === 古代国家の成立と展開 === * [[中学校社会 歴史/隋と唐|{{Ruby|隋|ずい}}と{{Ruby|唐|とう}}]](中国の6世紀~7世紀前後) * [[中学校社会 歴史/飛鳥時代|飛鳥時代]] * [[中学校社会 歴史/飛鳥・奈良時代の農民の暮らし|飛鳥・奈良時代の農民の暮らし]] * [[中学校社会 歴史/奈良時代|奈良時代]] * [[中学校社会 歴史/平安時代|平安時代]] ** [[中学校社会 歴史/平安時代/院政と平氏の台頭|{{Ruby|院政|いんせい}}と{{Ruby|平氏|へいし}}の台頭]] === 中世 === * [[中学校社会 歴史/鎌倉時代|鎌倉時代]] :* [[中学校社会 歴史/鎌倉時代/元寇|{{Ruby|元寇|げんこう}}]] * [[中学校社会 歴史/室町時代|室町時代]]<ref>室町時代のうち、天皇家が2つに{{Ruby|分裂|ぶんれつ}}した時代は「南北朝時代」と呼ばれることもある。</ref><ref name="sengoku">戦国大名が全国に乱立した時代は「戦国時代」と呼ばれることもある。室町時代末期または室町時代末期から安土桃山時代までのことである。</ref> * [[中学校社会 歴史/世界の中世や近世|世界の中世や近世]](十字軍、ルネサンス、宗教改革、大航海時代) * [[中学校社会 歴史/日本に来航したヨーロッパ人|日本に来航したヨーロッパ人]] * [[中学校社会 歴史/戦国時代と安土桃山時代|戦国時代と安土桃山時代]]<ref name="sengoku"/> === 近世 === * [[中学校社会 歴史/江戸幕府の始まり|江戸幕府の始まり]] * [[中学校社会 歴史/社会の変化と江戸幕府|社会の変化と江戸幕府]] * [[中学校社会 歴史/江戸時代の文化と学問|江戸時代の文化と学問]] === 近代 === ==== 近代化と世界進出 ==== ==== 欧米の近代化 ==== * [[中学校社会 歴史/市民革命と欧米諸国|市民革命と欧米諸国]] * [[中学校社会 歴史/産業革命と欧米諸国|産業革命と欧米諸国]] * [[中学校社会 歴史/アメリカの南北戦争|アメリカの南北戦争]] * [[中学校社会 歴史/欧米の近代国家建設|欧米の近代国家建設]] ==== 欧米の世界進出と日本の対応 ==== * [[中学校社会 歴史/ヨーロッパ諸国によるアジア侵略|ヨーロッパ諸国によるアジア{{Ruby|侵略|しんりゃく}}]] * [[中学校社会 歴史/日本の開国|日本の開国]] * [[中学校社会 歴史/江戸時代のおわり|江戸時代のおわり]] * [[中学校社会 歴史/明治時代のはじまり|明治時代のはじまり]] * [[中学校社会 歴史/明治維新の改革|明治{{Ruby|維新|いしん}}の改革]] * [[中学校社会 歴史/日本の文明開化と殖産興業|日本の文明開化と{{Ruby|殖産|しょくさん}}興業]] * [[中学校社会 歴史/明治日本の国際関係|明治日本の国際関係]] * [[中学校社会 歴史/明治日本の北海道と沖縄|明治日本の北海道と沖縄]] * [[中学校社会 歴史/日本の立憲政治のはじまり|日本の立憲政治のはじまり]] * [[中学校社会 歴史/明治日本の改革の進展|明治日本の改革の進展]] ==== 日清・日露戦争とアジアの近代化 ==== * [[中学校社会 歴史/帝国主義の世界|帝国主義の世界]](世界史) * [[中学校社会 歴史/日清戦争|日清戦争]] * [[中学校社会 歴史/日清戦争から日露戦争までのあいだ|日清戦争から日露戦争までのあいだ]] * [[中学校社会 歴史/日露戦争|日露戦争]] * [[中学校社会 歴史/韓国併合|韓国併合]] * [[中学校社会 歴史/日本統治下の植民地|日本統治下の植民地]] {{進捗|00%|2015-10-03}} * [[中学校社会 歴史/辛亥革命|辛亥革命]] * [[中学校社会 歴史/明治時代の社会と文化|明治時代の社会と文化]] * [[中学校社会 歴史/日系ハワイ移民|日系ハワイ移民]] ==== 二つの世界大戦 ==== * [[中学校社会 歴史/第一次世界大戦|第一次世界大戦]] * [[中学校社会 歴史/大正時代|大正時代]] * [[中学校社会 歴史/世界恐慌と各国の対応|世界{{Ruby|恐慌|きょうこう}}と各国の対応]] * [[中学校社会 歴史/満州事変|満州事変]] * [[中学校社会 歴史/日中戦争|日中戦争]] * [[中学校社会 歴史/第二次世界大戦|第二次世界大戦]] === 第二次世界大戦後 === * [[中学校社会 歴史/戦後の日本の再建|戦後の日本の再建]] * [[中学校社会 歴史/冷戦|冷戦]] * [[中学校社会 歴史/高度経済成長と日本の役割|高度経済成長と日本の役割]] * [[中学校社会 歴史/冷戦の終結|冷戦の終結]] * [[中学校社会 歴史/冷戦後の社会|冷戦後の社会]] == コラム == * [[中学校社会 歴史/年代の表し方|年代の表し方]] * [[中学校社会 歴史/昭和天皇の死去|昭和天皇の死去]] == 資料 == * [[中学校社会 歴史/資料集]](史料集など) * [[中学校社会 歴史/用語集]] * [[中学校社会 歴史/年表]] * [[中学校社会 歴史/語呂合わせ|年号の{{Ruby|語呂|ごろ}}合わせ]] * [[中学校社会 歴史/検定教科書で紹介されているコラム的話題など]] (仮タイトル) == 練習問題 == * [[中学校社会 歴史/練習問題]] == 関連項目 == === 学習方法 === * [[学習方法/中学校社会全般]] * [[学習方法/中学校歴史]] * [[学習方法/中学校地理]] * [[学習方法/中学校公民]] == 他分野のリンク == * [[中学校社会 地理]] * [[中学校社会 歴史]] * [[中学校社会 公民]] === もっと歴史に興味をもった人へ === 以上の教科書を読みつくし、もっと歴史を知りたい、という人は[[日本史]]の本を読んでみよう。大人向けで内容や漢字は難しいが、その分内容がぎっしり{{Ruby|詰|つ}}まっている。 [[Category:中学校歴史|*]] [[Category:中学校教育|れきし]] [[Category:社会|ちゆうかつこうしやかいれきし]]
2005-11-12T12:43:42Z
2023-07-19T13:47:31Z
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元素記号
高校範囲において、この表の、全てを記憶する必要はないが、原子番号1番から20番まで、及びFe,Cu,Zn,Br,Kr,Ag,I,Auの28個を最低限覚えておくとよい。 下記の周期表に、元素記号と原子量との対応を示す。原子量は日本化学会原子量専門委員会が作成した4 桁の原子量表による。 元素名は、次節の周期表にある。(別表) 本表の原子量の信頼性は、有効数字の四桁目で±1 以内であるが、亜鉛については有効数字の四桁目で±2 以内の信頼性である。リチウムについては原子量の変動幅が大きいため原子量を三桁で与えた。また、安定同位体がなく、天然で特定の同位体組成を示さない元素はその代表的な放射性同位体の質量数を( )内に示した。 周期表の、各元素の元素記号と元素名の対応を示す。 ※標準状態(温度25°C、1気圧または、常温0°C、1気圧) 画像版 PDF版(文部科学省) 一家に1枚|科学技術週間 SCIENCE & TECHNOLOGY WEEK この節は書きかけです。この節を編集してくれる方を心からお待ちしています。 水兵リーベぼくの船、なーまがるシップス・クラークか、スコッチバーで苦労マンの徹子にどうも会えんが人を斡旋ブローカー
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "高校範囲において、この表の、全てを記憶する必要はないが、原子番号1番から20番まで、及びFe,Cu,Zn,Br,Kr,Ag,I,Auの28個を最低限覚えておくとよい。", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "下記の周期表に、元素記号と原子量との対応を示す。原子量は日本化学会原子量専門委員会が作成した4 桁の原子量表による。", "title": "周期表" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "元素名は、次節の周期表にある。(別表)", "title": "周期表" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "", "title": "周期表" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "本表の原子量の信頼性は、有効数字の四桁目で±1 以内であるが、亜鉛については有効数字の四桁目で±2 以内の信頼性である。リチウムについては原子量の変動幅が大きいため原子量を三桁で与えた。また、安定同位体がなく、天然で特定の同位体組成を示さない元素はその代表的な放射性同位体の質量数を( )内に示した。", "title": "周期表" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "周期表の、各元素の元素記号と元素名の対応を示す。", "title": "元素名ありの周期表" }, { "paragraph_id": 6, "tag": "p", "text": "※標準状態(温度25°C、1気圧または、常温0°C、1気圧)", "title": "元素名ありの周期表" }, { "paragraph_id": 7, "tag": "p", "text": "画像版", "title": "元素名ありの周期表" }, { "paragraph_id": 8, "tag": "p", "text": "PDF版(文部科学省)", "title": "元素名ありの周期表" }, { "paragraph_id": 9, "tag": "p", "text": "一家に1枚|科学技術週間 SCIENCE & TECHNOLOGY WEEK", "title": "元素名ありの周期表" }, { "paragraph_id": 10, "tag": "p", "text": "この節は書きかけです。この節を編集してくれる方を心からお待ちしています。", "title": "覚え方の例" }, { "paragraph_id": 11, "tag": "p", "text": "水兵リーベぼくの船、なーまがるシップス・クラークか、スコッチバーで苦労マンの徹子にどうも会えんが人を斡旋ブローカー", "title": "覚え方の例" } ]
高校範囲において、この表の、全てを記憶する必要はないが、原子番号1番から20番まで、及びFe,Cu,Zn,Br,Kr,Ag,I,Auの28個を最低限覚えておくとよい。 第1周期…H:水素 He:ヘリウム 第2周期…Li:リチウム Be:ベリリウム B:ホウ素 C:炭素 N:窒素 O:酸素 F:フッ素 Ne:ネオン 第3周期…Na:ナトリウム Mg:マグネシウム Al:アルミニウム Si:ケイ素 P:リン S:硫黄 Cl:塩素 Ar:アルゴン 第4周期…K:カリウム Ca:カルシウム
{{pathnav|高等学校の学習|高等学校理科|高等学校化学|frame=1}} 高校範囲において、この表の、''全て''を記憶する必要は'''ない'''が、原子番号1番から20番まで、及びFe,Cu,Zn,Br,Kr,Ag,I,Auの28個を最低限覚えておくとよい。 * 第1周期…H:水素 He:ヘリウム * 第2周期…Li:リチウム Be:ベリリウム B:ホウ素 C:炭素 N:窒素 O:酸素 F:フッ素 Ne:ネオン * 第3周期…Na:ナトリウム Mg:マグネシウム Al:アルミニウム Si:ケイ素 P:リン S:硫黄 Cl:塩素 Ar:アルゴン * 第4周期…K:カリウム Ca:カルシウム ==周期表== 下記の周期表に、元素記号と原子量との対応を示す。原子量は日本化学会原子量専門委員会が作成した4 桁の原子量表による<ref>[https://www.chemistry.or.jp/know/atom_2023.pdf 日本化学会. “原子量表(2023)”.] (2024年3月25日閲覧)</ref>。 元素名は、次節の周期表にある。(別表) :(※ 表示の都合上、元素名と原子量を、まとめて表示すると表サイズを大きくさせるを得ず、表示が困難です。原子量と元素名が別表になり、読者にとってはお手数ですが、ご容赦ください。一般の周期表では、元素名と原子量は、同じ表に記載される場合が多いです。) {| border="0" cellspacing="1" cellpadding="0" |-align="center" !valign="bottom" width="36"|1 |width="36"| ||width="36"| ||width="36"| ||width="36"| |width="36"| ||width="36"| ||width="36"| ||width="36"| |width="36"| ||width="36"| ||width="36"| ||width="36"| |width="36"| ||width="36"| ||width="36"| ||width="36"| !width="36"|18 |-align="center" |style="border:solid #999 2px;color:#3f3"|1<br/>[[w:水素|'''H''']]<br/>1.008 !valign="bottom"|2 | || || || || || || || || || !valign="bottom"|13 !valign="bottom"|14 !valign="bottom"|15 !valign="bottom"|16 !valign="bottom"|17 |style="border:solid #0f9 2px;color:#3f3"|2<br/>[[w:ヘリウム|'''He''']]<br/>4.003 |-align="center" |style="border:solid #f90 2px;background:#f0f0ff"|3<br/>[[w:リチウム|'''Li''']]<br/>6.94 |style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff"|4<br/>[[w:ベリリウム|'''Be''']]<br/>9.012 | || || || || || || || || || |style="border:solid #999 2px;background:#ccffff"|5<br/>[[w:ホウ素|'''B''']]<br/>10.81 |style="border:solid #999 2px"|6<br/>[[w:炭素|'''C''']]<br/>12.01 |style="border:solid #999 2px;color:#3f3"|7<br/>[[w:窒素|'''N''']]<br/>14.01 |style="border:solid #999 2px;color:#3f3"|8<br/>[[w:酸素|'''O''']]<br/>16.00 |style="border:solid #09f 2px;color:#3f3"|9<br/>[[w:フッ素|'''F''']]<br/>19.00 |style="border:solid #0f9 2px;color:#3f3"|10<br/>[[w:ネオン|'''Ne''']]<br/>20.18 |-align="center" |style="border:solid #f90 2px;background:#f0f0ff"|11<br/>[[w:ナトリウム|'''Na''']]<br/>22.99 |style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff"|12<br/>[[w:マグネシウム|'''Mg''']]<br/>24.31 !valign="bottom"|3 !valign="bottom"|4 !valign="bottom"|5 !valign="bottom"|6 !valign="bottom"|7 !valign="bottom"|8 !valign="bottom"|9 !valign="bottom"|10 !valign="bottom"|11 !valign="bottom"|12 |style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff"|13<br/>[[w:アルミニウム|'''Al''']]<br/>26.98 |style="border:solid #999 2px;background:#ccffff"|14<br/>[[w:ケイ素|'''Si''']]<br/>28.09 |style="border:solid #999 2px"|15<br/>[[w:リン|'''P''']]<br/>30.97 |style="border:solid #999 2px"|16<br/>[[w:硫黄|'''S''']]<br/>32.07 |style="border:solid #09f 2px;color:#3f3"|17<br/>[[w:塩素|'''Cl''']]<br/>35.45 |style="border:solid #0f9 2px;color:#3f3"|18<br/>[[w:アルゴン|'''Ar''']]<br/>39.95 |-align="center" |style="border:solid #f90 2px;background:#f0f0ff"|19<br/>[[w:カリウム|'''K''']]<br/>39.10 |style="border:solid #9f0 2px;background:#f0f0ff"|20<br/>[[w:カルシウム|'''Ca''']]<br/>40.08 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|21<br/>[[w:スカンジウム|'''Sc''']]<br/>44.96 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|22<br/>[[w:チタン|'''Ti''']]<br/>47.87 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|23<br/>[[w:バナジウム|'''V''']]<br/>50.94 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|24<br/>[[w:クロム|'''Cr''']]<br/>52.00 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|25<br/>[[w:マンガン|'''Mn''']]<br/>54.94 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|26<br/>[[w:鉄|'''Fe''']]<br/>55.85 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|27<br/>[[w:コバルト|'''Co''']]<br/>58.93 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|28<br/>[[w:ニッケル|'''Ni''']]<br/>58.69 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|29<br/>[[w:銅|'''Cu''']]<br/>63.55 |style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff"|30<br/>[[w:亜鉛|'''Zn''']]<br/>65.38 |style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff"|31<br/>[[w:ガリウム|'''Ga''']]<br/>69.72 |style="border:solid #999 2px;background:#ccffff"|32<br/>[[w:ゲルマニウム|'''Ge''']]<br/>72.63 |style="border:solid #999 2px;background:#ccffff"|33<br/>[[w:ヒ素|'''As''']]<br/>74.92 |style="border:solid #999 2px"|34<br/>[[w:セレン|'''Se''']]<br/>78.97 |style="border:solid #09f 2px;color:#f33"|35<br/>[[w:臭素|'''Br''']]<br/>79.90 |style="border:solid #0f9 2px;color:#3f3"|36<br/>[[w:クリプトン|'''Kr''']]<br/>83.80 |-align="center" |style="border:solid #f90 2px;background:#f0f0ff"|37<br/>[[w:ルビジウム|'''Rb''']]<br/>85.47 |style="border:solid #9f0 2px;background:#f0f0ff"|38<br/>[[w:ストロンチウム|'''Sr''']]<br/>87.62 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|39<br/>[[w:イットリウム|'''Y''']]<br/>88.91 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|40<br/>[[w:ジルコニウム|'''Zr''']]<br/>91.22 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|41<br/>[[w:ニオブ|'''Nb''']]<br/>92.91 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|42<br/>[[w:モリブデン|'''Mo''']]<br/>95.95 |style="border:solid #00f 2px;background:#ffffcc"|43<br/>[[w:テクネチウム|'''Tc''']]<br/>(99) |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|44<br/>[[w:ルテニウム|'''Ru''']]<br/>101.1 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|45<br/>[[w:ロジウム|'''Rh''']]<br/>102.9 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|46<br/>[[w:パラジウム|'''Pd''']]<br/>106.4 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|47<br/>[[w:銀|'''Ag''']]<br/>107.9 |style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff"|48<br/>[[w:カドミウム|'''Cd''']]<br/>112.4 |style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff"|49<br/>[[w:インジウム|'''In''']]<br/>114.8 |style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff"|50<br/>[[w:スズ|'''Sn''']]<br/>118.7 |style="border:solid #999 2px;background:#ccffff"|51<br/>[[w:アンチモン|'''Sb''']]<br/>121.8 |style="border:solid #999 2px;background:#ccffff"|52<br/>[[w:テルル|'''Te''']]<br/>127.6 |style="border:solid #09f 2px"|53<br/>[[w:ヨウ素|'''I''']]<br/>126.9 |style="border:solid #0f9 2px;color:#3f3"|54<br/>[[w:キセノン|'''Xe''']]<br/>131.3 |-align="center" |style="border:solid #f90 2px;background:#f0f0ff"|55<br/>[[w:セシウム|'''Cs''']]<br/>132.9 |style="border:solid #9f0 2px;background:#f0f0ff"|56<br/>[[w:バリウム|'''Ba''']]<br/>137.3 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff;color:red"|<small>*1</small> |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|72<br/>[[w:ハフニウム|'''Hf''']]<br/>178.5 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|73<br/>[[w:タンタル|'''Ta''']]<br/>180.9 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|74<br/>[[w:タングステン|'''W''']]<br/>183.8 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|75<br/>[[w:レニウム|'''Re''']]<br/>186.2 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|76<br/>[[w:オスミウム|'''Os''']]<br/>190.2 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|77<br/>[[w:イリジウム|'''Ir''']]<br/>192.2 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|78<br/>[[w:白金|'''Pt''']]<br/>195.1 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|79<br/>[[w:金|'''Au''']]<br/>197.0 |style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff;color:#f33"|80<br/>[[w:水銀|'''Hg''']]<br/>200.6 |style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff"|81<br/>[[w:タリウム|'''Tl''']]<br/>204.4 |style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff"|82<br/>[[w:鉛|'''Pb''']]<br/>207.2 |style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff"|83<br/>[[w:ビスマス|'''Bi''']]<br/>209.0 |style="border:solid #999 2px;background:#ccffff"|84<br/>[[w:ポロニウム|'''Po''']]<br/>(210) |style="border:solid #09f 2px"|85<br/>[[w:アスタチン|'''At''']]<br/>(210) |style="border:solid #0f9 2px;color:#3f3"|86<br/>[[w:ラドン|'''Rn''']]<br/>(222) |-align="center" |style="border:solid #f90 2px;background:#f0f0ff"|87<br/>[[w:フランシウム|'''Fr''']]<br/>(223) |style="border:solid #9f0 2px;background:#f0f0ff"|88<br/>[[w:ラジウム|'''Ra''']]<br/>(226) |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff;color:red"|<small>*2</small> |style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|104<br/>[[w:ラザホージウム|'''Rf''']]<br/>(267) |style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|105<br/>[[w:ドブニウム|'''Db''']]<br/>(268) |style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|106<br/>[[w:シーボーギウム|'''Sg''']]<br/>(271) |style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|107<br/>[[w:ボーリウム|'''Bh''']]<br/>(272) |style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|108<br/>[[w:ハッシウム|'''Hs''']]<br/>(277) |style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|109<br/>[[w:マイトネリウム|'''Mt''']]<br/>(276) |style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|110<br/>[[w:ダームスタチウム|'''Ds''']]<br/>(281) |style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|111<br/>[[w:レントゲニウム|'''Rg''']]<br/>(280) |style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|112<br/>[[w:コペルニシウム|'''Cn''']]<br/>(285) |style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|113<br/>[[w:ニホニウム|'''Nh''']]<br/>(278) |style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|114<br/>[[w:フレロビウム|'''Fl''']]<br/>(289) |style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|115<br/>[[w:モスコビウム|'''Mc''']]<br/>(289) |style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|116<br/>[[w:リバモリウム|'''Lv''']]<br/>(293) |style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|117<br/>[[w:テネシン|'''Ts''']]<br/>(293) |style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|118<br/>[[w:オガネソン|'''Og''']]<br/>(294) |- |&nbsp; |-align="center" |colspan="3" align="right"|<small><span style="color:red;">*1</span> [[w:ランタノイド|ランタノイド]]: </small> |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|57<br/>[[w:ランタン|'''La''']]<br/>138.9 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|58<br/>[[w:セリウム|'''Ce''']]<br/>140.1 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|59<br/>[[w:プラセオジム|'''Pr''']]<br/>140.9 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|60<br/>[[w:ネオジム|'''Nd''']]<br/>144.2 |style="border:solid #00f 2px;background:#ffffcc"|61<br/>[[w:プロメチウム|'''Pm''']]<br/>(145) |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|62<br/>[[w:サマリウム|'''Sm''']]<br/>150.4 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|63<br/>[[w:ユウロピウム|'''Eu''']]<br/>152.0 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|64<br/>[[w:ガドリニウム|'''Gd''']]<br/>157.3 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|65<br/>[[w:テルビウム|'''Tb''']]<br/>158.9 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|66<br/>[[w:ジスプロシウム|'''Dy''']]<br/>162.5 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|67<br/>[[w:ホルミウム|'''Ho''']]<br/>164.9 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|68<br/>[[w:エルビウム|'''Er''']]<br/>167.3 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|69<br/>[[w:ツリウム|'''Tm''']]<br/>168.9 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|70<br/>[[w:イッテルビウム|'''Yb''']]<br/>173.0 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|71<br/>[[w:ルテチウム|'''Lu''']]<br/>175.0 |-align="center" |colspan="3" align="right"|<small><span style="color:red;">*2</span> [[w:アクチノイド|アクチノイド]]: </small> |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|89<br/>[[w:アクチニウム|'''Ac''']]<br/>(227) |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|90<br/>[[w:トリウム|'''Th''']]<br/>232.0 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|91<br/>[[w:プロトアクチニウム|'''Pa''']]<br/>231.0 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|92<br/>[[w:ウラン|'''U''']]<br/>238.0 |style="border:solid #00f 2px;background:#ffffcc"|93<br/>[[w:ネプツニウム|'''Np''']]<br/>(237) |style="border:solid #00f 2px;background:#ffffcc"|94<br/>[[w:プルトニウム|'''Pu''']]<br/>(239) |style="border:solid #00f 2px;background:#ffffcc"|95<br/>[[w:アメリシウム|'''Am''']]<br/>(243) |style="border:solid #00f 2px;background:#ffffcc"|96<br/>[[w:キュリウム|'''Cm''']]<br/>(247) |style="border:solid #00f 2px;background:#ffffcc"|97<br/>[[w:バークリウム|'''Bk''']]<br/>(247) |style="border:solid #00f 2px;background:#ffffcc"|98<br/>[[w:カリホルニウム|'''Cf''']]<br/>(252) |style="border:solid #00f 2px;background:#ffffcc"|99<br/>[[w:アインスタイニウム|'''Es''']]<br/>(252) |style="border:solid #00f 2px;background:#ffffcc"|100<br/>[[w:フェルミウム|'''Fm''']]<br/>(257) |style="border:solid #00f 2px;background:#ffffcc"|101<br/>[[w:メンデレビウム|'''Md''']]<br/>(258) |style="border:solid #00f 2px;background:#ffffcc"|102<br/>[[w:ノーベリウム|'''No''']]<br/>(259) |style="border:solid #00f 2px;background:#ffffcc"|103<br/>[[w:ローレンシウム|'''Lr''']]<br/>(262) |- |&nbsp; |- |colspan="18" align="right"| {| border="0" cellspacing="4" cellpadding="0" style="margin-left:auto;text-align:left" |- |style="border:solid #999 1px;"|&nbsp;1&nbsp;||常温で[[w:固体|固体]] |width="32"|&nbsp; |style="border:solid #999 1px;background:#f0f0ff"|&nbsp; &nbsp;||[[w:金属元素|金属元素]] |width="32"|&nbsp; |style="border:solid #f90 2px"|&nbsp; &nbsp;||[[w:アルカリ金属|アルカリ金属]] |- |style="border:solid #999 1px;color:#f33"|&nbsp;1&nbsp;||常温で[[w:液体|液体]] |&nbsp; |style="border:solid #999 1px;background:#ccffff"|&nbsp; &nbsp;||[[w:半金属元素|半金属元素]] |&nbsp; |style="border:solid #9f0 2px"|&nbsp; &nbsp;||[[w:アルカリ土類金属|アルカリ土類金属]] |- |style="border:solid #999 1px;color:#3f3"|&nbsp;1&nbsp;||常温で[[w:気体|気体]] |&nbsp; |style="border:solid #999 1px"|&nbsp; &nbsp;||[[w:非金属元素|非金属元素]] |&nbsp; |style="border:solid #09f 2px"|&nbsp; &nbsp;||[[w:ハロゲン|ハロゲン]] |- |&nbsp;||&nbsp; |&nbsp; |style="border:solid #999 1px;background:#ffffcc"|&nbsp; &nbsp;||[[w:人工元素|人工元素]] |&nbsp; |style="border:solid #0f9 2px"|&nbsp; &nbsp;||[[w:希ガス|希ガス]] |- |&nbsp;||&nbsp; |&nbsp; |&nbsp;||&nbsp; |&nbsp; |style="border:solid #00f 2px"|&nbsp; &nbsp;||[[w:遷移元素|遷移元素]] |} |} <small>本表の原子量の信頼性は、有効数字の四桁目で±1 以内であるが、亜鉛については有効数字の四桁目で±2 以内の信頼性である。リチウムについては原子量の変動幅が大きいため原子量を三桁で与えた。また、安定同位体がなく、天然で特定の同位体組成を示さない元素はその代表的な放射性同位体の質量数を( )内に示した。</small> <references /> ==元素名ありの周期表== 周期表の、各元素の元素記号と元素名の対応を示す。 ;周期表 {| border="0" cellspacing="1" cellpadding="0" |-align="center" !valign="bottom" width="60"|1 |width="60"| ||width="60"| ||width="60"| ||width="60"| |width="60"| ||width="60"| ||width="60"| ||width="60"| |width="60"| ||width="60"| ||width="60"| ||width="60"| |width="60"| ||width="60"| ||width="60"| ||width="60"| !width="60"|18 |-align="center" |style="border:solid #999 2px;color:#3f3"|1<br/>[[w:水素|'''H''']]<br/>水素 !valign="bottom"|2 | || || || || || || || || || !valign="bottom"|13 !valign="bottom"|14 !valign="bottom"|15 !valign="bottom"|16 !valign="bottom"|17 |style="border:solid #0f9 2px;color:#3f3"|2<br/>[[w:ヘリウム|'''He''']]<br/><small>ヘリウム</small> |-align="center" |style="border:solid #f90 2px;background:#f0f0ff"|3<br/>[[w:リチウム|'''Li''']]<br/><small>リチウム</small> |style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff"|4<br/>[[w:ベリリウム|'''Be''']]<br/><small>ベリリウム</small> | || || || || || || || || || |style="border:solid #999 2px;background:#ccffff"|5<br/>[[w:ホウ素|'''B''']]<br/>ホウ素 |style="border:solid #999 2px"|6<br/>[[w:炭素|'''C''']]<br/>炭素 |style="border:solid #999 2px;color:#3f3"|7<br/>[[w:窒素|'''N''']]<br/>窒素 |style="border:solid #999 2px;color:#3f3"|8<br/>[[w:酸素|'''O''']]<br/>酸素 |style="border:solid #09f 2px;color:#3f3"|9<br/>[[w:フッ素|'''F''']]<br/>フッ素 |style="border:solid #0f9 2px;color:#3f3"|10<br/>[[w:ネオン|'''Ne''']]<br/>ネオン |-align="center" |style="border:solid #f90 2px;background:#f0f0ff"|11<br/>[[w:ナトリウム|'''Na''']]<br/><small>ナトリウム</small> |style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff"|12<br/>[[w:マグネシウム|'''Mg''']]<br/><small>マグネシウム</small> !valign="bottom"|3 !valign="bottom"|4 !valign="bottom"|5 !valign="bottom"|6 !valign="bottom"|7 !valign="bottom"|8 !valign="bottom"|9 !valign="bottom"|10 !valign="bottom"|11 !valign="bottom"|12 |style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff"|13<br/>[[w:アルミニウム|'''Al''']]<br/><small>アルミニウム</small> |style="border:solid #999 2px;background:#ccffff"|14<br/>[[w:ケイ素|'''Si''']]<br/>ケイ素 |style="border:solid #999 2px"|15<br/>[[w:リン|'''P''']]<br/>リン |style="border:solid #999 2px"|16<br/>[[w:硫黄|'''S''']]<br/>硫黄 |style="border:solid #09f 2px;color:#3f3"|17<br/>[[w:塩素|'''Cl''']]<br/>塩素 |style="border:solid #0f9 2px;color:#3f3"|18<br/>[[w:アルゴン|'''Ar''']]<br/>アルゴン |-align="center" |style="border:solid #f90 2px;background:#f0f0ff"|19<br/>[[w:カリウム|'''K''']]<br/>カリウム<small></small> |style="border:solid #9f0 2px;background:#f0f0ff"|20<br/>[[w:カルシウム|'''Ca''']]<br/><small>カルシウム</small> |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|21<br/>[[w:スカンジウム|'''Sc''']]<br/><small>スカンジウム</small> |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|22<br/>[[w:チタン|'''Ti''']]<br/>チタン |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|23<br/>[[w:バナジウム|'''V''']]<br/><small>バナジウム</small> |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|24<br/>[[w:クロム|'''Cr''']]<br/>クロム |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|25<br/>[[w:マンガン|'''Mn''']]<br/><small>マンガン</small> |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|26<br/>[[w:鉄|'''Fe''']]<br/>鉄 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|27<br/>[[w:コバルト|'''Co''']]<br/><small>コバルト</small> |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|28<br/>[[w:ニッケル|'''Ni''']]<br/><small>ニッケル</small> |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|29<br/>[[w:銅|'''Cu''']]<br/>銅 |style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff"|30<br/>[[w:亜鉛|'''Zn''']]<br/>亜鉛 |style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff"|31<br/>[[w:ガリウム|'''Ga''']]<br/><small>ガリウム</small> |style="border:solid #999 2px;background:#ccffff"|32<br/>[[w:ゲルマニウム|'''Ge''']]<br/><small>ゲルマニウム</small> |style="border:solid #999 2px;background:#ccffff"|33<br/>[[w:ヒ素|'''As''']]<br/>ヒ素 |style="border:solid #999 2px"|34<br/>[[w:セレン|'''Se''']]<br/>セレン |style="border:solid #09f 2px;color:#f33"|35<br/>[[w:臭素|'''Br''']]<br/>臭素 |style="border:solid #0f9 2px;color:#3f3"|36<br/>[[w:クリプトン|'''Kr''']]<br/><small>クリプトン</small> |-align="center" |style="border:solid #f90 2px;background:#f0f0ff"|37<br/>[[w:ルビジウム|'''Rb''']]<br/><small>ルビジウム</small> |style="border:solid #9f0 2px;background:#f0f0ff"|38<br/>[[w:ストロンチウム|'''Sr''']]<br/><small>ストロンチウム</small> |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|39<br/>[[w:イットリウム|'''Y''']]<br/><small>イットリウム</small> |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|40<br/>[[w:ジルコニウム|'''Zr''']]<br/><small>ジルコニウム</small> |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|41<br/>[[w:ニオブ|'''Nb''']]<br/><small>ニオブ</small> |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|42<br/>[[w:モリブデン|'''Mo''']]<br/><small>モリブデン</small> |style="border:solid #00f 2px;background:#ffffcc"|43<br/>[[w:テクネチウム|'''Tc''']]<br/><small>テクネチウム</small> |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|44<br/>[[w:ルテニウム|'''Ru''']]<br/><small>ルテニウム</small> |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|45<br/>[[w:ロジウム|'''Rh''']]<br/><small>ロジウム</small> |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|46<br/>[[w:パラジウム|'''Pd''']]<br/><small>パラジウム</small> |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|47<br/>[[w:銀|'''Ag''']]<br/>銀 |style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff"|48<br/>[[w:カドミウム|'''Cd''']]<br/><small>カドミウム</small> |style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff"|49<br/>[[w:インジウム|'''In''']]<br/><small>インジウム</small> |style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff"|50<br/>[[w:スズ|'''Sn''']]<br/>スズ |style="border:solid #999 2px;background:#ccffff"|51<br/>[[w:アンチモン|'''Sb''']]<br/><small>アンチモン</small> |style="border:solid #999 2px;background:#ccffff"|52<br/>[[w:テルル|'''Te''']]<br/>テルル |style="border:solid #09f 2px"|53<br/>[[w:ヨウ素|'''I''']]<br/>ヨウ素 |style="border:solid #0f9 2px;color:#3f3"|54<br/>[[w:キセノン|'''Xe''']]<br/><small>キセノン</small> |-align="center" |style="border:solid #f90 2px;background:#f0f0ff"|55<br/>[[w:セシウム|'''Cs''']]<br/><small>セシウム</small> |style="border:solid #9f0 2px;background:#f0f0ff"|56<br/>[[w:バリウム|'''Ba''']]<br/><small>バリウム</small> |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff;color:red"|<small>*1</small><br/><small>ランタノイド</small> |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|72<br/>[[w:ハフニウム|'''Hf''']]<br/><small>ハフニウム</small> |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|73<br/>[[w:タンタル|'''Ta''']]<br/><small>タンタル</small> |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|74<br/>[[w:タングステン|'''W''']]<br/><small>タングステン</small> |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|75<br/>[[w:レニウム|'''Re''']]<br/><small>レニウム</small> |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|76<br/>[[w:オスミウム|'''Os''']]<br/><small>オスミウム</small> |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|77<br/>[[w:イリジウム|'''Ir''']]<br/><small>イリジウム</small> |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|78<br/>[[w:白金|'''Pt''']]<br/>白金 |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|79<br/>[[w:金|'''Au''']]<br/>金 |style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff;color:#f33"|80<br/>[[w:水銀|'''Hg''']]<br/>水銀 |style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff"|81<br/>[[w:タリウム|'''Tl''']]<br/>タリウム |style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff"|82<br/>[[w:鉛|'''Pb''']]<br/>鉛 |style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff"|83<br/>[[w:ビスマス|'''Bi''']]<br/><small>ビスマス</small> |style="border:solid #999 2px;background:#ccffff"|84<br/>[[w:ポロニウム|'''Po''']]<br/><small>ポロニウム</small> |style="border:solid #09f 2px"|85<br/>[[w:アスタチン|'''At''']]<br/><small>アスタチン</small> |style="border:solid #0f9 2px;color:#3f3"|86<br/>[[w:ラドン|'''Rn''']]<br/><small>ラドン</small> |-align="center" |style="border:solid #f90 2px;background:#f0f0ff"|87<br/>[[w:フランシウム|'''Fr''']]<br/><small>フランシウム</small> |style="border:solid #9f0 2px;background:#f0f0ff"|88<br/>[[w:ラジウム|'''Ra''']]<br/><small>ラジウム</small> |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff;color:red"|<small>*2</small><br/><small>アクチノイド</small> |style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|104<br/>[[w:ラザホージウム|'''Rf''']]<br/><small>ラザホージウム</small> |style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|105<br/>[[w:ドブニウム|'''Db''']]<br/><small>ドブニウム</small> |style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|106<br/>[[w:シーボーギウム|'''Sg''']]<br/><small>シーボーギウム</small> |style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|107<br/>[[w:ボーリウム|'''Bh''']]<br/><small>ボーリウム</small> |style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|108<br/>[[w:ハッシウム|'''Hs''']]<br/><small>ハッシウム</small> |style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|109<br/>[[w:マイトネリウム|'''Mt''']]<br/><small>マイトネリウム</small> |style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|110<br/>[[w:ダームスタチウム|'''Ds''']]<br/><small>ダームスタチウム</small> |style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|111<br/>[[w:レントゲニウム|'''Rg''']]<br/><small>レントゲニウム</small> |style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|112<br/>[[w:コペルニシウム|'''Cn''']]<br/><small>コペルニシウム</small> |style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|113<br/>[[w:ニホニウム|'''Nh''']]<br/><small>ニホニウム</small> |style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|114<br/>[[w:フレロビウム|'''Fl''']]<br/><small>フレロビウム</small> |style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|115<br/>[[w:モスコビウム|'''Mc''']]<br/><small>モスコビウム</small> |style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|116<br/>[[w:リバモリウム|'''Lv''']]<br/><small>リバモリウム</small> |style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|117<br/>[[w:テネシン|'''Ts''']]<br/><small>テネシン</small> |style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|118<br/>[[w:オガネソン|'''Og''']]<br/><small>オガネソン</small> |- |&nbsp; |-align="center" |colspan="3" align="right"|<small><span style="color:red;">*1</span> [[w:ランタノイド|ランタノイド]]: </small> |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|57<br/>[[w:ランタン|'''La''']]<br/><small>ランタン</small> |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|58<br/>[[w:セリウム|'''Ce''']]<br/><small>セリウム</small> |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|59<br/>[[w:プラセオジム|'''Pr''']]<br/><small>プラセオジム</small> |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|60<br/>[[w:ネオジム|'''Nd''']]<br/><small>ネオジム</small> |style="border:solid #00f 2px;background:#ffffcc"|61<br/>[[w:プロメチウム|'''Pm''']]<br/><small>プロメチウム</small> |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|62<br/>[[w:サマリウム|'''Sm''']]<br/><small>サマリウム</small> |style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|63<br/>[[w:ユウロピウム|'''Eu''']]<br/><small>ユウロピウム</small> |style="border:solid #00f 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===1~4周期 (横向き)===  {{ruby|水|H}}{{ruby|兵|He}}{{ruby|リ|Li}}ー{{ruby|ベ|Be}}{{ruby|ぼ|B}}{{ruby|く|C}}{{ruby|の|N O}}{{ruby|船|F Ne}}、{{ruby|なー|Na}}{{ruby|ま|Mg}}{{ruby|がる|Al}}{{ruby|シ|Si}}ッ{{ruby|プ|P}}{{ruby|ス|S}}・{{ruby|クラー|Cl Ar}}{{ruby|ク|K}}{{ruby|か|Ca}}、{{ruby|スコッ|Sc}}{{ruby|チ|Ti}}{{ruby|バー|V}}で{{ruby|苦労|Cr}}{{ruby|マン|Mn}}の{{ruby|徹|Fe}}{{ruby|子|Co}}{{ruby|に|Ni}}{{ruby|どう|Cu}}も{{ruby|会えん|Zn}}{{ruby|が|Ga}}人を{{ruby|斡|As}}{{ruby|旋|Se}}{{ruby|ブロー|Br}}{{ruby|カー|Kr}} ===1族 (縦向き)=== *{{ruby|エッチ|H}}で{{ruby|リッチ|Li}}{{ruby|な|Na}}{{ruby|母|K}}さん{{ruby|ルビ|Rb}}ーを{{ruby|せし|Cs}}めて{{ruby|フラ|Fr}}ンスへ *{{ruby|ホット|H}}な{{ruby|リ|Li}}{{ruby|ナ|Na}}が{{ruby|ク|K}}{{ruby|ラブ|Rb}}で{{ruby|腰|Cs}}を{{ruby|振る|Fr}} * ===2族 (縦向き)=== *{{ruby|ベ|Be}}ル{{ruby|マーク|Mg}}{{ruby|化|Ca}}{{ruby|する|Sr}}{{ruby|バ|Ba}}{{ruby|ラ|Ra}} ===16族 (縦向き)=== *{{ruby|おっ|O}}{{ruby|さ|S}}ん{{ruby|線|Se}}路に{{ruby|定|Te}}期を{{ruby|ポ|Po}}トリ *北の{{ruby|おっ|O}}{{ruby|さ|S}}ん{{ruby|戦|Se}}争始めて{{ruby|テ|Te}}{{ruby|ポ|Po}}ドン発射 ===17族 (縦向き)=== *{{ruby|ふ|F}}っ{{ruby|くら|Cl}}{{ruby|周|Br}}{{ruby|囲|I}}の{{ruby|暖|At}}かい *{{ruby|ふ|F}}っ{{ruby|くら|Cl}}{{ruby|ブラジャー|Br}}{{ruby|愛|I}}の{{ruby|跡|At}} ===18族 (縦向き)=== *{{ruby|へ|He}}んな{{ruby|姉|Ne}}ちゃん{{ruby|アル|Ar}}{{ruby|コール|Kr}}{{ruby|臭|Xe}}い [[カテゴリ:元素|記]]
2005-11-13T07:51:12Z
2024-03-26T14:09:01Z
[ "テンプレート:Pathnav", "テンプレート:節スタブ", "テンプレート:Ruby" ]
https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%83%E7%B4%A0%E8%A8%98%E5%8F%B7
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Perl/制御構造
プログラミング > Perl > Perl/制御構造 この項目では、Perlの制御構造について説明します。 Perlの分岐構文には、if,unlessがあります。 if文によって、ある条件をみたしているかを判定し、判定の内容により動作を切り替えることができます。 elseは「さもなければ」という意味で、直前のif文の条件が満たされていない場合の処理を担当します。 elseのないifはありますが、ifのないelseはありえません(else節はif構文の構成要素の1つです)。 elsif ( 式 ) BLOCK は、else { if ( 式 ) BLOCK }の構文糖です。 なお、elifでもelseifではなくelsif です。 英語でunlessは「もし...でなければ」という意味です。 Perlのunlessは、EXPRが偽の場合、BLOCKを実行します。 Perlの繰返し構文には、for,while, until,do-while, do-until,foreachと基本ブロックがあります。 forとforeachはシノニムの関係にありますが、ここではループカウンターを使ったC風の繰返し構文をfor、リスト・配列やハッシュの要素を対象にイテレートする構文をforeachとしました。 Perlには、Cのfor文風の繰返し構文があります。 while文は、EXPRが真である限り、ブロックを実行し続けます。 for文の例と同等のものは次のようになります(厳密には $i のスコープがループを抜けた後も続くところが違います)。 continueブロックをfor文の継続式をイミュレーションできます。 untilは、EXPRが偽である限り、ブロックを実行し続けます。 for文の例と同等のものは次のようになります(厳密には $i のスコープがループを抜けた後も続くところが違います)。 continueブロックをfor文の継続式をイミュレーションできます。 doブロックにwhileが後置された場合は、まずdoブロックが一度実行されてから、whileの条件が真である間繰り返します。 doブロックはループではないので、後述する実行制御文を用いることはできません。LABELを付ける事も出来ません。 doブロックにuntilが後置された場合は、まずdoブロックが一度実行されてから、untilの条件が偽である間繰り返します。 doブロックはループではないので、後述する実行制御文を用いることはできません。LABELを付ける事も出来ません。 foreachはforのシノニムで、相互に置換えることが出来ます。 一行プログラム(ワンライナー)などでは、foreachとしてforを使うことがしばしばあります。 { と } に囲まれた基本ブロック( Basic block )が、ループの節にあるのは奇異に感じるかもしれませんが、Perl では基本ブロックは「1周しかしないループ」で、ループ制御文を使うことができます。 doブロックは基本ブロックではなく、ブロックの最後の式の値を返す式です。 doブロックが式だからこそ、while 文修飾子 や until 文修飾子 とも結合できるのです(やる気になれば、if/until/foreach文修飾子とも結合できます)。 doブロックでは、ループ制御文を使うことはできません。 Perl 5.36.0 で、待望の defer が追加されました。 色々な用途が考えられますが、open で開いたファイルハンドルの close 処理を defer で登録する使い方が真っ先に思いつきます。 Perlの真理値のルールはやや難解です。 多くの説明では、数値にしか言及していませんが、他にも条件式で「偽」と評価される値があります。特に文字列には注意してください。 [TODO:節を改めての builtin の解説] Perlには、他のいくつかのプログラミング言語にある、真理値定数 true と false がありませんが、constant プラグマを使うことで実現できます。 次の制御構文は、文修飾子( Statement Modifiers )としても使用できます。 ループ制御を行なう実行制御文の説明をしたいと思います。 前出のdo-while以外のループ構文と空のブロックでは、ループの挙動を制御する各種実行制御文が使用出来ます(doブロックでループ制御文を使いたい場合、基本ブロックを併用します)。 例外として、continue BLOCK 中でそれらの実行制御文を使用した場合には、直近のループブロックを制御する振舞いをします。 ラベルを指定することで入れ子になったループの制御もできます。省略した場合、もっとも内側にあるループを指定したとみなされます。 即座にループから脱出します。continueブロックは実行されません。 残りの文をスキップし、次の反復に移ります。 ループ条件式は評価されます。continueブロック、for文の継続式も評価されます。 残りの文をスキップし、反復をやりなおします。 ループ条件式は評価されません。continueブロック、for文の継続式も評価されません。 continueブロック中の制御の例を上げます。 この場合のredoは#1のブロックではなく、直近の#2ブロックを制御する振舞いをします。
[ { "paragraph_id": 0, "tag": "p", "text": "プログラミング > Perl > Perl/制御構造", "title": "" }, { "paragraph_id": 1, "tag": "p", "text": "この項目では、Perlの制御構造について説明します。", "title": "制御構造" }, { "paragraph_id": 2, "tag": "p", "text": "Perlの分岐構文には、if,unlessがあります。", "title": "条件分岐" }, { "paragraph_id": 3, "tag": "p", "text": "if文によって、ある条件をみたしているかを判定し、判定の内容により動作を切り替えることができます。", "title": "条件分岐" }, { "paragraph_id": 4, "tag": "p", "text": "elseは「さもなければ」という意味で、直前のif文の条件が満たされていない場合の処理を担当します。", "title": "条件分岐" }, { "paragraph_id": 5, "tag": "p", "text": "elseのないifはありますが、ifのないelseはありえません(else節はif構文の構成要素の1つです)。", "title": "条件分岐" }, { "paragraph_id": 6, "tag": "p", "text": "elsif ( 式 ) BLOCK は、else { if ( 式 ) BLOCK }の構文糖です。 なお、elifでもelseifではなくelsif です。", "title": "条件分岐" }, { "paragraph_id": 7, "tag": "p", "text": "英語でunlessは「もし...でなければ」という意味です。", "title": "条件分岐" }, { "paragraph_id": 8, "tag": "p", "text": "Perlのunlessは、EXPRが偽の場合、BLOCKを実行します。", "title": "条件分岐" }, { "paragraph_id": 9, "tag": "p", "text": "Perlの繰返し構文には、for,while, until,do-while, do-until,foreachと基本ブロックがあります。 forとforeachはシノニムの関係にありますが、ここではループカウンターを使ったC風の繰返し構文をfor、リスト・配列やハッシュの要素を対象にイテレートする構文をforeachとしました。", "title": "ループ" }, { "paragraph_id": 10, "tag": "p", "text": "Perlには、Cのfor文風の繰返し構文があります。", "title": "ループ" }, { "paragraph_id": 11, "tag": "p", "text": "while文は、EXPRが真である限り、ブロックを実行し続けます。", "title": "ループ" }, { "paragraph_id": 12, "tag": "p", "text": "for文の例と同等のものは次のようになります(厳密には $i のスコープがループを抜けた後も続くところが違います)。", "title": "ループ" }, { "paragraph_id": 13, "tag": "p", "text": "continueブロックをfor文の継続式をイミュレーションできます。", "title": "ループ" }, { "paragraph_id": 14, "tag": "p", "text": "untilは、EXPRが偽である限り、ブロックを実行し続けます。", "title": "ループ" }, { "paragraph_id": 15, "tag": "p", "text": "for文の例と同等のものは次のようになります(厳密には $i のスコープがループを抜けた後も続くところが違います)。", "title": "ループ" }, { "paragraph_id": 16, "tag": "p", "text": "continueブロックをfor文の継続式をイミュレーションできます。", "title": "ループ" }, { "paragraph_id": 17, "tag": "p", "text": "doブロックにwhileが後置された場合は、まずdoブロックが一度実行されてから、whileの条件が真である間繰り返します。 doブロックはループではないので、後述する実行制御文を用いることはできません。LABELを付ける事も出来ません。", "title": "ループ" }, { "paragraph_id": 18, "tag": "p", "text": "doブロックにuntilが後置された場合は、まずdoブロックが一度実行されてから、untilの条件が偽である間繰り返します。 doブロックはループではないので、後述する実行制御文を用いることはできません。LABELを付ける事も出来ません。", "title": "ループ" }, { "paragraph_id": 19, "tag": "p", "text": "foreachはforのシノニムで、相互に置換えることが出来ます。 一行プログラム(ワンライナー)などでは、foreachとしてforを使うことがしばしばあります。", "title": "ループ" }, { "paragraph_id": 20, "tag": "p", "text": "{ と } に囲まれた基本ブロック( Basic block )が、ループの節にあるのは奇異に感じるかもしれませんが、Perl では基本ブロックは「1周しかしないループ」で、ループ制御文を使うことができます。", "title": "ループ" }, { "paragraph_id": 21, "tag": "p", "text": "doブロックは基本ブロックではなく、ブロックの最後の式の値を返す式です。 doブロックが式だからこそ、while 文修飾子 や until 文修飾子 とも結合できるのです(やる気になれば、if/until/foreach文修飾子とも結合できます)。 doブロックでは、ループ制御文を使うことはできません。", "title": "ループ" }, { "paragraph_id": 22, "tag": "p", "text": "Perl 5.36.0 で、待望の defer が追加されました。", "title": "ループ" }, { "paragraph_id": 23, "tag": "p", "text": "色々な用途が考えられますが、open で開いたファイルハンドルの close 処理を defer で登録する使い方が真っ先に思いつきます。", "title": "ループ" }, { "paragraph_id": 24, "tag": "p", "text": "Perlの真理値のルールはやや難解です。", "title": "ループ" }, { "paragraph_id": 25, "tag": "p", "text": "多くの説明では、数値にしか言及していませんが、他にも条件式で「偽」と評価される値があります。特に文字列には注意してください。", "title": "ループ" }, { "paragraph_id": 26, "tag": "p", "text": "[TODO:節を改めての builtin の解説]", "title": "ループ" }, { "paragraph_id": 27, "tag": "p", "text": "Perlには、他のいくつかのプログラミング言語にある、真理値定数 true と false がありませんが、constant プラグマを使うことで実現できます。", "title": "ループ" }, { "paragraph_id": 28, "tag": "p", "text": "次の制御構文は、文修飾子( Statement Modifiers )としても使用できます。", "title": "文修飾子" }, { "paragraph_id": 29, "tag": "p", "text": "ループ制御を行なう実行制御文の説明をしたいと思います。 前出のdo-while以外のループ構文と空のブロックでは、ループの挙動を制御する各種実行制御文が使用出来ます(doブロックでループ制御文を使いたい場合、基本ブロックを併用します)。 例外として、continue BLOCK 中でそれらの実行制御文を使用した場合には、直近のループブロックを制御する振舞いをします。 ラベルを指定することで入れ子になったループの制御もできます。省略した場合、もっとも内側にあるループを指定したとみなされます。", "title": "ループ制御文" }, { "paragraph_id": 30, "tag": "p", "text": "即座にループから脱出します。continueブロックは実行されません。", "title": "ループ制御文" }, { "paragraph_id": 31, "tag": "p", "text": "残りの文をスキップし、次の反復に移ります。 ループ条件式は評価されます。continueブロック、for文の継続式も評価されます。", "title": "ループ制御文" }, { "paragraph_id": 32, "tag": "p", "text": "残りの文をスキップし、反復をやりなおします。 ループ条件式は評価されません。continueブロック、for文の継続式も評価されません。", "title": "ループ制御文" }, { "paragraph_id": 33, "tag": "p", "text": "continueブロック中の制御の例を上げます。", "title": "ループ制御文" }, { "paragraph_id": 34, "tag": "p", "text": "この場合のredoは#1のブロックではなく、直近の#2ブロックを制御する振舞いをします。", "title": "ループ制御文" } ]
プログラミング > Perl > Perl/制御構造
<noinclude> {{Nav}} {{pathnav|プログラミング|Perl}} == 制御構造 == </noinclude> <includeonly> = 制御構造 = {{先頭に戻る}} </includeonly> この項目では、Perlの制御構造について説明します。 : 以下の構文説明では、EXPRは式、BLOCKはコードブロック、VARは変数、LISTはリスト、LABELはラベルを示します。 : 角括弧 [ ] で囲まれたものは省略可能です。 : 波括弧 { } で囲まれたものは0回以上の繰返しが可能です。 == 条件分岐 == Perlの分岐構文には、[[#if|if]],[[#unless|unless]]があります。 :かつて given/when/default 構文の実験的実装がありましたが、Perl6(現在のRaku)のテストベッドに使っただけらしく、幾つかのバグが発見され、Perl-5.24 ではレキシカルな $_ の仕様がキャンセルされるなど、言語コアにも取り込まれていないので、ここでは扱いません。 === if === if文によって、ある条件をみたしているかを判定し、判定の内容により動作を切り替えることができます。 ;[https://paiza.io/projects/6piOAvS2y7b7IdKQxzU85w?language=perl 例]:<syntaxhighlight lang=perl line> #!/usr/bin/perl use v5.12; use warnings; my $x = 5; if ($x > 1) { say '$xの値は1より大きい'; } </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> $xの値は1より大きい </syntaxhighlight> :上記の例の場合、変数 $x が 1 より大きいかどうかの区別を判定しています。 ;[https://paiza.io/projects/6UG7P5DLG9viFe8eg8Qp5w?language=perl 複数行の例]:<syntaxhighlight lang=perl line> #!/usr/bin/perl use v5.12; use warnings; my $x = 5; if ($x > 1) { say '$xの値は1より大きい'; } </syntaxhighlight> :のように改行して書いても、構いません。 === else === elseは「さもなければ」という意味で、直前のif文の条件が満たされていない場合の処理を担当します。 elseのないifはありますが、ifのないelseはありえません(else節はif構文の構成要素の1つです)。 ;[https://paiza.io/projects/56olWLNhsHzEtfh2kKdrFQ?language=perl 例]:<syntaxhighlight lang=perl line highlight=8> #!/usr/bin/perl use v5.12; use warnings; my $x = 5; if ($x > 9) { say '$xの値は9より大きい'; } else { say '$xの値は9以下'; } </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> $xの値は9以下 </syntaxhighlight> === elsif === <code>elsif ( 式 ) BLOCK</code> は、<code>else { if ( 式 ) BLOCK }</code>の構文糖です。 なお、<code>elif</code>でも<code>elseif</code>ではなく<code>elsif</code> です。 ;[https://paiza.io/projects/MxhZKvYenI_bRHeU8rpk8A?language=perl 例]:<syntaxhighlight lang=perl line highlight=8> #!/usr/bin/perl use v5.12; use warnings; my $x = 2; if ($x > 3) { say '$xは3より大きい'; } elsif ($x > 1) { say '$xは4より大きい'; } else { say '$xは1以下'; } </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> $xの値は4より大きい </syntaxhighlight> :先行するifの条件が成立せず、elsifの条件式が成立しているのでelsifの BLOCK が実行されます(そしてelseのBLOCKは実行されません)。 ;[https://paiza.io/projects/I6x3PBpM65PbxBhfXUj3Lw?language=perl 例]:<syntaxhighlight lang=perl line highlight=8> #!/usr/bin/perl use v5.12; use warnings; my $x = 5; if ($x > 3) { say '$xの値は3より大きい'; } elsif ($x > 4) { say '$xの値は4より大きい'; } else { say '$xの値は1以下'; } </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> $xの値は3より大きい </syntaxhighlight> :先行するifの条件がしているのifのBLOCKが実行され、elsifの条件式の成否にかかわらずelsifの BLOCK は実行されません(そしてelseのBLOCKも実行されません)。 ;構文:<syntaxhighlight lang=text> if ( EXPR ) BLOCK { elseif (EXPR) BLOCK }* [ else BLOCK ] </syntaxhighlight> === unless === 英語でunlessは「もし…でなければ」という意味です。 Perlのunlessは、EXPRが'''偽'''の場合、BLOCKを実行します。 ;[https://paiza.io/projects/8dDFQy40Q7sNRj8XN5cX_w?language=perl 例]:<syntaxhighlight lang=perl> #!/usr/bin/perl use v5.12; use warnings; my $x = 5; unless ($x <= 1) { say '$xの値は1以下でない'; } </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> $xの値は1以下でない </syntaxhighlight> ;構文:<syntaxhighlight lang=text> unless ( EXPR ) BLOCK { elsif (EXPR) BLOCK }* [ else BLOCK ] </syntaxhighlight> : unless にも任意個のelsif節と任意のelse節が後続可能です。 :: else if ⇒ elsif のような、else unless ⇒ elsunless は'''ありません'''。 == ループ == Perlの繰返し構文には、[[#for|for]],[[#while, until|while, until]],[[#do-while, do-until|do-while, do-until]],[[#foreach|foreach]]と[[#基本ブロック|基本ブロック]]があります。 forとforeachはシノニムの関係にありますが、ここではループカウンターを使ったC風の繰返し構文を[[#for|for]]、リスト・配列やハッシュの要素を対象にイテレートする構文を[[#foreach|foreach]]としました。 === for === Perlには、Cのfor文風の繰返し構文があります。 ;[https://paiza.io/projects/uNiY129xVRqm9qvZEaRGag?language=perl コード例]:<syntaxhighlight lang=perl> #!/usr/bin/perl use v5.12; use warnings; for (my $i = 0; $i < 5; $i++) { say "Hello $i" } # say $i; # $i のスコープは for ループ内なのでここで参照すると、グローバル変数 $i の参照になります。</syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> Hello 0 Hello 1 Hello 2 Hello 3 Hello 4 </syntaxhighlight> # my $i = 0が評価され、レキシカルスコープのループ変数$iが初期化されます。 # $i < 5が評価されます。真であれば BLOCK が実行され、文字列が出力されます。偽であればその時点でループを終了します。 # $i++が評価され、$iの値が1増加します。 #: 2と3を繰り返します。 ;構文:<syntaxhighlight lang=text> [ LABEL ] for ( [ EXPR ]; [ EXPR ]; [ EXPR ] ) BLOCK </syntaxhighlight> : カッコの中に3つの式をコンマで区切って記述します。いずれも省略可能です。 : 最初のEXPRは初期化式です。ループの開始時に1回だけ評価されます。主にループ変数の初期化に使われます。 :: ここで my 宣言されたレキシカルスコープのループ変数のスコープはforループの中です。 : 次のEXPRは条件式です。BLOCKが実行される前に毎回評価され、偽となった時点でループは終了します。 :: ''この式が最初から偽だった場合、BLOCKは1回も実行されません。''(初期化式は実行されます) :: 条件式を省略した場合、真が仮定され無限ループとなります。 : 最後のEXPRは継続式です。BLOCKが実行された後に毎回評価されます。主にループ変数を変化させるのに使われます。 === while === while文は、EXPRが'''真'''である限り、ブロックを実行し続けます。 [[#for|for]]文の例と同等のものは次のようになります(厳密には $i のスコープがループを抜けた後も続くところが違います)。 ;[https://paiza.io/projects/oBw37zOlIRLcFXzY7L1paQ?language=perl 例]:<syntaxhighlight lang=perl> #!/usr/bin/perl use v5.12; use warnings; my $i = 0; while ($i < 5) { say "Hello $i"; $i++; } </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> Hello 0 Hello 1 Hello 2 Hello 3 Hello 4 </syntaxhighlight> === while w/ continue BLOCK === continueブロックをfor文の継続式をイミュレーションできます。 ;例:<syntaxhighlight lang=perl> #!/usr/bin/perl use v5.12; use warnings; my $i = 0; while ($i < 5) { say "Hello $i"; } continue { $i++; } </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> Hello 0 Hello 1 Hello 2 Hello 3 Hello 4 </syntaxhighlight> ;構文:<syntaxhighlight lang=text> [ LABEL ] while ( EXPR ) BLOCK [ continue BLOCK ] </syntaxhighlight> :whileは、EXPRが真である間BLOCKを繰り返し実行します。 === until === untilは、EXPRが'''偽'''である限り、ブロックを実行し続けます。 [[#for|for]]文の例と同等のものは次のようになります(厳密には $i のスコープがループを抜けた後も続くところが違います)。 ;例:<syntaxhighlight lang=perl> #!/usr/bin/perl use v5.12; use warnings; my $i = 0; until($i >= 5) { say "Hello $i"; $i++; } </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> Hello 0 Hello 1 Hello 2 Hello 3 Hello 4 </syntaxhighlight> === until w/ continue BLOCK === continueブロックをfor文の継続式をイミュレーションできます。 ;例:<syntaxhighlight lang=perl> #!/usr/bin/perl use v5.12; use warnings; my $i = 0; until ($i => 5) { say "Hello $i"; } continue { $i++; } </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> Hello 0 Hello 1 Hello 2 Hello 3 Hello 4 </syntaxhighlight> ;構文:<syntaxhighlight lang=text> [ LABEL ] until ( EXPR ) BLOCK [ continue BLOCK ] </syntaxhighlight> :untilは、EXPRが偽である間BLOCKを繰り返し実行します。 :つまり、 while ( EXPR ) は until ( ''!'' EXPR ) と等価です。 === do-while === doブロックにwhileが後置された場合は、まずdoブロックが一度実行されてから、whileの条件が真である間繰り返します。 doブロックはループではないので、後述する実行制御文を用いることはできません。LABELを付ける事も出来ません。 ;構文:<syntaxhighlight lang=text> do BLOCK while ( EXPR ) ; </syntaxhighlight> ;[https://paiza.io/projects/raWcnkYhPXCDVQJVZ9wg8w?language=perl 例]:<syntaxhighlight lang=perl> #!/usr/bin/perl use v5.12; use warnings; my $i = 4; do { say $i; } while ($i--); </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> 4 3 2 1 0 </syntaxhighlight> : 上に構文と書きましたが、実際は <code>EXPR1 while EXPR2</code> の EXPR1 が <code>do BLOCK</code> になった複合構文です。 === do-until === doブロックにuntilが後置された場合は、まずdoブロックが一度実行されてから、untilの条件が偽である間繰り返します。 doブロックはループではないので、後述する実行制御文を用いることはできません。LABELを付ける事も出来ません。 ;構文:<syntaxhighlight lang=text> do BLOCK until ( EXPR ) ; </syntaxhighlight> ;[https://paiza.io/projects/vzTBfzbvBiHUZ3R89hdcKw?language=perl 例]:<syntaxhighlight lang=perl> #!/usr/bin/perl use v5.12; use warnings; my $i = 4; do { say $i; } until ($i-- <= 0); </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> 4 3 2 1 0 </syntaxhighlight> : 上に構文と書きましたが、実際は <code>EXPR1 while EXPR2</code> の EXPR1 が <code>do BLOCK</code> になった複合構文です。 === foreach === ;構文:<syntaxhighlight lang=text> [ LABEL ] foreach [ VAR ] ( LIST ) BLOCK [ continue BLOCK ] </syntaxhighlight> : リストの値を順番にVARに代入し、BLOCKを実行します。 : VARはループ内のlocal変数とみなされるので、プログラムの他の場所で使用していても問題ありません。 : VARを省略した場合、local変数の$_が使われます。 : ループ内をスコープとするmy変数を使用したい場合、次のようにします: :<syntaxhighlight lang=perl> foreach my $i ( 0..4 ) { say "Hello $i"; } </syntaxhighlight> : これもfor文の例と同等ですが、while文、until文の例と同様に厳密には等価ではありません。 :foreachにもcontinueブロックを設けることが出来ます。 ==== foreachはforのシノニム ==== foreachはforのシノニムで、相互に置換えることが出来ます。 一行プログラム(ワンライナー)などでは、foreachとしてforを使うことがしばしばあります。 === 基本ブロック === <code>{</code> と <code>}</code> に囲まれた基本ブロック( ''Basic block'' )が、[[#ループ|ループ]]の節にあるのは奇異に感じるかもしれませんが、Perl では基本ブロックは「1周しかしないループ」で、ループ制御文を使うことができます。 ==== doブロック ==== doブロックは基本ブロックではなく、ブロックの最後の式の値を返す式です。 doブロックが式だからこそ、while [[#文修飾子|文修飾子]] や until [[#文修飾子|文修飾子]] とも結合できるのです(やる気になれば、if/until/foreach[[#文修飾子|文修飾子]]とも結合できます)。 doブロックでは、ループ制御文を使うことはできません。 ;[https://paiza.io/projects/uOKdKk2oOzY-ZCaZf6Fskw?language=perl doブロックは式]:<syntaxhighlight lang=perl> #!/usr/bin/perl use v5.12; use warnings; my $x = do { my $i = 100; $i+100 }; say $x </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> 200 </syntaxhighlight> ;do と next の組合わせ:<syntaxhighlight lang=perl> do {{ next if $x == $y; ... }} until $x++ > 0; </syntaxhighlight> : doブロックの {} の内側に、基本ブロックの {} を入れます。 ;do と last の組合わせ:<syntaxhighlight lang=perl> { do { last if $x == $y; ... } while $x++ <= 0 } </syntaxhighlight> : doブロックの {} の外側を、基本ブロックの {} で囲みます。 === defer === Perl 5.36.0 で、待望の defer が追加されました。 ;deferで登録されたブロックは、スコープを抜けたときに実行されます:<syntaxhighlight lang=perl> use v5.36.0; use feature 'defer'; no warnings "experimental::defer"; say "Befor"; { defer{ say "One" } defer{ say "Two" } defer{ say "Three" } say "Done!" } say "After"; </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> Befor Done! Three Two One After </syntaxhighlight> : ブロックは、登録した逆順に実行されます。 色々な用途が考えられますが、open で開いたファイルハンドルの close 処理を defer で登録する使い方が真っ先に思いつきます。 === 真理値 === Perlの真理値のルールはやや難解です。 ;数値:0は偽、それ以外は真。 ;文字列:""(空文字列)あるいは"0"(数値0に暗黙変換される)は偽、それ以外は真。 ;リスト:()(空リスト)は偽、それ以外は真(これはコンテキストにも影響され、スカラコンテキストにリストを渡すと要素数になり要素ゼロの場合、数値0と評価され偽となります)。 ;ハッシュ:要素数ゼロのハッシュは偽、それ以外は真(これはコンテキストにも影響され、スカラコンテキストにハッシュを渡すと要素数になり要素ゼロの場合、数値0と評価され偽となります)。 ;undef:偽 多くの説明では、数値にしか言及していませんが、他にも条件式で「偽」と評価される値があります。特に文字列には注意してください。 ;[https://paiza.io/projects/iHPvizrYCgiU7OGEblnqMg?language=perl Perlのコード例]:<syntaxhighlight lang=perl> my $x = 1; if ($x) { print $x . 'は真'; } else { print $x . 'は偽'; } </syntaxhighlight> ;結果:<syntaxhighlight lang=text> 1は真 </syntaxhighlight> ;[https://paiza.io/projects/1Uvsp06z6snskIqWPPNySw?language=perl 0の真理値]:<syntaxhighlight lang=perl> my $x = 0; if ($x) { print $x . 'は真'; } else { print $x . 'は偽'; } </syntaxhighlight> ;結果:<syntaxhighlight lang=text> 0は偽 </syntaxhighlight> ;''[https://paiza.io/projects/ihWh2eRbTWrtEdV7rVjUhw?language=perl (空文字列)や’0’も偽]'':<syntaxhighlight lang=perl> my @ary = (0, 1, 2, 3, '', "0", " ", "1", "2", (), (1), undef); foreach my $x(@ary) { if ($x) { print "($x)は真 "; } else { print "($x)は偽 "; } } </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> (0)は偽 (1)は真 (2)は真 (3)は真 ()は偽 (0)は偽 ( )は真 (1)は真 (2)は真 (1)は真 ()は偽 </syntaxhighlight> === constant プラグマを使った真理値定数の定義 === ; Perl 5.36.0 からは <code>use builtin qw(true false)</code> で、真理値定数 true と false が定義されたので、constant プラグマを使った真理値定数の定義は Obsolate になりました。また、<code>builtin::is_bool()</code> も 5.36.0 で追加されました。 [TODO:節を改めての builtin の解説] Perlには、他のいくつかのプログラミング言語にある、真理値定数 true と false がありませんが、constant プラグマを使うことで実現できます<ref>[https://perldoc.perl.org/constant constant - Perl pragma to declare constants ]</ref>。 ;[https://paiza.io/projects/EM7HVBT8AT-SRENk9s8O8A?language=perl constant プラグマを利用]:<syntaxhighlight lang=perl> use constant { false => 0 != 0, true => 0 == 0 }; my @ary = (false, true); foreach my $a(@ary){ if ( $a ) { print "($a)は真 "; } else { print "($a)は偽 "; } } </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> ()は偽 (1)は真 </syntaxhighlight> : <code>0 != 0</code> が 0 ではなく ”” というのは意外ですね。 == 文修飾子 == 次の制御構文は、文修飾子( ''Statement Modifiers'' )としても使用できます<ref>[https://perldoc.perl.org/perlsyn#Statement-Modifiers Statement Modifiers]</ref>。 ;構文:<syntaxhighlight lang=text> EXPR if EXPR EXPR unless EXPR EXPR while EXPR EXPR until EXPR EXPR foreach [ VAR ] LIST </syntaxhighlight> : 一文のみのごく簡単な制御の場合はこちらのほうが簡潔で、英文のような見た目になります。 : 修飾子が後になったほか、条件式を囲む括弧 ( ) が不要などの差異があります。 : Perlの(文修飾子でない)制御構文には { } が必須なのですが、文修飾子では逆に使用不可です。 :: Cになれた人には、単文・複文の関係にみえますが、Perlの構文は、文:=単文 | 複文 ではなく制御構文ごとにブロックを要求したり式を要求したりします。 ;条件文:<syntaxhighlight lang=perl> print "Good morning.\n" if 6 <= $hour and $hour < 12; </syntaxhighlight> ;繰返し文:<syntaxhighlight lang=perl> print "@{[$i++]} " while $i < 10; print "<$_> " foreach qw(abc def xyz); print "\n----\n"; $i = 0; while ($i < 10) { print "@{[$i++]} " } foreach (qw(abc def xyz)) { print "<$_> "; } </syntaxhighlight> ;実行結果:<syntaxhighlight lang=text> 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 <abc> <def> <xyz> ---- 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 <abc> <def> <xyz> </syntaxhighlight> == ループ制御文 == {{Anchors|実行制御文}} ループ制御を行なう実行制御文の説明をしたいと思います。 前出のdo-while以外のループ構文と空のブロックでは、ループの挙動を制御する各種実行制御文が使用出来ます(doブロックでループ制御文を使いたい場合、[[#基本ブロック|基本ブロック]]を併用します)。 例外として、continue BLOCK 中でそれらの実行制御文を使用した場合には、直近のループブロックを制御する振舞いをします。 ラベルを指定することで入れ子になったループの制御もできます。省略した場合、もっとも内側にあるループを指定したとみなされます。 === last === 即座にループから脱出します。continueブロックは実行されません。 :<syntaxhighlight lang=perl> OUTER: while ( 1 ) { #無限ループ $i = 0; INNER: while ( $input = <> ) { last if $input =~ /^restart/; # 直近のINNERループを脱出 last OUTER if $input =~ /^quit/; # 明示されたOUTERループを脱出 print "$i\n"; } continue { $i++; } } </syntaxhighlight> === next === 残りの文をスキップし、次の反復に移ります。 ループ条件式は評価されます。continueブロック、for文の継続式も評価されます。 === redo === 残りの文をスキップし、反復をやりなおします。 ループ条件式は評価されません。continueブロック、for文の継続式も評価されません。 === continueブロック === continueブロック中の制御の例を上げます。 :<syntaxhighlight lang=perl> my $i = 0; { #1. print "OUTER\n"; { #2. $i ++ ; print "INNER\n" ; } continue { redo if $i < 10 ; print "$i\n" } } </syntaxhighlight> この場合のredoは#1のブロックではなく、直近の#2ブロックを制御する振舞いをします。 <noinclude> {{Nav}} {{DEFAULTSORT:Perl せいきよこうそう}} [[Category:Perl|せいきよこうそう]] </noinclude>
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2022-11-11T01:34:45Z
[ "テンプレート:Nav", "テンプレート:Anchors" ]
https://ja.wikibooks.org/wiki/Perl/%E5%88%B6%E5%BE%A1%E6%A7%8B%E9%80%A0
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同志社大対策
本項は、同志社大学の入学試験対策に関する事項である。 同志社大学は、京都府にある同志社英学校を前身とする私立大学である。試験問題は標準的な内容が中心であることから、合格最低点が非常に高くなっている(特に、理系科目は平易な内容が出題される)。学部にもよるが少なくとも70%~80%程度の得点が必要であるため、基礎をしっかり固め、バランスのとれた総合的な実力を高めることが重要である。大学創立の経緯から、全体的に英語に比重が置かれており、文系学部は、英語200点・国語150点・選択科目150点で、英語の配点が高い。また、選択科目は得点調整が行われる。したがって、先ずは英語を優先的に勉強すべきであるといえる。理系学部は英語、数学(数III・C含む)、理科(地学I・II以外から一科目選択)であるが、学部によって配点が異なっている。 同志社大学では、個別学部日程のほかに、全学部日程も行っている。合格難易度は個別学部日程よりも若干高いが、入試問題自体はあまり変わらない。 私大の入試の特徴として、定員以上の人数の受験者に合格が与えられることが挙げられるが、同志社大学もその例に洩れず、どの学部も定員の5倍程度の人数が合格になっている。よって、表面的な倍率(受験者数÷定員数)はどこの学部も15倍近いが、実質倍率(受験者数÷合格者数)は3倍程度なので、表面的な倍率に惑わされずに、必要な素養を備えた受験生には積極的に挑戦してほしい。 (100分)大問2つの本文合計語数が約1800〜1965語以上に及ぶ長文読解問題2題と、約500語程度の会話文問題1題から成り立つ。設問には長文読解問題のいずれか1問に英文和訳、会話文問題に和文英訳も含まれるので注意が必要。 基本的な設問構成は大問3つ200点満点で、試験時間は100分。 〔I〕・〔II〕長文総合問題(大問2つで150点) ・空所補充問題 ・同意語句選択問題 ・同意文・節選択問題 ・整序英作文問題 ・内容一致問題 ・下線部和訳問題 (過去には ・文法、用法識別問題 ・内容説明文完成問題 ・主題選択問題 ・時系列文内容整序問題 等も主題されていたので頭に入れておきたい) 〔III〕会話問題(50点) ・会話空所補充問題 ・和文英訳(英作文)問題 極めて分量が多く、質・語彙レベルも高いため、ハイレベルな語彙力・速読力・精読力を備えた総合的な英語力が要求される。しかし、設問自体は平易で素直なものが多く、一定の読解力と語彙力があれば7~8割は得点できる。本文の約8割前後は一般的な単語帳・熟語集に載っている範囲で構成されているので、基本的な単語帳1冊~2冊(高校で配布されているもの)で語彙力は十分。 読解重視であるが、長文内に基本的な文法問題も入るため、基礎的な文法知識は必要である。しかし、例年単独での文法問題の出題は見られない。本文・設問ともに多義語が多く散見され、関関同立では関大に次ぐ出題量となっており、単語を覚える際は意識的にチェックしておきたい。読解問題では内容一致(不一致)問題の数が多いのが特徴で、関関同立でも際立っている。また読解問題では英文和訳が科され、単語・構文は難解なものは少ないものの、通常のストレートな訳では得点が難しく、配点も20点と高いため、同志社英語最大の合否ポイントと言える。前後の文脈をしっかり考慮してなんの技巧もない貧弱な日本語にならないようにしたい。会話文問題は会話文形式をとっているが、会話特有表現などはあまり出題されず、内容一致問題こそ出題されなくなったが、文脈の流れを押さえる読解力が要求されるので、ほぼ読解問題とみなしていいだろう。最後の英作文はそれほど難しくなく、基本例文レベルであるが、そのままの日本語を英訳するのは難しいため、自分で易しい日本語に置き換えた方がいいだろう。空所補充問題では熟語の一部をくりぬいて出題されるので基本的な熟語は暗記しておくとよい。 合格には、様々な英語長文を、ジャンル問わず普段から良く読み込んでおくのが必須である。 また、国語、選択科目からの難易度(得点調整を踏まえ)、そして、受験生のレベルを考慮すると、事実上英語得点の勝負になる。同志社英学校の歴史から、英語を重視してきた学校からもその潮流は伺えるだろう。法学部、経済学部では、英語の得点が40%を切ると足切りがあるが、このような英語力では、どの学部もまず合格しない。英語力がない場合はまず受からないので、全学部共通英語の大量失点は避けたい。 近年は、難易度が再び上昇し、全盛期の難しさが復活してきている。 また、2011年以降の年度を優先的に取り組むといい。 ただし、前述のように、この前後は、難しい年もあったが読む力が問われているのは、明らかである。 どのようなレベルの問題にも真っ向勝負出来るほどの、本物の実力が当然要求されていることを覚悟しなければならない。 詳しくは、同志社大学がオープンキャンパスで提供してくれる、入試対策雑誌なども参考にすると良いだろう。 (75分)現代文1問と、古文1問から成り立つ。総合的にはやや難のレベル。英語·選択科目が基本~標準レベルであり、英語での平均点は安定して高く、実際にはこれらの科目ではそれほど差はつかない。したがって国語で堅固に得点できれば他の受験生に差をつけられる。 最後の記述問題は基本的に2つのポイントを40字以内に収めなければならないため、かなりの要約力が問われる。下書きを必ず書いて失点を最小限にしたい。解き方は個人個人違うであろうが、先に記述の設問をみて文を読む中で関連するものに線を引きまとめておくとよいだろう。かつて同志社大が公式発表していた内容では、記述問題の配点は30点、また句読点(。)が抜けた場合は30点減点対象となっていたが、これは今でも同様である。 (75分)数学は途中式が要求されるが、地歴公民は、論述問題がなく、記号選択問題と、記述問題となっている。 日本史 全部で60問前後。記述式の割合が高い構成となっている。良問が多く、大半が教科書レベルからの出題。しっかりと基礎を押さえ、市販の用語集程度の用語まで学習しておけば7割ほどは得点できるだろう。ただ、解答の単語自体は標準的であるが、設問が難しく、特に2009年からは政治史はもちろん、文化史や史料問題をはじめ難問が目立ち始め、8割を超える得点を目指す場合はかなり丁寧な学習が必要である。記述式が多いので難しい漢字の用語もしっかり書けるようにしておくことが肝要。大学の創立者、功労者に関することを問われることがあるので押さえておきたい。 世界史 大問3題の150点満点。地域も時代も幅広く出題される為、知識に抜けを作らず、堅実な努力が報われる問題といえる。 難易度は概ね平易〜標準程度ではあるが、近年難化する日程や年度もあり注意が必要である。問題の殆どが山川出版社の世界史Bの教科書から出題される。記号問題7割、記述問題3割で構成されている。 同志社の特徴として、「同志社式正誤問題」と呼ばれる特徴的な正誤問題が毎年出題されることが多いため、過去問で慣れておく必要がある。あと、文化史が比較的頻出で大問1つが文化史のみから出題された年度もある為、文化史も疎かにはできない。 傾向が安定しているため、満点の可能性もあるが、得点調整幅が非常に大きく、他の選択科目との兼ね合いで大体素点から大幅に引かれる場合が多い。 政治経済 全体的に基本的な問題が多いため確固たる基礎力をしっかり身につければ合格できるだろう。全学部傾向はほぼ同じのため過去問には全学部取り組もう。2008年は日本近代史に関連する問題が出題された。特に法学部政治学科の受験生は入学後、近代外交史が必修となるため学習をおろそかにしてはいけない。なお、2014年度は全学部入試において大きく難化したが、学部個別入試は例年通りだった。 数学(文) 比較的易しかったが、近年急速に難化してきており、注意が必要。出題範囲のほとんどが、ベクトル、数列、微積分、図形と方程式、三角関数など「数学II」「数学B」からの出題である。しかし、2次関数や確率などに絡めるような融合問題が出題されるので、「数学I」「数学A」の学習も必須である。総合的な思考力を問う問題が多いので、「黄色チャート(数研出版)」レベルの基礎問題集をやり終えたのち、本学の過去問を何年分も何周もやって慣れる必要がある。 数学(理) 理系の入試問題としては平易である。微・積分法が頻出で、「数学C」の内容については行列が頻出。また記述式の問題では、思考力より計算力が要求される。「黄色チャート」レベルの基礎問題集をしっかりやり終えたあと、過去問を対策すれば合格点に届くだろう。 化学 例年、大問が3題出題、計算問題や論述・描図問題も出題されている。全体的には、基本から標準程度の知識問題や計算問題中心で、応用問題も出題されているが、問題文の題意が把握できれば解答できるようになっている。 センター試験の結果のみによって合否が決まる試験方式である。総定員に対する募集定員の比率は低いが、募集定員の何倍もの合格者を出すため、実質倍率は一般入試と同じか少し高い程度である。センター試験の科目数も学部学科によるが3~5科目のところが多い。合格するためには、学部学科にもよるが、80~85%は必要である。
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日本の大学受験ガイド > 同志社大対策 本項は、同志社大学の入学試験対策に関する事項である。 同志社大学は、京都府にある同志社英学校を前身とする私立大学である。試験問題は標準的な内容が中心であることから、合格最低点が非常に高くなっている(特に、理系科目は平易な内容が出題される)。学部にもよるが少なくとも70%~80%程度の得点が必要であるため、基礎をしっかり固め、バランスのとれた総合的な実力を高めることが重要である。大学創立の経緯から、全体的に英語に比重が置かれており、文系学部は、英語200点・国語150点・選択科目150点で、英語の配点が高い。また、選択科目は得点調整が行われる。したがって、先ずは英語を優先的に勉強すべきであるといえる。理系学部は英語、数学(数III・C含む)、理科(地学I・II以外から一科目選択)であるが、学部によって配点が異なっている。
{{wikipedia|同志社大学}} *[[日本の大学受験ガイド]] > [[同志社大対策]] 本項は、[[w:同志社大学|同志社大学]]の入学試験対策に関する事項である。 同志社大学は、京都府にある同志社英学校を前身とする私立大学である。試験問題は標準的な内容が中心であることから、合格最低点が非常に高くなっている(特に、理系科目は平易な内容が出題される)。学部にもよるが少なくとも70%~80%程度の得点が必要であるため、基礎をしっかり固め、バランスのとれた総合的な実力を高めることが重要である。大学創立の経緯から、全体的に英語に比重が置かれており、文系学部は、英語200点・国語150点・選択科目150点で、英語の配点が高い。また、選択科目は得点調整が行われる。したがって、'''先ずは英語を優先的に勉強すべきである'''といえる。理系学部は英語、数学(数III・C含む)、理科(地学I・II以外から一科目選択)であるが、学部によって配点が異なっている。 ==全学部日程== 同志社大学では、個別学部日程のほかに、全学部日程も行っている。合格難易度は個別学部日程よりも若干高いが、入試問題自体はあまり変わらない。 ==個別学部日程== 私大の入試の特徴として、定員以上の人数の受験者に合格が与えられることが挙げられるが、同志社大学もその例に洩れず、どの学部も定員の5倍程度の人数が合格になっている。よって、表面的な倍率(受験者数÷定員数)はどこの学部も15倍近いが、実質倍率(受験者数÷合格者数)は3倍程度なので、表面的な倍率に惑わされずに、必要な素養を備えた受験生には積極的に挑戦してほしい。 ===英語=== (100分)大問2つの本文合計語数が約1800〜1965語以上に及ぶ長文読解問題2題と、約500語程度の会話文問題1題から成り立つ。設問には長文読解問題のいずれか1問に英文和訳、会話文問題に和文英訳も含まれるので注意が必要。 基本的な設問構成は大問3つ200点満点で、試験時間は100分。 〔Ⅰ〕・〔Ⅱ〕長文総合問題(大問2つで150点) ・空所補充問題 ・同意語句選択問題 ・同意文・節選択問題 ・整序英作文問題 ・内容一致問題 ・下線部和訳問題 (過去には ・文法、用法識別問題 ・内容説明文完成問題 ・主題選択問題 ・時系列文内容整序問題 等も主題されていたので頭に入れておきたい) 〔Ⅲ〕会話問題(50点) ・会話空所補充問題 ・和文英訳(英作文)問題が出題される。 内容としては極めて分量が多く、質・語彙レベルも高いため、ハイレベルな語彙力・速読力・精読力を備えた総合的な英語力が要求される。しかし、設問自体は平易で素直なものが多く、一定の読解力と語彙力があれば7~8割は得点できる。本文の約8割前後は一般的な単語帳・熟語集に載っている範囲で構成されているので、基本的な単語帳1冊~2冊(高校で配布されているもの)で語彙力は十分。 読解重視であるが、長文内に基本的な文法問題も入るため、基礎的な文法知識は必要である。しかし、例年単独での文法問題の出題は見られない。本文・設問ともに多義語が多く散見され、関関同立では関大に次ぐ出題量となっており、単語を覚える際は意識的にチェックしておきたい。読解問題では内容一致(不一致)問題の数が多いのが特徴で、関関同立でも際立っている。また読解問題では英文和訳が科され、単語・構文は難解なものは少ないものの、通常のストレートな訳では得点が難しく、配点も20点と高いため、同志社英語最大の合否ポイントと言える。前後の文脈をしっかり考慮してなんの技巧もない貧弱な日本語にならないようにしたい。会話文問題は会話文形式をとっているが、会話特有表現などはあまり出題されず、内容一致問題こそ出題されなくなったが、文脈の流れを押さえる読解力が要求されるので、ほぼ読解問題とみなしていいだろう。最後の英作文はそれほど難しくなく、基本例文レベルであるが、そのままの日本語を英訳するのは難しいため、自分で易しい日本語に置き換えた方がいいだろう。空所補充問題では熟語の一部をくりぬいて出題されるので基本的な熟語は暗記しておくとよい. また、国語、選択科目からの難易度(得点調整を踏まえ)、そして、受験生のレベルを考慮すると、事実上英語得点の勝負になる。同志社英学校の歴史から、英語を重視してきた学校からもその潮流は伺えるだろう。法学部、経済学部では、英語の得点が40%を切ると足切りがあるが、このような英語力では、どの学部もまず合格しない。英語力がない場合はまず受からないので、全学部共通英語の大量失点は避けたい。 また、過去問については2011年以降の年度を優先的に取り組むといい。 ただし前述のようにこの年代の前後は、難しい年もあったが読む力が問われているのは、明らかである。パラグラフリーディングを学習機会に入れて、本文の言いたいことを、論理的に読み取る訓練をすべきであろう。年度にもよるが、安定して75%以上を獲得できるように努めてほしい。自分なりの時間配分を体得する目的でもこの過去問研究は意味のあるものになる。 過去問の対策だけでなく、同志社大学がオープンキャンパスで提供してくれる、youtubeの動画、入試対策雑誌なども参考にすると良いだろう。 === 国語 === (75分)現代文1問と、古文1問から成り立つ。総合的にはやや難のレベル。英語·選択科目が基本~標準レベルであり、英語での平均点は安定して高く、実際にはこれらの科目ではそれほど差はつかない。したがって国語で堅固に得点できれば他の受験生に差をつけられる。 *現代文は「国内でも一、二を争う文章量」と形容されることもある、約5000〜6000語にも及ぶ超長文が出題される。同程度の偏差値の大学の現代文の入試やセンター入試の約1.5倍~2倍の量が課されると思ってよい。まずは長さに圧倒されないようにしたい。典型的な大型評論問題で分量は多く、全体を関連させて読解しなければならない。ある程度の国語の一般常識や教養はあることは大前提。設問は良問ばかりで、内容説明が大半。選択肢の文の長さはやや多めだが、紛らわしいものはあまりない。ただ設問数が少なく一問ごとの配点が高いので、極力落とさないようにしたい。センター試験の問題が練習によい。余裕があれば、問題の作り方が似ている関西大の過去問もやっておこう。 最後の記述問題は基本的に2つのポイントを40字以内に収めなければならないため、かなりの要約力が問われる。下書きを必ず書いて失点を最小限にしたい。解き方は個人個人違うであろうが、先に記述の設問をみて文を読む中で関連するものに線を引きまとめておくとよいだろう。かつて同志社大が公式発表していた内容では、記述問題の配点は30点、また句読点(。)が抜けた場合は30点減点対象となっていたが、これは今でも同様である。 *古文は文法、文の主語、単語の意味、内容一致、30字記述から成り立つ。ただし、ごくまれに記述が出されない場合もある。古典の出典は多岐にわたり時代やジャンルも多様であるが、近年、やや物語が多い。基本的な単語帳、文法書は万全にしておくべきである。記述問題はいかに内容が読み取れているかを問われるもので、やや難解。日頃から古典常識や読解力を十分に養っておくといいだろう。配点はかつての同志社の公式発表では20点完答であったが、現在は配点·部分点有無は発表されていない。なお漢文が出題されることはほぼ無いが、大学側は範囲に指定し続けている為、出題されたときのために返り点の読み方ぐらいは覚えておきたい。 === 選択教科 === (75分)数学は途中式が要求されるが、地歴公民は、論述問題がなく、記号選択問題と、記述問題となっている。 *文系は、地歴公民(日本史B、世界史B、政治経済)、もしくは数学から1つ選択。試験開始後、自由に選択できるが、30分後に使用しない答案用紙は回収される。つまり、試験開始30分後までは選択科目の変更が可能である。 *理系は、理科(化学基礎・化学、物理基礎・物理、生物基礎・生物)から1つ選択。ただし、理工学部の機械システム工学科は「物理基礎・物理」のみ、電気工学科・電子工学科・機械理工学科は「物理基礎・物理、化学基礎・化学」からのみ選択可。 '''日本史'''<br/> 全部で60問前後。記述式の割合が高い構成となっている。良問が多く、大半が教科書レベルからの出題。しっかりと基礎を押さえ、市販の用語集程度の用語まで学習しておけば7割ほどは得点できるだろう。ただ、解答の単語自体は標準的であるが、設問が難しく、特に2009年からは政治史はもちろん、文化史や史料問題をはじめ難問が目立ち始め、8割を超える得点を目指す場合はかなり丁寧な学習が必要である。記述式が多いので難しい漢字の用語もしっかり書けるようにしておくことが肝要。大学の創立者、功労者に関することを問われることがあるので押さえておきたい。 '''世界史'''<br/> 大問3題の150点満点。地域も時代も幅広く出題される為、知識に抜けを作らず、堅実な努力が報われる問題といえる。 難易度は概ね平易〜標準程度ではあるが、近年難化する日程や年度もあり注意が必要である。問題の殆どが山川出版社の世界史Bの教科書から出題される。記号問題7割、記述問題3割で構成されている。 同志社の特徴として、「同志社式正誤問題」と呼ばれる特徴的な正誤問題が毎年出題されることが多いため、過去問で慣れておく必要がある。あと、文化史が比較的頻出で大問1つが文化史のみから出題された年度もある為、文化史も疎かにはできない。 傾向が安定しているため、満点の可能性もあるが、得点調整幅が非常に大きく、他の選択科目との兼ね合いで大体素点から大幅に引かれる場合が多い。 '''政治経済'''<br/> 全体的に基本的な問題が多いため確固たる基礎力をしっかり身につければ合格できるだろう。全学部傾向はほぼ同じのため過去問には全学部取り組もう。2008年は日本近代史に関連する問題が出題された。特に法学部政治学科の受験生は入学後、近代外交史が必修となるため学習をおろそかにしてはいけない。なお、2014年度は全学部入試において大きく難化したが、学部個別入試は例年通りだった。 '''数学(文)'''<br/> 比較的易しかったが、近年急速に難化してきており、注意が必要。出題範囲のほとんどが、ベクトル、数列、微積分、図形と方程式、三角関数など「数学II」「数学B」からの出題である。しかし、2次関数や確率などに絡めるような融合問題が出題されるので、「数学I」「数学A」の学習も必須である。総合的な思考力を問う問題が多いので、「黄色チャート(数研出版)」レベルの基礎問題集をやり終えたのち、本学の過去問を何年分も何周もやって慣れる必要がある。 '''数学(理)'''<br/> 理系の入試問題としては平易である。微・積分法が頻出で、「数学C」の内容については行列が頻出。また記述式の問題では、思考力より計算力が要求される。「黄色チャート」レベルの基礎問題集をしっかりやり終えたあと、過去問を対策すれば合格点に届くだろう。 '''化学'''<br/> 例年、大問が3題出題、計算問題や論述・描図問題も出題されている。全体的には、基本から標準程度の知識問題や計算問題中心で、応用問題も出題されているが、問題文の題意が把握できれば解答できるようになっている。 ==センター試験利用入試== センター試験の結果のみによって合否が決まる試験方式である。総定員に対する募集定員の比率は低いが、募集定員の何倍もの合格者を出すため、実質倍率は一般入試と同じか少し高い程度である。センター試験の科目数も学部学科によるが3~5科目のところが多い。合格するためには、学部学科にもよるが、80~85%は必要である。 ==外部サイト== *[http://www.doshisha.ac.jp/admissions_undergrad/entrance_exam.html 同志社大公式サイト] [[Category:大学入試|とうししや]]
2005-11-16T00:07:10Z
2024-01-09T06:59:51Z
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典型元素
高等学校化学 > 典型元素 典型元素とは、周期表で1族、2族および12族~18族を指す。それ以外の元素は遷移元素と呼ばれる。 ・同じ族同士(周期表の縦の列)で性質が良く似ている ・酸化数が決まっている ・族番号の1の位と最外殻電子数が一致している 典型元素には、金属・非金属がともに含まれる。 1族にはH(水素)、Li(リチウム)、Na(ナトリウム)、K(カリウム)、Rb(ルビジウム)、Cs(セシウム)、Fr(フランシウム)の7つの元素が含まれる。 ・Hを除く6つの元素をアルカリ金属という ・アルカリ金属の元素は、一価の陽イオンになりやすい ・アルカリ金属の単体は融解塩電解によって得られる ・アルカリ金属は水や酸素と激しく反応するので、石油中に保存する 2族にはBe(ベリリウム)、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)の6つの元素が含まれる。 ・Be、Mgを除く4つの元素をアルカリ土類金属という 12族にはZn(亜鉛)、Cd(カドミウム)、Hg(水銀)の3つの元素が含まれる。 13族にはB(ホウ素)、Al(アルミニウム)、Ga(ガリウム)、In(インジウム)、Tl(タリウム)の5つの元素が含まれる。 14族にはC(炭素)、Si(ケイ素)、Ge(ゲルマニウム)、Sn(スズ)、Pb(鉛)の5つの元素が含まれる。 15族にはN(窒素)、P(リン)、As(ヒ素)、Sb(アンチモン)、Bi(ビスマス)の5つの元素が含まれる。 16族にはO(酸素)、S(硫黄)、Se(セレン)、Te(テルル)、Po(ポロニウム)の5つの元素が含まれる。 17族にはF(フッ素)、Cl(塩素)、Br(臭素)、I(ヨウ素)、At(アスタチン)の5つの元素が含まれる。 ・これらの元素をハロゲンという 18族にはHe(ヘリウム)、Ne(ネオン)、Ar(アルゴン)、Kr(クリプトン)、Xe(キセノン)、Rn(ラドン)の6つの元素が含まれる。 ・これらの元素を希ガスという (現代では貴ガスという(2023年現在))
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高等学校化学 > 典型元素 典型元素とは、周期表で1族、2族および12族~18族を指す。それ以外の元素は遷移元素と呼ばれる。
<small> [[高等学校化学]] > 典型元素</small> 典型元素とは、周期表で1族、2族および12族~18族を指す。それ以外の元素は[[遷移元素]]と呼ばれる。 == 特徴 == ・同じ族同士(周期表の縦の列)で性質が良く似ている<br> ・酸化数が決まっている<br> ・族番号の1の位と最外殻電子数が一致している 典型元素には、金属・非金属がともに含まれる。 ==1族== 1族には'''H(水素)'''、'''Li(リチウム)'''、'''Na(ナトリウム)'''、'''K(カリウム)'''、Rb(ルビジウム)、Cs(セシウム)、Fr(フランシウム)の7つの元素が含まれる。 ・Hを除く6つの元素を'''アルカリ金属'''という<br> ・アルカリ金属の元素は、'''一価の陽イオン'''になりやすい<br> ・アルカリ金属の単体は'''融解塩電解'''によって得られる<br> ・アルカリ金属は水や酸素と激しく反応するので、'''石油中'''に保存する<br> ==2族== 2族には'''Be(ベリリウム)'''、'''Mg(マグネシウム)'''、'''Ca(カルシウム)'''、Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)の6つの元素が含まれる。 ・Be、Mgを除く4つの元素を'''アルカリ土類金属'''という ==12族== 12族には'''Zn(亜鉛)'''、Cd(カドミウム)、Hg(水銀)の3つの元素が含まれる。 ==13族== 13族には'''B(ホウ素)'''、'''Al(アルミニウム)'''、Ga(ガリウム)、In(インジウム)、Tl(タリウム)の5つの元素が含まれる。 ==14族== 14族には'''C(炭素)'''、'''Si(ケイ素)'''、Ge(ゲルマニウム)、Sn(スズ)、'''Pb(鉛)'''の5つの元素が含まれる。 ==15族== 15族には'''N(窒素)'''、'''P(リン)'''、As(ヒ素)、Sb(アンチモン)、Bi(ビスマス)の5つの元素が含まれる。 ==16族== 16族には'''O(酸素)'''、'''S(硫黄)'''、Se(セレン)、Te(テルル)、Po(ポロニウム)の5つの元素が含まれる。 ==17族== 17族には'''F(フッ素)'''、'''Cl(塩素)'''、'''Br(臭素)'''、I(ヨウ素)、At(アスタチン)の5つの元素が含まれる。 ・これらの元素を'''ハロゲン'''という ==18族== 18族には'''He(ヘリウム)'''、'''Ne(ネオン)'''、'''Ar(アルゴン)'''、Kr(クリプトン)、Xe(キセノン)、Rn(ラドン)の6つの元素が含まれる。 ・これらの元素を''希ガス''という  (現代では貴ガスという(2023年現在)) ==参考== *[[遷移元素]] *[[元素記号]] [[カテゴリ:元素|てんけいけんそ]]
2005-11-18T12:14:46Z
2023-10-09T04:31:05Z
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https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%85%B8%E5%9E%8B%E5%85%83%E7%B4%A0
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バター
バターとは? 乳製品の一つで、牛乳より特に脂肪分の高いクリームが主成分。香りが強く、料理に 風味を持たせるため欠かせない調味料となる。市販されている通常のバターは、パン などに塗って食べる際の味付けとして塩を入れているが、菓子の調理用に無塩バター (やや高価)も市販されている。 性質 ・融点が低いため、調理に用いやすい(逆に言えば、焦げやすい) ・一度溶けたものは脂肪酸が分離してしまい元に戻らないので、風味を損なう。その ため、出しっぱなしにせずきちんと冷蔵庫に保存しておく必要がある。 バターを使った主な調理例 <和食> じゃがバター(ふかしたジャガイモにそのままバターを塗る) <洋食> ほうれん草のソテー(バターを絡めてほうれん草を炒める) たらこスパゲティ(麺と絡める前に、たらこと溶かしたバターを混ぜる) トースト(焼いたトーストにそのまま塗る、もしくは塗ってからトーストを焼く) <中華> <その他> <菓子類> ホットケーキ(出来上がったホットケーキにそのまま塗る) クレープ(生地に混ぜる、焼くときに油としてひく、食べる際にそのまま塗るなど)
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バターとは? 乳製品の一つで、牛乳より特に脂肪分の高いクリームが主成分。香りが強く、料理に 風味を持たせるため欠かせない調味料となる。市販されている通常のバターは、パン などに塗って食べる際の味付けとして塩を入れているが、菓子の調理用に無塩バター (やや高価)も市販されている。 性質 ・融点が低いため、調理に用いやすい(逆に言えば、焦げやすい) ・一度溶けたものは脂肪酸が分離してしまい元に戻らないので、風味を損なう。その ため、出しっぱなしにせずきちんと冷蔵庫に保存しておく必要がある。 バターを使った主な調理例 <和食> じゃがバター(ふかしたジャガイモにそのままバターを塗る) <洋食> ほうれん草のソテー(バターを絡めてほうれん草を炒める) たらこスパゲティ(麺と絡める前に、たらこと溶かしたバターを混ぜる) トースト(焼いたトーストにそのまま塗る、もしくは塗ってからトーストを焼く) <中華> <その他> <菓子類> ホットケーキ(出来上がったホットケーキにそのまま塗る) クレープ(生地に混ぜる、焼くときに油としてひく、食べる際にそのまま塗るなど)
'''バターとは?''' 乳製品の一つで、牛乳より特に脂肪分の高いクリームが主成分。香りが強く、料理に 風味を持たせるため欠かせない調味料となる。市販されている通常のバターは、パン などに塗って食べる際の味付けとして塩を入れているが、菓子の調理用に無塩バター (やや高価)も市販されている。 '''性質''' ・融点が低いため、調理に用いやすい(逆に言えば、焦げやすい) ・一度溶けたものは脂肪酸が分離してしまい元に戻らないので、風味を損なう。その ため、出しっぱなしにせずきちんと冷蔵庫に保存しておく必要がある。 '''バターを使った主な調理例''' <和食> じゃがバター(ふかしたジャガイモにそのままバターを塗る) <洋食> ほうれん草のソテー(バターを絡めてほうれん草を炒める) たらこスパゲティ(麺と絡める前に、たらこと溶かしたバターを混ぜる) トースト(焼いたトーストにそのまま塗る、もしくは塗ってからトーストを焼く) <中華> <その他> <菓子類> ホットケーキ(出来上がったホットケーキにそのまま塗る) クレープ(生地に混ぜる、焼くときに油としてひく、食べる際にそのまま塗るなど) [[Category:材料別の料理本|*]]
2005-11-19T12:42:39Z
2023-10-26T02:46:35Z
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高校化学 物質の三態
物質は温度・圧力によって物質の状態が変化する。物質自体は同じであり、状態だけ変わるので物理変化である。化学変化とは違うので注意すること。 どの物質にも、固体・液体・気体の3つの状態がある。これを 物質の三態(さんたい、three states) という。 一般に、物質の温度や圧力を変化させていくと、物質の状態が変わる。 物質の三態は、物質を構成する粒子の集合する状態によって決まり、粒子の熱運動の激しさと、分子に働く引力との関係によって決まっている。 ・固体から液体になる変化を融解、液体から気体になる変化を蒸発(気化)と呼ぶ。気体から液体になる変化を凝縮(液化)、液体から固体になる変化を凝固と呼ぶ。固体から気体になる変化を昇華、気体から固体になる変化を凝華という。 状態が変わっても物質の名前は変わらない。ただし例外として水(H2O)がある。水は固体を特別に氷、液体を水、気体を水蒸気と呼ぶ。また、液体窒素など慣用的に呼ばれるものもある。ただしどのような状態でも化学式は変わらない。 また、純物質において固体が液体になる温度は物質ごとに決まっており、その温度をその物質の融点と呼ぶ。同様に液体が気体になる温度をその物質の沸点と呼ぶ。大気圧での水の融点は0度、沸点は100度である。 ふつうの純物質は、温度と圧力が決まると、その状態が決まる。 温度と圧力によって、その物質がどういう状態をとるかを表した図を状態図(phase diagram)という。 図に、水の状態図と、二酸化炭素の状態図を表す。 図の中央付近にある3本の曲線が交わったところは三重点(triple point)といい、気体・液体・固体の状態が共存する。 なお、図中にある 1.013×10Pa は、大気圧である。図より、大気圧で水の融点は0°C、沸点は100°Cであることが分かり、たしかに実験事実とも一致してる。 また、物質の温度と圧力を高めていき、温度と圧力がそれぞれの臨界点(critical point)を超える高温・高圧になると、その物質は超臨界状態(supercritical state)という状態になり、粘性が気体とも液体ともいえず(検定教科書の出版社によって「気体のような粘性」「液体のような粘性」とか、教科書会社ごとに記述が異なる)、超臨界状態は、気体か液体かは区別できない。 二酸化炭素の超臨界状態ではカフェインをよく溶かすため、コーヒー豆のカフェインの抽出に利用されている。 物質はどんなに冷却しても、-273.15°C(0K)までしか冷却しない。この温度のことを絶対零度(ぜったい れいど)という。(※ 詳しくは『高等学校物理/物理I/熱』で習う。)
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物質は温度・圧力によって物質の状態が変化する。物質自体は同じであり、状態だけ変わるので物理変化である。化学変化とは違うので注意すること。
{{pathnav|高等学校の学習|高等学校理科|高等学校 化学|pagename=物質の三態|frame=1|small=1}}物質は温度・圧力によって物質の状態が変化する。物質自体は同じであり、状態だけ変わるので物理変化である。[[w:化学変化|化学変化]]とは違うので注意すること。 == 物質の三態 == どの物質にも、固体・液体・気体の3つの状態がある。これを 物質の'''三態'''(さんたい、three states) という。<br> 一般に、物質の温度や圧力を変化させていくと、物質の状態が変わる。 物質の三態は、物質を構成する粒子の集合する状態によって決まり、粒子の熱運動の激しさと、分子に働く引力との関係によって決まっている。 == 三態変化 == [[File:Chemical name state change japanese.svg|thumb|500px|状態変化の名称<br>固体から気体になる昇華の例としては、たとえばドライアイス(固体の二酸化炭素)があります。]] ・固体から液体になる変化を'''融解'''、液体から気体になる変化を'''蒸発(気化)'''と呼ぶ。気体から液体になる変化を'''凝縮(液化)'''、液体から固体になる変化を'''凝固'''と呼ぶ。固体から気体になる変化を'''昇華'''、気体から固体になる変化を'''凝華'''という。<BR> 状態が変わっても物質の名前は変わらない。ただし例外として水(H<sub>2</sub>O)がある。水は固体を特別に'''氷'''、液体を'''水'''、気体を'''水蒸気'''と呼ぶ。また、液体窒素など慣用的に呼ばれるものもある。ただしどのような状態でも化学式は変わらない。<BR> また、純物質において固体が液体になる温度は物質ごとに決まっており、その温度をその物質の'''融点'''と呼ぶ。同様に液体が気体になる温度をその物質の'''沸点'''と呼ぶ。大気圧での水の融点は0度、沸点は100度である。 {{-}} == 状態図 == <gallery widths="400px" heights="350px"> File:水の状態図.svg|<center>水の状態図</center> File:二酸化炭素の状態図.svg| <center>二酸化炭素の状態図</center> </gallery> ふつうの純物質は、温度と圧力が決まると、その状態が決まる。 温度と圧力によって、その物質がどういう状態をとるかを表した図を'''状態図'''(phase diagram)という。 図に、水の状態図と、二酸化炭素の状態図を表す。 図の中央付近にある3本の曲線が交わったところは'''三重点'''(triple point)といい、気体・液体・固体の状態が共存する。 なお、図中にある 1.013×10<sup>5</sup>Pa は、大気圧である。図より、大気圧で水の融点は0℃、沸点は100℃であることが分かり、たしかに実験事実とも一致してる。 また、物質の温度と圧力を高めていき、温度と圧力がそれぞれの臨界点(critical point)を超える高温・高圧になると、その物質は'''超臨界状態'''(supercritical state)という状態になり、粘性が気体とも液体ともいえず(検定教科書の出版社によって「気体のような粘性」「液体のような粘性」とか、教科書会社ごとに記述が異なる)、超臨界状態は、気体か液体かは区別できない。 二酸化炭素の超臨界状態ではカフェインをよく溶かすため、コーヒー豆のカフェインの抽出に利用されている。 == ※ 範囲外?: 絶対零度 == 物質はどんなに冷却しても、-273.15℃(0K)までしか冷却しない。この温度のことを'''絶対零度'''(ぜったい れいど)という。(※ 詳しくは『[[高等学校物理/物理I/熱]]』で習う。) [[カテゴリ:物質|ふしつのさんたい]] [[Category:高等学校化学|ふしつのさんたい]]
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2022-12-08T05:41:37Z
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ITスキルとアプリケーション
テンプレート:Ambox 情報技術 > ITスキルとアプリケーション 本書は、コンピュータのハードウェアとユーザーの間のインターフェースとして機能するオペレーティング・システム(Operating system; OS)を対象としている。オペレーティング・システムは、コンピュータの限られた資源の共有や活動の管理・調整を担っている。 オペレーティング・システムは通常、カーネルとユーザーランドに分離される。 一般的に用いられているOSには、以下のような種類がある。 スマートフォン用のOSとして、以下、Android(アンドロイド)やiOS(アイ オーエス)などがある。 大まかには上記のとおりとなる。以下に、それぞれの特徴を記す。基本的な使い方など踏み込んだ話題は、Windows については『Windows入門』を、macOSについては『MacOS入門』を、Unixについては『Unix/Linux入門』を、それぞれ参照のこと。 『Microsoft Windows』(ウィンドウズ)は、米Microsoft社(マイクロソフト社)が販売する商用OSである。Windowsを使用できるハードウェアは、かつては「PC/AT互換機」と言われたが、現在ではほぼすべての市販のパソコンでWindowsは動作する。Windowsは、企業から一般家庭まで、多くのパソコンのOSとして用いられており、事実上の世界標準である。CPUアーキテクチャはx86およびamd64をサポートするほかARMアーキテクチャをサポートしたエディションもある。 Windowsは、歴史的にMS-DOS(エムエス ドス)上のアドオンソフトウェアとしてスタートし、1985年以降、Windows1.0からWindows 3.2までこの状態は続いたが、1993年にMS-DOSを必要としない32ビットOSであるWindows NT 3.1がリリースされた。その後の1995年、16ビットコードと32ビットコードが混在したWindows95がリリースされ、爆発的に普及した。その後も、複数回にわたってバージョンアップ版が提供された。その変遷は以下の通りである。 GUI(グラフィカルユーザーインターフェイス)を標準ユーザーインターフェイスとするOSである。 米Apple社(アップル社)が開発・販売するPC向けのOS。対応するプラットフォームはMac OS X以前では最初はMC68000後にPowerPCのみである。Mac OS Xで初めてPC/AT互換機、x86(Intel製CPUのみ)プラットフォームへの対応がなされたが、Appleが販売するコンピュータ以外のPC/AT互換機では動作しない。ユーザー主体の操作性を重視している。その登場はWindowsよりも早く、1984年の最初のシステムからすでにGUI(文字だけでなく、アイコンなどの画像や映像などで視覚的に分かりやすくした操作環境)を搭載していた。2001年にMac OS Xがリリースされたが、これは従来のMac OSとは仕様が大きく異なるものとなっている。 一般ビジネス用としてのシェアはWindowsに全く及ばないが、グラフィックデザイン、音楽、映画など、芸術・コンテンツ産業といった、いわゆる「クリエイティブ」な分野では一定の支持を得ており、また家庭用としても根強いユーザーを確保している。2006年、プロセッサのIntel製への全面移行に伴い、起動時にMac OS XとWindowsを選択したりあるいはMac OS XとWindowsを同時に使用できる機能(ブートキャンプ)が実用化、Windows専用PCからの乗り換えを検討するユーザーが増え始めた。また、Mac OS XはBSD系Unix(後述)ベースになっており、その中核部分(カーネル)はオープンソースOSであるFreeBSDをもとにして開発されている(Mac OSは、オープンソースの Darwin と、非オープンソースのコンポーネントから構成されている)。 そのため、Unix系のコマンドがマックOS上でも使用できる場合も多く、このようなUnixとマックとの親和性の高さから、Unix系 OSのプログラマーが、Mac OS X環境でUnixアプリケーションのプログラムを開発する例も見られる。 大まかに次のような変化をたどる。 ※ Mac OS X Server 1.0 があるが、この製品は Mac OS X とは異なるコードベースの製品で互換性はなく、他方 Mac OS X Server 10.x は Mac OS X と互換性があった。 2001年登場の Mac OS 9.2.2(コードネーム:LU1) を最後に、登場以来の系統(上記の Classic 系)の Mac OS の開発は終了した。 Mac OS X は当初から多言語(英語やフランス語、日本語、中国語など)に対応しており、Classic Mac OS や Windows のような「xx語版」という区別はない。Mac OS X 10.4.5 より、それまでの PowerPC 版に加えて Intel プロセッサ版が登場した。 2020年にリリースされた macOS 11.0 Big Sur からは、Apple内製のM1プロセッサーがサポートするプラットホームに加わった。 1960年代,米AT&T社(エーティー アンド ティー社)のベル研究所で誕生した。しかし近年はUnixそのものが使われることは殆どなく、Unixシステムをベースとして様々な改良を施したOSがUnix系OSとして利用されている。主なものとしては、BSD系Unix, HP-UXやSolarisなど。 Unixの特徴: これらに加え、カリフォルニア大学バークレー本校で開発されたBSDによる追加された機能 がAT&Tにもバックポートされ普及した。 かつてはミニコンやスーパーミニコンでの利用が中心であったが、その後、ワークステーションやサーバーでの採用が増加し、386BSD の登場でPCでの利用にも道がひらけたが、「UNIXの権利を侵害している」と主張する提訴をうけ、配布が停滞している間に登場した GNU/Linux にニッチを奪われる展開となった、その後「UNIXの権利を侵害していない」4.4BSD-LiteをベースにNetBSDやFreeBSDが再実装・リリースされた。 一般ユーザーに関してはWindowsのシェアは大きいが、しかしIT企業などでのサーバーや基幹コンピュータといった分野においては、現在でもUnixが多くのシェアを占める。 狭義の「Linux」(リナックス)は、カーネルだけを意味する。Linuxは、Free Software Foundation(FSF)の提供するGNUソフトウェア群などでユーザーランドを補いオペレーティング・システムとして構成されることが多い。 このため、FSFは Linux カーネルにGNUのユーザーランドを組合せてオペレーティング・システムとしているプロダクトを「GNU/Linux」と表記する事を推奨している。オペレーティングシステム全体を「Linux」と呼称するか、それとも「GNU/Linux」と呼称するかは、論争を引き起こすこともある。 オペレーティング・システムとしてのプロダクトは「Linuxディストリビューション」と言うのが厳密な用法である。「Linuxディストリビューション」とは、Linuxカーネルを元に、実用OSとするために多くのアプリケーションの実装を行ったものである。 カーネルにどのようなアプリケーションを加えるかにより、何通りもの構成がありえ、実際にOSとしての構成が何十通りもあるので、それら個々のプロダクトについては「Linuxディストリビューション」と表現することでカーネルとは区別する。 Linuxディストリビューションは、ディストリビューターごとにカスタマイズされて配布されており、Fedora(フェドラ)、Ubuntu(ウブンツー)、Debian(デビアン)などのディストリビューションがある。 Windowsに対するLinuxの大きなアドバンテージは、パッケージ管理システムが充実していることである(WindowsにもWindows Package Managerやchocolateyというパッケージマネージャがある)。 オープンソースのソフトウェアは、他のオープンソースのソフトウェアを組み合わせて作られている場合が多い。そのため、特に大きいソフトウェアでは、そのソフトウェアの動作に必要になる別のソフトウェアとして、どんなソフトウェアを準備して導入すればいいかの確認と導入が必要である。 このような確認・導入の作業を「依存関係の解決」という。 この依存関係わ解決のためのソフトウェアが開発されており、RPM(レッドハット系)、dpkg (デビアン系)などの依存関係の解決を自動化するソフトウェアがある。 2022年7月の時点で、macOS 上の類似のソフトウェアとして、Homebrewなどがある。 また、Linuxの誕生以前からBSD Unixでパッケージ管理システム ports/pkg があり、 パッケージ管理としてはGNU/Linuxは後発である。 Windows, Mac OS Xと大きく異なる点として、Linuxでは広範囲のカスタマイズができることがあげられる。例えば、LinuxにおいてはGUIはX Window Systemが用いられるが、これはオプションであり必須では無い。特に、主にサーバーとして扱う場合には、GUI無しで導入した方がよい場合もあるかも知れない。 Linuxを用いる上で難しいのが、ハードウェアのドライバ(そのハードウェアをパソコンで制御できるようにするためのプログラム)の導入である。特に、既に所持しているハードウェアがLinux上で動作するかを知るのは難しい。具体的にこれらについて調べるには、インターネットを使うのが普通だが、多くの情報は英語で与えられている場合があり、英語が使えないなら調べることは ほぼ不可能である。 別の方法として、LinuxはOSのソースコードが公開されているため、特に linux-x.x.x/drivers/ 以下を参照することで、自分の所持する機器のドライバがあるかを確かめることができる。ただし、これには相当のコードリーディング力と英語力が必要なため、あまりおすすめはできない。 Linux上で動くソフトウェアは、基本的に、Windows上では動作しない。なぜなら、LinuxとWindowsでは使えるライブラリが異なっているため、両者の間でソフトウェアを兼用できないのが通常である。 ただし、ビットマップ画像やJPEG画像、PNG画像などは、規格化団体などのより規格化されているので、Windowsなどの(ubuntuなどの)LinuxディストリビューションでもOSでも読み取れる。また、テキストファイル(拡張子が .txt) も、LinuxディストリでもWindowsでも読みとれる。 しかし、画像などのようなのは例外で、いわゆる実行ファイル(Windowsでいう拡張子「.exe」)のようなものは、まずLinuxでは読み取り不可・起動不可である。 世間のソフトウェアのなかには、Firefox(ファイアフォックス)、Inkscape(インクスケープ)、GIMP(ギンプ)などのように、Windowsと Linuxの両側で同じソフトウェアがあるが、これらは、それぞれのOSのライブラリに合わせて、1つのソースツリーから、別々のプラットホーム向けのバイナリーを生成している。 そのため、Windows用のインストールファイルをLinuxで実行しても、インストールできない。そもそも公式サイトからダウンロードをする時点で、すでに、各OSごとに対応バージョンのインストールファイルをダウンロードするようになっている。 他には、たとえば『午後のこーだ』というMP3エンコーダがあるが、このソフトウェアは中でLAMEを用いているため、似た機能はLinux上でも用いられる(ただし、ライセンス上の理由で、Fedora等はこのソフトウェアの使用を推奨していない)。 具体的にLinuxを導入するための注意を述べるが、いずれにしても、高校レベルのパソコン知識が、最低限、必須である。 ほとんどのLinuxは、少なくとも、インテル系のCPUや、AMD系のCPUで用いることができるのが普通である。 インテルの古いCPUにもとづく仕様で、X86系という仕様があり、AMDもこのX86系を踏襲しているので、Linuxでも想定されているCPUはX86系である。 LinuxとWindowsを同時にハードディスク上に入れておき、必要に応じて使い分けることは可能である。このことをデュアルブートとかマルチブートと呼ぶことがある。電源を入れてOSを起動することを「ブート」というのである。2種類(デュアル)のOSを起動できるようにするからデュアルブートというのである。 デュアルブートにより使用しているOSを変更する際には、いったん電源をシャットダウンするか再起動するなどして、ともかく一時的に電源を終了させて、再起動をする必要がある。 そのため、普段はWindowsを使っていても、特定用途でLinuxを導入することは可能である。ただし、その分のディスク容量は必要となるので注意。 デュアルブートとは別に、Windows内に、あるソフトを用いて、リナックスをアプリケーションとして認識させインストールする方法もあるが、これは「仮想化」(かそうか)といい、デュアルブートとは別の手法である。仮想化をするには、Windowsに、仮想化のための専用ソフトウェア(VirtualBoxなど)をインストールする必要がある。仮想化によるLinuxの起動中は、ウィンドウズのプログラムとリナックスのプログラムの両方を起動しているので、そのぶんメモリの使用量は多くなるので、動作が緩慢になったりする。 また、仮想化の場合でも、その分のディスク容量は必要となるので注意。 アプリケーションは、しばしば「応用ソフト」と呼ばれ、「基本ソフト」であるOSとの対比される。OSがコンピュータの動作における基本的な機能やシステムを提供するソフトウェアであるのに対し、アプリケーションはOSの提供するものを土台として、より専門性に特化した機能を追加・提供するためのソフトウェアである。OSにインストールすることで、使用することができる。 アプリケーションはOSに依存するため、OSの種類によってアプリケーションの対応状況は異なり、そのアプリケーションがサポートしていないOSで使用することはできない。例えば、Microsoftt 社の Word 2000というソフトはWindows用であり、MacやUnixでは使えない。Mac用にはMicrosoftから Word 2004 for Macというソフトが販売されているが、こちらは Windows や Unix では使えない、などといった具合である。 以下に、代表的なアプリケーションの種類と主なソフトを示す。 OSが提供している機能や、他のアプリケーションへのサポート的な役割を果たすソフト。代表的な機能としては、ウイルスチェック、メモリの使用状況やクリーンアップ、ハードウェア情報の表示など。 Linuxでは、あまり用意されていない(少なくとも、家電屋にはLinux用のウイルス対策ソフトウェアは売ってない)。 日本では、下記に述べる、ワープロソフト、表計算ソフト、プレゼンテーションソフトをまとめて、「オフィスソフト」という。 印刷までを想定して、文書を作成できるソフト。文字の種類や大きさ、色を変えたり、表や画像を挿入したりすることができる。 『Word』は、マイクロソフト社の製品のワープロソフトである。 リブレオフィスWriter(ライター)は、無料である。 表計算ソフトは、計算式を用いて表計算をできるソフトである。集計表や家計簿を作成したり、式に基づいてグラフを挿入したりできるソフト。 『Excel』は、マイクロソフト社の製品の表計算ソフトである。 リブレオフィスCalc(カルク)は、無料である。 プレゼンテーションに特化しており、1ページ1ページを視覚的に表現することに特化されている。静止画的な修飾だけでなく、アニメーション機能なども搭載されている。 PowerPoint(パワーポイント)、Impress(インプレス)、Agreeなど。 Impress(インプレス)は、無料である。 マイクロソフト社が、マイクロソフト『Office』のような名前で、Windows用のオフィスソフトを販売している(基本的に有料)。 Linux では基本的に、マイクロソフト『Office』は動作せず、使えない。 そして、マイクロソフト『Office』には、上記のように『Word』『Excel』『Power Point』などがある。 マイクロソフト『Office』とは別に、オープンソースのコミュニウティの開発する無料の『リブレオフィス』(Libre Office)というオフィスソフトがある。 リブレオフィスには上記のように『Writer』『Calc』などがある。 データベースを作成し、多くの情報を管理しやすくするソフト。また、作成したデータベースの保守・管理・運用なども含む。 Access(アクセス)、MySQL(マイ エスキューエル)、PostgreSQL、Baseなど。 企業などで用いられる大規模データベースシステムでは、米国Oracle(オラクル)社のデーターベース製品が主流となっている。 既存の画像などを加工したり、一から画像を作るためのソフト。様々な種類があり、用途に応じて使い分けられている。 映像関係の企業などでブランド的に用いられているのは、米国アドビ社のPhotoshop(フォトショップ)、Illustrator(イラストレーター)などだが、高価であり、数十万円ほどをする。 米Adobe社(アドビ社)が、PhotoshopとIllustratorを生産販売している。 アドビの製品が高価なこともあり、他の会社が、より低価格な製品を出している。 画像編集ソフトは、他にも多々ある。HitPaw Photo Enhancerは、AIを使ったモノクロ写真の自動カラー処理や低解像度の画像の高解像度化を楽しむことができる画像高画質化ソフトの一つである。 PicWish、Remove bg、VanceAI、Fotorなどのオンライン画像編集ツールもある。 線や円などといった、図形の情報によって画像を記録する方式の画像形式をベクター画像という。 SVGファイル形式などが、ベクター画像である。 inkscape(インクスケープ)はオープンソースの無料ソフトである。 ビットマップ形式やJPEG形式の画像をラスター画像という。 GIMPは無料ソフトである。 HTMLファイルなどを閲覧するためのソフト。主に、インターネット上の情報を閲覧するのに使用する。Windowsに標準搭載されているInternet Explorer(インターネットエクスプローラー、通称「IE」アイイー )が一般に使われているが、個人の開発者や民間企業が多く参入しており、シェア争いの激しい分野でもある。また、ほとんどがフリーで提供されている。 IEの他には、Firefox(ファイアフォックス)、Opera、Sleipnir(スレイプニル)、Lunascape(ルナスケイプ)など。これらはすべて無料で提供されている。また、IEはTridentエンジン、FirefoxはGeckoエンジンを使用し、Sleipnir,LunascapeなどはTridentとGeckoエンジンを切り替えて使用可能となっており、OperaについてはGecko、Tridentとは違う、独自に開発したPrestoエンジンを搭載している。 Firefoxはオープンソースである。 メールサーバからメールを受け取ったり、メールをメールサーバーに送信するソフトウェアである。 Thunderbird を提供している団体は、Firefoxを提供している団体と同一で、モジラ(Mozilla)財団である。 コンピューターネットワーク(主にインターネット)上でリアルタイムコミュニケーションを実現するアプリケーション。 IP電話を行うためのソフトウェア。 PC上で作曲を行う作業をDTM(ディーティーエム)という。Desktop Music の略である。楽譜データを扱えるソフトウェアであることが多い。 そもそも現在、音楽制作では、すでにDTMソフトウェアに、主要な楽器の音で、それぞれの音階の音が、ソフトウェアに内蔵されている。 DTM作曲家は、それらのソフトウェア内蔵音を組み合わせて、作曲をしているのである。 PC上で書籍の編集を行う作業をDTP(ディーティーピー)という。Desktop Publishing の略である。PC上で出版物の内容データを扱うソフトウェア。操作性はワープロソフトと似ているが、DTPソフトのほうがレイアウトの自由度が高い。 3Dのポリゴンデータを作ることを一般に「3Dモデリング」といい、そのためのソフトウェアを3Dモデラ―という。 動画を再生するためのソフトウェアを、動画プレイヤーと呼んだり、ビデオプレイヤーなどという。 動画を編集するソフトウェア。 低解像度動画の画質を上げるソフトウェア。 プログラミングを助けるためのソフトウェア。 また、VisualStudioはコンパイラ、デバッガ、GUIビルダを含んでいる。 ソースコードを実行形式に変換するソフトウェア。個別のプログラム言語に対して、それぞれのプログラム言語用のコンパイラが0種類以上ある。 Windowsの場合、マイクロソフト社の提供するVisual Studio を導入すると(現在(2019年)は無料版がある)、いっしょにWindows用プログラムのコンパイラが付いてくる。 そのほかの団体の提供するコンパイラもあり、Unix系のOSので使える などもある。 実行形式やバイトコードの動作を確認するソフトウェア。バグ(不具合)を取り除く作業をデバッグといい、そのためのソフトウェアなので、デバッガという。 Windowsの場合、Visual Studio にデバッガも付いてくる。 Unix系のOSでは、GCCを提供する団体と同一の団体であるGNU(グニュー、団体名)によるデバッガの がある。 GUIの制作の際、GUIは、いくつかのパーツに分けられており、そのGUI部品をウィジェット(コントロール)という。ウィジェットを組み合わせてGUIを作るソフトウェアをインターフェースビルダーという。 他のプロセス(クライアント)の要求を処理するソフトウェア。クライアントは同じPC上にあることもあるが、他のPC上にあってもよい。例えばWebサーバはネットワーク越しにクライアント(Webブラウザー)からの要求を受けることがある。 ホームぺージをクライアントに送るサーバー。このWikibooksのページもHTTPサーバーで運用されている。 ファイルをクライアントと送受信するサーバー。ファイル保存、ホームページファイルのアップロードで運用されている。 暗号や認証の技術を利用して、安全にリモートコンピューターと通信するサーバー。 多く運用されているプロトコルはPOP3(受信)、SMTP(送信)、IMAP(サーバー同期型)で、個人で運用すると取得ドメインの元に限って自由な利用ができる。
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Windows』(ウィンドウズ)は、米Microsoft社(マイクロソフト社)が販売する商用OSである。Windowsを使用できるハードウェアは、かつては「PC/AT互換機」と言われたが、現在ではほぼすべての市販のパソコンでWindowsは動作する。Windowsは、企業から一般家庭まで、多くのパソコンのOSとして用いられており、事実上の世界標準である。CPUアーキテクチャはx86およびamd64をサポートするほかARMアーキテクチャをサポートしたエディションもある。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 7, "tag": "p", "text": "Windowsは、歴史的にMS-DOS(エムエス ドス)上のアドオンソフトウェアとしてスタートし、1985年以降、Windows1.0からWindows 3.2までこの状態は続いたが、1993年にMS-DOSを必要としない32ビットOSであるWindows NT 3.1がリリースされた。その後の1995年、16ビットコードと32ビットコードが混在したWindows95がリリースされ、爆発的に普及した。その後も、複数回にわたってバージョンアップ版が提供された。その変遷は以下の通りである。 GUI(グラフィカルユーザーインターフェイス)を標準ユーザーインターフェイスとするOSである。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 8, "tag": "p", "text": "米Apple社(アップル社)が開発・販売するPC向けのOS。対応するプラットフォームはMac OS X以前では最初はMC68000後にPowerPCのみである。Mac OS Xで初めてPC/AT互換機、x86(Intel製CPUのみ)プラットフォームへの対応がなされたが、Appleが販売するコンピュータ以外のPC/AT互換機では動作しない。ユーザー主体の操作性を重視している。その登場はWindowsよりも早く、1984年の最初のシステムからすでにGUI(文字だけでなく、アイコンなどの画像や映像などで視覚的に分かりやすくした操作環境)を搭載していた。2001年にMac OS Xがリリースされたが、これは従来のMac OSとは仕様が大きく異なるものとなっている。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 9, "tag": "p", "text": "一般ビジネス用としてのシェアはWindowsに全く及ばないが、グラフィックデザイン、音楽、映画など、芸術・コンテンツ産業といった、いわゆる「クリエイティブ」な分野では一定の支持を得ており、また家庭用としても根強いユーザーを確保している。2006年、プロセッサのIntel製への全面移行に伴い、起動時にMac OS XとWindowsを選択したりあるいはMac OS XとWindowsを同時に使用できる機能(ブートキャンプ)が実用化、Windows専用PCからの乗り換えを検討するユーザーが増え始めた。また、Mac OS XはBSD系Unix(後述)ベースになっており、その中核部分(カーネル)はオープンソースOSであるFreeBSDをもとにして開発されている(Mac OSは、オープンソースの Darwin と、非オープンソースのコンポーネントから構成されている)。 そのため、Unix系のコマンドがマックOS上でも使用できる場合も多く、このようなUnixとマックとの親和性の高さから、Unix系 OSのプログラマーが、Mac OS X環境でUnixアプリケーションのプログラムを開発する例も見られる。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 10, "tag": "p", "text": "大まかに次のような変化をたどる。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 11, "tag": "p", "text": "※ Mac OS X Server 1.0 があるが、この製品は Mac OS X とは異なるコードベースの製品で互換性はなく、他方 Mac OS X Server 10.x は Mac OS X と互換性があった。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 12, "tag": "p", "text": "2001年登場の Mac OS 9.2.2(コードネーム:LU1) を最後に、登場以来の系統(上記の Classic 系)の Mac OS の開発は終了した。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 13, "tag": "p", "text": "Mac OS X は当初から多言語(英語やフランス語、日本語、中国語など)に対応しており、Classic Mac OS や Windows のような「xx語版」という区別はない。Mac OS X 10.4.5 より、それまでの PowerPC 版に加えて Intel プロセッサ版が登場した。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 14, "tag": "p", "text": "2020年にリリースされた macOS 11.0 Big Sur からは、Apple内製のM1プロセッサーがサポートするプラットホームに加わった。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 15, "tag": "p", "text": "1960年代,米AT&T社(エーティー アンド ティー社)のベル研究所で誕生した。しかし近年はUnixそのものが使われることは殆どなく、Unixシステムをベースとして様々な改良を施したOSがUnix系OSとして利用されている。主なものとしては、BSD系Unix, HP-UXやSolarisなど。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 16, "tag": "p", "text": "Unixの特徴:", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 17, "tag": "p", "text": "これらに加え、カリフォルニア大学バークレー本校で開発されたBSDによる追加された機能", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 18, "tag": "p", "text": "がAT&Tにもバックポートされ普及した。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 19, "tag": "p", "text": "かつてはミニコンやスーパーミニコンでの利用が中心であったが、その後、ワークステーションやサーバーでの採用が増加し、386BSD の登場でPCでの利用にも道がひらけたが、「UNIXの権利を侵害している」と主張する提訴をうけ、配布が停滞している間に登場した GNU/Linux にニッチを奪われる展開となった、その後「UNIXの権利を侵害していない」4.4BSD-LiteをベースにNetBSDやFreeBSDが再実装・リリースされた。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 20, "tag": "p", "text": "一般ユーザーに関してはWindowsのシェアは大きいが、しかしIT企業などでのサーバーや基幹コンピュータといった分野においては、現在でもUnixが多くのシェアを占める。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 21, "tag": "p", "text": "狭義の「Linux」(リナックス)は、カーネルだけを意味する。Linuxは、Free Software Foundation(FSF)の提供するGNUソフトウェア群などでユーザーランドを補いオペレーティング・システムとして構成されることが多い。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 22, "tag": "p", "text": "このため、FSFは Linux カーネルにGNUのユーザーランドを組合せてオペレーティング・システムとしているプロダクトを「GNU/Linux」と表記する事を推奨している。オペレーティングシステム全体を「Linux」と呼称するか、それとも「GNU/Linux」と呼称するかは、論争を引き起こすこともある。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 23, "tag": "p", "text": "オペレーティング・システムとしてのプロダクトは「Linuxディストリビューション」と言うのが厳密な用法である。「Linuxディストリビューション」とは、Linuxカーネルを元に、実用OSとするために多くのアプリケーションの実装を行ったものである。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 24, "tag": "p", "text": "カーネルにどのようなアプリケーションを加えるかにより、何通りもの構成がありえ、実際にOSとしての構成が何十通りもあるので、それら個々のプロダクトについては「Linuxディストリビューション」と表現することでカーネルとは区別する。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 25, "tag": "p", "text": "Linuxディストリビューションは、ディストリビューターごとにカスタマイズされて配布されており、Fedora(フェドラ)、Ubuntu(ウブンツー)、Debian(デビアン)などのディストリビューションがある。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 26, "tag": "p", "text": "", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 27, "tag": "p", "text": "Windowsに対するLinuxの大きなアドバンテージは、パッケージ管理システムが充実していることである(WindowsにもWindows Package Managerやchocolateyというパッケージマネージャがある)。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 28, "tag": "p", "text": "オープンソースのソフトウェアは、他のオープンソースのソフトウェアを組み合わせて作られている場合が多い。そのため、特に大きいソフトウェアでは、そのソフトウェアの動作に必要になる別のソフトウェアとして、どんなソフトウェアを準備して導入すればいいかの確認と導入が必要である。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 29, "tag": "p", "text": "このような確認・導入の作業を「依存関係の解決」という。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 30, "tag": "p", "text": "この依存関係わ解決のためのソフトウェアが開発されており、RPM(レッドハット系)、dpkg (デビアン系)などの依存関係の解決を自動化するソフトウェアがある。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 31, "tag": "p", "text": "2022年7月の時点で、macOS 上の類似のソフトウェアとして、Homebrewなどがある。 また、Linuxの誕生以前からBSD Unixでパッケージ管理システム ports/pkg があり、 パッケージ管理としてはGNU/Linuxは後発である。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 32, "tag": "p", "text": "Windows, Mac OS Xと大きく異なる点として、Linuxでは広範囲のカスタマイズができることがあげられる。例えば、LinuxにおいてはGUIはX Window Systemが用いられるが、これはオプションであり必須では無い。特に、主にサーバーとして扱う場合には、GUI無しで導入した方がよい場合もあるかも知れない。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 33, "tag": "p", "text": "Linuxを用いる上で難しいのが、ハードウェアのドライバ(そのハードウェアをパソコンで制御できるようにするためのプログラム)の導入である。特に、既に所持しているハードウェアがLinux上で動作するかを知るのは難しい。具体的にこれらについて調べるには、インターネットを使うのが普通だが、多くの情報は英語で与えられている場合があり、英語が使えないなら調べることは ほぼ不可能である。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 34, "tag": "p", "text": "別の方法として、LinuxはOSのソースコードが公開されているため、特に linux-x.x.x/drivers/ 以下を参照することで、自分の所持する機器のドライバがあるかを確かめることができる。ただし、これには相当のコードリーディング力と英語力が必要なため、あまりおすすめはできない。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 35, "tag": "p", "text": "Linux上で動くソフトウェアは、基本的に、Windows上では動作しない。なぜなら、LinuxとWindowsでは使えるライブラリが異なっているため、両者の間でソフトウェアを兼用できないのが通常である。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 36, "tag": "p", "text": "ただし、ビットマップ画像やJPEG画像、PNG画像などは、規格化団体などのより規格化されているので、Windowsなどの(ubuntuなどの)LinuxディストリビューションでもOSでも読み取れる。また、テキストファイル(拡張子が .txt) も、LinuxディストリでもWindowsでも読みとれる。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 37, "tag": "p", "text": "しかし、画像などのようなのは例外で、いわゆる実行ファイル(Windowsでいう拡張子「.exe」)のようなものは、まずLinuxでは読み取り不可・起動不可である。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 38, "tag": "p", "text": "世間のソフトウェアのなかには、Firefox(ファイアフォックス)、Inkscape(インクスケープ)、GIMP(ギンプ)などのように、Windowsと Linuxの両側で同じソフトウェアがあるが、これらは、それぞれのOSのライブラリに合わせて、1つのソースツリーから、別々のプラットホーム向けのバイナリーを生成している。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 39, "tag": "p", "text": "そのため、Windows用のインストールファイルをLinuxで実行しても、インストールできない。そもそも公式サイトからダウンロードをする時点で、すでに、各OSごとに対応バージョンのインストールファイルをダウンロードするようになっている。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 40, "tag": "p", "text": "他には、たとえば『午後のこーだ』というMP3エンコーダがあるが、このソフトウェアは中でLAMEを用いているため、似た機能はLinux上でも用いられる(ただし、ライセンス上の理由で、Fedora等はこのソフトウェアの使用を推奨していない)。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 41, "tag": "p", "text": "具体的にLinuxを導入するための注意を述べるが、いずれにしても、高校レベルのパソコン知識が、最低限、必須である。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 42, "tag": "p", "text": "ほとんどのLinuxは、少なくとも、インテル系のCPUや、AMD系のCPUで用いることができるのが普通である。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 43, "tag": "p", "text": "インテルの古いCPUにもとづく仕様で、X86系という仕様があり、AMDもこのX86系を踏襲しているので、Linuxでも想定されているCPUはX86系である。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 44, "tag": "p", "text": "", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 45, "tag": "p", "text": "LinuxとWindowsを同時にハードディスク上に入れておき、必要に応じて使い分けることは可能である。このことをデュアルブートとかマルチブートと呼ぶことがある。電源を入れてOSを起動することを「ブート」というのである。2種類(デュアル)のOSを起動できるようにするからデュアルブートというのである。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 46, "tag": "p", "text": "デュアルブートにより使用しているOSを変更する際には、いったん電源をシャットダウンするか再起動するなどして、ともかく一時的に電源を終了させて、再起動をする必要がある。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 47, "tag": "p", "text": "そのため、普段はWindowsを使っていても、特定用途でLinuxを導入することは可能である。ただし、その分のディスク容量は必要となるので注意。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 48, "tag": "p", "text": "デュアルブートとは別に、Windows内に、あるソフトを用いて、リナックスをアプリケーションとして認識させインストールする方法もあるが、これは「仮想化」(かそうか)といい、デュアルブートとは別の手法である。仮想化をするには、Windowsに、仮想化のための専用ソフトウェア(VirtualBoxなど)をインストールする必要がある。仮想化によるLinuxの起動中は、ウィンドウズのプログラムとリナックスのプログラムの両方を起動しているので、そのぶんメモリの使用量は多くなるので、動作が緩慢になったりする。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 49, "tag": "p", "text": "また、仮想化の場合でも、その分のディスク容量は必要となるので注意。", "title": "OSの種類" }, { "paragraph_id": 50, "tag": "p", "text": "アプリケーションは、しばしば「応用ソフト」と呼ばれ、「基本ソフト」であるOSとの対比される。OSがコンピュータの動作における基本的な機能やシステムを提供するソフトウェアであるのに対し、アプリケーションはOSの提供するものを土台として、より専門性に特化した機能を追加・提供するためのソフトウェアである。OSにインストールすることで、使用することができる。", "title": "アプリケーションとは" }, { "paragraph_id": 51, "tag": "p", "text": "アプリケーションはOSに依存するため、OSの種類によってアプリケーションの対応状況は異なり、そのアプリケーションがサポートしていないOSで使用することはできない。例えば、Microsoftt 社の Word 2000というソフトはWindows用であり、MacやUnixでは使えない。Mac用にはMicrosoftから Word 2004 for Macというソフトが販売されているが、こちらは Windows や Unix では使えない、などといった具合である。", "title": "アプリケーションとは" }, { "paragraph_id": 52, "tag": "p", "text": "以下に、代表的なアプリケーションの種類と主なソフトを示す。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 53, "tag": "p", "text": "OSが提供している機能や、他のアプリケーションへのサポート的な役割を果たすソフト。代表的な機能としては、ウイルスチェック、メモリの使用状況やクリーンアップ、ハードウェア情報の表示など。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 54, "tag": "p", "text": "Linuxでは、あまり用意されていない(少なくとも、家電屋にはLinux用のウイルス対策ソフトウェアは売ってない)。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 55, "tag": "p", "text": "", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 56, "tag": "p", "text": "日本では、下記に述べる、ワープロソフト、表計算ソフト、プレゼンテーションソフトをまとめて、「オフィスソフト」という。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 57, "tag": "p", "text": "印刷までを想定して、文書を作成できるソフト。文字の種類や大きさ、色を変えたり、表や画像を挿入したりすることができる。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 58, "tag": "p", "text": "『Word』は、マイクロソフト社の製品のワープロソフトである。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 59, "tag": "p", "text": "リブレオフィスWriter(ライター)は、無料である。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 60, "tag": "p", "text": "表計算ソフトは、計算式を用いて表計算をできるソフトである。集計表や家計簿を作成したり、式に基づいてグラフを挿入したりできるソフト。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 61, "tag": "p", "text": "『Excel』は、マイクロソフト社の製品の表計算ソフトである。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 62, "tag": "p", "text": "リブレオフィスCalc(カルク)は、無料である。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 63, "tag": "p", "text": "プレゼンテーションに特化しており、1ページ1ページを視覚的に表現することに特化されている。静止画的な修飾だけでなく、アニメーション機能なども搭載されている。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 64, "tag": "p", "text": "PowerPoint(パワーポイント)、Impress(インプレス)、Agreeなど。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 65, "tag": "p", "text": "", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 66, "tag": "p", "text": "Impress(インプレス)は、無料である。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 67, "tag": "p", "text": "", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 68, "tag": "p", "text": "マイクロソフト社が、マイクロソフト『Office』のような名前で、Windows用のオフィスソフトを販売している(基本的に有料)。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 69, "tag": "p", "text": "Linux では基本的に、マイクロソフト『Office』は動作せず、使えない。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 70, "tag": "p", "text": "そして、マイクロソフト『Office』には、上記のように『Word』『Excel』『Power Point』などがある。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 71, "tag": "p", "text": "マイクロソフト『Office』とは別に、オープンソースのコミュニウティの開発する無料の『リブレオフィス』(Libre Office)というオフィスソフトがある。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 72, "tag": "p", "text": "リブレオフィスには上記のように『Writer』『Calc』などがある。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 73, "tag": "p", "text": "", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 74, "tag": "p", "text": "データベースを作成し、多くの情報を管理しやすくするソフト。また、作成したデータベースの保守・管理・運用なども含む。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 75, "tag": "p", "text": "Access(アクセス)、MySQL(マイ エスキューエル)、PostgreSQL、Baseなど。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 76, "tag": "p", "text": "企業などで用いられる大規模データベースシステムでは、米国Oracle(オラクル)社のデーターベース製品が主流となっている。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 77, "tag": "p", "text": "既存の画像などを加工したり、一から画像を作るためのソフト。様々な種類があり、用途に応じて使い分けられている。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 78, "tag": "p", "text": "映像関係の企業などでブランド的に用いられているのは、米国アドビ社のPhotoshop(フォトショップ)、Illustrator(イラストレーター)などだが、高価であり、数十万円ほどをする。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 79, "tag": "p", "text": "米Adobe社(アドビ社)が、PhotoshopとIllustratorを生産販売している。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 80, "tag": "p", "text": "アドビの製品が高価なこともあり、他の会社が、より低価格な製品を出している。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 81, "tag": "p", "text": "画像編集ソフトは、他にも多々ある。HitPaw Photo Enhancerは、AIを使ったモノクロ写真の自動カラー処理や低解像度の画像の高解像度化を楽しむことができる画像高画質化ソフトの一つである。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 82, "tag": "p", "text": "PicWish、Remove bg、VanceAI、Fotorなどのオンライン画像編集ツールもある。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 83, "tag": "p", "text": "線や円などといった、図形の情報によって画像を記録する方式の画像形式をベクター画像という。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 84, "tag": "p", "text": "SVGファイル形式などが、ベクター画像である。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 85, "tag": "p", "text": "inkscape(インクスケープ)はオープンソースの無料ソフトである。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 86, "tag": "p", "text": "", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 87, "tag": "p", "text": "ビットマップ形式やJPEG形式の画像をラスター画像という。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 88, "tag": "p", "text": "GIMPは無料ソフトである。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 89, "tag": "p", "text": "HTMLファイルなどを閲覧するためのソフト。主に、インターネット上の情報を閲覧するのに使用する。Windowsに標準搭載されているInternet Explorer(インターネットエクスプローラー、通称「IE」アイイー )が一般に使われているが、個人の開発者や民間企業が多く参入しており、シェア争いの激しい分野でもある。また、ほとんどがフリーで提供されている。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 90, "tag": "p", "text": "IEの他には、Firefox(ファイアフォックス)、Opera、Sleipnir(スレイプニル)、Lunascape(ルナスケイプ)など。これらはすべて無料で提供されている。また、IEはTridentエンジン、FirefoxはGeckoエンジンを使用し、Sleipnir,LunascapeなどはTridentとGeckoエンジンを切り替えて使用可能となっており、OperaについてはGecko、Tridentとは違う、独自に開発したPrestoエンジンを搭載している。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 91, "tag": "p", "text": "Firefoxはオープンソースである。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 92, "tag": "p", "text": "メールサーバからメールを受け取ったり、メールをメールサーバーに送信するソフトウェアである。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 93, "tag": "p", "text": "Thunderbird を提供している団体は、Firefoxを提供している団体と同一で、モジラ(Mozilla)財団である。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 94, "tag": "p", "text": "", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 95, "tag": "p", "text": "コンピューターネットワーク(主にインターネット)上でリアルタイムコミュニケーションを実現するアプリケーション。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 96, "tag": "p", "text": "IP電話を行うためのソフトウェア。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 97, "tag": "p", "text": "", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 98, "tag": "p", "text": "PC上で作曲を行う作業をDTM(ディーティーエム)という。Desktop Music の略である。楽譜データを扱えるソフトウェアであることが多い。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 99, "tag": "p", "text": "そもそも現在、音楽制作では、すでにDTMソフトウェアに、主要な楽器の音で、それぞれの音階の音が、ソフトウェアに内蔵されている。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 100, "tag": "p", "text": "DTM作曲家は、それらのソフトウェア内蔵音を組み合わせて、作曲をしているのである。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 101, "tag": "p", "text": "PC上で書籍の編集を行う作業をDTP(ディーティーピー)という。Desktop Publishing の略である。PC上で出版物の内容データを扱うソフトウェア。操作性はワープロソフトと似ているが、DTPソフトのほうがレイアウトの自由度が高い。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 102, "tag": "p", "text": "", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 103, "tag": "p", "text": "3Dのポリゴンデータを作ることを一般に「3Dモデリング」といい、そのためのソフトウェアを3Dモデラ―という。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 104, "tag": "p", "text": "動画を再生するためのソフトウェアを、動画プレイヤーと呼んだり、ビデオプレイヤーなどという。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 105, "tag": "p", "text": "動画を編集するソフトウェア。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 106, "tag": "p", "text": "低解像度動画の画質を上げるソフトウェア。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 107, "tag": "p", "text": "プログラミングを助けるためのソフトウェア。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 108, "tag": "p", "text": "また、VisualStudioはコンパイラ、デバッガ、GUIビルダを含んでいる。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 109, "tag": "p", "text": "ソースコードを実行形式に変換するソフトウェア。個別のプログラム言語に対して、それぞれのプログラム言語用のコンパイラが0種類以上ある。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 110, "tag": "p", "text": "Windowsの場合、マイクロソフト社の提供するVisual Studio を導入すると(現在(2019年)は無料版がある)、いっしょにWindows用プログラムのコンパイラが付いてくる。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 111, "tag": "p", "text": "そのほかの団体の提供するコンパイラもあり、Unix系のOSので使える", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 112, "tag": "p", "text": "などもある。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 113, "tag": "p", "text": "実行形式やバイトコードの動作を確認するソフトウェア。バグ(不具合)を取り除く作業をデバッグといい、そのためのソフトウェアなので、デバッガという。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 114, "tag": "p", "text": "Windowsの場合、Visual Studio にデバッガも付いてくる。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 115, "tag": "p", "text": "Unix系のOSでは、GCCを提供する団体と同一の団体であるGNU(グニュー、団体名)によるデバッガの", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 116, "tag": "p", "text": "がある。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 117, "tag": "p", "text": "GUIの制作の際、GUIは、いくつかのパーツに分けられており、そのGUI部品をウィジェット(コントロール)という。ウィジェットを組み合わせてGUIを作るソフトウェアをインターフェースビルダーという。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 118, "tag": "p", "text": "他のプロセス(クライアント)の要求を処理するソフトウェア。クライアントは同じPC上にあることもあるが、他のPC上にあってもよい。例えばWebサーバはネットワーク越しにクライアント(Webブラウザー)からの要求を受けることがある。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 119, "tag": "p", "text": "ホームぺージをクライアントに送るサーバー。このWikibooksのページもHTTPサーバーで運用されている。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 120, "tag": "p", "text": "ファイルをクライアントと送受信するサーバー。ファイル保存、ホームページファイルのアップロードで運用されている。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 121, "tag": "p", "text": "暗号や認証の技術を利用して、安全にリモートコンピューターと通信するサーバー。", "title": "アプリケーションの種類" }, { "paragraph_id": 122, "tag": "p", "text": "多く運用されているプロトコルはPOP3(受信)、SMTP(送信)、IMAP(サーバー同期型)で、個人で運用すると取得ドメインの元に限って自由な利用ができる。", "title": "アプリケーションの種類" } ]
テンプレート:Ambox 情報技術 > ITスキルとアプリケーション 本書は、コンピュータのハードウェアとユーザーの間のインターフェースとして機能するオペレーティング・システム(Operating system; OS)を対象としている。オペレーティング・システムは、コンピュータの限られた資源の共有や活動の管理・調整を担っている。
{{連続投稿に注意}} {{Pathnav|情報技術}} ---- 本書は、コンピュータのハードウェアとユーザーの間のインターフェースとして機能するオペレーティング・システム(Operating system; OS)を対象としている。オペレーティング・システムは、コンピュータの限られた資源の共有や活動の管理・調整を担っている。 == オペレーティング・システムとは == オペレーティング・システムは通常、カーネルとユーザーランドに分離される。 ; カーネル : ソフトウェアがハードウェアと相互作用するための境界線を提供する。 : カーネルはハードウェアを抽象化し、多くのソフトウェアが全く異なるハードウェア上で同じように動作することを可能にする。 : カーネルは、ユーザーランドがカーネルと対話できるようにするためのシステムコールを提供する。 : ファイルシステム(常にではありないが、通常は)、デバイス、プロセスの制御を含む多くのことを処理する。 ; ユーザーランド : カーネル以外のすべてのものとして存在する。 : 端末を含め、ユーザーが作成するすべてのプロセスはユーザーランドに属する。 : プログラムを表示するGUI(Graphical User Interface)もユーザーランドに属する。 : ウェブサーバーなどのデーモンもユーザーランドに属する。 == OSの種類 == 一般的に用いられているOSには、以下のような種類がある。 * [[w:Microsoft Windows|Windows]](ウィンドウズ) * [[w:MacOS|macOS]](マックオーエス) * [[w:Unix|Unix]](ユニックス) (※ [[w:BSD|BSD]]など含む) * [[w:Linux|Linux]](リナックス) * [[w:Solaris|Solaris]](ソラリス) * [[w:TRONプロジェクト|Tron]](トロン) * vx-works * [[w:Multiple Virtual Storage|MVS]] (OS/360, OS/390, z/OS) スマートフォン用のOSとして、以下、Android(アンドロイド)やiOS(アイ オーエス)などがある。 * [[w:Android|Android]](アンドロイド) * [[w:iOS (アップル)|iOS]](アイ オーエス) 大まかには上記のとおりとなる。以下に、それぞれの特徴を記す。基本的な使い方など踏み込んだ話題は、Windows については『[[Windows入門]]』を、macOSについては『[[MacOS入門]]』を、Unixについては『[[Unix/Linux入門]]』を、それぞれ参照のこと。 === Windows === 『Microsoft Windows』(ウィンドウズ)は、米[[w:Microsoft|Microsoft]]社(マイクロソフト社)が販売する商用OSである。Windowsを使用できるハードウェアは、かつては「[[w:PC/AT互換機|PC/AT互換機]]」と言われたが、現在ではほぼすべての市販のパソコンでWindowsは動作する。Windowsは、企業から一般家庭まで、多くのパソコンのOSとして用いられており、事実上の世界標準である。[[w:CPU|CPU]][[w:アーキテクチャ|アーキテクチャ]]は[[w:x86|x86]]および[[w:amd64|amd64]]をサポートするほかARMアーキテクチャをサポートしたエディションもある。 Windowsは、歴史的に[[w:MS-DOS|MS-DOS]](エムエス ドス)上のアドオンソフトウェアとしてスタートし、1985年以降、Windows1.0からWindows 3.2までこの状態は続いたが、1993年にMS-DOSを必要としない32ビットOSであるWindows NT 3.1がリリースされた。その後の1995年、16ビットコードと32ビットコードが混在したWindows95がリリースされ、爆発的に普及した。その後も、複数回にわたってバージョンアップ版が提供された。その変遷は以下の通りである。 [[w:グラフィカルユーザインタフェース|GUI]](グラフィカルユーザーインターフェイス)を標準ユーザーインターフェイスとするOSである。 :{| class="sortable wikitable" |+PC向けWindowsの譜系 |- !発売日 !バージョン !OS系列 |- |1985年11月6日 |[[w:Microsoft Windows 1.0|Windows 1.0]] |[[w:MS-DOS|DOS]]系 |- |1985年11月20日 |Windows 1.01 |[[w:MS-DOS|DOS]]系 |- | 1986年5月 | Windows 1.02 |[[w:MS-DOS|DOS]]系 |- | 1986年8月 | Windows 1.03 |[[w:MS-DOS|DOS]]系 |- | 1987年4月 | Windows 1.04 | [[w:MS-DOS|DOS]]系 |- | 1987年12月9日 | [[w:Microsoft Windows 2.0|Windows 2.03]] | [[w:MS-DOS|DOS]]系 |- | 1988年5月27日 | Windows 2.10 | [[w:MS-DOS|DOS]]系 |- | 1989年5月13日 | Windows 2.11 | [[w:MS-DOS|DOS]]系 |- | 1990年5月22日 | Windows 3.0 | [[w:MS-DOS|DOS]]系 |- | 1990年12月 | Windows 3.0a | [[w:MS-DOS|DOS]]系 |- | 1991年12月 | Windows 3.0 with Multimedia Extensions 1.0 | [[w:MS-DOS|DOS]]系 |- | 1992年4月6日 | Windows 3.1 | [[w:MS-DOS|DOS]]系 |- | 1993年11月8 | Windows 3.11 | [[w:MS-DOS|DOS]]系 |- | 1993年11月22日 | Windows 3.2 | [[w:MS-DOS|DOS]]系 |- | 1993年7月27日 | [[w:Microsoft Windows NT 3.1|Windows NT 3.1]] | [[w:Windows NT系|NT系]] |- | 1994年9月21日 | [[w:Microsoft Windows NT 3.5|Windows NT 3.5]] | [[w:Windows NT系|NT系]] |- | 1995年5月30日 | [[w:Microsoft Windows NT 3.51|Windows NT 3.51]] | [[w:Windows NT系|NT系]] |- | 1996年8月24日 | [[w:Microsoft Windows NT 4.0|Windows NT 4.0]] | [[w:Windows NT系|NT系]] |- | 1995年8月24日 | [[w:Microsoft Windows 95|Windows 95]] | [[w:Windows 9x系|9x系]] |- | 1996年2月14日 | Windows 95 Service Pack 1 | [[w:Windows 9x系|9x系]] |- | 1996年2月14日 | Windows 95 OEM Service Release 1 | [[w:Windows 9x系|9x系]] |- | 1996年8月24日 | Windows 95 OEM Service Release 2 | [[w:Windows 9x系|9x系]] |- | 1997年8月27日 | Windows 95 OEM Service Release 2.1 | [[w:Windows 9x系|9x系]] |- | 1997年11月26日 | Windows 95 OEM Service Release 2.5 | [[w:Windows 9x系|9x系]] |- | 1998年6月25日 | [[w:Microsoft Windows 98|Windows 98]] | [[w:Windows 9x系|9x系]] |- | 1999年5月5日 | Windows 98 Second Edition | [[w:Windows 9x系|9x系]] |- | 1999年12月15日 | [[w:Microsoft Windows 2000|Windows 2000]] | [[w:Windows NT系|NT系]] |- | 2000年9月14日 | [[w:Microsoft Windows Me|Windows Me]] | [[w:Windows 9x系|9x系]] |- | 2001年8月24日 | [[w:Microsoft Windows XP|Windows XP]] | [[w:Windows NT系|NT系]] |- | 2002年9月9日 | Windows XP Service Pack 1 | [[w:Windows NT系|NT系]] |- | 2004年8月25日 | Windows XP Service Pack 2 | [[w:Windows NT系|NT系]] |- | 2008年4月21日 | Windows XP Service Pack 3 | [[w:Windows NT系|NT系]] |- | 2006年11月30日 | [[w:Microsoft Windows Vista|Windows Vista]] | [[w:Windows NT系|NT系]] |- | 2008年2月4日 | Windows Vista Service Pack 1 | [[w:Windows NT系|NT系]] |- | 2009年4月28日 | Windows Vista Service Pack 2 | [[w:Windows NT系|NT系]] |- | 2009年1月22日 | [[w:Microsoft Windows 7|Windows 7]] | [[w:Windows NT系|NT系]] |- | 2011年2月9日 | Windows 7 Service Pack 1 | [[w:Windows NT系|NT系]] |- | 2012年8月1日 | [[w:Microsoft Windows 8|Windows 8]] | [[w:Windows NT系|NT系]] |- | 2013年8月27日 | Windows 8.1 | [[w:Windows NT系|NT系]] |- | 2014年4月8日 | Windows 8.1 Update | [[w:Windows NT系|NT系]] |- | 2015年6月15日 | Windows 10 Version 1507 | [[w:Windows NT系|NT系]] |- | 2015年11月10日 | Windows 10 Version 1511 | [[w:Windows NT系|NT系]] |- | 2016年8月2日 | Windows 10 Version 1607 | [[w:Windows NT系|NT系]] |- | 2017年4月5日 | Windows 10 Version 1703 | [[w:Windows NT系|NT系]] |- | 2017年10月17日 | Windows 10 Version 1709 | [[w:Windows NT系|NT系]] |- | 2018年4月30日 | Windows 10 Version 1803 | [[w:Windows NT系|NT系]] |- | 2018年11月13日 | Windows 10 Version 1809 | [[w:Windows NT系|NT系]] |- | 2019年5月21日 | Windows 10 Version 1903 | [[w:Windows NT系|NT系]] |- | 2019年11月12日 | Windows 10 Version 1909 | [[w:Windows NT系|NT系]] |- | 2020年5月27日 | Windows 10 Version 2004 | [[w:Windows NT系|NT系]] |- | 2020年10月20日 | Windows 10 Version 20H2 | [[w:Windows NT系|NT系]] |- | 2021年5月18日 | Windows 10 Version 21H1 | [[w:Windows NT系|NT系]] |- | 2021年10月5日 | [[w:Microsoft Windows 11|Windows 11]] Version 21H2 | [[w:Windows NT系|NT系]] |- | 2022年9月20日 | Windows 11 Version 22H2 | [[w:Windows NT系|NT系]] |- | 2022年10月18日 | Windows 10 Version 22H2 | [[w:Windows NT系|NT系]] |- | 2023年10月31日 | Windows 11 Version 23H2 | [[w:Windows NT系|NT系]] |} : Windows Vista からが64ビット版と32ビット版が並売されていた。 : Windows 7 は長く人気があり、後継の Windows 8/8.1 のシェアは Windows 7 を一度も超えることがなかった。 : Windows 8からは大きなボタンのスタートメニューにするなどタブレット型のPCを意識したインターフェースの製品となっている。 : Windows 10ではスタートメニューが復活した。 : Windows 11では、32ビット版は廃止され、IE11が無効化された。 === macOS === 米Apple社(アップル社)が開発・販売するPC向けのOS。対応するプラットフォームはMac OS X以前では最初は[[W:MC68000|MC68000]]後に[[w:PowerPC|PowerPC]]のみである。Mac OS Xで初めてPC/AT互換機、x86(Intel製CPUのみ)プラットフォームへの対応がなされたが、Appleが販売するコンピュータ以外のPC/AT互換機では動作しない。ユーザー主体の操作性を重視している。その登場はWindowsよりも早く、1984年の最初のシステムからすでにGUI(文字だけでなく、アイコンなどの画像や映像などで視覚的に分かりやすくした操作環境)を搭載していた。2001年にMac OS Xがリリースされたが、これは従来のMac OSとは仕様が大きく異なるものとなっている。 一般ビジネス用としてのシェアはWindowsに全く及ばないが、グラフィックデザイン、音楽、映画など、芸術・コンテンツ産業といった、いわゆる「クリエイティブ」な分野では一定の支持を得ており、また家庭用としても根強いユーザーを確保している。2006年、プロセッサのIntel製への全面移行に伴い、起動時にMac OS XとWindowsを選択したりあるいはMac OS XとWindowsを同時に使用できる機能(ブートキャンプ)が実用化、Windows専用PCからの乗り換えを検討するユーザーが増え始めた。また、Mac OS XはBSD系Unix(後述)ベースになっており、その中核部分(カーネル)は[[w:オープンソース|オープンソース]]OSであるFreeBSDをもとにして開発されている(Mac OSは、オープンソースの Darwin と、非オープンソースのコンポーネントから構成されている)。 そのため、Unix系のコマンドがマックOS上でも使用できる場合も多く、このようなUnixとマックとの親和性の高さから、Unix系 OSのプログラマーが、Mac OS X環境でUnixアプリケーションのプログラムを開発する例も見られる。 大まかに次のような変化をたどる。 {| class="wikitable" style="text-align:center; max-width:535px; font-size:90%; margin-left:1.5em" |+ Mac OS / macOS の譜系 |- ! Classic 系 ! 日本語OS ! Mac OS X → macOS |- | Macintosh System Software | &nbsp; | &nbsp; |- | System Software 1.0 | 漢字Talk 1.0 | &nbsp; |- | System Software 6.1 | 漢字Talk 6 | &nbsp; |- | System Software 7 | 漢字Talk 7 | &nbsp; |- | System Software 7.5 | 漢字Talk 7.5 | &nbsp; |- | Mac OS 7.6 | ←(呼称を ''Mac OS'' へ統合) | &nbsp; |- | Mac OS 8.0 | &nbsp; | &nbsp; |- | Mac OS 8.5 | &nbsp; | &nbsp; |- | Mac OS 9 | &nbsp; | &nbsp; |- | Mac OS 9.1 | &nbsp; | Mac OS X 10.0 (Cheetah) |- | Mac OS 9.2.2 | &nbsp; | Mac OS X 10.1 (Puma) |- | &nbsp; | &nbsp; | Mac OS X 10.2 (Jaguar) |- | &nbsp; | &nbsp; | Mac OS X 10.3 (Panther) |- | &nbsp; | &nbsp; | Mac OS X 10.4 (Tiger) |- | &nbsp; | &nbsp; | Mac OS X 10.5 (Leopard) |- | &nbsp; | &nbsp; | Mac OS X 10.6 (Snow Leopard) |- | &nbsp; | &nbsp; | Mac OS X 10.7 Lion |- | &nbsp; | &nbsp; | OS X 10.8 Mountain Lion |- | &nbsp; | &nbsp; | OS X 10.9 Mavericks |- | &nbsp; | &nbsp; | OS X 10.10 Yosemite |- | &nbsp; | &nbsp; | OS X 10.11 El Capitan |- | &nbsp; | &nbsp; | macOS 10.12 Sierra |- | &nbsp; | &nbsp; | macOS 10.13 High Sierra |- | &nbsp; | &nbsp; | macOS 10.14 Mojave |- | &nbsp; | &nbsp; | macOS 10.15 Cataina |- | &nbsp; | &nbsp; | macOS 11.0 Big Sur |- | &nbsp; | &nbsp; | macOS 12.0 Monterey |- | | |macOS 13.0 Ventura |- | | |macOS 14.0 Sonoma |} ※ Mac OS X Server 1.0 があるが、この製品は Mac OS X とは異なるコードベースの製品で互換性はなく、他方 Mac OS X Server 10.x は Mac OS X と互換性があった。 2001年登場の Mac OS 9.2.2(コードネーム:LU1) を最後に、登場以来の系統(上記の Classic 系)の Mac OS の開発は終了した。 Mac OS X は当初から多言語(英語やフランス語、日本語、中国語など)に対応しており、Classic Mac OS や Windows のような「xx語版」という区別はない。Mac OS X 10.4.5 より、それまでの PowerPC 版に加えて Intel プロセッサ版が登場した。 2020年にリリースされた macOS 11.0 Big Sur からは、Apple内製のM1プロセッサーがサポートするプラットホームに加わった。 === Unix === 1960年代,米[[w:AT&T|AT&T]]社(エーティー アンド ティー社)の[[w:ベル研究所|ベル研究所]]で誕生した。しかし近年はUnixそのものが使われることは殆どなく、Unixシステムをベースとして様々な改良を施したOSがUnix系OSとして利用されている。主なものとしては、BSD系Unix, HP-UXやSolarisなど。 Unixの特徴: * マルチユーザー・マルチタスクをサポートしている * 高級言語であるCで実装され、高い移植性を確保している * バイトストリームとして抽象化されたファイル * 単一の木構造として階層化されたファイルシステム * OSカーネルから独立したシェル(コマンドインタープリター) これらに加え、カリフォルニア大学バークレー本校で開発されたBSDによる追加された機能 * デマンドページング式仮想記憶 * TCP/IPによるネットワーキングとSocket API がAT&Tにもバックポートされ普及した。 かつてはミニコンやスーパーミニコンでの利用が中心であったが、その後、ワークステーションやサーバーでの採用が増加し、386BSD の登場でPCでの利用にも道がひらけたが、「UNIXの権利を侵害している」と主張する提訴をうけ、配布が停滞している間に登場した GNU/Linux にニッチを奪われる展開となった、その後「UNIXの権利を侵害していない」4.4BSD-LiteをベースにNetBSDやFreeBSDが再実装・リリースされた。 一般ユーザーに関してはWindowsのシェアは大きいが、しかしIT企業などでのサーバーや基幹コンピュータといった分野においては、現在でもUnixが多くのシェアを占める。 === Linux === 狭義の「Linux」(リナックス)は、カーネルだけを意味する。Linuxは、[[w:フリーソフトウェア財団|Free Software Foundation(FSF)]]の提供するGNUソフトウェア群などでユーザーランドを補いオペレーティング・システムとして構成されることが多い。 このため、FSFは Linux カーネルにGNUのユーザーランドを組合せてオペレーティング・システムとしているプロダクトを「GNU/Linux」と表記する事を推奨している。オペレーティングシステム全体を「Linux」と呼称するか、それとも「GNU/Linux」と呼称するかは、[[w:GNU/Linux名称論争|論争を引き起こす]]こともある。 オペレーティング・システムとしてのプロダクトは「Linuxディストリビューション」と言うのが厳密な用法である。「Linuxディストリビューション」とは、Linuxカーネルを元に、実用OSとするために多くのアプリケーションの実装を行ったものである。 カーネルにどのようなアプリケーションを加えるかにより、何通りもの構成がありえ、実際にOSとしての構成が何十通りもあるので、それら個々のプロダクトについては「Linuxディストリビューション」と表現することでカーネルとは区別する。 Linuxディストリビューションは、ディストリビューターごとにカスタマイズされて配布されており、[[w:Fedora|Fedora]](フェドラ)、[[w:Ubuntu|Ubuntu]](ウブンツー)、[[w:Debian|Debian]](デビアン)などのディストリビューションがある。 ==== Linuxの利点 ==== ===== パッケージ管理 ===== Windowsに対するLinuxの大きなアドバンテージは、[[w:パッケージ管理システム|パッケージ管理システム]]が充実していることである(Windowsにも[[W:Windows Package Manager|Windows Package Manager]]や[[W:Chocolatey|chocolatey]]というパッケージマネージャがある)。 オープンソースのソフトウェアは、他のオープンソースのソフトウェアを組み合わせて作られている場合が多い。そのため、特に大きいソフトウェアでは、そのソフトウェアの動作に必要になる別のソフトウェアとして、どんなソフトウェアを準備して導入すればいいかの確認と導入が必要である。 このような確認・導入の作業を「依存関係の解決」という。 この依存関係わ解決のためのソフトウェアが開発されており、[[w:RPM|RPM]](レッドハット系)、dpkg (デビアン系)などの依存関係の解決を自動化するソフトウェアがある。 2022年7月の時点で、macOS 上の類似のソフトウェアとして、[[w:Homebrew (パッケージ管理システム)|Homebrew]]などがある。 また、Linuxの誕生以前からBSD Unixでパッケージ管理システム ports/pkg があり、 パッケージ管理としてはGNU/Linuxは後発である。 ===== カスタマイズ ===== Windows, Mac OS Xと大きく異なる点として、Linuxでは広範囲の[[w:カスタマイズ|カスタマイズ]]ができることがあげられる。例えば、LinuxにおいてはGUIは[[X Window System]]が用いられるが、これはオプションであり必須では無い。特に、主にサーバーとして扱う場合には、GUI無しで導入した方がよい場合もあるかも知れない。 ===== Linuxの苦手分野 ===== ====== ハードウェア互換性 ====== Linuxを用いる上で難しいのが、ハードウェアのドライバ(そのハードウェアをパソコンで制御できるようにするためのプログラム)の導入である。特に、既に所持しているハードウェアがLinux上で動作するかを知るのは難しい。具体的にこれらについて調べるには、[[インターネット]]を使うのが普通だが、多くの情報は英語で与えられている場合があり、英語が使えないなら調べることは ほぼ不可能である。 別の方法として、LinuxはOSのソースコードが公開されているため、特に linux-x.x.x/drivers/ 以下を参照することで、自分の所持する機器のドライバがあるかを確かめることができる。ただし、これには相当のコードリーディング力と英語力が必要なため、あまりおすすめはできない。 ====== ソフトウェア互換性 ====== Linux上で動くソフトウェアは、基本的に、Windows上では動作しない。なぜなら、LinuxとWindowsでは使えるライブラリが異なっているため、両者の間でソフトウェアを兼用できないのが通常である。 ただし、ビットマップ画像やJPEG画像、PNG画像などは、規格化団体などのより規格化されているので、Windowsなどの(ubuntuなどの)LinuxディストリビューションでもOSでも読み取れる。また、テキストファイル(拡張子が .txt) も、LinuxディストリでもWindowsでも読みとれる。 しかし、画像などのようなのは例外で、いわゆる実行ファイル(Windowsでいう拡張子「.exe」)のようなものは、まずLinuxでは読み取り不可・起動不可である。 世間のソフトウェアのなかには、[[w:Mozilla Firefox|Firefox]](ファイアフォックス)、[[Inkscape]](インクスケープ)、[[GIMP]](ギンプ)などのように、Windowsと Linuxの両側で同じソフトウェアがあるが、これらは、それぞれのOSのライブラリに合わせて、1つのソースツリーから、別々のプラットホーム向けのバイナリーを生成している。 そのため、Windows用のインストールファイルをLinuxで実行しても、インストールできない。そもそも公式サイトからダウンロードをする時点で、すでに、各OSごとに対応バージョンのインストールファイルをダウンロードするようになっている。 他には、たとえば『[[w:午後のこ〜だ|午後のこーだ]]』という[[w:MP3|MP3]]エンコーダがあるが、このソフトウェアは中で[[w:LAME|LAME]]を用いているため、似た機能はLinux上でも用いられる(ただし、ライセンス上の理由で、Fedora等はこのソフトウェアの使用を推奨していない)。 ===== 具体的な導入法 ===== 具体的にLinuxを導入するための注意を述べるが、いずれにしても、高校レベルのパソコン知識が、最低限、必須である。 ====== Linuxのハードウェア ====== ほとんどのLinuxは、少なくとも、[[w:インテル|インテル]]系のCPUや、AMD系のCPUで用いることができるのが普通である。 インテルの古いCPUにもとづく仕様で、X86系という仕様があり、AMDもこのX86系を踏襲しているので、Linuxでも想定されているCPUはX86系である。 ====== Linuxの導入法 ====== LinuxとWindowsを同時にハードディスク上に入れておき、必要に応じて使い分けることは可能である。このことを[[w:デュアルブート|デュアルブート]]とかマルチブートと呼ぶことがある。電源を入れてOSを起動することを「ブート」というのである。2種類(デュアル)のOSを起動できるようにするからデュアルブートというのである。 デュアルブートにより使用しているOSを変更する際には、いったん電源をシャットダウンするか再起動するなどして、ともかく一時的に電源を終了させて、再起動をする必要がある。 そのため、普段はWindowsを使っていても、特定用途でLinuxを導入することは可能である。ただし、その分のディスク容量は必要となるので注意。 デュアルブートとは別に、Windows内に、あるソフトを用いて、リナックスをアプリケーションとして認識させインストールする方法もあるが、これは「仮想化」(かそうか)といい、デュアルブートとは別の手法である。仮想化をするには、Windowsに、仮想化のための専用ソフトウェア([[w:VirtualBox|VirtualBox]]など)をインストールする必要がある。仮想化によるLinuxの起動中は、ウィンドウズのプログラムとリナックスのプログラムの両方を起動しているので、そのぶんメモリの使用量は多くなるので、動作が緩慢になったりする。 また、仮想化の場合でも、その分のディスク容量は必要となるので注意。 == アプリケーションとは == アプリケーションは、しばしば「応用ソフト」と呼ばれ、「基本ソフト」であるOSとの対比される。OSがコンピュータの動作における基本的な機能やシステムを提供するソフトウェアであるのに対し、アプリケーションはOSの提供するものを土台として、より専門性に特化した機能を追加・提供するためのソフトウェアである。OSに'''インストール'''することで、使用することができる。 アプリケーションはOSに依存するため、OSの種類によってアプリケーションの対応状況は異なり、そのアプリケーションがサポートしていないOSで使用することはできない。例えば、Microsoftt 社の Word 2000というソフトはWindows用であり、MacやUnixでは使えない。Mac用にはMicrosoftから Word 2004 for Macというソフトが販売されているが、こちらは Windows や Unix では使えない、などといった具合である。 == アプリケーションの種類 == 以下に、代表的なアプリケーションの種類と主なソフトを示す。 === ユーティリティソフト === OSが提供している機能や、他のアプリケーションへのサポート的な役割を果たすソフト。代表的な機能としては、ウイルスチェック、メモリの使用状況やクリーンアップ、ハードウェア情報の表示など。 * '''ウイルスチェックソフト''' :コンピュータウイルスが入ってこないか、または入っていないか監視するソフト。自動設定しておけば、毎日決まった時間にコンピュータ内をチェックすることもできる。基本的に、メールの送受信やファイルのダウンロードなど、ウイルスが入る可能性のある状況になると自動的にチェックを行ったりする。 :ソフトとしては、Windows用ならウイルスバスター、Norton Anti Virus(通称「ノートン」)、Virus Scan、AVG(フリー版あり)など Linuxでは、あまり用意されていない(少なくとも、家電屋にはLinux用のウイルス対策ソフトウェアは売ってない)。 * '''デスクトップ環境''' :PC-Unix上では[[w:GNOME|GNOME]]、[[w:KDE|KDE]]などのソフトウェアを組み合わせてGUI環境を構築するようになっており、これらのソフトウェアを「デスクトップ環境」という。 :デスクトップ環境の中身は、[[w:ランチャー|ランチャー]]、ファイル管理などのツールを組み合わせたものと言われる。Windows、Mac OSでは、これらの機能がOS付属であるので、一般ユーザーが「デスクトップ環境」という一般名詞を特に意識することは少ない。 * '''パッケージ管理''' :各ソフトウェアのインストールやアンインストールを行うソフトウェアであるが、ソフトウェアのアップデートにも用いられる。 :種類にもよるが、ソフトウェアのインストールに必要なパッケージをパッケージごとの依存関係を考えてインストールするものもある。ライブラリやソフトウェアの重複がなくなるので、インストールのデータ量が少なくてすみ、また、インストールに必要な時間も短い。 :代表的なものに。[[w:Fink|Fink]]、[[w:RPM|RPM]]、dpkg([[w:Debian|Debian]]を参照)などがある。 === オフィスソフト === 日本では、下記に述べる、ワープロソフト、表計算ソフト、プレゼンテーションソフトをまとめて、「オフィスソフト」という。 ==== ワープロソフト ==== 印刷までを想定して、文書を作成できるソフト。文字の種類や大きさ、色を変えたり、表や画像を挿入したりすることができる。 :[[w:Microsoft Word|Word]](ワード)、[[w:一太郎|一太郎]](いちたろう)、Writer(ライター)など。 『Word』は、マイクロソフト社の製品のワープロソフトである。 リブレオフィスWriter(ライター)は、無料である。 ==== 表計算ソフト ==== 表計算ソフトは、計算式を用いて表計算をできるソフトである。集計表や家計簿を作成したり、式に基づいてグラフを挿入したりできるソフト。 :[[Microsoft Excel|Excel]](エクセル)、Lotus1-2-3(ロータス)、Calc(カルク)、[[w:三四郎 (表計算ソフト)|三四郎]]など。 『Excel』は、マイクロソフト社の製品の表計算ソフトである。 リブレオフィスCalc(カルク)は、無料である。 ==== プレゼンテーションソフト ==== プレゼンテーションに特化しており、1ページ1ページを視覚的に表現することに特化されている。静止画的な修飾だけでなく、アニメーション機能なども搭載されている。 [[w:Microsoft PowerPoint|PowerPoint]](パワーポイント)、Impress(インプレス)、Agreeなど。 Impress(インプレス)は、無料である。 ==== まとめ ==== マイクロソフト社が、マイクロソフト『Office』のような名前で、Windows用のオフィスソフトを販売している(基本的に有料)。 Linux では基本的に、マイクロソフト『Office』は動作せず、使えない。 そして、マイクロソフト『Office』には、上記のように『Word』『Excel』『Power Point』などがある。 マイクロソフト『Office』とは別に、オープンソースのコミュニウティの開発する無料の『リブレオフィス』(Libre Office)というオフィスソフトがある。 リブレオフィスには上記のように『Writer』『Calc』などがある。 === データベースソフト === データベースを作成し、多くの情報を管理しやすくするソフト。また、作成したデータベースの保守・管理・運用なども含む。 [[w:Microsoft Access|Access]](アクセス)、[[w:MySQL|MySQL]](マイ エスキューエル)、[[w:PostgreSQL|PostgreSQL]]、Baseなど。 企業などで用いられる大規模データベースシステムでは、米国[[w:Oracle|Oracle]](オラクル)社のデータベース製品が主流となっている。 === 画像編集ソフト === 既存の画像などを加工したり、一から画像を作るためのソフト。様々な種類があり、用途に応じて使い分けられている。 映像関係の企業などでブランド的に用いられているのは、米国アドビ社の[[w:Adobe Photoshop|Photoshop]](フォトショップ)、[[w:Adobe Illustrator|Illustrator]](イラストレーター)などだが、高価であり、数十万円ほどをする。 米Adobe社(アドビ社)が、PhotoshopとIllustratorを生産販売している。 アドビの製品が高価なこともあり、他の会社が、より低価格な製品を出している。 画像編集ソフトは、他にも多々ある。[https://www.hitpaw.jp/photo-enhancer.html HitPaw Photo Enhancer]は、AIを使ったモノクロ写真の自動カラー処理や低解像度の画像の高解像度化を楽しむことができる画像高画質化ソフトの一つである。 [https://picwish.com/jp/ PicWish]、Remove bg、[https://vanceai.com/ja/ VanceAI]、[https://www.fotor.com/jp/ Fotor]などのオンライン画像編集ツールもある。 ==== ベクター画像 ==== 線や円などといった、図形の情報によって画像を記録する方式の画像形式をベクター画像という。 SVGファイル形式などが、ベクター画像である。 * Adobe Illustrator(イラストレーター) * inkscape(インクスケープ) inkscape(インクスケープ)はオープンソースの無料ソフトである。 ==== ラスター画像 ==== ビットマップ形式やJPEG形式の画像をラスター画像という。 * Photoshop(フォトショップ) * [[GIMP/目次|GIMP]](ギンプ) GIMPは無料ソフトである。 === ウェブブラウザ === : Internet Explorer( IE )のサポートは、2022年6月16日に終了しています。以下の文章は IE のサポート終了前のもので2022年以降の状況を反映していません。 HTMLファイルなどを閲覧するためのソフト。主に、インターネット上の情報を閲覧するのに使用する。Windowsに標準搭載されている[[w:Internet Explorer|Internet Explorer]](インターネットエクスプローラー、通称「IE」アイイー )が一般に使われているが、個人の開発者や民間企業が多く参入しており、シェア争いの激しい分野でもある。また、ほとんどがフリーで提供されている。 IEの他には、[[w:Mozilla Firefox|Firefox]](ファイアフォックス)、[[w:Opera|Opera]]、[[w:Sleipnir|Sleipnir]](スレイプニル)、[[w:Lunascape|Lunascape]](ルナスケイプ)など。これらはすべて無料で提供されている。また、IEはTridentエンジン、Firefoxは[[w:Gecko|Gecko]]エンジンを使用し、Sleipnir,LunascapeなどはTridentとGeckoエンジンを切り替えて使用可能となっており、OperaについてはGecko、Tridentとは違う、独自に開発した[[w:Presto|Presto]]エンジンを搭載している。 Firefoxはオープンソースである。 === 連絡ツール === ==== メールソフト ==== メールサーバからメールを受け取ったり、メールをメールサーバーに送信するソフトウェアである。 :[[w:Windows Mail|Windows メール]]、[[w:Mozilla Thunderbird|Thunderbird]](サンダーバード)、[[w:Shuriken|Shuriken]]など。 Thunderbird を提供している団体は、Firefoxを提供している団体と同一で、モジラ(Mozilla)財団である。 ==== インスタント・メッセンジャー ==== [[w:コンピューターネットワーク|コンピューターネットワーク]](主に[[インターネット]])上でリアルタイムコミュニケーションを実現する[[w:アプリケーション|アプリケーション]]。 :[[w:ICQ|ICQ]]など。 ==== VoIP ==== [[w:IP電話|IP電話]]を行うためのソフトウェア。 :[[w:Skype|Skype]]など。 === 芸術作品の創作 === ==== DTM ==== PC上で作曲を行う作業をDTM(ディーティーエム)という。'''D'''esk'''t'''op '''M'''usic の略である。楽譜データを扱えるソフトウェアであることが多い。 :[[w:en:Rosegarden|Rosegarden]](リンク先は英語)など。 そもそも現在、音楽制作では、すでにDTMソフトウェアに、主要な楽器の音で、それぞれの音階の音が、ソフトウェアに内蔵されている。 DTM作曲家は、それらのソフトウェア内蔵音を組み合わせて、作曲をしているのである。 ==== DTP ==== PC上で書籍の編集を行う作業をDTP(ディーティーピー)という。'''D'''esk'''t'''op '''P'''ublishing の略である。PC上で出版物の内容データを扱うソフトウェア。操作性はワープロソフトと似ているが、DTPソフトのほうがレイアウトの自由度が高い。 :[[w:Adobe InDesign|Adobe InDesign]]、[[w:Scribus|Scribus]]など。 ==== 3Dモデラー ==== 3Dの[[w:ポリゴン|ポリゴン]]データを作ることを一般に「3Dモデリング」といい、そのためのソフトウェアを3Dモデラ―という。 :[[Blender]]、[[w:LightWave|LightWave]]など。 === 動画 === ==== 動画再生 ==== 動画を再生するためのソフトウェアを、動画プレイヤーと呼んだり、ビデオプレイヤーなどという。 :[[w:VLC|VLC]]、[https://www.hitpaw.jp/video-converter.html HitPaw Video Converter]など。 ==== 動画編集 ==== 動画を編集するソフトウェア。 :[[w:iMovie|iMovie]]、Kinoなど。 ==== 動画高画質 ==== 低解像度動画の画質を上げるソフトウェア。 :[https://www.hitpaw.jp/hitpaw-video-enhancer.html HitPaw Video Enhancer], [https://anyrec.io/ja/video-enhancer/ AnyRec Video Enhancer], [https://www.avclabs.jp/video-enhancer-ai.html AVCLabs Video Enhancer AI], [https://www.topazlabs.com/topaz-video-ai Topaz Video Enhance AI]など。 === プログラミング === ==== IDE(統合開発環境)==== [[プログラミング]]を助けるためのソフトウェア。 :[[w:VisualStudio|VisualStudio]]、[[w:Eclipse|Eclipse]]など。 また、VisualStudioはコンパイラ、[[w:デバッガ|デバッガ]]、[[w:GUIビルダ|GUIビルダ]]を含んでいる。 ==== コンパイラ ==== [[w:ソースコード|ソースコード]]を実行形式に変換するソフトウェア。個別のプログラム言語に対して、それぞれのプログラム言語用のコンパイラが0種類<ref>インタープリターしか言語処理系がない言語もある。</ref>以上ある。 Windowsの場合、マイクロソフト社の提供するVisual Studio を導入すると(現在(2019年)は無料版がある)、いっしょにWindows用プログラムのコンパイラが付いてくる。 そのほかの団体の提供するコンパイラもあり、Unix系のOSので使える :[[w:GCC|GCC]](C言語系の言語のコンパイラ) :[[w:clang|clang\]](C言語系の言語のコンパイラ) などもある。 ==== デバッガ ==== 実行形式やバイトコードの動作を確認するソフトウェア。バグ(不具合)を取り除く作業をデバッグといい、そのためのソフトウェアなので、デバッガという。 Windowsの場合、Visual Studio にデバッガも付いてくる。 Unix系のOSでは、GCCを提供する団体と同一の団体であるGNU(グニュー、団体名)によるデバッガの :[[w:GDB|GDB]] がある。 ==== インターフェースビルダー ==== GUIの制作の際、GUIは、いくつかのパーツに分けられており、そのGUI部品をウィジェット(コントロール)という。ウィジェットを組み合わせてGUIを作るソフトウェアをインターフェースビルダーという。 :[[w:glade|glade]]など。 === サーバー === 他のプロセス(クライアント)の要求を処理するソフトウェア。クライアントは同じPC上にあることもあるが、他のPC上にあってもよい。例えばWebサーバはネットワーク越しにクライアント(Webブラウザー)からの要求を受けることがある。 ==== [[w:Webサーバ|HTTPサーバー]] ==== ホームぺージをクライアントに送るサーバー。このWikibooksのページもHTTPサーバーで運用されている。 * Windows :[[w:Internet Information Services|Microsoft Internet Information Services (IIS)]] * Linux :[[w:Apache|Apache HTTP Server (アパッチ エイチティーティーピー サーバー)]] ==== [[w:FTPサーバー|FTPサーバー]] ==== ファイルをクライアントと送受信するサーバー。ファイル保存、ホームページファイルのアップロードで運用されている。 * Windows :[[w:Internet Information Services|Microsoft Internet Information Services (IIS)]] * Linux :[[w:ProFTPD|ProFTPD]] ==== [[w:Secure_Shell|SSHサーバー]] ==== 暗号や認証の技術を利用して、安全にリモートコンピューターと通信するサーバー。 * Linux :[[w:OpenSSH|OpenSSH (Open Secure Shell)]] ==== [[w:メールサーバー|メールサーバー]] ==== 多く運用されているプロトコルはPOP3(受信)、SMTP(送信)、IMAP(サーバー同期型)で、個人で運用すると取得ドメインの元に限って自由な利用ができる。 * Windows :[[w:Internet Information Services|Microsoft Internet Information Services (IIS)]] * Linux :[[w:Postfix|Postfix (ポスト・フィックス)]] {{NDC|007.63|OSとあふりけしよん}} [[Category:情報技術]] [[Category:計算機科学]]
2005-11-20T07:08:40Z
2024-03-03T11:14:11Z
[ "テンプレート:連続投稿に注意", "テンプレート:Pathnav", "テンプレート:NDC" ]
https://ja.wikibooks.org/wiki/IT%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E3%81%A8%E3%82%A2%E3%83%97%E3%83%AA%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3
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TCP/IP
インターネットの説明の際に必ず出てくるTCP/IPだが、これはネットワークに用いるプロトコル(通信規約。各機能を使うにあたってのルールや仕様・規格などの約束事)を機能別に種類分けし、またその関連性を階層表現でまとめたものを意味する。プロトコルであるTCP、IPと混同してしまいがちだが、この2つのプロトコルが中心的な役割を果たすということで名前をとっているだけであり、実際にはTCPとIPだけでなく、他の多くのプロトコルも含めてTCP/IPと呼ぶ。 本来、ネットワークのプロトコル仕様は、OSI参照モデルという階層表現に準拠して構築されている。しかし、このOSI参照モデルは、あらゆるネットワークや状況に対応できるよう万能なモデルとして考案されたためか、マニアックなプロトコルなども同列に扱われ、またそれらのために全体として複雑な手順を踏むことになってしまう現実があった。まず手順として7階層という多くの手順を順番に踏んでいかなければならないため、処理に時間がかかり、分かりにくさも相まって効率が悪かった。そこで、実用的な機能を厳選し、階層を5つに減らして効率アップを目指したのが、TCP/IPである。OSI参照モデルでの「ネットワーク層」が、TCP/IPでは「インターネット層」と表現されているところから、当初からインターネットへの利用を睨んで考案されたのではないかと思われる。1982年、UNIXの4.2BSDというOSに採用され、その後爆発的な普及をし、現在でもほとんどのネットワークで使用されている。
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== TCP/IPとは == インターネットの説明の際に必ず出てくるTCP/IPだが、これはネットワークに用いるプロトコル(通信規約。各機能を使うにあたってのルールや仕様・規格などの約束事)を機能別に種類分けし、またその関連性を階層表現でまとめたものを意味する。プロトコルであるTCP、IPと混同してしまいがちだが、この2つのプロトコルが中心的な役割を果たすということで名前をとっているだけであり、実際にはTCPとIPだけでなく、他の多くのプロトコルも含めてTCP/IPと呼ぶ。 本来、ネットワークのプロトコル仕様は、OSI参照モデルという階層表現に準拠して構築されている。しかし、このOSI参照モデルは、あらゆるネットワークや状況に対応できるよう万能なモデルとして考案されたためか、マニアックなプロトコルなども同列に扱われ、またそれらのために全体として複雑な手順を踏むことになってしまう現実があった。まず手順として7階層という多くの手順を順番に踏んでいかなければならないため、処理に時間がかかり、分かりにくさも相まって効率が悪かった。そこで、実用的な機能を厳選し、階層を5つに減らして効率アップを目指したのが、TCP/IPである。OSI参照モデルでの「ネットワーク層」が、TCP/IPでは「インターネット層」と表現されているところから、当初からインターネットへの利用を睨んで考案されたのではないかと思われる。1982年、UNIXの4.2BSDというOSに採用され、その後爆発的な普及をし、現在でもほとんどのネットワークで使用されている。 <!-- [[画像:OSI.jpeg]] --> <table align="center" border="1" cellspacing="0" cellpadding="8"> <caption>OSI参照モデルとTCP/IPの対比</caption> <tr> <th>OSI参照モデルでの層名</th> <th>主なプロトコル</th> <th>TCP/IPのモデルでの層名</th> </tr> <tr> <td align="center">アプリケーション層</td> <td align="center" rowspan="3">HTTP FTP SMTP<br/>DNS Telnet SIP</td> <td align="center" rowspan="3">アプリケーション層</td> </tr> <tr> <td align="center">プレゼンテーション層</td> </tr> <tr> <td align="center">セッション層</td> </tr> <tr> <td align="center">トランスポート層</td> <td align="center">TCP UDP</td> <td align="center">トランスポート層</td> </tr> <tr> <td align="center">ネットワーク層</td> <td align="center">IP ARP RARP</td> <td align="center">インターネット層</td> </tr> <tr> <td align="center">データリンク層</td> <td align="center" rowspan="2">Ethernet FDDI<br>Token-Ring</td> <td align="center">データリンク層</td> </tr> <tr> <td align="center">物理層</td> <td align="center">物理層</td> </tr> </table> [[Category:TCP/IP]]
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2007-08-24T14:30:29Z
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https://ja.wikibooks.org/wiki/TCP/IP